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特表2022-543020プライバシーディスプレイ用光学スタック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】プライバシーディスプレイ用光学スタック
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20220930BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20220930BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220930BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220930BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20220930BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
G02F1/1335
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G02F1/13357
G02F1/13 505
G02F1/1347
G02B5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506340
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2020044574
(87)【国際公開番号】W WO2021026018
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/882,022
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516384542
【氏名又は名称】リアルディー スパーク エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウッドゲート、グラハム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ラムゼイ、ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】イハス、ベン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H088
2H189
2H291
2H391
【Fターム(参考)】
2H042AA04
2H042AA10
2H042AA26
2H088EA45
2H088HA14
2H088HA15
2H088HA18
2H088MA01
2H189AA22
2H189LA15
2H189LA16
2H189LA17
2H189LA20
2H189NA07
2H291FA13X
2H291FA13Z
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA25X
2H291FA25Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA38Z
2H291FA42Z
2H291FA54Z
2H291FA60Z
2H291FA71Z
2H291FA85Z
2H291FA96X
2H291FA96Z
2H291FB02
2H291FB05
2H291FC07
2H291LA26
2H291NA73
2H291NA76
2H291PA03
2H291PA06
2H291PA84
2H291PA86
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB40
2H391AC13
2H391AC26
2H391AC30
2H391AC53
2H391EA14
2H391EA16
2H391FA05
(57)【要約】
切替え可能なプライバシーディスプレイ装置は、空間光変調器と、光制御フィルムと、空間光変調器の表示偏光子と追加の偏光子との間に配置された複数の遅延器を備える極性制御遅延器と、を備える。ディスプレイは、パブリック動作モードにおいて、軸外のユーザに対して高い画像視認性を実現し、プライバシー動作モードにおいて、軸外の窃視者に対して高い画像セキュリティを実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスであって、
空間的に変調された光を出力するように配置された空間光変調器であって、前記空間光変調器が、前記空間光変調器の片側に配置された表示偏光子を含み、前記表示偏光子が線形偏光子である、空間光変調器と、
前記空間光変調器における前記表示偏光子と同じ側に配置された追加の偏光子であって、線形偏光子である追加の偏光子と、
前記追加の偏光子と前記表示偏光子との間に配置された少なくとも1つの極性制御遅延器と、
前記空間光変調器、前記追加の偏光子、および前記少なくとも1つの極性制御遅延器と連続して配置された光制御フィルムと、を備え、
前記光制御フィルムが、入力面と、前記入力面に面する出力面と、前記入力面と前記出力面との間に延在する透過領域のアレイと、前記透過領域間かつ前記入力面と前記出力面との間に少なくとも部分的に延在する吸収領域と、を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記光制御フィルムが、前記透過領域のアレイが少なくとも80°幅で繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を有する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記光制御フィルムが、前記透過領域のアレイが少なくとも90°幅で繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を有する、請求項2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記光制御フィルムが、透過領域のアレイが最大130°幅で繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を有する、請求項2または3に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記光制御フィルムの前記吸収領域が厚さtを有し、tが式
【数1】
によって得られ、式中、SINが前記吸収領域の入力側の開口の幅であり、SOUTが前記吸収領域の出力側の開口の幅であり、pが前記透過領域のアレイが繰り返される方向における前記透過領域のピッチであり、nが前記透過領域の屈折率であり、
ξが0.643以上である、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
ξが0.707以上である、請求項5に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
ξが0.906以下である、請求項5または6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記光制御フィルムが、前記空間光変調器の中心から前方に延在する光軸に向かって内側に向けられた中心線を有する透過領域のアレイが繰り返される方向における極角を伴うプロファイルを有する透過率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記プロファイルの前記中心線が、共通点に向けられている、請求項8に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記光制御フィルムが、前記光制御フィルム全体のすべての位置において、前記空間光変調器の平面に対する法線上に中心が置かれた前記透過領域のアレイが繰り返される方向における極角を伴うプロファイルを有する透過率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記透過領域が傾斜しており、その結果、前記透過領域の入力側および出力側の開口の中心間の各透過領域に関して定義された軸が、前記空間光変調器の前記中心から前方に延在する光軸に向かって内向きに向けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記軸が、共通点に向けられている、請求項11に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記透過領域が、前記光制御フィルム全体のすべての位置で、前記空間光変調器の平面に垂直である、前記透過領域の入力側および出力側の開口の中心間の各透過領域に関して定義された軸を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記透過領域のアレイが、細長い透過領域の一次元アレイである、請求項1~13のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記透過領域間の前記吸収領域が、前記入力面と前記出力面との間に延在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記光制御フィルムが、支持基板上に提供されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記表示偏光子が、前記空間光変調器の前記出力側に配置された出力表示偏光子である、請求項1~16のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記ディスプレイデバイスが、前記出力表示偏光子と少なくとも1つの第1の極性制御遅延器との間に配置された反射偏光子をさらに備え、前記反射偏光子が線形偏光子である、請求項17に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
前記光制御フィルムが、前記反射偏光子と前記空間光変調器との間に配置されている、請求項18に記載のディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記空間光変調器が、前記空間的に変調された光を放出するように配置された発光型空間光変調器を備える、請求項17~19のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記ディスプレイデバイスが、光を出力するように配置されたバックライトをさらに備え、前記空間光変調器が、前記バックライトからの前記出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器を備え、前記光制御フィルムが、前記バックライトと前記空間光変調器との間に配置されている、請求項17または18に記載のディスプレイデバイス。
【請求項22】
前記ディスプレイデバイスが、光を出力するように配置されたバックライトをさらに備え、前記空間光変調器が、前記バックライトからの前記出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器を備え、前記光制御フィルムが、前記空間光変調器の前に配置されている、請求項17に記載のディスプレイデバイス。
【請求項23】
前記ディスプレイデバイスが、光を出力するように配置されたバックライトをさらに備え、前記空間光変調器が、前記バックライトからの前記出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器を備え、前記表示偏光子が、前記空間光変調器の入力側に配置された入力表示偏光子である、請求項1~16のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項24】
前記光制御フィルムが、前記バックライトと前記追加の偏光子との間に配置されている、請求項23に記載のディスプレイデバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つの極性制御遅延器が、切替え可能な液晶遅延器を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項26】
前記切替え可能な液晶遅延器が、液晶材料の層と、前記液晶材料の前記層に隣接して配設された少なくとも1つの表面配列層と、を備える、請求項25に記載のディスプレイデバイス。
【請求項27】
前記切替え可能な液晶遅延器が、前記液晶材料の層に隣接して、かつその対向する側に配設され、それぞれの液晶カプセル化基板上に配置された2つの表面配列層を備える、請求項26に記載のディスプレイデバイス。
【請求項28】
前記光制御フィルムが、前記液晶カプセル化基板の1つ上に提供されている、請求項27に記載のディスプレイデバイス。
【請求項29】
前記少なくとも1つの極性制御遅延器が、少なくとも1つの受動補償遅延器をさらに含む、請求項25~28のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項30】
支持基板が、前記少なくとも1つの受動補償遅延器のうちの少なくとも1つの受動補償遅延器を備える、請求項29に記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、プライバシーディスプレイおよび低迷光ディスプレイにおいて使用するための光学スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
プライバシーディスプレイは、通常は軸上の位置にいる主たるユーザに対して画像の視認性を提供し、通常は軸外の位置にいる窃視者に対する画像コンテンツの視認性を低下させる。
【0003】
切替え可能なプライバシーディスプレイは、軸外の光出力の制御によって提供することができる。
【0004】
軸外のプライバシーの制御は、コントラスト低減によって、例えば、面内スイッチングLCDにおける液晶バイアス傾斜を調整することによって提供することができる。
【0005】
制御は、軸外の輝度の低減によってさらに提供することができる。輝度の低減は、液晶ディスプレイ(LCD)空間光変調器用の切替え可能なバックライトによって実現することができる。軸外の輝度の低減はまた、空間光変調器の入力および/または出力指向性輝度プロファイルを変調するように配置された切替え可能な液晶遅延器および補償遅延器によって提供することができる。
【0006】
制御は、軸外の反射率の増加によって、さらに提供することができる。反射率の増加は、切替え可能な液晶遅延器、反射偏光子に当たる周囲光の偏光を制御するように配置された補償遅延器によって実現することができる。
【発明の概要】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、ディスプレイデバイスであって、空間的に変調された光を出力するように配置された空間光変調器であって、空間光変調器が、空間光変調器の片側に配置された表示偏光子を含み、表示偏光子が線形偏光子である、空間光変調器と、空間光変調器における表示偏光子と同じ側に配置された追加の偏光子であって、線形偏光子である追加の偏光子と、追加の偏光子と表示偏光子との間に配置された少なくとも1つの極性制御遅延器と、空間光変調器、追加の偏光子、および少なくとも1つの極性制御遅延器と連続して配置された光制御フィルムと、を備え、光制御フィルムが、入力面と、入力面に面する出力面と、入力面と出力面との間に延在する透過領域のアレイと、透過領域間かつ入力面と出力面との間に少なくとも部分的に延在する吸収領域と、を備える、ディスプレイデバイスが提供される。有利なことに、切替え可能なプライバシーディスプレイは、セキュリティ係数が増加した領域と、望ましいセキュリティ係数が達成される極領域のサイズが増加した領域と、を備え得る。パブリック動作モードでは、軸外のユーザに対して、画像の視認性を高めることができる。
【0008】
光制御フィルムは、透過領域のアレイが繰り返される方向における、少なくとも80°幅、少なくとも90°幅、最大130°幅であり得る極角の範囲で5%以上の透過率を有し得る。光制御フィルムの吸収領域は、厚さtを有し得、tは、以下の式によって得られる。
【数1】
式中、SINは吸収領域の入力側の開口の幅、SOUTは吸収領域の出力側の開口の幅、pはアレイが向かう方向における透過領域のピッチである。透過領域の繰り返しであり、nは透過領域の屈折率である。ここで、ξは0.643以上、ξは0.707以上、およびξは0.906以下であり得る。有利なことに、パブリック動作モードでは、軸外のユーザに対して、画像の視認性を高めることができる。
【0009】
光制御フィルムは、空間光変調器の中心から前方に延びる光軸に向かって内側に向けられた中心線を有する透過領域のアレイが繰り返される方向における極角を有するプロファイルを有し得る透過率を有し得る。そのプロファイルの当該中心線は、共通点に向けることができる。光制御フィルムは、光制御フィルム全体のすべての位置で空間光変調器の平面の法線を中心とする透過領域のアレイが繰り返される方向における極角を有するプロファイルを有し得る透過率を有し得る。透過領域は傾斜させることができ、その結果、透過領域の入力側および出力側の開口の中心間の各透過領域に関して定義された軸は、空間光変調器の中心から前方に延在する光軸に向かって内向きに向けることができる。当該軸は、共通点に向けることができる。有利なことに、主たるディスプレイユーザに対して、画像の輝度均一性を高めることができる。軸外の窃視者に対して、画像セキュリティの均一性を高めることができる。
【0010】
透過領域は、光制御フィルム全体のすべての位置で、空間光変調器の平面に垂直であり得る、透過領域の入力側および出力側の開口の中心間の各透過領域に関して定義された軸を有する。有利なことに、光制御フィルムは、低コストで便利にツール化することができる。
【0011】
透過領域のアレイは、細長い透過領域の一次元アレイであり得る。有利なことに、望ましい画像セキュリティレベルのために、増加した透過が達成される。
【0012】
透過領域間の吸収領域は、入力面と出力面との間に延在する。光制御フィルムは、支持基板上に提供することができる。光透過領域の配向の高い均一性が得られ、ディスプレイの均一性を高めることができる。
【0013】
当該表示偏光子は、空間光変調器の出力側に配置された出力表示偏光子であり得る。ディスプレイデバイスは、出力表示偏光子と少なくとも1つの第1の極性制御遅延器との間に配置された反射偏光子をさらに備え、反射偏光子は、線形偏光子である。プライバシーモードは、軸外の窃視者位置に対する増加した反射率を伴って提供することができる。有利なことに、周囲照度を伴う環境においては、画像のセキュリティ係数を高めることができる。
【0014】
光制御フィルムは、反射偏光子と空間光変調器との間に配置することができる。有利なことに、プライバシーモードにおいては、ディスプレイの反射率が低下せず、軸外の窃視者に対する輝度が低下するため、プライバシーモードでのセキュリティ係数が増加する。
【0015】
空間光変調器は、空間的に変調された光を放出するように配置された発光型空間光変調器を備える。有利なことに、厚さおよびコストを減少させることができる。
【0016】
ディスプレイデバイスは、光を出力するように配置されたバックライトをさらに備え、空間光変調器は、バックライトからの出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器を備え、光制御フィルムは、バックライトと空間光変調器との間に配置することができる。発光型ディスプレイと比較して、軸外輝度を減少させ、セキュリティ係数を有利に高めることができる。再循環光を使用するバックライトを使用して、バックライトの歩留まり、均一性、および損傷に対する復元性を有利に高めることができる。
【0017】
ディスプレイデバイスは、光を出力するように配置されたバックライトをさらに備え、空間光変調器は、バックライトからの出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器を備え、光制御フィルムは、空間光変調器の前に配置することができる。軸外光の低減された散乱を達成することができ、有利なことに、高角度輝度を低減することができ、その結果、セキュリティ係数を増加する。
【0018】
ディスプレイデバイスは、光を出力するように配置されたバックライトをさらに備え、空間光変調器は、バックライトからの出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器を備え、当該表示偏光子は、空間光変調器の入力側に配置された入力表示偏光子であり得る。主たる正面ユーザへの前面反射を低減することができ、明るい周囲照明環境における正面ユーザの画像コントラストを有利に高めることができる。
【0019】
光制御フィルムは、バックライトと追加の偏光子との間に配置することができる。極性制御遅延器における散乱および偏光解消を増加させることができ、有利なことに、軸外輝度の減少およびセキュリティ係数の増加を達成する。
【0020】
少なくとも1つの極性制御遅延器は、切替え可能な液晶遅延器を含む。切替え可能な液晶遅延器は、液晶材料の層と、液晶材料の層に隣接して配設された少なくとも1つの表面配向層と、を備える。切替え可能な液晶遅延器は、液晶材料の層に隣接して、かつその対向する側に配設され、それぞれの液晶カプセル化基板上に配置された2つの表面配向層を備える。有利なことに、切替え可能なプライバシーディスプレイは、プライバシーモードにおける、軸外の窃視者に対する高い画像セキュリティと、パブリックモードにおける、軸外のユーザに対する画像視認性と、を伴って提供することができる。
【0021】
光制御フィルムは、液晶カプセル化基板の1つ上に提供することができる。有利なことに、光学スタックの厚さを減少させることができ、光制御フィルムの平坦度を高めて、均一性の増加を達成することができる。
【0022】
少なくとも1つの極性制御遅延器は、少なくとも1つの受動補償遅延器をさらに含む。有利なことに、プライバシーモードにおいて望ましい画像セキュリティが達成される極域のサイズを増大することができる。
【0023】
支持基板は、少なくとも1つの受動補償遅延器のうちの少なくとも1つの受動補償遅延器を備える。有利なことに、光学スタックの厚さを減少させることができ、光制御フィルムの平坦度を高めて、均一性の増加を達成することができる。
【0024】
本開示の実施形態は、様々な光学システムにおいて使用することができる。本実施形態は、様々なプロジェクタ、投影システム、光学部品、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、コンピュータシステム、プロセッサ、自己完結型プロジェクタシステム、視覚的および/または視聴覚システム、ならびに電気的および/または光学的デバイスを含み得、またはそれらと共に動作し得る。本開示の態様は、光学および電気デバイス、光学システム、プレゼンテーションシステム、または任意のタイプの光学システムを含み得る任意の装置に関連する実質的に任意の装置を伴って使用することができる。よって、本開示の実施形態は、光学システム、視覚的および/または光学的提示において使用されるデバイス、視覚的周辺機器など、ならびに多数のコンピューティング環境において使用することができる。
【0025】
開示された実施形態の詳細に進む前に、開示は他の実施形態が可能であるため、開示は、その適用または作成において、示された特定の配置の詳細に限定されないことを理解されたい。さらに、本開示の態様は、それ自体で固有の実施形態を定義するために、異なる組み合わせおよび配置で説明され得る。また、本明細書で使用される用語は、説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。
【0026】
指向性バックライトは、光導波路の入力開口側に配置された独立したLED光源の変調を通して通常制御される実質的に出力面全体から発する照明を制御する。放出された光の方向分布を制御することで、一人の視聴者だけがディスプレイを限られた角度範囲から見ることができる、セキュリティ機能のための一人視聴と、照明が主に小さな角度の方向分布で提供される高い電気効率と、時系列立体視および自動立体視表示のための左右の目の交互のディスプレイと、低コストと、を達成することができる。
【0027】
本開示のこれらおよび他の利点および特徴は、本開示全体を読むことにより当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
実施形態は、添付の図に例として示され、同様の参照番号は、同様の部分を示す。
図1】交差輝度増強フィルムを備えるバックライトと、光制御フィルムと、入力および出力表示偏光子を伴う透過型空間光変調器と、反射偏光子と、極性制御遅延器と、追加の偏光子と、を備える、切替え可能なプライバシーディスプレイ装置を側面斜視で示す概略図である。
図2図1のプライバシーディスプレイを側面視で示す概略図である。
図3A】旋光フィルムを備えるバックライトと、追加の偏光子と、極性制御遅延器の受動遅延器上に配置された光制御フィルムと、極性遅延器の液晶遅延器と、入力および出力偏光子を伴う透過型空間光変調器と、を備える、切替え可能なプライバシーディスプレイ装置を側面斜視で示す概略図である。
図3B】旋光フィルム上に配置された光制御フィルムを備えるバックライトと、追加の偏光子と、極性制御遅延器と、入力および出力偏光子を伴う透過型空間光変調器と、を備える、切替え可能なプライバシーディスプレイ装置を側面斜視で示す概略図である。
図4】切替え可能なプライバシーディスプレイ装置用の極性制御遅延器および光制御フィルムを側面斜視で示す概略図であり、光制御フィルムの支持基板は、一対の交差したAプレートのうちの1つによって提供される。
図5】出力表示偏光子を伴う発光型空間光変調器と、光制御フィルムと、反射偏光子と、極性制御遅延器と、追加の偏光子と、を備える切替え可能なプライバシーディスプレイ装置を側面斜視で示す概略図である。
図6】出力表示偏光子と、光制御フィルムと、極性制御遅延器と、追加の偏光子と、光制御フィルムであって、光制御フィルムの支持基板には、タッチスクリーンの検出電極を設けられている、光制御フィルムと、を伴う空間光変調器を備える切替え可能なプライバシーディスプレイ装置を側面斜視で示す概略図である。
図7A】入力面と出力面との間に延在する透過領域のアレイと、透過領域間および前記入力面と前記出力面との間に少なくとも部分的に延在する吸収領域であって、透過領域は平行である、吸収領域と、を備える光制御フィルムを側面斜視で示す概略図である。
図7B】入力面と出力面との間に延在する透過領域のアレイと、透過領域間かつ前記入力面と前記出力面との間に少なくとも部分的に延在する吸収領域と、を備える光制御フィルムであって、透過領域は先細である、光制御フィルムを側面斜視で示す概略図である。
図8】光制御フィルムの横角による透過の変動を示す概略グラフである。
図9A図1のディスプレイ装置のプライバシー動作モードにおける動作を上面視で示す概略図である。
図9B図1のディスプレイ装置のパブリック動作モードにおける動作を上面視で示す概略図である。
図10A】交差輝度増強フィルムを備えるバックライトの輝度の方向による変化を示す概略グラフである。
図10B】透過領域のアレイが透過する方向において、すべての方位角で96°の幅を超える極角の範囲で、透過率が5%以上の光制御フィルムを備えるバックライトの輝度方向による変化を示す概略グラフである。
図10C図1の極性制御遅延器の透過方向による変化を示す概略グラフである。
図10D図1の極性制御遅延器および反射偏光子の反射方向による変化を示す概略グラフである。
図11】空気中の単一表面のフレネル反射の方向による変化を示す概略グラフである。
図12図1に示すタイプのディスプレイの横角による輝度の変化、図10Aのバックライトプロファイル、ならびにプライバシー動作モードにおけるディスプレイの図10Bおよび図10Cの透過プロファイルを示す概略グラフである。
図13図10Aのバックライトプロファイルと、図10Bおよび図10Cの透過プロファイルと、図10Dの反射プロファイルと、を備え、ディスプレイ正面の輝度の場合、ルクスで測定された値Iの照度の半分であるニットで測定される値Ymaxである、図1に示されるタイプのディスプレイのプライバシーモードにおけるセキュリティ係数Sの方向による変化を示す概略グラフである。
図14図1に示すタイプのディスプレイの横角による輝度の変化、図10Aのバックライトプロファイル、ならびにパブリック動作モードにおけるディスプレイの図10Bの透過プロファイルを示す概略グラフである。
図15図10Aのバックライトプロファイルと、図10Bの透過プロファイルと、図11の反射プロファイルと、を備え、ディスプレイ正面の輝度の場合、ルクスで測定された値Iの照度の半分であるニットで測定される値Ymaxである、図1に示されるタイプのディスプレイのプライバシーモードにおけるセキュリティ係数Sの方向による変化を示す概略グラフである。
図16】従来技術の切替え不可能なプライバシーディスプレイの横角による輝度および透過の変化を示す概略グラフである。
図17図10Aのバックライトプロファイルと、透過率が正面透過率の5%である70°の横幅を備える光制御フィルムの透過プロファイルと、図11のディスプレイ正面の輝度の場合の反射プロファイルと、を備え、ルクスで測定された値Iの照度の半分であるニットで測定される値Ymaxである、従来の切替え不可能なプライバシーディスプレイのセキュリティ係数Sの方向による変化を示す概略グラフである。
図18】入力面と出力面との間に延在する透過領域のアレイと、透過領域間かつ入力面と出力面との間に少なくとも部分的に延在する吸収領域と、を備える光制御フィルムであって、透過領域は先細であり、透過領域は傾斜しており、その結果、透過領域の入力側および出力側の開口の中心間の各透過領域に関して定義された軸が、空間光変調器の中心から前方に延在する光軸に向かって内向きに向けられる、光制御フィルムを側面斜視で示す概略図である。
図19】プライバシー動作モードにおける図18の光制御フィルムを備える図1のディスプレイ装置の動作を上面視で示す概略図である。
図20】湾曲した透過型空間光変調器と、湾曲したバックライトと、湾曲した複数の遅延器と、湾曲した光制御フィルムと、を備えるディスプレイ装置を上面視で示す概略図である。
図21】湾曲した発光型空間光変調器と、湾曲した複数の遅延器と、湾曲した光制御フィルムと、を備えるディスプレイ装置を上面視で示す概略図である。
図22A】プライバシー動作モードにおける図1の光学スタックを通る空間光変調器からの出力光の伝搬を側面視で示す概略図である。
図22B】プライバシー動作モードにおける図1の光学スタックを通る周囲照明光の伝搬を上面視で示す概略図である。
図23A】パブリック動作モードにおける図1の光学スタックを通る空間光変調器からの出力光の伝搬を側面視で示す概略図である。
図23B図23Aの透過光線の極性方向による出力輝度の変化を示す概略グラフである。
図23C】パブリック動作モードにおける図1の光学スタックを通る周囲照明光の伝搬を上面視で示す概略図である。
図23D図23Cの反射光線の極性方向による反射率の変化を示す概略グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで、本開示の目的のための光学遅延器に関連する用語について説明する。
【0030】
一軸複屈折材料を備える層には、光学異方性を支配する方向があるが、それに垂直な(またはそれに対する所与の角度で)すべての方向は同等の複屈折を有する。
【0031】
光遅延器の光軸は、複屈折が発生しない一軸複屈折材料内の光線の伝播方向を指す。これは、例えば対称線に平行であるか、または主光線が伝播するディスプレイ面に垂直であり得る光学システムの光軸とは異なる。
【0032】
光軸に直交する方向に伝搬する光の場合、遅軸に平行な電気ベクトル方向の直線偏光が最も遅い速度で進むとき、光軸は遅軸になる。遅軸方向は、設計波長で屈折率が最も高い方向である。同様に、速軸方向は、設計波長で屈折率が最も低い方向である。
【0033】
正の誘電異方性の一軸複屈折材料の場合、遅軸方向は複屈折材料の異常軸である。負の誘電異方性の一軸複屈折材料の場合、速軸方向は複屈折材料の異常軸である。
【0034】
半波長および四分の一波長という用語は、典型的には500nm~570nmであり得る設計波長λに対する遅延器の動作を指す。本実施形態では、別段の指定がない限り、例示的な遅延値が550nmの波長に対して提供される。
【0035】
遅延器は、それに入射する光波の2つの垂直偏光成分間の位相シフトを提供し、2つの偏光成分に与える相対位相の量Γによって特徴付けられており、これは、複屈折Δnおよび遅延器の厚さdに次のように関係している。
Γ=2.π.Δn.d/λ 式1
【0036】
式1において、Δnは、異常な屈折率と通常の屈折率との差として定義される。
Δn=n-n 式2
【0037】
半波長遅延器の場合、d、Δn、およびλの関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=πであるように選択される。四分の一波長位相差板、d、Δn、およびλの関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=π/2であるように選択される。
【0038】
本明細書における半波長遅延器という用語は、典型的には、遅延器に垂直に、かつ空間光変調器に垂直に伝搬する光を指す。
【0039】
ここで、一対の偏光子間の透明な遅延器を通る光線の伝播のいくつかの態様を説明する。
【0040】
光線の偏光状態(SOP)は、任意の2つの直交する偏光成分間の相対的な振幅および位相シフトによって表される。透明な遅延器は、これらの直交偏光成分の相対的な振幅を変化させず、それらの相対的な位相にのみ作用する。直交偏光成分間に正味の位相シフトを提供すると、SOPが変化するが、正味の相対位相を維持すると、SOPが保たれる。本記載では、SOPは偏光状態と称する場合がある。
【0041】
直線SOPは、振幅がゼロではない偏光成分と、振幅がゼロの直交偏光成分と、を有する。
【0042】
直線偏光子は、直線偏光子の電気ベクトル透過方向に平行な直線偏光成分を有し、異なるSOPで光を減衰させる独自の直線SOPを透過する。
【0043】
吸収偏光子は、入射光の1つの偏光成分を吸収し、かつ第2の直交偏光成分を透過する偏光子である。吸収直線偏光子の例として、ダイクロイック偏光子がある。
【0044】
反射偏光子は、入射光の1つの偏光成分を反射し、かつ第2の直交偏光成分を透過する偏光子である。直線偏光子である反射偏光子の例として、3M社製のDBEF(商標)またはAPF(商標)のような多層ポリマーフィルムスタック、またはMoxtek製のProFlux(商標)のようなワイヤグリッド偏光子がある。反射直線偏光子は、コレステリック反射材料と、直列に配置された四分の一波長板と、をさらに備え得る。
【0045】
線形偏光子と平行線形分析偏光子との間に配置され、相対的な正味の位相シフトを導入しない遅延器は、線形偏光子内の残留吸収以外の光の完全な透過を提供する。
【0046】
直交偏光成分間の相対的な正味の位相シフトを提供する遅延器は、SOPを変化させ、分析偏光子で減衰を提供する。
【0047】
本開示において、「Aプレート」とは、その光軸が層の平面に平行である複屈折材料の層を利用する光学遅延器を指す。
【0048】
「正のAプレート」とは、正の複屈折Aプレート、つまり正のΔnを伴うAプレートを指す。
【0049】
本開示において、「Cプレート」とは、その光軸が層の平面に垂直である複屈折材料の層を利用する光学遅延器を指す。「正のCプレート」とは、正の複屈折Cプレート、つまり正のΔnを伴うCプレートを指す。「負のCプレート」とは、負の複屈折Cプレート、つまり負のΔnを伴うCプレートを指す。
【0050】
「Oプレート」とは、その光軸が層の平面に平行な成分と層の平面に垂直な成分とを有する複屈折材料の層を利用する光学遅延器を指す。「正のOプレート」とは、正の複屈折Oプレート、つまり正のΔnを伴うOプレートを指す。
【0051】
無彩色遅延器を提供することができ、遅延器の材料は、波長λに伴って変化する遅延Δn.dが提供されている。
Δn.d/λ=k 式3
【0052】
式中、kは実質的に定数である。
【0053】
適切な材料の例には、帝人フィルム製の変性ポリカーボネートが含まれる。本実施形態では、以下に説明するように、輝度低下が少ない極角度視方向と輝度低下が増加した極角度視方向との間の色の変化を有利に最小化するために、無彩色遅延器を提供することができる。
【0054】
ここで、遅延器および液晶に関連して本開示で使用される様々な他の用語を説明する。
【0055】
液晶セルは、Δn.dによって得られる遅延を有し、Δnは、液晶セル内の液晶材料の複屈折であり、dは、液晶セルの厚さであり、液晶セル中の液晶材料の配向には依存していない。
【0056】
均一配向とは、分子が基板に実質的に平行に配向する、切替え可能な液晶ディスプレイにおける液晶の配向を指す。均一配向は、平面配向と呼ばれることもある。均一配向は、典型的には、2度などの小さなプレチルトを伴って提供され得、その結果、液晶セルの配向層の表面における分子は、以下に説明されるようにわずかに傾斜する。プレチルトは、セルの切替えにおける縮退を最小限に抑えるように配置されている。
【0057】
本開示において、垂直配向は、棒状液晶分子が基板に対して実質的に垂直に配向される状態である。ディスコティック液晶では、垂直配向は、ディスク状の液晶分子によって形成される柱構造の軸が表面に垂直に配向される状態として定義される。垂直配向では、プレチルトは配向層に近い分子の傾斜角であり、通常は90度に近く、例えば88度になり得る。
【0058】
ねじれ液晶層では、ネマティック液晶分子のねじれ構成(らせん構造またはらせんとしても知られている)が提供される。ねじれは、配向層の非平行配向によって達成することができる。さらに、コレステリックドーパントを液晶材料に添加して、ねじれ方向(時計回りまたは反時計回り)の縮退を解消し、緩和(通常は駆動されていない)状態におけるねじれのピッチをさらに制御することができる。超ねじれ液晶層は、180度を超えるねじれを有する。空間光変調器において使用されるねじれネマティック層は、通常、90度のねじれを有する。
【0059】
正の誘電異方性を伴う液晶分子は、印加された電界によって、均一配向(Aプレート遅延器配向など)から垂直配向(CプレートまたはOプレート遅延器配向など)に切り替えられる。
【0060】
負の誘電異方性を伴う液晶分子は、印加された電界によって、垂直配向(CプレートまたはOプレート遅延器配向など)から均一配向(Aプレート遅延器配向など)に切り替えられる。
【0061】
棒状分子は正の複屈折を有するため、式2に記載されているようにN>Nとなる。ディスコティック分子は負の複屈折を有するため、n<nである。
【0062】
Aプレート、正のOプレート、および正のCプレートなどの正の遅延器は、通常、延伸フィルムまたは棒状液晶分子によって提供され得る。負のCプレートなどの負の遅延器は、延伸フィルムまたはディスコティック様の液晶分子によって提供され得る。
【0063】
平行液晶セル配向とは、平行またはより一般的には逆平行である均一配向層の配向方向を指す。事前傾斜させた垂直配向の場合、配向層は、実質的に平行または逆平行である成分を有し得る。ハイブリッド配向液晶セルは、1つの均一配向層および1つの垂直配向層を有し得る。ねじれ液晶セルは、例えば互いに90度に向けられた、平行な配向を有しない配向層によって提供され得る。
【0064】
透過型空間光変調器は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,237,876号に開示されるように、入力表示偏光子と出力表示偏光子との間に遅延器をさらに備え得る。そのような遅延器(図示せず)は、本実施形態の受動遅延器とは異なる場所にある。そのような遅延器は、軸外の観察位置に対するコントラスト低下を補償し、これは、本実施形態の軸外の観察位置に対する輝度低下とは異なる効果である。
【0065】
ここで、プライバシーディスプレイの外観に関する用語について説明する。
【0066】
ディスプレイのプライベート動作モードは、画像がはっきりと見えないように、観察者が低いコントラスト感度を見るモードである。コントラスト感度は、静止画像における様々なレベルの輝度を識別する能力の尺度である。逆コントラスト感度は、高い視覚的セキュリティレベル(VSL)が低い画像の視認性に対応するという点で、視覚的セキュリティの尺度として使用することができる。
【0067】
観察者に画像を提供するプライバシーディスプレイの場合、視覚的なセキュリティは、以下のように得られる。
VSL=(Y+R)/(Y-K) 式4
【0068】
式中、VSLは、視覚的なセキュリティレベルであり、Yは、窃視者の観察角度におけるディスプレイの白色状態の輝度であり、Kは、窃視者の観察角度におけるディスプレイの黒色状態の輝度であり、Rは、ディスプレイからの反射光の輝度である。
【0069】
パネルのコントラスト比は、以下のように得られる。
C=Y/K 式5
【0070】
高コントラストの光学LCDモードの場合、白色状態の透過率は、視野角に伴って実質的に一定のままである。本実施形態のコントラスト低減液晶モードでは、白色状態の透過率は、典型的には、黒色状態の透過率が増加するにつれて減少し、以下のようになる。
Y+K~P.L 式6
【0071】
次いで、視覚的なセキュリティレベルは、さらに以下のように得られる。
VSL=(C+I.ρ/π.(C+1)/(P.L)) 式7
(C-1)
【0072】
式中、軸外の相対輝度Pは通常、正面の輝度のパーセンテージとして定義され、窃視者角度におけるLであり、ディスプレイは、画像コントラスト比Cと、表面反射率ρと、を有し得る。
【0073】
軸外の相対輝度Pは、プライバシーレベルとも称する。ただし、このようなプライバシーレベルPは、正面の輝度と比較した特定の極角におけるディスプレイの相対輝度を説明するものであり、プライバシーの外観の尺度ではない。
【0074】
ディスプレイは、ランバート周囲照度Iで照らされ得る。したがって、完全に暗い環境では、高コントラスト表示のVSLは約1.0になる。周囲照度が増加すると、知覚される画像のコントラストが劣化し、VSLが増加し、プライベート画像が知覚される。
【0075】
一般的な液晶ディスプレイの場合、パネルのコントラストCは、ほぼすべての表示角度で100:1を超えているため、視覚的なセキュリティレベルを以下のように概算することができる。
VSL=1+I.ρ/(π.P.L) 式8
【0076】
知覚画像のセキュリティは、目の対数応答から判定することができ、その結果、セキュリティ係数Sは、以下の式で得られる。
S=log10(V) 式9
【0077】
Sの望ましい限界は、以下のように判定された。第1のステップでは、プライバシーディスプレイデバイスが提供された。プライバシーレベルの変化、極視角を伴うディスプレイデバイスのP(θ)、および極視角を伴うディスプレイデバイスの反射率ρ(θ)の変化の測定が、明所視測定機器を使用して行われた。実質的に均一な輝度のライトボックスなどの光源は、反射のための入射方向に沿って、プライバシーディスプレイデバイスを照らすように配置された照明領域から、ディスプレイデバイスの法線に対する0°を超える極角における観察者位置への照明を提供するように配置された。極視角を伴う実質的にランバート発光ライトボックスの照度の変化I(θ)は、反射率ρ(θ)の変化を考慮に入れて、極視角を伴う記録された反射輝度の変化を測定することによって判定された。P(θ)、r(θ)、およびI(θ)の測定値を使用して、ゼロ仰角軸に沿った極視角によるセキュリティ係数S(θ)の変化を判定した。
【0078】
第2のステップでは、(i)最大フォント高さ3mmの小さなテキスト画像と、(ii)最大フォント高さ30mmの大きなテキスト画像と、(iii)動画と、を含む一連の高コントラスト画像が、プライバシーディスプレイに提供された。
【0079】
第3のステップでは、各観察者(必要に応じて1000mmで見るための視力補正を使用)が1000mの距離から画像の各々を見て、ディスプレイの中心線またはその近くのディスプレイ上の位置から片方の目で画像が見えなくなるまで、ゼロ高度における極座標角度を調整した。観察者の目の極位置が記録された。関係S(θ)から、当該極位置におけるセキュリティ係数が判定された。測定は、様々な画像、様々なディスプレイ輝度Ymax、様々なライトボックス照度I(q=0)、様々な背景照明条件、および様々な観察者に対して繰り返された。
【0080】
上記の測定値から、S<1.0は、低い、まったくない視覚的なセキュリティを提供し、1.0≦S<1.5は、画像コンテンツのコントラスト、空間周波数、および時間周波数に依存する視覚的なセキュリティを提供し、1.5≦S<1.8は、ほとんどの画像およびほとんどの観察者に対して、許容できる画像の不視認性(つまり、画像のコントラストが観察できない)を提供し、S>1.8は、すべての観察者に対して、画像コンテンツに関係なく、完全な画像の不視認性を提供する。
【0081】
プライバシーディスプレイと比較して、望ましい広角ディスプレイは、標準的な周囲照度条件で容易に観察される。画像の視認性の1つの尺度は、以下の式で得られるミシェルソンコントラストなどのコントラスト感度によって得られる。
M=(Imax-Imin)/(Imax+Imin) 式10
【0082】
そこで、
M=((Y+R)-(K+R))/((Y+R)+(K+R))=(Y-K)/(Y+K+2.R) 式11
【0083】
したがって、視覚的なセキュリティレベル(VSL)は、1/Mと同等である(ただし、同一ではない)。本考察では、所与の軸外の相対輝度Pに対して、広角画像の視認性Wは、以下のように概算される。
W=1/VSL=1/(1+I.ρ/(π.P.L)) 式12
【0084】
本考察では、望ましい白色点(u'、v')からの出力色(u'+Δu',v'+Δv')の色変化Δεは、典型的なディスプレイのスペクトル光源を想定し、CIELUV色差メトリックによって決定することができ、以下の式で得られる。
Δε=(Δu'2+ΔV'1/2 式13
【0085】
反射屈折要素は、屈折および反射の両方を使用し、これは、内部全反射または金属化表面からの反射である可能性がある。
【0086】
ここで、様々な指向性ディスプレイデバイスの構造および動作を説明する。本記載では、共通の要素は共通の参照番号を有する。任意の要素に関する開示は、同じまたは対応する要素が提供される各デバイスに適用されることに留意されたい。よって、簡潔にするために、そのような開示は繰り返されない。
【0087】
軸外の視野角で高輝度を提供する空間光変調器および/またはバックライトに対して高い視覚的なセキュリティレベルを提供することが望ましい場合がある。ここで、切替え可能なプライバシーディスプレイの構造を説明する。
【0088】
図1は、交差輝度増強フィルム40A、40Bを備えるバックライト20と、光制御フィルム700と、入力および出力表示偏光子210、218を伴う透過型空間光変調器48と、反射偏光子302と、極性制御遅延器300と、追加の偏光子318と、を備える、切替え可能なプライバシーディスプレイ装置100を側面斜視で示す概略図であり、図2は、図1のプライバシーディスプレイ100を側面視で示す概略図である。
【0089】
ディスプレイデバイス100は、空間的に変調された光を出力するように配置された空間光変調器48を備える。ディスプレイデバイス100は、光を出力するように配置されたバックライト20をさらに備え、空間光変調器48は、バックライト20からの出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器48を備える。空間的に変調された光は、バックライト20からの光を変調する制御可能な画素によって提供される。透過型空間光変調器48は、カプセル化基板212、216と、赤、緑、および青の画素220、222、224を有する液晶層214と、を備える液晶ディスプレイを備え得る。空間光変調器48は、その対向する側に、入力表示偏光子210と、出力表示偏光子218と、を有する。出力表示偏光子218は、空間光変調器48の画素220、222、224からの光に対して高い消光比を提供するように配置されている。典型的な偏光子210、218は、ダイクロイック偏光子などの吸収偏光子であり得る。
【0090】
本実施形態では、空間光変調器48は、空間光変調器の出力側に配置された表示偏光子218を含み、表示偏光子218は、線形偏光子である。追加の偏光子318は、空間光変調器における表示偏光子と同じ側に配置され、追加の偏光子318は、線形偏光子である。
【0091】
ここで、バックライト20についてさらに説明する。バックライト装置20は、後部反射器3と、導波路1と光源15とを備える照明装置と、を備える。光源15からの光線412は、入力側2を通って入力され、導波路1の表面6、8内を案内する。光は、抽出特徴部12によって出力され、後方反射器3に入射し、後方反射器3は、散乱または鏡面反射のいずれかによって、導波路1を通って、導波路1の第1の表面6から出る光を受容するように配置された交差輝度増強フィルム40A、40Bに向かって光を反射し得る。本実施形態では、「交差」は、遅延器の平面内の2つの遅延器の光軸間の実質的に90°の角度を指す。
【0092】
輝度向上フィルム40A、40Bは各々、光導波路1と空間光変調器48との間に配置されたプリズム面42A、42Bを伴うプリズム層を備え、光導波路1からの出力光を受容する。導波路からの光線412は、空間光変調器48を通して出力光を向ける。
【0093】
プリズム面42A、42Bは細長く、旋フィルムおよびさらなる旋フィルムの細長いプリズム面の向きが交差している。光軸199に近い方向にある光は、反射器3に向かって反射されて戻されるが、表面6をほぼかすめる光線410は、法線方向に出力される。
【0094】
光学スタック5は、拡散器と、旋光フィルムと、他の既知の光学バックライト構造と、を備え得る。例えば、非対称表面レリーフの特徴を備え得る非対称拡散器は、横方向と比較して仰角方向への拡散が増加した状態で、光学スタック5に提供され得る。有利なことに、画像の均一性を高めることができる。
【0095】
任意選択として、反射偏光子208を入力表示偏光子210とバックライト20との間に提供して、再循環光を提供し、表示効率を高めることができる。有利なことに、効率が向上させることができる。
【0096】
バックライト20の光再循環構成要素3、40A、40B、208は、導波路からの出力光の混合を達成する。そのような再循環は製造上の欠陥に耐性があり、バックライト20は、以下に図3Aを参照して示すコリメートされたバックライトよりも大きなサイズ、低コスト、およびより高い輝度均一性を有利に提供され得る。ただし、このようなバックライトは、以下で説明するように、プライバシー動作モードにおけるセキュリティ係数を低下させ得る、より高い極角における輝度の増加を提供する。
【0097】
プライバシーモードにおける高いセキュリティ係数を達成し、パブリック動作モードにおける望ましい輝度を達成しながら、低い製造コストで高均一性バックライトを提供することが望ましいであろう。
【0098】
光制御フィルム700は、バックライト20と空間光変調器48との間に配置されている。光制御フィルム700は、入力面706と、入力面706に面する出力面708と、入力面706と出力面708との間に延在する光透過領域704のアレイと、透過領域間かつ入力面と出力面との間に延在する吸収領域702と、を備える。
【0099】
光制御フィルム700は、バックライト20の反射偏光子208と表示入力偏光子210との間に配置されている。光制御フィルム700は、支持基板710をさらに備え得る。有利なことに、光制御フィルムの平坦度を高めて、均一性の増加を達成することができる。光制御フィルムの構造および動作については、以下でさらに説明する。
【0100】
切替え可能なプライバシーディスプレイを提供することが望ましいであろう。光制御フィルム700は、空間光変調器48、追加の偏光子318、および極性制御遅延器300と連続して配置されている。
【0101】
極性制御遅延器300は、(i)透明なカプセル化基板312、316の間に配置され、かつ表示偏光子218と追加の偏光子318との間に配置された液晶材料の層314を備える切替え可能な液晶遅延器301と、(ii)少なくとも1つの受動補償遅延器330と、を備える。
【0102】
偏光子制御遅延器300は、追加の偏光子318と表示偏光子218との間に配置されている。偏光子218、302、318の間に配置された極性制御遅延器300の動作の一般原理を、図22A図23Dに関して以下に説明する。
【0103】
極性制御遅延器300は、切替え可能な液晶遅延器301を含む。切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料の層314に隣接して配設された液晶材料表面配向層409、411の層314を備える。切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料314の層に隣接してその対向する側に配設され、かつそれぞれの液晶カプセル化基板312、316上に配置された2つの表面配向層409、411を備える。さらなる電極413、415が、液晶層314の両端に駆動電圧を提供するように配置されている。プライバシー動作モードでは、第1のAC電圧がドライバ350によって印加され、パブリック動作モードでは、ゼロまたはプライバシーモードとは異なる電圧であり得る第2のAC電圧が、電極413、415を介してドライバ350によって印加される。
【0104】
ディスプレイデバイス100は、出力表示偏光子218と少なくとも1つの第1の偏光子制御遅延器300との間に配置された反射偏光子302をさらに備え、反射偏光子302は線形偏光子である。反射偏光子302は、機能および動作において、上記の反射偏光子208とは異なる。反射偏光子302は、正面反射の増加およびセキュリティ係数の向上を実現し、反射偏光子208は、バックライトの再循環効率および均一性の向上を実現する。
【0105】
代替の実施形態(図示せず)では、さらなる偏光子制御遅延器を、入力偏光子210と、バックライトと入力偏光子210との間に配置されたさらなる追加の偏光子との間に配置することができる。さらなる代替の実施形態(図示せず)では、さらなる追加の偏光子を、反射偏光子302と出力偏光子218との間に配置してもよい。さらなる偏光子制御遅延器を、出力偏光子218とさらなる追加の偏光子との間に配置してもよい。さらなる追加の偏光子およびさらなる追加の極性制御遅延器は、パブリック動作モードでは、軸外のユーザに対して、有利に増加した輝度を達成し得、プライバシー動作モードでは、望ましい画像セキュリティ係数のためにより狭いスイッチオン角度を達成し得る。
【0106】
ここで、代替のディスプレイ構造を示す。
【0107】
図3Aは、旋光フィルム50を備えるバックライト20と、追加の偏光子318と、極性制御遅延器300の受動Cプレート遅延器330上に配置された光制御フィルム700と、極性遅延器300の液晶遅延器301と、入力および出力偏光子210、218を伴う透過型空間光変調器48と、を備える、切替え可能なプライバシーディスプレイ装置を側面斜視で示す概略図である。ディスプレイデバイス100は、光を出力するように配置されたバックライト20をさらに備え、空間光変調器48は、バックライト20からの出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器48を備え、当該表示偏光子は、空間光変調器48の入力側に配置された入力表示偏光子210である。
【0108】
図3Aは、極性制御遅延器300が、追加の偏光子318と空間光変調器48の入力偏光子210との間に配置されている、図1の代替案を示している。反射偏光子302は、省略されている。ディスプレイ100からの正面反射が低減され、有利なことに、高照度におけるディスプレイのコントラストの増加を達成する。さらに、ディスプレイの前面の厚さが減少し、偏光子218の散乱出力面を提供する実施形態において、増加した画像解像度を達成する。
【0109】
光制御フィルム700は、追加の偏光子318と表示偏光子210との間に配置されている。図3Aは、光制御フィルム700の支持基板710が省略され、光制御フィルム700が受動遅延器330上に提供されている、図1の別の代替案を示している。有利なことに、厚さおよびコストを減少させることができ、均一性を維持することができる。
【0110】
代替の実施形態(図示せず)では、光制御フィルム700を312、316に取り付けることができる。有利なことに、厚さを低減することができ、光制御フィルム700の平坦性を達成して、出力の均一性を高めることができる。
【0111】
図3Aは、図1および図2のバックライト20と比較した1つの代替バックライト20をさらに示している。図1と比較して、後部反射器3は鏡面反射器であり、導波路は、導波路1の出力面6をかすめる出力角度に近い出力光を提供するように配置された表面構造を有する。図15に記載されるように、有利なことに、そのようなバックライトは、図1のバックライト20の光出力よりも狭い光出力立体角を達成することができる。有利なことに、セキュリティ係数が増加し、プライバシーのためのスイッチオン角度がより狭いプライバシーディスプレイを提供することができる。
【0112】
さらに詳細に論じられていない図3Aの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0113】
図3Bは、旋光フィルム50上に配置された光制御フィルム700を備えるバックライト20と、追加の偏光子318と、極性遅延器300と、入力および出力偏光子210、218を伴う透過型空間光変調器48と、を備える、切替え可能なプライバシーディスプレイ装置100を側面斜視で示す概略図である。
【0114】
光制御フィルム700は、バックライト20と追加の偏光子318との間に配置されている。光制御フィルム内の残留遅延、散乱、および迷光は、軸外の観察位置に対する極性制御遅延器のコントラストを低下させない。有利なことに、軸外の窃視者に対するセキュリティ係数は、図3Aの配置と比較して増加させることができる。
【0115】
図3Bは、旋光フィルム50によって提供される光制御フィルムのための別の代替基板を示している。有利なことに、厚さおよびコストを減少させることができ、均一性を高めることができる。
【0116】
さらに詳細に論じられていない図3Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0117】
図4は、切替え可能なプライバシーディスプレイ装置用の極性制御遅延器300および光制御フィルム700を側面斜視で示す概略図であり、光制御フィルム700の支持基板は、一対の交差したAプレート330A、330Bのうちの1つによって提供される。図1図2および図3AのCプレート遅延器と比較して、Aプレートは、配向層409、411の均一配向を伴う液晶モードにおいて、高いセキュリティ係数の増加した領域を提供し得る。
【0118】
光制御フィルム700は、受動遅延器330A上に提供することができる。有利なことに、厚さおよびコストを減少させることができ、均一性を維持することができる。図4の極性制御遅延器300は、追加の偏光子318と入力偏光子210との間、または追加の偏光子318と空間光変調器48の出力偏光子218との間に提供することができる。
【0119】
さらに詳細に論じられていない図4の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0120】
発光型空間光変調器48を使用して切替え可能なプライバシーディスプレイを提供することが望ましい場合がある。
【0121】
図5は、出力表示偏光子218を伴う発光型空間光変調器48と、光制御フィルム700と、反射偏光子302と、極性制御遅延器300と、追加の偏光子318と、を備える切替え可能なプライバシーディスプレイ装置100を側面斜視で示す概略図である。
【0122】
発光型空間光変調器は、空間光変調器48の画素平面214からの反射の視認性を低減するように配置された、クォーター波長板205と表示偏光子218とをさらに備える。
【0123】
空間光変調器48は、空間的に変調された光を放出するように配置された発光型空間光変調器を備える。空間光変調器48は、図1の透過性画素と比較して、自己発光画素220、222、224のアレイを伴うOLEDディスプレイまたはマイクロLEDディスプレイであり得る。
【0124】
光制御フィルム700は、反射偏光子302と空間光変調器48との間に配置されている。光制御フィルム700は、反射偏光子302と表示偏光子218との間に配置されている。
【0125】
代替の実施形態では、図5の発光型空間光変調器48は、本明細書の他の場所で説明されているように、透過型空間光変調器48およびバックライト20によって提供することができる。バックライト20は、発光型空間光変調器48の放出方向と比較して、高い極角でより低い輝度を提供することができる。有利なことに、高角度での輝度を減少させて、プライバシー動作モードにおける軸外の窃視者に対するセキュリティ係数を高めることができる。
【0126】
さらに詳細に論じられていない図5の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0127】
図6は、出力表示偏光子218を伴う空間光変調器48と、極性制御遅延器300と、追加の偏光子318と、光制御フィルム700であって、光制御フィルムの支持基板にはタッチスクリーンの電極が提供されている、光制御フィルム700と、を備える切替え可能なプライバシーディスプレイ装置100を側面斜視図で示す概略図である。
【0128】
ディスプレイデバイス100は、光を出力するように配置されたバックライト20をさらに備え、空間光変調器48は、バックライト20からの出力光を受容し、かつ空間的に変調するように配置された透過型空間光変調器48を備え、光制御フィルムは、空間光変調器48の前に配置されている。
【0129】
電極500およびドライバ452は、支持基板710上に配置され、さらなる電極502およびドライバ454は、基板510上に提供されており、基板710、510の間に誘電体501が提供されている。近接した指25は、タッチ入力を提供するために検出され得る投影された磁力線570、572を変調することができる。光制御フィルム700は、画素平面214から分離されており、モアレを有利に低減することができる。基板の数を減らすことができ、厚さとコストを有利に減少させることができる。
【0130】
さらに詳細に論じられていない図6の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0131】
ここで、光制御フィルム700の構造と動作について説明する。
【0132】
図7Aは、入力面706と、入力面706に面する出力面708と、入力面706と出力面708との間に延在する光透過領域704のアレイと、透過領域間かつ入力面706と出力面708との間に部分的に延在する吸収領域702と、を備える、光制御フィルム700を側面斜視図示す概略図である。
【0133】
透過領域704のアレイは、y軸方向に細長い、細長透過領域704の一次元アレイである。
【0134】
透過領域704間の吸収領域702は、入力面706と出力面708との間に延在する。光制御フィルム700は、支持基板710上に提供されている。基板710は、光制御フィルムの入力側706または出力側708に配置することができる。
【0135】
光透過領域704は、平行な側面を有し、最大光透過の方向、例えば光線490が光制御フィルム700の平面に垂直であるように、光制御フィルム700の平面に表面法線を有する。透過領域704は、光制御フィルム700全体のすべての位置で、空間光変調器の48の平面(xーy面)に垂直である、透過領域704の入力側および出力側706、708の開口716、718の中心705、707間の各透過領域704に関して定義された軸709を有する。
【0136】
図7Aの配置では、光制御フィルム700が、光制御フィルム全体のすべての位置において、空間光変調器48の平面(xーy面)に対する法線上に中心が置かれた透過領域のアレイが繰り返される(x軸)方向における極角を伴うプロファイルを有する透過率を有する。
【0137】
図7Aの実施形態では、光吸収領域704は、光制御フィルムの入力側と出力側706、708との間に延在しない。むしろ、透過性材料の層709が、光制御フィルム全体に提供され得る。そのような層は、製造中に光透過領域704の支持を提供することができる。
【0138】
さらに詳細に論じられていない図7Aの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0139】
次に、光制御フィルムの代替構造について説明する。
【0140】
図7Bは、入力面706と出力面708との間に延在する透過領域702のアレイと、透過領域704間および入力面706と出力面708との間に延在する吸収領域702と、を備える光制御フィルム700であって、透過領域704は、入力側の開口716の幅SINが出力側708の開口718の幅SOUTよりも小さくなるように、先細である、光制御フィルム700を側面斜視で示す概略図である。図7Aの光制御フィルム700と比較して、そのような配置は、以下でさらに説明するように、軸上方向で増加した輝度均一性を有利に提供することができる。
【0141】
さらに詳細に論じられていない図7Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0142】
ここで、図7Aおよび7Bの構造の光透過について説明する。
【0143】
図8は、様々な光制御フィルム700に対して、光透過領域704が繰り返される方向における横角による透過の変化を示す概略グラフである。
【0144】
照明下では、図7Aの構造は、横角に入射角を伴う三角形のプロファイルを提供すると予想される。すなわち、透過は、フィルム700の平面に垂直な方向199において最大である。非ゼロの横角では、光透過領域704の入力開口716を通過するいくつかの光線が吸収領域702に入射し、それによって輝度が低下する。理想的な非散乱配置では、そのようなプロファイルは実質的に三角形のプロファイルを提供する。実際には、いくらかの光は、光吸収領域704によって透過され得る。さらに、回折からの散乱を含む散乱は、光を広げて、修正された三角形のプロファイルを提供し、軸の近く、およびそうでなければすべての光が吸収される角度の近くで、プロファイルがいくらか丸みを帯びる。光制御フィルム700の透過が入力照明の5%に低下する角度を使用して、フィルムによって提供される極角460の角度範囲を記述することは便利である。これは、光吸収領域702における軸上光線の損失のために、正面透過と比較したフィルムの透過とは異なる。
【0145】
ここで、従来の空間光変調器の前面にルーバフィルムを追加することによってユーザが提供する、既知の切替え不可能なプライバシーディスプレイについて説明する。
【0146】
プロファイル456は、1つのタイプの切替え不可能なプライバシーディスプレイにおいて使用するための既知の従来技術の光制御フィルム用である。このようなプロファイルは、5%の透過率の角度である、66°の極角の範囲460を提供する。45°では、プライバシーで使用するためのある程度の画像セキュリティを提供するために、輝度が低下する。以下でさらに説明するように、切替え不可能なプライバシーディスプレイにおいて使用するためのそのようなフィルムは、パブリック動作において、軸外の視聴者に対して、望ましくないほど低い画像の視認性を提供する。さらに、そのようなフィルムは、約70%の正面透過を提供し、そのような損失は、輝度の望ましくない損失および/または消費電力の増加を提供する。
【0147】
プロファイル454は、軸外で受動的な輝度の減少および受動的な反射率の増加を提供する、別のタイプの切替え不可能なプライバシーディスプレイにおいて使用するための異なる既知の従来技術の光制御フィルム用である。そのようなプロファイルは、72°の極角の範囲460を提供する。45°では、輝度が低下し、反射率が増加して、プライバシー動作の画像セキュリティが向上する。しかしながら、そのようなフィルムは、パブリック動作において望ましくない軸外輝度および軸外反射率を提供する。
【0148】
プロファイル450、452は、本開示の実施形態にとって望ましいプロファイルである。このようなプロファイルは、軸外角度で高輝度を提供し、軸外の窃視者に対して望ましいセキュリティ係数を達成できないため、切替え不可能なプライバシーディスプレイで使用するのに望ましいプロファイルではない。
【0149】
プロファイル450は、SOUT=SINおよび図7Aに示されているように、側面が平行な光透過領域によって提供することができる。有利なことに、プロファイル450は、より高い正面透過率を有し、光制御フィルム700の複製に使用するためのツールは、例えば、マスクを通してコリメートされた光におけるフォトレジスト露光によって便利に製造され得る。
【0150】
プロファイル452は、SOUT>SINおよび図7Bに示されているように、側面が先細の光透過領域によって提供することができる。有利なことに、プロファイル452は、ユーザの視線方向に近い領域における均一性を高め、ディスプレイの均一性を高める。
【0151】
本開示の光制御フィルム700は、透過領域のアレイが少なくとも80°幅で繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を有し得、かつ透過領域のアレイが少なくとも90°幅で繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を有し得る。
【0152】
さらに、光制御フィルム700は、透過領域のアレイが最大130°幅で繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を有し得る。
【0153】
光制御フィルム700の吸収領域702は、厚さtを有し得、tは、以下の式によって得られる。
【数2】
式中、SINは、吸収領域の入力側706の開口716の幅であり、SOUTは、吸収領域702の出力側の開口718の幅であり、pは、透過領域のアレイが繰り返される方向における透過領域704のピッチであり、nは、透過領域の屈折率であり、ξは、0.643以上であり得るか、またはξは、0.707以上であり得る。さらに、ξは、0.906以下であってもよい。
【0154】
例示的な実施形態では、図7Aに示されるような光制御フィルム700は、45°で15%を超える透過率で、98°の極角の範囲460(その場合、ξ=0.755)を伴うプロファイル450を提供する。そのようなプロファイルは、正面から高い伝送効率を有利に達成する。
【0155】
さらなる例示的な実施形態では、図7Bに示されるような光制御フィルム700は、45°で20%を超える透過率で、106°の極角の範囲460(その場合、ξ=0.799)を伴うプロファイル452を提供する。そのようなプロファイルは、軸上の方向の近くで均一な透過の拡張された領域を有利に達成する。望ましくは、正面から見たディスプレイの均一性は、プロファイル450と比較して増加し得る。
【0156】
層700の厚さ706、およびルーバ702、704の幅は、光制御フィルムに垂直な方向における吸収の2%~30%であり、好ましくは、光制御フィルムに垂直な方向における吸収の4%~20%であり、最も好ましくは、光制御フィルム700に垂直な方向における吸収の6%~10%である、少なくとも1つの方位角配向で45度で吸収を提供するように選択される。
【0157】
ここで、プライバシーおよびパブリック動作モードにおける図1~6のディスプレイの動作について概要を説明する。
【0158】
図9Aは、プライバシー動作モードにおける図1のディスプレイデバイスの動作を上面視で示す概略図であり、図9Bは、パブリック動作モードにおける図1のディスプレイデバイスの動作を上面視で示す概略図である。さらに詳細に論じられていない図9Aおよび9Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0159】
光円錐480は、バックライト20(または発光型空間光変調器48)から出力され、円錐480よりも狭い透過光円錐482を伴う光制御フィルム700を通して向けられる。
【0160】
図9Aでは、極性制御遅延器300は、円錐サイズ484を伴って、軸外輝度を低減するように配置されている。正面観察者45は、高輝度および高画像視認性を伴うディスプレイ全体から光線445を見る。軸外窃視者47は、輝度が低下し、画像の安全性が向上したディスプレイ全体から光線447を見る。窃視者47に近いディスプレイのいくつかの領域は、望ましくないほどより高い輝度を有し得る。
【0161】
図9Bに示されるようなパブリック動作モードでは、円錐幅486は実質的に増加し、両方のユーザは、光制御フィルム700およびバックライト20の透過円錐482内で高い画像視認性を伴うディスプレイ全体から光を見ることができる。
【0162】
ここで、切替え可能なプライバシーディスプレイの例示的な実施形態について説明する。本例示的な実施形態では、500mmの平面においてユーザ45によって見られる視野600および14インチのランドスケープディスプレイから0度の横角がマークされ、ユーザ47によって見られる視野602は、ディスプレイから700mm、および横角が45度の平面が示されている。
【0163】
図10Aは、図1に示されるような交差輝度増強フィルムを備えるバックライト20の輝度の方向による変化を示す概略グラフである。図10Bは、透過領域704のアレイが繰り返される方向における100°である極角の範囲460で、5%以上の透過率を有する光制御フィルム700を備えるバックライトの輝度方向による変化を示す概略グラフである(その場合、ξ=0.766)。
【0164】
ここで、極性制御遅延器300の例示的な実施形態が得られる。
【0165】
図10Cは、配置の例示的な実施形態についての図1の極性制御遅延器の透過方向による変化を示す概略グラフであり、表1に示されている。図10Dは、配置の例示的な実施形態についての図1の極性制御遅延器の反射率の方向による変化を示す概略グラフであり、ディスプレイ100は、反射偏光子302をさらに備える。
【表1】
【0166】
図11は、空気中の単一表面のフレネル反射の方向による変化を示す概略グラフである。そのような反射は、パブリックモードとプライバシーモードの両方の動作モードのセキュリティ係数Sおよび画像の視認性Wの計算に含まれる。
【0167】
ここで、極性制御遅延器300のさらなる非限定的な代替案について説明する。
【0168】
1つの代替案では、切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料414の層413に隣接してその対向する側に配設され、各々が隣接する液晶材料において、垂直配向を提供するように配置された2つの表面配向層を備え得る。切替え可能な液晶遅延器301の液晶材料414の層413は、負の誘電異方性を伴う液晶材料を備え得る。液晶材料414の層413は、500nm~1000nmの範囲、好ましくは600nm~900nmの範囲、最も好ましくは700nm~850nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有し得る。
【0169】
垂直配向を提供する2つの表面配向層が提供される場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330は、その光軸が遅延器の平面に垂直である遅延器を備え得、少なくとも1つの受動遅延器は、-300nm~-900nmの範囲、好ましくは-450nm~-800nmの範囲、最も好ましくは-500nm~-725nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。
【0170】
あるいは、垂直配向を提供する2つの表面配向層が提供される場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330A、330Bは、交差する遅延器の平面内に光軸を有する一対の遅延器を備え得、一対の遅延器の各遅延器は、300nm~800nmの範囲、好ましくは500nm~700nmの範囲、最も好ましくは550nm~675nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。有利なことに、この場合、広角動作モードにおける視野の拡大が提供され得る。さらに、広角動作モードにおけるゼロ電圧動作が提供され得、消費電力を低減する。
【0171】
別の代替案では、切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料414の層413に隣接してその対向する側に配設され、各々が隣接する液晶材料において、均一配向を提供するように配置された2つの表面配向層を備え得る。液晶の対向する側での垂直配向と比較して、有利なことに、圧力印加の間の液晶材料の流れの視認性に対する復元性の増加が達成され得る。
【0172】
切替え可能な液晶遅延器301の液晶材料414の層413は、正の誘電異方性を伴う液晶材料を備え得る。液晶材料414の層413は、500nm~900nmの範囲、好ましくは600nm~850nmの範囲、最も好ましくは700nm~800nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有し得る。
【0173】
均一配向を提供する2つの表面配向層が提供される場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330は、その光軸が遅延器の平面に垂直である遅延器を備え得、少なくとも1つの受動遅延器は、-300nm~-700nmの範囲、好ましくは-350nm~-600nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-500nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。
【0174】
あるいは、均一配向を提供する2つの表面配向層が提供される場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330A、330Bは、交差する遅延器の平面内に光軸を有する一対の遅延器を備え得、一対の遅延器の各遅延器は、300nm~800nmの範囲、好ましくは350nm~650nmの範囲、最も好ましくは450nm~550nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。有利なことに、この場合、圧力印加の間の液晶材料の流れの視認性に対する復元力の増加が達成され得る。
【0175】
別の代替案では、切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料414の層413に隣接してその対向する側に配設された2つの表面配向層を備え得、表面配向層の1つは、隣接する液晶材料において、垂直配向を提供するように配置され、表面配向層の他方は、隣接する液晶材料において、均一配向を提供するように配置されている。
【0176】
均一配向を提供するように配置された表面配向層が、液晶材料414の層413と補償遅延器330との間にある場合、液晶材料414の層413は、700nm~2000nmの範囲、好ましくは1000nm~1500nmの範囲、最も好ましくは1200nm~1500nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有し得る。
【0177】
均一配向を提供するように配置された表面配向層が、液晶材料414の層413と補償遅延器330との間にある場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330は、その光軸が遅延器の平面に垂直である遅延器を備え得、少なくとも1つの受動遅延器は、-400nm~-1800nmの範囲、好ましくは-700nm~-1500nmの範囲、最も好ましくは-900nm~-1300nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。
【0178】
均一配向を提供するように配置された表面配向層が、液晶材料414の層413と補償遅延器330A、330Bとの間にある場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330A、330Bは、交差する遅延器の平面内に光軸を有する一対の遅延器を備え得、一対の遅延器の各遅延器は、400nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1300nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。
【0179】
垂直配向を提供するように配置された表面配向層が、液晶材料414の層413と補償遅延器330との間にある場合、液晶材料414の層413は、500nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1350nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有し得る。
【0180】
垂直配向を提供するように配置された表面配向層が液晶材料414の層413と補償遅延器330との間にある場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330は、その光軸が遅延器の平面に垂直である遅延器を備え得、少なくとも1つの受動遅延器は、-300nm~-1600nmの範囲、好ましくは-500nm~-1300nmの範囲、最も好ましくは-700nm~-1150nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。
【0181】
垂直配向を提供するように配置された表面配向層が液晶材料414の層413と補償遅延器330A、330Bとの間にある場合、少なくとも1つの受動補償遅延器330A、330Bは、交差する遅延器の平面内に光軸を有する一対の遅延器を備え得、一対の遅延器の各遅延器は、400nm~1600nmの範囲、好ましくは600nm~1400nmの範囲、最も好ましくは800nm~1300nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。有利なことに、この場合、圧力印加の間の液晶材料の流れの視認性に対する復元力の増加が達成され得る。
【0182】
各配向層は、表示偏光子の電気ベクトル透過方向に平行または反平行または直交する液晶層の平面内の成分を伴うプレチルト方向を有するプレチルトを有し得る。有利なことに、ディスプレイは、横方向の狭い視野角と、水平軸を中心としたディスプレイの回転のための広い視野の自由度と、を備え得る。そのようなディスプレイは、正面のディスプレイのユーザにとっては見やすく、軸外のディスプレイのユーザにとっては見づらい場合がある。
【0183】
少なくとも1つの受動遅延器は、交差する遅延器の平面内に光軸を有し得る、光軸の少なくとも2つの異なる向きを伴う少なくとも2つの受動遅延器を備え得る。均一配向を伴う液晶遅延器の視野が広がり、圧力印加の間の液晶材料の流れの視認性に復元力がもたらされる。
【0184】
一対の受動遅延器は、表示偏光子の電気ベクトル透過に平行な電気ベクトル透過方向に対して、それぞれ45°および135°で延在する光軸を有し得る。受動遅延器は、低コストおよび高均一性を有利に達成するために、延伸フィルムを使用して提供することができる。
【0185】
切替え可能な液晶遅延器301は、一対の受動遅延器の間に提供することができる。有利なことに、複数の遅延器の厚さおよび複雑さを低減することができる。
【0186】
透明電極および液晶配向層は、切替え可能な液晶遅延器301に隣接する一対の受動遅延器の各々の片側に形成することができ、切替え可能な液晶遅延器301がその間に提供される第1および第2の基板をさらに備え得、第1および第2の基板は各々、一対の受動遅延器のうちの1つを備え、一対の受動遅延器の各々は、150nm~800nmの範囲、好ましくは200nm~700nmの範囲、最も好ましくは250nm~600nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延を有する。
【0187】
1つの代替案では、少なくとも1つの受動補償遅延器330は、遅延器の平面に垂直な光軸を有する遅延器を備え得る。有利なことに、受動遅延器スタックの厚さおよび複雑さを低減することができる。
【0188】
少なくとも1つの受動補償遅延器330A、330Bは、受動遅延器の平面に垂直な光軸を有する2つの受動遅延器を備え得、切替え可能な液晶遅延器301は、2つの受動遅延器の間に提供される。有利なことに、複数の遅延器の厚さおよび複雑さを低減することができる。広幅モードおよびプライバシーモードの両方において高い正面効率が達成され得、広角モードの広い視野、および窃視者は、広範囲の軸外の観察位置から画像データを知覚することができない可能性がある。
【0189】
切替え可能な液晶遅延器301に隣接する2つの受動遅延器の各々の片側に、透明電極および液晶配向層を形成することができる。切替え可能な液晶遅延器301が提供され得る第1および第2の基板であり、第1および第2の基板は各々、2つの受動遅延器のうちの1つを備える。2つの受動遅延器は、-300nm~-700nmの範囲、好ましくは-350nm~-600nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-500nmの範囲における550nmの波長の光に対する総遅延を有し得る。
【0190】
別の代替案では、少なくとも1つの受動補償遅延器330は、遅延器の平面に垂直な成分と遅延器の平面内の成分とを伴う光軸を有する遅延器を備え得る。有利なことに、広角モードにおける視野が拡大され、窃視者は、広範囲の軸外の観察位置から画像データを知覚することができない可能性がある。
【0191】
受動遅延器の平面内の成分は、表示偏光子の電気ベクトル透過に平行または垂直な電気ベクトル透過方向に対して、0°で延在し得る。少なくとも1つの受動遅延器は、受動遅延器の平面に垂直な光軸を有する受動遅延器、または交差する受動遅延器の平面内に光軸を有する一対の受動遅延器をさらに備え得る。
【0192】
少なくとも1つの受動補償遅延器330の遅延は、切替え可能な液晶遅延器301の遅延と等しく、かつ対極であり得る。
【0193】
切替え可能な液晶遅延器301は、第1および第2のプレチルトを備え得、少なくとも1つの受動補償遅延器330は、第1および第2のプレチルトを伴う補償遅延器330を備え得、補償遅延器330の第1のプレチルトは、液晶遅延器の第1のプレチルトと同じであり、補償遅延器330の第2のプレチルトは、液晶遅延器の第2のプレチルトと同じである。
【0194】
切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料414の層413を制御するための電圧を印加するように配置された電極をさらに備え得る。電極は、液晶材料414の層413の対向する側にあり得る。ディスプレイは、液晶層の制御によって切り替えることができ、切替え可能なプライバシーディスプレイ、または軸外迷光が低減された他のディスプレイを有利に達成する。ディスプレイは、少なくとも1つの切替え可能な液晶遅延器301の電極間に印加される電圧を制御するように構成された制御システムをさらに備え得る。
【0195】
ここで、図10A~10Dの構成要素を備えるディスプレイ100の出力について説明する。
【0196】
図12は、図1に示すタイプのディスプレイの横角による輝度の変化、図10Aのバックライトプロファイル、ならびに図10Bおよび図10Cの透過プロファイルを示す概略グラフである。プロファイル430は、図10Aのバックライト輝度の横方向の変化である。プロファイル432は、図10Bの光制御フィルム700の透過率の横方向の変化である。プロファイル434は、プライバシー動作モードにおける図10Cの極性制御遅延器の変化である。プロファイル436は、プライバシー動作モードにおけるディスプレイ100の出力輝度の結果として得られるプロファイルである。
【0197】
図13は、図10Aのバックライトプロファイルと、図10Bおよび図10Cの透過プロファイルと、図10Dの反射プロファイルと、を備え、ディスプレイ正面の輝度の場合、ルクスで測定された値Iの照度の半分であるニットで測定される値Ymaxである、図1に示されるタイプのディスプレイのプライバシーモードにおけるセキュリティ係数Sの方向による変化を示す概略グラフである。正面観察者45は、ディスプレイ全体にわたって高い画像視認性(S<0.1)を提供する視野600を有する。有利なことに、明るく、かつ読取りやすい画像が見られる。軸外ユーザ47は、有利にはすべての画像データがプライベートである(S<1.0)視野610を有し、ディスプレイの一部は、すべての画像データについて不視認性である(S≧1.8)。
【0198】
図14は、図1に示すタイプのディスプレイの横角による輝度の変化、図10Aのバックライトプロファイル、ならびに図10Bおよび図10Cの透過プロファイルを示す概略グラフである。プロファイル430は、図10Aのバックライト輝度の横方向の変化である。プロファイル432は、図10Bの光制御フィルム700の透過率の横方向の変化である。プロファイル434は、パブリック動作モードにおける極性制御遅延器の変化である。プロファイル436は、パブリック動作モードにおけるディスプレイ100の出力輝度の結果として得られるプロファイルである。ディスプレイ100は、輝度が正面輝度の5%以上である90°の角度幅438を達成する。
【0199】
図15は、図10Aのバックライトプロファイルと、図10Bの透過プロファイルと、図11の反射プロファイルと、を備え、ディスプレイ正面の輝度の場合、ルクスで測定された値Iの照度の半分であるニットで測定される値Ymaxである、図1に示されるタイプのディスプレイのプライバシーモードにおけるセキュリティ係数Sの方向による変化を示す概略グラフである。正面観察者45は、ディスプレイ全体にわたって高い画像視認性(S<0.1)を提供する視野600を有する。有利なことに、明るく、かつ読取りやすい画像が見られる。軸外ユーザ47は、有利には画像データが不視認性である(S<1.0)視野610を有する。有利なことに、データは複数のユーザによって共有される。
【0200】
ここで、従来技術の切替え不可能なプライバシーディスプレイの動作について説明する。
【0201】
図16は、例示的な従来技術の切替え不可能なプライバシーディスプレイの横角による輝度および透過率の変化を示す概略グラフである。当該従来技術のディスプレイは、図10Aと同じ輝度プロファイルと、横方向の輝度プロファイル430と、を伴うバックライトによって提供され得る。当該ディスプレイの出力に、透過領域のアレイが70°幅で繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を伴う従来技術の光制御フィルムが、ユーザによって取り付けられる。当該先行技術のディスプレイの出力輝度プロファイルは、プロファイル437によって示されている。
【0202】
図17は、図10Aのバックライトプロファイルと、透過率が正面透過率の5%である70°の横幅を備える光制御フィルムの透過プロファイルと、図11のディスプレイ正面の輝度の場合の前面反射プロファイルと、を備え、ルクスで測定された値Iの照度の半分であるニットで測定される値Ymaxである、従来の切替え不可能なプライバシーディスプレイのセキュリティ係数Sの方向による変化を示す概略グラフである。
【0203】
そのようなディスプレイは、ディスプレイの特性が固定されるように、単一の動作モードを有する。軸外の窃視者の視野610を考慮すると、軸外の情報を隠すことが望ましい場合、そのようなディスプレイは、プライバシーレベルS>1.0を達成するが、一部のタイプの画像データは、S<1.5としてディスプレイ全体で視認性である。有利なことに、比較のために、図13の本実施形態は、軸外の窃視者に対する画像セキュリティおよび画像不視認性の向上を達成する。
【0204】
軸外のユーザの視野610を考慮すると、軸外の情報をディスプレイすることが望ましい場合、しかしながら、いくつかのタイプの画像データコンテンツは、S>1.0としてディスプレイ全体で不視認性である。有利なことに、比較のために、図15の本実施形態は、軸外のユーザに対する画像視認性の向上を達成する。
【0205】
換言すれば、透過領域のアレイが80°幅(ξ>0.643)繰り返される方向における極角の範囲で5%以上の透過率を伴う本実施形態の光制御フィルム700は、従来のディスプレイと比較して、パブリックモードにおける画像視認性の向上、およびプライバシーモードにおける画像セキュリティの向上を達成することができる。
【0206】
プライバシーディスプレイの輝度およびセキュリティレベルの均一性を高めることが望ましいであろう。
【0207】
図18は、本実施形態のディスプレイデバイス100用の光制御フィルム700を側面斜視で示す概略図である。図19は、プライバシー動作モードにおける図18の光制御フィルムを備える図1のディスプレイデバイスの動作を上面視で示す概略図である。
【0208】
光制御フィルム700は、入力面706と出力面708との間に延在する透過領域704のアレイと、透過領域間の吸収領域702と、を備える。吸収領域704は、入力面706と出力面708との間に延在し、透過領域704は先細になっている。透過領域702が傾斜しており、その結果、透過領域704の入力側および出力側の開口716、718の中心705、707間の各透過領域704に関して画定された軸709が、空間光変調器48の中心から前方に延在する光軸440に向かって内向きに向けられる。
【0209】
換言すれば、光制御フィルム700は、空間光変調器448の中心から前方に延在する光軸440に向かって内側に向けられた中心線709を有する透過領域のアレイが繰り返される方向における極角を伴うプロファイルを有する透過率を有する。そのプロファイルの当該中心線709は、共通点442に向けられている。
【0210】
透過領域704は傾斜しており、その結果、透過領域704の入力側および出力側706、708の開口716、718の中心705、707間の各透過領域704に関して画定された軸709が、空間光変調器48の中心から前方に延在する光軸709に向かって内向きに向けられ、当該軸は、共通点442に向けられている。
【0211】
よって、図9Aの配置と比較して、光円錐482は、透過領域704が繰り返される方向において、ディスプレイ全体の画像点のために正面ユーザに向かって傾斜している。光円錐482の中心はユーザ45に向けられており、よって、例えば図14のプロファイル432の透過によるプロファイルにおけるロールオフがあまり視認されないか、またはまったく視認されないので、見られる画像の均一性が増加する。有利なことに、ディスプレイの均一性が向上する。さらに、軸外の窃視者は、図13の視野610で示されているものと比較して、ディスプレイ全体の点の低光レベルにおける均一性の向上を見るので、セキュリティ係数Sの均一性が向上する。有利なことに、画像のセキュリティが向上する。
【0212】
さらに、点442に向かうそのような光の瞳孔形成は、先細の光透過領域によって達成され、照明の均一性の向上を達成する。そのような先細は、突出する表面なしで瞳孔形成され得、光透過領域704の複製に適し得るツールを提供する。
【0213】
さらに詳細に論じられていない図18および図19の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0214】
ここで、輝度均一性およびセキュリティ係数均一性を改善するために湾曲した光制御フィルム700を備える実施形態について説明する。
【0215】
図20は、湾曲した透過型空間光変調器48と、湾曲したバックライト20と、湾曲した複数の遅延器300と、湾曲した光制御フィルム700と、を備えるディスプレイ装置を上面視で示す概略図であり、図21は、湾曲した発光型空間光変調器48と、湾曲した遅延器と、湾曲した光制御フィルム700と、を備えるディスプレイ装置を上面視で示す概略図である。
【0216】
ディスプレイ100全体の画像点からの光は、それぞれの要素の曲率によって共通点442に向けられる。共通点442は、図20に示されるように、観察者45に対して公称視距離にあり得るか、または代替として、異なる距離にあり得る。好ましくは、距離は、図21に示されるように、公称視距離と同じかそれよりも長い。
【0217】
図9Aの配置と比較して、光円錐480、482、484は、ディスプレイ全体で、正面ユーザ45に向かって傾斜している。例えば、図14の輝度プロファイル430、432、434(および反射偏光子302が提供される場合の対応する前面反射率プロファイル)の変化は、ディスプレイ全体であまり視認されないか、またはまったく視認されない。有利なことに、ディスプレイの均一性が向上する。さらに、軸外の窃視者は、ディスプレイデバイス100全体の点の低光レベルにおける輝度の均一性の増加(および反射偏光子302が提供される場合の反射率の均一性)を見るので、図13の視野610によって示されたものと比較して、セキュリティ係数Sの均一性が向上する。有利なことに、画像のセキュリティが向上する。
【0218】
さらに詳細に論じられていない図20および21の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0219】
ここで、図1の切替え可能な極性制御遅延器の動作原理について説明する。
【0220】
図22Aは、プライバシー動作モードにおける図1の光学スタックを通る空間光変調器からの出力光の伝搬を側面視で示す概略図である。
【0221】
液晶材料414の層314がプライバシーモードで動作するように駆動される場合、遅延器300は、切替え可能な遅延器の平面に垂直な軸に沿って通過する出力光線400への偏光成分360の全体的な変換を提供しないが、遅延器の平面に垂直に鋭角であるいくつかの極角のために通過する光線402への偏光成分361の全体的な変換を提供する。
【0222】
出力偏光子218からの偏光成分360は、反射偏光子302によって透過され、遅延器300に入射する。軸上の光は、成分360から変更されていない偏光成分362を有し、一方、軸外の光は、遅延器300によって変換される偏光成分364を有する。少なくとも、偏光成分361は直線偏光成分364に変換され、追加の偏光子318によって吸収される。より一般的には、偏光成分361は、追加の偏光子318によって部分的に吸収される楕円偏光成分に変換される。
【0223】
図10Aに示される光透過の極分布は、基礎となる空間光変調器48の輝度出力の極分布を変更する。空間光変調器48が指向性バックライト20を備える場合、軸外の輝度は、上記のようにさらに低減され得る。
【0224】
さらに詳細に論じられていない図22Aの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0225】
有利なことに、軸上の観察者に対して高輝度を維持しながら、軸外の窃視者に対して低輝度を有するプライバシーディスプレイが提供される。
【0226】
ここで、プライバシーモードで動作するディスプレイについて、周囲光源604からの光に対する反射偏光子302の動作について説明する。
【0227】
図22Bは、プライバシー動作モードにおける図1の光学スタックを通る周囲照明光の伝搬を上面視で示す概略図である。
【0228】
周囲光源604は、偏光されていない光でディスプレイデバイス100を照らす。追加の偏光子318は、追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向319に平行な直線偏光成分である第1の偏光成分372を伴って、ディスプレイデバイス100に垂直な光線410を透過する。
【0229】
両方の動作状態において、偏光成分372は、遅延器300によって変更されないままであり、その結果、透過偏光成分382は、反射偏光子302および出力偏光子218の透過軸に平行であり、その結果、周囲光は空間光変調器48を通して向けられ、失われる。
【0230】
比較すると、光線412の場合、軸外光は、反射偏光子302に入射する偏光成分374が反射され得るように、遅延器300を通して向けられる。このような偏光成分は、遅延器300を通過した後、成分376に再変換され、追加の偏光子318を透過する。
【0231】
よって、液晶材料の層314が当該2つの状態の第2の状態にあるとき、反射偏光子302は、遅延子300の平面に垂直な軸に沿って、追加の偏光子318を通過し、次いで遅延器300を通過する周囲光線410に対して反射光を提供しないが、遅延器300の平面に垂直に鋭角であるいくつかの極角度で、追加の偏光子318を通過し、次いで遅延器300を通過する周囲光のための反射光線412を提供し、ここで、反射光412は、遅延器300を通過して戻り、次いで、追加の偏光子318によって透過される。
【0232】
よって、遅延器300は、切替え可能な遅延器の平面に垂直な軸に沿って、追加の偏光子318を通過し、次いで、遅延器300を通過する周囲光線410への偏光成分380の全体的な変換を提供しないが、遅延器300の平面に垂直に鋭角であるいくつかの極角度で、吸収性偏光子318を通過し、次いで、遅延器300を通過する周囲光線412への偏光成分372の全体的な変換を提供する。
【0233】
よって、図10Dに示される光反射の極分布は、遅延器300のプライバシー状態によって、典型的な窃視者位置で高い反射率を提供できることを示している。よって、プライバシー動作モードでは、図10Dに示すように、軸外のディスプレイ位置の反射率が増加し、図10Aに示すように、空間光変調器からの軸外光の輝度が減少する。
【0234】
パブリック動作モードでは、制御システム710、752、350は、切替え可能な液晶遅延器301を、切替え可能な液晶遅延器301の平面の法線に傾斜した軸に沿って通過する光の偏光成分に位相シフトが導入される第2の遅延器状態に切り替えるように配置されている。
【0235】
比較として、立体角範囲402Dは、パブリック動作モードにおける立体角範囲402Bと実質的に同じであり得る。出力立体角範囲402C、402Dのそのような制御は、光源のセット15、17および少なくとも1つの切替え可能な液晶遅延器300の同期制御によって達成され得る。
【0236】
有利なことに、プライバシーモードは、軸外ディスプレイのための低い画像視認性で達成され得、大きな立体角範囲は、複数のユーザ間でディスプレイ画像を共有し、かつ画像空間均一性を高めるために、パブリック動作モードのために高効率で提供され得る。
【0237】
追加の偏光子318は、吸収性ダイクロイック偏光子であり得るディスプレイ出力偏光子218と同じ空間光変調器48の出力側に配置される。表示偏光子218および追加の偏光子318は、平行である電気ベクトル透過方向219、319を有する。以下で説明するように、そのような平行配向は、中央の観察位置に高い透過率を提供する。
【0238】
バックライトからの出力光を受信するように配置された透過型空間光変調器48、バックライト20と空間光変調器48との間の空間光変調器の入力側に配置された入力偏光子210、空間光変調器48の出力側に配置された出力偏光子218、出力偏光子218の出力側に配置された追加の偏光子318、少なくとも1つの追加の偏光子318と出力偏光子318との間に配置された液晶材料の層314を備える切替え可能な液晶遅延器300であって、この場合、追加の偏光子318は、出力偏光子218の出力側に配置される、液晶遅延器300、ならびに光源15、17および少なくとも1つの切替え可能な液晶遅延器300を同期的に制御するように構成された制御システム710。
【0239】
制御システム710は、切替え可能な液晶遅延器301の制御を達成するために、電圧ドライバ350の制御を提供するように配置された電圧コントローラ752の制御をさらに備える。
【0240】
さらに詳細に論じられていない図22Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0241】
有利なことに、軸外の観察者に対して低い反射率を維持しながら、軸外の窃視者に対して高い反射率を有するプライバシーディスプレイが提供される。上記のように、そのような増加した反射率は、周囲が照らされた環境でのディスプレイの強化されたプライバシー性能を提供する。
【0242】
ここで、パブリック動作モードについて説明する。
【0243】
図23Aは、パブリック動作モードにおける、図1の光学スタックを通る空間光変調器からの出力光の伝搬を側面視で示す概略図であり、図23Bは、図23Aの透過光線の極性方向による出力輝度の変化を示す概略グラフである。
【0244】
さらに詳細に論じられていない図23Aおよび23Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0245】
液晶遅延器301が当該2つの状態のうちの第1の状態にあるとき、遅延器300は、切替え可能な遅延器301の平面に垂直に、または切替え可能な遅延器301の平面に垂直に鋭角で通過する出力光への偏光成分360、361の全体的な変換を提供しない。すなわち、偏光成分362は、偏光成分360と実質的に同じであり、偏光成分364は、偏光成分361と実質的に同じである。よって、図23Bの角度透過プロファイルは、広い極域にわたって実質的に均一に透過している。有利なことに、ディスプレイを広い視野に切り替えることができる。
【0246】
図23Cは、パブリック動作モードにおける図1の光学スタックを通る周囲照明光の伝搬を上面視で示す概略図であり、図23Dは、図23Cの反射光線の極性方向による反射率の変化を示す概略グラフである。
【0247】
よって、液晶遅延器301が当該2つの状態のうちの第1の状態にあるとき、遅延器300は、遅延器300の平面に垂直である、または遅延器300の平面に垂直に鋭角にある、追加の偏光子318を通過し、次いで遅延器300を通過する周囲光線412への偏光成分372の全体的な変換を提供しない。
【0248】
パブリック動作モードでは、入力光線412は、追加の偏光子318を透過した後、偏光状態372を有する。正面方向と軸外方向の両方で、偏光変換は発生せず、よって、反射偏光子302からの光線402の反射率は低い。光線412は、反射偏光子302によって透過され、表示偏光子218、210または図1のバックライトにおいて失われる。
【0249】
さらに詳細に論じられていない図23Cおよび23Dの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上記で論じた同等の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0250】
有利なことに、パブリック動作モードでは、広い視野全体で高輝度および低反射率が提供される。このようなディスプレイは、複数の観察者が高コントラストで便利に見ることができる。
【0251】
ここで、他のタイプの切替え可能なプライバシーディスプレイについて説明する。
【0252】
プライバシー動作モードとパブリック動作モードとの間で切り替えることができるディスプレイデバイス100は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,519,153号に記載されているように、画像化導波路と光源のアレイとを備える。画像化導波路は、プライバシーモードにおいて高輝度の軸上と低輝度の軸外を提供するように制御され得る光学窓に光源のアレイを画像化し、パブリック動作のために大きな立体角の円錐を伴って高輝度を提供する。
【0253】
本明細書で使用され得るように、「実質的に」および「ほぼ」という用語は、対応する用語および/またはアイテム間の相対性に対して業界で認められた公差を提供する。このような業界で認められた公差は、0パーセント~10パーセントの範囲であり、構成要素の値、角度などに対応するが、これらに限定されない。アイテム間のそのような相対性は、約0パーセント~10パーセントの範囲である。
【0254】
本明細書に開示された原理による様々な実施形態が上記で説明されたが、それらは単なる例として提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。よって、本開示の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、本開示から発行される請求項およびそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。さらに、上記の利点および特徴は、記載された実施形態において提供されるが、上記の利点のいずれかまたはすべてを達成するプロセスおよび構造へのそのような発行された請求項の適用は制限されるべきではない。
【0255】
加えて、本書のセクションの見出しは、37 CFR 1.77に基づく提案との一貫性を保つため、または組織的な手がかりを提供するために提供されている。これらの見出しは、本開示から発行され得る請求項に記載されている実施形態を制限または特徴付けるべきではない。具体的には、例として、見出しは「技術分野」に言及しているが、請求項は、いわゆる分野を説明するために、この見出しの下で、選択された言語によって制限されるべきではない。さらに、「背景」における技術の説明は、特定の技術が本開示における任意の実施形態の先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。また、「要約」は、発行された請求項において記載された実施形態の特徴と見なされるべきではない。さらに、本開示における単数形の「発明」への言及は、本開示における新規性の単一の点のみがあると主張するために使用されるべきではない。本開示から発行される複数の請求項の制限に従って複数の実施形態を説明することができ、よって、そのような請求項は、それによって保護される実施形態およびそれらの同等物を定義する。すべての場合において、そのような請求項の範囲は、この開示に照らしてそれ自体のメリットで考慮されるべきであるが、本書に記載された見出しによって制約されるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図23D
【国際調査報告】