(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】抗体‐ポリマー複合体
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220930BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220930BHJP
A61K 47/58 20170101ALI20220930BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220930BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220930BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220930BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220930BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20220930BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K45/00
A61K47/58
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K47/65
A61P43/00 121
A61K45/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506343
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 TR2020050674
(87)【国際公開番号】W WO2021021062
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522039474
【氏名又は名称】ボアズィチ ウニヴェルシテシ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サニヤル、ラナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA22
4C076AA24
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB31
4C076CC07
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC29
4C076EE10
4C076EE12
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C084AA17
4C084AA20
4C084AA27
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA13
4C084MA21
4C084MA23
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA59
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA10
4C084ZA042
4C084ZB072
4C084ZB212
4C084ZB262
4C084ZB312
4C084ZB332
4C084ZB352
4C084ZC202
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA21
4C085AA22
4C085AA25
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG08
(57)【要約】
本発明は、高い薬物運搬能力を有し、かつ、その上に存在する抗体により活性標的化を実現できる抗体‐ポリマー複合体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノクローナル抗体に開裂可能又は非開裂可能な結合で結合されたポリマー‐薬物複合体を含む抗体‐ポリマー複合体であって、治療剤を担持するポリマーが(メタ)アクリレート骨格を含み、その側鎖にポリ(エチレングリコール)を有し、治療剤が開裂可能な結合によってポリマー骨格に接続されている、上記抗体‐ポリマー複合体。
【請求項2】
前記複合体が式1で示される構造を有する、請求項1に記載の抗体‐ポリマー複合体:
【化1】
ここで
R
1、R
2、R
3は、互いに独立に、‐H又は‐CH
3から選択され、
xは1~140の自然数であり、
yは、1~40の自然数であり、
zは、1~15の自然数であり、
L
1は開裂可能なリンカーであり、
L
2はリンカーであり、
Dは治療剤であり、
Aはモノクローナル抗体である。
【請求項3】
ランダムコポリマー又はブロックコポリマーである、請求項2に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項4】
治療剤が、抗腫瘍剤、免疫系調節剤、悪性細胞に対して抗血管新生作用を示す薬剤、悪性細胞の細胞増殖を阻害する薬剤、又は免疫細胞の増殖を増加させる薬剤を含む群から選択される、請求項1~3に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項5】
抗腫瘍剤が、ヌクレオシド類似体、抗葉酸剤、他の代謝物、トポイソメラーゼI阻害剤、アントラサイクリン、ポドフィロトキシン、タキサン、ビンカアルカロイド、アルキル化物質、白金化合物、抗ホルモン、放射性医薬品、チロシンキナーゼ阻害剤、ラパマイシンタンパク質複合体哺乳類標的(mTOR)阻害剤、レチノイド、免疫系調節物質、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及び他の物質を含む群から選択される、請求項4に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項6】
治療剤が、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロシン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐フルオロウラシル(5‐FU)、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムトランシン及びラパチニブを含む群から選択される、請求項5に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項7】
治療剤が、抗体‐ポリマー複合体上に提供されるポリマー重量の1%~40%の量、好ましくは2%~35%の量、特に好ましくは3%~30%の量である、請求項1~6に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項8】
モノクローナル抗体が、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブレゼキマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アチドルトクスマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ・ペゴル、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ・ペンテテート、アマツキシマブ、アナツモマブ・マフェナトクス、アンデカリキシマブ、アネツマブ・ラブタンシン、アニフロルマブ、アンルキンズマブ(IMA‐638)、アポリズマブ、アプルツマブ・イクサドチン、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ・ベドチン、バピネウズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、bCD‐100、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベランタマブ・マホドチン、ベリムマブ、ベマリツズマブ、ベンラリズマブ、ベルリマトクスマブ、ベルメキマブ、ベルサンリマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビルタミマブ、ビバツズマブ・メルタンシン、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カミダンルマブ・テシリン、カムレリズマブ、カナキヌマブ、カンツズマブ・メルタンシン、カンツズマブ・ラブタンシン、カプラシズマブ、カプロマブ・ペンデチド、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマキソマブ、CBR96‐ドキソルビシン免疫複合体、セデリズマブ、セミプリマブ、セルグツズマブ・アムナロイキン、セルトリズマブ・ペゴル、セトレリマブ、セツキシマブ、シビサタマブ、シルムツズマブ、シタツズマブ・ボガトクス、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブ・テトラキセタン、コドリツズマブ、コフェツズマブ・ペリドチン、コルツキシマブ・ラブタンシン、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、CR6261、クサツズマブ、ダケツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ・ペゴル、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デニンツズマブ・マホドチン、デノスマブ、デパツキシズマブ・マホドチン、デルロツキシマブ・ビオチン、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ・アリトクス、ドスタルリマブ、ドロジツマブ、DS‐8201、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザヌマブ、エルゲムツマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナポタマブ・ベドチン、エナバツズマブ、エンホルツマブ・ベドチン、エンリモマブ・ペゴル、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ・シツキセタン、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エチギリマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファリシマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、FBTA05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィバツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フロボシマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガンコタマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲジブマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギムシルマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ・ベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、グセルクマブ、イアナルマブ、イバリズマブ、IBI308、イブリツモマブ・チウキセタン、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イラダツズマブ・ベドチン、IMAB362、イマルマブ、イマプレリマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブ・ラブタンシン、インデュサツマブ・ベドチン、イネビリズマブ、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブ・オゾガマイシン、イピリムマブ、イオマブ‐B、イラツムマブ、イサツキシマブ、イスカリマブ、イスチラツマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、ラクノツズマブ、ラジラツズマブ・ベドチン、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラプリツキシマブ・エムタンシン、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンダリズマブ、レンベルビマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レロンリマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リファスツズマブ・ベドチン、リゲリズマブ、ロンカスツキシマブ・テシリン、ロサツキシズマブ・ベドチン、リロトマブ・サテトラキセタン、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロルボツズマブ・メルタンシン、ルカツムマブ、ルリズマブ・ペゴル、ルミリキシマブ、ルムレツズマブ、ルパルツマブ・アマドチン、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マルスタシマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミリキズマブ、ミルベツキシマブ・ソラブタンシン、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリムマブ、モスネツズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ・パスドトクス、ムロモナブ‐CD3、ナコロマブ・タフェナトクス、ナミルマブ、ナプツモマブ・エスタフェナトクス、ナラツキシマブ・エムタンシン、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ナキシタマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、NEOD001、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ネタキマブ、ニモツズマブ、ニルセビマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブ・メルペンタン、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オンブルタマブ、OMS721、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オンバチリマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ・モナトクス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オチリマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パンコマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、PDR001、ペムブロリズマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピジリズマブ、ピナツズマブ・ベドチン、ピンツモマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポガリズマブ、ポラツズマブ・ベドチン、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プラシネズマブ、プレザリズマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、PRO 140、キリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レラトリマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リヌクマブ、リサンキズマブ、リツキシマブ、リババズマブ・ペゴル、ロバツムマブ、Rmab、ロレデュマブ、ロミルキマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロバルピツズマブ・テシリン、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、SA237、サシツズマブ・ゴビテカン、サマリズマブ、サムロタマブ・ベドチン、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ・ペンデチド、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セトルスマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、SGN‐CD19A、SHP647、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルトラツマブ・ベドチン、シルクマブ、ソフィツズマブ・ベドチン、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ、スブラトクスマブ、タバルマブ、タカツズマブ・テトラキセタン、タドシズマブ、タラコツズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ・パプトクス、タレクスツマブ、タボリマブ、テフィバズマブ、テリモマブ・アリトクス、テリソツズマブ・ベドチン、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テポジタマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テツロマブ、テゼペルマブ、TGN1412、チブリズマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、チラゴツマブ、チスレリズマブ、チソツマブ・ベドチン、TNX‐650、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、TRBS07、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ・セルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ・タリリン、バナリマブ、バンドルツズマブ・ベドチン、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビジリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボプラテリマブ、ボルセツズマブ・マホドチン、ボツムマブ、ブナキズマブ、キセンツズマブ、XMAB‐5574、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ゼノクツズマブ、ジラリムマブ、ゾルベツキシマブ(=IMAB362、クラウジキシマブ)、ゾリモマブ・アリトクスを含む群から選択される、請求項1~7に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項9】
モノクローナル抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブを含む群から選択される、請求項8に記載の複合体。
【請求項10】
モノクローナル抗体としてトラスツズマブが使用される、請求項9に記載の複合体。
【請求項11】
リンカー(L
2)が、リンカー(L
1)又は非開裂可能なリンカーである、請求項1~10に記載の複合体。
【請求項12】
非開裂可能なリンカーがC
1‐C
10炭化水素鎖を含む、請求項11に記載の複合体。
【請求項13】
C
1‐C
10炭化水素鎖に備わる1つ又は複数の炭素が、独立して、‐O、‐NH、‐N、‐S、‐C(O)又はそれらの組み合わせで置換されている、請求項12に記載の複合体。
【請求項14】
C
1‐C
10炭化水素鎖が、‐COOH、‐OH、‐NH
2及び‐SHのような1つ又は複数の置換基を含むことができる、請求項12及び13に記載の複合体。
【請求項15】
開裂可能なリンカー(L
1)が、アセタール、エステル、イミン、アミド、ジスルフィト、カーボネート、カルバメート、ヒドラゾンを含む群から選択される少なくとも1つの官能基、又はGFLG、Val‐Cit、Phe‐Lys、Val‐Ala、Ala‐Leu‐Ala‐Leuを含む群から選択されるペプチド鎖を含むC
1‐C
10炭化水素である、請求項1~11に記載の複合体。
【請求項16】
zが1.05~14、特に好ましくは1.5~13の数である、請求項1~15に記載の複合体。
【請求項17】
zが2.0~12、例えば2.5~11又は3~10の数である、請求項16に記載の複合体。
【請求項18】
請求項1~17に記載の抗体‐ポリマー複合体の調製に使用するための方法(方法1)であって、以下のステップを含む上記方法:
a.その上にカルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をC
1‐C
102‐(ピリジン‐2‐イルジスルファニル)アルコールと反応させることによりジスルフィドを含むRAFT剤を得るステップ、
b.ステップa)で得られたRAFT剤と、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化2】
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化3】
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有する薬物含有ポリマーを得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
a.トラウト試薬(2‐イミノチオランヒドロクロリド)で抗体を処理するステップ、
b.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを水溶液中でpH6.0~7.5で有機溶液と反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【請求項19】
請求項1~17に記載の抗体‐ポリマー複合体の調製に使用するための方法(方法2)であって、以下のステップを含む上記方法:
a.カルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をN‐ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより修飾RAFT剤を得るステップ、
b.a)で得られたRAFT剤と、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化4】
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化5】
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有する薬物含有ポリマーを得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
c.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを水溶液中でpH6.0~7.5で有機溶液と反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【請求項20】
ステップb)において実現される重合において、2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)(AIBN)又はその誘導体、例えば;4,4’‐アゾビス(4‐シアノ吉草酸)、4,4’‐アゾビス(4‐シアノ吉草酸)、1,1’‐アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリドから選択される第2の開始剤が使用される、請求項18及び19に記載の方法。
【請求項21】
ステップb)に記載の重合が、25~100℃、好ましくは60~90℃の温度で実現される、請求項18~20に記載の方法。
【請求項22】
ステップd)に記載の抗体‐ポリマー複合体が、20℃~45℃の温度で、好ましくは室温で、特に好ましくは25℃の温度で実現される、請求項18~21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~17に記載の抗体‐ポリマー複合体を活性物質として含む医薬組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記製剤が、経口又は皮下、静脈内、筋肉内、イントラスターナリーに、腹腔内、皮内、経皮、経鼻に適用される方法で製剤化され得る、請求項23~24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記組成物が第2の治療剤を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項27】
第2の治療剤が、抗体‐ポリマー複合体上に提供される治療剤とは異なることを条件として、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、抗感染剤、抗菌剤又は麻酔物質を含む群から選択される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
第2の治療剤が、主題の抗体‐ポリマー複合体と共に適用される、例えば、同時に、順次、又は別々に適用される、請求項27に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い薬物運搬能力を有し、かつ、その上に存在する抗体により活性標的化を実現できる抗体‐ポリマー複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト化又は非ヒト化モノクローナル抗体と細胞障害性低分子薬剤との化学結合によるコンジュゲーションは、がん化学療法の設計に重要な変化をもたらす。
(Chari et al,2014; Perez et al,2014;Bouchard et al,2014;Jain et al,2015;McCombs and Owen,2015;Chudasama et al.,2016;Diamantis and Banerji,2016)。
【0003】
抗体薬物複合体により提供される最も重要な利点は、ターゲットに特化した治療ができること、ターゲット以外の健康な細胞に対する細胞毒性が低いこと、免疫原性が低いことである。
【0004】
抗体薬物複合体の調製においては、ヒドラゾン、ジスルフィドのような開裂可能な結合を用いることもできるし、アミドのような非開裂の結合を用いることもできる。
【0005】
公知技術として、抗体‐薬物複合体が市販されている。その一例として、ブレンツキシマブ・ベドチン(Brentuximab vedotin)(Adcetris(登録商標))を挙げることができる。Adcetrisは、モノクローナル抗体であるブレンツキシマブ(Mab)と薬物であるモノメチルアウリスタチンから構成されている。該モノクローナル抗体と薬物分子は、体内でカテプシンB酵素により切断され得るVal‐Citリンカーにより互いに結合されている。このような複合体では、1つの抗体に対して平均4つの薬剤分子が存在し、これらは体内で開裂可能なリンカーによって互いに結合される。モノクローナル抗体の助けを借りて標的腫瘍細胞に到達した複合体に存在する結合は、ここでカテプシンB酵素によって切断され、細胞毒であるモノメチルアウリスタチンが腫瘍部位に放出されるのである。これによって、毒性が強いために何らかの形で利用することができなかったモノメチルアウリスタチン分子を治療に利用することができる。
【0006】
もう一つの抗体薬物複合体として、トラスツズマブ・エムタンシンが市販されており、「Kadcyla」(登録商標)という商品名で知られる。この製品は、抗体としてトラスツズマブ、薬物としてDM1の略称で呼ばれる細胞障害性エムタンシンが使用される。トラスツズマブは単独でHER2受容体に結合し、がん細胞の増殖を抑制するが、トラスツズマブ‐エムタンシン複合体は受容体により細胞内に運ばれ、リソゾームで分解され、その結果、エムタンシンが放出される。放出されたエムタンシンはチューブリンと結合し、有糸分裂周期を停止させ、従ってがん細胞を死滅させる。トラスツズマブはHER2受容体に特異的であり、HER2受容体はがん細胞でのみ通常より多く発現しているため、トラスツズマブ‐エムタンシン複合体は腫瘍細胞に特異的に移行する。
【0007】
この複合体では、薬物と抗体の結合は、スクシニミジルトランス‐4‐(マレイミジルメチル)シクロヘキサン‐1‐カルボキシラート(SMCC)によって行われる。エムタンシンに存在するチオール基がマレイミドと反応し、SMCCに存在するスクシンイミド基がトラスツズマブに存在するリジンと反応し、アミド結合が形成される。各トラスツズマブにつき、約3.5個の薬物分子が存在する。
【0008】
Kopecekら,2018(Eur.J.Pharm.Sci.,2017 103,36‐46)は、B細胞リンパ腫患者の治療効率と患者の耐性を高めるために、リツキシマブによって共役HPMAと共重合したEpirubicinを開発した。この複合体を得る際に使用するHPMAモノマーの水溶性が制限されるため、不利益が発生する。
【0009】
公知技術である抗体‐薬物複合体は、上記のAdcetris(登録商標)及びKadcyla(登録商標)の例のように、開裂可能又は非開裂可能な結合によって薬物を抗体に結合する手段によって得られる。このような結合では、薬物‐抗体比は一般に平均で約4である。言い換えれば、抗体上には0から8の薬剤分子が存在し、平均して4つの薬剤分子が存在することになる。治療の効率化のためには、抗体上の薬物分子が多い方が好ましいが、薬物分子が多くなるように抗体を修飾すると、モノクローナル抗体の活性が低下する、つまり結合能が低下する。
【0010】
また、このような抗体薬物複合体には少量の薬物が担われているため、通常単体では投与できないような毒性のある薬物が使用される。このような薬物が腫瘍に到達しないまま抗体薬物複合体からわずかでも脱落すると、重篤な副作用を引き起こすことになる。
既知の抗体‐薬物複合体のもう一つの問題は、リンカーや薬物を結合させるために抗体を化学修飾する際に生じる。抗体上の反応に適した領域を形成するために、DTTやTCEPといった化学物質を用いて抗体構造中に存在するジスルフィド結合が切断され、チオール反応性基が得られる。この工程は、前記抗体中の3次元構造の変化につながるため、関連する受容体への結合能の低下につながる。
【0011】
本発明者らは、抗体あたりの薬物量を増加させると同時に、公知技術に存在する抗体‐ポリマー複合体と比較して、より高い溶解性を有する抗体‐ポリマー複合体を開発するために、主題となる抗体‐ポリマー複合体を調製した。
【発明の概要】
【0012】
発明の簡単な説明
本発明者らは、モノクローナル抗体に開裂可能又は非開裂可能な結合で結合(コンジュゲート)された治療剤を担持するポリマーによって形成される薬剤担持システム(抗体‐ポリマー複合体)を調製した。前記ポリマーは(メタ)アクリレート骨格と側鎖にポリ(エチレングリコール)を含むことを特徴とし、治療剤が開裂可能なリンカーによってポリマー骨格に接続されている。
【0013】
抗体‐ポリマー複合体のおかげで、ポリマーあたりの薬剤の量を任意に変更することができる。さらに、抗体‐ポリマー複合体に存在するポリマーは、各鎖に複数の薬剤分子を有するため、当該ポリマーが抗体と結合した場合、薬剤:抗体の比率も増加する。従って、細胞毒性作用の少ない薬剤は、複合体によって腫瘍組織に直接送られる。また、ポリマー構造の側鎖に存在するポリ(エチレングリコール)鎖により、水溶性の高い抗体‐ポリマー複合体が得られるため、高いバイオアベイラビリティが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい実施形態において、抗体‐ポリマー複合体は、式1によって示される。
【化1】
ここで
R
1、R
2、R
3は、独立して、‐H又は‐CH
3から選択され
xは1~140の自然数
yは1~40の自然数
zは1~15の自然数
L
1は開裂可能なリンカーであり
L
2はリンカーであり
Dは治療剤であり
Aはモノクローナル抗体である。
【0015】
本発明の範囲内で使用される「抗体‐ポリマー複合体」という用語は、抗体と共有結合で接続されたポリマー構造を説明するものである。本発明の範囲内で言及されるポリマー構造は、(メタ)アクリレート骨格を有し、側鎖で共有結合によってポリマー骨格に結合した治療剤及びポリ(エチレングリコール)を含むポリマーである。
【0016】
本発明の範囲内で使用される「抗体‐ポリマー複合体」、「式1」、「式1で示される抗体‐ポリマー複合体」の用語は、互いに同等であり、互換的に使用することが可能である。
【0017】
本発明の範囲内で使用される「(メタ)アクリレート」の用語は、「アクリレート」及び「メタアクリレート」の用語を示す。したがって、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の代わりに使用することができ、これらの用語の上述した特徴のすべてを含む。
【0018】
本発明の範囲内で使用される用語「開裂可能なリンカー」は、ポリマー骨格と治療剤とを互いに接続し、特定の刺激剤の存在下で切断することができる結合を説明するものである。ここで、刺激剤は、例えば、光、化学剤、生物学的薬剤、哺乳動物の体内に存在し得る任意の物質、熱など、前記結合の切断を提供し得る任意の項目であることができる。
【0019】
本発明の範囲内で使用される「リンカー」という用語は、ポリマー骨格と抗体を互いに接続する結合を説明する。ここで、リンカーは、開裂可能又は非開裂可能であることができる。
【0020】
本発明の範囲内で使用される用語「治療剤」は、任意の生理学的状態を排除するため、減速するため、予防するため、症状を減少させるため、又は症状の排除を提供するため、又は生理学的状態の存在を検出するために使用されるすべての薬剤を説明する。前記薬剤は、小分子、マクロ分子、又は生物学的ベースの構造又は生物学的ベースの分子を模倣する構造を有し得る。
【0021】
本発明の範囲内で使用される用語「モノクローナル抗体」は、1つのエピトープのみに対して反応を示す抗体であって、1つのB‐リンパ球のみをベースとする抗体を説明する。本発明の範囲内で使用される「モノクローナル抗体」及び「抗体」の用語は、互いに同等であり、互換的に使用することができる。
【0022】
本発明の範囲内で提供されるzで示される数値は、抗体に接続されたポリマー鎖の数を表す。本発明の好ましい実施形態では、zは、1.05~14の数、好ましくは1.5~13の数を記述している。本発明の実施形態において、zは、2.0~12、又は2.5~11、又は3~10の数であり得る。例えば、zは、1.05、1.1、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0のような数であり得る。
【0023】
主題の抗体ポリマー複合体に存在する薬物:抗体の比率、言い換えれば、抗体あたりの薬物分子の量は、1:1~100:1とすることができる。言い換えれば、主題の抗体‐ポリマー複合体において、抗体あたり1~100分子の薬物を提供することができる。本発明の好ましい実施形態では、薬物抗体比は、4:1~90:1とすることができ、特に好ましい実施形態では、6:1~80:1とすることができる。
【0024】
本発明の範囲内で使用される用語「ポリ(エチレングリコール)」は、H‐(O‐CH2‐CH2)n‐OR3の構造を有し、nは1~200の自然数であり、R3はH又は‐CH3から選択されるポリエーテル化合物を示す。PEGは、エチレンオキシドのオリゴマー又はポリマーとして定義される。「PEG」、「ポリエチレングリコール」、「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「ポリオキシエチレン」及び「POE」の用語は、同じ構造を示し、この明細書で互換的に使用することが可能である。
【0025】
ポリ(エチレングリコール)及び治療剤を主題の側鎖に有するポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマー構造であることができる。用語「ランダムコポリマー」は、コポリマーを形成するモノマーがいかなる特定の順序にも従わないコポリマーを説明する。「ブロックコポリマー」という用語は、ある種類のモノマーの全てが一緒にグループ化され、他の種類のモノマーが一緒にグループ化されているコポリマーを説明する。本発明の好ましい実施形態では、ポリ(エチレングリコール)及び治療剤を有するポリマーは、ランダムコポリマーの構造である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、主題の抗体‐ポリマー複合体において、治療剤は、抗腫瘍剤(抗新生物剤)、免疫系調節剤、悪性細胞上で抗血管新生特性を示す剤、悪性細胞上で細胞増殖を阻害する剤、又は免疫細胞増殖を増加させる剤を含む群から選択することが可能である。
【0027】
本明細書で使用する「悪性細胞」とは、細胞周期が速い細胞、及び/又は子構造が変化した細胞、及び/又は制御不能な増殖をする細胞、及び/又は移動性が増大した細胞、及び/又は細胞表面構造が変化した細胞、及び/又は溶菌因子の分泌が変化した細胞、及び/又は浸潤性増殖をする細胞、及び/又は化学走性特性を有する細胞、及び/又は形状及び/又はサイズが異常な細胞、及び/又は細胞質が減少した細胞、及び/又は大きな核を有する細胞、及び/又は核内孔が増大した細胞をいう。
【0028】
本明細書で使用する「免疫細胞」という用語は、哺乳類の体内に存在する全ての細胞、好ましくはヒトの体内に存在する細胞を表す。前記細胞は、免疫系において異なる態様で活性を示し得る。本発明の範囲内で説明される免疫細胞は、B細胞、樹状細胞、顆粒球、天然リンパ球、メガ核球、単球、マクロファージ、骨髄系抑制細胞、血小板、赤血球、T細胞及び胸腺細胞であり得る。
【0029】
抗腫瘍剤(抗新生物剤)は、ヌクレオシド類似体、抗葉酸剤、他の代謝物、トポイソメラーゼI阻害剤、アントラサイクリン、ポドフィロトキシン、タキサン、ビンカアルカロイド、アルキル化物質、白金化合物、抗ホルモン剤、放射性医薬品、チロシンキナーゼ阻害剤、ラパマイシンタンパク質複合体哺乳類標的(mTOR)阻害剤、レチノイド、免疫系調節物質、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及び他の物質を含むが、これらに限定されないサブグループから選択することができる。
【0030】
ヌクレオシド類似体は、アザシチジン、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、デシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、フロロウラシル(5‐FU)、ゲムシタビン、メルカプトプリン、ネララビン、ペントスタチン、チオグアニン、トリフルオリジン及びチピラシルを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0031】
抗葉酸剤は、メトトレキサート、ペメトレキセド、プララトレキセド及びラルティトレキセドを含む群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
他の代謝物は、ヒドロキシ‐カルバミドを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0033】
トポイソメラーゼI阻害剤は、イリノテカン及びトポテカンを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0034】
アントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン及びバルビシンを含む群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
ポドフィロトキシンは、エトポシド及びテニポシドを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0036】
タキサンは、カバジタキセル、ドセタキセル及びパクリタキセルを含む群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン及びビノレルビンを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0038】
アルキル化物質は、ベンダムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、メルファラン、ストレプトゾトシン及びトラベステジンを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0039】
抗ホルモン化合物は、アビラテロン、ビカルタミド、シプロテロン、デガレリックス、エキセメスタン、フルベストラント、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロリド、ミフェプリストン及びトリプトレリンを含む群から選択できるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
チロシンキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アクシチニブ、ボスチニブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、オシメルチニブ、パゾパニブ、ルクソリチニブ、スニチニブ及びバンデタニブを含む群から選択できるが、これらに限られない。
【0041】
ラパマイシンタンパク質複合体哺乳類標的(mTOR)阻害剤は、エベロリムス及びテムシロリムスを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0042】
レチノイドは、アリトレチノイン、ベキサロテン、イソトレチノイン、タミバロテン及びトレチノインを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0043】
免疫系調節物質は、レナリドミド、ポマリドミド及びタリドミドを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0044】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、ベリノスタット、パノビノスタット、バルプロエート及びボリノスタットを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0045】
他の物質は、アナグレリド、セリチニブ、ダブラフェニブ、イデラリシブ、イブルチニブ、パルボシクリブ、ベムラフェニブ、ブレオミシン、ボルテゾミブ、ダクチノミシン、エリブリン、エストラムスチン、イクサベピロン、ミトミシン、プロカルバジン、アレクチニブ、フルキシメステロン、イオベングアン、イミギモド、インターフェロン、イクサゾミブ、ランレオチド、レンチナン、オクトレオチド、オマセタキシン、テガフール、ギメラジル、オテラシル、ウラシル、コンブレタスタチン、エムタンシン、及びクロロキンを含む群から選択できるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、治療剤は、抗腫瘍剤(抗新生物剤)、好ましくはタキサン、抗葉酸剤、チロシンキナーゼ阻害剤、アントラサイクリン、ヌクレオシド類似体又は他の物質から選択することができる。
【0047】
最も好ましい実施形態では、治療剤は、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐フルオロウラシル(5‐FU)、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブを含む群から選択される。
【0048】
本発明の実施形態において、治療剤は、ドセタキセルである。本発明の実施形態において、治療剤は、ヒドロキシクロロキンである。本発明の実施形態において、治療剤は、コンブレタスタチンである。本発明の実施形態において、治療剤は、ゲムシタビンである。本発明の実施形態において、治療剤は、ドキソルビシンである。本発明の実施形態において、治療剤は、5‐FUである。本発明の実施形態において、治療剤は、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)である。本発明の実施形態において、治療剤は、ラパチニブである。本発明の実施形態において、治療剤は、エムタンシンである。
【0049】
本発明の実施形態において、治療剤は、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブを含む群から選ばれる2以上の治療剤の組合せである。
【0050】
治療剤は、抗体‐ポリマー複合体上に提供されるポリマー重量の1%~40%の量、好ましくは2%~35%の量、特に好ましくは3%~30%の量で存在することができる。治療剤は、抗体‐ポリマー複合体上に存在するポリマー重量の4%~25%、又は5%~24%、又は6%~23%、又は7%~22%、又は8%~20%の量で存在することが可能である。
【0051】
本発明の範囲内で調製される抗体‐ポリマー複合体における抗体として、任意のモノクローナル抗体を使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、モノクローナル抗体は、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブレゼキマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アチドルトクスマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ・ペゴル、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ・ペンテテート、アマツキシマブ、アナツモマブ・マフェナトクス、アンデカリキシマブ、アネツマブ・ラブタンシン、アニフロルマブ、アンルキンズマブ(IMA‐638)、アポリズマブ、アプルツマブ・イクサドチン、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ・ベドチン、バピネウズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、bCD‐100、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベランタマブ・マホドチン、ベリムマブ、ベマリツズマブ、ベンラリズマブ、ベルリマトクスマブ、ベルメキマブ、ベルサンリマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビルタミマブ、ビバツズマブ・メルタンシン、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カミダンルマブ・テシリン、カムレリズマブ、カナキヌマブ、カンツズマブ・メルタンシン、カンツズマブ・ラブタンシン、カプラシズマブ、カプロマブ・ペンデチド、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマキソマブ、CBR96‐ドキソルビシン免疫複合体、セデリズマブ、セミプリマブ、セルグツズマブ・アムナロイキン、セルトリズマブ・ペゴル、セトレリマブ、セツキシマブ、シビサタマブ、シルムツズマブ、シタツズマブ・ボガトクス、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブ・テトラキセタン、コドリツズマブ、コフェツズマブ・ペリドチン、コルツキシマブ・ラブタンシン、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、CR6261、クサツズマブ、ダケツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ・ペゴル、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デニンツズマブ・マホドチン、デノスマブ、デパツキシズマブ・マホドチン、デルロツキシマブ・ビオチン、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ・アリトクス、ドスタルリマブ、ドロジツマブ、DS‐8201、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザヌマブ、エルゲムツマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナポタマブ・ベドチン、エナバツズマブ、エンホルツマブ・ベドチン、エンリモマブ・ペゴル、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ・シツキセタン、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エチギリマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファリシマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、FBTA05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィバツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フロボシマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガンコタマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲジブマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギムシルマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ・ベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、グセルクマブ、イアナルマブ、イバリズマブ、IBI308、イブリツモマブ・チウキセタン、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イラダツズマブ・ベドチン、IMAB362、イマルマブ、イマプレリマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブ・ラブタンシン、インデュサツマブ・ベドチン、イネビリズマブ、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブ・オゾガマイシン、イピリムマブ、イオマブ‐B、イラツムマブ、イサツキシマブ、イスカリマブ、イスチラツマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、ラクノツズマブ、ラジラツズマブ・ベドチン、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラプリツキシマブ・エムタンシン、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンダリズマブ、レンベルビマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レロンリマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リファスツズマブ・ベドチン、リゲリズマブ、ロンカスツキシマブ・テシリン、ロサツキシズマブ・ベドチン、リロトマブ・サテトラキセタン、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロルボツズマブ・メルタンシン、ルカツムマブ、ルリズマブ・ペゴル、ルミリキシマブ、ルムレツズマブ、ルパルツマブ・アマドチン、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マルスタシマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミリキズマブ、ミルベツキシマブ・ソラブタンシン、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリムマブ、モスネツズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ・パスドトクス、ムロモナブ‐CD3、ナコロマブ・タフェナトクス、ナミルマブ、ナプツモマブ・エスタフェナトクス、ナラツキシマブ・エムタンシン、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ナキシタマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、NEOD001、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ネタキマブ、ニモツズマブ、ニルセビマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブ・メルペンタン、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オンブルタマブ、OMS721、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オンバチリマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ・モナトクス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オチリマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パンコマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、PDR001、ペムブロリズマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピジリズマブ、ピナツズマブ・ベドチン、ピンツモマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポガリズマブ、ポラツズマブ・ベドチン、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プラシネズマブ、プレザリズマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、PRO 140、キリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レラトリマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リヌクマブ、リサンキズマブ、リツキシマブ、リババズマブ・ペゴル、ロバツムマブ、Rmab、ロレデュマブ、ロミルキマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロバルピツズマブ・テシリン、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、SA237、サシツズマブ・ゴビテカン、サマリズマブ、サムロタマブ・ベドチン、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ・ペンデチド、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セトルスマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、SGN‐CD19A、SHP647、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルトラツマブ・ベドチン、シルクマブ、ソフィツズマブ・ベドチン、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ、スブラトクスマブ、タバルマブ、タカツズマブ・テトラキセタン、タドシズマブ、タラコツズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ・パプトクス、タレクスツマブ、タボリマブ、テフィバズマブ、テリモマブ・アリトクス、テリソツズマブ・ベドチン、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テポジタマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テツロマブ、テゼペルマブ、TGN1412、チブリズマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、チラゴツマブ、チスレリズマブ、チソツマブ・ベドチン、TNX‐650、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、TRBS07、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ・セルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ・タリリン、バナリマブ、バンドルツズマブ・ベドチン、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビジリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボプラテリマブ、ボルセツズマブ・マホドチン、ボツムマブ、ブナキズマブ、キセンツズマブ、XMAB‐5574、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ゼノクツズマブ、ジラリムマブ、ゾルベツキシマブ(=IMAB362、クラウジキシマブ)、ゾリモマブ・アリトクスを含む群から選択することができる。本発明の好ましい実施形態では、ニボルマブ(nivolulumab)、ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブを含む群から選択される抗体が使用される。本発明の特に好ましい実施形態では、トラスツズマブが使用される。
【0052】
主題の抗体‐ポリマー複合体で使用されるリンカー(L2)は、上記の定義でも言及されているように、開裂可能なリンカー(L1)又は非開裂可能なリンカーであり得る。前記非開裂可能なリンカーは、生体の生理的条件下でその形態を保護し、断片化しないか、又は無視できる量で断片化する結合を表す。非開裂可能なリンカーは、C1‐C10炭化水素鎖によって形成することができ、任意に、前記炭化水素鎖中に存在する1つ以上の炭素は‐O、‐NH、‐N、‐S、‐C(O)又はそれらの組み合わせで置換することができ、前記炭素が互いに隣接又は分離することができる。本発明の好ましい実施形態において、主題のリンカーは、‐O、‐NH、‐N、‐S、‐C(O)置換基に加えて、‐O、‐NH、-N、-S、-C(O)置換基から独立して、‐COOH、‐OH、‐NH2、‐SHのような1つ又は複数の置換基を含むことができる。本発明の特に好ましい実施形態では、リンカー(L2)として、‐C(O)CH2CH2C(CH3)(CN)‐が用いられ、‐C(O)で示されるカルボニル基が、モノクローナル抗体構造に備わる任意のアミノ酸上に備わる‐NH2と反応して、アミド結合によりアミノ酸に連結される。
【0053】
主題の抗体‐ポリマー複合体に使用される開裂可能なリンカー(L1)は、ポリ(エチレングリコール)、アミノ酸、ポリ(アミノ酸)(例えば、ペプチド又はオリゴペプチド)又はポリ(ペプチド)のような任意の物質であることができる。本発明の好ましい実施形態では、開裂可能なリンカーは、GFLGとして記載できるGly‐Phe‐Leu‐Gly又はカテプシンBによって切断できるVal‐Cit又はPhe‐Lys又はVal‐Ala又はAla‐Leu‐Ala‐Leuなどの特定のペプチド配列を有する短いペプチドから選択することができる。
【0054】
主題の抗体‐ポリマー複合体に使用される開裂可能なリンカー(L1)は、少なくとも1つのアセタール、エステル、イミン、アミド、ジスルフィド、カルバメート又はそれらの2元若しくは3元の組み合わせで置換されているC1‐C10炭化水素であり得る。
【0055】
本発明の別の実施形態では、開裂可能なリンカー(L1)は、Phe‐Lys又はVal‐Ala又はAla‐Leu‐Ala‐Leu又はVal‐Cit、GFLGを含む群から選択されるペプチド鎖と、アセタール、エステル、イミン、アミド、ジスルフィド、カーボネート、カルバメート、ヒドラゾンを含む群から選ばれる少なくとも一つの官能基を含む置換C1‐C10炭化水素の組み合わせであり得る。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、主題の抗体‐ポリマー複合体は、以下に述べる1つ又は複数のものを含むことができる。
‐開裂可能なリンカー(L1)としてGFLG、及びリンカー(L2)として‐COCH2CH2C(CH3)(CN)‐、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン、エムタンシン(5’‐DFCR)及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0057】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてVal‐Cit、リンカー(L2)として‐COCH2CH2C(CH3)(CN)‐、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’-デオキシ5-フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0058】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてPhe‐Lys、リンカー(L2)として‐COCH2CH2C(CH3)(CN)‐、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’-デオキシ5-フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0059】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてVal‐Ala、リンカー(L2)として‐COCH2CH2C(CH3)(CN)‐、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’-デオキシ5-フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0060】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてAla‐Leu‐Ala‐Leu、リンカー(L2)として‐COCH2CH2C(CH3)(CN)‐、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’-デオキシ5-フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0061】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、リンカー(L2)として‐COCH2CH2C(CH3)(CN)‐、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、ヒドロキシクロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’-デオキシ5-フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0062】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、リンカー(L2)として‐COCH2CH2C(CH3)(CN)‐、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0063】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてGFLG、リンカー(L2)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0064】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてVal‐Cit、リンカー(L2)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0065】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてPhe‐Lys、リンカー(L2)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0066】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてVal‐Ala、リンカー(L2)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0067】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてAla‐Leu‐Ala‐Leu、リンカー(L2)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0068】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、リンカー(L2)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0069】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、リンカー(L2)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0070】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてGFLG、リンカー(L2)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0071】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてVal‐Cit、リンカー(L2)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0072】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてPhe‐Lys、リンカー(L2)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0073】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてVal‐Ala、リンカー(L2)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0074】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてAla‐Leu‐Ala‐Leu、リンカー(L2)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0075】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてジスルフィド置換C1‐C10炭化水素、リンカー(L2)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0076】
‐開裂可能なリンカー(L1)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、リンカー(L2)としてヒドラゾン置換C1‐C10炭化水素、治療剤として、ドセタキセル、ペメトレキセド、クロロキン、コンブレタスタチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5‐FU、5’‐デオキシ5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)、エムタンシン及びラパチニブの群から選ばれる薬剤、並びに抗体としてトラスツズマブ。
【0077】
別の態様において、本発明の好ましい実施形態は、式1で示される抗体‐ポリマー複合体の調製に用いる方法(方法1)に関するものであり、前記方法は、以下のステップを含む:
a.その上にカルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をC
1‐C
102‐(ピリジン‐2‐イルジスルファニル)アルコールと反応させることによりジスルフィドを含むRAFT剤を得るステップ、
b.ステップa)で得られたRAFT剤と、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化2】
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化3】
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有するポリマー‐薬物複合体を得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
c.トラウト試薬(2‐イミノチオラン塩酸塩)で抗体を処理するステップ、
d.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを水溶液及び有機溶液中でpH6.0~7.5で反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【0078】
別の態様において、本発明の好ましい実施形態では、本発明は、式1で示される抗体‐ポリマー複合体の調製に用いる方法(方法2)に関するものであり、前記方法は以下のステップを含む:
a.その上にカルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をN‐ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより修飾RAFT剤を得るステップ、
b.ステップa)で得られたRAFT剤を、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化4】
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化5】
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有するポリマー‐薬物複合体を得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
c.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを、水溶液中及び有機溶液中でpH6.0~7.5で反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【0079】
方法1及び方法2において、ステップa)では、カルボン酸官能基が設けられたトリチオカーボネート又はジチオエート分子に‐CN、‐N3などの別の官能基が任意に付与される。カルボン酸官能基が設けられた前記トリチオカーボネート又はジチオエート分子は、トリチオカーボネート又はジチオエート基と少なくとも一つのカルボン酸基が存在する限り、いかなる構造を有することも可能である。
【0080】
方法1及び方法2において、ステップb)で実現される重合において、公知の状態で存在する第2の重合開始剤を使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、第2の重合開始剤として、2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)(AIBN)又は誘導体、例えば、4,4’‐アゾビス(4‐シアノ吉草酸)、4,4’‐アゾビス(4‐シアノ吉草酸)、1,1’‐アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリドを使用することができる。
【0081】
方法1及び方法2において、ステップb)に記載の重合は、25℃~100℃の温度、好ましくは60℃~90℃の温度で実現される。
【0082】
方法1及び方法2において、抗体‐ポリマー複合体は、20℃~45℃の温度で、好ましくは室温の温度で、特に好ましくは25℃の温度で実現される。
【0083】
本発明の実施形態では、平均分子量が200~2000グラム/モルであるPEG(メタ)アクリレート(式II)が使用される。好ましい実施形態では、PEG(メタ)アクリレート(式II)は、250~1500グラム/モルの平均分子量を有し、より好ましい実施形態では、PEG(メタ)アクリレート(式II)は、300~1100グラム/モルの平均分子量を有する。主題のPEG(メタ)アクリレート(式II)は、例えば200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000グラム/モルの平均分子量を有することが可能である。
【0084】
抗体‐ポリマー複合体に含まれるモノクローナル抗体は、細胞内に高発現している受容体への親和性を利用して、標的部位に到達すると結合した治療剤を細胞内に取り込む。このように、使用するmAbの種類によって、標的となる細胞の種類が変化する。主題の抗体‐ポリマー複合体は、複合体を形成するモノクローナル抗体の特性により、異なる疾患の治療に使用することができる。
【0085】
本明細書で使用される「治療」又は「治療する」の用語は、疾患診断が実現したか、又は疾患を有する可能性が高いと判断された対象において、疾患の存在を示す生物学的マーカー(例えば、腫瘍又は腫瘍マーカー)の少なくとも1つを除去又は低減すること、又は病理疾患を特徴付ける少なくとも1つの症状を予防、低減、緩和、治癒又は遮断することを説明するものである。
【0086】
主題の抗体‐ポリマー複合体は、一般に、医薬組成物の形態で適用することができる。
【0087】
したがって、本発明の実施形態は、式Iで示される抗体‐ポリマー複合体及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
【0088】
主題の抗体‐ポリマー複合体を含む組成物は、この組成物の患者への適用の観点から好ましい方法に基づいて、任意の適切な形態にすることができる。主題の抗体‐ポリマー複合体を含む組成物は、例えば液体分散液又は水性若しくは油性懸濁液の形態で経口的に適用される方法で製剤化することができ、又は組成物は、例えば皮下、静脈内、筋肉内、イントラスターナルに(intrasternal)、腹腔内、皮内、経皮又は他の注入法のような非経口的適用のために製剤化することができる。ポリマー薬物複合体を含む主題の組成物はまた、スプレーチューブの形態での呼吸経路による適用、又は呼吸装置又はネブライザーによる適用のための溶液としての適用のために製剤化することができる。主題の抗体‐ポリマー複合体は、好ましくは、経皮、皮下、経鼻、静脈内、筋肉内、腫瘍内などに適用される。いずれにしても、適用に関して最も適した形態は、主題の抗体‐ポリマー複合体に提供される特定の治療剤、疾患の種類及び被験者の身体状態によって決まる。
【0089】
主題の抗体‐ポリマー複合体は、例えば、癌予防物質又は免疫系調節物質、抗ウイルス剤、抗感染剤、抗菌剤又は麻酔剤又はそれらの組み合わせの形態であり得る1つ又は複数の治療剤とともに、同時に、順次又は別々に適用することができる。
【0090】
前記第2の治療剤は、主題の抗体‐ポリマー複合体中に存在する物質と異なることを条件として、任意の治療剤であることができる。
【0091】
本明細書の範囲では、comprising(含む)の用語がincluding(含む)の用語を説明することが意図されている。
【0092】
技術的に好適な箇所では、本発明の実施形態は組み合わせることができる。
【0093】
本明細書では、具体的な特徴/要素を含むように実施形態を説明する。さらに、本説明は、前記特徴/要素を含む、又はこれらによって形成される他の実施形態をカバーする。
【0094】
特許、出願、科学刊行物及び同様の技術文献は、参照という形で本書類に含まれている。
【0095】
本明細書で具体的な態様で明確に説明されている実施形態は、他の1つ又は複数の実施形態とともに、単独で免責事項のベースを形成することが可能である。
【0096】
次に、本発明を以下に示す実施例を参照して説明するが、これらは例示に過ぎず、いかなる意味でも本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0097】
例1:2‐(ピリジン‐2‐イルジスルファニル)エチル4‐シアノ‐4‐(((ドデシルチオ)カーボンチオイル)チオ)ペンタノアート(PDS‐CDTPA)の合成方法
【化6】
2‐(ピリジン‐2‐イルスルホニル)エタノール(41.7mg,0.223mmol)を4‐シアノ‐4‐(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸(60mg,0.148mmol)及び4‐ジメチル‐アミノピリジン(DMAP)(18mg,0.147mmol)CH
2Cl
2(2mL)に溶解させる。反応混合物を氷浴中で0℃に冷却し、CH
2Cl
2(2mL)に溶解したN,N‐ジシクロヘキシルカルボジミド(DCC)(36.8mg,0.178mmol)を反応混合物に滴下しながら加える。反応物を25℃で攪拌する。形成されたジシクロヘキシル尿素(DCU)を濾過して除去する。
1H NMR (CDCl
3, δ, ppm) 8.49 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.67-7.64 (m, 2H), 7.12 (bs, 1H), 4.38 (t, 2H, J = 6.3 Hz), 3.33 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 3.05 (t, 2H, J = 6.3 Hz), 2.63 - 2.33 (m, 4H), 1.87 (s, 3H), 1.68 (dd, 2H, J = 14.5, 7.1), 1.39-1.26 (m, 18H), 0.88 (t, 3H, J = 6.4 Hz).
【0098】
例2:4‐シアノ‐4‐(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタン酸スクシンイミドエステル(SCPDB)の合成方法
【化7】
4‐シアノ‐4‐(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタン酸(CPADB)(200mg,0.72mmol)をN‐ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(91mg,0.79mmol)CH
2Cl
2(1.5mL)に溶解させる。N,N’‐ジシクロヘキシルカルボジミド(DCC)(163mg,0.79mmol)をCH
2Cl
2(0.5mL)に溶解し、氷浴中で反応混合物に滴下して添加する。反応物を室温で3時間攪拌する。得られた原料を冷酢酸エチル中で沈殿させ、生成物カラムクロマトグラフィーで精製する。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, δ, ppm) δ 7.93 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.58 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.03 - 2.95 (m, 2H), 2.86 (s, 4H), 2.79 - 2.69 (m, 1H), 2.61 - 2.52 (m, 1H), 1.96 (s, 3H).
【0099】
例3:PDS‐POEGMEMA‐DTXコポリマーの合成
【化8】
ポリエチレングリコールモノメチルメタクリレート(PEGMEMA)(100mg,0.33mmol)をDMF(0.3mL)に溶解させる。PDS‐CDTPA(6.8mg,0.01mmol)をDMF(0.1mL)に溶解し、AIBN(0.39mg,2.4x10
-3mmol)をDMF(0.1mL)に溶解させる。調製した溶液をN
2雰囲気下でPEGMEMA溶液に添加する。予めDMF(0.4mL)に溶解して調製したMA‐GFLG‐DTX(45mg,0.04mmol)溶液を反応混合物に添加する。反応物を80℃で攪拌する。反応終了後、DMFを除去する。得られた生成物をエーテルで沈殿させ、生成した沈殿物を濾過で除去し、透析膜で精製する。得られたポリマーの分子量をGPCで検出する(10kDa)。
1H NMRの結果から、ポリマー鎖中に10.6%の割合で薬物が存在することが検出された。
【0100】
例4:NHS‐POEGMEMA‐DTXコポリマー合成方法
【化9】
PEGMEMA(86mg,0.29mmol)、MA‐GFLG‐DTX(120mg,0.096mmol)及びSCPDB(3.6mg,0.096mmol)をDMF(1.00mL)に溶解させる。AIBN(0.36mg,0.0019mmol)を反応混合物中に添加する。重合後、DMFを除去する。得られた原料は、透析により精製する。得られたポリマーの分子量は、GPCによって検出される(10kDa)。
1H NMRの結果から、ポリマー鎖中に12重量%の割合で薬物が存在することが検出された。
【0101】
例5:トラスツズマブ・チオール(Tmab‐SH)調製法
2‐イミノチオラン(0.1mg,3.6x10-3mmol)をPBS(3mL,pH8.2)に溶解させる。トラスツズマブ(Tmab)(4.6mg/mL,3.1x10-5mmol)を反応物に添加する。反応物を25℃で2.5時間攪拌する。Tmabに結合しているチオール基の数は、Ellman手順(1)によって決定される。この実験の結果、各Tmabに6個のチオールが得られることが確認されている。透析はPBS緩衝液(pH6.5)で行う。Tmabの濃度を決定するために、BCA分析を行う(2)。分析の結果、Tmabの濃度は3.7mg/mLであることが検出されている。
【0102】
例6:PDS‐POEGMEMA‐DTXとTmab‐SHコポリマー複合体形成
Tmab‐SHとPDS‐POEGMEMA‐DTXコポリマーをDMSOとPBS緩衝液(pH6.5)に溶解する。得られた混合物を室温で攪拌する。得られた生成物は、常法により精製する。
【0103】
例7:NHS‐POEGMEMA‐DTXコポリマーとTmabの複合体形成
TmabとNHS‐POEGMEMA‐DTXコポリマーをDMSOとPBS緩衝液(pH6.5)に溶解する。得られた混合物を室温で攪拌する。得られた生成物は、常法により精製する。
【0104】
参考文献
1 “DTNB(Ellman’s Reagent)(5,5‐Dithio‐Bis‐(2‐Nitrobenzoic Acid)‐Thermo Fisher Scientific,”16 July 2019.
2 Associate,A.,“User Guide:Pierce BCA Protein Assay Kit(MAN0011430 Rev.A).”16 July 2019.
【手続補正書】
【提出日】2022-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノクローナル抗体に開裂可能又は非開裂可能な結合で結合された
1.1~13のポリマー‐薬物複合体を含む抗体‐ポリマー複合体であって、治療剤を担持するポリマーが(メタ)アクリレート骨格を含み、その側鎖にポリ(エチレングリコール)を有し、治療剤が開裂可能な結合によってポリマー骨格に接続されている、上記抗体‐ポリマー複合体。
【請求項2】
前記複合体が式1で示される構造を有する、請求項1に記載の抗体‐ポリマー複合体:
【化1】
式1
ここで
R
1、R
2、R
3は、互いに独立に、‐H又は‐CH
3から選択され、
xは1~140の自然数であり、
yは、1~40の自然数であり、
zは、
1.1~13の自然数であり、
L
1は開裂可能なリンカーであり、
L
2はリンカーであり、
Dは治療剤であり、
Aはモノクローナル抗体である。
【請求項3】
ランダムコポリマー又はブロックコポリマーである、請求項2に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項4】
治療剤が、抗腫瘍剤、免疫系調節剤、悪性細胞に対して抗血管新生作用を示す薬剤、悪性細胞の細胞増殖を阻害する薬剤、又は免疫細胞の増殖を増加させる薬剤を含む群から選択され
、抗腫瘍剤が、ヌクレオシド類似体、抗葉酸剤、他の代謝物、トポイソメラーゼI阻害剤、アントラサイクリン、ポドフィロトキシン、タキサン、ビンカアルカロイド、アルキル化物質、白金化合物、抗ホルモン、放射性医薬品、チロシンキナーゼ阻害剤、ラパマイシンタンパク質複合体哺乳類標的(mTOR)阻害剤、レチノイド、免疫系調節物質、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及び他の物質を含む群から選択される、請求項1~3
のいずれか一項に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項5】
モノクローナル抗体が、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブレゼキマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アチドルトクスマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ・ペゴル、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ・ペンテテート、アマツキシマブ、アナツモマブ・マフェナトクス、アンデカリキシマブ、アネツマブ・ラブタンシン、アニフロルマブ、アンルキンズマブ(IMA‐638)、アポリズマブ、アプルツマブ・イクサドチン、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ・ベドチン、バピネウズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、bCD‐100、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベランタマブ・マホドチン、ベリムマブ、ベマリツズマブ、ベンラリズマブ、ベルリマトクスマブ、ベルメキマブ、ベルサンリマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビルタミマブ、ビバツズマブ・メルタンシン、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カミダンルマブ・テシリン、カムレリズマブ、カナキヌマブ、カンツズマブ・メルタンシン、カンツズマブ・ラブタンシン、カプラシズマブ、カプロマブ・ペンデチド、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマキソマブ、CBR96‐ドキソルビシン免疫複合体、セデリズマブ、セミプリマブ、セルグツズマブ・アムナロイキン、セルトリズマブ・ペゴル、セトレリマブ、セツキシマブ、シビサタマブ、シルムツズマブ、シタツズマブ・ボガトクス、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブ・テトラキセタン、コドリツズマブ、コフェツズマブ・ペリドチン、コルツキシマブ・ラブタンシン、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、CR6261、クサツズマブ、ダケツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ・ペゴル、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デニンツズマブ・マホドチン、デノスマブ、デパツキシズマブ・マホドチン、デルロツキシマブ・ビオチン、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ・アリトクス、ドスタルリマブ、ドロジツマブ、DS‐8201、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザヌマブ、エルゲムツマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナポタマブ・ベドチン、エナバツズマブ、エンホルツマブ・ベドチン、エンリモマブ・ペゴル、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ・シツキセタン、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エチギリマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファリシマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、FBTA05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィバツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フロボシマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガンコタマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲジブマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギムシルマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ・ベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、グセルクマブ、イアナルマブ、イバリズマブ、IBI308、イブリツモマブ・チウキセタン、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イラダツズマブ・ベドチン、IMAB362、イマルマブ、イマプレリマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブ・ラブタンシン、インデュサツマブ・ベドチン、イネビリズマブ、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブ・オゾガマイシン、イピリムマブ、イオマブ‐B、イラツムマブ、イサツキシマブ、イスカリマブ、イスチラツマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、ラクノツズマブ、ラジラツズマブ・ベドチン、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラプリツキシマブ・エムタンシン、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンダリズマブ、レンベルビマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レロンリマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リファスツズマブ・ベドチン、リゲリズマブ、ロンカスツキシマブ・テシリン、ロサツキシズマブ・ベドチン、リロトマブ・サテトラキセタン、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロルボツズマブ・メルタンシン、ルカツムマブ、ルリズマブ・ペゴル、ルミリキシマブ、ルムレツズマブ、ルパルツマブ・アマドチン、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マルスタシマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミリキズマブ、ミルベツキシマブ・ソラブタンシン、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリムマブ、モスネツズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ・パスドトクス、ムロモナブ‐CD3、ナコロマブ・タフェナトクス、ナミルマブ、ナプツモマブ・エスタフェナトクス、ナラツキシマブ・エムタンシン、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ナキシタマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、NEOD001、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ネタキマブ、ニモツズマブ、ニルセビマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブ・メルペンタン、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オンブルタマブ、OMS721、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オンバチリマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ・モナトクス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オチリマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パンコマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、PDR001、ペムブロリズマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピジリズマブ、ピナツズマブ・ベドチン、ピンツモマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポガリズマブ、ポラツズマブ・ベドチン、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プラシネズマブ、プレザリズマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、PRO 140、キリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レラトリマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リヌクマブ、リサンキズマブ、リツキシマブ、リババズマブ・ペゴル、ロバツムマブ、Rmab、ロレデュマブ、ロミルキマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロバルピツズマブ・テシリン、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、SA237、サシツズマブ・ゴビテカン、サマリズマブ、サムロタマブ・ベドチン、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ・ペンデチド、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セトルスマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、SGN‐CD19A、SHP647、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルトラツマブ・ベドチン、シルクマブ、ソフィツズマブ・ベドチン、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ、スブラトクスマブ、タバルマブ、タカツズマブ・テトラキセタン、タドシズマブ、タラコツズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ・パプトクス、タレクスツマブ、タボリマブ、テフィバズマブ、テリモマブ・アリトクス、テリソツズマブ・ベドチン、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テポジタマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テツロマブ、テゼペルマブ、TGN1412、チブリズマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、チラゴツマブ、チスレリズマブ、チソツマブ・ベドチン、TNX‐650、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、TRBS07、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ・セルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ・タリリン、バナリマブ、バンドルツズマブ・ベドチン、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビジリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボプラテリマブ、ボルセツズマブ・マホドチン、ボツムマブ、ブナキズマブ、キセンツズマブ、XMAB‐5574、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ゼノクツズマブ、ジラリムマブ、ゾルベツキシマブ(=IMAB362、クラウジキシマブ)、ゾリモマブ・アリトクス
、好ましくはニボルマブ、ペムブロリズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、最も好ましくはトラスツズマブを含む群から選択される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の抗体‐ポリマー複合体。
【請求項6】
リンカー(L
2)が、
開裂可能な又は非開裂可能なリンカーである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項7】
非開裂可能なリンカーがC
1‐C
10炭化水素鎖を含
み、好ましくはC
1
‐C
10
炭化水素鎖に備わる1つ又は複数の炭素が、独立して、‐O、‐NH、‐N、‐S、‐C(O)又はそれらの組み合わせで置換されている、請求項
6に記載の複合体。
【請求項8】
C
1‐C
10炭化水素鎖が、
-CN、‐COOH、‐OH、‐NH
2及び‐SHのような1つ又は複数の置換基を含むことができる、請求項
7に記載の複合体。
【請求項9】
開裂可能なリンカー(L
1)が、アセタール、エステル、イミン、アミド、ジスルフィト、カーボネート、カルバメート、ヒドラゾンを含む群から選択される少なくとも1つの官能基、又はGFLG、Val‐Cit、Phe‐Lys、Val‐Ala、Ala‐Leu‐Ala‐Leuを含む群から選択されるペプチド鎖を含むC
1‐C
10炭化水素である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項10】
請求項1~17に記載の抗体‐ポリマー複合体の調製に使用するための方法(方法1)であって、以下のステップを含む上記方法:
a
.カルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をC
1‐C
102‐(ピリジン‐2‐イルジスルファニル)アルコールと反応させることによりジスルフィドを含むRAFT剤を得るステップ、
b.ステップa)で得られたRAFT剤と、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化2】
式II
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化3】
式III
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有する薬物含有ポリマーを得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
a.トラウト試薬(2‐イミノチオランヒドロクロリド)で抗体を処理するステップ、
b.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを水溶液中でpH6.0~7.5で有機溶液
で反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【請求項11】
請求項1~17に記載の抗体‐ポリマー複合体の調製に使用するための方法(方法2)であって、以下のステップを含む上記方法:
a.カルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をN‐ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより修飾RAFT剤を得るステップ、
b.a)で得られたRAFT剤と、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化4】
式II
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化5】
式III
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有する薬物含有ポリマーを得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
c.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを水溶液中でpH6.0~7.5で有機溶液
で反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【請求項12】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の抗体‐ポリマー複合体を活性物質として含む医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が
、抗体‐ポリマー複合体上に提供される治療剤とは異なることを条件として、好ましくは、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、抗感染剤、抗菌剤又は麻酔物質を含む群から選択される第2の治療剤を含む、請求項
12に記載の医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい実施形態において、抗体‐ポリマー複合体は、式1によって示される。
【化1】
式1
ここで
R
1、R
2、R
3は、独立して、‐H又は‐CH
3から選択され
xは1~140の自然数
yは1~40の自然数
zは1~15の自然数
L
1は開裂可能なリンカーであり
L
2はリンカーであり
Dは治療剤であり
Aはモノクローナル抗体である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
別の態様において、本発明の好ましい実施形態は、式1で示される抗体‐ポリマー複合体の調製に用いる方法(方法1)に関するものであり、前記方法は、以下のステップを含む:
a.その上にカルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をC
1‐C
102‐(ピリジン‐2‐イルジスルファニル)アルコールと反応させることによりジスルフィドを含むRAFT剤を得るステップ、
b.ステップa)で得られたRAFT剤と、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化2】
式II
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化3】
式III
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有するポリマー‐薬物複合体を得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
c.トラウト試薬(2‐イミノチオラン塩酸塩)で抗体を処理するステップ、
d.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを水溶液及び有機溶液中でpH6.0~7.5で反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
別の態様において、本発明の好ましい実施形態では、本発明は、式1で示される抗体‐ポリマー複合体の調製に用いる方法(方法2)に関するものであり、前記方法は以下のステップを含む:
a.その上にカルボン酸官能基を有するトリチオカーボネート又はジチオエート分子(RAFT剤)をN‐ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより修飾RAFT剤を得るステップ、
b.ステップa)で得られたRAFT剤を、式IIで示される(メタ)アクリレートモノマー
【化4】
式II
及び式IIIで示される(メタ)アクリレート‐L
1‐Dモノマー
【化5】
式III
とを反応させることにより、その一端にジスルフィド基を有するポリマー‐薬物複合体を得るステップ、
ここで、R
1、R
2、R
3は独立して‐H又は‐CH
3から選択され、L
1は開裂可能な結合であり、Dは治療剤であり、nは1~200の自然数である、
c.ステップb)で得られたポリマー‐薬物複合体とステップc)で得られた抗体とを、水溶液中及び有機溶液中でpH6.0~7.5で反応させることにより、主題の抗体‐ポリマー複合体(式1)を得るステップ。
【国際調査報告】