(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506403
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020105514
(87)【国際公開番号】W WO2021018193
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201910703479.8
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520167863
【氏名又は名称】ハイ ロボティクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HAI ROBOTICS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン、ハン
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB24
3F522BB35
3F522CC06
3F522DD04
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE15
3F522FF02
3F522GG09
3F522GG34
3F522GG44
3F522GG48
3F522JJ02
(57)【要約】
本発明は、インテリジェント倉庫保管の分野に関し、在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法を開示し、棚上の在庫品物は前の行と後ろの行に置かれ、前記方法は、前の行にある第2在庫品物を取り出し、第1トレイに置くよう、品物搬送装置に指示するステップと、後ろの行にある第1在庫品物を取り出し、第2トレイに置くよう、品物搬送装置に指示するステップと、第2在庫品物を前の行に戻すよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む。在庫品物を取り出してトレイに格納するよう、品物搬送装置に指示することで、指定された棚から在庫品物を取り出して在庫品物を倉庫に格納することが実現されると同時に、障害物で満ちた混雑な倉庫内をナビゲーションすることが可能になり、且つ変位した在庫品物を取り扱うことが可能になる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚上の在庫品物は前の行と後ろの行に置かれ、
第1在庫品物を搬送する命令を受信するステップと、
受信した命令から、第1在庫品物の位置、第1在庫品物が後ろの行にあると示す深さ及び向きを含む第1在庫品物のポジショニング情報を取得するステップと、
第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
第2在庫品物が第1在庫品物の前の行にあるか否かを検出するステップと、
前の行に第2在庫品物がない場合、品物搬送装置を後ろの行まで伸ばさせて第1在庫品物を取得するステップと、
前の行に第2在庫品物がある場合、前の行から第2在庫品物を取り出して空いている第1トレイに置くステップと、
後ろの行から第1在庫品物を取り出して第1在庫品物を空いている第2トレイに置くステップと、
第2在庫品物を棚に戻すステップと、を含む、
ことを特徴とする在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法。
【請求項2】
前記第1在庫品物の位置は、第1在庫品物の座標と高さを含み、
前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは、
第1在庫品物の座標付近まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
第1在庫品物の高さまで昇降するよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは更に、
第1在庫品物の向きまで回転するよう、品物搬送装置に指示するステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1在庫品物又は第2在庫品物を指定の品物とし、前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは、
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、
指定の在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、
伸びるように品物搬送装置に指示するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、
倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、
倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断するステップを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
昇降して棚の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に指示し、棚の識別コードに基づいて品物搬送装置と棚との相対位置を取得し、品物搬送装置と棚との相対位置に基づき、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断する、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
指定の在庫品物は第1在庫品物であり、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは、
前の行まで伸びるように品物搬送装置に指示するステップと、
第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、
第1在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、
後ろの行まで伸び続けるよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、
倉庫用ロボットが第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置の取得に失敗した場合、予め設定された距離まで伸び続けるよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が伸びる間、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を再度取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、
倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が後ろの行まで伸び続ける前に、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて第1在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、指定の在庫品物の画像情報を撮影するよう、品物搬送装置に指示し、画像情報を画像差分アルゴリズムにより処理することで、取得される、ことを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、品物搬送装置への指示で読み取られた指定の在庫品物の識別コードから、取得される、ことを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードの読み取りに失敗した場合、予め設定された幅で昇降を繰り返すよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が昇降する間に、指定の在庫品物の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に再度指示する、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードを読み取った場合、識別コードが逆さまに貼られているか否かをチェックする、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップは、
倉庫用ロボットの底盤を調整し、及び/又は、品物搬送装置の視野内における指定の在庫品物の識別コードが完全でない場合、撮影アセンブリの視野内における指定の在庫品物の識別コードがより完全になるように品物搬送装置を回転するステップを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年07月31日に中国特許局に提出された、出願番号201910703479.8、出願の名称「在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全てが参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、インテリジェント倉庫保管の分野に関し、特に、在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
倉庫では、貨物を倉庫から積み下ろしドックまで搬送する際、又は逆に貨物をドックから倉庫に搬送する際に機械が使用されている。機械は最初に、主として重い貨物や大型品物の搬送に使われ、人間を重労働から解放するためのものであるが、人工知能やロボット技術の最新発展によって先進的な機械が誕生し、これらの機械について、工業環境のみならず、日常生活でも、数多くの分野で人間の代わりになることが求められる。
【0004】
自動化や人工知能の進歩に関する報告が数多くなされてきたが、精密さと柔軟性の面でロボットは依然として人間に追いつかない。倉庫の配設では、1台の全自動機械は、注文を受けて、倉庫から品物を取り出し、品物を指定された場所に運搬することができ、これは現実よりもサイエンスフィクションのように見える。一部の有名なシステム、例えば、kivaシステムは、指定された位置から別の指定された位置まで大型棚を搬送する簡単な機械的移動を完了することができる。しかし、全自動システムの機能、例えば、指定された棚から在庫品物を取り出して在庫品物を倉庫に格納すると同時に、障害物で満ちた混雑な倉庫内をナビゲーション可能であり、且つ変位した在庫品物を取り扱い可能であるなどの機能は、商用の倉庫用ロボットシステムにはいまだに実現されていない。
【発明の概要】
【0005】
そこで、本発明の目的の1つは、在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法を教示することであり、該倉庫用ロボットは指示に従って在庫品物を出し入れすることができる。本明細書で開示される倉庫用ロボットシステムは柔軟で、効率が高く、耐故障性があり、特に棚で充満した倉庫で使用するのに適する。
【0006】
上述した技術的課題を解決するために、本発明の実施例は以下の技術的解決手段を提供する。
【0007】
本発明は在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法を提供し、棚上の在庫品物は前の行と後ろの行に置かれ、前記方法は、第1在庫品物を搬送する命令を受信するステップと、受信した命令から、第1在庫品物の位置、第1在庫品物が後ろの行にあると示す深さ及び向きを含む第1在庫品物のポジショニング情報を取得するステップと、第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、第2在庫品物が第1在庫品物の前の行にあるか否かを検出するステップと、前の行に第2在庫品物がない場合、品物搬送装置を後ろの行まで伸ばせて第1在庫品物を取得するステップと、前の行に第2在庫品物がある場合、前の行から第2在庫品物を取り出して空いている第1トレイに置くステップと、後ろの行から第1在庫品物を取り出して第1在庫品物を空いている第2トレイに置くステップと、第2在庫品物を棚に戻すステップと、を含む。
【0008】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物の位置は、第1在庫品物の座標と高さを含み、前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは、第1在庫品物の座標付近まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、第1在庫品物の高さまで昇降するよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは更に、第1在庫品物の向きまで回転するよう、品物搬送装置に指示するステップを含む。
【0010】
いくつかの実施例において、第1在庫品物又は第2在庫品物を指定の品物とし、前記第1在庫品物を取り出す前記ステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、指定の在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、伸びるように品物搬送装置に指示するステップと、を含む。
【0011】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断するステップを含む。
【0013】
いくつかの実施例において、昇降して棚の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に指示し、棚の識別コードに基づいて品物搬送装置と棚との相対位置を取得し、品物搬送装置と棚との相対位置に基づき、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断する。
【0014】
いくつかの実施例において、指定の在庫品物は第1在庫品物であり、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは、前の行まで伸びるように品物搬送装置に指示するステップと、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、第1在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、後ろの行まで伸び続けるように品物搬送装置に指示するステップと、を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、倉庫用ロボットが第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置の取得に失敗した場合、予め設定された距離まで伸び続けるよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が伸びる間、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を再度取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施例において、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が後ろの行まで伸び続ける前に、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて第1在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む。
【0017】
いくつかの実施例において、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、指定の在庫品物の画像情報を撮影するよう、品物搬送装置に指示し、画像情報を画像差分アルゴリズムにより処理することで、取得される。
【0018】
いくつかの実施例において、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、品物搬送装置への指示で読み取られた指定の在庫品物の識別コードから、取得される。
【0019】
いくつかの実施例において、品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードの読み取りに失敗した場合、予め設定された幅で昇降を繰り返すよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が昇降する間に、指定の在庫品物の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に再度指示する。
【0020】
いくつかの実施例において、品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードを読み取った場合、識別コードが逆さまに貼られているか否かをチェックする。
【0021】
いくつかの実施例において、前記倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップは、倉庫用ロボットの底盤を調整し、及び/又は、品物搬送装置の視野内における指定の在庫品物の識別コードが完全でない場合、撮影アセンブリの視野内における指定の在庫品物の識別コードがより完全になるように品物搬送装置を回転するステップを含む。
【0022】
従来技術に比べて、本願に提供される在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法は、在庫品物を取り出してトレイに格納するよう、品物搬送装置に指示することで、指定された棚から在庫品物を取り出して在庫品物を倉庫に格納することが実現されると同時に、障害物で満ちた混雑な倉庫内をナビゲーションすることが可能になり、且つ変位した在庫品物を取り扱うことが可能になる。
【0023】
また、第2在庫品物の後ろにある第1在庫品物を取り出すよう、品物搬送装置に指示することにより、棚は前後の2行で設置可能となり、これにより、倉庫における棚の占有面積を減らすとともに、遮蔽された在庫品物を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
1つ又は複数の実施例は、それに対応する添付図面により例示的に説明するが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、図面における同一の参照数字番号を有する素子は類似の素子を示し、特に明記しない限り、添付図面における図は比例制限とはならない。
【0025】
【
図1】倉庫用に特別設計したAGVの例示図である。
【
図3】多層のフレームワークの一部としての昇降装置の例示図である。
【
図5】駆動装置に使用される電動機の例示図である。
【
図7】品物搬送装置の横方向装置の第1実施例の例示図である。
【
図8】品物搬送装置の横方向装置の第2実施例の例示図である。
【
図9】倉庫AGVが1個の在庫品物を取り出す命令を処理するプロセスを示すフローチャートである。
【
図10】倉庫AGVが障害物の後ろにある第1在庫品物を取り出す命令を処理するプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施例が示されている図面を参照して本発明の実施例をさらに十分に説明する。しかしながら、本発明の様々な実施例は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例を提供することにより、本開示が徹底されて完全になり、本開示の範囲が当業者に十分に伝わる。
【0027】
図1を参照すると、一実施例によるAGV100は、駆動ユニット110、多段棚120及び品物搬送装置130を含む。前記駆動ユニット110は、AGV100を駆動して推進するように構成される。前記多段棚120は、1つ又は複数のプレート122と1つの昇降装置124を含む。前記昇降装置124は、前記品物搬送装置130に接続されて前記品物搬送装置130を上昇又は下降させることができる。
図6aから6dにおいて、前記品物搬送装置130は、トレイ、横方向装置及び伸縮可能な装置を含み、これらは本開示に後述される。
【0028】
図2は一実施例による前記AGV100の分解図である。
図2は、カバー202内の内部部材を示す。
図2において、前記多段棚120は、直立フレームワーク226、前記プレート122を支持するブラケット228、及び前記昇降装置124を含むように示される。
図3は、前記直立フレームワーク226と前記昇降装置124の更なる詳細を示す。前記ブラケット226は、2つの直立柱315以及複数の直立用ロッド316を含む。前記昇降装置124は、2つの同期滑車駆動装置343と1つの昇降駆動機構342を含む。
【0029】
前記2つの同期滑車駆動装置343は、前記直立柱315に取り付けられる。いくつかの実施例において、前記昇降装置124は、2つ以上の前記同期滑車駆動装置343を含んでもよい。
図3に示すように、各前記同期滑車駆動装置343は、張り滑車331、同期駆動滑車330及び同期ベルト332を含む。前記同期滑車駆動装置343は前記昇降駆動機構342に接続される。前記昇降駆動機構342は、前記同期ベルト332を移動させるように前記同期駆動滑車330を駆動し、これにより、前記品物搬送装置130を前記多段棚120に沿って上下に昇降させる。
図3において、一実施例による前記昇降駆動機構342は、電動機320、駆動軸321及び歯車ボックス322を含む。いくつかの実施例において、前記電動機320は、液圧駆動システム又は空気圧モータ又は任意の他のタイプのモータで置き換えられてもよい。前記駆動軸321は、前記歯車ボックス322を介して前記同期駆動滑車330を前記電動機320に接続し、前記電動機320の運動エネルギーを前記同期駆動滑車330に伝達して、前記昇降装置124を駆動する。いくつかの実施例において、前記駆動軸321は、2つの同期駆動滑車(図示せず)に接続されて2つの同期駆動滑車の同期移動を確保する。
図3において、2つのカウンタウェイト333は多段棚120の頂部に取り付けられる。前記カウンタウェイト333は、前記カウンタウェイト333に積載されたウェイトにより、前記直立柱315に沿って移動でき、前記昇降装置124の移動と運動量を制御及び緩衝することができる。なお、
図3において、前記昇降装置124は、同期滑車駆動システムとして実現される点に注意されたい。前記昇降装置124を実現するために、スプロケット、歯車ラック、ウォームギヤ及び/又は昇降スクリューロッド等の他の機構を使用してもよい。
【0030】
前記品物搬送装置130をよそに移動させた後、前記駆動ユニット110は
図2に示すように開放される。前記駆動ユニット110の詳細は、
図4の前記駆動ユニット110の分解図に示される。
図4の前記駆動ユニット110は、ベース422、軸座415及びショックアブソーバブラケット425を含む。前記直立柱315は、前記多段棚120を前記駆動ユニット110に取り付けるために、前記ベース422に固定される。
【0031】
前記ベースは、上面421と下面420という2つの面を有する。前記ベースの上面421では、前記軸座415と前記ショックアブソーバブラケット425は、駆動輪溝426と取付溝424によって2つの駆動輪413を収容するためのものである。前記取付溝424は、前記ベース422の中央にあり、前記2つの駆動輪413は取付溝424の下方にあり、前記ベース422を支持する。4つの従動輪412も、支持を提供し、移動を容易にするように、ベース422の4隅に取り付けられる。前記4つの駆動輪412は、前記駆動輪溝426内に取り付けられる。いくつかの実施例において、4つ超又は4つ未満の従動輪があり得る。前記従動輪は、自在輪又は他のタイプのステアリング輪であってもよい。
【0032】
図5は、前記駆動輪413の一実施例を示す。前記駆動輪413は、駆動輪ブラケット530、駆動輪体531、ハブ駆動装置532及びハブ減速装置533を含む。前記駆動輪ブラケット530は、1対のハブブラケット534、1つの軸体535及び1対のショックアブソーバ536を含む。前記ハブ駆動装置532は、中心軸S2に沿って前記駆動輪ブラケット530の中央に取り付けられる。前記ハブ駆動装置532は、前記駆動輪体531に接続されて、前記駆動輪413を駆動する駆動力を提供する。前記ハブ駆動装置532は、前記ハブブラケット534の間に位置する。前記2つのショックアブソーバ536は、それぞれ各前記ハブブラケット534の片側に位置する。前記ショックアブソーバ536は、前記取付溝424を介して
図4に示される前記ショックアブソーバブラケット425に接続される。前記ハブブラケット534は、前記軸体535に接続し、前記軸体535も前記取付溝424を介して前記軸座415に接続される。前記ショックアブソーバ536と前記ハブブラケット534は1つの夾角を形成する。このような構造は、特に前記AGV100が曲がる場合、衝撃又は偏心力の吸収に用いることができる。いくつかの実施例において、前記ハブ駆動装置532は、電動機、液圧駆動システム、空気圧モータ又は他のタイプのモータであってもよい。
【0033】
図1に示すように、一実施例による前記AGV100は、
図2と
図3に示される前記多段棚120、
図4に示される前記駆動ユニット110、及び
図6aから6dに示される前記品物搬送装置130を含む。
【0034】
図6aでは、前記品物搬送装置130は、トレイ633、マニピュレータ632、ホルダ631、2つのスライド部材610、撮影アセンブリ640、プライマリ照明機器641及びセカンダリ照明機器642を含む。マニピュレータ632は2つあり、それぞれ前記トレイの各側に位置する。しかし
図6には1つのマニピュレータのみが示される。また、
図6aには、前記2つのスライド部材610の一方のみが示される。
【0035】
図6aでは、S5、S6及びS7という3つの軸が示される。前記品物処理装置130は、スライド部材610の移動によってS6に沿って伸びる又は収縮することができる。前記品物搬送装置130は横方向に移動することもできる。いくつかの実施例において、横方向移動を実現するために、前記品物搬送装置130は、S5回りに回転できるように構成される。一実施例において、前記品物搬送装置130は、前記トレイ633を左又は右に90°回転するように構成される。他のいくつかの実施例において、横方向移動を実現するために、前記品物搬送装置130は、前記トレイ633を左又は右に移動できるように構成される。前記トレイ633を水平移動するために、前記品物搬送装置130は、S7に平行して前記トレイ633を移動する。
【0036】
前記マニピュレータ632は、前記スライド部材610に沿って収縮する又は伸びることで、S6に沿って前記トレイ633を移動するように構成される。前記マニピュレータ632は、伸縮アーム636及び伸縮する動きを完成させるための押し棒アセンブリ637を含む。
図6bは、一実施例による前記品物搬送装置130の分解図を示す。
図6bの分解図は、各部材内の詳細パーツを示すために、前記品物搬送装置130の5つの部材を描いている。
図6aでは、前記トレイ633は、前記スライド部材610の頂部に描かれている。前記トレイ633をよそに移動すると、
図6bにおける前記スライド部材610の構造が露出される。
【0037】
図6bでは、前記スライド部材610は回転アセンブリ638及びフォーク639に接続される。前記回転アセンブリ638は、前記トレイ633をS6回りに回転させるように構成される。前記回転アセンブリ638の詳細は
図7に示し後述する。
図8に示すように、いくつかの実施例において、前記品物搬送装置130は、回転前記トレイ633を回転させるのではなく、前記トレイ633を水平移動する。前記スライド部材610は、本発明の他の実施例に提供される伸縮装置の一部である。前記回転アセンブリ638は、本発明の他の実施例に提供される横方向装置の一部である。前記横方向装置の別の実施例は、
図8に示される。
【0038】
図6bでは、前記押し棒アセンブリ637は、固定押し棒670、移動押し棒671、駆動装置672及びインナーアーム662を含むように示される。前記インナーアーム662は、中間アーム661内に装着することができ、前記中間アーム661は、アウターアーム660内に装着することができる。前記駆動装置672は、前記インナーアーム662に対して開く又は閉じるように前記移動押し棒671を駆動することができる。前記移動押し棒671は、在庫品物を前記トレイ633上まで移動させ、又は在庫品物を前記トレイ633から離すために用いることができる。
図6bに示す保護プレート635は、前記トレイ633の周囲に取り付けられ、前記トレイ633内に収容される収容物の脱落を防止することができる。
【0039】
図6cは、前記品物搬送装置130の別の拡大図を提供する。2つのアウターアーム660は、それぞれ前記トレイ633の各側に取り付けられる。前記撮影アセンブリ640と前記プライマリ照明機器641は、前記品物搬送装置130の前部に取り付けられる。
図6cには、前記アウターアーム660に接続される第1駆動装置663も示される。
図6dには、前記中間アーム661に接続される第2駆動装置664が示される。前記第1駆動装置663と前記第2駆動装置664のいずれか1つは、伸縮駆動装置(それぞれ3631、3641で示す)とスプロケット装置(それぞれ3630、3640で示す)を含む。いくつかの実施例において、前記第1駆動装置663は、スプロケット装置を含んでもよく、前記第2駆動装置664は、平ベルト装置(図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施例において、前記第1駆動装置663又は第2駆動装置664は、前記品物搬送装置130の伸びる又は収縮する動きを容易にするために、スプロケット装置又は平ベルト装置ではなく、開ループ平ベルト装置(図示せず)を含んでもよい。
【0040】
上述したように、前記品物搬送装置130は、在庫品物の貯蔵中又は検索中の横方向移動を実現するために、前記トレイ633を回転又は水平移動できるように構成される。棚が行に並べられて配置された混雑な倉庫では、横方向に移動して棚の内部まで到達できる前記品物搬送装置130は特に好ましい。前記AGV100が2つの棚の間で移動する時、前記品物搬送装置130は、前記トレイ633を回転させてもよく、前記AGV100全体を回転させることなく前記トレイ633を右側又は左側に移動してもよい。前記AGV100は、曲がるためのスペースが不要であるため、棚の間のスペースは、前記AGV100の幅と同じような狭さでもよい。このように、前記AGV100が棚の間で移動して在庫品物を拾い上げ又は格納する時に必要となるスペースは、通常の倉庫用ロボットよりも小さくなる。
図7と
図8は、前記品物搬送装置130の横方向移動を実現するための2つの実施例を示す。
【0041】
図7は、
図6bに示される前記回転アセンブリ638を示す。
図7では、前記回転アセンブリ638は、回転駆動装置712とポジショニング装置714を含む。前記回転駆動装置712は、駆動電動機(図示せず)と1組の駆動歯車724を含む。前記駆動電動機は、例えば、電動モータ、液圧駆動システム又は空気圧モータである。前記駆動歯車は、例えば、ウォームギヤ機構、遊星歯車機構又は他のタイプの歯車構造である。前記ポジショニング装置714は、第1角度センサ716、第2角度センサ720、第1近接スイッチ726、第2近接スイッチ728及び検出板718を含む。前記ポジショニング装置714は更に、
図7に示していない回転コントローラを含む。
【0042】
前記第1角度センサ716と前記第2角度センサ720は、前記駆動歯車724の円周上に位置し、一定距離離れている。この2つのセンサは、前記品物搬送装置130のトレイ633が指定された位置まで回転したか否かを検出するために用いられる。前記トレイ633が前記回転駆動装置712によって駆動されるため、前記第1近接スイッチ726及び第2近接スイッチ728は前記トレイ633と共に運動する。第1角度センサ716又は第2角度センサ720のうちの該当する一方がいつ前記第1近接スイッチ726又は第2近接スイッチ728のうちの該当する一方を検出したかに基づき、前記トレイ633の角度回転量は前記回転コントローラによって検出及び制御可能となる。
【0043】
いくつかの実施例において、
図7の前記回転コントローラは、前記マニピュレータ632と前記トレイ633を右又は左に90°回転するように制御し、横方向において右側又は左側の棚に到達する前記品物搬送装置130の横方向移動を可能にする。
図8は、前記回転アセンブリ638と異なる機構を示し、前記回転アセンブリ638は、前記トレイ633の横方向移動を可能にするために用いることもできる。
【0044】
図8では、前記マニピュレータ632は、2つのスライド機構852、854を含み、852はX軸運動に用いられ、854はY軸運動に用いられる。前記スライド機構852は、前記マニピュレータ632を移動して、前記マニピュレータ632を伸ばさせる又は収縮させる。前記スライド機構854は、前記マニピュレータ632を左側又は右側に横方向移動する。
図8では、前記マニピュレータ632の両側に光学検出のための2つの撮影アセンブリ856が取り付けられる。左又は右に90°回転するように構成可能な
図6aの品物搬送装置130に比べて、
図8に示すシステムによって駆動される前記品物搬送装置130は回転せず、単に左側又は右側にスライドするだけである。従って、
図6aでは、前記品物搬送装置130の前部に撮影アセンブリ640が1つだけ必要であり、一方、
図8では、2つの撮影アセンブリ856がマニピュレータ632の両側に取り付けられる。
【0045】
図1~8は、1つの俊敏性及び柔軟性の面で優位性を有するAGV100を示す。
図9は、前記AGV100が在庫品物を入れ出しするフローチャートを示す。説明の便宜上、
図9は、品物を取り出すプロセスのみを示す。在庫品物を貯蔵するプロセスはそれに類似し、簡潔のために、詳しく説明しない。当業者であれば、
図9に示される在庫品物の取り出しプロセスから在庫品物の貯蔵プロセスに想到し得る。
【0046】
図9を参照すると、前記AGV100は、倉庫棚から在庫品物を取り出す命令を受信する。いくつかの実施例において、命令は、在庫品物の識別コードのみを含んでもよく、前記AGV100は、識別コードを使って品物のポジション情報を検索する。いくつかの実施例において、命令は、在庫品物のポジショニング情報を含んでもよく、AGV100は、該命令に基づいて取り出し待ち品物のポジション情報を抽出することができる。一実施例において、ポジション情報は、x座標とy座標(座標)又は行番号と列番号等の在庫品物の位置情報、該品物が棚で格納される層番号等の在庫品物の向きと高さ情報を含む。AGV100は品物の位置情報に基づき、倉庫を回ってナビゲーションをし、在庫品物の位置に近づく。
【0047】
AGV100が在庫品物の位置まで到達する(ステップ902)と、プライマリ照明機器641をオンにする(ステップ904)。AGV100は、在庫品物上の識別コードの読み取りを試みる(ステップ906)。いくつかの実施例において、識別コードは、二次元コードであってもよい。他の実施例において、識別コードは、任意のバーコードであってもよい。AGV100が識別コードを読み取れなかった場合、AGV100はサーバに報告してタスクを中止する(ステップ950)。AGV100が識別コードの認識に成功した場合、在庫品物の位置偏差を計算する(ステップ908)。
【0048】
AGV100は、取得した在庫品物の位置偏差をサーバに報告する(ステップ910)ように構成される。サーバは、位置偏差と倉庫レイアウトを使用して在庫品物の正確な位置を特定する(ステップ912)ように構成される。その後、サーバは、在庫品物の正確な位置を用いてそのデータベースを更新する(ステップ914)。
【0049】
AGV100は、位置偏差に基づき、更に品物搬送装置130がAGV100のステーションから在庫品物に直接到達できるか否かを判断する(ステップ924)。是であれば、AGV100は、品物搬送装置130の姿勢を更に調整又は微調整し(ステップ932)、その後、在庫品物の相対位置又は向きを微調整する(ステップ936)ために、前記AGV100を移動すると同時に品物搬送装置130を伸ばさせる(ステップ934)。また、是であれば、前記AGV100は更に、トレイ633が予め設定された範囲内にあるか否かを判断する(ステップ922)。この判定が否であれば、AGV100は、AGVのステーションを微調整し(920)、再度、識別コードの読み取りを試みる(ステップ906)。トレイ633が予め設定された範囲内であれば、AGV100は、品物搬送装置130の姿勢を調整してトレイ633を回転する(ステップ926)。識別コードを再度読み取って位置偏差が閾値範囲内にあるか否かを判断する(ステップ928)。位置偏差が閾値範囲内にある場合、AGV100は、品物搬送装置130を在庫品物まで伸ばさせる(ステップ930)。位置偏差が不適であり又は予め設定された閾値範囲内にない場合、AGV100は、AGV100の姿勢と在庫品物の相対位置を調整する(ステップ936)ために、品物搬送装置を伸ばさせる(ステップ934)。
【0050】
図10を参照すると、いくつかの実施例において、AGV100は、物体又は別の在庫品物の後ろに隠された在庫品物を探して取り出すように構成される。AGV100は、第1在庫品物のポジショニング情報を取得することを指示する命令をサーバから受信できるように構成される。該ポジショニング情報は、第1在庫品物の位置、深さ及び向きを含む。前の行に在庫品物がない場合、AGV100は、棚の後ろの行から第1在庫品物を取得するように構成される。前の行に第2在庫品物がある場合、AGV100は、第2在庫品物を取得して第2在庫品物を多段棚120の空いている第1トレイに置く(ステップ1002)ように構成される。その後、AGV100は、第1在庫品物を取り出して第1在庫品物を多段棚120の空いている第2トレイに置く(ステップ1004)。第1在庫品物を取り出した後、AGV100は、第2在庫品物を棚に戻す(ステップ1006)。
【0051】
いくつかの実施例において、倉庫に使用される棚は、在庫品物が2行又はそれより多くの行で棚内に置かれ又は貯蔵されてもよい。このような倉庫では、AGV100の位置情報及び各在庫品物の記憶された位置情報は、2行の深さを持つ棚に適合するように修正又は調整される。該棚に置かれる在庫品物を出し入れするようにAGV100を制御する方法において、AGV100はまず、第1在庫品物を搬送する命令を受信する。該命令は、第1在庫品物のポジショニング情報、例えば、第1在庫品物の位置、深さ及び向きを含んでもよい。第1在庫品物の深さは、品物が棚の前の行にあると示す場合、AGV100による取り出しプロセスは、前述したプロセスと同じである。第1在庫品物の深さは、該品物が棚の後ろの行にあると示す場合、AGV100による取り出しプロセスでは、AGV100は、後ろの行にある第1在庫品物に到達するために、前の行にある在庫品物を取り除く必要があり得る。いくつかの構成において、AGV100は、前の行にある第2在庫品物を取得してその1つの空いているトレイに置き、そして、後ろの行から第1在庫品物を取り出してその別の空いているトレイに置くように構成される。その後、ロボットは前の行の品物を前の行に戻す。実際に、折よく異なる行の同じ位置にある第1及び第2在庫品物を取り出すよう、AGV100に指示する場合、AGV100は、第2在庫品物を棚に戻す必要がない。
【0052】
いくつかの実施例において、AGV100は、第1又は第2在庫品物の位置偏差を検出し、AGV100の姿勢と位置、棚に到達して第1在庫品物を取得する前の第1在庫品物の位置、及び棚に到達して第2在庫品物を取得する前の第2在庫品物の位置を調整するように構成される。一実施例において、AGV100は、検出した位置ずれが閾値を下回るまで位置調整プロセスを繰り返してもよい。一実施例において、AGV100は、サーバに位置ずれを報告してサーバによる倉庫地図の更新を可能にするように構成される。倉庫の地図は、レイアウト、即ち棚の位置と在庫品物の貯蔵位置を示すことができる。
【0053】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物の位置は、第1在庫品物の座標と高さを含み、前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは、第1在庫品物の座標付近まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、第1在庫品物の高さまで昇降するよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む。
【0054】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは更に、第1在庫品物の向きまで回転するよう、品物搬送装置に指示するステップを含む。品物搬送装置が1つの向きでのみ在庫品物を搬送可能である場合、在庫品物が品物搬送装置の搬送向きにあるように、品物搬送装置を回転させる必要がある。他のいくつかの実施例では、AGV100のステーションを調整することで、在庫品物が品物搬送装置の搬送向きにあるようにするが、かかる時間がより長くなり、効率がより低くなる。
【0055】
いくつかの実施例において、第1在庫品物の取り出しと第2在庫品物の取り出しにおいて類似するステップがあるため、これらの類似するステップの説明を簡略化するために、1個の在庫品物を例にして説明する。第1在庫品物又は第2在庫品物を指定の品物とし、前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、指定の在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、伸びるように品物搬送装置に指示するステップと、を含む。在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づけば、品物搬送装置が在庫品物に直接到達できるか否かを判断できる。
【0056】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む。
【0057】
いくつかの実施例において、前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断するステップを含む。このステップにより、伸びた品物搬送装置が棚に衝突して、品物搬送装置又は在庫品物が破損してしまうことを回避できる。伸びた品物搬送装置が棚に衝突すると判断した場合、エラーモードに入る。エラーモードにおいて、品物搬送装置がリセットされて再動作し、再動作してから再度判断し、依然としてエラーが発生した場合、サーバに報告して作業を一時停止する。
【0058】
いくつかの実施例において、昇降して棚の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に指示し、棚の識別コードに基づいて品物搬送装置と棚との相対位置を取得し、品物搬送装置と棚との相対位置に基づき、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断する。棚の識別コードは在庫品物の上方又は下方にあり、上方にある場合、上昇して棚の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に指示し、逆の場合、下降して棚の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に指示する。
【0059】
いくつかの実施例において、指定の在庫品物は第1在庫品物であり、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは、前の行まで伸び、予め設定された時間維持するよう、品物搬送装置に指示するステップと、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、第1在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、後ろの行まで伸び続けるよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む。品物搬送装置を前の行まで伸ばさせることで、第1在庫品物との距離が短縮され、取得した相対位置の精度が高まる。
【0060】
いくつかの実施例において、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、倉庫用ロボットが第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置の取得に失敗した場合、予め設定された距離まで伸び続けるよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が伸びる間、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を再度取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップを含む。
【0061】
いくつかの実施例において、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が後ろの行まで伸び続ける前に、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて第1在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む。
【0062】
いくつかの実施例において、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、指定の在庫品物の画像情報を撮影するよう、品物搬送装置に指示し、画像情報を画像差分アルゴリズムにより処理することで、取得される。
【0063】
いくつかの実施例において、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、品物搬送装置への指示で読み取られた指定の在庫品物の識別コードから、取得される。
【0064】
いくつかの実施例において、品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードの読み取りに失敗した場合、予め設定された幅で昇降を繰り返すよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が昇降する間に、指定の在庫品物の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に再度指示する。在庫品物の識別コードの再度読み取りが失敗した場合、エラーモードに入る。
【0065】
いくつかの実施例において、品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードを読み取った場合、識別コードが逆さまに貼られているか否かをチェックする。逆さまに貼られている場合はサーバに報告し、訂正するよう、作業者に通知する。
【0066】
いくつかの実施例において、前記倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップは、倉庫用ロボットの底盤を調整し、及び/又は、品物搬送装置の視野内における指定の在庫品物の識別コードが完全でない場合、撮影アセンブリの視野内における指定の在庫品物の識別コードがより完全になるように品物搬送装置を回転するステップを含む。
【0067】
従来技術に比べて、本願に提供される在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法では、品物搬送装置によって在庫品物をトレイに搬送することで、指定された棚から在庫品物を取り出して在庫品物を倉庫に格納することが実現されると同時に、障害物で満ちた混雑な倉庫内をナビゲーションすることが可能になり、且つ変位した在庫品物を取り扱うことが可能になる。
【0068】
また、第2在庫品物の後ろにある第1在庫品物を取り出すよう、品物搬送装置に指示することにより、棚は前後の2行で設置可能となり、これにより、倉庫における棚の占有面積を減らすとともに、遮蔽された在庫品物を取り出すことができる。
【0069】
本明細書では、具体的な実施例を参照して本発明を説明及び図示したが、本発明は、示された詳細に限定されることを意図していない。むしろ、特許請求の範囲及びその同等範囲内で、本開示から逸脱することなく、細部に様々な修正を加えることができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚上の在庫品物は前の行と後ろの行に置かれ、
第1在庫品物を搬送する命令を受信するステップと、
受信した命令から、第1在庫品物の位置、第1在庫品物が後ろの行にあると示す深さ及び向きを含む第1在庫品物のポジショニング情報を取得するステップと、
第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
第2在庫品物が第1在庫品物の前の行にあるか否かを検出するステップと、
前の行に第2在庫品物がない場合、品物搬送装置を後ろの行まで伸ばさせて第1在庫品物を取得するステップと、
前の行に第2在庫品物がある場合、前の行から第2在庫品物を取り出して空いている第1トレイに置くステップと、
後ろの行から第1在庫品物を取り出して第1在庫品物を空いている第2トレイに置くステップと、
第2在庫品物を棚に戻すステップと、を含
み、
前記品物搬送装置が伸びて在庫品物を取り出すには、具体的に、
前記倉庫ロボットは、棚の識別コードを読み取って在庫品物の位置偏差を計算し、前記位置偏差に基づき前記品物搬送装置が前記倉庫ロボットのステーションから前記在庫品物に直接到達できるか否かを判断するステップと、
前記在庫品物に直接到達できない場合は、トレイが予め設定された範囲内にあるかどうかも判断し、前記トレイが前記予め設定された範囲内にある場合は、前記品物搬送装置の姿勢を調整してトレイを回転させ、前記棚の識別コード再度読み取り前記位置偏差がしきい値範囲内にあるかどうかを判断するステップと、
前記位置偏差が前記しきい値範囲内にない場合は、前記倉庫ロボットの姿勢および前記品物搬送装置と前記在庫品物との相対位置を調整し、調整が完了した後前記品物搬装置のマニピュレータを伸ばし、前記在庫品物を前記品物搬送装置のトレイに移動するステップとを含み、ここ、前記マニピュレータは、前記品物搬送装置のスライド部材に沿って収縮するまたは伸びるときにトレイを移動させる、ことを特徴とする在庫品物を出し入れするように倉庫用ロボットを制御する方法。
【請求項2】
前記第1在庫品物の位置は、第1在庫品物の座標と高さを含み、
前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは、
第1在庫品物の座標付近まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
第1在庫品物の高さまで昇降するよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1在庫品物の位置まで移動するよう、倉庫用ロボットに指示するステップは更に、
第1在庫品物の向きまで回転するよう、品物搬送装置に指示するステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1在庫品物又は第2在庫品物を指定の品物とし、前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは、
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、
指定の在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、
伸びるように品物搬送装置に指示するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、
倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1在庫品物を取り出すステップ又は前記第2在庫品物を取り出すステップは更に、
倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が伸びる前に、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断するステップを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
昇降して棚の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に指示し、棚の識別コードに基づいて品物搬送装置と棚との相対位置を取得し、品物搬送装置と棚との相対位置に基づき、品物搬送装置が伸びることにより棚に衝突するか否かを判断する、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
指定の在庫品物は第1在庫品物であり、前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは、
前の行まで伸びるように品物搬送装置に指示するステップと、
第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップと、
第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置に基づいて指定の在庫品物の位置偏差を計算するステップと、
第1在庫品物の位置偏差を補償するように倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップと、
後ろの行まで伸び続けるよう、品物搬送装置に指示するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、
倉庫用ロボットが第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置の取得に失敗した場合、予め設定された距離まで伸び続けるよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が伸びる間、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を再度取得するよう、倉庫用ロボットに指示するステップを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記伸びるように品物搬送装置に指示するステップは更に、
倉庫用ロボットの姿勢調整が完了した後且つ品物搬送装置が後ろの行まで伸び続ける前に、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置を取得するよう、倉庫用ロボットに再度指示し、第1在庫品物と品物搬送装置との相対位置をデータベースに更新し、更新後の相対位置に基づいて第1在庫品物の位置偏差を再計算し、そして再計算された位置偏差に基づいて倉庫用ロボットの姿勢を再度調整するステップを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、指定の在庫品物の画像情報を撮影するよう、品物搬送装置に指示し、画像情報を画像差分アルゴリズムにより処理することで、取得される、ことを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
指定の在庫品物と品物搬送装置との相対位置は、品物搬送装置への指示で読み取られた指定の在庫品物の識別コードから、取得される、ことを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードの読み取りに失敗した場合、予め設定された幅で昇降を繰り返すよう、品物搬送装置に指示し、そして品物搬送装置が昇降する間に、指定の在庫品物の識別コードを読み取るよう、品物搬送装置に再度指示する、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
品物搬送装置が指定の在庫品物の識別コードを読み取った場合、識別コードが逆さまに貼られているか否かをチェックする、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記倉庫用ロボットの姿勢を調整するステップは、
倉庫用ロボットの底盤を調整し、及び/又は、品物搬送装置の視野内における指定の在庫品物の識別コードが完全でない場合、撮影アセンブリの視野内における指定の在庫品物の識別コードがより完全になるように品物搬送装置を回転するステップを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】