(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】IDO阻害剤の投与レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4245 20060101AFI20220930BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220930BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220930BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220930BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220930BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20220930BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220930BHJP
【FI】
A61K31/4245
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61P35/02
A61P35/04
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506474
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020044533
(87)【国際公開番号】W WO2021022172
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ニュートン,ロバート シー
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンズ,シェリー
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB42
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC71
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA21
4C086MA23
4C086MA24
4C086MA27
4C086MA31
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、エパカドスタットを、PD-1に結合する抗体またはその抗体断片と組み合わせて投与することによって、がんを治療するための投与レジメンに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のがんを治療する方法であって、前記患者に、
(i)1日2回の遊離塩基ベースで約400mg~約700mgの用量のエパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩と、
(ii)ヒトPD-1に結合する抗体、またはその抗原結合断片であって、前記抗体が(ii-1)可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインと、(ii-2)可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインと、を含む、前記抗体、またはその抗原結合断片と、を投与することを含み、
(a)前記VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
(b)前記VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
(c)前記VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
(d)前記VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
(e)前記VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
(f)前記VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、前記方法。
【請求項2】
前記エパカドスタットが遊離塩基として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エパカドスタットが1日2回約400mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エパカドスタットが1日2回約425mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記エパカドスタットが1日2回約450mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記エパカドスタットが1日2回約475mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記エパカドスタットが1日2回約500mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記エパカドスタットが1日2回約525mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記エパカドスタットが1日2回約550mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記エパカドスタットが1日2回約575mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記エパカドスタットが1日2回約600mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が約500mgの用量で投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体が4週毎に1回約500mgの固定用量で投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が3週毎に1回約375mgの固定用量で投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体が静脈投与を介して投与される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗VHドメインが、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が重鎖を含み、前記重鎖が配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記VLドメインが、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体が軽鎖を含み、前記軽鎖が配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記VHドメインが配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、前記VLドメインが配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗体が重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が配列番号2に示される前記アミノ酸配列を含み、前記軽鎖が配列番号3に示される前記アミノ酸配列を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体が、IgG4アイソタイプのFc領域及び安定化変異を含むIgG4ヒンジドメインを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが固形腫瘍である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが、皮膚癌、肺癌、リンパ腫、肉腫、膀胱癌、尿管癌、尿道癌、及び尿膜管癌、胃癌、子宮頸癌、肝癌、乳癌、腎癌、頭頸部癌、扁平上皮細胞癌、大腸癌、子宮内膜癌、肛門癌、ならびにマイクロサテライト不安定性高(MSI-H)、ミスマッチ修復欠損(dMMR)、またはDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異陽性疾患を有する腫瘍である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、胆管細胞癌、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌、胃癌、肝細胞癌、メルケル細胞癌、トリプルネガティブ乳癌、腎細胞癌、頭頸部の扁平上皮細胞癌、及び大腸癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記がんが、肛門管の扁平上皮細胞癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記がんがメルケル細胞癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記がんが子宮内膜癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが子宮頸癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記がんが腎癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記がんが腎臓腎明細胞癌である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記がんが肺癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記がんが前記肺の腺癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記がんが肺の扁平上皮細胞癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記がんが非小細胞肺癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記がんが頭頚部がんである、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記がんが頭頚部扁平上皮細胞癌である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記がんが膀胱癌である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記膀胱癌が、高リスクBCG非応答性非筋浸潤性膀胱癌である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記がんがマイクロサテライト安定(MSS)である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記がんがPD-L1陽性である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記がんがマイクロサテライト安定(MSS)及びPD-L1陽性である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月1日出願の米国仮出願第62/881,518号の優先権の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、エパカドスタットを、PD-1に結合する抗体またはその抗体断片と組み合わせて投与することによって、がんを治療するための投与レジメンに関する。
【背景技術】
【0003】
トリプトファン(Trp)は、タンパク質、ナイアシン及び神経伝達物質5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)の生合成に必要な必須アミノ酸である。酵素インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(INDO、IDO、またはIDO1としても知られる)は、L-トリプトファンのN-ホルミル-キヌレニンへの分解における第1の律速段階を触媒する。ヒト細胞において、IDO活性に起因するTrpの枯渇は、顕著なガンマインターフェロン(IFN-γ)誘導性抗微生物エフェクター機序である。IFN-γ刺激は、IDOの活性化を誘導し、これはTrpの枯渇をもたらし、それによってTrp依存性細胞内病原体、例えばToxoplasma gondii及びChlamydia trachomatisの成長を阻止する。IDO活性はまた、多くの腫瘍細胞に抗増殖作用を有し、IDO誘導は、同種腫瘍の拒絶中にインビボで観察され、腫瘍拒絶プロセスにおけるこの酵素の可能性のある役割を示す(Daubener,et al.,1999,Adv.Exp.Med.Biol.,467:517-24、Taylor,et al.,1991,FASEB J.,5:2516-22)。
【0004】
末梢血リンパ球(PBL)と共培養したHeLa細胞は、IDO活性の上方制御を通じて免疫抑制表現型を獲得することが観察されている。インターロイキン-2(IL2)で処理したときのPBL増殖の減少は、PBLによるIFNG分泌に応答して、腫瘍細胞によって放出されたIDOから生じると考えられた。この効果は、特異的IDO阻害剤である1-メチル-トリプトファン(1MT)で処理することによって逆転した。腫瘍細胞におけるIDO活性は、抗腫瘍応答を損なう役割を果たし得ることが提案された(Logan,et al.,2002,Immunology,105:478-87)。
【0005】
最近では、Trp枯渇の免疫調節役割が多くの注目を浴びている。数連の証拠は、IDOが免疫寛容の誘導に関与していることを示唆している。哺乳動物の妊娠、腫瘍耐性、慢性感染症及び自己免疫疾患の研究は、IDOを発現する細胞がT細胞応答を抑制し寛容を促進することができることを示している。例えば、IFNのレベルの増加及び尿中Trp代謝産物のレベルの上昇が、自己免疫疾患において観察されており、自己免疫疾患において生じるTrpの全身または局所的な枯渇は、これらの疾患の変性及及び消耗性症状に関連する可能性があると仮定されている。
【0006】
IDOによるトリプトファン分解に基づく腫瘍免疫耐性機序のさらなる証拠は、ほとんどのヒト腫瘍がIDOを構成的に発現し、免疫原性マウス腫瘍細胞によるIDOの発現が、予め免疫化されたマウスによるそれらの拒絶を防止するという観察から得られる。この効果は、腫瘍部位における特異的T細胞の蓄積の欠如を伴い、顕著な毒性がない場合に、IDOの阻害剤を用いたマウスの全身的処置によって部分的に戻すことができる。したがって、がん患者の治療的ワクチン接種の有効性は、IDO阻害剤の併用投与によって改善され得ることが示唆された(Uyttenhove et al.,2003,Nature Med.,9:1269-74)。IDO阻害剤、1-MTは、マウスの腫瘍増殖を減少させるために化学療法剤と相乗作用することができることも示されており、IDO阻害は、従来の細胞傷害性療法の抗腫瘍活性も増強し得ることが示唆されている(Muller et al.,2005,Nature Med.,11:312-9)。
【0007】
腫瘍に対する免疫学的非応答性に寄与する1つの機序は、免疫寛容原性宿主APCによる腫瘍抗原の提示であり得る。CD123(IL3RA)及びCCR6を共発現し、T細胞増殖を阻害したヒトIDO発現抗原提示細胞(APC)のサブセットも説明されている。成熟及び未成熟CD123陽性樹状細胞の両方がT細胞活性を抑制し、このIDO抑制性活性は、1MTによって遮断された(Munn,et al.,2002,Science,297:1867-70)。また、マウス腫瘍排出リンパ節(TDLN)は、IDOの免疫抑制レベルを構成的に発現する形質細胞様樹状細胞(pDC)のサブセットを含有することも実証されている。インビトロでは、0.5%のリンパ節細胞のみを含むにもかかわらず、これらのpDCは、pDC自身によって提示された抗原に対するT細胞応答を強力に抑制し、また、優位な方式で、非抑制性APCによって提示された第三者抗原に対するT細胞応答を抑制した。pDC集団内で、機能的IDO媒介性サプレッサー活性の大部分は、B系統マーカーCD19を共発現する新規のpDCサブセットと分離された。したがって、TDLNにおけるpDCによるIDO媒介性抑制は、宿主抗腫瘍T細胞応答を強力に抑制する局所微小環境を作製すると仮定された(Munn,et al.,2004,J.Clin.Invest.,114(2):280-90)。
【0008】
IDOは、トリプトファン、セロトニン及びメラトニンのインドール部分を分解し、キヌレニンとして総称される神経活性及及び免疫調節代謝産物の産生を開始する。トリプトファンを局所的に枯渇させ、アポトーシス促進性キヌレニンを増加させることによって、樹状細胞(DC)によって発現されたIDOは、T細胞の増殖及び生存に大きく影響を与えることができる。DCにおけるIDO誘導は、調節性T細胞によって駆動される欠失性寛容の一般的な機序であり得る。そのような寛容原性応答は、様々な生理病理学的条件下で作動することが予想され得るため、トリプトファン代謝及びキヌレニン産生は、免疫系と神経系との間の重要なインタフェースを表し得る(Grohmann,et al.,2003,Trends Immunol.,24:242-8)。持続性免疫活性化の状態では、遊離血清Trpの利用可能性が減少し、セロトニン産生の減少の結果として、セロトニン作動性機能も影響を受ける可能性がある(Wirleitner,et al.,2003,Curr.Med.Chem.,10:1581-91)。
【0009】
免疫抑制ならびに腫瘍抵抗性及び/または拒絶におけるIDOの役割を示す実験データに照らして、IDO活性を阻害することによるトリプトファン分解の抑制を目的とする治療剤が望ましい。IDO1の1つの強力な阻害剤は、以下の式を有するエパカドスタット(INCB24360;4-({2-[(アミノスルホニル)アミノ]エチル}アミノ)-N-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)-N’-ヒドロキシ-1,2,5-オキサジアゾール-3-カルボキシミドアミド)である:
【化1】
【0010】
IDO1阻害剤を使用するがんに対する新しい治療レジメンが依然として必要とされている。本開示は、この必要性及び他の必要性を対象とする。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、とりわけ、患者のがんを治療する方法であって、該患者に、
(i)1日2回の遊離塩基ベースで約400mg~約700mgの用量のエパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩と、
(ii)ヒトPD-1に結合する抗体、またはその抗原結合断片であって、抗体が(ii-1)可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインと、(ii-2)可変軽(VL)CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインと、を含む、抗体、またはその抗原結合断片と、を投与することを含み、
(a)VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
(b)VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
(c)VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
(d)VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
(e)VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
(f)VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約600mgの用量で投与される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、患者におけるがんの治療方法をさらに提供し、該患者に、
(i)1日2回、遊離塩基ベースで、約400mg~約700mgの用量のエパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び
(ii)抗体Xである、ヒトPD-1と結合する抗体を投与することを含む。
【0014】
抗体Xは、レチファンリマブ(retifanlimab)である。意外なことに、本開示の方法におけるエパカドスタットの用量(例えば、600mg)は、抗体Xと組み合わせて投与されたときに、より低い用量(例えば、1日2回100mg)と比較して、キヌレニンレベルを意外に低くすることが示されている(以下の実施例1を参照)。任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、請求されるエパカドスタットの用量は、抗体Xのような免疫系刺激剤の結果として誘導される追加のIDO1活性を遮断することによって機能すると考えられる。
【0015】
ヒトPD-1タンパク質(Genbank受託番号NP_005009)のアミノ酸配列は、MQIPQAPWPVVWAVLQLGWRPGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVVGVVGGLLGSLVLLVWVLAVICSRAARGTIGARRTGQPLKEDPSAVPVFSVDYGELDFQWREKTPEPPVPCVPEQTEYATIVFPSGMGTSSPARRGSADGPRSAQPLRPEDGHCSWPL(配列番号1)である。
【0016】
抗体Xは、ヒトPD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2017019846を参照されたい)。成熟抗体X重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を以下に記載する。
【0017】
可変重(VH)ドメイン及び可変軽(VL)ドメインの相補性決定領域(CDR)1、2、及び3は、成熟VL及びVH配列のN末端からC末端までの順序で示され、両方とも下線及び太字である。以下に列挙する成熟重鎖(配列番号2)及び成熟軽鎖(配列番号3)からなる抗体は、抗体Xと称される。
【0018】
【0019】
【0020】
抗体Xの可変重(VH)ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する。
【化4】
【0021】
抗体Xの可変軽(VL)ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する。
【化5】
【0022】
抗体XのVH CDRのアミノ酸配列を以下に列挙する。
VH CDR1:SYWMN(配列番号6)、
VH CDR2:VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)、
VH CDR3:EHYGTSPFAY(配列番号8)
【0023】
抗体XのVL CDRのアミノ酸配列を以下に列挙する:
VL CDR1:RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)、
VL CDR2:AASNQGS(配列番号10)、及び
VL CDR3:QQSKEVPYT(配列番号11)。
【0024】
したがって、本開示は、患者のがんを治療する方法であって、該患者に、
(i)1日2回の遊離塩基ベースで約400mg~約700mgの用量のエパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩と、
(ii)ヒトPD-1に結合する抗体であって、抗体が(ii-1)可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインと、(ii-2)可変軽(VL)CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインと、を含む、抗体と、を投与することを含み、
(a)VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
(b)VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
(c)VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
(d)VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
(e)VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
(f)VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含む、方法を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態において、抗体は、Fc領域がIgG4アイソタイプであるFc領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、IgG4アイソタイプのFc領域及び安定化変異を含むIgG4ヒンジドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、鎖交換の発生を低減するために、IgG4アイソタイプのFc領域及びS228P置換を含むIgG4ヒンジドメインを含む(例えば、配列番号13:ESKYGPPCPPCP(Lu et al,(2008)“The Effect Of A Point Mutation On The Stability Of IgG4 As Monitored By Analytical Ultracentrifugation”J.Pharmaceutical Sciences 97:960-969)を参照されたい)。
【0026】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩及び抗体Xが、患者に同時に、または順次投与される。いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩及び抗体Xが、患者に同時に投与される。いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩及び抗体Xが、患者に順次投与される。
【0027】
いくつかの実施形態において、がんは固形腫瘍である。
【0028】
いくつかの実施形態において、VHドメインは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、抗体は重鎖を含み、重鎖が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、VLドメインは、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、抗体は軽鎖を含み、軽鎖が配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む
【0032】
いくつかの実施形態において、VHドメインが、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、VLドメインが、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体である。
【0035】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約500mg~約700mgの用量で投与される。
【0036】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約400mg~約600mgの用量で投与される。
【0037】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約500mg~約600mgの用量で投与される。
【0038】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約400mg~約600mgの用量で投与される。
【0039】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約550mg~約650mgの用量で投与される。
【0040】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約575mg~約625mgの用量で投与される。
【0041】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約400mgの用量で投与される。
【0042】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約425mgの用量で投与される。
【0043】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約450mgの用量で投与される。
【0044】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約475mgの用量で投与される。
【0045】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約500mgの用量で投与される。
【0046】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約525mgの用量で投与される。
【0047】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約550mgの用量で投与される。
【0048】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約575mgの用量で投与される。
【0049】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約600mgの用量で投与される。
【0050】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約625mgの用量で投与される。
【0051】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約650mgの用量で投与される。
【0052】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約675mgの用量で投与される。
【0053】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回の遊離塩基ベースで約700mgの用量で投与される。
【0054】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、遊離塩基として投与される。
【0055】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約400mgの用量で投与される。
【0056】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約425mgの用量で投与される。
【0057】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約450mgの用量で投与される。
【0058】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約475mgの用量で投与される。
【0059】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約500mgの用量で投与される。
【0060】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約525mgの用量で投与される。
【0061】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約550mgの用量で投与される。
【0062】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約575mgの用量で投与される。
【0063】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約600mgの用量で投与される。
【0064】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約625mgの用量で投与される。
【0065】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約650mgの用量で投与される。
【0066】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約675mgの用量で投与される。
【0067】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、1日2回約700mgの用量で投与される。
【0068】
いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、薬学的組成物として投与される。いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与される。いくつかの実施形態において、エパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩は、固体経口剤形として投与される。いくつかの実施形態において、固体経口剤形は、錠剤またはカプセルである。いくつかの実施形態において、固体経口剤形は、錠剤である。いくつかの実施形態において、所望の用量を達成するために、複数の錠剤が投与される。
【0069】
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、様々な方法によって、対象、例えば、それを必要とする対象、例えば、ヒト対象に投与され得る。多くの用途において、投与経路は、静脈内注射または注入(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)、または筋肉内注射のうちの1つである。関節内送達を使用することも可能である。非経口投与の他の方法も使用することができる。そのような様式の例としては、動脈内、くも膜下腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、ならびに硬膜外及び胸骨内注射が挙げられる。いくつかの場合では、投与は経口であり得る。
【0070】
抗体またはその抗原結合断片の投与経路及び/または投与様式はまた、例えば、対象をモニタリングすることによって、例えば、腫瘍を視覚化するために、例えば断層撮像を使用して、個々の症例に合わせて調整され得る。
【0071】
抗体または抗原結合断片は、固定用量として、またはmg/kg患者体重用量で投与され得る。用量はまた、抗体または抗原結合断片に対する抗体の産生を低減または回避するように選択され得る。投薬レジメンは、所望の応答(例えば、治療応答)または組み合わせ治療効果を提供するために調整される。一般に、抗体または抗原結合断片(及び任意選択で第2の薬剤)の用量は、対象に薬剤を生物が利用可能な量で提供するために使用され得る。例えば、約0.1~100mg/kg、約0.5~100mg/kg、約1mg/kg~100mg/kg、約0.5~20mg/kg、約0.1~10mg/kg、または約1~10mg/kgの範囲の用量を投与することができる。他の用量も使用することができる。特定の実施形態において、治療を必要とする対象に、抗体または抗原結合断片を、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、または約40mg/kgの用量で投与する。用量または投薬量に関して、「約」という用語は、例えば、約3mg/kgの用量が2.7mg/kg患者体重~3.3mg/kg患者体重であるような、列挙された用量の±10%の範囲を示すことが意図される。
【0072】
組成物は、約1mg/mL~100mg/mL、または約10mg/mL~100mg/mL、または約50~250mg/mL、または約100~150mg/mL、または約100~250mg/mLの抗体もしくは抗原結合断片を含んでよい。
【0073】
本明細書で使用される投薬単位形態または「固定用量」または「均一用量」は、対象を治療するための単位投薬量として適した、物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体に関連して、及び任意選択で他の薬剤に関連して所望の治療効果をもたらすように算出された、既定量の活性化合物を含有する。単回または複数回の投薬が行われ得る。代替的に、または加えて、抗体またはその抗原結合断片は、連続注入を介して投与されてもよい。例示的な固定用量は、約375mg、約500mg、及び約750mgを含む。用量または投薬量に関して、「約」という用語は、例えば、約375mgの用量が337.5mg~412.5mgになるように、列挙された用量の±10%の範囲を示すことが意図される。
【0074】
抗体または抗原結合断片用量は、例えば、少なくとも2回の用量、3回の用量、5回の用量、10回の用量、またはそれ以上、例えば、1日1回もしくは2回、または1週間に約1~4回、または好ましくは週1回、隔週(2週間毎)、3週間毎、月1回、例えば、約1~12週間、好ましくは2~8週間、より好ましくは約3~7週間、さらにより好ましくは約4、5、または6週間を包含するのに十分な期間(治療の経過)にわたって周期的な間隔で投与することができる。対象を効果的に治療するために必要とされる投薬量及び時期に影響を及ぼし得る因子としては、例えば、疾患または障害の重症度、製剤、送達経路、以前の治療、対象の一般的な健康及び/または年齢、ならびに存在する他の疾患が挙げられる。さらに、治療有効量の化合物を用いた対象の治療は、単一の治療を含むことができ、または好ましくは、一連の治療を含むことができる。
【0075】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、3週毎に1回、約375mgの固定用量で投与される。
【0076】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、4週毎に1回、500mgの固定用量で投与される。
【0077】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、4週毎に1回、約750mgの固定用量で投与される。
【0078】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、2週毎に1回、約1mg/kgの用量で投与される。
【0079】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、2週毎に1回、約3mg/kgの用量で投与される。
【0080】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、4週毎に1回、約3mg/kgの用量で投与される。
【0081】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、2週毎に1回、約10mg/kgの用量で投与される。
【0082】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、4週毎に1回、約10mg/kgの用量で投与される。
【0083】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、3週毎に1回、約375mgの固定用量で投与される。
【0084】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、4週毎に1回、約500mgの用量で投与される。
【0085】
上記の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗体または抗原結合断片は、4週毎に1回、約750mgの用量で投与される。
【0086】
いくつかの実施形態において、「約」という用語は、値の±10%を指す。当業者は、本明細書に提示される値が、データ収集または計器のばらつきなどの実験の条件に起因して変化し得ることを知っているであろう。
【0087】
エパカドスタット
エパカドスタットは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,088,803号及び第9,321,755号に記載されているように合成することができる。
【0088】
本開示はまた、本明細書に記載されるエパカドスタットの薬学的に許容される塩も含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、エパカドスタット及びその塩は、実質的に単離されている。「実質的に単離されている」とは、エパカドスタット及びその塩が形成または検出された環境から化合物が少なくとも部分的に、または実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離には、例えば、エパカドスタットの濃縮された組成物を含むことができる。実質的な分離とは、エパカドスタットまたはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含有する組成物を含むことができる。化合物及びそれらの塩を単離する方法は、当該技術分野において日常的なものである。
【0090】
エパカドスタットは、様々な固体形態で存在することができる。本明細書で使用される場合、「固体形態」は、例えば、融点、溶解度、安定性、結晶性、吸湿性、水含有量、TGA特徴、DSC特徴、DVS特徴、XRPD特徴などの1つ以上の特性を特徴とする固体を指すことを意味する。固体形態は、例えば、非晶質、結晶質、またはそれらの混合物であり得る。
【0091】
異なる結晶性固体形態は、典型的には、異なる結晶格子(例えば、単位胞)を有し、その結果、通常、異なる物理特性を有する。場合によっては、異なる結晶固体形態は、異なる水または溶媒含有量を有する。異なる結晶格子は、固体状態特性評価方法によって、例えば、X線粉末回折(XRPD)によって特定することができる。他の特性評価方法、例えば示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、動的蒸気収着(DVS)などは、固体形態の特定をさらに助け、同様に安定性及び溶媒/水含有量の決定を助ける。
【0092】
いくつかの実施形態において、固体形態は、結晶形態である。いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、米国特許第8,088,803号に記載される結晶性固体である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に無水である(例えば、約1%未満の水、約0.5%未満の水、約1.5%未満の水、約2%未満の水を含有する)。例えば、水の含有量は、カール・フィッシャー滴定によって決定される。いくつかの実施形態において、固体形態は、約162~約166℃を中心とする融点、またはDSC吸熱を特徴とする。いくつかの実施形態において、固体形態は、約164℃を中心とする融点またはDSC吸熱を特徴とする。いくつかの実施形態において、固体形態は、20℃から150℃まで10℃/分の加熱速度で加熱すると、0.3%の重量損失を有する。
【0093】
さらなる実施形態では、固体形態は、2θが約18.4°、約18.9°、約21.8°、約23.9°、約29.2°、及び約38.7°から選択される、少なくとも1つ、2つ、または3つのXRPDピークを有する。
【0094】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、以下の表に提供される2θピークのリストからのピークのうちの1つ以上を有する。
【表1】
【0095】
反射(ピーク)のXRPDパターンは、典型的には特定の結晶形態の指紋とみなされる。XRPDピークの相対強度は、特にサンプルの調製技法、結晶サイズの分布、使用される様々なフィルター、サンプルの取り付け手順、及び用いられる特定の計器に応じて広く変化し得ることがよく知られている。いくつかの事例では、計器の種類または設定に応じて、新たなピークが観測され得るか、または既存のピークが消失し得る。本明細書で使用される場合、「ピーク」という用語は、最大ピーク高さ/強度の少なくとも約4%の相対高さ/強度を有する反射を指す。さらに、計器の変動及び他の要因は、2θ値に影響を及ぼし得る。したがって、本明細書で報告されるものなどのピーク帰属は、プラスまたはマイナス約0.2°(2θ)だけ変化し得、「実質的に」という用語は、本明細書でXRPDの文脈において使用される場合、上述の変化を包含することを意味する。
【0096】
同様に、DSC、TGA、または他の熱実験に関する温度読み取りは、計器、特定の設定、サンプル調製などに応じて約±3℃変化し得る。
【0097】
薬学的組成物は、本明細書に記載される薬剤の「治療有効量」を含み得る。かかる有効量は、投与される薬剤の効果、または2つ以上の薬剤が使用される場合の薬剤の組み合わせ効果に基づいて決定され得る。薬剤の「治療有効量」はまた、個人の疾患状態、年齢、性別、及び体重などの要因、ならびに個人における所望の応答を引き出す化合物の能力、例えば、少なくとも1つの障害パラメータの改善、または少なくとも1つの障害の症状の改善により変動し得る。治療有効量は、治療上有益な効果が、組成物の任意の毒性または有害効果を上回るものでもある。
【0098】
抗体及び抗体の薬学的組成物の調製
特定の実施形態において、ヒトPD-1に結合する抗体は、ヒト重鎖及び軽鎖定常領域を含む。特定の実施形態において、重鎖定常領域は、CH1ドメイン及びヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態において、重鎖定常領域は、CH3ドメインを含む。重鎖定常領域が置換を含む場合、かかる置換は、抗体の特性を修飾する(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうちの1つ以上を増加または低下させる)。特定の実施形態では、抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される。
【0099】
抗体Xなどの抗体は、例えば、列挙されたアミノ酸配列をコードする合成遺伝子を調製及び発現することによって、またはヒト生殖細胞系列遺伝子を変異させて、列挙されたアミノ酸配列をコードする遺伝子を提供することによって作製され得る。さらに、この抗体及びヒトPD-1に結合する他の抗体は、例えば、以下の方法のうちの1つ以上を使用して得ることができる。
【0100】
ヒト化抗体は、抗原結合に直接関与していないFv可変領域の配列を、ヒトFv可変領域由来の同等の配列で置き換えることによって生成され得る。ヒト化抗体を生成するための一般的な方法は、Morrison,S.L.,Science,229:1202-1207(1985)、Oi et al.,BioTechniques,4:214(1986)、ならびにUS5,585,089、US5,693,761、US5,693,762、US5,859,205、及びUS6,407,213によって提供される。これらの方法は、重鎖または軽鎖のうちの少なくとも1つから免疫グロブリンFv可変領域のすべてまたは一部をコードする核酸配列を単離、操作、及び発現することを含む。かかる核酸の供給源は、当業者に周知であり、例えば、上述のように、所定の標的に対する抗体を産生するハイブリドーマから、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子から、または合成構築物から得ることができる。次いで、ヒト化抗体をコードする組換えDNAを、適切な発現ベクターにクローニングすることができる。
【0101】
ヒト生殖細胞系列配列は、例えば、Tomlinson,I.A.et al.,J.Mol.Biol.,227:776-798(1992)、Cook,G.P.et al.,Immunol.Today,16:237-242(1995)、Chothia,D.et al.,J.Mol.Bio.227:799-817(1992)、及びTomlinson et al.,EMBO J.,14:4628-4638(1995)に開示されている。V BASEディレクトリは、ヒト免疫グロブリン可変領域配列の包括的なディレクトリを提供する(Tomlinson,I.A.et al.、MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UKによってコンパイルされた)。これらの配列は、例えば、フレームワーク領域及びCDRのためのヒト配列の供給源として使用され得る。コンセンサスヒトフレームワーク領域もまた、例えば、米国特許第6,300,064号に記載されているように、使用され得る。
【0102】
抗体をヒト化するための他の方法もまた、使用され得る。例えば、他の方法は、抗体の三次元構造、結合決定基に三次元的に近接するフレームワーク位置、及び免疫原性ペプチド配列を説明することができる。例えば、WO90/07861、米国特許第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、同第5,530,101号、及び同第6,407,213号、Tempest et al.(1991)Biotechnology 9:266-271を参照されたい。さらに別の方法は、「ヒューマニアリング(humaneering)」と称され、例えば、US2005-008625に記載されている。
【0103】
抗体は、ヒトFc領域、例えば、野生型Fc領域または1つ以上の改変を含むFc領域を含むことができる。一実施形態において、定常領域は、改変される(例えば、抗体の性質を修飾するために変異される)(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうちの1つ以上を増加または低下させる)。例えば、ヒトIgG1定常領域は、1つ以上の残基、例えば、残基234及び237のうちの1つ以上で変異され得る(Kabat番号付けに基づく)。抗体は、エフェクター機能、例えば、Fc受容体結合及び補体活性化を低減または改変させる重鎖のCH2領域に変異を有し得る。例えば、抗体は、米国特許第5,624,821号及び第5,648,260号に記載されるような変異を有し得る。抗体はまた、当該技術分野に開示されるように、IgG4のヒンジ領域における変異(例えば、Angal et al.(1993)Mol.Immunol.30:105-08)などのように、免疫グロブリンの2つの重鎖間のジスルフィド結合を安定化する変異を有してもよい。例えば、U.S.2005/0037000も参照されたい。
【0104】
ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体は、全長抗体の形態であり得るか、またはヒトPD-1もしくはヒトPD-L1、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fd、dAb、scFv、及びsc(Fv)2に結合する抗体の低分子量形態(例えば、生物学的に活性な抗体断片またはミニボディ)の形態であり得る。本開示に包含される他の抗体としては、VHもしくはVLなどの単一の可変鎖、またはその生物学的に活性な断片を含有する単一ドメイン抗体(sdAb)が挙げられる。例えば、Moller et al.,J.Biol.Chem.,285(49):38348-38361(2010)、Harmsen et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,77(1):13-22(2007)、US2005/0079574及びDavies et al.(1996)Protein Eng.,9(6):531-7を参照されたい。全抗体と同様に、sdAbは、特定の抗原に選択的に結合することができる。わずか12~15kDaの分子量を有するsdAbは、一般的な抗体よりもはるかに小さく、Fab断片及び一本鎖可変断片よりもさらに小さい。
【0105】
本明細書では、ヒトPD-1もしくはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片、及び1つ以上の酸性変異体の混合物を含む組成物が提供され、例えば、酸性変異体(複数可)の量は、約80%、70%、60%、60%、50%、40%、30%、30%、20%、10%、5%、または1%未満である。少なくとも1つの脱アミド化部位を含む、ヒトPD-1もしくはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片を含む組成物も提供され、組成物のpHは、例えば、少なくとも約90%の抗体が脱アミド化されない(すなわち、約10%未満の抗体が脱アミド化される)ように、約5.0~約6.5である。特定の実施形態において、抗体の約5%、3%、2%または1%未満が脱アミド化される。pHは、5.5または6.0などの5.0~6.0であってよい。特定の実施形態において、組成物のpHは、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、または6.5である。
【0106】
「酸性変異体」は、目的のポリペプチドよりも酸性である(例えば、カチオン交換クロマトグラフィーによって決定される)目的のポリペプチドの変異体である。酸性変異体の例は、脱アミド化変異体である。
【0107】
ポリペプチド分子の「脱アミド化」変異体は、元のポリペプチドの1つ以上のアスパラギン残基(複数可)がアスパラギン酸に変換された、すなわち、中性アミド側鎖が、全体的な酸性特性を有する残基に変換されたポリペプチドである。
【0108】
本明細書で使用される「混合物」という用語は、ヒトPD-1もしくはヒトPD-L1に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む組成物に関し、ヒトPD-1もしくはヒトPD-L1に結合する所望の抗体、またはその抗原結合断片、及びその1つ以上の酸性変異体の両方の存在を意味する。酸性変異体は、少量の他の酸性変異体(複数可)と共に、ヒトPD-1またはヒトPD-L1と結合する主として脱アミド抗体を含んでよい。
【0109】
特定の実施形態において、脱アミド化を排除するために変異させた抗体の結合親和性(KD)、オンレート(KDオン)及び/またはオフレート(KDオフ)は、例えば、約5倍、2倍、1倍(100%)、50%、30%、20%、10%、5%、3%、2%または1%未満の差を有する、野生型抗体のものと類似する。
【0110】
抗体断片
抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Facb、及びFv)は、インタクトな抗体のタンパク質分解によって調製され得る。例えば、抗体断片は、全抗体を、パパイン、ペプシン、またはプラスミンなどの酵素で処理することによって得ることができる。全抗体のパパイン消化は、F(ab)2またはFab断片を産生し、全抗体のペプシン消化は、F(ab’)2またはFab’を産生し、全抗体のプラスミン消化は、Facb断片を産生する。
【0111】
代替的に、抗体断片は、組換えで産生され得る。例えば、目的の抗体断片をコードする核酸を構築し、発現ベクターに導入し、好適な宿主細胞で発現させることができる。例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.,152:2968-2976(1994)、Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods in Enzymology,178:476-496(1989)、Plueckthun,A.and Skerra,A.,Methods in Enzymology,178:476-496(1989)、Lamoyi,E.,Methods in Enzymology,121:652-663(1989)、Rousseaux,J.et al.、Methods in Enzymology,(1989)121:663-669(1989)、及びBird,R.E.et al.,TIBTECH,9:132-137(1991)を参照されたい)。抗体断片はすべて、E.coli中で発現されて、それから分泌され得るため、これらの断片を容易に大量に産生することができる。抗体断片は、抗体ファージライブラリから単離することができる。代替的に、Fab’-SH断片は、E.coliから直接回収されてもよく、化学的にカップリングして、F(ab)2断片を形成してもよい(Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992))。別のアプローチによると、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期が増加したFab及びF(ab’)2断片については、米国特許第5,869,046号に記載されている。
【0112】
ミニボディ
ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体のミニボディには、ダイアボディ、一本鎖(scFv)、及び一本鎖(Fv)2(sc(Fv)2)が含まれる。
【0113】
「ダイアボディ」は、遺伝子融合によって構築される二価のミニボディである(例えば、Holliger,P.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90:6444-6448(1993)、EP404,097、WO93/11161を参照されたい)。ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖からなる二量体である。ダイアボディの各ポリペプチド鎖のVL及びVHドメインは、リンカーによって結合される。リンカーを構成するアミノ酸残基の数は、2~12個の残基(例えば、3~10個の残基、または5個もしくは約5個の残基)であり得る。ダイアボディ中のポリペプチドのリンカーは、典型的には、VLとVHとが互いに結合することを可能にするには短すぎる。したがって、同じポリペプチド鎖にコードされるVL及びVHは、一本鎖可変領域断片を形成することはできないが、代わりに、異なる一本鎖可変領域断片を有する二量体を形成する。その結果、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有する。
【0114】
scFvは、VH及びVLをリンカーと連結することによって得られる一本鎖ポリペプチド抗体である(例えば、Huston et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:5879-5883(1988)、及びPlickthun,“The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”Vol.113,Ed Resenburg and Moore,Springer Verlag,New York,pp.269-315,(1994)を参照されたい)。連結されるVH及びVLの順序は特に限定されず、任意の順序で配置され得る。配置の例としては、[VH]リンカー[VL]、または[VL]リンカー[VH]が挙げられる。ScFvにおけるH鎖V領域及びL鎖V領域は、本明細書に記載のヒトPD-1もしくはヒトPD-L1、またはその抗原結合断片と結合する任意の抗体に由来し得る。
【0115】
sc(Fv)2は、2つのVH及び2つのVLがリンカーによって連結されて、一本鎖を形成するミニボディである(Hudson,et al.,J.Immunol.Methods,(1999)231:177-189(1999))。sc(Fv)2は、例えば、scFvをリンカーと接続することによって調製することができる。本開示のsc(Fv)2は、好ましくは、2つのVH及び2つのVLが、以下の順序で配置される抗体:一本鎖ポリペプチドのN末端から始まるVH、VL、VH、及びVL([VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL])であるが、ただし、2つのVH及び2つのVLの順序は、上記の配置に限定されず、それらは任意の順序で配置され得る。
【0116】
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、PD-1タンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得る。他のそのような抗体は、PD-1結合部位を、別のタンパク質の結合部位と組み合わせ得る。二重特異性抗体は、全長抗体またはその低分子量形態(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体、sc(Fv)2二重特異性抗体、ダイアボディ二重特異性抗体)として調製することができる。
【0117】
全長二重特異性抗体の伝統的な産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づき、これらの2つの鎖は、異なる特異性を有する(Millstein et al.,Nature,305:537-539(1983))。異なるアプローチによると、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメインが、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。免疫グロブリン重鎖融合体、また所望の場合は免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAが、別個の発現ベクターに挿入され、好適な宿主細胞に共トランスフェクトされる。これは、3つのポリペプチド断片の比率を調整する際のより大きな柔軟性を提供する。しかしながら、均等な比率での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現により高収率がもたらされる場合、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
【0118】
米国特許第5,731,168号に記載される別のアプローチに従って、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にしてもよい。好ましい界面は、CH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面由来の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる。大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置き換えることによって、大きい側鎖(複数可)と同一または同様のサイズの補償「空洞」が第2の抗体分子の界面上に作製される。これにより、ホモ二量体などの他の望ましくない最終産物よりもヘテロ二量体の収率を増加させるための機序が提供される。
【0119】
二重特異性抗体としては、架橋または「ヘテロコンジュゲート」抗体が挙げられる。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体のうちの一方がアビジンにカップリングし得、他方がビオチンにカップリングし得る。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋方法を使用して作製され得る。
【0120】
「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片の作製のための代替機序を提供している。これらの断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによってVLに接続されたVHを含む。したがって、1つの断片のVH及びVLドメインが別の断片の相補的VL及びVHドメインと対合させられ、それにより2つの抗原結合部位が形成される。
【0121】
多価抗体
多価抗体は、その抗体が結合する抗原を発現する細胞によって、二価抗体よりも速く内部移行(及び/または異化)され得る。本明細書に提供される抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(例えば、四価抗体)であってもよく、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生され得る。多価抗体は、二量体化ドメイン、及び3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。例示的な二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれらからなる)。多価抗体は、3~約8個(例えば、4個)の抗原結合部位を含む(またはそれらからなる)ことができる。多価抗体は、任意選択で少なくとも1つのポリペプチド鎖(例えば、少なくとも2つのポリペプチド鎖)を含み、このポリペプチド鎖(複数可)は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含み得、ここで、VD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2はアミノ酸またはペプチドスペーサーを表し、nは0または1である。
【0122】
コンジュゲート抗体
本明細書に開示される抗体は、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG(PEI-PEG)で修飾されたポリエチレンイミン(PEI)、ポリグルタミン酸(PGA)(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマー)、ヒアルロン酸、放射性物質(例えば、90Y、131I)蛍光物質、発光物質、ハプテン、酵素、金属キレート、薬物、及び毒素(例えば、カルケアマイシン、シュードモナス外毒素A、リシン(例えば、デグリコシル化リシンA鎖)))などの巨大分子物質を含む様々な分子に結合されるコンジュゲート抗体であってもよい。
【0123】
一実施形態において、ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体の細胞傷害作用を改善し、その結果、それらの治療効果を改善するために、抗体は、放射性同位体及び細胞傷害剤を含む強毒性物質とコンジュゲートされる。これらのコンジュゲートは、標的部位(すなわち、抗体によって認識される抗原を発現する細胞)に選択的に毒性負荷を送達することができ、一方で、抗体によって認識されない細胞は、免除される。毒性を最小限に抑えるために、コンジュゲートは、一般に、血清半減期が短い分子(したがって、マウス配列、及びIgG3またはIgG4アイソタイプの使用)に基づいて操作される。
【0124】
特定の実施形態において、ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片は、例えば、血液、血清、もしくは他の組織中で、例えば、少なくとも1.5、2、5、10、または50倍、循環におけるその安定化及び/または保持を改善する部分で修飾される。例えば、ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片は、ポリマー、例えば、ポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシドなどの実質的に非抗原性ポリマーと会合する(例えば、コンジュゲートする)ことができる。好適なポリマーは、重量によって実質的に変化する。約200~約35,000ダルトン(または約1,000~約15,000、及び2,000~約12,500)の範囲の分子数平均重量を有するポリマーを使用することができる。例えば、ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片は、水溶性ポリマー、例えば、親水性ポリビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンにコンジュゲートされ得る。かかるポリマーの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、これらのコポリマー及びこれらのブロックコポリマーが挙げられるが、ブロックコポリマーの水溶性が維持されることを条件とする。さらなる有用なポリマーとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどのポリオキシアルキレン、ならびにポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリメタクリレート、カルボマー、ならびに分枝または非分枝の多糖類が挙げられる。
【0125】
上述のコンジュゲート抗体は、本明細書に記載の抗体またはその低分子量形態に対して化学修飾を行うことによって調製することができる。抗体を修飾するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、US5057313及びUS5156840)。
【0126】
抗体の産生方法
抗体は、細菌または真核細胞において産生され得る。いくつかの抗体、例えば、Fab’は、細菌細胞、例えば、E.coli細胞において産生され得る。抗体はまた、形質転換細胞株(例えば、CHO、293E、COS)などの真核細胞において産生され得る。加えて、抗体(例えば、scFv’)は、Pichia(例えば、Powers et al.,J Immunol Methods.251:123-35(2001))、Hanseula、またはSaccharomycesなどの酵母細胞内で発現され得る。目的の抗体を産生するために、抗体をコードするポリヌクレオチドを構築し、発現ベクターに導入し、次いで、好適な宿主細胞に発現させる。標準的な分子生物学的技術を使用して、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、抗体を回収する。
【0127】
抗体が細菌細胞(例えば、E.coli)で発現される場合、発現ベクターは、細菌細胞内のベクターの増幅を可能にする特徴を有するべきである。さらに、JM109、DH5α、HB101、またはXL1-BlueなどのE.coliを宿主として使用する場合、ベクターは、プロモーター、例えば、lacZプロモーター(Ward et al.,341:544-546(1989)、araBプロモーター(Better et al.,Science,240:1041-1043(1988))、またはE.coliにおいて効率的な発現を可能にすることができるT7プロモーターを有さなければならない。そのようなベクターの例としては、例えば、M13シリーズベクター、pUCシリーズベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script、pGEX-5X-1(Pharmacia)、「QIAexpress system」(QIAGEN)、pEGFP、及びpET(この発現ベクターが使用される場合、宿主は好ましくはT7 RNAポリメラーゼを発現するBL21である)が挙げられる。発現ベクターは、抗体分泌のためのシグナル配列を含有し得る。E.coliの周辺質への産生のために、pelBシグナル配列(Lei et al.,J.Bacteriol.,169:4379(1987))を、抗体分泌のシグナル配列として使用してもよい。細菌の発現については、塩化カルシウム法またはエレクトロポレーション法を使用して、発現ベクターを細菌細胞に導入してもよい。
【0128】
抗体が、CHO、COS、及びNIH3T3細胞などの動物細胞において発現される場合、発現ベクターは、これらの細胞において発現するのに必要なプロモーター、例えば、SV40プロモーター(Mulligan et al.Nature,277:108(1979))、MMLV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al.、Nucleic Acids Res.,18:5322(1990))、またはCMVプロモーターを含む。免疫グロブリンまたはそのドメインをコードする核酸配列に加えて、追加の配列、例えば、宿主細胞内でのベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び選択マーカー遺伝子を、組換え発現ベクターに保有させることができる。選択マーカー遺伝子は、ベクターを導入した宿主細胞の選択を促進することができる(例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、及び同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、通常、選択マーカー遺伝子は、ベクターを導入した宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、メトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。選択マーカーを有するベクターの例としては、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、及びpOP13が挙げられる。
【0129】
一実施形態において、抗体は、哺乳動物細胞で産生される。抗体を発現するための例示的な哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載されるdhfr-CHO細胞を含み、例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601-621に記載されるように、DHFR選択マーカーと共に使用される)、ヒト胚性腎臓293細胞(例えば、293、293E、293T)、COS細胞、NIH3T3細胞、リンパ球細胞株、例えば、NS0骨髄腫細胞及びSP2細胞、ならびにトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニック哺乳動物に由来する細胞が挙げられる。例えば、細胞は、乳腺上皮細胞である。
【0130】
抗体発現のための例示的な系では、ヒトPD-1またはヒトPD-L1抗体(例えば、抗体X)と結合する抗体の抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクションによって、dhfr-CHO細胞内に導入する。組換え発現ベクター内で、抗体重鎖及び軽鎖遺伝子はそれぞれ、エンハンサー/プロモーター調節エレメント(例えば、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントまたはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントなどのSV40、CMV、アデノウイルスなどに由来する)に作用可能に連結され、遺伝子の高レベルの転写を駆動する。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサート選択/増幅を使用してベクターでトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能にするDHFR遺伝子を保有する。選択された形質転換宿主細胞は、抗体重鎖及び軽鎖の発現を可能にするように培養され、抗体は、培養培地から回収される。
【0131】
抗体はまた、トランスジェニック動物によって産生され得る。例えば、米国特許第5,849,992号は、トランスジェニック哺乳動物の乳腺において抗体を発現する方法を記載している。乳特異的プロモーターと、目的の抗体及び分泌のためのシグナル配列をコードする核酸とを含む導入遺伝子が構築される。そのようなトランスジェニック哺乳動物の雌によって産生される乳は、そのなかに分泌される、目的の抗体を含む。抗体は、乳から精製することができるか、またはいくつかの用途のために直接使用されることができる。本明細書に記載される核酸のうちの1つ以上を含む動物も提供される。
【0132】
本開示の抗体は、宿主細胞の内部または外部(培地など)から単離され、実質的に純粋で均質な抗体として精製され得る。抗体精製のために一般的に使用される単離及び精製方法は、抗体の単離及び精製のために使用されてもよく、任意の特定の方法に限定されない。抗体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈殿、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電気集束、透析、及び再結晶化を適切に選択及び組み合わせることによって単離及び精製され得る。クロマトグラフィーとしては、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、及び吸着クロマトグラフィー(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)が含まれる。クロマトグラフィーは、HPLC及びFPLCなどの液相クロマトグラフィーを使用して実施され得る。アフィニティークロマトグラフィーに使用されるカラムとしては、プロテインAカラム及びプロテインGカラムが挙げられる。プロテインAカラムを使用するカラムの例としては、Hyper D、POROS、及びSepharose FF(GE Healthcare Biosciences)が挙げられる。本開示はまた、これらの精製方法を使用して高度に精製される抗体も含む。
【0133】
グリコシル化を改変した抗体
異なる糖形態は、薬物動態、薬力学、受容体相互作用、及び組織特異的標的化を含む、治療薬の特性に深く影響を及ぼし得る(Graddis et al.,2002,Curr Pharm Biotechnol.3:285-297)。特に、抗体について、オリゴ糖構造は、抗体のエフェクター機能(例えば、CDCを誘導する補体複合体C1への結合、及びADCC経路の調節を担うFcγR受容体への結合)に加えて、プロテアーゼ耐性、FcRn受容体によって媒介される抗体の血清半減期、食作用、及び抗体フィードバックに関連する特性に影響を及ぼし得る(Nose and Wigzell,1983、Leatherbarrow and Dwek,1983、Leatherbarrow et al.,1985、Walker et al.,1989、Carter et al.,1992,PNAS,89:4285-4289)。
【0134】
したがって、抗体のエフェクター機能を調節する別の手段は、抗体定常領域のグリコシル化を改変することを含む。改変したグリコシル化には、例えば、グリコシル化残基の数の減少または増加、グリコシル化残基のパターンまたは位置の変化、及び糖構造(複数可)の変化が含まれる。ヒトIgGに見出されるオリゴ糖は、それらのエフェクター機能の程度に影響を及ぼし(Raju,T.S.BioProcess International April 2003.44-53)、ヒトIgGオリゴ糖の微小不均一性は、CDC及びADCCなどの生物学的機能、様々なFc受容体への結合、ならびにClqタンパク質への結合に影響を及ぼし得る(Wright A. & Morrison SL.TIBTECH 1997,15 26-32、Shields et al.J Biol Chem.2001 276(9):6591-604、Shields et al.J Biol Chem.2002,277(30):26733-40、Shinkawa et al.J Biol Chem.2003 278(5):3466-73、Umana et al.Nat Biotechnol.1999 Feb,17(2):176-80)。例えば、C1qに結合し、補体カスケードを活性化するIgGの能力は、(通常Asn297に固定されている)2つのCH2ドメインの間に位置付けられた炭水化物部分の存在、非存在、または修飾に依存し得る(Ward and Ghetie,Therapeutic Immunology 2:77-94(1995)。
【0135】
Fc含有ポリペプチド内、例えば、IgG抗体などの抗体内のグリコシル化部位は、標準的な技術によって特定され得る。グリコシル化部位の同定は、実験的または配列解析またはモデリングデータに基づいていてもよい。コンセンサスモチーフ、すなわち、種々のグリコシルトランスフェラーゼによって認識されるアミノ酸配列が記載されている。例えば、N結合グリコシル化モチーフのコンセンサスモチーフは、頻繁にNXTまたはNXSであり、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸であり得る。潜在的なグリコシル化モチーフを見つけるためのいくつかのアルゴリズムも記載されている。したがって、抗体またはFc含有断片内の潜在的なグリコシル化部位を特定するために、例えば、Center for Biological Sequence Analysisによって提供されるウェブサイトなどの公開されているデータベースを使用して、抗体の配列を調べる(N結合グリコシル化部位を予測するためのNetNGlycサービス及びO結合グリコシル化部位を予測するためのNetOGlycサービスを参照されたい)。
【0136】
インビボ研究は、アグリコシル抗体のエフェクター機能の低減を確認している。例えば、アグリコシル抗CD8抗体は、マウスにおけるCD8保有細胞を枯渇させることができず(Isaacs,1992 J.Immunol.148:3062)、アグリコシル抗CD3抗体は、マウスまたはヒトにおいてサイトカイン放出症候群を誘導しない(Boyd,1995(上記)、Friend,1999 Transplantation 68:1632)。PD-1抗体のアグリコシル化形態はまた、低減されたエフェクター機能を有する。
【0137】
重要なことに、CH2ドメイン内のグリカンの除去は、エフェクター機能に有意な影響を及ぼすように見えるが、抗体の他の機能的特性及び物理的特性は、変化しないままである。具体的には、グリカンの除去は、血清半減期及び抗原への結合にほとんどまたは全く影響を及ぼさなかったことが示されている(Nose,1983(上記)、Tao,1989(上記)、Dorai,1991(上記)、Hand,1992(上記)、Hobbs,1992(上記)、Mol.Immunol.29:949)。
【0138】
本開示のヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体は、(第2のPD-1特異的抗体と比較して)エフェクター機能(複数可)の増加または低下を誘発するように修飾または改変され得る。抗体のグリコシル化部位を改変するための方法は、例えば、US6,350,861及びUS5,714,350、WO05/18572及びWO05/03175に記載されており、これらの方法を使用して、改変された、低減された、またはグリコシル化なしの本開示の抗体を産生することができる。
【0139】
固形腫瘍及びがん
本明細書に記載の方法は、がん、好ましくは固形腫瘍の治療を伴う。
【0140】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、皮膚癌、肺癌、リンパ腫、肉腫、膀胱癌、尿管癌、尿道癌、及び尿膜管癌、胃癌、子宮頸癌、肝臓癌、乳癌、腎癌、扁平上皮細胞癌、大腸癌、子宮内膜癌、肛門癌、ならびにマイクロサテライト不安定性高(MSI-H)、ミスマッチ修復欠損(dMMR)、及びDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異陽性疾患を有する腫瘍から選択される。
【0141】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、胆管細胞癌、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌、胃癌、肝細胞癌、メルケル細胞癌、トリプルネガティブ乳癌、腎細胞癌、頭頸部の扁平上皮細胞癌、及び大腸癌から選択される。
【0142】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、マイクロサテライト安定性(MSS)である。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、PD-L1陽性である。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、マイクロサテライト安定性(MSS)及びPD-L1陽性である。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、子宮内膜癌(endometrial cancer)(例えば、子宮内膜癌(endometrial carcinoma))である。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、膀胱癌(例えば、Bacillus Calmette-Guerin非応答性非筋肉浸潤性膀胱癌などの非筋肉浸潤性膀胱癌)である。
【0143】
本開示の治療方法及びレジメンを使用して治療可能ながんの例には、これらに限定されないが、骨癌、脾臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌(carcinoma of the endometrium)、子宮内膜癌(endometrial cancer)、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿管癌、尿道癌、尿膜管癌、胃癌(gastric cancer)、陰茎癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む慢性または急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌または尿道癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されるがんを含む環境的に誘発されるがん、ならびに上記がんの組み合わせが挙げられる。本開示の方法は、転移がん、特にPD-L1を発現する転移がんの治療にも有用である。
【0144】
いくつかの実施形態において、がんは、子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、子宮内膜癌は、マイクロサテライト安定性(MSS)である。いくつかの実施形態において、子宮内膜癌は、PD-L1陽性である。いくつかの実施形態において、子宮内膜癌は、マイクロサテライト安定性(MSS)及びPD-L1陽性である。いくつかの実施形態において、子宮内膜癌は、転移性子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、子宮内膜癌は、転移性、マイクロサテライト安定性(MSS)、及びPD-L1陽性子宮内膜癌(例えば、転移性、マイクロサテライト安定性(MSS)、及びPD-L1陽性子宮内膜癌)である。
【0145】
いくつかの実施形態において、本出願は、患者のマイクロサテライト安定(MSS)、PD-L1陽性子宮内膜癌(例えば、マイクロサテライト安定(MSS)、PD-L1陽性子宮内膜癌)を治療する方法であって、該患者に、
(i)1日2回の遊離塩基ベースで約600mgの用量のエパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩と、
(ii)ヒトPD-1に結合する抗体、またはその抗原結合断片であって、抗体が(ii-1)可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインと、(ii-2)可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインと、を含む、抗体、またはその抗原結合断片と、を投与することを含み、
(a)VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
(b)VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
(c)VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
(d)VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
(e)VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
(f)VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含み、
ここで、抗体は、3週毎に1回、約375mg、または4週毎に1回、約500mgの固定用量で投与される、方法を提供する。いくつかの実施形態において、マイクロサテライト安定性(MSS)、PD-L1陽性子宮内膜癌は、転移性マイクロサテライト安定性(MSS)、PD-L1陽性子宮内膜癌である。
【0146】
いくつかの実施形態において、がんは、膀胱癌である。いくつかの実施形態において、膀胱癌は、非筋肉浸潤性膀胱癌(例えば、Bacillus Calmette-Guerin非応答性非筋肉浸潤性膀胱癌)である。
【0147】
いくつかの実施形態において、本出願は、患者の非筋肉浸潤性膀胱癌を治療する方法を提供し、該患者に、
(i)1日2回の遊離塩基ベースで約600mgの用量のエパカドスタットまたはその薬学的に許容される塩と、
(ii)ヒトPD-1に結合する抗体、またはその抗原結合断片であって、抗体が(ii-1)可変重(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメインと、(ii-2)可変軽(VL) CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメインと、を含む、抗体、またはその抗原結合断片と、を投与することを含み、
(a)VH CDR1がアミノ酸配列SYWMN(配列番号6)を含み、
(b)VH CDR2がアミノ酸配列VIHPSDSETWLDQKFKD(配列番号7)を含み、
(c)VH CDR3がアミノ酸配列EHYGTSPFAY(配列番号8)を含み、
(d)VL CDR1がアミノ酸配列RASESVDNYGMSFMNW(配列番号9)を含み、
(e)VL CDR2がアミノ酸配列AASNQGS(配列番号10)を含み、
(f)VL CDR3がアミノ酸配列QQSKEVPYT(配列番号11)を含み、
ここで、抗体は、3週毎に1回約375mg、または4週毎に1回約500mgの固定用量で投与される、方法を提供する。
【0148】
いくつかの実施形態において、膀胱癌は、Bacillus Calmette-Guerin非応答性非筋肉浸潤性膀胱癌(すなわち、BCG非応答性非筋肉浸潤性膀胱癌)である。いくつかの実施形態において、膀胱癌は、高リスクBCG非応答性非筋肉浸潤性膀胱癌である。いくつかの実施形態において、膀胱癌は、上皮内癌(CIS)を有する高リスクBCG非応答性非筋肉浸潤性膀胱癌(例えば、乳頭腫瘍を伴うか、または伴わない)である。いくつかの実施形態において、非筋肉浸潤性膀胱癌を有する患者は、膀胱切除術を受ける資格がないか、または受けることができないように選択される。
【0149】
いくつかの実施形態において、本開示の方法で治療可能ながんには、マイクロサテライト不安定性高(MSI-H)、ミスマッチ修復欠損(dMMR)、またはDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異陽性疾患を有する腫瘍が含まれる。
【0150】
いくつかの実施形態において、がんは、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)対トリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)の比率が少なくとも10である。
【0151】
いくつかの実施形態において、がんは、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ-高(IDOhi)対トリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ-低(TDOlow)の比率が少なくとも50%である。
【0152】
いくつかの実施形態において、がんは、子宮頸癌である。
【0153】
いくつかの実施形態において、がんは、腎癌である。
【0154】
いくつかの実施形態において、がんは、腎臓腎明細胞癌である。
【0155】
いくつかの実施形態において、がんは、肺癌である。
【0156】
いくつかの実施形態において、がんは、肺の腺癌である。
【0157】
いくつかの実施形態において、がんは、肺の扁平上皮細胞癌である。
【0158】
いくつかの実施形態において、がんは非小細胞肺癌である。
【0159】
いくつかの実施形態において、がんは頭頸部癌である。
【0160】
いくつかの実施形態において、がんは頭頸部扁平上皮細胞癌である。
【0161】
いくつかの実施形態において、本開示の方法により治療可能ながんには、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎癌(例えば、明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、乳癌、結腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、頭頸部扁平上皮細胞癌、尿路上皮癌(例えば、膀胱)、及びマイクロサテライト不安定性の高いがん(MSIhigh)が含まれる。さらに、本開示は、本開示の方法を使用して成長が阻害される可能性がある難治性または再発性悪性腫瘍を含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、本開示の方法を使用して治療可能ながんとしては、固形腫瘍(例えば、前立腺癌、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、腎癌、肝癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膠芽腫、肉腫、膀胱癌など)、血液がん(例えば、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、DLBCL、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(再発性もしくは難治性NHL及び再発濾胞性を含む)、ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫などのリンパ腫、白血病)ならびに該がんの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
いくつかの実施形態において、本開示の治療方法及びレジメンを使用して治療可能ながんには、これらに限定されないが、胆管癌(cholangiocarcinoma)、胆管癌(bile duct cancer)、胆道癌、トリプルネガティブ乳癌、横紋筋肉腫、小細胞肺癌、平滑筋肉腫、肝細胞癌、ユーイング肉腫、脳癌、脳腫瘍、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、基底細胞癌、軟骨肉腫、類上皮肉腫、眼癌(eye cancer)、卵管癌、胃腸癌、消化管間質腫瘍、有毛細胞白血病、腸癌、膵島細胞癌、口腔癌(oral cancer)、口腔癌(mouth cancer)、咽喉癌、喉頭癌、口唇癌、中皮腫、頸部癌、鼻腔癌、眼癌(ocular cancer)、眼黒色腫、骨盤癌、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、副鼻腔癌、脊髄癌、舌癌、管状癌、尿道癌、及び尿管癌が含まれる。
【0164】
いくつかの実施形態において、本開示の治療方法及びレジメンを使用して治療可能な疾患及び適応症には、血液がん、肉腫、肺癌、胃腸癌、泌尿生殖路癌、肝癌、骨癌、神経系癌、婦人科癌、及び皮膚癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0165】
例示的な血液がんとしては、リンパ腫及び白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(再発性または難治性NHL及び再発濾胞性を含む)、ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性疾患(例えば、原発性骨髄線維症(PMF)、真性多血症(PV)、本態性血小板血症から移行した骨髄線維症(post-essential thrombocythemia myelofibrosis)、真性多血症から移行した骨髄線維症(post polycythemia vera-myelofibrosis)、真性多血症/本態性血小板血症から移行した骨髄線維症、及び本態性血小板血症(ET))、骨髄異形成症候群(MDS)、T細胞急性リンパ芽球性リンパ腫(T-ALL)ならびに多発性骨髄腫(MM)などが挙げられる。
【0166】
例示的な肉腫としては、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、アスキン腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)、線維肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、横紋肉腫、線維腫、脂肪腫、ハルマトマ(harmatoma)、奇形腫、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、悪性血管内皮腫、悪性シュワン腫、胞状軟部肉腫、葉状嚢肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、類腱腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨格外軟骨肉腫、骨格外骨肉腫、胃腸間質腫瘍(GIST)、血管外皮細胞種、血管肉腫(hemangiosarcoma)、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、神経線維肉腫、滑膜肉腫、及び未分化多形性肉腫が挙げられる。
【0167】
例示的な肺癌としては、非小細胞肺癌(NSCLC)(例えば、扁平上皮細胞NSCLC)、小細胞肺癌、気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(気管支)癌、気管支腺腫、軟骨性過誤腫、及び中皮腫が挙げられる。
【0168】
例示的な胃腸癌としては、食道癌(癌腫、扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃癌(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫、腺癌)、膵臓癌(管腺癌、膵島細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸癌(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(large bowel)癌(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、及び大腸(colorectal)癌(大腸腺癌)が挙げられる。
【0169】
例示的な泌尿生殖路癌としては、腎臓癌(腺癌、ウィルムス腫瘍、[腎芽細胞腫])、膀胱癌及び尿道癌(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺癌(腺癌、肉腫)、ならびに睾丸癌(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)が挙げられる。いくつかの実施形態において、がんは、泌尿器系癌(例えば、乳頭状腎癌、精巣胚細胞癌、嫌色素性腎細胞癌、淡明細胞腎癌、または前立腺腺癌)である。
【0170】
例示的な肝癌(liver cancer)としては、肝癌(hepatoma)(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、及び血管腫が挙げられる。
【0171】
例示的な骨癌としては、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫瘍、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍が挙げられる。
【0172】
例示的な神経系癌としては、頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、膠芽腫、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、及び脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)のがん、ならびに神経芽細胞腫及びレルミット・ダクロス病が挙げられる。
【0173】
例示的な婦人科癌としては、子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、漿液性腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌)、顆粒膜-莢膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、及び卵管(癌腫)のがんが挙げられる。
【0174】
例示的な皮膚癌としては、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌(例えば、皮膚扁平上皮細胞癌)、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、及びケロイドが挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示の治療方法及びレジメンを使用して治療可能な疾患及び適応症には、これらに限定されないが、鎌状赤血球症(例えば、鎌状赤血球貧血)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、骨髄異形成症候群、精巣癌、胆管癌、食道癌、及び尿路上皮癌が含まれる。
【0175】
いくつかの実施形態において、本開示の治療方法及びレジメンを使用して治療可能な疾患及び適応症には、限定されないが、副腎腫瘍、AIDS関連癌、歯槽軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌、骨癌、脳及び脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、色素性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、大腸癌、皮膚良性線維性組織細胞腫、脱形成性小円形細胞腫瘍、上皮腫、ユーイング腫瘍、骨外ミクソイド軟骨肉腫、線維形成不完全骨、骨線維性異形成、胆嚢または胆管癌、胃癌、妊娠性栄養芽細胞病、生殖細胞腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎癌、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫瘍、肝癌、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、副甲状腺腫、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、変色性細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後発性ぶどう膜黒色腫、希少な血液疾患、腎転移性癌、横紋腫、横紋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺転移性癌、及び子宮癌が含まれる。
【0176】
いくつかの実施形態において、本開示のがんの治療方法及びレジメンは、大腸癌、肝細胞癌、神経膠腫、腎臓癌、乳癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、神経芽細胞腫、肉腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、直腸癌、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性Bリンパ芽球性白血病(B-ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病(HCL)、芽胞性形質細胞樹状細胞腫(BPDCN)、マントル細胞白血病(MCL)及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、全身性肥満細胞症、及びバーキットリンパ腫から選択されるが、これらに限定されない。
【0177】
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は、インビトロ、エクスビボまたはインビボである細胞を意味する。いくつかの実施形態において、エクスビボ細胞は、哺乳動物などの生物から切除された組織サンプルの一部であり得る。いくつかの実施形態において、インビトロ細胞は、細胞培養物中の細胞であり得る。いくつかの実施形態において、インビボ細胞は、哺乳動物などの生物に生息する細胞である。
【0178】
本明細書で使用される場合、「接触させること」という用語は、インビトロ系またはインビボ系にて、示された部分を一緒にすることを指す。例えば、IDO酵素をエパカドスタットと「接触させること」は、エパカドスタットを、IDOを有するヒトなどの個体または患者に投与すること、ならびに、例えば、IDO酵素を含有する細胞調製物または精製された調製物を含有するサンプルにエパカドスタットを導入することを含む。
【0179】
本明細書で使用される場合、「対象」、「個体」、または「患者」という用語は、互換可能に使用され、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、及び最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。
【0180】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態または障害の病状または症候学を経験または示している個人の疾患、状態または障害を阻害する(すなわち、病状及び/または症候学のさらなる発達を阻止する)こと、または2)疾患を改善すること、例えば、疾患、状態または障害の病状または症候学を経験または示している個人の疾患、状態または障害を改善する(すなわち、病状及び/または症候学を逆転させる)こと、を指す。
【0181】
本明細書で使用される場合、「予防する」または「予防」という用語は、疾患、状態または障害の素因がある可能性があるが、疾患の病状または症候学をまだ経験または示していない個人の疾患、状態または障害を予防することを指す
【0182】
肛門管扁平上皮細胞癌
肛門管扁平上皮細胞癌(SCAC)は消化器系癌のほぼ3%を占め、HPV及びHIV感染症との関連により頻度が増加している。ほとんどの患者は限局性疾患を有するが、約25%の患者で全身転移が発症し、これらの個体では5年生存率が低い。プラチナベースのレジメンを用いたサルベージ化学療法は、許容される標準治療であるが、応答は持続せず、これらの治療後の無増悪及び全生存期間は、数ヶ月でのみ測定される。第一選択化学療法後に進行した患者には、許容される救済治療はない。
【0183】
メルケル細胞癌
メルケル細胞癌は、メルケル細胞ポリオーマウイルス、UV照射、及び免疫抑制などの複数の要因に起因する、希少な、侵襲的な皮膚悪性腫瘍である。この疾患は、典型的には、明るい皮膚タイプの高齢者に見られ、他の皮膚悪性腫瘍と比較して予後が悪く、生存率が低い。手術及び/または放射線療法が適応とされ、局所疾患及び再発に対する潜在的な治療が一般的である。
【0184】
MCC患者の5年生存率は、原発限局性腫瘍、局所リンパ節転移(または局所再発)を伴う腫瘍、及び遠隔転移を伴う腫瘍でそれぞれ75%、59%、25%である。30%超の患者が遠隔転移性疾患を発症し、これらの患者の5年生存率は約10%に過ぎない。
【0185】
歴史的に、転移性MCCは、小細胞肺癌に使用されるものと同様の化学療法レジメンで治療されてきた。プラチナベースの化学療法は、短期間の高い初期奏効率を提供する。この疾患における化学療法の生存優位性は実証されていない。化学療法は、特に高齢の患者において、重度の毒性及び毒性死のリスクとも関連している。
【0186】
子宮内膜癌
子宮内膜癌は、アメリカ女性に影響を与える4番目に一般的ながんであり、推定60,050件の新たな症例が診断され、推定10,470件の子宮内膜癌関連の死亡が発生し、アメリカ女性に影響を与える6番目に一般的ながん関連の死亡となる。世界的には、女性のがん関連死亡の4番目に一般的な原因である。子宮内膜癌は、女性を苦しめる最も一般的な婦人科の悪性腫瘍であり、腺癌が最も一般的な組織学である。早期に診断されたがんは、手術及び/または放射線の治癒選択肢を用いて良好な予後をもたらすが、侵襲的な後期がんは、治癒治療選択肢が限られており、5年生存率は20~60%である。局所進行性または転移性がんの標準治療には、ホルモン療法、ドキソルビシンなどの単剤化学療法、またはカルボプラチン及びドセタキセルなどのプラチナベースの併用化学療法レジメンなどの全身治療が含まれる。これらの患者の長期予後が悪いため、追加的かつ新しい治療が必要である。
【0187】
薬学的組成物
いくつかの実施形態において、化合物エパカドスタットは、薬学的組成物の一部として製剤化することができる。いくつかの実施形態において、ヒトPD-1またはヒトPD-L1と結合する抗体は、薬学的組成物の一部として製剤化され得る。本明細書に記載される化合物、及びヒトPD-1もしくはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合断片を含む薬学的組成物は、例えば、本明細書に記載される障害を治療するために、対象に投与するための薬学的組成物として製剤化され得る。典型的には、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬剤的に許容される担体」には、生理的に適合性である、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌薬剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩または塩基付加塩を含むことができる(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1-19を参照されたい)。
【0188】
薬学的製剤は、十分に確立された技術であり、例えば、Gennaro(ed.),Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins(2000)(ISBN:0683306472)、Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Ed.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers(1999)(ISBN:0683305727)、及びKibbe(ed.),Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,3rd ed.(2000)(ISBN:091733096X)にさらに記載されている。
【0189】
薬学的組成物は、様々な形態であり得る。これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射用及び注入用溶液)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、粉末、リポソーム及び坐剤などの液体、半固体及び固体剤形が含まれる。好ましい形態は、意図される投与様式及び治療的用途に依存し得る。典型的には、本明細書に記載の薬剤のための組成物は、注射可能または注入可能な溶液の形態である。
【0190】
組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散液、リポソーム、または高い濃度での安定な保存に好適な他の秩序ある構造として、製剤化することができる。滅菌注射液は、必要な量の本明細書に記載の薬剤を適切な溶媒に、上に列挙された成分のうちの1つまたはその組み合わせを組み込み、続いて必要に応じて、濾過滅菌することによって、調製することができる。一般に、分散液は、本明細書に記載の薬剤を、基本的な分散媒及び上で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み込むことによって、調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、本明細書に記載の薬剤に、任意の追加的な所望の成分の事前に滅菌濾過された溶液から任意の追加的な所望の成分を添加した粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥である。例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって、溶液の適切な流動性が維持され得る。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを含むことによって、もたらすことができる。
【0191】
特定の実施形態において、ヒトPD-1またはヒトPD-L1に結合する抗体、またはその抗原結合フラグメントは、インプラントを含む徐放性製剤及びマイクロカプセル化送達システムなど、急速放出から化合物を保護する担体を用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための多くの方法は、特許取得されているか、または一般的に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.Marcel Dekker,Inc.,New York(1978)を参照されたい。
【0192】
いくつかの実施形態において、化合物は、薬学的組成物の一部として製剤化され、少なくとも1つの賦形剤をさらに含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物を作製する際に、化合物は賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈されるか、または、例えば、カプセル、サシェ、紙もしくは他の容器の形態の担体に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体、または媒体として作用する固体、半固体、または液体の材料であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁剤、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体または液体媒体として)、例えば、10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射用溶液、及び無菌包装粉末の形態であり得る。
【0194】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される薬学的組成物は、錠剤の形態である。
【0195】
製剤を調製する際は、他の成分と組み合わせる前に、化合物を粉砕して適切な粒径を提供することができる。いくつかの実施形態において、化合物は、200メッシュ未満の粒径に粉砕することができる。いくつかの実施形態において、粒径は、粉砕することによって、例えば、約40メッシュに調整されて、製剤中に実質的に均一な分布をもたらすことができる。
【0196】
適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。製剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油などの潤滑剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、メチルベンゾエート及びプロピルヒドロキシベンゾエートなどの保存剤、甘味料、ならびに香味料をさらに含み得る。本明細書に記載の組成物は、当該技術分野において既知の手順を用いることによって患者に投与した後に、活性成分の迅速、持続、または遅延放出を提供するように製剤化され得る。
【0197】
組成物は、単位剤形で製剤化され得る。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投薬量として適切な、物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な薬学的賦形剤と関連して、所望の治療効果(例えば所望のPKプロファイル)を生じるように計算された、予め決定された量の化合物を含む。
【0198】
特定の実施形態において、錠剤などの固体組成物を調製するために、化合物を薬学的賦形剤と混合して、化合物の均一な混合物を含む固体予備配合組成物を形成する。これらの予備配合組成物が均質物として言及される場合、化合物は、典型的には組成物全体に均一に分散され、それによりこの組成物は、錠剤、丸剤及びカプセルなどの等しく有効な単位剤形に容易に細分され得る。次いで、この固体予備製剤は、単位剤形に細分化される。
【0199】
本開示の錠剤または丸剤は、長期作用の利点をもたらす剤形を提供するためにコーティングまたは別様に配合され得る。例えば、錠剤または丸剤は、内部用量及び外部用量の成分を含み得、後者は前者上のエンベロープの形態である。2つの成分は、胃における崩壊に抵抗し、かつその内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、または放出を遅延させることができる、腸溶性の層によって分離することができる。多数のポリマー酸、ならびにシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの物質とのポリマー酸の混合物を含む様々な物質は、そのような腸溶性層またはコーティングとして利用することができる。
【0200】
本明細書に記載される組成物が経口による投与のために組み込まれ得る液体形態としては、水溶液、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油などの食用油で風味付けされたエマルション、ならびにエリキシル剤及び類似の薬学的ビヒクルが挙げられる。
【0201】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、従来の殺菌技法によって殺菌され得るか、または無菌濾過されてもよい。水溶液は、そのままで使用するために包装するか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥調製物は、投与前に無菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8であろう。特定の前述の賦形剤、担体、または安定剤の使用によって、薬学的塩の形成をもたらすことが理解されよう。
【0202】
併用療法
I.がん療法
がん細胞増殖及び生存は、複数のシグナル伝達経路の機能不全に影響を受け得る。したがって、異なる酵素/タンパク質/受容体阻害剤の活性を調節するように、標的中において異なる選択性を示す異なる酵素/タンパク質/受容体阻害剤を組み合わせて、そのような状態を治療することは有用である。2つ以上のシグナル伝達経路(または所定のシグナル伝達経路に関与する2つ以上の生物学的分子)を標的とすることは、細胞集団において生じる薬物抵抗の可能性を低減し、及び/または治療の毒性を低減することができる。
【0203】
1つ以上の追加の薬学的薬剤、例えば、化学療法薬、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤、がん免疫療法剤、代謝酵素阻害剤、ケモカイン受容体阻害剤、及びホスファターゼ阻害剤などに加えて、標的療法、例えば、Bcr-Abl、Flt-3、EGFR、HER2、JAK、c-MET、VEGFR、PDGFR、c-Kit、IGF-1R、RAF、FAK、CDK2、及びCDK4/6キナーゼ阻害剤など、例えば、WO2006/056399に記載されるものなどが、がん及びまたは固形腫瘍を治療するために本開示の治療方法及びレジメンと組み合わせて使用され得る。治療抗体などの他の薬剤が、がん及び固形腫瘍の治療のための本開示の治療方法及びレジメンと組み合わせて使用され得る。1つ以上の追加の薬学的薬剤は、患者に同時または順次に投与することができる。
【0204】
本明細書で開示されるような治療方法は、がんなどの疾患及び本明細書に記載される他の疾患または障害を治療するために、1つ以上の他の酵素/タンパク質/受容体阻害剤療法と組み合わせて使用され得る。例えば、本開示の治療方法及びレジメンは、がんの治療のために以下のキナーゼのうちの1つ以上の阻害剤と組み合わせることができる:Akt1、Akt2、Akt3、BCL2、CDK2、CDK4/6、TGF-βR、PKA、PKG、PKC、CaM-キナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、MEKK、ERK、MAPK、mTOR、EGFR、HER2、HER3、HER4、INS-R、IDH2、IGF-1R、IR-R、PDGFαR、PDGFβR、PI3K(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、及び複数または選択的)、CSF1R、KIT、FLK-II、KDR/FLK-1、FLK-4、flt-1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c-Met、PARP、Ron、Sea、TRKA、TRKB、TRKC、TAMキナーゼ(Axl、Mer、Tyro3)、FLT3、VEGFR/Flt2、Flt4、EphA1、EphA2、EphA3、EphB2、EphB4、Tie2、Src、Fyn、Lck、Fgr、Btk、Fak、SYK、FRK、JAK、ABL、ALK及びB-Raf。がんの治療のために本開示の治療方法及びレジメンと組み合わされ得る阻害剤の非限定的な例には、FGFR阻害剤(FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4、例えば、ペミガチニブ(INCY54828)、INCB62079)、EGFR阻害剤(ErB-1またはHER-1としても知られている:例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、オシメルチニブ、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブ)、VEGFR阻害剤もしくは経路遮断薬(例えば、ベバシズマブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、レゴラフェニブ、ポナチニブ、カボザンチニブ、バンデタニブ、ラムシルマブ、レンバチニブ、ziv-アフリベルセプト)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、またはニラパリブ)、JAK阻害剤(JAK1及び/またはJAK2、例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、イタシチニブ(INCB39110))、LSD1阻害剤(例えば、INCB59872及びINCB60003)、TDO阻害剤、PI3K-デルタ阻害剤(例えば、INCB50465及びINCB50797)、PI3K-ガンマ選択的阻害剤などのPI3K-ガンマ阻害剤、Pim阻害剤(例えば、INCB53914)、CSF1R阻害剤、TAM受容体チロシンキナーゼ(Tyro-3、Axl、及びMer)、アデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、A2a/A2b受容体アンタゴニスト)、HPK1阻害剤、ケモカイン受容体阻害剤(例えば、CCR2またはCCR5阻害剤)、SHP1/2ホスファターゼ阻害剤、HDAC8阻害剤などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、血管新生阻害剤、インターロイキン受容体阻害剤、ブロモ及び余剰末端ファミリーメンバー阻害剤(例えば、ブロモドメイン阻害剤またはBET阻害剤、例えば、INCB54329及びINCB57643)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0205】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される治療方法は、PI3Kδ阻害剤の投与と組み合わされる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される治療方法は、JAK阻害剤の投与と組み合わされる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される治療方法は、JAK1またはJAK2阻害剤(例えば、バリシチニブまたはルキソリチニブ)の投与と組み合わされる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される治療方法は、JAK1阻害剤の投与と組み合わせられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される治療方法は、JAK2よりも選択的であるJAK1阻害剤の投与と組み合わせられる。
【0206】
併用療法で使用するための例示的な抗体としては、トラスツズマブ(例えば、抗HER2)、ラニビズマブ(例えば、抗VEGF-A)、ベバシズマブ(AVASTIN(商標)、例えば、抗VEGF)、パニツムマブ(例えば、抗EGFR)、セツキシマブ(例えば、抗EGFR)、リツキサン(例えば、抗CD20)、及びc-METを対象とする抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0207】
以下の薬剤のうちの1つ以上が、本開示の治療方法と組み合わせて患者に投与されてもよく、非限定的なリストとして提示される:細胞増殖抑制剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS214662、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)、EGFRに対する抗体、イントロン、ara-C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン、ロイコビリン、ELOXATIN(商標)(オキサリプラチン)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、テニポシド17.アルファ-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、メグストロールアセテート、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミソール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、ヘキサメチルメラミン、アバスチン、HERCEPTIN(商標)(トラスツズマブ)、BEXXAR(商標)(トシツモマブ)、VELCADE(商標)(ボルテゾミブ)、ZEVALIN(商標)(イブリツモマブチウキセタン)、TRISENOX(商標)(三酸化ヒ素)、XELODA(商標)(カペシタビン)、ビノレルビン、ポルフィマー、ERBITUX(商標)(セツキシマブ)、チオテパ、アルトレタミン、メルファラン、トラスツズマブ、レロゾール、フルベストラント、エキセメスタン、イホスフォミド、リツキシマブ、C225(セツキシマブ)、カンパス(アレムツズマブ)、クロファラビン、クラドリビン、アフィジコロン、リツキサン、スニチニブ、ダサチニブ、テザシタビン、Sml1、フルダラビン、ペントスタチン、トリアピン、ジドックス、トリミドックス、アミドックス、3-AP、及びMDL-101,731。
【0208】
本開示の治療方法及びレジメンは、例えば、化学療法、放射線療法、腫瘍標的療法、アジュバント療法、免疫療法、または手術によって、がんを治療する他の方法と組み合わせてさらに使用することができる。免疫療法の例としては、サイトカイン処置(例えば、インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、IL-2)、CRS-207免疫療法、がんワクチン、モノクローナル抗体、二重特異性または多重特異性抗体、抗体薬物複合体、養子T細胞移入、Toll受容体アゴニスト、RIG-Iアゴニスト、腫瘍溶解性ウイルス療法及び免疫調節小分子、例えば、サリドマイドまたはJAK1/2阻害剤、PI3Kδ阻害剤などを含む。化合物は、1つ以上の抗がん薬、例えば、化学療法剤などと組み合わせて投与され得る。化学療法薬の例としては、アバレリクス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、ベバシズマブ、ベキサロテン、バリシチニブ、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、静注用ブスルファン、経口用ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルテパリンナトリウム、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デニロイキン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エクリズマブ、エピルビシン、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン、クエン酸フェンタニル、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンアルファ2a、イリノテカン、ラパチニブジトシレート、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パニツムマブ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノスタット、及びゾレドロネートのいずれかが挙げられる。
【0209】
化学療法薬の追加の例としては、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブリミド、及びDNA損傷剤、例えば、メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチンなどが挙げられる。
【0210】
例示的なステロイドには、デキサメタゾンまたはプレドニゾンなどのコルチコステロイドが含まれる。
【0211】
例示的なBcr-Abl阻害剤としては、メシル酸イマチニブ(GLEEVAC(商標))、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びポナチニブ、ならびに薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なBcr-Abl阻害剤としては、米国特許第5,521,184号、WO04/005281、及び米国シリアル番号60/578,491号に開示される部類及び種の化合物、及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0212】
例示的で好適なFlt-3阻害剤としては、ミドスタウリン、レスタウルチニブ、リニファニブ、スニチニブ、スニチニブ、マレエート、ソラフェニブ、キザルチニブ、クレノラニブ、パクリチニブ、タンズチニブ、PLX3397及びASP2215、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なFlt-3阻害剤としては、WO03/037347、WO03/099771、及びWO04/046120に開示されるような化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0213】
例示的で好適なRAF阻害剤としては、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、及びベムラフェニブ、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なRAF阻害剤としては、WO00/09495及びWO05/028444に開示されるような化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0214】
例示的で好適なFAK阻害剤としては、VS-4718、VS-5095、VS-6062、VS-6063、BI853520、及びGSK2256098、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なFAK阻害剤としては、WO04/080980、WO04/056786、WO03/024967、WO01/064655、WO00/053595、及びWO01/014402に開示されるような化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0215】
例示的で好適なCDK4/6阻害剤としては、パルボシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、レロシクリブ、及びアベマシクリブ、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なCDK4/6阻害剤としては、WO09/085185、WO12/129344、WO11/101409、WO03/062236、WO10/075074、及びWO12/061156に開示されるような化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0216】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に耐性がある患者を治療するために、イマチニブを含む1つ以上の他のキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用され得る。
【0217】
いくつかの実施形態において、本開示の治療方法は、がんの治療において化学療法剤と組み合わせて使用され得、化学療法剤単独での反応と比較して、その毒性作用の憎悪を伴わずに、治療反応を改善し得る。いくつかの実施形態において、本開示の治療方法は、本明細書で提供される化学療法剤と組み合わせて使用され得る。例えば、多発性骨髄腫の治療に使用される追加の薬学的薬剤としては、メルファラン、メルファランとプレドニゾン[MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン、及びベルケイド(ボルテゾミブ)が挙げられ得るが、これらに限定されない。多発性骨髄腫の治療に使用されるさらに追加の薬剤としては、Bcr-Abl、Flt-3、RAF及びFAKキナーゼ阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、その薬剤は、アルキル化剤、プロテアソーム阻害剤、コルチコステロイド、または免疫調節剤である。アルキル化剤の例としては、シクロホスファミド(CY)、メルファラン(MEL)、及びベンダムスチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、プロテアソーム阻害剤はカルフィルゾミブである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン(DEX)である。いくつかの実施形態において、免疫調節剤は、レナリドミド(LEN)またはポマリドミド(POM)である。相加効果または相乗効果は、本開示の治療方法を追加の薬剤と組み合わせることの望ましい結果である。
【0218】
薬剤は、本治療方法の単回または連続剤形で、エパカドスタット及び/またはヒトPD-1もしくはヒトPD-L1またはその抗原結合フラグメントと組み合わせられ得るか、または薬剤は、別々の剤形として同時にまたは順次に投与され得る。
【0219】
いくつかの実施形態において、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドは、本開示の治療方法と組み合わせて患者に投与され、その場合、デキサメタゾンは、連続的とは対照的に間欠的に投与される。
【0220】
本明細書に記載の治療方法は、がん細胞、精製腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、及び炭水化物分子を含む)、細胞、及び免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクトされた細胞などの別の免疫原性薬剤と組み合わせることができる。使用され得る腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、黒色腫抗原のペプチド、例えば、gp100、MAGE抗原、Trp-2、MARTI及び/またはチロシナーゼのペプチドなど、あるいはサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞が挙げられる。
【0221】
本明細書に記載の治療方法は、がんの治療のためのワクチン接種プロトコルと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞は、GM-CSFを発現するように形質導入される。いくつかの実施形態において、腫瘍ワクチンとしては、ヒトのがんに関与するウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBV及びHCV)ならびにカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)などに由来するタンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示の治療方法及びレジメンは、腫瘍特異的抗原、例えば、腫瘍組織自体から単離された熱ショックタンパク質などと組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法は、強力な抗腫瘍応答を活性化するために、樹状細胞免疫化と組み合わせることができる。
【0222】
本開示の治療方法及びレジメンは、FeアルファまたはFeガンマ受容体発現エフェクター細胞を腫瘍細胞に標的化する二重特異性大環状ペプチドと組み合わせて使用することができる。本開示の治療方法及びレジメンはまた、宿主の免疫応答性を活性化する大環状ペプチドと組み合わせることもできる。
【0223】
いくつかのさらなる実施形態では、本開示の治療方法は他の治療剤と組み合わせて、骨髄移植または幹細胞移植の前、最中、及び/または後に患者に投与することができる。本開示の治療方法及びレジメンは、造血起源の様々な腫瘍の治療のために骨髄移植と組み合わせて使用することができる。
【0224】
2つ以上の薬学的薬剤が、患者に投与される場合、上記の任意の実施形態において議論したように、同時に、別々に、連続して、または組み合わせて投与することができる(例えば、3つ以上の薬剤の場合)。
【0225】
これらの化学療法剤のほとんどを安全かつ効果的に投与するための方法は、当業者に既知である。加えて、それらの投与は、標準的な文献に記載されている。例えば、化学療法剤の多くの投与は、「Physicians’ Desk Reference」(PDR、例えば、1996年版、Medical Economics Company,Montvale,NJ)に記載されており、その開示はその全体が記載されている場合と同様に参照によって本明細書に組み込まれる。
【0226】
II.免疫チェックポイント療法
本開示の治療方法は、がんなどの疾患の治療のために、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤またはアゴニスト(例えば、抗体または小分子)の投与と組み合わせて使用され得る。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、CBL-B、CD20、CD28、CD40、CD70、CD122、CD96、CD73、CD47、CDK2、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、TAM、アルギナーゼ、HPK1、CD137(4-1BBとしても知られる)、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、TLR(TLR7/8)、TIGIT、CD112R、VISTAが含まれる。一部の実施形態では、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、及びCD137(4-1BB)から選択される刺激性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化合物は、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤及びTGFRベータ阻害剤から選択される1つ以上の薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0227】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、KIR、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFRベータの阻害剤である。
【0228】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CTLA-4の阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN1884、またはCP-675,206である。
【0229】
いくつかの実施形態において、阻害剤はMCLA-145である。
【0230】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤、例えば、抗LAG3抗体である。いくつかの実施形態において、抗LAG3抗体は、BMS-986016、LAG525、INCAGN2385、またはエフチラギモドアルファ(IMP321)である。
【0231】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD73の阻害剤である。いくつかの実施形態において、CD73の阻害剤はオレクルマブである。
【0232】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIGITの阻害剤である。いくつかの実施形態において、TIGITの阻害剤はOMP-31M32である。
【0233】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、VISTAの阻害剤である。いくつかの実施形態において、VISTAの阻害剤は、JNJ-61610588またはCA-170である。
【0234】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、B7-H3の阻害剤である。いくつかの実施形態において、B7-H3の阻害剤は、エノブリツズマブ、MGD009、または8H9である。
【0235】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、KIRの阻害剤である。いくつかの実施形態において、KIRの阻害剤は、リリルマブまたはIPH4102である。
【0236】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、A2aRの阻害剤である。いくつかの実施形態において、A2aRの阻害剤はCPI-444である。
【0237】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TGF-ベータの阻害剤である。いくつかの実施形態において、TGF-ベータの阻害剤は、トラベデルセン、ガルセルチニブ、またはM7824である。
【0238】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PI3K-ガンマの阻害剤である。いくつかの実施形態において、PI3K-ガンマの阻害剤はIPI-549である。
【0239】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD47の阻害剤である。いくつかの実施形態において、CD47の阻害剤は、Hu5F9-G4またはTTI-621である。
【0240】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD73の阻害剤である。いくつかの実施形態において、CD73の阻害剤はMEDI9447である。
【0241】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD70の阻害剤である。いくつかの実施形態において、CD70の阻害剤は、クサツズマブまたはBMS-936561である。
【0242】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIM3の阻害剤、例えば、抗TIM3抗体である。いくつかの実施形態において、抗TIM3抗体は、INCAGN2390、MBG453、またはTSR-022である。
【0243】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD20の阻害剤、例えば、抗CD20抗体である。いくつかの実施形態において、抗CD20抗体は、オビヌツズマブまたはリツキシマブである。
【0244】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、OX40、CD27、CD28、GITR、ICOS、CD40、TLR7/8、及びCD137(4-1BBとしても知られる)のアゴニストである。
【0245】
いくつかの実施形態において、CD137のアゴニストはウレルマブである。いくつかの実施形態において、CD137のアゴニストはウトミルマブである。
【0246】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、GITRのアゴニストである。いくつかの実施形態において、GITRのアゴニストは、TRX518、MK-4166、INCAGN1876、MK-1248、AMG228、BMS-986156、GWN323、MEDI1873、またはMEDI6469である。
【0247】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、OX40のアゴニスト、例えば、OX40アゴニスト抗体またはOX40L融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、INCAGN01949、MEDI0562(タボリマブ)、MOXR-0916、PF-04518600、GSK3174998、BMS-986178、または9B12である。いくつかの実施形態において、OX40L融合タンパク質のアゴニストは、MEDI6383である。
【0248】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD40のアゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40のアゴニストは、CP-870893、ADC-1013、CDX-1140、SEA-CD40、RO7009789、JNJ-64457107、APX-005M、またはChi Lob 7/4である。
【0249】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、ICOSのアゴニストである。いくつかの実施形態において、ICOSのアゴニストは、GSK-3359609、JTX-2011、またはMEDI-570である。
【0250】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD28のアゴニストである。いくつかの実施形態において、CD28のアゴニストはセラリズマブである。
【0251】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD27のアゴニストである。いくつかの実施形態において、CD27のアゴニストはバルリルマブである。
【0252】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、TLR7/8のアゴニストである。いくつかの実施形態において、TLR7/8のアゴニストはMEDI9197である。
【0253】
本開示の治療方法及びレジメンは、二重特異的抗体と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のドメインのうち1つは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、GITR、OX40、TIM3、LAG3、CD137、ICOS、CD3またはTGFβ受容体を標的とする。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は、PD-1及びPD-L1に結合する。いくつかの実施形態において、PD-1及びPD-L1に結合する二重特異性抗体は、MCLA-136である。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は、PD-L1及びCTLA-4に結合する。いくつかの実施形態において、PD-L1及びCTLA-4に結合する二重特異性抗体は、AK104である。
【0254】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、1つ以上の代謝酵素阻害剤と組み合わせて使用され得る。一部の実施形態では、代謝酵素阻害剤は、TDOの阻害剤またはアルギナーゼである。
【0255】
全体を通して提供されるように、追加の化合物、阻害剤、薬剤などは、単一のもしくは連続剤形で本化合物と組み合わされ得るか、またはそれらは、別個の剤形として同時にもしくは連続して投与され得る。
【0256】
標識化合物
本開示の別の態様は、ヒトを含む組織サンプル中でIDO1の位置を特定して定量するため、画像化技法のみならず、インビトロ及びインビボの両方でのアッセイにおいても有用であろう本開示の標識化合物(放射標識、蛍光標識、同位体標識など)に関する。
【0257】
本開示は、同位体標識されたエパカドスタットをさらに含む。「同位体的」または「放射性標識された」化合物は、1つ以上の原子が、自然界に典型的に見られる(すなわち、天然に存在する)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられているか、または置換されている本開示のエパカドスタットである。本開示の化合物に組み込まれ得る適切な放射性核種には、2H(また、重水素としてDとも記される)、3H(トリチウムとしてTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I、及び131Iが含まれるがこれらに限定されない。例えば、本開示の化合物における1つ以上の水素原子は、重水素で置き換えられ任意選択で重水素原子で置換され得る。
【0258】
エパカドスタットの1つ以上の構成原子は、天然または非天然の存在量で、原子の同位体で置き換えられていてもよく、または置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、エパカドスタットは、少なくとも1つの重水素原子を含む。例えば、本開示の化合物における1つ以上の水素原子は、重水素で置き換えまたは置換され得る。いくつかの実施形態において、化合物は、2個以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態において、化合物は、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、または1~6個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態において、化合物中におけるすべての水素原子が、重水素原子によって置き換えられ得るか、または置換され得る。
【0259】
有機化合物中に同位体を含ませる合成方法は、当該技術分野において既知である(New York,N.Y.,Appleton-Century-Crofts,1971、The Renaissance of H/D Exchange by Jens Atzrodt,Volker Derdau,Thorsten Fey and Jochen Zimmermann,Angew.Chem.Int.Ed.2007,7744-7765、The Organic Chemistry of Isotopic Labelling by James R.Hanson,Royal Society of Chemistry,2011)。同位体標識化合物は、NMR分光法、代謝実験、及び/またはアッセイなどの様々な研究に使用され得る。
【0260】
重水素などのより重い同位体での置換は、より高い代謝安定性、例えば、増加したインビボ半減期または減少した投薬レジメンに起因する所定の治療的利点をもたらし得、よって、いくつかの状況で好ましい場合がある(例えば、A.Kerekes et al.J.Med.Chem.2011,54,201-210、R.Xu et al.J.Label Compd.Radiopharm.2015,58,308-312を参照されたい)特に、1つ以上の代謝部位での置換は、1つ以上の治療上の利点をもたらす可能性がある。
【0261】
「放射性標識」または「標識化合物」は、少なくとも1つの放射性核種を組み込んだ化合物であることが理解される。いくつかの実施形態において、放射性核種は、3H及び14Cからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、放射性核種は、11C、18F、75Br、76Br、及び77Brからなる群から選択される。
【0262】
キット
本開示はまた、例えば、本明細書で言及されるがん及び固形腫瘍の治療に有用な薬学的キットを含み、これは、本明細書に記載される薬学的組成物を含有する1つ以上の容器を含む。当業者には明らかなように、そのようなキットは、所望であれば、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加の容器などの様々な従来の薬学的キット構成要素のうちの1つ以上をさらに含むことができる。挿入物またはラベルのいずれかとして、投与される成分の量、投与のガイドライン、及び/または成分を混合するためのガイドラインを示す取扱説明書も、キットに含めることができる。
【0263】
以下は、本発明の実施に関する実施例である。それらは、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0264】
以下の実施例は、特許請求される発明をよりよく例示するために提供され、本発明の範囲を限定するものとは意図されない。特定の材料が言及される範囲では、それは単に例示の目的のためのものであり、本発明を限定するようには意図されない。当業者は、本発明の能力を行使することなく、かつ本発明の範囲から逸脱することなく、等価な手段または反応物を開発することができる。
【0265】
実施例1.抗体Xとの併用におけるエパカドスタットの第1b相治験
一般的な治験設計
本治験は、非盲検、非無作為化、多施設、第1b相治験であり、独立した治療群を有する。この研究は2つの部分で構成される。1)用量漸増して、抗体Xとエパカドスタットとの組み合わせの最大耐用量(MTD)/推奨第2相用量(RP2D)を見出すこと、及び2)選択された用量で増大して、安全性及び臨床活性の予備的証拠をさらに調べること。
【0266】
用量漸増には、約3人の評価可能な参加者のコホートサイズを有するベイズ最適間隔(BOIN)設計を使用する。用量制限毒性(DLT)の目標率は、各組み合わせについて30%であると仮定される。各用量レベルで、最大9人の参加者が登録される。抗体Xとエパカドスタットとの組み合わせの用量レベルを表1に示す。
【表2】
【0267】
治療群は、治験依頼者または被指名者によってオープンコホートに割り当てられた参加者と非無作為化された方法で並行して登録する。オープン用量漸増コホートを優先する。2つ以上の用量拡大コホートが利用可能である場合、参加者は、登録が完了するまで、参加者の腫瘍タイプにおける組み合わせに関する利用可能なデータを考慮して、交互に割り当てられる。新たな薬物動態(PK)または薬力学的データ(探索的イムノアッセイの結果を含む)に基づいて、追加の用量レベルまたはスケジュールを探索してもよく、または用量漸増コホートのいくつかを拡張してもオープンにしなくてもよい。追加の安全性、PK、及び薬力学的データを収集するために、中間用量レベルまたは代替用量スケジュールを探索することができる。また、より高い用量レベルがMTDを超える場合、中間用量レベルが探索され得る。
【0268】
用量漸増コホートの参加者は、DLTの発生について28日間観察される。抗体Xとエパカドスタットとの併用を受ける参加者は、DLTについて評価可能な経口用量の少なくとも75%を投与されなければならない。
【0269】
組み合わせのRP2Dが決定されると、より低い用量を投与されている継続中の参加者は、参加者がエスカレーション時にプロトコル適格性基準を満たし、薬物関連毒性がグレード2以上でない現在の用量を耐え、研究者がより高い用量から参加者が潜在的に利益を得る可能性があると判断した場合、医療モニターの承認を得てRP2Dに漸増することが許可され得る。
【0270】
MTDは、参加者の約3分の1未満がDLTを有する最高用量として定義される。用量制限毒性は、治療の最初の28日間の間に生じ、用量漸増及びMTD及びRP2Dの決定を導く。加えて、DLTの定義を満たす遅発性安全性事象を有する参加者、または治験薬のいずれかに起因すると判定された忍容性の低い持続毒性を有する参加者(例えば、グレード2の末梢神経障害)は、各組み合わせRP2Dの選択において考慮される。RP2Dは、MTDを超えない利用可能な用量レベルのいずれかから選択され得る。MTDに到達しない場合、RP2Dは、安全性、薬物動態(PK)、及び翻訳データに基づいて、利用可能な用量から選択される。
【0271】
ベースライン腫瘍生検サンプルは、すべての参加者から取得される。別段の記載がない限り、治療サイクルは28日である。サイクル1後の各治療サイクルの開始時に、参加者は以下の基準を満たさなければならない。
(i)ヘモグロビン≧8g/dL
(ii)ANC≧1.0×109/L
(iii)血小板数≧75×109/L
(iv)ALT/AST/ビリルビン≦グレード2
(v)すべての免疫関連治療の出現有害事象(TEAE)のグレード1以下への解決(高血糖[グレード2まで許容される]及びホルモン置換で制御される内分泌疾患を除く)
(vi)すべての非免疫関連TEAEのグレード1以下またはベースラインへの解決(グレード2脱毛症を除く)。一過性の無症候性臨床検査値上昇≦グレード3は、参加者が無症候性であり、上昇が臨床的に重要ではなく、医療モニターと協議されている場合、用量中断を必要としない。
【0272】
治験における治療期間は、臨床的進行または耐えられない毒性がない場合、最大2年である。本治験は、各治療群の最後の参加者が約6ヶ月間追跡された後に終了する。
【0273】
以下のすべての基準が適用される場合にのみ、参加者は本治験に参加する資格がある。
●治験のための書面によるICFに署名することを理解し、意欲を示す能力。
●18歳以上の成人男性と女性(または現地の国の要件に応じて)。
●組織学的に証明された、切除不能または転移性の局所進行性固形腫瘍を有する参加者であって、臨床的利益が実証された承認された療法が利用できない参加者、または標準療法に対して不耐性であるか、または拒否された参加者。
●RECIST v1.1に従って測定可能または測定不可能な腫瘍病変。(注記:用量漸増コホートに登録された参加者は、生検され得る少なくとも1つの病変を有する必要がある)。
●相関研究のために新鮮なまたはアーカイブの腫瘍組織を提供する意思がある。
Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0~1
●特定の基準に基づいて、子供の妊娠や子供の父親となることを避ける意欲。
【0274】
以下の基準のいずれかに該当する場合、参加者は治験から除外される。
●局所放射線療法を除き、治験治療の最初の投与から21日以内に抗がん剤治療を受ける。
●グレード1以下またはベースラインまで回復していない以前の療法の毒性(注入支援を必要としない脱毛症及び貧血を除く)。
●表2に定義されているスクリーニング時の臨床検査値を有する参加者。
●コルチコステロイドの生理学的維持量を超える全身免疫抑制を必要とする活動性自己免疫疾患。
●活性CNS及び/または脳軟膜転移癌が知られている。
●進行中または積極的な治療を必要とする既知の追加の悪性腫瘍、または治験参加から2年以内の他の悪性腫瘍の病歴(治癒した皮膚の基底細胞または扁平上皮細胞癌、表面膀胱癌、前立腺上皮内新生物、子宮頸部の上皮内癌、または他の非侵襲的もしくは惰性の悪性腫瘍、または治癒の意図を伴う治療後に参加者が>1年間無病であったがんを除く)。
●以下の血清学的特徴を有する上昇したトランスアミナーゼによって定義される既知の活性なA型、B型、またはC型肝炎:以前の免疫化なしでのA型肝炎ウイルスIgM抗体、抗C型肝炎ウイルス、抗B型肝炎コア抗原IgGもしくはIgM、またはB型肝炎表面抗原に対する陽性度。
●全身抗生物質を必要とする活動性感染症。
●以前の免疫療法を受けている間のグレード2以上の免疫関連毒性。
●治験薬、賦形剤、または別のモノクローナル抗体のいずれかへの、標準的な手段(例えば、抗ヒスタミン薬及びコルチコステロイド薬)では制御できない既知の過敏症。
●心機能障害または臨床的に有意な心疾患を有する参加者:
○既存の臨床的に有意な心室性不整脈、うっ血性心不全、または心筋症を含むニューヨーク心臓協会クラスIIIまたはIVの心疾患
○不安定な狭心症が、治験参加の6ヶ月前以内にあった。
○急性心筋梗塞が、治験参加の6ヶ月前以内にあった。
○他の臨床的に有意な心臓疾患(すなわち、グレード3以上の高血圧、不安定な高血圧の病歴、または抗高血圧レジメンへのコンプライアンス不良)は、以前の治療に関連する毒性から(ベースラインまたはグレード1以下まで)回復している必要がある。
●授乳中の女性。
●被験者が大手術を受けた場合、治験治療を開始する前に、介入による毒性及び/または合併症から十分に回復していなければならない。
●予定されている治験治療の開始から30日以内に生ワクチンを接種したことがある。
●間質性肺疾患または活動性の非感染性肺炎のエビデンス。
●治験治療を含む他の抗がん療法を含む禁止薬物の現在の使用、生理学的維持コルチコステロイド用量を超える免疫抑制(AEの急性治療を除く)、白血球輸血、治験中及び5半減期の生ワクチン、アセチル-パラ-アミノフェノールを2gまたは2000mgの1日総用量を超える含有する製品、MAOIまたは著しいMAO阻害活性剤に関連する薬物は、治験治療を開始する21日前からエパカドスタットの最終用量を服用した14日後まで禁止されている。クマリン系抗凝固剤。
●治験責任医師の判断で、治験治療薬の投与及び必要な治験来院への参加を含む、治験への完全な参加を妨げる、参加者に重大なリスクをもたらす、または治験データの解釈を妨げる条件。
●参加者は、1つ以上のセロトニン作動性薬物を投与された後、セロトニン症候群の病歴あってはならない。
以下のすべての基準を満たしている場合を除き、HIV陽性であることが知られている参加者:
○CD4+カウント≧300/μL。
○検出不可能なウイルス負荷。
○非常に活発な抗レトロウイルス療法を受けている。
●参加者は、薬物の吸収に影響を及ぼす可能性のある胃腸疾患(例:炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎)の既往があってはならない。
【表3】
【0275】
表3は、注入された治験薬及び経口治験薬の治験治療情報を示す。経口治験薬が診療所で投与される来院では、抗体Xの注入の開始直前に経口治験薬が投与される。
【表4】
【0276】
用量制限毒性
DLTは、表4に列挙される毒性のうちのいずれかの発生として定義され、これは、治療の開始から28日目当日までを含む、多分、おそらく、または確実に、治験治療に起因するものである。すべてのDLTは、有害事象のための共通の用語基準を使用して、治験責任医師によって評価される:バージョン5(CTCAE v5)基準。抗体Xを経口治験薬と組み合わせて受ける参加者は、DLTについて評価可能であるように、経口用量の少なくとも75%を投与されなければならない。薬物関連毒性のために治験治療が中断された場合、これはDLTとみなされる。
【表5】
【0277】
各治療サイクルの開始時に、参加者は、抗体Xの注入前に上記の治療継続基準を満たさなければならない。基準を満たさない場合、治験治療(両方の治験薬)は中断される。サイクルの開始予定日から28日以内に治療継続基準が満たされない場合、参加者は、治験の有効な治療部分から除外される。許容できない毒性のためにいずれかの治験薬の併用を中止しなければならない場合、被験者は両方の治験薬(すなわち、治験治療)から退出し、治験のフォローアップ部分に入る。
【0278】
用量の低減は、抗体X及びエパカドスタットについては許容されない。
【0279】
応答評価
固形腫瘍における応答を評価するために、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)v1.1ガイドラインに従う。腫瘍負荷の測定及び追跡のための推奨される方法は、一貫した技術及び施設を使用して実行されるCTスキャンによって決定される。研究者の裁量により、CTスキャンの代替的な方法(例えば、MRI)を代替することができる。ただし、研究全体を通じて同じ方法が使用され、方法がRECIST v1.1と一致していることが条件である。初回腫瘍画像診断は、治験治療の最初の用量の28日以内に実施される。以前に照射された領域または他の局所療法を受けた領域に位置する腫瘍病変は、標的病変として選択されない。さらに、生検のために選択された腫瘍病変を標的病変として選択しないことが推奨される。
【0280】
免疫療法剤は、内因性がん特異的免疫応答を強化することによって抗腫瘍効果を産生し得る。このようなアプローチで見られた応答パターンは、細胞傷害性薬剤で見られた応答の典型的な時間経過を超えて延長し得、腫瘍負荷の初期増加、または新たな病変の出現後に臨床応答を示すことができる。標準的なRECIST v1.1は、免疫療法剤の完全に正確な応答評価を提供しない場合があり、別の方法でさらなる免疫療法治療の恩恵を受けた可能性のある参加者を治療から除外することを必要とする場合がある。したがって、iRECISTと呼ばれる免疫ベースの治療薬のためのRECIST v1.1の修正版の一般原理は、この研究の探索的能力における参加者応答の評価で使用される。iRECISTの使用は、免疫療法の応答パターンを説明し、偽進行を除外または確認するための進行の確認の要件を含む。
【0281】
有害事象は、すべての重篤な有害事象(SAE)が記録され、報告された状態でモニタリングされる。血漿及び腫瘍サンプル中のキヌレニンレベルの測定を含む、臨床検査が実施される。
【0282】
World Wide Clinical Trials,Inc.において、血漿キヌレニンレベルをLC-MS/MS法によって測定した。患者サンプルは、投与前及び治療後の規定の時間に取得した。血漿キヌレニンレベルは、Huang,et al.,Bioanalysis,2013;5(11):1397-1407に記載のように実質的に測定され得る。
【0283】
フラッシュ凍結腫瘍サンプル中のキヌレニンレベルを、定量的質量分析イメージングまたはLC-MS/MSによって測定する。腫瘍生検は、治療の前及び治療の第5週の間に取得される。
【0284】
フォローアップ分析
疾患の進行以外の理由で治験治療を中止した参加者は、疾患状態の追跡期間に移動し、疾患状態をモニタリングするために12週間±7日毎に放射線画像診断によって評価されるべきである。新しい抗がん療法の開始、疾患の進行、死亡、研究の終了、及びフォローアップの参加者が失われるまで、疾患状態に関する情報を収集するように努めることができる。参加者が治験治療薬の最後の用量を受けたら、疾患の進行を確認し、または新しい抗がん剤治療を開始すると、参加者は生存フォローアップ期間に移行し、少なくとも12週間毎に電話、電子メール、または通院で連絡を取り、死亡、同意の撤回、または治験終了までの生存状況を評価しなければならない。
【0285】
結果
上記の研究では、固形腫瘍に罹患している3人の患者の2つの群(第1群及び第2群)に、抗体X(500mg Q4W)を、100mg BIDまたは600mg BIDエパカドスタットと組み合わせて与えた。第1群の患者には100mgのBIDエパカドスタットを投与し、第2群には600mgのBIDエパカドスタットを投与した。第2群の患者は、治療の8日目で第1群の3人の患者と比較して、血漿キヌレニンレベルの増加した低減を示し、2/3は、5週間の治療後に持続的な低下を示した。これは、エパカドスタットのより高い用量が、より高いレベルのIDO1阻害をもたらすことを示唆する。
【0286】
600mgのBIDエパカドスタットによる血漿キヌレニンレベルのこの低下は、300mgのBIDエパカドスタットを、別の抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(200mg/kg Q3W)と併用した以前の治験結果に基づいて驚くべきものであり、Imax、Imin及びIavg値は、97%、76%、及び88%を示した。
【0287】
「Imax」という用語は、すべてのPK時点にわたって計算されたIDO阻害の最大パーセンテージを指す。Imaxは、薬物がそのトラフに投与される間のIDO阻害の最大または最大パーセンテージである(例えば、対象に存在する薬物の最低濃度)。例えば、1日2回の投与において、Imaxは、0時間(投与前)から投与後12時間の間のIDO阻害の最高パーセンテージを指す。
【0288】
「Imin」という用語は、すべてのPK時点にわたって計算されたIDO阻害の最小パーセンテージを指す。Iminは、トラフにおけるIDO阻害のパーセンテージである(例えば、概して、1日2回の投与で12時間目に)。例えば、Imin≧50は、トラフでのIDO阻害が50%以上であることを指す(例えば、12時間目に)。
【0289】
「Iavg」という用語は、薬物がトラフに投与される期間中のIDO阻害の平均パーセンテージを指す。経時的阻害曲線下面積(AUC)(線形台形法を使用して計算)を、投薬間隔(例えば、BID投薬では12時間)で割ったものとして計算する。
【0290】
各対象の計算されたImax、Imin及びIavg値を、各用量群の平均±標準偏差(幾何平均)標準統計計算として要約した。
【0291】
抗体Xとエパカドスタットとの組み合わせは、用量決定研究(INCMGA0012-102、NCT03059823)において評価されている。31人の参加者を、抗体X500mg Q4Wならびに100mg、400mg、600mg、及び900mg BIDの用量で、エパカドスタットの組み合わせで治療した。エパカドスタット900mg BIDは、3人の参加者のうち2人のグレード3発疹の発症に基づいてMTDを上回り、3人目の参加者はプロトコル定義のDLTウィンドウの直後に発疹を発症した。10%以上の参加者で報告された治療中の有害事象(TEAE)には、疲労、吐き気、腹痛、痒み、斑丘疹、及び下痢が含まれた。重篤な有害事象(SAE)は8名の参加者(25.8%)で発生したが、>1名の参加者ではSAEは発生しなかった。3人の参加者は、用量制限毒性(DLT)を有し、そのすべてがグレード3の斑丘疹であった(1人のDLTは、抗体Xと組み合わせたエパカドスタットの400mgのBID用量で生じ、2人は、エパカドスタットの900mgのBID用量で生じた)。エパカドスタット600mg BIDは、参加者の初期コホートにおいて、抗体X500mg Q4Wと組み合わされた良好な忍容性であり、さらに評価されている。加えて、エパカドスタット600mg BIDは、予備観察においてキヌレニンの持続的な正常化をもたらした。
【0292】
図1は、示された用量のエパカドスタット(100mg BID、400mg BID、600mg BID、900mg BID)と組み合わされた、抗体Xで治療された患者の血漿キヌレニン結果を示す。血漿キヌレニンを、治療前(C1D1)及び指示された来院時に測定した。
図1は、600mg BIDでの治療が、ほとんどの患者において、血漿kynの持続的(最大4ヶ月)な減少をもたらしたことを示す。
【0293】
実施例2.再発または進行性PD-L1陽性マイクロサテライト-安定子宮内膜癌患者におけるエパカドスタットとの併用における抗体Xの第2相治験
一般的な治験設計
これは、マイクロサテライト安定(MSS)及びPD-L1陽性であり、白金系化学療法中または後に進行した進行性または転移性子宮内膜癌を有する参加者における、エパカドスタットと組み合わされた抗体Xの多施設、非標識、非ランダム化第2相治験である。参加者は、抗体X500mgのQ4W(IV投与)とエパカドスタット600mgのBID(PO投与)との併用を、最大26サイクルにわたって受ける。この治験には、24名の参加者が登録された後に、無益性のための中間解析が1回含まれる。表5は、この研究の目的及びエンドポイントを示す。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0294】
治験治療の中止後、治験の治療部分は終了し、被験者はフォローアップに入る。経過観察は、安全性フォローアップ、疾患状態フォローアップ、生存率フォローアップの3つの部分で構成される。参加者は、治験治療の最後の投与後90日間、または新しい抗がん剤治療を開始するまでの、いずれか早い方から安全性について追跡される。疾患の進行以外の理由で治験治療を中止した参加者は、疾患状態のフォローアップ期間に移動し、Q8Wを継続して評価して、新しい抗がん療法の開始、疾患の進行、死亡、治験終了、または参加者がフォローアップから失われるまで、疾患状態をモニタリングする必要がある。
【0295】
背景及び理論的根拠
免疫阻害経路の遮断は、PD-1/PD-L1に対する抗体で観察される臨床応答によって証明されるように、がんの治療のための重要な治療モダリティとして現れている。これらの単一の薬剤は抗腫瘍活性を有するが、複数の免疫阻害機序が腫瘍微小環境内に同時に存在し、最適な治療効果のために併用療法が必要であり得ることを示唆している(Quezada&Peggs,Br.J.Cancer.2013,108:1560-1565)。この研究の目的は、PD-L1陽性、MSS子宮内膜癌の患者における抗PD-1単剤療法の治療有効性を改善し得る、抗体X、PD-1阻害剤、及びエパカドスタット、IDO1阻害剤の組み合わせの安全性及び有効性を調べることである。
【0296】
子宮内膜癌(EC)は、先進国で最も一般的な婦人科癌である(Colombo et al,Int.J.Gynecol.Cancer 2016,26:2-30)。2018年には、世界で約38万人の子宮内膜癌の新たな症例が診断され、世界で9万人の女性がこの疾患で死亡したと推定されている。子宮内膜癌は、世界で6番目に一般的な女性のがんである(Brey et al,CA Cancer J.Clin.2018,68:394-424)。2020年には、米国で約65,620人の新規症例と12,590人の子宮内膜癌による死亡が予想されている。新規症例の3分の2は早期に診断される。提示時の平均年齢は60歳であり、45歳未満の女性では稀である。子宮内膜癌の発症率は、世界中の多くの国で、特に急速な社会経済的移行を有する国で、時間の経過と連続した世代で増加している(Lortet-Tieulent et al,J.Natl.Cancer Inst.2018,110:354-361)。限局性疾患の5年生存率は95%であるが、遠隔転移性疾患の女性の17%のみが診断から5年生存すると予想される。
【0297】
子宮内膜癌の危険因子としては、エストロゲンレベルの上昇(肥満、糖尿病、及び高脂肪食によって引き起こされる)、早期年齢での初経、無力化、後期年齢での閉経、高齢(≧55歳)、及びタモキシフェンの使用が挙げられる(Van den Bosch et al,Best Pract.Res.Clin.Obstet.Gynaecol.2012,26:257-66、Kitchener&Trimble,Int.J.Gynecol.Cancer,2009,19:134-140、Dinkelspiel et al,Obstet.Gynecol.Int.2013,2013:583891、Obermair et al,Int.J.Cancer,2010,Dec 1,127:2678-2684)。BMIが30を超える肥満は、新たに診断された子宮内膜癌の原因の最大81%である(Nevadunsky et al,Obstet.Gynecol.2014,124:300-306)。子宮内膜癌の発症率は、主に肥満の発症率の増加とそれによる高インスリン血症のために増加している。
【0298】
ほとんどの子宮内膜癌は散発的であるが、症例の2~5%は家族性であり、ミスマッチ修復遺伝子に生殖細胞系列変異を有する(Lynch et al,Nat.Rev.Cancer,2015,15:181-194)。ECの4つの分子クラスターは、The Cancer Genome Atlas(TCGA)(Kandoth et al,Nature,2013,497:67-73)を通じた373 ECの包括的研究において同定されている。これらは次のとおりである。(1)超変異/ポリメラーゼε(POLE)変異、(2)超変異/MSI(MSI-H)、(3)コピー数低(マイクロサテライト安定[MSS])、及び(4)コピー数高。POLE腫瘍は最良のPFSを有し、コピー数の多い腫瘍は最悪であった。残念ながら、TCGAで使用されるゲノム配列決定方法は、より広範な臨床応用には適していない。限局性子宮内膜癌は、外科的切除によって治癒することができる。全身療法は、より進行した疾患で使用される。急速に進行しない低グレードホルモン陽性疾患では、ホルモン療法が好ましい。内臓疾患及び急速に進行する疾患を有する患者には推奨されない(Colombo et al,Int.J.Gynecol.Cancer,2016,26:2-30)。子宮内膜癌は化学療法感受性であり、転移性、再発性、または高リスクの疾患には多剤化学療法が好ましい(Colombo et al,Int.J.Gynecol.Cancer,2016,26:2-30、National Comprehensive Care Network.Clinical Practice Guidelines in Oncology.Uterine Neoplasms.Version 3.2019-11 February 2019)。アントラサイクリン、タキサン、及び白金系化合物は、この疾患において広範囲にわたって研究されている。カルボプラチンとパクリタキセルの併用は、進行したECにおける第一選択療法として一般的に使用され、約50%のORR、13ヶ月のPFS、及び3年のOSを有する(Miller et al.,Gynecol.Oncol.2012,125:771-773、Colombo et al.,Int.J.Gynecol.Cancer,2016,26:2-30)。
【0299】
第一選択化学療法の失敗後の治療選択肢は限定的である(Fleming et al,J.Clin.Oncol.2015,33:3535-3540)。一次化学療法の失敗後、この疾患には確立された有効な第二選択剤は存在しない。パクリタキセルは、シスプラチナムとドキソルビシンの併用治療を受けたことがある患者で、25%のRRが最も高い。第一選択療法でパクリタキセルを投与された患者のドセタキセルを使用したRRは、わずか8%である。第二選択療法後の進行性/再発性測定可能疾患の5年生存率は、<10%である(Moxeley et al,The Oncologist,2010,15:1026-1033、Dizon et al,J.Clin.Oncol.2009,27:3104-3108、及びGarcia et al,Gynecol.Oncol.2008,111:22-26)。エベロリムス+レトロゾール及びベバシズマブはまた、PD-1阻害剤単独療法及びDNA修復の異常のために選択されなかった腫瘍における他の療法との併用と同様に、小さな非対照治験において適度な活性を示している(Ott et al,J.Immunother.Cancer 2017,5:16及びOaknin et al,Gynecol.Oncol.2019,154(1 suppl):Abstract 33)。特に、MMR欠乏症は、一般的に使用される化学療法剤に対する耐性と関連付けられている(Guillotin&Martin,Exper.Cell Res.2014,329:110-115)。ECの約25-30%において、腫瘍は、MMR欠損またはMSI-Hである(Murali et al,Lancet Oncol.2014,Jun;15(7):e268-278、Karamurzin and Rutgers,Int.J.Gynecol.Pathol.2009,28:239-255)。免疫療法ベースのアプローチを用いた有望な臨床活性は、高ネオアンチゲン負荷に関連するDNA修復の異常(例えば、MSI-H、dMMR、またはPOLE超変異)を特徴とする腫瘍で見られている(Mittica et al,Oncotarget,2017,8:90532-90544、Brooks et al,CA Cancer J.Clin.2019,69:258-279及びDi Tucci et al,J.Gynecol.Oncol.2019,30:e46)。ペムブロリズマブは、MMR欠損子宮内膜癌を含むMMR欠損腫瘍の治療に有効であることが示されている(Le et al,N.Engl.J.Med.2015,372:2509-2520)。米国では、以前の療法で進行したMSI-HまたはMMR欠損子宮内膜癌の治療のために承認されている。ECのORRは36%であり、奏効期間は4~17ヶ月であった。
【0300】
しかしながら、ECの大部分は、MSS腫瘍を含む。初期のプラチナベースの化学療法後に進行したMSS子宮内膜癌のより効果的な治療に対する満たされていないニーズが存在する。EC細胞は、25~75%の症例でPD-1及びPD-L1を過剰発現し、すべての婦人科癌の中で最も高い(Herzog et al,Gynecol.Oncol.2015,137:204-205)。DNA修復に異常がないMSS腫瘍に対する抗PD-(L)-1抗体を用いた単剤療法の臨床活性は中程度であり、生存に対する利益は確立されていない(Ott et al,J.Immunother.Cancer,2017,5:16、Marcus et al,Clin.Cancer Res.2019,25:3753-3758、及びFleming et al,J.Clin.Onc.2017,35(15 suppl):Abstract 5585。
【0301】
抗PD-1抗体との併用療法がより効果的であり得る。最近、ペムブロリズマブとレンバチニブとの併用は、以前の全身療法の進行後のMSI-H及びMSS腫瘍においてさらなる利点を示し、MSI-H腫瘍では24週目の全体的な奏効率は63.6%であり、MSS腫瘍を有する参加者では36.2%であった(Makker et al,J.Clin.Oncol.2020;DOI:10.1200/JCO.19.02627)。グレード3または4の有害事象は、被験者の66.9%で報告され、21%は有害事象に関連して二次的に治療を中止した。現在利用可能な療法の安全性及び有効性を改善するために、この集団においてより多くの併用レジメンを評価する必要がある。
【0302】
さらに、子宮内膜癌は、トリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)と比較して、炎症組織中にはるかに高い量のインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)を有することが示されている。IDO及びTDOは、キヌレニン経路の最初のステップ及び速度制限ステップを調節する2つの主要な酵素である。上記のように、トリプトファンの局所的な枯渇及びプロアポトーシスキヌレニンの蓄積は、T細胞の増殖及び生存に大きく影響を及ぼし得る。したがって、TDOと比較してはるかに高い量のIDOを発現するがんは、抗体XなどのIDO阻害剤及びPD-1抗体での治療により良好に応答し得る。現在の翻訳データセットは、子宮内膜癌が、TDO及び60%のIDOhi/TDOlowと比較して40倍高いレベルのIDOを発現し、エパカドスタットなどのIDO阻害剤での治療により感受性が高いことを示す。IDO:TDOの比率が高い他のがんには、子宮頸癌(IDO:TDO79:1及び60%IDOhi/TDOlow)、腎臓癌(または腎臓明細胞癌(KIRC)(IDO:TDO45:1及び60%IDOhi/TDOlow)、肺腺癌を含む肺癌(IDO:TDO7.5:1及び25>%IDOhi/TDOlow)、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮細胞癌)(IDO:TDO8:1及び20%IDOhi/TDOlow)がある。実施例1は、より高い用量のエパカドスタット(最大600mg)が、ほとんどの患者において血漿キヌレニンレベルの持続的(最大4ヶ月)な低下をもたらすことを示すように、これらのがんは、TPOと比較して、低レベルのIDOを有するがんよりもエパカドスタットによる治療に応答性が高いはずである。
【0303】
参加基準
以下のすべての基準が適用される場合にのみ、参加者は本治験に参加する資格がある。
●治験のための書面によるICFに署名することを理解し、意欲を示す能力。
●18歳以上の女性(または現地の国の要件に応じて)。
●進行性または転移性子宮内膜癌(子宮のがん性肉腫及び肉腫を除く)の組織学的に確認された診断。
●進行性または転移性疾患に対する白金含有レジメンを1つ以下使用した治療後の疾患進行の放射線学的証拠。
○疾患の初期段階における1つのネオアジュバント/アジュバント化学療法が許容される。参加者は、ネオアジュバントまたはアジュバント治療設定で1つのレジメンが与えられている限り、合計で最大2つのプラチナベースの化学療法を受けることができる。事前のホルモン療法は、あらゆる疾患の状況で許容される。
●腫瘍組織サンプル(新鮮またはアーカイブ済み)を提供する意思がある。腫瘍組織は、MSS及びPD-L1状態について集中的に試験される。
○腫瘍は、中央検査結果に定義されているように、治験への登録にはPD-L1陽性であり、MSSでなければならない。
●RECIST v1.1に従って、少なくとも1つの測定可能な腫瘍病変を有する必要がある。
ECOGパフォーマンスステータス0または1。
●以下の基準に基づいて、妊娠を避ける意思がある。
○妊娠可能性のある女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性でなければならず、スクリーニングから、治験治療の最後の投与から6ヶ月後まで妊娠を避けるために適切な予防措置(少なくとも99%の確実性がある)を講じることに同意しなければならない。妊娠予防に少なくとも99%有効な許可された方法を参加者に伝え、理解を確認する必要がある。
●出産の可能性のない女性(すなわち、子宮摘出術及び/または両側卵巣摘出術により外科的に不妊、または12ヶ月以上の無月経及び少なくとも50歳)の女性が適格である。
【0304】
治験治療情報
表6は、治験治療情報を記載している。エパカドスタットが診療所で投与される通院では、抗体Xの注入の開始直前に投与されるべきである。抗体X及びエパカドスタットの用量変更は、許可されない。薬物関連TEAEの管理に用量中断が必要な場合、抗体Xを500mgのQ4Wで再開する。
【表7】
【0305】
実施例3.高リスクBCG非応答性非筋肉浸潤性膀胱癌の参加者におけるレチファンリマブ+エパカドスタット対レチファンリマブ+プラセボの第2/3相治験
一般的な治験設計
これは、抗体X(すなわち、レチファンリマブ)及びエパカドスタットの多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の第2/3相治験であり、BCG非応答性、高リスク、非筋肉浸潤性膀胱癌(NMIBC)を有する参加者で、良好な臨床慣行に従って実施された膀胱切除術を受ける資格がないか、または受けることを選択した乳頭腫瘍あり、なしの上皮内癌(CIS)を有する。参加者は、PD-L1ステータス(PD-L1陽性対PD-L1陰性)及び乳頭疾患状態(ベースライン時に存在する乳頭疾患対非乳頭疾患)によって層別化される。本治験は、以下の2つの治療群で構成されている。
A群:レチファンリマブ500mg Q4W+プラセボ BID
B群:レチファンリマブ500mg Q4W+エパカドスタット600mg BID
【0306】
この研究は2つの相で構成される。第2相は、参加者にレチファンリマブとプラセボ、またはレチファンリマブとエパカドスタットをそれぞれ投与するための2:1の無作為化から開始する。150名の参加者が登録された後、最大6ヶ月間、治療への反応についてモニタリングされる参加者の登録が一時停止される。第2相終了時の分析が所望の基準を満たしている場合、本治験は、レチファンリマブとプラセボ、またはレチファンリマブとエパカドスタットをそれぞれ投与するために、さらに150名の参加者を対象に、1:2の無作為割り付けで第3相登録を開始する。
【0307】
治験治療の中止後、治験の治療部分は終了し、被験者はフォローアップに入る。フォローアップは、安全性フォローアップ、疾患状態フォローアップの2つの部分で構成される。治験治療の最後の投与後90日間、または新しい抗がん剤治療を開始するまでの、いずれか早い方から安全性について追跡する。疾患の進行以外の理由で治験治療を中止した参加者は、疾患状態のフォローアップ期間に移行し、新たな抗がん療法の開始、疾患の進行、死亡、治験終了、または参加者がフォローアップから失われるまで、Q12Wの有効性評価によって引き続き評価され、疾患状態をモニタリングする必要がある。
【0308】
参加基準
以下のすべての基準が適用される場合にのみ、参加者は本治験に参加する資格がある。
1.治験のための書面によるICFに署名することを理解し、意欲を示す能力。
2.18歳以上の男女(または現地の国の要件に応じて)。
3.病理学的に確認された高リスクNMIBCは、乳頭腫瘍(高悪性度TaまたはT1)を伴う、または伴わない上皮内癌(CIS)と定義され、
○優位な組織学的成分(>50%)は、尿路上皮(移行細胞)癌でなければならない
4.BCGに反応しないことが実証された(2018年2月のFDAガイダンスによる)
○BCGに応答しない高リスクNMIBCは以下のように定義される:適切なBCG療法の完了から12ヶ月以内の持続性または再発性のCIS単独または再発性Ta/T1(非浸潤性乳頭疾患/腫瘍が上皮下結合組織に侵入する)疾患。適切なBCG療法は、6回の導入コース(適切な導入)のうちの最低5回、及び3回の維持コースのうちの2回、または6回の第2の導入コースのうちの2回と定義される。
5.治験開始前の直近の≦8週間に≧2の膀胱鏡手術を受け、完全なTURBTを含む参加基準#4に定義されている高リスクNMIBCが存在することを確認した。
6.治験参加時に完全に切除された乳頭疾患、残存CISは許容される。
7.腫瘍組織サンプル(CISを含むアーカイブまたは新鮮な生検)を提供する意思がある。アーカイブ組織は、バイオマーカー分析のために利用可能で十分でなければならない。サンプルは、スクリーニングから6ヶ月以内でなければならず、CIS疾患が疑われる膀胱の各部分からの組織代表を含む必要がある。
8.根治的膀胱切除術を受ける資格がないか、選出されない。
9.ECOGパフォーマンスステータス0~1。
10.以下の基準に基づいて、妊娠を避ける意思がある。
○子を持つ可能性がある男性参加者は、(少なくとも99%の確実性で)子供の父親になることを避けるために、スクリーニングから治験治療の最終投与から90日後まで適切な予防措置を講じることに同意しなければならず、この期間中は精子の供与を控える必要がある。妊娠予防に少なくとも99%有効な許可された方法を参加者に伝え、理解を確認する必要がある。
○妊娠可能性のある女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性でなければならず、スクリーニングから治験治療の最後の投与から6ヶ月後まで妊娠を避けるために適切な予防措置(少なくとも99%の確実性がある)を講じることに同意しなければならない。妊娠予防に少なくとも99%有効な許可された方法を参加者に伝え、理解を確認する必要がある。
○子を持つ能力のない女性(すなわち、子宮切除及び/または両側卵巣切除術により外科的に不妊または12ヶ月以上の無月経及び少なくとも50歳)は、適格である。
【0309】
治験治療情報
表7は、レチファンリマブ及びエパカドスタットの治験治療情報をそれぞれ提示する。エパカドスタットが診療所で投与されている通院では、レチファンリマブ注入の開始直前に投与されるべきである。レチファンリマブとエパカドスタットの用量変更は認められない。
【表8】
【0310】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料が本発明の実施または試験で使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載される。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によってその全体が組み込まれる。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先する。材料、方法、及び例は、例示に過ぎず、限定的であることは意図されない。
【配列表】
【国際調査報告】