(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】バッテリー温度制御装置、バッテリーシステム、エネルギー貯蔵システム及びバッテリー温度制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20220930BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220930BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220930BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220930BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20220930BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20220930BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220930BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20220930BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 Y
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/651
H01M10/633
H01M10/48 301
H01M10/48 P
H01M10/617
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506498
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 KR2020009143
(87)【国際公開番号】W WO2021020764
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0093948
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0084321
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ボ-ミ・イム
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA18
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS20
5H030FF22
5H030FF41
5H031AA09
5H031CC09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
バッテリー温度制御装置、バッテリー温度制御方法及びバッテリーシステムが提供される。バッテリー温度制御装置は、第1~第nのバッテリーモジュールに一対一に提供される第1~第nの冷却ファンと、第1~第nのバッテリーモジュールに一対一に提供される第1~第nのスレーブ管理部と、マスター管理部と、を含む。ここで、nは、2以上の自然数である。マスター管理部は、第1~第nの温度値及び第1基準値を含むバッテリー温度情報を決定する。第1~第nの温度値は、第1~第nのバッテリーモジュールの温度を示す。第1基準値は、第1~第nの温度値の平均または中央値である。マスター管理部は、バッテリー温度情報に基づいて各冷却ファンの各々の回転速度を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続した第1~第nのバッテリーモジュール(nは、2以上の自然数)を含むバッテリー群のためのバッテリー温度制御装置であって、
前記第1~第nのバッテリーモジュールに一対一に提供される第1~第nの冷却ファンと、
前記第1~第nのバッテリーモジュールに一対一に提供される第1~第nのスレーブ管理部と、
前記第1~第nの冷却ファン及び前記第1~第nのスレーブ管理部に動作可能に連結されるマスター管理部と、
を含み、
前記マスター管理部は、
前記第1~第nのスレーブ管理部の各々からの通知信号に基づいて、第1~第nの温度値及び第1基準値を含むバッテリー温度情報を決定し、前記第1~第nの温度値は、前記第1~第nのバッテリーモジュールの温度を示し、前記第1基準値は、前記第1~第nの温度値の平均または中央値であり、
前記バッテリー温度情報に基づいて前記第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を制御するように構成される、バッテリー温度制御装置。
【請求項2】
前記マスター管理部は、
i=1~nであるとき、第iの温度値が前記第1基準値以下である場合、下記の数式1を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定し、
前記第iの温度値が前記第1基準値よりも大きい場合、下記の数式2を用いて前記第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され、
【数1】
【数2】
数式1及び数式2において、T
iは前記第iの温度値、T
Lは臨界温度値、T
refは前記第1基準値、K
1は第1加重値、K
2は第2加重値、F
iは前記第iの冷却ファンの回転速度である、請求項1に記載のバッテリー温度制御装置。
【請求項3】
前記マスター管理部は、
前記通知信号に基づいて、第1~第nの健康状態及び第2基準値を含むバッテリー寿命情報を決定し、前記第1~第nの健康状態は、前記第1~第nのバッテリーモジュールの残余寿命を示し、前記第2基準値は、前記第1~第nの健康状態の平均または中央値であり、
前記バッテリー寿命情報にさらに基づいて、前記第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を決定するように構成される、請求項1に記載のバッテリー温度制御装置。
【請求項4】
前記マスター管理部は、
i=1~nであるとき、第iの温度値が前記第1基準値以下である場合、下記の数式3を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定し、
前記第iの温度値が前記第1基準値よりも大きい場合、下記の数式4を用いて前記第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され、
【数3】
【数4】
数式3及び数式4において、T
iは前記第iの温度値、T
Lは臨界温度値、T
refは前記第1基準値、SOH
iは第iの健康状態、SOH
refは前記第2基準値、K
3は第3加重値、K
4は第4加重値、K
5は第5加重値、Fiは前記第iの冷却ファンの回転速度である、請求項3に記載のバッテリー温度制御装置。
【請求項5】
前記マスター管理部は、
前記通知信号に基づいて、第1~第nの充電状態及び第3基準値を含むバッテリー容量情報を決定し、前記第1~第nの充電状態は、前記第1~第nのバッテリーモジュールの残存容量を示し、前記第3基準値は、前記第1~第nの充電状態の平均または中央値であり、
前記バッテリー容量情報にさらに基づいて、前記第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を決定するように構成される、請求項3に記載のバッテリー温度制御装置。
【請求項6】
前記マスター管理部は、
i=1~nであるとき、第iの温度値が前記第1基準値以下である場合、下記の数式5を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定し、
前記第iの温度値が前記第1基準値よりも大きい場合、下記の数式6を用いて前記第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され、
【数5】
【数6】
数式5及び数式6において、T
iは前記第iの温度値、T
refは前記第1基準値、T
Lは臨界温度値、SOH
iは第iの健康状態、SOH
refは前記第2基準値、SOC
iは第iの充電状態、SOC
refは前記第3基準値、K
6は第6加重値、K
7は第7加重値、K
8は第8加重値、K
9は第9加重値、F
iは前記第iの冷却ファンの回転速度である、請求項5に記載のバッテリー温度制御装置。
【請求項7】
電力供給回路をさらに含み、
前記電力供給回路は、前記バッテリー群に並列接続するメイン直列回路と、前記第1~第nの冷却ファンに一対一に並列接続する第1~第nのサブ直列回路と、を含み、
前記メイン直列回路は、互いに直列接続したメインコイル及びメインスイッチを含み、
前記第1~第nのサブ直列回路のそれぞれは、互いに直列接続したサブコイル及びサブスイッチを含み、
前記マスター管理部は、前記第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度に基づいて、前記メインスイッチ及び前記サブスイッチを制御するように構成された、請求項1に記載のバッテリー温度制御装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のバッテリー温度制御装置を含む、バッテリーシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のバッテリーシステムを含む、エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
直列接続した第1~第nのバッテリーモジュール(nは、2以上の自然数)を含むバッテリー群のためのバッテリー温度制御方法であって、
第1~第nの温度値及び第1基準値を含むバッテリー温度情報を決定し、前記第1~第nの温度値は、前記第1~第nのバッテリーモジュールの温度を示し、前記第1基準値は、前記第1~第nの温度値の平均または中央値である段階と、
前記バッテリー温度情報に基づいて、第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を制御する段階と、
を含む、バッテリー温度制御方法。
【請求項11】
第1~第nの健康状態及び第2基準値を含むバッテリー寿命情報を決定し、前記第1~第nの健康状態は、前記第1~第nのバッテリーモジュールの残余寿命を示し、前記第2基準値は、前記第1~第nの健康状態の平均または中央値である段階をさらに含み、
前記第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度は、前記バッテリー寿命情報にさらに基づいて決定される、請求項10に記載のバッテリー温度制御方法。
【請求項12】
第1~第nの充電状態及び第3基準値を含むバッテリー容量情報を決定し、前記第1~第nの充電状態は、前記第1~第nのバッテリーモジュールの残存容量を示し、前記第3基準値は、前記第1~第nの充電状態の平均または中央値である段階をさらに含み、
前記第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度は、前記バッテリー容量情報にさらに基づいて決定される、請求項11に記載のバッテリー温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの温度を制御する技術に関する。
【0002】
本出願は、2019年08月01日出願の韓国特許出願第10-2019-0093948号及び2020年07月08日出願の韓国特許出願第10-2020-0084321号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
バッテリーシステムは、外部から供給された電力を貯蔵しておき、非常時に貯蔵された電力を外部に供給するように提供され得る。このようなバッテリーシステムには、基本的に複数のバッテリーモジュール及び各バッテリーモジュールを制御するためのコントローラーを含む。
【0006】
バッテリーシステムの内外部環境や反復された充放電によって複数のバッテリーモジュール同士に温度偏差が発生し得る。バッテリーモジュールの温度は、バッテリーモジュールの性能(例えば、充放電効率)に大きい影響を及ぼすため、バッテリーモジュールの温度を適正範囲内にするための冷却が必須となる。
【0007】
本発明の発明者は、同じバッテリー群内の複数のバッテリーモジュールに対する実験から、幾つかの明確な相関関係を確認した。第一に、各バッテリーモジュールの温度が他のバッテリーモジュールの温度に影響を受けるということである。第二に、高温環境に露出した期間が長いほど、また充電状態(SOC:State-Of-Charge)が高いほど、バッテリーモジュールの健康状態(SOH:State-Of-Health)が大幅低下するということである。
【0008】
ところが、従来には、各バッテリーモジュールの冷却が当該バッテリーモジュールの温度のみに基づいて行われることが通常である。即ち、各バッテリーモジュールに対する冷却制御を行うとき、他のバッテリーモジュールの温度が考慮されていない。そればかりではなく、複数のバッテリーモジュールの各々の健康状態及び充電状態が温度制御に考慮されていない。各バッテリーモジュールの温度のみに基づいて当該バッテリーモジュールを冷却する場合、同じバッテリー群内の複数のバッテリーモジュール同士の温度偏差が適切に抑制できず、結果的に複数のバッテリーモジュールが不均一に劣化するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、同じバッテリー群に属する複数のバッテリーモジュールのうち少なくとも二つ以上の温度に基づいて、各バッテリーモジュールのための冷却レベル(例えば、冷却媒体の供給量)を制御する装置及び方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、同じバッテリー群に属する各バッテリーモジュールの充電状態及び/又は健康状態にさらに基づいて、各バッテリーモジュールに対する個別冷却を行う装置及び方法を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、各バッテリーモジュールに対する冷却のために求められる電力を当該バッテリーモジュールのみから供給する代わりに、残りのバッテリーモジュールからも供給する装置及び方法を提供することをさらに他の目的にする。
【0012】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一面によるバッテリー温度制御装置は、直列接続した第1~第nのバッテリーモジュールを含むバッテリー群のためのものである。ここで、nは、2以上の自然数である。バッテリー温度制御装置は、第1~第nのバッテリーモジュールに一対一に提供される第1~第nの冷却ファンと、第1~第nのバッテリーモジュールに一対一に提供される第1~第nのスレーブ管理部と、第1~第nの冷却ファン及び第1~第nのスレーブ管理部に動作可能に連結されるマスター管理部と、を含む。マスター管理部は、第1~第nのスレーブ管理部の各々からの通知信号に基づいて、第1~第nの温度値及び第1基準値を含むバッテリー温度情報を決定するように構成される。第1~第nの温度値は、第1~第nのバッテリーモジュールの温度を示す。第1基準値は、第1~第nの温度値の平均または中央値である。マスター管理部は、バッテリー温度情報に基づいて第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を制御するように構成される。
【0014】
マスター管理部は、i=1~nであるとき、第iの温度値が第1基準値以下である場合、下記の数式1を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され得る。マスター管理部は、i=1~nであるとき、第iの温度値が第1基準値よりも大きい場合、下記の数式2を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され得る。
【数1】
【数2】
【0015】
数式1及び数式2において、Tiは第iの温度値、TLは臨界温度値、Trefは第1基準値、K1は第1加重値、K2は第2加重値、Fiは第iの冷却ファンの回転速度である。
【0016】
マスター管理部は、通知信号に基づいて、第1~第nの健康状態及び第2基準値を含むバッテリー寿命情報を決定するように構成され得る。第1~第nの健康状態は、第1~第nのバッテリーモジュールの残余寿命を示す。第2基準値は、第1~第nの健康状態の平均または中央値である。マスター管理部は、バッテリー寿命情報にさらに基づいて、第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を決定するように構成され得る。
【0017】
マスター管理部は、i=1~nであるとき、第iの温度値が第1基準値以下である場合、下記の数式3を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され得る。マスター管理部は、i=1~nであるとき、第iの温度値が第1基準値よりも大きい場合、下記の数式4を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され得る。
【数3】
【数4】
【0018】
数式3及び数式4において、Tiは第iの温度値、TLは臨界温度値、Trefは第1基準値、SOHiは第iの健康状態、SOHrefは第2基準値、K3は第3加重値、K4は第4加重値、K5は第5加重値、Fiは第iの冷却ファンの回転速度である。
【0019】
マスター管理部は、通知信号に基づいて、第1~第nの充電状態及び第3基準値を含むバッテリー容量情報を決定するように構成され得る。第1~第nの充電状態は、第1~第nのバッテリーモジュールの残存容量を示す。第3基準値は、第1~第nの充電状態の平均または中央値である。マスター管理部は、バッテリー容量情報にさらに基づいて、第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を決定するように構成され得る。
【0020】
マスター管理部は、i=1~nであるとき、第iの温度値が第1基準値以下である場合、下記の数式5を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され得る。マスター管理部は、i=1~nであるとき、第iの温度値が第1基準値よりも大きい場合、下記の数式6を用いて第iの冷却ファンの回転速度を決定するように構成され得る。
【数5】
【数6】
【0021】
数式5及び数式6において、Tiは第iの温度値、Trefは第1基準値、TLは臨界温度値、SOHiは第iの健康状態、SOHrefは第2基準値、SOCiは第iの充電状態、SOCrefは第3基準値、K6は第6加重値、K7は第7加重値、K8は第8加重値、K9は第9加重値、Fiは第iの冷却ファンの回転速度である。
【0022】
バッテリー温度制御装置は、電力供給回路をさらに含み得る。電力供給回路は、バッテリー群に並列接続するメイン直列回路と、第1~第nの冷却ファンに一対一に並列接続する第1~第nのサブ直列回路と、を含む。メイン直列回路は、互いに直列接続したメインコイル及びメインスイッチを含む。第1~第nのサブ直列回路のそれぞれは、互いに直列接続したサブコイル及びサブスイッチを含む。マスター管理部は、第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度に基づいて、メインスイッチ及びサブスイッチを制御するように構成され得る。
【0023】
本発明の他面によるバッテリーシステムは、バッテリー温度制御装置を含む。
【0024】
本発明のさらに他面によるエネルギー貯蔵システムは、バッテリーシステムを含む。
【0025】
なお、本発明のさらに他面によるバッテリー温度制御方法は、直列接続した第1~第nのバッテリーモジュールを含むバッテリー群のためのものである。ここで、nは、2以上の自然数である。バッテリー温度制御方法は、第1~第nの温度値及び第1基準値を含むバッテリー温度情報を決定する段階を含む。第1~第nの温度値は、第1~第nのバッテリーモジュールの温度を示す。第1基準値は、第1~第nの温度値の平均または中央値である。バッテリー温度制御方法は、バッテリー温度情報に基づいて、第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度を制御する段階と、をさらに含む。
【0026】
バッテリー温度制御方法は、第1~第nの健康状態及び第2基準値を含むバッテリー寿命情報を決定する段階をさらに含み得る。第1~第nの健康状態は、第1~第nのバッテリーモジュールの残余寿命を示す。第2基準値は、第1~第nの健康状態の平均または中央値である。第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度は、バッテリー寿命情報にさらに基づいて決定され得る。
【0027】
バッテリー温度制御方法は、第1~第nの充電状態及び第3基準値を含むバッテリー容量情報を決定する段階をさらに含み得る。第1~第nの充電状態は、第1~第nのバッテリーモジュールの残存容量を示す。第3基準値は、第1~第nの充電状態の平均または中央値である。第1~第nの冷却ファンの各々の回転速度は、バッテリー容量情報にさらに基づいて決定され得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施例のうち少なくとも一つによると、同じバッテリー群に属する複数のバッテリーモジュールの少なくとも二つ以上の温度に基づいて、各バッテリーモジュールのための冷却レベルを制御することで、複数のバッテリーモジュール同士の温度偏差を効果的に抑制することができる。
【0029】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによると、同じバッテリー群に属する各バッテリーモジュールの充電状態及び/又は健康状態にさらに基づいて、各バッテリーモジュールに対する個別冷却を行うことで、複数のバッテリーモジュール同士の寿命偏差を効果的に抑制することができる。
【0030】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによると、各バッテリーモジュールに対する冷却のために求められる電力を該当バッテリーモジュールのみから供給する代わりに、他のバッテリーモジュールからも供給することで、複数のバッテリーモジュール同士の寿命偏差をさらに効果的に抑制することができる。
【0031】
本発明の効果は上述の効果に限定されず、言及していない効果は、本明細書及び添付の図面から本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者に明確に理解されるだろう。
【0032】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施例によるバッテリーシステムの構成を例示的に示した図である。
【
図4】バッテリー群の温度を制御するための一方法を例示したフローチャートである。
【
図5】バッテリー群の温度を制御するための他の方法を例示したフローチャートである。
【
図6】バッテリー群の温度を制御するためのさらに他の方法を例示したフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施例によるバッテリーシステムの構成を例示した図である。
【
図8】
図7の電力供給回路を制御するための方法を例示的に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0036】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「管理部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより具現され得る。
【0037】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0038】
本明細書において、参照符号として使用されたnは、2以上の自然数であり、参照符号として使用されたiは1~n、即ち、n以下の自然数である。
【0039】
図1は、本発明の第1実施例によるバッテリーシステム10の構成を例示的に示した図であり、
図2は、
図1のスレーブ220_iの構成を例示的に示した図であり、
図3は、
図1のマスター230の構成を例示的に示した図である。
【0040】
バッテリーシステム10は、エネルギー貯蔵システム1に含まれ得る。エネルギー貯蔵システム1は、図示省略した電力変換システム(PCS:Power Conversion System)などをさらに含み得る。PCSは、バッテリーシステム10からの直流電力を交流電力に変換して電気系統に供給し得る。
図1~
図3を参照すると、バッテリーシステム10は、バッテリー群20、電流センサー50、リレー100及びバッテリー温度制御装置200(以下、「装置」と称し得る。)を含む。
【0041】
バッテリー群20は、第1ノードN+、第2ノードN-、及び第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nを含む。
【0042】
第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nは、第1ノードN+と第2ノードN-との間に電気的に直列接続する。バッテリーモジュール30_iは、少なくとも一つのバッテリーセルを含む。バッテリーセルは、例えば、リチウムイオンセルのように反復的な充放電が可能なものであれば、その種類は特に限定されない。
【0043】
電流センサー50は、バッテリー群20の充放電のための電流経路を通してバッテリー群20に電気的に直列接続する。電流センサー50は、電流経路を通して流れる電流を検出し、検出された電流を示す電流信号をマスター230に出力するように構成される。
【0044】
リレー100は、バッテリー群20の充放電のための電流経路に設けられる。即ち、バッテリー群20、電流センサー50及びリレー100は、電流経路を通して直列接続する。リレー100の制御端子は、装置200に電気的に接続する。リレー100は、制御端子に出力される装置200からのスイッチング信号に応じて、オンオフ制御される。
【0045】
装置200は、第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nが過熱しないように、また第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nの劣化が均一になるように、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nを活用して第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nの温度を個別制御するように提供される。
【0046】
装置200は、第1~第nの冷却ファン210_1~210_n、第1~第nのスレーブ管理部220_1~220_n及びマスター管理部230を含む。電流センサー50は、装置200に含まれるものであり得る。以下では、スレーブ管理部を「スレーブ」と称し、マスター管理部を「マスター」と称する。
【0047】
第1~第nの冷却ファン210_1~210_nは、第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nに一対一に提供される。i=1~nであるとき、冷却ファン210_iは、バッテリーモジュール30_iの冷却のためのものである。即ち、冷却ファン210_iが回転する間、冷却ファン210_iから伝達される冷却媒体(例えば、空気)によってバッテリーモジュール30_iの冷却が行われる。冷却ファン210_iの回転速度が速いほど、バッテリーモジュール30_iの冷却が速く行われる。冷却ファン210_iは、スレーブ220_iまたはマスター230からの制御信号C_iに応じて、制御信号C_iによって求められた回転速度で回転するように構成される。冷却ファン210_iは、一対の電力供給ラインを介してバッテリーモジュール30_iの正極端子及び負極端子に電気的に接続し得る。これによって、制御信号C_iが冷却ファン210_iに印加される場合、冷却ファン210_iは、バッテリーモジュール30_iから供給される電力を用いて駆動可能となる。
【0048】
第1~第nのスレーブ220_1~220_nは、第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nに一対一に提供される。スレーブ220_iは、バッテリーモジュール30_iの状態をモニターするために、バッテリーモジュール30_iに連結される。バッテリーモジュール30_iの状態を示すパラメーターであるバッテリーモジュール30_iの電圧、電流及び温度の少なくとも一つが、スレーブ220_iによって周期的に、または非周期的に検出される。
【0049】
スレーブ220_iは、センシング回路221、制御回路222及び通信回路223を含む。
【0050】
センシング回路221は、温度センサーTSを含む。センシング回路221は、電圧センサーVSをさらに含み得る。温度センサーTSは、バッテリーモジュール30_iの温度を検出し、検出された温度を示す信号を制御回路222に出力するように構成される。電圧センサーVSは、バッテリーモジュール30_iの正極端子及び負極端子に電気的に接続する。電圧センサーVSは、バッテリーモジュール30_iの両端にかかった電圧を検出し、検出された電圧を示す信号を制御回路222に出力するように構成される。
【0051】
制御回路222は、ハードウェア的に、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、マイクロプロセッサー(microprocessors)、及びその他の機能の遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。制御回路222は、メモリ224を含み得る。メモリ224には、後述する段階を行うのに必要なプログラム及び各種データが保存され得る。メモリ224は、例えば、フラッシュメモリタイプ(flash(登録商標) memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリ)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリ)、ROM(read-only memory,リードオンリメモリ)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルリードオンリメモリ)、及びPROM(programmable read-only memory,プログラマブルリードオンリメモリ)のうち少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。
【0052】
制御回路222は、センシング回路221からの信号に基づいて、バッテリーモジュール30_iの状態を示す通知信号R_iを生成する。
【0053】
通信回路223は、マスター230との通信のために提供される。通信回路223は、制御回路222からの通知信号R_iをマスター230に伝送する。通信回路223は、マスター230からの命令(例えば、ウェイクアップ、スリープ、シャットダウン、バッテリー冷却)を制御回路222に伝達し得る。通信回路223は、LAN(local area network,ローカルエリア・ネットワーク)、CAN(controller area network,コントローラー・エリア・ネットワーク)、デージチェーンのような有線ネットワーク及び/またはブルートゥース(登録商標)、ジグビー、Wi-Fiなどの無線ネットワークを提供し得る。
【0054】
マスター230は、電流センサー50、リレー100、第1~第nの冷却ファン210_1~210_n及び第1~第nのスレーブ220_1~220_nに動作可能に連結される。マスター230は、制御回路231及び通信回路232を含む。
【0055】
制御回路231は、ハードウェア的に、ASICs、DSPs、DSPDs、PLDs、FPGAs、マイクロプロセッサー、及びその他の機能の遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。制御回路231は、メモリ233を含み得る。メモリ233には、後述する段階を実行するのに必要なプログラム及び各種データが保存され得る。メモリ233は、例えば、フラッシュメモリタイプ(登録商標)、ハードディスクタイプ、SSDタイプ、SDDタイプ、マルチメディアカードマイクロタイプ、RAM、SRAM、ROM、EEPROM、及びPROMのうち少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。
【0056】
通信回路232は、第1~第nのスレーブ220_1~220_nとの通信のために提供される。通信回路232は、第1~第nのスレーブ220_1~220_nからの通知信号R_1~R_nが示す情報を制御回路231に伝達する。通信回路232は、制御回路231からの命令を第1~第nのスレーブ220_1~220_nに伝送する。通信回路232は、LAN、CAN、デージチェーンのような有線ネットワーク及び/またはブルートゥース(登録商標)、ジグビー、Wi-Fiなどの無線ネットワークを提供し得る。
【0057】
制御回路231は、第1~第nのスレーブ220_1~220_nからの通知信号R_1~R_nに基づいて、バッテリー温度情報を決定する。制御回路231は、電流センサー50からの電流信号及び第1~第nのスレーブ220_1~220_nからの通知信号R_1~R_nに基づいて、バッテリー寿命情報及び/またはバッテリー容量情報をさらに決定し得る。
【0058】
バッテリー温度情報は、第1~第nの温度値及び第1基準値を含む。第iの温度値は、第iのバッテリーモジュール30_iの温度を示す。第1基準値は、第1~第nの温度値の代表値(例えば、平均、中央値)を示す。
【0059】
バッテリー寿命情報は、第1~第nの健康状態及び第2基準値を含む。第iの健康状態は、第iのバッテリーモジュール30_iの残余寿命を示す。第2基準値は、第1~第nの健康状態の代表値(例えば、平均、中央値)を示す。第iの健康状態は、下記の数式によって決定できる。
【数7】
【0060】
上記式において、Qrefは所定の基準容量、SOC(t1)は時点t1における第iのバッテリーモジュール30_iの充電状態、SOC(t2)は時点t1の後である時点t2における第iのバッテリーモジュール30_iの充電状態、i(t)は時点t1と時点t2との間の時点tで検出された電流、SOHiは第iの健康状態を示す。Qrefは、メモリ233に予め保存され得、バッテリーモジュール30_iが新品(BOL:Beginning Of Life)であったときのバッテリーモジュール30_iの最大容量を示す。時点t2は、SOC(t1)とSOC(t2)との差の絶対値が臨界値(例えば、0.5)以上である最も最近の時点であり得る。
【0061】
バッテリー容量情報は、第1~第nの充電状態及び第3基準値を含む。第iの充電状態は、第iのバッテリーモジュール30_iの残存容量を示す。第3基準値は、第1~第nの充電状態の代表値(例えば、平均、中央値)を示す。第iの充電状態は、公知の多様なSOC推定アルゴリズムから決定され得る。例えば、第iの充電状態は、第iのバッテリーモジュール30_iの開放電圧(OCV:Open-Circuit-voltage)をインデックスとして活用し、所定のOCV-SOCカーブから決定され得る。他の例で、第iの充電状態は、アンペアカウンティングを用いて、第iのバッテリーモジュール30_iの電流を時間に対して累積した電流積算値に基づいて決定され得る。さらに他の例で、第iの充電状態は、カルマンフィルターを用いて、バッテリーモジュール30_iの電圧履歴、電流履歴及び温度履歴から決定され得る。
【0062】
制御回路231は、バッテリー温度情報、バッテリー寿命情報及びバッテリー容量情報のうち少なくとも一つに基づいて、リレー100のオンオフ状態を制御するためのスイッチング信号を生成する。
【0063】
制御回路231は、バッテリー温度情報、バッテリー寿命情報及びバッテリー容量情報のうち少なくとも一つに基づいて、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nの回転速度を制御するための第1~第nの制御信号C_1~C_nを生成する。
【0064】
図4は、
図1のバッテリー群20の温度を制御するための一方法を例示したフローチャートである。
【0065】
図1~
図4を参照すると、段階S410において、マスター230は、第1~第nのスレーブ220_1~220_nからの第1~第nの通知信号R_1~R_nをマスター230のメモリ233に記録する。第1~第nの通知信号R_1~R_nは、同一時点における第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nの状態を示し得る。即ち、第iの通知信号R_iは、第iのスレーブ220_iによって伝送されるものであって、第iのバッテリーモジュール30_iの状態を示す。
【0066】
段階S420において、マスター230は、第1~第nの通知信号R_1~R_nに基づいて、バッテリー温度情報を決定する。バッテリー温度情報は、第1~第nの温度値及び第1基準値を含む。
【0067】
段階S430において、マスター230は、バッテリー温度情報に基づいて、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nのための第1~第nの回転速度を決定する。
【0068】
一例において、制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以下である場合、下記の数式1を用いて第iの冷却ファン210_iに関わる第iの回転速度を決定し得る。制御回路231は、第iの温度値が第1基準値よりも大きい場合、下記の数式2を用いて第iの冷却ファン210_iに関わる第iの回転速度を決定し得る。
【数8】
【数9】
【0069】
数式1及び数式2において、Tiは第iの温度値、TLは臨界温度値、第iの温度値、Trefは第1基準値、K1は第1加重値、K2は第2加重値、Fiは第iの冷却ファン210_iに関わる第iの回転速度を示す。臨界温度値TLは過冷却を防止するための所定の下限温度(例えば、5℃)を示す。
【0070】
K1及びK2の各々は、予め決められた正数であり得る。または、K1及びK2は、バッテリー温度情報の第1基準値をインデックスとして用いて、第1データテーブル及び第2データテーブルから各々得られうる。第1データテーブルは、TrefとK1との対応関係を規定する。第1データテーブル内で、相対的に大きいTrefは、相対的に大きいK1に関連付けられている。第2データテーブルは、TrefとK2との対応関係を規定する。第2データテーブル内で、相対的に大きいTrefは、相対的に大きいK2に関連付けられている。または、制御回路231は、第2データテーブルを用いる代わりに、K2を第1データテーブルからのK1と同一に設定し得る。
【0071】
他の例で、制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以下である場合、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた回転速度を第1値に設定する一方、その外には、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた回転速度を第2値に設定し得る。第2値(例えば、10回/秒)は、第1値(例えば、7回/秒)よりも大きい。
【0072】
段階S440において、マスター230は、第1~第nの制御信号C_1~C_nを第1~第nの冷却ファン210_1~210_nに出力する。即ち、第iの制御信号C_iは、第iの冷却ファン210_iに出力される。第iの制御信号C_iは、第iの冷却ファン210_iに第iの回転速度で回転することを命令するための信号である。
【0073】
図5は、
図1のバッテリー群20の温度を制御するための他の方法を例示的に示すフローチャートである。
【0074】
図1~
図3及び
図5を参照すると、段階S510において、マスター230は、第1~第nのスレーブ220_1~220_nからの第1~第nの通知信号R_1~R_nをマスター230のメモリ233に記録する。第1~第nの通知信号R_1~R_nは、同一時点における第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nの状態を示し得る。即ち、第iの通知信号R_iは、第iのスレーブ220_iによって伝送されるものであって、第iのバッテリーモジュール30_iの状態を示す。
【0075】
段階S520において、マスター230は、第1~第nの通知信号R_1~R_nに基づき、バッテリー温度情報及びバッテリー寿命情報を決定する。バッテリー温度情報は、第1~第nの温度値及び第1基準値を含む。バッテリー寿命情報は、第1~第nの健康状態及び第2基準値を含む。
【0076】
段階S530において、マスター230は、バッテリー温度情報及びバッテリー寿命情報に基づいて、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nのための第1~第nの回転速度を決定する。
【0077】
一例で、制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以下であり、第iの健康状態が第2基準値以上である場合、上記数式1を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以上であり、第iの健康状態が第2基準値以上である場合、上記数式2を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。
【0078】
他の例で、制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以下であり、第iの健康状態が第2基準値以下である場合、下記の数式3を用いて第iの冷却ファン210_i)に関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以上であり、第iの健康状態が第2基準値以下である場合、下記の数式4を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。
【数10】
【数11】
【0079】
数式3及び数式4において、Tiは第iの温度値、TLは臨界温度値、Trefは第1基準値、SOHiは第iの健康状態、SOHrefは第2基準値、K3は第3加重値、K4は第4加重値、K5は第5加重値、Fiは第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を示す。K3、K4及びK5の各々は、予め決められた正数であり得る。または、K3及びK4は、バッテリー温度情報の第1基準値をインデックスとして用いて、第3データテーブル及び第4データテーブルから各々得られうる。第3データテーブルは、TrefとK3との対応関係を規定する。第3データテーブル内で、相対的に大きいTrefは、相対的に大きいK3に関連付けられている。第4データテーブルは、TrefとK4との対応関係を規定する。第4データテーブル内で、相対的に大きいTrefは、相対的に大きいK4に関連付けられている。第1データテーブルが第3データテーブルとして用いられ得る。即ち、K3はK1と同一であり得る。第2データテーブルが第4データテーブルとして用いられ得る。即ち、K4は、K2と同一であり得る。
【0080】
K5は、バッテリー寿命情報の第2基準値をインデックスとして用いて、第5データテーブルから得られうる。第5データテーブルは、SOHrefとK5との対応関係を規定する。第5データテーブル内で、相対的に小さいSOHrefは、相対的に大きいK5に関連付けられている。
【0081】
段階S540において、マスター230は、第1~第nの制御信号C_1~C_nを第1~第nの冷却ファン210_1~210_nに出力する。即ち、第iの制御信号C_iは、第iの冷却ファン210_iに出力される。第iの制御信号C_iは、冷却ファン210_iに第iの回転速度で回転することを命令するための信号である。
【0082】
図6は、バッテリー群20の温度を制御するためのさらに他の方法を例示的に示すフローチャートである。
【0083】
図6を参照すると、段階S610において、マスター230は、第1~第nのスレーブ220_1~220_nからの第1~第nの通知信号R_1~R_nをマスター230のメモリ233に記録する。第1~第nの通知信号R_1~R_nは、同一時点における第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nの状態を示し得る。即ち、第iの通知信号R_iは、第iのスレーブ220_iによって伝送されるものであって、第iのバッテリーモジュール30_iの状態を示す。
【0084】
段階S620において、マスター230は、第1~第nの通知信号R_1~R_nに基づいて、バッテリー温度情報、バッテリー寿命情報及びバッテリー容量情報を決定する。バッテリー温度情報は、第1~第nの温度値及び第1基準値を含む。バッテリー寿命情報は、第1~第nの健康状態及び第2基準値を含む。バッテリー容量情報は、第1~第nの充電状態及び第3基準値を含む。
【0085】
段階S630において、マスター230は、バッテリー温度情報、バッテリー寿命情報及びバッテリー容量情報に基づいて、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nのための第1~第nの回転速度を決定する。
【0086】
一例で、制御回路231は、バッテリー群20が充電中であるか、または放電中であるかに関係なく、第iの温度値が第1基準値以下であり、かつ第iの健康状態が第2基準値以上である場合、上記数式1を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以上であり、かつ第iの健康状態が第2基準値以上である場合、上記数式2を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。
【0087】
他の例で、制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以下であり、かつ第iの健康状態が第2基準値以下である場合、下記の数式5を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。制御回路231は、バッテリー群20が放電中であるとき、第iの温度値が第1基準値以上であり、かつ第iの健康状態が第2基準値以下である場合、下記の数式6を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定できる。
【数12】
【数13】
【0088】
数式5及び数式6は、バッテリーモジュール30_iが劣化するほどバッテリーモジュール30_iの内部抵抗が増加することによって、放電中のバッテリーモジュール30_iの充電状態の下降速度が遅くなる特性が考慮されている。
【0089】
さらに他の例で、制御回路231は、第iの温度値が第1基準値以下であり、かつ第iの健康状態が第2基準値以下である場合、下記の数式7を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。制御回路231は、バッテリー群20が充電中であるとき、第iの温度値が第1基準値以上であり、かつ第iの健康状態が第2基準値以下である場合、下記の数式8を用いて第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定できる。
【数14】
【数15】
【0090】
数式7及び数式8は、バッテリーモジュール30_iが劣化するほどバッテリーモジュール30_iの内部抵抗が増加するによって、充電中のバッテリーモジュール30_iの充電状態の上昇速度が遅くなる特性が考慮されている。
【0091】
数式5~数式8において、Tiは第iの温度値、TLは臨界温度値、Trefは第1基準値、SOHiは第iの健康状態、SOHrefは第2基準値、SOCiは第iの充電状態、SOCrefは第3基準値、K6は第6加重値、K7は第7加重値、K8は第8加重値、K9は第9加重値、Fiは第iの冷却ファン210_iに関連付けられた回転速度を示す。
【0092】
制御回路231は、第iの健康状態が第2基準値以下である場合、数式5~数式8のいずれか一つを用いて、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を決定し得る。例えば、制御回路231は、バッテリー群20の放電中には、数式5または数式6を用いて第iの回転速度を決定し、バッテリー群20の充電中には、数式7または数式8を用いて第iの回転速度を決定し得る。
【0093】
K6、K7、K8及びK9の各々は、予め決められた正数であり得る。または、K6及びK7は、バッテリー温度情報の第1基準値をインデックスとして用いて、第6データテーブル及び第7データテーブルから各々得られうる。第6データテーブルは、TrefとK6との対応関係を規定する。第6データテーブル内で、相対的に大きいTrefは、相対的に大きいK6に関連付けられている。第7データテーブルは、TrefとK7との対応関係を規定する。第7データテーブル内で、相対的に大きいTrefは、相対的に大きいK7に関連付けられている。第1データテーブルが第6データテーブルとして用いられ得る。即ち、K6は、K1と同一であり得る。第2データテーブルが第7データテーブルとして用いられ得る。即ち、K7は、K2と同一であり得る。
【0094】
K8は、バッテリー寿命情報の第2基準値をインデックスとして用いて、第8データテーブルから得られうる。第8データテーブルは、SOHrefとK8との対応関係を規定する。第8データテーブル内で、相対的に小さいSOHrefは、相対的に大きいK8に関連付けられている。第5データテーブルが第8データテーブルとして用いられ得る。即ち、K8はK5と同一であり得る。
【0095】
K9は、バッテリー容量情報の第3基準値をインデックスとして用いて、第9データテーブルから得られうる。第9データテーブルは、SOCrefとK9との対応関係を規定する。第9データテーブル内で、相対的に大きいSOCrefは、相対的に大きいK9に関連付けられている。
【0096】
段階S640において、マスター230は、第1~第nの制御信号C_1~C_nを第1~第nの冷却ファン210_1~210_nに出力する。即ち、第iの制御信号C_iは、第iの冷却ファン210_iに出力される。第iの制御信号C_iは、第iの冷却ファン210_iに第iの回転速度で回転することを命令するための信号である。
【0097】
図4~
図6の方法において、制御回路231は、数式1~8のいずれか一つから決定されたF
iが所定の下限値未満である場合、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を所定の下限値と同一に決定し得る。例えば、Fi=-3(回/秒)であり、所定の下限値=0(回/秒)の場合、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度は、0(回/秒)に制限され得る。
【0098】
制御回路231は、数式1~8のいずれか一つから決定されたFiが所定の上限値を超過する場合、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度を所定の上限値と同一に決定し得る。例えば、Fi=55(回/秒)であり、所定の上限値=30(回/秒)である場合、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度は、30(回/秒)に制限され得る。所定の上限値は、第iの冷却ファン210_iの最大回転速度であり得る。
【0099】
したがって、第iの冷却ファン210_iに関連付けられた第iの回転速度は、所定の上限値と所定の下限値との範囲で、第iのバッテリーモジュール30_iの温度、健康状態及び/または充電状態に基づいて決定され得る。
【0100】
図4~
図6の各々の方法は、周期的にまたは非周期的に反復して実行され得る。
【0101】
図7は、本発明の第2実施例によるバッテリーシステム10の構成を例示した図である。第2実施例によるバッテリーシステム10については、第1実施例(
図1~
図3参照)との共通点についての反復する説明は省略し、相違点を中心にして説明する。
【0102】
第2実施例のバッテリーシステム10は、装置200が、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nと第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nとの電力供給経路として提供されたn対の電力供給ラインを代替するための電力供給回路300をさらに含むという点で第1実施例と異なる。
【0103】
図7を参照すると、電力供給回路300は、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nの動作に求められる電力を供給するためのものであって、メイン直列回路310及び第1~第nのサブ直列回路320_1~320_nを含む。
【0104】
メイン直列回路310は、第1ノードN+及び第2ノードN-を介してバッテリー群20に電気的に並列接続する。メイン直列回路310は、互いに直列接続したメインコイル311及びメインスイッチ312を含む。例えば、電界効果トランジスターがメインスイッチ312として用いられ得る。メインコイル311の一端は第1ノードN+に接続し、メインコイル311の他端はメインスイッチ312の一端に接続し得る。メインスイッチ312の他端は第2ノードN-に接続し得る。
【0105】
第1~第nのサブ直列回路320_1~320_nは、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nに一対一に提供される。第iのサブ直列回路320_iは、互いに直列接続したサブコイル321_i及びサブスイッチ322_iを含む。サブスイッチ322_iは、電界効果トランジスターであり得る。サブコイル321_iの一端は、冷却ファン210_iの二つの電源端子のいずれか一つに接続し、サブコイル321_iの他端は、サブスイッチ322_iの一端に接続し得る。サブスイッチ322_iの他端は、冷却ファン210_iの2つの電源端子のうち他の一つに接続し得る。電力供給回路300は、フライバックトランスフォーマーを用いたものであって、メインコイル311とサブコイル321_iとは、互いに磁気的に連結可能である。メインコイル311の巻線数に対するサブコイル321_iの巻線数の巻線比は、0~1の値(例えば、1/n)に予め決められていてもよい。
【0106】
図4~
図6を参照して、前述した第1実施例に関わる方法は、第2実施例によるバッテリーシステム10のバッテリー群20の温度を調節するときにも共通的に適用可能である。制御回路231は、段階S430、段階S530または段階S630で決定された第1~第nの回転速度に基づいて、メインスイッチ312及び第1~第nのサブスイッチ322_1~322_nを制御し得る。
【0107】
図8は、
図7の電力供給回路300を制御するための方法を例示したフローチャートである。
【0108】
図8を参照すると、段階S810で、マスター230は、第1期間の間にメインスイッチ312をターンオンする。第1期間の開始時点は、段階S440、段階S540または段階S640が完了する時点から所定の時間(例えば、0.01秒)内であり得る。メインスイッチ312は、制御回路231からのスイッチング信号S
Mに応じて、ターンオンされる。したがって、第1期間の間、メイン直列回路310を通して電流が流れながらバッテリー群20からメインコイル311にエネルギーが伝達される。
【0109】
段階S820において、マスター230は、第2期間の間にメインスイッチ312をターンオフし、第1~第nのサブスイッチ322_1~322_nをターンオンする。第2期間の開始時点は、第1期間の終了時点以後であり得る。制御回路231は、第1~第nのサブスイッチ322_1~322_nに第1~第nのスイッチング信号S_1~S_nを出力する。サブスイッチ322_iは、制御回路231からのスイッチング信号S_iに応じて、ターンオンされる。メインスイッチ312がターンオフされ、サブスイッチ322_iがターンオンされると、第1期間の間にメインコイル311に蓄積された電磁気エネルギーが無線で放出される。したがって、第2期間の間、第1~第nのサブ直列回路320_1~320_nを通して第1~第nの冷却ファン210_1~210_nに電力が供給される。段階S820は、段階S440、段階S540または段階S640と並列的に実行され得る。即ち、第1~第nのサブ直列回路320_1~320_nが第1~第nの冷却ファン210_1~210_nに電力を供給する間、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nは、マスター230からの第1~第nの制御信号C_1~C_nに応じて、第1~第nの回転速度で駆動する。段階S810の第1期間と段階S820の第2期間の各々の時間長さは、予め決められていてもよい。
【0110】
段階S830において、マスター230は、第1~第nのサブスイッチ322_1~322_nをターンオフする。
【0111】
図7及び
図8を参照して前述した第2実施例によると、第iの冷却ファン210_iの駆動に求められる電力が、第1~第nのバッテリーモジュール30_1~30_nの全部から供給されるという点で、第iの冷却ファン210_iの駆動に求めあれる電力が第iのバッテリーモジュール30_iのみから供給される第1実施例と相違する。勿論、第1、第2実施例とは異なり、第1~第nの冷却ファン210_1~210_nの駆動に求められる電力は外部電源から供給されることも可能である。
【0112】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0113】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0114】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 エネルギー貯蔵システム
10 バッテリーシステム
20 バッテリー群
30_1~30_n バッテリーモジュール
30_i 第iのバッテリーモジュール
50 電流センサー
100 リレー
200 バッテリー温度制御装置
210_1~200_n 冷却ファン
210_i 第iの冷却ファン
220_1~220_n スレーブ管理部、スレーブ
221 センシング回路
222 制御回路
223 通信回路
224 メモリ
230 マスター管理部、マスター
231 制御回路
232 通信回路
233 メモリ
300 電力供給回路
310 メイン直列回路
311 メインコイル
312 メインスイッチ
320_1~320_n サブ直列回路
321_1~321_n サブコイル
322_1~322_n サブスイッチ
【国際調査報告】