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特表2022-543099心臓代償不全状態に関連する情報を決定する装置
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  • 特表-心臓代償不全状態に関連する情報を決定する装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】心臓代償不全状態に関連する情報を決定する装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20220930BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220930BHJP
   A61B 5/349 20210101ALI20220930BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220930BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A61B10/00 K
A61B5/33 200
A61B5/349
A61B5/11
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506665
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2020071535
(87)【国際公開番号】W WO2021019027
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】1908864
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516247100
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・グルノーブル・アルプ
【氏名又は名称原語表記】Universite Grenoble Alpes
(71)【出願人】
【識別番号】521174152
【氏名又は名称】センター ナショナル デ ラ ルシェルシュ サイエンティフィーク(シー.エヌ.アール.エス.)
(71)【出願人】
【識別番号】522041558
【氏名又は名称】センター ホスピタリエ ユニベルシテル グルノーブル アルプ
(71)【出願人】
【識別番号】522042382
【氏名又は名称】グルノーブル アイエヌピー
(71)【出願人】
【識別番号】521320586
【氏名又は名称】センティンヘルス
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドピエララ,シンディ
(72)【発明者】
【氏名】グレリ,ピエール-イーヴ
(72)【発明者】
【氏名】シンクイン,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB25
4C038VB31
4C038VC20
4C117XA01
4C117XB04
4C117XC21
4C117XD24
4C117XE13
4C117XE30
4C117XE52
4C127AA02
4C127BB05
4C127FF07
4C127GG01
4C127GG02
4C127GG05
(57)【要約】
【解決手段】 開示されるのは、心臓パラメータ(27)の分析によって得られる、使用者(2)の心臓代償不全状態に関連する情報(74)を決定する装置(1)であって、使用者(2)の少なくとも1つの加速度計信号曲線(35)によって信号値(34)を決定するように設計された測定装置(3)を具備することを特徴とし、信号値(34)が、心臓モニタ(40)による測定から得られる追加信号値(44)と比較されることが意図されており、測定装置(3)が、この目的のために、前記加速度信号曲線(35)を決定するように設計された少なくとも一つの加速度計(30)を具備し、測定装置(3)が、使用者(2)の内側のインプラント(6)に収容されるように設計されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓パラメータ(27)の分析によって得られる、使用者(2)の心臓代償不全状態に関連する情報(74)を決定する装置(1)であって、使用者(2)の少なくとも1つの加速度計信号曲線(35)によって信号値(34)を決定するように設計された少なくとも1つの測定装置(3)を具備することを特徴とし、前記信号値(34)が、心臓モニタ(40)による測定から得られる追加信号値(44)と比較されることが意図されており、測定装置(3)が、この目的のために、使用者(2)の前記加速度計信号曲線(35)を決定するように設計された少なくとも一つの加速度計(30)を具備し、測定装置(3)が、使用者(2)の内側のインプラント(6)に収容されるように設計された、装置。
【請求項2】
追加信号値(44)を測定するように設計され少なくとも心臓モニタ(40)を具備する測定手段(4)を具備する、請求項1に記載の決定装置(1)であって、前記信号の出現と前記追加信号の出現との間の時間に応じて心臓パラメータ(27)の値を決定するように設計された計算装置(5)をさらに備え、計算装置(5)が、心臓パラメータ(27)を、しきい値であってそれを超えると心臓代償不全が明らかとなるしきい値(73)と比較するように設計された、決定装置。
【請求項3】
背腹軸(22)、横軸(23)、および体軸(24)に由来する1軸にしたがって加速度計(30)が少なくとも加速度を測定できるような、インプラント(6)内の位置を前提とするように、測定装置(3)が設計された、請求項1または2に記載の決定装置(1)。
【請求項4】
測定装置(3)が、使用者(2)の内側の胃内インプラントに収容されるように設計された、請求項1から3のいずれか一項に記載の決定装置(1)。
【請求項5】
心臓モニタ(40)が、インプラント(6)に収容されるように設計された、請求項2から4のいずれか一項に記載の決定装置(1)。
【請求項6】
計算装置(5)が、インプラント(6)に収容されるように設計された、請求項2から5のいずれか一項に記載の決定装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの信号を計算装置(5)に転送するよう設計された通信部材(31)を、測定装置(3)が具備する、請求項2から5のいずれか一項に記載の決定装置(1)。
【請求項8】
インプラント(6)が、少なくとも測定装置(3)に給電可能なエネルギー貯蔵装置(60)を具備する、請求項7に記載の決定装置(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の決定装置(1)を実装する、使用者(2)の心臓代償不全状態に関連する情報(74)を決定する方法(7)であって、その間に、信号を測定するステップ(70)により、少なくとも信号値(34)と追加信号値(44)を得ることが可能になり、信号値(34)が、少なくとも加速度計(30)を具備する測定装置(3)によって得られ、追加信号値(44)が、少なくとも心臓モニタ(40)を具備する測定手段(4)によって得られる、方法。
【請求項10】
少なくとも計算装置(5)を実施する、請求項3を組み合わせて行う請求項9に記載の決定方法(7)であって、その間に、信号を測定するステップ(70)の後に、心臓代償不全状態に関する情報(74)を得ることを可能にする心臓パラメータ(27)を計算するステップが続き、前記計算ステップが、信号を測定するステップ(70)において測定された信号の出現の時間差を考慮する、決定方法(7)。
【請求項11】
測定装置(3)を較正するステップ(72)を含む、請求項9または請求項10に記載の決定方法(7)であって、較正ステップ(72)が、信号を測定するステップ(70)に先行する、決定方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の決定方法(7)であって、その間に計算装置(5)が、心臓パラメータ(27)と、較正ステップ(72)の間に決定されたしきい値(73)とを、計算ステップ(71)の間に比較する、決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、人体の心臓パラメータを測定する装置の分野である。
【背景技術】
【0002】
公知のようにして心不全は、ヒトにおいては心臓代償不全に進行し得る。前記心臓代償不全は、安静時でさえ発生する急性疲労を伴い浮腫の出現を付随させる全身状態の変化をもたらし、人体にとって不可欠な、酸素と二酸化炭素のガス交換の質を損なう一因となる。
【0003】
よって心臓代償不全は、胸部領域、特に肺組織に心原性浮腫を生じさせ得る。呼吸不全や息切れは、肺の代償によって引き起こされる症状の一部であり、呼吸作業を増加させ、特に胸痛を引き起こす。これらの症状は、胸水の蓄積を早期に発見しないと、成人呼吸窮迫に至る点にまで悪化する。肺水腫は医学的には、最初の症状から効果的に治療されなければならない、生命を脅かす緊急事態と考えられており、診断が遅くなればなるほどその治療は広範囲に及び、初期段階では組織はあまり鬱血していない。
【0004】
したがって、心臓病のリスクがあるいかなる患者も、用心しなければならない。リスクのある患者は概して、心臓の問題を特定するために、開業医による聴診型の定期的な診察、心電図、血液検査、および/または肺のレントゲン撮影によってモニタリングされる。予防的なやり方では、患者は、心臓代償不全の根底にある合併症を避けるために、生活スタイルを注意深くモニタリングし心臓病を治療することを強いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、医療モニタリングは、肺と心臓の状態の評価を行うには医療部門と開業医に依存するので、患者にとっては依然制約がある。別の欠点は、モニタリングの定期性であり、患者は、もっと悪い合併症を防ぐためには、頻繁に医療部門に掛からねばならない。さらに、すべての患者、特に、良好な自立度を維持している患者に対して、モニタリングを長期的に数日間にわたって当然のごとく実施することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって本発明の目的は、心臓代償不全状態の始まりを特定することができる装置を提案することであり、前記装置は、使用が簡単で、心臓代償不全のリスクがある患者における心臓の問題のモニタリングおよび早期検出のための反復使用に適合性のあるものである。
【0007】
本発明は、心臓パラメータの分析によって得られる、使用者の心臓代償不全状態に関連する情報を決定する装置に関するものであり、使用者の少なくとも1つの加速度計信号曲線によって信号値を決定するように設計された少なくとも1つの測定装置を具備することを特徴とし、前記信号値は、心臓モニタによる測定から得られた追加信号値と比較されることが意図されており、測定装置は、この目的のために、使用者の前記加速度信号曲線を決定するように設計された少なくとも1つの加速度計を具備し、測定装置は、使用者の内側のインプラント内に収容されるように設計されている。
【0008】
本発明による装置は、一方では加速度信号、他方では心電図タイプの心臓信号を考慮した2モード分析と、好適なインプラントにおける少なくとも1つの加速度計の実装を通じた侵襲的測定とを組み合わせることを可能にする点で、特に有利である。さらに、留意されるのは、心臓代償不全状態に関連する情報が、2つのデータ項目を比較することによって簡単なやり方で得られ、該当する場合、アルゴリズムの単純化によって、対応する計算手段をインプラント内に一体化し易くすることが可能なことである。
【0009】
心電図は、心臓の機械的活動、すなわちその収縮の基礎となる心臓の電気的活動のグラフ表示であると同時に、機械的活動が、今度は加速度計によってモニタリングされる。
【0010】
前記留置された測定装置により、加速度計信号曲線と心臓パラメータを、再現性良く信頼性の高いやり方で得ることができる。実際、留置は、インプラント内に埋め込まれた加速度計の固定位置を提供すること、および測定後に測定用の安定位置を少なくとも提供することに関与する。
【0011】
測定装置は、加速度計信号曲線を生成する加速度計を具備する。前記加速度計信号曲線は、そこから心臓パラメータを推論するために、他のデータ、この場合には心臓モニタによって得られる心電図と比較されることが意図される。加速度計は、少なくとも1つの軸にしたがって加速度を測定する。加速度計は例えば、1つから3つの互いに直交する軸を有する加速度計である。
【0012】
加速度計信号曲線から決定される信号値は、加速度計信号曲線上の陽性のピークに対応しており、使用者の大動脈弁の最大開度を示唆し、これは「大動脈振幅」と称される。信号の出現は、心臓パラメータの決定における時間マーカを構成する。
【0013】
本発明の一態様によれば、決定装置は、追加信号値を測定するように設計された測定手段を具備し、前記測定手段は、少なくとも心臓モニタを具備し、決定装置は、信号の出現と追加信号の出現との間の時間に応じて心臓パラメータの値を決定するように設計された計算装置をさらに具備し、計算装置は、心臓パラメータを、しきい値であってそれを超えると心臓代償不全が明らかであるようなしきい値と比較するように設計されている。
【0014】
心臓モニタにより、使用者の心臓活動によって生成された電気信号の反映である心電図トレースを得ることが可能になる。測定装置がインプラントに収容されるという事実に関して上に指定されたものと相補的なやり方では、心臓モニタそれ自体もインプラント内に埋め込むことができたり、インプラントに対して外部に、より詳細には使用者に対して外部に配置できたりする。
【0015】
より詳細には、心臓モニタは、ホルター(Holter)モニタ型の外部に携帯可能なものとすることができ、比較的自律的なやり方で、心臓活動を連続的に記録することができる。心臓モニタは、携帯可能でなく医療従事者の介入を必要とする外部スコープであってもよい。心臓モニタは、例えばインプラント内に埋め込まれた内部型であってもよく、よって、前記インプラントがいったん留置されると自律的に動作する。
【0016】
追加信号値は、心電図のトレースから決定される。前記追加信号値は、心電図上で特定されるR波、すなわち、P波の後に現れる心電図の第2の陽性の波に対応しており、これは、使用者の心室脱分極を表す。追加信号の出現は、心臓パラメータの決定における時間的マーカを構成する。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、考慮される心臓パラメータは、前駆出期または「PEP」とも称される期間に対応する。前駆出期に対応する心臓パラメータは、少なくとも、同時に得られた加速度計信号曲線と心電図のトレースとによって決定される。前駆出期は、R波の出現と大動脈弁の最大開度の出現との間の時間間隔に対応する。換言すると、本発明に従って考慮される、そしてインプラント内に加速度計が存在することを理由に再現性良く信頼性の高いやり方で決定される心臓パラメータは、心電図上で決定される追加信号の出現と、加速度計信号曲線上で決定される信号の出現との間の時間差である。心臓モニタによって得られた値を調べることによって、前駆出期の始まりを決定することが可能になり、心電図によって得られた値を調べることによって、前駆出期の終わりを決定することが可能になる。
【0018】
使用者の心臓代償不全状態に関連する情報を決定する装置によって、心臓パラメータを得る多モードの手法が可能になることは、理解されよう。それにより、心臓パラメータを得るために、信頼性良く再現性のある加速度計信号曲線を心電図のトレースと比較することが可能になる。心臓パラメータとしきい値を比較することにより、使用者の心臓活動を評価すること、よって心臓代償不全状態を早期に検出することが可能になる。この比較は、計算装置によって実行される。
【0019】
本発明の一態様によれば、測定装置は、使用者の背腹軸、横軸、および体軸に由来する1つの軸にしたがって加速度計が少なくとも加速度を測定できるような、インプラント内の位置を前提とするように設計される。加速度計は、前記3軸のうち少なくとも1軸を含む1軸から3軸を有する加速度計である。
【0020】
本発明の一態様によれば、測定装置は、使用者の体内で胃内留置されるように設計される。胃内留置の場合のように、使用者の心臓近くに留置することにより、使用者の心臓活動に関する特定の加速度計信号曲線を得ることが可能になる。すでに述べたとおり、心電図は、心臓の機械的活動の基礎となる心臓の電気的活動をグラフ表示したものである。心筋の細胞は、刺激のインパルスの下で脱分極し、電気的インパルスを徐々に心臓に伝送する。前記電気的インパルスの測定は、心臓の近くに位置する臓器である胃から実行するのが有利な場合がある。これを実現するために、互いに数センチ離れた二電極(tow electrodes)を、胃壁の組織と接触するように配置する。それらの電極は、電極により測定された信号を調整する一体化された電子モジュールに接続される。時間tで、電極のそれぞれは、異なる電位を測定することになる。2つの電極間の電位の前記差の測定は、経時的には心電図になる。
【0021】
例えば、測定装置は、内視鏡により胃内に留置される。例えば、測定装置は、胃壁に固定されるように、または胃壁に挿入されるように留置される。例えば、測定装置は、胃の最上部、胃底部の領域、または胃基底部に近い領域に留置される。
【0022】
本発明の一態様によれば、そして上述したとおり、心臓モニタは、インプラント内に収容されるように設計してもよい。「インプラント内に収容される」とは、モニタがインプラント内に埋め込まれることを意味する。よって、心臓モニタは、その大部分をインプラント内に収容することができ、そしてインプラントの表面上に位置する、またはインプラントに接続されている測定手段の電極に接続することができるが、電極は使用者の組織と接触している必要がある。
【0023】
よってインプラントは、測定手段に含まれる心臓モニタと、加速度計を具備する測定装置との両方を収容する。換言すると、加速度計信号曲線と心電図トレースは、外部接続なしにインプラントの領域内で得られる。このことは、心臓モニタおよび/または測定装置の位置取りが変動することにつきものの偏りには依存しない、加速度計信号曲線と心電図トレースとを得ることに寄与するが、これは、それらの位置取りが固定されているからである。加速度計信号曲線と心電図トレースを、使用者上の追加の装置を必要とせずに、連続的かつ同時に測定することができる。この種類の配置により、特に、信号および追加信号の測定を確実に同期化することが可能になり、これらの測定のきっかけが同一時間基準で制御される。
【0024】
上述したとおり、電気的な心臓活動と機械的な心臓活動は連動している。このように、一方では測定手段内に収められた心臓モニタによって、他方では加速度計を具備する測定装置によって行われる測定の時間的同期化によって、心臓の電気的および機械的活動を、上述の心臓パラメータを信頼性良く決定するために並行して分析することが可能である。
【0025】
この目的のために、受信された信号は、次いで装置の組み込みプロセッサにより直接、または生データの転送後に中央サーバ上で、前処理される。前処理は、フィルタリング法(フーリエ変換、ウェーブレット変換、経験的方法等)に相当し、分析前に信号対雑音比を向上させることを可能にする。
【0026】
本発明の代替の態様によれば、心臓モニタは、非侵襲的であるように設計してもよい。心臓モニタと測定手段とは、測定装置から物理的に分離される。この種類の配置により、よりコンパクトなインプラントを提案することが可能になるが、しかし、侵襲的なやり方で行われる信号の測定と、非侵襲的なやり方で行われる追加信号の測定とが同一時間基準を共有するためには、その配置は、さらに複雑な同期化手段を備えることが必要である。心臓モニタは具体的には、心臓の電気的活動の測定を行いたい瞬間に設置されなければならない。心電図は、心臓モニタに配線によって接続された測定用電極を、使用者の胸部上に配置することによって得られる。測定手段は、インプラント内で使用者に一体化されている測定装置と比較すると、使用者に装着されている。
【0027】
本発明の一態様によれば、計算装置は、インプラントに収容されるように設計される。計算装置は、測定装置と一緒に埋め込まれる。この構成により、決定装置の実装、およびその反復使用が容易になる。計算装置は例えば、加速度計とともにインプラント内に配置されるように設計される。
【0028】
計算装置が非侵襲性である、よってインプラントから距離をとって配置される本発明の代替の態様によれば、測定装置は、少なくとも1つの信号を計算装置に転送するように設計された通信部材を具備する。通信部材が、インプラント内の測定装置、すなわち少なくとも加速度計と、計算装置との両方に関連していることは理解されよう。通信部材は、計算装置に含まれる受信器に信号を転送する送信器を具備する。例えば、通信部材の1つまたは複数の送信器がインプラントに埋め込まれ、1つまたは複数の受信器が、前記信号の外部化処理を目的として、計算装置の領域において信号を受信するように設計される。測定装置から受信された信号は、少なくとも加速度計信号、および/または信号の出現に対応する時間マーカを含む。測定手段、すなわち心電図を得ることを可能にする手段がインプラント内に収容されている場合には、通信部材によって計算装置に伝送される信号は有利には、加速度計信号、使用者の心臓活動によって生成される電気信号、および/または信号の出現に対応する時間的マーカ、および/または追加信号の出現に対応する時間マーカを同時に含む。
【0029】
送信器と受信器の接続には、様々な技術を用いることができる。一例として、以下のもの:波動を用いた無線通信技術、例えば、BluetoothやWi-Fiを用いた技術を挙げることができる。
【0030】
本発明の一態様によれば、インプラントは、少なくとも測定装置に給電可能なエネルギー貯蔵装置を具備する。エネルギー貯蔵装置は有利には、インプラントの内側にあり、よって小型化されている。一実施形態では、それは、高度に自律的なエネルギー貯蔵装置、例えばリチウム-ヨウ素電池型の長寿命電池であり、外部電源に接続する必要のないものである。別の実施形態では、それは、外部電源から無線で充電可能なエネルギー貯蔵装置である。本発明の一態様によれば、エネルギー貯蔵装置は、測定手段に給電することも可能である。
【0031】
本発明はまた、上記のとおりの決定装置を実装する、使用者の心臓代償不全状態に関連する情報を決定する方法であって、決定の間に、信号を測定するステップにより、少なくとも信号値および追加信号値を得ることが可能になり、信号値が、少なくとも加速度計を具備する測定装置によって得られ、追加信号値が、少なくとも心臓モニタを具備する測定手段によって得られる方法に関するものである。
【0032】
一方で、信号を測定するステップでは、信号値を得ることが可能になる。これを達成するために、加速度計は、信号を測定するステップの間に加速度計信号を測定することで、加速度計信号曲線を得るようにする。測定ステップの間、測定装置は、信号値に対応する使用者の大動脈弁の最大開度を、加速度計信号曲線上で特定する。
【0033】
他方で、信号を測定するステップでは、追加信号値を得ることが可能になる。これを達成するために、心臓モニタは、信号を測定するステップと同時に、そしてより詳細には同期して、すなわち同一時間基準から進んで、使用者の心臓活動によって生成された電気的活動を測定することで、心電図を得るようにする。測定ステップの間、測定手段は、追加信号値に対応するR波を心電図上で特定する。
【0034】
本発明の一態様によれば、信号を測定するステップの後に、心臓代償不全状態に関する情報を得ることを可能にする心臓パラメータを計算するステップが続き、前記計算ステップでは、信号を測定するステップで測定された信号の出現の時間差が考慮される。前記計算ステップの間に考慮される時間差は、信号と追加信号との同期測定を考慮して、すなわちこれら2つの信号と同じ時間基準を有することを考慮して、瞬時に読み取られる。換言すると、加速度計信号曲線と心電図は、同一時間基準で比較されることで、信号値の出現と追加信号値の出現との間の時間差に対応する心臓パラメータを得ることができるようにする。R波は前駆出期の始まりを表示し、使用者の大動脈弁の最大開度は前駆出期の終わりを表示する。
【0035】
本発明の一態様によれば、決定方法は、測定装置を較正するステップを含み、較正ステップは、信号を測定するステップに先立つ。較正ステップでは、基準値であるしきい値を得ることが可能であり、この値を超えると、心臓代償不全が明らかになる。心臓パラメータは各使用者に特有であり、これは、各使用者に特有の心臓活動に起因し、また、測定装置の位置、そして特に、使用者ごとおよびインプラントごとに変わる可能性がある加速度計の位置に起因している。本発明によれば、そしてインプラント内の加速度計の留置によれば、測定装置の前記位置は、所与の使用者向けに、固定されて経時的に再現性があることに留意することが望ましい。
【0036】
較正ステップにより、決定方法を個人向けに行うことが可能になる。特に、使用者に特有の基準信号値を得ることが可能になる。「信号値」とは、使用者の基本的な状況を充分に代表する平均値を意味することは理解されよう。
【0037】
本発明の一態様によれば、決定方法の間、心臓代償不全状態に関連する情報を得ることを可能にする心臓パラメータを計算するステップは、信号値および対応する追加信号値に対する心臓パラメータの計算からなる瞬時の手法によってではなく、平均化された手法によって実行される。より詳細には、前駆出期に対応する心臓パラメータの測定は、30秒にわたって取得された信号の平均を表すコヒーレント平均で実行され、よって、同一期間に同期して取得された追加信号の平均を表す追加コヒーレント平均でも実行される。
【0038】
本発明の一態様によれば、所与の瞬間の心臓パラメータ計算の結果、特に、上記の平均化された手法によるものは、これに限定することなく全体的な臨床画像に記録される。また、先行する臨床画像または較正ステップの間に得られた基準臨床画像と比較する目的で、毎日の臨床画像を生成することもできる。より詳細には、D日目のパラメータの値は、D-1日目の値と比較されることになり、日々にわたるそれらの値のトレースは、問題を表示している可能性のある下降もしくは上昇のいずれかの傾向、または大きな血行動態の変化がないことを表示している安定したラインを反映することになる。
【0039】
本発明の代替の態様によれば、計算装置は、計算ステップの間に、心臓パラメータを、しきい値、特に、較正ステップの間に使用者に向けに調整可能なしきい値と比較してもよい。計算装置は、心臓代償不全状態に関連する情報を得るために、心臓パラメータとしきい値を含めパラメータの一体化を管理する。しきい値は、基準信号値から推定される。例えば、しきい値は、基準信号値に対する百分率を表し、装置の実装前の較正ステップに応じて変わり得る。
【0040】
計算ステップの間、心臓パラメータは、計算されるだけでなく、較正ステップの間に決定されたしきい値と比較される。心臓パラメータ/しきい値の比較により、使用者の心臓代償不全状態を精密に決定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明による決定装置の一般的な模式図である。
図2図2は、別の実施形態での本発明による決定装置の一般的な模式図である。
図3図3は、使用者の心臓代償不全状態に関連する情報を決定する方法を例示するものであり、その決定方法は、本発明による決定装置を実装する。
図4図4は、図3の決定方法を例示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
まずは、諸図が、本発明を実施するための詳細なやり方で本発明を開示していることに留意されたいが、もちろん、該当する場合には、本発明をより望ましく定義するのに前記図を役立てることは可能である。
【0043】
本明細書の残りの部分では、「内部/内側」および「外部/外側」という呼称は、本発明による決定装置、より詳細には、前記決定装置の一部を形成するインプラントを指す。決定装置のインプラントに一体化されたいずれの構成正要素も、内部/内側または内在化されたものとして記載され、インプラントの外側に位置するいずれの構成要素も、外部/外側または外在化されたものとして記載される。
【0044】
まず図1を参照すると、使用者2の心臓代償不全状態に関連する情報を決定する装置1が確認できる。心臓代償不全状態に関連する情報は、図3に示される心臓パラメータを分析することによって得られる。
【0045】
決定装置1は、少なくとも1つの測定装置3と、測定手段4と、計算装置5とを具備する。この適当な例では、測定装置3を具備する、決定装置1の一部が内在化され、測定手段4および計算装置5を含む、決定装置1の別の一部が外在化される。
【0046】
測定装置3は、図3に示される使用者2の加速度計信号曲線を決定するように設計された少なくとも1つの加速度計30を具備する。測定装置3は、信号値を決定するように設計され、この信号値もまた図3に示されている。
【0047】
加速度計30を含む測定装置3は、使用者2の内側にあるインプラント6に収容される。インプラント6は、中空で生体適合性のある密閉された区画に相当する。インプラント6は、内視鏡装置によって留置されるように寸法が決められている。図1におけるインプラント6の図は模式的なものであり、インプラント6は、その留置、その機能、および決定装置1の動作に適合するいかなる形状および寸法のものであってよい。また、インプラントの留置の方法はここでは考慮されておらず、いずれの手段でも実装できることは理解されよう。
【0048】
インプラント6は、図1の実施形態では、使用者2の心臓26に近い、使用者2の胃21の基底部20の領域に配置される胃内インプラントである。インプラント6は、例えば、胃21の基底部20の領域において、胃粘膜の表面に、もしくは胃粘膜の中に固定されるか、または胃腸管25のいずれかの組織の領域に固定される。
【0049】
インプラント6は、少なくとも測定装置3に給電可能なエネルギー貯蔵装置60を具備する。エネルギー貯蔵装置60は小型化され、例えばこの場合にはインプラント6の内側にあることによって、使用者2の組織から分離される。エネルギー貯蔵装置60は、数年の耐用年数を有するように設計されて、必要に応じて測定装置3に給電可能なようにしてある。
【0050】
測定装置3は、図1に示すとおり、背腹軸22、横軸23、および体軸24に由来する少なくとも1軸にしたがって加速度計30が少なくとも加速度を測定できるような、インプラント6内の位置を前提とするように設計される。
【0051】
測定手段4は、図3に示される追加信号値を測定するように設計され、この目的のために、少なくとも1つの心臓モニタ40を具備する。図1に示されるこの実施形態では外在化されている心臓モニタ40は、図3に示されるとおり心電図のトレースを表示できるようにする、表示画面41を備えている。
【0052】
心臓モニタ40は、測定手段4の有線センサ42によって、この場合には一組となった3つの電極43に接続され、これらの電極は、心臓モニタ40にそれぞれ個別に接続されて使用者2に固定される。測定手段4のこの表現は、特に、使用される電極43の数に関して限定的なものではなく、測定手段4は、追加信号値の測定を可能にするものである限り、いかなる形態も前提とすることができる。
【0053】
計算装置5は、信号値および追加信号値から心臓パラメータの値を決定するように設計される。また、計算装置5は、心臓パラメータをしきい値と比較するように設計することもでき、このしきい値を超えると心臓代償不全が明らかになる。
【0054】
図1の実施形態では、計算装置5が外部にある。これは一方では、ケーブル配線50によって心臓モニタ40に電気的に接続されて、追加信号値を受信するようになっている。他方ではこれは、測定装置3に無線で接続されている。これを達成するために、測定装置3は、少なくとも1つの信号を計算装置5に転送するように設計された通信部材31を具備する。この場合、信号値である。測定装置3は特に、波33の送信器32を具備し、送信器32はインプラント6の内側にあり、測定装置3に接続されている。計算装置5は、通信部材31の送信器32によって伝送される波33を受信可能な受信器51を具備する。
【0055】
以下では、使用者に考えられる心臓代償不全状態に関連する信頼できる情報を本発明に従って決定することを目的とした、計算装置5によって実行される様々な計算を、特に図3および4を参照しつつ記載する。
【0056】
図2は本発明の別の実施形態を示しており、測定手段4は内部にある。換言すると、このインプラントは、信号値を得る測定装置3を形成する加速度計と、追加信号値を得る測定手段4を形成する心臓モニタとの両方を一体化している。示されている実施形態では、決定装置1は一部が小型化され、測定装置3および測定手段4はインプラント6に埋め込まれ、この場合には計算装置5のみが外在化されている。図1の記載は、図2にも準用され、本発明を理解し実施するために、これを参照することができる。
【0057】
図2の実施形態では、心臓モニタ40は、インプラント6に収容されるように設計される。それは、測定装置3とまさに同様に、エネルギー貯蔵装置60によって給電される。通信部材31は、測定装置3と測定手段4との間で共有されて、加速度計30から来る信号と、心臓モニタ40から来る信号との両方を転送するようにしてある。例えば、測定装置3および測定手段4はそれぞれ、通信部材31の送信器32を具備しており、この送信器は、波33を通じて、信号値および追加信号値を計算装置5の1つまたは複数の受信器に向けて伝送する。
【0058】
インプラントに一体化された計算モジュールがないという事実は、加速度計信号のすべてと心臓の電気的活動の信号のすべてが、インプラントから遠隔の計算モジュールに伝送されることを示唆する。計算モジュールは、これら2つの伝送された信号から、加速度計信号上の大動脈弁の開口点と心電図上のピークRの最大値との探索を実行するが、これは、これら2つの事象の時間値を見出し、次いで、同一時間基準上で定義された前記2つの信号間の時間差の計算を実行することが目的である。
【0059】
この種類の二重に一体化された装置、すなわち加速度計と心臓モニタとがインプラントに収容されていることの利点は、測定の同期と、2つの測定を同時に実行するための同一時間基準の共有とが容易になることであるのは、理解されよう。
【0060】
この文脈では、計算装置を、少なくとも部分的に、または全体的にインプラント6に一体化されるように準備することが可能である。特に、計算の一部を、インプラント内で実行されるように、すなわち、測定と2つの時間信号の出現の検出とが行われるように、そしてそれを、外部データベースに伝送されるこれらの時間信号の値のみであるように、準備することが可能である。
【0061】
図3は、決定装置1によって測定され決定された、異なる心電データを示している。
【0062】
信号値34は、少なくとも加速度計30によって得られた使用者2の加速度計信号曲線35によって決定された時間値に対応する。加速度計信号曲線35は、使用者2の大動脈弁の最大開度を含む、陽性のピークと陰性のピークとを含む。大動脈弁の前記最大開度が特定されると、これは、加速度計信号曲線35上の信号値34に対応するものとして定義される。計算装置5は、そこから、例えば所与の時間基準上で、時間t1での時間マーカ36を計算する。
【0063】
また、追加信号値44は、心臓モニタ40によって得られた使用者2の少なくとも心電図45によって決定された時間値に対応する。心電図45は、陽性の波と陰性の波とを含み、これらの波は、P波450、Q波451、R波452、S波453、T波454、U波455を含み得る。R波452の最大値が特定されると、これは、心電図45上の追加信号値44に対応するものとして定義される。計算装置5は、そこから、例えば、第1の時間的マーカ36を決定するのに使用されたものと共通の時間基準上で、時間t0での時間マーカ46を導出する。
【0064】
信号34の出現は、追加信号44の出現と時系列的に比較されることが意図される。換言すると、上記のとおりの計算装置は、時間マーカ36の値と時間的マーカ46の値との間の持続時間を計算するように設計される。前駆出期の値、すなわち心臓パラメータ27の値は、時間マーカ36と時間的マーカ46との間のその期間に対応する。よって計算装置5は式を適用し、それに従うと[PEP=t1-t0]である。本発明により、2つの信号の同期測定、すなわちこれら2つの測定を実行するための同一時間基準の使用者によってこの決定が容易になされることは、理解されよう。
【0065】
図4は、使用者2の心臓代償不全状態に関連する情報を決定する方法7の代表的な流れ図であり、決定方法7は、図1において上記された決定装置1を実装している。決定方法7は、信号を測定する少なくとも1つのステップ70と、計算ステップ71とを含む。有利には、決定方法7は、少なくとも1つの較正ステップ72を含む。各ステップは、図4において矩形で表され、ステップの連続は、矢印100で示される時系列に従っている。
【0066】
較正ステップ72により、少なくとも測定装置3を較正することが可能になる。較正ステップが理論的には、連続した測定を行えるよう装置が使用可能になる前に1回実行され、較正ステップの目的が、基本状態を固定することであり、前記状態が、後に続く測定ステップの各々のために維持されていることは、理解されよう。異なる測定ステップに着手する前に、測定装置3を較正する複数のステップ72を、例えば、留置後の測定装置3の実装中に、またはインプラント6の配置から距離のあるところで想定してもよい。
【0067】
較正ステップ72により、使用者2のベースライン心臓活動、および加速度計30の位置の両方を代表するしきい値73を決定することが可能になる。より詳細には、較正ステップ72は、心臓パラメータの測定の乗算と、これらの測定の平均値の計算とに存在し、この目的は、そこから基準信号値37を導出することにある。基準信号値37から進んで、基準信号値37に対する百分率に対応するしきい値73が決定され、前記しきい値73は、較正ステップ72に続く測定ステップの間に得られた心臓パラメータ27と比較されることが意図される。
【0068】
信号を測定するステップ70の間、少なくとも信号値34、および追加信号値44が得られる。測定ステップ70に含まれる第1の測定下位ステップ700の間、測定装置3、およびより詳細には加速度計30が、信号値34を得るために実装される。測定ステップ70に含まれる第2の測定下位ステップ701の間、測定手段4、およびより詳細には心臓モニタ40が、追加信号値44を得るために実装される。示されている実施形態では、第1の測定下位ステップ700および第2の測定下位ステップ701を同時に行うことで、得られた値を同一時間基準上で比較できるようにして、計算ステップ71の間に心臓パラメータ27を計算できるようにする。本発明の範囲から逸脱することなく、前記2つの下位ステップを、特に信号の一方の測定がもう一方の信号の測定を損なう可能性がある場合には、互い違いに実行することができることは、理解されよう。
【0069】
信号を測定するステップ70の後に、心臓パラメータ27を計算するステップ71が続き、計算ステップ71は、計算装置5によって実装される。計算ステップ71は、周期的にもしくは定期的に、または信号を測定する各ステップ70の後に、および/または使用者2もしくは医療スタッフによる要望のあった時点で実行されてもよい。
【0070】
計算ステップ71により、時間マーカ36および時間的マーカ46を特定し、そこから心臓パラメータ27を推定することが可能になる。第1の計算下位ステップ710の間に、時間マーカ36が特定される。第2の計算下位ステップ711の間に、時間的マーカ46が特定される。
【0071】
第1の計算下位ステップ710および第2の計算下位ステップ711の後に実行される第3の計算下位ステップ712の間に、心臓パラメータ27が計算装置5によって推定される。
【0072】
計算ステップ71の第4の計算下位ステップ713の間に、計算装置5は、心臓パラメータ27を、較正ステップ72の間に決定されたしきい値73と、または計算装置において理論的なやり方で実装されたしきい値と比較する。
【0073】
計算ステップ71の最後に、使用者2の心臓代償不全状態に関する情報74が、情報ステップ75の間に得られる。検出された心臓パラメータ27がしきい値以上の値に対応する場合には、使用者2は例えば、心臓代償不全の早期状態にあり、これを警告してもらうことができる。
【0074】
以上を読めば、本発明により、心臓代償不全の早期状態を警告するように設計された決定装置が提案されることは、理解されよう。特に、少なくとも部分的に、使用者の内に留置されることが意図される前記決定装置は、前駆出期の決定に関与する少なくとも1つの加速度計を具備し、追加信号と比較されることになる信号値の信頼性の高い検出を可能にしており、前記加速度計のインプラントへの一体化によって、前記信頼性の高い測定が可能になる。この種類の決定装置によって得られる情報は、信頼性が高いことが意図されており、頻繁な使用を可能にすることで、心臓合併症のリスクを有する使用者の簡単かつ反復的なモニタリングを確実なものとしている。
【0075】
しかしながら本発明は、本明細書に記載、例示された手段または構成に限定されるものではなく、いかなる均等な手段または構成、およびそうした手段の運用上のいかなる技術的な組み合わせにもわたるものである。特に、決定装置が本明細書で記載のものと同一機能を最終的に満たす限り、本発明に悪影響を及ぼすことなく、決定装置の形態を修正してもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】