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特表2022-543147光学センサを用いたガス種の量を測定する方法、及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】光学センサを用いたガス種の量を測定する方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20220930BHJP
【FI】
G01N21/3504
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507383
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020071251
(87)【国際公開番号】W WO2021023576
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】1909028
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519326828
【氏名又は名称】エリシェンズ
【氏名又は名称原語表記】ELICHENS
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】レ タン チュン
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC12
2G059CC13
2G059EE01
2G059EE12
2G059FF01
2G059HH01
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM05
(57)【要約】
【課題】光学センサを用いたガス分析方法を提供する。
【解決手段】
ガス中に存在するガス種(G)であって吸収スペクトル帯域(Δ)において光を吸収することができるガス種の量(c)を測定する方法であって、以下のステップ:a)光源(11)と測定光検出器(20)との間にガスを配置すること、ここで、光源(11)が入射光波(12)を放射可能であり、入射光波がガスを通って測定光検出器(20)に伝播し、光源が温度値となるように、電源電流が光源を通過し;b)光源(11)によってガス(G)を照射すること;c)吸収スペクトル帯域(Δ)を含む測定スペクトル帯域(Δmes)において、測定光検出器(20)を用いて、ガスによって透過された光波(14)の強度(I(k))(測定強度と呼ぶ)を測定すること;d)参照スペクトル帯域(Δref)において、参照光検出器(20ref)を用いて、光源(11)から放射される参照光波(12ref)の強度(Iref(k))(参照強度と呼ぶ)を測定すること;を含み、ステップb)~d)は、複数の測定時(1,・・・k,・・・K)において実施され、方法は、各測定時において、以下のステップ:e)参照光検出器により測定された参照強度Iref(k))に基づいて、参照スペクトル帯域における入射光波(12)の強度に対する、測定スペクトル帯域(Δmes)における入射光波(12)の強度の変化を表す補正関数(δ)を考慮すること、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中に存在するガス種(G)であって吸収スペクトル帯域(Δ)において光を吸収することができる前記ガス種の量(c)を測定する方法であって、以下のステップ:
a)光源(11)と測定光検出器(20)との間にガスを配置すること、ここで、前記光源(11)が入射光波(12)を放射可能であり、前記入射光波が前記ガスを通って前記測定光検出器(20)に伝播し、前記光源が温度値となるように、電源電流が前記光源を通過し;
b)前記光源(11)によってガス(G)を照射すること;
c)吸収スペクトル帯域(Δ)を含む測定スペクトル帯域(Δmes)において、前記測定光検出器(20)を用いて、前記ガスによって透過された光波(14)の強度(I(k))(測定強度と呼ぶ)を測定すること;
d)参照スペクトル帯域(Δref)において、参照光検出器(20ref)を用いて、前記光源(11)から放射される参照光波(12ref)の強度(Iref(k))(参照強度と呼ぶ)を測定すること;
を含み、
ステップb)~d)は、複数の測定時(1,・・・k,・・・K)において実施され、前記方法は、各測定時において、以下のステップ:
e)前記参照光検出器により測定された前記参照強度(Iref(k))に基づいて、前記参照スペクトル帯域(Δref)における前記入射光波(12)の強度に対する、前記測定スペクトル帯域(Δmes)における前記入射光波(12)の強度の変化を表す補正関数(δ)を考慮すること、
f)ステップc)で測定された前記測定強度、ステップd)で測定された前記参照強度、及びステップe)で考慮された前記補正関数に基づいて、前記ガス種(G)の量(c(k))を推定すること;
を含み、
前記方法は、各測定時において、前記補正関数(δ)が、前記測定スペクトル帯域及び前記参照スペクトル帯域のそれぞれにおいて、前記b)で使用される前記光源を表すとみなされるテスト光源から出射された光強度を、各種温度レベル又は各種供給電流レベルで比較することによって、キャリブレーションフェーズにおいて予め確立されていることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記キャリブレーションは、前記測定スペクトル帯域の波長(Δmes)と前記参照スペクトル帯域の波長(Δref)とをそれぞれ考慮して、前記テスト光源の発光強度(L(λ,T))を、前記光源の温度(T)と波長(λ)との関数として定義する理論式を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリブレーションは、前記参照スペクトル帯域における前記光源の経時変化と、前記測定スペクトル帯域における前記光源の経時変化とを関連付けるエージング関数(h)を決定することを含み、前記補正関数(δ)は、前記エージング関数(h)に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリブレーションは、実験的に行われ、
-テスト光源(11’)をテスト測定光検出器(20’)に対向させ、テスト参照光検出器(20’ref)に対向させること、ここで、前記テスト測定光検出器及び前記テスト参照光検出器がそれぞれ前記測定光検出器(20)及び前記参照光検出器(20ref)を表し、
-前記テスト光源を用いて前記テスト測定光検出器及び前記テスト参照光検出器を照射すること、ここで、前記テスト光源が、さまざまな供給電流によって、連続的に、さまざまな温度値にされ、
-それぞれの温度値において、前記測定スペクトル帯域(Δmes)における前記テスト測定光検出器で検出された光強度(I(j))と、参照スペクトル帯域(Δref)におけるテスト参照光検出器で検出された光強度(Iref(k))とを比較し、それぞれの温度値における比較に基づいて前記補正関数を確立すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キャリブレーションは、前記参照スペクトル帯域における前記光源の経時変化と、前記測定スペクトル帯域における前記光源の経時変化とを関連付けるエージング関数(g)を決定することを含み、前記補正関数は、前記エージング関数に基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記テスト光源(11’)は、各測定時において、前記ステップb)で使用される前記光源(11)以外のものではないことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
-ステップe)は、前記補正関数(δ)及びステップd)で前記参照光検出器によって測定された強度(Iref(k))に基づいて、ガスが存在しない場合に、前記測定光検出器(20)によって検出されるであろう強度
【数32】
を推定することを含み;
-ステップf)において、ステップc)で前記測定光検出器によって測定された強度とステップe)で推定された強度
【数33】
との比較に基づいて、ガス種の量(c(k))が決定される、
請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
-ステップe)は、前記補正関数とステップd)で前記参照光検出器によって測定された強度とに基づいて、補正された強度(I(k))を決定することを含み、前記補正された強度は、前記光源の経時変化がない場合に前記測定光検出器(20)によって検出されるであろう強度に対応し;
-ステップf)では、前記光源と前記測定光検出器との間にガスが存在しない場合、及び前記光源の経時変化が存在しない場合に、ステップe)において得られる前記補正強度と、前記測定光検出器によって検出されるであろう強度(I(k=0))の推定値との比較に基づいて、ガス種の量(c(k))が決定される、
請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップe)は、前記測定時に測定された前記参照強度(Iref(k))と、初期時に測定された前記参照強度(Iref(k=0))とに基づいて、前記参照スペクトル帯域(Δref)における前記光源の経時変化(ELref(k))を推定することを含む、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記参照スペクトル帯域(Δref)における前記光源の経時変化は、前記測定時に測定された前記参照強度(Iref(k))と前記初期時に測定された前記参照強度(Iref(k=0))との比較に基づいて計算されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ガス(G)中のガス種(G)の量(c(k))を決定する装置(1)であって、
-前記ガス(G)に伝播する入射光波(12)を放射するように構成された光源(11)、ここで、前記入射光波がガス種(G)の吸収スペクトル帯域(Δ)に含まれ;
-測定スペクトル帯域において、ガスにより透過された光波(14)を各種測定時(k)で検出し、その強度(I(k))(測定強度と呼ばれる)を測定するように構成された測定光検出器(20);
-参照スペクトル帯域において、前記光源(11)から放射される参照光波(12ref)の強度(Iref(k))(参照強度と呼ばれる)を、各種測定時(k)で測定するように構成された参照光検出器(20ref);
-前記参照強度及び前記測定強度に基づいて、請求項1~10の何れか一項に記載の方法のステップe)及びf)を実施するようにプログラムされたプロセッサ(30)、
を備える、装置。
【請求項12】
前記プロセッサ(30)は、各測定時において、前記測定スペクトル帯域及び前記参照スペクトル帯域のそれぞれにおいて、請求項1~10の何れか一項に記載の方法のステップb)で使用される前記光源を表すとみなされるテスト光源によって放射された光強度を、各種温度レベル又は各種供給電流レベルで比較することによって、キャリブレーションフェーズにおいて確立された補正関数を実装するように構成されている、
請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、ガスを分析し、黒体又は灰色体の光源を用い、光源から放射される光波の吸収を測定する光学的方法である。
【背景技術】
【0002】
ガスの分析には光学的方法がよく用いられる。センサは、ガスを構成する種(species)が互いに異なるスペクトル吸収特性を有するという事実に基づいてガスの組成を決定することができる。したがって、ガス種の吸収スペクトル帯域が既知である場合、後者の濃度は、ランベルト・ベールの法則(Beer-Lambert Law)を用いて、ガスを通過する光の吸収を推定することにより決定することができる。この原理により、ガス中に存在するガス種の濃度を推定することができる。
【0003】
最も一般的な方法では、分析されるガスは、光源と、測定光検出器と呼ばれる光検出器との間にあり、測定光検出器は、分析されるガスによって透過される光波を測定することを意図し、光波は、部分的にガスによって吸収される。光源は、通常、赤外線を放射する光源であり、使用される方法は、通常、NDIR検出と呼ばれ、NDIRは、非分散赤外線(nondispersive infrared)の頭字語である。このような原理は頻繁に実施されており、例えば、米国米国特許5026992号明細書及び国際公開第2007/064370号に記載されている。
【0004】
従来の方法は、一般に、光源によって放射された参照光波と呼ばれる光波の測定を含み、参照光波は、分析されたガスによって吸収されないか、又はほとんど吸収されない。参照光波を測定することにより、光源から放射される光波の強度を推定したり、分析ガスによる吸収がない場合に測定光検出器によって検出される光波を推定したりすることができる。この技術は「ダブルビーム」と呼ばれている。ガスの存在下での光波とガスのない光波とを比較することにより、ガスの吸収を特徴づけることができる。例えば、「吸収型NDIR」と呼ばれる技術の場合、ガス中のガス種の量を決定する問題である。
【0005】
参照光波は、参照光検出器によって測定される。これは、測定光検出器とは異なる参照光検出器の問題であってもよく、参照光検出器が参照光フィルタと関連付けられて、光源に面して配置されるように構成されてもよい。参照光フィルタは、分析されるガスが有意な吸収を示さない参照スペクトル帯域を規定する。
【0006】
米国特許出願公開2011/0042570号明細書に記載されている1つのアプローチによれば、測定光検出器及び参照光検出器が使用され、これら2つの光検出器は、同じスペクトル帯域、この場合はCOの吸収スペクトル帯域における光波を検出する。参照光検出器は、測定光検出器よりも光源に近い位置に配置される。測定光検出器及び参照光検出器によってそれぞれ測定された信号を比較すると、光源によって放射された光波の強度を知る必要がなくなる。
【0007】
仏国特許出願公開3000548号明細書には、赤外スペクトル帯域の測定チャネルと、可視スペクトル帯域(0.4μm~0.8μm)の参照チャネルとを含むCOセンサが記載されている。参照チャネルは測定ガス中のCO濃度に影響されないと考えられる。光源の発光スペクトルの変化を考慮するために、本文書では、可視及び赤外スペクトル帯域における光源の経時変化をそれぞれ表す関数Fを使用して説明する。関数Fは恒等関数で近似されるので、赤外線における光源の経時変化は、可視光における光源の経時変化に等しいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許5026992号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/064370号
【特許文献3】米国特許出願公開2011/0042570号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開3000548号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、参照光波の使用にはある種の欠点があることを発見した。これらの欠点を克服し、測定精度を向上させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、ガス中に存在するガス種であって吸収スペクトル帯域において光を吸収することができる前記ガス種の量を測定する方法であって、以下のステップ:
a)光源と測定光検出器との間にガスを配置すること、ここで、前記光源が入射光波を放射可能であり、前記入射光波が前記ガスを通って前記測定光検出器に伝播し、前記光源が温度値となるように、電源電流が前記光源を通過し;
b)前記光源によってガスを照射すること;
c)吸収スペクトル帯域を含む測定スペクトル帯域において、前記測定光検出器を用いて、前記ガスによって透過された光波の強度(測定強度と呼ぶ)を測定すること;
d)参照スペクトル帯域において、参照光検出器を用いて、前記光源から放射される参照光波の強度(参照強度と呼ぶ)を測定すること;
を含み、
ステップb)~d)は、複数の測定時において実施され、前記方法は、各測定時において、以下のステップ:
e)前記参照光検出器により測定された前記参照強度に基づいて、前記参照スペクトル帯域における前記入射光波の強度に対する、前記測定スペクトル帯域における前記入射光波の強度の変化を表す補正関数を考慮すること、
f)ステップc)で測定された前記測定強度、ステップd)で測定された前記参照強度、及びステップe)で考慮された前記補正関数に基づいて、前記ガス種の量を推定すること;
を含み、
前記方法は、各測定時において、前記補正関数が、前記測定スペクトル帯域及び前記参照スペクトル帯域のそれぞれにおいて、前記b)で使用される前記光源を表すとみなされるテスト光源から出射された光強度を、各種温度レベル又は各種供給電流レベルで比較することによって、キャリブレーションフェーズにおいて予め確立されていることを特徴とする。
【0011】
一実施形態によれば、前記キャリブレーションは、前記測定スペクトル帯域の波長と前記参照スペクトル帯域の波長とをそれぞれ考慮して、前記テスト光源の発光強度を、前記光源の温度と波長との関数として定義する理論式を用いて行われる。前記キャリブレーションは、前記参照スペクトル帯域における前記光源の経時変化と、前記測定スペクトル帯域における前記光源の経時変化とを関連付けるエージング関数を決定することを含むことができる。次いで、補正関数が、エージング関数に基づいて決定される。
【0012】
一実施形態によれば、前記キャリブレーションは、実験的に行われ、
-テスト光源をテスト測定光検出器に対向させ、テスト参照光検出器に対向させること、ここで、前記テスト測定光検出器及び前記テスト参照光検出器がそれぞれ前記測定光検出器及び前記参照光検出器を表し、
-前記テスト光源を用いて前記テスト測定光検出器及び前記テスト参照光検出器を照射すること、ここで、前記テスト光源が、さまざまな供給電流によって、連続的に、さまざまな温度値にされ、
-それぞれの温度値において、前記測定スペクトル帯域における前記テスト測定光検出器で検出された光強度と、参照スペクトル帯域におけるテスト参照光検出器で検出された光強度とを比較し、それぞれの温度値における比較に基づいて前記補正関数を確立すること、
を含む。
【0013】
前記キャリブレーションは、前記参照スペクトル帯域における前記光源の経時変化と、前記測定スペクトル帯域における前記光源の経時変化とを関連付けるエージング関数を決定することを含むことができ、この方法は、前記補正関数は、前記エージング関数に基づいて決定されるようになっている。
前記テスト光源は、各測定時において、前記ステップb)で使用される前記光源以外のものではない。
この方法は以下のようにすることができる。
-ステップe)は、前記補正関数及びステップd)で前記参照光検出器によって測定された強度に基づいて、ガスが存在しない場合に、前記測定光検出器によって検出されるであろう強度を推定することを含み;
-ステップf)において、ステップc)で前記測定光検出器によって測定された強度とステップe)で推定された強度との比較に基づいて、ガス種の量が決定される。
【0014】
この方法は以下のようにすることができる。
-ステップe)は、前記補正関数とステップd)で前記参照光検出器によって測定された強度とに基づいて、補正された強度を決定することを含み、前記補正された強度は、前記光源の経時変化がない場合に前記測定光検出器によって検出されるであろう強度に対応し;
-ステップf)では、前記光源と前記測定光検出器との間にガスが存在しない場合、及び前記光源の経時変化が存在しない場合に、ステップe)において得られる前記補正強度と、前記測定光検出器によって検出されるであろう強度の推定値との比較に基づいて、ガス種の量が決定される。
【0015】
いずれの実施形態であっても、ステップe)は、前記測定時に測定された前記参照強度と、初期時に測定された前記参照強度とに基づいて、前記参照スペクトル帯域における前記光源の経時変化を推定することを含むことができる。前記参照スペクトル帯域における前記光源の経時変化は、前記測定時に測定された前記参照強度と前記初期時に測定された前記参照強度との比較に基づいて計算することができる。前記比較は、例えば、減算又は比率の形式をとることができる。前記比較は、初期時に測定した前記参照強度によって正規化されてもよい。
【0016】
どのような実施形態であっても、前記キャリブレーションは、前記参照スペクトル帯域における前記光源の経時変化に基づいて、前記測定スペクトル帯域における前記光源の経時変化を推定するエージング関数を確立することを目的とする。前記スペクトル帯域における経時変化は、前記測定時に前記スペクトル帯域で測定された強度と、初期時に前記スペクトル帯域で測定された強度との比較に対応する。
【0017】
一実施形態によれば、光源は、黒体であるか、又は黒体であるとみなされる。
【0018】
本発明の第2の態様は、ガス中のガス種の量を決定する装置であって、
-前記ガスに伝播する入射光波を放射するように構成された光源、ここで、前記入射光波がガス種の吸収スペクトル帯域に含まれ;
-測定スペクトル帯域において、ガスにより透過された光波を各種測定時で検出し、その強度(測定強度と呼ばれる)を測定するように構成された測定光検出器;
-参照スペクトル帯域において、前記光源から放射される参照光波の強度(参照強度と呼ばれる)を、各種測定時で測定するように構成された参照光検出器;
-前記参照強度及び前記測定強度に基づいて、本発明の第1の態様に係る方法のステップe)及びf)を実施するようにプログラムされたプロセッサ、
を備える。
【0019】
プ前記プロセッサは、各測定時において、前記測定スペクトル帯域及び前記参照スペクトル帯域のそれぞれにおいて、本発明の第1の態様に係る方法のステップb)で使用される前記光源を表すとみなされるテスト光源によって放射された光強度を、各種温度レベル又は各種供給電流レベルで比較することによって、キャリブレーションフェーズにおいて確立された補正関数を特に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、以下にリストされる図を参照して、以下の部分で説明される例示的な実施形態の説明を読むことにより、より一層理解されるであろう。
図1A図1Aは、本発明の実施を可能にする装置の例を示す。
図1B図1Bは、黒体光源の発光スペクトルの概略図を示す。
図2A図2Aは、2つの異なるスペクトル帯域における光源によって放射される光強度の観察された減少を示す。
図2B図2Bは、参照スペクトル帯域における光源の放射率損失の関数として、測定スペクトル帯域における光源の放射率損失を示す。図2Bは、温度及び波長の関数としての光源の放射率に対する理論式を用いて得られた。
図2C図2Cは、測定スペクトル帯域において、測定光検出器によって検出される信号の相対的減少を示す。図2Cは実験的テストから得られた。
図2D図2Dは、光源に供給される電流の電力と光源の温度との関係を示す。
図3図3は、本発明を実施する方法の主なステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1Aは、ガス分析装置1の一例である。この装置は、内部空間を画定する筐体10を含み、その内部には以下が配置される:
-入射光波と呼ばれる光波12を放射して内部空間にあるガスGを照射する光源11。ここで、入射光波12は、照射スペクトル帯域Δ12に含まれる。
-入射光波12によるガスの照射の影響下で、ガスGによって透過された光波14を検出するように構成された、測定光検出器と呼ばれる光検出器20。ここで、光波14は、測定光波という用語で指定される。光波14は、測定スペクトル帯域Δmesにおいて測定光検出器20により、検出される。
-参照光波と呼ばれる光波12refを参照スペクトル帯域Δrefで検出するように構成された参照光検出器20ref。ここで、参照スペクトル帯域Δrefは、光波12のガスGによる吸収が無視できると考えられるスペクトル帯域である。
【0022】
参照スペクトル帯域Δrefは、測定スペクトル帯域Δmesとは異なる。測定スペクトル帯域Δmesは、参照スペクトル帯域Δrefよりも特に広くてもよい。測定スペクトル帯域Δmesは、参照スペクトル帯域Δrefを含むことができる。
【0023】
ガスGは、測定時kに決定しようとする量c(k)、例えば濃度、のガス種Gを含む。このガス種は、測定可能なパーセンテージで、吸収スペクトル帯域Δ内の光を吸収する。
【0024】
光源11は、入射光波12を、近紫外と中間赤外の間、例えば、200nmと10μmの間、最も多くは、1μmと10μmの間に延びる照射スペクトル帯域Δ12において放射することができる。分析されるガス種Gの吸収スペクトル帯域Δは、照射スペクトル帯域Δ12に含まれる。光源11は、パルス光源であってもよく、入射光波12は、一般に100ms~1sに含まれる持続時間のパルスである。光源11は、フィラメント光源であってもよく、そのフィラメントが懸架され、400℃~800℃の温度に加熱される。その発光スペクトルは、照射スペクトル帯域Δ12において、黒体の発光スペクトルに対応する。
【0025】
測定光検出器20は、好ましくは、ガス種の吸収スペクトル帯域Δの全部又は一部を包含する測定スペクトル帯域Δmesを規定する光学フィルタ18と関連している。
【0026】
問題の例では、測定光検出器20はサーモパイル(thermopile)であり、検出された光波の強度に応じて信号を送ることができる。あるいは、測定光検出器は、フォトダイオード又は別のタイプの光検出器であってもよい。
【0027】
参照光検出器20refは、測定光検出器20の横に配置され、測定光検出器20と同じタイプである。これは、参照光学フィルタ18refと呼ばれる光学フィルタと関連している。参照光学フィルタ18refは、当該ガス種によって吸収されない波長の範囲に対応する参照スペクトル帯域Δrefを画定する。参照帯域幅Δrefは、例えば、波長3.91μmを中心とする。
【0028】
測定時kに、測定光検出器20によって検出される光波14の強度I(k)(測定強度と呼ばれる)は、ランベルト・ベールの法則に従って、測定時の量c(k)に依存する。
【数1】
ここで、
-μ(c(k))は、測定時kの量c(k)に依存する吸収係数であり;
-lは、筐体10内で光波が通過するガスの厚さであり;
-I(k)は、測定時kにおける入射光波の強度であり、筐体に吸収性ガスが存在しない場合に、測定スペクトル帯域Δmesにおける、測定光検出器20に到達するであろう光波の強度に対応する。
【0029】
I(k)とI(k)とを比
【数2】
の形で比較すると、その測定時kで問題のガス種によって生成された吸収abs(k)を定義することができる。
【0030】
従って、光源11の各パルスの間に、μ(c(k))を決定することができ、これにより、c(k)とμ(c(k))との間の関係が既知であると仮定して、c(k)を推定することができる。
【0031】
式(1)は、測定時kに入射光波12の強度I(k)が既知であるものとする。
【0032】
図1Bは、プランクの法則(Planck’law)に従う黒体光源11の発光スペクトルを概略的に示す。
【数3】
ここで
-L(λ,T)は、波長λ及び黒体の表面温度Tに依存する輝度であり;
-hはプランク定数であり;
-Kはボルツマン定数であり;
-c空気中の光の速さである。
【0033】
光源11の発光スペクトルSは、光源が温度Tとなったときのλの関数としての輝度L(λ,T)の変化に対応する。一般に、温度Tは400℃~800℃である。
【0034】
図1Bにおいて、光源11の照射スペクトル帯域Δ12は、1μm~10μmに延びるように示されている。図1Bにおいて、参照スペクトル帯域Δref及び測定スペクトル帯域Δmesは、さらに破線で表されている。
【0035】
このタイプの光源は、光源の温度Tの単純な変調によって照射スペクトルSを変調できるため、特に好ましい。したがって、各温度Tには、1つの照射スペクトルSが関連付けられる。
【0036】
黒体又は灰色体の光源の放射率は時間とともに変化し、光源の経時変化に起因して顕著に減少することが知られている。光源11の発光の時間に依存する変化は、参照光検出器20refを介して考慮される。参照光検出器20refは、光源11から出射された入射光波12を表す参照光波12refを検出するように配置されている。参照光波12refは、ガスGと相互作用せずに、又はガスGと有意に相互作用せずに、参照光検出器20refに到達する。
【0037】
測定時kに参照光検出器20refによって検出される参照光波12refの強度は、参照強度Iref(k)によって示される。光源11の発光スペクトルを知ることにより、Iref(k)に基づいて、ガスGが存在しない場合に測定光検出器20に到達する光波の強度
【数4】
を推定することができる。また、参照強度は、光源11の経時変化を考慮して測定強度I(k)を補正することを可能にする。
【0038】
装置は、以下に説明する方法のステップを実施することを可能にする命令を含むメモリ32に接続されたマイクロプロセッサ30を備える。
【0039】
第1の実施形態によれば、マイクロプロセッサ30は、各測定時kにおいて参照光検出器20refによって測定された参照光波12refの強度Iref(k)を表す信号を受信するように構成される。マイクロプロセッサ30は、Iref(k)に基づいて強度
【数5】
を推定する。
【0040】
I(k)に基づいて、式:
【数6】
を用いて入射光波の吸収を推定することができる。式(1)、μ(c(k))を用いて、c(k)を求める。
【0041】
第2の実施形態によれば、マイクロプロセッサ30は、参照強度Iref(k)を表す信号を受信し、次いで、測定された強度I(k)を補正するように構成される。補正強度をI(k)で示す。I(k)は、光源の経時変化を伴わずに測定光検出器によって測定されるであろう強度に対応する。入射光波の吸収abs(k)は、次式を用いて求めることができる。
【0042】
【数7】
ここで、I(k=0)は、最初の測定時k=0、すなわち光源11が新しいとみなされるときに、筐体内でガスによって吸収されずに、測定光検出器に入射する光波である。式(1)、μ(c(k))を用いて、c(k)を求める。
【0043】
参照スペクトル帯域Δrefにおける光源11の放射率と、測定スペクトル帯域Δmesにおける光源11の放射率との比も同様に減少すると考えられる。このような仮説によると:
-第1の実施形態が実施される場合、強度
【数8】
は、光源の理論的な発光スペクトルの知識に基づいて、又は次の式:
【数9】
を使用して、単純に推定される;
-第2の実施形態が実施される場合、補正強度I(k)は、補正関数:
【数10】
を適用して、Iref(k)に基づいて求められる。
【0044】
しかし、本発明者は、光源11の経時変化が、参照スペクトル帯域Δrefと測定スペクトル帯域Δmesとに異なる影響を与えることを観察した。仏国特許出願公開3000548号明細書で示唆されていることに反して、測定スペクトル帯域における経時変化は、参照スペクトル帯域における経時変化と類似しているとは考えられない。
【0045】
発明者は、予備テストを実施し、そのテストでは、図1Aを参照して説明した測定センサ及び参照センサとそれぞれ同様のテスト測定センサ20’及びテスト参照センサ20’refを使用した。キャリブレーション中、分析されたガスは既知のガスであり、実際には周囲空気中のCHであり、CHの濃度はゼロと考えられる。実験パラメータは以下の通りである。
-測定フィルタ18:CHの吸収波長に相当する波長3.25μmを中心とするハイマンフィルタF3.25-180。
-参照フィルタ18ref:波長3.91μmを中心とするハイマンフィルタF3.91-90。
-測定光検出器20及び参照光検出器20ref:ハイマンサーモパイルHCM Cx2 Fx。
【0046】
この予備テストでは、測定フィルタ18は、発明者が観察した経時変化を強調するために、意図的に狭い波長(3.25μm)を中心とする測定スペクトル帯域Δmesを規定した。
【0047】
図1Aを参照して説明した光源と同様のテスト光源11’を、初期時j=0から最終時j=Jの間の各種時刻jでパルスした。各パルスは60ms続き、500msの時間間隔で次のパルスから間隔をあけた。約4000万パルスを印加した。図2Aは時間の関数としての変化を示している:
-測定スペクトル帯域Δmesにおいて、テスト測定光検出器20’によって測定された測定強度I(j)(曲線a);
-参照スペクトル帯域Δrefにおいて、テスト参照光検出器20’refによって測定された参照光の強度Iref(j)(曲線b)。
【0048】
これらの変動は、それぞれ初期キャリブレーション時(j=0)での測定強度と参照強度によって正規化される。
図2Aに示す曲線の一部が補間されている。図2Aにおいて、測定強度I(j)及び参照強度Iref(j)は時間とともに減少することが分かり、これは予想される。これは、光源11の経時変化に対応する。また、測定スペクトル帯域Δmesと参照スペクトル帯域Δrefとでは、減少量が異なることが分かる。これは、測定スペクトル帯域Δmesにおける光源11の経時変化と、参照スペクトル帯域Δrefにおける光源11の経時変化とが異なることを意味する。したがって、比率
【数11】
は時間の関数として変化する。これは、光源11の経時変化が、発光スペクトルのわずかな変化を伴うことを意味する。
【0049】
本発明の重要な要素は、本発明者が、光源の経時変化は、その温度の変化、より正確には、その温度の低下に例えられると考えることである。光源を使用する場合、後者は公称温度、例えば870Kになる。本発明者は、その経時変化に伴い、光源は、その温度が公称温度よりも低下しているかのように振舞うことを観察した。公称温度は、光源の作動の最初のモーメントに対応する。光源によって放射されるパルスの数が増加するにつれて、光源の挙動は、その温度が交渉温度よりも低く徐々に低下することを考慮することによってモデル化することができる。
【0050】
光源は黒体のように動作するとみなされる。式(2)において、輝度は温度と波長の両方に依存することが分かる。本発明者は、各種温度レベルを考慮して、式(2)を用いて、各種波長において、光源の温度の低下が、光源によって放射される光強度に及ぼす影響をシミュレーションした。
-最も一般的なガス種によって吸収されない、又はほとんど吸収されないと考えられる参照スペクトル帯域に相当するλ=3.91μm;
-メタンの吸収スペクトル帯域(CH)に相当するλ=3.25μm;
-二酸化炭素の吸収スペクトル帯域(CO)に相当するλ=4.26μm。
【0051】
870K(ケルビン)に等しい公称温度レベルに基づいて、本発明者は、上述の波長の各々について、放射率損失(EL)を計算した。
【0052】
表1は、上記の3つの波長について、放射率損失ELの値を光源の温度の関数として照合する。放射率損失の各値は、波長λ及び温度Tにおいて、次式を用いて計算された:
【0053】
【数12】
ここで、Tは公称温度に対応する。
【表1】
【0054】
図2Bは、測定スペクトル帯域(y軸)における放射率損失ELmesを、参照スペクトル帯域(x軸)における放射率損失ELrefの関数として示す。測定スペクトル帯域は、波長λ=3.25μm(図2Bの円)又は波長λ=4.26μm(図2Bの三角形)の何れかに対応する。参照スペクトル帯域は波長λ=3.91μmに対応する。
【0055】
結果を線形補間すると、次のことがわかる:
【数13】
及び
【数14】
【0056】
この関数hは、参照スペクトル帯域における光源の経時変化に基づいて、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を表す関数である。式(2)を用いて、各種光源温度を考慮した理論計算に基づいて関数hを求める。
【0057】
各測定スペクトル帯域における放射率損失は、参照スペクトル帯域における放射率損失に対して線形に変化することが分かる。また、各直線の傾きが1と異なることから、光源からの発光強度が、時間の経過とともに、波長によって異なる変化をすることが確認できる。具体的には、従来技術で考慮されているように、各波長で経時変化が同一である場合、各直線の傾きは1に等しい。
【0058】
表1に示され、図2Bに示される結果を生じさせた理論的計算の後、本発明者は、上述のようなテスト光源、テスト測定光検出器、及びテスト参照光検出器を用いて、実験的テストを行った。テスト測定光検出器は、3.25μmの波長を中心とする測定光フィルタと関連付けられた。
【0059】
参照光検出器は、波長3.91μmを中心とする参照光フィルタと関連付けられた。
【0060】
最初の一連のテストでは、発明者は各波長でエージングテストを実施した。テスト光源は、測定光フィルタに関連付けられたテスト測定光検出器に面して配置されるとともに、参照光フィルタに関連付けられたテスト参照光検出器に面して配置された。エージングテストは、各波長における光源の経時変化を実験的に測定することを目的とした。テスト測定源を連続した1800万個のパルスで活性化し、各パルスの持続時間は60msであり、2つの連続するパルス間の時間間隔は500msであった。したがって、この最初のエージングテストの期間は約104日であった。
【0061】
j個目のパルス後、テスト測定光検出器及び参照光検出器によってそれぞれ測定された強度Ij、Iref,jを、時点jで測定した。各測定に基づいて、各波長における、光源の放射率損失を%で表す検出された信号損失は、以下の式を用いて計算された:
【数15】
及び
【数16】
【0062】
式(10)及び式(11)で定義されるような量ELref(j)及びELmes(j)は、それぞれ、参照スペクトル帯域及び測定スペクトル帯域における光源の経時変化を表す。これらの2つの量の比は、参照スペクトル帯域及び測定スペクトル帯域における光源の異なる経時変化に対応する。
【0063】
表2はこれらの測定結果をまとめたものである。
【表2】
【0064】
次に、別のテスト光源の経時変化の実験シミュレーションを行った。テスト光源への電力供給は、光源の温度を変化させるために、各種電力レベルで行った。初期の公称電力は2500μWであり、これは870Kに等しい電源の公称温度に対応する。供給電流によって供給される電力はその後徐々に減少した。各電力レベルPにおいて、テスト測定光検出器によって測定された強度I(P)及びテスト参照光検出器によって測定された強度Iref(P)がそれぞれ測定された。図2Dは、供給電流によって供給される電力(x軸,mW)と光源の温度(y軸,℃)との間にリンクを確立することを可能にする関数を示す。
【0065】
各測定に基づいて、各波長における、光源の放射率損失を%で表す検出された信号損失を、以下の式を用いて計算した:
【数17】
及び
【数18】
表3はこれらの測定結果をまとめたものである。
【表3】
【0066】
表2及び表3に示す測定値を図2Cに示す。図2Cは、参照スペクトル帯域(x軸)における相対的検出信号損失ELrefの関数として、測定スペクトル帯域(y軸)における相対的検出信号損失ELmesを示す。測定スペクトル帯域は波長λ=3.25μmに対応する。参照スペクトル帯域は波長λ=3.91μmに対応する。図2Cの四角と丸は、それぞれ実験的に経時変化をシミュレーションしたテスト(表3)と実際の経時変化を測定したテスト(表2)に対応している。
【0067】
結果を線形補間すると、次のことがわかる:
-実際の経時変化を測定したテストで得られた結果について:
【数19】
、これは、白い破線の直線に対応する。この関数fは、参照スペクトル帯域における光源の経時変化に基づいて、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を表す関数である。この関数fは実際の経時変化を測定したテストから得られた。
-経時変化を実験的にシミュレーションしたテストで得られた結果について:
【数20】
、これは、黒い破線の直線に対応する。この関数gは、参照スペクトル帯域における光源の経時変化に基づいて、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を表す関数である。この関数gは、光源の温度を変化させて経時変化をシミュレーションしたテストから得た。
【0068】
この2回のテストにより、参照スペクトル帯域における経時変化の効果と測定スペクトル帯域における経時変化の効果とを関連付ける線形式が得られた。式(14)及び式(15)は、同等の勾配(それぞれ1.1472及び1.1278)を有し、これも式(8)、すなわち1.1644から得られる勾配と同等であることが分かる。
【0069】
これまでのテストでは、光源の経時変化を最も表すテストは、表2を参照して記載したテストであろう。このテストでは、参照スペクトル帯域と測定スペクトル帯域における異なる経時変化(differential aging)を実験的に測定するために、非常に長い期間テスト光源を用いた。異なる経時変化は、量ELmes(j)と量ELref(j)との比率の形で特に表すことができる。これは式(14)の傾き、すなわち1.1472に対応する。
【0070】
しかし、このようなテストは実施に時間がかかる。上記の結果は、光源の異なる経時変化が、光源の各種温度レベル又は各種供給電力レベルを考慮することによってキャリブレーションされ得ることを示す。これは、本発明の重要な要素であり:光源の経時変化は、光源の各種温度レベル(又は各種供給電流レベル)を考慮したキャリブレーションを行うことによって決定することができる。
【0071】
表1及び図2Bを参照して説明した第1の可能性によれば、測定スペクトル帯域及び参照スペクトル帯域のそれぞれにおける各種温度における光源の輝度の理論式が考慮される。このようにして、測定スペクトル帯域及び参照スペクトル帯域における光源によって放射される光の量の相対的変化を表す理論的な異なる経時変化が得られる。問題の波長(3.25μm及び3.91μm)では、理論的な異なる経時変化は、第1の近似として、式(8)の勾配、すなわち1.1644であると考えることができる。この第1の可能性によれば、参照スペクトル帯域における光源の経時変化が既知であるので、式(8)で定義される関数hを適用することにより、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を推定することができる。
【0072】
表3及び図2Cを参照して説明される第2の可能性によれば、テスト光源の温度は、例えば、供給電流によって供給される電力を変更することによって、実験的に変化される。各種電力レベル(又は各種温度レベル)において、測定及び参照スペクトル帯域における光源によって放射される光の量の相対的変化が実験的に測定される。問題の波長(3.25μm及び3.91μm)において、理論的な異なる経時変化は、第1の近似として、式(15)の勾配、すなわち、1.1278であると考えることができる。この第2の可能性によれば、参照スペクトル帯域における光源の経時変化が既知であるので、式(15)で定義される関数gを適用することにより、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を推定することができる。このタイプの実験的キャリブレーションは、実施が容易かつ迅速である。複数のガス分析デバイスが存在する場合、光源、測定光検出器及び参照光検出器からなる各デバイスは、そのようなキャリブレーションを各デバイスの光源に対して個別に行うことができる。すなわち、テスト光源は、装置の光源である。あるいは、このようなキャリブレーションは、分析装置が備えている光源を表すとみなされるテスト光源を用いて行ってもよい。
【0073】
第1の可能性は純粋に理論的である。光源の経時変化のみを考慮している。第2の可能性は、より実験的であり、また、測定光検出器又は参照光検出器の応答における潜在的変動を考慮に入れる。
【0074】
いずれの可能性を採用しても、参照スペクトル帯域で測定された光源の経時変化に基づいて、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を推定することが可能である。参照スペクトル帯域における光源の経時変化は、初期時と測定時との間で参照スペクトル帯域における光強度を比較することによって推定することができる。このような比較は、例えば、減算の形をとることができる。比較は、式(10)又は式(12)のように、初期時における参照スペクトル帯域における光強度によって正規化することができる。これにより、0と1との間に含まれる経時変化を得ることができる。
【0075】
以上のことから、理論的(第1の可能性)又は実験的(第2の可能性)に、光源の温度変化、より正確には光源の公称温度以下の温度低下を考慮することにより、2つのスペクトル帯域Δmes及びΔrefにおける光源の放射率の相対的変化を特徴づける補正関数δを求めることができる。補正関数δは、参照スペクトル帯域における光源の経時変化(量ELrefに対応する)を測定することによって、測定スペクトル帯域における光源の経時変化(式(11)で定義されるような量ELmesに対応する)を推定することを可能にする。
【0076】
式(1)を参照して説明したような検出器の動作中、各測定時kにおいて、以下に基づいて:
-初期時の参照光強度Iref(k=0)の測定;
-測定時kの参照光強度Iref(k)の測定;
補正関数δは、参照光強度Iref(k)に適用され、光源と測定光検出器との間にガスが存在しない場合に、測定スペクトル帯域において、その時点kで光源によって放射される光強度
【数21】
を推定することを可能にする。
【0077】
補正関数は、以下のようにすることができる:
【数22】
【0078】
実施されるキャリブレーションに応じて、補正関数δは以下のようになる:
【数23】
以下の式とともに
【数24】
【0079】
この量I(k=0)は、測定光検出器と光源との間にガスが存在しない場合に、測定光検出器によって初期時k=0に測定された強度に対応する。これは、測定光検出器によって、光源と測定光検出器との間にガスが存在しない状態で測定することができる。また、これは、光源の発光スペクトルの形状が既知であるので、例えば式(2)を用いてIref(k=0)に基づいて推定されてもよい。
【0080】
この量Iref(k=0)は、初期時k=0で測定された参照強度に対応する。
【0081】
式(17)は、表1及び図2Bを参照して説明したように、式(2)に基づいて理論的に決定された光源エージング推定関数hを用いるものとする。
【0082】
表3及び図2Cを参照して説明したように、各種温度値を考慮して実験的に決定した光源エージング関数gを使用することができる。この場合、補正関数δは次のようになる:
【数25】
【0083】
図3は、本発明を実施する測定方法の主なステップを示す。
【0084】
ステップ100:時点kにおいてガスを照射する。
【0085】
ステップ110:参照光検出器20refを用いて参照スペクトル帯域Δrefにおける参照強度Iref(k)を測定する。
【0086】
ステップ120:測定光検出器20を用いて測定スペクトル帯域Δmesにおけるガスによって透過される放射線(radiation)14の強度I(k)を測定する。
【0087】
ステップ130:筐体内にガスが存在しない場合に、測定スペクトル帯域Δ20内で測定光検出器14によって検出されるであろう強度
【数26】
を推定する。この推定は、補正関数δ(k)を考慮し、次の式を適用して行われる:
【数27】
【0088】
ステップ140:測定スペクトル帯域Δmesにおける吸収
【数28】
を推定する。
【0089】
ステップ150:吸収に基づいて、式(1)を適用することによる比に基づいてガス種Gの量c(k)を推定する。
【0090】
ステップ160:測定時kを増分してステップ100から150を繰り返すか、アルゴリズムを終了する。
【0091】
ステップ130では、参照スペクトル帯域Δrefにおいて光源の経時変化ELref(k,λmes)が決定されたと仮定する。上述したように、参照スペクトル帯域における経時変化は、測定時kの参照強度と初期時の参照強度との比較に対応する。
【0092】
発明者は、分析されるガスが一定の濃度のCHを含むと考えて得られた測定をシミュレーションした。シミュレートされた測定値について、発明者は、以下に基づいて、引き続き、補正関数を確立した。
-表2を参照して説明したように、テスト光源の経時変化を監視しながら実施した実験的測定の後に得られたエージング関数f;
-表3を参照して説明したように、テスト光源の作動温度を変更して実施した実験的測定の後に得られたエージング関数g;
-表1を参照して説明したように、各種波長における光源の輝度の理論式を用いて得られた、テスト光源のエージング関数h。
【0093】
いずれの場合も、補正関数を用いない場合、その関数f,g,hのそれぞれに基づく補正関数を用いる場合、CHのppmで誤差を推定した。この誤差は、CH濃度が0である周囲空気中にガス分析装置を置くことによって決定した。Iref及びImesの測定に基づいて、式(1)を用いてCH濃度を得た。
【0094】
表4に、測定時kの関数として得られた誤差を示す。表4において、各測定時は光源の1パルスに対応する。2つの連続するパルスの間の時間は500msであったことを想起されたい。
【表4】
【0095】
補正がない場合と比較して、補正関数の使用は、それに関係なく、測定誤差を著しく制限することができる。
【0096】
エージング関数fに基づく補正が最良である。これは、光源の実際の経時変化プロセスを監視した後にエージング関数fを得たので、論理的な結果である。しかしながら、エージング関数g及びhを使用した場合に得られる誤差も許容範囲であることに留意されたい。このように、このようなエージング関数の使用は、光源の異なる経時変化を補正する有望な方法であると思われる。具体的には、エージング関数g及びhは迅速に得られ、光源の経時変化プロセス全体を監視する必要はない。これらは、測定誤差と補正関数の取得の容易さとの間に特に有利な妥協点を形成する。
【0097】
一変形例によれば、ステップ130において、測定時に測定された参照強度に応じて、補正関数δを考慮して、測定時に測定センサによって測定された強度の値I(k)が補正される。
【0098】
これにより、強度I(k)が補正される。補正関数δは、式(9)に対応するエージング関数を用いて、以下のように表すことができる:
【数29】
及び
【数30】
【0099】
(k)は、光源の経時変化がない場合に測定光検出器によって測定される値に相当する。
【0100】
式(20)において、関数hの代わりに関数gを使用してもよいことに理解されたい。
【0101】
この変形例によれば、ステップ140において、吸収は次の式を用いて得られる:
【数31】
【0102】
(k=0)は、光源の経時変化がなく、光源と測定光検出器との間にガスが存在しない場合に、測定光検出器によって測定されるであろう強度値に相当する。
【0103】
本発明は、測定スペクトル帯域Δmesに含まれる吸収波長を有するガス種Gの量を検出するために使用することができる。測定スペクトル帯域Δmesは、上述の実験例のように、狭くてもよい。また、測定スペクトル帯域Δmesは、例えば、複数の異なるガス種の吸収スペクトル帯域Δを含むように、広くてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中に存在するガス種(G)であって吸収スペクトル帯域(Δ)において光を吸収する前記ガス種の量(c)を測定する方法であって、以下のステップ:
a)光源(11)と測定光検出器(20)との間にガスを配置すること、ここで、前記光源(11)が入射光波(12)を放射するように構成され、前記入射光波が前記ガスを通って前記測定光検出器(20)に伝播し、前記光源が温度値となるように、供給電流が前記光源に供給され
b)前記光源(11)によってガス(G)を照射すること;
c)吸収スペクトル帯域(Δ)を含む測定スペクトル帯域(Δmes)において、前記測定光検出器(20)を用いて、前記ガスによって透過された光波(14)の測定強度(I(k))を測定すること;
d)参照スペクトル帯域(Δref)において、参照光検出器(20ref)を用いて、前記光源(11)から放射される参照光波(12ref)の参照強度(Iref(k))を測定すること;
を含み、
ステップb)~d)は、複数の測定時(1,・・・k,・・・K)において実施され、前記方法は、各測定時において、以下のステップ:
e)前記参照光検出器により測定された前記参照強度(Iref(k))に基づいて、前記参照スペクトル帯域(Δref)における前記入射光波(12)の強度に対する、前記測定スペクトル帯域(Δmes)における前記入射光波(12)の強度の変化を表す補正関数(δ)を考慮すること、
f)ステップc)で測定された前記測定強度、ステップd)で測定された前記参照強度、及びステップe)で考慮された前記補正関数に基づいて、前記ガス種(G)の量(c(k))を推定すること;
を含み、
各測定時において、前記補正関数(δ)が、前記測定スペクトル帯域及び前記参照スペクトル帯域のそれぞれにおいて、前記b)で使用される前記光源を表すとみなされるテスト光源から出射された光強度を、各種温度レベル又は各種供給電流レベルで比較することによって、キャリブレーションフェーズにおいて予め確立されている、方法。
【請求項2】
前記キャリブレーションは、前記測定スペクトル帯域の波長(Δmes)と前記参照スペクトル帯域の波長(Δref)とをそれぞれ考慮して、前記テスト光源の発光強度(L(λ,T))を、前記テスト光源の温度(T)と波長(λ)との関数として定義する理論式を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリブレーションは、前記参照スペクトル帯域における前記テスト光源の経時変化と、前記測定スペクトル帯域における前記光源の経時変化とを関連付けるエージング関数(h)を決定することを含み、前記補正関数(δ)は、前記エージング関数(h)に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各測定時において、前記テスト光源(11’)は、ステップb)で使用される前記光源(11)以外のものではない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記キャリブレーションは、実験的に行われ、
-テスト光源(11’)をテスト測定光検出器(20’)に対向させ、テスト参照光検出器(20’ref)に対向させること、ここで、前記テスト測定光検出器及び前記テスト参照光検出器がそれぞれ前記測定光検出器(20)及び前記参照光検出器(20ref)を表し、
-前記テスト光源を用いて前記テスト測定光検出器及び前記テスト参照光検出器を照射すること、ここで、前記テスト光源が、さまざまな供給電流によって、連続的に、さまざまな温度値にされ、
-それぞれの温度値において、前記測定スペクトル帯域(Δmes)における前記テスト測定光検出器で検出された光強度(I(j))と、参照スペクトル帯域(Δref)におけるテスト参照光検出器で検出された光強度(Iref(k))とを比較し、それぞれの温度値における比較に基づいて前記補正関数を確立すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キャリブレーションは、前記参照スペクトル帯域における前記テスト光源の経時変化と、前記測定スペクトル帯域における前記テスト光源の経時変化とを関連付けるエージング関数(g)を決定することを含み、前記補正関数は、前記エージング関数に基づいて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記テスト光源(11’)は、各測定時において、前記ステップb)で使用される前記光源(11)以外のものではないことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
-ステップe)は、前記補正関数(δ)及びステップd)で前記参照光検出器によって測定された強度(Iref(k))に基づいて、ガスが存在しない場合に、前記測定光検出器(20)によって検出されるであろう強度
【数32】
を推定することを含み;
-ステップf)において、ステップc)で前記測定光検出器によって測定された強度とステップe)で推定された強度
【数33】
との比較に基づいて、ガス種の量(c(k))が決定される、
請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
-ステップe)は、前記補正関数とステップd)で前記参照光検出器によって測定された強度とに基づいて、補正された強度(I(k))を決定することを含み、前記補正された強度は、前記光源の経時変化がない場合に前記測定光検出器(20)によって検出されるであろう強度に対応し;
-ステップf)では、前記光源と前記測定光検出器との間にガスが存在しない場合、及び前記光源の経時変化が存在しない場合に、ステップe)において得られる前記補正強度と、前記測定光検出器によって検出されるであろう強度(I(k=0))の推定値との比較に基づいて、ガス種の量(c(k))が決定される、
請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップe)は、前記測定時に測定された前記参照強度(Iref(k))と、初期時に測定された前記参照強度(Iref(k=0))とに基づいて、前記参照スペクトル帯域(Δref)における前記光源の経時変化(ELref(k))を推定することを含む、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記参照スペクトル帯域(Δref)における前記光源の経時変化は、前記測定時に測定された前記参照強度(Iref(k))と前記初期時に測定された前記参照強度(Iref(k=0))との比較に基づいて計算されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ガス(G)中のガス種(G)の量(c(k))を決定する装置(1)であって、
-前記ガス(G)に伝播する入射光波(12)を放射するように構成された光源(11)、ここで、前記入射光波がガス種(G)の吸収スペクトル帯域(Δ)に含まれ;
-測定スペクトル帯域において、ガスにより透過された光波(14)を各種測定時(k)で検出し、その測定強度(I(k))を測定するように構成された測定光検出器(20);
-参照スペクトル帯域において、前記光源(11)から放射される参照光波(12ref)の参照強度(Iref(k))を、各種測定時(k)で測定するように構成された参照光検出器(20ref);
-前記参照強度及び前記測定強度に基づいて、請求項1~11の何れか一項に記載の方法のステップe)及びf)を実施するようにプログラムされたプロセッサ(30)、
を備える、装置。
【請求項13】
前記プロセッサ(30)は、各測定時において、前記測定スペクトル帯域及び前記参照スペクトル帯域のそれぞれにおいて、請求項1~11の何れか一項に記載の方法のステップb)で使用される前記光源を表すとみなされるテスト光源によって放射された光強度を、各種温度レベル又は各種供給電流レベルで比較することによって、キャリブレーションフェーズにおいて確立された補正関数を実装するように構成されている、
請求項12に記載の装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
【数7】
ここで、I(k=0)は、最初の測定時k=0、すなわち光源11が新しいとみなされるときに、筐体内でガスによって吸収されずに、測定光検出器に入射する光波の強度である。式(1)、μ(c(k))を用いて、c(k)を求める。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
本発明の重要な要素は、本発明者が、光源の経時変化は、その温度の変化、より正確には、その温度の低下に例えられると考えることである。光源を使用する場合、後者は公称温度、例えば870Kになる。本発明者は、その経時変化に伴い、光源は、その温度が公称温度よりも低下しているかのように振舞うことを観察した。公称温度は、光源の作動の最初のモーメントに対応する。光源によって放射されるパルスの数が増加するにつれて、光源の挙動は、その温度が公称温度よりも低く徐々に低下することを考慮することによってモデル化することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
結果を線形補間すると、次のことがわかる:
-実際の経時変化を測定したテストで得られた結果について:
【数19】
、これは、灰色の破線の直線に対応する。この関数fは、参照スペクトル帯域における光源の経時変化に基づいて、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を表す関数である。この関数fは実際の経時変化を測定したテストから得られた。
-経時変化を実験的にシミュレーションしたテストで得られた結果について:
【数20】
、これは、黒い破線の直線に対応する。この関数gは、参照スペクトル帯域における光源の経時変化に基づいて、測定スペクトル帯域における光源の経時変化を表す関数である。この関数gは、光源の温度を変化させて経時変化をシミュレーションしたテストから得た。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
ステップ130:筐体内にガスが存在しない場合に、測定スペクトル帯域Δ 14 内で測定光検出器20によって検出されるであろう強度
【数26】
を推定する。この推定は、補正関数δ(k)を考慮し、次の式を適用して行われる:
【数27】

【国際調査報告】