(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】特に昆虫を飼育する装置および方法
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507691
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 DE2020100419
(87)【国際公開番号】W WO2021023327
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】102019121102.6
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522048959
【氏名又は名称】ザ ティエン ゴ
【氏名又は名称原語表記】Gia Tien Ngo
【住所又は居所原語表記】Gartenstrasse 69b, 76135 Karlsruhe, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】522048960
【氏名又は名称】ロヒ シャラティ
【氏名又は名称原語表記】Rohi Shalati
【住所又は居所原語表記】Margarethenstrasse 5, 76185 Karlsruhe, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ザ ティエン ゴ
(72)【発明者】
【氏名】ロヒ シャラティ
(57)【要約】
本発明は、昆虫を飼育する装置(1)および方法に関し、装置(1)は、シャーシ(4,5)上に位置するケース(2)の少なくとも1つのスタック(3)と、ゲート(6)とを有している点で優れており、ゲート(6)は少なくとも、供給モジュール(10)と、清掃モジュール(11)と、鉛直方向上向き運搬装置(12)と、鉛直方向下向き運搬装置(13)と、上側の横方向運搬装置(14)と、下側の横方向運搬装置(15)とを有しており、かつ、ゲート(6)用のガイドシステム、特にレールガイド(7)が設けられており、これにより、ゲート(6)はケース(2)の少なくとも2つのスタック(3)に向かって移動可能であり、かつ搬送システム、特にベルトコンベヤ(8)が設けられており、搬送システムにより、ケース(2)の少なくとも1つのスタック(3)からかつケース(2)の少なくとも1つのスタック(3)へ、ケース(2)を運ぶことができるようになっており、これにより、ゲート(6)を介して、少なくとも1つのスタック(3)の中のケース(2)内の昆虫の周期的な積替え、供給および清掃が可能であり、かつ搬送システムおよびゲート(6)を介して、ケース(2)を、ケース(2)の少なくとも2つのスタック(3)内へ搬入可能であると共に搬出可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に昆虫を飼育する装置(1)であり、多数の個別のケース(2)を有しており、該ケース(2)は、複数の前記ケース(2)の平面を有する1つのスタック(3)内に配置することができ、前記ケース(2)は、それぞれ幼虫と、とりわけ飼料を含む基材とで満たされており、さらに、各個別の前記ケース(2)内の基材および昆虫の状態に関する情報を入手可能な観察システムが含まれており、前記情報に基づき、個々の前記ケース(2)内の昆虫の引き続く飼育、収穫または廃棄処理の形態で指示を供給することができるようになっており、さらに、各前記ケース(2)内に飼料を自動で個別に供給することができるように適合された給餌システムが含まれている、装置(1)において、
当該装置(1)は、シャーシ(4,5)上に位置する前記ケース(2)の少なくとも1つのスタック(3)と、ゲート(6)とを有しており、該ゲート(6)は少なくとも、供給モジュール(10)と、清掃モジュール(11)と、鉛直方向上向き運搬装置(12)と、鉛直方向下向き運搬装置(13)と、上側の横方向運搬装置(14)と、下側の横方向運搬装置(15)とを有しており、かつ、前記ゲート(6)用のガイドシステム、特にレールガイド(7)が設けられており、これにより、前記ゲート(6)は前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)に向かって移動可能であり、かつ搬送システム、特にベルトコンベヤ(8)が設けられており、該搬送システムにより、前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)からかつ前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)へ、ケース(2)を運ぶことができるようになっており、これにより、前記ゲート(6)を介して、前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)の中の前記ケース(2)内の昆虫の周期的な積替え、供給および清掃が可能であり、かつ前記搬送システムおよび前記ゲート(6)を介して、前記ケース(2)を、前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)内へ搬入可能であると共に搬出可能であることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記ゲート(6)は、成形材システム(9)から、特にアルミニウムから成る成形材システム(9)から、および/または溶接構造体から構成されている、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記ゲート(6)の前記鉛直方向上向き運搬装置(12)は、それぞれが反対の側に位置して少なくとも2つの駆動ユニットを有しており、該駆動ユニットは、少なくとも2つのリニアベルト駆動部(16)と、該駆動部にそれぞれ設けられた少なくとも2つの持上げフィンガ(17)とを有しており、該持上げフィンガ(17)には、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)前記駆動部により行われる上昇運動に際して荷重を加えることができ、ひいては前記持上げフィンガ(17)は、重さ、特に1つのケース(2)の重さを支持することができるようになっており、かつ、ケース(2)を前記ベルトコンベヤ(8)から前記パッシブシャーシ(4)を通して下方から導入することにより、前記持上げフィンガ(17)を外側に向かって変位させることができ、これにより、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により前記ケース(2)を運搬するためのフック状の係合および係合解除がパッシブに実施可能である、請求項1記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ゲート(6)の前記鉛直方向下向き運搬装置(13)は、それぞれが反対の側に位置して少なくとも2つの駆動ユニットを有しており、該駆動ユニットは、少なくとも2つのリニアベルト駆動部(16)と、ローラ(22)に結合された少なくとも2つの持上げピン(19)を備えた少なくとも2つの持上げピンアーム(18)と、変位ロッカ(23)を備えたローラガイド(20)とを有しており、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)の下降運動に際して、前記持上げピンアーム(18)の、少なくとも1つの前記ローラ(22)に結合された前記持上げピン(19)は、前記ローラガイド(20)により変位可能であり、これにより、前記持上げピン(19)を介して前記ケース(2)をその都度保持することができかつ該ケース(2)を下方に向かって運搬することができ、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)の上昇運動に際して、前記ローラ(22)に結合された前記持上げピン(19)は、前記ローラガイド(20)に設けられた前記変位ロッカ(23)により変位可能であり、これにより前記鉛直方向下向き運搬装置(13)は、前記持上げピン(19)が突出させられることなく、ひいては前記ケース(2)を把持不能に上方に向かって移動可能であるため、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)の下降運動用の別のケース(2)を、前記持上げピンアーム(18)と、該持上げピンアーム(18)の、前記ローラ(22)に結合された前記持上げピン(19)とにより、前記ローラガイド(20)と該ローラガイド(20)の前記変位ロッカ(23)とを介して、駆動部の上方で支持することができる、請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項5】
前記ゲート(6)の前記上側の横方向運搬装置(14)は、それぞれが反対の側に位置し、リニアベルト駆動部(16)と、少なくとも2つの持上げ支持部(25)を備えた持上げアーム(24)と、直動軸(21)を介して前記持上げアーム(24)に結合されたローラ(22)と、少なくとも2つのロッカ(26)を備えたローラガイド(20)とを有しており、前記持上げアーム(24)が前記リニアベルト駆動部(16)により、前記直動軸(21)を介して結合された前記ローラ(22)でもって前記ローラガイド(20)に沿って移動させられると、前記ローラガイド(20)に設けられた1つの前記ロッカ(26)により、前記持上げアーム(24)は、ケース(2)を収容することができるように旋回可能であると共に左から右へおよび/または右から左へ移動させることができ、その結果、前記ローラガイド(20)の別の前記ロッカ(26)において、前記直動軸(21)により前記持上げアーム(24)に取り付けられた前記ローラ(22)により、前記持上げアーム(24)は、ケース(2)を取り出すことができるように変位可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記ゲート(6)の前記下側の横方向運搬装置(15)は、それぞれが反対の側に位置して、鉛直方向に向けられた非対称ベルト(27)を有しており、該非対称ベルト(27)は、水平方向に向けられた駆動部(28)により鉛直方向に可動であり、前記非対称ベルト(27)は一方の側に、水平方向に向けられた前記駆動部(28)による前記非対称ベルト(27)の鉛直方向の動きによって1つのケース(2)を把持することができ、かつ左から右へおよび/または右から左へ移動させることができる厚さを有している、請求項1から5までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ゲート(6)はサーボモータ(29)を有しており、かつ前記アクティブシャーシ(5)は結合部材、特にボーデンケーブル(30)に取り付けられたウェブ(38)を有しており、前記ボーデンケーブル(30)は前記持上げフィンガ(17)に取り付けられており、前記結合部材は、前記ゲート(6)に設けられた前記サーボモータ(29)により作動可能であり、該サーボモータ(29)の作動に基づき、前記アクティブシャーシ(5)の前記持上げフィンガ(17)は外側に向かって変位可能であり、これにより、収穫成熟期のケース(2)を、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)により前記アクティブシャーシ(5)を通して下方に向かって前記ベルトコンベヤ(8)上に搬出することができる、請求項1から6までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項8】
前記ゲート(6)に検出ユニットが設けられており、該検出ユニットは、センサ、特に熱センサおよび湿分センサおよび/またはカメラを有しており、昆虫飼育に必要とされるパラメータ、特にケース(2)内の湿分および温度が、前記センサを介して確認可能であり、かつ前記カメラを用いて撮影された、ケース(2)内の昆虫の状態を供給材料と共に再現する画像は、データバンクを介して基準データと比較可能であるため、ケース(2)内の昆虫のその時々の供給状態をその都度確認することができ、このようにして得られた情報は、機械学習用に使用可能である、請求項1から7までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記ケース(2)は、それぞれ二重底部を有しており、かつ底部間に少なくとも1つの吸出し開口を有しており、前記二重底部の上底部は格子状の底部として構成されているため、該格子状の底部を通り、特に前記ケース(2)内の廃棄物、特に幼虫の排泄物が落下するようになっており、前記廃棄物は、前記二重底部の間の前記吸出し開口を介して前記清掃モジュール(11)により除去可能である、請求項1から8までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項10】
前記清掃モジュール(11)は、少なくとも2つの吸入装置(34)を有しており、少なくとも1つの前記吸入装置(34)により、前記二重底部の間の廃棄物を、ケース(2)の前記吸出し開口を通じて吸い出すことができ、かつ、少なくとも1つの第2の吸入装置(34)により、前記ケース(2)内の幼虫の殻ならびに場合により存在する飼料残渣およびその他の廃棄物を、前記上側の横方向運搬装置(14)による運搬中に吸い出すことができ、および/または静電気により取り出すことができ、および/または風力分級により除去することができる、請求項1から9までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項11】
前記供給モジュール(10)は、少なくとも2つのコンテナ(35,36)に分かれており、該コンテナ(35,36)はそれぞれが少なくとも1つの調量ローラ(37)を有しており、少なくとも1つの一方の前記コンテナ(35)は基材で満たされており、かつ少なくとも1つの他方の前記コンテナ(36)は餌で満たされており、これにより、前記上側の横方向運搬装置(14)による運搬時に、前記調量ローラ(37)の調整可能な連続動作によって最初に基材を、次に餌を、それぞれ所要の量でケース(2)内に供給することができる、請求項1から10までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項12】
前記ケース(2)は、RFIDチップまたはその他のパッシブ電子チップおよび/またはバーコードおよび/または2Dマトリックスを有しているため、データ、特に前記ケース(2)の状態データが保存可能かつ呼出し可能であり、これにより、保存可能かつ呼出し可能な前記データに基づき取扱い指示を実施することができる、請求項9記載の装置(1)。
【請求項13】
前記ゲート(6)用にステーションが設けられており、該ステーションにおいて、場合により前記清掃モジュール(11)を空にすることができ、かつ前記供給モジュール(10)の前記コンテナ(35,36)に、それぞれ必要とされる材料、特に基材および/または餌を再充填することができる、請求項1から12までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項14】
前記ケース(2)の前記スタック(3)は、長さに応じて任意に何度でも相前後して並べることができ、かつ、長さに応じて並べられる前記ケース(2)の前記スタック(3)は、隣り合わせて並べることができ、これにより、当該装置(1)は、場所的な状況、特に工場の長さ、幅および高さに最適に適合可能であり、ひいては場所的な状況を最適に利用可能である、請求項1から13までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項15】
請求項14記載の前記ケース(2)の前記スタック(3)に直交して、少なくとも1つのベルトコンベヤ(8)が配置されており、これにより、請求項14記載の前記ケース(2)の前記スタック(3)に、直交する前記ベルトコンベヤ(8)を介して、昆虫と供給材料とを含む新規のケース(2)を倉庫から供給することができ、請求項14記載の前記ケース(2)の前記スタック(3)に対して直交するように方向付けられた前記少なくとも1つのベルトコンベヤ(8)を介して、収穫成熟期のケース(2)を前記ケース(2)の前記スタック(3)から倉庫内へ搬出することができる、請求項14記載の装置(1)。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項または複数項記載の装置を用いた方法において、
前記パッシブシャーシ(4)上に位置する前記スタック(3)の各最下位のケース(2)が、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により、少なくとも1つのケースの高さだけ持ち上げられ、同時に前記鉛直方向下向き運搬装置(13)において、前記アクティブシャーシ(5)の前記スタック(3)から第2のケース(2)が下方から持ち上げられ、これにより前記アクティブシャーシ(5)上の前記スタック(3)の前記最下位のケース(2)が、前記下側の横方向運搬装置(15)により、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により持ち上げられた前記スタック(3)の下に移動され、かつ、下方から持ち上げられた前記第2のケース(2)は、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)によって少なくとも1つのケースの高さだけ下方に向かって移動させられ、同様に前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により1つのケースの高さだけ持ち上げられた前記スタック(3)の最上位のケース(2)も、前記上側の横方向運搬装置(14)により、前記アクティブシャーシ(5)上に位置する前記ケース(2)の前記スタック(3)の上に移動され、前記鉛直方向上向き運搬装置(14)による前記ケース(2)の運搬中、昆虫および昆虫の供給材料を含む前記ケース(2)は、前記清掃モジュール(11)および前記供給モジュール(10)により清掃され、場合により相応する供給材料を与えられ、前記運搬フローは、少なくとも2つの前記スタック(3)の全てのケース(2)が前記清掃モジュール(11)および前記供給モジュール(10)により清掃され、場合により相応する供給材料が与えられるまで実施され、かつ、収穫成熟期のケース(2)(この場合、ケース(2)の収穫成熟期は清掃および供給材料付与中に検出ユニットにより特定される)は、前記アクティブシャーシ(5)上に位置する前記ケース(2)の前記スタック(3)を介して前記鉛直方向下向き運搬装置(13)により前記アクティブシャーシ(5)まで運ばれ、このとき該アクティブシャーシ(5)は外側に向かって変位し、これにより前記収穫成熟期のケース(2)は、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)により前記アクティブシャーシ(5)を介して前記ベルトコンベヤ(8)へ搬出され、かつ、前記ベルトコンベヤ(8)により前記パッシブシャーシ(4)の下側に運ばれる、昆虫および供給材料を含む新規のケース(2)は、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により前記パッシブシャーシ(4)を介して、前記パッシブシャーシ(4)上に位置する前記ケース(2)の前記スタック(3)内に搬入され(搬入時に前記パッシブシャーシ(4)は前記ケース(2)によって外側に向かって変位させられる)、これにより、自動化された昆虫飼育が実施されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に昆虫を自動飼育する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、とりわけ国際公開第2019/053439号が公知であり、これは特に、廃棄物モジュールならびに飼育モジュールが含まれている、昆虫からの廃棄物を昆虫飼育用の飼料として再利用するための装置である。
【0003】
さらに、国際特許出願である国際公開第2017/007310号に基づき、産卵母の幼虫を工業的に大量生産するための昆虫飼育装置および方法が開示されている。この装置は、産卵母による幼虫の飼育および生産に用いられ、それぞれが餌供給システムを有する産卵領域ならびに孵化領域を有している。
【0004】
国際特許出願である国際公開第2014/171829号も、昆虫を飼育する方法および装置に関し、この場合は多数の個別のケースが用いられる。この方法は以下のステップ、すなわち:多数のケースを準備するステップ、多数のケースのうちの少なくとも一部のケースを、飼料と未成熟状態の昆虫とを含む基材で満たすステップ、ならびに所定の気候ゾーンを準備するステップを含む。さらに、この方法は、内部に多数のケースを設置することができる換気装置、移送システムを提供するステップ、ならびに移送システムに沿って観察システムを提供するステップを含む。また、この方法は、移送システムに沿って原料供給ステーションを提供するステップ、ならびに換気システムを提供するステップも含む。さらに、この従来公知の手段は、移送システムにより、気候領域から多数のケースのうちの少なくとも1つの個々のケースを周期的に呼び出し、次いで観察システムにケースを引き渡すことを想定している。観察システムにより得られた、個々のケース内の基材および昆虫の状態に関する情報は評価され、評価に応じて、個々のケース内の昆虫の引き続く飼育、収穫または廃棄処理に関する取扱い指示が与えられる。
【0005】
国際特許出願である国際公開第2012/115959号に基づき従来公知の幼虫飼育装置は、少なくとも1つのトレースタック内に配置された多数の培養トレーを有しており、各スタックは、複数のトレー面を有している。これらのトレーはどれも、幼虫と幼虫の餌とを受け入れることができるようにするために、上側に配置された開口を有している。さらに、この装置は、幼虫の餌を各トレーに自動的にかつ個別に供給することができるように適合された給餌システムを有している。また、この装置は、トレーに自動的に給水することができるように適合された給水システムも有している。
【0006】
国際特許出願である国際公開第2018/029597号が開示する、飛行不能な昆虫および/または昆虫の幼虫を飼育および/または養殖するための技術的なベルトコンベヤは、このベルトコンベヤが、両側に配置された側方の側壁を備えており、側壁は長さに応じてベルトコンベヤに配置されている、自律的なベルトコンベヤであるという点で優れており、この場合、ベルトコンベヤの上縁は、少なくとも1回内側に、30°を下回らない、好適には30°~90°の縁部曲げ角度でもって湾曲している。さらに、このベルトコンベヤは、全体的に鉛直方向においてベルトコンベヤの側方の側壁を支持し、互いに対向して位置する成形された側壁同士をつなぐ横方向支持体を有しており、この場合、成形された側壁は、支持構造要素でもある。ベルトコンベヤの長手方向縁部と側方の側壁とは、共に1つの成形凹部を形成しており、ベルトコンベヤの表面上に位置する昆虫の塊が、場合により追加的な飼料および昆虫の排泄物と共に、ベルトコンベヤの長手方向縁部と側方の側壁とに対して加圧されるため、横方向支持体および成形された横方向側壁は、効率的な熱伝導特性を有する材料から成っている。
【0007】
さらに、国際特許出願である国際公開第2016/166471号からは、昆虫を飼育する工場が従来公知である。この工場は、飼育されるべき昆虫がその成長中にコンテナ内で保存される第1のゾーンならびに少なくとも1つのステーションを備えた第2のゾーンを有しており、ステーションは、コンテナ内の昆虫のための飼育に関する役目を果たすことができるように構成されている。第1のゾーンのコンテナは複数のスタックにまとめられており、これらのスタックはベースユニットと呼ばれる。よって第1のゾーンはパレット棚を有しており、パレット棚内にベースユニットが配置されている。第1のゾーンはさらに、ベースユニットが第1のゾーンと、第2のゾーンとのインタフェースとの間で移動可能であるように構成された、自動化された装置を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この従来技術を起点として、本発明の根底を成す課題は、昆虫を幼虫から収穫成熟期まで自動飼育する装置および方法を提供することにある。この課題は、独立請求項1および16により解決される。請求項2~15は、本発明の有利な構成に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の上位概念では、本発明は、特に昆虫を自動飼育する装置であり、多数の個別のケースを有しており、個別のケースは、複数のケース平面を有する1つのスタック内に配置可能であり、これらのケースは、幼虫と、とりわけ飼料を含む基材とで満たされている。
【0010】
さらに、請求項1の上位概念に記載の装置は、各個別のケース内の基材および昆虫の状態に関する情報を入手可能な観察システムを有しているため、これらの情報に基づき、個々のケース内の昆虫の引き続く飼育、収穫または廃棄処理の形態で、動作指示を供給することができるようになっている。また、当該装置は、各ケース内に飼料を自動で個別に供給することができるように適合された給餌システムも有している。
【0011】
独立請求項1記載の本発明は、当該装置は、シャーシ上に位置する、ケースの少なくとも1つのスタックと、ゲートとを有しているという点で優れている。ゲートは少なくとも、供給モジュールと、清掃モジュールと、鉛直方向上向き運搬装置と、鉛直方向下向き運搬装置と、上側の横方向運搬装置と、下側の横方向運搬装置とを有している。さらに、本発明による装置は、ゲート用のガイドシステム、特にレールガイドが設けられており、これにより、ゲートはケースの少なくとも1つのスタックに向かって移動可能であり、かつ搬送システム、特にベルトコンベヤが設けられているということを想定しており、この場合、搬送システムにより、ケースの少なくとも1つのスタックからかつケースの少なくとも1つのスタックへ、ケースを運ぶことができる。また、搬送システムにより運ばれたケースは、位置決め機構により、特に持上げ磁石により、各シャーシによる搬入および搬出のためにゲートに位置決め可能であるということも考えられる。つまり、ゲートを介して、少なくとも1つのスタックの中のケース内の昆虫の周期的な積替え、供給および清掃が可能であり、かつ搬送システムおよびゲートを介して、ケースをケースの少なくとも1つのスタック内へ搬入可能であると共に搬出可能である。
【0012】
有利な構成では、本発明は装置に関して、ゲートは成形材システムから、特にアルミニウムから成る成形材システムからおよび/または溶接構造体から構成されていることを想定している。これは、ゲートはケースの大きさおよびスタックの高さに個別に適合可能であるという利点を有している。
【0013】
別の有利な構成では、本発明は装置に関して、ゲートの鉛直方向上向き運搬装置は、それぞれが反対の側に位置して少なくとも2つの駆動ユニットを有しており、駆動ユニットは、リニアベルト駆動部と、各駆動部に設けられた少なくとも2つの持上げフィンガとを有していることを想定している。持上げフィンガには、鉛直方向上向き運搬装置の上昇運動に際して荷重を加えることができ、ひいては、持上げフィンガは、重さ、特に1つのケースの重さを支持することができる。また、ケースをベルトコンベヤからパッシブシャーシを通して下方から導入する際も、持上げフィンガを外側に向かって押圧することができ、これにより、鉛直方向上向き運搬装置によりケースを運搬するためのフック状の係合および係合解除がパッシブに実施可能である。これは、鉛直方向上向き運搬装置が単に2つの可動部材だけ、つまりリニアベルト駆動部と持上げフィンガとを有しているに過ぎず、これにより、より少ない機械的摩耗が達成可能でありかつ鉛直方向上向き運搬装置の保守整備が容易になるという利点を有している。
【0014】
請求項4では、本発明は装置に関して、ゲートに位置する鉛直方向下向き運搬装置は、それぞれが反対の側に位置して少なくとも2つの駆動ユニットを有しており、駆動ユニットは、少なくとも2つのリニアベルト駆動部と、ローラに結合された少なくとも2つの持上げピンを備えた少なくとも2つの持上げピンアームと、変位ロッカを備えたローラガイドとを有していることを想定している。さらに、本発明は請求項4において、鉛直方向下向き運搬装置の下降運動に際して、持上げピンアームの、少なくとも1つのローラに結合された持上げピンは、ローラガイドにより変位可能であり、これにより、これらの持上げピンを介してケースを保持することができ、かつ下方に向かって運搬することができるということを想定している。鉛直方向下向き運搬装置の上昇運動に際して、ローラに結合された持上げピンは、ローラガイドに設けられた少なくとも1つの変位ロッカにより変位可能であり、これにより鉛直方向下向き運搬装置は、このとき持上げピンが突出させられることなく、ひいてはケースを把持不能に上方へも移動可能である。また、鉛直方向下向き運搬装置の下降運動用の別のケースを、持上げピンアームと、持上げピンアームの、ローラに結合された持上げピンとにより、ローラガイドとローラガイドの変位ロッカとを介して、駆動部の上方で支持することもできる。これは、鉛直方向下向き運搬装置により、ケースを上方に向かって持ち上げることもできかつ下方に向かって運ぶこともできるという利点を有している。これは、単に2つの可動部材、つまりリニア駆動部と、持上げアームの、ローラに結合された持上げピンとだけを用いて行われるに過ぎないため、ここでも当該装置の小さな機械的荷重ひいては大幅な長寿命ならびに簡単な保守整備が保証されている。
【0015】
さらに有利な構成では、本発明は装置に関して、ゲートの上側の横方向運搬装置は、それぞれが反対の側に位置し、リニアベルト駆動部と、少なくとも2つの持上げ支持部を備えた持上げアームと、直動軸を介して持上げアームに結合されたローラと、少なくとも2つのロッカを備えたローラガイドとにより実現されていることを想定している。さらに、本発明は、この有利な構成において、持上げアームが駆動部により、特にリニアベルト駆動部により、直動軸を介して結合されたローラでもってローラガイドに沿って移動させられると、ローラガイドに設けられた1つのロッカにより、持上げアームはケースを収容することができるように旋回可能であり、かつ左から右へおよび/または右から左へ移動させることができるということを想定している。また、本発明は、この有利な構成において、ローラガイドの別のロッカにおいて、直動軸により持上げアームに取り付けられたローラにより、持上げアームは、ケースを取り出すことができるように変位可能であるということを想定している。
【0016】
請求項6では、本発明は、ゲートの下側の横方向運搬装置は、それぞれが反対の側に位置して、鉛直方向に向けられた非対称ベルトを備えていることを想定している。この非対称ベルトは、水平方向に向けられた駆動部によって鉛直方向に可動であり、この場合、非対称ベルトは一方の側に、水平方向に向けられた駆動部による非対称ベルトの鉛直方向の動きによって1つのケースを把持することができ、かつ左から右へおよび/または右から左へ移動させることができる厚さを有している。つまり、ここでも下側の横方向運搬装置は単に2つの可動部材、つまり鉛直方向駆動部と非対称ベルトとだけにより実現されているに過ぎず、これにより、ここでも機械的摩耗がより少なく、かつ保守整備が容易にまたは削減されるという利点が生じている。
【0017】
請求項7記載の本発明の1つの別の有利な構成は、ゲートがサーボモータを有しており、かつアクティブシャーシは結合部材、特にボーデンケーブルに取り付けられたウェブを有しており、ボーデンケーブルは持上げフィンガに取り付けられている点で優れている。結合部材は、ゲートに設けられたサーボモータにより作動可能であり、サーボモータの作動に基づき、アクティブシャーシの持上げフィンガは外側に向かって変位可能である。これにより、収穫成熟期のケースを、鉛直方向下向き運搬装置によりアクティブシャーシを通して下方に向かってベルトコンベヤ上に搬出することができる。ここでも、アクティブシャーシの所要動作が単に1つの可動構成部材のみによって実現されていることは利点であり、この場合も、機構の少ない摩耗およびこれに付随する、装置のより少ない保守整備費を期待することができる。同様に、各アクティブシャーシ自体がサーボモータを有する必要がなくなり、ひいては同じ効果でより少ない使用材料が達成可能であるため、複数のサーボモータがゲートに位置していること、ならびにアクティブシャーシは、固有の電力供給手段および別個の制御装置を必要としないことも有利である。
【0018】
別の有利な構成では、ゲートは、センサ、特に熱センサおよび湿分センサおよび/またはカメラを有する検出ユニットを有している。昆虫飼育に必要とされるパラメータ、特に湿分と、昆虫を最適に飼育するためにケース内を支配する必要がある温度とが、前記センサおよび/または前記検出ユニットを介して確認可能である。追加的にカメラを用いて、ケース内の昆虫の目下の状態を供給材料と共に記録し再現する画像を撮影することができ、この場合、撮影されたこれらの画像は、それぞれデータバンク内に保存された基準データと比較可能であるため、ケースの昆虫のその時々の状態を供給材料と共に確認することができ、このようにして得られた情報は、機械学習用に使用可能である。つまり、当該装置により、少なくとも2つのスタックにおける各個別のケースのその時々の状態が、ゲートの検出ユニットにより確認可能であり、これにより、昆虫の飼育に最適なパラメータが管理可能かつ調節可能であるという利点が生じる。
【0019】
請求項9では、本発明は本発明による装置に関して、ケースはそれぞれ二重底部を有しており、かつ底部間に少なくとも1つの吸出し開口を有していることを想定している。さらに、二重底部の上底部は格子状の底部として構成されているため、この格子状の底部を通り、廃棄物、特に排泄物が下方に落下するようになっている。この排泄物は、二重底部の間の吸出し開口を介して清掃モジュールにより除去可能または吸出し可能である。これは、一方では基材に不純物が残留せず、これにより、昆虫のためのより高い衛生基準を達成することができるという利点を有しており、これにより昆虫を薬剤で治療する必要は全く~ほとんどないことを期待することができる。他方では、昆虫飼育により生じる廃棄物は、二重底部と吸出し開口とを介してケースから容易に除去可能であると共に、場合によりさらに、例えば肥料の形態で使用することができる。
【0020】
別の有利な構成では、本発明は、清掃モジュールを有しており、清掃モジュールは、少なくとも2つの吸入装置を有しており、この場合、少なくとも1つの吸入装置により、二重底部の間の廃棄物を、ケースの吸出し開口を通じて吸い出すことができ、かつ、少なくとも1つの第2の吸入装置により、ケース内の幼虫の殻ならびに場合により存在する飼料残渣およびその他の廃棄物を、上側における横方向運搬中に吸い出すことができ、および/または静電気により取り出すことができ、および/または風力分級により除去することができる。よって、清掃モジュールは、ゲートの上側の横方向運搬装置による、上昇スタックから下降スタックへのケースの上側における横方向運搬中に、ケースの二重底部から廃棄物を除去することも、ケース内の幼虫の殻や飼料残渣を除去することもできる。これにより、ケース内の昆虫のための衛生環境が保証されることで、飼育しようとする昆虫の発病の可能性に抵抗することができる。
【0021】
請求項11では、本発明は装置に関して、供給モジュールは、少なくとも2つのコンテナに分かれていることを想定している。これらのコンテナはそれぞれが調量ローラを有しており、これにより上側の横方向運搬装置による横方向運搬時に、各コンテナの調量ローラの調整可能な連続動作によって最初に基材を、次に餌を、それぞれ所要の量で各ケース内に供給することができる。
【0022】
さらに有利な構成では、本発明は装置に関して、ケースは、RFIDチップまたはその他のパッシブ電子チップおよび/またはバーコードおよび/または2Dマトリックスを有しているため、データ、特にケースの状態データは保存可能かつ呼出し可能であり、これにより、これらのデータに基づき評価および必要な場合には取扱い指示が、好適には自動的に実施可能であることを想定している。これは、チップに提供された情報、例えばケースの状態データ、番号、スタック内での時間等が、読取り装置を介して、特に検出ユニットを介して読取り可能かつ保存可能であり、これにより、これらのデータに基づいて、取扱い指示、特にケースの搬出、清掃または昆虫の給餌が自動的に実施可能であるという利点を有している。
【0023】
別の有利な構成では、本発明は装置に関して、ゲート用にステーションが設けられており、ステーションにおいて、場合により清掃モジュールを空にすることができ、かつ供給モジュールのコンテナに、それぞれ必要とされる材料、特に基材および/または餌を再充填することができるということを想定している。つまり、これにより、昆虫飼育の大幅な自動化が保証されている。
【0024】
請求項14では、本発明は装置に関して、請求項1記載の装置、つまり、それぞれがアクティブシャーシおよびパッシブシャーシと、アクティブシャーシおよびパッシブシャーシの下側のベルトコンベヤと、レールガイドを備えたゲートとを備えた、ケースの少なくとも2つのスタックは、現行の請求項1記載の特徴に基づき、長さに応じて任意に何度でも相前後して並べることができ、この場合、少なくとも1つのゲートは、長さに応じて並べられた全てのスタックにわたって移動可能であることを想定している。さらに、本発明は有利な構成に基づき、長さに応じて並べられる複数の装置を、隣り合わせて並べることができることを想定している。これは、当該装置がその時々の場所的な状況、特に工場の長さ、幅および高さに適合可能であり、これにより、場所的な状況が最適に利用可能であるという利点を有している。
【0025】
さらに有利な構成では、本発明は装置に関して、請求項14記載の装置に直交して、少なくとも1つのベルトコンベヤが配置されており、これにより、請求項14記載の装置に、この直交するベルトコンベヤを介して、昆虫と供給材料とを含む新規のケースを倉庫から供給することができることを想定している。また、この有利な構成には、請求項14記載の装置に対して直交するように方向付けられた少なくとも1つのベルトコンベヤを介して、収穫成熟期のケースを装置から倉庫内へ搬出することもできることも含まれる。これは、装置に対する新規のケースおよび収穫成熟期のケースの搬出入が、完全に自動化されてベルトコンベヤを介して行われるという利点を有している。
【0026】
本発明は、同様に請求項16に基づき、パッシブシャーシ上に位置するスタックのその時々の最下位のケースが、鉛直方向上向き運搬装置により、少なくとも1つのケースの高さだけ持ち上げられる方法も想定している。同時に、鉛直方向下向き運搬装置により、アクティブシャーシのスタックから第2のケースが下方から持ち上げられ、これによりアクティブシャーシ上のスタックの最下位のケースが、下側の横方向運搬装置により、鉛直方向上向き運搬装置により持ち上げられたスタックの下に移動される。また、下方から持ち上げられた第2のケースは、鉛直方向下向き運搬装置によって少なくとも1つのケースの高さだけ下方にも移動させられ、同様に、鉛直方向上向き運搬装置によって1つのケースの高さだけ持ち上げられたスタックの最上位のケースも、上側の横方向運搬装置により、アクティブシャーシ上に位置するケースのスタックの上に移動される。
【0027】
鉛直方向上向き運搬装置によるケースの運搬中、昆虫および昆虫の供給材料を含むケースは、清掃モジュールおよび供給モジュールにより清掃され、場合により相応する供給材料を与えられ、前記運搬フローは、少なくとも2つのスタックの全てのケースが清掃モジュールおよび供給モジュールにより清掃され、場合により相応する供給材料が与えられるまで、実施される。
【0028】
収穫成熟期のケース(この場合、ケースの収穫成熟期は清掃および供給材料付与中に検出ユニットにより特定される)は、アクティブシャーシ上に位置するケースのスタックを介して鉛直方向下向き運搬装置によって下方に向かってアクティブシャーシまで運ばれ、このときアクティブシャーシは外側に向かって変位する。つまり、収穫成熟期のケースは、鉛直方向下向き運搬装置によりアクティブシャーシを介してベルトコンベヤへ搬出される。
【0029】
同様に、ベルトコンベヤによりパッシブシャーシの下側に運ばれる、昆虫および供給材料を含む新規のケースは、鉛直方向上向き運搬装置によりパッシブシャーシを介して、パッシブシャーシ上に位置するケースのスタック内に搬入され(搬入時にパッシブシャーシはケースにより外側に向かって変位させられる)、これにより、自動化された昆虫飼育が実施される。
【0030】
以下に、本発明を実施例に基づきより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】1つのゲートと昆虫を含む2つのスタックケースとを有する装置を示す斜視正面図である。
【
図2】
図1に示したゲートを2つのスタックケース無しで示す斜視正面図である。
【
図3a】
図1に示したゲートの清掃モジュールを上から見た斜視図である。
【
図3b】
図3aに示したゲートの清掃モジュールを下から見た斜視図である。
【
図4a】
図1に示したゲートの供給モジュールを上から見た斜視図である。
【
図4b】
図4aに示したゲートの供給モジュールを示す横断面図である。
【
図5】
図1に示した装置のパッシブシャーシを示す斜視図である。
【
図6a】
図1に示した装置のアクティブシャーシを示す斜視図である。
【
図6b】
図6aに示した装置のアクティブシャーシをゲートのサーボモータと共に示す斜視詳細図である。
【
図7】
図1に示した、鉛直方向上向き運搬装置を示す斜視正面図である。
【
図8a】
図1に示した、鉛直方向下向き運搬装置を、引っ込められた持上げピンと共に示す斜視正面図である。
【
図8b】
図8aに示した、鉛直方向下向き運搬装置を、突出した持上げピンと共に示す斜視正面図である。
【
図8c】
図8aおよび
図8bに示した鉛直方向下向き運搬装置を、突出したリフトピンと共に示す斜視背面図である。
【
図9】
図1に示した下側の横方向駆動装置の斜視正面図である。
【
図10】
図1に示した上側の横方向駆動装置の斜視正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、昆虫で満たされたケース2の少なくとも2つのスタック3を備えた1つのゲート6を有する装置1が斜視正面図で示されている。この場合、ゲート6は成形材システム9から成っており、供給モジュール10と、清掃モジュール11と、鉛直方向上向き運搬装置12と、鉛直方向下向き運搬装置13と、上側の横方向運搬装置14と、下側の横方向運搬装置15と、アクティブシャーシ5と、パッシブシャーシ4(ここにはさらに図示せず)と、シャーシ4,5の間に配置されたベルトコンベヤ8と、レールガイド7とを有しており、ゲート6はレールガイド7に沿って移動可能である。
【0033】
鉛直方向上向き運搬装置12により、パッシブシャーシ4上のケース2のスタック3を、少なくとも1つのケースの高さだけ持ち上げることができるようになっており、この場合、予め鉛直方向下向き運搬装置13により第2のケースが下方から持ち上げられているため、アクティブシャーシ5上に位置する最下位のケース2を、下側の横方向運搬装置15により、鉛直方向上向き運搬装置12によって上方に持ち上げられたスタック3の下に移動することができるようになっている。
【0034】
同様に、鉛直方向上向き運搬装置12によって少なくとも1つのケースの高さだけ持ち上げられたケース2のスタック3も、上側の横方向運搬装置14により、ケース2のこのスタック3から、鉛直方向下向き運搬装置13によって下方に運ばれたケース2のスタック3の上に移動される。
【0035】
上側の横方向運搬装置14による横方向運搬に際して、ケース2はそれぞれ清掃モジュール11により清掃されかつ供給モジュール12により所要材料、特に基材およびまたは餌を供給される。
【0036】
収穫成熟期のケース2は、鉛直方向下向き運搬装置13によりアクティブシャーシ5を介して搬出可能であり、この場合、アクティブシャーシ5はサーボモータ29によって外側に向かって変位可能であり、これにより、このケース2がシャーシ4,5の間に位置するベルトコンベヤ8上に到達し、その結果、収穫成熟期のケース2を搬出することができるようになっている。
【0037】
同様に、ベルトコンベヤ8により新たな昆虫および基材ならびに飼料を含む真新しいケース2を装置1に運ぶこともでき、かつ真新しいケース2を鉛直方向上向き運搬装置12によりパッシブシャーシ4を通して搬入することが可能であり、この場合、真新しいケース2の搬入に際して、パッシブシャーシ4の持上げフィンガ17がパッシブに外側に向かって変位可能である。
【0038】
図2には、
図1に示した装置1が単にパッシブシャーシ4およびアクティブシャーシ5上に位置するケース2のスタック3無しで示されている。
図2には、それぞれ反対の側に位置する運搬駆動装置、つまり鉛直方向上向き運搬装置12および鉛直方向下向き運搬装置13、下側の横方向運搬装置15および上側の横方向運搬装置14が示されており、同様に、シャーシ4,5の間に位置するベルトコンベヤ8ならびにレールガイド7も示されており、ゲート6はレールガイド7上を移動可能である。
【0039】
図3aおよび
図3bには、
図1に示したゲート6の清掃モジュール11が、上から見た斜視図と下から見た斜視図とで示されている。清掃モジュール11は2つの吸入装置34を有しており、一方の吸入装置34は、清掃モジュール11の側方に取り付けられており、これによりこの吸入装置34は、廃棄物、特に幼虫の排泄物を、ケース2の吸出し開口(ここにはさらに図示せず)を介して吸い出すために利用可能であり、かつ他方の吸入装置34は、清掃モジュール11の下側に取り付けられており、これによりこの吸入装置34は、幼虫の殻をケース2の上方からその都度吸い出す。
【0040】
図4aおよび
図4bには、
図1に示した供給モジュール10が上から見た斜視図および横断面図で示されている。供給モジュール10は2つのコンテナ、つまり少なくとも1つの基材コンテナ35および餌コンテナ36、ならびに各コンテナ内に配置された調量ローラ37を有している。基材コンテナ35内でも餌コンテナ36内でも調量ローラ37を連続動作させることにより、相応に所望される量の各材料を供給モジュール10から供給することができるようになっている。
【0041】
図5には、
図1に示したパッシブシャーシ4が斜視正面図で示されている。パッシブシャーシ4は、合計6つの持上げフィンガ17を有しており、これらの持上げフィンガ17は、真新しいケース2が下方から搬入されると、パッシブに外側に向かって変位可能である。
【0042】
図6aには、
図1に示したアクティブシャーシ5が斜視図で示されている。アクティブシャーシ5の持上げフィンガ17は、ボーデンケーブル30によりアクティブシャーシ5のウェブ38に結合されている。
図6bでは、持上げフィンガ17はウェブ38の動作に基づき、ここではサーボモータ29を介してウェブ38を押し下げることにより、外側に向かって変位可能である。これにより、ゲート6に位置するサーボモータ29を介したアクティブシャーシ5の持上げフィンガ17の変位後に、鉛直方向下向き運搬装置13により1つのケース2を下方に向かって、アクティブシャーシ5を通してベルトコンベヤ8上に運ぶことができるようになっている。
【0043】
図7には、
図1に示した鉛直方向上向き運搬装置12の4つの駆動ユニットのうちの1つが示されている。この駆動ユニットは、リニアベルト駆動部16ならびに2つの持上げ支持部25を備えた持上げフィンガ17を有しており、持上げフィンガ17は、真新しいケースを下方から搬入する際に、外側に向かって変位可能である。
【0044】
図8a、
図8bおよび
図8cには、鉛直方向下向き運搬装置13の4つの駆動ユニットのうちの1つが、持上げピン19が引っ込められた状態の斜視正面図、持上げピン19が突出した状態の斜視正面図および持上げピン19が突出した状態の斜視背面図で示されている。
図8aには、持上げピンアーム18を貫通して案内された持上げピン19が示されており、これらの持上げピン19は、1つの直動軸21を介して1つのローラ22に結合されており、したがって、持上げピン19はローラガイド20によって引っ込められている。
【0045】
図8bに示す持上げピン19は、変位ロッカ23を備えたローラガイド20と、ローラ22に1つの直動軸21を介して結合された各持上げピン19とに基づき、突出させられている。
【0046】
図8cには、
図8bに示した鉛直方向下向き運搬装置13の駆動ユニットが斜視背面図で示されている。
図8cには、鉛直方向下向き運搬装置13の1つの駆動ユニットの持上げピンアーム18の下降時に変位ロッカ23が変位し、これにより、1つの直動軸21を介して各持上げピン19に結合されたローラ22は変位せず、その結果、持上げピン19は突出したままになることが示されている。持上げピンアーム18の上昇時に初めて、1つの直動軸21を介して各持上げピン19に結合されたローラ22が、ローラガイド20の変位ロッカ23によって変位させられ、このとき持上げピン19は引っ込められた状態になる。
【0047】
図9には、
図1に示した下側の横方向運搬装置15の2つの駆動ユニットのうちの1つが斜視正面図で示されている。下側の横方向運搬装置15の1つの駆動ユニットは、非対称ベルト27と、水平方向駆動部28とを有している。水平方向駆動部28により非対称ベルト27が変位すると、ケース2を、非対称ベルト27のより太い側により把持することができ、ひいては所定の方向、つまり水平方向駆動部28が非対称ベルト27を変位させる方向に運ぶことができる。
【0048】
図10には、
図1に示した上側の横方向運搬装置14の2つの駆動ユニットのうちの1つが斜視正面図で示されている。上側の横方向運搬装置14の駆動ユニットは、少なくとも2つのロッカ26を備えたローラガイド20と、リニアベルト駆動部16と、少なくとも2つの持上げ支持部25を備えた持上げアーム24と、ローラガイド20に沿って移動するローラ22とを有しており、ローラ22は直動軸21を介して持上げアーム24に結合されている。
【0049】
持上げアーム24がローラガイド20の一方の端部ひいては一方のロッカ26に到達すると、直動軸21を介して持上げアーム24に結合されたローラ22を介して、ローラガイド20でもって持上げアーム24は変位可能であり、これにより、リニアベルト駆動部16により持上げアーム24を移動させる際に、ケース2を把持することができるようになっている。ケース2を把持した後、このケース2は持上げアーム24がローラガイド20に沿って次のロッカ26に移動するまでの間、把持されたままである。次のロッカ26に到達すると、持上げアーム24は、直動軸21により持上げアーム24に結合されたローラ22によって変位させられ、これにより、ケース2を取り出すことができるようになっている。したがって、ケース2は左から右へまたは右から左へ搬送可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 装置
2 ケース
3 スタック
4 パッシブシャーシ
5 アクティブシャーシ
6 ゲート
7 レールガイド
8 ベルトコンベヤ
9 成形材システム
10 供給モジュール
11 清掃モジュール
12 鉛直方向上向き運搬装置
13 鉛直方向下向き運搬装置
14 上側の横方向運搬装置
15 下側の横方向運搬装置
16 リニアベルト駆動部
17 持上げフィンガ
18 持上げピンアーム
19 持上げピン
20 ローラガイド
21 直動軸
22 ローラ
23 変位ロッカ
24 持上げアーム
25 持上げ支持部
26 ロッカ
27 非対称ベルト
28 水平方向駆動部
29 サーボモータ
30 ボーデンケーブル
34 吸入装置
35 基材コンテナ
36 餌コンテナ
37 調量ローラ
38 ウェブ
【手続補正書】
【提出日】2020-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に昆虫を飼育する装置(1)であり、多数の個別のケース(2)を有しており、該ケース(2)は、複数の前記ケース(2)の平面を有する1つのスタック(3)内に配置することができ、前記ケース(2)は、それぞれ幼虫と、とりわけ飼料を含む基材とで満たされており、さらに、各個別の前記ケース(2)内の基材および昆虫の状態に関する情報を入手可能な観察システムが含まれており、前記情報に基づき、個々の前記ケース(2)内の昆虫の引き続く飼育、収穫または廃棄処理の形態で指示を供給することができるようになっており、さらに、各前記ケース(2)内に飼料を自動で個別に供給することができるように適合された給餌システムが含まれている、装置(1)において、
当該装置(1)は、シャーシ(4,5)上に位置する前記ケース(2)の少なくとも1つのスタック(3)と、ゲート(6)とを有しており、該ゲート(6)は少なくとも、供給モジュール(10)と、清掃モジュール(11)と、鉛直方向上向き運搬装置(12)と、鉛直方向下向き運搬装置(13)と、上側の横方向運搬装置(14)と、下側の横方向運搬装置(15)とを有しており、かつ、前記ゲート(6)用のガイドシステム、特にレールガイド(7)が設けられており、これにより、前記ゲート(6)は前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)に向かって移動可能であり、かつ搬送システム、特にベルトコンベヤ(8)が設けられており、該搬送システムにより、前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)からかつ前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)へ、ケース(2)を運ぶことができるようになっており、これにより、前記ゲート(6)を介して、前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)の中の前記ケース(2)内の昆虫の周期的な積替え、供給および清掃が可能であり、かつ前記搬送システムおよび前記ゲート(6)を介して、前記ケース(2)を、前記ケース(2)の少なくとも1つの前記スタック(3)内へ搬入可能であると共に搬出可能であ
り、前記供給モジュール(10)は、少なくとも2つのコンテナ(35,36)に分かれており、該コンテナ(35,36)はそれぞれが少なくとも1つの調量ローラ(37)を有しており、少なくとも1つの一方の前記コンテナ(35)は基材で満たされており、かつ少なくとも1つの他方の前記コンテナ(36)は餌で満たされており、これにより、前記上側の横方向運搬装置(14)による運搬時に、前記調量ローラ(37)の調整可能な連続動作によって最初に基材を、次に餌を、それぞれ所要の量でケース(2)内に供給することができるようになっていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記ゲート(6)は、成形材システム(9)から、特にアルミニウムから成る成形材システム(9)から、および/または溶接構造体から構成されている、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記ゲート(6)の前記鉛直方向上向き運搬装置(12)は、それぞれが反対の側に位置して少なくとも2つの駆動ユニットを有しており、該駆動ユニットは、少なくとも2つのリニアベルト駆動部(16)と、該駆動部にそれぞれ設けられた少なくとも2つの持上げフィンガ(17)とを有しており、該持上げフィンガ(17)には、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)前記駆動部により行われる上昇運動に際して荷重を加えることができ、ひいては前記持上げフィンガ(17)は、重さ、特に1つのケース(2)の重さを支持することができるようになっており、かつ、ケース(2)を前記ベルトコンベヤ(8)から前記パッシブシャーシ(4)を通して下方から導入することにより、前記持上げフィンガ(17)を外側に向かって変位させることができ、これにより、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により前記ケース(2)を運搬するためのフック状の係合および係合解除がパッシブに実施可能である、請求項1記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ゲート(6)の前記鉛直方向下向き運搬装置(13)は、それぞれが反対の側に位置して少なくとも2つの駆動ユニットを有しており、該駆動ユニットは、少なくとも2つのリニアベルト駆動部(16)と、ローラ(22)に結合された少なくとも2つの持上げピン(19)を備えた少なくとも2つの持上げピンアーム(18)と、変位ロッカ(23)を備えたローラガイド(20)とを有しており、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)の下降運動に際して、前記持上げピンアーム(18)の、少なくとも1つの前記ローラ(22)に結合された前記持上げピン(19)は、前記ローラガイド(20)により変位可能であり、これにより、前記持上げピン(19)を介して前記ケース(2)をその都度保持することができかつ該ケース(2)を下方に向かって運搬することができ、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)の上昇運動に際して、前記ローラ(22)に結合された前記持上げピン(19)は、前記ローラガイド(20)に設けられた前記変位ロッカ(23)により変位可能であり、これにより前記鉛直方向下向き運搬装置(13)は、前記持上げピン(19)が突出させられることなくひいては前記ケース(2)を把持不能に、上方に向かって移動可能であるため、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)の下降運動用の別のケース(2)を、前記持上げピンアーム(18)と、該持上げピンアーム(18)の、前記ローラ(22)に結合された前記持上げピン(19)とにより、前記ローラガイド(20)と該ローラガイド(20)の前記変位ロッカ(23)とを介して、駆動部の上方で支持することができる、請求項
1から3までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項5】
前記ゲート(6)の前記上側の横方向運搬装置(14)は、それぞれが反対の側に位置し、リニアベルト駆動部(16)と、少なくとも2つの持上げ支持部(25)を備えた持上げアーム(24)と、直動軸(21)を介して前記持上げアーム(24)に結合されたローラ(22)と、少なくとも2つのロッカ(26)を備えたローラガイド(20)とを有しており、前記持上げアーム(24)が前記リニアベルト駆動部(16)により、前記直動軸(21)を介して結合された前記ローラ(22)でもって前記ローラガイド(20)に沿って移動させられると、前記ローラガイド(20)に設けられた1つの前記ロッカ(26)により、前記持上げアーム(24)は、ケース(2)を収容することができるように旋回可能であると共に左から右へおよび/または右から左へ移動させることができ、その結果、前記ローラガイド(20)の別の前記ロッカ(26)において、前記直動軸(21)により前記持上げアーム(24)に取り付けられた前記ローラ(22)により、前記持上げアーム(24)は、ケース(2)を取り出すことができるように変位可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記ゲート(6)の前記下側の横方向運搬装置(15)は、それぞれが反対の側に位置して、鉛直方向に向けられた非対称ベルト(27)を有しており、該非対称ベルト(27)は、水平方向に向けられた駆動部(28)により鉛直方向に可動であり、前記非対称ベルト(27)は一方の側に、水平方向に向けられた前記駆動部(28)による前記非対称ベルト(27)の鉛直方向の動きによって1つのケース(2)を把持することができ、かつ左から右へおよび/または右から左へ移動させることができる厚さを有している、請求項1から5までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ゲート(6)はサーボモータ(29)を有しており、かつ前記アクティブシャーシ(5)は結合部材、特にボーデンケーブル(30)に取り付けられたウェブ(38)を有しており、前記ボーデンケーブル(30)は前記持上げフィンガ(17)に取り付けられており、前記結合部材は、前記ゲート(6)に設けられた前記サーボモータ(29)により作動可能であり、該サーボモータ(29)の作動に基づき、前記アクティブシャーシ(5)の前記持上げフィンガ(17)は外側に向かって変位可能であり、これにより、収穫成熟期のケース(2)を、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)により前記アクティブシャーシ(5)を通して下方に向かって前記ベルトコンベヤ(8)上に搬出することができる、請求項1から6までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項8】
前記ゲート(6)に検出ユニットが設けられており、該検出ユニットは、センサ、特に熱センサおよび湿分センサおよび/またはカメラを有しており、昆虫飼育に必要とされるパラメータ、特にケース(2)内の湿分および温度が、前記センサを介して確認可能であり、かつ前記カメラを用いて撮影された、ケース(2)内の昆虫の状態を供給材料と共に再現する画像は、データバンクを介して基準データと比較可能であるため、ケース(2)内の昆虫のその時々の供給状態をその都度確認することができ、このようにして得られた情報は、機械学習用に使用可能である、請求項1から7までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記ケース(2)は、それぞれ二重底部を有しており、かつ底部間に少なくとも1つの吸出し開口を有しており、前記二重底部の上底部は格子状の底部として構成されているため、該格子状の底部を通り、特に前記ケース(2)内の廃棄物、特に幼虫の排泄物が落下するようになっており、前記廃棄物は、前記二重底部の間の前記吸出し開口を介して前記清掃モジュール(11)により除去可能である、請求項1から8までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項10】
前記清掃モジュール(11)は、少なくとも2つの吸入装置(34)を有しており、少なくとも1つの前記吸入装置(34)により、前記二重底部の間の廃棄物を、ケース(2)の前記吸出し開口を通じて吸い出すことができ、かつ、少なくとも1つの第2の吸入装置(34)により、前記ケース(2)内の幼虫の殻ならびに場合により存在する飼料残渣およびその他の廃棄物を、前記上側の横方向運搬装置(14)による運搬中に吸い出すことができ、および/または静電気により取り出すことができ、および/または風力分級により除去することができる、請求項
9記載の装置(1)。
【請求項11】
前記ケース(2)は、RFIDチップまたはその他のパッシブ電子チップおよび/またはバーコードおよび/または2Dマトリックスを有しているため、データ、特に前記ケース(2)の状態データが保存可能かつ呼出し可能であり、これにより、保存可能かつ呼出し可能な前記データに基づき取扱い指示を実施することができる、請求項
10記載の装置(1)。
【請求項12】
前記ゲート(6)用にステーションが設けられており、該ステーションにおいて、場合により前記清掃モジュール(11)を空にすることができ、かつ前記供給モジュール(10)の前記コンテナ(35,36)に、それぞれ必要とされる材料、特に基材および/または餌を再充填することができる、請求項1から
11までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項13】
前記ケース(2)の前記スタック(3)は、長さに応じて任意に何度でも相前後して並べることができ、かつ、長さに応じて並べられる前記ケース(2)の前記スタック(3)は、隣り合わせて並べることができ、これにより、当該装置(1)は、場所的な状況、特に工場の長さ、幅および高さに最適に適合可能であり、ひいては場所的な状況を最適に利用可能である、請求項1から
12までのいずれか1項または複数項記載の装置(1)。
【請求項14】
請求項
13記載の前記ケース(2)の前記スタック(3)に直交して、少なくとも1つのベルトコンベヤ(8)が配置されており、これにより、請求項
13記載の前記ケース(2)の前記スタック(3)に、直交する前記ベルトコンベヤ(8)を介して、昆虫と供給材料とを含む新規のケース(2)を倉庫から供給することができ、請求項
13記載の前記ケース(2)の前記スタック(3)に対して直交するように方向付けられた前記少なくとも1つのベルトコンベヤ(8)を介して、収穫成熟期のケース(2)を前記ケース(2)の前記スタック(3)から倉庫内へ搬出することができる、請求項
13記載の装置(1)。
【請求項15】
請求項1から
14までのいずれか1項または複数項記載の装置を用いた方法において、
前記パッシブシャーシ(4)上に位置する前記スタック(3)の各最下位のケース(2)が、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により、少なくとも1つのケースの高さだけ持ち上げられ、同時に前記鉛直方向下向き運搬装置(13)において、前記アクティブシャーシ(5)の前記スタック(3)から第2のケース(2)が下方から持ち上げられ、これにより前記アクティブシャーシ(5)上の前記スタック(3)の前記最下位のケース(2)が、前記下側の横方向運搬装置(15)により、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により持ち上げられた前記スタック(3)の下に移動され、かつ、下方から持ち上げられた前記第2のケース(2)は、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)によって少なくとも1つのケースの高さだけ下方に向かって移動させられ、同様に前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により1つのケースの高さだけ持ち上げられた前記スタック(3)の最上位のケース(2)も、前記上側の横方向運搬装置(14)により、前記アクティブシャーシ(5)上に位置する前記ケース(2)の前記スタック(3)の上に移動され、前記鉛直方向上向き運搬装置(14)による前記ケース(2)の運搬中、昆虫および昆虫の供給材料を含む前記ケース(2)は、前記清掃モジュール(11)および前記供給モジュール(10)により清掃され、場合により相応する供給材料を与えられ、前記運搬フローは、少なくとも2つの前記スタック(3)の全てのケース(2)が前記清掃モジュール(11)および前記供給モジュール(10)により清掃され、場合により相応する供給材料が与えられるまで実施され、かつ、収穫成熟期のケース(2)(この場合、ケース(2)の収穫成熟期は清掃および供給材料付与中に検出ユニットにより特定される)は、前記アクティブシャーシ(5)上に位置する前記ケース(2)の前記スタック(3)を介して前記鉛直方向下向き運搬装置(13)により前記アクティブシャーシ(5)まで運ばれ、このとき該アクティブシャーシ(5)は外側に向かって変位し、これにより前記収穫成熟期のケース(2)は、前記鉛直方向下向き運搬装置(13)により前記アクティブシャーシ(5)を介して前記ベルトコンベヤ(8)へ搬出され、かつ、前記ベルトコンベヤ(8)により前記パッシブシャーシ(4)の下側に運ばれる、昆虫および供給材料を含む新規のケース(2)は、前記鉛直方向上向き運搬装置(12)により前記パッシブシャーシ(4)を介して、前記パッシブシャーシ(4)上に位置する前記ケース(2)の前記スタック(3)内に搬入され(搬入時に前記パッシブシャーシ(4)は前記ケース(2)によって外側に向かって変位させられる)、これにより、自動化された昆虫飼育が実施されることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】