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特表2022-543171複数の他のノードに接続された特定のノードを同期する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】複数の他のノードに接続された特定のノードを同期する方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
H04L7/00 250
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532240
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2020032795
(87)【国際公開番号】W WO2021079618
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】19306374.0
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブティエ、アルノー
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ベクヒヒ、アデル
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA01
5K047BB01
5K047GG04
5K047GG09
5K047MM33
(57)【要約】
例示の実施態様は、複数の他のノードに接続された特定のノードを同期する方法に関する。方法は、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値を受信することを含む。方法は、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値を測定することも含む。方法は、特定のノードの特定の同期基準を更新することを更に含み、この更新することは、送信側の他のノードのそれぞれの寄与量に、送信側の他のノードのそれぞれの重みを割り当てることを含み、それぞれの重みは、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値と、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値との関数である。また、方法は、特定の同期品質値を修正することと、受信側の他のノードに、修正された特定の同期品質値を発信することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の他のノードに接続された特定のノードを同期する方法であって、
a. 特定のノードにおいて、送信側の他のノードから、該送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値を受信することであって、該それぞれの同期品質値は、前記送信側の他のノードのそれぞれの同期特性の関数である、受信することと、
b. 前記特定のノードによって、前記送信側の他のノードについて、該送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値を測定することであって、該それぞれの伝播媒体品質値は、前記特定のノードと前記送信側の他のノードとの間のそれぞれの伝播特性の関数である、測定することと、
c. 前記特定のノードによって、該特定のノードの特定の同期基準を更新することであって、該更新することは、前記送信側の他のノードについて、該送信側の他のノードのそれぞれの寄与量に、該送信側の他のノードのそれぞれの重みを割り当てることを含み、該それぞれの重みは、該送信側の他のノードの前記それぞれの同期品質値と、該送信側の他のノードとの前記それぞれの伝播媒体品質値との関数であり、該送信側の他のノードの前記それぞれの寄与量は、該送信側の他のノードのそれぞれの同期変数を含む、更新することと、
d. 前記特定のノードによって、前記送信側の他のノードの前記それぞれの同期品質値と、該送信側の他のノードとの前記それぞれの伝播媒体品質値との関数である特定の同期品質値を修正することと、
e. 前記特定のノードによって、受信側の他のノードに、前記修正された特定の同期品質値を発信することと
を含む方法。
【請求項2】
前記方法は、
f. 前記特定のノードが前記受信すること、前記測定すること、前記更新すること、前記修正すること、及び前記発信することを進める相対頻度又は順序を決定するためのルールを使用すること
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発信することは、特定の発信パワーにおいて行われ、該特定の発信パワーは、前記特定の同期品質値の関数において又は前記修正された特定の同期品質値の関数において決定される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記それぞれの同期特性は、それぞれの同期統計値である
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記それぞれの同期特性は、同期誤差の分散である
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記それぞれの伝播特性は、それぞれの伝播遅延統計値である
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記同期は時間同期であり、前記特定の同期基準はクロックである
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、複数の前記送信側の他のノードとともに運用され、各前記送信側の他のノードは、前記それぞれの同期品質値、前記それぞれの同期特性、前記それぞれの伝播媒体品質値、前記それぞれの伝播特性、前記それぞれの寄与量、前記それぞれの重み及びそれぞれの誤同期変数に対応する
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記更新することは、カルマンフィルタリングを使用することを含む
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、複数の受信側の他のノードとともに運用される
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数の他のノードに接続された特定のノードであって、請求項1~10のいずれか1項に従って実行するように適合されたプロセッサを備える特定のノード。
【請求項12】
前記特定のノードは、モバイルの特定のノードである
請求項11に記載の特定のノード。
【請求項13】
前記送信側の他のノードは、モバイルの送信側の他のノードである
請求項11又は請求項12に記載の特定のノード。
【請求項14】
複数の特定のノードを含むネットワークであって、前記特定のノードのうちの少なくともいくつかは、請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載のノードであるネットワーク。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、該プロセッサに、請求項1から請求項10までのいずれか1項に従って実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ネットワーク内で、或るノードを他のノードと同期するために様々な方法が開発されている。そのような方法は、例えば、或るノードを或る基準と同期することに依拠することができ、そのような方法の目的は、そのような基準からのドリフトを最小化することである。そのような同期方法は、より高精度かつ高信頼度の運用を提供するために、様々なノード間のアライメント不良を回避することを目標とする。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。本明細書において開示される概念の更なる特徴及び利点は、以下に続く説明において記載される。
【0003】
本開示は、複数の他のノードに接続された特定のノードを同期する方法であって、
特定のノードにおいて、送信側の他のノードから、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値を受信することであって、それぞれの同期品質値は、送信側の他のノードのそれぞれの同期特性の関数である、受信することと、
特定のノードによって、送信側の他のノードについて、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値を測定することであって、それぞれの伝播媒体品質値は、特定のノードと送信側の他のノードとの間のそれぞれの伝播特性の関数である、測定することと、
特定のノードによって、特定のノードの特定の同期基準を更新することであって、更新することは、送信側の他のノードについて、送信側の他のノードのそれぞれの寄与量に、送信側の他のノードのそれぞれの重みを割り当てることを含み、それぞれの重みは、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値と、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値との関数であり、送信側の他のノードのそれぞれの寄与量は、送信側の他のノードのそれぞれの同期変数を含む、更新することと、
特定のノードによって、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値と、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値との関数である特定の同期品質値を修正することと、
特定のノードによって、受信側の他のノードに、修正された特定の同期品質値を発信することと
を含む方法を記載する。
【0004】
それぞれの重みについてそれぞれの同期品質値及びそれぞれの伝播媒体品質値の双方を考慮に入れることにより、他のノードの同期の品質のみではなく、送信側ノードと特定のノードとの間の送信又は伝播の品質も考慮に入れることが可能になる。これにより、送信側ノードを非常に良好に同期することができること、ただし、同期のそのような高い品質は、同期がそのような送信側ノードと特定のノードとの間の送信によって影響を受ける場合には差し引かれるべきであることを考慮に入れることが可能になる。他方、わずかにより低い同期品質かつ大幅に良好な送信又は伝播品質を有する別の送信側ノードを、更新において、場合によっては相対的に高い重みを割り当てられることによって、優遇することができる。
【0005】
任意選択で、方法は、特定のノードが受信すること、測定すること、更新すること、修正すること、及び発信することを進める相対頻度又は順序を決定するためのルールを使用することを更に含む。ルールを使用することにより、異なるノードの特性の関数において異なるステップの実行の頻度を設定することを可能とすることができる。例えば、非常に良好に同期されたノードは、自身の特定の同期基準を稀にしか修正しない場合があるが、修正された特定の同期値を相対的に頻繁に発信する場合がある。他方、同期が不十分なノードは、自身の特定の同期基準を相対的に頻繁に更新するが、修正された特定の同期品質値を相対的に稀にしか発信しない場合がある。
【0006】
任意選択で、発信することは、特定の発信パワーにおいて行われ、特定の発信パワーは、特定の同期品質値の関数において又は修正された特定の同期品質値の関数において決定される。これにより、例えば、コンセンサス同期を優遇するとともにより多くの数の他のノードに影響を与えるために、特定のノードが相対的に良好に同期されている場合、特定のノードから高いパワーにおいて発信することが可能になる。
【0007】
任意選択で、それぞれの同期特性は、それぞれの同期統計値である。統計値の使用は、実際に、一時的な挙動を考慮に入れることを回避し、潜在的には、安定していない場合がある短期のばらつきを回避しながらコンセンサス同期に向けた収束に関与することができる。
【0008】
任意選択で、それぞれの同期特性は、同期誤差の分散である。このように進めることにより、例えば、対応する送信側ノードの同期精度を考慮に入れることが可能になる。
【0009】
任意選択で、それぞれの伝播特性は、それぞれの伝播遅延統計値である。この要素を考慮に入れることは、そのような遅延を通して招かれる不確実性を低減することができ、そのような不確実性は、潜在的には、伝播媒体を通した伝播の品質にリンクされている。
【0010】
任意選択で、同期は時間同期であり、特定の同期基準はクロックである。クロックを同期することにより、実際に、異なるノード同士が大幅により精度良く通信することが可能になり、したがって、例えば工場内のロボット又は自律車両の状況においては不可欠であり得る精密な動作が可能になる。
【0011】
任意選択で、方法は、複数の送信側の他のノードとともに運用され、各送信側の他のノードは、それぞれの同期品質値、それぞれの同期特性、それぞれの伝播媒体品質値、それぞれの伝播特性、それぞれの寄与量、それぞれの重み及びそれぞれの誤同期変数に対応する。この方法を複数の送信側ノードに拡張することにより、そのような複数のノード間のコンセンサス同期を達成することを可能とすることができる。
【0012】
任意選択で、更新することは、カルマンフィルタリングを使用することを含む。そのようなカルマンフィルタリングを使用することにより、例えば、雑音の事例において精度を高めることが可能になる。
【0013】
任意選択で、方法は、複数の受信側の他のノードとともに運用される。そのような複数の受信側の他のノードは、したがって、同期から利益を受け、さらに、送信側の他のノードとしても参加することができ、コンセンサス同期を更に改善する。
【0014】
本開示は、複数の他のノードに接続された特定のノードも記載し、この特定のノードは、本明細書によって説明される方法に従って実行するように適合されたプロセッサを備える。
【0015】
任意選択で、特定のノードは、モバイルの特定のノードである。そのようなモバイルの特定のノードは、実際に、或るセルから別のセルに移動する可能性が高く、したがって、同期コンセンサスを可能にする本開示による方法から特に利益を受け得る。
【0016】
任意選択で、送信側の他のノードは、モバイルの送信側の他のノードである。やはり、そのようなモバイルの送信側ノードは、或るセルから別のセルに移動する可能性が高く、したがって、モビリティの状況において同期コンセンサスを可能にすることに関与し得る。
【0017】
本開示は、複数の特定のノードを含むネットワークも記載し、特定のノードのうちの少なくともいくつかは、本明細書によって説明される特定のノードに従ったものである。
【0018】
本開示は、プロセッサによって実行されると、このプロセッサに、本明細書によって説明される方法に従って実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体も記載する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】方法の例示のフローチャートである。
図2】方法の別の例示のフローチャートである。
図3】例示のノードの図である。
図4】例示のネットワークの図である。
図5】別の例示のネットワークを示す図である。
図6】コンセンサス例による同期を示す図である。
図7】同期誤差例を示す図である。
図8】方法が適用される特定のノードを示す図である。
図9】方法の別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ノードの同期は、多くの異なる分野において行われ得る。ノードは、他のエンティティと通信するように構成されるエンティティと理解されるべきである。様々なエンティティ又はノードがネットワークを形成し、このネットワーク内で、ノードは相互接続される。ノードは、無線波を使用して又は有線通信を使用して通信することができる。ノードは、スイッチ又はルータ等の通信モジュールを含んでもよい。ノードの例として、電気通信基地局、電話等の電気通信モバイルデバイス若しくは端末、工場ロボット、衛星、ドローン又は車両が挙げられる。
【0021】
同期は、異なるノード間で、本開示において特定の同期基準とも称されるローカル可変特性をアラインするプロセスと理解されるべきであり、特性は、各ノードに固有であるという意味において、ローカルである。理想的には、そのようなローカル可変特性は、ネットワークが完全に同期されているのであれば、異なるノードにおいて厳密に同じように展開することになる。そのようなローカル可変特性の例として、ハードウェアベースデバイスに基づく論理又は仮想デバイスが挙げられる。例として、クロック等の時間設定デバイス、周波数合成器、ノードの速度の測定デバイス、例えば、ノードが同じ方向に沿って移動すると仮定してドップラー効果送信からのノードの速度の測定デバイス、又はノードから地面までの高さを測定する電波高度計(radio altimeter)が挙げられる。1つのそのような例に沿って、接続されたノードがそれぞれクロックを備える場合、そのようなノードは、それらのクロックが所与の時点において厳密に同じ時間を示すのであれば、完全に同期していることになる。別の例において、接続されたノードがそれぞれ周波数合成器を備える場合、そのようなノードは、それらの合成器が厳密に同じ周波数において動作するのであれば、完全に同期していることになる。別の例において、ノードがドローンであり、かつそのようなノードがそれぞれ電波高度計を備える場合、電波高度計は、ドローンが地面から厳密に同じ距離にあるときに当該電波高度計が厳密に同じ値を示すのであれば、完全に同期していることになる。別の例において、ノードがドローンであり、かつそのようなドローンがそれぞれの速度において同じ方向上で一直線に沿って移動する場合、それらの速度は、ドローンが厳密に同じ速度において移動しているときに当該速度が厳密に同じ値を示すのでれば、完全に同期していることになる。全てのそのような例において、同期されるべきであるローカル可変特性は、その測定に影響を与える媒体を通して送信される。
【0022】
同期の欠如又は誤同期は、異なるノードに固有のデバイスが何らかの基準と比較して、又は1つ以上の他のノードと比較してアライメント不良を起こし始める場合、ネットワーク内で起こり得る。そのようなアライメント不良は、複数の異なる方法において特徴付けられ得る。そのようなアライメント不良は、例えば、オフセット、スキュー及び/又はドリフトを含み得る。同期の欠如は、通信ネットワーク内の誤通信、接続された車両間の衝突、又は接続されたロボットを使用する場合の製造品質問題等の問題をもたらし得る。
【0023】
各ノードは、それ自身の同期品質値に関連付けることができ、そのような同期品質値は、ノードが他のノードと又は特定の同期基準とは異なる何らかの基準と良好に同期される又はあまり良好には同期されない傾向を反映する。いくつかの例において、同期品質値は、1つ以上の他のノードと比較されたオフセット、スキュー若しくはドリフトの関数、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0024】
各ノードは、各ノードが接続され得る別のノードに、そのような2つのノード間の通信媒体の品質を反映する伝播媒体品質値を関連付けることができる。いくつかの例において、そのような伝播媒体品質値は、情報が或るノードから他のノードに送信される時間に対する伝播拡散(propagation dispersion)の伝播チャネル品質関数であってもよい。いくつかの例において、そのような伝播媒体品質値は、地面からの高度又は移動の速度の測定値に影響を与える媒体における物理特性のばらつきを明らかにすることができ、そのようなばらつきは、測定される高度又は速度に対して不確実性を招く。そのような媒体を通した通信は、例えば、無線通信又は光若しくは音響通信によって行われてもよい。媒体は、例えば、空気又は水であってもよい。
【0025】
本開示は、特定のノードにおける誤同期を低減することを目標とする。誤同期のこの低減は、それぞれの同期品質値、及び他のノードとの関連でのそれぞれの伝播媒体品質値(「それぞれの(respective)」は、それらが当該他のノードを指すことを意味する)の双方に関係付けられた情報を考慮に入れることによって、特定のノードの特定の同期基準を更新することによって行われる。それぞれの同期品質値及びそれぞれの伝播媒体品質値の双方を考慮に入れることにより、検討対象の当該他のノードの信用性(trustworthiness)のレベルを評価することが可能になり、このレベルは、そのような他のノードを十分に同期されているものとして考慮に入れるべきである尤度を意味する。それぞれの同期品質値及びそれぞれの伝播媒体品質値の双方が考慮に入れられることに留意することが重要である。双方を考慮に入れることにより、ノードが、それ自身の又は内在的な同期の品質に起因してだけでなく、他のノードと特定のノードとを隔てる通信媒体の品質にも起因して考慮に入れられることが確実になる。これは、特定のノードと良好に通信しないであろう良好に同期された他のノードは、特定のノードにより良好に接続されるであろう他の良好に同期された他のノードほど十分に考慮されない場合があることを暗示する。換言すれば、本発明による方法は、特定のノードを複数の他のノードに同期する場合、或る他のノードが特定のノードにより良好に同期するとともにより良好に接続されるとき、そのような他のノードに高い重みを提供する。
【0026】
特定のノードを同期する例示の方法100が、図1に示されている。特定のノードは、プロセッサと、メモリと、通信モジュールとを備えることができる。通信モジュールは、複数の他のノードとの通信を可能にする。複数の他のノードは、例えば特定のノード及び複数の他のノードが車両である場合、特定のノードと同じ性質の他のノードを含むことができる。複数の他のノードは、例えば特定のノード及びいくつかの他のノードが車両である一方で1つ以上の他のノードが基地局を含む場合、特定のノードと同じ性質の他のノードと、特定のノードとは異なる性質の他のノードとが混在したものを含むことができる。ノードの性質は、例えば、ノードがモバイルであるか若しくは静止であること、又はノードがネットワークに有線接続されるか、ワイヤレスで通信するか、若しくは、ワイヤレス及び有線の双方で通信するように構成されることに関係付けることができる。複数の他のノードは、2つ以上の他のノードを含むことができる。いくつかの例において、複数は、10個~20個のノードを含む。いくつかの例において、複数は、50個を超えるノードを含む。
【0027】
例示の方法100は、ブロック101において、特定のノードにおいて、送信側の他のノードから、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値を受信することであって、それぞれの同期品質値は、送信側の他のノードのそれぞれの同期特性の関数である、受信することを含む。送信側の他のノードは、特定のノードに向けて情報又はデータを送信する。そのような送信は、直接又は間接とすることができる。間接送信は、特定のノードに到達する前に他のノード又はデバイスを通過し得る。送信は、1つの信号経路又は並列のいくつかの経路に沿って行われ得る。送信は、ワイヤレス経路又は有線経路、又は部分的にワイヤレスかつ部分的に有線の経路に沿ったものであり得る。送信は、光通信セグメントを含む経路に沿ったものであり得る。送信は、音響通信セグメントを含む経路に沿ったものであり得る。それぞれの同期品質値は、送信側の他のノードの同期の品質の尺度を表す。送信側の他のノードのそのようなそれぞれの同期品質値は、いくつかの例において、特定のノードとは独立しており、他の特定のノードに送信され得る。そのようなそれぞれの同期品質値は、いくつかの例において、同期品質が高くなる場合、例えば、本開示によるそれぞれの重みがそれぞれの同期品質値に正比例するか又はそれぞれの同期品質値とともに増加する場合に、高くなるものとすることができる。そのようなそれぞれの同期品質値は、いくつかの例において、同期品質が高くなる場合、例えば、本開示によるそれぞれの重みがそれぞれの同期品質値に反比例するか又はそれぞれの同期品質値が増加するとともに減少する場合に、低くなるものとすることができる。それぞれの同期品質値は、それぞれの同期特性の関数である。そのようなそれぞれの同期特性は、例えば、同期の次元における基準に対する距離に対応することができ、そのような次元は、例えば、時間、高さ関連、又は速度関連である。いくつかの例において、それぞれの同期特性は、それぞれの同期統計値であり、統計値の使用により、偶発的又は一時的であるそれぞれの同期特性を考慮に入れることを回避することが可能になる。いくつかの例において、それぞれの同期特性は、同期誤差の分散であり、同期誤差のそのような分散は、経時的なノードの同期の品質を代表することができる。
【0028】
例示の方法100は、ブロック102において、特定のノードによって、送信側の他のノードについて、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値を測定することであって、それぞれの伝播媒体品質値は、特定のノードと送信側の他のノードとの間のそれぞれの伝播特性の関数である、測定することを含む。それぞれの伝播媒体品質値は、送信側の他のノードと特定のノードとの間の通信媒体の品質の尺度を表す。所与の特定のノードについて、そのようなそれぞれの伝播媒体品質値は、そのようなそれぞれの伝播媒体品質値が検討対象の媒体に関係付けられることに起因して、他の送信側ノードごとに異なり得る。そのようなそれぞれの同期品質値は、いくつかの例において、媒体品質が高い場合(これは、媒体がそれぞれの寄与量の測定に対して影響をほとんど与えないことを意味する)、高くなるものとすることができる。そのようなそれぞれの伝播媒体品質値は、いくつかの例において、媒体品質が低くなり、それぞれの寄与量の測定に影響を与える場合、低くなるものとすることができる。それぞれの伝播媒体品質値は、特定のノードと、送信側の他のノードとの間のそれぞれの伝播特性の関数である。そのようなそれぞれの伝播特性は、例えば、進行距離、進行時間、帯域幅、温度、水中塩分濃度レベル、例えばレーザー送信に影響を及ぼす光学特性、又は特定のノードと送信側の他のノードとの間の中間通信デバイス若しくは経路の数に対応することができる。いくつかの例において、それぞれの伝播特性は、それぞれの伝播遅延統計値であり、統計値の使用により、偶発的又は一時的であるそれぞれの同期特性を考慮に入れることを回避することが可能になる。いくつかの例において、同期は、時間同期であり、特定の同期基準はクロックであり、同期は、時間次元に沿って又は時間次元において行われる。
【0029】
例示の方法100は、ブロック103において、特定のノードによって、特定のノードの特定の同期基準を更新することであって、更新することは、送信側の他のノードについて、送信側の他のノードのそれぞれの寄与量に、送信側の他のノードのそれぞれの重みを割り当てることを含み、それぞれの重みは、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値と、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値との関数であり、送信側の他のノードのそれぞれの寄与量は、送信側の他のノードのそれぞれの同期変数を含む、更新することを含む。一例において、それぞれの重みは、それぞれの寄与量によって乗算される。本開示による更新することにより、特定の同期基準のアライメント不良を補償することが可能になる。特定の同期基準は、特定のノードに固有である。いくつかの例において、特定のノードは、時間、高さ、又は速度等の次元を有する関係付けられた値を提供するために、そのような特定の同期基準に依拠する。同期基準は、クロック又は電波高度計等のデバイス又はソフトウェア実装モジュールとすることができる。更新することは、いくつかの例において、較正プロセスであり、そのような較正プロセスは、送信側の他のノードのそれぞれの寄与量に依拠する。それぞれの寄与量は、送信側の他のノードからの同期変数を示す情報又はデータであり、そのような変数は、同期されている次元に対応する次元を有する。送信側の他のノードは、例えば、それぞれの寄与量として、同じ次元に沿って較正するために特定のノードが依拠することができる送信側の他のノードに関係付けられた時間、高さ又は速度にリンクされた同期変数を提供することができる。そのようなそれぞれの寄与量は、特定のノードによって測定することができる。例えば特定のノード及び送信側の他のノードが厳密に同じ時点においてデータを送信することが期待される場合、更新することは、送信側の他のノードがデータを送信した時点をそれぞれの寄与量とみなし、送信側ノードの信用性又は信頼度との関係でそのような時点又はそれぞれの寄与量への同期を行うことができ、そのような信用性又は信頼度は、送信側の他のノードのそれぞれの寄与量に、送信側の他のノードのそれぞれの重みを割り当てることによって表され、それぞれの重みは、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値と、それぞれの伝播媒体品質値との関数である。いくつかの例において、それぞれの寄与量は、例えば送信側の他のノードに対応するそれぞれの寄与量を測定することによって、測定することができる。それぞれの寄与量を測定する一例は、送信側の他のノードが、電波高度計を使用して地面からの或る精密な高さに位置すること、又は、ドップラー効果の測定値を使用して或る精密な速度において移動すること、又は所与の時間にわたって発信を行うことを測定することである。測定されるか、認識されるか、又はその他の方法かを問わず、それぞれの寄与量は、媒体を通したその送信に起因して誤差を被る可能性が高い。本開示による方法は、それぞれの寄与量に重みを割り当てることによって同期プロセスの一部としてそのような誤差を考慮に入れるために、同期品質及び伝播媒体品質に依拠する。例えば送信ノードが高い同期品質に対応する同期品質値及び高い伝播媒体品質に対応する高いそれぞれの伝播媒体品質値を有する場合、この送信側の他のノードのそれぞれの寄与量は、特定のノードの観点から、同期に関する限り特に信用でき、かつ高信頼度のノードとして有意に高い重みを与えられ得る。いくつかの例において、更新することは、カルマンフィルタリングを使用することを含む。カルマンフィルタリングは、例えば経時的に観測される一連のそれぞれの寄与量に対して線形二次推定を使用することを含む。
【0030】
例示の方法100は、ブロック104において、特定のノードによって、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値と、送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値との関数である特定の同期品質値を修正することを含む。そのような特定の同期品質値は、同期に関する限り特定のノードがいかに高信頼度であるかの表現である。そのような特定の同期品質値は、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値、及び送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値に依存する。なぜならば、送信側の他のノードのそれぞれの同期品質値、及び送信側の他のノードとのそれぞれの伝播媒体品質値の双方が、ブロック103による更新することにおいて考慮に入れられたためである。一例において、特定の他のノードが他のノードと相対的に不良に接続される場合、そのような他のノードとの異なるそれぞれの伝播媒体品質値は、特定の同期品質値に対して負の影響を与えることになる不良な媒体品質を反映することになる。一例において、特定の他のノードが他のノードに接続され、これらの他のノードのうちのいくつかが不良なそれぞれの同期品質を有する場合、不良なそれぞれの同期品質を有する他のノードの異なるそれぞれの同期品質値は、それらのそれぞれの重みを通して考慮に入れられることになり、そのようなそれぞれの重みは、不良なそれぞれの同期品質を有するそのような他のノードからの、特定の同期品質値に対する影響を最小化する。
【0031】
例示の方法100は、ブロック105において、特定のノードによって、受信側の他のノードに、修正された特定の同期品質値を発信することを含む。そのような発信することにより、そのような受信側ノードが、本開示による特定のノードとして動作することが可能になる。修正された同期品質値のこの発信により、異なるノードがそれら自身の特定の同期品質値を他のノードと共有することが可能になり、それにより、異なるノードが同じ基準に向かって収束することによって同期することができ、そのような基準は、本開示の方法に従ってそれらのそれぞれの重みを考慮に入れる。
【0032】
発信することは、いくつかの例において、修正された特定の同期品質値の発信と別個に又は同時に、他のデータを発信することも含んでもよい。
【0033】
いくつかの例において、方法は、複数の受信側の他のノードとともに運用され、そのような受信側の他のノードのそれぞれは、特定のノードの修正された特定の同期品質値を受信し、さらに、例えば各受信側ノードを特定のノードとみなして、各受信側ノードにおいて本開示による方法を運用することによって、そのような修正された特定の同期品質値を使用してそれら自身に同期することができる。異なるノードにおける本開示による方法のそのような運用は、複数のノードがそれによってそれら自身を同期するコンセンサス同期を達成することに関与し得る。
【0034】
図2は、本開示による別の方法200を表している。方法200は、図1の方法100について説明されたようなブロック101、102、103、104及び105を含む。受信すること(101)、測定すること(102)、更新すること(103)、修正すること(104)及び発信すること(105)に加えて、方法200は、ブロック206において、特定のノードが受信すること、測定すること、更新すること、修正すること及び発信することを進める相対頻度又は順序を決定するためのルールを使用することを含む。そのようなルールは、例えば、特定のノードが受信すること(101)、測定すること(102)、更新すること(103)、修正すること(104)及び発信すること(105)を進める順序を決定してもよい。そのような受信すること(101)、測定すること(102)、更新すること(103)、修正すること(104)及び発信すること(105)は、実際には、それぞれ異なる頻度及び異なる順序において行われてもよい。一例において、受信すること、測定すること、更新すること及び修正することは、発信することの前に行われることになる。一例において、受信すること及び測定することは、更新すること、修正すること及び発信することが行われることになる頻度よりも高い頻度で行われることになる。一例において、更新すること及び修正することは、発信することが行われることになる頻度よりも高い頻度で行われることになる。そのようなルールは、1つ以上の閾値を考慮に入れてもよい。一例において、発信することは、修正された特定の同期品質値が5%超の閾値だけ修正前の特定の同期品質値と異なる場合、行われることになる。そのような例示のルールは、例えば、同期品質値に対する変化が有意であるとみなされる場合にのみ、修正された同期品質値を発信することによってノード間の通信を削減することを可能にしてもよい。別の例示のルールにおいて、受信の頻度は、特定の同期品質値が或る特定の閾値を超えた場合に低下する。そのような例示のルールは、例えば、特定のノードが良好に同期されているとみなされない場合にのみ受信することによって、通信を削減することを可能にしてもよい。そのような異なるルールは、それらの効果を組み合わせるために組み合わせてもよい。そのようなルール又はルールの組み合わせは、コンセンサス同期に向かって収束するために本開示による方法を反復することを含んでもよい。
【0035】
いくつかの例において、発信すること(105)等の発信することは、特定の発信パワーにおいて行われ、特定の発信パワーは、特定の同期品質値の関数において又は修正された特定の同期品質値の関数において決定される。いくつかの例において、発信パワーは、同期品質が高いか又は或る特定の閾値を超えた場合、増加する。そのような運用モードは、ネットワーク内の高信頼度の良好に同期されたノードの発信パワーを増加させることになり、したがって、全体運用品質が高まる。
【0036】
方法100又は方法200のうちのいずれか一方等のいくつかの例示の方法において、方法は、複数の送信側の他のノードとともに運用され、各送信側の他のノードは、それぞれの同期品質値、それぞれの同期特性、それぞれの伝播媒体品質値、それぞれの伝播特性、それぞれの寄与量、それぞれの重み及びそれぞれの誤同期変数に対応する。複数の送信側の他のノードを伴うそのような運用は、コンセンサス同期を達成することを可能にすることができ、そのようなコンセンサス同期は、良好に同期され、かつ良好に他のノードに接続される特に高信頼度のノードに、そのような特に高信頼度のノードのそれぞれの重みがそれらのそれぞれの同期品質値及びそれぞれの伝播媒体品質値の関数であることに起因して、より大きく依拠する。一例において、各それぞれの寄与量によって乗算された各それぞれの重みの正規化された和が、同期のために使用される。
【0037】
図3は、本開示による例示のノード300を示しており、ノード300は、ノードコントローラ310を備え、ノードコントローラ310は、オペレーティングシステムによって管理される計算のための電子回路を備えるノードプロセッサ301と、プロセッサ301等のプロセッサによる使用のために情報を記憶する集積回路を備えるノードメモリ302と、ネットワーク上のデバイス間又はノード間の通信及びインタラクションのためのノードネットワーク接続又は通信デバイス303とを備える。ノード300は、複数の他のノードに接続された特定のノードとして動作するように構成してもよく、特定のノード300は、本開示による方法のうちのいずれかに従って実行するように適合されたプロセッサ301を備える。ノード300は、例えば、電気通信ネットワークノード、ブイ(buoy)、ドローン又は車両であり得る。特定のノード300は、実際には、モバイルの特定のノードであってもよい。本開示による方法は、モバイルの特定のノード、モバイルの送信側の他のノード及びモバイルの受信側ノードを含む、モバイルノードとともに運用するのに特に良好に適合されており、そのようなノードは、絶対基準とは独立してコンセンサス同期を達成する。
【0038】
図3は、例えばノードメモリ又は記憶ユニット302等の非一時的機械可読又はコンピュータ可読記憶媒体も示しており、非一時的機械可読記憶媒体は、プロセッサ301等のプロセッサによって実行可能な命令304で符号化され、機械可読記憶媒体は、本明細書によって説明される例示の方法のうちのいずれかに従って実行するようにプロセッサ301を動作させる命令304を含む。
【0039】
本開示によるコンピュータ可読記憶装置は、実行可能な命令を記憶する任意の電子、磁気、光又は他の物理的記憶デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶装置は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、記憶ドライブ、及び光ディスク等であり得る。本明細書によって説明されるように、コンピュータ可読記憶装置は、本明細書によって説明される方法による実行可能命令で符号化され得る。
【0040】
記憶装置又はメモリは、本明細書によって説明されるような実行可能命令を記憶する任意の電子、磁気、光又は他の物理的記憶デバイスを含み得る。
【0041】
図4は、例示のネットワーク400を示しており、ネットワークは、特定のノード402、送信側の他のノード401及び受信側の他のノード403、並びに伝播媒体を通した伝播チャネル404及び405を含み、特定のノード402、送信側の他のノード401及び受信側の他のノード403のうちのいずれか1つは、図3に示されるノードによるものであってもよく、そのような特定のノード402、送信側の他のノード401及び受信側の他のノード403は、本明細書によって開示される方法に従って動作するように構成される。送信側の他のノード401及び受信側の他のノード403は、いくつかの例において、同じノードであってもよいことに留意するべきである。
【0042】
図5は、伝播媒体を通した通信又は伝播チャネル511~518を通して通信する8つの異なるノード501~508を含む別の例示のネットワーク500を示している。各ノードは、本明細書によって説明される方法による特定のノードとして動作してもよい。また、ノードのそれぞれは、送信側の他のノード又は受信側の他のノードとして動作してもよい。各ノードは、図3に示されるノードによるものであってもよい。各ノードは、各ノードの中央の文字A~Eによって示される同期品質値を有する。同期品質値は、最良のものからより不良のものまでアルファベット順で分類することができ、「A」は、最良の同期品質値を表し、「E」は、より不良の同期品質値を表す。最良に同期されているノードは、ノード503である。より不良に同期されているノードは、ノード506である。黒の実線の通信チャネル511、512、514、515、517及び518は、高い伝播媒体品質を有し、一方、破線の通信チャネル513及び516は、低い伝播媒体品質を有する。ここで示されるように、ノード506は、ノード506がノード507にのみ接続されていること、ノード507との伝播チャネル516が低品質の媒体を通したものであること、及びノード507の同期品質がアベレージであることに起因して、低い同期品質を有する。ノード503は、最良の同期品質を有する。なぜならば、ノード503は、相対的に多数のノード、この事例では、3つのノード502、505及び508と通信することができ、そのようなノード502及び508のうちのいくつかの間で高品質伝播チャネルを、及びノード513とのより不良の品質の伝播チャネルを有するためである。ノードが多数の他のノードに接続されることにより、コンセンサス同期状態を達成する可能性がより高いことに起因して、その同期品質が高まり得る。そのようなノードはいずれもこの例において基準ノードと定義されない一方、ノード503は、図5のネットワーク内での本開示による方法の運用に起因して、基準ノードと同様に挙動する。ノード505はノード503と低品質伝播チャネル513を共有し、かつアベレージ未満の同期品質Dを有するノード504との高品質伝播チャネル515を共有する一方で、ノード505は、依然として、ノード503の高同期品質から利益を受け、したがって、ノード504の同期品質よりも良好な同期品質を達成する。
【0043】
いくつかの例において、ノードは、特に良好に同期され、それらの同期品質値は、非常に高い同期品質を反映する。そのようなノードは、本発明による方法を適用すると、関係するかなりの重みを与えられ(伝播媒体品質が許容可能を維持することを仮定する)、したがって、基準ノードと同様に、例えば基準基地局と同様に動作する。
【0044】
ここで、本開示による特定の例示の実施態様が説明される。これらの特定の例は電気通信ノード及びそのようなノードの時間同期に適用されているものの、その基礎原理は、時間以外の次元、及び電気通信ノード以外のノードに適用してもよいことが理解されるべきである。
【0045】
いくつかの例は、モバイルネットワークにおける時間同期、すなわち、任意の種類のモバイルエンティティ又はノードがワイヤレス無線送信を使用して情報を交換することが可能である状況を扱う。これらのノードは、例えば、協働的なタスクを達成する、又は運動中の衝突を回避するために自身の運動を同期させるべきである工場ロボットとすることができる。別の例は、車両(例えば、自動車、トラック、バス等)、自転車、又は更にはモバイル通信デバイス若しくはノードを携行し、自身の日常の活動を行うために公共道路インフラストラクチャを共有する歩行者とすることができる。車両は、通信機能を装備してもよい。車両は、専用路側ユニット(RSU:road side unit)又はセルラー基地局等のインフラストラクチャ施設と通信することが可能であってもよい。車両は、集中機器を通すことなく直接互いに通信してもよい。1つの例示の目標は、緊急メッセージを送信する場合のレイテンシを削減するとともに、低パワーで送信することによって無線干渉を制限することである。車両は、基地局からのカバレッジ外にあるときに通信するように構成してもよい。車両は、車両間(V2V:vehicle-to-vehicle)又は車両対全てのモノ(V2X:vehicle-to-everything)で通信することを可能としてもよい。
【0046】
車両を相互接続することは、安全性の理由によって動機付けられ得る。したがって、自動車は、自身の周囲環境における危険を警告する能力を備えて、特に見通し線(line of sight)外の自身の環境のより良好な理解を得ることが可能であり得る。また、ワイヤレス接続性は、低レイテンシ、高スループット及び高サービス品質の自律運転、自動化運転を可能とし得る。
【0047】
ワイヤレス通信ネットワークにおいて、時間同期は、一貫したデータトラフィックに関連し、また、メッセージ交換の正確なリアルタイム制御にも関連する。多くのネットワークアプリケーションは、適切に順序付けられた動作を確実にするためにノード間の精密なクロック同期から利益を受ける。時間同期は、時分割多元アクセス(TDMA:time division multiple access)スケジューリングアルゴリズムを実施することに関連する。通信に関係する事項に加えて、精密な時間同期は、アプリケーションレベルにおいても有益である。例えば、トラフィック管理は、車両が、車両動態等の道路情報、及び運転意図を共有することを伴う。したがって、ノードのステータスは、位置、速度及び他のリアルタイム値の観点で精密に特定されるべきである。全体として、車両ネットワークにおける時間同期は、2つのカテゴリ、すなわち、性能指向カテゴリ及びアプリケーション指向カテゴリに使用され得る。
【0048】
これらの特定の例によるネットワーク内の各ノードiは、ソフトウェアレベルにおいて論理クロックτ(t)を構築するのに使用される自身のローカルハードウェアクロックを有することが仮定される。全てのtについて、τ(t)=tとして理想クロックをモデル化することができ、ここで、tは、絶対時間、理想時間又はリアルタイムである。実用時には、ノードのクロックは、単に理想時間に近いものであってもよい。ハードウェアクロックを扱うとき、水晶発振器の製造者は、25℃における公称周波数に対して百万分率(PPM)単位の公差値ρを指定し、この公差値により、以下のように、スキューレートが1から逸脱する最大量が決定される。
1-ρ≦a≦1+ρ
【0049】
一例において、スキューレートは、数PPM~20PPMのオーダーである。クロックは、以下のように、線形モデルとしてモデル化することができる。
τt=at+b
ここで、aは、クロック速度を決定するローカルクロックスキューレートであり、bは、ローカルクロックオフセットである。実際には、ローカルクロックの連続性を維持するために、ノードは、それ自身のローカルクロックの線形関数を使用して以下の仮想被補償クロックC(t)を導出することができる。
(t)=ατ(t)+φ
【0050】
ここで、スキューレートは経時的に一定であることが仮定される。実用時には、スキューレートは、経年作用及び温度等の環境因子によって招かれるドリフトに起因して経時的に変動し得る。しかしながら、経年の結果もたらされるドリフトは、同期スキームの更新レート又は頻度よりもはるかに低速で作用し得るので、それゆえこのドリフトを無視することができる。連続的なクロックドリフト及びメッセージ送達時間又は伝播チャネル又は伝播媒体遅延によって招かれる誤差に起因して、ノードクロックを厳密に同期することが可能ではない場合がある。それゆえ、この例示の同期方法の可能な目標は、クロックを厳密に同期することである。各クロックは、本開示による同期基準である。したがって、クロック間のラグが何らかの特定の定数δによって限界を設けることができる場合、すなわち、
|C(t)-C(t)|≦δ
である場合、2つのノードは、δ-同期されたと宣言される。結局は、ノードは、同期されていると記述されることになる。それゆえ、同期は、任意の時点において、同期基準とも称されるノードクロックが理想時間、特定のノードのクロック、任意のクロック又は仮想コンセンサスクロックから最大でδだけ異なり得ることを確実にすることにその本質があるとすることができる。このターゲットクロックは、結局は、基準クロックと記述されることになる。結果として、各ノードiは、自身の仮想被補償クロックC(t)を基準Cref(t)に収束させるために双方の値(α,φ)を発見することができ、この収束は、以下を意味する。
【数1】
【0051】
同期アルゴリズムは、同期変数を送信することができる。1つの例は、内部被補償クロックに従って定期的な時間間隔で物理レイヤビーコンをブロードキャストすることにその本質がある。受信側ノードは、例えば相関技法に基づく信号検出アルゴリズムを使用して、ビーコンを得るために探索する。検出されると、受信側ノードは、自身の内部クロックを基準とした、ビーコンが受信された時点を推論することが可能である。
【0052】
本例において、時間同期は、ワイヤレス通信を使用するモバイルデバイスに適用される。これにより、同期がより困難になる。実際、モビリティという側面は、特に低レイテンシ及び永続的又は準永続的接続可能性から利益を受ける安全性指向アプリケーションに関して、サービス品質を大きく劣化させ得るいくつかの問題の源であり得る。車両のモビリティにより、車両が接続される基地局の定期的な変更が引き起こされる。セル変更ごとに、再同期ステップが行われ得る。無線伝播障害の潜在的な影響に起因して、ノードのモビリティは、受信に成功するパケットの数に負の影響を与え、それゆえ、ネットワーク内の通信遅延の拡大を促進する可能性がある。別の起こり得る問題は、車両間よりも基地局対車両リンクの場合に大幅に大きくなり得る送信遅延に由来する。
【0053】
この特定の例は、モバイルネットワークにおける時間同期を扱う。より具体的には、この例において、集中化ソリューションに影響を及ぼすノード故障及び定期的なネットワークトポロジ再構成の影響を回避するためにコンセンサス状(consensus-like)分散アルゴリズムに焦点を置く。この同期方法の目的は、同期の性能を更に改善することである。方法は、階層編成の欠如に起因してネットワーク動態に対して許容力がある(resilient)ように思われる。方法は、同期品質の観点からのノード間の潜在的な差を利用する。
【0054】
いくつかの例において、方法は、ノードの接続性のレベル(重みは、伝播媒体品質の関数である)に応じて、いくつかのノードを優遇する傾向にある。この要素のみを考慮に入れることは、多くの近傍に良好に相互接続されたノードはより良好な同期性能から系統的に利益を受けるという仮定に基づく同期の粗い推定を提供するのみである場合がある。論理に加えて、この仮定は、全ての状況において必ずしも真であるとは限らない。1つのノードは、大きいスキューレートに起因して不良な同期品質でいくつかのノードに接続されるか、又は単一のノードにただし高い同期精度で接続される可能性がある。したがって、これにより、本発明者らは、無線伝播リンクの品質又は伝播媒体品質、及び送信側の他のノードの同期品質の双方を明示的に考慮に入れて、特定の(又は自)ノードレベルにおいてそれらの信頼度値又は同期品質値を計算する。豊富な散乱(rich scattering)の事例では、いくつかのノードとのリンクは、大きい遅延拡散によって影響を受け、それゆえ、同期の品質が劣化する可能性がある。
【0055】
同期の性能は、実際には、同期関連情報の送信レートに影響され得る。システムの性能要件に従って同期周期を定義することができる。いくつかのシステムの場合、ノードは、各周期又は同期ラウンドにわたって送信してもよい。他のシステムの場合、ノードは、例えば、スペクトルリソースの無駄を削減するだけでなく、干渉のアベレージレベルも低下させるために、ランダムに送信してもよい。同期パケットの交換は、トラフィック負荷を増加させる場合があり、潜在的には、他の安全性関連である可能性がある無線サービスに影響を与える場合がある。この交換は、不十分に同期されたノードの送信レートを低下させるだけでなく、収束フェーズ中に送信レートを上昇させるか、又は、定常状態時にはこれを低下させることにも関連する場合がある。本方法によるルールを使用することにより、そのような要素が考慮に入れられ得る。
【0056】
この例は、分散(ピアツーピア)クロック同期方法を提案し、より正確には、全てのノードが同期パケット又はビーコンの交換を通じて共通クロックに向かって収束する傾向にあるコンセンサス状同期方法、トポロジ変更に対する感度及びノード故障を低減又は回避する方法を提案する。
【0057】
例示の方法は、コンセンサスアベレージにおける各接続されたノードの寄与量を、送信側ノードの同期性能を反映する、同期品質値とも称される信頼度値、及び送信ノードと自ノード(自ノードは、特定のノードとも称される)との間の伝播チャネル又は伝播媒体の品質を用いて重み付けすることを提案する。各ノードは、この例において、それ自身の同期品質を計算、又は修正することができ、これを、受信側の他のノードに発信する。受信側の他のノードとして受信モードにあるとき、ノードは、受信されたそれぞれの同期品質値を、伝播媒体品質とも称される伝播チャネル又は伝播媒体の品質を反映する係数と組み合わせる。
【0058】
この手法の特定の実施態様は、カルマンフィルタの適用を通じて得られる。加えて、ネットワーク及びアプリケーション依存規準に従ったルールを使用することによって、同期情報の送信レートを制御することが提案される。提案されるソリューションの利点は、ノードの性能に依存してノード間で異なる優先度を導入することができることであり、例えば、基地局を優遇する、又は基地局により高い重みを提供することができることである。
【0059】
この例において、ネットワークは、N個のユーザ機器(UE)ノード及びN個の基準(Ref)ノード、例えば基地局を含む(ただし、高品質クロックから利益を受ける他の任意のノードがこのグループに入り得る)半二重ワイヤレスネットワークである。半二重は、双方向において通信を許可するが、ただし同時には許可されず、ノードは所与の時点において発信又は受信のうちのいずれかを行っているものと理解されるべきである。ネットワークトポロジは、それぞれUE対UEネットワーク及びRef対UEネットワークの2つのグラフ
【数2】
及び
【数3】
によって表される。
【数4】
及び
【数5】
を、それぞれ隣接行列
【数6】
及び
【数7】
とする。通信リンク又は伝播チャネル(伝播媒体内)がUEノード(j)からUEノード(k)まで存在する(すなわち、第kのノードが第jのノードの範囲内である)場合、A(k,j)=1であり、それ以外の場合、A(k,j)=0である。通信リンク又は伝播チャネルがRefノード(j)からUEノード(k)まで存在する場合、A(k,j)=1であり、それ以外の場合、A(k,j)=0である。
【0060】
上記で説明されたように、いくつかの同期技法において、ノードは、パケットがノードのローカルクロックに従って送信された時点を含む特定のパケットを送信し、この時点は、特定の同期基準値である。その場合、受信機は、同期を更新するために、自身のローカルクロックを基準とした、パケットが受信された時点と組み合わせてこの知識を使用することができる。パケットが経時的にランダムに送信される場合、これは、全てのノードが異なる時点において自身のクロックを更新するので、線形モデルのスキューレート及びオフセットを更新することにより関連する。ノードは、無線でスキュー及びオフセットの双方の情報を送信してもよい。本例において、全てのノードが、自身のローカルクロック情報に従って生成される同期シーケンス(以降では、ビーコンと表記される)を(送信モード時に)周期的にブロードキャストすることが仮定される。それゆえ、特定の同期基準値等のいかなるタイミング情報も明示的に送信する必要はない。理想的には、全てのノードは、厳密に全く同じ時点においてそれらのビーコンをブロードキャストするはずである。実用時には、ノードごとにビーコンを生成するのに使用されるクロックは、以下のように更新される。
(k)=tn-1 (k)+T(k), T(k)=T+ε(k)
ここで、T(k)は、理想的な周期Tと2つの同期ラウンド間のクロックスキューε(k)との和に等しいノード(k)のクロック周期である。クロックスキューは、ここでは、定数であると想定される。自身のドリフトしているクロックに起因して、ノードは、同時に送信を行わない。それゆえ、同期の目的は、全てのノードが同期して送信を行うようにそれらのローカルクロックを制御することである。それゆえ、ビーコンは、以下のように、それらの被補償クロックによって与えられる時点において生成される。
【数8】
ここで、uは、同期を達成するためのコマンドである。理想的には、ノードは、理想クロックを基準として同期するべきであり、この事例では、コマンドは、クロックスキューを補償する。実用時には、理想クロックは、この例においてノードによって知得されていない。同期の目的は、全てのノードが潜在的には実際の周期とは異なる共通の周期
【数9】
に従って同じ時点においてそれらのビーコンを送信することを確実にすることである。
【0061】
この例において、基準ノードが高品質クロックから利益を受けることを仮定する。その理由で、基準ノードは、各同期ラウンドnにおいてビーコンをブロードキャストする。代替的には、UEノードは、本開示の方法によるルールを使用することによって送信モードであるか又は受信モードであるかをランダムに選択する。この例において、この選択は、ベルヌーイ確率変数
【数10】
によって表され、すなわち、ノード(k)が自身のローカル被補償クロック情報を送信している場合、h (k)=1であり、受信モードの場合、h (k)=0である(すなわち、ステップnにおいて、第kのノードは、送信中である確率p (k)を有する)。第1のステップにおいて、1/2の送信確率を実施するルールを仮定する。受信モードにあるとき、UEノードは、自身の近傍及びRefノードと同期されることを目的として、受信された情報に基づいて自身のローカルクロック値を更新する。
【0062】
このランダム性は、ネットワークトポロジに影響を及ぼし、第nのステップにおける有効隣接行列は、
【数11】
及び
【数12】
であり、ここで、hは、送信指標Nベクトルであり、
【数13】
は、要素ごとの行列積である。第kのノードが受信モードにあり、第jのノードが送信モードにあり、かつ通信リンクが(j)から(k)まで存在する場合にのみ、Ω(k,j)=1であることに留意されたい。
【0063】
送信モードにあるとき、UEは、自身のローカル周期に従って更新される以下の時点
【数14】
において同期シーケンスをブロードキャストする。
【数15】
【0064】
受信モードにあるとき、第kのノードは、送信側の近傍ノード(近傍ノードは、本開示の方法による他のノードを意味する)からの同期シーケンスの重ね合わせを受信し、例えば、相関ベース検出技法を使用することによって各ノードとの誤同期を推定することができる。その後、ノードは、式EQ1に従って自身のクロックを更新することができる。
【数16】
ここで、ξは、コンセンサスアルゴリズムの安定性を確保するためのパラメータであり、
【数17】
である。
【0065】
送信モードにあるとき、ノードは、前回の時点のT(k)秒後に自身のビーコンを送信する。受信モードにあるとき、ノードは、自身のクロックの位相をシフトするために送信を行っていた場合、全ての受信されたビーコンとそれ自身のビーコンの位置との間の時間誤差のアベレージを使用する(図6を参照)。タイミング差は、受信機によって知得されていない伝播遅延によってシフトされることに留意することが重要である。
【0066】
問題を簡略化するために、絶対基準クロックt (0)=tn-1 (0)+Tの存在を仮定し、変数を変更する。
(k)=t (k)-t (0)
【0067】
変数x (k)は、以降で誤同期と呼ばれる、第nのステップ(又は同期ラウンド)における基準クロックを基準としたノード(k)の同期誤差を表す。前述のシステムも、UEノードの動態及びRefノードの動態の双方を記述することができることに留意されたい。Refノードは、常にオールゼロ(all-zeros)観測ベクトルを有することと同等である、常に送信している(すなわち、
【数18】
)である高品質(すなわち、ε(k)≪1)「UE」ノードとして扱うことができる。前述の式EQ1は、以下のように簡略化される。
【数19】
ここで、
【数20】
であり、M=N+Nは、ノードの総数である。このシステムにおいて、観測ベクトルはともにマージされ、UEノード及びRefノードの双方が、「単純な」ノードとして同様に扱われる。アルゴリズムは、ノード自身のパラメータ及び伝播遅延に依存するスキューレート及びオフセットを用いて、基準クロックに対応する平衡状態に向かって収束することが示され得る(図7を参照)。
【0068】
同期誤差間の差はクロック間の差にも等しいので、理想クロックに対する基準はなくなることに留意することができる。
【数21】
受信されたビーコンから測定することができる値。それゆえ、方法は、理想クロックの知識なしで実行することができる。
【0069】
この例において、各ノードは、重み付け係数又は重みβ (j)として機能するための自身の同期品質の明示的な測定値を計算及び送信する。更新式は、
【数22】
によって与えられ、ここで、
【数23】
であり、この例において、係数ξは、重みβ (j)にマージされる。
【0070】
同期誤差の分散として統計的メトリック(又は統計値)を選択することができる。
【数24】
【0071】
計算を簡略化するために、同期誤差の平均はヌル(null:ゼロ)であることを仮定することができる。この仮定は、ノードが多くかつ伝播遅延がない状態で漸近的に真とみなすことができる。実用時には、平均は、伝播遅延に起因してヌルではない。性能を更に改善するために、ここで、以下のように、重み付け係数又は重みは、ノード(j)の同期性能に依存する1つの成分(又は同期品質)と、ノード(j)と(k)との間の伝播遅延における拡散に依存する1つの成分(又は伝播媒体品質)との組み合わせとして計算されることが提案される。
【数25】
ここで、
【数26】
である。
【0072】
上記の関数f(・)は、同期誤差を最小化するように選択することができる。ここでも、伝播遅延の影響を組み込むための統計値は、伝播拡散(RMS遅延拡散)の分散である。しかしながら、送信の品質を反映する他のメトリックも適切であり得る。実用時には、各ノードは、自身の同期品質の測定値を送信することができ、受信側ノードは、重み付け係数β (k,j)を計算することができる。
【0073】
本開示による重み付け係数又は重みの適用は、コンセンサスアベレージの計算において「最良の」同期されたノードを優遇することを意図する。その目的は、収束速度及び定常状態性能の双方を改善することである。その点から、重み付け係数は、ノード(k)によって観測される(チャネル又は伝播媒体伝播品質を考慮に入れる)ものとして同期ノード(j)を基準とした信頼度値(又は同期品質値)の関数として記述することができる。また、これは、例えば内在的に良好な品質のクロックから利益を受ける可能性がある基地局等の基準ノードを優遇するために、ノード間に仮想階層を導入することを可能にする。
【0074】
以下の例において、情報フィルタとしてクロックの更新から導出された重み付け係数又は重みを用いる特定の実施態様を示す。情報フィルタルゴリズムは、それ自体、カルマンフィルタの特定の実施態様である(線形二次推定を適用する)。カルマンフィルタは、一連の雑音含有測定値から線形力学系の内部状態(潜在的には隠れ状態)を推定する効率的な再帰フィルタである。情報フィルタ又は逆共分散フィルタにおいて、推定された共分散及び推定された状態が、それぞれ情報行列及び情報ベクトルに置き換わる。出発地点は、同期問題を、雑音含有観測値からの系の隠れ状態の推定として記述することができるということである。目標は、理想クロックを推定することとすることができる。表記を簡単にするために、目標は、ここでは、自ノードのクロック(特定の同期基準とも称される)と理想クロックとの間の同期誤差を推定することであると仮定する。これを行うことで、ローカルクロックに対して同期誤差を減算すること(すなわち、被補償クロックを構築すること)によって理想クロックを再構成することが可能である。それゆえ、目的は、観測値
【数27】
から、
n+1 (k)=x (k)+ε(k)
によって定義される系の隠れ状態を推定することである。
【0075】
系の入力(ノード(k))として、特定のノードとも称される自ノードと、他のノードとも称されるその近傍との間の誤同期値を含むベクトルを検討するとともに、出力として、理想基準時間を基準としたその誤同期を検討する(図8を参照)。
【0076】
いくらか書き換えを行った後、状態-空間モデルは、以下のように表現することができる。
【数28】
【0077】
これは、カルマン又は情報フィルタリングにおいて使用される状態-空間表現と一貫している。以下の表記を導入する。
【数29】
【0078】
前述の式において、同期誤差の平均及びスキューがヌルであることが仮定されることに留意されたい。情報フィルタは、状態の推定値、すなわち、
- 観測値y、yn-1、...を所与としたxの推定値である
【数30】
- 観測値y、yn-1、...を所与としたxn+1の推定値である
【数31】
及び、状態推定値の誤差共分散行列の逆行列、すなわち、
- 観測値y、yn-1、...を所与としたxの逆共分散行列であるPn|n -1
- 観測値y、yn-1、...を所与としたxn+1の逆共分散行列であるPn+1|n -1
を維持する。
【0079】
全ての雑音がゼロ平均ガウス白色過程である場合、かつ系モデルが線形である場合(これは、ここでの事例とすることができる)、カルマン/情報フィルタは、推定されたパラメータの平均二乗誤差を最小化するという意味で推定器とすることができる。
【0080】
情報フィルタは、2ステップ演算として記述することができる。第1のステップにおいて、推定器は、前の状態値から次の状態値を予測する。第2のステップにおいて、推定は、最も新しい及び最も古い観測値を使用して精緻化される。本発明者らによる表記を用いて、フィルタリングは、以下の式に従って実行される。
予測ステップ:
【数32】
【0081】
予測は、ノードが自身のクロックをそれ自身の周期で更新するときの送信モードに対応する。クロックスキューε及び伝播遅延τ (j,k)がゼロ平均ガウス白色雑音である(これは、r (k)もゼロ平均ガウス雑音であることを暗示する)ことが仮定される場合、更新式は、以下の形式において記述することができる。
更新ステップ:
【数33】
【0082】
いくつかの計算の後、最終的に以下のEQ2を得る。
【数34】
【0083】
ここで、上記の式において、項var[τ(j,k)]は、チャネル推定値から、又は他の任意の適切な手段によって推定することができる。これは、伝播媒体の品質を反映する別の項に置き換えることができる。
【0084】
EQ2の2つ目の式において、タイミング差は、誤差(伝播遅延を含む)の分散が減少すると増加する係数を用いて重み付けされる。この係数は、信頼度値又は同期品質値として解釈することができる。すなわち、信頼度が高くなるほど、同期の更新における対応するノードの重みが強くなる。信頼度値は、全ての信頼度の和又は全ての同期品質値の和に従って正規化され、全体信頼度に対する重み付けの効果がもたらされることに留意することができる。自ノード又は特定のノード(k)を基準とした第jのノードの信頼度値は、
【数35】
に等しい。
【0085】
各時間ステップにおいて、ノードの信頼度又は同期品質値は、EQ2の1つ目の式に従って更新又は修正される。第kのノードが送信モードにあるとき(すなわち、∀j,Ω (k,j)=0)、その信頼度又は同期品質値は、クロック時間推定において更なる不確実性を招くクロックドリフトに起因して減少している。すなわち、
【数36】
である。それゆえ、ノードは、受信機がQ(k)の知識を有する必要性を回避して、項P (k)+Q(k)を直接送信する。信頼度値の値は、例えば、ビーコン内のデータ成分として送信することができる。受信モードにあるとき、項
【数37】
は、(第kのノードの近傍に送信機が存在しない場合にのみ)厳密に正であり、それゆえ、この項は、クロックドリフト不確実性を補償し、第kのノードの信頼度レベルを改善する。
【0086】
EQ2の2つ目の式は、この例において、クロックタイミング推定の更新ルール、又は特定の同期基準の更新を表す。新たなクロックタイミングは、直前の系の状態(クロックタイミング)、内部誤差(クロックドリフト)、及び送信機と受信機との間の観測されるタイミング差である系の入力、すなわち、Ω (k,j)((x (k)+ε(k))-(x (j)+ε(j))+τ(j,k))に依存する。これらの入力、又は寄与量は、本開示の方法に従って重み付けされる。したがって、高信頼度のノードから到来する情報は、受信機の更新されたクロック推定においてより重要な寄与量を有する。伝播媒体品質パラメータvar[τ(j,k)]の導入は、近傍の送信機の認識された信頼度(又は同期品質)を変更する。したがって、受信機に近接するノードから到来する情報は、より正確であると想定されている遠隔の基地局によって送信される情報よりも高信頼度であり得る。
【0087】
この例において、アルゴリズムの収束を確実にするために、大域的重み付け係数(ξ)を経験的に適用及び更新する必要はないことに留意することができる。本例において、収束は、上記で定義されたとおりに行われる。
【0088】
以下の例は、例えば方法200に従ってルールを使用することに焦点を置く。
【0089】
いくつかの例において、各ノードが1/2の確率で各同期ラウンドにわたってビーコンを送信することが仮定される。同期性能を改善するために、この確率の更新ルールを計算することができる。より一般的には、送信確率は、同期及びネットワークメトリックの双方の観点でシステム性能を改善するように計算することができる。いくつかの例において、この手法は、同期性能を改善するために送信確率を制御することを例示している。目標は、ここでは、(システムが半二重システムである事例において)送信モードと受信モードとの間の改善されたトレードオフを発見して、改善された性能を得ることとすることができる。ソリューションは、情報フィルタの共分散確率を最小化するように確率を計算することにその本質がある。すなわち、
【数38】
である。上記で導入された表記を使用すると、
【数39】
となり、最終的には、
【数40】
を得る。ここで、
【数41】
である。
【0090】
【数42】
と(P+Q)-1との間の統計的独立を仮定して、最小化問題は、以下のように表現することができる。
【数43】
【0091】
送信確率は、上記で取り組んだ式に従って反復的に更新することができる。
【数44】
ここで、p (k)は、第nのステップにおける第kのノードの送信確率の期待値を表しており、α (k)は、本質的にはアクティブなノードの数のばらつきを考慮に入れることを意図したスケーリングパラメータである。
【0092】
送信モードにある確率は、パラメータp (k)によって表される。このパラメータは、1/2に初期化され、その後、各受信ステップにおいて更新される。ノードの信頼度を、その近傍の信頼度のアベレージと比較する。すなわち、ノードのクロックタイミングがその近傍のクロックタイミングよりも高信頼度である、すなわち他のノードよりも良好な同期品質値を有する場合、その送信確率を増加させる。それ以外の場合、p (k)は減少する。ノード(基地局又は基準ノードを除く)は、2つの連続したステップにおいて送信モードにはならないとすることができるということも提案することができる。この例示の送信確率更新ルールは、(近傍又は他のノードと比較して)高信頼度のノードが他のノードよりも頻繁に送信を行うことを可能にする。例えば、基地局に近接したノードは、送信する機会が相対的に少ない。これは、システムの性能を劣化させることなく、送信されるメッセージの数を削減することができる。なぜならば、その近傍は、基地局によってカバーされるためである。送信確率の更新は、送信周期Tの更新に変換することができることに留意されたい。例えば、送信周期は、元の周期の倍数と定義することができ、ここで、倍率は、更新された送信確率を満たすように計算される。
【0093】
送信確率又は頻度を制御するための規準又はルールは、最大チャネル又は媒体占有率ターゲット等のシステム依存制約を考慮に入れるために変更することができる。チャネル又は媒体占有率を低減する目的で、最適化問題の目的関数において送信確率期待値を明示的に導入することができる。
【0094】
一例において、QP(二次計画)最適化問題が提案され、ここで、目的関数は、送信確率期待値p及び推定誤差分散Pの双方の観点で二次である。
【数45】
ここで、
【数46】
である。
【0095】
行列Γ及びΓは、2つの対称正定値対角行列であり、それぞれ目的関数におけるpの重み及びPの重みを表す。比γ/γは、同期正確性とチャネル又は媒体占有率との間のトレードオフを表す。
【数47】
は、行列係数を調節するときに考慮に入れられるべきであるp (i)に依存することに留意されたい。
【0096】
この例において、全てのノードは、同じ重みを有する。しかしながら、重みは、ノードごとに異なり得る。例えば、第iのノードの信頼度レベルに関連付けられた重みγ (i)は、第iのノードによって使用されるアプリケーションの関数における同期正確性レベルに依存して選択することができる。Γ及びΓにおいて非対角項を導入して、ノードの送信確率間又は信頼度レベル間の依存性をもたらすこともできる。例えば、2つのノードi及びjが非常に近接している場合、それらのうちの一方のみに送信を許可することができる。この制約は、γ (i,j)のために高い値を選択することによって導入することができる。
【0097】
送信確率期待値と同期正確性レベルとの間のトレードオフは、以下の定式において明示的に定義される。
【数48】
ここで、
【数49】
である。
【0098】
この定式の下では、高度に同期されたクロックを有するノードは、正確性がより低いノードよりも頻繁に送信を行うことができる。P (i)が高い場合、p (i)は、目的関数における
【数50】
の値を低減するために低くあるべきである。一方で、P (i)が低い場合、p (i)のために高い値が許容される。問題定式において使用される行列が正定値である場合、問題は、凸最適化問題の特別な事例である。
【0099】
一例において、図9に示されるように、全てのノードが、そのハードウェアの品質に関係付けられたQ(k)の推定を有するものと想定する。
【0100】
初期化:P (k)=(20μs)、p (k)=0.5。
【0101】
各時間ステップにおいて、全てのノードが、以下を適用する。
【0102】
各ノードが自身の推定誤差の共分散、自身のハードウェア品質に依存する自身のクロックドリフトの共分散、及び自身の送信/受信指標確率を知得していると仮定する。
【0103】
第kのノードにおいて、
1- ノードは、自身の送信確率則
【数51】
に従って送信モード又は受信モードをランダムに選択する
2- 送信モードにある場合、
a- ノードは、自身の信頼度値を更新して、クロックドリフト効果を考慮に入れる(自身の特定の同期品質値を修正することに対応する)
b- ノードは、同期シーケンス及び自身の新たな信頼度値(修正された同期品質値とも称される)を送信する
c- ノードは、次のステップにおいて受信モードを選択する
3- 受信モードにある場合、
a- ノードは、自身の近傍(送信側の他のノードとも称される)から同期信号及び信頼度値(それぞれの同期品質値とも称される)を受信する
b- ノードは、自身の信頼度値を更新する(自身の特定の同期品質値を修正することに対応する)
c- ノードは、自身のクロックタイミングを更新する(自身の特定の同期基準を更新することに対応する)
d- ノードは、自身の送信確率則を更新する(特定のノードが受信及び発信を進める頻度を決定するルールを変更することに対応する)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】