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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】親和性成熟抗ASIC1a抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221003BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221003BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221003BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20221003BHJP
   G01N 33/533 20060101ALI20221003BHJP
   G01N 33/534 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
G01N33/53 D
G01N33/533
G01N33/534
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572386
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 CN2019090041
(87)【国際公開番号】W WO2020243912
(87)【国際公開日】2020-12-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520025002
【氏名又は名称】シャンハイテック ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAITECH UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン グァン
(72)【発明者】
【氏名】キアン ミン
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
酸感受性イオンチャネル1a(ASIC1a)タンパク質に特異的に結合する免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体またはその抗原結合性断片)およびその使用が提供される。また、アシドーシスを患っているかもしくはそれにかかりやすい対象を治療するために、または虚血発作および関連状態を含む、ASIC1a活性および/もしくはシグナル伝達の変更により引き起こされるかもしくはそれに関連する疾患を患っている対象を治療するために、有効量の抗ASIC1a抗体を投与する方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列、ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
抗原結合性断片が、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvおよびFvからなる群から選択される、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
ASIC1aに結合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項6】
ASIC1aのアンタゴニストである、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項7】
ASIC1a媒介酸誘導流を阻害する、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項8】
ASIC1a媒介酸誘導カルシウム流入を阻害する、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項9】
Lが、配列番号2を含み、VHが、
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項10】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項11】
軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、LCが、配列番号2を含むアミノ酸配列を含み、HCが、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)を含み、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項12】
(a)配列番号2に存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VL);および/または
(b)配列番号7の重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VH
を含む抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項13】
Lが、
(a)配列番号3に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR1;
(a2)配列番号4に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR2;および/または
(a3)配列番号5に存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR3
を含み、
Hが、
(b1)配列番号8に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR1;
(b2)配列番号9に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR2;および/または
(b3)配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35もしくは配列番号37のいずれか1つに存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR3
を含む、請求項12に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項14】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象においてアシドーシスを治療する方法であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法。
【請求項15】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象において虚血発作を治療する方法であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法。
【請求項16】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象においてASIC1a活性および/またはシグナル伝達によって引き起こされるかまたはそれに関連する障害を治療する方法であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法。
【請求項17】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸配列。
【請求項18】
配列番号1、6、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36および38からなる群から選択される、請求項17に記載の核酸配列。
【請求項19】
請求項17または18に記載の核酸を発現する宿主細胞またはベクター。
【請求項20】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片を含むキット。
【請求項21】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片が、放射性標識、蛍光標識および発色性標識からなる群から選択される少なくとも1種の検出可能標識にカップリングされている、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片に特異的に結合する二次抗体をさらに含む、請求項20または21に記載のキット。
【請求項23】
生体試料においてASIC1aを検出するための方法であって、生体試料を、検出可能標識にコンジュゲートした請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させることと、生体試料中の検出可能標識の存在およびレベルを検出することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概して、酸感受性イオンチャネル1a(ASIC1a:acid-sensing ion channel 1a)タンパク質に特異的に結合する免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体またはその抗原結合性断片)の調製およびその使用に関する。特に、本技術は、アシドーシスを患っているかもしくはそれにかかりやすい対象を治療するために、または虚血発作および関連状態を含む、ASIC1a活性および/もしくはシグナル伝達の変更により引き起こされるかもしくはそれに関連する疾患を患っている対象を治療するために、有効量の抗ASIC1a抗体を投与することに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、読み手の理解を補助するために提供される。提供される情報または引用される参考文献のいずれも、先行技術であるとは認められない。
酸感受性イオンチャネル(ASIC)は、細胞外プロトンにより開閉される。ASICは、細胞外アシドーシスにより活性化されるカチオンチャネルである。6種のASICサブユニット:ASIC1a、ASIC1b、ASIC2a、ASIC2b、ASIC3およびASIC4をコードする少なくとも4種の遺伝子が特定されており、その中で、「a」および「b」の記号は、それぞれ、ASIC1およびASIC2遺伝子、ACCN2およびACCN1の代替スプライスバリアントを表す。アミロライドによる遮断に感受性の機能的ASICチャネルは、ホモマーまたはヘテロマー形のいずれかにアセンブルされる3つのサブユニットからなる。ASIC1aは、脳において高度に発現され、他のASICアイソフォームと共に機能的ホモマーまたはヘテロマーチャネルを形成する。pH7.0近辺の活性化閾値により、ASIC1aは、脳内のアシドーシスの一次センサーとしてはたらき、正常生理および病理生理において関係付けられている。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列、ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗原結合性断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvおよびFvからなる群から選択される。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である。
【0004】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aに結合する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aのアンタゴニストである。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1a媒介酸誘導流を阻害する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1a媒介酸誘導カルシウム流入を阻害する。
【0005】
加えてまたはあるいは、VLは、配列番号2を含み、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0006】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VLは、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列、配列番号5のVL-CDR3配列を含み、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0007】
一態様では、本開示は、(a)配列番号2に存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VL);ならびに/または(b)(b1)配列番号8に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR1、(b2)配列番号9に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR2および/または(b3)配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35もしくは配列番号37のいずれか1つに存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR3を含む重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VH)を含む抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0008】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VLは、配列番号3に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR1;配列番号4に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR2;および/または配列番号5に存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR3を含む。
【0009】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。
一態様では、本開示は、(a)配列番号2の軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VL);および/または(b)配列番号7の重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VH)を含む抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0010】
一態様では、本技術は、軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含む抗体またはその抗原結合性断片を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、LCが、配列番号2を含むアミノ酸配列を含み、HCが、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)を含み、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。
【0011】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VLが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0012】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象においてアシドーシスを治療する方法であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VH-CDR3配列は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択される。
【0013】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象において虚血発作を治療する方法であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VH-CDR3配列は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択される。
【0014】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象においてASIC1a活性および/またはシグナル伝達によって引き起こされるかまたはそれに関連する障害を治療する方法であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VH-CDR3配列は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択される。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、ASIC1a活性および/またはシグナル伝達によって引き起こされるかまたはそれに関連する障害は、神経変性疾患、神経心理学的疾患、てんかん、多発性硬化症、疼痛および片頭痛である。
【0015】
一態様では、本技術は、本明細書で説明される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードする核酸配列を提供する。また、本明細書で説明される抗体のいずれかをコードする組換え核酸配列が本明細書で開示される。一部の実施形態では、核酸配列は、配列番号1、6、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36および38からなる群から選択される。
別の態様では、本技術は、本明細書で説明される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードする任意の核酸配列を発現する宿主細胞またはベクターを提供する。
【0016】
別の態様では、本技術は、本明細書で開示される実施形態のいずれかの抗体またはその抗原結合性断片と使用のための説明書とを含むキットを提供する。一部の実施形態では、本明細書で開示される実施形態のいずれかの抗体またはその抗原結合性断片は、放射性標識、蛍光標識および発色性標識からなる群から選択される少なくとも1種の検出可能標識にカップリングされている。一部の実施形態では、キットは、本明細書で開示される実施形態のいずれかの抗体またはその抗原結合性断片に特異的に結合する二次抗体をさらに含む。
【0017】
別の態様では、本技術は、生体試料においてASIC1aを検出するための方法であって、生体試料を、検出可能標識にコンジュゲートした本明細書で開示される実施形態のいずれかの抗体またはその抗原結合性断片と接触させることと、生体試料中の検出可能標識の存在およびレベルを検出することとを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(R1~R5)は、ASIC1aバインダーについての酵母ディスプレイライブラリーの連続5回の選択中のFACSソーティングの結果を示す。右下に示されるのは、第5回の選択後に選択されたVH-CDR3配列の配列整列に由来するコンセンサス配列である。
図2図2は、FACSにより測定される、ASC06-IgG1抗体の親和性成熟誘導体の、ヒトASIC1a-eYFP(hASIC1a-eYFP)、マウスASIC1a-eYFP(mASIC1a-eYFP)またはラット-ASIC1a-eYFP(rASIC1a-eYFP)を発現するCHO-K1細胞への結合を示す。hASIC1a-eYFP、mASIC1a-eYFPまたはrASIC1a-eYFPをコードするプラスミドを一過性にトランスフェクトしたCHO-K1細胞を、ASC06-IgG1の親和性成熟バージョンで染色し(赤色)、FACS解析に供した。
図3図3は、親和性成熟抗体のサブタイプ特異性を実証する。ヒトASIC1b(hASIC1b)-eYFP、ヒトASIC2a(hASIC2a)-eYFPおよびヒトASIC3a(hASIC3a)-eYFPをコードするプラスミドを一過性にトランスフェクトしたCHO-K1細胞を、ASC06-IgG1またはその親和性成熟バージョンで染色し、FACSソーティングに供した。eYFPおよびAlexa555蛍光色素を発現する二重陽性細胞集団の非存在(FACSプロファイルの右上4分の1区)は、ASC06-IgG1または親和性成熟バージョンの、細胞表面ASICのサブタイプであるhASIC1b、hASIC2aまたはhASIC3aへの結合の欠如を示唆した。各プロットは、細胞10,000個を示す。
図4A-4E】図4A~4Eは、親和性成熟ASC06-IgG1誘導抗体の、hASIC1a流に対する効果を示す。100nM ASC06-IgG1(図4A)、または親和性成熟ASC06-IgG1バージョンASC06-01-IgG1(図4B)、ASC06-02-IgG1(図4C)、ASC06-03-IgG1(図4D)もしくはASC06-04-IgG1(図4E)の非存在もしくは存在下での、hASIC1aを安定に発現する単一のCHO-K1細胞から記録された代表的な流れのトレースが示される。アミロライド(30μM)を、陽性対照として使用した。「洗浄」とは、100nMの示される抗体の処理、および次いで、15分間の洗浄液の注入後の流れの回復を表す。
図5図5は、蛍光膜電位(FMP)アッセイ(n=6)により測定される、増大する用量のASC06-IgG1の、酸誘導ASIC1a流に対する効果を示す。
図6図6は、蛍光画像化プレートリーダー(FLIPR)ベースアッセイ(n=6)により測定される、増大する用量のASC06-IgG1の、ASIC1a媒介カルシウム流入に対する効果を示す。
図7A図7Aは、ASC06のVLのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。
図7B図7Bは、ASC06のVLのアミノ酸配列(配列番号2)を示す。VL-CDR1(配列番号3)、VL-CDR2(配列番号4)およびVL-CDR3(配列番号5)は、下線付き太字フォントで示す。
図7C図7Cは、ASC06のVHのヌクレオチド配列(配列番号6)を示す。
図7D図7Dは、ASC06のVHのアミノ酸配列(配列番号7)を示す。VH-CDR1(配列番号8)、VH-CDR2(配列番号9)およびVH-CDR3(配列番号10)は、下線付き太字フォントで示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本技術の実質的な理解を提供するために、本技術のある特定の態様、様式、実施形態、変動および特色は、様々なレベルの詳細さで以下に示されることが理解されるべきである。本技術は、虚血発作および/または関連障害を治療する方法を提供する。
本明細書で説明されるASIC1aタンパク質をターゲティングする例示される抗体は、scFvおよびIgG1抗体であるが、説明は、任意の免疫学的結合剤、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEおよび遺伝子改変IgGならびにそれらの断片、ならびに本明細書で説明される抗原結合活性を保持する抗体相補性決定領域(CDR)ドメインを含むポリペプチドまで広く包含することが意図される。
【0020】
定義
本明細書で使用されるある特定の用語の定義を、以下に示す。別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、一般的に、本技術が属する分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに別のように規定しない限り、複数の指示物を含む。例えば、「a cell」についての言及は、2種またはそれよりも多くの細胞の組合せを含むなどである。一般的に、本明細書で使用される命名法、ならびに以下に説明される、細胞培養、分子遺伝学、有機化学、分析化学ならびに核酸化学およびハイブリダイゼーションにおける実験手技は、当該技術分野で周知および一般に使用される命名法および実験手技である。
【0021】
本明細書で使用される場合、数についての「約」という用語は、一般的に、別のように示されるかまたは別のように文脈から明らかでない限り、数のいずれかの方向の(その数よりも大きいまたは小さい)1%、5%または10%の範囲内に入る数を含むと理解される(そのような数が、可能な値の0%未満または100%超であり得る場合を除く)。
本明細書で使用される場合、「アシドーシス」または「酸血症」という用語は、血液および他の身体組織における酸性の増大と関連付けられる状態、ならびに低い血液pHおよび/または組織pHの状況を指すために使用される。アシドーシスまたは酸血症は、胎児における場合を除いて、動脈pHが7.35未満に下がったときに起こる。胎児アシドーシス酸血症は、7.20未満の臍血管pHとして定義される。代謝性アシドーシスは、嫌気的代謝中に生成する代謝性の酸、例えば乳酸の生成の増大、または腎臓を介した酸を排出する能力の妨害のいずれかから生じ得る。呼吸性アシドーシスは、低換気のための血中二酸化炭素の蓄積(高炭酸ガス血症)から生ずる。アシドーシスにおいて見られ得る徴候および症状には、頭痛、錯乱、倦怠感、振戦、眠気、羽ばたき振戦、および昏睡に進行し得る脳の大脳の機能障害が含まれる。
【0022】
本明細書で使用される場合、剤、薬剤またはペプチドの、対象への「投与」は、対象に、化合物を、その意図される機能を行うために導入または送達する任意の経路を含む。投与は、経口、鼻内、非経口(静脈内、筋内、腹腔内または皮下)または局部を含む、任意の好適な経路により行うことができる。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、頭蓋内経路または動脈内経路により投与される。投与は、自己投与および他者による投与を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基を含有する任意の有機分子を指すために使用される。典型的に、少なくとも1つのアミノ基は、カルボキシル基に対してα位に存在する。「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および合成アミノ酸、ならびにアミノ酸アナログおよび、天然アミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸ミメティックを含む。天然アミノ酸は、遺伝子コードによりコードされるアミノ酸、および後に修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメートおよびO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログは、天然アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素に結合しているα-炭素、カルボキシル基、アミノ基およびR基を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのようなアナログは、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸ミメティックは、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同様の様式で機能する化学化合物を指す。アミノ酸は、本明細書で、それらの一般に公知の3文字記号により、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会により推奨される1文字記号により言及され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、例として、限定ではなく、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、それらの組合せを含む、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子;ならびに任意の脊椎動物における、例えば哺乳動物、例えばヒト、ヤギ、ウサギおよびマウスにおける免疫応答中に生成する同様の分子;ならびに非哺乳動物種、例えばサメ免疫グロブリンを集合的に指す。本明細書で使用される場合、「抗体」(インタクトな免疫グロブリンを含む)および「抗原結合性断片」は、目的の分子(または高度に類似する目的の分子の一群)に、他の分子への結合を実質的に除外するほど特異的に結合する(例えば、生体試料中の他の分子についての結合定数よりも少なくとも103-1大きいか、少なくとも104-1大きいかまたは少なくとも105-1大きい、目的の分子についての結合定数を有する抗体および抗体断片)。また、「抗体」という用語は、遺伝子操作した形態、例えば、キメラ抗体(例えばヒト化マウス抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば二重特異性抗体)を含む。また、Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.);Kuby, J., Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York, 1997を参照されたい。
【0025】
特に、抗体とは、抗原のエピトープを特異的に認識および結合する、少なくとも軽鎖免疫グロブリン可変領域または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドを指す。抗体は、重鎖および軽鎖からなり、その各々は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と呼ばれる可変領域を有する。合わせて、VH領域およびVL領域は、抗体により認識される抗原への結合の原因である。典型的に、免疫グロブリンは、ジスルフィド結合により相互接続されている重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。2つの型の軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)がある。抗体分子の機能活性を決定する5種の主要な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEがある。各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(これらの領域は「ドメイン」としても公知である)。組合せで、重鎖および軽鎖可変領域は、抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域により分断されている「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、定義されている(参照によりこれにより本明細書に組み込まれる、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照されたい)。カバット(Kabat)データベースは現在、オンラインで維持されている。様々な軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。構成要素軽鎖および重鎖を組み合わせたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、大部分はβ-シートコンフォメーションを採用し、CDRは、β-シート構造を接続し、一部の場合その部分を形成するループを形成する。したがって、フレームワーク領域は、鎖間非共有相互作用によりCDRを正しい向きに位置付けるスキャフォールドを形成するように作用する。
【0026】
CDRは、主に、抗原のエピトープへの結合の原因である。各鎖のCDRは、典型的に、CDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれ、N末端から出発して逐次的に番号付けされ、また典型的に、特定のCDRが位置する鎖により特定される。したがって、VH-CDR3は、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、一方で、VL-CDR1は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインのCDR1である。ASIC1aタンパク質に結合する抗体は、特異的VH領域およびVL領域配列、ならびにしたがって、特異的CDR配列を有する。異なる特異性(すなわち、異なる抗原についての異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体毎に変動するのはCDRであるが、CDR内の限定的な数のアミノ酸位置のみが抗原結合に直接的に関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。「本技術の抗ASIC1a抗体」は、本明細書で使用される場合、抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、多重特異性抗体、二重特異性抗体などを含む)および抗体断片を指す。抗体またはその抗原結合性断片は、抗原に特異的に結合する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「抗体関連ポリペプチド」という用語は、単独で、または以下のポリペプチドエレメント:抗体分子のヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインの全てもしくは部分との組合せで、可変領域を含み得る、単鎖抗体を含む抗原結合性抗体断片を意味する。また、可変領域と、ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインとの任意の組合せが、本技術に含まれる。本方法において有用な抗体関連分子には、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)ならびにVLまたはVHドメインのいずれかを含む断片が含まれるが、これらに限定されない。例には、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., Nature 341: 544-546, 1989)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。そのため、「抗体断片」または「抗原結合性断片」は、全長抗体の一部、一般的にはその抗原結合領域または可変領域を含み得る。抗体断片または抗原結合性断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片;ディアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成した多重特異性抗体が含まれる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲートされた」という用語は、当業者に公知の任意の方法による2つの分子の会合を指す。好適な型の会合には、化学結合および物理的結合が含まれる。化学結合には、例えば、共有結合および配位結合が含まれる。物理的結合には、例えば、水素結合、双極子相互作用、ファンデルワールス力、静電相互作用、疎水性相互作用および芳香族積層が含まれる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ディアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小抗体断片を指し、その断片は、同じポリペプチド鎖(VHL)内の軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成することを強制され、2つの抗原結合部位を創出する。ディアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)においてより完全に説明されている。
本明細書で使用される場合、「単鎖抗体」または「単鎖Fv(scFv)」という用語は、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHの抗体融合分子を指す。単鎖抗体分子は、いくつかの個々の分子を有する多量体、例えば、二量体、三量体または他の多量体を含み得る。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは、別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、組換え法を使用して、合成リンカーにより接合してもよく、それによりそれらは、VLおよびVH領域が対を形成して一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として公知)として作製することが可能である。Bird et al. (1988) Science 242:423-426およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad Sci. USA 85:5879-5883。そのような単鎖抗体は、組換え技法、またはインタクトな抗体の酵素切断もしくは化学切断により調製することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「抗原」とは、抗体(またはその抗原結合性断片)が選択的に結合することができる分子を指す。標的抗原は、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質、ハプテンまたは他の天然もしくは合成化合物であり得る。一部の実施形態では、標的抗原は、ポリペプチド(例えば、ASIC1aポリペプチド)であり得る。また、抗原は、動物に投与されて、動物において免疫応答を発生し得る。
「抗原結合性断片」という用語は、抗原への結合の原因であるポリペプチドの一部を所有する全免疫グロブリン構造の断片を指す。本技術において有用な抗原結合性断片の例には、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’およびF(ab’)2が含まれるが、これらに限定されない。
上記に示される抗体断片のいずれも、当業者に公知の従来型技法を使用して得られ、断片は、インタクトな抗体と同じ様式で結合特異性および中和活性についてスクリーニングされる。
【0031】
「結合親和性」により、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原または抗原性ペプチド)との間の全非共有相互作用の強さを意味する。分子Xの、そのパートナーYについての親和性は、一般的に、解離定数(KD)により表すことができる。親和性は、本明細書で説明される方法を含む、当該技術分野で公知の標準の方法により測定することができる。低親和性複合体は、一般的に抗原から容易に解離する傾向がある抗体を含有し、一方で、高親和性複合体は、一般的により長い期間、抗原に結合したままである傾向がある抗体を含有する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「生体試料」という用語は、生細胞に由来する試料材料を意味する。生体試料には、対象から単離された組織、細胞、タンパク質または細胞の膜抽出物および生体液(例えば、腹水または脳脊髄液(CSF))、ならびに対象内に存在する組織、細胞および体液が含まれ得る。本技術の生体試料には、乳房組織、腎組織、子宮頸部、子宮内膜、頭頸部、胆嚢、耳下腺組織、前立腺、脳、下垂体、腎臓組織、筋肉、食道、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺組織、心組織、肺組織、膀胱、脂肪組織、リンパ節組織、子宮、卵巣組織、副腎組織、精巣組織、扁桃腺、胸腺、血液、毛髪、頬、皮膚、血清、血漿、CSF、精液、前立腺液、精漿、尿、糞便、汗、唾液、痰、粘液、骨髄、リンパおよび涙から採取した試料が含まれるが、これらに限定されない。また、生体試料は、内臓生検からまたはがんから得てもよい。生体試料は、診断もしくは研究のために対象から得てもよく、または対照としてもしくは基礎研究のために非疾患個体から得てもよい。試料は、例えば、静脈穿刺および直視下生検を含む、標準の方法により得ることができる。ある特定の実施形態では、生体試料は、皮膚組織、毛髪、爪、皮脂腺または筋生検試料である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「対照」は、比較目的のために実験において使用される代替試料である。対照は、「陽性」であっても、「陰性」であってもよい。例えば、実験の目的が、特定の型の疾患のための治療についての治療剤の有効性の相関を決定することである場合、陽性対照(所望の治療効果を呈することが公知の化合物または組成物)および陰性対照(治療を受容しないかまたはプラセボを受容する対象または試料)が典型的に使用される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、所望の治療効果および/または予防効果を達成するのに十分な量、例えば、本明細書で説明される疾患もしくは状態、または本明細書で説明される疾患もしくは状態と関連付けられる1種もしくは複数種の徴候もしくは症状の予防またはその減少をもたらす量を指す。治療適用または予防適用に関して、対象に投与される組成物の量は、組成物、疾患の程度、型および重症度によって、ならびに個体の特徴、例えば、健康全般、年齢、性別、体重および薬物への耐性よって変動する。当業者は、これらおよび他の因子によって適切な投与量を決定することができる。また、組成物は、1種または複数種の追加の治療用化合物と組み合わせて投与してもよい。本明細書で説明される方法において、治療用組成物は、本明細書で説明される疾患または状態の1種または複数種の徴候または症状を有する対象に投与され得る。本明細書で使用される場合、「治療有効量」の組成物とは、疾患または状態の生理学的効果が改善または除去される組成物レベルを指す。治療有効量は、1回または複数回の投与で与えることができる。
【0035】
「単離された」または「精製された」ポリペプチドまたはペプチドは、その剤が由来する細胞もしくは組織源からの細胞物質もしくは他の夾雑ポリペプチドを実質的に含まないか、または化学合成された場合、化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まない。例えば、単離された本技術の抗ASIC1a抗体は、その剤の診断的使用または治療的使用を干渉し得る物質を含まないことがある。そのような干渉物質は、酵素、ホルモンならびに他のタンパク質性および非タンパク質性溶質を含み得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合することができるタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、分子の化学活性表面群、例えば、アミノ酸または糖側鎖からなり、通常、特異的三次元構造特徴および特異的電荷特徴を有する。コンフォメーションおよび非コンフォメーションエピトープは、前者への結合は変性溶媒の存在下で失われるが、後者はそうではない点で区別される。一部の実施形態では、「エピトープ」は、本技術の抗ASIC1a抗体が特異的に結合する、ASIC1aタンパク質三量体の領域であり、ASIC1aの細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、エピトープは、2つのASIC1a単量体にまたがることがある。一部の実施形態では、エピトープは、コンフォメーションエピトープまたは非コンフォメーションエピトープである。エピトープに結合する抗ASIC1a抗体についてスクリーニングするために、ルーチンの交差ブロッキングアッセイ、例えば、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane (1988)で説明されるアッセイを行ってもよい。このアッセイは、抗ASIC1a抗体が、本技術の抗ASIC1a抗体と同じ部位またはエピトープに結合するかどうかを決定するために使用することができる。あるいはまたは加えて、エピトープマッピングは、当該技術分野で公知の方法により行うことができる。例えば、抗体配列は、アラニンスキャニングによる変異誘発などの変異誘発を行って、接触残基を特定してもよい。異なる方法において、ASIC1aタンパク質の様々な領域に対応するペプチドは、試験抗体との、または試験抗体および特徴付けられたもしくは公知のエピトープを有する抗体との競合アッセイにおいて使用してもよい。
【0037】
本明細書で使用される場合、「発現」は、以下のこと:遺伝子の、mRNA前駆体への転写;成熟mRNAを生成するmRNA前駆体のスプライシングおよび他のプロセシング;mRNA安定性;成熟mRNAのタンパク質への翻訳(コドン利用およびtRNA利用可能性を含む);ならびに適切な発現および機能に必要とされる場合、翻訳産物の糖鎖付加および/または他の修飾のうちの1つまたは複数を含む。
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、プロモーター、エクソン、イントロンおよび発現を制御する他の非翻訳領域を含む、RNA産物の生合成の調節についての全ての情報を含有するDNAのセグメントを意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「相同性」または「同一性」または「類似性」という用語は、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的のために整列され得る各配列における位置を比較することにより決定することができる。比較される配列における位置が同じ塩基またはアミノ酸により占有されている場合、それらの分子は、その位置で相同である。配列間の相同性の程度は、それらの配列により共有される適合位置または相同位置の数の関数である。ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)が、別の配列とのある特定の割合(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)の「配列同一性」を有するとは、整列させた場合、2つの配列を比較すると、その割合の塩基(またはアミノ酸)が同じであることを意味する。この整列および相同性パーセントまたは配列同一性は、当該技術分野において公知のソフトウェアプログラムを使用して決定することができる。一部の実施形態では、デフォルトパラメーターは、整列に使用される。1つの整列プログラムは、デフォルトパラメーターを使用するBLASTである。特に、プログラムは、以下のデフォルトパラメーター:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;除外=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;ソート=高スコア順;データベース=非重複、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIRを使用するBLASTNおよびBLASTPである。これらのプログラムの詳細は、国立バイオテクノロジー情報センター(米国)において見出すことができる。生物学的に同等なポリヌクレオチドは、特定の相同性パーセントを有し、かつ同じまたは類似する生物活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。2つの配列が、互いに40%未満の同一性または25%未満の同一性を共有する場合、それらは、「非関連」または「非相同」と考えられる。
【0039】
本明細書で使用される場合、非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類からの超可変領域残基により置換されているヒト免疫グロブリンである。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基により置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にまたはドナー抗体に見出されない残基を含み得る。これらの改変は、抗体性能、例えば、結合親和性をさらに改良するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメイン(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2またはFv)の実質的に全てを含み、ここで、超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサスFR配列のFR領域であるが、FR領域は、結合親和性を改善する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み得る。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的に、H鎖において6以下、およびL鎖において3以下である。また、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的に、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332: 323-327 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。例えば、Ahmed & Cheung, FEBS Letters 588(2):288-297 (2014);Saxena & Wu, Frontiers in immunology 7: 580 (2016)を参照されたい。
【0040】
本明細書で使用される場合、「同一の」または「同一性」パーセントという用語は、2つまたはそれよりも多くの核酸またはポリペプチド配列に関して使用される場合、比較ウィンドウまたは指定領域にわたる最大一致について比較および整列させたとき、BLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを使用して以下に説明されるデフォルトパラメーターにより、または手動の整列および目視検査(例えば、NCBIウェブサイト)により測定すると、同じであるか、または特定の割合の同じ(すなわち、特定の領域(例えば、本明細書で説明される抗体をコードするヌクレオチド配列、または本明細書で説明される抗体のアミノ酸配列)にわたる約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高い同一性)であるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する2つまたはそれよりも多くの配列またはサブ配列を指す。それから、そのような配列は、「実質的に同一」であると言われる。また、この用語は、試験配列の相補体を指すかまたはそれに適用することができる。また、この用語は、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列を含む。一部の実施形態では、同一性は、少なくとも約25個のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さ、または50~100個のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さである領域にわたり存在する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「インタクトな抗体」または「インタクトな免疫グロブリン」という用語は、ジスルフィド結合により相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖ポリペプチドおよび2つの軽(L)鎖ポリペプチドを有する抗体を意味する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域、およびそこに散在するフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシル末端まで以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの、宿主組織、または免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系第1成分(Clq)を含む因子への結合を媒介し得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「個体」、「患者」または「対象」という用語は、個々の生物、脊椎動物、哺乳動物またはヒトであり得る。一部の実施形態では、個体、患者または対象は、ヒトである。
【0043】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然の突然変異の可能性を除いては同一である。例えば、モノクローナル抗体は、任意の真核、原核またはファージクローンを含む、単一のクローンに由来し、抗体が生成される方法には由来しない抗体であり得る。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープについての単一の結合特異性および親和性を呈する。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原性部位を対象としている。さらに、典型的に様々な決定基(エピトープ)を対象とする様々な抗体を含む従来型(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基を対象としている。「モノクローナルの」という修飾語句は、実質的に均一な抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とするとは解釈されるべきではない。モノクローナル抗体は、例えば、非限定的に、ハイブリドーマ、組換えおよびファージディスプレイ技術を含む、当該技術分野において公知の広範な技法を使用して調製することができる。例えば、本方法により使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler et al., Nature 256:495 (1975)により説明されたハイブリドーマ法により作製してもよく、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)により作製してもよい。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)で説明される技法を使用するファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
【0044】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」という用語は、医薬投与と適合性の、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌化合物、等張性化合物および吸収遅延化合物などを含むと意図される。薬学的に許容できる担体およびそれらの製剤は、当業者に公知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (20th edition, ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA.)において説明されている。
本明細書で使用される場合、障害または状態の「予防」または「予防すること」とは、統計的試料において、非処置の対照試料と比較して処置された試料における障害もしくは状態の発生を低減するか、または非処置の対照試料と比較して障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の開始を遅延させるかもしくはその重症度を低減する化合物を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用されて、ペプチド結合または修飾ペプチド結合(すなわちペプチドアイソスター)により互いに接合された2つもしくはそれよりも多くのアミノ酸を含むポリマーを意味する。ポリペプチドとは、一般にペプチド、糖ペプチドまたはオリゴマーと呼ばれる短鎖、および一般的にタンパク質と呼ばれるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子にコードされる20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。ポリペプチドは、天然プロセス、例えば翻訳後プロセシングにより、または当該技術分野において周知の化学修飾技法により修飾されたアミノ酸配列を含む。
本明細書で使用される場合、「別々の」治療的使用という用語は、異なる経路による同時のまたは実質的に同時の少なくとも2種の活性成分の投与を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「逐次的な」治療的使用という用語は、投与経路が同一であるかまたは異なる、異なる時間における少なくとも2種の活性成分の投与を指す。特に、逐次的使用とは、活性成分のうちの1種の、他の活性成分(単数または複数)の投与が始まる前の、全投与を指す。したがって、活性成分のうちの1種を、他の活性成分(単数または複数)を投与する前に、数分間、数時間または数日間にわたり投与することは可能である。この場合、同時治療はない。
本明細書で使用される場合、「同時の」治療的使用という用語は、同じ経路による、同時のまたは実質的に同時の少なくとも2種の活性成分の投与を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」とは、別の分子(例えば、抗原)を認識および結合するが、他の分子を実質的に認識および結合しない分子(例えば、抗体またはその抗原結合性断片)を指す。特定の分子(例えば、ポリペプチドまたはポリペプチドのエピトープ)「への特異的結合」、「に特異的に結合する」または「について特異的である」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、それが結合する分子について約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11Mまたは10-12MのKDを有する分子により示すことができる。また、「特異的に結合する」という用語は、分子(例えば、抗体またはその抗原結合性断片)が、他の任意のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく、特定のポリペプチド(例えば、ASIC1aポリペプチド)または特定のポリペプチドのエピトープに結合する結合を指し得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「対象」、「個体」または「患者」という用語は、個々の生物、脊椎動物、哺乳動物またはヒトであり得る。
本明細書で使用される場合、「治療すること」または「治療」または「軽減」という用語は、目的が、ターゲティングされた病理学的状態または障害を防ぐことまたは減速する(減じる)ことである、治療的処置および予防的(prophylacticまたはpreventative)手段の両方を指す。対象は、本明細書で説明される方法による治療的量の本技術の抗ASIC1a抗体を受容した後、対象が観察可能な阻害および/または測定可能な阻害を示す場合、虚血発作についての「治療」に成功している。また、説明される医学的状態の様々な治療または予防様式は、全体的な治療または予防を含むが、全体に達しない治療または予防も含み、一部の生物学的または医学的に関連する結果が達成される「実質的な」を意味すると意図されることが理解されるべきである。
また、本明細書で説明される障害の様々な治療様式は、全体的な治療を含むが、全体に達しない治療も含み、一部の生物学的または医学的に関連する結果が達成される「実質的な」を意味すると意図されることが理解されるべきである。治療は、慢性疾患のための連続的な延長された治療、または急性状態の治療のための単回もしくは数回の投与であり得る。
【0049】
本明細書で説明される抗ASIC1a抗体のアミノ酸配列改変が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗ASIC1a抗体のアミノ酸配列バリアントは、適切なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することによりまたはペプチド合成により調製される。そのような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはそれへの挿入、および/またはその置換が含まれる。欠失、挿入および置換の任意の組合せは、得られる抗体が所望の特性を所有する限り、目的の抗体を得るために行われる。また、改変は、タンパク質の糖鎖付加のパターン変化を含む。最も置換変異誘発の対象となる部位は、超可変領域を含むが、FR変更もまた企図される。「保存的置換」を、以下の表に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
置換バリアントの1つの型は、親抗体の1つまたは複数の超可変領域残基を置換することを含む。そのような置換バリアントを発生させるための便利な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟を含む。具体的には、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7部位)を変異させて、各部位において全ての可能なアミノ酸置換を発生させる。そのようにして発生させた抗体バリアントは、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物への融合物として、繊維状ファージ粒子から一価の様式でディスプレイされる。その後、ファージディスプレイされたバリアントは、本明細書で開示される通り、それらの生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。改変のための超可変領域部位候補を特定するために、アラニンスキャニング変異誘発を行って、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を特定してもよい。あるいはまたは加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を解析して、抗体と抗原との間の接触点を特定することは有益であり得る。そのような接触残基および近隣の残基は、本明細書で練り上げた技法による置換のための候補である。そのようなバリアントを発生させると、バリアントのパネルを、本明細書で説明されるスクリーニングに供し、1回または複数回の関連アッセイにおいて類似するかまたは優れた特性を有する抗体を、さらなる開発のために選択し得る。
【0052】
ASIC1活性の変更を有する疾患状態
疼痛、神経学的疾患および精神医学的疾患のげっ歯類モデルにおけるASICについての役割を益々多くの証拠が支持している。Wemmie et al., Nat Rev Neurosci. 14(7): 461-471 (2013)。ASIC1aの活性は、リガンド、例えば、神経ペプチド(例えば、ダイノルフィン(Dynorpin)Aおよびビッグダイノルフィン)、ポリアミン(例えば、スペルミン)、カチオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Cd2+、Cu2+、Gd3+、Ni2+、Pb2+、Zn2+、Ba2+)、毒素(PcTx1、MitTxおよびマンバルジン-1)により制御される。蓄積してきている証拠から、アシドーシスは細胞死を増強すること、およびASIC1a活性の変更を特徴とする疾患は、虚血発作、神経変性疾患、神経心理学的疾患、てんかん、多発性硬化症、疼痛および片頭痛を含むことが示唆される。Wemmie et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 101(10):3621-6 (2004);Coryell et al., J Neurosci. 29(17):5381-8 (2009);Xiong et al., Cell 118(6):687-98 (2004);Pignataro et al., Brain 130(Pt 1):151-8 (2007);Duan et al., J Neurosci. 31(6):2101-12 (2011);Friese et al., Nat Med. 13(12):1483-9 (2007);Vergo et al., Brain 134(Pt 2):571-84 (2011);Arun et al., Brain 136(Pt 1):106-15 (2013);およびDuan et al., J Neurosci. 27(41):11139-48 (2007)。したがって、ASIC1活性に拮抗することは、これらの疾患の治療のための治療手法である。興味深いことに、NSAIDS、例えば、フルルビプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、サリチル酸、ジクロフェナクは、ASIC1a流を低減することが公知である。一部の実施形態では、ASIC1a活性の変更は、ASIC1a活性の増大である。Wemmie et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 101(10):3621-6 (2004);Duan et al., J Neurosci. 27(41):11139-48 (2007);Vergo et al., Brain 134(Pt 2):571-84 (2011);Duan et al., J Neurosci. 31(6):2101-12 (2011);およびArun et al., Brain 136(Pt 1):106-15 (2013)。
【0053】
虚血発作の病態形成
発作は、脳の一部への酸素に富む血液の供給の中断または低減により引き起こされる。酸素なしでは、脳細胞は、数分以内に死滅し始める。発作は、通常、症状、例えば、突然の脱力;とりわけ身体の片側の、顔面、腕または脚の麻痺またはしびれ;顔面の片側の下垂;錯乱;発話困難、例えば、不明瞭な言葉、または会話を理解することの困難;片目または両目の視覚の異常、例えば、片目または両目の霧視もしくは黒くなった視野または複視;呼吸困難;眩暈;歩行困難;例えば不明な転倒を引き起こす平衡感覚または共調運動の喪失;意識消失;および突然かつ重度の頭痛により示される。最も一般的な症状は、突然開始する顔面脱力(例えば、顔面の片側の下垂)、腕のふらつきおよび発話異常を含む。これらの症状は、典型的に、突然開始し、数秒間から数分間にわたり、ほとんどの場合、さらに進行しない。脳および機能性への最小限の損傷で発作から生還するためには即座の救急治療が重要である。
【0054】
全ての発作の約87%を占める虚血発作は、脳の一部への血液供給が遮断されたときに起こる。脳血流量(CBF)の減少、CBFの減少への脳組織の主要な応答の1つは、アシドーシスである。低酸素とグルコース枯渇との組合せは、虚血脳領域におけるATP含有量の減少を引き起こす。ATPの減少は、代償的な嫌気的解糖の活性化、ならびに乳酸アシドーシスの発達を引き起こすラクテートおよびH+の生成の増大をもたらす。虚血の初期段階におけるH+濃度の中程度の増大は、境界領域における灌流の改善を促進するので、それは、代償的かつ適応性の役割を果たす。虚血発作の最初の数時間以内のラクテートレベルの有意な上昇は、細胞外pHの減少を引き起こし、局所脳虚血中の中心部において7.2から6.5未満まで降下し得る。アシドーシスは、虚血発作の不都合な予後徴候であるように見える。
【0055】
虚血発作は、血餅または他の粒子による血管の閉塞のために、脳の一部への血液供給が遮断されたときに起こる。また、プラークと呼ばれる脂肪質は、血管内での蓄積により封鎖を引き起こし得る。虚血発作における血流の封鎖は、経時的に動脈の狭窄を引き起こすアテローム性動脈硬化症により引き起こされることがある。虚血発作は、脳に供給する動脈のどこかの封鎖により引き起こされ得る。
虚血発作は、血餅またはプラーク片が身体のどこか別の場所(通常、心臓)で形成し、脳に移動する塞栓性発作であり得る。脳に入ると、血餅は、細いためにその通過を封鎖する血管へと移動する。血餅はそこに留まり、血管を封鎖し、発作を引き起こす。塞栓性発作の約15%は、心房細動(Afib)を有する人において起こる。
【0056】
虚血発作は、脳に血液を供給する動脈のうちの1つの内側で形成する血餅により引き起こされる血栓性発作であり得る。この型の発作は、通常、高コレステロールレベルおよびアテローム性動脈硬化症を有する人において見られる。血栓性発作は、大血管血栓症または小血管疾患であり得る。大血管血栓症は、脳のより大きな動脈において起こる。ほとんどの場合、それは、迅速な血餅形成と組み合わさった長期アテローム性動脈硬化症により引き起こされる。高コレステロールは、この型の発作の共通リスク因子である。小血管疾患またはラクナ梗塞は、高血圧に密接に連結している。
【0057】
本技術の抗ASIC1a抗体
本技術は、本技術の抗ASIC1a抗体(例えば、抗ASIC1a抗体またはその抗原結合性断片)の発生および使用のための方法および組成物を説明する。本技術の抗ASIC1a抗体は、虚血発作の診断または治療において有用であり得る。本技術の範囲内の本技術の抗ASIC1a抗体は、例えば、標的ポリペプチド、そのホモログ、誘導体または断片に特異的に結合するモノクローナル、キメラ、ヒト化、二重特異性抗体およびディアボディを含むが、これらに限定されない。
以下の表は、本技術の抗ASIC1a抗体の相補性決定領域(CDR)配列を示す。
したがって、抗体またはその抗原結合性断片(本技術の抗ASIC1a抗体)は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含むことがあり、VHは、本明細書で開示される相補性決定領域VH-CDR1、VH-CDR2およびVH-CDR3を含み;VLは、本明細書で開示される相補性決定領域VL-CDR1、VL-CDR2およびVL-CDR3を含む。
【0058】
ASC06のVH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2およびVL-CDR3の配列は、以下の通りである。
【表2】
【0059】
以下の配列は、ASC06-01~ASC06-14のVH-CDR1、VH-CDR2、VL-CDR1、VL-CDR2およびVL-CDR3配列を示す。
【表3】
【0060】
一部の実施形態では、ASC06-01~ASC06-14は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。ASC06-01~ASC06-14のVH-CDR3配列は、以下の表に示される通りである。
【表4】
【0061】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列、ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。
【0062】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗原結合性断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvおよびFvからなる群から選択される。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である。
【0063】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aに結合する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aのアンタゴニストである。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1a媒介酸誘導流を阻害する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1a媒介酸誘導カルシウム流入を阻害する。
【0064】
加えてまたはあるいは、VLは、配列番号2を含み、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0065】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VLは、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列、配列番号5のVL-CDR3配列を含み、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0066】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VHが配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。一態様では、本開示は、(a)配列番号2の軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VL);および/または(b)配列番号7の重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VH)を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
一態様では、本技術は、軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含む抗体またはその抗原結合性断片を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、LCが、配列番号2を含むアミノ酸配列を含み、HCが、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)を含み、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。
【0067】
一態様では、本開示は、(a)配列番号2に存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VL);ならびに/または(b)(b1)配列番号8に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR1、(b2)配列番号9に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR2および/または(b3)配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35もしくは配列番号37のいずれか1つに存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR3を含む重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VH)を含む抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0068】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VLは、配列番号3に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR1;配列番号4に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR2;および/または配列番号5に存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR3を含む。
【0069】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VLが配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0070】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、配列番号8および配列番号9からなる群から選択されるアミノ酸配列をさらに含む。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、配列番号8および配列番号9のアミノ酸配列を含む。
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である。
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、ASIC1aに結合する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、ASIC1aのアンタゴニストである。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、ASIC1a媒介酸誘導流を阻害する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、ASIC1a媒介酸誘導カルシウム流入を阻害する。
【0071】
一態様では、本技術は、本明細書で説明される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードする核酸配列を提供する。また、本明細書で説明される抗体のいずれかをコードする組換え核酸配列が本明細書で開示される。一部の実施形態では、核酸配列は、配列番号1、6、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36および38からなる群から選択される。
別の態様では、本技術は、本明細書で説明される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードする任意の核酸配列を発現する宿主細胞を提供する。
抗体またはその抗原結合性断片(本技術の抗ASIC1a抗体)は、ASIC1aタンパク質に特異的に結合し得る。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1aの細胞外ドメインに結合し得る。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、2つのASIC1a単量体にまたがるエピトープに結合し得る。
【0072】
一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1a三量体の機能を阻害する。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1a三量体の安定性を減少させる。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1a三量体の機能を向上する。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1a三量体を安定化する。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1aと、他のASIC1アイソマーとのヘテロオリゴマー化(例えば、ヘテロ三量体化)を阻害する。
【0073】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、抗体、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’、F(ab’)2またはscFv-Fc抗体である。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、scFv抗体である。一部の実施形態では、scFv抗体は、ASC06、ASC06-01、ASC06-02、ASC06-03、ASC06-04、ASC06-05、ASC06-06、ASC06-07、ASC06-08、ASC06-09、ASC06-10、ASC06-11、ASC06-12、ASC06-13またはASC06-14である。
【0074】
製剤
例として、本技術の抗ASIC1a抗体は、単純な送達媒体で処方される。しかしながら、本技術の抗ASIC1a抗体は、凍結乾燥するか、またはゲル、クリーム、生体材料、放出維持送達媒体に組み込んでもよい。
本技術の抗ASIC1a抗体は、一般的に、薬学的に許容できる担体と組み合わせられる。「薬学的に許容できる担体」という用語は、それ自体、組成物を受容する個体に有害な抗体の生成を誘導せず、かつ過度の毒性を伴わずに投与され得る任意の薬学的担体を指す。好適な担体は、大きな、緩徐に代謝される高分子、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマーおよびアミノ酸コポリマーであり得る。そのような担体は、当業者に周知である。治療用組成物中の薬学的に許容できる担体には、液体、例えば、水、食塩水、グリセロールおよびエタノールが含まれ得る。また、補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などは、そのような媒体中に存在してもよい。また、薬学的に許容できる塩、例えば、鉱酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩など;および有機酸塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などは、医薬組成物中に存在してもよい。
【0075】
投与様式および有効投与量
細胞、器官または組織をペプチドと接触させるための当業者に公知の任意の方法を使用することができる。好適な方法には、in vitro、ex vivoまたはin vivo法が含まれる。in vivo法には、典型的に、本技術の抗ASIC1a抗体、例えば、上記で説明される抗ASIC1a抗体の、哺乳動物、好適にはヒトへの投与が含まれる。治療のためにin vivoで使用される場合、本技術の抗ASIC1a抗体は、有効量(すなわち、所望の治療効果を有する量)で対象に投与される。用量および投与量レジメンは、対象における感染の程度、使用される本技術の特定の抗ASIC1a抗体の特徴、例えば、その治療指数、対象および対象の病歴に依存する。
有効量は、医師および臨床医によく知られている方法により前臨床試験および臨床試験中に決定され得る。本方法において有用なペプチドの有効量は、医薬化合物を投与するためのいくつかの周知の方法のいずれかにより、それを必要とする哺乳動物に投与され得る。ペプチドは、全身的にまたは局所的に投与され得る。
【0076】
本明細書で説明される本技術の抗ASIC1a抗体は、単独でまたは組合せで、本明細書で説明される障害の治療または予防のための、対象への投与のために医薬組成物に組み込まれ得る。そのような組成物は、典型的に、活性剤および薬学的に許容できる担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」という用語は、医薬投与と適合性の食塩水、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。また、補助的活性化合物を、組成物に組み込んでもよい。
【0077】
医薬組成物は、典型的に、その意図される投与経路と適合性であるように処方される。投与経路の例には、非経口(例えば、静脈内、皮内、腹腔内または皮下)、経口、吸入、経皮(局部)、眼内、イオン導入および経粘膜投与が含まれる。非経口、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩溶液、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化物質、例えば、アスコルビン酸または重硫酸ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば、アセテート、シトレートまたはホスフェート;および等張性の調節のための剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロースを含み得る。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムにより調節することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製の、アンプル、使い捨てシリンジまたは多用量バイアルに封入され得る。患者または治療する医師の便利のために、投薬製剤は、治療過程(例えば、7日間の治療)に必要な全ての設備(例えば、薬物のバイアル、希釈剤のバイアル、シリンジおよび針)を含有するキットで提供してもよい。
【0078】
一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、非経口経路により投与される。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、局部経路により投与される。
注射用使用に好適な医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含み得る。静脈内投与のために、好適な担体は、生理食塩水、制菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、非経口投与のための組成物は、無菌でなければならず、容易にシリンジ使用可能であるように流動性であるべきである。それは、製造および保存の条件下で安定であるべきであり、微生物、例えば、細菌および真菌の汚染作用に対して保存されなければならない。
【0079】
本技術の組成物の抗ASIC1a抗体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る担体を含んでもよい。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えば、レシチンの使用により、分散液の場合必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チオメルサール(thiomerasol)などにより達成することができる。酸化を防ぐためにグルタチオンおよび他の抗酸化物質を含めてもよい。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムは、組成物に含まれる。注射用組成物の吸収の延長は、組成物に、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0080】
滅菌注射用溶液は、上記に列挙される成分のうちの1種または組合せを伴って、必要な量の活性化合物を適切な溶媒に組み込み、必要に応じて、次いで濾過滅菌することにより調製することができる。一般的に、分散液は、活性化合物を、基本分散媒体および上記に列挙される成分からの必要な他の成分を含有する滅菌媒体に組み込むことにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、典型的な調製方法には、真空乾燥および凍結乾燥が含まれ、これらは、活性成分および任意の追加の所望の成分の以前に濾過滅菌した溶液から、その粉末を生成し得る。
【0081】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療剤投与の目的のために、活性化合物を、賦形剤と組み合わせ、錠剤、トローチ剤またはカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態で使用してもよい。また、経口組成物は、口腔洗浄薬としての使用のために、流動担体を使用して調製してもよい。薬学的に適合性の結合剤および/または補助物質を、組成物の部分として含めてもよい。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ剤などは、以下の成分:結合剤、例えば、微結晶セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプンもしくはラクトース;崩壊剤、例えば、アルギン酸、Primogelもしくはトウモロコシデンプン;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes;滑剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロースもしくはサッカリン;または香剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香料、または同様の性質の化合物のいずれかを含有することができる。
【0082】
吸入による投与のために、本技術の抗ASIC1a抗体は、好適な噴射剤、例えば、気体、例えば、二酸化炭素または噴霧剤を含有する加圧容器またはディスペンサーからのエアゾールスプレーの形態で送達してもよい。そのような方法は、米国特許第6,468,798号で説明される方法を含む。
また、本明細書で説明される本技術の抗ASIC1a抗体の全身的投与は、経粘膜または経皮手段による投与であってもよい。経粘膜または経皮投与のために、浸透するべき障壁に適切な浸透剤が、製剤において使用される。そのような浸透剤は、一般的に、当該技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与のために、洗剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻スプレーの使用を通して達成してもよい。経皮投与のために、活性化合物は、当該技術分野において一般的に公知の、軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに処方される。一実施形態では、経皮投与は、イオン導入により行うことができる。
【0083】
本技術の抗ASIC1a抗体は、担体系に処方することができる。担体は、コロイド系であり得る。コロイド系は、リン脂質二重層媒体であるリポソームであり得る。一実施形態では、治療用ペプチドは、ペプチド完全性を維持しながらリポソームに被包される。当業者が理解し得る通り、リポソームを調製するための様々な方法が存在する。(Lichtenberg et al., Methods Biochem. Anal., 33:337-462 (1988);Anselem et al., Liposome Technology, CRC Press (1993)を参照されたい)。リポソーム製剤は、クリアランスを遅延させ、細胞取り込みを増大させることができる(Reddy, Ann. Pharmacother., 34(7-8):915-923 (2000)を参照されたい)。また、活性剤は、非限定的に、可溶性、不溶性、浸透性、不浸透性、生分解性または胃保持性ポリマーまたはリポソームを含む薬学的に許容できる成分から調製した粒子にロードしてもよい。そのような粒子には、ナノ粒子、生分解性ナノ粒子、微粒子、生分解性微粒子、ナノスフェア、生分解性ナノスフェア、マイクロスフェア、生分解性マイクロスフェア、カプセル、エマルジョン、リポソーム、ミセルおよびウイルスベクター系が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
また、担体は、ポリマー、例えば、生分解性、生体適合性ポリマーマトリックスであり得る。一実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、タンパク質完全性を維持しながら、ポリマーマトリックスに包埋され得る。ポリマーは、天然、例えば、ポリペプチド、タンパク質もしくは多糖、または合成、例えば、ポリα-ヒドロキシ酸であり得る。例には、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、多糖、フィブリン、ゼラチンおよびそれらの組合せから製造された担体が含まれる。一実施形態では、ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)またはコ-ポリ乳酸/グリコール酸(PGLA)である。ポリマーマトリックスは、マイクロスフェアおよびナノスフェアを含む様々な形態およびサイズで調製および単離され得る。ポリマー製剤は、治療効果の持続期間の延長をもたらし得る(Reddy, Ann. Pharmacother., 34(7-8):915-923 (2000)を参照されたい)。ヒト成長ホルモン(hGH)のポリマー製剤は、臨床試験において使用されている。(Kozarich and Rich, Chemical Biology, 2:548-552 (1998)を参照されたい)。
【0085】
ポリマーマイクロスフェア放出維持製剤の例は、PCT公開公報第99/15154号(Tracyら)、米国特許第5,674,534号および同第5,716,644号(両方ともZaleら)、PCT公開公報第96/40073号(Zaleら)ならびにPCT公開公報第00/38651号(Shahら)で説明されている。米国特許第5,674,534号および同第5,716,644号、ならびにPCT公開公報第96/40073号は、塩により凝集に対して安定化される、エリスロポエチンの粒子を含有するポリマーマトリックスを説明している。
【0086】
一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、本技術の抗ASIC1a抗体を、身体からの迅速な除去から保護する担体、例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤を伴って調製される。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸を使用してもよい。そのような製剤は、公知の技法を使用して調製することができる。また、材料は、市販で、例えば、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Incから得てもよい。また、リポソーム懸濁液(細胞特異的抗原に対するモノクローナル抗体により特定の細胞にターゲティングされたリポソームを含む)は、薬学的に許容できる担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号で説明される通り、当業者に公知の方法により調製することができる。
【0087】
また、本技術の抗ASIC1a抗体は、細胞内送達を向上するように処方してもよい。例えば、リポソーム送達系は、当該技術分野において公知であり、例えば、Chonn and Cullis, “Recent Advances in Liposome Drug Delivery Systems,” Current Opinion in Biotechnology 6:698-708 (1995);Weiner, “Liposomes for Protein Delivery: Selecting Manufacture and Development Processes,” Immunomethods, 4(3):201-9 (1994);およびGregoriadis, “Engineering Liposomes for Drug Delivery: Progress and Problems,” Trends Biotechnol., 13(12):527-37 (1995)を参照されたい。Mizguchi et al., Cancer Lett., 100:63-69 (1996)は、in vivoおよびin vitroの両方でタンパク質を細胞に送達するための膜融合性リポソームの使用を説明している。
【0088】
本技術の抗ASIC1a抗体の投与量、毒性および治療的有効性は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準の薬学的手技により決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、それは、LD50/ED50の比として表すことができる。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体は、高治療指数を呈する。毒性副作用を呈する本技術の抗ASIC1a抗体を使用してもよいが、非感染細胞への潜在的な損傷を最小限にするために、そのような化合物を冒された組織部位にターゲティングし、それにより副作用を低減する送達系を設計することに注意を払うべきである。
【0089】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得たデータを、ヒトにおける使用のための投与量範囲を処方することにおいて使用することができる。そのような化合物の投与量は、ほとんどまたは全く毒性を有しない、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、使用される剤形、および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本方法において使用される本技術の任意の抗ASIC1a抗体について、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に見積もることができる。細胞培養物で決定されるIC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する用量を、動物モデルにおいて処方してもよい。そのような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿におけるレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定してもよい。
【0090】
典型的に、治療効果または予防効果を達成するのに十分な、本技術の抗ASIC1a抗体の有効量は、約0.000001mg/体重kg/日~約10,000mg/体重kg/日に及ぶ。好適には、投与量範囲は、約0.0001mg/体重kg/日~約100mg/体重kg/日である。例えば、投与量は、毎日、2日毎もしくは3日毎に1mg/体重kgもしくは10mg/体重kg、または毎週、2週毎もしくは3週毎に1~10mg/kgの範囲内であり得る。一実施形態では、ペプチドの1回の投与量は、0.001~10,000μg/体重kgに及ぶ。一実施形態では、担体中の本技術の抗ASIC1a抗体の濃度は、0.2~2000μg/送達mlに及ぶ。例示的な治療レジメンは、1日1回または1週間に1回の投与を必要とする。治療適用では、疾患の進行が低減または停止するまで、および対象が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投与量が、ときには必要とされる。その後、患者は、予防レジメンを投与され得る。
【0091】
一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体の治療有効量は、標的組織における、10-12~10-6M、例えば、約10-7Mのペプチドの濃度として定義され得る。この濃度は、0.001~100mg/kgの全身用量または体表面積による同等の用量により送達することができる。用量のスケジュールは、標的組織における治療用濃度を維持するために最適化され得る。一部の実施形態では、用量は、毎日1回または毎週1回の投与により投与されるが、連続投与(例えば、非経口点滴または経皮適用)もまた含み得る。一部の実施形態では、本技術の抗ASIC1a抗体の投与量は、「低」、「中」または「高」用量レベルで提供される。一実施形態では、低用量は、約0.0001~約0.5mg/kg/時、好適には約0.001~約0.1mg/kg/時で提供される。一実施形態では、中用量は、約0.01~約1.0mg/kg/時、好適には約0.01~約0.5mg/kg/時で提供される。一実施形態では、高用量は、約0.5~約10mg/kg/時、好適には約0.5~約2mg/kg/時で提供される。
【0092】
例えば、治療有効量は、突然の脱力;とりわけ身体の片側の、顔面、腕または脚の麻痺またはしびれ;顔面の片側の下垂;錯乱;発話困難、例えば、不明瞭な言葉、または会話を理解することの困難;片目または両目の視覚の異常、例えば、片目または両目の霧視もしくは黒くなった視野または複視;呼吸困難;眩暈;歩行困難;例えば不明な転倒を引き起こす平衡感覚または共調運動の喪失;意識消失;および突然かつ重度の頭痛を含む、虚血発作の1種または複数種の症状を部分的または完全に軽減し得る。治療有効量は、非限定的に、突然開始する顔面脱力(例えば、顔面の片側の下垂)、腕のふらつきおよび発話異常を含む、虚血発作の1種または複数種の症状を部分的または完全に軽減し得る。
【0093】
当業者は、非限定的に、疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の健康全般および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含む、ある特定の因子が、対象を有効に治療するために必要とされる投与量およびタイミングに影響し得ることを理解する。さらに、対象の、治療有効量の本明細書で説明される治療用組成物での治療は、1回の治療または1連の治療を含み得る。
本方法により治療される哺乳動物は、例えば、家畜動物、例えば、ヒツジ、ブタ、ウシおよびウマ;愛玩動物、例えば、イヌおよびネコ;研究用動物、例えば、ラット、マウスおよびウサギを含む、任意の哺乳動物であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0094】
本技術の抗ASIC1a抗体の使用
概略。本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1aタンパク質またはその変異体の位置の特定および/または定量に関連する(例えば、適切な生理学的試料内のASIC1aタンパク質のレベルの測定における使用のため、診断方法における使用のため、ポリペプチドの画像化における使用のためなどの)当該技術分野において公知の方法において有用である。本技術の抗ASIC1a抗体は、標準の技法、例えば、親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降により、ASIC1aタンパク質を単離するために有用である。本技術の抗ASIC1a抗体は、生体試料、例えば、哺乳動物血清または細胞からの天然免疫反応性ASIC1aタンパク質、および宿主系で発現された組換え生成免疫反応性ASIC1aタンパク質の精製を促進し得る。さらに、本技術の抗ASIC1a抗体を使用して、免疫反応性ポリペプチドの発現の存在量およびパターンを評価するために、免疫反応性ASIC1aタンパク質またはその断片(例えば、血漿、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出することができる。本技術の抗ASIC1a抗体を診断的に使用して、臨床試験手技の部分として組織における免疫反応性ASIC1aタンパク質レベルをモニターすること、例えば、所与の治療レジメンの有効性を決定することができる。上記に示される通り、検出は、本技術の抗ASIC1a抗体を検出可能な物質にカップリングすること(すなわち、物理的に連結すること)により促進することができる。
【0095】
ASIC1aタンパク質の検出。生体試料中の免疫反応性ASIC1aタンパク質の存在または非存在を検出するための例示的な方法は、試験対象から生体試料を得ることと、免疫反応性ASIC1aタンパク質の存在が生体試料において検出されるように、生体試料を、免疫反応性ASIC1aタンパク質を検出することができる本技術の抗ASIC1a抗体と接触させることとを含む。検出は、抗体に付着した検出可能な標識の手段により達成され得る。
【0096】
本技術抗体の抗ASIC1a抗体についての「標識化」という用語は、検出可能な物質を抗体にカップリングすること(すなわち、物理的に連結すること)による抗体の直接的な標識化、および直接的に標識化される別の化合物、例えば、二次抗体との反応性による抗体の間接的な標識化を包含すると意図される。間接的な標識化の例には、蛍光標識二次抗体を使用する一次抗体の検出、およびビオチンが蛍光標識ストレプトアビジンにより検出され得るような、DNAプローブの、ビオチンによる末端標識化が含まれる。
一部の実施形態では、本明細書で開示される本技術の抗ASIC1a抗体は、1種または複数種の検出可能な標識にコンジュゲートされる。そのような使用のために、本技術抗体の抗ASIC1a抗体は、発色性標識、酵素標識、放射性同位体標識、同位体標識、蛍光標識、毒性標識、化学発光標識、核磁気共鳴造影剤標識または他の標識の共有または非共有結合により検出可能に標識化され得る。
【0097】
好適な発色性標識の例には、ジアミノベンジジンおよび4-ヒドロキシアゾベンゼン-2-カルボン酸が含まれる。好適な酵素標識の例には、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、Δ-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
【0098】
好適な放射性同位体標識の例には、3H、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pdなどが含まれる。111Inは、125Iまたは131I標識したASIC1aまたはASIC1aタンパク質結合抗体の肝臓による脱ハロゲン化の問題を避けるので、それは、in vivo画像化が使用される例示的な同位体である。加えて、この同位体は、画像化に、より有利なガンマ放射エネルギーを有する(Perkins et al, Eur. J. Nucl. Med. 70:296-301 (1985);Carasquillo et al., J. Nucl. Med. 25:281-287 (1987))。例えば、1-(P-イソチオシアネートベンジル)-DPTAを伴うモノクローナル抗体にカップリングした111Inは、非腫瘍性組織、特に肝臓においてほとんど取り込みを示さず、腫瘍位置の特定の特異性を向上する(Esteban et al., J. Nucl. Med. 28:861-870 (1987))。好適な非放射性同位体標識の例には、157Gd、55Mn、162Dy、52Trおよび56Feが含まれる。
【0099】
好適な蛍光標識の例には、152Eu標識、蛍光標識、イソチオシアネート標識、ローダミン標識、フィコエリトリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、緑色蛍光タンパク質(GFP)標識、o-フタルアルデヒド(o-phthaldehyde)標識およびフルオレスカミン標識が含まれる。好適な毒素標識の例には、ジフテリア毒素、リシンおよびコレラ毒素が含まれる。
化学発光標識の例には、ルミノール標識、イソルミノール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識およびエクオリン標識が含まれる。核磁気共鳴造影剤の例には、重金属核、例えば、Gd、Mnおよび鉄が含まれる。
【0100】
本技術の検出方法を使用して、in vitroおよびin vivoで、生体試料中の免疫反応性ASIC1aタンパク質を検出することができる。免疫反応性ASIC1aタンパク質の検出のためのin vitro技法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降、放射免疫アッセイおよび免疫蛍光が含まれる。さらに、免疫反応性ASIC1aタンパク質の検出のためのin vivo技法は、対象に、標識化した本技術抗体の抗ASIC1a抗体を導入することを含む。例えば、本技術抗体の抗ASIC1a抗体は、対象における存在および場所が標準の画像化技法により検出され得る放射性マーカーで標識化され得る。一実施形態では、生体試料は、試験対象からのASIC1aタンパク質分子を含有する。
【0101】
免疫アッセイおよび画像化。本技術の抗ASIC1a抗体を使用して、抗体ベースの技法を使用して生体試料(例えば、ヒト血漿)中の免疫反応性ASIC1aタンパク質レベルをアッセイすることができる。例えば、組織におけるタンパク質発現は、古典的免疫組織学的方法により研究され得る。Jalkanen, M. et al., J. Cell. Biol. 101: 976-985, 1985;Jalkanen, M. et al., J. Cell. Biol. 105: 3087-3096, 1987。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体ベースの方法には、免疫アッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA)が含まれる。好適な抗体アッセイ標識は、当該技術分野において公知であり、酵素標識、例えば、グルコースオキシダーゼ、ならびに放射性同位体または他の放射性の剤、例えば、ヨウ素(125I、121I、131I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)およびテクネチウム(99mTc)、ならびに蛍光標識、例えば、フルオレセイン、ローダミンおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)、ならびにビオチンを含む。
【0102】
生体試料において免疫反応性ASIC1aタンパク質レベルをアッセイすることに加えて、本技術の抗ASIC1a抗体は、ASIC1aタンパク質のin vivo画像化のために使用することができる。この方法に有用な抗体は、X線撮影、NMRまたはESRにより検出可能な抗体を含む。X線撮影について、好適な標識は、検出可能な放射線を放出するが、対象にとって明白に有害でない放射性同位体、例えば、バリウムまたはセシウムを含む。NMRおよびESRに好適なマーカーは、関連scFvクローンのための栄養素の標識化により本技術抗体の抗ASIC1a抗体に組み込むことができる、検出可能な特徴的スピンを有するマーカー、例えば、重水素を含む。
【0103】
適切な検出可能な画像化部分、例えば、放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc)、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴により検出可能な物質で標識化した本技術の抗ASIC1a抗体は、対象に導入される(例えば、非経口で、皮下にまたは腹腔内に)。対象のサイズおよび使用される画像化系が、診断画像を生成するために必要な画像化部分の量を決定することが当該技術分野において理解される。放射性同位体部分の場合、ヒト対象について、注入される放射活性の量は、普通、約5~20mCiの99mTcに及ぶ。標識化した本技術抗体の抗ASIC1a抗体は、その後、細胞の、特定の標的ポリペプチドを含有する場所で蓄積する。例えば、標識化した本技術の抗ASIC1a抗体は、対象内で、ASIC1aタンパク質が局在化した細胞および組織において蓄積する。
【0104】
したがって、本技術は、(a)個体の細胞または体液中の本技術の抗ASIC1a抗体の結合を測定することにより免疫反応性ASIC1aタンパク質の発現をアッセイすることと、(b)試料中に存在する免疫反応性ASIC1aタンパク質の量を標準対照と比較することであって、標準と比較した免疫反応性ASIC1aタンパク質レベルの増大または減少が健康状態を示す、比較することとを含む、健康状態の診断方法を提供する。
親和性精製。本技術の抗ASIC1a抗体を使用して、試料から免疫反応性ASIC1aタンパク質を精製することができる。一部の実施形態では、抗体は、固体支持体上に固定される。そのような固体支持体の例には、プラスチック、例えば、ポリカーボネート;複合糖質、例えば、アガロースおよびセファロース;アクリル樹脂、例えば、ポリアクリルアミド;ならびにラテックスビーズが含まれる。抗体の、そのような固体支持体へのカップリングのための技法は、当該技術分野において周知である(Weir et al., “Handbook of Experimental Immunology” 4th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, England, Chapter 10 (1986);Jacoby et al., Meth. Enzym. 34 Academic Press, N.Y. (1974))。
【0105】
抗原を抗体支持マトリックスに結合する最も単純な方法は、ビーズをカラム内に収集し、抗原溶液をカラムに通すことである。この方法の効率は、固定化抗体と抗原との間の接触時間に依存し、それは、低流速を使用することにより拡張することができる。固定化抗体は、抗原が流れて通り過ぎるときに抗原を捕獲する。あるいは、抗原溶液を支持体(例えば、ビーズ)と混合し、スラリーを回転または振盪し、抗原と固定化抗体との間の最大接触を可能にすることにより、抗原を、抗体支持マトリックスと接触させてもよい。結合反応が完了した後、スラリーをカラムに通し、ビーズを収集する。ビーズを好適な洗浄緩衝液を使用して洗浄し、その後、純粋なまたは実質的に純粋な抗原を溶離する。
【0106】
目的の抗体またはポリペプチドは、固体支持体、例えば、ビーズにコンジュゲートしてもよい。加えて、また、第1の固体支持体、例えば、ビーズは、所望の場合、ポリペプチドの、支持体へのコンジュゲーションのための本明細書で開示される手段を含む任意の好適な手段により、第2のビーズまたは他の支持体であり得る第2の固体支持体にコンジュゲートしてもよい。したがって、また、ポリペプチドの、固体支持体へのコンジュゲーションについての、本明細書で開示されるコンジュゲーション方法および手段のいずれかは、第1の支持体の、第2の支持体へのコンジュゲーションに適用してもよく、第1および第2の固体支持体は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0107】
ポリペプチドを固体支持体へコンジュゲートするための使用のための、架橋結合剤であり得る適切なリンカーは、支持体の表面に存在する官能基と、もしくはポリペプチドと、または両方と反応し得る様々な剤を含む。架橋結合剤として有用な試薬には、ホモ二官能性、および特に、ヘテロ二官能性試薬が含まれる。有用な二官能性架橋結合剤には、N-SIAB、ジマレイミド、DTNB、N-SATA、N-SPDP、SMCCおよび6-HYNICが含まれるが、これらに限定されない。架橋結合剤は、ポリペプチドと固体支持体との間に選択的に切断可能な結合を提供するように選択してもよい。例えば、感光性架橋リンカー、例えば、3-アミノ-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸は、固体支持体からポリペプチドを切断するための手段として使用することができる。(Brown et al., Mol. Divers, pp, 4-12 (1995);Rothschild et al., Nucl. Acids Res., 24:351-66 (1996);および米国特許第5,643,722号)。他の架橋結合試薬は、当該技術分野において周知である。(例えば、Wong (1991)、上記;およびHermanson (1996)、上記を参照されたい)。
【0108】
抗体またはポリペプチドは、カルボキシル基官能基化ビーズとポリペプチドのアミノ末端との間に形成した共有アミド結合を通して、または逆に、アミノ基官能基化ビーズとポリペプチドのカルボキシル末端との間に形成した共有アミド結合を通して、固体支持体、例えば、ビーズに固定してもよい。加えて、二官能性トリチルリンカーは、支持体に、例えば、樹脂、例えば、Wang樹脂上の4-ニトロフェニル活性エステルに、アミノ樹脂を介して樹脂上のアミノ基またはカルボキシル基を通して、付着させてもよい。二官能性トリチル手法を使用すると、ポリペプチドが切断され、除去され得ることを確実にするために、固体支持体は、揮発酸、例えば、蟻酸またはトリフルオロ酢酸による処理を必要とし得る。そのような場合、ポリペプチドは、固体支持体のウェルの底に、または固体支持体の平らな表面上に、ビーズを含まないパッチとして堆積し得る。マトリックス溶液の添加後、ポリペプチドは、MSへと脱着され得る。
【0109】
また、疎水性トリチルリンカーは、揮発酸または適切なマトリックス溶液、例えば、3-HPAを含有するマトリックス溶液を使用することにより、ポリペプチドからアミノ連結トリチル基を切断するための、酸不安定性リンカーとして利用することができる。また、酸不安定性は、変えることができる。例えば、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチルまたはトリメトキシトリチルは、ポリペプチドの適切なp-置換またはより酸不安定性のトリチルアミン誘導体に変えることができる、すなわち、トリチルエーテルおよびトリチルアミン結合を、ポリペプチドに作製することができる。したがって、ポリペプチドは、例えば、疎水性引力を破壊することにより、または所望の場合、マトリックス、例えば3-HPAが酸として作用する典型的なMS条件下を含む酸性条件下で、トリチルエーテルもしくはトリチルアミン結合を切断することにより、疎水性リンカーから除去することができる。
【0110】
また、直交性に切断可能なリンカーは、第1の固体支持体、例えば、ビーズを、第2の固体支持体に結合するために、または目的のポリペプチドを固体支持体に結合するために有用であり得る。そのようなリンカーを使用して、支持体からポリペプチドを切断することなく、第1の固体支持体、例えば、ビーズは、第2の固体支持体から選択的に切断することができ;その後、ポリペプチドを、後にビーズから切断することができる。例えば、還元剤、例えば、DTTを使用して切断することができるジスルフィドリンカーは、ビーズを第2の固体支持体に結合するために使用することができ、酸切断可能な二官能性トリチル基は、ポリペプチドを支持体に固定するために使用することができる。所望の場合、ポリペプチドの、固体支持体への連結は、最初に切断してもよく、例えば、第1の支持体と第2の支持体との間の連結をインタクトなまま残す。トリチルリンカーは、共有または疎水性コンジュゲーションを提供することができ、コンジュゲーションの性質にかかわらず、トリチル基は、酸性条件下で容易に切断される。
【0111】
例えば、ビーズは、ビーズの固体支持体への高密度結合、またはポリペプチドのビーズへの高密度結合が促進されるような長さおよび化学的性質を有するように選択され得る連結基を通して、第2の支持体に結合することができる。そのような連結基は、例えば、「木のような」構造を有し、それにより固体支持体の付着部位当たりの官能基の多重性を提供し得る。そのような連結基の例には、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ペンタエリトロール(penta-erythrole)およびトリスヒドロキシアミノメタンが含まれる。
【0112】
非共有結合会合。非共有相互作用を通して、抗体またはポリペプチドを、固体支持体にコンジュゲートしてもよく、または、また、第1の固体支持体を、第2の固体支持体にコンジュゲートしてもよい。例えば、磁化することができる強磁性物質製の磁気ビーズは、磁気固体支持体に付着することができ、磁場の除去により支持体から放出することができる。あるいは、固体支持体は、イオン性または疎水性部分の、それぞれ、ポリペプチド、例えば、付着したトリチル基を含有するポリペプチドとの、または疎水性特徴を有する第2の固体支持体との相互作用を可能にし得る、イオン性または疎水性部分を伴って提供してもよい。
【0113】
また、固体支持体は、特異的結合対のメンバーを伴って提供してもよく、それゆえ、相補的結合部分を含有するポリペプチドまたは第2の固体支持体にコンジュゲートすることができる。例えば、アビジンでまたはストレプトアビジンでコーティングしたビーズは、組み込まれたビオチン部分を有するポリペプチドに、またはビオチンもしくはビオチン誘導体、例えばイミノビオチンでコーティングした第2の固体支持体に結合することができる。
【0114】
本明細書で開示されるかまたはそうでなければ当該技術分野において公知の結合メンバーのいずれかを逆にすることができることが認識されるべきである。したがって、例えば、ビオチンは、ポリペプチドまたは固体支持体のいずれかに組み込むことができ、逆に、アビジンまたは他のビオチン結合部分は、それぞれ、支持体またはポリペプチドに組み込まれ得る。本明細書における使用に企図される他の特異的結合対には、ホルモンおよびそれらの受容体、酵素およびそれらの基質、ヌクレオチド配列およびその相補的配列、抗体およびそれが特異的に相互作用する抗原、ならびに当業者に公知の他のそのような対が含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
A.本技術の抗ASIC1a抗体の診断的使用
概略。本技術の抗ASIC1a抗体は、診断方法において有用である。そのため、本技術は、対象におけるASIC1aタンパク質活性の診断において抗体を使用する方法を提供する。本技術の抗ASIC1a抗体は、それらが、任意のレベルのエピトープ結合特異性およびASIC1aタンパク質への非常に高い結合親和性を有するように選択され得る。一般的に、抗体の結合親和性が高ければ高いほど、免疫アッセイにおいて、標的ポリペプチドを除去することなく非特異的に結合した物質を除去するために、より厳密な洗浄条件を行うことができる。したがって、診断アッセイにおいて有用な本技術の抗ASIC1a抗体は、通常、約108-1、109-1、1010-1、1011-1または1012-1の結合親和性を有する。さらに、診断試薬として使用される本技術抗体の抗ASIC1a抗体は、標準条件下で、少なくとも12時間、少なくとも5時間または少なくとも1時間で平衡に達するのに十分な速度論的結合速度を有する。
【0116】
本技術抗体の抗ASIC1a抗体を使用して、様々な標準アッセイ形式において免疫反応性ASIC1aタンパク質を検出することができる。そのような形式には、免疫沈降、ウェスタンブロッティング、ELISA、放射免疫アッセイおよび免疫測定アッセイが含まれる。Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Publications, New York, 1988);米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,879,262号;同第4,034,074号、同第3,791,932号;同第3,817,837号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;および同第4,098,876号を参照されたい。生体試料は、対象の任意の組織または体液から得ることができる。ある特定の実施形態では、対象は、がんの初期段階にある。一実施形態では、がんの初期段階は、対象から得た試料中のASIC1aタンパク質のレベルまたは発現パターンにより決定される。ある特定の実施形態では、試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、羊水、脳脊髄液(CSF)および生検体組織からなる群から選択される。
【0117】
免疫測定アッセイまたはサンドイッチアッセイは、本技術の診断方法のための1つの形式である。米国特許第4,376,110号、同第4,486,530号、同第5,914,241号および同第5,965,375号を参照されたい。そのようなアッセイは、固相に固定された1つの抗体、例えば、本技術抗体の抗ASIC1a抗体、または本技術抗体の抗ASIC1a抗体の集団と、溶液中の別の本技術抗体の抗ASIC1a抗体、または本技術抗体の抗ASIC1a抗体の集団とを使用する。典型的に、本技術抗体の抗ASIC1a抗体、または本技術抗体の抗ASIC1a抗体の集団である溶液を標識化する。抗体集団が使用される場合、集団は、標的ポリペプチド内の様々なエピトープ特異性に結合する抗体を含有し得る。したがって、同じ集団を、固相および溶液抗体の両方に使用してもよい。本技術の抗ASIC1a抗体が使用される場合、異なる結合特異性を有する第1および第2のASIC1aタンパク質モノクローナル抗体が、固相および溶液相に使用される。固相(「キャプチャー」とも呼ばれる)抗体および溶液(「検出」とも呼ばれる)抗体は、いずれかの順序でまたは同時に、標的抗原と接触させてもよい。固相抗体を最初に接触させる場合、アッセイは、前向きアッセイであると言われる。逆に、溶液抗体を最初に接触させる場合、アッセイは、逆向きアッセイであると言われる。標的を両方の抗体と同時に接触させる場合、アッセイは、同時アッセイと呼ばれる。ASIC1aタンパク質を本技術抗体の抗ASIC1a抗体と接触させた後、試料を、通常約10分間~約24時間で変動し、通常約1時間である期間の間、インキュベートする。その後、洗浄ステップを行って、診断試薬として使用される本技術抗体の抗ASIC1a抗体に特異的に結合していない試料の成分を除去する。固相抗体および溶液抗体を別々のステップで結合させる場合、洗浄は、いずれかの結合ステップまたは両方の結合ステップの後に行ってもよい。洗浄後、典型的に、標識化溶液抗体の結合を通して固相に連結した標識を検出することにより、結合を定量する。通常、所与の抗体または抗体集団の対および所与の反応条件について、公知の濃度の標的抗原を含有する試料から、較正曲線を準備する。その後、試験される試料中の免疫反応性ASIC1aタンパク質の濃度を、較正曲線(すなわち、標準曲線)から補間により読み取る。分析物は、平衡において結合した標識化溶液抗体の量から、または平衡に達する前の1連の時点における結合した標識化溶液抗体の速度論的測定値により測定することができる。そのような曲線の傾きは、試料中のASIC1aタンパク質の濃度の測定値である。
【0118】
上記方法における使用に好適な支持体には、例えば、ニトロセルロース膜、ナイロン膜および誘導体化ナイロン膜、ならびにまた粒子、例えば、アガロース、デキストランベースのゲル、ディップスティック、粒子状物質、マイクロスフェア、磁気粒子、試験管、マイクロタイターウェル、SEPHADEX(商標)(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway N.J.)などが含まれる。固定化は、吸収による、または共有結合による固定化であり得る。本技術抗体の抗ASIC1a抗体は、表面結合リンカー、例えば、アビジンへの付着のために、リンカー分子、例えば、ビオチンに接合させてもよい。
【0119】
一部の実施形態では、本開示は、診断剤にコンジュゲートした本技術の抗ASIC1a抗体を提供する。診断剤は、放射性または非放射性標識、造影剤(例えば、磁気共鳴画像化、コンピュータ断層撮影または超音波のための)を含むことがあり、放射性標識は、ガンマ-、ベータ-、アルファ-、オージェ電子-または陽電子-放射同位体であり得る。診断剤は、抗体部分、すなわち、抗体または抗体断片もしくはサブ断片にコンジュゲートして投与される分子であり、抗原を含有する細胞の位置を特定することにより、疾患を診断または検出することにおいて有用である。
【0120】
有用な診断剤には、放射性同位体、染料(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン複合体による)、造影剤、蛍光化合物または分子、および磁気共鳴画像化(MRI)のための増強剤(例えば、常磁性イオン)が含まれるが、これらに限定されない。米国特許第6,331,175号は、MRI技法、およびMRI増強剤にコンジュゲートした抗体の調製を説明しており、参照によりその全体を本明細書に組み込む。一部の実施形態では、診断剤は、放射性同位体、磁気共鳴画像化における使用のための増強剤、および蛍光化合物からなる群から選択される。抗体成分に放射性金属または常磁性イオンをロードするために、それを、イオンを結合するための多重性のキレート基が付着しているロングテールを有する試薬と反応させることが必要であり得る。そのようなテールは、キレート基、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビスチオセミカルバゾン、ポリオキシムおよびこの目的のために有用であることが公知のそのような基が結合し得るポリマー、例えば、ポリリジン、多糖、またはペンダント基を有する他の誘導体化もしくは誘導体化可能な鎖であり得る。キレートは、標準の化学を使用して本技術の抗体にカップリングされ得る。キレートは、普通、最小限の免疫反応性の喪失ならびに最小限の凝集および/または内部架橋結合で、分子への結合の形成を可能にする基により抗体に連結される。キレートを抗体にコンジュゲートするための他の方法および試薬は、米国特許第4,824,659号で開示されている。特に有用な金属キレートの組合せには、放射性画像化のための診断用同位体で使用される、2-ベンジル-DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシルアナログが含まれる。同じキレートは、非放射性金属、例えば、マンガン、鉄およびガドリニウムと複合化させた場合、本技術のASIC1aタンパク質抗体と共に使用すると、MRIに有用である。
【0121】
本技術の抗ASIC1a抗体の治療的使用
概略。一部の態様では、本技術の抗ASIC1a抗体は、本明細書で開示される方法において有用であり、虚血発作および関連状態の予防、改善または治療のための療法を提供する。
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aタンパク質に結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aの細胞外ドメインに結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、2つのASIC1aモノマーに及ぶエピトープに結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aトリマーの機能を阻害する。
【0122】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象においてアシドーシスを治療する方法であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VH-CDR3配列は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択される。
【0123】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象において虚血発作を治療する方法であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VH-CDR3配列は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択される。
【0124】
一態様では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む、治療有効量の有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、それを必要とする対象においてASIC1a活性および/またはシグナル伝達によって引き起こされるかまたはそれに関連する障害を治療する方法であって、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、VLが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、方法に関する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VH-CDR3配列は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択される。
【0125】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗原結合性断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvおよびFvからなる群から選択される。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である。
【0126】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aに結合する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1aのアンタゴニストである。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1a媒介酸誘導流を阻害する。加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ASIC1a媒介酸誘導カルシウム流入を阻害する。
【0127】
加えてまたはあるいは、VLは、配列番号2を含み、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0128】
加えてまたはあるいは、一部の実施形態では、VLは、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列、配列番号5のVL-CDR3配列を含み、VHは、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列を含む。
【0129】
一部の実施形態では、虚血発作の1種または複数種の症状は、突然の脱力;とりわけ身体の片側の、顔面、腕または脚の麻痺またはしびれ;顔面の片側の下垂;錯乱;発話困難、例えば、不明瞭な言葉、または会話を理解することの困難;片目または両目の視覚の異常、例えば、片目または両目の霧視もしくは黒くなった視野または複視;呼吸困難;眩暈;歩行困難;例えば不明な転倒を引き起こす平衡感覚または共調運動の喪失;意識消失;および突然または重度の頭痛である。一部の実施形態では、虚血発作の1種または複数種の症状は、突然開始する顔面脱力(例えば、顔面の片側の下垂)、腕のふらつきおよび発話異常からなる群から選択される。
【0130】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、抗体、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’、F(ab’)2またはscFv-Fc抗体である。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、scFv抗体である。一部の実施形態では、scFv抗体は、ASC06、ASC06-01、ASC06-02、ASC06-03、ASC06-04、ASC06-05、ASC06-06、ASC06-07、ASC06-08、ASC06-09、ASC06-10、ASC06-11、ASC06-12、ASC06-13またはASC06-14である。
【0131】
したがって、例えば、1種または複数種の本技術の抗ASIC1a抗体は、(1)共に処方され、単独で、または他の活性剤もしくは本技術の抗ASIC1a抗体との組合せ製剤で同時に投与または送達されるか;(2)別々の製剤として交互にまたは並行して送達されるか;あるいは(3)当該技術分野において公知の他の任意の組合せ療法レジメンによる場合がある。交互療法で送達される場合、本明細書で説明される方法は、活性成分を逐次的に、例えば、別々の溶液、エマルジョン、懸濁液、錠剤、丸薬もしくはカプセルで、または別々のシリンジでの異なる注射により、投与または送達することを含み得る。一般的に、交互療法中、各活性成分の有効投与量は逐次的に、すなわち、順次に投与され、一方で同時療法では、2種またはそれよりも多い活性成分の有効投与量は、共に投与される。また、様々な順序の間欠性組合せ療法を使用してもよい。本技術の抗ASIC1a抗体と他の活性剤とのそのような組合せを投与することは、内科疾患または状態を患っている、治療を必要とする対象に治療有効量で投与されたとき、相乗的な生物学的効果をもたらし得る。そのような手法の利点は、虚血発作を患っているかまたはそれにかかりやすい対象を予防、改善または治療するために、対象において、より低用量の本技術の抗ASIC1a抗体および/または他の活性剤が必要とされ得ることである。さらに、治療の潜在的な副作用は、より低い投与量の本技術の抗ASIC1a抗体および/または他の活性剤の使用により避けることができる。
【0132】
本明細書で説明される本技術の抗ASIC1a抗体、例えば、ASC06、ASC06-01、ASC06-02、ASC06-03、ASC06-04、ASC06-05、ASC06-06、ASC06-07、ASC06-08、ASC06-09、ASC06-10、ASC06-11、ASC06-12、ASC06-13、ASC06-14などは、疾患を予防または治療するために有用である。具体的には、本開示は、虚血発作を患っているかまたはそれにかかりやすい対象を処置する予防方法および治療方法の両方を提供する。したがって、本方法は、変異体イオンチャネルタンパク質三量体の機能の回復のために、有効量の本技術の抗ASIC1a抗体を、それを必要とする対象に投与することにより、対象における、虚血発作を患っているかまたはそれにかかりやすい対象の予防および/または治療を提供する。本技術は、治療有効量の本明細書で開示される本技術の抗ASIC1a抗体、例えば、ASC06、ASC06-01、ASC06-02、ASC06-03、ASC06-04、ASC06-05、ASC06-06、ASC06-07、ASC06-08、ASC06-09、ASC06-10、ASC06-11、ASC06-12、ASC06-13、ASC06-14などの、それを必要とする対象への投与を通した、哺乳動物における、虚血発作を患っているかまたはそれにかかりやすい対象の治療に関する。
【0133】
本技術の抗ASIC1a抗体の生物学的効果の決定
様々な実施形態において、好適なin vitroまたはin vivoアッセイを行って、本技術の抗ASIC1a抗体に基づく特定の治療薬の効果、およびその投与が治療に指示されるかどうかを決定する。様々な実施形態において、in vitroアッセイは、代表的な細胞株、CHO-K1細胞、例えば、本明細書で開示されるCHO-K1/hASIC1a(全長hASIC1aを過剰発現する安定な細胞株)で行われ得る。これらの実験を使用して、所与の本技術の抗ASIC1a抗体が、ASIC1aタンパク質三量体の活性を阻害することにおいて所望の効果を発揮するかどうかを決定してもよい。治療における使用のための化合物は、ヒト対象における試験の前に、非限定的に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどを含む好適な動物モデル系において試験してもよい。同様に、in vivo試験のために、当該技術分野において公知の動物モデル系のいずれかは、ヒト対象への投与前に使用することができる。
【0134】
一部の実施形態では、ASIC1a活性は、本明細書で開示される通り、非限定的に、電気生理学的アッセイ、例えば、パッチクランプを含む当該技術分野において周知のアッセイにより決定される。一部の実施形態では、ASIC1a活性は、動物モデルにおいて生物活性を測定するアッセイにより決定される。一部の実施形態では、ASIC1a活性は、非限定的に、本明細書で開示されるマウス中大脳動脈閉塞(MCAO:middle cerebral artery occlusion)誘導虚血発作モデルを含む、動物モデルの疾患表現型の救済を測定するアッセイにより決定される。
【0135】
投与様式および有効投与量
細胞、器官または組織をペプチドと接触させるための当業者に公知の任意の方法を使用することができる。好適な方法には、in vitro、ex vivoまたはin vivo法が含まれる。in vivo法には、典型的に、免疫グロブリン関連組成物、例えば、上記に説明される組成物の、哺乳動物、好適にはヒトへの投与が含まれる。治療のためにin vivoで使用される場合、本技術の抗ASIC1a抗体は、有効量(すなわち、所望の治療効果を有する量)で対象に投与される。用量および投与量レジメンは、対象における症状の程度、使用される特定の免疫グロブリンの特徴、例えば、その治療指数、対象および対象の病歴に依存する。
有効量は、医師および臨床医によく知られている方法により前臨床試験および臨床試験中に決定され得る。本方法において有用な免疫グロブリンの有効量は、医薬化合物を投与するためのいくつかの周知の方法のいずれかにより、それを必要とする哺乳動物に投与され得る。免疫グロブリンは、全身的にまたは局所的に投与され得る。
【0136】
C.キット
本技術は、少なくとも1種の本技術の免疫グロブリン関連組成物(例えば、本明細書で説明される任意の抗体または抗原結合性断片)またはその機能的バリアント(例えば、置換バリアント)を含む、虚血発作の検出および/または治療のためのキットを提供する。本技術のキットの上記に説明される成分は、虚血発作、またはASIC1活性もしくはシグナル伝達の変更と関連付けられる疾患、例えば、神経変性疾患、神経心理学的疾患、てんかん、多発性硬化症、疼痛および片頭痛の診断および/または治療のために、好適な容器に包装し、ラベルを付けてもよい。上記に挙げる成分は、単位容器または多用量容器、例えば、密閉アンプル、バイアル、瓶、シリンジおよび試験管中に;水性溶液、好ましくは水性滅菌溶液として;または再構成のための凍結乾燥製剤、好ましくは凍結乾燥滅菌製剤として保存してもよい。キットは、医薬組成物をより大きな体積に希釈するために好適な希釈剤を保持する第2の容器をさらに含んでもよい。好適な希釈剤には、医薬組成物の薬学的に許容できる賦形剤および食塩溶液が含まれるが、これらに限定されない。さらに、キットは、医薬組成物を希釈するための説明書、および/または希釈されたかどうかにかかわらず、医薬組成物を投与するための説明書を含んでもよい。容器は、様々な材料、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成してもよく、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射針を突き刺してもよい、ストッパーを有する静脈内用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。キットは、薬学的に許容できる緩衝液、例えば、リン酸緩衝食塩水、リンガー液およびデキストロース溶液を含むより多くの容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、好適な宿主のうちの1種または複数種のための培養培地を含む、市販およびユーザーの観点から望ましい他の物質をさらに含んでもよい。キットは、例えば、治療用または診断用製品の使用に関する適応症、用法、投与量、製造、投与、禁忌および/または警告についての情報を含有する、そのような治療用または診断用製品の市販用包装物に習慣的に含まれる説明書を含んでもよい。
【0137】
キットは、生物学的試料、例えば、非限定的に、例えば血清、血漿、リンパ、嚢胞液、尿、便、脳脊髄液、腹水または血液を含む任意の体液、および体組織の生検試料を含む生物学的試料中の免疫反応性ASIC1aタンパク質の存在を検出するために有用である。例えば、キットは、生物学的試料中のASIC1aタンパク質に結合することができる1種または複数種の本技術のヒト化、キメラまたは二重特異性抗ASIC1a抗体(またはその抗原結合性断片);試料中のASIC1aタンパク質の量を決定するための手段;および試料中の免疫反応性ASIC1aタンパク質の量を標準と比較するための手段を含み得る。抗ASIC1a抗体のうちの1種または複数種を標識化してもよい。キット成分(例えば、試薬)は、好適な容器に包装してもよい。キットは、免疫反応性ASIC1aタンパク質を検出するためにキットを使用するための説明書をさらに含み得る。
【0138】
抗体ベースのキットについて、キットは、例えば、1)固体支持体に付着した第1の抗体、例えば、本技術のヒト化またはキメラ抗ASIC1a抗体(またはその抗原結合性断片)と、任意に、2)ASIC1aタンパク質または第1の抗体のいずれかに結合し、かつ検出可能な標識にコンジュゲートされている第2の異なる抗体とを含み得る。
また、キットは、例えば、緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定化剤を含み得る。キットは、検出可能な標識を検出するために必要な成分、例えば、酵素または基質をさらに含み得る。また、キットは、アッセイして試験試料と比較することができる対照試料または1連の対照試料を含有してもよい。キットの各成分は、個々の容器内に封入してもよく、様々な容器の全ては、キットを使用して行ったアッセイの結果を解釈するための説明書を伴って、単一の包装内に存在してもよい。本技術のキットは、キット容器上またはキット容器内に文書製品を含有してもよい。文書製品は、例えば、in vitroもしくはin vivoでのASIC1aタンパク質の検出のために、またはそれを必要とする対象における虚血発作の治療のために、キットに含有される試薬をどのように使用するかを説明する。ある特定の実施形態では、試薬の使用は、本技術の方法に従い得る。
【実施例
【0139】
本技術は、以下の実施例によりさらに例示され、この実施例は、いかなるようにも限定として解釈されるべきではない。以下の実施例の各々について、本明細書で説明される任意の免疫学的結合剤、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEおよび遺伝子改変IgGならびにそれらの断片を使用することができた。例として、限定ではなく、以下の実施例で使用されるscFvまたはIgG1抗体は、ASC06、ASC06-01、ASC06-02、ASC06-03、ASC06-04、ASC06-05、ASC06-06、ASC06-07、ASC06-08、ASC06-09、ASC06-10、ASC06-11、ASC06-12、ASC06-13またはASC06-14などであり得る。
【0140】
(実施例1)
ASC06抗体の親和性成熟
ASC06は、ASIC1aに対するアンタゴニスト活性を有する酸感受性イオンチャネル1a(ASIC1a)特異的抗体である。以下の表および図7A~Dは、ASC06のVL、VHおよびCDR配列のヌクレオチドおよびアミノ酸を示す(配列番号1~10)。
【0141】
【表5】
【0142】
より高い親和性のASIC1a選択的抗体を得るために、5x107の多様性を有する、ASC06抗体の変異体VH-CDR3配列を含む変異サブライブラリーを設計および合成した。変異サブライブラリーを含有するASC06-Fabの重鎖およびASC06-Fabの軽鎖の両方をコードするプラスミドを、酵母コンピテント細胞にトランスフェクトして、相同組換え法を使用して酵母ライブラリーを発生させた。酵母表面上にASC06-Fabライブラリーをディスプレイするために、酵母ライブラリーをAga2pタンパク質およびEGFPタンパク質と融合した。
【0143】
最初に、hASIC1aのビオチニル化三量体エクトドメイン(hASIC1a-ECD)への結合を、抗体の親和性成熟に使用した。次いで、反復回の蛍光活性化セルソーティング(FACSソーティング)により、酵母ライブラリーをスクリーニングした。図1で示される通り、毎回、より特異的なバインダーを選択し、増幅し、次回のFACSソーティングに供した。5回のスクリーニング後、富化酵母クローンを収集し、重鎖をコードするプラスミドを、配列決定および解析した。図1の右下のコンセンサス配列により示される通り、VH-CDR3の配列整列を含む、5回の選択後に選択されたプラスミドの配列解析は、VH-CDR3内のある特定のアミノ酸の保存を明らかにした。5回のスクリーニング後、成熟させた抗体の14種のクローンをサブライブラリーから特定した。14種のクローンをASC06-01~ASC06-14と命名した。以下の表は、ASC06-01~ASC06-14のVH-CDR3のアミノ酸配列、およびVH-CDR3配列をコードする例示的なヌクレオチド配列を示す。
【0144】
【表6】

【0145】
以下の表の配列、および図1の右下に示されるコンセンサス配列は、VH-CDR3が、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35または配列番号37と少なくとも75、80、85、90または95%同一であり得ることを実証する。これらの結果は、本明細書で開示される方法を使用して、VH-CDR1が配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも75、80、85、90または95%同一である場合があり;VH-CDR2が配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも75、80、85、90または95%同一である場合があり;かつVH-CDR2が配列番号9と少なくとも75、80、85、90または95%同一である場合があり;VH-CDR3が配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも75、80、85、90または95%同一である場合があり;かつVLが配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも75、80、85、90または95%同一である場合があることを含む、本開示の抗体を導き出すことができる場合があることをさらに実証する。
14種の抗体のうちの5種は、全長IgG1形式にさらに構築し、精製し、それらの結合特徴の研究に使用した。
【0146】
(実施例2)
結合能測定
IgG1形式の4種の親和性成熟抗体(ASC06-01-IgG1~ASC06-04-IgG1)の、hASIC1aの組換え細胞外ドメイン(hASIC1a-ECD)への結合親和性を、Biacore T200(商標)(GE Healthcare)を使用して測定した。ASC06-IgG1抗体を、陽性対照として使用した。全ての操作は、製造業者のユーザーガイドに従った。簡潔に説明すると、hASIC1aを固定化し、示される抗体の連続希釈物を分析物として添加した。結果の解析を、BIA evaluation software(商標)においてプロセスした。以下の表は、結合測定の結果を示す。以下の表で示される通り、WT抗体ASC06-IgG1の結合親和性は、2.8x10-10Mであった。比較すると、全ての4種の成熟抗体の結合親和性は、ASC06-IgG1の結合親和性よりも高かった。
【0147】
【表7】
【0148】
(実施例3)
結合選択性
ASC06-IgG1親和性成熟抗体の種選択性を調査するために、eYFPとASIC1aのげっ歯類ホモログとの融合タンパク質をコードするプラスミドを構築した。これらのプラスミドは、ヒトASIC1a(hASIC1a-eYFP)、マウスASIC1a(mASIC1a-eYFP)およびラットASIC1a(rASIC1a-eYFP)をコードするプラスミドを含んだ。CHO-K1細胞に、ASIC1a-eYFPプラスミドを一過性にトランスフェクトし、蛍光活性化セルソーティング(FACS)ベース結合アッセイを行って、細胞表面上に発現したASIC1aのホモログまたはアイソフォームへの結合を決定した。アイソタイプ対照を、結合についての陰性対照(NC)として使用した。ASC06-IgG1を、陽性対照として使用した。要約すると、ASIC1a-eYFP(緑色)ホモログを発現するCHO-K1細胞を、示される抗体(赤色)で染色し、FACSに供した。ASIC1a結合を、ASIC1a発現(eYFP、緑色)および抗体結合(赤色)について二重陽性であり、FACSプロファイルの右上4分の1区に見られる細胞集団の存在に基づいて検出した。図2で示される通り、FACS結果は、ASC06-01-IgG1、ASC06-02-IgG1、ASC06-03-IgG1およびASC06-04-IgG1が、ASC06-IgG1と同様に、hASIC1a-eYFP、mASIC1a-eYFPおよびrASIC1a-eYFPを発現する細胞に結合したことを明らかにした。これらのデータは、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体は、ASIC1aのヒトおよびげっ歯類ホモログに結合したことを示す。
【0149】
ASC06-IgG1親和性成熟抗体のASICアイソタイプ選択性を調査するために、eYFPとASIC1aのアイソフォームとの融合タンパク質をコードするプラスミドを構築した。これらのプラスミドは、ヒトASIC1b(hASIC1b-eYFP)、ヒトASIC2a(hASIC2a-eYFP)およびヒトASIC3a(hASIC3a-eYFP)をコードするプラスミドを含んだ。CHO-K1細胞に、これらのプラスミドを一過性にトランスフェクトし、本明細書で開示されるFACSベース結合アッセイにおいて使用した。ASC06-IgG1の、ヒトASIC1a-eYFP(hASIC1a-eYFP)を発現するCHO-K1細胞への結合を、陽性対照として使用し(データは示していない、および図2)、アイソタイプ対照を、結合についての陰性対照(NC)として使用した。図3で示される通り、FACS結果は、二重陽性細胞を示さず、ASC06-IgG1ならびにその誘導体ASC06-01-IgG1、ASC06-02-IgG1、ASC06-03-IgG1およびASC06-04-IgG1は、hASIC1b、hASIC2aまたはhASIC3aアイソフォームへの検出可能な結合を示さないことを示唆した。これらのデータは、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体は、アッセイ条件下でASIC1aにアイソタイプ特異的に結合したことを示す。
したがって、本技術の抗体または抗原結合性断片は、生体試料中のASIC1aを検出するための方法に有用である。
【0150】
(実施例4)
親和性成熟ASC06-IgG1誘導抗体による酸誘導ASIC1a流の阻害
親和性成熟ASC06-IgG1誘導抗体が、細胞において酸誘導hASIC1a媒介電流に対して効果を有するかどうかを試験した。hASIC1a過剰発現安定細胞系を、これらの研究のモデルとして使用した。細胞外pHをpH7.4からpH6.0まで低下させ、hASIC1a媒介内向き流の振幅を、親和性成熟ASC06-IgG1誘導抗体の存在下で全細胞記録様式にて記録した(図4A~4E)。ASIC1a阻害剤アミロライド(30μM)を、ASIC1a流の阻害についての陽性対照として使用した。図4Aで示される通り、細胞外pHをpH7.4からpH6.0まで低下させることは、hASIC1a過剰発現安定細胞において電流の形成をもたらし、100nMのASC06-IgG1は、30μMアミロライドで観察された阻害と同様の、酸誘導ASIC1a流の50%超の阻害を呈した(図4A)。比較すると、同じ濃度の4種の親和性成熟抗体のうちの3種(すなわち、ASC06-02-IgG1、ASC06-03-IgG1およびASC06-04-IgG1)は、ASC06-IgG1と比較してASIC1a媒介流のより強い遮断を示した(図4A~4E)。以下の表は、パッチクランプにより測定した、ASC06-IgG1およびIgG1形式の4種の親和性成熟誘導抗体による酸誘導hASIC1a流の阻害の程度を示す。
【0151】
【表8】
【0152】
これらのデータは、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体が、ASIC1aのアンタゴニストであり、したがって、アシドーシスを患っているかもしくはそれにかかりやすい対象を治療するため、または虚血発作および関連状態を含む、ASIC1a活性および/もしくはシグナル伝達の増大により引き起こされるかもしくはそれに関連する疾患を患っている対象を治療するための方法において有用であることを実証する。
【0153】
(実施例5)
FLIPRベース蛍光膜電位(FMP)アッセイ
FLIPR膜電位アッセイキット(FMPキット)(Molecular Devices)を使用する蛍光ベースアッセイを、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体の機能的特徴付けのために使用した。具体的には、アシドーシスにおけるASIC1aの役割、および本開示の抗体の効果をさらに調査した。キット中のFMP染料は、より迅速な応答時間で膜電位の変化の高感度評価を可能にする親油性アニオン性ビスオキソノール染料である。FMPキットを使用して、酸誘導ASIC1a流を検出するための高感度細胞ベースアッセイを、ASIC1aを安定に発現する細胞株を使用して開発した。ASIC1a発現安定細胞を、96ウェルプレートに播種した。細胞を、様々な濃度のASC06-IgG1で処理した。非処理細胞を、陰性対照として使用した。ASIC1aを、細胞外pHを6まで低下させることによりアシドーシスを誘導することによって刺激し、FMP染料の蛍光シグナルの変化を測定した。アイソタイプ対照を、結合についての陰性対照として使用した。図5で示される通り、ASC06-IgG1は、蛍光強度の用量依存的阻害を呈し、これは、ASIC1a媒介流の阻害を示した。アッセイを、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体によるASIC1a流の阻害効率を検出するために適用した。
【0154】
同様のアッセイを使用して、ASIC1a流の阻害についてのIC50値を、陰性対照と比較した各濃度の抗体の最大蛍光強度に基づいて計算した。以下の表は、FMPアッセイにより測定される、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体によるASIC1a流の阻害についてのIC50値を示す。
【0155】
【表9】

これらのデータは、ASC06-01-IgG1~ASC06-04-IgG1は、親ASC06-IgG1抗体と比較して、ASIC1aのより強力なアンタゴニストであることを実証する。
【0156】
上記に説明される通り、酸感受性イオンチャネルASIC1aのアップレギュレーションは、アシドーシスを含む、神経変性疾患、神経心理学的疾患、てんかん、多発性硬化症、疼痛および片頭痛の病態形成と関連付けられる。これらの結果は、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体は、ASIC1aのアンタゴニストであり、したがって、アシドーシスを患っているかもしくはそれにかかりやすい対象を治療するため、または虚血発作および関連状態を含む、ASIC1a活性および/もしくはシグナル伝達の増大により引き起こされるかもしくはそれに関連する疾患を患っている対象を治療するための方法において有用であることを実証する。
【0157】
(実施例6)
ASIC1a媒介カルシウム流入を測定するFLIPRベースアッセイ
蛍光画像化プレートリーダー(FLIPR)器具を使用して、hASIC1a-mCherry融合物を発現する安定細胞系において細胞内カルシウムインジケーター染料カルシウム5(Molecular Devices)により発生した蛍光シグナルを測定することにより、ASIC1aチャネルのカルシウム流入を測定した。図6で示される通り、細胞外pHを6まで低下させることによるホモマーhASIC1aチャネルの活性化は、記録の10秒の点で強いカルシウム流入を誘導した。ASC06-IgG1は、カルシウム流入の用量依存的阻害を呈した(図6)。
【0158】
また、親和性成熟ASC06-IgG1誘導抗体によるカルシウム流入の阻害を、FLIPRベースアッセイを使用して測定した。これらのアッセイを使用して、細胞内カルシウムインジケーター染料の最大蛍光強度に基づいて、IC50値を計算した。以下の表は、FLIPRベースアッセイにより測定した、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体による酸誘導ASIC1a媒介カルシウム流入の阻害についてのIC50値を示す。
【0159】
【表10】

これらの結果は、ASC06-IgG1およびその親和性成熟誘導体は、ASIC1aのアンタゴニストであり、したがって、アシドーシスを患っているかもしくはそれにかかりやすい対象を治療するため、または虚血発作および関連状態を含む、ASIC1a活性および/もしくはシグナル伝達の増大により引き起こされるかもしくはそれに関連する疾患を患っている対象を治療するための方法において有用であることを実証する。
【0160】
(実施例7)
in vitroでのASC06-IgG1誘導体の、アシドーシス誘導細胞死に対する効果
発作または虚血再灌流傷害における細胞外アシドーシスは、ASIC1aチャネルの活性化を誘導することが公知であり、それは、最も高い可能性としてASIC1aにより媒介される細胞内カルシウムの一過性の増大および関連する細胞シグナル伝達を通して、中枢神経系の神経細胞死を引き起こす。hASIC1a過剰発現安定細胞の生存を、細胞外pHの低下に際して査定する。対照CHO-K1細胞のpH感受性を、とりわけpH5.5で、hASIC1aを過剰発現するCHO-K1細胞のpH感受性と比較する。様々な濃度のASC06-01-IgG1~ASC06-14-IgG1を、細胞に添加し、用量依存的保護効果をアッセイする。
これらの結果は、本技術の抗体は、アシドーシス誘導細胞死を予防するための方法において有用であり、したがって、アシドーシスを患っているかまたはそれにかかりやすい対象を治療するための方法において有用であることを実証する。
【0161】
(実施例12)
in vivoでのASC06-01-IgG1~ASC06-14-IgG1の、アシドーシス誘導細胞死に対する効果
in vitroでの抗体ASC06-IgG1の保護効果がin vivoでの病理に拡張され得るかどうかを決定するために、中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを使用して、抗体の神経保護効果を研究する。MCAOにより、マウスの脳の左半球に対して虚血を60分間誘導し、その後再灌流する。増大する用量の、ASC06-01-IgG1~ASC06-14-IgG1のうちの1種または複数種を、マウスの反対側半球の脳室内に(i.c.v.)注入する。同じ濃度の無関係の抗体(アイソタイプ)を、陰性対照として投与する。皮質および線条体の梗塞体積を、注射24時間後に計算する。
これらの結果は、本技術の抗ASIC1a抗体は、アシドーシス誘導細胞死を予防するため、および虚血発作を治療するための方法において有用であることを実証する。
【0162】
均等物
本技術は、本技術の個々の態様の単一の例示として意図される、本出願で説明される特定の実施形態について限定されるべきではない。当業者に明らかな通り、本技術の多くの改変および変化は、その趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。本技術の範囲内の機能的に同等な方法および装置は、本明細書で列挙された方法および装置に加えて、上記の説明から当業者に明らかであった。そのような改変および変化は、附属の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本技術は、附属の特許請求の範囲の用語によってのみ、そのような特許請求の範囲が与えられる均等物の全範囲に沿って、限定されるべきである。本技術は、もちろん変動し得る特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物系に限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみであり、限定であるとは意図されないことが理解されるべきである。
【0163】
加えて、本開示の特色または態様がマーカッシュ群に関して説明されている場合、当業者は、本開示がそれによりマーカッシュ群の任意の個々の構成員または構成員のサブ群に関しても説明されていることを認識する。
【0164】
当業者により理解された通り、任意および全ての目的について、特に書面の説明を提供する点で、また、本明細書で開示される全ての範囲は、任意および全ての可能なサブ範囲およびそのサブ範囲の組合せを包含する。任意の列挙される範囲は、同じ範囲を十分に説明し、同じ範囲を少なくとも均等な半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解することを可能にすると容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で説明される各範囲は、下部3分の1、中部3分の1および上部3分の1などに容易に分解することができる。また、当業者に理解される通り、全ての言語、例えば、「最大で」、「少なくとも」、「超」、「未満」などは、列挙される数値を含み、上記に説明される通り、次いでサブ範囲に分解することができる範囲を指す。最後に当業者に理解された通り、範囲は、各個々の構成員を含む。したがって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1、2または3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1、2、3、4または5個の細胞を有する群を指し、以下同様である。
【0165】
本明細書で参照または引用される全ての特許、特許出願、仮出願および公開公報は、全ての図面および表を含んで、それらが本明細書の明白な教示と矛盾しない限り、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内で示される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【配列表】
2022543182000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列、ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
抗原結合性断片が、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvおよびFvからなる群から選択される、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
ASIC1aに結合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項6】
ASIC1aのアンタゴニストである、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項7】
ASIC1a媒介酸誘導流を阻害する、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項8】
ASIC1a媒介酸誘導カルシウム流入を阻害する、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項9】
Lが、配列番号2を含み、VHが、
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号11のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号13のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号15のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号17のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号19のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号21のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号23のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号25のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号27のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号29のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号31のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号33のVH-CDR3配列;
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号35のVH-CDR3配列;または
配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列および配列番号37のVH-CDR3配列
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項10】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、VHが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項11】
軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含む抗体またはその抗原結合性断片であって、LCが、配列番号2を含むアミノ酸配列を含み、HCが、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)を含み、VHが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項12】
(a)配列番号2に存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VL);および/または
(b)配列番号7の重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VH
を含む抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項13】
Lが、
(a)配列番号3に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR1;
(a2)配列番号4に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR2;および/または
(a3)配列番号5に存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVL-CDR3
を含み、
Hが、
(b1)配列番号8に存在するVH-CDR1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR1;
(b2)配列番号9に存在するVH-CDR2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR2;および/または
(b3)配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35もしくは配列番号37のいずれか1つに存在するVH-CDR3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%同一であるVH-CDR3
を含む、請求項12に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項14】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片を含む、それを必要とする対象におけるアシドーシス治療に使用するための医薬組成物であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、医薬組成物
【請求項15】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片を含む、それを必要とする対象における虚血発作治療に使用するための医薬組成物であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、医薬組成物
【請求項16】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合性断片を含む、それを必要とする対象におけるASIC1a活性および/またはシグナル伝達によって引き起こされるかまたはそれに関連する障害治療に使用するための医薬組成物であって、
Hが、配列番号8のVH-CDR1配列、配列番号9のVH-CDR2配列ならびに配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35および配列番号37からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み、
Lが、配列番号3のVL-CDR1配列、配列番号4のVL-CDR2配列および配列番号5のVL-CDR3配列を含む、医薬組成物
【請求項17】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸配列。
【請求項18】
配列番号1、6、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36および38からなる群から選択される、請求項17に記載の核酸配列。
【請求項19】
請求項17または18に記載の核酸を発現する宿主細胞またはベクター。
【請求項20】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片を含むキット。
【請求項21】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片が、放射性標識、蛍光標識および発色性標識からなる群から選択される少なくとも1種の検出可能標識にカップリングされている、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片に特異的に結合する二次抗体をさらに含む、請求項20または21に記載のキット。
【請求項23】
生体試料におけるASIC1aをin vitroで検出するための方法であって、生体試料を、検出可能標識にコンジュゲートした請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させることと、生体試料中の検出可能標識の存在およびレベルを検出することとを含む、方法。
【国際調査報告】