(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】食用固形物の油懸濁液及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
A23D 9/007 20060101AFI20221003BHJP
A23L 33/115 20160101ALI20221003BHJP
A23D 9/02 20060101ALI20221003BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20221003BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20221003BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20221003BHJP
【FI】
A23D9/007
A23L33/115
A23D9/02
A23L33/15
A23L33/17
A23L33/125
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502276
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 IL2020050787
(87)【国際公開番号】W WO2021024247
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522014839
【氏名又は名称】オメガ 3 ガリリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ズヴィ ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ダンケル アリサ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B026
【Fターム(参考)】
4B018LB10
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4B026DX10
(57)【要約】
油性懸濁液は、担体油と、約50μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含んでもよい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体油と、約50μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液。
【請求項2】
前記担体油及び前記食用固形物粒子のみを含む請求項1に記載の油性懸濁液。
【請求項3】
安定剤を含まない請求項1に記載の油性懸濁液。
【請求項4】
前記食用固形物粒子が約15μm未満の平均直径を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の油性懸濁液。
【請求項5】
約1%~30%w/wの食用固形物含有量を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の油性懸濁液。
【請求項6】
前記食用固形物が、粉末相の糖質、塩分、香辛料、漢方薬、薬、ミネラル、親油性アミノ酸及びビタミン類から選択される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の油性懸濁液。
【請求項7】
前記油が、中鎖トリグリセリド(MCT)油、キャノーラ油、ココナッツ油、ピーナッツバター油、パーム油、オリーブ油、魚油、ヒマワリ種子油、大豆油、又はこれらの任意の組み合わせから選択される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の油性懸濁液。
【請求項8】
油性懸濁液の調製方法であって、
食用固形物原料粒子を担体油と混合し、これにより油-食用固形物原料粒子混合物を得る工程と、
前記油-食用固形物混合物の中の前記食用固形物原料粒子の粒子サイズを低減し、これにより油性懸濁液を得る工程と
を含み、前記油性懸濁液は約0.1~50μmの平均粒子サイズを有する食用固形物粒子を含む方法。
【請求項9】
前記粒子サイズを低減することが、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの工程で行われ、各連続工程における前記食用固形物の粒子サイズが、任意の前の工程と比較して低減されている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
250μmより低い粒子サイズで前記食用固形物原料粒子を得る工程
をさらに含み、前記食用固形物原料粒子の粒子サイズを低減することが、
中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の前記食用固形物の平均粒子サイズを約100~0.1μmに低減し、これにより前記油性懸濁液を提供すること
を含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記低減工程がマイクロフルイダイザで実施される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
250μm以上の粒子サイズで前記食用固形物原料粒子を得る工程
をさらに含み、前記食用固形物の粒子サイズを低減することが、第1の工程及び第2の工程を含み、
前記第1の工程が、前記油-食用固形物混合物の中の前記食用固形物の平均粒子サイズを約500~50μmに低減し、これにより中間低減サイズの油-食用固形物混合物を提供することを含み、
前記第2の工程が、前記中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の前記食用固形物の平均粒子サイズを約100~0.1μmに低減し、これにより前記油性懸濁液を提供することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の工程がフードプロセッサで実施される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の工程がマイクロフルイダイザで実施される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記マイクロフルイダイザが約5,000~40,000psi(約34.5~約276MPa)の圧力で使用される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記マイクロフルイダイザが75μm~1100μmのチャネルサイズを有する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記油-食用固形物混合物が安定剤を含まない油-食用固形物混合物である請求項8から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記油性懸濁液が、約1~30%w/wの食用固形物を含む請求項8から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記油性懸濁液を追加の油又は高油分含有量の製品と混合し、これにより最終的な甘味製品を提供する工程をさらに含む請求項8から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記油性懸濁液が、不活性条件下で、追加の油又は高油分含有量の製品と混合される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記追加の油が魚油であり、これにより前記最終的な甘味製品が甘味のある魚油である請求項19に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の油性懸濁液を含む摂取製品。
【請求項23】
甘みのある魚油である請求項22に記載の摂取製品。
【請求項24】
約1~50%w/wの前記油性懸濁液を含む請求項22に記載の摂取製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用固形物のマイクロ粒子及びナノ粒子を含む油懸濁液に関する。本発明はさらに、そのような油懸濁液の調製方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
例えば、チョコレート、加糖ピーナッツバター等の製造のような食品産業において、油、及び高い油分含有量を有する製品の甘味付け又は他の味付けが必要となる場合がある。しかしながら、糖質分子又は他の極性分子(例えば、塩)は、油、又は高い油分含有量を有する製品に容易に溶解しないため、これは、油ベースの甘味製品(加糖製品)の製造における実際の課題を提起する。
【0003】
例えば、糖質は水と予め混合されてもよく、形成された溶液は油成分と混合され、これによりエマルションが形成される。形成されたエマルションは、安定した製品を提供するために乳化剤の添加を必要とする場合がある。さらに、粉状の糖質は油剤に混ざりやすい可能性がある反面、粒子が500μm(ミクロン)未満では、粉状の糖質は粉塵とみなされる。粉砂糖は自由空気中で爆発性が高いこと知られており、それゆえ安全上の規制によって、粉砂糖にでんぷん等の成分を加えて混合し、火災の危険性を低減させることが求められている。別の公知の解決策は、砂糖の代わりに人工甘味料を使用することである。しかしながら、そのような甘味料は、様々な身体機能に必ずしも適合せず、さらに、それらが食品に与える風味は、一般に、天然の糖質の風味とは異なり、それゆえ、最終製品は、消費者にとって満足度の低いものとなりがちである。
【0004】
上記に詳述したように、水、又はデンプン等の追加成分は様々な製品に使用されてもよいが、水又は他の成分の添加が不可能であるか、又は望ましくない製品も存在する。例えば、ある種の製品は水を使わずに調製することが要求される。ある種の製品、例えばオメガ3脂肪酸、オリーブ油、植物油、オメガ6s油等は、酸化に対して非常に敏感であるため、不活性で乾燥した環境下で調製される必要がある。本明細書で使用する場合、乾燥環境とは、H2O分子又は水が実質的に存在しない環境である。特定の粉末及び固体製品、例えば香辛料は、微生物の活動から保護し、その官能(感覚受容)特性を維持するために乾燥させる必要があり、それゆえ、保存期間中は乾燥環境で保存する必要がある。それゆえ、そのような製品への水の添加は不可能である場合がある。
【0005】
甘味製品を調製する際の別の考慮事項は、それらの製品の糖質含有量に関する。油性製品に糖質を含有させることに関して上記に詳述した複雑さ以外に、消費者にとって十分に甘い最終製品を提供するために必要な糖質の量は、非常に高くなる可能性がある。例えば、チョコレートは、約50%w/wの糖分を含む場合がある。糖尿病、高血圧及び肥満等、糖質(又は塩分)の大量摂取による不利益や合併症は周知であるので、そのような製品に対する消費者の満足度及び好みを低減させずに、食品の糖質(又は塩分)含有量を低減しうる手段を提供できれば、非常に有利になると考えられる。
【0006】
それゆえ、水又は安定剤(例えば、デンプン)等の追加の成分を必要とせず、さらに、低減された食用固形物(例えば、糖質)含有量であっても、風味が増強された望ましい官能的感覚を提供する、糖質、塩及び香辛料等の食用固形物を含む油性配合物が当該技術分野において必要とされていると思われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの態様は、担体油と、約50μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液に向けられる場合がある。いくつかの実施形態では、食用固形物粒子は、約15μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、当該懸濁液は、約1%~30%w/wの食用固形物含有量を有する。いくつかの実施形態では、食用固形物は、糖質、塩(塩分)、及び香辛料から選択される。いくつかの実施形態では、油は、中鎖トリグリセリド(MCT)油、キャノーラ油、ココナッツ油、ピーナッツバター油、パーム油、オリーブ油、魚油、ヒマワリ種子油、大豆油、又はこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示される油性懸濁液を含む摂取製品(consumable product)に向けられる場合がある。いくつかの実施形態では、当該摂取製品は、甘みのある魚油(加糖の魚油)であってもよい。いくつかの実施形態では、当該摂取製品は、約1~50%w/wの上記油性懸濁液を含んでもよい。
【0009】
本発明のいくつかの態様は、油性懸濁液の調製方法に向けられる場合がある。この方法は、食用固形物原料粒子を担体油と混合し、これにより油-食用固形物原料粒子混合物を得る工程と、油-糖質混合物の中の食用固形物原料粒子の粒子サイズ(粒径)を低減し、これにより油性懸濁液を得る工程とを含んでもよく、この油性懸濁液は、約5~50μmの平均粒子サイズを有する食用固形物粒子を含む。いくつかの実施形態では、粒子サイズを低減する(小さくする)ことは、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの工程で行われてもよく、各連続工程における食用固形物の粒子サイズは、任意の前の工程と比較して低減されている(小さくなっている)。
【0010】
いくつかの実施形態では、当該方法は、250μmより低い粒子サイズで食用固形物原料粒子を得る工程をさらに含んでもよく、それゆえ、食用固形物原料粒子の粒子サイズを低減することは、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズを約100~0.1μmに低減し、これにより上記油性懸濁液を提供することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、低減工程は、マイクロフルイダイザで実施されてもよい。いくつかの実施形態では、当該方法は、250μm以上の粒子サイズで食用固形物原料粒子を得る工程をさらに含んでもよく、それゆえ、食用固形物の粒子サイズを低減することは、第1の工程及び第2の工程を含んでもよく、第1の工程は、油-糖質混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズを約500~50μmに低減し、これにより中間低減サイズの油-食用固形物混合物を提供することを含んでもよく、第2の工程は、中間低減サイズの油-糖質混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズを約100~0.1μmに低減し、これにより上記油性懸濁液を提供することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の工程は、フードプロセッサで実施されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2の工程は、マイクロフルイダイザで実施されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロフルイダイザは、約5,000~40,000psi(約34.5~約276MPa)の圧力で使用される。いくつかの実施形態では、マイクロフルイダイザは、75μm~1100μm、例えば、87μm~200μmのチャネルサイズを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記油性懸濁液は、約1~30%w/wの食用固形物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該方法は、上記油性懸濁液を追加の油又は高油分含有量の製品と混合し、これにより最終的な甘味製品を提供することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、油性懸濁液は、不活性条件下で、追加の油又は高油分含有量の製品と混合されてもよい。いくつかの実施形態では、追加の油は魚油であり、これにより最終的な甘味製品が甘味のある魚油である。
【0013】
いくつかの実施形態では、摂取製品が、本明細書にこれまで開示した方法に従って調製されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に請求されている。しかしながら、本発明は、構成及び操作方法の両方に関して、その目的、特徴及び利点と共に、添付図面と共に読まれたときに、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されると思われる。本発明の実施形態は、添付図面の図に、限定するものではなく例として示されている。その図面において、同様の参照数字は、対応する、類似する、又は同様の要素を示す。
【0015】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る油性懸濁液の調製方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、天然糖質粒子(従来技術)の元のサイズを示す顕微鏡写真である。
【
図3A】
図3Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る2つの低減工程後の油性糖質懸濁液の中の糖質粒子のサイズを示す顕微鏡写真である。
【
図3B】
図3Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る2つの低減工程後の油性糖質懸濁液の中の糖質粒子のサイズを示す顕微鏡写真である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の油性糖質懸濁液の実施形態の調製中のいくつかの段階における糖質粒子の体積加重分布%対粒子サイズを示すグラフである。
【
図4B】
図4Bは、本発明の油性糖質懸濁液の実施形態の調製中のいくつかの段階における糖質粒子の粒子サイズ分布を示す、体積加重累積分布対粒子サイズを示すグラフである。
【
図5】
図5は、本発明のシステムの一実施形態を説明するブロック図である。
【0016】
図示の単純化及び明確化のために、図に示される要素は必ずしも正確に又は縮尺通りに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して誇張されてもよく、又は、いくつかの物理的構成要素が1つの機能ブロック又は要素に含まれてもよい。さらに、適切と考えられる場合には、対応する又は類似の要素を示すために、参照数字が複数の図で繰り返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願全体にわたって、特に他に言及しない限り、又は当業者が異なる理解をするとは考えられない限り、「約」という用語は、記載された値(複数可)の±10%の範囲をカバーすると考えられる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は、担体油(キャリア油)と、約60μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子(例えば、糖質粒子、塩粒子、香辛料等)とを含む油性懸濁液に向けられている。本発明のいくつかの実施形態は、担体油と、約50μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液に向けられている。本発明のいくつかの実施形態は、担体油と、約40μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液に向けられている。本発明のいくつかの実施形態は、担体油と、約30μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液に向けられている。本発明のいくつかの実施形態は、担体油と、約20μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液に向けられている。本発明のいくつかの実施形態は、担体油と、約15μm未満の平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液に向けられている。
【0019】
いくつかの実施形態では、当該油性懸濁液は、担体油及び食用固形物粒子のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該油性懸濁液は、いかなる安定剤も含まない。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態は、担体油と、約100~0.1μm、例えば約60~5μmの平均直径を有する食用固形物粒子とを含む油性懸濁液に向けられる。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約1μm、例えば、800nm、700nm、600nm、500nm又はこれより小さい平均直径を有する。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約5μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約7.5μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約10μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約12.5μmという平均直径を有する。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約15μmの平均直径を有する。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液は、約5~60分の間、懸濁液として安定に留まる。本明細書で使用する場合、安定な懸濁液は、混合された固形物粒子の大部分が油中に沈降していない懸濁液であり、例えば、混合固形物粒子の70%超、80%超、90%超、又はこれより多くが油中に沈降していない(例えば、30体積%未満、20体積%未満、10体積%未満、又はこれより少ない相分離)。相分離までの沈降時間を規定するパラメータは、主に粒子サイズ及び油の粘度である。粒子サイズが大きいほど、沈降時間は短くなる。いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液は、約5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間又は60分間、懸濁液として安定に留まる。安定な懸濁液は、目に見える相分離がないか、又は相分離に僅少な数のその粒子しか関与しない懸濁液であると考えられることに留意されたい。さらに、油性懸濁液及び/又はそれを含む製品は、使用前に手動撹拌によって、又は他の適切な手段によって混合されてもよい任意の種類のバイアル又は容器で提供されてもよく、部分的又は完全な分離が生じたとしても、その懸濁液は、撹拌、又は他の混合手段によって懸濁液を復原されてもよく、その後、本明細書中に詳述するように安定に留まることになることに留意されたい。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、当該油性糖質懸濁液中の食用固形物(例えば、糖質)マイクロ粒子及び/又はナノ粒子の粒子サイズ分布は、30μm未満であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液中の食用固形物含有量は、約1%~30%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の食用固形物含有量は約1%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性糖質懸濁液中の食用固形物含有量は約10%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の食用固形物含有量は、約15%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の食用固形物含有量は約20%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の食用固形物含有量は約30%w/wである。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、油性糖質懸濁液中の担体油の量は、約50%~99%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の担体油の量は、約99%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の担体油の量は、約90%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の担体油の量は、約85%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の担体油の量は、約80%w/wである。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液中の担体油の量は、約50%w/wである。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、上記食用固形物は、塩(例えば、海塩)、様々な香辛料(例えば、コショウ、パプリカ、カルダモン、ナツメグ、オレガノ、ターメリック、クミン、セージ等)であってもよい。いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液中の食用固形物は糖質(糖類)であり、この糖質は、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、キシロース、グリセロール、ソルビトール、コーンシロップ固形物、マルトデキストリン、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファム、キシリトール、又はこれらの任意の組み合わせのうちの1つであってもよい。いくつかの実施形態によれば、食用固形物は、任意の種類の漢方薬、薬、ミネラル、親油性アミノ酸又はビタミン(例えば、ビタミンC粉末)及びそれらのものであってもよい。本発明の実施形態は、食用固形物の任意の特定の供給源又は種類に限定されないことに留意されたい。必要な風味のものを含む望ましい官能的感覚を提供する可能性があり、そして本発明の実施形態に係るサイズに粒子サイズが低減されてもよい、食用固形物の任意のタイプ又は組み合わせが、本発明の油性懸濁液に含まれてもよい。本発明の実施形態に従って実施される低減された食用固形物粒子サイズは、類似の食用固形内容物を有する対応する配合物と比較して油性懸濁液の風味が強化されるように、官能的感覚を高めてもよいことがさらに留意される。それゆえ、必要な甘味を提供しないため、例えば甘味料として、食品産業で一般的に使用されない食用固形物であっても、本発明に従って使用されてもよい。従って、いくつかの実施形態によれば、油性糖質懸濁液の中の糖質は、ガラクトースであってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液の中の担体油は、中鎖トリグリセリド(MCT)油、キャノーラ油、ココナッツ油、ピーナッツバター油、パーム油、オリーブ油、魚油、ヒマワリ種子油、大豆油、又はこれらの任意の組み合わせ等の任意の食用油から選択されてもよい。いくつかの実施形態によれば、油性懸濁液の中の担体油は、ココアバター、ピーナッツバター又はこれらの任意の組み合わせのような任意の溶融バター(溶かしバター)から選択されてもよい。いくつかの実施形態によれば、担体油は、飽和油、不飽和油、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態によれば、担体油は、酸化に対して耐性がある。いくつかの実施形態によれば、担体油は不活性である。いくつかの実施形態によれば、担体油は、無味、無臭、又はその両方である。いくつかの実施形態では、当該油性懸濁液は、安定剤及び/又は水を加えず、担体油及び食用固形物粒子のみを含んでもよい。
【0027】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る油性懸濁液の調製方法のフローチャートである
図1を参照する。工程110において、実施形態は、食用固形物粒子を担体油と混合し、これにより油-食用固形物混合物を得る工程を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この混合物は、安定剤及び/又は水を加えず、担体油及び食用固形物粒子のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、上記混合物は安定剤を含まない混合物であってもよく、それに応じて、安定剤は油にも混合物にも添加されなくてもよい。混合は、例えば、
図5のシステムに関して図示され開示された高せん断機械的混合を用いて、任意の公知のミキサ又は撹拌機を用いて、任意の公知の方法に従って実施されてもよい。いくつかの実施形態では、原料の食用固形物は、任意の市販の食用固形物、例えば、提供されるままの糖質、塩類及び香辛料(例えば、既製品)を含んでもよい。原料の食用固形物の粒子サイズは、少なくとも0.5mmであってもよい。
【0028】
工程120において、実施形態は、上記油-食用固形物混合物の中の食用固形物の粒子サイズを低減(小さく)し、これにより油性懸濁液を得る工程を含んでもよく、この油性懸濁液は約0.1~100μm未満の平均粒子サイズを有する食用固形物粒子を含む。いくつかの実施形態によれば、食用固形物の粒子サイズ低減は、1つの工程で行われる。いくつかの実施形態では、当該方法は、250μmより低い粒子サイズで食用固形物原料粒子を得る工程をさらに含んでもよく、それゆえ、食用固形物原料粒子の粒子サイズを低減することは、1つの工程で実施されてもよく、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズを約100~0.1μmに低減し、これにより上記油性懸濁液を提供することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、低減工程は、本明細書で以下に開示するように、マイクロフルイダイザで実施されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、当該方法は、250μm以上の粒子サイズで食用固形物原料-粒子を得ることをさらに含んでもよく、それゆえ、食用固形物粒子の粒子サイズ低減は、複数の工程で実施されてもよい。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子の粒子サイズ低減は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又はこれより多い工程で実施される。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子の粒子サイズ低減は、2つの工程で実施される。いくつかの実施形態によれば、連続する各工程において、油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズは、前の工程(複数可)と比較してさらに低減されている。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、食用固形物の粒子サイズ低減は、第1及び第2の工程を含み、第1の工程は、油-食用固形物混合物の中の食用固形物粒子の平均粒子サイズを約50~500μmに低減し、これにより中間低減サイズの油-食用固形物混合物を提供することを含む。さらに、第2の工程は、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物粒子の平均粒子サイズを約100μm未満に低減し、これにより油性糖質懸濁液を提供することを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、第2の工程は、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物粒子の平均粒子サイズを約50μm未満に低減し、これにより油性糖質懸濁液を提供することを含んでもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記混合及びサイズ低減は、安定剤を含まない混合物の使用を可能にする可能性がある。食用固形物粒子の最終サイズは、追加の安定剤が必要とされないように、粒子が懸濁液中で約5~60分間安定に留まるように決定されてもよい。
【0032】
従って、本発明の特定の実施形態は、油性懸濁液の調製方法に向けられている。いくつかの実施形態では、当該方法は、
原料の食用固形物を担体油と混合し、これにより油-食用固形物混合物を得る工程と、
油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズを約50~500μmに低減し、これにより中間低減サイズの油-食用固形物混合物を提供する工程と、
中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズを約100μm未満又は約50μm未満にさらに低減し、これにより油性懸濁液を提供する工程と
を含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約1%~30%w/wの食用固形物を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約1%w/wの食用固形物を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約10%w/wの食用固形物を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物は、約15%w/wの食用固形物を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約20%w/wの食用固形物を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約30%w/wの食用固形物を含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約50%~99%w/wの担体油を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約99%w/wの担体油を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約90%w/wの担体油を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約85%w/wの担体油を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約80%w/wの担体油を含む。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法に従って調製された油-食用固形物混合物は、約50%w/wの担体油を含む。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、中間低減サイズの油-食用固形物混合物は、フードプロセッサ若しくは高せん断ロータステータホモジナイザ、又は油懸濁液の中の固形物粒子のサイズを低減するための任意の他の適切な装置などのプロセッサで調製される。いくつかの実施形態によれば、中間低減サイズの油-食用固形物混合物は、フードプロセッサ、又は必要な粒子サイズを提供できる任意の他の同等の装置を、任意の適切な時間間隔で運転し、必要な粒子サイズが得られるまで、プロセスを任意の必要な回数繰り返すことによって調製される。いくつかの実施形態によれば、フードプロセッサは、約1~5分の間運転される。いくつかの実施形態によれば、フードプロセッサは、約3分間運転される。いくつかの実施形態によれば、フードプロセッサは、所定の長さの間隔で運転される。いくつかの実施形態によれば、間隔は、約30秒、40秒、50秒、60秒、70秒又は80秒である。いくつかの実施形態によれば、フードプロセッサは、1回、2回、3回、4回、5回、又は6回の時間間隔で運転される。いくつかの実施形態によれば、各間隔の間に予め決められた長さの時間の中断が存在する。いくつかの実施形態によれば、間隔の間の中断は、1秒~60秒である。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズをさらに低減し、これにより当該油性懸濁液を得ることは、マイクロフルイダイザを用いて行われる。いくつかの実施形態によれば、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズをさらに低減し、これにより当該油性懸濁液を得ることは、超音波処理装置(ソニケータ)を使用して行われる。
【0037】
例えば、マイクロフルイダイザを使用する場合、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズのさらなる低減は、200μmのチャネルで実施されてもよい。当業者には理解されるはずであるが、上記食用固形物の平均粒子サイズのさらなる低減のために、任意の公知のマイクロフルイダイザの他のチャネルが使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズのさらなる低減は、マイクロフルイダイザで実施される。いくつかの実施形態では、マイクロフルイダイザは、75μm~1100μmの任意のチャネルサイズ、例えば、75μm、87μm、100μm、125μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、425μm、550μm及び1100μmを有してもよい。いくつかの実施形態によれば、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズのさらなる低減は、マイクロフルイダイザの200μm及び87μmのチャネルの両方で実施される。いくつかの実施形態によれば、中間低減サイズの油-食用固形物混合物の中の食用固形物の平均粒子サイズのさらなる低減は、マイクロフルイダイザの87μmチャネルで行われ、マイクロフルイダイザの200μmチャネルがバイパスされるか、又はその逆で、マイクロフルイダイザの200μmチャネルで行われ、マイクロフルイダイザの87μmチャネルがバイパスされる。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、マイクロフルイダイザでのサイズ低減は、約5,000~40,000psi(約34.5~約276MPa)の圧力で実施される。いくつかの実施形態によれば、マイクロフルイダイザでのサイズ低減は、約20,000~23,000psi(約138~約159MPa)の圧力で実施される。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、マイクロフルイダイザを用いていくつかのラウンドが実施される。そのようないくつかの実施形態によれば、ラウンドの数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10である。いくつかの実施形態によれば、ラウンドの数は4~7である。いくつかの実施形態によれば、ラウンドの数は5又は6である。
【0040】
フードプロセッサ及びマイクロフルイダイザ等の特定の装置が本明細書に例示されているが、本明細書に詳述されているように、必要なサイズの食用固形物粒子を有する油性食用固形物懸濁液を提供しうる任意の他の適切な装置が、本発明に従って利用されてもよいことが指摘される。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液は、その油性懸濁液が含まれる最終製品を提供するために、追加の油、又は高い油分含有量を有する製品と混合される。いくつかの実施形態では、当該油性懸濁液は、いくつかの工業的使用を実施するのに十分な時間、例えば、少なくとも5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、及びそれよりも長時間、その均質性を維持してもよい。いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液は、最終製品を提供するために、不活性条件下で、例えば、N2又はAr下で、追加の油、又は高い油分含有量を有する製品と混合されてもよい。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、最終製品が液体であっても、ある長さの時間、その最終製品中に均質に懸濁したまま留まってもよい。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約5~60分の間、最終製品中に均質に懸濁したまま留まる。いくつかの実施形態によれば、食用固形物粒子は、約5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、又は60分の間、最終製品中に均質に懸濁したまま留まる。本明細書で詳述するように、相分離が完全に又は部分的に生じたとしても、最終製品中の食用固形物粒子の均質な分布を復原させるように、最終製品は、撹拌によって、又は任意の他の適切な手段によって混合されてもよい。一旦復原されると、均質な分布は、本明細書で詳述するように、例えば、約5~60分の間、安定に留まる。
【0042】
例えば、当該油性糖質懸濁液は、魚油と混合されて、これにより安定な甘味のある魚油懸濁液を提供してもよい。例えば、当該油性糖質懸濁液は、ココアバター等のココア製品と混合されて、これにより、低減された糖質添加量を有するチョコレート製品を提供してもよい。例えば、当該油性懸濁液は、ピーナッツバターと混合されて、これにより、加糖又は加塩のピーナッツバターを提供してもよい。例えば、当該油性懸濁液は、加糖、加塩又は香辛料入りの乳製品バターを提供するために、乳製品バターと混合されてもよい。例えば、当該油性懸濁液は、加糖、加塩又は香辛料入りの食用油を提供するために、オリーブ油、ココナッツ油、任意の他の植物油又は任意の他の食用油と混合されてもよい。例えば、当該油性糖質懸濁液は、甘味のある経口投与可能な医薬品を提供するために、水と混合できない任意の種類の医薬品、ビタミン類、親油性アミノ酸又はミネラル類のうちの1つと混合されてもよい。例えば、当該油性糖質懸濁液は、乳製品バター、クリーム、ココナッツ油、パーム油、動物性脂肪又は他の任意の食用油脂ベースの製品と混合されてもよい。
【0043】
例えば、製品は、76.7重量%の魚油、19.8重量%の担体油(例えば、MCT)中に懸濁した3.5重量%の糖質を含んでもよい。
【0044】
本発明の実施形態は、約1%~50%w/wの当該油性懸濁液を含む摂取製品に向けられている。いくつかの実施形態によれば、この摂取製品は、約1%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、当該摂取製品は、約15%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、当該摂取製品は、約20%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、当該摂取製品は、約25%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、当該摂取製品は、約30%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、摂取製品は、約35%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、摂取製品は、約50%w/wの当該油性懸濁液を含む。
【0045】
本発明の製品は、食品産業製品、医薬品産業製品等を含む、任意のレベルの香料を必要とする任意の経口摂取製品であってよい。
【0046】
本発明のさらなる実施形態は、油性食用固形物懸濁液を含む魚油製品に向けられている。いくつかの実施形態によれば、この魚油製品は、約20~30%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、当該魚油製品は、約25%w/wの当該油性懸濁液を含む。いくつかの実施形態によれば、当該魚油製品は、油性懸濁液を含み、この油性懸濁液は、約75~95%w/wの担体油と約1~25%w/wの食用固形物とを含む。いくつかの実施形態によれば、当該魚油製品は、油性懸濁液を含み、この油性懸濁液は、約85%w/wの担体油と約15%w/wの食用固形物とを含む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、当該油性懸濁液を含む魚油製品は、本明細書に記載される本発明の方法に従って調製される。
【0048】
ここで、天然糖質結晶の元のサイズを提示する光学顕微鏡写真である
図2(従来技術)を参照する。天然糖質結晶は、
図2に示すように、数百μmから約2000μm、例えば545μmなど、サイズは様々である可能性がある。
【0049】
次に、2つの異なる低減工程後の糖質粒子を示す光学顕微鏡写真である
図3A及び
図3Bを参照する。例えばフードプロセッサを用いた第1の低減後、
図3Aに提示される顕微鏡写真に示すように、糖質粒子のサイズは150μm未満に低減した。例えばマイクロフルイダイザを用いたさらに低減(第2の低減工程)により、糖質粒子のサイズは、
図3Bに提示される顕微鏡写真に示すように、40μm未満に低減した。
【0050】
次に、本発明の油性懸濁液の実施形態の調製中のいくつかの段階における、体積加重分布対粒子サイズを示す
図4A、及び糖質粒子の粒子サイズ分布を提示する体積加重累積分布対粒子サイズを示す
図4Bを参照する。
【0051】
ここで、87μmマイクロフルイダイザで行った様々な数の低減サイクル、1サイクル(1×87μmと表示)、4サイクル(4×87μmと表示)及び8サイクル(8×87μmと表示)、後のプレミックス(油性懸濁液)と比較してのそのプレミックスの体積加重分布%を示すグラフを提示する
図4Aを参照するが、このグラフにおいて、Y軸はμm単位の各粒子サイズにおける粒子集団のパーセントであり、X軸は糖質粒子サイズ(μm単位)である。グラフに明確に示されているように、プレミックスは広い粒子分布(10~100μm)を有しており、約40μmのメジアン粒子サイズを有する大きい粒子が存在する(
図4Bの累積のグラフを参照)。低減工程は、87μmのチャネルを使用したマイクロフルイダイザで行われた。1回のサイクル後でさえも、粒子サイズ分布の低減が観察された。4サイクル後と8サイクル後には、最初のサイクルと比較して、さらに大きな粒子サイズ分布の低減が観察された。
【0052】
次に、87μmチャンネルのマイクロフルイダイザで実施された様々な数の低減サイクル、3サイクル(3×87μmと表示)、4サイクル(4×87μmと表示)、5サイクル(5×87μmと表示)、及び8サイクル(8×87μmと表示)、後のプレミックス(油性懸濁液)と比較して、そのプレミックスの糖質粒子サイズの関数としての体積加重累積分布を示すグラフを提示する
図4Bを参照する。y軸は、特定の粒子サイズにおける全粒子からのそれらの粒子の割合を指す(ここで、1.0=100%)。従って、半分(0.5)は粒子の中央値サイズを示す。このプレミックスは、約40μmの中央値を有する。すでに3回の粉砕サイクルの後、中央値は約20μmに低下し、8回の粉砕サイクルの後、約12μmに低下した。
図5は、本発明のシステムの一実施形態を説明するブロック図を提示する。本発明のいくつかの実施形態に係る油性懸濁液を製造するためのシステム100は、担体油源1(例えば、担体油を保持するタンク又は容器)と、原料の食用固形物粒子源2(例えば、例えば粉末形態の、糖質、塩分、香辛料等を提供する容器)と、担体油を固体源と混合するためのミキサ3とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ミキサは、高せん断型機械式ミキサ又は任意の他の適切なミキサであってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、システム100は、原料の食用固形物粒子の粒子サイズ低減の第1段階を行うためのプレミキサ5(例えば、フードプロセッサ)をさらに含んでもよい。例えば、プレミキサ5は、粒子サイズを0.5mm超から50~500μmに低減してもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、本明細書でこれまでに開示したように、マイクロフルイダイザの1つ以上のチャネルを含んでもよい、より細かいグラインダ(粉砕機)7をさらに含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、システム100は、油-微粒子マスターバッチ9をさらに含んでもよい。本明細書で使用する場合、マスターバッチは、活性成分(例えば、香料、着色剤、薬)の濃縮配合物であり、所望の最終製品の色、風味等を与えるために、ポリマー、食品、薬物等のキャリアマトリックスによって後で希釈されてもよいものである。
【0055】
いくつかの実施形態では、システム100は、添加物源11をさらに含んでもよく、例えば、有効成分油は、オメガ3s魚油を含んでもよい。他の添加物は、香料、デンプン又は他の安定剤を含んでもよい。例えば、上記マスターバッチは、魚油と混合されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、添加物は、制御された量で投薬又は分注されてもよい(例えば、計量)。
【0057】
いくつかの実施形態では、システム100は、当該油性懸濁液を回収するための容器13をさらに含んでもよい。
【0058】
明示的に記載されない限り、又は当業者なら理解したであろうという場合を除き、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに拘束されない。加えて、記載された方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時間点で、又は並行して発生し又は実施されてもよい。
【0059】
本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な要素は、別々に、又は任意の適切な下位の組み合わせで、又は本発明の任意の他の説明された実施形態において適切なように提供されてもよい。さらに、様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除き、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされることはない。
【0060】
本発明の特定の特徴を本明細書で図示し説明したが、当業者には多くの改変、置換、変更、及び等価物が思い浮かびうる。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内に入るようなすべてのそのような改変及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
【国際調査報告】