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特表2022-543200光ファイバーを被覆するための多官能性長アームオリゴマーを含む放射線硬化性組成物
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  • 特表-光ファイバーを被覆するための多官能性長アームオリゴマーを含む放射線硬化性組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】光ファイバーを被覆するための多官能性長アームオリゴマーを含む放射線硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/00 20060101AFI20221003BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20221003BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20221003BHJP
   C03C 25/6226 20180101ALI20221003BHJP
   C03C 25/326 20180101ALI20221003BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20221003BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20221003BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20221003BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20221003BHJP
   C09D 175/08 20060101ALI20221003BHJP
   C09D 175/14 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
C09D4/00
C09D4/02
C08F290/06
C03C25/6226
C03C25/326
D06M15/263
C09D175/04
C09D7/20
C09D7/63
C09D175/08
C09D175/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504667
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020044129
(87)【国際公開番号】W WO2021021971
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/880,679
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521400615
【氏名又は名称】コベストロ (ネザーランズ) ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カオ, フイミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, ヨハン フランツ グラドゥス アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】ホウベン, マルセル
(72)【発明者】
【氏名】レン, カンタイ
【テーマコード(参考)】
4G060
4J038
4J127
4L033
【Fターム(参考)】
4G060AA01
4G060AC02
4G060AC15
4G060AD22
4G060AD43
4G060CB22
4G060CB38
4J038DG13
4J038DG201
4J038FA281
4J038KA04
4J038KA06
4J038MA14
4J038NA11
4J038NA12
4J038PA17
4J038PB08
4J038PC03
4J127AA03
4J127AA04
4J127AA06
4J127BA041
4J127BA042
4J127BA051
4J127BA052
4J127BB032
4J127BB051
4J127BB091
4J127BB092
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC022
4J127BC051
4J127BC151
4J127BC152
4J127BD471
4J127BD472
4J127BE241
4J127BE242
4J127BE24Y
4J127BF192
4J127BF19X
4J127BF221
4J127BF22X
4J127BF641
4J127BF642
4J127BF64Y
4J127BG051
4J127BG052
4J127BG05Y
4J127BG141
4J127BG142
4J127BG14X
4J127BG281
4J127BG282
4J127BG28Y
4J127CB012
4J127CB131
4J127CB343
4J127CB344
4J127CC011
4J127CC031
4J127CC111
4J127CC121
4J127CC133
4J127CC292
4J127DA28
4J127FA23
4L033AA09
4L033AB01
4L033AC15
4L033CA18
(57)【要約】
本明細書には、オリゴマー、希釈剤、光開始剤、及び任意に添加剤を含有する、光ファイバーを被覆するための放射線硬化性組成物が開示され特許請求される。オリゴマーは、各アームが最遠終点を有して単一接合点でバインド一体化された少なくとも3つのアームを有する反応性ウレタンオリゴマーを含み、少なくとも1つのアームは、ポリオールとポリイソシアネートとイソシアネート反応性(メタ)アクリレートとの反応生成物を含む。反応性ウレタンオリゴマーは、特定の分子量及び/又は平均官能価の値を有し、1つ以上のアームに沿ってオリゴマー接合点と遠終点との間の特定鎖長値を有しうる。また、被覆光ファイバー及びそれから製造されるケーブルと共に、本明細書に記載の組成物を組み込んで光ファイバーを被覆する方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴマー成分と、
希釈剤成分と、
光開始剤成分と、
任意に添加剤成分と、
を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、光ファイバー一次コーティングとして使用するための放射線硬化性組成物であって、
任意選択的に前記オリゴマー成分が、最遠終点を各々有して単一接合点でバインド一体化された少なくとも3つのアームを有する反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、少なくとも1つのアームが、
ポリオールと、
ポリイソシアネートと、
イソシアネート反応性(メタ)アクリレートと、
の反応生成物を含み、
前記反応性ウレタンオリゴマーが、数平均分子量(Mn)及びZ平均分子量(Mz)を有し、
前記Mnが、約10キロダルトン(kDa)以上、又は10~100kDa、又は10~50kDa、又は10~40kDa、又は10~35kDa、又は10~20kDaであり、且つ
Mz/Mnが、4.5以上、又は4.5~15、又は4.5~10、又は4.5~8、又は4.5~6であり、
Mn及びMzが、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により測定される、放射線硬化性組成物。
【請求項2】
前記反応性ウレタンオリゴマーが、1.5~4.2、又は1.8~3.8、又は1.8~3.2、又は1.8~2.8、又は2.2~3.2の平均(メタ)アクリレート官能価を有する、請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項3】
前記反応性ウレタンオリゴマーの3つのアームに沿った接合点と最遠終点との間の理論鎖長が、少なくとも3kDa、又は少なくとも6kDa、又は少なくとも10kDa、又は4~45kDa、又は8~40kDa、又は8~20kDa、又は10~35kDa、又は10~20kDaである、請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項4】
前記反応性ウレタンオリゴマー又はオリゴマー成分が、、全組成物の重量を基準にして65wt.%未満、又は10~65wt.%、又は25~50wt.%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項5】
前記反応性ウレタンオリゴマーの少なくとも1つのアームが、ポリオールと、ポリイソシアネートと、(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコールと、の反応生成物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項6】
前記添加剤成分が接着促進剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項7】
前記反応性ウレタンオリゴマーが厳密に3つのアームを含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項8】
前記オリゴマー成分が、少なくとも20キロダルトン(kDa)、又は少なくとも30kDa、又は少なくとも40kDa、又は20~100kDa、又は30~80kDa、又は35~55kDaの理論分子量を有する反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる、請求項1~7のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項9】
前記反応性ウレタンオリゴマーの接合点が3官能性コア化合物の反応生成物に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項10】
前記3官能性コア化合物がポリエーテルトリオールを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、請求項9に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項11】
前記ポリエーテルトリオールが、少なくとも3kDa、又は少なくとも5kDa、又は少なくとも6kDa、又は少なくとも9kDa、又は5kDa~20kDa、又は6kDa~15kDaの理論分子量を有する、請求項9に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項12】
前記3官能性コア化合物が、トリイソシアネートを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、請求項9~11のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項13】
前記オリゴマー成分が、下記構造(I):
【化1】

(式中、
は、ポリエーテルトリオールの反応生成物を表し、
は、ポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
及びIは、同一であるか又は異なり、各々ジイソシアネート化合物の反応生成物を表し、
、R、及びRは、同一であるか又は異なり、各々は、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項14】
:(I+I):P:(R+R+R)のモル比が、おおよそ1:6:3:3~1:12:9:3であるか、又はP:(I+I):(R+R+R)のモル比が、0.8:1.5:1~4:5:1、若しくは1:2:1~3:4:1である、請求項13に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項15】
前記オリゴマー成分が、下記構造(II):
【化2】

(式中、
は、トリイソシアネート化合物の反応生成物を表し、
は、ポリエーテルポリオール、好ましくはポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
は、ポリイソシアネート化合物、好ましくはジイソシアネートの反応生成物を表し、且つ
、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項16】
前記オリゴマー成分が、下記構造(III):
【化3】

(式中、
は、ポリエーテルテトラオールの反応生成物を表し、
は、ポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
及びIは、同一であるか又は異なり、各々ジイソシアネート化合物の反応生成物を表し、且つ
、R、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、請求項1~15のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項17】
前記オリゴマー成分が、下記構造(IV):
【化4】

(式中、
は、テトライソシアネート化合物の反応生成物を表し、
は、ポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
は、ジイソシアネート化合物の反応生成物を表し、且つ
、R、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、請求項1~16のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項18】
前記反応性ウレタンオリゴマーが、2.5kDa~20kDa、又は3kDa~20kDa、又は3kDa~10kDa、又は3kDa~8kDa、又は3kDa~6kDaの実験鎖長を含み、実験鎖長が、アーム数により前記反応性オリゴマーのMnを除算したものである、請求項1~17のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項19】
前記ポリオールが、ポリプロピレングリコール及び/又はプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとのコポリマーを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなり、1種若しくは複数種の前記ポリオールが、各々、3,000~30,000g/mol、又は4,000~25,000g/molの理論分子量を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項20】
前記ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート、2,4-異性体トルエンジイソシアネート、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、若しくはヘキサメチレンジイソシアネート、又はそれらの組合せを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる、請求項1~19のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項21】
前記イソシアネート反応性(メタ)アクリレートが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、又はそれらの組合せを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる、請求項1~20のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項22】
(メタ)アクリル系部分を有していない前記1価アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、2-エチルヘキサノール、セチルアルコール、ゲラニオール、イノシトール、若しくはメントール、又はそれらの組合せを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項23】
前記希釈剤成分が、反応性希釈剤モノマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、前記反応性希釈剤モノマーが、2-エチルヘキシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、nビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、n-ビニルカプロラクタム、エトキシル化2-フェノキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、トリデシルアクリレート、若しくはイソデシルアクリレート、又はそれらの組合せを含み、
及び/又は
前記光開始剤成分が、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロピルフェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-ドデシルフェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、若しくは2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパノン、又はそれらの組合せを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる、請求項1~22のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項24】
前記放射線硬化性組成物が、全放射線硬化性組成物の重量を基準にして、
10~65wt.%の請求項1~23のいずれか一項に記載の又は請求項13~18のいずれか一項に記載のウレタンオリゴマーと、
30wt.%~85wt.%又は35wt.%~75wt.%の希釈剤成分と、
1wt.%~5wt.%の光開始剤成分と、
1wt.%~10wt.%又は1wt.%~5wt.%の添加剤成分と、
からなる、請求項1~23のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項25】
前記放射線硬化性組成物の硬化フィルムが、
(a)1.0MPa未満、又は0.5MPa未満、又は0.4MPa未満、又は0.3MPa未満、又は0.15~1.0MPa、又は0.2~1.0MPa、又は0.25~0.75MPa、又は0.25~0.5MPaのセグメント弾性率(E)、
(b)25J/m超、又は28J/m超、又は30J/m超、又は33J/m超、又は5~50J/m又は10~40J/m、又は25~40J/mの歪みエネルギー解放率(G)、及び/又は
(c)70超、又は75以上、又は81超、又は90超、又は100超、又は150超、又は170超、又は70~250、又は75~250、又は82~250、又は82~200、90~250、又は90~200のG/Eの比(J/(m・MPa
)単位)、
を有する、請求項1~24のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項26】
延伸塔を介してガラス光ファイバーを延伸する工程と、
前記ガラス光ファイバーの表面上に一次コーティング組成物を適用する工程と
任意選択的に、前記一次コーティング組成物を少なくとも部分硬化させるのに十分なUV光照射量を付与する工程と
前記一次コーティング組成物に二次コーティング組成物を適用する工程と
紫外線を発する能力のある少なくとも1つの放射線源に前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物を暴露して前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物の硬化を引き起こすことにより、前記光ファイバーの表面上に硬化一次コーティング及び前記硬化一次コーティングの表面上に硬化二次コーティングを形成する工程と、
を含む光ファイバーの被覆方法であって、前記一次コーティング組成物が請求項1~25のいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物である、光ファイバーの被覆方法。
【請求項27】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物の硬化物である、及び/又は請求項26に記載の方法により被覆された、光ファイバー用の一次コーティング。
【請求項28】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物の反応生成物を含む被覆光ファイバー。
【請求項29】
前記被覆光ファイバーが、1.5MPa未満、又は1.0MPa未満、又は0.6MPa未満、又は0.5MPa未満、又は0.3MPa未満、又は0.15~0.8MPa、又は0.15~0.8MPaのin-situ弾性率を有する、請求項28に記載の被覆光ファイバー。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の被覆光ファイバーを含む光ファイバーケーブル。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
[001]本発明は、一般的には、光ファイバーの被覆方法、多官能性長アームオリゴマーを有する光ファイバー上での使用に好適な放射線硬化性一次コーティング、及びそれから製造される被覆光ファイバーに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
[002]本願は、2019年7月31日出願の米国仮特許出願第62/880679号(その全体があたかも本明細書に完全に明記されたがごとく本願をもって参照により組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
【0003】
[背景]
[003]光ファイバーは、ガラスの熱溶融紡糸により得られるガラスファイバーと、保護強化のためにガラスファイバー上に配設される1つ以上のコーティング層と、で構成される。光ファイバーは、たとえば、最初に、ガラスファイバーの表面上に可撓性一次コーティング層を形成し、次いで、一次コーティング上に二次コーティングと呼ばれるより剛性の二次カバーリング層を形成することにより、製造される。また、バインディング材料でバインドされた複数のコーティング層付き光ファイバーを有するテープ状光ファイバー又は光ファイバーケーブルも知られている。
【0004】
[004]とりわけ速硬化性であるとともに光ファイバーに所望の性質を付与可能であることから、放射線硬化性熱硬化性組成物は、一次及び二次コーティング層を形成するために長い間使用されてきた。典型的には、放射線硬化性光ファイバーコーティングは、照射の影響下でフリーラジカル重合により架橋を起こす1つ以上のエチレン性不飽和(C=C)結合を有する1つ以上の成分の混合物を含有する組成物の硬化物である。かかる組成物はまた、とくに紫外(UV)波長の照射により硬化が引き起こされる場合、典型的には、放射線硬化を支援するために光開始剤を含む。
【0005】
[005]比較的軟質の内側一次コーティングは、被覆光ファイバーの信号伝送の減衰増加(すなわち信号損失)をもたらすので望ましくないマイクロベンディングに対する耐性を提供する。マイクロベンドとは、数マイクロメートルの局所軸変位及び数ミリメートルの空間波長が関与する光ファイバーの微視的湾曲のことである。マイクロベンドは、熱応力及び/又は機械的横力により誘起されうる。コーティングは、マイクロベンディングから光ファイバーを保護する横力保護を提供可能であるが、提供される保護量は、コーティング厚さの減少に伴って減少する。
【0006】
[006]一次コーティングは、好ましくは、光ファイバーのコアから離れた迷走光学信号の除去を可能にするために、関連する光ファイバーのクラッディングよりも高い屈折率を有する。一次コーティングは、熱エージング時及び加水分解エージング時にガラスファイバーへの適正接着を維持すべきであり、しかも(所要により)スプライシング目的でそれから剥離可能にしうる。一次コーティングは、典型的には20~50μmの範囲内(たとえば、約25又は32.5μm)の厚さ、200μmファイバーでは15~25μmの範囲内のより薄い厚さを有する。
【0007】
[007]より硬質の二次コーティングは、被覆光ファイバーのリボン化時及び/又はケーブル化時に遭遇する力などの取扱い力に対する耐性を提供する。放射線硬化性光ファイバー二次コーティング組成物はまた、一般に、液状エチレン性不飽和希釈剤に溶解又は分散された1種以上のアクリレート官能性オリゴマーをはじめとするエチレン性不飽和化合物の混合物と光開始剤とを含む。コーティング組成物は、典型的には、液状形態で光ファイバーに適用してから化学線に暴露して硬化させる。
【0008】
[008]ガラスファイバー上にカバーリング層を形成するために通常使用される方法では、たとえば、ガラスファイバーを液状硬化性樹脂組成物で被覆して、それを熱又は光とりわけ紫外線により硬化させる。光ファイバーコーティングは、一次層及び二次層を含めて、典型的には2つのプロセス:ウェットオンウェット(WOW)及びウェットオンドライ(WOD)の1つを用いて適用される。WODプロセスでは、ファイバーは、最初に一次コーティング適用に付されて、UV線への暴露により硬化される。次いで、ファイバーは、二次コーティング適用に付され、続いて類似の手段により硬化される。WOWプロセスでは、ファイバーは、一次コーティング適用及び二次コーティング適用の両方に付され、その後、ファイバーは硬化工程に進む。ウェットオンウェットプロセスでは、一次コーティング適用及び二次コーティング適用の間の硬化ランプは省略される。
【0009】
[009]光ファイバー用放射線硬化性組成物は公知であるが、ガラス光ファイバー上に適用して硬化させるとそれにより増加した靭性及び/又は引裂き強度が付与されるように配合されたコーティング組成物とりわけ一次コーティング組成物を提供することが望ましいであろう。追加的又は代替的に、低弾性率値を有するものにより近似される優れた耐マイクロベンド性を有する被覆光ファイバーの製造に寄与できるかかるコーティング組成物を提供することが望ましいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に示される実施例で使用されたオリゴマー(オリゴマー1)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)プロットを示す。
図2】本明細書に示される実施例で使用されたオリゴマー(オリゴマー3)のSECプロットを示す。
図3】本明細書に示される実施例で使用されたオリゴマー(オリゴマー4)のSECプロットを示す。
【0011】
[簡単な概要]
[013]本明細書には、本発明のいくつかの態様及び実施形態が記載される。第1の態様は、オリゴマー成分と希釈剤成分と光開始剤成分と任意選択的に添加剤成分とを含む、光ファイバーを被覆するための放射線硬化性組成物であって、オリゴマー成分が、最遠終点を各々有して単一接合点でバインド一体化された少なくとも3つのアームを有する反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、少なくとも1つのアームが、ポリオールとポリイソシアネートとイソシアネート反応性(メタ)アクリレートとの反応生成物を含み、反応性ウレタンオリゴマーが、数平均分子量(Mn)及びZ平均分子量(Mz)を有し、Mnが約10キロダルトン(kDa)以上であり、且つMz/Mnが4.5以上である、放射線硬化性組成物である。
【0012】
[014]第1の態様にかかる他の一実施形態では、オリゴマー成分は、下記構造(I):
【化1】

(式中、
は、ポリエーテルトリオールの反応生成物を表し、
は、ポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
及びIは、同一であるか又は異なり、各々ジイソシアネート化合物の反応生成物を表し、且つ
、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される1種以上のオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから主になる。好ましい実施形態では、R、R、及びRの少なくとも1つは(a)の反応生成物を表す。
【0013】
[015]本発明の第2の態様は、好ましくはガラス光ファイバーを延伸塔に通して延伸することにより、ガラス光ファイバーを提供することと、ガラス光ファイバーの表面上に一次コーティング組成物を適用することと、任意に、前記一次コーティング組成物を少なくとも部分硬化させるのに十分なUV光照射量を付与することと、一次コーティング組成物に二次コーティング組成物を適用することと、紫外線を発する能力のある少なくとも1つの放射線源に一次コーティング組成物及び二次コーティング組成物を暴露して前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物の硬化を引き起こすことにより、光ファイバーの表面上に硬化一次コーティング及び硬化一次コーティングの表面上に硬化二次コーティングを形成することと、を含む、光ファイバーを被覆する方法であって、一次コーティング組成物が本発明の第1の態様の実施形態のいずれかにかかる組成物である、方法である。
【0014】
[016]本発明の第3の態様は、被覆光ファイバーであって、被覆光ファイバーが、ガラスコアと、前記ガラスコアに接触してそれを取り囲むクラッディング層と、コーティング部分と、を含み、前記コーティング部分が、前記クラッディング層に接触してそれを取り囲む一次コーティング層と、前記一次コーティング層に接触してそれを取り囲む二次コーティング層と、をさらに含む、被覆光ファイバーである。この第3の態様によれば、一次コーティング層は、第1の態様の実施形態のいずれかにかかる放射線硬化性組成物の硬化物であり、且つ一次及び二次コーティングは、第2の態様の実施形態のいずれかに従って適用され硬化される。
【0015】
[017]第3の態様の実施形態によれば、被覆光ファイバーは、特定引裂き強度(G)値、たとえば、少なくとも10J/m、又は少なくとも15J/m、又は少なくとも20J/mを有する。他の一実施形態によれば、被覆光ファイバーは、1.5MPa未満、又は1.0MPa未満、又は0.6MPa未満のフィルム弾性率を有する。またさらなる実施形態では、被覆光ファイバーは、70超又は81超のG値(J/m単位)対フィルム弾性率値(MPa単位)の比を有する。
【0016】
[018]本発明の第4の態様は、光ファイバーケーブルであって、光ファイバーが本発明の第3の態様にかかる少なくとも1つの光ファイバーを含む、及び/又は光ファイバーが本発明の第1の態様にかかる組成物の硬化物である、及び/又は光ファイバーが本発明の第2の態様に従って被覆された、光ファイバーケーブルである。
【0017】
[詳細な説明]
[019]本発明の第1の態様は、
オリゴマー成分と、
希釈剤成分と、
光開始剤成分と、
任意に添加剤成分と、
を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、光ファイバー一次コーティングとして使用するための放射線硬化性組成物であって、
オリゴマー成分が、最遠終点を各々有して単一接合点でバインド一体化された少なくとも3つのアームを有する反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、少なくとも1つのアームが、
ポリオールと、
ポリイソシアネートと、
イソシアネート反応性(メタ)アクリレートと、
の反応生成物を含み、
反応性ウレタンオリゴマーが、数平均分子量(Mn)及びZ平均分子量(Mz)を有し、Mnが約10キロダルトン(kDa)以上であり、且つMz/Mnが4.5以上である、放射線硬化性組成物である。
【0018】
[020]本発明の第1の態様にかかる、光ファイバーを被覆するための放射線硬化性組成物は、オリゴマー成分と、希釈剤成分と、光開始剤成分と、任意に添加剤成分と、を含有する。好ましい実施形態では、本発明の第1の態様にかかる、光ファイバーを被覆するための放射線硬化性組成物は、反応性オリゴマー成分と、反応性希釈剤モノマー成分と、光開始剤成分と、接着促進剤を含む添加剤成分と、からなる。以下に記載のかかる成分は、第1の態様にかかる組成物、第2の態様にかかる光ファイバーの被覆方法に使用される組成物、及び第3の態様にかかる被覆光ファイバーとの関連で記載のコーティングとして硬化される組成物を含めて、本発明の態様のいずれかにかかる放射線硬化性組成物で使用されうる。
【0019】
[オリゴマー成分]
[021]本発明にかかる放射線硬化性組成物は、オリゴマー成分、すなわち、1種又は2種以上の特定構造又はタイプを有する一群の1種又は2種以上の個別オリゴマーを含む。オリゴマーは、より低い相対分子質量の分子から実際上又は概念上誘導される複数の単位を含む構造の中間相対分子質量の分子を意味するものとして本明細書で用いられる。本明細書で用いられる場合、好ましくは本明細書の他の箇所に記載のサイズ排除クロマトグラフィー法(SEC)により測定したときに、約1キロダルトン(kDa)超の数平均分子量(Mn)をさらに有するならば、成分はオリゴマーとみなされる。ある実施形態では、オリゴマー成分は、少なくとも20kDa、又は少なくとも30kDa、又は少なくとも40kDa、又は20~150kDa、又は20~130kDa、又は20~100kDa、又は30~80kDa、又は35~55kDaのMnを有する1種以上のオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。他の実施形態によれば、オリゴマー成分は、少なくとも10キロダルトン(kDa)、より好ましくは12kDa超、より好ましくは15kDa超、より好ましくは17kDa超、及び/又は150kDa未満、より好ましくは140kDa未満、より好ましくは130kDa未満、より好ましくは120kDa未満、又は15~120kDa、又は20~120kDa、又は25~120kDa、又は25~110kDa、又は25~100kDaの理論分子量(Mn,theo)を有する1種以上のオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。
【0020】
[022]オリゴマー成分は、1種以上の反応性オリゴマーを含む。本明細書で用いられる場合、「反応性」とは、他の分子との化学反応、好ましくは重合反応を形成する能力を意味する。このため、反応性化合物は、少なくとも1つの反応性基又は官能基を有するといわれるであろう。かかる反応性基又は官能基は、重合性基であることが好ましい。いくつかの非反応性オリゴマーは、本発明で使用することが企図されうるが、高パーセントの反応性オリゴマーが有利である。ある実施形態では、オリゴマー成分は、反応性オリゴマーからなるか又はそれから本質的になる。
【0021】
[023]本発明にかかる反応性オリゴマー成分は、少なくとも1個の重合性基を有する反応性オリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい実施形態では、反応性オリゴマー成分は、少なくとも1個の重合性基を有する反応性オリゴマーからなる。重合性基は、いずれかの既知のタイプのものでありうる。しかしながら、ある実施形態では、重合性基は、アクリレート基又はメタクリレート基又はそれらのいずれかの組合せを含みうるか、それらから本質的になりうるか、又はそれらからなりうる。反応性オリゴマーは、好ましくは、1個又は2個以上の反応性オレフィン性二重結合を含有するエチレン性不飽和重合性化合物である。
【0022】
[024]重合性基は、重合性骨格基や重合性末端基などとして、反応性オリゴマーの長さに沿っていずれかの実現可能な箇所に生じうる。重合性骨格基は、オリゴマーの長さに沿って存在するか又は長さに沿った直鎖からの分岐であり、一方、重合性末端基は、オリゴマーの末端に存在する重合性基である。重合性基は、たとえば、オリゴマーの末端(本明細書では同義的に「終点」という)に、分岐状パターンやフォーク状パターンなどで、他の重合性基から離間して又はそれに直接的若しくは間接的に隣接して存在しうる。好ましい実施形態では、重合性基は、重合性末端基を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0023】
[025]本発明にかかる反応性オリゴマーは、本明細書の他の箇所で特定される定義に一致するいずれかの既知のタイプのものでありうる。しかしながら、第1の態様によれば、オリゴマー成分は、1種以上のウレタンオリゴマー、好ましくは反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる。ウレタンオリゴマーは、少なくとも1個のウレタン基又は部分を含み、好ましくは骨格と重合性基と骨格を重合性基に連結するウレタン基とを少なくとも含む。第1の態様によれば、ウレタンオリゴマーは、ポリオールとポリイソシアネートとイソシアネート反応性(メタ)アクリレートとの反応生成物を含む。
【0024】
[026]好適なポリオール化合物の例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオール、及び他のポリオールが挙げられる。これらのポリオールは、個別又は2種以上の組合せのどちらでも使用されうる。好ましい実施形態では、ウレタンオリゴマーの骨格は、ポリエーテルポリオールの反応生成物を含む。ある実施形態では、骨格は、ポリプロピレングリコール(PPG)の反応生成物を含む。本明細書で用いられる場合、ポリプロピレングリコールから誘導される化合物は、EOエンドキャップPPGなどのエンドキャップPPGを含む。これらのポリオール中の構造単位の重合法は、とくに限定されるものではない。ランダム重合、ブロック重合、又はグラフト重合の各々が許容可能である。
【0025】
[027]本明細書で用いられる場合、ブロックコポリマーとは、少なくとも1つの構成単位が隣接部分に存在しない特徴を含む、多くの構成単位を含むオリゴマー又はポリマーの部分を意味する。本明細書で用いられる場合、モノ、ジ、及びトリブロックコポリマーとは、オリゴマーに存在する特定ブロックの平均数を意味する。好ましい実施形態では、特定ブロックとは、本明細書の他の箇所に記載のポリオール、好ましくはポリエーテルポリオールの1つ以上から誘導されるポリエーテルブロックを意味する。ある実施形態では、モノ、ジ、及び/又はトリブロックコポリマーが意味するブロックは、本明細書の他の箇所に記載のポリオールの1つ以上から誘導されるポリエーテルブロックである。ある実施形態では、モノブロックコポリマーは、平均で約1単位のみ又は約0.9~1.5単位未満の特定ブロックたとえばポリエーテルブロックを有するコポリマーとして記述されうる。ある実施形態では、ジブロックコポリマーは、平均で約2単位又は少なくとも1.5~2.5単位未満の特定ブロックたとえばポリエーテルブロックを有するコポリマーとして記述されうる。ある実施形態では、トリブロックコポリマーは、平均で約3単位又は少なくとも2.5~3.5単位未満の特定ブロックたとえばポリエーテルブロックを有するコポリマーとして記述されうる。所与のオリゴマー中のポリエーテル単位の数は、単一オリゴマーの合成に利用されるポリエーテルポリオール分子の数により決定されうる。
【0026】
[028]ポリエーテルポリオールの例として挙げられるのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール-エチレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、及び2種以上のイオン重合性環式化合物の開環共重合により得られるポリエーテルジオールである。ここで、イオン重合性環式化合物の例として挙げられるは、環状エーテル、たとえば、エチレンオキシド、イソブテンオキシド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、及びグリシジルベンゾエートである。2種以上のイオン重合性環式化合物の組合せの具体例としては、二元コポリマーを生成する組合せ、たとえば、テトラヒドロフランと2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3-メチルテトラヒドロフラン、及びテトラヒドロフランとエチレンオキサイド、並びに三元コポリマーを生成するための組合せ、たとえば、テトラヒドロフランと2-メチルテトラヒドロフランとエチレンオキサイドとの組合せ、テトラヒドロフランとブテン-1-オキシドとエチレンオキサイドとの組合せなどが挙げられる。これらのイオン重合性環式化合物の開環コポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーのどちらでもありうる。
【0027】
[029]これらのポリエーテルポリオールに含まれるのは、たとえば、PTMG1000、PTMG2000(三菱化学株式会社(Mitsubishi Chemical Corp.)製)、PEG#1000(日本油脂株式会社(Nippon Oil and Fats Co.,Ltd.)製)、PTG650(SN)、PTG1000(SN)、PTG2000(SN)、PTG3000、PTGL1000、及びPTGL2000(保土谷化学工業株式会社(Hodogaya Chemical Co.,Ltd.)製)、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG4000、及びPEG6000(第一工業製薬株式会社(Daiichi Kogyo Seiyaku Co.,Ltd.)製)、P710R、P1010、P2010、及び1044プルラコール(Pluracol)(登録商標)Pシリーズ(BASF製)、アクロール(Acrol)(登録商標)及びアクレイム(Acclaim)(登録商標)シリーズ、たとえば、PPG725、PPG1000、PPG2000、PPG3000、PPG4000、及びPPG8000、さらにはムルトラノール(Multranol)(登録商標)シリーズ、たとえば、2800又は40000のMwを有するPO/EOポリエーテルジオール(コベストロ(Covestro)製)などの市販品である。そのほか、AGCケミカルズ(AGC Chemicals)は、プレミノール(Preminol)(登録商標)、たとえば、プレミノールS4013F(Mw12,000)、プレミノール4318F(Mw18,000)、及びプレミノール5001F(Mw4,000)という商品名でジオールを提供する。
【0028】
[030]多価アルコールと多塩基酸との反応により得られるポリエステルジオールは、ポリエステルポリオールの例である。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオールなどが挙げられる。多塩基酸の例としては、フタル酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。
【0029】
[031]これらのポリエステルポリオール化合物は、MPD/IPA500、MPD/IPA1000、MPD/IPA2000、MPD/TPA500、MPD/TPA1000、MPD/TPA2000、クラポール(Kurapol)(登録商標)A-1010、A-2010、PNA-2000、PNOA-1010及びPNOA-2010(株式会社クラレ(Kuraray Co.,Ltd.)製)などという商品名で市販されている。
【0030】
[032]ポリエステルトリオールやポリエーテルトリオールなどのトリオールも知られている。本明細書での使用にとりわけ好ましいのは、一般式:A(-----OH)を有するオリゴトリオールであり、式中、Aは、化学有機構造、たとえば、脂肪族構造、環式脂肪族構造、芳香族構造、又はヘテロ環式構造であり、「-----」は、オリゴメリック鎖、たとえば、いくつか挙げるとポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、ポリ炭化水素鎖、又はポリシロキサン鎖であり、且つ「OH」は、末端ヒドロキシ基である。ある実施形態では、トリオールは、ポリエーテルトリオール、POホモポリマー、PEホモポリマー、PO-EOブロックコポリマー、ランダムコポリマー、又はハイブリッドブロック-ランダムコポリマーを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる。実際には、ポリエーテルトリオールは、グリセロール又はトリメチロールプロパン、PO、EO、又は末端ブロック若しくは内部ブロックにEOを有する500~15,000ダルトンのMWのPOとEOとのコポリマーに基づきうる。他の一タイプのポリエーテルトリオールは、グリセロール又はトリメチロールプロパンに基づくコポリマー、たとえば、THF-PO、THF-EO、THF-PO-EO、又はTHF-EO-PO、且つ約500~15,000g/molの分子量を有するものである。好ましい実施形態では、トリオールは、バイオ系又は天然の反応剤、たとえば、ある特定の植物油脂に由来する。
【0031】
[033]好適なトリオールの市販品の例としては、カーポール(Carpol)(登録商標)GPという商品名でカーペンター(Carpenter)から入手可能な関連プロピレンオキサイド系ポリエーテルトリオール、たとえば、GP-1000、GP-1500、GP-1500-60、GP-3000、GP-4000、GP-5017、GP-5017-60、GP-5171、GP-6015、GP-6015-60、GP-6037-60、及びGP-700が挙げられる。さらなるトリオールは、アルコル(Arcol)(登録商標)というブランド、たとえば、アルコルLHT-240(約700g/molとして製造業者により指定された分子量「Mw」)、アルコルLHT-112(Mw1500g/mol)、アルコルLHT LG-56(Mw3000g/mol)、及びアルコルLHT-42(Mw4200g/mol)、ムルトラノール(Multranol)(登録商標)という商品名、たとえばムルトラノール9199(Mw4525g/mol)、ムルトラノール3900(Mw4800g/mol)、ムルトラノール3901(Mw6000g/mol)、及びムルトラノール9139(Mw6000g/mol)、さらにはアクレイム(Acclaim)(登録商標)という商品名のもの、たとえば、アクレイム703(Mw700g/mol)、アクレイム3300N(Mw3000g/mol)、アクレイム6300(Mw6000g/mol)、及びアクレイム6320(Mw6000g/mol)としてコベストロから市販されている。そのほか、AGCケミカルズは、プレミノール(登録商標)、たとえば、プレミノールS3011(Mw10,000g/mol)、プレミノール7001K(Mw7,000g/mol)、及びプレミノール7012(Mw10,000g/mol)という商品名でトリオールを提供する。
【0032】
[034]これらのポリオールのヒドロキシル価から導出される理論分子量は、通常は約50g/mol~約15,000g/mol、好ましくは約500~12,000g/mol、又は約1,000~約8,000g/molである。
【0033】
[035](ポリ)イソシアネート化合物、好ましくはジイソシアネート化合物の反応生成物は、本発明の第1の態様にかかる反応性ウレタンオリゴマー中のウレタン基又は部分の作製に利用されうる。本明細書で用いられる場合、イソシアネート化合物は、1分子当たり少なくとも1個のイソシアネート基を有するいずれかの有機化合物として定義される。好適なイソシアネートの例としては、ジイソシアネート、たとえば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、(水素化)キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、3,3’ジメチル4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-及び/又は4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナト-エチル)フマレート、6-イソプロピル-1,3-フェニルジイソシアネート、4-ジフェニルプロパンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リシンイソシアネートなどが挙げられる。
【0034】
[036]これらのジイソシアネート化合物は、個別又は2種以上の組合せのどちらでも使用されうる。好ましいジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート及び2,6-トリレンジイソシアネートである。
【0035】
[037]本明細書で用いられる場合、「ポリイソシアネート」は、イソシアネート化合物が1分子当たり2個以上のイソシアネート部分を有することを意味する。ある実施形態では、オリゴマー成分は、1種以上のポリイソシアネートの反応生成物であるウレタンオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。以上に特定されたジイソシアネートのほか、1分子当たり3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートすなわちトリイソシアネートもまた使用されうる。既知のトリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から作製されるビウレット又はHDIトリマーが挙げられ、これらは、デスモジュール(Desmodur)(登録商標)という商品名でコベストロから市販されており、限定されるものではないが、デスモジュールN3200、デスモジュールN3300、デスモジュールN3390、デスモジュールN3600、デスモジュールN3800、デスモジュールN3900、デスモジュールN XP2580、デスモジュールXP2599、デスモジュールXP2675、デスモジュールXP2731、デスモジュールXP2714、及びデスモジュールXP2803が挙げられる。
【0036】
[038]さらなる市販のトリイソシアネートとしては、エボニック(Evonik)から入手可能な2kシステム用のベスタナト(Vestanat)(登録商標)T(IPDIトリマー)及びHT(HDIトリマー)系統のポリイソシアネート架橋剤が挙げられる。
【0037】
[039]ウレタンオリゴマーはまた、イソシアネート反応性(メタ)アクリレートの反応生成物を含む。モノマー及びオリゴマーを含めていずれの好適な(メタ)アクリレートも使用可能であるが、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。かかるイソシアネート反応性(メタ)アクリレートとしては、好ましくはヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。なぜなら、かかる化合物は、ポリイソシアネートを含めてイソシアネートに対して反応性であることが知られているからである。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの例としては、(メタ)アクリル酸とエポキシとから誘導される(メタ)アクリレート及びアルキレンオキサイドを含む(メタ)アクリレート、より特定的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシエチルカプロラクトンアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、及びグリセロールアクリレートメタクリレート(すなわち、3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)が挙げられる。
【0038】
[040]ある実施形態では、ウレタンオリゴマーはまた、非官能性エンドキャッパーの反応生成物を含む。かかる化合物は、(ポリ)イソシアネート化合物及び/又はイソシアネート反応性(メタ)アクリレートを介してオリゴマーに反応導入されたとき、ウレタンオリゴマーの少なくとも1つのアームに沿って遠終点を形成し、それに沿って他の重合性基は存在しない。非官能性エンドキャッパーは、活性水素基を有する非UV硬化性化合物、たとえば、メルカプト基含有(-SH)化合物、アミノ基含有(-NH)化合物、及びヒドロキシル基含有化合物を含みうる。
【0039】
[041]好ましい実施形態では、ウレタンオリゴマーは、(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコールの反応生成物を含む。かかる化合物は、好ましくは、上述した(ポリ)イソシアネートに対して反応性である。(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコールは、ヒドロキシル基でオリゴマーをエンドキャップしてそのアーム又は鎖を非重合性にしうる。さらに、この方法によれば、オリゴマーは、官能基よりも多数のアームを有しうる。1つのアームが1個のヒドロキシル基で且つ他の2つのアームが(メタ)アクリル基でエンドキャップされた3アームオリゴマーは、本明細書では3アーム2官能性オリゴマーといわれるであろう。
【0040】
[042]ある実施形態では、ウレタンオリゴマー成分は、ヒドロキシル基によりエンドキャップされた少なくとも1つのアーム又は2つのアーム又は3つのアーム又は3つ超のアームを有する少なくとも1種の反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。ある実施形態では、エンドキャップヒドロキシル基は、(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコール化合物の反応生成物である。
【0041】
[043]ある実施形態では、(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコール化合物は、(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18又はC~C12又はC~C10線状又は分岐状1価アルコールなどの脂肪族化合物である。
【0042】
[044](メタ)アクリル系部分を有していないいずれの好適な1価アルコールも使用されうるが、好ましい実施形態では、(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、2-エチルヘキサノール、セチルアルコール、ゲラニオール、イノシトール、メントール、又はそれらのいずれかの組合せを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる。
【0043】
[045]ウレタンオリゴマーの作製に使用される成分の反応時、好ましくは1種以上のウレタン化触媒もまた使用される。かかる触媒としては、例として、銅ナフテネート、コバルトナフテネート、亜鉛ナフテネート、ビスマス、ジ-n-ブチルスズジラウレート、トリエチルアミン、及びトリエチレンジアミン-2-メチルトリエチレンアミンが挙げられる。触媒は、いずれかの好適量、たとえば、反応剤の合計量の約0.01~約1wt.%で使用されうる。反応は、いずれかの好適な温度、たとえば、約10~約90℃、好ましくは約30~約80℃の温度で行われうる。
【0044】
[046]ある実施形態では、ウレタンオリゴマーは2官能性反応性ウレタンオリゴマーを含む。本明細書で用いられる場合、2官能性とは、たとえば、核磁気共鳴分光(NMR)法により決定したときに、1分子当たり平均で1.5~2.5個の重合性基を有することを意味する。しかしながら、他の実施形態では、オリゴマー成分は、3官能性反応性ウレタンオリゴマー又は1分子当たり平均で2.5超~3.5個の重合性基を有するオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。他の一実施形態では、オリゴマー成分は、4官能性オリゴマー又は1分子当たり平均で3.5超~4.5個の重合性基を有するものを含む。好ましい実施形態では、オリゴマー成分は、1.5~4.2又は1.8~3.8又は1.8~3.2又は1.8~2.8の平均(メタ)アクリレート官能価を有する1種以上の反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。ある実施形態では、オリゴマー成分の平均(メタ)アクリレート官能価は、1.5~4.2又は1.8~3.8又は1.8~3.2又は1.8~2.8である。
【0045】
[047]本発明の第1の態様にかかるウレタンオリゴマー成分は、好ましくは、少なくとも3つのアーム又は厳密に3つのアームを有する1つ又は2つ以上のタイプの反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなり、各アームは終点を有するとともに、3つのアームの各々は単一接合でバインド一体化される。本明細書で用いられる場合、アームとは、点、主鎖、骨格、又は中心構造から生じる結合原子の分岐又は直鎖を意味する。かかるアームは、未重合状態では、他の原子に共有結合されない鎖又は分岐の端部に末端又はいくつかの終点を有する。本明細書で用いられる場合、「接合」又は「接合点」とは、2つ以上のアームが交わる構造に沿ったいずれかの位置を意味する。例として、グリセロールは、以下に示されるように、ヒドロキシル基で終端する3つのアームがすべて接続する中心炭素原子に位置する接合点を有する。
【化2】
【0046】
[048]しかしながら、スターポリマーの場合には、スターポリマーのアームが直接交差しえないことを考慮して、接合は中心コア構造に位置するであろう。それとは関係なく、本発明の第1の態様にかかる少なくとも3つのアームを有するオリゴマーは、いずれの好適なタイプであってもよいが、分岐状オリゴマーが好ましい。基本ポリマー構造は、Rudin et al.,The Elements of Polymer Science & Engineering(Third Edition),2013の第1章で考察されている。ある実施形態では、少なくとも3つのアームを有するオリゴマーは、中心コアに連結されたいくつかの直鎖からなる分岐状オリゴマーのスターオリゴマーである。スターオリゴマーは、スター-ブロックコポリマー、非対称、及びミクトアームサブタイプを含めて、いずれかの好適なオリゴマーアーキテクチャーを有しうる。各種スターポリマー及びそれらの合成については、M.Pitsikalis,Reference Module in Chemistry,Molecular Sciences and Chemical Engineering,2013で考察されている。
【0047】
[049]好ましい実施形態では、反応性ウレタンオリゴマーの接合点は、3官能性コア化合物の反応生成物に沿って位置する。この3官能性コア化合物は、3つのアームを有する反応性ウレタンオリゴマーの合成を簡単に促進可能である。他の一実施形態では、3官能性コア化合物は、トリイソシアネート化合物を含むか、それからなる、又はそれから本質的になる。他の一実施形態では、この3官能性コア化合物は、ポリエーテルトリオールなどのトリオールを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。ある実施形態では、使用されるトリオールは、オリゴマー合成前でさえも3つの個別アームを有するので、その接合点のほかにオリゴマーの3つの個別アームの形成に寄与する。ある実施形態では、3官能性コア化合物のアームの1つ、1つ超、又はすべての理論分子量は、少なくとも2kDa、又は少なくとも3kDa、又は少なくとも5kDa、又は2~10kDa、又は2~8kDa、又は2~7kDa、又は3~10kDa、又は3~7kDaである。ある実施形態では、トリオールは、少なくとも3kDa、又は少なくとも5kDa、又は少なくとも6kDa、又は少なくとも9kDa、又は5kDa~35kDa、又は5kDa~30kDa、5kDa~20kDa、又は6kDa~15kDaの理論分子量を有する。
【0048】
[050]3官能性又はトリオールコア化合物が1つ以上のアームの形成に寄与するかにかかわらず、本発明の第1の態様にかかる反応性ウレタンオリゴマーの少なくとも1つのアームは、ポリオールとポリイソシアネートとイソシアネート反応性(メタ)アクリレートとの反応生成物を含む。他の実施形態では、少なくとも2つのアーム又は3つのアームは、かかる反応剤の反応生成物を含む。ある実施形態では、反応性ウレタンオリゴマーは、ポリオールとポリイソシアネートと(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコールとの反応生成物を含む。ある実施形態では、反応性ウレタンオリゴマーは、同様にウレタン化触媒の反応生成物(もしあれば)を含む。ポリオール、ポリイソシアネート、イソシアネート反応性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系部分を有していない1価アルコール、及びウレタン化触媒の好適な例は、以上の本明細書の他の箇所に記載されている。
【0049】
[051]好ましい実施形態では、第1の態様にかかる、各アームが最遠終点を有して単一接合点でバインド一体化された少なくとも3つのアームを有する反応性ウレタンオリゴマーは、反応性ウレタンオリゴマーの3つのアームに沿って接合点と最遠終点の間の特定鎖長を有する。本明細書で用いられる場合、「鎖長」は、鎖に沿って2つの特定点間で直接連結されたすべての個別原子の原子量として定義される。再度、以上で使用されたグリセロール例を参照すると、接合点と3つの終点との間の鎖長は、以上の図で左から右に、それぞれ、31、17、及び31原子単位である。
【0050】
[052]本発明の第1の態様によれば、オリゴマー成分は、最遠終点を各々有して単一接合点でバインド一体化された少なくとも3つのアームを有する反応性ウレタンオリゴマーを含み、反応性ウレタンオリゴマーの3つのアームに沿った接合点と最遠終点との間の鎖長は、少なくとも3キロダルトン(kDa)、若しくは少なくとも4kDa、若しくは少なくとも5kDa、若しくは少なくとも6kDa、若しくは少なくとも7kDa、若しくは少なくとも8kDa、若しくは少なくとも10kDa、且つ多くとも60kDa、若しくは多くとも50kDa、若しくは多くとも40kDa、若しくは多くとも35kDaであるか、又は好ましくは4kDa~35kDaである。より長い鎖長が好ましいが、それらが長くなりすぎると、それらが関連する放射線硬化性組成物の粘度が高くなりすぎて、すぐに光ファイバーコーティングの加工性を促進できない可能性がある。
【0051】
[053]かかる「長アーム」オリゴマーを有する組成物、とりわけ長アーム3官能性オリゴマーを有するものは、光ファイバーコーティング用途で使用するのに好適であるとともに、さらにそれから製造されるコーティングに産業上所望の性質を付与することを、本発明者らは発見した。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、かかる長アームオリゴマーは適用時及び硬化時に「ポリマーループ」を形成すると、本発明者らは理論付ける。これらのポリマーループはノットを形成して絡み合い、改善された引裂き強度を有する光ファイバーコーティングの作製を促進する。これにより光ファイバーコーティングの耐キャビテーション性が有利に改善されるであろう。驚くべきことに、かかるオリゴマーは、現代の高性能光ファイバー一次コーティングの重要な特徴でもある望ましい低弾性率値を犠牲にすることなく(すなわち有意に上昇させることなく)、この改善に寄与可能であることが観測された。オリゴマー上の3つのアームでは、それほど有効でない「鎖の絡合い」を形成すると考えられる2アームオリゴマーよりも容易にポリマーループの作製を促進するとの仮説が立てられる。さらに、かかるポリマーループは、3官能性オリゴマーのアームが十分に長ければ、たとえば、以上に特定された量の鎖長を有するものであれば、より容易に形成されることが重要であると考えられる。
【0052】
[054]好ましい実施形態では、オリゴマー成分は、下記構造(I):
【化3】

(式中、
は、好ましくは少なくとも3kDa、又は少なくとも5kDa、又は少なくとも6kDa、又は少なくとも9kDa、又は5kDa~20kDa、又は6kDa~15kDaのMn又はMn,theoを有する、ポリエーテルトリオールの反応生成物を表し、
は、ポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
及びIは、同一であるか又は異なり、各々ジイソシアネート化合物の反応生成物を表し、且つ
、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される3アームオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。好ましい実施形態では、R、R、R、及びRの少なくとも1つは(a)の反応生成物を表す。
【0053】
[055]構造(I)では、オリゴマーの接合点は、3つのポリエーテル鎖の各々が交わるポリエーテルトリオールPに沿った点に位置する。一方、鎖長は、それぞれのアームのPの部分に対応するすべて原子の分子量とI、P、I、及び関連R基の分子量とをプラスしたものを表す。
【0054】
[056]代替実施形態では、オリゴマー成分は、下記構造(II):
【化4】

(式中、
は、トリイソシアネート化合物の反応生成物を表し、
は、ポリエーテルポリオール、好ましくはポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
は、ポリイソシアネート化合物、好ましくはジイソシアネートの反応生成物を表し、且つ
、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される3アームオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。好ましい実施形態では、R、R、R、及びRの少なくとも1つは(a)の反応生成物を表す。
【0055】
[057]またさらなる実施形態では、オリゴマー成分は、下記構造(III):
【化5】

(式中、
は、ポリエーテルテトラオールの反応生成物を表し、
は、ポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
及びIは、同一であるか又は異なり、各々ジイソシアネート化合物の反応生成物を表し、且つ
、R、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される4アームオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。好ましい実施形態では、R、R、R、及びRの少なくとも1つは(a)の反応生成物を表す。
【0056】
[058]またさらなる実施形態では、オリゴマー成分は、下記構造(IV):
【化6】

(式中、
は、テトライソシアネート化合物の反応生成物を表し、
は、ポリエーテルジオールの反応生成物を表し、
は、ジイソシアネート化合物の反応生成物を表し、且つ
、R、R、及びRは、同一であるか又は異なり、少なくとも1つは、(a)ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(b)(メタ)アクリル系部分を有していないC~C18若しくはC~C12若しくはC~C101価アルコールの反応生成物を表す)
で示される4アームオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。好ましい実施形態では、R、R、R、及びRの少なくとも1つは(a)の反応生成物を表す。
【0057】
[059]ある実施形態では、構造(I)~(IV)のいずれかの反応性ウレタンオリゴマーのアームの少なくとも1つ、1つ超、又は各々に沿った接合点と最遠終点との間の鎖長は、少なくとも3キロダルトン(kDa)、若しくは少なくとも4kDa、若しくは少なくとも5kDa、若しくは少なくとも6kDa、若しくは少なくとも7kDa、若しくは少なくとも8kDa、若しくは少なくとも10kDa、且つ多くとも60kDa、若しくは多くとも50kDa、若しくは多くとも40kDa、若しくは多くとも35kDaであるか、又は好ましくは4kDa~35kDaである。
【0058】
[060]ある実施形態では、オリゴマー成分は、構造(I)~(IV)のいずれかに示される反応性ウレタンオリゴマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になり、構造(I)~(IV)のいずれかに示されるオリゴマーは、少なくとも20キロダルトン(kDa)、又は少なくとも30kDa、又は少なくとも40kDa、又は20~100kDa、又は30~80kDa、又は35~55kDaの理論分子量を有する。
【0059】
[061]ある実施形態によれば、本発明にかかる組成物のオリゴマー成分は、以上の構造(I)~(IV)のいずれかに対応する構造を有する少なくとも1種のオリゴマーを有しうることが明示的に企図される。オリゴマー成分は、式(I)~(IV)に対応する1つ超の構造を有する少なくとも1種のオリゴマーを有することがさらに可能であり、たとえば、例として、オリゴマー成分は、構造(I)及び(II)、(I)及び(III)、(I)及び(IV)、(II)及び(III)、(II)及び(IV)、(III)及び(IV)、(I)、(II)、及び(III)、(I)、(II)、及び(IV)、(II)、(III)、及び(IV)、又は(I)、(III)、及び(IV)から選ばれるオリゴマーを有する。当然ながら、オリゴマー成分は、式(I)、(II)、(III)、及び(IV)に対応する構造を有するオリゴマーの各々を有することがさらに可能である。
【0060】
[062]上述した反応性ウレタンオリゴマーの1種以上は、いずれかの好適量で本発明にかかる組成物で採用可能であるとともに、単独で又は本明細書に列挙されるタイプの1つ以上の組合せで選ばれうる。本明細書の他の箇所に記載の反応性ウレタンオリゴマー、とくに長アーム3官能性及び4官能性反応性ウレタンオリゴマーは、光ファイバーコーティング用途で典型的に使用されるものよりも高粘度値を有する傾向があるので、採用される特定光ファイバーコーティング用途に好適な粘度を有する組成物を確保するために、全配合物中でのそれらの使用合計量は、本発明が属する当業者であれば分かるであろう量に限定する必要がありうる。したがって、ある実施形態では、オリゴマー成分又は反応性ウレタンオリゴマーは、組成物の全重量を基準にした量で、65wt.%未満、又は10~65wt.%、又は10~55wt.%、又は10~50wt.%、又は10~40wt.%、又は15~65wt.%、又は15~55wt.%、15~50wt.%、又は15~40wt.%、又は20~65wt.%、又は20~55wt.%、又は20~50wt.%、又は20~40wt.%、又は25~65wt.%、又は25~55wt.%、又は25~50wt.%、又は25~40wt.%、又は30~65wt.%、又は30~55wt.%、又は30~50wt.%、又は30~40wt.%の量で存在する。
【0061】
[希釈剤成分]
[063]本発明の第1の態様にかかる組成物はまた、希釈剤成分、すなわち、1種又は2種以上の特定構造又はタイプを有する一群の1種又は2種以上の個別希釈剤を含む。本明細書で用いられる場合、「希釈剤」とは、それが添加される又はそれが関連するより大きな組成物の粘度を低減する物質を意味する。関連する光ファイバーコーティングのフロー性ひいては処理性を最大化するために、さまざまな希釈剤が使用される。
【0062】
[064]関連する組成物の硬化性を最大化するために、希釈剤成分は、好ましくは、反応性希釈剤を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。本明細書の他の箇所に記載のオリゴマー成分の認定との関連で特定されるように、「反応性」とは、他の分子との化学反応、好ましくは重合反応を形成する能力を意味する。このため、反応性化合物は、少なくとも1個の反応性基又は官能基を有すると言われるであろう。かかる反応性基又は官能基は、重合性基であることが好ましい。
【0063】
[065]希釈剤成分は、反応性希釈剤モノマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になることがさらに好ましい。モノマーとは、重合を行うことによりマクロ分子の本質的構造の構成単位に寄与可能な構造を有する低相対分子質量の分子のことである。本明細書で用いられる場合、約1000g/mol未満の数平均分子量(Mn)をさらに有するならば、成分はモノマーとみなされる。ある実施形態では、反応性希釈剤成分は、NMR法により決定したときに約86g/mol(メチルアクリレートのモル質量)~800g/mol又は100g/mol~350g/molのMnを有する1種以上の反応性希釈剤モノマーからなる。
【0064】
[066]本発明にかかる希釈剤成分は、少なくとも1個の重合性基を有する反応性希釈剤モノマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましい実施形態では、反応性希釈剤モノマー成分は、平均で1個の重合性基を有する反応性希釈剤モノマーからなる。反応性希釈剤モノマーの重合性基は、好ましくは、関連反応性オリゴマー成分に存在する重合性基と(共)重合可能である。
【0065】
[067]反応性希釈剤の重合性基は、いずれかの既知のタイプでありうる。しかしながら、ある実施形態では、重合性基は、アクリレート基、アクリルアミド基、若しくはN-ビニルアミド基、又はそれらのいずれかの組合せを含みうるか、それから本質的になりうるか、又はそれらからなりうる。反応性希釈剤は、好ましくは、少なくとも1個の反応性オレフィン性二重結合を含有するエチレン性不飽和重合性化合物である。
【0066】
[068]重合性基は、反応性希釈剤の長さに沿っていずれかの実現可能な箇所に存在しうる。しかしながら、好ましい実施形態では、重合性基は、重合性末端基を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0067】
[069]本発明にかかる希釈剤成分は、本明細書の他の箇所で特定される定義に一致するいずれかの既知のタイプの化合物又は物質を含みうる。しかしながら、好ましい実施形態では、希釈剤成分は、1個の二重結合を含有する1種以上の反応性希釈剤モノマーを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0068】
[070]1個の二重結合を含有するかかる反応性希釈剤モノマーの典型的な例は、アルキル又はヒドロキシアルキルアクリレート、たとえば、メチル、エチル、ブチル、2-フェノキシエチル、2-エチルヘキシル、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチル及びエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、及びジエチレングリコールエチルヘキシルアクリレート(DEGEHA)である。これらのモノマーのさらなる例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、N-置換アクリルアミド、ビニルエステルたとえばビニルアセテート、スチレン、アルキルスチレン、ハロスチレン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、ビニルクロライド、及びビニリデンクロライドである。2個以上の二重結合を含有するモノマーの例は、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4’-ビス(2-アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びテトラアクリレート、並びにビニルアクリレートである。
【0069】
[071]好ましい実施形態では、希釈剤成分は、1種以上の単官能性希釈剤モノマーを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。本明細書で用いられる場合、「単官能性」とは、NMR法により決定したときに1分子当たり平均で0.5~1.4個の重合性基を有することを意味する。好ましい実施形態では、希釈剤成分は、官能性モノマーたとえば(メタ)アクリル系モノマーを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。
【0070】
[072]上述した希釈剤の1種以上は、本発明が適用される当技術分野で周知の方法に従って使用される光ファイバー被覆プロセスに好適なように関連する配合物の粘度を調整するためにいずれかの好適量で本発明にかかる組成物で採用可能であるとともに、単独で又は本明細書に列挙されるタイプの1つ以上との組合せで選ばれうる。ある実施形態では、希釈剤成分は、放射線硬化性組成物の全重量を基準にして20wt.%~85wt.%、又は30~85wt.%、又は30~80wt.%、又は30~75wt.%、又は30~70wt.%、又は30~65wt.%、又は30~60wt.%、又は30~50wt.%、35~85wt.%、又は35~75wt.%、又は35~65wt.%、又は35~55wt.%、又は40~85wt.%、又は40~75wt.%、又は40~65wt.%、又は40~55wt.%、又は50~85wt.%、又は50~75wt.%、又は50~65wt.%の量で存在する。
【0071】
[光開始剤成分]
[073]第1の態様によれば、放射線硬化性組成物は、光開始剤成分、すなわち、1種又は2種以上の特定構造又はタイプを有する一群の1種又は2種以上の個別光開始剤を含む。光開始剤とは、光の作用により又は光の作用と増感色素の電子励起との相乗効果により化学変化してラジカル、酸、及び塩基の少なくとも1つを生成する化合物のことである。周知のタイプの光開始剤としては、カチオン光開始剤及びフリーラジカル光開始剤が挙げられる。本発明の実施形態によれば、光開始剤はフリーラジカル光開始剤である。
【0072】
[074]ある実施形態では、光開始剤成分は、1種以上のアシルホスフィンオキサイド光開始剤を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。アシルホスフィンオキサイド光開始剤は公知であり、たとえば、米国特許第4324744号明細書、同第4737593号明細書、同第5942290号明細書、同第5534559号明細書、同第6020529号明細書、同第6486228号明細書、及び同第6486226号明細書に開示されている。光開始剤成分で使用するための好ましいタイプのアシルホスフィンオキサイド光開始剤としては、ビスアシルホスフィンオキサイド(BAPO)又はモノアシルホスフィンオキサイド(MAPO)が挙げられる。より具体的には、例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド(CAS#84434-11-7)、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(CAS#127090-72-6)が挙げられる。
【0073】
[075]光開始剤成分はまた、任意に、α-ヒドロキシケトン光開始剤を含みうるか、それからなりうるか、又はそれか本質的になりうる。たとえば、好適なα-ヒドロキシケトン光開始剤は、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロピルフェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-ドデシルフェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパノンである。
【0074】
[076]他の一実施形態では、光開始剤成分は、α-アミノケトン類、たとえば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[3,4-ジメトキシフェニル]-1-ブタノン、ベンゾフェノン類、たとえば、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、2-メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(クロロメチル)-ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)-ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル2-ベンゾイルベンゾエート、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチル-4’フェニルベンゾフェノン、又は3-メチル-4’-フェニルベンゾフェノン、ケタール化合物、たとえば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタノン、及びモノメリック又はダイメリックフェニルグリオキシル酸エステル類、たとえば、メチルフェニルグリオキシル酸エステル、5,5’-オキソ-ジ(エチレンオキシジカルボニルフェニル)、又は1,2-(ベンゾイルカルボキシ)エタン)を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる。
【0075】
[077]光開始剤成分で使用するためのさらなる好適な光開始剤としては、オキシムエステル類、たとえば、米国特許第6,596,445号明細書に開示されるものが挙げられる。光開始剤成分で使用するためのさらに他の一クラスの好適な光開始剤としては、たとえば、フェニルグリオキサレート類、たとえば、米国特許第6,048,660号明細書に開示されるものが挙げられる。
【0076】
[078]他の一実施形態では、光開始剤成分は、本明細書で以上に挙げられていない1種以上のアルキル置換、アリール置換、又はアシル置換化合物を含みうるか、それからなりうるか、又はそれから本質的になりうる。
【0077】
[079]他の一実施形態によれば、組成物は、アルキル置換、アリール置換、又はアシル置換化合物の光開始剤を含有しうる。ある実施形態では、アルキル置換、アリール置換、又はアシル置換の光開始剤は、炭素族(第14族)の原子を有するか又はその原子を中心とする。かかる例では、励起されると(放射線の吸収を介して)、光開始剤化合物中に存在する第14族原子はラジカルを形成する。したがって、かかる化合物は、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、及び鉛からなる群から選択される原子を有する又はその原子を中心とするラジカルを生成する。ある実施形態では、アルキル置換、アリール置換、又はアシル置換の光開始剤はアシルゲルマニウム化合物である。かかる光開始剤は、DSM IPアセッツB.V.(DSM IP Assets B.V.)に付与された米国特許第9708442号明細書(その全体が本願をもって参照により組み込まれる)に記載されている。既知の具体的アシルゲルマニウム光開始剤としては、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTG)、テトラアシルゲルマニウム、又はビスアシルゲルマノイル(イボクラール・ビバデント(Ivoclar Vivadent)AG、9494シャーン(Schaan)/リヒテンシュタイン(Liechtenstein)からイボセリン(Ivocerin)(登録商標)として市販されている)。
【0078】
[080]本発明にかかる光開始剤は、単独で又はブレンドとして1種以上の組合せで採用されうる。好適な光開始剤ブレンドは、たとえば、米国特許第6,020,528号明細書及び米国特許出願第60/498,848号明細書に開示されている。ある実施形態によれば、光開始剤成分は、たとえば、約1:11、1:10、1:9、1:8、又は1:7の重量比のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(CAS#162881-26-7)と2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(CAS#84434-11-7)との光開始剤ブレンドを含む。
【0079】
[081]他のとりわけ好適な光開始剤ブレンドは、たとえば、約3:1:15、3:1:16、4:1:15、又は4:1:16)の重量比のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(CAS#7473-98-5)との混合物である。他の好適な光開始剤ブレンドは、たとえば、約1:3、1:4、又は1:5の重量比のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノンとの混合物である。
【0080】
[082]上述した光開始剤の1種以上は、本発明の第1の態様にかかる組成物の光開始剤成分の使用のためにいずれかの好適量で採用可能であるとともに、単独で又は本明細書に列挙されたタイプの1つ以上との組合せで選ばれうる。好ましい実施形態では、光開始剤成分は、フリーラジカル光開始剤を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。ある実施形態では、光開始剤成分は、組成物の全重量を基準にして約0.1wt.%~約10wt.%、又は約0.1wt.%~約5wt.%、又は約1wt.%~約5wt.%の量で存在する。
【0081】
[添加剤]
[083]本発明にかかる放射線硬化性組成物は、任意に、添加剤成分、すなわち、1種又は2種以上の特定構造又はタイプを有する一群の1種又は2種以上の個別添加剤を含む。ある特定の望ましい特性、たとえば、ガラス光ファイバーへの改善された接着、改善された貯蔵寿命、改善されたコーティングの酸化安定性及び加水分解安定性などを達成するために、典型的には、添加剤も光ファイバーコーティングに添加される。多くの異なるタイプの望ましい添加剤が存在し、本明細書で考察される本発明をこれらにより限定することを意図するものではないが、それらは望ましい効果を有するので、想定される実施形態に含まれる。
【0082】
[084]添加剤成分で使用するための添加剤例としては、早期重合を防止することが意図される熱抑制剤が挙げられ、たとえば、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p-メトキシフェノール、ベータ-ナフトール、又は立体障害フェノールたとえば2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾールである。たとえば、銅ナフテネート、銅ステアレート、又は銅オクトエートなどの銅化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、又はトリベンジルホスファイトなどのリン化合物、テトラメチルアンモニウムクロライドや又はベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム化合物を用いることにより、暗所貯蔵寿命を増加させることが可能である。
【0083】
[085]重合時に大気酸素を締め出すために、パラフィンや又は類似のワックス状物質などの添加剤を添加可能であり、これらは、ポリマーへの溶解性が低いため重合が始まると表面にマイグレートし、空気の進入を防止する透明表面層を形成する。同様に、酸素バリヤー層を適用することが可能である。
【0084】
[086]さらなる潜在的に好適な添加剤としては光安定剤が挙げられる。光安定剤としては、UV吸収剤、たとえば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール型、ヒドロキシフェニル-ベンゾフェノン型、オキサミド型、又はヒドロキシフェニル-s-トリアジン型の周知の市販のUV吸収剤が挙げられる。立体障害型の比較的非塩基性のアミン光安定剤(HALS)を併用して又は併用せずに個別のかかる化合物又はその混合物を使用することが可能である。立体障害型アミンは、たとえば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンをベースとする。UV吸収剤及び立体障害型アミンとしては、たとえば、下記のものが挙げられる。
【0085】
[087]2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール類、たとえば、公知の市販のヒドロキシフェニル-2H-ベンゾトリアゾール類、並びに米国特許第3,004,896号明細書、同第3,055,896号明細書、同第3,072,585号明細書、同第3,074,910号明細書、同第3,189,615号明細書、同第3,218,332号明細書、同第3,230,194号明細書、同第4,127,586号明細書、同第4,226,763号明細書、同第4,275,004号明細書、同第4,278,589号明細書、同第4,315,848号明細書、同第4,347,180号明細書、同第4,383,863号明細書、同第4,675,352号明細書、同第4,681,905号明細書、同第4,853,471号明細書、同第5,268,450号明細書、同第5,278,314号明細書、同第5,280,124号明細書、同第5,319,091号明細書、同第5,410,071号明細書、同第5,436,349号明細書、同第5,516,914号明細書、同第5,554,760号明細書、同第5,563,242号明細書、同第5,574,166号明細書、同第5,607,987号明細書、同第5,977,219号明細書、及び同第6,166,218号明細書に開示されているベンゾトリアゾール類、たとえば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール)、5-クロロ-2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-sec-ブチル-5-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ビス-α-クミル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-(ω-ヒドロキシオクタ-(エチレンオキシ)カルボニル-エチル)-フェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-ドデシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-オクチルオキシカルボニル)エチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、ドデシル化2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール)、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-5-(2-(2-エチルヘキシルオキシ)-カルボニルエチル)-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-(2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル-2H-ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレン-ビス(4-t-オクチル-(6-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-t-オクチル-5-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-フルオロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、メチル3-(5-トリフルオロメチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、5-ブチルスルホニル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジt-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-ブチルスルホニル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、及び5-フェニルスルホニル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール。
【0086】
[088]他の一クラス例としては、2-ヒドロキシベンゾフェノン類、たとえば、4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクチルオキシ、4-デシルオキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’,4’-トリヒドロキシ、及び2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシの誘導体が挙げられる。
【0087】
[089]さらに他の一クラス例としては、置換及び非置換の安息香酸のエステル、たとえば、4-tert-ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレソルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レソルシノール、ベンゾイルレソルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートが挙げられる。
【0088】
[090]添加剤成分で使用するのに好適な追加の添加剤としては、光重合を促進する化合物、たとえば、組み込まれる組成物の分光感度をシフトする又は広げるいわゆる光増感剤が挙げられる。光増感剤としては、特定的には、芳香族カルボニル化合物、たとえば、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、及び3-アシルクマリン誘導体、さらには3-(アロイルメチレン)チアゾリン類、さらにはエオシン染料、ローダミン染料、及びエリスロシン染料が挙げられる。代替的に、非芳香族カルボニル化合物が使用されうる。非芳香族カルボニルの例は、ジメトキシアントラセンである。
【0089】
[091]硬化手順は、特定的には、顔料着色組成物を作製する又はその作製を促進する添加剤を用いることにより支援可能である。かかる添加剤としては、米国特許第4,753,817号明細書に記載のように、二酸化チタンなどの顔料が挙げられるとともに、熱的条件下でフリーラジカルを形成する添加剤、たとえば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾサルファイド、ペンタアザジエン、又はパーオキシ化合物、たとえば、ハイドロパーオキサイド又はパーオキシカーボネート、たとえば、t-ブチルハイドロパーオキサイドが挙げられる。この目的に合ったさらなる好適な物質としては、ベンゾピナコール化合物が挙げられる。
【0090】
[092]添加剤成分としては、光還元性染料、たとえば、キサンテン染料、ベンゾキサンテン染料、ベンゾチオキサンテン染料、チアジン染料、ピロニン染料、ポルフィリン染料、アクリジン染料、及び/又は放射線により開裂可能なトリハロメチル化合物が挙げられうる。かかる添加剤は、たとえば、米国特許第5,229,253号明細書に記載されている。
【0091】
[093]意図される用途に依存して、他の従来の添加剤を使用しうる。例としては、蛍光増白剤、充填剤、顔料、染料、湿潤剤、又はレベリング助剤が挙げられる。また、たとえば、米国特許第5,013,768号明細書に記載されるように、顔料添加された厚いコーティングは、ガラスマイクロビーズ又は粉末状ガラスファイバーを含有することが可能である。
【0092】
[094]ある実施形態では、添加剤成分は、一次コーティングの1つ以上の性質を向上させるために使用される1種以上の各種添加剤を含む。かかる添加剤としては、酸化防止剤(たとえば、イルガノックス(Irganox)1035、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、又はtert-ブチルハイドロキノン)、接着促進剤、禁止剤(たとえばアクリル酸)、光増感剤、担体界面活性剤、タック付与剤、触媒、安定剤、表面剤、及び光学増白剤が挙げられる。
【0093】
[095]好ましい実施形態では、添加剤成分は、1種以上の接着促進剤化合物を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる。接着促進剤は、ポリマー一次コーティングと光ガラスファイバーの表面との連結を提供する。加水分解性のシランカップリング剤は、ガラス接着促進剤として使用されてきた。シランカップリング剤は、とくに米国特許第4,932,750号明細書に記載されている。ある実施形態では、接着促進剤は、メルカプト基及び/又は複数のアルコキシ基を含有する加水分解性シラン化合物である。かかる接着促進剤は公知であるとともに、米国特許出願公開第20020013383号明細書(その関連部分は本願をもって参照により組み込まれる)に記載されている。
【0094】
[096]ある実施形態では、接着促進剤としては、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、又は3-トリメトキシシリルプロパン-1-チオールの1種以上が挙げられる。シランカップリング基は、代替的にオリゴマー成分中のオリゴマー上に反応しうるとともに、かかる場合には、それは添加剤としてではなくオリゴマー成分の一部としてみなされる。
【0095】
[097]上述した添加剤の1種以上は、本発明にかかる組成物でいずれかの好適量で採用可能であるとともに、単独で又は本明細書に列挙されたタイプの1つ以上との組合せで選ばれうる。好ましい実施形態では、添加剤成分は、組成物の全重量を基準にして約0wt.%~40wt.%、又は0wt.%~30wt.%、又は0wt.%~20wt.%、又は0wt.%~10wt.%、又は0wt.%~5wt.%、又は0.01wt.%~40wt.%、又は0.01wt.%~30wt.%、又は0.01wt.%~20wt.%、又は0.01wt.%~10wt.%、又は0.01wt.%~5wt.%、又は0.1wt.%~2wt.%の量で存在する。他の一実施形態によれば、添加剤成分は、全放射線硬化性組成物の重量を基準にして、1wt.%~40wt.%、又は1wt.%~30wt.%、又は1wt.%~20wt.%、又は1wt.%~10wt.%、又は1wt.%~5wt.%で存在する。
【0096】
[098]記載のごとく、本発明の第1の態様の各種実施形態に従って配合された組成物は、優れた特性を有しうる。具体的には、かかる組成物は、低弾性率及び/又は高引裂き強度を有する硬化コーティングを形成する能力がある。したがって、ある実施形態では、本発明の第1の態様にかかる組成物は、組成物から形成された硬化フィルムのセグメント弾性率(E)により測定したときに1.5メガパスカル(MPa)未満、又は1.0MPa未満、又は0.5MPa未満、又は0.4MPa未満、又は0.3MPa未満、又は0.15~1.0MPa、又は0.2~1.0MPa、又は0.25~0.75MPa、又は0.25~0.5MPa、又は0.25~0.8MPa、又は0.6~0.8MPaの低弾性率を有する。
【0097】
[099]ある実施形態では、組成物は、ISO816(1983-12-01付けの第2版)に準拠して測定した場合、組成物から作製されたフィルムの歪みエネルギー解放率G値により測定したときに少なくとも5のJ/m、又は少なくとも9J/m、又は少なくとも10J/m、又は少なくとも15J/m、又は少なくとも25J/m、又は28J/m超、又は30J/m超、又は33J/m超、又は少なくとも35J/m、又は少なくとも40J/m、又は5~50J/m、又は5~40J/m、又は5~35J/m、又は5~25J/m、又は5~15J/m、又は5~10J/m、又は5~9J/m、又は9~40J/m、又は9~35J/m、又は9~25J/m、又は9~15J/m、又は10~40J/m、又は10~25J/m、又は10~15J/m、又は25~40J/mの高引裂き強度を有する。
【0098】
[0100]好ましい実施形態では、組成物は、低弾性率及び高引裂き強度の両方を有する。これは、放射線硬化性組成物から形成されたフィルムのセグメント弾性率(E)値(MPa単位)により歪みエネルギー解放率(G)値(J/m単位)を除算した比として定量的に決定可能である。ある実施形態では、組成物は、J/(m・MPa)単位でG/Eとして表したときに20超、又は25超、又は30超、又は35超、又は50超、又は60超、又は70超、又は75以上又は81超、又は90超、又は100超、又は150超、又は170超、又は20~70、又は20~60、又は20~50、又は20~35、又は20~30、又は20~25、又は25~70、又は25~60、又は25~50、又は25~35、又は25~30、又は30~70、又は30~60、又は30~50、又は30~35、又は70~250、又は75~250、又は82~250、又は82~200、又は90~250、又は90~200のかかる比を有する。
【0099】
[0101]本発明の第2の態様は、好ましくはガラス光ファイバーを延伸塔に通して延伸することにより、ガラス光ファイバーを提供することと、ガラス光ファイバーの表面上に一次コーティング組成物を適用することと、任意に、前記一次コーティング組成物を少なくとも部分硬化させるのに十分なUV光照射量を付与することと、一次コーティング組成物に二次コーティング組成物を適用することと、紫外線を発する能力のある少なくとも1つの放射線源に前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物を暴露して前記一次コーティング組成物及び前記二次コーティング組成物の硬化を引き起こすことにより、前記光ファイバーの表面上に硬化一次コーティング及び前記硬化一次コーティングの表面上に硬化二次コーティングを形成する工程と、を含む、光ファイバーを被覆する方法であって、一次コーティング組成物が本発明の第1の態様の実施形態のいずれかにかかる組成物である、方法である。
【0100】
[0102]本発明の第3の態様は、被覆光ファイバーであって、被被覆光ファイバーが、ガラスコアと、前記ガラスコアに接触してそれを取り囲むクラッディング層と、コーティング部分と、を含み、前記コーティング部分が、前記クラッディング層に接触してそれを取り囲む一次コーティング層と、前記一次コーティング層に接触してそれを取り囲む二次コーティング層と、をさらに含む、覆光ファイバーである。この第3の態様によれば、一次コーティング層は、第1の態様の実施形態のいずれかにかかる放射線硬化性組成物の硬化物であり、且つ一次及び二次コーティングは、第2の態様の実施形態のいずれかに従って適用され硬化される。
【0101】
[0103]第3の態様の実施形態によれば、光ファイバーは、コアと、クラッディングと、外側環状クラッディング領域に接触してそれを取り囲む一次コーティングと、二次コーティングと、を含む。いくつかの実施形態によれば、コアは、純シリカガラス(SiO)又は純アンドープシリカガラスと比べてガラスコアの屈折率を増加させる1種以上のドーパントを有するシリカガラスを含む。コアの屈折率を増加させるのに好適なドーパントとしては、限定されるものではないが、GeO、Al、P、TiO、ZrO、Nb、Ta、及び/又はそれらの組合せが挙げられる。
【0102】
[0104]クラッディング層は、コアの最大相対屈折率[Δ1MAX]がクラッディングの最大相対屈折率[Δ4MAX]よりも大きい限り、純シリカガラス(SiO)、クラッディングを「アップドープ」する場合などでは屈折率を増加させる1種以上のドーパント(たとえば、GeO、Al、P、TiO、ZrO、Nb、及び/又はTa)を有するシリカガラス、又は内側クラッディングを「ダウンドープ」する場合などではフッ素などの屈折率を減少させるドーパントを有するシリカガラスを含みうる。一実施形態によれば、クラッディングはまた純シリカガラスである。
【0103】
[0105]第3の態様のいくつかの実施形態によれば、一次コーティングは、1.5MPa未満、又は1.0MPa未満、又は0.6MPa未満、又は0.5MPa未満、又は0.3MPa未満、又は0.15~0.8MPa、又は0.15~0.8MPa、他の実施形態では0.2MPa未満のin-situ(又はオンファイバー)引張り弾性率を有する典型的一次コーティングである。in-situ弾性率を記述する方法は当技術分野で周知であり、とくに、各々DSM IPアセッツB.V.に付与された米国特許第7,171,103号明細書及び米国特許第6,961,508号明細書に記載されている。ある実施形態では、硬化一次コーティングは、-35℃未満、又は-40℃未満、又は-45℃未満、他の実施形態では-50℃以下のin-situガラス転移温度を有する。低in-situ弾性率を有する一次コーティングは、ファイバー内を伝搬するモード間の結合機構であるマイクロベンディングを低減する。低in-situガラス転移温度は、ファイバーを極冷環境内に配置した場合でさえも一次コーティングのin-situ弾性率を低い状態に維持することを保証する。好ましい実施形態では、第3の態様にかかる一次コーティングはまた、高引裂き強度値、たとえば、少なくとも5J/m、又は少なくとも9J/m、又は少なくとも10J/m、又は少なくとも15J/m、又は少なくとも25J/m、又は28J/m超、又は30J/m超、又は33J/m超、又は少なくとも35J/m、又は少なくとも40J/m、又は5~50J/m、又は5~40J/m、又は5~35J/m、又は5~25J/m、又は5~15J/m、又は5~10J/m、又は5~9J/m、又は9~40J/m、又は9~35J/m、又は9~25J/m、又は9~15J/m、又は10~40J/m、又は10~25J/m、又は10~15J/m、又は25~40J/mの引裂き強度Gを有する。また、被覆光ファイバーは、低弾性率さらには高引裂き強度の両方を維持することが有益であるので、好ましい実施形態では、第3の態様にかかる被覆光ファイバーは、以下の引裂き強度対in-situ弾性率の比(J/(m・MPa)単位)を有する。
【0104】
[0106]30超、又は60超、又は70超、又は75以上又は81超、又は90超、又は100超、又は150超、又は170超、又は200超、又は70~300、又は75~300、又は82~300、又は82~200、90~250、又は90~200。
【0105】
[0107]一次コーティングは、熱エージング時及び加水分解エージング時にガラスファイバーへの適正接着を維持し、しかも(所要により)スプライス目的でそれから剥離可能にしうる。一次コーティングは、典型的には20~50μmの範囲内(たとえば、約25又は32.5μm)の厚さ、200μmファイバーでは15~25μmの範囲内のより薄い厚さを有する。他の実施形態では、一次コーティングは、好ましくは約40μm未満、より好ましくは約20~約40μm、最も好ましくは約20~約30μmの厚さを有する。
【0106】
[0108]二次コーティングは、一次コーティングに接触してそれを取り囲む。二次コーティングは、たとえば、重合時に分子が高架橋状態になるコーティング組成物の重合生成物である。ある実施形態にかかる二次コーティングは、800MPa超、又は1110MPa超、又は1300MPa超、又は1400MPa超、又は1500MPa超のin-situ引張り弾性率を有しうる。高in-situ弾性率を有する二次コーティングは、ファイバー内を伝搬するモード間の結合機構であるマイクロベンディングを低減する。
【0107】
[0109]他の実施形態によれば、二次コーティングは、高in-situ弾性率(たとえば、25℃で約800MPa超)及び高T(たとえば、約50℃超)を有する。他の好ましい実施形態では、in-situ二次弾性率は、約1000MPa~約8000MPa、より好ましくは約1200MPa~約5000MPa、最も好ましくは約1500MPa~約3000MPaである。二次コーティングのin-situ Tは、好ましくは約50℃~約120℃、より好ましくは約50℃~約100℃である。ある実施形態では、二次コーティングは、約40μm未満、より好ましくは約20~約40μm、最も好ましくは約20~約30μmの厚さを有する。
【0108】
[0110]外側(又は二次)コーティング材料で使用するための好適な材料、さらにはこうした材料の選択に関する要件は、当技術分野で周知であり、たとえば、Chapinに付与された米国特許第4,962,992号明細書及び同第5,104,433号明細書に記載されている。また、これらの代わりとして、Botelhoらに付与された米国特許第6,775,451号明細書及びChouらに付与された米国特許第6,689,463号明細書に記載されるように、低オリゴマー含有率のコーティング系を用いて高弾性率コーティングが得られている。そのほか、Schisselらに付与された米国特許出願公開第20070100039号明細書に記載されるように、高弾性率コーティングを達成するために非反応性オリゴマー成分が使用されている。当技術分野で周知のように、二次コーティングはインクも含みうる。かかる場合には、二次コーティングは、「着色二次コーティング」といいうる。
【0109】
[0111]被覆光ファイバーは、代替的に、二次層上に配設された1つ以上の追加の層を含みうる。最も注目すべきこととして、かかる層は、二次コーティングとは別に適用され硬化されたスタンドアロン「インク」層を含む。他の多層コーティング系は公知であり、たとえば、国際公開第2017173296号パンフレットに開示されている。
【0110】
[0112]ブロードバンドUVランプを用いて硬化させるために、以上に記載のファイバー用一次及び二次コーティングさらにはインク及びマトリックス材料に対して典型的な光ファイバーコーティングをいかに配合するかについては当技術分野で公知である。こうした技術並びに関連する化学及び試験方法に関する良好な考察は、エルゼビア(Elsevier)により出版された書籍「Specialty Optical Fibers Handbook」、A.Mendez及びT.F.Morse著、(著作権)エルゼビア社、2007年の第4章の第4.6節~末尾に見いだしうる。
【0111】
[0113]いずれの光ファイバータイプも、本発明の第3の態様の実施形態で使用されうる。しかしながら、好ましい実施形態では、被覆光ファイバーは、1310nmの波長における8~10μmのモードフィールド直径若しくは1550nmの波長における9~13μmのモードフィールド直径及び/又は20~200μmの有効面積を有する。かかるファイバーは、より速いラインスピード又は処理スピードを利用するファイバー被覆プロセスの予想需要を考慮して、シングルモード及び/又は大有効面積のファイバーでありうる。しかしながら、マルチモードファイバーなどの他のファイバータイプも同様に使用されうる。
【0112】
[0114]本発明の第4の態様は、光ファイバーケーブルであって、光ファイバーが本発明の第3の態様にかかる少なくとも1つの光ファイバーを含む、及び/又は光ファイバーが本発明の第1の態様にかかる組成物の硬化物である、及び/又は光ファイバーが本発明の第2の態様に従って被覆された、光ファイバーケーブルである。
【0113】
[0115]本発明の改善された組成物(及びそれから製造される被覆光ファイバー)は、本明細書の以上に特定された成分を選択することにより配合可能であり、さらに、本発明が適用される技術分野の当業者であれば、本明細書の配合ガイドラインに従って、さらには以下の実施例に例示される実施形態で採用される一般的手法から外挿することにより、容易に調整可能である。以下のかかる実施例は、本発明をさらに例示するものであるが、当然ながら、なんらその範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0114】
[実施例]
[0116]これらの実施例は本発明の実施形態を例示する。表1は、本実施例に使用される組成物の各種成分を記載する。表2は、表1の試薬から作製されるオリゴマーの各種さらなる態様を記載し、その合成については以下にさらに記載される。表3は、表1に記載の成分及び表2に特徴付けられるオリゴマーから作製された全配合物の試験結果を示す。
【0115】
【表1】
【0116】
[オリゴマーの合成]
[0117]本明細書で用いられるオリゴマーは、本発明が適用される当技術分野で周知の方法により反応性希釈剤(それ自体は25重量%で使用された)としてのTDA中で調製された。ジイソシアネート、触媒(DBTDL)、及び安定剤(BHT及びアクリル酸)を反応器内に仕込んだ後、前のウレタン形成の完了後に続いてヒドロキシ官能性化合物を添加した。
【0117】
[0118]オリゴマー1: HEA官能化トリオールオリゴマー1では、6mol eq.のジイソシアネート(デスモジュールT-100)、3mol eq.のモノヒドロキシ官能性化合物(HEA)、3mol eq.のビスヒドロキシ官能性化合物(ジオール)アクレイム8200、及び1mol eq.のトリスヒドロキシ官能性化合物(トリオール)アクレイム6320N(C)を使用した。「理想」構造は、
P6000(トリオール)-(T-P8000-T-H)
である。式中、「P6000(トリオール)」は、ポリオールアクレイム6320Nの反応生成物(それを介してオリゴマーの接合点が位置する)を表し、「T」は、ジイソシアネート化合物TDIの反応生成物を表し、「H」は、重合性アクリレート基を有するアクリレート化合物HEAの反応生成物を表し、且つ「P8000」は、アクレイム8200ポリオールの反応生成物を表す。「(T-P8000-T-H)」上の接尾辞3は、オリゴマーがトリオールコアに沿った接合点から分岐する3つの識別可能アームを有することを表す。示すように、このオリゴマーは、3個の重合性アクリレート末端基を有する。このオリゴマーのさらなる特徴付けは表2に示される。以下の本明細書の他の箇所に記載の実験方法により得られたオリゴマー1のSECプロットは、図1に描かれる。
【0118】
[0119]オリゴマー2: HEMA官能化トリオールオリゴマー2では、6mol eq.のジイソシアネート(デスモジュールT-100)、3mol eq.のモノヒドロキシ官能性化合物(HEMA)、3mol eq.のビスヒドロキシ官能性化合物(ジオール)アクレイム8200、及び1mol eq.のトリスヒドロキシ官能性化合物(トリオール)アクレイム6320Nの(C)を使用した。「理想」構造は、
P6000(トリオール)-(T-P8000-T-HM)
である。式中、「P6000(トリオール)」は、ポリオールアクレイム6320Nの反応生成物(それを介してオリゴマーの接合点が位置する)を表し、「T」は、ジイソシアネート化合物TDIの反応生成物を表し、「HM」は、重合性メタクリレート基を有するメタクリレート化合物HEMAの反応生成物を表し、且つ「P8000」は、アクレイム8200ポリオールの反応生成物を表す。「(T-P8000-T-H)」上の接尾辞3は、オリゴマーがトリオールコアに沿った接合点から分岐する3つの識別可能アームを有することを表す。分かるであろうが、このオリゴマーは、3個の重合性メタクリレート末端基を有する。このオリゴマーのさらなる特徴付けは表2に示される。
【0119】
[0120]オリゴマー3: より低分子量の線状HEA官能化ジオールオリゴマー3では、3mol eq.のジイソシアネート(デスモジュールT-100)、2mol eq.のモノヒドロキシ官能性化合物(HEA)、及び2mol eq.のビスヒドロキシ官能性化合物(ジオール)アクレイム8200を使用した。「理想」構造は、
H-(T-P8000)-T-H
である。式中、「P8000」、「T」、及び「H」は、以上のオリゴマー1及び2との関連で本明細書に定義される。「(T-P8000)」上の接尾辞2は、P8000ジオールの反応生成物を含有する2つの識別可能線状ブロックをオリゴマーが有することを表す。分かるであろうが、このオリゴマーは、コアから生じる2つのアームを有して線状であり、2個の重合性アクリレート末端基を有する。このオリゴマーのさらなる特徴付けは表2に示される。以下の本明細書の他の箇所に記載の実験方法により得られたオリゴマー3のSECプロットは、図2に描かれる。
【0120】
[0121]オリゴマー4: より高分子量の線状HEA官能化ジオールオリゴマー4では、5mol eq.のジイソシアネート(デスモジュールT-100)、2mol eq.のモノヒドロキシ官能性化合物(HEA)、及び4mol eq.のビスヒドロキシ官能性化合物(ジオール)アクレイム8200を使用した。「理想」構造は、
H-(T-P8000)-T-H
である。式中、「P8000」、「T」、及び「H」は、以上のオリゴマー1及び2との関連の記載で定義される通りである。「(T-P8000)」上の接尾辞4は、P8000ジオールの反応生成物を含有する4つの識別可能線状ブロックをオリゴマーが有することを表す。分かるであろうが、このオリゴマーは、コアから生じる2つのアームを有して線状であり、2個の重合性アクリレート末端基を有する。このオリゴマーのさらなる特徴付けは表2に示される。以下の本明細書の他の箇所に記載の実験方法により得られたオリゴマー4のSECプロットは、図3に描かれる。
【0121】
[オリゴマーの特徴付け]
[0122]以下に列挙される実験で評価されたいくつかのパラメーターにより、以上に合成が記載されたオリゴマーの各々をさらに特徴付けた。各オリゴマーでは、理想構造、とくに、それぞれの官能価、アーム数、接合点と最遠終点との間の鎖長、及び合計理論オリゴマー分子量を、関連する理想構造に対して決定した。官能価は、オリゴマー上の(メタ)アクリル基の数を表し、アーム数は、理想構造を参照することにより本発明が関連する当業者には自明であろう。最長アームの鎖長(「理論鎖長最長アーム」として表2に示される理論値)は、理想オリゴマー構造中の接合点から最遠終点までの特定アームの作製に使用されるすべての反応剤の原子量を加算することにより決定された。HEA基の代わりに-OH基でエンドキャップされた(2-エチルヘキサノールなどの反応剤により)オリゴマーでは(図示せず)、たとえば、2-エチルヘキサノールの分子量(130.23g/mol)がHEA(116.12g/mol)よりも大きいので、典型的には、このアームは、最長アームとして表されるであろう。合計理論オリゴマー分子量(表2で「Mn,theo」として記述される)は、各オリゴマーの理想構造中のすべての原子の原子量の和をとることにより決定された。鎖長及びMn,theoは、特定された0.1kDa又は0.01kDaの位に丸めてキロダルトン(kDa)単位で報告される。
【0122】
[0123]次いで、作製されたオリゴマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及びz平均分子量(Mz)を決定するために、本明細書で作製された以上に記載の各オリゴマーを下記節に記載の方法よりSECを介して分析した。これらのパラメーターの各々に関する詳細は、ポリマー分子量分布及びMW平均の定義(Polymer Molecular Weight Distribution and Definitions of MW Averages)、アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies)、2015年4月30日、5990-7890EN(https://www.agilent.com/cs/library/technicaloverviews/Public/5990-7890EN.pdf)に見いだされる。最後に、最長アームの測定鎖長(「実験鎖長最長アーム」として表2に記載される)及び測定Mz対Mn値の比を含めて、他の値をそれらから誘導した。表2のすべての実施例でオリゴマーのあらゆるアームが理論等価構造を有する場合、Mnをアーム数により除算することにより「実験鎖長最長アーム」を決定した。本明細書で考察されるパラメーターに対する値はすべて、必要に応じて表2に報告される。
【0123】
[SECによる特徴付け]
[0124]次いで、合成された各種反応性オリゴマーを用いて、ASTM:D5296-11:「高性能サイズ排除クロマトグラフィーによるポリスチレンの分子量平均及び分子量分布の標準試験法(Standard Test Method for Molecular Weight Averages and Molecular Weight Distribution of Polystyrene by High Performance Size-Exclusion Chromatography)」、ASTMインターナショナル(ASTM International)、ペンシルバニア州ウェストコンショホッケン(West Conshohocken,PA)、(2011年)に準拠してサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により評価した。そのほか、ポリマー分析に適した溶媒の定義を容易にするために、ASTM規格D5226-98:「ポリマー材料の標準溶解規範(Standard Practice for Dissolving Polymer Materials)」、ASTMインターナショナル、ペンシルバニア州ウェストコンショホッケン、(2010年)を使用した。
【0124】
[0125]具体的には、RI検出器、Wyatt microDawnマルチアングル光散乱装置、及びWyatt microViscoStarキャピラリー-ブリッジ示差粘度計を備えたウォーターズ(Waters)APC(アドバンスドポリマークロマトグラフィー(Advanced Polymer Chromatography))システムで、すべてのサイズ排除クロマトグラフィー測定を実施した。クロマトグラフィー分離では、カラム:4.6×76mm、アクイティー(Acquity)APC XT450 2.5μm、125 2.5μm、45 1.7μmを使用した。40℃で検出器及びカラムを操作した。SECを行う前に、1wt.%の酢酸を含有するテトラヒドロフラン(THF)中にそれぞれ各ポリマーを1.0~1.5mg/mlの範囲内の濃度で溶解させた。このTHF溶液をSEC分析で0.5ml/minの流量で溶出液としても使用した。
【0125】
[0126]溶解が完了したら、次いで、屈折率、示差粘度、及び直角光散乱シグナルを用いる以上で参照されたトリプル検出法により、モル質量及びモル質量分布を決定した。分子量平均及びモル質量分布の計算では、約0.07ml/gの屈折率増加(dn/dc)を使用した。具体的には、オリゴマー1~4のdn/dc値は、それぞれ、0.0695、0.0708、0.0780、及び0.0792であると決定された。屈折率増加及び分子質量平均さらにはモル質量分布は、屈折率クロマトグラム全体の積分により決定された。IV-DPシグナルを用いて積分限界を設定した。カラムからのサンプルの回収率は95~105%で変動した。これはサイズ排除クロマトグラフィーで得られる値の典型である。
【0126】
[0127]以上に規定の方法を用いて、Mn、Mw、及びMzの値を記録し報告した。
【0127】
【表2】
【0128】
[配合物1~10]
[0128]以上に記載され表2に特徴付けられたオリゴマーの1種以上を用いて、スピードミキサー(SpeedMixer)(商標)で使用するのに好適な100ml混合カップ中で100gサンプルを混合することにより、以下の表3に記載の配合物の各々を調製した。具体的には、以下の表3で特定された量のオリゴマーに光開始剤を添加し、続いて、規定量のモノマーを添加し、合計で100gとした。次いで、使用したモノマー中へのオリゴマーの良好な混合導入を確保するために、混合物を手でプレ混合した。次いで、カップを閉じて、スピードミキサー(商標)DAC150FVZ中、3500rpmで3分間激しく混合した。この後、それを停止し、すべての成分の完全溶解を確保するためにオーブン中で55℃に加熱し、この温度に約1時間維持した。最後に、サンプルをオーブンから取り出して、同一方法により再びスピードミキサー中でさらに30秒間再混合した。
【0129】
[0129]これらの配合物を以下に記載の方法に従って試験して、各サンプルの初期粘度、セグメント弾性率(E)、引裂き強度(G)、及びG/E比をそれぞれ決定した。粘度の値は、.01パスカル秒の位に丸められ、一方、セグメント弾性率値は、小数第2位又は第3位に丸めて本明細書に提示される。最後に、G値を計算して小数第1位に丸めて本明細書に提示する。これらの測定特性の値は、以下の表3に報告される。
【0130】
[粘度]
[0130]粘度は、アントンパール(Anton Paar)レオラボ(Rheolab)QCを用いて測定される。装置は、使用した従来Z3システムに合わせて構成された。各測定では、14.7±0.2gの量のサンプルを使い捨てアルミニウムカップにロードした。カップ中のサンプルを検査し、目視検査でバブルを含有すると判定された場合、サンプル及びカップは、どちらも遠心分離に付されたか、又はバブルが液体の大部分から逃散するように十分な時間にわたり静置された。液体のトップ表面に現れるバブルは、許容可能とみなされた。
【0131】
[0131]その次に、ボブを計量カップ中の液体に穏やかにロードし、その後、カップ及びボブを装置内に設置した。5分間待機によりサンプル温度を循環液体(それ自体は摂氏25度に維持された)の温度と平衡化させた。次いで、50sec-1の所望の剪断速度を生成するように、回転速度をある特定の値に設定した。
【0132】
[0132]この後、測定の読みを得た。装置パネルが粘度値を呈し、粘度値が15秒間にわたりごくわずかに変動(2%未満の相対変動)した場合、測定を中止した。2%超の相対変動が観測された場合、サンプルをさらに5分間平衡化させ、その後、試験を再開した。追加の平衡化時間でサンプル変動が残留した場合、より正確にサンプルの粘性を把握するために、本発明が適用される当技術分野で周知の方法に従って剪断速度を修正した。報告結果は、3つの個別試験サンプルの平均粘度値で表した。とくに断りのない限り、値は、パスカル秒(Pa・s)単位で表されて記録された。各実施例の結果は、以下の表3に報告される。
【0133】
[すべての測定用のフィルムサンプルの作製]
[0133]サンプルは、R500リフレクターを備えた1600Mラジエーター(240W/cmに等しいパワー600W/インチのDバルブ)をランプとして有するコンベア融合ユニットモデルDRS-10/12QN,UVランプシステムの1J/cmUV照射量で硬化させた。次いで、インターナショナルライト(international Light)390放射計を用いてUV照射量を測定した。1J/cmの条件で測定されたUVピーク照射量は8.1W/cm
である。
【0134】
[引張り強度、伸び、及び弾性率の試験方法]
[0134]本明細書で用いられるセグメント弾性率を決定するための方法は、DSM IPアセッツB.V.に付与された欧州特許第2089333B1号明細書(その全体が本願をもって参照により組み込まれる)に見いだされる。硬化サンプルの引張り性(引張り強度、破断点伸びパーセント、及び弾性率)は、MTSクライテリオン(MTS Criterion)(商標)モデル43.104を用いて決定される。サンプルは、フュージョンUV(Fusion UV)プロセッサーを用いて材料の150μmフィルムを硬化させることにより、試験用に調製される。サンプルは、窒素雰囲気中で1.0J/cmで硬化される。1.27cm(0.5インチ)の幅及び12.7cm(5インチ)の長さを有する試験試料は、フィルムからカットされる。各試料の厳密な厚さは、マイクロメーターで測定される。
【0135】
[0135]これらは比較的軟質のコーティング(たとえば、約10MPa未満の弾性率を有するもの)であるため、コーティングをガラスプレート上にドローダウンして硬化させ、スカルペルでガラスプレートから個別試料をカットする。0.9kg(2lb)のロードセルをインストロン(Instron)で使用して、応力-歪みプロットの最小二乗当てはめにより2.5%伸びで弾性率を計算する。硬化フィルムは、試験前に最小でも16~24時間にわたり23.0±0.1℃及び50.0±0.5%相対湿度でコンディショニングされる。
【0136】
[0136]試料の試験では、ゲージ長は5.1cm(2インチ)であり、且つクロスヘッドスピードは2.54cm/分(1インチ/分間)である。試験はすべて、23.0±0.1℃の温度及び50.0±0.5%の相対湿度で行われる。測定はすべて、少なくとも6つの試験試料の平均から決定される。
【0137】
[0137]セグメント弾性率(E)の値は、各実施例に対して記録され以下の表3に報告される。
【0138】
[歪みエネルギー解放率又は引裂き強度(G)の測定]
[0138]歪みエネルギー解放率Gは、国際標準規格ISO816(第2版1983-12-01)「加硫ゴム:小試験片(デルフト(Delft)試験片)の引裂き強度の決定」に準拠して測定された。使用された試験片は、ISO816に準拠して作製された。グリップ間の長さは20mmであった。厚さ(d)は0.15mm(6ミル)であり、0.001mmの分解能を有するミツトヨ(Mitutoyo)マイクロメーターにより測定された。硬化サンプルは、MSインスツルメント・カンパニー・インコーポレーテッド(MS Instrument Company Inc.)製のASTM D1822タイプLのダイを用いてカットされ、スリット長さ(b)は初期クラックの4.70mmであり、固定サンプル幅は9.1mm及び長さは60mmであった。
【0139】
[0139]使用装置に関して、試験は、TAインスツルメンツ(TA instruments)製のRSA-G2機で行われた。使用した力センサーは、100Hzまでの周波数及び振幅±1.5mmを有するリニアエアベアリングモーターに接続された最大3500グラムの力(34.32N)に適応するFRTトランスデューサーであった。伸びは、1秒ごとにデータ点を得ておおよそ0.01mm/sの速度のクランプで測定された。試験スピードは、4.5e-4/sのヘンキー歪み速度であった。試験は、23±2℃の温度及び50±10%の相対湿度行でわれた。使用装置はすべて、ISO9001に準拠して校正された。
【0140】
[0140]報告された各実施例では、5~8つの試料を使用した。報告されたG値は、これらのサンプルの平均値であった。
【0141】
[0141]歪みエネルギー解放率Gは、ISO816に定義されるスリット長さbに等しい小クラックを最初に含有する硬化一次コーティングの以上に記載の試験試料で1mクラック当たり必要とされるエネルギーである。その場合、Gは次のように計算される。
【数1】

式中、Fbreakは破断点力であり、bはスリット長さであり、dは試験片の厚さでBは幅であり、且つEは、「一軸引張り試験からの応力/歪み曲線の決定」に記載の試験方法で応力-歪みプロットの最小二乗当てはめにより2.5%伸びから計算したときの2.54cm/分(1インチ/分)の試験スピードでのセグメント弾性率であり、且つCは、次のようにサンプルジオメトリーを規定する。
【数2】
【0142】
[0142]次いで、試験された各サンプルのG値(J/mの単位で報告される)が記録され、以下の表3に報告される。
【0143】
[引裂き強度(G)対セグメント弾性率(E)の比]
[0143]最初に、以上の本明細書の他の箇所に記載の方法により、引裂き強度(G)とセグメント弾性率との比を決定した。次いで、特定実施例のG値をそのE値により除算することにより、これらの2つの値の比を決定した。単位は、J/(m・MPa)で表される。各実施例の値が計算され、以下の表3に報告される。
【0144】
【表3】
【0145】
[結果の考察]
[0144]分かるであろうが、本発明の各種態様にかかる組成物は、それらの引裂き強度値及び/又は引裂き強度対セグメント弾性率の比(G/E)を考慮して、光ファイバーコーティング用途での使用に、特定的には光ファイバー一次コーティングとして、とりわけ好適なものとする性質を有する傾向がある。具体的には、3つのアームを有する反応性オリゴマーからなる組成物は、2つのアームを有する反応性オリゴマーからなるものよりも有意に高い引裂き強度を呈することが示される。このことは、2アームオリゴマーの最長アームの鎖長が3アームオリゴマーのものよりも短いか長いかにかかわらず成立する。
【0146】
[0145]とくに明記されていない限り、wt.%という用語は、液状放射線硬化性組成物全体と対比した組み込まれる特定の構成要素の質量基準の量を意味する。
【0147】
[0146]本発明の記載との関連で(とくに以下の特許請求の範囲との関連で)「a」及び「an」及び「the」という用語並びに類似の参照語の使用は、とくに本明細書に指定がない限り又は文脈上明らかな矛盾がない限り、単数形及び複数形の両方を包含するものと解釈されるべきである。「comprising(~を含む)」、「having(~を有する)」、「including(~を含む)」、及び「containing(~を含有する)」という用語は、とくに断りのない限り、オープンエンドの用語として解釈されるべきである(すなわち、「限定されるものではないが~を含む(including,but not limited to)」を意味する)。本明細書における値の範囲の列挙は、とくに本明細書に指定がない限り、この範囲内に含まれる個々の各値を個別に参照する簡略表記法として機能することが単に意図され、個々の各値は、あたかも本明細書に個別に列挙されたがごとく本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の方法はすべて、とくに本明細書に指定がない限り又は文脈上明らかな矛盾がない限り、いずれかの好適な順序で実施可能である。本明細書に提供されるあらゆる例又は模範的表現(たとえば、「such as(~などの)」)の使用は、単に本発明をより良く理解できるようにすることが意図されており、とくに特許請求がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書の表現は、いずれの非特許請求要素も本発明の実施に不可欠であることを示唆するものと解釈されるべきではない。
【0148】
[0147]本発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するための本発明者に公知の最良の形態を含めて本明細書に記載されている。そうした好ましい実施形態の変形形態は、以上の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。当業者であればかかる変形形態を必要に応じて利用するものと本発明者は予想しており、本明細書に具体的に記載された以外の形で本発明が実施されるものと本発明者は意図している。したがって、本発明は、準拠法により許容される限り、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変更形態及び均等物を含む。さらに、すべての可能な変形形態での以上に記載の要素の組合せはいずれも、とくに本明細書に指定がない限り又は文脈上明らかな矛盾がない限り、本発明に包含される。本発明についてその特定の実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、特許請求された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を行いうることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】