(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】冷凍装置及び設備
(51)【国際特許分類】
F25B 9/06 20060101AFI20221003BHJP
F25B 9/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
F25B9/06 K
F25B9/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506107
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2020069174
(87)【国際公開番号】W WO2021023455
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラン、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ドロートレ、ギヨーム
(57)【要約】
枠(100)内に配置され、及びループを形成し、且つ作動流体を含む作動回路(10)を含む低温冷凍装置であって、作動回路(10)は、順番に、圧縮機構(2、3)と、冷却機構(4、5、6)と、膨張機構(7)と、加熱機構(6、8)とを含むサイクルを形成し、装置(1)は、作動流体と熱を交換することにより、少なくとも1つの部材(125)において熱を抽出することを意図された冷凍熱交換器(8)を含み、作動流体を冷却及び加熱するための機構は、共通熱交換器(6)を含み、共通熱交換器(6)において、作動流体は、作動回路(10)の2つの別個の移行部分において対流して移行し、圧縮機構は、少なくとも2つの圧縮機(2、3)及び圧縮機(2、3)を駆動するための少なくとも1つのモータ(14、15)を含み、作動流体膨張機構は、少なくとも1つの回転タービン(7)を含み、装置は、駆動シャフトを含む少なくとも1つの駆動モータ(14、15)を含み、駆動シャフトの1つの端部は、圧縮機(2)を駆動し、及び駆動シャフトの他の端部は、タービン(7)に結合され、モータ(14)は、少なくとも1つの固定点(104)で枠(100)に取り付けられ、共通熱交換器(6)は、少なくとも1つの固定点(106)で枠(100)に取り付けられ、共通熱交換器(6)の2つの対流移行部分は、枠(100)の長手方向(A)に配向され、駆動モータ(14、15)の駆動シャフトは、長手方向(A)に平行又は実質的に平行な方向に配向され、且つタービン(7)及び圧縮機(2)は、装置が作動されているとき、タービン(7)が、共通熱交換器(6)の比較的低温の端部に対応する側で長手方向に位置し、及び装置が作動されているとき、圧縮機(2)が、共通熱交換器(6)の比較的高温の端部に対応する側で長手方向に位置するように比較的長手方向に配置される、低温冷凍装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温冷凍装置であって、すなわち摂氏マイナス100度~摂氏マイナス273度の温度で冷凍するためのものであり、枠(100)内に配置され、及びループを形成し、且つ作動流体を含む作動回路(10)を含み、前記作動回路(10)は、順番に、前記作動流体を圧縮するための機構(2、3)と、前記作動流体を冷却するための機構(4、5、6)と、前記作動流体を膨張させるための機構(7)と、前記作動流体を加熱するための機構(6、8)とを含むサイクルを形成し、前記装置(1)は、前記作動回路(10)内で循環する前記作動流体との熱交換により、少なくとも1つの部材(125)において熱を抽出することを意図された冷凍熱交換器(8)を含み、前記作動流体を冷却及び加熱するための前記機構は、共通熱交換器(6)を含み、前記共通熱交換器(6)を通して、前記作動流体は、前記作動流体が冷却されるか又は加熱されるかに依存して、前記作動回路(10)の2つの別個の通路部分において対流して通過し、前記圧縮機構は、少なくとも2つの圧縮機(2、3)及び前記圧縮機(2、3)のための少なくとも1つの駆動モータ(14、15)を含み、前記作動流体を膨張させるための前記機構は、少なくとも1つの回転タービン(7)を含み、前記装置は、駆動シャフトを含む少なくとも1つの駆動モータ(14、15)を含み、前記駆動シャフトの1つの端部は、少なくとも1つの圧縮機(2)を駆動し、及び前記駆動シャフトの別の端部は、タービン(7)に結合され、前記モータ(14)は、少なくとも1つの固定点(104)で前記枠(100)に固定され、前記共通熱交換器(6)は、少なくとも1つの固定点(106)で前記枠(100)に固定され、前記共通熱交換器(6)の前記2つの対流通路部分は、前記枠(100)の長手方向(A)に配向され、前記駆動モータ(14、15)の前記駆動シャフトは、前記長手方向(A)に平行又は実質的に平行な方向に配向される、低温冷凍装置において、前記タービン(7)及び前記圧縮機(2)は、前記装置が作動しているとき、前記タービン(7)が、前記共通熱交換器(6)の比較的低温の端部に対応する側で長手方向に位置し、及び前記装置が作動しているとき、前記圧縮機(2)が、前記共通熱交換器(6)の比較的高温の端部に対応する側で長手方向に位置するように、互いに対して長手方向に配置されることと、前記枠(100)の前記固定点への前記共通熱交換器(6)の連結部は、前記装置が作動しているとき、前記熱交換器(6)の、その前記比較的高温の端部及び比較的低温の端部間に位置する長手方向位置、具体的には、収縮しやすい前記熱交換器(6)の前記低温端部と、膨張しやすい前記熱交換器(6)の前記高温端部とを分離する前記熱交換器(6)の部分に位置することとを特徴とする低温冷凍装置。
【請求項2】
前記装置が作動しているとき、前記共通熱交換器(6)の温度は、低温端部と高温端部との間で長手方向に変化し、前記低温端部は、具体的には約100Kの温度において、前記膨張機構(7)から到来する前記比較的低温の作動流体を、それを加熱するために受け取り、且つ前記冷却された作動流体を、それが前記膨張機構(7)に入る前に排出し、前記高温端部は、具体的には約300Kの温度において、前記圧縮機構から到来する前記高温の作動流体を受け取り、且つ前記加熱された作動流体を、それが前記圧縮機構に入る前に排出すること、前記枠(100)の前記固定点(106)への前記共通熱交換器(6)の前記連結部は、前記熱交換器(6)の、その前記低温端部及び高温端部間の中間長手方向位置、具体的には200~270K、具体的には250Kの作動温度の帯域に位置することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モータ(14)及び前記共通熱交換器(6)をそれぞれ前記枠(100)に固定するための前記固定点(104、106)は、100cm未満、具体的には50cm未満の距離だけ前記長手方向(A)に離間され、且つ好ましくは前記枠の前記長手方向(A)において同じ高さに位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記作動流体を冷却するための前記機構(4、5、6)は、前記2つの圧縮機(2、3)の出口にそれぞれ配置され、且つ前記作動流体と冷却流体との間の熱交換を確保する2つの冷却熱交換器(4、5)を含み、前記枠(100)は、支持部に固定されることを意図された下基部(101)を含み、前記2つの冷却熱交換器(4、5)は、前記枠(100)内において、前記長手方向軸(A)に対して横方向に前記共通熱交換器(6)の隣に位置し、前記冷却熱交換器(4、5)が前記共通熱交換器(6)と前記枠(100)の前記下基部(101)との間に位置しないことを意味することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記2つの冷却熱交換器(4、5)は、前記長手方向軸(A)に平行なそれぞれの長手方向に延在する細長い形状をそれぞれ有することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記2つの冷却熱交換器(4、5)は、一方が他方の上に配置されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
各冷却熱交換器(4、5)は、2つの長手方向端部にそれぞれ配置される、冷却される作動ガスのための入口及び冷却された作動ガスのための出口を含み、各冷却熱交換器(4、5)は、冷却流体のための入口(24、25)及び冷却流体のための出口(34、35)を含み、前記2つの冷却熱交換器(4、5)は、互いに対して逆に配置され、前記2つの冷却熱交換器(4、5)の前記それぞれの長手方向が平行又は実質的に平行であり、及び前記冷却熱交換器(4、5)内の前記作動流体の循環方向が互いに反対であることを意味することを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記2つの冷却熱交換器(4、5)の一方の冷却流体のための前記出口(34、35)は、前記冷却熱交換器の一方(5、4)を通過する冷却流体の流れの一部が他方の冷却熱交換器(4、5)内ですでに循環しているように、前記他方の冷却熱交換器(5)の冷却流体のための前記入口(24、25)に連結されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記2つの冷却熱交換器(4、5)は、隣接して、すなわち0~500mm、具体的には10~300mmの距離だけ離間される方式で位置することを特徴とする、請求項4~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の冷凍装置(1)を含む、ユーザ流体、具体的には天然ガスの流れを冷凍及び/又は液化するためのシステムであって、ユーザ流体の少なくとも1つのタンク(16)及び前記冷却交換器(8)内におけるユーザ流体の前記流れの循環のための導管(125)を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍のための装置及びシステムに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、低温冷凍装置であって、すなわち摂氏マイナス100度~摂氏マイナス273度の温度で冷凍するためのものであり、枠内に配置され、及びループを形成し、且つ作動流体を含む作動回路を含み、作動回路は、順番に、作動流体を圧縮するための機構と、作動流体を冷却するための機構と、作動流体を膨張させるための機構と、作動流体を加熱するための機構とを含むサイクルを形成し、装置は、作動回路内で循環する作動流体との熱交換により、少なくとも1つの部材において熱を抽出することを意図された冷凍熱交換器を含み、作動流体を冷却及び加熱するための機構は、共通熱交換器を含み、共通熱交換器を通して、作動流体は、作動流体が冷却されるか又は加熱されるかに依存して、作動回路の2つの別個の通路部分において対流して通過し、圧縮機構は、少なくとも2つの圧縮機及び圧縮機のための少なくとも1つの駆動モータを含み、作動流体を膨張させるための機構は、少なくとも1つの回転タービンを含み、装置は、駆動シャフトを含む少なくとも1つの駆動モータを含み、駆動シャフトの1つの端部は、少なくとも1つの圧縮機を駆動し、及び駆動シャフトの別の端部は、タービンに結合され、前記モータは、少なくとも1つの固定点で枠に固定され、共通熱交換器は、少なくとも1つの固定点で枠に固定され、共通熱交換器の2つの対流通路部分は、枠の長手方向に配向される、低温冷凍装置に関する。
【0003】
用語、低温冷凍装置は、摂氏マイナス100度~摂氏マイナス273度、具体的には摂氏マイナス100度~摂氏マイナス253度の温度における冷凍のための装置を示す。
【0004】
本発明は、具体的には、極低温冷凍庫及び/又は液化装置、例えば「ターボ・ブレイトン」サイクル若しくは「ターボ・ブレイトン冷凍機」を有する型に関し、その中では、サイクルガスとしても公知である作動ガス(ヘリウム、窒素、水素若しくは別の純ガス又は混合物)は、冷却されることを意図された部材又はガスに伝達され得る低温を生成する熱力学サイクルを受ける。
【背景技術】
【0005】
これらの装置は、広範囲の用途、具体的にはタンク内(例えば、船舶内)の天然ガスを冷却するために使用される。液化天然ガスは、例えば、その蒸発を避けるために過冷却されるか、又は気体部分は再液化するために冷却される。
【0006】
例えば、天然ガスの流れは、冷凍庫/液化装置のサイクルガスによって冷却された熱交換器内で循環させることができる。
【0007】
これらの装置は、圧縮段階の出口に挿入された複数の熱交換器を含むことがある。これらの装置は、枠又は周囲に組み込まれ、その容積が限定される。このように、これらの様々な交換器及び関連するパイプを組み込むことは、困難である。作動ガスの冷却は、場合により厄介であることがある。
【0008】
加えて、装置の様々な構成要素は、周囲温度~極低温(具体的には25Kまで)の著しい温度変化を受けることがある。従って、これらの温度変化は、寸法変化を起こす可能性があり、寸法変化は、装置の一体性に悪影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上に提示した先行技術の欠点の全て又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、他の点では上記の序文に与えられたその一般定義に従う本発明による装置は、前記駆動モータの駆動シャフトが、長手方向に平行又は実質的に平行な方向に配向され、タービン及び圧縮機が、装置が作動しているとき、タービンが、共通熱交換器の比較的低温の端部に対応する側で長手方向に位置し、及び装置が作動しているとき、圧縮機が、共通熱交換器の比較的高温の端部に対応する側で長手方向に位置するように、互いに対して長手方向に配置されることを基本的に特徴とする。
【0011】
更に、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る:
- 枠の固定点への共通熱交換器の連結部は、装置が作動しているとき、熱交換器の、その比較的高温の端部及び比較的低温の端部間に位置する長手方向位置に、具体的には、収縮しやすい熱交換器の低温端部と、膨張しやすい熱交換器の高温端部とを分離する熱交換器の部分に位置し、
- 装置が作動しているとき、共通熱交換器の温度は、低温端部と高温端部との間で長手方向に変化し、低温端部は、具体的には約100Kの温度において、膨張機構から到来する比較的低温の作動流体を、それを加熱するために受け取り、且つ冷却された作動流体を、それが膨張機構に入る前に排出し、高温端部は、具体的には約300Kの温度において、圧縮機構から到来する高温の作動流体を受け取り、且つ加熱された作動流体を、それが圧縮機構に入る前に排出し、枠の固定点への共通熱交換器の連結部は、熱交換器の、その低温端部及び高温端部間で中間長手方向位置、具体的には200~270K、具体的には250Kの作動温度の帯域に位置し、
- モータ及び共通熱交換器をそれぞれ枠に固定するための固定点は、100cm未満、具体的には50cm未満の距離だけ長手方向(A)に離間され、且つ好ましくは枠の長手方向において同じ高さに位置し、
- 作動流体を冷却するための機構は、2つの圧縮機の出口にそれぞれ配置され、且つ作動流体と冷却流体との間の熱交換を確保する2つの冷却熱交換器を含み、枠は、支持部に固定されることを意図された下基部を含み、2つの冷却熱交換器は、枠内において、長手方向軸に対して横方向に共通熱交換器の隣に位置し、冷却熱交換器が共通熱交換器と枠の下基部との間に位置しないことを意味し、
- 2つの冷却熱交換器は、長手方向軸に平行なそれぞれの長手方向に延在する細長い形状をそれぞれ有し、
- 2つの冷却熱交換器は、一方が他方の上に垂直方向に配置され、
- 各冷却熱交換器は、2つの長手方向端部にそれぞれ配置される、冷却される作動ガスのための入口及び冷却された作動ガスのための出口を含み、各冷却熱交換器は、冷却流体のための入口及び冷却流体のための出口を含み、2つの冷却熱交換器は、互いに対して逆に配置され、2つの冷却熱交換器のそれぞれの長手方向が平行又は実質的に平行であり、及び前記冷却熱交換器内の作動流体の循環方向が互いに反対であることを意味し、
- 2つの冷却熱交換器の一方の冷却流体のための出口は、冷却熱交換器の一方を通過する冷却流体の流れの一部が他方の冷却熱交換器内ですでに循環しているように、他方の冷却熱交換器の冷却流体のための入口に連結され、
- 2つの冷却熱交換器は、隣接して、すなわち50~500mm、具体的には10~300mmの距離だけ離間される方式で位置する。
【0012】
本発明は、上記又は下記の特徴のいずれか1つによる冷凍装置を含む、ユーザ流体、具体的には天然ガスの流れを冷凍及び/又は液化するためのシステムにも関し、システムは、ユーザ流体の少なくとも1つのタンク及び冷却交換器内におけるユーザ流体の前記流れの循環のための導管を含む。
【0013】
本発明は、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴のあらゆる組み合わせを含むあらゆる代替装置又は方法にも関し得る。
【0014】
更に具体的な特徴及び利点は、図を参照して与えられる以下の記載を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施できる装置及びシステムの例の構造及び作動を例示する概略部分平面図を示す。
【
図2】装置及びシステムの構造及び作動の詳細を例示する、
図1の矢印Vに沿った概略部分側面図を示す。
【
図3】2つの冷却熱交換器の配置の1つの可能な実施形態の変形形態による、装置及びシステムの構造及び作動の詳細を例示する概略部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2の冷却及び/又は液化システムは、冷却熱交換器8に低温(冷却容量)を供給する冷凍装置1を含む。
【0017】
システムは、この冷却交換器8との熱交換に置かれた、冷却される流体の流れの循環のための導管125を含む。例えば、流体は、タンク16から(例えば、ポンプを介して)ポンプ供給された液体天然ガスであり、次いで(好ましくはタンク16の外側で)冷却され、次いでタンクに戻される(例えば、タンク16のガス相に流れ落ちる)。これにより、タンク16の中身を冷却又は過冷却し、蒸発の発生を制限することができる。例えば、タンク16からの液体は、タンク16に再注入される前にその飽和温度より低く過冷却される(その温度における数K、具体的には5~20K、具体的には14Kの降下)。変形形態では、この冷凍は、タンクからの蒸発ガスに、具体的には蒸発ガスを再液化するために適用することができる。これは、冷凍装置1が冷凍熱交換器8で低温容量を生成することを意味する。
【0018】
冷凍装置1は、循環ループを形成する(好ましくは閉じた)作動回路10を含む。この作動回路10は、作動流体(ヘリウム、窒素、ネオン、水素若しくは別の適切なガス又は混合物、例えばヘリウム及びアルゴン、若しくはヘリウム及び窒素、若しくはヘリウム及びネオン、若しくはヘリウム、及びアルゴン、及び窒素、若しくはヘリウム、及び窒素、及びアルゴン、若しくはヘリウム、及びネオン、及びアルゴン、若しくはヘリウム、及び窒素、及びアルゴン、及びネオンなど)を含有する。
【0019】
作動回路10は、作動流体を圧縮するための機構2、3と、作動流体を冷却するための機構4、5、6と、作動流体を膨張するための機構7と、作動流体を加熱するための機構6とを含むサイクルを形成する。
【0020】
装置1は、膨張機構7の下流に位置し、作動回路10内で循環する低温作動流体との熱交換により、少なくとも1つの部材25において熱を抽出することを意図された冷凍熱交換器8を含む。
【0021】
作動流体を冷却及び加熱するための機構は、従来、共通熱交換器6を含み、共通熱交換器6を通して、作動流体は、作動流体がサイクルにおいて冷却されるか又は加熱されるかに依存して、作動回路10の2つの別個の通路部分において対流して通過する。
【0022】
冷却熱交換器8は、例えば、膨張機構7と共通熱交換器6との間に位置する。示されたように、この冷凍熱熱交換器8は、共通熱交換器6に組み込まれ得る(これは、2つの熱交換器6、8が一体であり得る、すなわち同一の交換構造を共有する別個の流体回路を有し得ることを意味する)。当然のことながら、変形形態では、冷却熱交換器8は、共通熱交換器6と分離した熱交換器であり得る。
【0023】
こうして、比較的高温状態で圧縮機構2、3から出る作動流体は、膨張機構7に入る前に共通熱交換器6内で冷却される。比較的低温状態で膨張機構7及び冷却熱交換器8から出る作動流体は、新しいサイクルを始めるために、圧縮機構2、3内に戻る前に共通熱交換器6内でその一部が加熱される。
【0024】
圧縮機構2、3は、少なくとも2つの圧縮機及び圧縮機構2、3のための少なくとも1つの駆動モータ14、15を含み得る。加えて、好ましくは、装置の冷凍容量は、可変であり、駆動モータ14、15の回転速度(サイクル速度)を調整することによって制御することができる。好ましくは、装置1によって生成された低温容量は、モータ14、15の回転速度を回転速度ゼロ~最高又は公称速度で変えることにより、公称又は最大容量の0~100%で適合することができる。このような構成は、広い作動範囲(例えば、公称低温容量の50%で公称性能の97%)を超える高性能レベルを維持することができる。
【0025】
示された非限定的例では、冷凍装置1は、2つの圧縮機2、3を順番に含む。これらの2つの圧縮機2、3は、2つの別個のモータ14、15によってそれぞれ駆動され得る。タービン7は、2つのモータの一方14の駆動シャフトに結合される。例えば、第1のモータ14は、圧縮機2を駆動し、タービン7に結合される(モータ・ターボ圧縮機)一方、他方のモータ15は、圧縮機3のみを駆動する(モータ・圧縮機)。このモータ・ターボ圧縮機及びこのモータ・圧縮機の順番は、作動回路10内で逆向きであり得る(これは、順番における第1の圧縮機が、そのシャフトがタービンに結合されないモータによって駆動され得る一方、順番における第2の圧縮機が、そのシャフトもタービンに結合されるモータによって駆動されることを意味する)。
【0026】
例えば、装置1は、圧縮段階2、3をそれぞれ駆動するための2つの高速モータ14、15(例えば、毎分10,000回転又は毎分数万回転)を含む。タービン7は、圧縮段階2、3の一方のモータ15に結合され得、これは、装置が(第1又は第2の)圧縮段階の駆動モータ15に結合された膨張機構を形成するタービン7を有し得ることを意味する。
【0027】
こうしてタービン7の電力は、有利には、回復することができ、モータの消費を低減するために使用することができる。こうしてモータの速度(従って作動ガスのサイクルにおける流量)を増加することにより、生成された冷凍容量、従って液化機の電気消費が増加する(逆も同様である)。圧縮機2、3及びタービン7は、好ましくは、対象のモータの出力シャフトに(歯車で動く伝達機構なしに)直接結合される。
【0028】
モータの出力シャフトは、好ましくは、磁気型又は動的ガス型の軸受の上に装着される。軸受は、圧縮機及びタービンを支持するために使用される。
【0029】
描写された例では、冷凍装置1は、2つの圧縮段階を形成する2つの圧縮機2、3及び膨張タービン7を含む。これは、圧縮機構が、好ましくは、遠心型の2つの圧縮機2、3を順番に含み、膨張機構が単一のタービン7、好ましくは遠心型タービンを含むことを意味する。当然のことながら、圧縮機、タービン及びモータのあらゆる他の数及び配置、例えば3つの別個のモータによってそれぞれ駆動される3つの圧縮機であって、タービンは、例えば、これらのモータの1つの駆動シャフトの1つの端部に結合される、3つの圧縮機又は3つの圧縮機及び2つのタービンなどが想定され得る。他の構成、具体的には3つの圧縮機及び1つのタービン或いは3つの圧縮機、又は2つ若しくは3つのタービン、又は2つの圧縮機及び2つのタービンなどが想定され得る。各モータは、回転駆動シャフトを有し得、回転駆動シャフトの1つの端部は、圧縮機及び任意選択で別の車輪を駆動し、回転駆動シャフトの他の端部は、自由である(端部上に車輪が装着されない)か、又は任意選択で少なくとも1つの他の車輪(圧縮機若しくはタービン)を駆動する。
【0030】
示されたように、冷却熱交換器4、5は、2つの圧縮機2、3のそれぞれの出口に提供され得る(例えば、周囲温度の水又は冷却材回路26のあらゆる他の冷却剤若しくは流体との熱交換による冷却)。
図2を参照されたい。
【0031】
これにより、等エントロピ又は等温又は実質的に等温圧縮を実現することができる。同様に、熱交換器は、等エントロピ又は等温膨張を実現するために膨張タービン7の全て又は一部の出口に提供されても又は提供されなくてもよい。また、好ましくは、作動流体の加熱及び冷却は、これを限定することなく等圧であることが好ましい。
【0032】
装置は、枠100、例えば平行六面体枠内に収納される。枠100は、下基部101を含む。
図2の描写と対照的に、枠の上端部は、必ずしも装置の上に構造を有するのではなく、周辺の支柱のみを有することができ、支柱は、装置の最高点以下で基部101の上に垂直に位置する。これは、枠が装置の全周に横方向の保護を形成し得るが、上部が覆われていないままであることを意味する。
【0033】
圧縮機2及びタービンを備えたモータ14は、固定点104で枠100に固定される。例えば、枠100は、平行六面体であり、剛性の支柱又はビームから形成される囲い又は構造を含む。例えば、このモータ14は、周囲の長手方向支柱に例えば螺合、及び/又はリベット、及び/又は溶接によって固定される。
【0034】
同様に、共通熱交換器6は、固定点106で枠100に固定される。例えば、この熱交換器6は、中央長手方向支柱に例えば螺合、及び/又はリベット、及び/又は溶接によって固定される。
【0035】
共通熱交換器6の2つの対流通路部分は、枠100の長手方向Aに配向される。これは、共通熱交換器6が長手方向Aに配向され、その内部の作動ガスの流れが、この方向に実質的に平行に通過することを意味する。
【0036】
図1に見られるように、圧縮機2及びタービン7を備えたモータ14、15の駆動シャフトも、この長手方向Aに平行又は実質的に平行な方向に配向される。
【0037】
更に、タービン7及び圧縮機2は、装置が作動しているとき、タービン7が、共通熱交換器6の比較的低温の端部に対応する側に長手方向に位置し(
図1の右側)、及び装置が作動しているとき、圧縮機2が、共通熱交換器6の比較的高温の端部に対応する側で長手方向に位置する(
図1の左側)ように比較的長手方向に配置される。
【0038】
これにより、
高温作動状態から低温作動状態に通過する際、寸法の縮小を受けやすい要素(交換器6、タービン7及び関連するパイプの部分)を装置の同一の側(この場合、
図1の長手方向右側)に配置することと、
高温作動状態から通過する際、寸法の縮小を受けやすい要素(交換器6、圧縮機2及び関連するパイプの部分)を装置の同一の側(この場合、
図1の長手方向左側)に配置することと
が可能になる。
【0039】
固定された固定点104、106のいずれかの側に位置するこれらの要素は、こうして無制限に自由に縮小/膨張し得る。
【0040】
「低温」要素(タービン7、交換器の低温端部及び関連するパイプ)は、同じ方向(
図1の左側)に自由に収縮する。「高温」要素(圧縮機2、熱交換器6の高温端部及び関連するパイプ)は、同じ方向(同様に
図1の左側)に自由に膨張する。これにより、装置に掛る不要な力を回避又は制限することができ、装置は、装置内の温度の変化によって生じた寸法の変化をより良好に取り込む。
【0041】
詳細には、従来通りに装置が作動(具体的には公称作動)しているとき、熱交換器6の温度は、低温端部と高温端部との間で長手方向の勾配に沿って均等にされる。例えば、約100Kの温度の低温端部は、膨張機構7から到来する比較的低温の作動流体を、それを加熱するために受け取り、且つ冷却された作動流体を、それが膨張機構7に入る前に他方の方向に排出する熱交換器6の端部である。例えば、約300Kの温度の高温端部は、圧縮機構から到来する高温の作動流体を受け取り、且つ加熱された作動流体を、それが圧縮機構に入る前に他方の方向に排出する共通熱交換器6の端部である。
【0042】
有利な具体的な特徴によれば、枠100の固定点106への共通熱交換器6の連結部は、熱交換器6の、その低温端部及び高温端部間の中間長手方向位置、具体的には200~270K、具体的には250Kの作動温度の帯域に位置する。
【0043】
好ましくは、枠100の固定点への共通熱交換器6の連結部は、装置が作動しているとき、熱交換器6の、その比較的高温の端部及び比較的低温の端部間に位置する長手方向位置、具体的には、収縮しやすい熱交換器6の低温端部(低温に冷却することによって生じた収縮差)と、膨張しやすい熱交換器6の高温端部(より高温に相対加熱することによって生じた膨張差)とを分離する熱交換器6の部分に位置する。
【0044】
これにより、共通熱交換器6の低温部及び関連する低温パイプは、自由に(
図1の例では左に向かって)縮小することができ、高温部は、自由に(
図1の例では左に)膨張することができる。
【0045】
これは、装置内の有害な機械応力を低減する。
【0046】
好ましくは、モータ14及び共通熱交換器6をそれぞれ枠100に固定するための固定点104、106は、枠上の同じ長手方向の高さ又はこの長手方向Aに100cm未満、具体的には50cm未満の距離だけ離間して位置する。
【0047】
このようにして固定点に配置することにより、一方では収縮しやすい低温の要素及び他方では膨張しやすい比較的高温の要素は、相反する相殺的反力を発生又は制限することなく、同じ種類の移動ができるように互いに対して位置付けられる。
【0048】
枠100は、支持部(例えば、地面若しくは船舶の床又は例えば冷却される液体のタンク16の頂部)に固定することを意図された下基部101を含む。この基部は、長手方向又は横方向の支柱を備えた長方形の範囲を定める剛性の支柱から形成され得る。
【0049】
図1に示されたように、装置の要素の少なくとも一部は、この基部101、具体的には共通熱交換器6及び冷凍交換器8を収容する箱形構造に固定され得る。
【0050】
2つの冷却熱交換器4、5は、枠100内において、長手方向軸Aに対して横方向に共通熱交換器6の隣に配置され得る。これは、冷却熱交換器4、5が共通熱交換器6と枠100の下基部101との間に位置しないことを意味する。この配置は、具体的には装置が船舶上に装着されたとき、力に対する装置の一体性を向上させる質量の分布を確保することを本発明者らは発見した。
【0051】
示されたように、2つの冷却熱交換器4、5は、長手方向軸Aに平行なそれぞれの長手方向に延在する細長い形状をそれぞれ有し得る。2つの冷却熱交換器4、5は、一方が他方の上に垂直方向に配置され得る。
【0052】
各冷却熱交換器4、5は、冷却流体のための入口24、25及び冷却流体のための出口34、35を含む。有利な具体的な特徴によれば、2つの冷却熱交換器4、5の一方の冷却流体のための出口34は、冷却熱交換器の一方5を通過する冷却流体の流れの一部が他方の冷却熱交換器4内ですでに循環しているように、他方の冷却熱交換器5の冷却流体のための入口25に連結され得る(
図3を参照されたい)。
【0053】
これにより、2つの冷却熱交換器4、5が(2つの交換器4、5内にそれぞれ分布された2つの半体内にこの流れを細分化するよりもむしろ)冷却流体の流れの100%を受け取ることができる。
【0054】
このような冷却流体の流量のこの相対的増加は、熱交換の係数を増加させることができ、従って冷却の品質及び信頼性を向上させる。更に、この解決策は、(特に回路又は交換器ごとに異なる可能性のある圧力降下のため)2つの熱交換器内に2つの流量を分岐させることができる、公知の解決策に固有の問題を回避することができる。
【0055】
以下でより詳細に説明するように、この配置は、熱交換器4、5に向かうか又は熱交換器4、5から到来する冷却流体及び作動ガスのための導管網を簡略化することもできる。具体的には、この配置は、より小さい空間内に流体(冷却流体及び作動流体)のための循環回路を配置することをより容易にすることができる一方、これらの流体を伝送する導管の数及び/又は長さを低減することにより、作動流体と冷却流体との間の循環を対流させることができる。
【0056】
図3に示されたように、例えば、冷却材回路26は、冷却流体をまず第2の冷却熱交換器5に、次に第1の冷却熱交換器5に供給する(修飾語「第1」及び「第2」は、作動流体の循環の方向における第1及び第2の圧縮段階を指す)。
【0057】
当然のことながら、反対の配置が予測され得る(まず第1の熱交換器4に、次に第2の熱交換器5における冷却流体の循環)。
【0058】
示されたように、いずれの場合にも、2つの流体(冷却される作動流体及び比較的低温の冷却流体)の循環の方向は、好ましくは、対流、すなわち各交換器を反対方向に通過する。
【0059】
図3に示されたように、冷却流体の通路のための2つの冷却熱交換器4及び5間の流体連結は、簡略化されてより小さいことができる。一方の冷却熱交換器4、5から他方への冷却流体のこの伝送は、具体的には、管の短い溶接部又は2つの熱交換器4及び5間の単純な管若しくは連結具によって実現され得る。
【0060】
上述のように、2つの冷却熱交換器4、5は、具体的には隣接して、具体的には互いに並んで配置され得る。これにより、装置のスペース要件が最適化される。
【0061】
必要に応じて、2つの冷却熱交換器4、5は、作動流体の循環のために2つの別個の通路を含む同一のケーシング又はハウジングに組み込むことも更に可能であり、前記2つの通路は、冷却流体回路の同一の回路チャネルの2つの部分と順番にそれぞれ熱交換する。例えば、冷却熱交換器4、5は、それぞれの長手方向に延在する細長い形状をそれぞれ有し得る。各冷却熱交換器4、5は、2つの長手方向端部にそれぞれ配置された、冷却される作動ガスのための入口及び冷却された作動ガスのための出口を含む。
【0062】
冷却熱交換器4、5は、管型の交換器、シェル型及び管型の交換器、板型又はあらゆる他の適切な技術の交換器であり得る。交換器4、5は、アルミニウム及び/又はステンレス鋼から作成され得る。
【0063】
更に、2の冷却熱交換器4、5は、好ましくは、互いに対して逆に装置内に配置され、これは、2の冷却熱交換器4、5のそれぞれの長手方向が平行又は実質的に平行であり、及び前記冷却熱交換器4、5における作動流体の循環の方向が互いに反対であることを意味する。冷却流体の循環の配置と組み合わせたこの配置は、流体回路の複雑性を最小に抑えることができる一方、装置に非常に良好な性能を授ける。
【0064】
装置の全て又は一部、具体的にはその低温部材は、断熱密封されたケーシング11(具体的には共通対流熱交換器及び冷凍交換器8を含有する真空チャンバ)内に収容することができる。
【0065】
本発明は、別の流体又は混合物、具体的には水素を冷却及び/又は液化するための方法に適用され得る。
【国際調査報告】