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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】手術機器ホルダー用ドック
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/50 20160101AFI20221003BHJP
【FI】
A61B90/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506609
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2020045002
(87)【国際公開番号】W WO2021026229
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/882,667
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506243057
【氏名又は名称】エルエスアイ ソルーションズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】特許業務法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サウアー, ジュード, エス.
(72)【発明者】
【氏名】ボセック, ベンジャミン, ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド, ジョン, エフ.
(72)【発明者】
【氏名】マルテラロ, アンジェロ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウローナ, マシュー
(57)【要約】
手術機器ホルダー用ドックが開示されている。手術機器ホルダー用ドックは、中央アーム取付部と下側クランプジョーを有するベースを備えている。手術機器ホルダー用ドックはは、ベースに移動可能に結合された上側クランプジョーも備えている。手術機器ホルダー用ドックは、中央アーム取付部に結合された中央ドッキングアームと、中央ドッキングアームに結合された中央ボールカップも備えている。手術機器ホルダー用ドックは、中央ボールカップに結合された中央取付ナットも備えている。中央取付ナットは展開可能モーメントアームを含む。ドックは、中央ボールカップと中央取付ナットとの間に結合されたボールと、このボールに取り付けられた手術機器ホルダーを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央アーム取付部とサイドアーム取付部と下側クランプジョーとを有するベースと、
前記ベースに移動可能に結合された上側ジョーと、
前記中央アーム取付部に結合された中央ドッキングアームであって、前記上側ジョーに結合されたインナーロッドと、前記インナーロッドに結合されたノブと、前記インナーロッドを囲むように配置された中空のアウターロッドと、インナーロッドに結合された中央ボールカップとを有する中央ドッキングアームと、
前記中央ボールカップに結合された取付ナットと、
を備えた手術機器ホルダー用ドック。
【請求項2】
前記中央ボールカップと前記取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールをさらに備えた、請求項1に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項3】
前記ボールに結合された手術機器ホルダーをさらに備えた、請求項2に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項4】
前記取付ナットに結合された展開可能モーメントアームをさらに備えた、請求項1に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項5】
前記サイドアーム取付部は、サイドドッキングアームと、前記サイドドッキングアームに結合された第1サイドボールカップとをさらに備えた、請求項1に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項6】
前記第1サイドボールカップに結合された第1サイド取付ナットをさらに備えた、請求項5に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項7】
前記第1サイドボールカップと前記第1サイド取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールをさらに備えた、請求項6に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項8】
前記ボールに結合された手術機器ホルダーをさらに備えた、請求項7に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項9】
前記第1サイド取付ナットに結合された展開可能モーメントアームをさらに備えた、請求項6に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項10】
前記ベースが第2のサイドアーム取付部をさらに備えた、請求項1に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項11】
前記第2のサイドアーム取付部は、サイドドッキングアームと、前記サイドドッキングアームに結合された第2サイドボールカップとをさらに備えた、請求項10に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項12】
前記第2サイドボールカップに結合された第2サイド取付ナットをさらに備えた、請求項11に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項13】
前記第2サイドボールカップと前記第2サイド取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールをさらに備えた、請求項12に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項14】
前記ボールに結合された手術機器ホルダーをさらに備えた、請求項13に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項15】
前記第2サイド取付ナットに結合された展開可能モーメントアームをさらに備えた、請求項12に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項16】
前記ノブに結合されるインナーロッドの一部がさらにネジを有し、
前記インナーロッドに結合される前記ノブの一部が、前記インナーロッドの前記ネジと螺合するネジをさらに有する、請求項1に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項17】
前記インナーロッドが前記上側ジョーに回転可能に結合されている、請求項16に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項18】
前記ノブを第1方向に回転させると、前記上側ジョーと前記下側クランプジョーとの間の距離が増し、前記ノブを第2方向に回転させると、前記上側ジョーと前記下側クランプジョーの間の距離が減じられるように構成されている、請求項17に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項19】
前記中央ボールカップは、複数の噛み合いフィーチャを有し、前記取付ナットは、前記中央ボールカップの複数の噛み合いフィーチャに対応する噛み合いフィーチャを有する、請求項1に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項20】
前記取付ナットが前記中央ボールカップに締め付けられる時に、前記中央ボールカップの前記複数の噛み合いフィーチャと、前記取付ナットの前記複数の噛み合いフィーチャが、互いに噛み合うように構成される、請求項19に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項21】
中央アーム取付部と、第1サイドアーム取付部と、第2サイドアーム取付部を備え、
前記中央アーム取付部は、この中央アーム取付部に結合された中央ドッキングアームを有し、前記中央ドッキングアームは、この中央ドッキングアームに結合された中央ボールカップと、前記中央ボールカップに結合された中央取付ナットとを含み、
前記第1サイドアーム取付部は、この第1サイドアーム取付部に結合された第1サイドドッキングアームを有し、前記第1サイドドッキングアームは、この第1サイドドッキングアームに結合された第1サイドボールカップと、前記第1サイドボールカップに結合された第1サイド取付ナットとを含み、
前記第2サイドアーム取付部は、この第2サイドアーム取付部に結合された第2サイドドッキングアームを有し、前記第2サイドドッキングアームは、この第2サイドドッキングアームに結合された第2サイドボールカップと、前記第2サイドボールカップに結合された第2サイド取付ナットとを含む、手術機器ホルダー用ドック。
【請求項22】
前記中央ボールカップと前記中央取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールと、
前記第1サイドボールカップと前記第1サイド取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールと、
前記第2サイドボールカップと前記第2サイド取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールと、
をさらに備えた、請求項21に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項23】
前記中央ボールカップと前記中央取付ナットとの間に回動可能に保持された前記ボールに結合された手術機器ホルダーと、
前記第1サイドボールカップと前記第1サイド取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールに結合された手術機器ホルダーと、
前記第2サイドボールカップと前記第2サイド取付ナットとの間に回動可能に保持されたボールに結合された手術機器ホルダーと、
をさらに備えた請求項22に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項24】
前記中央ドッキングアームに結合された前記中央取付ナットに回動可能に結合された展開可能モーメントアームと、
前記第1サイドドッキングアームに結合された前記第1サイド取付ナットに回動可能に結合された展開可能モーメントアームと、
前記第2サイドドッキングアームに結合された前記第2サイド取付ナットに回動可能に結合された展開可能モーメントアームと、
をさらに備えた請求項22に記載の手術機器ホルダー用ドック。
【請求項25】
中央アーム取付部と、第1サイドアーム取付部と、第2サイドアーム取付部と、下側クランプジョーを有するベースと、
前記ベースに移動可能に結合された上側ジョーと、
前記中央アーム取付部に結合された中央ドッキングアームであって、前記上側ジョーに結合されたインナーロッドと、前記インナーロッドに結合されたノブと、前記インナーロッドを囲むように配置された中空のアウターロッドと、前記インナーロッドに結合された中央ボールカップを含む中央ドッキングアームと、
展開可能モーメントアームを有する中央取付ナットと、
前記中央ボールカップと前記中央取付ナットの間に回動可能に保持されたボールと、
前記ボールに結合された手術機器ホルダーと、
を備えた、手術機器ホルダー用ドック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術装置に関し、より具体的には手術機器ホルダー用ドックに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡や内視鏡を用いた手術および他のタイプの低侵襲手術は、手術が行われる患者の内部領域への手術器具の経皮的導入に依存することが多い。外科医は、外傷を最小限に抑え、患者の回復時間を短縮するために、ますます小さなアクセス切開を利用することが望ましいと考えている。多くの場合、外科医は、手術を支援するために観察スコープまたは他の手術機器を通過させることができる追加の小さな切開を行う。
【0003】
スコープを見る場合、助手は外科医のためにスコープを操作および/または固定位置に保持し、これにより、外科医がスコープによって取得された画像をモニター画面上で見て、低侵襲手術を実行できるようにする。助手の代わりに機器ホルダーを用いて、観察スコープ(ただし、これに限定されない)等の手術機器を位置決めし保持することができる。
【0004】
手術機器ホルダーは当業者に知られているが、いくつかの関節式の手術機器ホルダーを取り付ける能力を有する手術機器ホルダーまたは手術機器ホルダー用ドックが望ましい。1つまたは複数の手術装置を複数の自由度で調節する能力は、内視鏡、開創器(retractor)等を含む複数の手術装置の使用を容易にする。これら手術装置は、例えば、手術台またはその周囲の手術領域内で、手術台のレールまたは手術室の他の機器に調節可能に設置することができる。
【0005】
他の業界も、1つまたは複数の機器または機器ホルダーを簡単に、確実に、調整可能に取り付ける能力を有することに、同様のジレンマを抱えている。機器ホルダーは当業者に知られているが、機械的機能が強化された容易に調整可能なマウントは普及していない。したがって、複数の手術機器ホルダーを調節可能に取り付けるための単一のドッキングステーションを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
手術機器ホルダー用ドックが開示されている、手術機器ホルダー用ドックは、中央アーム取付部とサイドアーム取付部と下側クランプジョーとを有するベースを備えている。手術機器ホルダー用ドックは、前記ベースに移動可能に結合された上側ジョーと、前記中央アーム取付部に結合された中央ドッキングアームを備えている。この中央ドッキングアームは、前記上側ジョーに結合されたインナーロッドと、前記インナーロッドに結合されたノブと、前記インナーロッドを囲むように配置された中空のアウターロッドと、インナーロッドに結合された中央ボールカップとを有する。手術機器ホルダー用ドックはまた、前記中央ボールカップに結合された取付ナットを備えている。
【0007】
手術機器ホルダー用ドックの別の実施形態が開示されている。この手術機器ホルダー用ドックは、中央アーム取付部と、第1サイドアーム取付部と、第2サイドアーム取付部を備えている。前記中央アーム取付部は、この中央アーム取付部に結合された中央ドッキングアームを有し、前記中央ドッキングアームは、この中央ドッキングアームに結合された中央ボールカップと、前記中央ボールカップに結合された中央取付ナットとを含む。前記第1サイドアーム取付部は、この第1サイドアーム取付部に結合された第1サイドドッキングアームを有し、前記第1サイドドッキングアームは、この第1サイドドッキングアームに結合された第1サイドボールカップと、前記第1サイドボールカップに結合された第1サイド取付ナットとを含む。前記第2サイドアーム取付部は、この第2サイドアーム取付部に結合された第2サイドドッキングアームを有し、前記第2サイドドッキングアームは、この第2サイドドッキングアームに結合された第2サイドボールカップと、前記第2サイドボールカップに結合された第2サイド取付ナットとを含む。
【0008】
更に別の手術機器ホルダー用ドックが開示されている。この手術機器ホルダー用ドックは、中央アーム取付部と、第1サイドアーム取付部と、第2サイドアーム取付部と、下側クランプジョーを有するベースを備えている。手術機器ホルダー用ドックはまた、前記ベースに移動可能に結合された上側ジョーと、前記中央アーム取付部に結合された中央ドッキングアームを備えている。この中央ドッキングアームは、前記上側ジョーに結合されたインナーロッドと、前記インナーロッドに結合されたノブと、前記インナーロッドを囲むように配置された中空のアウターロッドと、前記インナーロッドに結合された中央ボールカップを含む。手術機器ホルダー用ドックはまた、展開可能モーメントアームを有する中央取付ナットと、前記中央ボールカップと前記中央取付ナットの間に回動可能に保持されたボールと、前記ボールに結合された手術機器ホルダーを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態をなす手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図である。
【0010】
図2A図1の手術機器ホルダー用ドックの組立工程を示す分解斜視図である。
図2B】同組立工程を示す分解斜視図である。
図2C】同組立工程を示す分解斜視図である。
図2D】同組立工程を示す斜視図である。
図2E】同組立工程を示す分解斜視図である。
【0011】
図3A図1の手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図であり、中央ドッキングアームに加えて、2つの追加サイドアームと、各アームに取り付けられた3つの手術機器ホルダーを示す。
図3B図3Aを異なる状態で示す斜視図である。
【0012】
図4A図1の手術機器ホルダー用ドックのトルク増強装置を上方から見た斜視図であり、二対のモーメントアームが格納された状態を示す。
図4B】同トルク増強装置の斜視図であり、緩めるために用いられる一対の下側モーメントアームが展開された状態を示す。
図4C】同トルク増強装置の斜視図であり、一対の下側モーメントアームが展開された状態を示す。
図4D】同トルク増強装置の斜視図であり、締め付けるために用いられる一対の上側モーメントアームが展開された状態を示す。
図4E】同トルク増強装置の斜視図であり、一対の上側モーメントアームが展開された状態を示す。
【0013】
図5】別の実施形態をなす手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図である。
【0014】
図6】別の実施形態をなす手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図である。
【0015】
図7】別の実施形態をなす手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図である。
【0016】
図8図7の手術機器ホルダー用ドックの一部の断面図である。
【0017】
図9A図7の手術機器ホルダー用ドックの一部の断面図である。
図9B図7の手術機器ホルダー用ドックの一部の断面図である。
【0018】
図10図7の手術機器ホルダー用ドックを2つ示す斜視図であり、これらドックは、様々なアダプターおよび機器を装備した状態で手術台に取り付けられている。
【0019】
明確にするためにそして適切であると思われる場合に、参照番号が対応するフィーチャを示すために図で繰り返されていること、およびフィーチャをより良く示すために図面の種々の構成要素が必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないこと、を理解されたい。
【詳細な説明】
【0020】
図1は、一実施形態をなす手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図である。この実施形態の手術機器ホルダー用ドック10は、一対の下側クランプジョー14と下側ストップ20と上側ストップ22を画成するベース12を備えている。手術機器ホルダー用ドック10のベース12内で、上側クランプジョー16が移動可能である。この上側クランプジョー16は上側クランプジョーシャフト18に接続されている。上側クランプジョーシャフト18はストップピン24を有している。このストップピン24は、下側ストップ20と上側ストップ22との間に配置されるようにして上側クランプジョーシャフト18に設けられており、上側クランプジョーシャフト18の垂直移動を制限し、これにより下側クランプジョー14に対する上側クランプジョー16の相対位置を制限するように構成されている。他の実施形態では、ストップピンを含んでもよいし含まなくてもよく、当業者に知られている手段によってクランプジョーの可動部分の移動を制限することができる。他の実施形態では、移動を全く制限しなくてもよい。他の実施形態では、下側クランプジョーを可動にしてもよく、あるいは下側および上側のクランプジョーを可動にしてもよい。他の実施形態では、上側または下側クランプジョーの内側または表面に、ベベル(斜面)や他の表面フィーチャ等の、追加のフィーチャを形成し、これにより外科用レールの様々な形状、サイズに適合してクランプ力を改善できるようにしてもよい。ベース12は、手術機器ホルダー用ドック10を外科用テーブルレールにクランプするように構成されている。ベース12の上部には、中央ドッキングアーム26が取り付けられている。この中央ドッキングアーム26の頂部にはロックナット28が取り付けられている。ロックナット28の上にはボディロックノブ30があり、このボデイロックノブは、インナーシャフトまたはインナーロッド(この図には明示されていないが、後で説明する)を介して、上側クランプジョーシャフト18に連結されている。ボディロックノブ30の上には、中央ボールカップまたはソケットがある(これもこの図示しないが後で説明する)。中央取付ナット32がこのソケットに結合されている。この取付ナット32は、2つの下側の展開可能モーメントアーム34と2つの上側の展開可能モーメントアーム36を含む。大きなカプラーボール38が、中央ドッキングアーム26に取り付けられたソケットと、取付ナット32との間に保持されている。曲がったカプラーロッド40は、一端で大きなカプラーボール38に取り付けられ、反対側の端で小さなカプラーボール42に取り付けられている。小さなカプラーボール42には保持リング44が被さるようにして連結されている。これらカプラーボール42と保持リング44は、後に手術機器ホルダー(この図には示されていない)のための取り付け点として提供される。手術機器ホルダー用ドック10は、中央ドッキングアーム26に加えて、ベース12に取り付けられた第1サイドドッキングアーム46および第2サイドドッキングアーム64を有している。これらサイドドッキングアーム46,64は、同じ平面上において、中央ドッキングアーム26に対して約45度の角度をなしている。この実施形態では45度の角度が示されているが、他の実施形態では、サイドドッキングアームを中央ドッキングアームに対して他の角度にしてもよいし、中央ドッキングアームと同じ平面に配置しなくてもよい。第1サイドドッキングアーム46は、第1サイドボールカップ48(この図には見えない)を画成する。この第1サイドボールカップ48は、第1サイド取付ナット50と結合するように構成されている。この第1サイド取付ナット50は、2つの下側の展開可能モーメントアーム52と2つの上側の展開可能モーメントアーム54を有している。大きなカプラーボール56が、ボールカップ48と取付ナット50との間に保持されている。曲がったカプラーロッド58が、一端で大きなカプラーボール56に取り付けられ、反対側の端で小さなカプラーボール60に取り付けられている。小さなカプラーボール60には、保持リング62が被さるようにして連結されている。これらカプラーボール60と保持リング62は、後に手術機器ホルダー(この図には示されていない)のための取り付け点として提供される。第2サイドドッキングアーム64も、サイドボールカップ66を画成する。このサイドボールカップ66は、第2サイド取付ナット68と結合するように構成されている。第2サイド取付ナット68は、2つの下側展開可能モーメントアーム70と2つの上側展開可能モーメントアーム72を有している。大きなカプラーボール74が、ボールカップ66と取付ナット68との間に保持されている。曲がったカプラーロッド76が、一端で大きなカプラーボール74に取り付けられ、反対側の端で小さなカプラーボール78に取り付けられている。小さなカプラーボール78には、保持リング80が被さるようにして結合されている。これらカプラーボール78と保持リング80は、後に手術機器ホルダー(この図には示されていない)のための取り付け点として提供される。カプラーロッド40、58、76の各位置は、最初に取付ナット32、50、68の1つを緩めることにより位置決めされる。これにより、カプラーロッド40、58、76の位置ひいては取り付けられるべき手術機器ホルダー等の固定具や装置の位置を、所望位置に配置することができる。次に、取付ナット32、50、68が締められ、取付ナット32、50、68と各ボールカップ128,48,66との間に大きなカプラーボール38、56、74をクランプすることによって、カプラーロッド40、58、76を所望の位置にロックする。取付ナットは取付ソケットとも言う。
【0021】
図2A~2Eは、図1の手術機器ホルダー用ドックの組立工程を示す一連の分解図である。図2Aは、下側クランプジョー14、下側ストップ20、および上側ストップ22を画成するベース12を示している。ベース12の上端近くには、ストップピン24を挿入するための穴108が形成されている。ベースは、上側クランプジョー16を画成する上側クランプジョーシャフト18をスライド可能に受け入れるように構成されている。この上側ジョー16は、ベース12の下側クランプジョー14に対して移動可能であり、様々な手術台レールや他の構造に締め付け固定することができる。上側クランプジョーシャフト18はまた、ストップピン24を受け入れるように構成された穴90と、インナーシャフト130のシャフトステップ部134を受け入れるように構成された穴92とを有する。ベース12はまた、センターアーム取付穴82と2つのサイドアーム取付部84、88を規定する。2つのサイドアーム取付部84、88は、サイドアームをベース12に取り付けるためのネジ86を有している。
【0022】
次に、中空のアウターシャフト98をロックナット28の穴110に挿入し、アウターシャフト98のシャフトステップ部106を最初にベース12のセンターアーム取付穴82に挿入することにより、ベース12に固定する。ロックナット28は、アウターシャフト98に拘束されている。ロックナット28の内側のステップ部112が、アウターシャフト98の上端のステップ部100よりも径が小さく、このステップ部100に当たるからである。シャフトステップ部106は、ベース12のセンターアーム取付穴82に嵌められている。これは、溶接、接着、または当技術分野で知られている他の方法によって取り付けることができる。アウターシャフト98はまた、いくつかの横穴104を有する。これら横穴104は、洗浄および/または滅菌処理が中央ドッキングアーム26の内側に到達するのを可能にするように構成されている。アウターシャフト98はまた、インナーシャフト130を受け入れるように構成された中央穴102を有する。アウターシャフト98のステップ部100の一方側において、ロックナット28のネジ114は、ボデイロックノブ30の外側ネジ126と螺合する。次に、インナーシャフト130が、ボデイロックノブ30の中央穴124、アウターシャフト98の中央穴102を通って、ベース12の中央アーム取付穴82に挿入され、上側クランプジョーシャフト18に固定される。インナーシャフト130のシャフトステップ部134は、上側クランプジョーシャフト18の穴92と嵌合する。インナーシャフト130がアウターシャフト98に挿入されると、中空のアウターロッドまたはアウターシャフト98がインナーシャフトまたはロッド130を覆うように配置され、インナーシャフト130はアウターシャフト98内で自由に回転する。ボディロックノブ30は、中央の穴124の内側に内ネジ122を画成するとともに、ボディロックノブ30の下側に外ネジ126とを画成している。ボディロックノブ30はまた、いくつかの窪み118および突起120を画成し、ボディロックノブ30を取り扱うための人間工学的把持面を形成している。
【0023】
インナーシャフト130はまた、上部に向かって中央ボールカップ128を画成する。ボールカップ128はさらに、外側凹所壁146と内側凹所壁138を画成する。内側凹所壁138の外面はネジ142を有している。ソケット凹部148が、外側凹所壁146と内側凹所壁138との間の空間によって画成される。ネジ142とソケット凹部148は、取付ナット(この図には示されていないが、後述する)を受け入れるように構成されている。内側凹所壁138は、上端にいくつかのナール(ギザギザ、滑り止め;knurl)140を画成する。ナール140は、大きなカプラーボール38を把持するのを助けるように構成されている。カラーボール38については中央のボール凹所144と同様に後で示す。インナーシャフト130の上部ネジ132とボデイロックノブ30の内ネジ122が螺合している。本体ロックノブ30を時計回りに回転させると、上部ネジ132がインナーシャフト130を下方向に駆動し、上側クランプジョー16を下側クランプジョー14に近づけ、下側クランプジョー14と上側クランプジョー16を一緒に閉じるまたは締める。ボディロックノブ30を反時計回りに回転させると、上部ネジ132がインナーシャフト130を上方向に駆動し、それにより上側クランプジョー16を下側クランプジョー14からさらに遠ざけ、下側クランプジョー14と上側クランプジョー16を互いに離れるように緩める。下側クランプジョー14と上側クランプジョー16の相対位置が得られ、十分なクランプ力が達成されると、ロックナット28のネジ114とボディロックノブ30の外ネジ126が締められ、これにより、手術台レールまたは他の構造にクランプされる時に下側クランプジョー14と上側クランプジョー16を所望の位置にロックする。他の実施形態では、代替の締め付け機構を有するか、または反時計回りに回転して締め付け、時計回りに回転して緩めるように構成されるボディロッククランプを備えてもよい。
【0024】
図2Bは、図1の手術機器ホルダー用ドック10のアセンブリの一部の分解図であり、取付ソケットとも呼ばれる取付ナット68を示している。取付ナット68は、略円盤形状をなしている。上層160、中間層162、および下層164は、平らで薄いセグメントであり、取付ナット68の中央構造から外側に張り出している。上層160と中間層162と下層164を含む取付ナット68は、取付ナット68の周囲のいくつかの窪み150と突起152をさらに規定する。これらの窪み150および突起152は、取付ナット68に人間工学的把持機能を形成し、取付ナット68の手による締め付けを可能または容易にする。取付ナット68はまた傾斜面(bevel)154を画成する。この傾斜面154は、より大きな角度で、より大きなクリアランスで配置されるアタッチメントのためのクリアランスを許容する。上層160、中間層162、下層164の間の空間は、上部スロット166と下部スロット168を画成する。中間層162と下層164は、いくつかの穴170を画成する。上側の展開可能モーメントアーム72と下側の展開可能モーメントアーム70は、それぞれ取付穴176、178を有し、上部スロット166とスロット168に配置されている。上側の展開可能モーメントアーム72の穴176が取付ナット68の2つの穴170に位置合わせされ、下側の展開可能モーメントアーム70の穴178が取付ナット68の2つの穴170に位置合わせされる。穴174を有する方形の波形ワッシャ172は、上側の展開可能モーメントアーム72の穴176と下側の展開可能モーメントアーム70の穴178の下に配置されている。2つのピン180は、それぞれ展開可能なモーメントアーム72、70の穴176、178に挿通されている。各ピン180は取付ナット68の対応する穴170に捕捉されている。本実施形態の取付ナット68では、上側の展開可能モーメントアーム72と下側の展開可能モーメントアーム70はそれぞれ2つずつあるが、これら展開可能モーメントアーム72、70のそれぞれの1つは、取付ナット68の反対側に取り付けられており、図2Bでは見えない。方形ワッシャ172は、取付ナット68の全周で展開可能モーメントアーム70、72を所定の位置に保持するように構成されているが、その機能的動作の必要に応じて、展開可能モーメントアーム70、72を展開状態で保持する。このことは後で説明する。方形の波形ワッシャは平坦ではなく、展開可能モーメントアーム70、72と、取付ナット68の内側部分に対してバイアス力を提供する。本実施形態の取付ナット68は、2つの上側の展開可能モーメントアームと2つの下側の展開可能モーメントアームを有するが、他の実施形態では、より少なくてもよいし、より多くてもよいし、異なる形状または配向の展開可能モーメントアームを有してもよい。同様に、取付ナット68の他の実施形態として、代替の形状および特徴が可能である。他のタイプのワッシャまたはバイアス要素を使用して、展開可能モーメントアーム70、72を所定の位置に保持する摩擦力を提供することができる。トリプル波形ワッシャ、波形ワッシャ、スプリングワッシャ、ベルビル(Belleville)ワッシャ、皿バネ、またはそれらの組み合わせ等である。
【0025】
図2Cは、図1の手術機器ホルダー用ドック10のアセンブリの一部の分解図であり、図2A,図2Bのサブアセンブリの組み合わせを示す。2つのピン24がそれぞれ穴90および108に挿入され、これにより図2Aに示されるサブアセンブリの組み立てを継続する。大きなカプラーボール38が、ボールカップ128のボール凹所144内に配置される。カプラーロッド40は、取付ナット68の取付ソケット凹部156を通過し、カプラーロッド40のシャフトステップ部184が、大きなカプラーボール38の穴182に挿入固定される。カプラーロッド40の反対側の端にあるシャフトステップ部186は、保持リング44の中央の穴188を通過し、小さなカプラーボール42の穴192内に固定される。大きいカプラーボール38と小さいカプラーボール42がカプラーロッド40に取り付けられると、取付ナット68は、そのネジ158をボールカップ128の内側凹所壁138のネジ142と螺合することによって、ボールカップ128に取り付けられる。ネジ158、142が螺合したら、取付ナット68を時計回りに回転させて、取付ナット68をボールカップ128に締め付ける。これにより、取付ナット68とボールカップ128のボール凹所144との間で大きなカプラーボール38を捕捉する。この組み立て状態は、図2Dに示されている。取付ナット68がボールカップ128に締め付けられると、大きなカプラーボール38の動きが制限されるため、大きなカプラーボール38に取り付けられたすべてのもの(カプラーロッド40およびそれより先のアタッチメントを含む)が、所定位置に保持される。内側凹所壁138の上端縁のナール140は、大きなカプラーボール38との摩擦接触を提供し、これにより大きなカプラーボール38を所定の位置に保持するのを助ける。取付ナット68がボールカップ128に対して緩められると、大きなカプラーボール38の動きはもはや制限されなくなり、したがって、大きなカプラーボール38に取り付けられたすべてのもの(カプラーロッド40およびその先のアタッチメントを含む)、は複数方向に自由に動くことができる。他の実施形態では、大きなカプラーボール38に摩擦力を提供するためのナール140または歯を含まなくてもよい。他の実施形態では、カプラーボール38の表面に表面フィーチャを組み込んで、ボールに対する保持力を増大させてもよい。
【0026】
図2Eは、図1の手術機器ホルダー用ドック10のアセンブリの一部の分解図であり、サイドアームの組み立てを示している。ベース12にはサイドアーム取付部84がある。このサイドアーム取付部84は、第1のサイドドッキングアーム46のシャフトの端部のネジ200に対応するネジ86を有している。第1のサイドドッキングアーム46は、構造が前述の中央ドッキングアーム26と類似しているが、いくつかの点でより単純である。第1のサイドドッキングアーム46は、上を向くボールカップ48を有している。ボールカップ48はさらに、外側凹所壁204と内側凹所壁196を画成する。内側凹所壁196の外面はネジ194を有し、外側凹所壁204と内側凹所壁196との間の空間によってソケット凹部206が画成する。ネジ194とソケット凹部206は、取付ナット210を受け入れるように構成されている。内側凹所壁196は、その上縁部にいくつかのナール198を画成する。このナール198は、中央ボール凹所202とともに、大きなカプラーボール56を把持するのを助けるように構成されている。大きなカプラーボール56は、ボールカップ48のボール凹所202内に配置される。カプラーロッド58は取り付けソケット210の取付ソケット凹所218を通り、カプラーロッド58のシャフトステップ部232が大きなカプラーボール56の穴208内に挿入固定される。カプラーロッド58の反対側の端のシャフトステップ部234は、保持リング62の中央の穴236を通り、小さなカプラーボール60の穴240内に挿入固定される。大きなカプラーボール56と小さなカプラーボール60がカプラーロッド58に取り付けられると、取付ソケット210は、そのネジ220をボールカップ48のネジ194と螺合させることにより、ボールカップ48に取り付けられる。この図には見えないが、図2Cに関して前述したものと同様である。ネジ194が係合されると、取付ソケット210が時計回りに回転され、取付ソケット210をボールカップ48に締め付ける。これにより、取付ソケット210とボールカップ48のボール凹所202との間で大きなカプラーボール56を捕捉する。取付ソケット210がボールカップ48に締め付けられると、大きなカプラーボール56の動きが制限される。このため、大きなカプラーボール56に取り付けられた全てのもの(カプラーロッド58およびそれより先のアタッチメントを含む)が所定の位置に保持される。内側凹所壁196の上縁部の周りのナール198は、大きなカプラーボール56との摩擦接触を提供して、大きなカプラーボール56を所定の位置に保持するのを助ける。取付ソケット210がボールカップ48から緩められると、大きなカプラーボール56の動きはもはや制限されないので、カプラーボール56に取り付けられたものはすべて(カプラーロッド58およびその先のアタッチメントを含む)は複数の方向に自由に動くことができる。
【0027】
取付ソケット210は、前述のように、概して円盤状の構造を有する。上層222と中間層224と下層226は平坦で薄いセグメントであり、取付ソケット210の中央構造から外側に張り出している。上層222と中間層224と下層226を含む取付ソケット210は、取付ソケット210の周囲のいくつかの窪みと突起をさらに画成する。これらの窪みと突起は、取付ソケット210の全体的な形態に人間工学的な把持機能を形成する。この把持機能よって、取付ソケット210の手による締め付けを可能にするか容易にする。上層222と中間層224と下層226の間の空間は、上部スロット228と下部スロット230を画成する。取付ソケット210はまた、2つの上側の展開可能モーメントアーム54と2つの下側の展開可能モーメントアーム52を有している。これらは、図2Bの取付ナット68に関して記述したのと同様に、取付ソケット210に取り付けられている。この実施形態の取付ナット210では、2つの上側の展開可能モーメントアームと2つの下側の展開可能モーメントアームを有するが、他の実施形態ではより少ないかより多くてもよく、異なる形状または配向の展開可能モーメントアームを有していてもよい。同様に、取付ナット210の他の実施形態については、代替の形状および特徴が可能である。これらの図には示されていないが、第2のサイドドッキングアームのアセンブリは、図2Eに示されている第1のサイドドッキングアームアタッチメントのアセンブリと同様である。
【0028】
図3A図3Bは、図1の手術機器ホルダー用ドックの右上の正面から見た斜視図であり、中央ドッキングアームに加えて2つのサイドアームと各アームに取り付けられた3つの手術機器ホルダーを示す。手術機器ホルダー用ドック10はベース12を備えており、このベース12は、下側クランプジョー14を画成し、ベース12内で移動可能かつスライド可能に係合する上側クランプジョー16を有している。中央ドッキングアーム26は、ベース12の頂部に取り付けられている。中央ドッキングアーム26は、図1について前述したように、中央ドッキングアーム26に連結された、ロックナット28とボデイロックノブ30と取付ナット32を有する。ボディロックノブ30と取付ナット32との間には、大きなカプラーボール38が解放可能に保持されており、この大きなカプラーボール38にはカプラーロッド40が連結されている。カプラーロッド40の反対側の端に取り付けられた小さなカプラーボール42と保持リング44には、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ242が固定されている。中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ242は、保持リング44に取り付けられた第1アーム244と、第2アーム252を第1アーム244に連結するロックジョイント246とを有する。操作レバー250を有するレバーブロック248は、ロックジョイント246の上に配置されている。第2アーム252はエンドジョイント254を有する。このエンドジョイント254はエンドエフェクタ256を含む。エンドエフェクタ256は、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ242の端部に任意の数の手術機器を取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ242を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー250は、小さなカプラーボール42、ロックジョイント246,エンドジョイント254において、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ242の関節をロックしロック解除するように構成されており、ロック解除されている時に関節を自由に動かせるようにし、そして小さなカプラーボール42とロックジョイント246とエンドジョイント254を、ロック位置に保持するようになっている。そのため、第1アーム244、第2アーム252、およびエンドエフェクタ256の相対位置を所定の位置に維持することができる。
【0029】
手術機器ホルダー用ドック10のベース12はまた、第1のサイドドッキングアーム46を含み、この第1のサイドドッキングアーム46には、別のカプラーロッド58を所定の位置に保持する取付ナット50が連結されている。このカプラーロッド58は大きなカプラーボール56を有し、この大きなカプラーボール56は、第1のサイドドッキングアーム46に連結されたボールカップ48と取付ナット50との間に保持されている。上側の展開可能モーメントアーム54は展開状態で示されており、取付ナット50が締められている最中であることを示している。この点については後で詳しく説明する。カプラーロッド40の反対側の端に取り付けられた小さなカプラーボール42(この図には見えない)と保持リング62には、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ258が固定されている。第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ258は、保持リング62に取り付けられた第1アーム260と、第2アーム268を第1アーム260に連結するロックジョイント262を有している。操作レバー266を有するレバーブロック264が、ロックジョイント262の上に配置されている。第2アーム268はまた、エンドエフェクタ272を含むエンドジョイント270を有する。エンドエフェクタ272は、任意の数の手術機器を第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ258の端部に取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ258を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー266は、小さなカプラーボール60とロックジョイント262とエンドジョイント270において、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ258の関節をロックしロック解除するように構成されており、これにより、ロック解除時に関節が自由に動けるようにし、そしてカプラーボール42とロックジョイント246とエンドジョイント254をロック位置に保持する。そのため、第1アーム260と第2アーム268とエンドエフェクタ272の相対位置が所定位置に維持する。
【0030】
手術機器ホルダー用ドック10のベース12はまた、第2のサイドドッキングアーム64を含み、第2のサイドドッキングアーム64に連結されたサイドアーム取付ナット68は別のカプラーロッド76を所定の位置に保持する。このカプラーロッド76はまた、大きなカプラーボール(この図では見えない)を有しており、この大きなカプラーボールは、第2のサイドドッキングアーム64に連結されたボールカップ66と、取付ナット68との間に保持されている。カプラーロッド76の反対側の端に取り付けられた小さなカプラーボール78と保持リング80には、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ274が固定されている。第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ274は、保持リング80に取り付けられた第1アーム276と、第2アーム284を第1アーム276に連結するロックジョイント278とを有する。操作レバー282を有するレバーブロック280が、ロックジョイント278の上に配置されている。第2アーム284はまた、エンドエフェクタ288を含むエンドジョイント286を有する。エンドエフェクタ288は、任意の数の手術機器を第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ274の端部に取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ274を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー282は、小さなカプラーボール78とロックジョイント278とエンドジョイント286において、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ274の関節をロックしロック解除するように構成されており、ロック解除時に関節が自由に動くことを可能にし、そして小さいカプラーボール78とロックジョイント278とエンドジョイント286をロック位置に保持する。これにより、第1アーム276と第2アーム284とエンドエフェクタ288の相対位置を所定の位置に維持する。図3Bは、図3Aに示す手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図であり、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ258が、図3Aに示される位置より下げられた位置で示されている。
【0031】
図4A、4B、4C、4D、4Eは、図1の手術機器ホルダー用ドックのトルク増強装置を上方から見た斜視図であり、それぞれ、二対のモーメントアームが後退した状態、一対の下側モーメントアームが展開した状態、一対の下側モーメントアームが緩めるために用いられている状態、一対の上側モーメントアームが展開した状態、一対の上側モーメントアームが締め付けのために用いられている状態を示している。手術機器ホルダー用ドック10の他の構成要素は、ソケットの作用をより明確に示すために省かれている。
【0032】
図4Aは、トルク増強装置または取付ソケットを上方から見た斜視図である。この取付ソケット、その特徴およびアセンブリについては、すでに図2Bを参照しながら説明した。図4Aでは、取付ソケットは、両方の上側展開可能モーメントアーム72と両方の下側展開可能モーメントアーム70が格納された位置(または押し込まれた位置)にある状態で示されている。格納位置にある時、モーメントアーム70、72の位置は、取付ナット68の円盤形状の周縁に沿う。
【0033】
図4Bは、トルク増強装置または取付ソケットを上方から見た斜視図であり、一対の下側モーメントアームが展開された状態で示されている。4つの展開可能モーメントアーム70、72のそれぞれは、バイアス拘束手段(biasing restraint)を有している。この実施形態では、図2Bについて説明したような矩形のワッシャ172である。この拘束手段は、展開可能モーメントアーム70が一旦格納位置または展開位置に移動されると、その位置で展開可能モーメントアーム70を拘束するように構成されている。各下側モーメントアーム70を外方向290に展開するためには、バイアス拘束手段に打ち勝つのに十分な力を加える必要がある。
【0034】
図4Cは、トルク増強装置または取付ソケットを上方から見た斜視図であり、一対の下側モーメントアームが緩めるために使用されている状態を示す。図4Cは、図4Aの取付ソケットを、2つの下側の展開可能モーメントアーム70が展開され、2つの上側の展開可能モーメントアーム72が格納された状態で示す。2つの下側展開可能モーメントアーム70は、第2のサイドドッキングアーム64のボールカップ66に対して取付ナット68を緩めるための機械的利点を提供する。取付ナット68を反時計回り方向292に回転させると、取付ナット68と第2サイドドッキングアーム64のボールカップ66との間の、屈曲したカプラーロッド76の大きなカプラーボール774が緩められる。この回転に要する力は、下側の展開可能モーメントアーム70が格納された時に比べて軽減されており、機械的利点を提供する。
【0035】
図4Dは、トルク増強装置または取付ソケットを上方から見た斜視図であり、一対の上側モーメントアームが展開された状態を示す。4つの展開可能モーメントアーム70、72はそれぞれバイアス拘束手段を有している。この実施形態では、図2Bに関して説明された矩形のワッシャ172を有する。この拘束手段は、上側展開可能モーメントアーム72が一旦格納位置または展開位置に移動されると、その位置で上側展開可能モーメントアーム72を拘束するように構成されている。各上側モーメントアーム72を外方向294に展開するためには、バイアス拘束手段に打ち勝つのに十分な力を加える必要がある。
【0036】
図4Eは、トルク増強装置または取付ソケットを上方から見た斜視図であり、一対の上側モーメントアームがトルク増強装置を締め付けるために使用されている状態を示す。図4Eは、図4Aの取付ソケットを、2つの上側の展開可能モーメントアーム72が展開され、2つの下側の展開可能モーメントアーム70が格納された状態で示している。2つの上側の展開可能モーメントアーム72は、第2のサイドドッキングアーム64のボールカップ66に対して取付ナット68を締めるための機械的利点を提供する。取付ナット68を時計回り方向296に回転させると、取付ナット68と第2のサイドドッキングアーム64のボールカップ66との間で、屈曲したカプラーロッド76の大きなカプラーボール74が締められる。この回転に要する力は、上側の展開可能モーメントアーム72が格納された時に比べて軽減されており、機械的利点を提供する。取付ソケットまたはトルク増強装置の代替の実施形態は、展開可能モーメントアームの他の構造及び配向を有していてもよい。展開可能モーメントアームは、重なり合ってもよいし重ならなくてもよい。また格納位置から展開位置まで前後にスライドしてもよいし、取り外し可能でもよいし、またはそれらの組み合わせであってもよい。取付ソケットまたはトルク増強装置の代替の実施形態は、時計回りの回転で緩み、反時計回りの回転で締められるように方向付けしてもよい。
【0037】
図5は、手術機器ホルダー用ドックの一実施形態を右上の正面から見た斜視図である。 この実施形態の手術機器ホルダー用ドック326はベース328を含み、このベース328は、一対の下側クランプジョー330と下側ストップ336と上側ストップ338を画成する。上側クランプジョーシャフト334に連結された上側クランプジョー332が、手術機器ホルダー用ドック326のベース328内で移動可能である。上側クランプジョーシャフト334は、上側クランプジョーシャフト334に配置されたストップピン340を含む。ピン340は下側ストップ336と上側ストップ338との間に配置され、上側クランプジョーシャフト334の垂直移動を制限し、ひいては下側クランプジョー330に対する上側クランプジョー332の相対位置を制限するように構成されている。ベース328は、手術機器ホルダー用ドック326を手術台レールにクランプするように構成されている。ベース328の上部に中央ドッキングアーム342が取り付けられる。この中央ドッキングアーム342は、中央ドッキングアーム342の頂部に取り付けられたロックナット344を有する。ロックナット344の上には、ボデイロックノブ346がある。このボデイロックノブ346は、インナーシャフト(この図には明示的に示されていないが、後で説明する)を介して上側クランプジョーシャフト334に連結されている。ボディロックノブ346の上にはソケットがある(この図では見えない)。中央の取付ナット348がソケットに結合されている。取付ナット348は、2つの下側の展開可能モーメントアーム350と2つの上側の展開可能モーメントアーム352を含む。大きなカプラーボール354は、中央ドッキングアーム342に取り付けられたソケットと取付ナット348との間に保持されている。滑らかで屈曲した、より長いカプラーロッド356が、一端で大きなカプラーボール354に取り付けられており、反対側の端で小さなカプラーボール358に取り付けられている。小さなカプラーボール358には、保持リング360が被さるようにして連結されている。カプラーボール358と保持リング360は、後に手術機器ホルダー(この図には示されていない)の取り付け点として提供される。手術機器ホルダー用ドック326は、中央ドッキングアーム342に加えて、ベース328に取り付けられた第1のサイドドッキングアーム362と第2のサイドドッキングアーム380を有している。これらサイドドッキングアーム362,380は、中央ドッキングアーム342に対して約45度の角度をなしている。この実施形態では45度の角度をなしているが、他の実施形態では、サイドアームは中央ドッキングアーム342に対して他の角度をなしていてもよい。第1のサイドドッキングアーム362は第1のサイドボールカップ364(この図には見えない)を画成する。第1のサイドボールカップ364は、第1のサイド取付ナット366と組み合わせるように構成されている。この取付ナット366は、2つの下側の展開可能モーメントアーム368と2つの上側の展開可能モーメントアーム370を有する。大きなカプラーボール372は、ボールカップ364と取付ナット366との間に保持される。真っ直ぐで滑らかなカプラーロッド374は、一端で大きなカプラーボール372に取り付けられ、反対側の端で小さなカプラーボール376に取り付けられる。小さなカプラーボール376には、保持リング378が被さるようにして接続され、これらは、後に手術機器ホルダー(この図には示されていない)の取り付け点として提供される。第2のサイドドッキングアーム380もまた、第2のサイドボールカップ382を画成する。この第2のサイドボールカップ382は、第2のサイド取付ナット384と組み合わせるように構成されている。この取付ナット384は、2つの下側の展開可能モーメントアーム386と2つの上側の展開可能モーメントアーム388を有する。大きなカプラーボール390は、ボールカップ382と取付ナット384との間に保持される。曲がったカプラーロッド392は、一端で大きなカプラーボール390に取り付けられ、反対側の端で小さなカプラーボール394に取り付けられている。小さなカプラーボール394には、保持リング396が被さるように連結され、これらは、後に手術機器ホルダー(この図には示されていない)の取り付け点として提供される。カプラーロッド356、374、392の各々は、最初に取付ナット348、366、384を緩め、カプラーロッド356、374、392を所望位置に配置し、ひいては手術機器ホルダー等の付属品や装置を所望位置に配置することにより、位置決めでき、ロックすることができる。次に、取付ナット348、366、384が締められ、取付ナット348、366、384とボールカップ364,382との間に大きなカプラーボール354、372、390をクランプすることによって、カプラーロッド356、374、392を所望の位置にロックする。
【0038】
図6は、別の実施形態の手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図である。この実施形態の手術機器ホルダー用ドック400はベース402を含み、このベース402は、一対の下側クランプジョー404と下側ストップ410と上側ストップ412を画成する。手術機器ホルダー用ドック400のベース402内で、上側クランプジョーシャフト408に連結された上側クランプジョー406が移動可能である。上側クランプジョーシャフト408はストップピン414を含み、このストッパピン414は、下側ストップ510と上側ストップ412との間に配置され、上側クランプジョーシャフト408の垂直移動を制限し、ひいては下側クランプジョー404に対する上側クランプジョー406の相対位置を制限するように構成されている。他の実施形態では、ストップピンを含んでも含まなくてもよいし、当業者に知られている手段によってクランプジョーの可動部分の移動を制限してもよい。他の実施形態では、下側クランプジョーを可動にしてもよいし、下側および上側のクランプジョーを可動にしてもよい。ベース402は、手術機器ホルダー用ドック400を手術台レールにクランプするように構成される。ベース402の上部には、中央ドッキングアーム416が取り付けられている。中央ドッキングアーム416は、その上部に取り付けられたロックナット418を有する。ロックナット418の上にはボディロックノブ420があり、このボディロックノブ420は、インナーシャフト(この図には明示されていないが、後で説明する)を介して上側クランプジョーシャフト408に連結されている。ボデイロックノブ420の上には、この図には示されていないが他の実施形態に関して以前に説明したソケットがある。中央の取付ナット422がソケットに連結されている。取付ナット422は、2つの下側の展開可能モーメントアーム424と2つの上側の展開可能モーメントアーム426を含む。大きなカプラーボール428は、中央ドッキングアーム416に取り付けられたソケットと取付ナット422との間で保持される。曲がったカプラーロッド430は、一端で大きなカプラーボール428に取り付けられ、反対側の端で小さなカプラーボール432に取り付けられる。小さなカプラーボール432には、保持リング434が被さるようにして連結されており、これらは、後に手術機器ホルダーの取り付け点として提供される。カプラーロッド430の反対側の端に取り付けられた小さなカプラーボール432と保持リング434には、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ446が固定されている。中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ446は、保持リング434に取り付けられた第1アーム448と、第2アーム456を第1アーム448に連結するロックジョイント450とを有する。操作レバー454を有するレバーブロック452が、ロックジョイント450の上に配置されている。第2アーム456はまた、エンドエフェクタ460を含むエンドジョイント458を有する。エンドエフェクタ460は、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ446の端部に任意の数の手術機器を取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ446を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー454は、小さなカプラーボール432とロックジョイント450とエンドジョイント458で、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ446の関節をロックし、ロック解除するように構成され、これによりロック解除時に関節が自由に動くことを可能にし、そして小さなカプラーボール432とロックジョイント450とエンドジョイント458をロック位置で保持し、第1アーム448と第2アーム456とエンドエフェクタ460の相対位置を、固定位置に維持する。
【0039】
中央ドッキングアーム416に加えて、手術機器ホルダー用ドック400は、ベース402に取り付けられた第1サイドドッキングアーム436と第2サイドドッキングアーム440を有している。これらサイドドッキングアーム436、440は、それぞれ中央ドッキングアーム416に対して約45度をなしている。この実施形態では45度の角度が示されているが、他の実施形態では、中央ドッキングアーム416に対して、サイドアームを別の角度にしてもよい。第1サイドドッキングアーム436の反対側の端に取り付けられた小さなカプラーボール(この図では見えない)および保持リング438には、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ462が固定されている。第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ462は、保持リング438に取り付けられた第1アーム464と、第2アーム472を第1アーム464に連結するロックジョイント466とを有する。操作レバー470を有するレバーブロック468が、ロックジョイント466の上に配置されている。第2アーム472は、エンドエフェクタ476を含むエンドジョイント474を有する。エンドエフェクタ476は、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ462の端部に任意の数の手術機器を取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ462を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー470は、小さなカプラーボールとロックジョイント466とエンドジョイント474において、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ462の関節をロックし、ロック解除するように構成され、これによりロック解除時に関節が自由に動くことを可能にし、そして小さなカプラーボールとロックジョイント466とエンドジョイント474をロック位置で保持して、第1アーム464と第2アーム472とエンドエフェクタ476の相対位置を、固定位置に維持する。
【0040】
第2サイドドッキングアーム440の反対側の端に取り付けられた小さなカプラーボール442と保持リング444には、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ478が固定されている。第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ478は、保持リング444に取り付けられた第1アーム480と、第2アーム488を第1アーム480に連結するロックジョイント482を有する。操作レバー486を有するレバーブロック484が、ロックジョイント482の上に配置されている。第2アーム488はまた、エンドエフェクタ492を含むエンドジョイント490を有する。エンドエフェクタ492は、任意の数の手術機器を第2の側の手術機器ホルダーアームアセンブリ478の端部に取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ478を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー486は、小さなカプラーボール442とロックジョイント482とエンドジョイント490において、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ478の関節をロックし、ロック解除するように構成され、これによりロック解除時に関節が自由に動くことを可能にし、そして小さなカプラーボール442とロックジョイント482とエンドジョイント490をロック位置で保持して、第1アーム480と第2アーム488とエンドエフェクタ492の相対位置を、固定位置に維持する。
【0041】
図7は、別の実施形態の手術機器ホルダー用ドックを右上の正面側から見た斜視図である。この実施形態の手術機器ホルダー用ドック500はベース502を含み、このベース502は、一対の下側クランプジョー504と下側ストップ510を画成する。手術機器ホルダー用ドック500のベース502内で、上側クランプジョーシャフトに結合された上側クランプジョー506が移動可能である。上側クランプジョーシャフトはインナーロッド512に連結されている。インナーロッド512は、ベース502の内部に配置され、ベース502に連結された中央ドッキングアーム514内に、移動可能に保持されている。インナーロッドは、上側クランプジョーに回転可能に連結されている。中央取付ナット520は、上側クランプジョーシャフト508の垂直移動を制限し、ひいては下側クランプジョー504に対する上側クランプジョー506の相対位置を制限するように構成されている。他の実施形態では、ストップピンを含んでもよいし含まなくてもよく、当業者に知られている手段によってクランプジョーの可動部分の移動を制限してもよい。他の実施形態では、下側クランプジョー可動にしてもよいし、下側および上側のクランプジョーを可動にしてもよい。ベース502は、手術機器ホルダー用ドック500を手術台レールにクランプするように構成される。ベース502の上部には、中央ドッキングアーム514が取り付けられている。この中央ドッキングアーム514は洗浄フィーチャを画成している。この洗浄フィーチャは、手術で使用した後にドック(内部構成要素および表面を含む)の洗浄および消毒を容易にする。この実施形態の他のアームも同様のフィーチャを有する。中央ドッキングアーム514には、ノブ518が結合されている。ノブ518は、インナーロッド512に連結され、ひいては上側クランプジョーシャフト508に連結される。この動作のメカニズムについては後述する。ノブ518の上には中央ボールカップ(この図には示されていないが、他の実施形態に関して以前に説明した)がある。中央取付ナット520が中央ボールカップに結合されている。この取付ナット520は、取付ナット520に回動可能に連結された4つの展開可能モーメントアーム522、524、526、528を含む。展開可能モーメントアーム522、524、526、528は、バイアスされた保持フィーチャ530をそれぞれ有する。この保持フィーチャは、展開可能モーメントアーム522、524、526、528が意図的に展開されるまで格納された状態に維持するように構成されている。大きなカプラーボール532は、中央ドッキングアーム514に取り付けられた中央ボールカップと、取付ナット520との間で保持される。曲がったカプラーロッド534は、一端が大きなカプラーボール532に取り付けられ、反対側の端で、小さなカプラーボール(この図には示されていない)に取り付けられている。小さなカプラーボールには、保持リング536が被さるようにして連結されており、第2のサイド取付ナット384と組み合わせるように構成されている。これらは後に手術機器ホルダー538の取り付け点として提供される。中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ538は、保持リング536に取り付けられた第1アーム540と、第2アーム544を第1アーム540に結合するロックジョイント541とを有する。操作レバー546を有するレバーブロック542が、ロックジョイント541の上に配置されている。第2アーム544はまた、エンドエフェクタ550を含むエンドジョイント548を有する。エンドエフェクタ550は、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ538の端部に任意の数の手術機器を取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ538を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー546は、保持リング536とロックジョイント541とエンドジョイント548において、中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ538の関節をロックし、ロック解除するように構成され、これによりロック解除時に関節が自由に動くことを可能にし、ロック時には、保持リング536とロックジョイント541とエンドジョイント548での関節をロック位置で保持して、第1アーム540と第2アーム544とエンドエフェクタ550の相対位置を、固定位置に維持する。
【0042】
手術機器ホルダー用ドック500は、中央ドッキングアーム514に加えて、ベース502に取り付けられた第1サイドドッキングアーム552および第2サイドドッキングアーム586を有している。これらサイドドッキングアーム552,586は、中央ドッキングアーム514に対して約45度をなしている。この実施形態では45度で示されているが、他の実施形態では、サイドアームは中央ドッキングアーム514に対して他の角度をなしてもよい。第1のサイドドッキングアーム552および付随するアセンブリは、前述した中央ドッキングアーム514および中央手術機器ホルダーアームアセンブリ538と同様の構造を有する。第1サイドボールカップ(この図には示されていない)が、第1サイドドッキングアーム552に結合されている。第1サイドボールカップには、第1サイド取付ナット554が結合されている。この取付ナット554は、前述の実施形態および本実施形態の取付ナット520と同様に、4つの展開可能モーメントアーム556、558、560、562を有する。第1サイドボールカップと取付ナット520との間には、ボール564が可動的に保持されており、このボール564には、第1のサイドカップリングロッド566が結合されている。第1のサイドカップリングロッド566の反対側の端には小さなカプラーボール(この図には見えない)と保持リング570が結合され、これらカプラーボールと保持リング570には、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ568が固定されている。第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ568は、保持リング570に取り付けられた第1アーム572と、第2アーム578を第1アーム572に結合するロックジョイント574とを有する。操作レバー580を有するレバーブロック576が、ロックジョイント574の上に配置されている。第2アーム578は、旋回可能なエンドエフェクタ584を含むエンドジョイント582を有する。エンドエフェクタ584は、任意の数の手術機器を第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ568の端部に取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ568を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー580は、係合または解放されると、小さなカプラーボールとロックジョイント574とエンドジョイント582において、第1サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ568の関節をロックおよびロック解除するように構成され、ロック解除された時に、関節とアームが自由に動くことを可能にし、係合およびロック時に、小さいカプラーボールとロックジョイント574とエンドジョイント582をロック位置に保持し、ひいては第1アーム572と第2アーム578とエンドエフェクタ584の相対位置を、固定位置に維持する。
【0043】
第2サイドドッキングアーム586および付随するアセンブリは、前述した中央ドッキングアーム514および中央の手術機器ホルダーアームアセンブリ538と同様の構造を有する。第2サイドドッキングアーム586には第2サイドボールカップ588が結合されている。第2サイドボールカップ588には、第2サイド取付ナット590が結合されている。このサイド取付ナット590は、前述の実施形態および取付ナット520と同様に、4つの展開可能モーメントアーム592を有している(そのうちの1つのみがこの図に見える)。第2サイドボールカップ588と第2サイド取付ナット590との間には、ボール594が移動可能に保持される。このボール594には第2サイドカプラーロッド596が結合されている。第2サイドカプラーロッド596の反対側の端には、小さなカプラーボール600と保持リング602が結合されている。これらカプラーボール600と保持リング602には、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ598が固定されている。第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ598は、保持リング602に取り付けられた第1アーム604と、第2アーム610を第1アーム604に結合するロックジョイント606とを有する。操作レバー612を有するレバーブロック608が、ロックジョイント606の上に配置されている。第2アーム610は、旋回可能なエンドエフェクタ616を含むエンドジョイント614を有する。エンドエフェクタ616は、任意の数の手術機器を第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ598の端部に取り付けるための取り付け点となる。この構成では、手術機器は、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ598を調節することによって容易に再配置可能である。操作レバー612は、係合または解放されると、小さなカプラーボール600とロックジョイント606とエンドジョイント614において、第2サイドの手術機器ホルダーアームアセンブリ598の関節をロックおよびロック解除するように構成され、ロック解除された時に、関節とアームが自由に動くことを可能にし、係合およびロック時に、小さいカプラーボール600とロックジョイント606とエンドジョイント614をロック位置に保持し、ひいては第1アーム604と第2アーム610とエンドエフェクタ616の相対位置を、固定位置に維持する。
【0044】
図8は、図7の手術機器ホルダー用ドックの一部の断面図である。図8は、図7の手術機器ホルダー用ドックにおける中央ドッキングアーム514のノブ518と中央取付ナット520の部分を示す。ノブ518は、機械ネジ620を有する内周を画成する。また、中央ドッキングアーム514内で自由に回転するインナーロッド512も示されている。インナーロッド512の一部はまた、インナーロッド512の外周のネジ622を画成する。ノブ518が方向624に回転されると、インナーロッド512のネジ622とノブ518のネジ620が螺合して、インナーロッド512を上方向626に駆動する。インナーロッド512が上側クランプジョーシャフト508および上側クランプジョー506に回転可能に結合されているので、ノブ518が方向624に回転されるとき、上側クランプジョー506は上方(方向626)に引かれる。この回転は、上述したように上側クランプジョーと下側クランプジョーとの間の距離を増加させて、手術機器ホルダー用ドック500のベース502を緩め、手術台レールから取り外すことができる。あるいは、クランプジョーを十分に離して、手術機器ホルダー用ドック500のベース502を、手術台のレールまたは同様のレールに配置することができる。ノブ518を反対方向に回転させると、上側クランプジョーと下側クランプジョーの間の距離は、減じられる。これにより、手術機器ホルダー用ドック500のベース502を締めて手術台レールに固定することができ、その結果、手術機器ホルダー用ドック500のベース502を手術台のレールまたは同様のレールにしっかりと保持することができる。
【0045】
図9A,9Bは、図7の手術機器ホルダー用ドックの一部の断面図である。図9Aは、図7の手術機器ホルダー用ドックにおける中央ドッキングアーム514のノブ518と中央取付ナット520を示す。中央取付ナット520に示されるように、保持アセンブリ628は、中央取付ナット520内に拘束されて保持され、大きなカプラーボール532とこれに取り付けられたカプラーロッド534を、中央取付ナット520の上部から離脱しないように拘束する。上部のクレニュレーションリング634(crenulation ring:鋸歯状リング)がボールを取り囲み、中央取付ナット520に拘束されている。このクレニュレーションリング634は、いくつかの上側噛み合いフィーチャ636(interdigitating feature)を画成する。これらの上側噛み合いフィーチャ636は、間隔をあけられた鈍いスパイクまたは長方形の尖った指状部として構成され、手術機器ホルダー用ドック500のボールカップ630に完全に取り付けられるときに、中央取付ナット520をアライメント(位置合わせ)し連結するのを助ける。ボールカップ630はまた、ボールカップ630の中央部分にいくつかの下側噛み合いフィーチャ632を含む。これら噛み合いフィーチャ632は、間隔をあけられた鈍いスパイクまたは長方形の尖った指状部として構成され、中央取付ナット520がボールカップ630に取り付けられるときに、ボールカップ630をアライメント(位置合わせ)し連結するのを助ける。中央取付ナット520がボールカップ630に設置され、方向638に回転されるとき、中央取付ナット520の外壁に画成されたネジ633が、ボールカップ630の内壁に画成された対応のネジ635と螺合する。中央取付ナット520がボールカップ630に締め付けられると、ボール532、ひいては取り付けられたカプラーロッド534および付随する手術機器ホルダーは、最初は中央取付ナット520とボールカップ630との間で移動可能、回動可能に拘束される。中央取付ナット520が展開された展開可能モーメントアームの助けを借りて、さらに締められると、中央取付ナット520の上側噛み合いフィーチャ636とボールカップ630の噛み合いフィーチャ632の形状が相補的で互いに対応しており、中央取付ナット520がボールカップ630にさらに締め付けられるときに、連結される。図9Bに示されるように、中央取付ナット520が方向640に移動すると、中央取付ナット520を締め付ける回転力は、方向640の垂直力に変換され、大きなカプラーボール532、ひいてはカプラーロッド534および付随する手術機器ホルダーは、取付ナット520が再び緩められるまで、固定位置で移動不能に保持される。中央取付ナット520の上側噛み合いフィーチャ636とボールカップ630の噛み合いフィーチャ632が連結し噛み合う機能は、手術機器ホルダー、ひいては取り付けられる手術具または手術機器の部分を、位置を合わせし、その位置を維持するのに役立つ。手術具および手術機器の一定かつ一貫した位置を維持することは、ここで述べた取り付けフィーチャを用いることによって改善される。完全に締め付けられた状態の連結フィーチャは、図8にも示されている。本明細書に示される噛み合いフィーチャ632、636は特定の形状および間隔を有するが、代替の実施形態では、当業者に知られている他の可能な形状および間隔を用いることができる。
【0046】
図10は、図7の手術機器ホルダー用ドックが2つ、手術台に取り付けられた状態を示す斜視図である。これら手術機器ホルダー用ドックには、様々なアダプターおよび機器が取り付けられる。図示の手術セット642には、外科的処置のために準備されたレール648を有する手術台644と、手術台644上の患者646が示されている。レール648には、第1の手術機器ホルダー用ドック650が配置されており、この手術機器ホルダー用ドックの第1ベース652がレール648にクランプされている。第1の手術機器ホルダー用ドック650は、第1ベース652に取り付けられた中央ドック654および付随する中央手術機器ホルダー656を有する。第1の手術機器ホルダー用ドック650はまた、第1ベース652の第1の側に取り付けられた第1サイドドック658および第1サイドの手術機器ホルダー660を有するとともに、第1ベース652の第2の側に取り付けられた第2サイドドック662および第2サイドの手術機器ホルダー664を有する。第1サイドの手術機器ホルダー660と第2サイドの手術機器ホルダー664をそれぞれ利用して、低侵襲手術または他の外科手術中に、1つまたは複数の手術機器または手術具(スコープホルダー、カニューレ、または他の外科用器具など)を位置決めし保持することができる。この図には示されていないが、手術台644の反対側のレールには、第2の手術機器ホルダー用ドック666が配置されている。この手術機器ホルダー用ドック666の第2ベース668は、反対側のレールにクランプされている。第2の手術機器ホルダー用ドック666は、第2ベース668に取り付けられた中央ドック670および付随する中央手術機器ホルダー672を有する。第2の手術機器ホルダー用ドック666はまた、第2ベース668の第1の側に取り付けられた第1サイドドック674および第1サイドの手術機器ホルダー676を有するとともに、第2ベース668の第2の側に取り付けられた第2サイドドック678および第2サイドの手術機器ホルダー680を有する。第1サイドの手術機器ホルダー676と第2サイドの手術機器ホルダー680をそれぞれ利用して、低侵襲手術または他の外科手術中に、1つまたは複数の手術機器または手術具(スコープホルダー、カニューレ、または他の外科用器具など)を位置決めし保持することができる。この構成では、中央手術機器ホルダー656および中央手術機器ホルダー672は、手術台644上の患者646に対して中央位置に手術機器682をしっかりと配置するために、第1のサイドドッキングアーム64を越えて繋ぐように示されている。これは示されている1つの構成であるが、ここに示された単一または複数の手術機器ホルダー用ドックの適用性と汎用性は、手術機器と手術機器ホルダーに多くの可変で再配置可能な構成を提供し、手術機器のより効率的で一貫した保持と位置決めを提供するための多数のアプローチを提供し、さまざまな低侵襲外科手術を実行する際に外科医および外科チームを支援する。
【0047】
上述したように、手術機器ホルダーの様々な利点を論じた。本明細書で論じられる実施形態は、本明細書の例として記述されている。前述の詳細な開示は、例としてのみ提示されることを意図しており、限定するものではないことは、当業者には明らかであろう。本明細書に明示的に記載されていないが、様々な変更、改善、および修正を当業者は意図するであろう。一例として、論じてきたエンドエフェクタはしばしばスコープの使用に焦点を合わせていたが、このシステムは他のタイプの手術器具を位置決めするために用いることができる。本明細書で明示的に述べられていないが、様々な変更、改善、および修正が当業者に意図されるであろう。これらの変更、改善、および修正は、ここに示唆されることを意図しており、クレームされた発明の精神および範囲内にある。図面は必ずしも縮尺通りではない。さらに、要素の処理またはシーケンスの記載された順序、または数字、文字、または他の指定は、したがって、特許請求の範囲で指定されている場合を除き、請求項を任意の順序に限定することを意図しない。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲およびその均等物よってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】