(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】持続的接合及びパターニングの材料
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20221003BHJP
C09J 201/06 20060101ALI20221003BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20221003BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
C09J201/06
H01L21/52 B
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506623
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 US2020044634
(87)【国際公開番号】W WO2021026035
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500499508
【氏名又は名称】ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】セジョブサリ, レイハニ
(72)【発明者】
【氏名】フレイム, トニー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シャオ
【テーマコード(参考)】
4J040
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
4J040DK021
4J040GA02
4J040JA02
4J040JB07
4J040LA06
4J040MA05
4J040NA20
5F044LL13
5F044MM01
5F044MM06
5F044MM21
5F044MM48
5F044NN01
5F047AA17
5F047AB01
5F047BA21
5F047CA00
(57)【要約】
マイクロ電子基板を被覆し得るか、又は他の構造的用途又は光学的用途に使用され得る持続性材料を調製するための方法が開示される。当該材料は、少なくとも約300℃まで熱的に安定であり、光プロセス又は熱プロセスを用いて硬化可能であり、良好な耐薬品性(金属不動態化の最中を含む)を示し、最終デバイスにおいて、少なくとも約5年、好ましくは少なくとも約10年の寿命を有する。有利には、この材料は室温でも接合され得る。当該材料は、接合後の移動又ははみ出しがなく、様々な種類の基板に接着する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子構造体を形成する方法であって、前記方法は、
裏面及び表面を有する基板を提供することと、
前記表面に組成物を塗布して接合層を形成することと、
前記接合層にダイを取り付けることと
を含み、
前記組成物は、
(I)組成物であって、前記組成物の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤を含み、かつ下記構造:
【化1】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物を含む、組成物、又は
(II)色素と、下記構造:
【化2】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物とを含む、組成物
から選択される、方法。
【請求項2】
前記組成物が組成物Iであり、前記組成物Iは、溶媒系に分散又は溶解した前記化合物から本質的になる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が組成物IIであり、前記組成物IIは、溶媒系に分散又は溶解した前記化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が組成物IIであり、前記組成物IIは、溶媒系に分散又は溶解した開始剤及び前記化合物をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の方法であって、各Xが、
【化3】
及び
(式中、YはC
1~約C
45である)から独立して選択される、方法。
【請求項6】
前記化合物が、
【化4】
である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
マイクロ電子構造体を形成する方法であって、前記方法は、
裏面及び表面を有する基板であって、前記表面上に1つ又は複数の中間層を任意選択で含む、基板を提供することと、
前記表面又は存在する場合には前記1つ又は複数の中間層に、下記構造:
【化5】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択される、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物を含む組成物を塗布して、接合層を形成することと、
下記(A)又は(B):
(A)前記接合層上にフォトレジスト層を形成すること、
前記フォトレジスト層にパターンを形成すること、及び
前記パターンを前記接合層に転写して、パターン化接合層を形成すること、又は
(B)前記接合層の少なくとも一部を除去するように、前記接合層をレーザエネルギーに曝露すること
の一方又は両方を行うことによってパターン化接合層を形成することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記パターン化接合層の上又は中にダイを配置することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、前記組成物の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が色素をさらに含む、請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、溶媒系に分散又は溶解した前記化合物を含む、請求項7又は8のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、溶媒系に分散又は溶解した前記化合物から本質的になる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が開始剤をさらに含む、請求項7、8、10、又は11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項7から13のいずれかに記載の方法であって、各Xが、
【化6】
及び
(式中、YはC
1~約C
45である)から独立して選択される、方法。
【請求項15】
前記化合物が、
【化7】
である、請求項7から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
仮接合方法であって、
スタックを提供することであって、前記スタックは、
裏面及び表面を有する第1の基板であって、前記表面上に1つ又は複数の中間層を任意選択で含む、第1の基板と、
前記表面上、又は存在する場合には前記1つ又は複数の中間層上の接合層であって、前記接合層は、色素、及び下記構造:
【化8】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物を含む組成物から形成されている接合層と、
第1の面を有する第2の基板であって、前記接合層が前記第1の面上にある、第2の基板と
を含む、スタックを提供すること、及び
前記第1の基板及び前記第2の基板の分離を容易にするために、前記接合層をレーザエネルギーに曝露すること
を含む、仮接合方法。
【請求項17】
前記組成物が、前記組成物の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、溶媒系に分散又は溶解した前記化合物及び色素から本質的になる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が開始剤をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項16から19のいずれかに記載の方法であって、各Xが、
【化9】
及び
(式中、YはC
1~約C
45である)から独立して選択される、方法。
【請求項21】
前記化合物が、
【化10】
である、請求項16から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
溶媒系に分散又は溶解した化合物を含む組成物であって、前記化合物は、下記構造:
【化11】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含み、前記組成物は、以下:
(a)色素、又は
(b)前記組成物の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤
の一方又は両方をさらに含む、組成物。
【請求項23】
前記組成物が(b)を含むが(a)を含まず、前記組成物が前記溶媒系に溶解又は分散した前記化合物から本質的になる、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が(a)を含み、前記組成物が、前記溶媒系に溶解又は分散した前記色素及び前記化合物から本質的になる、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が(a)を含むが(b)を含まず、前記組成物が、前記組成物の総重量を100重量%として、少なくとも約0.1重量%の開始剤をさらに含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
請求項22から25のいずれかに記載の組成物であって、各Xが、
【化12】
及び
(式中、YはC
1~約C
45である)から独立して選択される、組成物。
【請求項27】
前記化合物が、
【化13】
である、請求項22から26のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
マイクロ電子構造体であって、
裏面及び表面を有する基板と、
前記表面上の接合層と
を含み、前記接合層は、
(I)接合層であって、前記接合層の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤、及び
【化14】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)の架橋部分を含む接合層、又は、
(II)色素、及び
【化15】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)の架橋部分を含む接合層
から選択される、マイクロ電子構造体。
【請求項29】
前記接合層に取り付けられたダイをさらに含む、請求項28に記載の構造体。
【請求項30】
第1の面を有する第2の基板をさらに含み、前記接合層が前記第1の面に取り付けられている、請求項28に記載の構造体。
【請求項31】
前記接合層上にフォトレジスト層をさらに含む、請求項28に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年8月2日に出願され、「PERMANENT BONDING AND PATTERNING MATERIAL」という名称の米国仮特許出願第62/881,970号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体基板の接合又は被覆に有用な持続性材料に関する。
【背景技術】
【0003】
持続的に接合する接着材料は、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)イメージセンサ、3次元集積回路(Three-Dimensional Integrated Circuit:3D IC)用途、微小電気機械システム(Micro Electronic Mechanical Systems:MEMS)、並びにウェハレベル及びパネルレベルのパッケージング(それぞれ、Wafer-Level Packaging:WLP、及びPanel-Level Packaging:PLP)を含む複数の技術分野に使用することができる。
【0004】
これらの用途に現在利用可能な持続的接合材料には、長期安定性及び温度安定性(ガラス転移温度未満で)が限定的であり、かつ接合強度が低いといった限界がある。ビスフェノールA又はクレゾールから誘導されるエポキシ樹脂に関する懸念がある。多くの顧客は、アンチモン又は他の重金属を含有する材料を使用することができず、アンチモン含有の光酸発生剤を使用することができない。加えて、ビスフェノールAの使用は、健康上及び環境上の懸念のために制限される場合がある。同様に、いくつかの用途では、シリコーン含有の材料を使用することができない。これらの用途で広く使用されている接合接着剤であるベンゾシクロブテン(benzocyclobutene:「BCB」)には、接合後の高い位置合わせ精度と同時にボイドのない接着剤接合を達成するという点で課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、仮接合用途及び持続的接合用途の両方並びに光パターニング及びレーザパターニングのプロセスに適した接合組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、概して、マイクロ電子構造体を形成する方法、その方法で使用される組成物、及びその方法から得られる前記構造体に関する。
【0007】
一実施形態では、本発明は、裏面及び表面を有する基板を提供することと、前記表面に組成物を塗布して接合層を形成することと、前記接合層にダイを取り付けることとを含む方法を提供する。組成物は以下から選択される。
(I)組成物の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤を含む組成物であって、前記組成物はまた、下記構造:
【化1】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物も含む組成物、又は
(II)色素、及び下記構造:
【化2】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物を含む組成物。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、裏面及び表面を有する基板を提供することを含む方法を提供し、基板は、任意選択で、1つ又は複数の中間層を表面上に含む。組成物は、前記表面、又は存在する場合には前記1つ又は複数の中間層に塗布されて、接合層を形成する。組成物は、下記構造:
【化3】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物を含む。パターン化接合層が、(A)又は(B)の一方又は両方を行うことによって形成される。
(A)前記接合層上にフォトレジスト層を形成すること、
前記フォトレジスト層にパターンを形成すること、及び
前記パターンを前記接合層に転写して、パターン化接合層を形成すること、
又は
(B)前記接合層の少なくとも一部を除去するように前記接合層をレーザエネルギーに曝露すること。
【0009】
さらなる実施形態において、本発明は、裏面及び表面を有する第1の基板を含むスタックを提供することを含む、仮接合方法を提供する。前記基板は、任意選択で、その表面上に1つ又は複数の中間層を含む。スタックはまた、前記表面上に、又は存在する場合には前記1つ若しくは複数の中間層上に接合層と、第1の面を有する第2の基板とを含む。接合層は、第1の面上にあり、色素と、下記構造:
【化4】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む化合物とを含む組成物から形成される。接合層は、第1の基板と第2の基板との分離を容易にするために、レーザエネルギーに曝露される。
【0010】
さらなる実施形態では、本発明は、溶媒系に分散又は溶解した化合物を含む組成物を提供する。化合物は、下記構造:
【化5】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)を有する部分を含む。前記組成物は、以下:
(a)色素、又は
(b)組成物の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤
の一方又は両方をさらに含む。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、裏面及び表面を有する基板を含むマイクロ電子構造体を提供する。前記表面上に接合層があり、前記接合層は、
(I)接合層であって、その接合層の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤と、架橋部分:
【化6】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)とを含む接合層、又は
(II)色素と、架橋部分:
【化7】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは1~約20である)とを含む接合層
から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態によるダイ・アタッチ・プロセスの概略図(縮尺通りではない)である。
【
図2】パターン化フォトレジストをエッチングマスクとして使用し、ドライエッチングによって接合層をパターン化する、本発明の別の実施形態によるプロセスの概略図(縮尺通りではない)である。
【
図3】本発明の一実施形態による仮接合プロセスの概略図の断面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態によるレーザ・パターニング・プロセスを表す概略図である。
【
図5】実施例9で記載するように形成された被覆シリコンウェハ(左)及び接合ウェハ対(右)の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ダイ・アタッチ・プロセス及び他の持続的接合プロセス、パターン化層の形成、並びに/又はウェハ仮接合のための、組成物及びその組成物を使用する方法に関する。
【0014】
組成物
本発明の組成物は、溶媒系において、化合物と任意選択的成分とを混合することによって形成される。
【0015】
1.好ましい化合物
好ましい化合物は、ポリマー、オリゴマー、モノマー、又はそれらの混合物でもあり得、好ましくは、ポリエステル、アクリレート、メタクリレート、又はそれらの混合物を含む。
【0016】
1つの好ましい化合物は、構造(I):
【化8】
(式中、各Xは、置換又は非置換の脂肪族、アリール、及び複素環から独立して選択され、nは、1~約20、好ましくは1~約10、さらに好ましくは1~約5である)を有する部分を含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、及びシクロアルキルの部分を含む。好ましいアルキルは直鎖状又は分枝状であり得、C1~約C50、より好ましくはC1~約C40、さらに好ましくは約C20~約C40のアルキルである。好ましいアルケニルもまた、直鎖状又は分枝状であり得、C2~約C50、より好ましくはC2~約C40、さらに好ましくは約C20~約C40のアルケニルである。好ましいシクロアルキルは、C5~約C20、より好ましくはC5~約C12のシクロアルキルである。
【0018】
「アリール」は、好ましくはC6~約C26、より好ましくはC6~約C20、さらに好ましくはC6~約C14のアリールを指す。
【0019】
「複素環」は、環構造の一部として1つ又は複数のヘテロ原子(例えば、N、O、S)を含む環含有基を指し、ヘテロアリール部分がこの定義に含まれる。好ましい複素環は、C3~約C26、より好ましくはC3~約C20である。
【0020】
前述の脂肪族、アリール、又は複素環のいずれかに関して、「置換の」とは、主鎖又は環の一部である1つ又は複数の原子が、置換原子又は置換基、例えば、アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、スルホニル、ヒドロキシなどのうちの1つ又は複数を有する前述の部分のいずれかを指す。
【0021】
上記の構造(I)の特に好ましいX基は、以下:
【化9】
及び
(式中、YはC
1~約C
45、好ましくはC
1~約C
30、より好ましくはC
1~C
10である)の1つ又は複数から独立して選択される。一実施形態では、Yは、C
36であり、好ましくは異性体のC
36分岐状炭化水素部分とC
36環状炭化水素部分との混合物を含む。別の実施形態では、Yは、前述の炭素原子範囲を有するアルキル又はアルケニルである。
【0022】
特に好ましい実施形態では、化合物は上記の構造(I)を含み、構造(I)と結合した以下の構造:
【化10】
及び/又は
の少なくとも1つをさらに含む。
【0023】
特に好ましい実施形態では、構造(I)は、上記の構造(II)、及び構造(III)~(VI)のうちの1つと結合している。最も好ましい実施形態では、化合物は、下記構造:
【化11】
を有し、これは、構造(II)及び構造(III)と結合した構造(I)である。このポリマーは、Designer Molecules(カリフォルニア州サンディエゴ)からPEAM-645の名称で市販されている。本明細書の開示による他のポリマーは商業的に購入することができ、又は公知の有機化学技術(例えばエステル交換)を用いて調製することができる。
【0024】
選択された化合物がいずれであっても、当該化合物(1つ又は複数)は、好ましくは、組成物の総重量を100重量%として、約40重量%~約80重量%、より好ましくは約50重量%~約70重量%の濃度で本発明の組成物中に存在する。
【0025】
2.溶媒
適切な溶媒系としては、単一溶媒又は溶媒混合物が挙げられる。例示的な溶媒としては、以下に限定されるものではないが、乳酸エチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methyl ether acetate:PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(propylene glycol methyl ether:PGME)、メシチレン、及びそれらの混合物が挙げられる。溶媒系は、組成物の総重量を100重量%として、約20重量%~約60重量%、好ましくは約30重量%~約50重量%で材料中に存在し、これらの割合の残りの部分は組成物中の固体によって占められる。組成物に添加される1つ又は複数の溶媒の量は、利用される被着方法に応じて異なり得ることが理解されよう。
【0026】
3.添加剤
任意選択で、添加剤が組成物に含まれてもよい。可能性がある添加剤の例としては、以下に限定されるものではないが、架橋剤、開始剤、界面活性剤、湿潤剤、接着促進剤、色素、着色剤及び顔料、並びに/又は他のポリマー及び樹脂が挙げられる。これらの添加剤は、最終組成物の所望の特性及びその使用に応じて選択される。
【0027】
レーザアブレーションなどの用途に適した光学特性とするために、材料に色素を添加してもよい。使用される場合、適切な色素としては、以下に限定されるものではないが、ビス(ベンジリデンマロノニトリル)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル-4-メトキシベンジリデンピルビン酸、及びそれらの混合物が挙げられる。色素が含まれる場合、色素は、組成物の総重量を100重量%として、約3重量%~約30重量%、好ましくは約5重量%~約10重量%で材料中に存在する。色素は、組成物に混合することができ、又は化合物に付着させることができる。
【0028】
適切な開始剤としては、以下に限定されるものではないが、9,10-フェナントレンキノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(CibaによってDAROCUR(登録商標)1173の名称で販売されている)、ジクミルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及びそれらの混合物が挙げられる。光開始剤が使用される場合、光開始剤は、組成物の総重量を100重量%として、少なくとも約0.1重量%、好ましくは約0.1重量%~約2重量%、より好ましくは約0.3重量%~約1重量%の濃度で材料中に存在する。
【0029】
適切な界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、MEGAFACE R-30N(DIC株式会社)及びF-556(DIC株式会社)などの非イオン性フッ素化界面活性剤、及びそれらの混合物が挙げられる。界面活性剤は、使用される場合、組成物の総重量を100重量%として、約0.01重量%~約0.5重量%、好ましくは約0.01重量%~約0.2重量%で材料中に存在する。
【0030】
適切な接着促進剤としては、以下に限定されるものではないが、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ピロメリット酸ジメタクリレート、ピロメリット酸二無水物グリセロールジメタクリレート、4-メタクリロキシエチルトリメリット酸、及びそれらの混合物が挙げられる。接着促進剤は、使用される場合、組成物の総重量を100重量%として、約0.01重量%~約1重量%、好ましくは約0.05重量%~約0.5重量%で組成物中に存在する。
【0031】
組成物は、化合物及び任意の添加剤を溶媒系に単に分散又は溶解することによって作製される。組成物は1つ又は複数の添加剤を含むことができるが、一実施形態では、組成物は、組成物の総重量を100重量%として、約0.001重量%未満の開始剤、好ましくは約0重量%の開始剤を含む。別の実施形態では、組成物は、開始剤を用いて、又は開始剤をほとんど若しくは全く用いずに(すなわち、約0.001重量%未満又は約0重量%の開始剤)、溶媒系に溶解又は分散した化合物及び少なくとも色素を含む。
【0032】
別の実施形態では、組成物は、溶媒系に分散又は溶解した化合物から本質的になるか、又は溶媒系に分散又は溶解した化合物からまさになる。さらなる実施形態では、組成物は、溶媒系に分散又は溶解した化合物及び色素から本質的になるか、又は溶媒系に分散又は溶解した化合物及び色素からまさになる。さらに別の実施形態では、組成物は、溶媒系に分散又は溶解した化合物、開始剤、及び色素から本質的になるか、又は溶媒系に分散又は溶解した化合物、開始剤、及び色素からまさになる。
【0033】
実施形態にかかわらず、得られた組成物は室温で安定であり、マイクロ電子基板を容易に被覆することができる。本明細書で使用される場合、「安定である」とは、組成物が、少なくとも約180日、好ましくは約360日~約720日の間、溶液からの固体の沈殿又は分離が約0.1%未満で保存できることを意味する。
【0034】
使用方法
有利には、開示される組成物は、特定の構造体又はデバイスにおける持続的な層又は構成要素などとして、マイクロ電子構造体、光学用途、及び構造用途における使用に適している。
【0035】
組成物を使用する方法には、組成物を基板に塗布して、基板上に組成物の層を形成することが含まれる。基板は、任意のマイクロ電子基板とすることができる。基板がデバイス基板である実施形態では、利用される基板は、好ましくはトポグラフィ(例えば、コンタクトホール、ビアホール、隆起特徴部、及びトレンチ)を含む。このトポグラフィは、基板表面上に直接含めることができ、又は基板表面上に形成された他の材料の1つ又は複数の層に含めることができる。好ましい基板には、フロントエンド用途及びバックエンド用途で一般的に使用されるものが含まれる。基板がキャリア基板である場合、利用される基板はトポグラフィを含まない。特に好ましい基板は、シリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、シリコンゲルマニウム、ガラス、銅、クロム、亜鉛、酸化ケイ素、窒化ケイ素(SiN)、及びそれらの組合せから選択される。
【0036】
組成物は、スピンコーティング、スロット・ダイ・コーティング、インクジェット印刷、及び溶媒ベースの被覆配合物の塗布に対応する他の方法によって、基板上を被覆することができる。これらの技術は、例えば、溶液を主溶媒で希釈し、かつ/又はポリマー沈殿を引き起こさない共溶媒を添加することによって、欠陥のない所望の被膜厚さ及び均一性を得るために、溶液中のポリマー固体濃度の調整を必要とし得る。好ましい塗布方法は、速度が約800rpm~約2,500rpm、より好ましくは約1,000rpm~約1,500rpm、時間が約20秒~約60秒、好ましくは約30秒~約40秒のスピンコーティングである。
【0037】
基板への塗布後、組成物を溶媒焼成して、いかなる残留溶媒も蒸発させる。溶媒焼成温度は、約60℃~約150℃、好ましくは約60℃~約120℃とする。この加熱工程は、好ましくは約1秒~約6分、より好ましくは約60秒~約4分の時間で実施される。溶媒焼成は、2つ以上の工程で行われてもよく、すなわち、最初により低い温度で焼成、続いてより高い温度で第2の焼成が行われてもよいことが理解されよう。
【0038】
溶媒焼成及び任意の中間工程の後、開始剤が含まれていたかどうか、含まれていた場合には、それが熱開始剤であったか光開始剤であったかどうかに応じて、熱プロセス又は光プロセスのいずれかによって組成物を硬化させることが好ましい。開始剤が含まれない場合、組成物の層は、約140℃~約250℃、より好ましくは約180℃~約220℃に、通常、約5分~約60分、好ましくは約10分~約30分加熱されるべきである。熱硬化(すなわち、熱開始剤が組成物中に含まれる)の場合、組成物は、その架橋温度より高い、好ましくは約180℃~約250℃、より好ましくは約200℃~約250℃に、約10分~約60分、好ましくは約10分~約30分の時間で加熱されるべきである。光硬化(すなわち光開始剤が組成物中に含まれる)の場合、組成物は、UV放射線又は可視放射線などの放射線への露光によって硬化され得る。露光波長は化学的性質に基づいて変わるが、約60秒~約15分、好ましくは約60秒~約5分の時間で、好ましくは約200nm~約500nm、より好ましくは約300nm~約400nmである。線量は化学的性質に基づいて変わるが、好ましくは約3mJ/cm2~約50mJ/cm2、より好ましくは約10mJ/cm2~約30mJ/cm2である。
【0039】
被膜は、厚さ(エリプソメータによって5箇所にわたって測定された平均測定値)が、好ましくは約1μmと約20μmの間、より好ましくは約3μm~約10μmである。有利には、被膜厚が約5μmで硬化応力が比較的低く、これにより基板の湾曲が防がれ、したがって後被覆プロセスでのウェハ/基板処理が可能になる。
【0040】
加えて、材料はUV放射線に反応して架橋する特性を有しており、これにより、材料を熱可塑性処理によって形などに成形、形成し、次いでUV露光によって硬化させることにより、使用時に基板に接着することができる自立型のフィルム又は積層体を形成することが可能である。あるいは、フィルム内の領域は、パターン化露光によって選択的に硬化し、例えば、より硬く、又はより熱的に安定した領域を生成することができる。架橋が経時的に起こり得るか、又は熱硬化又は光硬化によって起こるかにかかわらず、上記の化合物の間で架橋が形成され、材料は本来の熱可塑性から熱硬化性になる。具体的には、ポリマー中のアクリレート基及び/又はメタクリレート基がラジカル重合により架橋して、架橋ポリマー構造を形成する。
【0041】
有利には、これらの材料を、様々な半導体パッケージングプロセスに使用してもよい。プロセスに応じて、硬化前に、材料の初期被覆と溶媒焼成との間に中間工程を行ってもよい。上記の条件と併せて(特に明記しない限り)これらの材料を利用する、例示的なプロセスフローを以下に記載する。
【0042】
1.ダイ・アタッチ・プロセス
図1を参照すると、基板10が提供されており、基板10は表面12及び裏面14を有する。基板10は、上記の基板のいずれかであり得る。上記の組成物の層16を、上記のように表面12に塗布し溶媒焼成する。層16は上面18及び下面20を有し、その下面20は基板10の表面12と接触している。次に、層16の上面18にダイ22を取り付け、組成物を硬化させる。開始剤が利用されるかどうか、利用される場合には開始剤の種類に応じて、硬化は経時的に生じるか、又は熱硬化若しくは光硬化によって行われ得る。いずれにせよ、ここでダイ22は持続的接合層16に取り付けられる。次に、裏面14の方向から基板10を通してビア24を穿孔(例えばレーザ穿孔によって)することができる。次いで、従来のメタライゼーションプロセスに従って、金属層26をビア24内及び裏面14に被着し、特定の用途及びエンドユーザの目的に応じて、次いでさらなる処理工程(例えば、不動態化、パターニング、再配線層(redistribution layer:「RDL」)形成、シンギュレーション、電気めっき、プラズマエッチング、洗浄、化学気相成長、物理気相成長、及びこれらの組合せ)を実施することができる。
【0043】
2.光パターニングプロセス
図2を参照すると、基板28が提供されており、基板28は表面30及び裏面32を有する。基板28は上記の基板のいずれかであり得る。上記の組成物の層34を、上記のように表面30に塗布し溶媒焼成する。層34は上面36及び下面38を有し、その下面38は基板28の表面30と接触している。溶媒焼成後、上記のように層34は硬化されるか、又は硬化し得る。
【0044】
次に、下面42及び上面44を有する感光層40を形成するように、下面42が層34(すなわち、本明細書に記載の本発明の実施形態による組成物から形成された層の)の上面36と接触する状態で、従来のフォトレジスト組成物を層34の上面36に塗布する(従来のプロセスに従って)。製造業者の使用説明書に従って、フォトレジスト層40を乾燥又は焼成する。次いで、所望のパターンを有するマスク(図示せず)を介して、フォトレジスト層40をUV光に露光する。当業者は、フォトレジストがポジ型作用であるかネガ型作用であるかを考慮するなど、パターン形成の方法を判断するであろう。加えて、露光波長、線量などは、フォトレジストの化学的性質及び/又は製造業者の推奨に基づいて、当業者によって決定することができる。露光及び任意の露光後焼成の後、パターン化フォトレジスト層40’を形成するように、水性現像剤を使用してフォトレジスト層40を現像する。パターン化フォトレジスト層40’は、現像後に残存する部分46、並びに現像中に除去された「空隙」48を有する。部分46及び空隙48は協働してパターン化フォトレジスト層40’を形成し、これは、ここで本発明の層34をドライエッチング(例えばCF4エッチャントを使用)するためのエッチングマスクとして使用することができる。パターン化フォトレジスト層40’から本発明の層34にパターンを転写することによって、パターン化フォトレジスト層40’の残存部分及び空隙に対応する残存部分36’及び「空隙」48’を有するパターン化層34’を形成する。ここで、パターン化された持続的接合材料を使用して、次の処理工程を行うことができる。例えば、1つ又は複数のダイ(図示せず)をパターン化層34’に取り付けることができる。この場合、空隙48’は、1つ又は複数のダイ又は他の構造体を固定する箇所のテンプレートとして使用することができる。この段階で実施することができる他の処理としては、ダイカプセル化、気密封止、及び/又はハイブリッド接合が挙げられる。
【0045】
3.接合プロセス
図3(A)(縮尺通りではない)を参照すると、前駆構造体50が概略断面図で表されている。構造体50は、第1の基板52を含む。基板52は、表面又はデバイス面54及び裏面56を有する。好ましい第1の基板52はデバイスウェハを含み、デバイスウェハは、例えば、そのデバイス面が、集積回路、MEMS、マイクロセンサ、パワー半導体、発光ダイオード、フォトニック回路、インターポーザ、埋め込み受動デバイス、並びにシリコン、並びにシリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、リン化アルミニウムインジウム、及びリン化インジウムガリウムなどの他の半導体材料上で又はそれらから製造される他のマイクロデバイスからなる群から選択されるデバイスのアレイ(図示せず)を含む。これらのデバイスの面は、一般的に、以下の材料、すなわちシリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、(酸)窒化シリコン、金属(例えば、銅、アルミニウム、金、タングステン、タンタル)、low-k誘電体、ポリマー誘電体、並びに様々な金属の窒化物及びケイ化物のうちの1つ又は複数から形成された構造体(この場合も図示せず)を含む。デバイス面54はまた、以下からなる群から選択される少なくとも1つの構造体を含むことができ、その群とは、はんだバンプ;金属ポスト;金属ピラー;並びにシリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、(酸)窒化シリコン、金属、low-k誘電体、ポリマー誘電体、金属窒化物、及び金属ケイ化物からなる群から選択される材料から形成された構造体である。
【0046】
本発明による組成物は、
図3(a)に示すように、第1の基板52に塗布されて(先に記載した工程に続いて)、デバイス面54に接合層58を形成する。接合層58は、第1の基板52から離れた上面60を有する。接合層50は、デバイス面54に直接形成することができ(すなわち、接合層58と基板52との間にいかなる中間層もない)、又は、最初にデバイス面54に1つ又は複数の中間層(図示していないが、例えば、ハードマスク層、スピンオンカーボン層、誘電体層、剥離層など)を形成し、次いで、接合層58を最上部の中間層上に直接形成することができる。いずれにせよ、先に記載の工程に従って、接合層58が塗布され溶媒焼成される。
【0047】
第2の前駆構造体62もまた、
図3(a)に概略断面図で表されている。第2の前駆構造体62は、第2の基板64を有する。この実施形態では、第2の基板64はキャリアウェハであり、表面又はキャリア面66及び裏面68を有する。第2の基板64は任意の形状とすることができるが、通常、第1の基板52と同様の形状及びサイズとされる。好ましい第2の基板64としては、クリアウェハ、又はレーザエネルギーがキャリア基板を通過することを可能にする任意の他の透明(レーザエネルギーに対して)基板、例えば、以下に限定されるものではないが、ガラス、Corning Gorillaガラス、及びサファイアが挙げられる。特に好ましい1つのガラスのキャリアウェハとしては、Corning EAGLE XGガラスウェハがある。
【0048】
上記の溶媒焼成の後、接合スタック70(
図3(B))を形成するように、2つの基板52及び基板64を、任意の追加的中間層と共に2つの基板間の持続的接合材料(すなわち本明細書に記載の組成物)で、圧力下において対面構成で互いに接合する。好ましい接合圧力は、約100N~約5,000N、より好ましくは約1,000N~約3,000Nである。好ましい接合時間は、約30秒~約5分、より好ましくは約30秒~約2分である。好ましい接合温度は、約20℃~約120℃、より好ましくは約30℃~約70℃である。一実施形態において、接合は、好ましくは室温で実施される。
【0049】
接合層58は、様々な種類の基板に接着し、接合後の移動又は「はみ出し」がない。これにより、第1の基板52を安全に取り扱うことができ、第2の基板64に接合されていなければ第1の基板52を損傷させる可能性があるさらなる処理に供することができる。例えば、構造体は、基板52及び基板64の分離を生じることなく、かつこれらの次の処理工程中に遭遇するいかなる化学物質の浸透もなく、裏面研削、化学機械研磨(chemical-mechanical polishing:「CMP」、エッチング、金属被着(すなわちメタライゼーション)、誘電体被着、パターニング(例えば、フォトリソグラフィ、ビアエッチング)、不動態化、アニーリング、及びそれらの組合せなどの裏面処理に供することができる。一実施形態では、接合スタック70は、次の処理工程の間及び後に持続的に接合されたままであり得る。
【0050】
別の実施形態では、処理が完了すると、基板52及び基板64を、レーザを使用することによって分離して、接合層58の全て又は一部を分解又は切除することができる。これは、接合層58を形成するために使用される組成物が色素を含んだ実施形態において特に有用である。適切なレーザ波長としては、約200nm~約400nm、好ましくは約300nm~約360nmが挙げられる。接合層58を剥離するために、ウェハ全体を露光するためのスタンドアンドリピート方式又はライン走査方式で、基板64の面全体をレーザで走査する。例示的なレーザ剥離ツールとしては、SUSS MicroTec Lambda STEEL 2000レーザ剥離機及びKingyoupレーザ剥離機が挙げられる。基板64は、好ましくは、約40×40μm~約12.5×4mmの照射野面積を有するレーザスポットによって走査される。基板52、基板64を剥離するのに適したフルエンスは、約100mJ/cm2~約400mJ/cm2、好ましくは約150mJ/cm2~約350mJ/cm2である。基板52、基板64を剥離するのに適した電力は、約0.5W~約6W、好ましくは約1W~約2Wである。レーザ露光後、基板52及び基板64は容易に分離する。分離後、プラズマエッチング又は接合層58を溶解することができる溶媒で、残存するいかなる接合層58も除去することができる。
【0051】
あるいは、接合層58を機械的に破壊、切断、及び/又は溶解することによって剥離することができる。
【0052】
上記の実施形態では、接合層58は、デバイスウェハである第1の基板52に接して示されている。この基板/層の構成は逆にすることができることが理解されよう。すなわち、第2の基板64(キャリアウェハ)に接して接合層58を形成することができる。この実施形態には、上に記載したものと同じ組成物及び処理条件が適用される。
【0053】
4.レーザ・パターニング・プロセス
図4(A)~
図4(D)は、本明細書に記載の組成物を塗布し、続いてレーザ・パターニング・プロセスで形成された層を使用することによって構造体が形成される、本発明のさらなる実施形態を概略的に示す。レーザ・パターニング・プロセスは、接合層58を形成するために使用される組成物が色素を含む実施形態において特に有用である。
【0054】
このプロセスでは、面74を有する基板72が提供される。先に記載したマイクロ電子基板を含み、任意のマイクロ電子基板を本発明で使用することができる。組成物を塗布して絶縁誘電体層として機能する層76を形成する方法は、先に記載した一般的な方法による。先の実施形態と同様に、基板72は平面を有することができ、又はトポグラフィ特徴部を含むことができる。層76はまた、先の実施形態で説明したように、硬化され得るか、又は硬化させられ得る。
【0055】
最終層76は、上面78及び下面80を有する。前述のことは、基板の面74と直接接触している層76の下面80について表しているが、本発明の層76を形成する前に、任意の数の任意選択的な中間層82を基板の面74に形成してもよいことが理解されよう。これらの中間層82は、接着促進層、金属層、又はその両方を含む。これらの任意選択的な層82は、従来のプロセスに従って形成され、層76は、層76の下面80が最上部の中間層82と接触するように、上記のプロセスに従って、利用される最後/最上部の中間層82の上に形成される。この実施形態を
図4(B)に表す。
【0056】
中間層(1つ又は複数)82が含まれるかどうかにかかわらず、次いで、好ましくはエキシマレーザを使用して層76をレーザエネルギーに曝露し、レーザアブレーションにより層76をパターン化する。レーザ光84は、短パルスで材料形成層76に照射される。レーザは、より小さなレーザ光が切除される領域(
図4(C))においてのみラスター化される「直接書き込み」方式で使用されてもよく、又はレーザは、金属マスク(図示せず)を介して、レーザがそのマスクを通過することができる領域のみを切除するように照射されてもよい。レーザエネルギーは層76の材料によって吸収され、様々な光化学的効果及び熱的効果の結果、層76の一部が除去されて第1の開口部86(
図4(C))が形成される。次いで、除去が望まれる層76の他の領域にレーザを向けることができ、さらにアブレーションを実施して(
図4(D))、さらなる開口部86(1つ又は複数)を形成することができる(
図4(E))。
【0057】
エキシマレーザ波長は、好ましくは約200nm~450nm、より好ましくは約250nm~400nm、さらに好ましくは約300nm~400nmである。パルス周波数は、約4,000Hz未満、好ましくは約100Hz~約3,500Hz、より好ましくは約1,000Hz~約3,000Hz、さらに好ましくは約2,000Hz~約3,000Hzである。パルス長は、使用されるパルスレーザの種類によって、約1μs~約100psとすることができる。除去される材料の量は、材料、レーザ波長、パルス周波数、及びパルス長による。
【0058】
この選択的除去により、材料が除去されたライン間のスペースを有する層76の材料のライン、又は層76の材料のビア(穴)内のラインなどの特徴部を生成することができ、レーザアブレーションによって任意のパターンを形成することができることが理解されよう。レーザアブレーションを用いてライン及びスペースを形成する場合、ライン及びスペースの幅は、好ましくは約200ミクロン未満、より好ましくは約1ミクロン~約70ミクロン、さらに好ましくは約20ミクロン~約60ミクロンである。レーザアブレーションを用いてビアを形成する場合、形成されるビアの直径は、好ましくは約700ミクロン未満、より好ましくは約1ミクロン~約500ミクロン、さらに好ましくは約10ミクロン~約300ミクロンである。有利には、特徴部の側壁は、基板の面に対して実質的に垂直であってもよく、すなわち、特徴部の側壁は、基板72の面74(又は存在する任意の中間層82の最上部の面の)に対して好ましくは約70°~約110°の角度、より好ましくは基板72の面74に対して約90°の角度を成す。
【0059】
層特性
実施形態にかかわらず、本明細書に記載の組成物によって形成された硬化層は、優れた熱特性及び接着特性を有する。材料は、ガラス転移温度(Tg)が好ましくは約30℃~約200℃、より好ましくは約150℃~約200℃である。当該層はまた、好ましくは高い熱安定性を有し、分解温度(Td)が、少なくとも約300℃、より好ましくは少なくとも約330℃、さらに好ましくは少なくとも約390℃である。さらに、これらの材料は、好ましくは、膨張係数(coefficient of thermal expansion:CTE)が約45ppm/℃~約120ppm/℃である。
【0060】
硬化層は、引張伸びが好ましくは少なくとも約4%、より好ましくは約50%であり、また低い吸湿性を示す。当該層は、銅、クロム、亜鉛、アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素(SiN)などの材料に良好に接着することができ、ASTM D4541-17によって測定した場合の接着性が、少なくとも約10psi、好ましくは少なくとも約30psi、さらに好ましくは少なくとも約40psiである。
【0061】
当該硬化材料はまた、誘電材料として機能することもできる。そのような場合、硬化材料は、誘電率が少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも約2.7であり、誘電損失が約0.002~約0.01、好ましくは約0.002~約0.008である。上記のようにレーザアブレーション用途で使用される場合、硬化層は、k値が好ましくは少なくとも約0.1、より好ましくは少なくとも約0.15である。当該硬化材料はまた、良好な耐薬品性を示し(金属不動態化の最中を含む)、良好な耐薬品性は、目的の化学物質(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethyl ammonium hydroxide:TMAH)、PGME、PGMEA、乳酸エチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)中の材料を約室温~約90℃の温度で約10分~約30分の時間浸漬することによって試験される。硬化材料が目視検査で化学腐食の兆候を示さず、厚さの損失がほとんど又は全くない、すなわち、好ましくは厚さの損失が10%未満、より好ましくは厚さの損失が約5%未満である場合、耐薬品性が良好であることが示される。当該硬化材料は、最終デバイスにおいて、寿命が好ましくは少なくとも5年、より好ましくは少なくとも10年である。
【0062】
本発明の様々な実施形態のさらなる利点は、本明細書の開示及び下記の実施例を検討すれば、当業者には明らかであろう。本明細書に記載の様々な実施形態は、本明細書に特に指示がない限り、必ずしも相互に排他的ではないことが理解されよう。例えば、一実施形態で記載又は図示された特徴は、他の実施形態にも含まれてもよいが、必ずしも含まれなくてもよい。このように、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態の様々な組合せ及び/又は統合を包含する。
【0063】
本明細書で使用される場合、2つ以上の項目の列挙で使用される場合の「及び/又は」という語句は、列挙された項目のいずれか1つを単独で用いることができるか、又は列挙された項目の2つ以上の任意の組合せを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含有又は除外すると記載されている場合、組成物は、A単独、B単独、C単独、AとBとの組合せ、AとCとの組合せ、BとCとの組合せ、又はAとBとCとの組合せを含有又は除外することができる。
【0064】
本明細書ではまた、本発明の様々な実施形態に関する特定のパラメータを定量化するために数値範囲が使用される。数値範囲が提供される場合、そのような範囲は、前記範囲の下限値を記載するのみの特許請求の範囲の限定並びに前記範囲の上限値を記載するのみの特許請求の範囲の限定について、文字上の裏付けを提供すると解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、開示された数値範囲、約10~約100は、「約10より大きい」(上限なし)と記載している請求項及び「約100未満」(下限なし)と記載している請求項について、文字上の裏付けを提供する。
【実施例】
【0065】
以下の実施例により、本発明による方法について述べる。しかし、これらの実施例は例示として提供されており、その中のいかなるものも本発明の全体的な範囲に対する限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0066】
[実施例1]
接合材料1
80グラムのPEAM-645(Designer Molecules、カリフォルニア州サンディエゴ)及び20グラムのPGME(FUJIFILM Ultra Pure Solutions,Inc.、テキサス州キャロルトン)をプラスチックボトルに添加した後、撹拌ホイール上で混合することによって接合組成物を調製した。その溶液を、0.1μmエンド・ポイント・フィルタ(Meissner、カリフォルニア州カマリロ)で、プラスチックボトル内へ濾過した。
【0067】
[実施例2]
接合材料1A
この実施例では、3.3グラムのビス(ベンジリデンマロノニトリル)色素(Brewer Science、ミズーリ州ローラ)を、29.6グラムのシクロペンタノン(FUJIFILM Ultra Pure Solutions,Inc.、テキサス州キャロルトン)に溶解した。色素溶液を、プラスチックボトル内の65.8グラムのPEAM-645に添加した。次に、その混合物に1.3グラムのジクミルペルオキシドを添加した後、撹拌ホイール上で混合した。その溶液を0.2μmでプラスチックボトル内へ濾過した。
【0068】
[実施例3]
接合材料1B
60グラムのPEAM-645及び40グラムのPGMEをプラスチックボトルに添加し、次いで撹拌ホイール上で混合することによって接合組成物を調製した。その溶液を、0.1μmエンド・ポイント・フィルタでプラスチックボトル内へ濾過した。
【0069】
[実施例4]
接合材料1C
この調製手順では、34.3グラムのPEAM-645、22.9グラムのPGME、及び42.8グラムのPGMEA(FUJIFILM Ultra Pure Solutions,Inc.、テキサス州キャロルトン)をプラスチックボトルに添加し、次いで撹拌ホイール上で混合した。その溶液を、0.1μmフィルタでプラスチックボトル内へ濾過した。
【0070】
[実施例5]
接合材料2
この実施例では、50グラムのPEAM-645及び50グラムのトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル-4-メトキシベンジリデンピルビン酸のPGME溶液(30%、Brewer Science、ミズーリ州ローラ)を合わせ、撹拌ホイール上で混合した。その溶液を、0.2μmフィルタでプラスチックボトル内へ濾過した。
【0071】
[実施例6]
接合材料2A
21.83グラムのPEAM-645、21.83グラムのトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル-4-メトキシベンジリデンピルビン酸のPGME溶液(30%)を混合することによって接合組成物を調製し、56.34グラムのPGMEを一緒に混合し、撹拌ホイール上で混合した。その溶液を、0.2μmフィルタでプラスチックボトル内へ濾過した。
【0072】
[実施例7]
接合材料3
この実施例では、65.4グラムのPEAM-645(Designer Molecules、カリフォルニア州サンディエゴ)及び41.9グラムのメシチレン(KMG Electronic Chemicals、カリフォルニア州ホリスター)をプラスチックボトルに添加した後、撹拌ホイール上で混合した。その溶液を、0.1μmエンド・ポイント・フィルタでプラスチックボトル内へ濾過した。
【0073】
[実施例8]
接合材料4
この調製手順では、0.1グラムの9,10-フェナントレンキノン(Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を4.9グラムのシクロペンタノンに溶解した。その溶液をプラスチックボトル内の5グラムのPEAM-645に添加し、続いて撹拌ホイール上で混合した。その溶液を、0.2μmフィルタでプラスチックボトル内へ濾過した。
【0074】
[実施例9]
実施例3の材料の処理
実施例3の材料の5μm被膜を、1,500rpm/秒のランプを用いて1,000rpmで30秒間のスピンコーティングによってシリコンウェハに塗布した。次いで、そのウェハを60℃で2分間、次いで120℃で2分間焼成した。焼成後、EVGボンダを使用し、室温で2,000Nの圧力で30秒の時間、そのシリコンウェハにガラスウエハを位置合わせして接合した。次いで、当該材料を200℃で10分間焼成することによって硬化させ、ボイドのない接合ウェハ対を得た。
図5は、被覆シリコンウェハ(左)及び接合ウェハ対(右)を示す。
【0075】
[実施例10]
実施例3の材料の接着試験
実施例3で調製した材料を、携帯型引き抜き接着試験機を使用し、ASTM D4541-17に従って試験した。各試験セットから3つの破損値を平均することによって接着データを収集した。表1は、様々な基板に対する接着結果を示す。
【0076】
【国際調査報告】