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特表2022-543244ヒトスクアラミン誘導体、それを含む関連組成物、およびそれを用いた方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】ヒトスクアラミン誘導体、それを含む関連組成物、およびそれを用いた方法
(51)【国際特許分類】
   C07J 41/00 20060101AFI20221003BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 11/16 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 9/02 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
C07J41/00 CSP
A61P1/10
A61P25/28
A61P29/00
A61P25/00
A61P9/10
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/14
A61P21/00
A61P43/00 111
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/20
A61P25/08
A61P25/30
A61P11/16
A61P7/02
A61P3/06
A61P9/04
A61P9/10 103
A61P13/12
A61P7/06
A61P11/00
A61P15/10
A61P9/12
A61P9/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/575
A61K47/26
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506659
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020044392
(87)【国際公開番号】W WO2021025974
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/882,318
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/036,828
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520373280
【氏名又は名称】エンターイン、 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENTERIN, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】バーブット、 デニス
(72)【発明者】
【氏名】ザスロフ、 マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA16
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB22
4C076BB24
4C076BB25
4C076BB26
4C076BB27
4C076BB29
4C076BB30
4C076DD38
4C076DD67
4C076FF31
4C076FF33
4C076FF61
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA21
4C084MA28
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA44
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA011
4C084ZA021
4C084ZA051
4C084ZA061
4C084ZA121
4C084ZA151
4C084ZA161
4C084ZA181
4C084ZA221
4C084ZA361
4C084ZA401
4C084ZA421
4C084ZA431
4C084ZA541
4C084ZA551
4C084ZA591
4C084ZA601
4C084ZA721
4C084ZA811
4C084ZA941
4C084ZB111
4C084ZC331
4C084ZC391
4C084ZC411
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086DA11
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA21
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA44
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA22
4C086ZA36
4C086ZA40
4C086ZA42
4C086ZA43
4C086ZA54
4C086ZA55
4C086ZA60
4C086ZA72
4C086ZA81
4C086ZA94
4C086ZB11
4C086ZC20
4C086ZC33
4C086ZC39
4C086ZC41
4C086ZC75
4C091AA01
4C091BB01
4C091BB05
4C091BB06
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE02
4C091FF01
4C091GG02
4C091GG13
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA05
4C091PB04
4C091QQ01
4C091RR10
(57)【要約】
本出願は、一般に、新規のアミノステロール化合物、それを含む組成物、ならびに新規のアミノステロール化合物および組成物の製造方法および使用方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有するアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化1】
【請求項2】
以下の式を有する、請求項1に記載のアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化2】
【請求項3】
以下の式を有するアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化3】
【請求項4】
以下の式を有する、請求項3に記載のアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化4】
【請求項5】
以下の式を有するアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化5】
【請求項6】
以下の式を有する、請求項5に記載のアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化6】
【請求項7】
以下の式を有するアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化7】
ここで、
は、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、および任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
は、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【請求項8】
以下の式を有する、請求項7に記載のアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化8】
【請求項9】
以下の式を有するアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化9】
ここで、
は、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、および任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
は、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【請求項10】
以下の式を有する、請求項9に記載のアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化10】
【請求項11】
以下の式を有するアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化11】
ここで、
は、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
は、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【請求項12】
以下の式を有する、請求項11に記載のアミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体:
【化12】
【請求項13】
薬学的に許容される塩として製剤化される、請求項1~12のいずれか1項に記載のアミノステロール化合物。
【請求項14】
リン酸塩である、請求項13に記載のアミノステロール化合物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のアミノステロール化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物。
【請求項16】
以下の1つ以上を含む、請求項15に記載の組成物:
(a)水性担体;
(b)緩衝液;
(c)糖;および/または
(d)ポリオール化合物。
【請求項17】
前記組成物が、少なくとも1つの追加の活性剤をさらに含む、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が以下のように製剤化される、請求項15~17のいずれか1項に記載の組成物:
(a)経口、肺、直腸、結腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内、噴霧、吸入、眼、耳、局部、頬側、鼻、および局所投与からなる群より選択される投与のために;
(b)液体分散液、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセルからなる群より選択される剤形に;
(c)制御放出製剤、速溶性製剤、遅延放出製剤、徐放性製剤、拍動放出製剤、および混合即時放出製剤と制御放出製剤からなる群より選択される剤形に;または
(d)(a)、(b)および(c)の任意の組み合わせ。
【請求項19】
経口投与のために製剤化される、請求項15~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
経口錠剤または経口カプセルとして製剤化される、請求項15~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
鼻腔内投与のために製剤化される、請求項15~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
治療有効量の請求項15~21のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、アミノステロールによる治療を受けやすい状態を有する、必要とする被験体を治療する方法。
【請求項23】
状態が、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
必要とする被験体において、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する状態または障害、または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法であって、治療有効量の請求項15~17のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
(a)症状は、便秘、幻覚、認知障害、および炎症からなる群より選択される;
(b)症状は、シヌクレイノパチー、神経変性疾患、神経疾患もしくは障害、心理的および/もしくは行動障害、または脳もしくは全身の虚血性障害もしくは状態と相関している;または
(c)状態または障害は、シヌクレイノパチー、神経変性疾患、または神経疾患もしくは障害である;
(d)状態または障害は、心理的および/または行動障害である;または
(e)状態または障害は、脳または全身の虚血性障害もしくは状態である、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(a)シヌクレイノパチー、神経変性疾患、または神経疾患もしくは障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、多系統萎縮症、レビー小体型認知症、レビー小体を伴う認知症、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、フリードライヒ運動失調症、血管性認知症、脊髄筋萎縮症、核上性麻痺、進行性核麻痺、前頭側頭型認知症、進行性核麻痺、グアドロピアンパーキンソニズム、脊髄小脳失調症、パーキンソニズム、外傷性脳損傷、加齢に伴う変性過程、および加齢性認知症からなる群より選択される;
(b)心理的または行動障害は、うつ病、自閉症、自閉症スペクトラム障害、ダウン症候群、ゴーシェ病、クラッベ病、スフィンゴ糖脂質代謝に影響を及ぼすリソソーム状態、ADHD、興奮、不安、せん妄、易刺激性、幻覚および妄想、記憶喪失、無気力、双極性障害、脱抑制、異常運動および強迫性-強制行動、中毒、脳性麻痺、てんかん、大うつ病性障害、ならびにレム睡眠行動障害(RBD)、睡眠断片化、レム行動障害、概日リズム機能障害、睡眠時無呼吸などの睡眠障害、および認知障害からなる群より選択される;または
(c)脳または全身の虚血性障害もしくは状態は、微小血管障害、分娩時、脳虚血、心停止または蘇生中/後の脳虚血、術中の問題による脳虚血、頸動脈手術中の脳虚血、脳への血液供給動脈の狭窄による慢性脳虚血、静脈洞血栓症または大脳静脈血栓症、脳血管奇形、糖尿病性網膜症、高コレステロール、心筋梗塞、心不全(cardiac insufficiency)、心不全(cardiac failure)、うっ血性心不全、心筋炎、心膜炎、心膜心筋炎(perimyocarditis)、冠動脈心疾患、狭心症、先天性心疾患、ショック、四肢虚血、腎動脈の狭窄、糖尿病性網膜症、マラリアに伴う血栓症、人工心臓弁、貧血、脾機能亢進症候群(hypersplenic syndrome)、気腫、肺線維症、勃起不全、心臓伝導障害、高血圧、低血圧、および肺水腫からなる群より選択される、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
必要とする被験体において、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する、脳または全身の虚血性障害および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法であって、治療有効量の請求項15~21のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項28】
脳または全身の虚血性障害および/または関連症状が、微小血管障害、分娩時脳虚血、心停止または蘇生中/後の脳虚血、術中の問題による脳虚血、頸動脈手術中の脳虚血、脳への血液供給動脈の狭窄による慢性脳虚血、静脈洞血栓症または大脳静脈血栓症、脳血管奇形、糖尿病性網膜症、高血圧、低血圧、高コレステロール、心筋梗塞、心不全(cardiac insufficiency)、心不全(cardiac failure)、うっ血性心不全、心筋炎、心膜炎、心膜心筋炎(perimyocarditis)、冠動脈心疾患、狭心症、先天性心疾患、ショック、四肢虚血、腎動脈の狭窄、糖尿病性網膜症、マラリアに伴う血栓症、人工心臓弁、貧血、脾機能亢進症候群(hypersplenic syndrome)、気腫、肺線維症、勃起不全、心臓伝導障害(CCD)および/または関連症状、ならびに肺水腫からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
被験体においてタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)を阻害する方法であって、治療有効量の請求項15~21のいずれか1項に記載の組成物を被験体に投与することを含む方法。
【請求項30】
投与方法が、経口、経鼻、舌下、頬側、直腸、膣、静脈内、動脈内、皮内、腹腔内、髄腔内、筋肉内、硬膜外、脳内、脳室内、経皮、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項22~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
投与方法が、経鼻投与、経口投与、またはそれらの組み合わせである、請求項22~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量が、以下を含む、請求項22~31のいずれか1項に記載の方法:
(a)被験体の体重に対して約0.1~約20mg/kg;
(b)被験体の体重に対して約0.1~約15mg/kg;
(c)被験体の体重に対して約0.1~約10mg/kg;
(d)被験体の体重に対して約0.1~約5mg/kg;または
(e)被験体の体重に対して約0.1~約2.5mg/kg。
【請求項33】
アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量が、以下を含む、請求項22~32のいずれか1項に記載の方法:
(a)約0.001~約500mg/日;
(b)約0.001~約250mg/日;
(c)約0.001~約125mg/日;
(d)約0.001~約50mg/日;
(e)約0.001~約25mg/日;
(f)約0.001~約10mg/日;
(g)約0.001~約6mg/日;
(h)約0.001~約4mg/日;または
(i)約0.001~約2mg/日。
【請求項34】
投与方法が経口投与を含み、アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグもしくは誘導体の治療有効量が、以下を含む、請求項22~33のいずれか1項に記載の方法:
(a)約1~約300mg/日;または
(b)約25~約500mg/日。
【請求項35】
アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体を、相加効果または相乗効果のいずれかを達成するために、少なくとも1つの追加の活性剤と組み合わせて投与する、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
追加の活性剤が、以下からなる群より選択される方法を介して投与される、請求項35に記載の方法:
(a)不随して;
(b)混合物として;
(c)別々にそして同時にまたは並行して;および
(d)別々にそして連続して。
【請求項37】
追加の活性剤が、請求項22~35のいずれか1項に記載の方法において投与されるアミノステロールとは異なる構造を有する第2のアミノステロールである、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
組成物の投与が空の胃への投与を含み、任意に、被験体が覚醒してから2時間以内である、請求項22~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
組成物の投与後、約60~約90分は、被験体によって食物が消費されない、請求項22~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
アミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が、薬学的に許容される等級のものである、請求項22~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
アミノステロールのリン酸塩が投与される、請求項22~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
被験体がヒトである、請求項22~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
さらに以下を含む、請求項22~42のいずれか1項に記載の方法:
(a)被験体に対するアミノステロールまたは薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の用量を決定すること、ここで、アミノステロールの用量は、評価される症状の改善または解消におけるアミノステロール用量の有効性に基づいて決定される、
(b)続いて、アミノステロール用量を含む組成物を、一定期間、被験体に投与すること、ここで、その方法は、以下を含む:
(i)評価されるべき症状を特定すること、ここで、該症状は、アミノステロールによる治療を受けやすい;
(ii)被験体に対する開始アミノステロール用量を特定すること;
(iii)評価される症状に対する有効用量が特定されるまでの期間にわたって、被験体にアミノステロールの漸増用量を投与すること、ここで、有効用量は、症状の改善または解消が観察されるアミノステロール用量であり、その特定の被験体におけるその特定の症状についてそのレベルでアミノステロール用量を固定する。
【請求項44】
症状の改善または解消が、臨床的に認識されるスケールまたはツールを使用して測定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
組成物が経口投与され、
(a)開始アミノステロール用量は、約10mg~約150mg/日の範囲であり;
(b)漸増後の被験体に対するアミノステロール用量は、約25mg~約500mg/日の範囲に固定され;および/または
(c)アミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の用量は、約25mgの増分で漸増される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
組成物が鼻腔内に投与され、
(a)開始アミノステロール用量は、約0.001mg~約3mg/日の範囲であり;
(b)漸増後の被験体に対するアミノステロール用量は、約0.001mg~約6mg/日の範囲に固定され;
(c)漸増後の被験体に対するアミノステロール用量は、経口または注射によって投与される場合の治療量以下の用量であり;および/または
(d)アミノステロール用量は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2mgの増分で漸増される、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
アミノステロール用量が約3~約5日毎に漸増される、請求項43~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
評価される症状が重篤である場合、開始アミノステロール用量がより高い、請求項43~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
症状が異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関している、請求項43~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
評価される症状が、以下からなる群より選択される、請求項43~49のいずれか1項に記載の方法:
(a)認知障害、幻覚および精神病、抑うつ気分、不安気分、無気力、ドーパミン調節異常症候群の特徴、睡眠障害、日中の眠気、疼痛、排尿障害、便秘障害、起立時のふらつき、および倦怠感からなる群より選択される、パーキンソン病統一スケールのパートIで定義される少なくとも1つの日常生活の経験の非運動的側面;
(b)会話、唾液およびよだれ、咀嚼および嚥下、食事のタスク、着衣、衛生、書字、寝返り、振戦、ベッド、車、または深い椅子から出ること、歩行およびバランス、ならびにすくみからなる群より選択される、パーキンソン病統一スケールのパートIIで定義される少なくとも1つの日常生活の経験の運動的側面;
(c)言語、顔の表情、硬直、指のタッピング、手の動き、手の回内回外運動、つま先のタッピング、足の機敏性、椅子から立ち上がる、歩行、すくみ足歩行、姿勢の安定性、姿勢、身体の動作緩慢、手の姿勢時振戦、手の運動性振戦、安静時振戦の振幅、および安静時振戦の不変性からなる群より選択される、パーキンソン病統一スケールのパートIIIで特定される少なくとも1つの運動症状;
(d)ジスキネジアに費やす時間、ジスキネジアの機能的影響、オフ状態に費やす時間、運動変動の機能的影響、運動変動の複雑性、および有痛性オフ状態ジストニアからなる群より選択されるパーキンソン病統一スケールのパートIVで特定される少なくとも1つの運動合併症;
(e)便秘;
(f)うつ病;
(g)認知障害;
(h)睡眠障害または睡眠問題;
(i)概日リズム機能障害;
(j)幻覚;
(k)倦怠感;
(l)レム睡眠障害;
(m)レム行動障害;
(n)勃起不全;
(o)無呼吸;
(p)起立性低血圧;
(q)血圧または起立性低血圧の是正;
(r)夜間高血圧;
(s)温度の調節;
(t)呼吸または無呼吸の改善;
(u)心臓伝導障害の是正;
(v)疼痛の改善;
(w)膀胱感覚および排尿の回復;
(x)尿失禁;および/または
(y)夜間頻尿の管理。
【請求項51】
評価される症状が便秘であり、ここで、
(a)便秘に対する固定漸増アミノステロール用量は、与えられた用量において3日のうち少なくとも2日で、投与後24時間以内に完全な自発的排便(CSBM)をもたらすアミノステロール用量として定義され;
(b)平均完全自発的排便(CSBM)または平均自発的排便(SBM)が週1回以上であれば、増量前の開始アミノステロール用量は75mg/日であり;および/または
(c)平均CSBMまたはSBMが週1回未満である場合、増量前の開始アミノステロール用量は150mg/日である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
治療有効量の、請求項1~14のいずれか1項に記載のアミノステロール化合物、または請求項15~21のいずれか1項に記載の組成物を被験体に投与することを含む、被験体の腸における遺伝子転写を増加させる方法。
【請求項53】
遺伝子転写の増加が、カスパーゼ14、XVII型コラーゲンα1、コルネオデスモシン、コルニフェリン、シスタチンE/M、デルモカイン、デスモコリン1、デスモグレイン1β、フィラグリン、ギャップ結合タンパク質β4、ギャップ結合タンパク質β6、H19インプリント母性発現転写物、ホルネリン、カリクレイン関連ペプチダーゼ7キモトリプシン層、ケラチン1、ケラチン10、ケラチノサイト分化関連タンパク質、ケラチノサイト発現プロリンリッチ(proline-rich)、後期角化エンベロープ1A1、後期角化エンベロープ1A2、後期角化エンベロープ1B、後期角化エンベロープ1C、後期角化エンベロープ1E、後期角化エンベロープ1F、後期角化エンベロープ1G、後期角化エンベロープ1H、後期角化エンベロープ1I、後期角化エンベロープ1J、後期角化エンベロープ1L、後期角化エンベロープ1M、後期角化エンベロープ3C、後期角化エンベロープ3E、後期角化エンベロープ3F、レクチンガラクトース結合可溶性7、ロリクリン、シエリン、ミオグロビン、ミオシン結合タンパク質Cスロータイプ、ミオシン重ポリペプチド1骨格筋、ミオシン重ポリペプチド8骨格筋、ミオシン軽鎖リン酸化可能ファストスケ(myosin light chain phosphorylatable fast ske)、ミオシン軽鎖ポリペプチド3、ミオゼニン1、ミオゼニン2、およびチチンキャップ(titin-cap)からなる群より選択される1つ以上の遺伝子に関する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
遺伝子転写の増加が、約1%~約10%、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、約90%~約100%、約100%~約125%、約125%~約150%、約150%~約175%、約175%~約200%、約200%~約250%、約250%~約300%、約300%~約350%、約350%~約400%、約400%~約450%、約450%~約500%、約500%~約600%、約600%~約700%、約700%~約800%、約800%~約900%、約900%~約1000%、または約1000%~約1500%から選択される、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む、下式のアミノステロールを製造する方法:
【化13】
【請求項56】
(a)アミノステロールは、被験体においてインビボで産生される;または
(b)アミノステロールは、インビトロで産生される、
請求項55に記載の方法。
【請求項57】
化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法:
【化14】
【請求項58】
(a)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される;または
(b)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
化合物Iaが以下の式を有し、化合物VIが以下の式を有する、請求項55~58のいずれか1項に記載の方法:
【化15】
【請求項60】
化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む、下式のアミノステロールを製造する方法:
【化16】
【請求項61】
(a)アミノステロールは、被験体においてインビボで産生される;
(b)アミノステロールは、インビトロで産生される
請求項60に記載の方法。
【請求項62】
化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法:
【化17】
【請求項63】
(a)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される;または
(b)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される、
請求項62に記載の方法。
【請求項64】
化合物Iaが以下の式を有し、化合物IVが以下の式を有する、請求項60~63のいずれか1項に記載の方法:
【化18】
【請求項65】
化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む、下式のアミノステロールを製造する方法:
【化19】
【請求項66】
(a)アミノステロールは、被験体においてインビボで産生される;または
(b)アミノステロールは、インビトロで産生される、
請求項65に記載の方法。
【請求項67】
化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法:
【化20】
【請求項68】
(a)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される;または
(b)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される、
請求項67に記載の方法。
【請求項69】
化合物Iaが以下の式を有し、化合物Vが以下の式を有する、請求項65~68のいずれか1項に記載の方法:
【化21】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月2日に出願された米国仮出願第62/882,318号、および2020年6月9日に出願された米国仮出願第63/036,828号に対して、35 USC §119に基づく優先権の利益を主張し、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は一般に、疾患の治療のための新規化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
アミノステロールは、ステロールのアミノ誘導体である。スクアラミンは、少なくとも12の関連組成物を含む、より大きなアミノステロールファミリーの最も豊富なメンバーである(Raoら、2000)。例示的なアミノステロールには、スクアラミンおよびENT-02(アミノステロール1436、トロズスクエミンおよびMSI-1436としても知られている)が含まれる。これらのアミノステロールは、Michael Zasloffによって、アブラツノザメ(spiny dogfish shark、Squalus acanthias)において発見され(米国特許第5,192,756号)、それらは、哺乳動物系において多様な薬理学的活性を示す。アミノステロール1436は、体重減少および脂肪組織動員を引き起こす脊椎動物において薬理学を示す(Zasloffら、2001)。スクアラミンは、抗ウイルス活性、抗生物質活性、抗真菌活性、および抗癌活性を有し、パーキンソン病に特徴的なα-シヌクレインタンパク質の凝集を阻害する(Zasloffら、2011;Mooreら、1993;Perniら、2019;Ahimaら、2002;Brunelら、2005)。
【0004】
【化1】
【0005】
スクアラミンの使用に関して、以下のようないくつかの臨床試験が実施されている:(a)Elman Retina GroupによるClinicalTrials.gov 識別子NCT01769183の「増殖性糖尿病性網膜症治療のためのスクアラミン」(参加者6名;2014年8月試験終了);(b)Ohr Pharmaceutical Inc.によるClinicalTrials.gov 識別子NCT02727881の「新血管性AMD(MAKO)を有する被験体におけるスクアラミン点眼液の有効性および安全性試験」(参加者230名;2017年12月試験終了);(c)Ohr Pharmaceutical Inc.によるClinicalTrials.gov 識別子NCT02614937の「網膜静脈閉塞症に関連する黄斑浮腫の治療のための乳酸スクアラミンの研究」(参加者20名、2014年12月試験終了)(d)Ohr Pharmaceutical Inc.によるClinicalTrials.gov 識別子NCT01678963の「新生血管を伴う(湿式)加齢黄斑変性症(AMD)被験体における乳酸スクアラミン点眼剤の有効性および安全性」(参加者142名、2015年3月試験終了);(e)Genaera CorporationによるClinicalTrials.gov 識別子NCT00333476の「『湿式』加齢黄斑変性症を治療するためのMSI-1256F(スクアラミンラクテート)の研究」(参加者140名;試験終了);(f)Genaera CorporationによるClinicalTrials.gov 識別子NCT00094120の「『湿式』加齢黄斑変性症(AMD)の患者におけるMSI-1256F(乳酸スクアラミン)とベルテポルフィンの組み合わせ」(参加者60名;2007年2月試験終了)、および(g)Genaera CorporationによるClinicalTrials.gov 識別子NCT00089830の「『湿式』加齢黄斑変性症を治療するためのMSI-1256F(乳酸スクアラミン)の安全性および有効性」(参加者120名;2007年5月試験終了)。
【0006】
当該技術分野においては、新規アミノステロール化合物およびその使用方法が必要とされている。本開示は、これらの必要性を満たす。
【発明の概要】
【0007】
要約
一実施形態において、以下の式を有するアミノステロール化合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0008】
【化2】
【0009】
一実施形態において、アミノステロールは以下の式を有する、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0010】
【化3】
【0011】
別の実施形態においては、以下の式を有するアミノステロール化合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0012】
【化4】
【0013】
一実施形態では、アミノステロール化合物が以下の式を有する、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0014】
【化5】
【0015】
一実施形態では、以下の式を有するアミノステロール化合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0016】
【化6】
【0017】
一実施形態では、アミノステロール化合物が以下の式を有する、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0018】
【化7】
【0019】
別の実施形態では、以下の式を有するアミノステロール化合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0020】
【化8】
【0021】
ここで、Rは、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、および任意に置換されたC-Cアルケニルであり;Rは、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【0022】
一実施形態では、アミノステロール化合物が以下の式を有する、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0023】
【化9】
【0024】
別の実施形態では、以下の式を有するアミノステロール化合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0025】
【化10】
【0026】
ここで、Rは、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;Rは、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【0027】
いくつかの実施形態において、アミノステロールは、以下の式を有する、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0028】
【化11】
【0029】
別の実施形態では、以下の式を有するアミノステロール化合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0030】
【化12】
【0031】
ここで、Rは、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、および任意に置換されたC-Cアルケニルであり;Rは、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【0032】
一実施形態では、アミノステロールは、以下の式を有する、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0033】
【化13】
【0034】
いくつかの実施形態において、アミノステロールは、薬学的に許容される塩として製剤化される。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩はリン酸塩である。
【0035】
一実施形態において、本明細書のいずれかの実施形態に係るアミノステロール化合物を含む組成物が提供され、該組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、該組成物が、(a)水性担体;(b)緩衝液;(c)糖;および/または(d)ポリオール化合物の1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、組成物が少なくとも1つの追加の活性剤を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、組成物が(a)経口、肺、直腸、結腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内、噴霧、吸入、眼、耳、局部(local)、頬側、鼻、および局所(topical)投与からなる群より選択される投与のために;(b)液体分散液、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセルからなる群より選択される剤形に;(c)制御放出製剤、速溶性製剤、遅延放出製剤、徐放性製剤、拍動放出製剤、および混合即時放出製剤と制御放出製剤からなる群より選択される剤形に;または(d)(a)、(b)および(c)の任意の組合せに製剤化される。
【0037】
いくつかの実施形態では、組成物が経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物が経口錠剤または経口カプセルとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物が鼻腔内投与のために製剤化される。
【0038】
一実施形態では、必要とする被験体を治療する方法が提供され、該被験体は、アミノステロールによる治療を受けやすい状態を有し、この方法は、本明細書のいずれかの実施形態による組成物を被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、その状態は、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関している。
【0039】
別の実施形態において、必要とする被験体において、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する状態または障害、または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供され、この方法は、本明細書のいずれかの実施形態による組成物の治療有効量を投与する工程を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、(a)症状は、便秘、幻覚、認知障害、および炎症からなる群より選択され;(b)症状は、シヌクレイノパチー、神経変性疾患、神経疾患もしくは障害、心理的および/または行動障害、または脳もしくは全身の虚血性障害もしくは状態と相関しており;または(c)状態または障害は、シヌクレイノパチー、神経変性疾患、または神経疾患もしくは障害であり;(d)状態または障害は、心理的および/または行動障害であり;または(e)状態または障害は、脳または全身の虚血性障害もしくは状態である。
【0041】
いくつかの実施形態において、(a)シヌクレイノパチー、神経変性疾患、または神経疾患もしくは障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、多系統萎縮症、レビー小体型認知症、レビー小体を伴う認知症、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、フリードライヒ運動失調症、血管性認知症、脊髄性筋萎縮症、核上性麻痺、進行性核麻痺、前頭側頭型認知症、進行性核麻痺、グアドロピアンパーキンソニズム、脊髄小脳失調症、パーキンソニズム、外傷性脳損傷、加齢に伴う変性過程、および加齢性認知症からなる群より選択される;(b)心理的または行動障害は、うつ病、自閉症、自閉症スペクトラム障害、ダウン症候群、ゴーシェ病、クラッベ病、スフィンゴ糖脂質代謝に影響を及ぼすリソソーム状態、ADHD、興奮、不安、せん妄、易刺激性、幻覚および妄想、記憶喪失、無気力、双極性障害、脱抑制、異常運動および強迫性-強制行動、中毒、脳性麻痺、てんかん、大うつ病性障害、ならびにレム睡眠行動障害(RBD)、睡眠断片化、レム行動障害、概日リズム機能障害、睡眠時無呼吸のような睡眠障害、および認知障害からなる群より選択される;または(c)脳または全身の虚血性障害もしくは状態は、微小血管障害、分娩時、脳虚血、心停止または蘇生中/後の脳虚血、術中の問題による脳虚血、頸動脈手術中の脳虚血、脳への血液供給動脈の狭窄による慢性脳虚血、静脈洞血栓症または大脳静脈血栓症、脳血管奇形、糖尿病性網膜症、高コレステロール、心筋梗塞、心不全(cardiac insufficiency)、心不全(cardiac failure)、うっ血性心不全、心筋炎、心膜炎、心膜心筋炎(perimyocarditis)、冠動脈心疾患、狭心症、先天性心疾患、ショック、四肢虚血、腎動脈の狭窄、糖尿病性網膜症、マラリアに伴う血栓症、人工心臓弁、貧血、脾機能亢進症候群(hypersplenic syndrome)、気腫、肺線維症、勃起不全、心臓伝導障害、高血圧、低血圧、および肺水腫からなる群より選択される。
【0042】
別の実施形態において、必要とする被験体において、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する、脳または全身の虚血性障害および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供され、この方法は、本明細書の任意の実施形態による組成物の治療有効量を投与することを含む。
【0043】
一実施形態において、脳または全身の虚血性障害および/または関連症状は、微小血管障害、分娩時脳虚血、心停止または蘇生中/後の脳虚血、術中の問題による脳虚血、頸動脈手術中の脳虚血、脳への血液供給動脈の狭窄による慢性脳虚血、静脈洞血栓症または大脳静脈血栓症、脳血管奇形、糖尿病性網膜症、高血圧、低血圧、高コレステロール、心筋梗塞、心不全(cardiac insufficiency)、心不全(cardiac failure)、うっ血性心不全、心筋炎、心膜炎、心膜心筋炎(perimyocarditis)、冠動脈心疾患、狭心症、先天性心疾患、ショック、四肢虚血、腎動脈の狭窄、糖尿病性網膜症、マラリアに伴う血栓症、人工心臓弁、貧血、脾機能亢進症候群(hypersplenic syndrome)、気腫、肺線維症、勃起不全、心臓伝導障害(CCD)および/または関連症状、ならびに肺水腫からなる群より選択される。
【0044】
一実施形態では、被験体においてタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)を阻害する方法が提供され、この方法は、本明細書の任意の実施形態による組成物の治療有効量を被験体に投与することを含む。
【0045】
別の実施形態において、被験体の腸における転写を増加させる方法が提供され、この方法は、本明細書中の任意の実施形態のアミノステロール化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与する工程を包む。
【0046】
いくつかの実施形態において、転写の増加は、カスパーゼ14、XVII型コラーゲンα1、コルネオデスモシン、コルニフェリン、シスタチンE/M、デルモカイン、デスモコリン1、デスモグレイン1β、フィラグリン、ギャップ結合タンパク質β4、ギャップ結合タンパク質β6、H19インプリント母性発現転写物、ホルネリン、カリクレイン関連ペプチダーゼ7キモトリプシン層、ケラチン1、ケラチン10、ケラチノサイト分化関連タンパク質、ケラチノサイト発現プロリンリッチ(proline-rich)、後期角化エンベロープ1A1、後期角化エンベロープ1A2、後期角化エンベロープ1B、後期角化エンベロープ1C、後期角化エンベロープ1E、後期角化エンベロープ1F、後期角化エンベロープ1G、後期角化エンベロープ1H、後期角化エンベロープ1I、後期角化エンベロープ1J、後期角化エンベロープ1L、後期角化エンベロープ1M、後期角化エンベロープ3C、後期角化エンベロープ3E、後期角化エンベロープ3F、レクチンガラクトース結合可溶性7、ロリクリン、シエリン、ミオグロビン、ミオシン結合タンパク質Cスロータイプ、ミオシン重ポリペプチド1骨格筋、ミオシン重ポリペプチド8骨格筋、ミオシン軽鎖リン酸化可能ファストスケ(myosin light chain phosphorylatable fast ske)、ミオシン軽鎖ポリペプチド3、ミオゼニン1、ミオゼニン2、およびチチンキャップ(titin-cap)から選択される1以上の遺伝子についてである。
【0047】
いくつかの実施形態において、この方法は、カスパーゼ14、XVII型コラーゲンα1、コルネオデスモシン、コルニフェリン、シスタチンE/M、デルモカイン、デスモコリン1、デスモグレイン1β、フィラグリン、ギャップ結合タンパク質β4、ギャップ結合タンパク質β6、H19インプリント母性発現転写物、ホルネリン、カリクレイン関連ペプチダーゼ7キモトリプシン層、ケラチン1、ケラチン10、ケラチノサイト分化関連タンパク質、ケラチノサイト発現プロリンリッチ(proline-rich)、後期角化エンベロープ1A1、後期角化エンベロープ1A2、後期角化エンベロープ1B、後期角化エンベロープ1C、後期角化エンベロープ1E、後期角化エンベロープ1F、後期角化エンベロープ1G、後期角化エンベロープ1H、後期角化エンベロープ1I、後期角化エンベロープ1J、後期角化エンベロープ1L、後期角化エンベロープ1M、後期角化エンベロープ3C、後期角化エンベロープ3E、後期角化エンベロープ3F、レクチンガラクトース結合可溶性7、ロリクリン、シエリン、ミオグロビン、ミオシン結合タンパク質Cスロータイプ、ミオシン重ポリペプチド1骨格筋、ミオシン重ポリペプチド8骨格筋、ミオシン軽鎖リン酸化可能ファストスケ(myosin light chain phosphorylatable fast ske)、ミオシン軽鎖ポリペプチド3、ミオゼニン1、ミオゼニン2、およびチチンキャップ(titin-cap)から選択される1つ以上の遺伝子をアップレギュレートまたはダウンレギュレートする1つ以上の非アミノステロール化合物を被験体に投与することをさらに含む。非アミノステロール化合物は、前述の遺伝子のいずれかを調節することが当技術分野で知られている任意の化合物であってよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、転写の増加は、約1%~約10%、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、約90%~約100%、約100%~約125%、約125%~約150%、約150%~約175%、約175%~約200%、約200%~約250%、約250%~約300%、約300%~約350%、約350%~約400%、約400%~約450%、約500%~約600%、約600%~約700%、約700%~約800%、約800%~約900%、約900~約1000%、または約1000%~約1500%から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、投与方法が、経口、経鼻、舌下、頬側、直腸、膣、静脈内、動脈内、皮内、腹腔内、髄腔内、筋肉内、硬膜外、脳内、脳室内、経皮、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、投与方法が経鼻投与、経口投与、またはそれらの組み合わせである。
【0050】
いくつかの実施形態において、アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量は、(a)被験体の体重に対して約0.1~約20mg/kg;(b)被験体の体重に対して約0.1~約15mg/kg;(c)被験体の体重に対して約0.1~約10mg/kg;(d)被験体の体重に対して約0.1~約5mg/kg;または(e)被験体の体重に対して約0.1~約2.5mg/kgを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量は、(a)約0.001~約500mg/日;(b)約0.001~約250mg/日;(c)約0.001~約125mg/日;(d)約0.001~約50mg/日;(e)約0.001~約25mg/日;(f)約0.001~約10mg/日;(g)約0.001~約6mg/日;(h)約0.001~約4mg/日;または(i)約0.001~約2mg/日を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、投与方法が経口投与を含み、アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量は、(a)約1~約300mg/日;または(b)約25~約500mg/日;または(c)約1~約500mg/日を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、アミノステロール化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体は、相加効果または相乗効果のいずれかを達成するために、少なくとも1つの追加の活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、追加の活性剤が(a)不随して(concomitantly);(b)混合物として;(c)別々にそして同時に、または並行して(concurrently);および(d)別々にそして連続して、からなる群より選択される方法を介して投与される。いくつかの実施形態において、追加の活性剤は、本明細書のいずれかの実施形態において投与されるアミノステロールとは異なる構造を有する第2のアミノステロールである。
【0054】
いくつかの実施形態において、組成物の投与は、空の胃への投与を含み、任意に、被験体が覚醒してから2時間以内である。いくつかの実施形態において、組成物の投与後、約60~約90分は、被験体によって食物は消費されない。
【0055】
いくつかの実施形態では、アミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体は、薬学的に許容される等級のものである。いくつかの実施形態では、アミノステロールのリン酸塩が投与される。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0056】
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)被験体に対するアミノステロールまたは薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の用量を決定することをさらに含み、ここで、アミノステロールの用量は、評価される症状の改善または解消におけるアミノステロール用量の有効性に基づいて決定され、(b)続いて、アミノステロール用量を含む組成物を、一定期間、被験体に投与することを含み、ここで、この方法は、(i)評価されるべき症状を同定すること、ここで、その症状は、アミノステロールによる治療を受けやすい;(ii)被験体に対する開始アミノステロール用量を同定すること;(iii)評価されている症状に対する有効用量が同定されるまでの期間にわたって、被験体にアミノステロールの漸増用量を投与することを含み、ここで、有効用量は、症状の改善または解消が観察されるアミノステロール用量であり、アミノステロール用量を、その特定の被験体におけるその特定の症状に対するそのレベルに固定する。いくつかの実施形態では、症状の改善または解消は、臨床的に認識されるスケールまたはツールを使用して測定される。
【0057】
いくつかの実施形態において、組成物は経口投与され、(a)開始アミノステロール用量は約10mg~約150mg/日の範囲であり;(b)漸増後の被験体に対するアミノステロール用量は約25mg~約500mg/日までの範囲で固定され;および/または(c)アミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の用量は約25mgの増分で漸増される。
【0058】
いくつかの実施形態において、組成物は鼻腔内に投与され、(a)開始アミノステロール用量は約0.001mg~約3mg/日の範囲であり;(b)漸増後の被験体に対するアミノステロール用量は約0.001mg~約6mg/日の範囲に固定され;(c)漸増後の被験体に対するアミノステロール用量は、経口または注射によって投与される場合の治療量以下の用量であり;および/または(c)アミノステロール用量は約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2mgの増分で漸増される。
【0059】
いくつかの実施形態において、アミノステロール用量は、約3~約5日毎に漸増される。いくつかの実施形態において、評価される症状が重篤である場合、開始アミノステロール用量は、より高い。
【0060】
いくつかの実施形態において、症状は、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する。いくつかの実施形態において、評価されるべき症状は、(a)認知障害、幻覚および精神病、抑うつ気分、不安気分、無気力、ドーパミン調節異常症候群の特徴、睡眠障害、日中の眠気、疼痛、排尿障害、便秘障害、起立時のふらつき、および倦怠感からなる群より選択される、パーキンソン病統一スケールのパートIによって定義される少なくとも1つの日常生活の経験の非運動的側面;(b)会話、唾液およびよだれ、咀嚼および嚥下、食事のタスク、着衣、衛生、書字、寝返り、振戦、ベッド、車または深い椅子から出ること、歩行およびバランス、ならびにすくみ、からなる群より選択される、パーキンソン病統一スケールのパートIIによって定義される少なくとも1つの日常生活の経験の運動的側面;(c)言語、顔の表情、硬直、指のタッピング、手の動き、手の回内回外運動、つま先のタッピング、足の機敏性、椅子から立ち上がる、歩行、すくみ足歩行、姿勢の安定性、姿勢、身体の動作緩慢、手の姿勢時振戦、手の運動性振戦、安静時振戦の振幅、および安静時振戦の不変性からなる群より選択される、パーキンソン病統一スケールのパートIIIによって特定される少なくとも1つの運動症状;(d)ジスキネジアに費やす時間、ジスキネジアの機能的影響、オフ状態に費やす時間、運動変動の機能的影響、運動変動の複雑性、および有痛性オフ状態ジストニア、からなる群より選択される、パーキンソン病統一スケールのパートIVによって特定される少なくとも1つの運動合併症;(e)便秘;(f)うつ病;(g)認知障害;(h)睡眠障害または睡眠問題;(i)概日リズム機能障害;(j)幻覚;(k)倦怠感;(l)レム睡眠障害;(m)レム行動障害;(n)勃起不全;(o)無呼吸;(p)起立性低血圧;(q)血圧または起立性低血圧の是正;(r)夜間高血圧;(s)温度の調節;(t)呼吸または無呼吸の改善;(u)心臓伝導障害の是正;(v)疼痛の改善;(w)膀胱感覚および排尿の回復;(x)尿失禁;および/または(y)夜間頻尿の管理;からなる群より選択される。
【0061】
いくつかの実施形態において、評価されるべき症状は便秘であり、ここで:(a)便秘に対する固定漸増アミノステロール用量は、与えられた用量において3日のうち少なくとも2日で、投与後24時間以内に完全な自発的排便(CSBM)をもたらすアミノステロール用量として定義される;(b)平均完全自発的排便(CSBM)または平均自発的排便(SBM)が週1回以上であれば、増量前の開始アミノステロール用量は75mg/日である;および/または(c)平均CSBMまたはSBMが週1回未満である場合、増量前の開始アミノステロール用量は150mg/日である。
【0062】
一実施形態において、下式のアミノステロールを製造する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む:
【0063】
【化14】
【0064】
いくつかの実施形態において、(a)アミノステロールは、被験体においてインビボで産生される;または(b)アミノステロールは、インビトロで産生される。
【0065】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む:
【0066】
【化15】
【0067】
いくつかの実施形態において、(a)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される;または(b)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される。
【0068】
いくつかの実施形態では、化合物Iaが以下の式を有し、化合物VIは、以下の式を有する:
【0069】
【化16】
【0070】
別の実施形態において、下式のアミノステロールを製造する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む:
【0071】
【化17】
【0072】
いくつかの実施形態において、(a)アミノステロールは、被験体においてインビボで産生される;または(b)アミノステロールは、インビトロで産生される。
【0073】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む:
【0074】
【化18】
【0075】
いくつかの実施形態において、(a)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される;または(b)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される。
【0076】
いくつかの実施形態では、化合物Iaが以下の式を有し、化合物IVは、以下の式を有する:
【0077】
【化19】
【0078】
別の実施形態において、下式のアミノステロールを製造する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む:
【0079】
【化20】
【0080】
いくつかの実施形態において、(a)アミノステロールは、被験体においてインビボで産生される;または(b)アミノステロールは、インビトロで産生される。
【0081】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む:
【0082】
【化21】
【0083】
いくつかの実施形態において、(a)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される;または(b)化合物Iaへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される。
【0084】
いくつかの実施形態では、化合物Iaは以下の式を有し、化合物Vは以下の式を有する:
【0085】
【化22】
【0086】
上記の概要ならびに以下の図面の説明および詳細な説明は、例示的かつ説明的なものである。それらは本開示のさらなる詳細を提供することを意図しているが、限定として解釈されるべきではない。他の目的、利点、および新規な特徴は、以下の本開示の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】78週の老齢マウスの胃(図1B)と20週の若齢マウスの胃(図1A)の粘膜層の減少を示す、(マウスの)胃の粘膜層の画像。
図2】老齢および若齢マウスの胃におけるENT-01に応答した転写変化:Sinaプロットは、老齢および若齢マウスの胃組織からのENT-01治療サンプルと対照サンプルとの間で、有意に差次的に発現した遺伝子の倍率変化(log2倍率変化)の大きさを示す。有意にアップレギュレートされた遺伝子(倍率変化>4)は赤い点として、有意にダウンレギュレートされた遺伝子(倍率変化<4)は青い点として表した。
図3】ENT-01治療によって逆転した加齢に伴う遺伝子発現変化:Sinaプロットは、「老齢対若齢(対照)」および「ENT-01対対照(老齢)」(図3A)または「ENT-01対対照(若齢)」(図3B)のいずれかのコントラスト間で、有意に差次的に発現した遺伝子の倍率変化(log2倍率変化)の大きさを示す。緑の点は、加齢で有意にダウンレギュレートされ、ENT-01治療で有意にアップレギュレートされた遺伝子を表す。オレンジの点は、加齢で有意にアップレギュレートされ、ENT-01治療で有意にダウンレギュレートされた遺伝子を表す。灰色の点は、所定のコントラストにおいて有意に差次的に発現されたが、もう一方のコントラストでは反対方向に変化しなかった遺伝子を表す。
図4】コントラスト間のオーバーラップのヒートマップ:プロットは、行われたコントラスト間のオーバーラップする選択された遺伝子の数を示す。対角線上の数字は、各コントラストについて見出される選択された遺伝子の総数を表すことに留意されたい。正方形の色は、x軸上のコントラストとy軸上のコントラストのJaccardインデックス(和集合上の交点)を表す。図4A:各コントラストについて、アップレギュレートおよびダウンレギュレートされた(y軸)対、アップレギュレートおよびダウンレギュレートされた(x軸)選択された遺伝子のオーバーラップのヒートマップ。図4B:各コントラストについて、アップレギュレートされた(y軸)対、アップレギュレートされた(x軸)選択された遺伝子のオーバーラップのヒートマップ。図4C:各コントラストについて、ダウンレギュレートされた(y軸)対、ダウンレギュレートされた(x軸)選択された遺伝子のオーバーラップのヒートマップ。図4D:各コントラストについて、アップレギュレートされた(y軸)対ダウンレギュレートされた(x軸)選択された遺伝子のオーバーラップのヒートマップ。
図5】加齢でダウンレギュレートされ、ENT-01またはENT-06によってアップレギュレートされた転写産物のベン図:プロットは、老齢マウス対若齢マウスにおいて、ダウンレギュレートされ、対照と比較して治療でアップレギュレートされた、2セットの転写産物の間で重複および非重複の差次的に発現した遺伝子の数を示す。特徴の数は、治療ENT-01(左)およびENT-06(右)から示される。
図6】ENT-01対対照(若齢)の有意な遺伝子を、ENT-06対未治療(若齢)で比較した散布図。遺伝子は点で表される。点の色は、遺伝子がどのセットに割り当てられるかを示す。各遺伝子について、ENT-01対対照(若齢)のコントラスト(y軸)におけるlog2(倍率変化)およびENT-06対未治療(若齢)のコントラスト(x軸)におけるlog2(倍率変化)を示す。
図7】有意な遺伝子のアップセットプロット:プロットは、アップレギュレートされた遺伝子とダウンレギュレートされた遺伝子のセットの間の相互作用を示す。左端の棒グラフは、入力として使用される各セットのサイズを示す。一番上の棒グラフは、各セットの排他的サイズを示す(すなわち、各遺伝子は、この棒グラフにおいて1回だけカウントされる)。中央のドットプロットは、それぞれの場合に相互作用するセットを示す。
図8】ENT-06対未治療(若齢)に対する、ENT-01対対照(若齢)における有意な遺伝子のベン図:アップレギュレートおよびダウンレギュレートされた遺伝子のベン図。図8A:ENT-06対未治療(若齢)に対する、ENT-01対対照(若齢)における重複遺伝子のベン図-全部対全部。図8B:ENT-06対未治療(若齢)に対する、ENT-01対対照(若齢)における重複遺伝子のベン図-アップ対アップ。図8C:ENT-06対未治療(若齢)に対する、ENT-01対対照(若齢)における重複遺伝子のベン図-ダウン対ダウン。図8D:ENT-06対未治療(若齢)に対する、ENT-01対対照(若齢)における重複遺伝子のベン図-アップ対ダウン。図8E:ENT-06対未治療(若齢)に対する、ENT-01対対照(若齢)における重複遺伝子のベン図-ダウン対アップ。
図9】ENT-01対対照(老齢)の有意な遺伝子を、ENT-06対未治療(老齢)で比較した散布図。遺伝子は点で表される。点の色は、遺伝子がどのセットに割り当てられるかを示す。各遺伝子について、ENT-01対対照(老齢)のコントラスト(y軸)におけるlog2(倍率変化)およびENT-06対未治療(老齢)のコントラスト(x軸)におけるlog2(倍率変化)を示す。
図10】有意な遺伝子のアップセットプロット:プロットは、アップレギュレートされた遺伝子とダウンレギュレートされた遺伝子のセットの間の相互作用を示す。左端の棒グラフは、入力として使用される各セットのサイズを示す。一番上の棒グラフは各セットの排他的サイズを示す(すなわち、各遺伝子は、この棒グラフにおいて1回だけカウントされる)。中央のドットプロットは、それぞれの場合に相互作用するセットを示す。
図11】ENT-06対未治療(老齢)に対するENT-01対対照(老齢)における有意な遺伝子のベン図:アップレギュレートおよびダウンレギュレートされた遺伝子のベン図。各プロットでは、セットの異なる相互作用を考慮する。すなわち、攪乱の方向を無視する、アップレギュレートされた遺伝子のみを考慮する、ダウンレギュレートされた遺伝子のみを考慮する、または、あるコントラストでアップレギュレートされたそれらの遺伝子と別の対照でダウンレギュレートされたそれらの遺伝子との重複を検討する、のいずれかである。図11A:ENT-06対未治療(老齢)に対する、ENT-01対対照(老齢)における、重複遺伝子のベン図-全部対全部。図11B:ENT-06対未治療(老齢)に対する、ENT-01対対照(老齢)における、重複遺伝子のベン図-アップ対アップ。図11C:ENT-06対未治療(老齢)に対する、ENT-01対対照(老齢)における、重複遺伝子のベン図-ダウン対ダウン。図11D:ENT-06対未治療(老齢)に対する、ENT-01対対照(老齢)における、重複遺伝子のベン図-アップ対ダウン。図11E:ENT-06対未治療(老齢)に対する、ENT-01対対照(老齢)における、重複遺伝子のベン図-ダウン対アップ。
図12】老齢対若齢(ENT-01)の有意な遺伝子を老齢対若齢(ENT-06)と比較した散布図:遺伝子は点で表される。点の色は、遺伝子がどのセットに割り当てられるかを示す。各遺伝子について、老齢対若齢(ENT-01)コントラスト(y軸)のlog2(倍率変化)および老齢対若齢(ENT-06)コントラスト(x軸)のlog2(倍率変化)を示す。
図13】有意な遺伝子のアップセットプロット:プロットは、アップレギュレートされた遺伝子とダウンレギュレートされた遺伝子のセットの間の相互作用を示す。左端の棒グラフは、入力として使用される各セットのサイズを示す。一番上の棒グラフは、各セットの排他的サイズを示す(すなわち、各遺伝子は、この棒グラフにおいて1回だけカウントされる)。中央のドットプロットは、それぞれの場合に相互作用するセットを示す。
図14】老齢対若齢(ENT-01)における有意遺伝子を、老齢対若齢(ENT-06)と比較したベン図:アップレギュレートされた遺伝子とダウンレギュレートされた遺伝子のベン図。各プロットでは、セットの異なる相互作用を考慮する。すなわち、攪乱の方向を無視する、アップレギュレートされた遺伝子のみを考慮する、ダウンレギュレートされた遺伝子のみを考慮する、または、あるコントラストでアップレギュレートされたそれらの遺伝子と別のコントラストでダウンレギュレートされたそれらの遺伝子との重複を検討する、のいずれかである。図14A:老齢対若齢(ENT-06)に対する老齢対若齢(ENT-01)における重複遺伝子のベン図-全部対全部。図14B:老齢対若齢(ENT-06)に対する老齢対若齢(ENT-01)における重複遺伝子のベン図-アップ対アップ。老齢対若齢(ENT-06)に対する老齢対若齢(ENT-01)における重複遺伝子のベン図-ダウン対ダウン。図14D:老齢対若齢(ENT-06)に対する老齢対若齢(ENT-01)における重複遺伝子のベン図-アップ対ダウン。図14E:老齢対若齢(ENT-06)に対する老齢対若齢(ENT-01)における重複遺伝子のベン図-ダウン対アップ。
【発明を実施するための形態】
【0088】
詳細な説明
I.概要
アミノステロールの薬理学的活性は、高度に特異的な化学構造を必要とし、これは、サメ分子が、哺乳動物によって作られる類似の化合物を収容するために存在する生理学的回路によって利用されることを示唆する。今日まで、このような化合物は発見されておらず、存在すると仮定されてもいない。本開示は、そのような化合物、その修飾バージョン、およびそれらの使用方法を提供する。これらの方法には、コロナウイルスのようなウイルスを含むがこれらに限定されない微生物による感染の治療および予防が含まれる。したがって、本技術は、スクアラミン(本明細書では、化合物VIおよびENT-06とも呼ばれる)の誘導体、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、または誘導体、化合物VIまたはその誘導体を調製する方法、化合物VIおよびその誘導体の1つ以上を含む組成物、ならびにそれらを使用する方法に関する。
【0089】
A.開示の化学の概要
1980年代以降、特定の化学構造を有する3-オキソコレン酸は、特定の状況下でヒトから単離され得ることが知られている。特に、慢性硬膜下血腫から採取された流体は、高濃度の胆汁酸化合物Iを含有することが示され、その機能は未知である。
【0090】
【化23】
【0091】
その後、この同じ化合物が、クモ膜下出血後の脳脊髄液(CSF)中に高濃度で、および健康な成人のCSF中に低濃度で存在することが見出された。C12位に水酸基を有する化合物Iはまた、健康なヒト、新生児の羊水および尿の両方において発見された。化合物Iおよびその関連代謝変異体の機能は、依然として謎のままである。コレステロールを最初に27-ヒドロキシコレステロールに変換し、次に化合物Iに変換する胆汁酸副経路によって製造されるようである。この副経路の役割はまだわかっておらず、ヒトで産生される胆汁酸の約5%を担っている。この「酸性」経路の産物は、ヒト生理学における胆汁酸の主要な機能である脂肪の乳化において重要な役割を果たさないと考えられる。
【0092】
同じではないが、化合物Iの構造は、本明細書中に示され、議論されるものを含むSqualusアミノステロールを思い起こさせる。両方のステロイド骨格は、AリングとBリングとの間に課される立体的拘束のために、実質的に平坦である。化合物Iの場合、4-エン二重結合は平坦性を付与する。サメ分子では、5-α水素によって平坦性が課せられる。化合物Iのカルボキシル部分は、サメ分子のC24上の硫酸塩と同様に空間的に位置し、両方の構造は、ステロイド骨格に対して空間的に同じ概ねの位置に負の荷電を示す。この空間的配置に基づいて、ポリアミンの保護バージョン(化合物B)であるスペルミジンを、化合物Iの還元形態(化合物4)とカップリングさせ、続いて以下に示すように脱保護することによって、化合物VIを合成した。
【0093】
【化24】
【0094】
化合物VIは、5-α水素を含み、化合物Iのような4-エンに対して、より大きな化学的安定性を提供する。化合物VIは、サメ由来スクアラミンのように、異常なα-シヌクレイン病理および/またはドーパミン作動性機能不全を治療し、PDにおける便秘を軽減することが期待される。化合物VI(ENT-06;3-β-スペルミジノ-7α-ヒドロキシ-5α-コレスタン酸)は、サメ由来スクアラミン(本明細書では、ENT-01ともいう)と関連することが知られている同じ薬理活性を有すると信じられているため、スクアラミンならびに他のアミノステロールが有用であることが知られている他の用途における化合物VIの有用性を検証することができる。
【0095】
化合物VIは、4-エンではなく5-α水素を含有する。なぜなら、前者の化学的安定性が後者よりも高いためである。ENT-06では、ENT-01上のC24硫酸化ヒドロキシルがC27カルボン酸により置換されているため、ENT-06は、すべての胆汁酸に共通の様式で、すなわちコレステロール側鎖の進行性切断を介して代謝を受ける。薬理学における違いは、一部には2つの化合物の代謝上の取り扱いの違いによる可能性が高い。
【0096】
B.スクアラミンと疾患に関する背景
理論に束縛されるものではないが、アミノステロールは、胃腸管におけるα-シヌクレイン(αS)の神経毒性凝集体を標的にして、腸神経細胞の機能を回復させ、それによって、本明細書に記載の脳-腸障害を治療および/または予防することによって作用すると考えられる。
【0097】
この理論に基づいて、パーキンソン病を治療するためにスクアラミン(例えば、サメ由来化合物)を使用して、いくつかの臨床試験が進行中であるか、または完了している。例えば、(1)ClinicalTrials.gov 識別子NCT03047629の「パーキンソン病関連便秘治療のためにENT-01を経口投与した際の安全性、忍容性、薬物動態および薬力学を評価するための多施設、単回投与、多用量、二重盲検、プラセボ対照試験」、参加者は50名(2018年6月14日試験終了);(2)ClinicalTrials.gov 識別子NCT03781791の「パーキンソン病関連便秘(KARMET)治療のためにENT-01を経口投与した際の安全性、忍容性および有効性を評価するための多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、複数回投与試験」、参加者72名(推定試験終了日は2019年6月);および(3)ClinicalTrials.gov 識別子NCT03938922の「パーキンソン病認知症治療のためにENT-01を経口投与した際の忍容性および有効性を評価するための多施設、無作為化、二重盲検試験」、参加者40名を目標(推定試験開始日は2019年6月3日、推定試験終了日は2020年2月)を参照。
【0098】
アミノステロールのこの効果は、アミノステロールが非常に低いバイオアベイラビリティーを有することを考慮すると、非常に予想外であり;例えば、スクアラミンは、血流への吸収を介するよりも、むしろ局所的に作用するようである。したがって、化合物VIは、同様に局所的に作用すると考えられる。スクアラミン投与後、現在機能している腸管神経細胞は、αSなどのタンパク質の脳への逆行性輸送を妨げる。消化管機能の回復に加えて、この効果は、パーキンソン病(PD)のような脳-腸障害、ならびに本明細書に記載される他の関連する脳-腸疾患および状態の疾患進行を遅らせ、そしておそらく逆転させると考えられる。
【0099】
消化管におけるαSの神経毒性凝集体を標的とする戦略は、PDのような脳-腸障害および本明細書に記載される他の神経疾患および状態の治療に対する新規のアプローチを表し、腸神経細胞の機能を回復させ、脳への逆行性輸送を防止する可能性がある。このような作用は、消化管機能の回復に加えて、脳-腸疾患の進行を遅らせる可能性がある。
【0100】
したがって、理論に束縛されるものではないが、新規化合物VIまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体、ならびにそれらを含む組成物を使用する本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の脳腸疾患および症状のいずれかの治療および/または予防に適用されると予想される。
【0101】
C.α-シヌクレイン(αS)および疾患
PDは、腸神経系(ENS)内での毒性α-シヌクレイン(αS)凝集体の形成と相関する(Braakら、2003(a);Braakら、2003(b))。αSは、脊椎動物の中枢神経系(CNS)に一般的に存在する可溶性タンパク質(αS、β-シヌクレインおよびγ-シヌクレイン)のシヌクレインファミリーのメンバーである。αSは、新皮質、海馬、黒質、視床、小脳に発現し、ニューロンのシナプス前終末内の主な位置は、膜結合型と細胞質遊離型の両方である。シナプス前終末は、シナプス小胞として知られる区画から、神経伝達物質と呼ばれる化学的メッセンジャーを放出する。神経伝達物質の放出は、ニューロン間のシグナルを中継し、正常な脳機能にとって重要である。αSは、神経膠細胞やメラニン細胞にみられ、嗅球、海馬、線条体、および視床の神経ミトコンドリアにおいて高度に発現している。
【0102】
PD、レビー小体を伴う認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)など、レビー小体を特徴とする病的状態では、αSが凝集して不溶性線維を形成する。これらの障害は、シヌクレイノパチーとして知られている。αSの病理所見は、ADの散発性および家族性の両方の症例に認められる。このように、αS病理の一つの指標はαS凝集体の形成である。
【0103】
分子レベルでは、タンパク質のミスフォールディング、蓄積、凝集、およびその後のアミロイド沈着の形成は、アルツハイマー病(AD)およびPDを含む多くの神経疾患において共通の特徴である。そのため、神経変性疾患は、タンパク質異常症と呼ばれることがある。共通のメカニズムが存在することから、神経変性疾患は、共通の誘因を共有している可能性が高く、病理の性質は、凝集タンパクの種類および影響を受けた細胞の局在によって決定されることが示唆される。
【0104】
20年前のαSとPDリスクの間の遺伝的関連の発見、およびLewy病理の主要なタンパク質構成物としての凝集αSの同定に始まり、αSは、PDおよび関連するシヌクレイノパチーにおける主要な治療標的として浮上している(Brundinら、2017)。PDに典型的にみられるα-シヌクレイン異常は、明らかなカテコールアミン欠乏の原因であると考えられている(ドーパミンは、他のカテコールアミンと代謝経路を共有するカテコールアミン)(Frisinaら、2009)。
【0105】
「脳-腸」疾患とも呼ばれる、異常αS病理に関連する状態、および/またはドーパミン作動性機能不全の例としては、シヌクレイノパチー、神経疾患、心理的および/または行動障害、脳および全身虚血性障害、および/または疾患または状態が挙げられるが、これらに限定されない。シヌクレイノパチー、神経変性疾患および/または神経疾患の例は、例えば、AD、PD、レビー小体型認知症(LBD)またはレビー小体を伴う認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、統合失調症、フリードライヒ運動失調症、血管性認知症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、進行性核麻痺、核上性麻痺、前頭側頭型認知症(FTD)、進行性核上性麻痺、グアドロピアンパーキンソニズム、パーキンソニズム、脊髄小脳失調症、脳卒中、外傷性脳損傷、加齢に伴う変性過程、および加齢性認知症が含まれる。心理的または行動障害の例には、例えば、うつ病、自閉症、ダウン症候群、ゴーシェ病(GD)、クラッベ病(KD)、スフィンゴ糖脂質代謝に影響を及ぼすリソソーム状態、ADHD、興奮、不安、せん妄、易刺激性、幻覚および妄想、記憶喪失、無気力、双極性障害、脱抑制、異常運動および強迫性-強制行動、中毒、脳性麻痺、てんかん、大うつ病性障害、およびレム睡眠行動障害(RBD)、睡眠断片化、レム行動障害、概日リズム機能障害、睡眠時無呼吸、などの睡眠障害および認知障害が含まれる。全身の虚血性または脳虚血性障害の例には、例えば、微小血管障害、分娩時、脳虚血、心停止または蘇生中/後の脳虚血、術中の問題による脳虚血、頸動脈手術中の脳虚血、脳への血液供給動脈の狭窄による慢性脳虚血、静脈洞血栓症または大脳静脈血栓症、脳血管奇形、糖尿病性網膜症、高血圧、高コレステロール、心筋梗塞、心不全(cardiac insufficiency)、心不全(cardiac failure)、うっ血性心不全、心筋炎、心膜炎、心膜心筋炎(perimyocarditis)、冠動脈心疾患、狭心症、先天性心疾患、ショック、四肢虚血、腎動脈の狭窄、糖尿病性網膜症、マラリアに伴う血栓症、人工心臓弁、貧血、脾機能亢進症候群(hypersplenic syndrome)、気腫、肺線維症、勃起不全、心臓伝導障害、高血圧、低血圧および肺水腫が含まれる。
【0106】
便秘は、腸神経系(ENS)内での毒性αS凝集体の形成と相関することが疑われる程度まで、PDなどの多くの神経疾患の初期指標として役立つ(Braakら、2003(b))。迷走神経などの求心性神経を介して、ENSから中枢神経系(CNS)へαS凝集体が正常に輸送された結果(Holmqvistら、2014;Svenssonら、2015)、神経毒性凝集体が脳幹内および、より吻側の構造物内に漸進的に蓄積する。したがって、ENSにおけるαS凝集を阻害することで、ENSとCNSの両方における継続的な神経疾患過程が減少する可能性がある(Phillipsら、2008)。ENSとCNSとの間のこの関係は、疾患のクラスまたはアミノステロール活性の枢軸に関して、本明細書中で「脳-腸」と記載されることがある。
【0107】
理論に束縛されるものではないが、アミノステロールは、消化管に局所的に作用することによって腸機能を改善すると考えられる(低い経口バイオアベイラビリティー、例えば、約0.3%未満によって支持される)。スクアラミンなどの経口投与されたアミノステロールは、ヒトαSの過剰発現による便秘マウスの消化運動を刺激する(Westら、準備中の原稿)。スクアラミンなどのアミノステロールをPDマウスモデルの摘出腸管の内腔を通して潅流すると、ENSの主要な感覚ニューロンであるIPAN(内在性一次求心性ニューロン)が興奮し、推進性蠕動収縮の頻度が増加し、迷走神経の求心性アームに投射する神経シグナルが増大する。
【0108】
アミノステロールの投与後にENSから始まる神経インパルスが、CNSへの求心性神経シグナル伝達を増大させると理論付けられる。これは、神経刺激に伴い神経自食活性が亢進することが知られていることから(Shehataら、2012)、CNS内で吻側に投射する二次・三次ニューロンと同様に、求心性ニューロン自身内のαS凝集体のクリアランスを刺激する可能性がある。アミノステロール投与の停止後、CNSのニューロンは、局所的に、または腸内のαS再凝集からの輸送のいずれかを介して、徐々にαS負荷を再蓄積すると考えられる。
【0109】
概日リズムの乱れは、臨床および動物モデルの両方においてPDなどの神経疾患において記載されており、PDなどの神経疾患に関連する異常な睡眠構造、認知症、気分および自律神経機能障害において役割を果たし得る(Breenら、2014;Videnovicら、2017;Antonio-Rubioら、2015;Madrid-Navarroら、2018)。手首の皮膚温度の概日周期は、睡眠覚醒周期と相関することが示されており、これは、皮膚からの夜間の熱放散が中核温度の低下および睡眠の開始に及ぼす影響を反映している(Sarabiaら、2008;Ortiz-Tudelaら、2014)。
【0110】
化合物VIまたはその塩もしくは誘導体の投与は、患者の概日リズムに対して有意なプラスの影響を有すると考えられる。化合物VIは、理論に束縛されることなく、マスター時計(視交叉上核)とその自律神経投射を含むニューロン回路に影響を与え、概日機能障害の治療的修正の可能性を開くと考えられている。本明細書においてより詳細に記載されるように、化合物VIの用量は、約0.01~約500mg/日の範囲であり得、用量の決定は、以下により詳細に記載される。
【0111】
D.粘膜組織の若返り
例1は、スクアラミンが老齢マウスにおいて粘膜組織を若返らせ、トランスクリプトームを増加させるのに有効であることを示す。セクションI.Aで議論したように、化合物VIおよびスクアラミンなどのサメ由来アミノステロールは、類似の構造および官能基の空間的位置を共有する。したがって、スクアラミンの活性は、化合物VIおよびその誘導体に及ぶと考えられる。
【0112】
加齢には、消化管における遺伝子発現の枯渇が関与している。若齢マウス(20週齢、図1A)と老齢マウス(78週齢、図1B)における胃の粘膜組織を示す画像を比較すると、老齢の標本では、粘膜層の厚さが薄くなっていることがわかる。この粘膜の減少は、老齢マウス(例えば、78週齢)対若齢マウス(例えば、20週齢)における胃のRNAトランスクリプトームの減少と関連している、表2を参照されたい。例1では、老齢マウスに対するスクアラミン(ENT-01)の経口投与の影響を評価した。2週間の投与後、動物を安楽死させ、消化管を、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、および直腸に切断した。その後、胃組織を組織学的検査に供し、トランスクリプトームをRNAseqで解析した。
【0113】
例1の表3のすべての遺伝子についてのmRNAレベルは、スクアラミンによる治療後に有意な増加を示した。これは、スクアラミンが老化した腸において若返り効果を有し、この活性が化合物VIおよびその塩、溶媒和物、誘導体、およびプロドラッグに及ぶと考えられることを示唆する。
【0114】
II.化合物
一実施形態では、以下の式を有するアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0115】
【化25】
【0116】
一実施形態では、アミノステロールが以下の式を有する、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0117】
【化26】
【0118】
一実施形態では、以下の式を有するアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0119】
【化27】
【0120】
一実施形態では、アミノステロールが以下の式を有する、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0121】
【化28】
【0122】
別の実施形態において、以下の式を有するアミノステロール化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0123】
【化29】
【0124】
いくつかの実施形態では、アミノステロール化合物が以下の式を有する、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0125】
【化30】
【0126】
一実施形態では、プロドラッグが下式の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体を含む:
【0127】
【化31】
【0128】
ここで、
は、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、および任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
は、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり、
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【0129】
一実施形態では、プロドラッグが下式の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体を含む:
【0130】
【化32】
【0131】
一実施形態では、プロドラッグが下式の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体を含む:
【0132】
【化33】
【0133】
ここで、
は、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、および任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
は、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【0134】
一実施形態では、プロドラッグが下式の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体を含む:
【0135】
【化34】
【0136】
別の実施形態において、以下の式を有するアミノステロール化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体が提供される:
【0137】
【化35】
【0138】
ここで、
は、H、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、および任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
は、Hまたは-C(O)Rであり、ここで、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルキニル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたC-Cシクロアルキル、または任意に置換されたC-Cアルケニルであり;
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、Hではない。
【0139】
一実施形態では、アミノステロール化合物が以下の式を有する、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である:
【0140】
【化36】
【0141】
本開示のアミノステロールは、不斉炭素原子を含んでもよい。このように、本開示のアミノステロールは、個々のエナンチオマー、または2つのエナンチオマーの混合物のいずれかとして存在し得る。したがって、本開示のアミノステロールは、ラセミ混合物、および別の可能な立体異性体を実質的に含まない個々のそれぞれの立体異性体またはジアステレオ異性体の両方を含むことができる。本明細書で使用される「他の立体異性体を実質的に含まない」という用語は、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の他の立体異性体、または「約X」%未満の他の立体異性体(Xは0~100の数である)が存在することを意味する。
【0142】
いくつかの実施形態において、アミノステロールは、本明細書中に開示されるいずれかのアミノステロールの誘導体、または化合物VIの誘導体(ENT-06)であり、生体内分布、投与の容易さ、代謝安定性、またはそれらの任意の組み合わせを改善するために医学的化学によって修飾される。いくつかの実施形態では、化合物VIまたは誘導体アミノステロールが、(1)硫酸塩部分の代謝除去およびコレステロール側鎖の酸化を回避するように選択されたスルホン酸塩、リン酸塩、または他のアニオン性部分によるカルボキシレートの置換;(2)代謝酸化または共役を防止するための、フッ素原子などの非代謝性極性置換基によるヒドロキシル基の置換;および/または(3)ステロイド環系の酸化的または還元的代謝を防止するための種々の環水素原子の置換、のうちの1つ以上を含むように修飾される。
【0143】
本技術はまた、本明細書中に開示されるアミノステロールの塩、溶媒和物および水和物を提供する。この技術のアミノステロールの塩は、酸とアミノ官能基などのアミノステロールの塩基性基との間、または塩基とカルボキシル官能基のようなアミノステロールの酸性基との間で形成される。別の実施形態によれば、アミノステロールは、薬学的に許容される酸付加塩である。薬学的に許容される塩の例としては、塩酸塩、ナトリウム、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩または二リン酸塩、塩化物、カリウム、マレイン酸塩、カルシウム、クエン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、酒石酸塩、アルミニウム、およびグルコン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
薬学的に許容される塩を形成するために一般に使用される酸としては、無機酸、例えば、二硫化水素、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸、ならびに有機酸、例えば、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、ビタルタル酸(bitartaric acid)、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸、ならびに関連する無機および有機酸が挙げられる。したがって、このような薬学的に許容される塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリレート、アクリレート、ギ酸塩、イソブチレート、カプレート、ヘプタノエート、プロピオレート、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベレート、セバケート、フマレート、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、ベンゾエート、クロロベンゾエート、メチルベンゾエート、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタレート、テレフタレート、スルホネート、キシレンスルホネート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、シトレート、乳酸塩、β-ヒドロキシブチレート、グリコレート、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホネート、プロパンスルホネート、ナフタレン-1-スルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、マンデレートおよびその他の塩が含まれる。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、およびリン酸などの鉱酸により形成されるものを含む。
【0145】
III.クレームされたアミノステロール化合物の製造方法
一実施形態において、下式のアミノステロールを製造する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む:
【0146】
【化37】
【0147】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む:
【0148】
【化38】
【0149】
いくつかの実施形態では、化合物Iaが以下の式を有し、化合物VIは、以下の式を有する:
【0150】
【化39】
【0151】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの製造方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む:
【0152】
【化40】
【0153】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む:
【0154】
【化41】
【0155】
いくつかの実施形態では、化合物Iaが以下の式を有し、化合物IVは、以下の式を有する:
【0156】
【化42】
【0157】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの製造方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することを含む:
【0158】
【化43】
【0159】
別の実施形態において、下式のアミノステロールの形成を抑制する方法が提供され、この方法は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を抑制することを含む:
【0160】
【化44】
【0161】
いくつかの実施形態では、化合物Iaが以下の式を有し、化合物Vは下式を有する:
【0162】
【化45】
【0163】
いくつかの実施形態において、アミノステロールは、被験体においてインビボで産生される。いくつかの実施形態において、アミノステロールは、インビトロで産生される。
【0164】
いくつかの実施形態において、化合物Iへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される。いくつかの実施形態において、化合物Iへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される。いくつかの実施形態において、化合物Iaへのスペルミジンの付加は、被験体においてインビボで抑制される。いくつかの実施形態において、化合物Iaへのスペルミジンの付加は、インビトロで抑制される。
【0165】
いくつかの実施形態において、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することは、スペルミジンおよび化合物Iaを含むマトリックスを、化合物Iaへのスペルミジンの付加を促進する薬剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することは、スペルミジンおよび化合物Iaを含む細胞を、化合物Iaへのスペルミジンの付加を促進する薬剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、アミノステロールは、被験体においてインビボで産生され、化合物Iaへのスペルミジンの付加を刺激することは、化合物Iaへのスペルミジンの付加を促進する有効量の薬剤を被験体に投与することを含む。該薬剤の投与は、アミノステロールを投与するための、本明細書中で議論される同じ経路のいずれかによる投与を含み得る。
【0166】
いくつかの実施形態において、化合物Iaへのスペルミジンの付加を促進する薬剤は、プロモーターまたはエフェクターを含む。エフェクターは、酵素活性化因子、酵素誘導因子、タンパク質、小分子、または核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、薬剤が、スペルミジンの化合物Iaへの付加を活性化または触媒する任意の薬剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、薬剤は、化合物Iaへのスペルミジンの付加を触媒する1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、薬剤が、化合物Iaへのスペルミジンの付加を触媒する、酵素をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、またはペプチドエフェクターをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。1つ以上のポリヌクレオチドは、組換えDNAおよび/またはRNAを含み得る。いくつかの実施形態において、薬剤は、1つ以上のポリヌクレオチドを含むベクターを含み得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、スペルミジンの付加は酵素還元アミノ化である。いくつかの実施形態では、スペルミジンの付加は合成還元アミノ化である。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。いくつかの実施形態では、被験体が哺乳動物を含むヒトおよび非ヒト動物、ならびにヒト小児および成体を含む未成熟および成熟動物を含む。ヒト被験体は、乳児、幼児、学齢の子供、ティーンエイジャー、若年成人、成人、または高齢の患者であり得る。
【0168】
IV.組成物
別の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、本明細書中に開示されるアミノステロール化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体、ならびに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む組成物である。
【0169】
別の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、本明細書中に開示されるアミノステロール化合物の乳酸塩またはジ乳酸塩、ならびに任意に、1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む組成物である。本明細書中に開示されるアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの投与は、組成物の投与を含み得る。
【0170】
別の実施形態では、本明細書中に開示されるアミノステロール化合物の重水素化形態を、本開示の組成物および方法において使用することができる。
【0171】
A.医薬品担体
アミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを単独で投与することは可能であるが、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に、それを医薬製剤として投与することが好ましい。担体は、アミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと適合性であるという意味で「許容される」ものでなければならず、そのレシピエントに有害ではない。
【0172】
一般に、製剤は、本明細書に記載のアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグもしくは誘導体を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、またはその両方と均一かつ緊密に接触させることによって調製される。次いで、必要であれば、生成物を所望の製剤に成形する。凝固オイルおよびオレイン酸エチルのような非水溶性媒体はまた、リポソームと同様に有用である。
【0173】
担体は、適当には、等張性および化学的安定性を高める物質などの少量の添加剤を含む。そのような材料は、使用される用量および濃度においてレシピエントに無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸、および他の有機酸またはそれらの塩などの緩衝液;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、例えばポリアルギニンまたはトリペプチド;ゼラチン、血清アルブミン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンなどのアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの対イオン;ならびに/またはポリ溶媒和物、ポロキサマー、またはPEGなどの非イオン性界面活性剤を含む。
【0174】
エアロゾル投与が適切である場合、本明細書に記載されるアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグは、標準的な手順を使用してエアロゾルとして処方され得る。「エアロゾル」という用語は、細気管支または鼻腔に吸入することができる本明細書に記載の化合物の任意のガス媒介懸濁相(gas-borne suspended phase)を含み、乾燥粉末および水性エアロゾル、ならびに肺および鼻エアロゾルを含む。具体的には、エアロゾルは、定量吸入器もしくはネブライザー、またはミスト噴霧器で生成され得るような、本明細書に記載される化合物の液滴のガス媒介懸濁液(gas-born suspension)を含む。エアゾールはまた、空気または他のキャリアガス中に懸濁された本技術の組成物の乾燥粉末組成物を含み、これは、例えば、吸入器デバイスからの通気によって送達され得る。Ganderton & Jones、「気道への薬剤送達」(Ellis Horwood,1987);Gonda、Critical Reviews in therapeutic Drug Carrier Systems, 6:273-313(1990);およびRaeburnら、Pharmacol. Toxicol. Methods,27:143-159(1992)、を参照のこと。
【0175】
B.剤形
アミノステロール組成物は、単位投薬形態で便利に提供することができ、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。例示的なアミノステロール剤形には経口、鼻腔内、および注射可能(IP、IV、またはIM)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アミノステロール製剤は、経口、鼻腔内、またはそれらの組み合わせで投与される。さらに別の実施形態では、投与は非経口投与を含む。
【0176】
本技術の製剤または組成物は、使用説明書または添付文書と一緒に包装するか、またはキットに含めることができる。「薬学的に許容される担体」は、任意のタイプの非毒性固体、半固体または液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料または製剤補助剤を指す。
【0177】
本技術による医薬組成物はまた、1つ以上の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味料、香料、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤を含み得る。このような賦形剤は、当技術分野で知られている。
【0178】
充填剤の例には、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、および種々のデンプンが含まれ、結合剤の例には、種々のセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102などの微結晶セルロース、微結晶セルロース、ならびにケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCC(商標))が含まれる。
【0179】
圧縮される粉末の流動性に作用する薬剤を含む好適な潤滑剤は、Aerosil(登録商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルなどのコロイド状二酸化ケイ素を含むことができる。
【0180】
甘味料の例としては、スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム、およびアセスルファムなどの任意の天然または人工甘味料を挙げることができる。香料の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー、およびフルーツフレーバーなどである。
【0181】
防腐剤の例には、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールのようなアルコール、フェノールのようなフェノール化合物、または塩化ベンザルコニウムのような4級化合物が含まれる。
【0182】
適切な希釈剤には、微結晶セルロース、ラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、糖類、および/または前述のいずれかの混合物などの薬学的に許容される不活性充填剤が含まれる。希釈剤の例としては、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102のような微結晶セルロース;ラクトース一水和物、ラクトース無水物およびPharmatose(登録商標)DCL21のようなラクトース;Emcompress(登録商標)のような二塩基性リン酸カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;およびグルコースがある。
【0183】
適切な崩壊剤には、軽度に架橋されたポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および改変デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびそれらの混合物が含まれる。
【0184】
吸入または経鼻投薬形態で投与され得る。吸入、肺、および/または経鼻の投薬形態は、エアロゾル、乾燥粉末、液体、または噴霧を含み得る。いくつかの実施形態では、投与が定量吸入器を用いて行われる。吸入とは、呼吸通路を介して、および/または被験体の鼻もしくは口などの被験体の気道を介して、アミノステロールが送達されることを意味する。
【0185】
本文脈における定量吸入器は、アミノステロールなどの薬物の定量またはボーラス用量を肺に送達することができる装置を意味する。吸入装置の一例は、加圧定量吸入器であり得、これは、クロロフルオロカーボン(CFC)および/またはヒドロフルオロアルカン(HFA)溶液中の薬物の溶液、固体、および/または懸濁液から、吸入のためのエアロゾル雲を生成する装置である。
【0186】
吸入装置は、乾燥粉末吸入器であってもよい。このような場合、アミノステロールは、通常、直径10マイクロメートル未満または直径5マイクロメートル未満の粒子サイズを有する粉末の形態で、固体組成物で吸入される。
【0187】
定量吸入器は、ソフトミスト吸入器(SMI)とすることができ、ここで、呼吸薬を含むエアロゾル雲は、該呼吸薬を含む溶液をノズルまたは一連のノズルに通すことによって生成することができる。エアロゾルの発生は、SMIにおいて、例えば、機械的、電気機械的または熱機械的プロセスによって達成することができる。ソフトミスト吸入器の例には、Respimat(登録商標)吸入器(Boeringer Ingelheim GmbH)、AERx(登録商標)吸入器(Aradigm Corp.)、Mystic(商標)吸入器(Ventaira Pharmaceuticals、Inc.)およびAira(商標)吸入器(Chrysalis Technologies Incorporated)が含まれる。ソフトミスト吸入器技術の概説については、例えば、M. Hindle, The Drug Delivery Companies Report, Autumn/Winter 2004, pp.31-34を参照されたい。SMI用エアロゾルは、アミノステロールを含み、任意に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物から生成することができる。組成物は例えば、任意の適切な媒体、例えば、水、エタノールまたはそれらの混合物中に分散されたアミノステロールであり得る。一実施形態では、アミノステロール含有エアロゾル粒子の直径が約10ミクロン未満、または約5ミクロン未満、または約4ミクロン未満である。
【0188】
吸入、肺または経鼻製剤は、湿気に対する感受性を低下させるために疎水性物質を含むことができる。このような疎水性物質は、好ましくはロイシンであり、これは粒子の解凝集をより容易にする。
【0189】
粉末形態の固体生成物の製造の場合、これは、製薬業界において十分に説明されている様々な技術を用いて行うことができる。噴霧乾燥または凍結乾燥による微粒子の調製は、本開示による例示的な方法を表す。
【0190】
経鼻、吸入、または肺投与において、特に微生物感染を治療するために投与することができるアミノステロールの例示的な用量は、例えば、約50mg以下、約45mg以下、約40mg以下、約35mg以下、約30mg以下、約25mg以下、約20mg以下、約15mg以下、約14mg以下、約13mg以下、約12mg以下、約11mg以下、約10mg以下、約9mg以下、約8mg以下、約7mg以下、約6mg以下、約5mg以下、約4mg以下、約3mg以下、約2mg以下、約1mg以下、および約0mgより大きいことができる。用量は、装置からの単一または複数のポンプまたは排出で送達され得る。
【0191】
アミノステロール用量は、20呼吸以下、または10呼吸以下、または5呼吸以下で投与することができる。他の実施形態において、アミノステロールは、約3、約2または約1呼吸で投与され得る。単一投与事象の合計時間は、5分未満、または約1分未満、約30秒未満、または約15秒未満であり得る。さらに、アミノステロールは、1日に1回、または1日に数回投与することができる。
【0192】
C.用量および投与期間
本開示の他の実施形態において、本明細書中に記載されるアミノステロールの用量は、約1~約500mg/日、またはこれらの2つの値の間の任意の量の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、被験体に、本明細書に記載のアミノステロールの治療有効量を投与する。本開示の方法における少なくとも1つのアミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の治療有効量は、例えば、被験体の体重に対して、約0.1~約20mg/kg、約0.1~約15mg/kg、約0.1~約10mg/kg、約0.1~約5mg/kg、または約0.1~約2.5mg/kgであり得る。別の実施形態において、本開示の方法における少なくとも1つのアミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の治療有効量は、例えば、約0.001~約500mg/日、約0.001~約250mg/日、約0.001~約125mg/日、約0.001~約50mg/日、約0.001~約25mg/日、または約0.001~約10mg/日であり得る。
【0193】
本明細書中に記載されるアミノステロールの経口用量は、約1~約500mg/日、またはこれらの2つの値の間の任意の量の範囲であり得る。一実施形態では、投与方法が経口投与を含み、アミノステロールの治療有効量は、(i)約1~約300mg/日;(ii)約25~約300mg/日;(iii)約50~約300mg/日;または(iv)約75~約300mg/日を含む。経口投与されるアミノステロールの他の例示的な用量は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200、約205、約210、約215、約220、約225、約230、約235、約240、約245、約250、約255、約260、約265、約270、約275、約280、約285、約290、約295、約300、約305、約310、約315、約320、約325、約330、約335、約340、約345、約350、約355、約360、約365、約370、約375、約380、約385、約390、約395、約400、約405、約410、約415、約420、約425、約430、約435、約440、約445、約450、約455、約460、約465、約470、約475、約480、約485、約490、約495、または約500mg/日を含むが、これらに限定されない。
【0194】
アミノステロールの鼻腔内用量は、アミノステロールの経口用量よりはるかに少ない。そのような鼻腔内アミノステロール低用量の例としては、約0.001~約6mg/日、またはこれらの2つの値の間の任意の量が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、投与方法が経鼻投与を含み、アミノステロールの治療有効量は、(i)約0.001~約6mg/日;(ii)約0.001~約4mg/日;(iii)約0.001~約2mg/日を含む。例えば、鼻腔内投与されるアミノステロールの低用量は、約0.001、約0.005、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、または約6mg/日であり得る。
【0195】
鼻腔内(IN)投与のために、アミノステロール用量は、同じ用量が、任意の他の経路(例えば、「治療下」用量)によって投与される場合に、任意の薬理学的効果を提供せず、さらに、負の効果をもたらさないように選択され得ることが意図される。例えば、本明細書中に記載されるように、化合物VI(ENT-06)は、食物摂取の減少および体重減少の薬理学的効果を有する。したがって、本開示のIN方法において、アミノステロールが化合物VI(ENT-06)またはその塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体である場合、そして、同じIN化合物VI用量が別の経路(例えば、経口、IP、またはIV)を介して投与される場合、化合物VIの用量は、食物摂取の顕著な減少または顕著な体重減少をもたらさない。同様に、いくつかのアミノステロールは、悪心、嘔吐および/または血圧低下の薬理学的効果を生じることが知られている。したがって、本開示のIN方法において、アミノステロールがINで与えられた際にこの効果を有する場合、そして、同じINアミノステロール用量が経口、IP、またはIVのような別の経路を介して投与される場合、アミノステロール用量は、顕著な悪心、嘔吐、および/または血圧の低下をもたらさない。適切な例示的なアミノステロール用量は、上記に記載されている。いくつかの実施形態において、鼻腔内投与は、脳へのアミノステロールの送達を含む。
【0196】
所与のアミノステロール用量が、下痢、嘔吐、吐き気などの持続的な望ましくない副作用を誘発する場合、アミノステロールの用量を漸減(減量)することができる。別の実施形態において、アミノステロールの用量は、有害事象を排除するための用量の適度な減少、または臨床結果がこれが望ましいことを示唆する場合の用量の適度な増加(例えば、用量の適度な増加に伴う有害事象および潜在的な増加した有効性がないか、または最小限である)を可能にするために、規定された量をプラスまたはマイナスして変動され得る。例えば、一実施形態では、アミノステロール用量を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%増加または減少させることができる。
【0197】
アミノステロールまたはその誘導体、塩、溶媒和物、またはプロドラッグを含む医薬組成物は、長期間の維持用量を含む任意の適切な期間投与することができる。投薬は、任意の薬学的に許容される投薬レジメンを使用して、必要に応じて行われ得る。アミノステロールの投与は1日1回(1x)以下、1日おきに1回、3日おきに1回、4日おきに1回、5日おきに1回、6日おきに1回、週に1回、または所与の日中に複数の期間にわたって分割することができる(例えば、1日2回)。例示的な実施形態では、投与は1回(1x)/日である。
【0198】
他の実施形態では、組成物が(1)単回投与として、または一定期間にわたる複数回投与として;(2)不定期間の維持用量で;(3)1回、2回または複数回;(4)毎日、隔日、3日ごと、週ごと、または月ごと;(5)約1、約2、約3、約4週間、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、または約12ヶ月、約1年、約1.5年、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、約14、約14.5、約15、約15.5、約16、約16.5、約17、約17.5、約18、約18.5、約19、約19.5、約20、約20.5、約21、約21.5、約22、約22.5、約23、約23.5、約24、約24.5、または約25年のような期間、または(6)これらのパラメータの任意の組合せ、例えば、6ヶ月間の毎日の投与、1年以上の毎週の投与。
【0199】
さらに別の例示的な投薬レジメンは、有効用量が約1、約2、約3、約4、約5、約6日毎に1回、または週1回送達され得る、定期的な投薬を含む。
【0200】
好ましい実施形態において、アミノステロール用量は、朝に、すなわち、空腹時に、好ましくは起床の約2時間以内に摂取され、その後、例えば、約60~約90分など、食物を摂取しない期間が続き得る。他の実施形態において、アミノステロール用量は、起床して、約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.25時間、約1.5時間、約1.75時間、約2時間、約2.25時間、約2.5時間、約2.75時間、約3時間、約3.25時間、約3.5時間、約3.75時間、または約4時間以内に摂取される。なお、さらなる実施形態において、アミノステロール用量は、食物を摂取しない期間に続くが、この期間は、少なくとも約30分、約45分、約60分、約1.25時間、約1.5時間、約1.75時間、または約2時間である。
【0201】
理論に束縛されることはないが、アミノステロールは、おそらく、そのENSシグナリングに起因して、概日リズムに影響を及ぼし、朝にアミノステロール用量を服用することにより、日中に起こるすべての自律神経生理学的機能の同期化を可能にすると考えられる。本開示の他の実施形態において、アミノステロール用量は、起床から約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.25時間、約1.5時間、約1.75時間、約2時間、約2.25時間、約2.5時間、約2.75時間、約3時間、約3.25時間、約3.5時間、約3.75時間、または約4時間以内に摂取される。さらに、本開示の他の実施形態では、アミノステロール投薬後、被験体は食物を摂取しない、約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.25時間、約1.5時間、約1.75時間、約2時間、約2.25時間、約2.5時間、約2.75時間、または約3時間の期間を有する。
【0202】
D.「固定アミノステロール用量」
一実施形態において、本出願は、本明細書中に記載されるアミノステロールの「固定用量」(すなわち、年齢、サイズ、または体重依存性ではなく、むしろ個々に較正される)を決定するための方法の発見に関する。この方法によって得られる「固定用量」は、「固定用量」が決定された症状、「脳-腸」軸に沿った関連症状、および基礎疾患を治療する際に非常に有効な結果をもたらす。さらに、基礎疾患を予防する方法のために、この同じ「固定用量」方法を活用する方法が、本明細書において意図される。本開示は、固定されたアミノステロール用量が特定の患者について決定される方法に限定されない。
【0203】
治療的に有効である「固定アミノステロール用量」(本明細書中では「固定漸増アミノステロール用量」とも称される)は、アミノステロール組成物の開始用量およびアミノステロール用量の有効性を評価するためのツールまたはマーカーとして使用される特定の症状の改善のための閾値を確立することによって、各患者について決定される。特定の患者に対する開始アミノステロール用量を決定した後、アミノステロール用量は、所望の改善が達成されるまで、一定の時間隔にわたって一貫した量ずつ漸増され、このアミノステロール用量は、その特定の症状に対するその特定の患者に対する「固定漸増アミノステロール用量」である。例示的な実施形態では、経口投与されるアミノステロール用量は、所望の改善が達成されるまで、約3~約5日毎に約25mgずつ漸増される。症状改善を測定するためのツールとともに評価される症状は、これらに限定されないが、以下に具体的に記載される、便秘、幻覚、睡眠障害(例えば、REM障害睡眠または概日リズム機能障害)、認知障害、うつ病、またはα-シヌクレイン凝集を包含する。
【0204】
次いで、この治療的に有効な「固定用量」は、治療および/または予防を通して維持される。したがって、患者が「薬剤をやめ」、アミノステロール組成物の服用を中止しても、アミノステロール治療の再開後、ランプアップ期間なしで同じ「固定用量」が服用される。
【0205】
理論に拘束されるものではないが、アミノステロール用量は、「固定用量」閾値を確立する症状に関連する神経損傷の重症度に依存すると考えられている-例えば、便秘については、用量は、患者の消化管における神経系損傷の程度に関連する可能性がある。
【0206】
増量:特定の患者の「固定アミノステロール用量」を決定する際には、より低用量から開始し、その後、評価対象の症状についてポジティブな結果が認められるまで増量する。評価されるべき例示的な症状は便秘であり得るが、治療されるべき疾患または障害に関連する任意の症状は、アミノステロール用量を評価するためのマーカーとして使用され得る。アミノステロールの用量が、下痢、嘔吐、吐き気などの持続的な望ましくない副作用を誘発する場合は、アミノステロールの用量を漸減(減量)することもできる。
【0207】
開始アミノステロール用量は、症状の重症度に依存する-例えば、1週間に1回未満の自発的排便(SBM)と定義される重度の便秘を経験している患者の場合、経口アミノステロールの開始用量は、約150mg/日以上でよい。対照的に、中等度の便秘(例えば、1週間に1回以上のSBMを有すると定義される)を有する患者について、開始経口アミノステロール用量は、約75mg/日であり得る。したがって、例として、中等度の便秘を経験する患者は、約75mg/日の経口アミノステロール用量で開始することができ、一方、重度の便秘を経験する患者は、約150mg/日の経口アミノステロール用量で開始することができる。
【0208】
他の実施形態では、中程度の症状を経験する患者(固定漸増アミノステロール用量を計算するために使用される症状について)が約10mg/日~約75mg/日の経口アミノステロール用量、またはこれらの値の間の任意の量で開始され得る。例えば、中程度の症状のための開始経口アミノステロール用量は、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約60、約65、約70、または約75mg/日であり得る。
【0209】
なお、さらなる実施形態において、患者が重篤な症状を経験している場合(固定漸増アミノステロール用量を計算するために使用される症状について)、患者は、約75~約175mg/日の範囲の経口アミノステロール用量、またはこれらの2つの値の間の任意の量で開始され得る。例えば、重篤な症状のための開始経口アミノステロール用量は、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、または約175mg/日であり得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、開始経口アミノステロール用量が約125mgまたは約175mg/日であってもよく、これもまた、便秘などの症状の重症度に依存する。
【0211】
用量漸増前の開始INアミノステロール用量は、例えば、約0.001mg/日~約3mg/日、またはこれらの2つの値の間の任意の量であり得る。例えば、用量漸増前のIN投与のための開始アミノステロール用量は、例えば、約0.001、約0.005、約0.01、約0.02、約0.03、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.15、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約1.0、約1.1、約1.25、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.75、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.25、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.75、約2.8、約2.9、または約3mg/日であり得る。
【0212】
例示的な実施形態において、アミノステロール用量は、必要に応じて定期的に与えられる。例えば、アミノステロール用量は、1日1回投与することができる。アミノステロールの用量は、隔日、週に2回、3回、4回、または5回、1回/週、または2回/週でもよい。別の実施形態において、アミノステロール用量は、1週間おきに与えられ得るか、または数週間与えられ得、続いて、数週間スキップし(効果が治療後に持続するため)、続いて、アミノステロール治療を再開する。
【0213】
固定漸増アミノステロール用量を計算する場合、用量は、任意の適切な期間の後に漸増され得る。一実施形態では、アミノステロール用量は、所望の改善に達するまで、約3~約7日ごとに、ほぼ規定量ずつ増量される。例えば、治療/測定される症状が便秘である場合、閾値改善は、1週間あたり1SBMの増加、または1週間あたり少なくとも合計3回の排便であり得る。他の実施形態において、アミノステロール用量は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、または約14日ごとに増量することができる。他の実施形態において、アミノステロール用量は、約1回(1x)/週、約2回(2x)/週、約隔週、または約1回(1x)/月に漸増することができる。
【0214】
用量漸増の間、アミノステロール用量は、規定された量だけ増加させることができる。例えば、アミノステロールが経口的に投与される場合、用量は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、または約50mgずつ漸増され得る。アミノステロールが鼻腔内に投与される場合、用量は、例えば、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2mgの増分で増加され得る。
【0215】
患者の固定漸増アミノステロール用量に対するアミノステロール用量を決定するための終点として用いることができる他の症状は、治療されることが意図された疾患、障害、または状態に関連することが知られている任意の症状である。例えば、本明細書に記載される神経疾患症状には、(a)認知障害、幻覚および精神病、抑うつ気分、不安気分、無気力、ドーパミン調節異常症候群の特徴、睡眠障害、日中の眠気、疼痛、排尿障害、便秘障害、起立時のふらつき、および倦怠感など、パーキンソン病統一スケール(UPDRS)のパートIで定義されている、少なくとも1つの日常生活の経験の非運動的側面;(b)例えば、会話、唾液およびよだれ、咀嚼および嚥下、食事のタスク、着衣、衛生、書字、寝返り、振戦、ベッド、車または深い椅子から出ること、歩行およびバランス、ならびにすくみなど、UPDRSのパートIIで定義されている少なくとも1つの日常生活の経験の運動的側面;(c)例えば、言語、顔の表情、硬直、指のタッピング、手の動き、手の回内回外運動、つま先のタッピング、足の機敏性、椅子から立ち上がる、歩行、すくみ足歩行、姿勢の安定性、姿勢、身体の動作緩慢、手の姿勢時振戦、手の運動性振戦、安静時振戦の振幅、および安静時振戦の不変性など、UPDRSのパートIIIで特定される少なくとも1つの運動症状;(d)ジスキネジア、ジスキネジアの機能的影響、オフ状態に費やす時間、運動変動の機能的影響、運動変動の複雑性、および有痛性オフ状態ジストニアなど、UPDRSのパートIVで特定される少なくとも1つの運動合併症;(e)便秘;(f)うつ病;(g)認知障害;(h)睡眠障害または睡眠問題;(i)概日リズム機能障害;(j)幻覚;(k)倦怠感;(l)レム睡眠障害;(m)レム行動障害;(n)勃起不全;(o)無呼吸;(p)起立性低血圧;(q)血圧または起立性低血圧の是正;(r)夜間高血圧;(s)温度の調節;(t)呼吸または無呼吸の改善;(u)心臓伝導障害の是正;(v)疼痛の改善;(w)膀胱感覚および排尿の回復;(x)尿失禁;および/または(y)夜間頻尿の管理が含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
V.治療および/または予防の方法
本開示の実施形態は、本明細書中に開示される治療有効量のアミノステロール(例えば、化合物VI)、または任意に1つ以上の薬学的に許容される担体中に存在する、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の投与によって、これらの症状のうちの1つ以上に関連する疾患または障害を治療および/または予防する、特定の症状および/または方法を治療する方法に関する。治療有効量は、本明細書に記載されるとおりであり得、これには、本明細書に記載されるとおりに決定される「固定アミノステロール用量」が含まれるが、これに限定されない。
【0217】
一実施形態では、症状、疾患、および/または障害は、一般に、異常なαS病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関し、これは、それらが本明細書に記載されるアミノステロールでの治療を受けやすいことを意味する。本技術の組成物は、経口、肺、経鼻、および噴霧投与を含むが、これに限定されない、任意の薬学的に許容される方法を使用して投与され得る。さらに別の実施形態では、投与は非経口投与を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、アミノステロールによる治療を受けやすい状態または症状を有する、必要とする被験体を治療するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載のアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、アミノステロールでの治療を受けやすい状態を有する必要とする被験体を治療するための方法であって、本明細書で開示されるアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含むか、または本質的にそれらからなる組成物の治療有効量を被験体に投与することを含む方法である。
【0219】
アミノステロールによる治療を受けやすい症状の非限定的な例としては、便秘、幻覚、睡眠障害、認知障害、うつ病、および炎症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0220】
アミノステロールによる治療を受けやすい疾患の例は、本明細書に記載され、本明細書に記載されるもの、例えば、PD、AD、MSA、統合失調症、ハンチントン病(HD)、進行性核上性麻痺、前頭側頭認知症(FTD)、血管性認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、脊髄筋萎縮症(SMA)、フリードライヒ運動失調症を含むが、これらに限定されない。別の実施形態では、本明細書に記載されるアミノステロールおよびそれを含む組成物は、必要とする被験体における心理的障害または行動障害および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法において提供され得る。一実施形態では、心理的障害および/または行動障害が例えば、うつ病、不安、せん妄、易刺激性、幻覚および妄想、記憶喪失、自閉症、無気力、双極性障害、脱抑制、異常行動および強迫性-強制行動、睡眠障害、睡眠断片化、REM行動障害、概日リズム機能障害、睡眠時無呼吸、および認知障害であり得る。別の実施形態では、必要とする被験体における脳または全身の虚血性障害および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。脳または全身の虚血性障害は、例えば、微小血管障害、分娩時脳虚血、心停止または蘇生中/後の脳虚血、術中の問題による脳虚血、頸動脈手術中の脳虚血、脳への血液供給動脈の狭窄による慢性脳虚血、静脈洞血栓症または大脳静脈血栓症、脳血管奇形、糖尿病性網膜症、高血圧、高コレステロール、心筋梗塞、心不全(cardiac insufficiency)、心不全(cardiac failure)、うっ血性心不全、心筋炎、心膜炎、心膜心筋炎(perimyocarditis)、冠動脈心疾患、狭心症、先天性心疾患、ショック、四肢虚血、腎動脈の狭窄、糖尿病性網膜症、マラリアに伴う血栓症、人工心臓弁、貧血、脾機能亢進症候群(hypersplenic syndrome)、気腫、肺線維症、勃起不全および肺水腫であり得る。
【0221】
一実施形態では、PTP1Bを、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと接触させることを含む、タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)を阻害する方法が提供される。
【0222】
出願人は、例1において、スクアラミンが老齢マウスの腸における転写を増加させることができ、したがって腸に対する若返り効果を有することを示した。この活性は、化合物VIおよびその誘導体に及ぶと考えられる。したがって、別の実施形態において、被験体の腸における転写を増加させる方法が提供され、この方法は、治療有効量の本明細書のいずれかの実施形態のアミノステロール化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体を被験体に投与することを含む。
【0223】
A.異常αS病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する例示的症状とアミノステロール治療の適応
(1)便秘
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における便秘および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0224】
便秘は、世界的によくみられる問題であり、人口の2%~27%が罹患し、ほとんどの推定値は12%~20%である。便秘の有病率は、65歳超の人で30~40%に増加し、女性は不相応に影響を受ける。北米では、6千3百万の人々が便秘のRome IV基準を満たしており、米国だけでも、便秘は毎年2百万以上の医師受診の原因となっている。下剤は、毎年2~3百万の患者に処方され、さらに、大部分の患者では、症状は生涯にわたる治療を必要とする慢性である。
【0225】
便秘は、一般集団よりもPD患者にはるかに多くみられる。米国では、百万人がPDに罹患しており、そのうち約60%、すなわち600,000人が慢性便秘に罹患しており、ほとんどの場合、この病態は慢性的で重度であり、標準治療に反応しない。これは、PDを有する個体および医療システムに対する経済的負担を表す。fss.gsa.govで入手可能な2016年4月の連邦供給スケジュールによれば、便秘のために経口投与された薬物のバスケットの平均30日払い戻し価格は、年間約260ドルまたは3120ドルである。これは、PD患者にのみ処方される下剤約1.8Bドルに相当する。
【0226】
便秘は、主要な経済的負担を構成するだけでなく、個体の生活の質にも有意に影響を及ぼし、社会的孤立およびうつ病に寄与する。さらに、症状の重症度は、患者が報告した生活の質と負の相関を示す。便秘患者に対する効果的な運動促進薬は、この病態に対する現在利用可能な治療法に加えて有用であると考えられる。
【0227】
便秘とは、一定期間の排便回数が正常よりも少ない場合(週3回未満など)と定義される。厳密には、消化器症状として棄却されることが多いが、便秘は、ENS変性が後のCNS変性の指標となりうる程度の神経変性疾患の早期指標であると考えられている。実際、理論に束縛されることはないが、便秘はPD病態の最も初期の指標の1つと考えられている。したがって、本明細書に開示される方法の実施形態は、便秘の治療、または便秘に関連する基礎疾患の治療および/または予防に関する。
【0228】
便秘はPDでよくみられ、運動機能障害の発症およびその後のPD診断の数年前に症状が現れることが多い。PDに伴う神経変性過程、すなわちα-シヌクレインの毒性凝集体の蓄積が、脳内に現れる数年前に腸管神経系内で起こることを示す実質的な証拠がある。腸神経系(ENS)はその広い表面積を有し、感染性物質および毒性物質からの連続的な傷害を受けやすいと考えられている。α-シヌクレインの機能は知られていないが、神経系内の炎症は、その細胞内レベルの増加につながる。PD患者では、α-シヌクレインの増加により神経毒性凝集体が形成されるが、これはおそらく(遺伝的要因による)神経細胞が効果的に処理できないためであろう。その後、α-シヌクレインの集合体は、迷走神経に沿って脳幹内の背側運動核へ、そしてそこからより吻側の構造へと輸送される。
【0229】
PD患者は、主に結腸通過の遅延によって引き起こされると考えられる便秘の形態に罹患している。さらに、PD被験体の直腸肛門反射の機能障害によって排便が障害されることが多い。多くの個体にとって、腸の問題は生活の質に対する重大な有害事象である。この問題を効果的に管理できないことも、特にPDの終末期が近づくにつれて腸閉塞につながる可能性がある。限られた数の治療法が臨床試験に供されており、それらは、体液吸収を遮断するか、または腸内の浸透圧負荷を増加させるかのいずれかによって、便の体液含有量を増加させる薬剤を含む。
【0230】
PDにおける消化管(GI)機能不全の病態生理学は、脳幹内と同様にENS内のαSの沈着を含む。通常ニューロンで製造されるタンパク質であるαSが、未知の理由から、PDでは神経毒性細胞内凝集体を形成する。多くの研究から、αS凝集体形成は、運動症状の発症の何年も前にPD個体のENSで始まることが示唆されている。迷走神経内で起こる正常な逆行性ニューロン輸送の結果として、中毒性αS凝集体は、ENSのニューロンから迷走神経の背側運動核へと輸送され、次第に脳内の物理的運動とバランスに関与する部位へと輸送される。便秘は、基本的に後天性神経変性の性質のものであるため、この病態の他の形態とは異なる。
【0231】
便秘に対するアミノステロール治療の効果を測定および評価するために使用され得るツールの例には、例えば、(1)便秘のためのローマ-IV基準(7つの基準、以下の2つ以上の便秘診断を必要とする:(i)排便の少なくとも25%の間の緊張;(ii)排便の少なくとも25%におけるゴツゴツしたまたは硬い便、(iii)排便の少なくとも25%の間の不完全排便の感覚;(iv)排便の少なくとも25%の肛門直腸閉塞/閉塞;(v)排便の少なくとも25%を容易にするための手動操作;(vi)週に3回未満の排便;(vii)緩下剤の使用なしでは、軟便が存在することはまれ);(2)便秘-緩和しやすさの尺度(1~7、7=失禁、4=正常、1=手動による排便);(3)ブリストル便チャート(便硬さの評価は腸運動の有効な代勘)、これは、便の特徴を分類する患者に優しい手段である、および便日誌;(4)パーキンソン病統一スケール(UPSRS)、セクション1.11(便秘問題);(5)便秘症状の患者評価(PAC-SYM);および(5)便秘生活の質の患者評価(PAC-QOL)が含まれる。
【0232】
アミノステロール治療によってプラスの影響を受け得る便秘の特徴の例としては、便秘の頻度、便秘症状の持続時間、排便回数、便の硬さ、腹痛、腹部膨満感、不完全な排便、排便の試みの不成功、排便に伴う疼痛、および排便に伴ういきみが挙げられるが、これらに限定されない。潜在的に、これらの特徴の全ては、本開示の方法によってプラスに影響され得る。さらに、これらの特徴の評価、例えば、自然排便(SBM)/週、便の硬さ(Bristol Stool Form Scale)(Lewis and Heaton、1997;Heatonら、1992)、通過の容易さ(Ease of Evacuation Scale)(Andresenら、2007)、救急薬の使用と腸機能に関連する症状および生活の質(PAC-SYM (Frankら、1999)およびPAC-QOL (Marquisら、2005))は、当技術分野で公知である。
【0233】
便秘を治療および/または予防するために本開示によるアミノステロール組成物の治療有効量を使用する方法は、好ましくは、1週間あたりの自然排便の数の増加および/または他の便状態の改善をもたらす。この増加は、例えば、1週間で約1~約3回の自然排便の増加、または任意に、規則的な腸機能の完全な回復であり得る。
【0234】
本開示の一実施形態では、本明細書に記載の方法において、アミノステロールによる便秘を有する被験体の治療は、便秘の1つ以上の特徴の改善をもたらす。改善は例えば、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約325、約350、約375または約400%であり得る。本開示の方法によって改善できる便秘の特徴の例としては、便秘の頻度、便秘症状の持続時間、排便回数、便の硬さ、腹痛、腹部膨満感、不完全な排便、排便の試みの不成功、排便に伴う痛み、および排便に伴ういきみが挙げられるが、これらに限定されない。便秘特性の測定は、任意の臨床的に認識されたスケールまたはツールを使用して行うことができる。
【0235】
1つの実施形態において、評価される症状に対するプラスの影響を得るために必要とされるアミノステロールの用量(本明細書中、「固定漸増アミノステロール用量」と呼ばれる)は、患者特異的である。固定漸増アミノステロール用量は、年齢、サイズ、または体重に依存しなくてもよく、むしろ個々に較正することができる。別の実施形態では、便秘の重症度は、より高い必要とされる「固定漸増アミノステロール用量」と相関する。評価される症状について被験体においてプラスの効果を得るために必要とされるアミノステロール用量は、ニューロン損傷の程度と相関すると理論付けられる。したがって、評価されている症状の被験体においてプラスの効果を得るためには、より大きなニューロン損傷がより高い必要アミノステロール用量と相関すると理論付けられる。所望の反応を達成するのに必要なアミノステロール用量が便秘の重症度とともに増加するという観察は、αSが神経機能を妨げる負荷が大きいほど、正常な腸機能を回復するのに必要なアミノステロールの用量が高くなるという仮説を支持する。また、PDにおける消化管運動障害はENSにおけるαSの進行性の蓄積に起因し、アミノステロール治療はαSを置き換え、腸ニューロンを刺激することによりニューロン機能を回復させることができるという仮説も立てられている。これらの結果は、PDにおけるENSが不可逆的に損傷されず、正常な機能に回復され得ることを実証する。
【0236】
特定の患者に対する固定アミノステロール用量のキャリブレーションにおいて、開始用量は、便秘の重症度に基づいて変化する。したがって、重度の便秘を有する被験体(例えば、1週間あたり1以下のCSBMまたはSMBを有する被験体)について、経口アミノステロール投与は、約100~約150mg/日以上(または本明細書中に記載されるようなこれらの値の間の任意の量)で開始される。より重度でない便秘、例えば、1週間あたり1CSBMまたはSBMを超える患者については、経口アミノステロール投与を約25~約75mg/日(または本明細書に記載されるようなこれらの値の間の任意の量)で開始する。その後、患者に対する一定の増量用量が確認されるまで、規定の期間にわたって規定量ずつ増量する。アミノステロールの用量にかかわらず、下痢、嘔吐、吐き気などの望ましくない副作用が持続する場合には、アミノステロールの用量を漸減(減量)することもできる。
【0237】
例えば、重度の便秘を有する患者について、開始経口アミノステロール用量は、75mgから約300mg/日まで、またはこれらの2つの値の間の任意の量であり得る。他の実施形態において、重症便秘患者に対する開始経口アミノステロール用量は例えば、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200、約205、約210、約215、約220、約225、約230、約235、約240、約245、約250、約255、約260、約265、約270、約275、約280、約285、約290、約295、または約300mg/日であり得る。重度の便秘患者に対する「固定漸増」経口アミノステロール用量は、約75mgから約500mg/日までの範囲である可能性が高い。
【0238】
より重度でない便秘を有する患者については、経口アミノステロール投薬が約10~約75mg/日、または本明細書中に記載されるようなこれらの2つの値の間の任意の量で開始される。例えば、中程度から軽度の便秘を有する患者に対する開始経口アミノステロール用量は、約1、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75mg/日以下であり得る。軽度または中等度の便秘患者に対する固定漸増経口アミノステロール用量は、約5mg~約350mg/日、または本明細書に記載されるようなこれら2つの値の間の任意の量の範囲であり得る。
【0239】
(2)幻覚
一実施形態において、本明細書中に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における幻覚および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0240】
幻覚は、外部刺激に基づかない5つの感覚(視覚、触覚、音、嗅覚、または味覚)のいずれかにおける、物体または事象の感覚的印象または知覚である。幻覚は、被験体が日常的な状況で正常に機能することを困難にすること、および睡眠障害を引き起こすことによって、自己または他者に害を及ぼすことによって、被験体の健康および生活に衰弱させる影響を及ぼし得る。幻覚の例としては、誰かがそこにいない「見る」(幻視)、「他人が聞いていない声を聞く」(幻聴)、「何かを感じる」(幻触)、「においがする」(嗅覚)、および「味覚」(味覚)が挙げられる。幻覚のタイプの他の例としては、入眠幻覚(鮮明な幻覚、入眠時に起こる夢のような幻覚)、催眠幻覚(鮮明な幻覚、覚醒時に起こる夢のような幻覚)、運動感覚幻覚(体の動きの感覚を含む幻覚)、身体的幻覚(体内で起こる身体経験の知覚を含む幻覚)などがある。
【0241】
幻覚は精神状態の結果であったり、神経疾患などの疾患と相関していたりすることがある。幻覚、特に幻聴は、統合失調症のような特定の精神状態に特徴的であり、被験体の70~80%までに起こる。境界性人格障害の人の30~50%にも生じる。幻聴は活動または行動を制御し、暴力的な防御行動を誘発することができ、あるいは、自己害行動をもたらすことができる。これらは分娩後精神病でも起こりうる。幻聴は、重度のうつ病患者や躁病でもあまりみられないことがある。物質乱用はまた、幻視に関連し得る。アルコール中毒または禁酒、心的外傷後ストレス障害(PTSD)および死別も幻視と関連しうる。
【0242】
一部の症例では、幻覚は精神障害または神経障害の結果である。アミノステロール組成物は、例えば、精神障害または神経障害の機能不全を逆転させ、幻覚を治療することができる。精神障害は、例えば、双極性障害、境界性人格障害、うつ病(混合型)、解離性同一性障害、全般性不安障害、大うつ病、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、精神病(NOS)、統合失調感情障害、および統合失調症からなる群より選択され得る。神経変性障害は、例えば、PD、核上性麻痺、多系統萎縮症、パーキンソニズム、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、統合失調症、フリードライヒ運動失調症、多発性硬化症(MS)、レビー小体型認知症または疾患、脊髄性筋萎縮症、前頭側頭型認知症、進行性核麻痺、グアドロピアンパーキンソニズム、脊髄小脳失調症、または血管性認知症であり得る。好ましい実施形態では、本開示のアミノステロール組成物が、神経変性障害の機能不全を逆転させ、幻覚を治療する。神経障害は、例えば、(a)脳腫瘍、(b)ナルコレプシーなどの睡眠障害、または(c)後頭葉病変または側頭葉病変などの局所性脳病変の結果であり得る。例示的な実施形態では、側頭葉病変が鉤回、大脳脚、または黒質の病変であり得る。神経障害は例えば、(d)ウイルス感染症によって引き起こされるような、大脳皮質のびまん性の関与の結果であり得る。
【0243】
大脳皮質のびまん性病変は、脳血管炎状態の結果であり得、ウイルス感染症は例えば、急性代謝性脳症、脳炎、または髄膜炎であり得る。脳血管炎の病態は、自己免疫疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、または全身性血管炎などが原因で起こる。自己免疫疾患は例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)であり得る。
【0244】
さらに、感覚喪失によって幻覚が生じることもある。感覚喪失は、例えば、視覚、聴覚、味覚、触覚、または嗅覚であり得る。好ましい実施形態では、本開示のアミノステロール組成物が感覚喪失の機能不全を逆転させ、幻覚を治療する。別の好ましい実施形態では、本開示のアミノステロール組成物が腸神経系の機能不全を逆転させ、幻覚を治療する。
【0245】
幻覚を治療および/または予防するために、治療有効量の本開示によるアミノステロール組成物を使用する方法は、好ましくは幻覚の減少をもたらす。この減少は、例えば、幻覚の発生の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%の減少であり得る。本開示の方法はまた、被験体が幻覚を伴わないことをもたらし得る。幻覚は例えば、視覚的、聴覚的、触覚的、味覚的または嗅覚的幻覚を含み得る。改善は、任意の臨床的に認識された評価またはツールを使用して測定することができる。
【0246】
アミノステロール治療が幻覚に及ぼす影響を測定、評価するツールの例としては、マイアミ大学パーキンソン病幻覚質問票(UM-PDHQ)、パーキンソン病統一スケール(UPSRS)、セクション1.2(幻覚および精神病)、直接質問票、シカゴ幻覚評価尺度(CHAT)、精神症状評価尺度(PSYRATS)、幻聴評価尺度(AHRS)、統合失調症音声質問票のためのハミルトンプログラム(HPSVQ)、聴覚幻覚質問票の特徴(CAHQ)、精神衛生研究所異常知覚スケジュール(MUPS)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、陽性症状評価尺度(SAPS)、Launay-Slade幻覚尺度(LSHS)、Cardiff異常知覚尺度(CAPS)、および知覚異常評価のための構造化面接(SIAPA)などがある。
【0247】
(3)異常αS病理および/またはドーパミン作動性機能不全に関連する炎症とアミノステロール治療の適応
一実施形態では、αS病理に関連する炎症および/または関連症状の被験体における発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。この方法は、本明細書中に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの治療有効量を被験体に投与することを包含する。
【0248】
αSは、強力な炎症誘発性ホルモンである。炎症は、2つの戦略のいずれかによって遮断することができる。第1に、炎症は、αSの製造を減少または停止させることによりαSの組織濃度を減少させることによってブロックされ得る。あるいは、αSとCD11bを発現する炎症細胞との間のシグナル伝達を中断することによって、炎症を阻止することもできる。本開示の方法の被験体は、ヒトを含む任意の哺乳動物であり得る。
【0249】
ニューロンαSの過剰発現によって引き起こされる炎症性疾患または状態は、α-シヌクレイノパチーなどの神経変性疾患(NDD)であり得る。例示的なα-シヌクレイノパチーは、PD、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症または統合失調症を含むが、これらに限定されない。他の実施形態では、ニューロンα-シヌクレインの過剰発現によって引き起こされる炎症性疾患または状態は、自己免疫疾患、慢性炎症性疾患、または自己炎症性疾患であり得る。他の実施形態において、ニューロンαSの過剰発現によって引き起こされる炎症性疾患または状態は、喘息、慢性消化性潰瘍、結核、慢性歯周炎、慢性副鼻腔炎、慢性活動性肝炎、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、尋常性ざ瘡、変形性関節症、関節リウマチ、ループス、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、強直性脊椎炎、クローン病、乾癬、原発性硬化性胆管炎、潰瘍性大腸炎、アレルギー、炎症性腸疾患、セリアック病、慢性前立腺炎、憩室炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性硬化症、糸球体腎炎、化膿性汗腺炎、過敏症、間質性膀胱炎、耳炎、骨盤内炎症性疾患、再潅流障害、リウマチ熱、サルコイドーシス、移植拒絶反応、および血管炎からなる群より選択され得る。
【0250】
本開示のいくつかの実施形態において、αSの過剰な製造または分泌に特に感受性である患者集団は、本開示の方法から利益を得ることができ、例えば、予防的治療を含む治療を標的とする。例えば、組織中のαSの量の増加をもたらすαSの変異型を有する患者集団は、本開示の方法を使用して治療され得る。高レベルのαSに感受性のある患者集団の別の例は、慢性炎症状態または疾患を有する患者である。なお、さらなる例は、腸神経細胞において上昇したレベルのαS凝集を有し、便秘として現れる患者集団である。
【0251】
本開示の方法は、対照と比較して、または治療前の同じ患者または被験体からの定性的または定量的な量と比較して、炎症の強度、炎症マーカーの血液レベル、組織中の炎症マーカー、または組織中の炎症細胞の数、またはそれらの組み合わせの減少をもたらすことができる。例えば、減少は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%であり得る。改善は、任意の臨床的に認識されたツールまたは評価を使用して測定することができる。
【0252】
いくつかの実施形態では、減少は、高速液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー質量分析、酵素結合免疫吸着アッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、ウェスタンブロット、およびタンパク質免疫染色からなる群から選択される方法によって定量的または定性的に測定される。
【0253】
さらに、本開示から、本明細書中に記載されるαSを標的とする方法による治療または予防に適切な炎症状態を有する個体は、本開示の方法による治療に適切な患者と相関する、対照または健康な被験体と比較して、高レベルのαSを有する、炎症部位におけるαSの組織濃度の決定によって同定され得ることがわかる。
【0254】
アミノステロールの投与は、生体内で神経毒性αS凝集体の形成を減少させ、PDや便秘などの神経疾患患者の消化管運動を刺激すると理論化されている。また、αSが神経機能を阻害する負荷が大きいほど、α-シヌクレイン凝集の他の症状に対処するとともに、正常な腸機能を回復させるのに必要なアミノステロールの用量が高くなるという仮説も立てられている。
【0255】
B.異常αS病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する例示的な疾患または障害とアミノステロール治療の適応
薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、またはその誘導体を含む、本明細書に記載されるアミノステロール(例えば、化合物VI)は、本明細書に記載されるように、および以下に記載されるように、一般に、異常なαS病理および/またはドーパミン作動性機能不全と相関する様々な疾患および障害を治療および/または予防する方法において使用され得る。
【0256】
一実施形態において、異常αS病理および/またはドーパミン作動性機能不全および/またはαS病理に関連する関連症状と相関する疾患または障害の被験体における発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法が提供される。この方法は、本明細書中に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを包含する。
【0257】
(1)神経または神経変性障害または疾患
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における神経変性疾患または神経疾患および/または関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法が提供される。
【0258】
本開示の方法およびアミノステロール組成物は、本明細書に記載されているような神経障害または疾患を治療および/または予防するために使用することができ、これらの例には、AD、PD、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症(MSA)、統合失調症、フリードライヒ運動失調症、血管性認知症、レビー小体型認知症または疾患、脊髄性筋萎縮症、核上性麻痺、前頭側頭型認知症、進行性核麻痺、グアドロピアンパーキンソニズム、脊髄小脳失調症、および自閉症が含まれるが、これらに限定されない。
【0259】
様々な神経画像技術は、神経変性障害の早期診断および/または進行の測定に有用であり得る。このような技術の例としては、神経画像化、機能的MRI、構造的MRI、拡散テンソル画像化(DTI)(例えば、解剖学的連結性の拡散テンソル測定を含む)、[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PET、アミロイドを標識する薬剤、[18F]F-ドーパPET、放射性トレーサー画像化、局所組織損失の容積測定分析、異常なタンパク質沈着の特異的画像化マーカー(例えば、AD進行のための)、マルチモーダル画像化、およびバイオマーカー分析が挙げられるが、例に限定されない。Jon Stoessl、「神経変性疾患の早めの診断の神経画像処理」, Transl. Neurodegener.,1:5(2012)。これらの技術の組み合わせはまた、疾患の進行を測定するために使用され得る。
【0260】
神経変性の進行は、周知の技術を用いて測定することができる。例えば、脳波(EEG)は、神経変性疾患の存在および進行のためのバイオマーカーとして使用され得る(Morairty、2013)。MRIの神経変性の進行を測定するために使用することができる別の例示的な技術(Roccaら、2017)。あるいは、神経変性が例えば、高速液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー質量分析、酵素結合免疫吸着アッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、ウェスタンブロット、およびタンパク質免疫染色からなる群より選択される分析技術を使用して、神経変性を示すことが当該分野で公知の1つ以上のバイオマーカーのレベルを測定することによって測定され得る。神経変性を示すバイオマーカーは当業者に公知であり、例えば、Beachら、2017(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)の任意のものを含み得る。
【0261】
例えば、ADにおける海馬および嗅内皮質の萎縮のほか、外側頭頂皮質、後上側頭皮質および内側後帯状皮質の病変を測定するために、構造的MRIを用いることができる。前頭側頭型認知症(FTD)において、構造的MRIは、前頭極または側頭極の萎縮を示すことができる。DTIは、ADと比較してレビー小体型認知症(DLB)患者の頭頂葉における異常白質を示すために使用できる。機能的MRIは、ADと比較して、FTDにおける作業記憶タスクの実行中に、減少した前頭部であるが増加した小脳活性化を明らかにし得る。他の例では、[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PETは、ADにおける頭頂側頭皮質でのグルコース代謝の低下を示すことができる。Id。
【0262】
本開示の一実施形態において、神経変性障害の進行または発症は、医学的に認識された技術によって測定されるように、本開示によるアミノステロールの治療有効量を必要とする被験体に投与した後、規定された期間にわたって遅延または予防される。例えば、神経変性障害の進行または発症は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%遅くすることができる。
【0263】
神経変性障害の進行または発症が測定される期間は、例えば、1ヶ月以上、1年以上、例えば、約6ヶ月、約1年、約18ヶ月、約2年、約36ヶ月、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、または約20年、または約6ヶ月から約20年以上の値の間の任意の値の月または年数であり得る。
【0264】
本開示の別の実施形態では、神経変性障害は、治療有効量の本開示に係るアミノステロールの投与によってプラスに影響され得る。「プラスの影響」は、例えば、状態の進行を遅らせること、1つ以上の症状を改善することなどを含む。
【0265】
(i)パーキンソン病
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体におけるパーキンソン病(PD)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法が提供される。
【0266】
PDは、腸管神経系(ENS)、自律神経および脳を含む末梢および中枢神経系(CNS)内のタンパク質αSの蓄積によって引き起こされる進行性の神経変性疾患である(Braakら、2003(a)および(b))。PDの診断には、依然として運動症状が必要である(Hughesら、1992)一方で、非運動症状は、より大きな治療上の課題となっている(Zahodneら、2012)。これらの症状には、便秘(Ondoら、2012;Linら、2014)、睡眠構造における障害(Ondoら、2001;Gjerstadら、2006)、認知機能障害(Auyeung ら、2012)、幻覚(Friederichら、2016;Diederichら、2009)、REM行動障害(RBD)およびうつ病(Aarslandら、2007)が含まれ、これらの全ては、ドーパミンの置換によって回復されない神経経路の機能障害から生じる。実際、長期の施設入所、介護者の負担および平均余命の減少は、運動症状よりもこれらの症状の重症度と有意に相関する(Goetzら、1995年)。2003年、Braakは、PDが消化管内で始まるのはENS内のαS型の神経毒性凝集体が原因であると提唱し、臨床的には運動症状の発現より何年も前にPDの大多数の人に便秘が出現することで証明された(Braakら、2003年(a)および(b))。ラットを用いた最近の研究では、迷走神経や他の求心性神経を介したENSからCNSへのαSの集合体の移動が示されている。神経毒性凝集物は脳幹内に徐々に蓄積し、次いで、間脳内の構造に吻側に分散し、最終的に大脳半球に到達した。
【0267】
PDは、ADに次いで2番目に多い加齢性神経変性疾患である。PDは、60歳超の人口の1%以上に発症し、これは、米国では500,000人以上に等しいが、85歳超の人ではこの有病率が5%に達し、加齢がこの病態の発症リスクに及ぼす影響を強調している。
【0268】
PDは以下の3段階に分けられる:前臨床期(明らかな症状または徴候なしに神経変性過程が開始される);前駆期(症状および徴候が認められるが、完全な臨床的PD診断を定義するには不十分である);および臨床期(古典的な運動徴候の存在に基づいて診断が達成される)。PD診断のいわゆるゴールドスタンダードは、患者の症状に基づく専門家の診断を必要とする。PDおよび前駆PD診断は確率的であり、特定の運動および非運動症状、生理学的病態、遺伝的特徴、および環境因子の存在に基づいて行われる。診断には、軽度の運動症状(すなわち、動作時振戦を除くUPDRS-1987バージョンスコア≧3;または姿勢動作時振戦を除くMDS-UPDRSスコア>6;緩慢、筋肉運動の消失、振戦、硬直、不均衡、異常姿勢)、非運動症状(すなわち、REM SBD、嗅覚機能障害、便秘、過度の日中傾眠、症候性低血圧、勃起/尿機能不全、うつ病、認知)、および補助的診断検査(すなわち、シナプス前ドーパミン作動系のトレーサー取り込み異常:SPECTまたはポジトロン放出断層撮影)に及ぶマーカー(あらゆる疾患指標、症状、徴候、またはバイオマーカーのいずれか)の組み合わせが含まれ得る。
【0269】
また、以下に示す4つのサブスケールについての42項目からなるUPDRSを用いてPDを評価することができる:(1)第I部、日常生活の経験の非運動的側面(nM-EDL);認知障害(1.1項)、幻覚および精神病(1.2項)、抑うつ気分(1.3項)、不安気分(1.4項)、無気力(1.5項)、ドーパミン調節異常症候群の特徴(1.6項)、睡眠障害(1.7項)、日中の眠気(1.8項)、疼痛・その他の感覚(1.9項)、排尿障害(1.10項)、便秘障害(1.11項)、起立時のふらつき(1.12項)、倦怠感(1.13項);(2)第II部、日常生活の経験の運動的側面(M-EDL):会話(2.1項)、唾液およびよだれ(2.2項)、咀嚼および嚥下(2.3項)、食事のタスク(2.4項)、着衣(2.5項)、衛生(2.6項)、書字(2.7項)、趣味・その他の活動(2.8項)、寝返り(2.9項)、振戦(2.10項)、ベッド、車、深い椅子から出ること(2.11項)、歩行およびバランス(2.12項)、すくみ(2.13項);第III部、運動検査:言語(3.1項)、顔の表情(3.2項)、硬直(3.3項)、指のタッピング(3.4項)、手の動き(3.5項)、手の回内回外運動(3.6項)、つま先のタッピング(3.7項)、足の機敏性(3.8項)、椅子から立ち上がる(3.9項)、歩行(3.10項)、すくみ足歩行(3.11項)、姿勢の安定性(3.12項)、姿勢(3.13項)、動作の全般的自発性(動作緩慢)(3.14項)、手の姿勢時振戦(3.15項)、手の運動性振戦(3.16項)、安静時振戦の振幅(3.17項)、および安静時振戦の不変性(3.18項);第IV部、運動合併症:ジスキネジアに費やす時間(4.1項)、ジスキネジアの機能的影響(4.2項)、オフ状態に費やす時間(4.3項)、運動変動の機能的影響(4.4項)、運動変動の複雑性(4.5項)、および有痛性オフ状態ジストニア(4.6項)。
【0270】
さらに、症状に基づく終点は、既知の尺度を用いて評価できる。例えば、(1)うつ病は、ベックうつ病調査票(BDI-II)(Steerら、2000)を使用して評価することができ、認知症は、ミニメンタルステート検査(MMSE)(Palsetiaら、2018)を使用して評価することができ、睡眠およびREM行動障害(RBD)は、日記およびRBD質問票(RBDQ)(Stiasny-Kolsterら、2007)を使用して評価することができ、幻覚は、PD幻覚質問票(PDHQ)(Papapetropoulosら、2008)および直接質問票を使用して評価することができる。概日系状態はまた、公開された手順(Sarabiaら、2008)に従って、手首の皮膚温度を連続的にモニターすることによって評価され得る(Thermochron iButton DS1921H; Maxim, Dallas)。
【0271】
別の実施形態では、本明細書に記載されるアミノステロール組成物の治療有効量のPD患者への投与が、PDの1つ以上の症状の改善、または1つ以上の臨床的に許容される評価メトリックに対する改善を、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もたらす。改善は、任意の臨床的に認識されたツールまたは評価を使用して測定することができる。
【0272】
PDの進行および治療は、患者がドーパミンに対する抵抗性を発現し、その後反応が誘発されなくなるまで用量を漸増することを考慮すると、特に困難である。理論に束縛されるものではないが、本開示によるアミノステロール組成物(例えば、化合物VI)の事前投与または同時投与は、パーキンソン症状の治療効果を引き出すために必要とされるドーパミン用量を減少させ、および/または患者がドーパミンに感受性である期間を増加させ得ると考えられる。本開示によるアミノステロール組成物の事前投与または同時投与は、患者がドーパミン療法を開始するように勧められる期間を遅延させ得ることも理論化される。現在、患者は、ドーパミン治療の開始を可能な限り遅らせることが奨励されているため、これは重要である。一定期間が経過すると、被験体は、ドーパミンに耐性を有するようになる。
【0273】
(ii)アルツハイマー病
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体におけるアルツハイマー病(AD)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0274】
アルツハイマー病(AD)は慢性神経変性疾患であり、通常はゆっくりと始まり、時間とともに悪化する。それは、認知症症例の60~70%の原因である。疾患が進行するにつれて、症状には、言語障害、見当識障害、気分の変動、意欲の喪失、セルフケアの不管理、行動上の問題などが含まれる可能性がある。人の状態が低下するにつれて、彼らは、しばしば家族や社会から離脱する。徐々に、身体機能は失われ、最終的には死に至る。進行の速さは様々であるが、診断後の典型的な平均余命は3~9年である。2015年のADの世界人口は約2980万人である。65歳を超える人に発症することが最も多いが、4~5%の症例は、早期発症型アルツハイマー病である。65歳を超える人の約6%に発症する。2015年には、認知症による死亡者数は約190万人であった。
【0275】
アルツハイマー病の症状は、主に記憶障害、言語機能障害、および視空間スキルなどの認知障害;職業的・社会的問題(日常生活動作など)に及ぶ可能性のある機能障害;ならびにうつ病、不安、攻撃性、および精神病などの行動症状も、疾患の重症度が進むにつれて現れることがある。
【0276】
現時点では、ADの明確な診断には、ADと一致する認知障害の臨床所見およびADと一致する脳病態の死後の同定が必要である。AD認知症という用語は、ADの病態生理による認知症を表すのに用いられる。「アルツハイマー病の可能性が高い」という用語は、被験体がADの臨床的特徴を示し、認知症の他の可能性のある生物学的原因(例えば、PDまたは脳卒中)が除外される場合に、人生において使用される。現在、有望なADを診断するための様々な当技術分野で受け入れられている方法が存在する。典型的には、これらの方法が組み合わせて使用され、そして日常的な活動を行う個々の能力を決定すること、ならびに行動および性格の変化を同定することを包含する。AD型の認知症はまた、典型的には、健忘症状(記憶障害)または言語、視空間または実行機能障害を特徴とする。認知能力/障害は、グローバル認知を評価する検証された機器(例えば、改変されたミニメンタルステート検査(3MS-E))、ならびに視覚および言語記憶(例えば、簡易視覚空間記憶試験(改訂)(BVMT-R)およびホプキンス言語学習試験(改訂)(HVLT-R))、言語(例えば、生成言語流暢性試験(GVFT))、および実行機能および注意(例えば、数字スパン試験(DST))などの特定の領域を含むが、これらに限定されない、当技術分野で許容される方法によって決定されてもよい。ADによる認知症は、潜行性の発症および認知能力の悪化の病歴によっても定義される。
【0277】
「推定AD」の基準は、National Institute of Aging-Alzheimer's Association workgroup(McKhannら、2011)に記載されている。このワークグループによると、AD認知症の中核的臨床特性を最初に示す人にとって、疾患に関連するバイオマーカーの証拠が診断の確実性を高める可能性がある。
【0278】
別の実施形態では、治療有効量のアミノステロール組成物のAD患者への投与が、ADの1つ以上の症状の改善、または1つ以上の臨床的に許容されるスコアリングメトリックでの改善を、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%もたらす。
【0279】
(iii)多系統萎縮症
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における多系統萎縮症(MSA)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法が提供される。
【0280】
多系統萎縮症(MSA)は、自律神経系(血圧や消化などの不随意運動を制御する神経系の一部)と運動の両方に影響を及ぼす症状が組み合わさって発症する進行性の神経変性疾患である。MSAは、Shy-Drager症候群としても知られ、振戦、動作緩慢、筋強剛、自律神経系の機能異常による姿勢の不安定(まとめてパーキンソニズムとして知られる)、および運動失調を特徴とする神経変性疾患である。これは、黒質、線条体、下オリーブ核、小脳など、脳のいくつかの部分のニューロンが進行性に変性することによって引き起こされる。MSAの治療法は知られておらず、管理は、主に支持的である。
【0281】
神経変性の進行は、周知の技術を用いて測定することができる。例えば、脳波(EEG)は、神経変性疾患の存在および進行のためのバイオマーカーとして使用され得る(Morairty、2013)。MRIの神経変性の進行を測定するために使用することができる別の例示的な技法。Roccaら、2017。
【0282】
MSAの早期診断および/または進行の測定には、様々な神経画像技術が有用であると考えられる。このような技術の例としては、神経画像化、機能的MRI、構造的MRI、拡散テンソル画像化(DTI)(例えば、解剖学的連結性の拡散テンソル測定を含む)、[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)PET、アミロイドを標識する薬剤、[18F]F-ドーパPET、放射性トレーサー画像化、局所組織損失の体積分析、異常なタンパク質沈着の特異的画像化マーカー(例えば、MSA進行のための)、マルチモーダル画像化、およびバイオマーカー分析(Stoessl、2012)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの技術の組み合わせもまた、疾患の進行を測定するために使用され得る。
【0283】
例えば、MSAにおける海馬および嗅内皮質の萎縮のほか、外側頭頂皮質、後上側頭皮質および内側後帯状皮質の病変を測定するために、構造的MRIを用いることができる。前頭側頭型認知症(FTD)において、構造的MRIは、前頭極または側頭極の萎縮を示すことができる。
【0284】
別の実施形態では、治療有効量のアミノステロール組成物をMSA患者に投与すると、MSAの1つ以上の症状が、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%改善される。改善は、任意の臨床的に認識されたツールまたは評価を使用して測定することができる。
【0285】
(iv)統合失調症
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における統合失調症(SZ)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0286】
統合失調症は、白質と灰白質の両方の脳の構造変化を起源とする慢性進行性疾患である。これらの変化は、皮質領域、特に言語処理に関する臨床症状の開始前に始まる可能性が高い。その後、進行性の脳室拡大によって検出できる。現在の磁気共鳴イメージング(MRI)技術は、統合失調症を発症するかもしれない皮質萎縮と言語処理異常の早期変化を検出するための価値あるツールを提供することができる。
【0287】
統合失調症患者を対象とした2013年の研究では、200人以上の患者が最初のエピソードに始まり、一定間隔でスキャンを続けて最長15年間にわたりMRIスキャンでみられた脳の変化が立証された。スキャンの結果、初発時における人々の脳組織は、健常者よりも少ないことがわかった。この知見は、統合失調症の人が、病気の外見上の徴候を示す前に何らかの影響を受けていることを示唆している。
【0288】
治療の主力は、カウンセリング、職業訓練、社会的リハビリテーションとともに、抗精神病薬である。しかし、2013年の研究では、一般的に抗精神病薬の投与量が多いほど、脳組織の喪失が大きくなることが明らかになった。
【0289】
約0.3~0.7%の人が、生涯のうちに統合失調症に罹患する。2013年には、世界的に推定23.6百万の症例があった。男性の方が罹患することが多く、平均すると症状が重くなる。約20%の人が健康で、完全に回復する人もいる。約50%が生涯障害を有する。長期失業、貧困、ホームレスなどの社会問題が一般的である。この病気の人々の平均余命は、一般の人々の平均余命よりも10~25年短い。これは、身体的健康問題が増加し、自殺率が高くなった結果(約5%)である。2015年には、世界中の推定17,000人が統合失調症に関連した、または統合失調症によって引き起こされた行動によって死亡した。
【0290】
理論に束縛されることを望まないが、統合失調症患者への治療有効量のアミノステロール組成物の投与は、統合失調症またはその任意の1つ以上の症状を治療および/または予防し得ることが理論化される。いくつかの実施形態では、投与は経口であってもよく、ENSにおける吸収をもたらす。いくつかの実施形態において、投与は鼻腔内であり得、神経発生の刺激をもたらし、これは、統合失調症被験体に特徴的な脳組織の喪失にプラスの影響を有する。
【0291】
本開示の一実施形態において、統合失調症患者への治療有効量のアミノステロール組成物の投与は、臨床的に認識される精神症状評価尺度によって決定されるように、1つ以上の症状の改善を生じる。このような評価尺度の例としては、例えば、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、精神症状評価尺度(PSYRATS)、クオリティ・オブ・ライフ尺度(QLS)、統合失調症認知評価尺度(SCoRS)、薬に対する構えの調査票(DAI)、異常不随意運動評価尺度(AIMS)が挙げられる。
【0292】
別の実施形態では、統合失調症患者への治療有効量のアミノステロール組成物の投与が、臨床的に認識される精神症状評価尺度によって決定される1つ以上の症状を、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%改善する。改善は、任意の臨床的に認識されたツール、スケール、または評価を使用して測定することができる。
【0293】
(v)その他神経疾患
本開示の方法および組成物はまた、種々の他の神経疾患を治療および/または予防する際に有用であり得る。一実施形態では、本明細書に記載の神経疾患、および/または関連症状の発症または進行を、必要とする被験体において治療、予防、および/または遅延させる方法が提供され、これは、本明細書に開示の少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む。例示的な神経疾患の例は、以下および本明細書に記載される。
【0294】
ハンチントン病(HD)は、脳の神経細胞の進行性崩壊を引き起こす致死的な遺伝性疾患である。これは、初年度の労働期間中に人の身体的および精神的能力を低下させ、治癒しない。病気の後期には、フルタイムのケアが必要である。ハンチントン病の症状は、35~44歳の間に顕著になるが、乳児期から老年期にかけての、どの年齢層からも発症する可能性がある。最も特徴的な初期の身体症状は、舞踏病と呼ばれる痙攣性、ランダム、および制御不能な運動である。約9%の症例で自殺が死因となっている。病気が最初に発見されてから15~20年で死亡するのが典型的である。
【0295】
進行性核上性麻痺は、Steele-Richardson-Olszewski症候群とも呼ばれ、歩行、平衡感覚、および眼球運動に重大な問題を引き起こす脳の病気である。この病気は、体の動きや思考を制御する脳の領域にある細胞が悪化することによって起こる。PSPの治療法は知られておらず、管理は主に支持的である。
【0296】
前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の側頭葉および前頭葉の進行性変性に起因する一群の関連状態である。脳のこれらの領域は、意思決定、行動制御、情動および言語において重要な役割を果たす。前頭側頭型認知症(FTD)は、前頭葉または側頭葉を含む6種類の認知症を包含する。それらは、FTDの行動変異型、意味変異型原発性進行性失語、非流暢性失文法変異型原発性進行性失語、皮質基底核症候群、進行性核上性麻痺、および運動ニューロン病に伴うFTDである。現在、FTDの治療法はない。
【0297】
脳血管性認知症は、多発梗塞性認知症(MID)および血管性認知障害(VCI)としても知られており、脳への血液供給の問題、典型的には一連の軽度の脳卒中によって引き起こされる認知症であり、段階的に生じる認知機能低下の悪化につながる。脳血管性認知症の危険因子には、年齢、高血圧、喫煙、高コレステロール血症、糖尿病、心血管疾患、および脳血管疾患などがある。その他の危険因子には、地理的起源、遺伝的素因、および脳卒中の既往などがある。
【0298】
運動ニューロン病(MND)またはルー・ゲーリッグ病としても知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、随意筋を制御するニューロンの死を引き起こす特異的疾患である。ALSは、筋肉のこわばり、筋肉のけいれん、および筋肉のサイズの減少により徐々に衰弱が悪化するのを特徴とする。その結果、話すこと、飲みこむこと、最終的には呼吸をすることが困難になる。原因は90%~95%の症例において不明である。残りの5~10%の症例は遺伝性である。基礎となるメカニズムには、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方の損傷が関与している。ALSの治療法は知られていない。この病気は、どの年齢層の人にも発症するが、通常は60歳前後に発症し、遺伝性の場合は50歳前後に発症する。発症から死亡までの平均生存期間は2~4年であるが、約10%は10年以上生存する。
【0299】
多発性硬化症(Multiple sclerosis:MS)は、脳や脊髄の神経細胞の遮蔽層が損傷する脱髄疾患である。この損傷は、神経系の各部のコミュニケーション能力を破壊し、その結果、身体的、精神的、ときには精神医学的な問題など、様々な徴候や症状を引き起こす。具体的な症状としては、複視、片眼の失明、筋力低下、感覚障害、協調運動障害などがある。MSにはいくつかの形態があり、新たな症状は、孤立性の発作(再発型)で起こるか、経時的に増強する(進行型)かのいずれかである。発作と発作の間に症状が完全に消失することもあるが、特に病気が進行するにつれて、永続的な神経学的問題が残ることがよくある。原因は明らかではないが、その根底にあるメカニズムは、免疫系による破壊か、ミエリン産生細胞の破綻のいずれかであると考えられている。この原因として考えられるのは、ウイルス感染によって引き起こされるなどの遺伝的因子や環境因子がある。MSの治療法は知られていない。平均余命は、非罹患集団の平均余命よりも5~10年低い。MSは、中枢神経系を侵す最も一般的な免疫介在性疾患である。2015年には約230万人が世界的に罹患し、2015年には約18,900人がMSで死亡し、1990年の12,000人から増加した。
【0300】
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、運動ニューロンの消失および進行性筋消耗を特徴とする遺伝性神経筋疾患であり、しばしば早期死に至る。この疾患は、運動ニューロンの生存に必要なタンパク質であるSMNをコードするSMN1遺伝子の遺伝的欠損によって引き起こされる。このタンパク質のレベルが低いと、脊髄前角のニューロン細胞の機能が失われ、それに続いて骨格筋の系全体にわたる萎縮が起こる。SMAは、乳児死亡の最も一般的な遺伝的原因である。2016年12月、ヌシネルセンは、SMAを治療する最初の承認薬となったが、他のいくつかの化合物は治験中である。
【0301】
フリードライヒ運動失調症は、常染色体劣性の遺伝性疾患で、神経系に進行性の損傷を引き起こす。歩行障害などの協調運動障害の初期症状で発現し;脊柱側弯症、心臓病および糖尿病につながることもあるが、認知機能には影響しない。フリードライヒ運動失調症は、脊髄の神経組織、特に腕や脚の筋肉の運動を指令するのに不可欠な(小脳とのつながりを通して)感覚ニューロンの変性によって起こる。脊髄は薄くなり、神経細胞は、ミエリン鞘(神経インパルスの伝導を助ける一部の神経細胞の絶縁被覆)の一部を失う。
【0302】
(2)心理的障害または行動障害および/または関連症状
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における心理的障害もしくは行動障害および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。一実施形態において、心理的または行動障害は、うつ病、不安、せん妄、易刺激性、幻覚および妄想、記憶喪失、自閉症、無気力、双極性障害、脱抑制、異常運動および強迫性-強制行動、睡眠障害、睡眠断片化、REM行動障害、概日リズム機能障害、睡眠時無呼吸、または認知障害である。
【0303】
(i)うつ病
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体におけるうつ病および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0304】
臨床的うつ病は、正常な悲しみまたは深い悲しみを超える悲しいブルーの気分を特徴とする。大うつ病は、悲しみや無関心のエピソードであり、他の症状とともに少なくとも2週間続き、日常生活を妨げるほど深刻である。抑うつ事象は、否定的な思考、気分、および行動だけでなく、身体機能の特定の変化(食事、睡眠、活力、および性的活動、ならびに潜在的に発症する疼痛または痛みなど)も特徴とする。10人に1人が生涯にうつ病を患う。医師は、うつ病を臨床的に診断し;うつ病の臨床検査やX線検査はない。
【0305】
PET(陽電子放出断層撮影)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、および機能的磁気共鳴画像(fMRI)などの、ますます洗練された形態の脳の画像診断により、過去よりもはるかに精密な脳の観察が可能になった。fMRIスキャンは、例えば、脳の領域が様々なタスク中に応答するときに起こる変化を追跡することができる。PETやSPECTスキャンでは、特定の領域における神経伝達物質受容体の分布と密度を測定することによって、脳のマッピングを行うことができる。この技術の使用により、どの脳領域が気分を調節しているのか、また記憶などの他の機能がうつ病によってどのように影響されるのかについて、よりよく理解されるようになった。うつ病で重要な役割を果たす領域は、扁桃体、視床、海馬である。
【0306】
海馬は、一部のうつ病患者では小さいことが研究によって示されている。例えば、The Journal of Neuroscienceに発表された1つのfMRI研究では、研究者らは、うつ病の既往がある女性24人を対象に研究を行った。うつ病女性では、うつ病でない女性と比較して、海馬が平均して9%~13%小さかった。女性のうつ病の発作が多いほど、海馬は小さくなった。ストレスは海馬における新たなニューロン(神経細胞)の産生を抑制できると専門家は考えていることから、うつ病において役割を果たすストレスが鍵となる因子である可能性がある。
【0307】
研究者らは、海馬における新しいニューロンの生産の鈍さと気分の低さとの間の可能性のある関連性を探求している。抗うつ薬についての興味深い事実は、この理論を支持する。これらの薬を服用すると、ただちに脳内の化学伝達物質(神経伝達物質)の濃度が上昇する。しかし、人々は、典型的には、数週間以上は気分が良くなり始めない。専門家は長い間、うつ病が主に神経伝達物質の低値の結果であったとしても、なぜ、神経伝達物質のレベルが上昇してすぐには、人々はより良い感覚を得られないのか、不思議に思ってきた。答えは、神経が成長して新しい接続を形成するときだけ気分が改善するということかもしれない。この過程には数週間かかる。実際、動物実験では、抗うつ薬が海馬の神経細胞の成長を促し、分岐を亢進させることが示されている。そのため、この理論は、これらの投薬の本当の価値が新しいニューロンを作り出し(ニューロン新生と呼ばれる過程)、神経細胞結合を強化し、神経回路間の情報交換を改善することにあるかもしれないと言う。
【0308】
したがって、本開示の一実施形態では、治療有効量の本開示によるアミノステロール組成物を投与することを含む、うつ病を治療および/または予防する方法が包含される。理論に束縛されることを望まないが、本開示のアミノステロール組成物は、うつ病と闘うように機能するニューロン新生を誘発すると理論付けられる。
【0309】
いくつかの実施形態では、本開示の方法が、被験体の臨床的うつ病の改善をもたらす。被験体のうつ病の改善は、臨床的に認識されたいかなる測定法を用いても測定することができる。例えば、改善は、うつ病評価尺度を用いて測定することができる。本開示の一実施形態では、治療後、被験体は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95または約100%の改善を経験する。改善は、任意の臨床的に認識されたツールまたは評価を用いて測定することができる。
【0310】
うつ病および/または気分およびアミノステロール治療後の改善を評価するために用いることができるツールの例には、例えば、(1)ベック抑うつ尺度(BDI-II);(2)UPDRS、セクション1.3(抑うつ気分)、1.4(不安気分)、1.5(無関心)、および1.13(疲労);および(3)パーキンソン病疲労尺度(PFS-16)がある。いくつかの実施形態において、改善は、患者健康質問票-9(PHQ-9);Zung自己評価式抑うつ尺度;疫学研究センター-抑うつ尺度(CES-D);およびうつ病のハミルトン評価尺度(HRSD)からなる群より選択される1つ以上の医学的に認識された技術から測定することができる。
【0311】
(ii)認知障害
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における認知障害および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0312】
軽度の認知障害(MCI)を含む認知障害は、同じ年齢の正常な被験体と比較して、被験体によって示される記憶または思考の問題の増加を特徴とする。65歳以上の人の約15~20%がMCIであり、MCIは、特にADなどの神経変性疾患や、PDなどのシヌクレイン病との関連が指摘されている。2002年、米国では、70歳超の約540万人(22%)が認知症を伴わない認知障害を有していたと推定されている。Plassmanら、2009。
【0313】
認知障害は、記憶および思考スキルを含む認知能力の、わずかではあるが顕著かつ測定可能な低下を含む記憶問題を伴い得る。MCIが主に記憶に影響を与える場合、それは「健忘性MCI」として知られている。健忘MCIの人は、例えば、予定、会話、または最近の出来事など、以前は簡単に思い出せたはずの情報を忘れてしまう可能性がある。MCIが主に記憶以外の思考スキルに影響を及ぼす場合、それは「非健忘性MCI」として知られている。非健忘性MCIの人は、例えば、健全な決定を下し、複雑なタスクを完了するのに必要な時間または一連のステップを判断し、または視覚的知覚を行う能力が低下することがある。
【0314】
関連する疾患および状態には、特に、認知症、アルツハイマー病、せん妄、PD、糖尿病、高血圧、高コレステロール、うつ病、心理的および行動的状態、健忘症、レビー小体病、およびハンチントン病が含まれるが、これらに限定されない。
【0315】
軽度の認知障害は臨床診断である。認知機能障害を十分に評価するには、認知機能検査と、被験体と頻繁に接触する人からの情報を組み合わせて用いる。医学的精密検査には、被験体の病歴(現在の症状、以前の疾患、および家族歴を含む)の医師による評価、自立した機能および日常活動の評価、記憶、計画、判断、視覚情報、および他の重要な思考能力を評価するための簡易検査を用いた精神状態の評価、神経および反射機能、運動、協調、バランス、および感覚を評価するための神経学的検査、気分の評価、脳画像、または神経心理学的検査が含まれる。MCIの診断ガイドラインは、米国国立衛生研究所(NIH)の機関であるアメリカ国立老化研究所(NIA)と提携するアルツハイマー協会をはじめ、様々なグループによって作成されている。Jackら、2011;McKhannら、2011;Albertら、2011。認知障害のスクリーニングに関する勧告は、米国予防医療専門委員会によって発行されている。高齢者における認知障害のスクリーニング、米国予防医療専門委員会(2014年3月)、https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/Home/GetFileByID/1882。例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用いてもよい。Palsetiaら(2018);Kirkevold, O.&Selbaek, G.(2015)。MMSEでは、24点以上(30点中)のスコアは、正常な認知を示し、スコアが低い場合は、重度(9点以下)、中等度(10~18点)、または軽度(19~23点)の認知障害を示す。その他のスクリーニングツールとしては、高齢者の認知機能低下に関する情報提供者アンケート(IQCODE)があり、平均スコアが3点であれば認知機能の低下はなく、スコアが3点を超える場合は、ある程度の低下が示される。Jorm, A.F 2004。あるいは7分スクリーナー、簡略精神検査スコア(AMTS)、ケンブリッジ認知検査(CAMCOG)、時計描画テスト(CDT)、一般開業医の認知評価(GPCOG)、ミニコグ、記憶障害スクリーニング(MIS)、モントリオール認知評価(MoCA)、ローランドユニバーサル認知症評価(RUDA)、自己管理性遺伝学的検査(SAGE)、ショート・アンド・スイート・スクリーニング・インスツルメント(SAS-SI)、ショート・ブレスド・テスト(SBT)、ルイスメンタルステータス(SLUMS)、ショートポータブル精神状態アンケート(SPMSQ)、精神状態のショートテスト(STMS)、またはタイムアンドチェンジテスト(T&C)は、とりわけ、臨床および研究環境において頻繁に使用される。Cordellら、2013。単一のツールが「ゴールドスタンダード」と認識されていないため、多数の検査が用いられることがあり、どの標準化された検査でも、スコアの改善は認知障害の治療の成功を示すが、非障害集団と同等のスコアを得ることは総回復を示す。
【0316】
いくつかの実施形態では、必要とする患者への治療有効量のアミノステロール組成物の投与が、臨床的に認識される評価尺度によって決定されるように、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%の認知障害の改善をもたらす。改善は、任意の臨床的に認識されたツールまたは評価を用いて測定することができる。
【0317】
アミノステロール治療後の認知障害および改善を評価するために使用することができるツールの他の例には、例えば、(1)ミニメンタルステート検査(MMSE)、(2)トレールメーキング試験(TMT)パートAおよびB、ならびに(3)UPDRS、セクション1.1(認知障害)が含まれる。
【0318】
(iii)睡眠妨害/不眠症(例えば、REM睡眠障害または概日リズム機能障害)
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくはその誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における睡眠妨害、不眠症、睡眠障害、概日リズム機能障害および/または関連する症状を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0319】
正常な睡眠は、多くの器官系が適切に機能するために極めて重要であり、その中で最も重要なのは脳である。正常な睡眠パターンの妨害は、正常な老化プロセスと密接に関連しており、認知障害の発症、記憶沈着および統合の障害、ならびに神経発達障害、神経感情障害および神経変性障害の発生と関連している。24時間ごとに起こる睡眠と覚醒の交互パターンは概日リズムとして知られている。そのリズムは、視床下部に位置する視交叉上核(SCN)として知られる実体である「ツァイトゲーバー(zeitgeber)」(タイムセッター)によって設定される。SCNは、通常、外部の明暗サイクルによって「同伴」または同期される。外部の明暗とSCNによってそれに同期した睡眠覚醒サイクルとの間のこの関係は、空腹時に腸内で発せられ視床下部に中継される神経信号によって無効にされる(over ridden)可能性がある。概日睡眠-覚醒サイクルはまた、1つの時間帯から別の時間帯への移動の間に生じる非同期化(時差ぼけ)のような、外部の明暗サイクルの変化に応答してシフトすることもある。このような状況下では、SCNが外部明暗サイクルと再同期されるまで、漸進的な調整が行われる。同様の「位相シフト」および調整は、夜勤労働者においても起こる。
【0320】
正常な状況下では、外部の明暗サイクルおよび腸管神経系から発する神経信号に同期した、適切に機能しているSCNが、神経信号や化学信号を周囲の構造物や睡眠および覚醒に関与する脳幹の部分に送ることによって、睡眠覚醒サイクルを調節する。適切に機能している視床下部および脳幹を有する個体は数分以内に就寝して眠りに落ち、一晩中眠り続け、朝起きて、一日中覚醒し、警戒し続ける。夜間、睡眠中の個体は、浅い睡眠から始まり、急速な眼球運動睡眠(REM睡眠)を経て深い睡眠に進行し、そして戻る、いくつかの睡眠サイクルを経験する。それぞれの完全な睡眠期間は約90分間続く。レム睡眠の期間は夢と密接に関連している。レム睡眠の間、脳幹のある部分から発せられる神経信号は、骨格筋が「無緊張」になったり、麻痺したりすることを保証し、個体が夢を「行動」できないようにする。
【0321】
ある種の病気や状態では、「ツァイトゲーバー」や概日時計の正常な機能が損なわれることがある。これらの状態は、時差ぼけ、夜勤または空腹、適応または食物摂取によって容易に改善される状態から生じる非同期化など、可逆的であり得る。対照的に、網膜からSCNへ明暗関連情報を運ぶ神経の損傷(失明につながる可能性のある状態)、または腸からSCNへメッセージを中継する腸神経および神経構造の損傷(神経変性障害につながる可能性のある状態)は、概日リズムの永続的な機能不全および異常な睡眠行動を引き起こす可能性がある。
【0322】
概日リズムの機能障害は、何よりもまず、異常な睡眠パターンによって現れる。このような異常は、典型的には発症時には軽度であり、経時的に徐々に悪化する。睡眠障害でよくみられる症状は、入眠の遅れである。この遅延は数時間もの長さであり得、個体は朝の早い時間まで眠ることができないかもしれない。もう1つの一般的な症状は、睡眠の断片化であり、これは個体が夜間に数回目覚めることを意味する。一旦覚醒すると、個体は睡眠に戻ることができず、各覚醒断片は1時間以上持続し、さらに「総睡眠時間」を減少させ、これは、ベッドで費やされた総時間から覚醒断片の総時間を差し引くことによって計算される。総睡眠時間も年齢とともに減少し、新生児では1日約14~16時間、1歳までに約12時間、若年成人では約7~8時間となり、高齢者では約5~6時間に漸減する。総睡眠時間から、個体の「睡眠年齢」を計算し、それをそれらの歴年齢と比較することができる。睡眠年齢と暦年齢との間の有意な不一致は、睡眠障害の重症度の反映である。ベッドでの睡眠に費やす時間の割合として定義される「睡眠効率」は、睡眠障害の重症度を判定するために用いることができるもう一つの指標である。睡眠効率は、割合が約70%未満である場合に異常であると言われる。
【0323】
睡眠障害および/または睡眠妨害には、REM行動障害、概日リズムの障害(「概日リズム機能障害」)、入眠遅延、睡眠断片化、REM行動障害(RBD)、および幻覚が含まれるが、これらに限定されない。開示された方法に従って治療および/または予防することができる他の睡眠障害または妨害には、過眠症(すなわち、日中の眠気)、睡眠随伴症(悪夢、夜驚症、夢遊病、および錯乱覚醒など)、周期性四肢運動障害(むずむず脚症候群など)、時差ぼけ、睡眠時随伴症、進行睡眠相障害、非24時間睡眠-覚醒症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【0324】
重度の睡眠障害を有する個体はまた、典型的には日中の眠気に苦しむ。これは、日中の1時間または2時間の「昼寝」、フィルム中の数分間の「投薬オフ」、または数秒から数分持続する「マイクロスリープ」エピソードとして現れることができ、そのうち個体は気付いていてもいなくてもよい。ナルコレプシーは、日中の眠気のまれで極端な形態で、突然の睡眠開始により個体は転倒する。睡眠妨害のもう1つの形態は、「睡眠呼吸障害」として知られる状態である、「睡眠時無呼吸」(呼吸停止)の期間と交互になる大きないびきの期間を含む。「REM行動障害」(RBD)または「REM睡眠障害」は、脳幹とSCNの睡眠を担う構造である腸管神経系間の機能不全性神経伝達の結果として生じるもう1つの睡眠妨害である。RBDの個体では、随意制御下にある筋肉の麻痺(アトニー)を引き起こす神経シグナル伝達が損なわれているか、全く欠如している。その結果、夢の「行動」が起こる。これは、スペクトルの一端における、筋電図(EMG)によって検出可能であり、REM睡眠中の手足の小さな動きを伴う筋緊張の増加から、スペクトルの他端における、腕および脚の激しいスラッシング、ベッドパートナーの蹴りまたはパンチ、大声で話すこと、または叫ぶことまでの範囲に及ぶことができる。RBDのエピソードは1晩に数回、または非常にまれに、数ヶ月に1回起こり得る。それらはまた、クラスター化され得、いくつかは、1週間以内に生じ、その後、正常な睡眠期間が続く。この状態が、概日リズムの正常な機能を回復させ、睡眠パターンを改善する薬で治療できない限り、RBDの個体は神経変性疾患に進行する。
【0325】
「正常である」または「安静である」睡眠期間は、覚醒によって中断されない睡眠期間として定義される。あるいは、前記期間は、被験体の年齢カテゴリーについての推奨または適切な睡眠量によって定義することができる。例えば、(i)0~3ヶ月の乳児=約11~約19時間;(ii)約4ヶ月~約11ヶ月の乳児=約12~約18時間;(iii)約1~約2歳の幼児=約9~約16時間;(iv)約3~約5歳の就学前の子供=約10~約14時間;(v)約6~約13歳の学齢の子供=約7~約12時間;(v)約14~約17歳のティーンエイジャー=約7~約11時間、(vi)約18~約25歳の若年成人=約6~約11時間;(vii)約26~約64歳の成人=約6~約10時間;および(viii)65歳以上の高齢成人=約5~約9時間など。したがって、被験体における睡眠障害を治療するために、治療は、少なくとも約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、または約12時間の安静睡眠期間をもたらすことができる。
【0326】
被験体がどのくらいの睡眠を必要とするかには個人差があるが、一般に年齢とともに変化する。米国国立衛生研究所は、学齢の子どもたちは毎日少なくとも10時間の睡眠を必要とし、十代は9~10時間を必要とし、成人は7~8時間を必要とすることを示唆している。同様の勧告が国立睡眠財団(https://sleepfoundation.org/press-release/National-sleep-foundation-recommends-new-sleep-times/page/0/1)によって提供されている。
【0327】
覚醒によって中断されない睡眠期間を測定するためのいくつかの異なる科学的に許容可能な方法がある。第1に、被験体の頭部に取り付けられた電極は、脳波記録法(EEG)によって脳内の電気的活動を測定することができる。この尺度が使用されるのは、覚醒に関連するEEG信号が、睡眠中に見られるものとは異なるからである。第2に、筋緊張も覚醒時と睡眠時で異なるため、筋電図(EMG)を用いて筋活動を測定できる。第3に、睡眠中の眼球運動は、眼電図(EOG)を用いて測定することができる。これは、迅速な眼球運動またはレム睡眠を識別するのに役立つ非常に特殊な測定である。これらの方法のいずれか、またはそれらの組み合わせを使用して、被験体に少なくとも1つのアミノステロールまたはその塩もしくは誘導体を投与した後に、被験体が安静睡眠期間を得るかどうかを決定することができる。
【0328】
さらに、概日リズム調節は、Sarabiaら、2008に記載されているように、手首の皮膚温度を監視することを含むが、これに限定されない様々な方法で監視することができる。同様に、RBDの症状は、毎日の日記およびRBD質問票を用いてモニターすることができる(Stiasny-Kolsterら、2007)。
【0329】
いくつかの実施形態では、乱れた患者への治療有効量のアミノステロール組成物の投与は、1つ以上のタイプの睡眠調節障害について臨床的に認識される評価尺度によって決定されるように、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%、正常または安静睡眠の頻度の改善をもたらす。改善は、任意の臨床的に認識されたツールまたは評価を使用して測定することができる。
【0330】
睡眠に対するアミノステロール治療の効果を測定および評価するために使用することができるツールの例には、例えば、(1)睡眠日記(参加者は、研究を通して毎日睡眠日記を完成させた。日記には、就寝時間および推定の睡眠時間、そして夜間の覚醒時間および持続時間が含まれる);(2)I-ボタン温度評価;(3)UPDRS、セクション1.7(不眠症)、1.8(日中の眠気)および1.13(疲労);(4)パーキンソン病疲労尺度(PFS-16);(5)REM睡眠行動障害スクリーニング質問票;および(6)パーキンソン病睡眠尺度が含まれる。
【0331】
(iv)自閉症
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、自閉症スペクトラム障害(ASD)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0332】
自閉症、または自閉症スペクトラム障害は、社会的技能、反復行動、会話および非言語コミュニケーションを伴う課題、ならびに独特の強さおよび差異によって特徴付けられる、一連の状態を指す。遺伝的影響と環境的影響の様々な組み合わせによって引き起こされる自閉症には、様々なタイプがある。自閉症の最も明白な徴候は、2~3歳の間に現れる傾向がある。18ヵ月という早期に診断できる場合もある。自閉症に伴う発達の遅れには、さらに早期に特定して対処できるものもある。
【0333】
専門家は、自閉症の原因についてまだ不確かである。すべての可能性において、複数の原因が存在する。環境因子、生物学的因子、遺伝的因子など、さまざまな状況が自閉症の病期を決定し、子供がこの病気にかかりやすくしているようである。自閉症の発症には、遺伝学が大きな要因を果たしている可能性が高い。一卵性双生児は、二卵性双生児(遺伝的に同一ではない)よりも、両方の影響を受ける可能性が高い。1人の自閉症の子供がいる家族では、自閉症の子供がもう1人いる確率は約5%であり、これは正常な集団よりもはるかに高い。また、自閉症の子供がいる家族では、躁うつ病などの情緒障害がより頻繁に起こることも、研究によって明らかになっている。
【0334】
少なくとも1人の研究者グループが、異常な遺伝子と自閉症との関連を見出している。遺伝子は、何らかの方法で相互作用して状態を引き起こす3~5個以上の遺伝子のうちの1つにすぎないこともある。科学者は、化学的不均衡、ウイルスや化学物質、出生時の酸素不足などの他の要因も存在する場合には、欠陥がある遺伝子や遺伝子が、自閉症を発症しやすくさせているのではないかと疑っている。
【0335】
自閉症の他の潜在的な原因は、農薬および重金属(例えば、水銀)を含む環境毒素である。重金属は、過去よりも、今日の環境において、確実に、より一般的に遭遇する。自閉症の人や、自閉症を発症するリスクが高い人は、これらの毒素に対して他の人よりも感受性が高いことがある。
【0336】
最近の脳組織の研究では、自閉症にかかった子供は、過剰のシナプス、または脳細胞間の接続を有することが示唆されている。この過剰は、脳の発達中に起こる正常な剪定プロセスの減速によるものである。正常な脳の発達過程では、幼児期にシナプス形成のバーストが起こる。これは、感覚からの情報を思考・処理する中枢である皮質で特に顕著である。しかし、青年期後期までには、剪定によってこれらの皮質シナプスの約半分が排除される。さらに、自閉症に関連する多くの遺伝子が、脳シナプスの発達や機能に影響を及ぼすことが知られている。また、この研究では、自閉症の人の脳細胞は損傷部分で満たされており、「オートファジー」と呼ばれる正常な分解経路の徴候が欠損していることも明らかになった。Tangら、2014。
【0337】
したがって、本開示の一実施形態は、本開示のアミノステロール組成物の治療有効量を投与することを含む、自閉症を治療する方法を対象とする。一実施形態では、治療が自閉症の1つ以上の特徴の改善をもたらす。そのような特徴は、例えば、コミュニケーションスキル、社会的相互作用、感覚感受性、および行動であり得る。改善は、任意の臨床的に認識されたツールまたは評価を使用して測定することができる。
【0338】
例えば、本開示の方法は、医学的に認識された尺度によって測定される、行動、コミュニケーション、気分などの自閉症の1つ以上の特徴の改善を示すことができる。改善は例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%であり得る。医学的に認識された尺度は、例えば、小児自閉症評価尺度(CARS)、自閉症スペクトラム評価尺度、またはミシガン自閉症スペクトラム質問票から選択されてもよい。
【0339】
(3)脳または全身の虚血性障害および/または関連症状
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における脳または全身の虚血性障害および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0340】
一実施形態では、脳または全身の虚血性障害が、微小血管障害、分娩時脳虚血、心停止または蘇生中/後の脳虚血、術中の問題による脳虚血、頸動脈手術中の脳虚血、脳への血液供給動脈の狭窄による慢性脳虚血、静脈洞血栓症または大脳静脈血栓症、脳血管奇形、糖尿病性網膜症、高血圧、高コレステロール、心筋梗塞、心不全(cardiac insufficiency)、心不全(cardiac failure)、うっ血性心不全、心筋炎、心膜炎、心膜心筋炎(perimyocarditis)、冠動脈心疾患、狭心症、先天性心疾患、ショック、四肢虚血、腎動脈の狭窄、糖尿病性網膜症、マラリアに伴う血栓症、人工心臓弁、貧血、脾機能亢進症候群(hypersplenic syndrome)、気腫、肺線維症、勃起不全、または肺水腫から選択される。
【0341】
例えば、本開示の方法は、医学的に認識されるスケールによって測定されるような、脳または全身の虚血性障害の1つ以上の特徴における改善を示し得る。改善は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%であり得る。
【0342】
改善を測定するための医学的に認識された尺度または技術には、例えば、コレステロール試験、高感度C反応性タンパク質試験、リポタンパク質(a)、血漿セラミド、ナトリウム利尿ペプチド、低密度リポタンパク質コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロール、トリグリセリド、心電図(EKG)、ホルターモニター、ストレステスト、心エコー図、ポジトロン放出断層撮影(PET)、タリウムスキャン、心筋潅流スキャン、植込み型ループレコーダー、傾斜テーブル試験、電気生理学試験、冠動脈造影、磁気共鳴画像法、磁気共鳴血管造影、心臓CTスキャン、およびイベントレコーダーが含まれる。
【0343】
(i)勃起不全
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における勃起不全(ED)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法が提供される。
【0344】
勃起不全は、身体的または心理的状態の徴候である可能性がある。それは、ストレス、人間関係のひずみ、および自信の低下を引き起こし得る。主な症状は、男性が、性交に十分な勃起を得ることができなかったり、勃起をしっかりと保つことができなかったりすることである。EDは、様々なメカニズムを介して現れ得る。EDはそのメカニズムに基づいて、心因性、神経因性(勃起を開始できない)、動脈原性(陰茎が血液で満たされない)、海綿体(血管系が一度満たされた陰茎に血液を保持できない)に分類できる(Deanら、2005)。
【0345】
心因性EDは、性行動および陰茎勃起が視床下部、大脳辺縁系および大脳皮質によって制御されるために発生しうる。したがって、刺激または抑制メッセージを脊椎勃起中心に中継して、勃起を促進または抑制することができる。心因性機能不全における勃起の抑制については、次の2つの考えられるメカニズムが提唱されている;正常な仙骨上抑制の誇張としての脳による脊髄勃起中枢の直接的抑制と、過剰な交感神経流出または末梢カテコールアミン濃度の上昇であり、勃起に必要な弛緩を妨げるために陰茎の平滑筋緊張を亢進させる可能性がある。
【0346】
神経性EDは、脳における病理の結果として生じることがある。内側視索前野、室傍核、および海馬は、性的衝動および陰茎勃起のための重要な統合中枢とされてきた。パーキンソン病、脳卒中、脳炎、または側頭葉てんかんなどの状態におけるこれらの領域の病理過程は、しばしばEDと関連している。EDに関連することが指摘されている脳の他の病変は、腫瘍、認知症、アルツハイマー病、シャイ-ドレーガー(多系統萎縮症)、症候群、および外傷である。
【0347】
PDのようなEDを引き起こす多くの神経疾患は、腸神経系(ENS)内の毒性αS凝集体の形成と相関することが疑われる(Braakら、2003(a)および(b))。EDは、PDを有する男性の60~79%の範囲で影響を及ぼすことが報告されているが、非パーキンソン男性におけるEDの有病率は約37.5%に過ぎない(Papatsoris、2006)。迷走神経などの求心性神経を介して、ENSから中枢神経系(CNS)へαS凝集体が正常に輸送された結果(Holmqvistら、2014;Svenssonら、2015)、神経毒性凝集体が脳幹内およびより吻側の構造物内に漸進的に蓄積する。ENSにおけるαS凝集を阻害することにより、ENSとCNSの両方における継続的な神経疾患プロセスが減少し(Phillipsら、2008)、それによって異常αS病態と関連するEDにプラスの影響を及ぼす可能性がある。
【0348】
典型的には、EDは、PDが患者に確立されてから数年後に現れる。PDなどの神経変性状態は、自律神経処理を担う脳中枢に損傷を引き起こす可能性がある。PDの神経変性を治療または予防できるアミノステロールは、ホルモンの調節を介して直接的または間接的に勃起を支配するニューロン構造の変性を予防または治療し得ると考えられる。
【0349】
中枢ドーパミンは、勃起を含む性機能の制御において重要な神経伝達物質であることが知られている(Giulianoら、2001)。PD患者にしばしば認められる勃起不全の原因として、ドーパミン欠乏が考えられている(Palmaら、2014)。PD患者では、αS関連の病態が黒質ドーパミンニューロンにみられるものと平行してセロトニン作動性およびコリン作動性ニューロンに発現する。このように、αSの調節は、ドーパミン作動性機能不全を介してPDにおけるEDにおいて役割を果たしている可能性がある。
【0350】
一実施形態では、本方法は、被験体が勃起を達成することができない事例の数を減少させ、被験体が勃起を達成することができない事例の数を減少させることは、被験体が定義された期間にわたって勃起を達成することができない事例の数を減少させることを含む。別の実施形態において、この方法は、規定された期間にわたってEDの重症度を減少させ、ここで、EDの重症度の減少は、骨圧迫直立長さ(BPEL)測定、胴回りの測定、矯正硬度スケール(EHS)、および国際矯正機能指数(IIEF)からなる群より選択される医学的に認識される技術によって測定される。
【0351】
(ii)血圧
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における高血圧(HBP)または低血圧(LBP)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法が提供される。
【0352】
高血圧とも呼ばれる高血圧(HBP)は、動脈内の血圧が持続的に上昇する長期的な医学的状態である。長期にわたる高血圧は、冠動脈疾患、脳卒中、心不全、心房細動、末梢血管疾患、視力障害、慢性腎臓病、認知症の主要な危険因子である。HBPは、(a)収縮期血圧(BP)≧120および拡張期BP<80;または(b)収縮期血圧(BP)≧130または拡張期BP≧80;一方、低血圧(LBP)は、(a)収縮期血圧≦80;または(b)拡張期血圧≦50として特徴付けられることがある。
【0353】
低血圧とも呼ばれる低血圧(LBP)は、一般に、90ミリメートル水銀(mmHg)未満の収縮期血圧または60mmHg未満の拡張期血圧として分類される。主な症状は、ふらつき、回転性めまいおよび失神である。血圧がひどく低下すると、脳や他の重要な臓器から酸素や栄養分が奪われ、ショックと呼ばれる命にかかわる状態になる。運動をしていて体調が最高の人にとって、低血圧は、健康と体力が良い徴候である。多くの人にとって、過度の低血圧は、めまいや失神を引き起こしたり、重篤な心臓、内分泌または神経障害を示したりする。
【0354】
血圧(BP)とαS病態:PDなどのHBPまたはLBPを引き起こす神経疾患の多くは、腸管神経系(ENS)内の毒性αS凝集体の形成と相関することが疑われている(Braakら、2003(a)および(b))。米国での1155万人のPD患者の医師の診療に関する研究では、最も一般的に記録された併存疾患は高血圧であり、診療の37.8%であった(Lingalaら、2017)。起立性低血圧(OH)は、特発性パーキンソン病(IPD)患者によくみられる非運動症状の1つである(Fereshtehnejadら、2014)。
【0355】
複数の研究で、高血圧が持続すると、ラットにリン酸化αSの異常蓄積を引き起こす可能性が示唆されている(佐藤ら、2014;福井ら、2014)。また、ヒトαSを過剰発現するように遺伝子操作されたマウスは、野生型マウスと比較して、化学的に誘発された低血圧に対する異なる心臓反応を示した(Flemingら、2013)。
【0356】
PD患者の5人に1人は、起立性低血圧の影響を受け、起立時の血圧低下として現れることがある。収縮期血圧の上昇は、パーキンソン病患者の運動機能の悪化を予測する(Linebackら、2016)。PDなどの神経変性状態は、血圧の調節に不可欠な自律神経処理を担う脳中枢に損傷を引き起こす可能性がある。PDにおける神経変性を治療または予防することが可能なアミノステロールは、ホルモンの調節を介して直接的または間接的に血圧の調節を支配するニューロン構造の変性を予防または治療する可能性があると考えられる。
【0357】
PDに典型的にみられるαS異常は、明らかなカテコールアミン欠乏の原因であると考えられている(ドーパミンは、他のカテコールアミンと代謝経路を共有するカテコールアミンである)(Frisinaら、2009)。ドーパミンは、血圧を調節する重要な神経伝達物質であることが知られている(Joseら、2003)。ドーパミンの、腎血行動態、上皮輸送およびアルドステロン、カテコールアミン、エンドセリン、プロラクチン、プロオピオメラノコルチン、レニンおよびバソプレシンなどの体液性薬物に対する作用により、血圧調節の中心的な恒常性の位置に置かれる。ドーパミンはまた、中枢神経系および消化管における作用を介して、そして、心臓、動脈および静脈の機能を制御する心血管中枢の調節によって、体液およびナトリウムの摂取量を調節する。ドーパミン産生および受容体機能の異常は、高い割合のヒト本態性高血圧症といくつかの形態の齧歯類遺伝性高血圧症を伴う。PD患者では、α-シヌクレイン関連の病態が黒質ドーパミンニューロンにみられるものと平行してセロトニン作動性およびコリン作動性ニューロンに発現する。このように、αSの調節は、ドーパミン作動性機能不全を介して、PDの血圧調節異常に役割を果たす可能性がある。
【0358】
HBPまたはLBPと相関する、異常αS病理、および/またはドーパミン作動性機能不全と関連する状態の例にはシヌクレイノパチー、神経疾患、心理的および/または行動障害、脳および全身性虚血性障害が含まれるが、これらに限定されない。これらの例は本明細書に記載されている。
【0359】
一実施形態では、HBPを有する被験体において、この方法は、臨床的に認識されるスケールまたはツールを使用して測定した場合、収縮期血圧および/または拡張期血圧を、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%低下させる。
【0360】
一実施形態において、LBPを有する被験体において、この方法は、臨床的に認識されるスケールまたはツールを使用して測定した場合、収縮期および/または拡張期血圧を、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%上昇させる。
【0361】
一実施形態では、臨床的に認識されるスケールまたはツールが、血圧測定、動脈浸透、動脈拍動、加速度測定、振動測定、連続非侵襲性動脈圧(CNAP)、脈波速度、および歩行モニタリングからなる群から選択される。
【0362】
(iii)心臓伝導障害
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロール(例えば、化合物VI)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは誘導体の治療有効量を被験体に投与することを含む、必要とする被験体における心臓伝導障害(CCD)および/または関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法が提供される。
【0363】
心臓伝導障害(CCD)は、電気インパルスがどのように心臓へ、および心臓を通って移動するかにおいて異常を伴う。心臓伝導系は、通常、洞房結節によって発生する電気信号を伝達し、心筋の収縮を引き起こす。心臓伝導欠損(CCD)は、重篤で生命を脅かす可能性のある疾患である。それは、房室(AV)結節を介する心臓伝導の変化、右または左脚ブロックを伴うHis-Purkinje系、および心電図(EKG)におけるQRS複合波の拡大を伴う病態群に属する。本来、CCDは、異常なインパルス伝播の基礎となる伝導系における解剖学的変化を伴う心臓の構造的疾患と考えられた。しかしながら、かなりの数の症例では、解剖学的異常がなくても伝導障害が起こることが明らかにされている。これらの場合、構造的変化よりも機能的変化が伝導障害の基礎をなすようである。これらの機能的欠陥は「心臓の原発性電気病」と呼ばれている。CCDの基礎にある病態生理学的メカニズムは多様であるが、CCDの最も頻度の高い病型はLenegre-Lev病(特発性両脚線維症)とも呼ばれる変性型である。今日、Lenegre-Lev病は、世界中のペースメーカー移植の主要な原因である。
【0364】
脚ブロックは、CCDの一般的なタイプである。通常、電気インパルスは、同じ速度で心室の右枝および左枝を下って移動する。これは、両方の心室が同時に収縮することを可能にする。分岐の1つに「ブロック」がある場合、電気信号は、心室を通る異なる経路をとらなければならない。この迂回手段は一方の心室が他方よりもほんの一瞬遅く収縮し、不整脈を引き起こすことである。脚ブロックの患者では、特に他の問題がない場合には症状がまったく現れないことがある。心電図(EKGまたはECG)では、心臓の電気的インパルスを測定すると脚ブロックが明らかになる。
【0365】
別の一般的なCCDは、心臓ブロックとして知られている。心臓ブロックの場合は、心臓の上屋(心房)から下屋(心室)へと進行する電気信号が障害される。これらの信号が不適切に送信されると、心臓は不規則に鼓動する。心臓ブロックにはいくつかの程度がある。
【0366】
第1度心ブロックは、電気インパルスが心臓のAV結節を通って正常よりもゆっくりと移動するときに生じる。これは通常、心拍数の低下をもたらす。この状態は、めまいやふらつきを引き起こすことがある。第2度心ブロックは、心臓の上室(心房)からの電気信号が下室(心室)に到達しないときに生じる。これは、スキップされた拍動をもたらし得る。第2度心ブロックの症状には、胸痛、失神、動悸、呼吸困難、速い呼吸、吐き気、および疲労感などがある。第3度、すなわち完全な心ブロックは、電気信号が心臓の上室(心房)から下室(心室)に全く通過できないことを意味する。洞房結節からの電気インパルスがなければ、心室は依然として収縮して血液を送り出すことになるが、その速度は通常よりも遅くなる。第3度心ブロックの症状は、第2度心ブロックの症状と同様である。心臓の病態は極端な場合の特定の薬物療法と同様に、第3度の心ブロックを引き起こす可能性がある。手術中に心臓の電気伝導系が傷つくと、第3度心ブロックを起こすこともある。
【0367】
LQTSとも呼ばれるQT延長症候群は、CCDである。LQTSでは、心臓の下室(心室)の収縮と解放に時間がかかりすぎる。サイクルを完了するのに必要な時間のギャップを測定し、通常の平均と比較することができる。この状態の名前は、心臓の電気信号によって生成された波形に関連付けられた文字に由来する。文字QとTとの間の間隔は、心室の動作を定義する。したがって、QT延長症候群は、ほんの一瞬であっても、その期間が長すぎることを意味する。時折のQT間隔の延長は、騒音、身体活動または運動に驚くとき、激しい感情(恐怖、怒りまたは疼痛など)を含む、日常的な状況によって引き起こされ得る。LQTSに関連する一部の不整脈は致死的となる可能性があり、心停止を引き起こす可能性がある。
【0368】
CCDの他の形態には、房室(AV)ブロックおよび広いまたは狭いQRSが含まれる。CCDのいくつかの形態は先天性であり、例えば、ウォルフ-パーキンソンホワイト(WPW)である。WPWでは、患者は房室結節に加えて、心房と心室の間を通じる副伝導路を有する。この副伝導路はKent束として知られている。この副伝導路は、AV結節の速度減速特性を共有せず、異常に高い心拍数を引き起こすAV結節よりも有意に高い速度で電気的活動を伝導し得る。
【0369】
一実施形態では、CCDが(a)QT間隔(QTc)≧440ms;(b)失神;(c)心電図(EKG)でのデルタ波の存在;(d)EKGの中の偽正常な脚ブロック;(e)EKG中のV1~V3のST上昇;(f)EKG中のQRS群>100ms;(g)心電図でのPR間隔<120ms;(h)毎分100拍を超える心拍数(BPM);(i)心拍数が60BPM未満;(j)EKG中のPR間隔>200ms;(k)EKG中のp波に従わないQRS;(l)EKG中のp波とQRS群との間に反復関係がないこと;(m)心房レートと心室レートの違い;(n)EKG中のリードV1中のQSまたはrS群;(o)リードV6のノッチ付き(「M」字型)R波;(p)EKGにおけるT波の不一致;(q)EKGにおける-45°と-60°の間の左軸偏位;(r)EKGにおける横肢のリードIおよびaVLのqRパターン(小さいq、高いR);(s)EKGにおける下位リードII、III、およびaVFのrSパターン(小さいr、深いs);(t)EKG中のリードaVLにおける遅延内因性偏向(>0.045秒);(u)EKGにおける90°~180°の間の前頭面軸;(v)リードiにおけるrSパターンとEKGにおけるaVL;(w)リードIIIにおけるqRパターンとEKGにおけるaVF;(x)胸痛;(y)動悸;(z)呼吸困難;(aa)急速呼吸;(bb)吐き気;(cc)倦怠感;(dd)不眠症、睡眠障害、または睡眠妨害;(ee)便秘;および(ff)認知障害、を含むか、またはこれらを引き起こす。
【0370】
一実施形態において、CCDの進行または開始は、医学的に認識された技術によって測定されるように、アミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の固定漸増用量の投与後、規定された期間にわたって、遅くなるか、停止されるか、または逆転される。さらに、CCDは医学的に認識された技術によって測定されるように、アミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の固定漸増用量によってプラスに影響され得る。CCDのプラスの影響および/または進行は、心エコー検査、心電図検査(ECGまたはEKG)、磁気共鳴イメージング(MRI)、ポジトロン放出断層撮影(PET);冠動脈カテーテル法、血管内超音波、ホルターモニタリング、ストレステスト、コンピュータ断層撮影血管造影(CTA)、および冠動脈CTカルシウムスキャンからなる群から選択される1つ以上の技術によって、定量的または定性的に測定することができる。さらに、CCDの進行または開始は、医学的に認識された技術によって測定する場合、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%遅らせる、停止させる、または逆転させることができる。
【0371】
別の実施形態において、アミノステロールまたはその塩もしくは誘導体は、CCDによって引き起こされる機能不全を逆転させ、評価される症状を治療、予防、改善、および/または解消する。CCD症状の改善または解消は、臨床的に認識されるスケールまたはツールを使用して測定される。さらに、CCD症状の改善は例えば、上記の技術を使用して測定した場合、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%であり得る。
【0372】
C.微生物感染症治療のためのアミノステロール
本開示はまた、被験体が微生物感染を有する場合において、必要とする被験体を治療する方法を対象とする。この方法は、吸入、肺、および/または経鼻投与を介して、本明細書に開示される少なくとも1つのアミノステロールを含む組成物の治療有効量を被験体に投与することを包含する。別の実施形態では、製剤は、のどへの薬物適用/暴露を確実にするために、うがいによって投与することができる。このような投与方法は、インフルエンザおよびコロナウイルスなどの呼吸器感染症を治療するために特に有益であり得る。
【0373】
微生物感染は、例えば、ウイルス感染、真菌感染、原虫感染、または細菌感染であり得る。さらに、微生物感染は、肺炎および/または肺感染と相関させることができる。
【0374】
さらに、本明細書に記載される方法について、任意に、この方法は、(a)抗菌薬;および/または(b)被験体がウイルス感染を有する場合、抗ウイルス薬;および/または(c)被験体が細菌感染を有する場合、抗菌薬;および/または(d)被験体が真菌感染を有する場合、抗真菌薬を投与することをさらに含み得る。
【0375】
本方法の一実施形態では、被験体はヒトである。別の実施形態では、被験体は、治療される微生物感染を発症する危険性があるか、または危険性がある患者集団の一員である。
【0376】
アミノステロールは、乳酸塩またはジ乳酸塩形態であり得る。本明細書に記載される方法の別の実施形態において、アミノステロールの乳酸塩またはジ乳酸塩は、約50mg以下の非常に低い用量で投与される。さらに別の実施形態では、アミノステロールの乳酸塩またはジ乳酸塩は、約45mg以下、約40mg以下、約35mg以下、約30mg以下、約25mg以下、約20mg以下、約15mg以下、約14mg以下、約14mg以下、約13mg以下、約12mg以下、約11mg以下、または約10mg以下の非常に低い用量で投与される。
【0377】
さらに別の実施形態では、アミノステロールの乳酸塩またはジ乳酸塩が、約9.5mg以下、約9mg以下、約8.5mg以下、約8mg以下、約7.5mg以下、約7mg以下、約6.5mg以下、約6mg以下、約5.5mg以下、約5mg以下、約4.5mg以下、約4mg以下、約3.5mg以下、または約3mg以下で投与される。
【0378】
一実施形態において、本発明は被験体を治療する方法を包含し、ここで、被験体は、1つ以上の微生物に感受性であるか、またはそれに感染している。
【0379】
一実施形態において、本発明は被験体を治療する方法を包含し、ここで、被験体は、1つ以上のグラム陽性またはグラム陰性細菌種に感受性であるか、または感染を有する。別の実施形態において、本発明は、被験体を治療する方法を包含し、ここで、被験体は、1つ以上のウイルスに感受性であるか、またはそれに感染している。さらに別の実施形態において、本発明は被験体を治療する方法を包含し、ここで、被験体は、1つ以上の真菌に感受性であるか、またはそれに感染している。一実施形態において、本発明は被験体を治療する方法を包含し、ここで、被験体は、1つ以上の原生動物に感受性であるか、またはそれに感染している。本明細書に記載される全ての方法において、感染は肺感染であり得るが、これに限定されない。
【0380】
本発明の組成物および方法はまた、宿主の気道感染(例えば、上気道(例えば、鼻、耳、副鼻腔、および咽喉)および下気道(例えば、気管、気管支管、および肺)の気道感染)の治療および/または予防における使用を見出す。
【0381】
(1)微生物
微生物感染は、例えば、ウイルス、細菌、真菌、または原生動物によって引き起こされ得る。本発明は、処理される微生物の種類によって限定されない。
【0382】
治療または予防されるウイルス感染は、「アフリカブタ熱ウイルス科」、アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテリウイルス、アストロウイルス科、バキュロウイルス科、ビルナウイルス科(Bimaviridae)、ビルナウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、カリモウイルス科、サーコウイルス科、コロナウイルス科、シストウイルス科、デング熱、EBV、HIV、デルタウイルス科、フィロウイルス科(Filviridae)、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科(肝炎)、ヘルペスウイルス科(例:サイトメガロウイルス科、単純ヘルペス科、帯状疱疹科)、イリドウイルス科、モノネガウイルス科(例:パラミクソウイルス科、モルビリウイルス科、ラブドウイルス科)、ミオウイルス科、オルトミクソウイルス科(例:A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、パラインフルエンザ)、パピローマウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、プリオン、パルボウイルス科、フィコドナウイルス科、ピコマウイルス科(例:ライノウイルス、ポリオウイルス)、ポックスウイルス科(例:天然痘、ワクシニア)、ポティウイルス科、レオウイルス科(例:ロタウイルス)、レトロウイルス科(例:HTLV-I、HTLV-II、レンチウイルス)、ラブドウイルス科、テクチウイルス科、トガウイルス科(例:ルビウイルス)、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されないいずれかのウイルスによって引き起こされる。本発明の別の実施形態では、ウイルス感染がヘルペス、痘瘡、乳頭腫、コロナ、インフルエンザ、肝炎、センダイ、シンドビス、ワクシニアウイルス、西ナイル、ハンタ、または感冒を引き起こすウイルスからなる群より選択されるウイルスによって引き起こされる。本発明の別の実施形態において、治療される状態は、エイズ、ウイルス性髄膜炎、デング熱、EBV、肝炎、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0383】
いくつかの実施形態において、ウイルス感染は、コロナウイルスによって引き起こされる。例えばコロナウイルスは、アルファコロナウイルス;バットコロナウイルスCDPHE15などのコラコウイルス;バットコロナウイルスHKU10またはキクガシラコウモリアルファコロナウイルスHuB-2013などのデカコウイルス;ヒトコロナウイルス229Eのようなドゥヴィナコウイルス;Lucheng Rnラットコロナウイルスなどのルチャコウイルス;フェレットコロナウイルスまたはミンクコロナウイルス1のようなミナコウイルス;ミニオプトラスコウモリコロナウイルス1またはミニオプトラスコウモリコロナウイルスHKU8などのミヌナコウイルス;Myotis rickettiアルファコロナウイルスSax-2011のようなミオタコウイルス;Nyctalus velutinusアルファコロナウイルスSC-2013のようなニクタコウイルス;ブタ流行性下痢ウイルスやスコトフィラスコウモリコロナウイルス512などのペダコウイルス;リノロフスコウモリコロナウイルスHKU2などのライナコウイルス;ヒトコロナウイルスNL63またはNL63関連バットコロナウイルス株BtKYNL63-9bなどのセトラコウイルス;アルファコロナウイルス1などのテガコウイルス;ベータコロナウイルス;ベータコロナウイルス1、ヒトコロナウイルスOC43、チャイナラタスコロナウイルスHKU24、ヒトコロナウイルスHKU1、マウスコロナウイルスなどのエンベコウイルス;Bat Hp-ベータコロナウイルスZhejiang2013などのヒベコウイルス;ハリネズミコロナウイルス1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、アブラコウモリコロナウイルスHKU5またはタケコウモリコロナウイルスHKU4などのメルベコウイルス;RousettusbatコロナウイルスGCCDC1またはRousettusbatコロナウイルスHKU9などのノベコウイルス;重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)または重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2、COVID-19)などのサルベコウイルス;デルタコロナウイルス;WigeonコロナウイルスHKU20などのアンデコウイルス;ヒヨドリコロナウイルスHKU11、ブタコロナウイルスHKU15、ムニアコロナウイルスHKU13またはWhite-eyeコロナウイルスHKU16などのブルデコウイルス;ナイトヘロンコロナウイルスHKU19などのヘルデコウイルス;Common moorhenコロナウイルスHKU21などのムーアデコウイルス;ガンマコロナウイルス;シロイルカコロナウイルスSW1などのセガコウイルス;および鳥コロナウイルスなどのイガコウイルスからなる群より選択され得る。一実施形態では、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0384】
「細菌」および「細菌」という用語は、原核生物界のすべての門内のものを含む、すべての原核生物を指す。球菌、桿菌、スピロヘータ、スフェロプラスト、プロトプラストなどを含む、すべての形態の細菌は、この定義に含まれる。この用語には、グラム陰性またはグラム陽性の原核生物も含まれる。細菌の例には、サルモネラ、赤痢菌、エシェリキア、エンテロバクター、セラチア、プロテウス、エルシニア、シトロバクター、エドワジエラ、クレブシエラ、ハフニア、ユーインゲラ、クライベラ、モルガネラ、プラノコッカス、Stomatococcus、ミクロコッカス、ブドウ球菌、ビブリオ、エロモナス、プレジオモナス、ヘモフィルス、パスツレラ、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、リケッチア、コクシエラ、ロシャリメア、エールリヒア、連鎖球菌、エンテロコッカス、アエロコッカス、ゲメラ、ラクトコッカス、ロイコノストック、ペディコッカス、バチルス、コリネバクテリウム、アルカノバクテリウム、放線菌、ロドコッカス、リステリア、エリシペロスリクス、ガードネレラ、ナイセリア、カンピロバクター、アルコバクター、ウォリネラ、ヘリコバクター、アクロモバクター、アシネトバクター、アグロバクテリウム、アルカリゲネス、シュードモナス(Chryseomonas)、コマモナス、エイケネラ、フラビモナス、フラボバクテリウム、モラクセラ、オリゲラ、シュードモナス、シェワネラ、ウィークセラ、キサントモナス、ボルデテラ、フランシエラ、ブルセラ、レジオネラ、アフピア、バルトネラ、カリマトバクテリウム、カルジオバクテリウム、ストレプトバチルス、スピリルム、ペプトストレプトコッカス、ペプトコッカス、サルシナ、コプロコッカス、ルミノコッカス、プロピオニバクテリウム、モビルンカス、ビフィズス菌、ユーバクテリウム、ラクトバチルス、ロチア、クロストリジウム、バクテロイデス、ポルフィロモナス、プレボテラ、フソバクテリウム、ビロフィラ、レプトトリキア、ウォリネラ、アシッドアミノコッカス、メガスファエラ、ベイロネラ、ノルカルディア、アクチノマヅラ、Norcardiopsis、ストレプトマイセス、マイクロポリスポラス、熱放線菌、マイコバクテリウム、トレポネーマ、ボレリア、レプトスピラ、およびクラミジアが含まれるが、これらに限定されない
【0385】
用語「真菌」は、二型性真菌を含む、カビおよび酵母のような真核生物を参照して使用される。
【0386】
本発明の組成物および方法は、皮膚糸状菌(例えば、イヌ小胞子菌などの小胞子菌種、トリコフィトン-ルブルムおよび毛瘡菌などの白癬菌)、酵母(例えば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・パラプローシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、および薬物耐性カンジダ種を含む他のカンジダ種)、エピデルモフィトン-フロッコーズム、マラセジア-フルフール(Pityrosporum orbiculare、Pityrosporum ovale)、Cryptococcus neoformans、Aspergillusfumigatusおよび他のAspergillus種、接合菌(リゾプス、ムーコル)、無色菌糸症(フサリウム属)、Paracoccidioides brasiliensis、Blastomyces dermatitidis、Histoplasma capsulatum、コクシジオイデス・イミティス、Sporothrix schenckii、およびブラストミセスを含むがこれらに限定されない、バイオフィルムを形成することができる生物を治療(例えば、殺すおよび/または増殖を阻害する)するために利用することができる。
【0387】
本発明はまた、これまで広範囲の抗生物質(例えば、アシネトバクター属種)に対する耐性を示す微生物を治療する(例えば、殺すおよび/または増殖を阻害する)ための組成物および方法を提供する。
【0388】
アシネトバクター属種は、一般に、健常者に対して非病原性であると考えられている。しかし、いくつかの種は病院環境で存続し、易感染性患者において重篤で生命を脅かす感染症を引き起こす。これらの微生物の抗生物質耐性の範囲は、その生存能力とともに、高度先進国やその他の国々で大流行が繰り返されていることから立証されているように、病院への脅威となっている。感染は免疫不全者に起こり、A.バウマニ株は、ヒト検体中で2番目に多く分離される非発酵性細菌である。アシネトバクターは、院内感染で頻繁に分離され、特に集中治療室で蔓延している。集中治療室では、散発的な症例のほか、流行性および流行性の発生の両方がよくみられる。A.バウマニは、院内肺炎、特に遅発性人工呼吸器関連肺炎の頻繁な原因である。皮膚および創傷感染、菌血症、および髄膜炎などの様々な他の感染症を引き起こす可能性がある。A.lwoffiも髄膜炎の原因菌である。A.バウマニは、ヒトの皮膚または乾燥した表面で何週間も生存できる。
【0389】
アシネトバクター属種は、ペニシリン、クロラムフェニコール、そしてしばしばアミノグリコシドを含む多くのクラスの抗生物質に先天的に耐性である。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の組成物および方法は、アシネトバクター属種の細菌を治療する(例えば、殺すおよび/または増殖を阻害する)ために利用される(例えば、個別にまたは他の治療(例えば、カルバペネム、ポリミキシンB、および/またはスルバクタム)と組み合わせて)。
【0390】
(2)呼吸器感染症/疾患
本開示の一実施形態では、吸入アミノステロール組成物を用いて肺および/または呼吸器感染症を治療する方法が包含される。「呼吸器感染症」および「肺感染症」とは、気道の微生物感染(例えば、細菌、ウイルス、真菌など)を意味する。ヒトにおいて、気道は、上気道(例えば、鼻、咽喉または咽頭、および喉頭);気道(例えば、声帯または喉頭、気管または気管、および気管支);および肺(例えば、気管支、細気管支、肺胞管、肺胞嚢、および肺胞)を含む。
【0391】
「呼吸器疾患」、「肺疾患」、「呼吸障害」、「肺障害」、「呼吸状態」、「肺状態」、「肺症候群」および「呼吸症候群」は、炎症を含み、特に気管、気管支および肺を含む呼吸器系の構成要素に影響を及ぼすいくつかの疾患のいずれかを意味する。本開示の別の実施形態においては、吸入乳酸塩またはジ乳酸塩アミノステロール組成物の投与を含む、このような状態を治療する方法が包含される。このような疾患の例としては、急性肺胞疾患、閉塞性呼吸器疾患(例えば、喘息;気管支炎;およびCOPDと呼ばれる慢性閉塞性肺疾患)、上気道疾患(例えば、中耳炎、および鼻炎/副鼻腔炎)、嚢胞性線維症(CF)、間質性肺疾患、アレルギー、および呼吸器感染症(例えば、肺炎、ニューモシスティスカリニ、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV))が挙げられる。
【0392】
急性肺胞疾患の具体例には、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、胎便吸引症候群(MAS)および呼吸窮迫症候群(RDS)がある。ALIは、肺胞という肺の気嚢を直接的または間接的に傷つける病態と関連している。ALIは、肺のサーファクタント層の破壊を伴う炎症および肺の透過性の増加の症候群である。ALIの最も重篤な症状はARDSである。ALIの原因の中には、典型的にはある種の大手術、人工呼吸器による肺損傷(しばしばVILIと呼ばれる)、煙吸入、肺炎、および敗血症に伴う合併症がある。
【0393】
嚢胞性線維症(CF)は、電解質のバランスを担うCFTRと呼ばれる膜貫通タンパク質の欠陥により、重度の肺障害を引き起こす生命を脅かす疾患である。粘液が濃くなると、肺の管(tube)、管(duct)、および通路が詰まる。この環境は、日和見細菌がバイオフィルム群集を確立するのに理想的であり、呼吸器感染症につながる。抗生物質を全身投与すると、増悪の頻度と重症度を低下させることができるが、気道と肺から細菌を完全に根絶することは決してできない。噴霧抗生物質が用いられるが、耐性出現および/または異なる耐性種のコロニー形成が大きな懸念である。嚢胞性線維症(CF)は、先天性呼吸器防御機構の機能障害を引き起こし、黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌などの病原性細菌種、および緑膿菌、アクロモバクター・キシロスオキシダンス、ステノトロホモナス・マルトフィリア、ラルストニア菌種、Pandoraea菌種、セパシア菌群(Bcc)種などの多くの日和見菌種のコロニー形成の環境を提供する。Bccは、少なくとも17の系統発生的に関連する腐敗性グラム陰性桿菌の群を含み、その大部分はバイオフィルムを形成することができる。これらは特に治療が困難であり、CF患者の罹患率および死亡率の増加と関連している。また、これらはヒトの感染症で遭遇する最も抗菌薬耐性の細菌種のひとつである。いったん確立されると、感染および関連する炎症が排除されることはまれであり、肺疾患が進行し、肺不全に至り、死に至る。
【0394】
(i)コロナウイルス
スクアラミンは、細胞内水素イオンの制御を含む多数の細胞プロセスにおいて役割を果たすタンパク質であるナトリウム-水素交換体(「NHE-3」)の特定のアイソフォームを阻害することが示されている(Akhter, Nathら、1999)。この活性の結果として、スクアラミンは、NHE-3が重要な役割を果たし、その阻害(スクアラミンによる)が達成され得るウイルス感染を含む疾患の治療において有用性を見出し得ることが提案された(例えば、米国特許第6,962,909号を参照のこと)。スクアラミンは、ウイルス感染の治療に使用することができ、特定のウイルスが、阻害に感受性のNHEを発現する標的細胞(スクアラミンの場合はNHE-3)を感染させ、特定のNHEがその細胞型の細胞恒常性において重要な役割を果たし、そして、問題のウイルスが疾患過程の経路において、その細胞型を自然感染させたことが知られているべきであることが提案されている(米国特許第6,962,909号)。しかしながら、今日まで、NHE-3依存性ウイルス感染の例は文献に報告されておらず、スクアラミンを含む動物において抗ウイルス活性を示すことが示されている既知のNHE-3阻害剤もない。さらに、スクアラミンによってインビトロで不活性化されることが実証されたウイルス、すなわちHIVおよびHSV(WO96/08270)は、pHホメオスタシスの阻害剤が感染性に影響しないという意味で、「pH非依存性」である経路を介して細胞に感染することが現在知られている(PelkmansおよびHelenius、2003)。
【0395】
これまでのところ、動物の全身性ウイルス感染症の治療または予防におけるスクアラミンの有効性を記載または裏付けるデータは発表されていない。スクアラミンが、組織培養においてHIVおよびHSVの感染性を阻害し得ることが、特許出願において報告されている(WO96/08270)。しかしながら、スクアラミンが動物に全身的に投与された場合に抗ウイルス活性を示すことができることは、当時、また本明細書に開示される発明まで報告されていなかった。WO96/08270に記載された実験では、スクアラミンが「化学コンドーム」として使用される局所剤の成分として考えられ、殺菌剤として作用し、ウイルスの最外膜エンベロープを破壊することによって、接触時にHIVまたはHSVを迅速に不活性化することができる。したがって、インビトロで観察されたスクアラミンの抗ウイルス特性は、その抗菌活性について提案されたものに類似したメカニズムを介して、ウイルス膜の直接破壊から生じると考えられた。HIV、単純ヘルペス、および淋菌などの性感染症の局所予防にスクアラミンを使用できる可能性が、1995年のICAAC会議(MacDonald 1995)で発表された。したがって、スクアラミンは、ある製剤において粘膜表面に適用される「消毒剤」の進歩した形態としての有用性を有し、それによって生存可能なウイルスが尿生殖管の上皮表面に接近するのを防ぐことが提案された。したがって、アミノステロールは、他のウイルス型(例えば、コロナウイルス)の治療および予防において有用であり得ることが想定される。
【0396】
一実施形態において、本明細書中の任意の実施形態のアミノステロール化合物または本明細書中の任意の実施形態の組成物の治療有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるコロナウイルスによる感染を治療または予防する方法が提供される。
【0397】
いくつかの実施形態において、コロナウイルスは、アルファコロナウイルス;バットコロナウイルスCDPHE15などのコラコウイルス;バットコロナウイルスHKU10やキクガシラコウモリアルファコロナウイルスHuB-2013などのデカコウイルス;ヒトコロナウイルス229Eのようなドゥヴィナコウイルス;Lucheng Rnラットコロナウイルスなどのルチャコウイルス;フェレットコロナウイルスまたはミンクコロナウイルス1のようなミナコウイルス;ミニオプトラスコウモリコロナウイルス1またはミニオプトラスコウモリコロナウイルスHKU8などのミヌナコウイルス;Myotis rickettiアルファコロナウイルスSax-2011のようなミオタコウイルス;
Nyctalus velutinusアルファコロナウイルスSC-2013のようなニクタコウイルス;ブタ流行性下痢ウイルスやスコトフィラスコウモリコロナウイルス512などのペダコウイルス;リノロフスコウモリコロナウイルスHKU2などのライナコウイルス;ヒトコロナウイルスNL63またはNL63関連バットコロナウイルス株BtKYNL63-9bなどのセトラコウイルス;アルファコロナウイルス1などのテガコウイルス;ベータコロナウイルス;ベータコロナウイルス1、ヒトコロナウイルスOC43、チャイナラタスコロナウイルスHKU24、ヒトコロナウイルスHKU1、マウスコロナウイルスなどのエンベコウイルス;Bat Hp-ベータコロナウイルスZhejiang2013などのヒベコウイルス;ハリネズミコロナウイルス1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、アブラコウモリコロナウイルスHKU5またはタケコウモリコロナウイルスHKU4などのメルベコウイルス;RousettusbatコロナウイルスGCCDC1またはRousettusbatコロナウイルスHKU9などのノベコウイルス;重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)または重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2、COVID-19)などのサルベコウイルス;デルタコロナウイルス;WigeonコロナウイルスHKU20などのアンデコウイルス;ヒヨドリコロナウイルスHKU11、ブタコロナウイルスHKU15、ムニアコロナウイルスHKU13またはWhite-eyeコロナウイルスHKU16などのブルデコウイルス;ナイトヘロンコロナウイルスHKU19などのヘルデコウイルス;Common moorhenコロナウイルスHKU21などのムーアデコウイルス;ガンマコロナウイルス;シロイルカコロナウイルスSW1などのセガコウイルス;鳥コロナウイルスなどのイガコウイルスからなる群より選択されるウイルスを含む。
【0398】
いくつかの実施形態では、コロナウイルスが、SARS-CoV-2の配列を含むポリヌクレオチド、またはSARS-CoV-2の配列を含むポリヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、コロナウイルスが、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスOC43、SARS-CoV、HCoV NL63、HKU1、MERS-CoV、またはSARS-CoV-2を含むか、またはそれらに特徴的である。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoV-2を含むか、またはそれに特徴的である。
【0399】
いくつかの実施形態では、被験体が感染による重篤な疾患および/または重篤な合併症のリスクがあると考えられる。いくつかの実施形態では、被験体が約50歳以上、約55歳以上、約60歳以上、または約65歳以上である。いくつかの実施形態では、被験体は、糖尿病、喘息、呼吸器障害、高血圧、および心疾患からなる群より選択される1つ以上の既存の状態を患う。いくつかの実施形態では、被験体は免疫不全である。いくつかの実施形態では、被験体がAIDS、癌、癌治療、肝炎、自己免疫疾患、ステロイド投与、免疫老化、またはそれらの任意の組合せにより免疫不全になる。
【0400】
いくつかの実施形態では、投与が、コロナウイルスへの暴露後の被験体の生存の機会を増加させる。いくつかの実施形態において、生存の機会は、任意の臨床的に認識される技術を使用して測定される場合、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%増加する。
【0401】
いくつかの実施形態では、被験体が、コロナウイルスに対して伝染性である個体に曝露されるか、または曝露されることが予想される。いくつかの実施形態において、コロナウイルスに対して伝染性である個体は、発熱、咳、息切れ、下痢、くしゃみ、鼻水、および咽頭痛からなる群より選択される1つ以上の症状を有する。いくつかの実施形態において、被験体は、60歳以上の医療従事者、頻繁な旅行者、軍関係者、介護者、または感染による死亡のリスク増加をもたらす既存の状態を有する被験体である。
【0402】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の抗ウイルス薬を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の抗ウイルス薬は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ダルナビル、ガリデシビル、インターフェロンベータ、ロピナビル、リトナビル、レムデシビル、およびトリアザビリンからなる群より選択される。
【0403】
いくつかの実施形態において、投与は、コロナウイルスの伝播のリスクを減少させる。いくつかの実施形態において、伝播のリスクの減少は、任意の臨床的に認識される技術を使用して測定される場合、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%である。いくつかの実施形態において、医学的に認識される技術は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、以下の表1Aの試験、またはイムノアッセイを含む。
【0404】
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と呼ばれる細胞表面の受容体に富む細胞は、ウイルスが細胞内に侵入するためにその受容体(ACE2)を必要とするため、コロナウイルスに侵入されやすくなる。一実施形態において、被験体におけるコロナウイルス(すなわち、SARS-CoV-2)による感染を治療および/または予防する方法が提供され、これは、被験体のACE2に富む組織に、本明細書中に開示されるアミノステロールを投与することを包含する。ACE2に富む組織には、肺、肺胞、腎臓、神経皮質、脳幹、および消化管組織が含まれ得る。
【0405】
(ii)COVID-19
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)によって引き起こされる感染症である。2019年12月に中国湖北省の武漢で初めて同定され、世界的に普及してきたため、2019-20年のコロナウイルスのパンデミックが続いている。症状には、発熱、咳、息切れ、下痢、くしゃみ、鼻水、血液凝固、低血中O、および咽頭痛が含まれる。
【0406】
一実施形態では、COVID-19を有する、必要とする被験体を治療する方法であって、治療有効量の本明細書中のアミノステロールを投与することを含む方法が提供される。本方法のいくつかの実施形態において、被験体は、COVID-19陽性と診断され、および/または検査された。COVID-19検査は、当該分野で公知の任意の市販の検査(例えば、以下の表1Aの検査)を含み、または陽性の検査結果は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはイムノアッセイを使用して決定され得る。一実施形態では、被験体がCOVID-19と診断されており、COVID-19に罹患するリスクがあり、またはCOVID-19に罹患している疑いがある。
【0407】
【表1-1】
【0408】
【表1-2】
【0409】
【表1-3】
【0410】
【表1-4】
【0411】
【表1-5】
【0412】
本方法によって治療されるべき症状、または本方法の実践中に評価されるべき症状には、COVID-19の症状のいずれかが含まれることがあり、これには、以下に議論するように、例えば、免疫応答の増加、サイトカインストーム、虚血、脳炎、脳卒中、嗅覚または味覚の喪失、呼吸困難、および腎不全または損傷などが含まれる。
【0413】
COVID-19を有する被験体は、ウイルスの結果として、有害な免疫応答に罹患する可能性がある。被験体は、サイトカインストームを有する可能性がある。いくつかの実施形態において、被験体は、I型IFN(IFN-αおよびIFN-β)、II型IFN(IFN-γ)、ラムダIFN(IFN-λ1、IFN-λ2、およびIFN-λ3)などのインターフェロン(IFN)、IL-1αおよびIL-1βなどのインターロイキン;CXCL8(IL-8)、CCL2(単球走化性タンパク質1[MCP-1]、およびCCL11(エオタキシン)などのケモカイン;顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、および顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子(CSFs);腫瘍壊死因子(TNF);およびこれらの組合せからなる群より選択されるサイトカインの上昇を有する。上昇したサイトカインレベルは、任意の医学的に認識された技術、例えば、質量分析、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、または免疫組織化学を使用して決定され得る。上昇は、コロナウイルスに感染する前の被験体または健康な被験体と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%であり得る。いくつかの実施形態では、本方法が、コロナウイルスに感染する前の被験体と比較して、または健康な被験体もしくはCOVID-19を有さない被験体と比較して、その上昇したサイトカインを約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%もしくは約100%減少させる。
【0414】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上の免疫抑制薬をアミノステロールと共に投与することをさらに含む。免疫抑制薬は、コロナウイルスに対する免疫反応を治療または改善し、サイトカインストームを減少または消失させることがある。いくつかの実施形態では、免疫抑制薬は、トシリズマブ;サリルマブ;タクロリムスおよびシクロスポリンなどのカルシニューリン阻害剤;マイコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸ナトリウムおよびアザチオプリンなどの抗増殖剤;シロリムスなどのmTOR阻害剤;ならびにプレドニゾンなどのステロイドのうちの1つ以上である。
【0415】
いくつかの実施形態では、被験体は、低下した血中Oを有する。低下は、コロナウイルスによる感染前の被験体またはCOVID-19を有さない被験体と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%であり得る。いくつかの実施形態では、該方法が、コロナウイルスによる感染前の被験体と比較して、または健康な被験体と比較して、減少した血中Oを約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。血液Oの増大は、医学的に認識された技術、例えば、脈拍酸素濃度計または血液ガス(ABG試験)を使用して測定され得る。
【0416】
いくつかの実施形態では、被験体は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に罹患している。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺における広範な炎症の急速な発症を特徴とする呼吸不全の一種である。症状には、息切れ、速い呼吸、皮膚の色が青っぽくなるなどがある。生き残った人々にとって、生活の質の低下が一般的である。いくつかの実施形態において、COVID-19を有する被験体は、虚血に罹患している。いくつかの実施形態では、虚血は、腎臓の虚血または心筋虚血を含む。
【0417】
いくつかの実施形態では、被験体は、血餅を患っている。血液クラブは、肺血栓、動脈または白色血栓、静脈または赤色血栓を含み得る。いくつかの実施形態において、被験体は、コロナウイルスによる感染前の被験体と比較して、または健康な被験体またはCOVID-19を有さない被験体と比較して、上昇したD-ダイマーを有する。上昇は、コロナウイルスに感染する前の被験体または健康な被験体と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%であり得る。いくつかの実施形態では、この方法が、コロナウイルスによる感染前の被験体に対して、または健康な被験体もしくはCOVID-19を有さない被験体に対して、上昇したD-ダイマーを、その上昇の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%もしくは約100%減少させる。
【0418】
いくつかの実施形態では、被験体は腎不全である。腎不全は、COVID-19被験体によくみられ、武漢の入院患者85人の27%が腎不全を有していた(Diaoら、2020)。急性腎障害(AKI)を有する患者は、それを有さないCOVID-19患者よりも5倍以上死亡する可能性が高かった。いくつかの実施形態では、被験体はAKIを有する。COVID-19の被験体者の腎不全の診断は、血液中の老廃物の蓄積を測定するBUN、クレアチニン、GFRなどの血液検査で確定できる。尿検査は、タンパク質の量を測定したり、異常な細胞の存在を検出したり、電解質の濃度を測定したりするように指示される。いくつかの実施形態では、被験体は糖尿病であり、したがって、腎損傷のリスクが増大している。
【0419】
いくつかの実施形態では、被験体は脳炎に罹患している。脳炎は脳の炎症である。COVID-19患者に起こる脳症が観察されている(Wadmanら、2020)。脳炎の症状は、医学的に認められた技術、例えば、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影スキャン(CTスキャンまたはCATスキャンとも呼ばれる)、血液検査、尿および便検査、痰培養、脳波(EEG)、または脊椎穿刺(腰椎穿刺とも呼ばれる)を用いて、被験体において評価することができる。脳炎の治療には、しばしば抗ウイルス薬が使用される。一実施形態において、この方法は、1つ以上の抗ウイルス性脳炎薬物の投与をさらに包含する。抗ウイルス性脳炎薬には、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネットなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0420】
患者には、発作、「sympathetic storm」、嗅覚消失も観察されている。sympathetic stormには、循環コルチコイドおよびカテコールアミンの増加、またはストレス反応が含まれ、症状には、意識レベルの変化、姿勢の増加、ジストニア、高血圧、高体温、頻脈、頻呼吸、発汗、および激越などがある。
【0421】
COVID-19の眼症状も、症状として確認されている。これらには、エピフォラ(epiphora)、結膜うっ血、または結膜浮腫が含まれる(Wuら、2020)。ウイルス性結膜炎は、上気道感染症(風邪、インフルエンザなど)を伴うことが知られており、COVID-19の症状である可能性がある。いくつかの実施形態において、治療、予防または評価されるべき症状は、結膜炎である。結膜炎は、細隙灯顕微鏡検査、視力検査、視覚アナログ尺度、McMonnies/Chapman-Davies尺度(MC-D)、検証済み眼球発赤尺度(VBR)、眼科研究所尺度(IER)などの医学的に認められた手法により評価してもよい。
【0422】
2つの中国のセンターに入院したCOVID-19患者の半分以上が、肝臓または胆管への損傷を示す酵素レベルの上昇を有していた(Zhangら、2020)。アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、およびγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)は、上昇する可能性のある肝酵素である。上昇は、コロナウイルスによる感染前の被験体または健康な被験体と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%であり得る。いくつかの実施形態では、本方法は、上昇した肝酵素を、コロナウイルスによる感染前の被験体と比較して、または健康な被験体もしくはCOVID-19を有さない被験体と比較して、その上昇の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%もしくは約100%減少させる。
【0423】
COVID-19を患う被験体は、機械的換気(人工呼吸器、mechanical ventilation)を必要とし得る。本方法のいくつかの実施形態では、被験体は、人工呼吸器を装着した被験体である。この場合の投与は、肺投与を含み得、人工呼吸器と連結され得る。一実施形態では、組成物を、人工呼吸器を装着した被験体に投与することができる。例えば、組成物は、アクチュエータデバイスを介して人工呼吸器に接続された吸入器またはネブライザー装置を使用して被験体に投与することができる。別の実施形態では、装置は、スペーサーチャンバを使用して人工呼吸器に接続することができる。一実施形態では、組成物がインライン使用に適合された乾燥粉末吸入器、ソフトミスト吸入器、または気管内噴霧カテーテルを使用して、人工呼吸器を装着した被験体に投与される。
【0424】
別の実施形態において、被験体は、糖尿病、高血圧、心血管疾患、癌、以前の癌治療、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎疾患、サルコイドーシス、閉塞性肺疾患、特発性肺線維症(IPF)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症/気管支拡張症、および肺炎からなる群より選択されるCOVID-19との共存症を有する。別の実施形態において、被験体は、肺疾患または呼吸障害を有する。本明細書中に記載される方法の全てについて、被験体は、肺疾患または呼吸障害を有し得る。別の実施形態では、コロナウイルス感染が、肺炎および/または肺感染と相関する。
【0425】
この方法は、気管支拡張薬、吸入コルチコステロイド、抗生物質、肺サーファクタント、粘液溶解薬、生物学的製剤、遺伝子、プロスタノイド、サーファクタント、ヘパリン、モルヒネ、フロセミド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の化合物を投与することをさらに含み得る。例えば、(気管支拡張薬は、アルブテロール、ホルモテロール、アルフォルモテロール、フェノテロール、メタプロテレノール、またはイプラトロピウムであり得る;(b)吸入コルチコステロイドは、ブデソニド、ベクロメタゾン、またはフルチカゾンであり得る;(c)抗生物質は、トブラマイシン、アミカシ(amikaci)、アミカシン、ホスホマイシン、コリスチン、シプロフロキサシン、リバビリン、およびアムホテリシンBであり得る;(d)サーファクタントは、Exosurf、Survanta、Curosurf、Infasurf、およびKL4であり得る;(e)粘液溶解薬は、N-アセチルシステインまたはドルナーゼアルファであり得る;(f)生物学的製剤は、モノクローナル抗体であり得る;(g)遺伝子は、siRNAであり得る;および(h)プロスタノイドは、エポプロステノール、イロプロストまたはトレプロスチニルであり得る。
【0426】
別の実施形態において、COVID-19被験体は、糖尿病、高血圧、心血管疾患、癌、以前の癌治療、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎疾患、サルコイドーシス、閉塞性肺疾患、特発性肺線維症(IPF)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症/気管支拡張症、および肺炎からなる群より選択される共存症を有する。別の実施形態において、被験体は、肺疾患または呼吸障害を有する。
【0427】
例示的な実施形態において、本開示は、必要とする被験体を治療する方法を包含し、ここで、被験体は、コロナウイルス感染を有すると診断されており、コロナウイルス感染を有する疑いがあり、および/またはコロナウイルス感染を発症するリスクがあり、ここで、コロナウイルスはSARS-CoV-2であり、この方法は、吸入、肺、および/または経鼻投与を介して、少なくとも1つのアミノステロールを含む組成物の治療有効量を被験体に投与することを含み、ここで、アミノステロールは、乳酸塩またはジ乳酸塩形態である。別の予想において、本開示は、被験体におけるSARS-CoV-2のウイルス複製を阻害する方法を包含し、この方法は、吸入、肺および/または経鼻投与を介して、少なくとも1つのアミノステロールを含む組成物の治療有効量を被験体に投与することを含み、ここで、アミノステロールは、乳酸塩またはジ乳酸塩形態である。
【0428】
このような方法において、投与後、被験体におけるウイルス負荷は、アミノステロールの投与前の被験体に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%減少され得、ここで、減少は、調整可能な抵抗パルスセンシング(TRPS)、フローサイトメトリー、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、および透過型電子顕微鏡(TEM)からなる群より選択される医学的に認識される技術によって測定される。
【0429】
さらに、吸入、肺および/または経鼻投与は、ネブライザー、加圧ネブライザー、ジェットネブライザー、定出力ジェットネブライザー、吸気同期ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、定出力超音波ネブライザー、振動メッシュネブライザー、定出力振動メッシュネブライザー、振動メッシュネブライザー、ソフトミスト吸入器、定量吸入器(MDI)、加圧定量吸入器、乾燥粉末吸入器、および気管内噴霧カテーテルからなる群より選択されるデバイスまたは方法を介することができる。一実施形態において、この方法は、投与のための単回用量乾燥粉末吸入(DPI)装置を使用する。別の実施形態では、DPI装置が、カプセルに含まれる乾燥粉末の形態で組成物を運搬する。さらに、装置は、呼吸作動式吸入器であってもよい。
【0430】
アミノステロール組成物は、乾燥粉末剤形であってもよい。あるいは、アミノステロール組成物は、液体分散剤形であり得る。
【0431】
一実施形態において、アミノステロール組成物は、人工呼吸器を装着した被験体に投与され得る。例えば、組成物は、アクチュエータデバイスを介して人工呼吸器に接続された吸入器またはネブライザーデバイスを使用して被験体に投与することができる。別の実施形態では、装置は、スペーサーチャンバを使用して人工呼吸器に接続することができる。さらに別の実施形態では、換気は、約100mL~約200mL、約200mL~約300mL、約300mL~約400mL、約400mL~約500mL、約500mL~約600mL、約600mL~約700mL、または約700mL超からなる群から選択される1回換気量の送達を含む。別の実施形態では、換気が約10L/分~約20L/分、約20L/分~約30L/分、約30L/分~約40L/分、約40L/分~約50L/分、約50L/分~約60L/分、または約60L/分を超える吸気流を含む。
【0432】
一実施形態において、少なくとも1つのアミノステロールを含む組成物は、投与前に加熱することができる。
【0433】
本明細書中に記載される方法において、組成物は、インライン使用に適合された乾燥粉末吸入器、ソフトミスト吸入器、または気管内噴霧カテーテルを使用して、人工呼吸器を装着した被験体に投与され得る。
【0434】
別の実施形態において、コロナウイルス感染は、肺炎および/または肺感染と相関され得る。
【0435】
一実施形態において、この方法は、気管支拡張薬、吸入コルチコステロイド、抗生物質、肺サーファクタント、粘液溶解薬、生物学的製剤、遺伝子、プロスタノイド、サーファクタント、ヘパリン、モルヒネ、フロセミド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の化合物を投与することをさらに含む。例えば、気管支拡張薬は、アルブテロール、ホルモテロール、アルフォルモテロール、フェノテロール、メタプロテレノール、およびイプラトロピウムから選択される1つ以上であり得る。さらに、吸入コルチコステロイドは、ブデソニド、ベクロメタゾン、およびフルチカゾンの中から1つ以上選択できる。さらに、抗生物質は、トブラマイシン、アミカシ(amikaci)、アミカシン、ホスホマイシン、コリスチン、シプロフロキサシン、リバビリン、およびアンホテリシンBから選択される1つ以上であってもよい。さらに、サーファクタントは、Exosurf、Survanta、Curosurf、Infasurf、およびKL4から選択される1つ以上であってもよい。一実施形態において、粘液溶解薬は、N-アセチルシステインおよびドルナーゼアルファから選択される1つ以上であり得る。生物学的製剤は、モノクローナル抗体であってもよく、遺伝子はsiRNAであってもよい。プロスタノイドは、エポプロステノール、イロプロスト、トレプロスチニルから1つ以上を選択することができる。
【0436】
一実施形態において、被験体は、糖尿病、高血圧、心血管疾患、癌、以前の癌治療、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎疾患、サルコイドーシス、閉塞性肺疾患、特発性肺線維症(IPF)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症/気管支拡張症、および肺炎の1つ以上から選択される共存症を有する。さらに、被験体は、肺疾患または呼吸障害を有し得る。
【0437】
VI.患者集団
開示されたアミノステロールおよびそれを含む組成物は、ヒトおよび哺乳動物を含む非ヒト動物、ならびにヒトの子供および成体を含む未成熟および成熟動物を含む、ある範囲の被験体を治療するために使用され得る。治療されるヒト被験体は、乳児、幼児、学齢の子供、ティーンエイジャー、若年成人、成人、または高齢の患者であり得る。
【0438】
予防に関する本明細書に開示される実施形態では、特定の患者集団が、本明細書に開示される状態のいずれかの発症の「リスクがある」ことに基づいて選択されてもよい。例えば、病態または家族歴の遺伝子マーカーを徴候として用いて、特定の病態を発症する可能性が高い被験体を同定することができる。したがって、いくつかの実施形態では、予防は、まず、状態を発症するリスクがある患者集団を同定することを含み得る。あるいは、特定の症状は、特定の疾患の初期徴候と考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、患者集団が年齢および状態に関連する症状を経験することに基づいて、状態を発症する「リスクがある」ために選択されてもよい。患者集団を精査するために、さらなる遺伝的または遺伝的徴候が用いられることがある。
【0439】
VII.キット
本開示のアミノステロール製剤または組成物は、説明書または添付文書とともに、キットと一緒に包装され得るか、またはキットに含まれ得る。そのような説明書または添付文書は、アミノステロールまたはその誘導体もしくは塩の有効期間を考慮して、時間、温度および光のような推奨される貯蔵条件を示すことができる。そのような説明書または添付文書はまた、管理された病院、診療所、またはオフィスの状態外の、現場での使用を必要とし得る製剤のための貯蔵の容易さなど、アミノステロールまたはその誘導体もしくは塩の特定の利点を示し得る。
【0440】
本開示はまた、本明細書中に開示される1つ以上のアミノステロール医薬組成物で満たされた1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。キットは、例えば、溶解されるべき粉末、錠剤、または滅菌溶液のいずれかとして、適切な量のアミノステロール医薬組成物で満たされた容器を含み得る。そのような容器と関連して、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を監督している政府機関により定められた形式の注意書があり、そのような注意書は、ヒトへの投与のための製造、使用または販売の政府による認可の事実を示している。さらに、アミノステロールまたはその誘導体もしくは塩は、他の治療化合物と併せて使用され得る。
【0441】
他の実施形態において、本明細書中に記載されるような鼻スプレー装置を含むキットが開示される。一実施形態において、キットは、開示される低用量アミノステロール組成物を含む、本明細書に開示されるような1つ以上の装置を含み得、ここで、装置は、該装置を大気の影響から保護するのに十分な容器内に密封される。容器は、例えば、ホイル、またはプラスチックパウチ、特にホイルパウチ、またはヒートシールされたホイルパウチであってもよい。装置を適切に保護するのに十分な適切な容器は、当業者には容易に理解されるであろう。
【0442】
一実施形態では、キットは、本明細書に開示されるような1つ以上の装置を含むことができ、ここで、装置は、製品の物理的完全性を保護する、第1の保護パッケージ、または第2の保護パッケージ、または第3の保護パッケージ内に封止することができる。第1、第2、または第3の保護パッケージのうちの1つ以上は、ホイルパウチを含むことができる。キットは、装置の使用説明書をさらに含んでもよい。一実施形態では、キットが2つ以上の装置を含む。
【0443】
一実施形態において、キットは、本明細書中に開示されるような装置を含み得、そして使用のための説明書をさらに含み得る。一実施形態では、説明書は、装置の管理者への視覚的補助/絵画的および/または書面による指示を含むことができる。
【0444】
VIII.併用療法
本開示の方法において、アミノステロール組成物は、単独で、または1つ以上の他の治療剤と組み合わせて投与され得る。追加の治療剤の例は、アミノステロールが治療のために投与されている状態を治療することが知られているものである。
【0445】
いくつかの実施形態において、アミノステロール組成物は、単独で、または抗菌剤などの1つ以上の他の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。追加の治療剤または抗菌剤は、肺または吸入投与を含むが、これらに限定されない任意の薬学的に許容される方法によって投与することができる。さらに、追加の治療剤の例は、アミノステロールが治療のために投与されている状態を治療することが知られているものである。
【0446】
いくつかの実施形態では、他の治療剤が、抗生物質、抗体、抗菌酵素、ペプチド、およびランチオン含有分子を含むがこれらに限定されない群から選択される抗菌剤である。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、細胞壁合成を妨害または阻害する。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、β-ラクタム、セファロスポリン、糖ペプチド、アミノグリコシド、スルホノミド、マクロライド、葉酸塩、ポリペプチド、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない群から選択される。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、タンパク質合成(例えば、グリコシド、テトラサイクリンおよびストレプトグラミン)を妨害する。
【0447】
いくつかの実施形態において、アミノステロールを含む組成物との同時投与は、このような同時投与なしで投与されるよりも低い用量の抗菌剤の投与を可能にする。
【0448】
エアロゾルを介して、人工呼吸器を装着した被験体に典型的に投与される薬物の例を、以下の表1Bに示す。
【0449】
【表2】
【0450】
PDおよび/または関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、PDまたは関連症状を治療するために一般的に処方される薬物、例えばレボドパ(通常、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤またはCOMT阻害剤と組み合わせる)、ドーパミンアゴニストおよびMAO-B阻害剤と同時投与するか、組み合わせることができる。例示的なドーパデカルボキシラーゼ阻害剤は、カルビドパおよびベンセラジドである。例示的なCOMT阻害剤は、トルカポンおよびエンタカポンである。ドーパミンアゴニストには、例えば、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、ピリベジル、カベルゴリン、アポモルフィン、リスリド、およびロチゴチンが含まれる。MAO-B阻害剤には、例えば、セレギリンおよびラサジリンが含まれる。PDの治療によく用いられる他の薬物には、例えば、アマンタジン、抗コリン作動薬、精神病に対するクロザピン、認知症に対するコリンエステラーゼ阻害薬、および日中の眠気に対するモダフィニルがある。
【0451】
ADまたはADに関連する関連症状の発症、予防および/または進行を治療、予防および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、ADまたは関連症状を治療するために一般に処方される薬物、例えばグルタミン酸塩、抗精神病薬、ヒューペルジンA、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、およびメマンチン(Akatinol(登録商標)、Axura(登録商標)、Ebixa(登録商標)/Abixa(登録商標)、Memox(登録商標)、およびNamenda(登録商標))などのNMDA受容体アンタゴニストと同時投与または組み合わせることができる。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の例は、ドネペジル(Aricept(登録商標))、ガランタミン(Razadyne(登録商標))、およびリバスチグミン(Exelon(登録商標))である。
【0452】
1型糖尿病および2型糖尿病の両方を含む糖尿病および/または糖尿病に関連する関連症状、または糖尿病の神経障害の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、糖尿病または関連症状を治療するために一般的に処方される薬物、例えばインスリン(NPHインスリンまたは合成インスリン類似体)(例えば、Humulin(登録商標)、Novolin(登録商標))および経口血糖降下薬と組み合わせて同時投与することができる。経口血糖降下薬には、(1)メトホルミン(Glucophage(登録商標))のようなビグアニド;(2)アセトヘキサミド、クロルプロパミド(Diabinese(登録商標))、グリメピリド(Amaryl(登録商標))、グリピジド(Glucotrol(登録商標))、トラザミド、トルブタミド、およびグリブリド(Diabeta(登録商標)、Micronase(登録商標))のようなスルホニル尿素剤;(3)レパグリニド(Prandin(登録商標))およびナテグリニド(Starlix(登録商標))のようなメグリチニド;(4)ロシグリタゾン(Avandia(登録商標))およびピオグリタゾン(Actos(登録商標))のようなチアゾリジンジオン;(5)アカルボース(Precose(登録商標))およびミグリトール(Glyset(登録商標))のようなα-グルコシダーゼ阻害剤;(6)シタグリプチン(januvia(登録商標))のようなジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤;(7)エキセナチド(Byetta(登録商標))のようなグルカゴン様ペプチドアゴニスト;および(8)プラムリンチド(Symlin(登録商標))のようなアミリン類似体が含まれるが、これらに限定されない。
【0453】
HDまたはハンチントン舞踏病もしくは疾患に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、ハンチントン舞踏病または関連する情動および運動の問題を制御するのに役立つように処方される薬物のような、ハンチントン舞踏病または関連する症状を治療するために一般的に処方される薬物と同時投与するか、または組み合わせることができる。このような薬物には、(1)ハロペリドールおよびクロナゼパムのような抗精神病薬;(2)例えば、アセチルコリン調節薬(トリヘキシフェニジル、ベンズトロピン(Cogentin(登録商標))、および塩酸プロシクリジン);GABA調節薬(ジアゼパム(Valium(登録商標))、ロラゼパム(Ativan(登録商標))、クロナゼパム(Klonopin(登録商標))、およびバクロフェン(Lioresal(登録商標));ドーパミン調節薬(レボドパ/カルビドパ(Sinemet(登録商標))、ブロモクリプチン(parlodel)、レセルピン、テトラベナジン);抗痙攣薬(カルバマゼピン(Tegretol(登録商標))およびボツリヌス毒素(Botox(登録商標))などのジストニアの治療に使用される薬;ならびに(3)うつ病の治療に使用される薬(フルオキセチン、セルトラリン、およびノルトリプチリン)が含まれるが、これらに限定されない。HDを治療するために一般に使用される他の薬物には、アマンタジン、テトラベナジン、ドーパミン遮断薬、およびコエンザイムQ10が含まれる。
【0454】
末梢感覚神経障害、または末梢感覚神経障害に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、末梢感覚神経障害または関連症状を治療するために一般的に処方される薬物と同時投与するか、または組み合わせることができる。末梢感覚神経障害とは、末梢神経系の神経が損傷を受けることをいい、神経の病気や外傷、または全身の疾患の副作用のいずれかによって起こされる可能性がある。この状態を治療するために一般的に使用される薬物には、ニューロトロフィン-3、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン)、抗てんかん薬(例えば、ガバペンチンまたはバルプロ酸ナトリウム)、合成カンナビノイド(ナビロン)および吸入大麻、オピエート誘導体、およびプレガバリン(Lyrica(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0455】
外傷性頭部および/または脊椎損傷、または外傷性頭部および/または脊椎損傷に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAID、サリチル酸塩、ならびにモルヒネおよびアヘンなどのオピオイド薬)および麻痺薬などの、外傷性頭部および/または脊椎損傷または関連症状を治療するために一般的に処方される薬物と同時投与または組み合わせることができる。
【0456】
脳卒中または脳卒中に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、および抗凝固剤(例えば、アルテプラーゼ、ワルファリン、ダビガトラン)などの、脳卒中または関連症状を治療するために一般的に処方される薬物と同時投与または組み合わせることができる。
【0457】
ALSまたはALSに関連する関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、リルゾール(Rilutek(登録商標))、KNS-760704(プラミペキソールのエナンチオマー)、オレソキシム(TRO19622)、タランパネル、アリモクロモール、疲労を軽減するのを助ける薬物、筋痙攣を緩和するのを助ける薬物、痙縮を制御するのを助ける薬物、過剰な唾液および痰を減少させるのを助ける薬物、疼痛、うつ病、睡眠障害、嚥下障害、および便秘を制御するのを助ける薬物のような、筋萎縮性側索硬化症または関連症状を治療するために一般に処方される薬物と同時投与または組み合わせることができる。
【0458】
MSまたは多発性硬化症に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、コルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン)、プラスマフェレーシス、フィンゴリモド(Gilenya(登録商標))、インターフェロンβ-1a(Avonex(登録商標)、CinnoVex(登録商標)、ReciGen(登録商標)およびRebif(登録商標))、インターフェロンβ-1b(Betaseron(登録商標)およびBetaferon(登録商標))、酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))、ミトキサントロン、ナタリズマブ(Tysabri(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、ダクリズマブ(Zenapax(登録商標))、リツキシマブ、ジルコチド、BHT-3009、クラドリビン、フマル酸ジメチル、エストリオール、フィンゴリモド、ラキニモド、ミノサイクリン、スタチン、テムシロリムス、テリフルノミド、ナルトレキソン、およびビタミンD類似体のような、多発性硬化症または関連症状を治療するために一般に処方される薬物と同時投与または組み合わせることができる。
【0459】
脳性麻痺または脳性麻痺に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防、および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、例えばボツリヌス毒素A注射のような、脳性麻痺または関連症状を治療するために一般的に処方される薬物と同時投与または組み合わせることができる。
【0460】
てんかんまたはてんかんに関連する関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、抗けいれん薬(例えば、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標))、クロラゼプ酸(Tranxene(登録商標))、クロナゼパム(Klonopin(登録商標))、エトスクシミド(Zarontin(登録商標))、フェルバメート(Felbatol(登録商標))、ホスフェニトイン(Cerebyx(登録商標))、ガバペンチン(Neurontin(登録商標))、ラコサミド(Vimpat(登録商標))、ラモトリジン(Lamictal(登録商標))、レベチラセタム(Keppra(登録商標))、オクスカルバゼピン(Trileptal(登録商標))、フェノバルビタール(Luminal(登録商標))、フェニトイン(Dilantin(登録商標))、プレガバリン(Lyrica(登録商標))、プリミドン(Mysoline(登録商標))、チアガビン(Gabitril(登録商標))、トピラメート(Topamax(登録商標))、バルプロ酸セミナトリウム(Depakote(登録商標))、バルプロ酸(Depakene(登録商標))、およびゾニサミド(Zonegran(登録商標))、クロバザム(Frisium(登録商標))、ビガバトリン(Sabril(登録商標))、レチガビン、ブリバラセタム、セレトラセタム、ジアゼパム(Valium(登録商標)およびDiastat(登録商標))、ロラゼパム(Ativan(登録商標))、パラアルデヒド(Paral(登録商標))、ミダゾラム(Versed(登録商標))、ペントバルビタール(Nembutal(登録商標))、アセタゾラミド(Diamox(登録商標))、プロゲステロン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTHおよびActhar(登録商標))、種々の副腎皮質刺激ステロイドホルモン(corticotropic steroid hormones)(プレドニゾン)、および臭化物などの、てんかんまたは関連症状を治療するために一般に処方される薬物と同時投与または組み合わせることができる。
【0461】
認知障害または認知障害に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、ドネペジル(Aricept(登録商標))、ガランタミン(Razadyne(登録商標))、リバスチグミン(Exelon(登録商標));ならびにカフェイン、アンフェタミン(Adderall(登録商標))、リスデキサンフェタミン(Vyvanse(登録商標))、およびメチルフェニデート(Ritalin(登録商標))などの覚醒剤;メマンチン(Nameda(登録商標))などのNMDA拮抗薬;イチョウ、L-テアニン、ピラセタム、オキシラセタム、アニラセタム、トルカポン、アトモキセチン、高麗人参、およびサルビアオフィシナリスなどのサプリメントなどの、認知障害を治療するために一般に処方される薬物と同時投与または組み合わせることができる。
【0462】
悪性腫瘍または悪性腫瘍に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、悪性腫瘍を治療するために一般的に使用される薬物と同時投与または組み合わせることができる。これらには、2014年5月5日現在、http://www.cancer.gov/cancertopics/druginfo/alphalistに列挙されているものなどの(ただし、これらに限定されない)、すべての公知の抗がん剤が含まれ、これらは、本明細書中に参照として援用される。一実施形態において、悪性腫瘍を治療するために一般的に使用される薬物は、アクチノマイシン-D、アルケラン、アラ-C、アナストロゾール、BiCNU、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボプラチナム、カルムスチン、CCNU、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、CPT-11、シクロホスファミド、シタラビン、シトシンアラビノシド、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エチレンイミン、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ホテムスチン、ゲムシタビン、ヘキサメチルアミン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、ステロイド、ストレプトゾシン、STI-571、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テトラジン、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トポテカン、トレオスルファン、トリメトレキサート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、キセローダ、アスパラギナーゼ、AIN-457、バピヌズマブ、ベリムマブ、ブレンツキシマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、セツキシマブ、ダロツズマブ、デノスマブ、エプラツズマブ、エスタフェナトックス、ファルレツズマブ、フィギツムマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ジレンツキシマブ(WX-G250)、ハーセプチン、イブリツモマブ、イノツズマブ、イプリムマブ、メポリズマブ、ムロモナブ-CD3、ナプツモマブ、ネシツモマブ、ニモツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オテリキシズマブ、オゾガマイシン、パジバキシマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、REGN88、ソラネズマブ、タネズマブ、テプリズマブ、チウキセタン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ベドリズマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、5FC、アキュテイン ホフマンラロシュ、AEE788 ノバルティス、AMG-102、抗ネオプラストン、AQ4N(バノキサントロン)、アバンディア(マレイン酸ロシグリタゾン)、アバスチン(ベバシズマブ)ジェネテック、BCNU、biCNUカルムスチン、CCI-779、CCNU、CCNUロムスチン、セレコキシブ(全身)、クロロキン、シレンギチド(EMD121974)、CPT-11(CAMPTOSAR、イリノテカン)、ダサチニブ(BMS-354825、スプリセル)、樹状細胞療法、エトポシド(エポシン、エトポフォス、ベペシド)、GDC-0449、gleevec(メシル酸イマチニブ)、gliadel wafer、ヒドロキシクロロキン、IL-13、IMC-3G3、免疫療法、イレッサ(ZD-1839)、ラパチニブ(GW572016)、癌用メトトレキサート(全身)、ノボキュア、OSI-774、PCV、RAD001 ノバルティス(mTOR阻害剤)、ラパマイシン(Rapamune、Sirolimus)、RMP-7、RTA744、シンバスタチン、シロリムス、ソラフェニブ、SU-101、SU5416スーゲン、スルファサラジン(アザルフィジン)、スーテント(ファイザー)、TARCEVA(エルロチニブ塩酸塩)、タキソール、テモダール schering-plough、TGF-Bアンチセンス、タロミド(サリドマイド)、トポテカン(全身)、VEGFトラップ、VEGF-トラップ、ボリノスタット(SAHA)、XL765、XL184、XL765、ザルネストラ(チピファルニブ)、ZOCOR(シンバスタチン)、シクロホスファミド(シトキサン)、(アルケラン)、クロラムブシル(Leukeran)、チオペタ(チオプレックス)、ブスルファン(Myleran)、プロカルバジン(Matulane)、ダカルバジン(DTIC)、アルトレタミン(ヘキサレン)、クロラムブシル、シスプラチン(Platinol)、イホスファミド、メトトレキサート(MTX)、6-チオプリン(メルカプトプリン[6-MP]、チオグアニン[6-TG])、メルカプトプリン(Purinethol)、リン酸フルダラビン(Leustatin)、フルロウラシル(5-FU)、シタラビン(ara-C)、アザシチジン、ビンブラスチン(Velban)、ビンクリスチン(Oncovin)、ポドフィロトキシン(エトポシド{VP-16}およびテニポシド{VM-26})、カンプトテシン(トポテカンおよびイリノテカン)、パクリタキセル(タキソール)およびドセタキセル(タキソテール)などのタキサン、(アドリアマイシン、ルベックス、ドキシル)、ダクチノマイシン(コスメゲン)、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン:(ムタマイシン)、ブレオマイシン(ブレノキサン)、エストロゲンおよびアンドロゲン阻害剤(タモキシフェン)、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(Leuprolideおよびゴセレリン(Zoladex))、アロマターゼ阻害剤(アミノグルテチミドおよびアナストロゾール(アリミデックス))、アムサクリン、アスパラギナーゼ(El-spar)、ミトキサントロン(Novantrone)、ミトタン(Lysodren)、レチノイン酸誘導体、骨髄増殖因子(サルグラモスチムおよびフィルグラスチム)、アミフォスチン、ペメトレキセド、デシタビン、イニパリブ、オラパリブ、ベリパリブ、エベロリムス、ボリノスタット、エンチノスタット(SNDX-275)、モセチノスタット(MGCD0103)、パノビノスタット(LBH589))、ロミデプシン、バルプロ酸、フラボピリドール、オロモウシン、ロスコビチン、ケンパウロン、AG-024322(ファイザー)、ファスカプリジン、ryuvidine、プルバラノールA、NU2058、BML-259、SU9516、PD-0332991、P276-00、ゲルダナマイシン、タネスピマイシン、アルベスピマイシン、ラジシコール、デグエリン、BIIB021、シス-イミダゾリン、ベンゾジアゼピンジオン、スピロ-オキシインドール、イソキノリノン、チオフェン、5-デアザフラビン、トリプタミン、アミノピリミジン、ジアミノピリミジン、ピリドイソキノリン、ピロロピラゾール、インドロカルバゾール、ピロロピリミジン、ジアニリノピリミジン、ベンズアミド、フタラジノン、三環式インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、ピロロカルバゾール、イソインドリノン、モルホリニルアントラサイクリン、マイタンシノイド、デュカルマイシン、オーリスタチン、カリケアマイシン(DNA損傷剤)、α-アマニチン(RNAポリメラーゼII阻害剤)、センタナマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ストレプトニグチン、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア(nitrosorueas)、アルカンスルホネート、ピリミジン類似体、プリン類似体、代謝拮抗剤、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン剤、およびこれらの任意の組合せ、からなる群より選択され得る。
【0463】
うつ病またはうつ病に関連する関連症状の発症または進行を治療、予防および/または遅延させる方法において、アミノステロール組成物は、うつ病を治療するために一般に使用される薬物と同時投与または組み合わせることができる。これらは、シタロプラム(Celexa(登録商標)、Cipramil(登録商標))、エスシタロプラム(Lexapro(登録商標)、Cipralex(登録商標))、パロキセチン(Paxil(登録商標)、Seroxat(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、フルボキサミン(Luvox(登録商標)、Faverin(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標)、Lustral(登録商標))、インダルピン(Upstene(登録商標))、ジメリジン(Normud(登録商標)、Zelmid(登録商標))などの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI);デスベンラファキシン(Pristiq(登録商標))、デュロキセチン(Cymbalta(登録商標))、レボミルナシプラン(Fetzima(登録商標))、ミルナシプラン(Ixel(登録商標)、Savella(登録商標))、ベンラファキシン(Effexor(登録商標))などのセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI);ビラゾドン(Viibryd(登録商標))、ボルチオキセチン(Trintellix(登録商標))などのセロトニン調節薬および刺激剤(SMS);ネファゾドン(Dutonin(登録商標)、Nefadar(登録商標)、Serzone(登録商標))、トラゾドン(Desyrel(登録商標))、エトペリドンなどのセロトニン拮抗薬および再取り込み阻害薬;レボキセチン(Edronax(登録商標))、テニロキサジン(Lucelan(登録商標)、Metatone(登録商標))、ビロキサジン(Vivalan(登録商標))、アトモキセチン(Strattera(登録商標))などのノルエピネフリン再取り込み阻害薬(NRI);ブプロピオン(Wellbutrin(登録商標))、アミネプチン(Survector(登録商標)、Maneon(登録商標))、ノミフェンシン(Merital(登録商標)、Alival(登録商標))、メチルフェニデート(Ritalin(登録商標)、Concerta(登録商標))、リスデキサンフェタミン(Vyvanse(登録商標))などのノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤;アミトリプチリン(Elavil(登録商標)、Endep(登録商標))、アミトリプチリンオキシド(Amioxid(登録商標)、Ambivalon(登録商標)、Equilibrin(登録商標))、クロミプラミン(Anafranil(登録商標))、デシプラミン(Norpramin(登録商標)、Pertofrane(登録商標))、ジベンゼピン(Noveril(登録商標)、Victoril(登録商標))、ジメタクリン(Istonil(登録商標))、ドスレピン(Prothiaden(登録商標))、ドキセピン(Adapin(登録商標)、Sinequan(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、ロフェプラミン(Lomont(登録商標)、Gamanil(登録商標))、メリトラセン(Dixeran(登録商標)、Melixeran(登録商標)、Trausabun(登録商標))、ニトロキサゼピン(Sintamil(登録商標))、ノルトリプチリン(Pamelor(登録商標)、Aventyl(登録商標))、ノキシプチリン(Agedal(登録商標)、Elronon(登録商標)、Nogedal(登録商標))、オピプラモール(Insidon(登録商標))、ピポフェジン(Azafen(登録商標)/Azaphen(登録商標))、プロトリプチリン(Vivactil(登録商標))、トリミプラミン(Surmontil(登録商標))、ブトリプチリン(Evadyne(登録商標))、デメキシプチリン(Deparon(登録商標)、Tinoran(登録商標))、フルアシジン(Phtorazisin(登録商標))、イミプラミンオキシド(Imiprex(登録商標)、Elepsin(登録商標))、イプリンドール(Prondol(登録商標)、Galatur(登録商標)、Tertran(登録商標))、メタプラミン(Timaxel(登録商標))、プロピゼピン(Depressin(登録商標)、Vagran(登録商標))、キヌプラミン(Kinupril(登録商標)、Kevopril(登録商標))、ティアゼシム(Altinil(登録商標))、トフェナシン(Elamol(登録商標)、Tofacine(登録商標))、アミネプチン(Survector(登録商標)、Maneon(登録商標))、チアネプチン(Stablon(登録商標)、Coaxil(登録商標))などの三環系抗うつ薬;アモキサピン(Asendin(登録商標))、マプロチリン(Ludiomil(登録商標))、ミアンセリン(Bolvidon(登録商標)、Norval(登録商標)、Tolvon(登録商標))、ミルタザピン(Remeron(登録商標))、セチプチリン(Tecipul(登録商標))、ミアンセリン、ミルタザピン、セチプチリンなどの四環系抗うつ薬;イソカルボキサジド(Marplan(登録商標))、フェネルジン(Nardil(登録商標))、トラニルシプロミン(Parnate(登録商標))、ベンモキシン(Neuralex(登録商標))、イプロクロジド(Sursum(登録商標))、イプロニアジド(Marsilid(登録商標))、メバナジン(Actomol(登録商標))、ナイアラミド(Niamid(登録商標))、オクタモキシン(Ximaol(登録商標))、フェニプラジン(Catron(登録商標))、フェノキシプロパジン(Drazine(登録商標))、ピブヒドラジン(Tersavid(登録商標))、サフラジン(Safra(登録商標))、セレギリン(Eldepryl(登録商標)、Zelapar(登録商標)、Emsam(登録商標))、カロキサゾン(Surodil(登録商標)、Timostenil(登録商標))、メトラリンドール(Inkazan(登録商標))、モクロベミド(Aurorix(登録商標)、Manerix(登録商標))、ピルリンドール(Pirazidol(登録商標))、トロキサトン(Humoryl(登録商標))、エプロベミド(Befol(登録商標))、ミナプリン(Brantur(登録商標)、Cantor(登録商標))、ビフェメラン(Alnert(登録商標)、Celeport(登録商標))などのモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI);アミスルプリド(Solian(登録商標))、ルラシドン(Latuda(登録商標))、クエチアピン(Seroquel(登録商標))などの非定型抗精神病薬;およびケタミン(Ketalar(登録商標))などのN-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)拮抗薬を含む。
【0464】
組み合わせは、不随して(concomitantly)、例えば、混合物として、別々にしかし同時にまたは並行して(concurrently);または連続して、のいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が治療混合物として一緒に投与される手順、および組み合わされた薬剤が別々に、しかし同時に、例えば、同じ個体への別々の静脈ラインを介するように投与される手順を含む。「組み合わせて」投与することは、最初に投与される化合物または薬剤の1つ、続いて2番目の化合物または薬剤を別々に投与することをさらに含む。アミノステロール誘発反応の活性化は、アミノステロールの血流中への全身吸収を必要とせず、したがって、アミノステロールと投与された薬物との間の薬物-薬物相互作用の可能性に対する懸念を排除するため、選択されたレジメンは並行して投与することができる。
【0465】
IX.定義
以下の定義は、本明細書を通して使用される特定の用語の理解を容易にするために提供される。
【0466】
本明細書で使用される技術用語および科学用語は、別段の定義がない限り、当業者によって一般に理解される意味を有する。当業者に公知の任意の適切な材料および/または方法を、本明細書に記載の方法を実施する際に利用することができる。
【0467】
本明細書中に提供される、組成物、アミノステロールまたは薬剤の「薬学的に有効な量」または「治療有効量」との用語は、所望の応答を提供するための組成物、アミノステロールまたは薬剤の非毒性であるが十分な量を指す。必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、および全身状態、治療される状態の重篤度、使用される特定の薬物、投与様式などに依存して、被験体ごとに変化する。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、本明細書中に提供される情報に基づいて、日常的な実験を使用して、当業者によって決定され得る。単に便宜上、例示的な用量が本明細書に提供される。当業者は、特定の症状または疾患を患う特定の被験体を治療するために、本明細書中に開示される方法に従って、そのような量を調節し得る。治療有効量は、投与の経路および剤形に基づいて変化し得る。
【0468】
本明細書中で使用される場合、「含む」という用語は、化合物、組成物および方法が列挙された要素を含むが、他を排除しないことを意味することが意図される。「本質的にからなる」とは、化合物、組成物および方法を定義するために使用される場合、その組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本質的に本明細書で定義される元素からなる組成物は、例えば、単離および精製方法ならびに薬学的に許容される担体、防腐剤などから、微量汚染物質を排除しない。「からなる」とは、微量元素以上の他の成分を排除することを意味する。各遷移用語(transition terms)のそれぞれによって定義される実施形態は、本技術の範囲内である。
【0469】
範囲を含む、質量、温度、時間、および濃度などのすべての数値表示は、1%、5%、または10%の増分で変化する(+)または(-)近似である。必ずしも明示的に述べられているわけではないが、全ての数字の指定には、「約」という用語が先行することを理解されたい。
【0470】
「約」という用語は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に依存してある程度変化するであろう。それが使用される文脈を考えると、当業者に明らかでない用語の使用がある場合、「約」は、特定の用語の最大プラスまたはマイナス10%を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、それは特定の用語のプラスまたはマイナス5%を意味する。本明細書では、特定の範囲が示され、数値の前に「約」という用語が付いている。用語「約」は、本明細書では、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近いか、またはほぼその数に近い数についての文字通りのサポートを提供するために使用される。数が具体的に列挙された数に近いか、またはほぼそうであるかを決定する際に、暗示されていない数に近いかまたは近似する数は、それが提示される文脈において、具体的に引用された数と実質的に同等である数であり得る。
【0471】
「任意」または「任意に」は、その後に記載される状況が発生しても発生しなくてもよいことを意味し、したがって、その記載は、状況が発生する場合と発生しない場合とを含む。
【0472】
「薬学的に許容される賦形剤または担体」は、本開示の組成物に任意に含まれてもよく、患者に有意な有害な毒物学的影響を引き起こさない賦形剤を指す。
【0473】
「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ完全にまたは完全に、例えば、ある与えられた量の95%以上を意味する。いくつかの実施形態では、「実質的に」または「本質的に」は、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%を意味する。
【0474】
本開示の説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は互換的に使用され、文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数形も同様に含み、各意味内に入ることが意図される。また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての可能な組合せ、ならびに代替(「または」)で解釈されるときの組合せの欠如を指し、包含する。
【0475】
本明細書中で使用される場合、「アミノステロール」という用語は、ステロールのアミノ誘導体をいう。本明細書中に開示される組成物および方法において使用するための適切なアミノステロールの非限定的な例は、化合物VI(ENT-06)を含む。
【0476】
本明細書で使用される「投与する」という用語は、投与のための処方ならびに実際に投与することを含み、治療される被験体または別の被験体によって物理的に投与することを含む。
【0477】
本明細書で使用される「被験体」、「患者」、または「個体」は、任意の被験体、患者、または個体を指し、これらの用語は、本明細書において互換的に使用される。この点に関して、「被験体」、「患者」および「個体」という用語は、哺乳類、特にヒトを含む。「それを必要とする」と併せて使用される場合、「被験体」、「患者」、または「個体」という用語は、特定の症状または疾患を有するか、またはその危険性がある任意の被験体、患者、または個体を意味する。
【0478】
「必要とする被験体」とは、微生物感染のリスクがある、または微生物感染を発症したヒトまたは動物である。好ましくは、乳酸塩またはジラクテートアミノステロール塩は、医薬品グレードである。組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。さらに、アミノステロールは、抗菌効果を生み出すのに十分な量で存在する。本明細書中で使用される場合、「疾患のリスクがある」および「感染のリスクがある」という用語は、特定の疾患および/または感染を経験しやすい被験体をいう。この素因は、遺伝的(例えば、遺伝性障害のような疾患を経験する特定の遺伝的傾向)であってもよく、または他の因子(例えば、環境条件、環境中に存在する有害な化合物への曝露など)によるものであってもよい。したがって、本発明は、任意の特定のリスクに限定されることを意図するものではなく(例えば、被験体は単に、病原体を伝播するリスクを有する他の人々に曝露され、相互作用することによって、「疾患のリスクがある」可能性がある)、また、本発明は、任意の特定の疾患および/または感染に限定されることを意図するものでもない。
【0479】
本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」または「微生物(microbe)」(「微生物(microbial)」などの記述子を含む)という用語は、細菌、ウイルス、古細菌、真菌、原生動物、マイコプラズマ、プリオン、および寄生生物を含むがこれらに限定されない任意の種またはタイプの微生物を指す。「微生物」という用語は、他の生物(例えば、ヒトを含む動物、および植物)の体内およびそれ自身に対して病原性を有するそれらの生物、ならびに他の生物に対して病原性を有する物質を生産するそれらの生物の両方を包含し、一方、その生物自体は、他の生物に対して直接病原性または感染性を有しない。
【0480】
「治療」、「治療する」、またはそれらの任意の変形の用語は、(i)1つ以上の特定の症状および/または(ii)特定の疾患の1つ以上の症状または影響を軽減、改善、または排除することを含む。「予防」、「予防する」、またはそれらの任意の変形の用語は、(i)1つ以上の特定の症状および/または(ii)特定の疾患の1つ以上の症状または影響を発症するリスクを低減、改善、または排除することを含む。
【0481】
プロドラッグ「プロドラッグ」は、投与後に、薬理学的に活性な薬物に代謝される(すなわち、体内で変換される)薬物または化合物であり、例えば、化合物VIである。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、アルコールおよび/またはカルボキシレートがエステル化されている化合物VIの誘導体を含む。
【0482】
「任意に置換された」とは、その群から選択される基およびその基の置換された形態をいう。「置換された」基は、化学置換基で置換された基を指し、例えば、C-H結合の、そのCと置換基との間の結合による置換である。一実施形態では、置換基が例えば、CF、OCF、ハロ、ハロアリール、C-Cアルコキシ、アシル、プロピオニル、ブチル(butyrl)、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、カルボキシルエステル、カルボキシルエステルアミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、ハロアルキル、アリールオキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシル、チオール、ジヒドロキシ、アミノヒドロキシ、カルボキシ、アミド、スルホキシ、スルホニル、ハロアリールオキシ、アリール、ベンジル、ベンジルオキシ、ヘテロアリール、ニトリル、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cハロアルケニル、C-Cハロアルキニル、C-Cハロシクロアルキル、C-C10アリール、C-Cシクロアルキル、C-C10ヘテロシクリル、C-C10ヘテロアリール、-N、ニトロ、-COHまたはそのC-Cアルキルエステル、ならびにこれらの組合せから選択される。
【実施例
【0483】
X.例
例1:腸におけるRNAトランスクリプトームの若返り
加齢には、腸における遺伝子発現の枯渇が関与している。若齢マウス(20週齢、図1A)と老齢マウス(78週齢、図1B)の胃の粘膜組織を示す画像を比較すると、老齢の標本では、粘膜層の厚さが薄くなっていることがわかる。この粘膜の減少は、若齢マウスと老齢マウスの胃のRNAトランスクリプトームの減少と関連している(以下の表2参照)。
【0484】
経口投与したスクアラミンおよびENT-02(MSI-1436)の若齢および老齢マウスの消化管に及ぼす影響を明らかにするために用いた投与スケジュールは、以下のとおりであった。20週齢および78週齢の雄のC57Bl/6マウスを、Jackson labsから入手した。動物を12時間の明暗サイクルに暴露し、Teklad標準マウス食餌および水を自由に与えた。動物を、表1Cに示す治療グループに割り当てた。
【0485】
【表3】
【0486】
動物は、合計14日間、朝に、経口強制投与により、1日1回投与された。動物は、投与の3~4時間前および投与後1時間絶食させた。被験物質を水中0.5%ヒドロキシプロピルセルロースに溶解した。15日目に、動物をCO窒息により安楽死させ、剖検し、組織学およびRNAseq解析のために組織を調製した。
【0487】
動物の消化管を胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、および直腸に切断した。その後、組織学的検査のために組織を送付し、RNAseqによりトランスクリプトームを分析した。表2は、若齢および老齢マウスの胃におけるそれぞれのmRNA量を示す。
【0488】
以下の表3に示すように、表中のすべての遺伝子のmRNAレベルは、スクアラミンによる治療後に有意な増加を示した。このことは、スクアラミン、ひいては化合物VIおよびその誘導体のような構造的に関連するアミノステロールが腸において若返り効果を有することを示唆する。
【0489】
【表4-1】
【0490】
【表4-2】
【0491】
【表5-1】
【0492】
【表5-2】
【0493】
例2:ENT-06の調製のための合成方法
この例は、本明細書中に記載される化合物を製造する合成方法を記載する。
【0494】
化合物2の調製:
【0495】
【化46】
【0496】
ホスホネート(A、3.69g、15mmol)を、無水テトラヒドロフラン(100mL)に加え、塩氷浴中で冷却して~0℃とした。カリウムtert-ブトキシド(1.72g、15mmol)を窒素下で激しく磁気攪拌しながら加え、反応物を30分間攪拌した。化合物1(8.0g、15mmol)を加え、テトラヒドロフラン(80mL)に溶解し、氷浴を除去し、反応物を一晩室温に温めた。合計約16時間後、反応物をヘキサン/酢酸エチル(50/50、400mL)と水(400mL)との間で分配することによって反応を後処理した。有機層を追加の水(100mL)で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去した。残渣を最少量のヘキサン/酢酸エチル(3/1)に再溶解し、シリカゲルのプラグ(~3×9インチ)に通した。
【0497】
次に、溶出液を回転蒸発させて、さらに精製することなく次工程で利用するのに十分な純度の化合物2(8.3g、12.4mmol、83%)を得た。H NMR(CDCl、300MHz)δ 8.10~8.07(m,2H),7.60~7.57(m,1H),7.52~7.47(m,2H),6.7,5.9(t,1H),5.17(m,1H),4.21~4.12(m,2H),3.92~3.88(m,4H),2.06(s,3H),2.2~1.0(m,29H),0.95(d,3H,J=7Hz),0.90(s,3H),0.69(s,3H);MS(ES+)485.45(M-C+H)。
【0498】
化合物3の調製:
【0499】
【化47】
【0500】
化合物2(8.25g、13.5mmol)を無水エタノールに溶解し、10%Pd/C(400mg)を、パーボトル(500mL)中、窒素下で加えた。フラスコをフラッシュし、真空および窒素で2回満たし、次いで50psiで24時間水素化した。水素の取り込みは、ほぼ停止するまで遅くなったが、TLCは、可能な痕跡量の出発物質を示した。追加の触媒(400mg)を添加し、反応をさらに12時間行った。
【0501】
触媒の濾過および真空中での溶媒の除去により、飽和生成物を定量収率の化合物3(8.25g、13.5mmol)として得た。H NMR(CDCl、300MHz)δ 8.09~8.06(m,2H),7.58~7.56(m,1H),7.55~7.45(m,2H),5.16(m,1H),4.12~4.05(m,2H),3.90~3.85(m,4H),2.39~2.36(m,1H),2.0~1.0(m,35H),1.11(d,3H,J=7Hz),0.88(s,3H),0.67(s,3H);MS(ES+)487.46(M-C+H)。
【0502】
化合物4の調製:
【0503】
【化48】
【0504】
化合物3(8.2g、13.5mmol)を3/1/1テトラヒドロフラン/メタノール/1M KOH(~100mL)に溶解し、エチルエステルの加水分解がTLCによって完了したように見えるまで撹拌した。これらの条件下では、安息香酸塩の加水分解の証拠はなかった。溶液を1M塩酸溶液で中和し、蒸発させて有機溶媒を除去し、アセトン(~100mL)で処理し、再び蒸発させてメタノールを確実に除去した。アセトン(~250mL)をフラスコに加え、3M HClを添加して、pH紙により1~2の範囲に記録される点までpHを低下させた。ケタールの加水分解を室温で一晩行い、次いで水をフラスコに加え、アセトンの大部分を真空中で除去した。材料を酢酸エチルと水との間で分配し、次いで有機層をブラインで洗浄した。
【0505】
有機層を真空中で乾燥させ、さらなる精製なしに使用するのに十分な純度の化合物4(6.36g、11.9mmol、87%)を得た。H NMR(CDCl、300MHz)δ 8.05~8.02(m,2H),7.60~7.57(m,1H),7.51~7.45(m,2H),5.21(m,1H),2.4-1.0(m,32H),1.15(d,3H,J=7Hz),1.09(s,3H),0.91(d,3H,J=7Hz),0.67(s,3H);MS(ES+)415.52(M-C+H)。
【0506】
化合物VIの調製:
【0507】
化合物VIは、スキーム1に示されるように、ENT-03の合成のために以下に記載される方法を使用して、4から調製され得るが、還元的アミノ化の間に使用されるスペルミンに代えて、保護されたスペルミジンが代わりに使用される。スキーム1に示すように、4は、5の合成について以下に記載される方法を使用し、そしてスペルミンの代わりにBを使用して、アジドスペルミジン(B)による還元的アミノ化を受けて化合物7を生成し得る。次いで、化合物7を使用して、ENT-03の合成について以下に記載される手順を使用して、7-ヒドロキシル基の脱保護を介して化合物VIを合成し、化合物VIを生成し得る。
【0508】
【化49】
【0509】
化合物5の調製:
【0510】
【化50】
【0511】
化合物4(3.5g、6.5mmol)をメタノール(100mL)に溶解し、メタノール(~10mL)中のスペルミン(5g、24.8mmol)で処理した。混合物を室温で2時間撹拌し、その後、2-プロパノール(100mL)を添加し、溶媒の大部分を真空中で除去した。残渣をメタノール(200mL)に再溶解し、一晩撹拌した。イソプロピルアルコール(200mL)を加え、混合物を蒸発させて濃厚な残渣を得た。残渣を無水メタノール(200ml)に溶解し、溶液を、窒素下、ドライアイスアセトンバス中で、激しく磁気撹拌しながら冷却した。内温が-74℃に達したとき、NaBH(1.89g、50mmol)を加えた。ドライアイスアセトン浴で~4時間温度を維持し、その後、一晩室温にした。反応混合物を、pH紙がpH2~3の範囲を示すまで、水中の10%トリフルオロ酢酸で注意深く酸性化した。混合物に水を加え、混合物を特大フラスコに移し(回転蒸発で混合物の泡立てを可能にするため)、メタノールの大部分を真空中で除去した。得られた溶液をアンバークロムに直接適用し、アミノステロールが溶出するまで(~60%アセトニトリル)、0.5%TFAを含む水中アセトニトリルの段階勾配(10%刻み増分あたり500mL(10% increments 500 mL per increment))で溶出した。全てのアミノステロールが溶出するまで、この時点で勾配を保持した。
【0512】
アミノステロールを含むフラクションを分析し、比較的きれいなフラクションをプールし、凍結乾燥して、さらなる精製なしに継続するのに十分な純度のテトラTFA塩(~4.5g、3.8mmol)として化合物5を得た。H NMR(CDOD、300MHz)δ 8.05~8.02(m,2H),7.66~7.60(m,1H),7.54~7.49(m,2H),5.17(m,1H),3.36~3.04(m,13H),2.37(m,1H),2.1~1.0(m,39H),1.10(d,3H,J=7Hz),0.95(m,6H),0.74(s,3H);MS(ES+)723.78(M+H)。
【0513】
ENT-03の調製:
【0514】
【化51】
【0515】
化合物5(3.0g、2.5mmol)を5%メタノール性水酸化カリウム(40mL)に加え、該溶液を、窒素下、110℃で2日間撹拌し、TLC(6:3:1 クロロホルム、メタノール、濃NHOH)でモニターした。2日後、反応物を室温まで冷却し、減圧蒸発させ、HO(40ml)に溶解した。次に、この溶液を6M HClで酸性化し、白色沈殿を穏やかに加熱し撹拌しながら溶液中に強制的に戻した。該溶液をアンバークロムの大きなカラムに注ぎ、HO(350mL)、10%、15%および25%のアセトニトリル/水で段階的に(500mL)で洗浄した。25%溶液の1カラム容量が通過するとすぐに、化合物は溶出し始めた。回収したフラクション(40mL)をLC/MSにより分析して、3-α副生成物を分離した。これは、所望の3-β生成物の直後にカラムから溶出した。ある程度の共溶出があったが、材料のかなりの部分がきれいに分かれた。
【0516】
これらのフラクションを合わせて、一晩凍結乾燥して、1.31g、1.7mmol、68%のENT-03(化合物III)を、テトラHCl塩として得た。H NMR(CDOD、300MHz)δ 3.80(brs,1H),3.20~3.05(m,13H),2.37(m,1H),2.2~1.0(m,36H),1.13(d,3H,J=7Hz),0.93(d,3H,J=7Hz),0.87(s,3H),0.69(s,3H);MS(ES+)619.31(M+H)。
【0517】
化合物7の調製:
【0518】
【化52】
【0519】
アジドスペルミジンジHCl(B、4.0g、16mmol)をメタノール(50mL)に溶解し、カリウムtert-ブトキシド(1.68g、15mmol)を加え、混合物を40℃で20分間撹拌した。得られた不溶性塩化カリウム塩を濾別し、母液を真空下で蒸発させた。得られた遊離塩基アジド-スペルミジン残渣をメタノール/イソプロパノール/ピリジンの1:1:1溶液(50mL)に溶解し、化合物4(2.3g、4.3mmol)を加えた。溶液を30分間撹拌し、次いで、熱および真空下でストリッピングして、痕跡量の水を共沸除去した。残渣を再溶解し、同じ方法でさらに2回蒸発させた。最後に、イミン残渣を無水メタノール50mLに溶解し、-78℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(1.0g、26mmol)を1時間かけて少量ずつ加えた。溶液をさらに2.5時間撹拌した後、室温に戻した。TLC(20%IPA/トルエン)は、ケトンが残っておらず、3-OH副生成物が形成されていないことを示した。残りの水素化ホウ素を水でクエンチし、メタノールの3分の2を蒸発させた。混合物をアンバークロムに注ぎ、塩を水で洗い流し、次いで生成物をメタノールでカラムから洗い流した。このフラクションを500mLまで濃縮し、次いでラネーニッケル触媒を用いて45psiで一晩水素化した。
【0520】
得られた溶液をセライト(登録商標)で濾過し、濃縮して、化合物7(2.9g)を得た。H NMR(CDOD、300MHz)δ 8.03(d,2H,J=8Hz),7.6(m,1H),7.5(m,2H),5.2(m,1H),3.2~2.9(m,9H),2.1~1.0(m,38H),1.07(d,3H,J=7Hz),0.97(s,3H),0.75(s,3H);MS(ES+)666.74(M+H)。
【0521】
化合物VIの調製:
【0522】
【化53】
【0523】
化合物7(2.9g、~4.3mmol)を6%メタノール性水酸化カリウム(35mL)に溶解し、100℃で20時間還流した。TLC分析(6:3:1 クロロホルム/メタノール/ハネシアン染色を伴う水酸化アンモニウム)は、7-安息香酸塩物質のいずれもが残っていないことを示した。水(10mL)を加え、メタノールを真空下で蒸発させた。追加の水(40mL)を加え、溶液を6M塩酸溶液で酸性化した。これをアンバークロムの大きなカラムに注ぎ、水(300mL)、10%アセトニトリル/水(400mL)、次いで25%アセトニトリル/水(800mL)で洗浄した。
【0524】
適切なフラクションを回収し、凍結乾燥して、トリHCl塩として化合物VI(0.95g、1.4mmol、2ステップ33%)を得た。H NMR(CDOD、300MHz)δ 3.80(brs,1H),3.21~2.97(m,9H),2.40(m,1H),2.2~1.0(m,35H),1.14(d,3H,J=7Hz),0.94(d,3H,J=7Hz),0.88(s,3H),0.70(s,3H);MS(ES+)562.25(M+H))。
【0525】
例3:マウス胃組織における治療誘発性遺伝子発現、ENT-01とENT-06の比較
この例の目的は、若齢および老齢マウス間の転写変化を同定し、遺伝子発現に対するENT-06治療の効果をENT-01(スクアラミン)の効果と比較することであった。マウスをENT-01、ENT-06またはビヒクル対照で治療した。マウス由来の胃組織のサンプルを、イルミナプラットフォーム上でのRNA配列決定によって分析した。
【0526】
グループ間で有意に差次的に発現したこれらの遺伝子を同定するために、発現の倍率変化に基づいて任意の閾値を適用した。グループ間の発現の4倍変化を、複製サンプルの非存在下での疑似有意性の尺度として使用した。この閾値では、差次的に発現する遺伝子は、すべてのコントラストで同定された。加齢に伴う遺伝子発現の変化、または若齢マウスにおけるENT-01およびENT-02(MSI-1436)治療では、ダウンレギュレートされた遺伝子の割合(72~80%)は、アップレギュレートされた遺伝子の割合(20~28%)よりも高かった。この傾向は、老齢マウスでは両治療とも逆であり、遺伝子発現変化の82~89%はアップレギュレーションであり、12~18%はダウンレギュレーションであった。
【0527】
コントラストを越えて差次的に発現した遺伝子を比較すると、老齢マウスでダウンレギュレートされた遺伝子が、老齢マウスでENT-01治療に応答してアップレギュレートされた遺伝子と有意にオーバーラップしたことは明らかであった(超幾何学的P<0.0001)。程度は低いもの、老齢マウスではダウンレギュレートされ、老齢マウスにおいて治療に応答してアップレギュレートされた遺伝子にも有意なオーバーラップが認められた。若いマウスでは、ENT-01治療でダウンレギュレートされた遺伝子が加齢に関連するダウンレギュレートされた遺伝子と有意にオーバーラップした。この結果は、両方のコントラストでアップレギュレートされた遺伝子にも当てはまった。
【0528】
各比較において、様々な統計的閾値および倍率変化4で有意なサンプル遺伝子数を集計した。前述のように、ロバスト統計については、調整されたp値<0.05を有するものみが考慮されるべきである。
【0529】
以下の統計的有意性閾値を選択して、差次的に発現される遺伝子を定義した:倍率変化≧4
【0530】
【表6】
【0531】
図2は、老齢および若齢マウスの胃におけるENT-01に応答する転写変化を示し、図3は、ENT-01治療によって逆転した老化関連遺伝子発現変化を示す。実施した多重コントラストから選択した遺伝子間のオーバーラップを調べるために、Fios Genomicsは、実施した比較のすべての対組み合わせ間でオーバーラップする差次的発現遺伝子(倍率変化4を用いて定義)の数を計数した。オーバーラップの量を図4A~4Dに示す。各比較について、プロット中の値は、交差する選択された遺伝子の数を表し、そして色は、考慮中の2つのコントラストについてのJaccardインデックス(和集合に対する交差)を表す。
【0532】
実施したコントラストから有意な遺伝子間のオーバーラップを調べるために、Fios Genomicsは、対のコントラスト間の倍率変化を比較する一連の散布図を作成した。個々のコントラストにおいて発現差が4倍以上であったこれらの遺伝子について、機能的エンリッチメント解析を行った。ReactomeおよびGO用語データベースを調べ、差次的に発現する遺伝子で有意に濃縮されている関連用語を同定した(濃縮P<0.05)。血小板脱顆粒、抗菌ペプチドおよび補体カスケードのような免疫系に関係する経路は、一般的に、コントラストを越えて最も濃縮された経路であった。ケラチニゼーションおよびケラチノサイト分化のような経路は、老齢マウスにおける加齢またはENT-01治療で変化した遺伝子で豊富であった。筋収縮およびサルコメア組織化などの経路は、加齢に伴って変化した遺伝子で豊富であったが、若齢マウスのENT-01治療影響遺伝子でも豊富であった。
【0533】
(適切であれば)遺伝子を遺伝子にマッピングすることにより、超幾何分布検定を用いて、各コントラストからの有意な遺伝子(倍率変化4で)について、Reactomeパスウェイメンバーシップの強化について分析した。選択した遺伝子の結合について、濃縮(p値<0.05)を評価した。
【0534】
本研究で同定されたように、ENT-01治療に応答して差次的に発現した遺伝子を、それぞれENT-06治療に関連した遺伝子と比較した。ENT-06治療関連遺伝子発現変化は、以前に同定されていた。有意な特徴を同定するために用いた関連する統計的閾値におけるすべてのコントラストにおいて、両治療(ENT-01およびENT-06)で発現が変化した遺伝子は10個以下であった。これには、加齢に伴う遺伝子発現変化が含まれていたことに注意する。具体的には、両研究の老齢マウスと若齢マウスの間で、1つの遺伝子Sypl2のみの発現が有意に変化した。
【0535】
加齢によりダウンレギュレートされた遺伝子と、治療によりアップレギュレートされた遺伝子の比較は、ENT-01治療に影響された遺伝子がENT-06に影響された遺伝子とオーバーラップしないことを明らかにした。
【0536】
コントラスト間で、一致分析を行った。具体的には、分析は、以下のように、マウス胃組織遺伝子発現プロファイルに対するヒトまたはサメ由来の化合物類似体の効果を比較した:・ENT-01をENT-06と比較した。オーバーラップのレベルを評価するために、散布図、アップセットプロット、ベン図、超幾何分布検定およびスピアマン順位相関試験を用いた。なお、ENT-06特異的コントラストにおいて有意に差次的に発現した遺伝子は、FDR調整P<0.05の統計的閾値を用いて測定したことに注意する。一方、本研究におけるENT-01コントラストにより、発現の4倍を超える変化のカットオフ値を用いて有意な遺伝子が定義された。
【0537】
加齢において有意にダウンレギュレートされ、老齢マウスの治療によってアップレギュレートされた転写産物を、各化合物について同定した(図5を参照)。次に、ENT-01に影響された遺伝子をENT-06に影響された遺伝子と比較することにより、これらの遺伝子セット間の一致性を評価した。図6は、ENT-01対対照(若齢)における有意な遺伝子を、ENT-06対未治療(若齢)と比較した散布図を示す。図8は、ENT-06対未治療(若齢)に対するENT-01対対照(若齢)における有意な遺伝子のベン図を示す。各プロットでは、セットの異なる相互作用を考慮する。すなわち、攪乱の方向を無視する、アップレギュレートされた遺伝子のみを考慮する、ダウンレギュレートされた遺伝子のみを考慮する、またはあるコントラストでアップレギュレートされたそれらの遺伝子と別のコントラストでダウンレギュレートされたそれらの遺伝子とのオーバーラップを検討する、のいずれかである。記号Uは和集合を示す。ENT-01対対照(若齢)(202遺伝子)およびENT-06対未治療(若齢)(26遺伝子)の間でオーバーラップを評価した。変化の方向を考慮しない場合、10個の遺伝子が、2つのセットの間でオーバーラップした。これは、偶然に予想されるよりも有意に多い(p=1.721e-16)。2セットの遺伝子間のスピアマン順位相関係数は-0.1313であった。これはゼロと有意に異なる(p=5.678e-57)。
【0538】
ENT-01対ENT-06(老齢)についての一致分析も行った。図9は、ENT-01対対照(老齢)における有意な遺伝子を、ENT-06対未治療(老齢)と比較した散布図を示す。図10は、アップレギュレートされた遺伝子とダウンレギュレートされた遺伝子のセット間の相互作用を示している。図11は、ENT-06対未治療(老齢)に対するENT-01対対照(老齢)における有意な遺伝子のベン図を示す。ENT-01対対照(老齢)(383遺伝子)およびENT-06対未治療(老齢)(55遺伝子)の間でオーバーラップを評価した。変化の方向を考慮しない場合、1遺伝子が、2つのセットの間でオーバーラップした。これは偶然に予想される以上ではない(p=0.5057)。2セットの遺伝子間のスピアマン順位相関係数は0.003217であった。老齢対若齢(ENT-01対ENT-06)の一致解析を行い、その結果を図12に示す。図14は、老齢対若齢(ENT-01)と老齢対若齢(ENT-06)における有意な遺伝子のベン図を示している。
【0539】
例4:認知障害
この予言的な例は、(i)認知障害を治療する、および/または(ii)認知障害が、認知障害を有する被験体における既知の症状(認知障害関連障害)である障害を治療および/または予防する例示的な方法を記載する。
【0540】
患者は、認知障害を有することに基づいて選択される。患者は、特定の認知障害関連障害を有するか、基礎疾患のない認知障害を有するかに基づいてグループ化される。次に、グループは、対照サブグループと治療サブグループに細分される。次のテストの1つ以上の改善が観察されるまで、治療サブグループの各患者に、1日あたり50~500mgのアミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の経口投与が行われる:ADASCog、ウッドコック-ジョンソンの認知能力テスト、ライター国際パフォーマンススケール、Miller Analogies Test、レーヴン漸進的マトリックス、ワンダーリック人事テスト、IQテスト、パーキンソン病統一スケール(UPDRS)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、ミニメンタルパーキンソン(MMP)、Informant Questionnaire on Cognitive Decline in Elderly(IQCODE)、The 7-Minute Screen、Abrighted Mental Test Score(AMTS)、ケンブリッジ認知試験(CAMCOG)、時計描画テスト(CDT)、認知の一般開業医評価(GPCOG)、ミニコグ、記憶障害スクリーニング(MIS)、モントリオール認知評価(MoCA)、ローランドユニバーサル認知症評価(RUDA)。
【0541】
患者は、幻覚を有することに基づいて選択される。患者は、特定の幻覚関連疾患を有するか、基礎疾患のない幻覚を有するかに基づいてグループ化される。その後、グループは、対照サブグループと治療サブグループに細分される。幻覚症状の改善をエンドポイントとして、約0.001mgから約6mg/日までのアミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の鼻腔内用量を、治療サブグループの各患者に投与する。患者は、症状の重症度の変化または発生について監視される。基礎疾患のある患者は、その疾患に伴う他の症状の変化についても監視される。基礎疾患のない患者は、幻覚関連障害の発症について監視される。幻覚症状の改善は、マイアミ大学パーキンソン病幻覚質問票(UM-PDHQ)、パーキンソン病統一スケール(UPSRS)、セクション1.2(幻覚および精神病)、直接質問票、シカゴ幻覚評価尺度(CHAT)、精神症状評価尺度(PSYRATS)、幻聴評価尺度(AHRS)、統合失調症音声質問票のためのハミルトンプログラム(HPSVQ)、聴覚幻覚質問票の特徴(CAHQ)、精神衛生研究所異常知覚スケジュール(MUPS)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、陽性症状評価尺度(SAPS)、Launay-Slade幻覚尺度(LSHS)、Cardiff異常知覚尺度(CAPS)、および知覚異常評価のための構造化面接(SIAPA)、から収集される1つ以上のテストを使用して監視される。
【0542】
例5:統合失調症
この予言的な例は、それを必要とする被験体における統合失調症を治療および/または予防する例示的な方法を記載する。
【0543】
患者は、統合失調症と診断されていること、すなわち、統合失調症を有すること、または統合失調症の既知の危険因子を示すこと、すなわち、統合失調症を発症するリスクがあることに基づいて選択される。患者は、統合失調症を患っているか、統合失調症を発症するリスクがあるかに基づいてグループ化される。その後、グループは、対照サブグループと治療サブグループに細分される。便秘または統合失調症の別の症状の改善をエンドポイントとして用いて、治療サブグループの各患者に、約0.001mgから約6mg/日までのアミノステロールまたはその塩もしくは誘導体の鼻腔内用量を投与する。患者は、症状の重症度または発生の変化について監視される。統合失調症の患者は、その障害に伴う他の症状の変化について監視される。統合失調症を発症するリスクのある患者は、統合失調症の発症について監視される。統合失調症に伴う症状の変化は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、精神症状評価尺度(PSYRATS)、クオリティ・オブ・ライフ尺度(QLS)、統合失調症認知評価尺度(SCoRS)、薬に対する構えの調査票(DAI)、異常不随意運動評価尺度(AIMS)から収集される1つ以上のテストを使用して評価される。
【0544】
特定の実施形態を図示し、説明してきたが、以下の特許請求の範囲に定義されるようなより広い実施形態における技術から逸脱することなく、当業者によって、その中で変更および修正を行うことができることを理解されたい。
【0545】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素または要素、限定または限定が存在しない場合に、適切に実施され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」等の用語は、制限なく広範囲に読むものとする。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用において、示され、説明される特徴またはその一部の任意の均等物を排除する意図はないが、クレームされる技術の範囲内で種々の変形が可能であることが認識される。さらに、「から本質的になる」という語句は、具体的に列挙された要素と、クレームされる技術の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解される。「からなる」という語句は、指定されていない要素を除外する。
【0546】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるべきではない。当業者には明らかなように、その精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法および組成物は、上記の説明から当業者に明らかであろう。そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語、およびそのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲によってのみ限定されるべきである。当然ながら、本開示は、特定の方法、試薬、化合物、または組成物に限定されず、それらは様々であり得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0547】
さらに、本開示の特徴または実施形態がマーカッシュグループに関して説明される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関しても説明されることを認識するのであろう。
【0548】
当業者によって理解されるように、任意のおよびすべての目的のために、特に記述された説明を提供することに関して、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、エンドポイントを含む、任意のおよびすべての可能なサブ範囲およびそのサブ範囲の組み合わせを包含する。列挙された範囲はいずれも、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割できるように十分に記述していると簡単に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じる各範囲は、下3分の1、中3分の1、および上3分の1などに容易に分解することができる。また、当業者によって理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言語は、列挙された数を含み、上述のように、後にサブレンジに分解することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、個々のメンバーを含む。
【0549】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、発行特許、および他の文書は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許出願、発行特許、または他の文書が参照によりその全体が組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれるテキストに含まれる定義は、それらが本開示における定義と矛盾する程度まで除外される。
【0550】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【0551】
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図2
図3
図4
図5
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図8E
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【国際調査報告】