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特表2022-543246分娩中及び分娩前のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度の低減、及び神経学的損傷の存在の同定のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】分娩中及び分娩前のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度の低減、及び神経学的損傷の存在の同定のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/84 20060101AFI20221003BHJP
   G16H 10/40 20180101ALI20221003BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
G01N33/84 A
G16H10/40
A61B10/00 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506664
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020044768
(87)【国際公開番号】W WO2021022254
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/881,701
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519176120
【氏名又は名称】エバンス,マーク
【氏名又は名称原語表記】Evans, Mark
【住所又は居所原語表記】10321 Cara Mia Court, Las Vegas, Nevada 89135 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】エバンス,マーク
【テーマコード(参考)】
2G045
5L099
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045DA80
5L099AA04
5L099AA22
(57)【要約】
分娩中及び分娩前のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法及び装置が開示される。当該方法は、一実施形態によると、(1)神経学的損傷の危険度を、分娩第1期の第1時期に、胎児血液の分析を行って、胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定することにより、分娩中に同定をする工程と、(2)BE値を、第1時期と同一の分娩第1期の時期に確立された胎児BE値の母集団を含むBE値のデータセットの中央値で除算することで、第1時期でのBE値の中央値の倍数を決定する工程であって、BE値が所定のBE値の中央値の倍数である場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、(3)前記同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された胎児の治療をする工程とを含み、治療をする工程は、分娩に介入して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法であって、
当該胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期中の第1時期に、胎児血液の分析を行って、前記胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
該BE値を、前記第1時期と同一の前記分娩第1期中の時期に確立された胎児BE値の母集団を含むBE値のデータセットの中央値で除算することで、前記第1時期での前記BE値の中央値の倍数を決定する
ことによって、分娩中に同定をする工程であって、前記BE値が、所定のBE値の中央値の倍数(MoM)である場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
前記同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された前記胎児の治療をする工程と
を含み、
前記治療をする工程は、分娩に介入して、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む
方法。
【請求項2】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法であって、
当該胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期中の第1時期に、胎児血液の分析を行って、前記胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する
ことによって、分娩中に同定をする工程であって、該BE値が-5以下である場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
前記同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された前記胎児の治療をする工程と
を含み、
前記治療をする工程は、分娩に介入して、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む
方法。
【請求項4】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
分娩前又は分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法であって、
(a)当該胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータに対し、前記胎児のモニタリングをする工程と、
(b)分娩第1期前の第1時期又は分娩第1期中の第1時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、前記決定がなされた現在の危険度の水準が、数値(FRI値)として呈示する工程と、
(c)該FRI値を、前記第1時期と同一の前記分娩第1期中の時期又は前記分娩第1期前の時期に確立されたFRI値の母集団を含むFRI値のデータセットの中央値で除算することで、前記第1時期での前記FRI値の中央値の倍数(MoM)の決定をする工程であって、前記FRI値のMoMが、所定のFRI値の中央値の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
(d)工程(c)によって神経学的損傷の危険性が呈示された前記胎児の治療をする工程と
を含み、
前記治療をする工程は、分娩前又は分娩中に介入して、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む
方法。
【請求項6】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる分娩中の時期である
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(c)によって神経学的損傷の危険度が呈示される場合に、前記方法は、少なくとも前記分娩第1期中の第2時期で胎児血液の分析を行って、塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する工程を更に含む
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記胎児血液の分析を行う工程は、前記第2時期より後の、前記分娩第1期中の第3時期で分析を行い、前記第2時期及び前記第3時期の各々について、塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する工程を含む
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの間の子宮頸部の開大によって特徴づけられており、分娩中の前記第2時期及び前記第3時期は、各々が10cm未満の子宮頸部の開大により特徴づけられる
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、
(a)FHRと、
(b)FHR基線細変動と、
(c)FHR一過性頻脈と、
(d)FHR一過性徐脈と、
(e)母体の子宮活動と
を含み、
当該小児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程は、
各々の同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が、1以上の機能不全特性を独立して呈示するか否かを決定する工程と、
1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する同時発生的な前記臨床パラメータ(a)~(e)の数を、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する当該パラメータ(a)~(e)の数に対応する、前記胎児に対する現在の危険度の水準の指標に変換する工程と
を含む
請求項5に記載の方法。
【請求項11】
分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法であって、
当該胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期の第1時期に、胎児血液の分析を行って、前記胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
前記第1時期より後の、前記分娩第1期の第2時期に、胎児血液の分析を行って、前記胎児の第2塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
前記第1BE値から第2BE値への低下率を少なくとも決定する
ことによって、分娩中に同定をする工程であって、前記低下率が所定の値を超える場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
前記同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された前記胎児の治療をする工程と
を含み、
前記治療をする工程は、分娩に介入して、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む
方法。
【請求項12】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
分娩中の前記第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記胎児に対する神経学的損傷の危険度は、前記低下率が46%以上の場合に呈示される
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法であって、
当該胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期中の第1時期に、胎児血液の分析を行って、前記胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
前記第1時期より後の、前記分娩第1期中の第2時期に、胎児血液の分析を行って、前記胎児の第2BE値を少なくとも決定し、
前記第1BE値から前記第2BE値への低下率を決定し、
前記低下率を、前記第1時期及び第2時期と同一の分娩第1期中の時期に確立された胎児BE値の低下率の母集団を含むデータセットの低下率の中央値で除算することで、前記低下率の中央値の倍数(MoM)を決定する
ことにより、分娩中に同定をする工程であって、前記低下率のMoMが、所定の低下率の中央値の倍数である場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
前記同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された前記胎児の治療をする工程と
を含み、
前記治療をする工程は、分娩に介入して、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む
方法。
【請求項16】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
分娩中の前記第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
分娩中又は分娩前のヒト胎児に対する神経学的損傷の存在を同定するための方法であって、
(a)当該胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータに対し、前記胎児のモニタリングをする工程と、
(b)分娩中の第1時期又は分娩前の第1時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、前記決定がなされた現在の危険度の水準が、数値(FRI値)として呈示される工程と、
(c)前記第1時期より後の、分娩中の第2時期又は分娩前の第2時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、前記決定がなされた現在の危険度の水準が、FRI値として呈示される工程と、
(d)第1FRI値から第2FRI値への低下率の決定をする工程と、
(e)前記FRI値を、前記第1時期と同一の分娩第1期中の時期又は分娩第1期前の時期に確立されたFRI値の母集団を含むFRI値のデータセットの中央値で除算することで、前記第1時期でのFRI値の中央値の倍数(MoM)の決定をする工程であって、前記FRI値のMoMが、所定のFRI値の中央値の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
(f)前記低下率を、前記第1時期及び前記第2時期と同一の前記分娩第1期中の時期又は前記分娩第1期前の時期に確立されたFRI値の低下率の母集団を含むデータセットの低下率の中央値で除算することで、前記低下率のMoMの決定をする工程であって、前記低下率のMoMが、所定の低下率のMoMである場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の存在が呈示される工程と
を含む
方法。
【請求項19】
前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、
(a)FHRと、
(b)FHR基線細変動と、
(c)FHR一過性頻脈と、
(d)FHR一過性徐脈と、
(e)母体の子宮活動と
を含み、
当該小児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程は、
各々の同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が、1以上の機能不全特性を独立して呈示するか否かを決定する工程と、
1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)の数を、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する当該パラメータ(a)~(e)の数に対応する、前記胎児に対する現在の危険度の水準の指標に変換する工程と
を含む
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2時期は、前記第1時期より後の最大1時間である
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)及び/又は工程(c)によって神経学的損傷の危険度が呈示される場合に、前記分娩第1期中又は前記分娩第1期前の、少なくとも第3時期に胎児血液の分析を行って、塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する工程
を更に含む
請求項18に記載の方法。
【請求項22】
分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための装置であって、
分娩第1期中の第1時期に確立された当該胎児の第1塩基過剰(BE)値について、当該BE値を、前記第1時期と同一の前記分娩第1期中の時期に確立された胎児BE値の母集団を含むBE値のデータセットの中央値で除算することで、前記第1時期での前記BE値の中央値の倍数を決定すべく動作する1以上のコンピュータを備え、
前記1以上のコンピュータは、
前記BE値が、所定のBE値の中央値の倍数である場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度を呈示すべく更に動作する
装置。
【請求項23】
分娩前又は分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための装置であって、
当該胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータを呈示する入力信号を受信し、
分娩中又は分娩前の第1時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をし、
前記決定がなされた現在の危険度の水準は、数値(第1FRI値)として呈示され、
前記第1FRI値を、前記第1時期と同一の分娩第1期中又は分娩第1期前の時期に確立されたFRI値の母集団を含むFRI値のデータセットの中央値で除算することで、前記第1FRI値の中央値の倍数(MoM)の決定をし、
(i)前記決定がなされた前記第1FRI値のMoMが、所定のFRI値の中央値の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度を呈示する出力の提供、及び/又は
(ii)低下率のMoMが、所定の低下率のMoMである場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の存在を呈示する出力の提供
を行うべく動作する1以上のコンピュータを備える
装置。
【請求項24】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記1以上のコンピュータは、
少なくとも、前記分娩第1期中の第2時期、及び、前記第2時期より後の、前記分娩第1期中の第3時期での胎児の塩基過剰(BE)値を呈示する入力を受信し、
前記第2時期及び前記第3時期での前記BE値の低下率の決定をし、
前記第2時期及び前記第3時期での前記BE値が、所定の値を超える低下率を反映している場合に、神経学的損傷の危険度を呈示する出力の提供を行う
べく更に動作する
請求項24に記載の装置。
【請求項26】
分娩中の前記第2時期及び前記第3時期は、各々が10cm未満の子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、
(a)FHRと、
(b)FHR基線細変動と、
(c)FHR一過性頻脈と、
(d)FHR一過性徐脈と、
(e)母体の子宮活動と
を含み、
前記1以上のコンピュータは、
各々の同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が、1以上の機能不全特性を独立して呈示するか否かを、前記第1時期に決定し、
1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する前記同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)の数を、前記第1FRI値に変換を行う
べく動作する
請求項23に記載の装置。
【請求項28】
分娩前又は分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための装置であって、
少なくとも、分娩第1期中の第1時期、及び前記分娩第1期中の、前記第1時期より後の第2時期での前記胎児の塩基過剰(BE)値を呈示する入力を受信し、
第1BE値から第2BE値への低下率の決定をし、
前記決定がなされた第1BE値から第2BE値への低下率が、少なくとも所定の低下率である場合に、神経学的損傷の危険度を呈示する出力の提供を行う
べく動作する1以上のコンピュータを備える
装置。
【請求項29】
前記所定の低下率は、46%である
請求項28に記載の装置。
【請求項30】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項28に記載の装置。
【請求項31】
分娩中の前記第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項30に記載の装置。
【請求項32】
分娩前又は分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための装置であって、
少なくとも、分娩第1期中の第1時期、及び前記第1時期より後の、前記分娩第1期中の第2時期での前記胎児の塩基過剰(BE)値を呈示する入力を受信し、
第1BE値から第2BE値への低下率を決定し、
前記低下率を、前記第1時期及び前記第2時期と同一の前記分娩第1期の時期に確立された胎児BE値の低下率の母集団を含む低下率のデータセットの中央値で除算することで、前記低下率の中央値(MoM)の倍数を決定し、
前記低下率のMoMが、所定の低下率の中央値の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度を呈示する出力の提供を行う
べく動作する1以上のコンピュータを備える
装置。
【請求項33】
分娩前又は分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための装置であって、
当該胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータを呈示する入力信号を受信し、
分娩中又は分娩前の第1時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をし、
前記決定がなされた現在の危険度の水準は、数値(第1FRI値)として呈示され、
前記第1時期より後の、分娩中又は分娩前の第2時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をし、
前記決定がなされた現在の危険度の水準は、第2FRI値として呈示され、
前記第1FRI値から前記第2FRI値への低下率を決定し、
前記第1FRI値を、前記第1時期と同一の分娩第1期中又は分娩第1期前の期間に確立されたFRI値の母集団を含むFRI値のデータセットの中央値で除算することで、前記第1FRI値の中央値(MoM)の倍数を決定し、
前記低下率を、前記第1時期及び前記第2段階と同一の前記分娩第1期中又は前記分娩第1期前の期間に確立されたFRI値の低下率の母集団を含む低下率のデータセットの中央値で除算することで、前記低下率のMoMの決定をし、
(i)前記決定がなされた前記第1FRI値のMoMが、所定のFRI値の中央値の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度を呈示する出力の提供、及び/又は
(ii)前記低下率のMoMが、所定の低下率のMoMである場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の存在を呈示する出力の提供
を行うべく動作する1以上のコンピュータを備える
装置。
【請求項34】
前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、
(a)FHRと、
(b)FHR基線細変動と、
(c)FHR一過性頻脈と、
(d)FHR一過性徐脈と、
(e)母体の子宮活動と
を含み、
前記1以上のコンピュータは、各々の同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が、1以上の機能不全特性を独立して呈示するか否かを、前記第1時期に決定し、
1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する前記同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)の数を、前記第1FRI値に変換を行う
べく動作する
請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記第2時期は、前記第1時期より後の最大1時間である
請求項33に記載の装置。
【請求項36】
分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法であって、
(a)当該胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータに対し、前記胎児のモニタリングをする工程と、
(b)分娩中又は分娩前の第1時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、前記決定がなされた現在の危険度の水準が、数値(FRI値)として呈示される工程と、
(c)前記第1時期より後の、分娩中の第2時期又は分娩前の第2時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、前記決定がなされた現在の危険度の水準が、FRI値として呈示される工程と、
(d)第1FRI値から第2FRI値への低下率の決定をする工程であって、前記低下率が所定の値を超える場合に、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された前記胎児の治療をする工程と
を含み、
前記治療をする工程は、分娩に介入して、前記胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置によって低減又は除去する工程を含む
方法。
【請求項37】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
分娩中の前記第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記胎児に対する神経学的損傷の危険度は、前記低下率が46%以上である場合に呈示される
請求項36に記載の方法。
【請求項40】
分娩前又は分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための装置であって、
前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータを呈示する入力信号を受信し、
分娩中又は分娩前の第1時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をし、
前記決定がなされた現在の危険度の水準は、数値(第1FRI値)として呈示され、
前記第1時期より後の、分娩中又は分娩前の第2時期に、前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、前記胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をし、
前記決定がなされた現在の危険度の水準は、第2FRI値として呈示され、
前記第1FRI値から前記第2FRI値への低下率の決定をし、
前記決定がなされた第1FRI値から第2FRI値への前記低下率が、少なくとも所定の低下率である場合に、神経学的損傷の危険度を呈示する出力の提供を行う
べく動作する1以上のコンピュータを含む
装置。
【請求項41】
分娩中の前記第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項40に記載の装置。
【請求項42】
分娩中の前記第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる
請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記胎児に対する神経学的損傷の危険度は、前記低下率が46%以上である場合に呈示される
請求項40に記載の装置。
【請求項44】
前記初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、
(a)FHRと、
(b)FHR基線細変動と、
(c)FHR一過性頻脈と、
(d)FHR一過性徐脈と、
(e)母体の子宮活動と
を含み、
前記1以上のコンピュータは、
各々の同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が、1以上の機能不全特性を独立に示すか否かを、前記第1時期に決定し、
1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する前記同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)の数を、前記第1FRI値に変換を行う
べく動作する
請求項40に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年8月1日に出願された米国仮特許出願第第62/881,701号に関するものであり、その優先権の利益を主張し、全体が参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
[本開示の分野]
本開示は、産科の分野に関し、更に具体的には、分娩中及び分娩前のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
米国産科婦人科学会(ACOG:American College of Obstetricians and Gynecologists)の「分類システム(Category System)」を用いて、胎児の健康状態の評価、及び神経学的損傷(neurologic compromise)の危険度の予測をする従来の方法は、低質であり、脳性麻痺(CP)の症例の50%程度を見落とす。上述を用いることにより、帝王切開の比率(CDR)の顕著な増加を引き起こし、CPのような重度の合併症の低減における影響はほとんどないか、あるいは全然ない。分類システムの統計的な性能測定基準は、基本的に、有効なスクリーニング計画に必要な全ての主要な基準原則に違反する。胎児の分娩、又は少なくとも胎児の治療をするために措置が必要となる項目であるACOGの分類IIIは、従来、損傷に対する陽性予測値が高くなる分布曲線の値の右側にあるため、多数は既に生じている可能性がある。更に、偽陰性率が、非常に高く、許容できないものであり、重篤な症例の50%が見落とされている(多数の出版物において報告されている)。これに対し、「懸念(concern)」(ただし、明確に許容された強制措置はない)があると規定されたACOGの分類IIは、従来、全患者の最大75人%に到達する症例の分布曲線の左側にある。上述により、分類IIは、スクリーニング試験として無益となる。
【0004】
電子胎児モニタリング(EFM:Electronic fetal monitoring)は、胎児が現在すでに危険であるか、あるいは危険が切迫していると考えられる状況において、時宜を得た介入(例えば、帝王切開による迅速な出産、吸引又は鉗子の使用など)を可能にする試みとして、1960年代後半に実施された。EFMは、過去数十年間、かつ、現在まで、米国における大多数の出生において、広範に採用され、用いられてきた。
【0005】
EFMの前提となるのは、代謝性の酸血症に関連する仮死の識別である。胎児心拍数(FHR)のパターンに対する反応により、損傷を受ける前の仮死した胎児の同定及び「救出(rescue)」を予測するのが望ましい。従来、EFMのデータが、「機能健全(reassurance)」という全体的な印象を呈示する場合、分娩は継続でき、EFMが異常であり(代謝性アシドーシスによる)重篤な仮死を呈示する状況、又は(胎児徐脈などの)切迫した緊急事態が生じた状況のために準備される。上述のような解釈は、多くの場合、非常に主観的であり、著名な専門家であっても、多くの場合、個々のパターンの有意性についての見解は一致しない。
【0006】
EFMのデータを解釈し、分娩及び出産における胎児の予後を改善するための従来の手段の改善においては、本開示者は、特許文献1において、分娩中の胎児の危険度の水準を同定するための装置を開示する(本開示は、全体が参照により本明細書中に組み込まれる)。装置は、患者におけるFHRと母体の子宮活動をと少なくとも呈示する入力信号を受信すべく動作する1以上のコンピュータを備え、1以上のコンピュータは、(i)FHRから、FHR基線細変動と、FHR一過性頻脈と、FHR一過性徐脈とを少なくとも決定し、(ii)少なくとも、(a)FHR、(b)FHR基線細変動、(c)FHR一過性頻脈、(d)FHR一過性徐脈、及び(e)母体の子宮活動の各々が、少なくともパラメータ(a)~(e)について、複数の所定の機能不全特性(non-reassuring characteristic)の中から、1以上の機能不全特性を呈示する場合の決定を行うべく更に動作する。1以上のコンピュータは、(iii)患者における、分娩中の胎児の危険度の水準を上昇させる1以上の前提の臨床パラメータの存在を呈示するユーザ入力を受信し、(iv)分娩中の所定の時点において、分娩中の胎児の危険度の水準を上昇させる1以上の前提の臨床パラメータの総数、及び各々が分娩中の所定の時点で、機能不全特性のうちの1以上を独立して同時に呈示するパラメータ(a)~(e)の総数のみを考慮に入れた、胎児に対する現在の危険度の水準の決定を行うべく更に動作する。本開示は、堅固なEFMのデータの評価のゆえに、神経学的損傷の危険度について、堅固な胎児の同定をもたらすことを示している。上述の胎児予備能指標(FRI:fetal reserve index)は、ACOGの分類システムに対し、更に有意義な代替案を提供する。FRIは、様々な危険因子と、分娩時の子宮収縮亢進の存在とを組み合わせて、脳性麻痺の胎児の危険度について、統計的に有意な予測をもたらす。FRIの危険度の指標は、ACOGの分類システムよりも、病態生理学の更に初期において有効である。工程の初期において、推定される懸念を同定することによって、適切な臨床上の介入によって予後の低質性を低減できること、並びに、緊急のCDR、全体的な緊急出産、及び総CDRを事実上低減できることが示されている。
【0007】
EFMのデータを解釈し、分娩及び出産における胎児の予後を改善するための従来の手段の更なる改善においては、本開示者は、特許文献2において、分娩中の胎児の危険度の水準を同定するための装置を開示し、当該装置は、患者におけるFHR及び母体の子宮活動を少なくとも呈示する入力信号を受信すべくに動作する1以上のコンピュータを備え、当該固ピュータは、(i)FHR基線細変動、FHR一過性頻脈、及びFHR一過性徐脈を決定するように、並びに(ii)少なくとも、(a)FHR、(b)FHR基線細変動、(c)FHR一過性頻脈、(d)FHR一過性徐脈、及び(e)母体の子宮活動の各々が、少なくともパラメータ(a)~(e)についての複数の所定の機能不全特性の中から1以上の機能不全特性を呈示する場合の決定をすべく動作する。コンピュータは更に、(iii)患者における1以上の、(f)母体の危険因子の存在、(g)産科の危険因子の存在、及び(h)分娩中の胎児の危険度の水準を上昇させる胎児の危険因子の存在を呈示するユーザ入力を受信し、(iv)分娩中の所定の時点で、機能不全特性のうちの1以上を各々が独立して同時に呈示するパラメータ(a)~(e)の総数、及び存在するパラメータ(f)~(h)の総数のみを考慮に入れた胎児の現在の危険度の水準を、分娩中の所定の時点で決定をすべく動作する。出力は、分娩中の経時的なパラメータ(a)~(h)のうちの1以上と、単一のグラフィカルユーザインタフェースに呈示し、単一のグラフィカルユーザインタフェースの外観は、分娩中の任意の所定の時点での、決定がなされた胎児に対する現在の危険度の水準を呈示し、分娩中の推定される介入の必要性を情報伝達するための指標を含む。特許文献2の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
更なるアプローチにおいては、本開示者は、出生前及び出生後最大1時間の双方のデータを分析した。驚くべきことに、かつ、予想に反して(かつ、一般的な見解とは対照的に)、胎児循環から新生児循環への適応の工程は、一般に考えられてきたものとは大きく相違することが見いだされた。酸塩基平衡において、線形的な改善があるのではなく、一般には、変動期間に重度な悪化がある。該データセットを用いて、FRIは、代謝性アシドーシス(一般的に-12mMol/L以下の塩基過剰値として規定され、分娩の合併症からの脳性麻痺の一般的に許容された根拠である)の発症について、低危険度、中危険度、及び高危険度の3つの個別の乳児群の出産前の最終的なFRI評点によって識別できた。更に、新生児の心拍数は、患者の85人%において、最初の10分以上にわたって、反応性及び変動性が喪失する重度の頻脈を示すことが見いだされた。上述のパターンが出生前に観察された場合、一般にACOGの分類システムの下では、分類IIIと見なされていたであろう。一部においては、一般的に誰も観察していないときに異常が生じているため、上述の知見は、ACOGの分類システムの性能が不十分なことを説明する裏付けとなる。特許文献3は、上述について論じており、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第9131860号
【特許文献2】国際公開第2018/094398号(米国特許出願公開第2019/0274618号明細書に対応)
【特許文献3】国際公開第2020/102524号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した進展により、分娩及び出産における予後の改善の見込みはあるが、進行性の低酸素症及び酸血症の結果としての新生児に対する神経学的損傷は、継続するがゆえに、更なる解決を要する課題が残存している。
【0011】
アシドーシスは、塩基過剰値(BE値)に反映されるため、一般的には、機能障害の危険度の決定に最も密接する推定内容であるが、現在に至るまでの経験内容は、任意の所定の胎児の危険度の正確な推定値を生成するには不十分であった。本明細書において示されているのは、子宮頸部の開大におけるFRIの評点とBEとの間の相関、及び隣接する子宮頸部の開大(CDx)群の間の相関である。上述の相関は、十分に強く、特に、同一の子宮頸部の開大において、FRIを代用として考慮することを必要とする。FRIにおいて入手可能な情報を組み合わせることによって、第2期の初めにアシドーシスの危険度を推測することが可能となり、胎児頭皮試料(FSS)を考慮した方が良い時期を示唆できる。要約すると、本開示は、アシドーシスとアシドーシスの後遺症とを予期するための胎児心拍数陣痛図(CTG)の改善である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に開示されているのは、分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減させ、ヒト胎児に対する神経学的損傷の存在を同定するための方法である。
【0013】
一実施形態においては、分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法が開示されており、
胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期の第1時期に、胎児血液の分析を行って、胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
BE値を、第1時期と同一の分娩第1期の時期に確立された胎児BE値の母集団を含むデータBE値のセットの中央値で除算することで、第1時期でのBE値の中央値の倍数を決定する
ことによって、分娩中に同定をする工程であって、BE値が、所定のBE値の中央値の倍数(MoM)である場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された胎児の治療をする工程と
を含み、治療をする工程は、分娩に介入して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して、低減又は除去する工程を含む。
【0014】
一態様においては、分娩中の第1時期は、0~3cmの間の子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0015】
別の実施形態によると、分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法が開示されており、
胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期の間の第1時期に、胎児血液の分析を行って、胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する
ことによって、分娩中に同定をする工程であって、BE値が-5以下である場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された胎児の治療をする工程と
を含み、治療をする工程は、分娩に介入して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む。
【0016】
一態様においては、分娩中の第1時期は、0~3cmの間の子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0017】
更なる実施形態によると、分娩前又は分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法が開示されており、
(a)胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータに対し、胎児のモニタリングをする工程と、
(b)分娩第1期前の第1時期又は分娩第1期中の第1時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、決定がなされた現在の危険度の水準が、数値(FRI値)として呈示される工程と、
(c)FRI値を、第1時期と同一の分娩第1期中の時期又は分娩第1期前の期間において確立されたFRI値の母集団を含むFRI値のデータセットの中央値で除算することで、第1時期でのFRI値の中央値の倍数(MoM)の決定をする工程であって、FRI値のMoMが、所定のFRI値の中央値の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
(d)工程(c)によって神経学的損傷の危険度が呈示された胎児の治療をする工程と、
を含み、治療をする工程は、分娩前又は分娩中に介入して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む。
【0018】
一特徴によると、分娩中の第1時期は、0~3cmの子宮子宮頸部の開大によって特徴づけられる分娩中の時期である。
【0019】
別の特徴によると、工程(c)によって神経学的損傷の危険度が呈示される場合に、本方法は、少なくとも分娩第1期中の第2時期で胎児血液の分析を行って、塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する工程を更に含む。
【0020】
更なる態様によると、胎児血液の分析を行う工程は、第2時期より後の、分娩第1期中の第3時期で分析を行い、第2時期及び第3時期の各々について、塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する工程を含む。
【0021】
更に別の態様によると、分娩中の第1時期は、0~3cmの間の子宮頸部の開大によって特徴づけられており、分娩中の第2時期及び第3時期は、各々が10cm未満の子宮頸部の開大により特徴づけられる。
【0022】
更に別の態様によると、初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、(a)FHRと、(b)FHR基線細変動と、(c)FHR一過性頻脈と、(d)FHR一過性徐脈と、(e)母体の子宮活動とを含み、小児に対する神経学的損傷に対する現在の危険度の水準の決定する工程は、各々の同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が、1以上の機能不全特性を独立して呈示するか否かを決定する工程と、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する臨床パラメータ(a)~(e)パラメータの数を、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示するパラメータ(a)~(e)の数に対応する、胎児に対する現在の危険度の水準の指標に変換する工程を含む。
【0023】
更なる実施形態によると、分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法が開示されており、
胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期の第1時期に、胎児血液の分析を行って、胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
分娩第1期より後の、分娩第1期の第2時期に、胎児血液の分析を行って、胎児の第2塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
第1BE値から第2BE値への低下率を少なくとも決定する
ことによって、分娩中に同定をする工程であって、低下率が所定の値を超える場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された胎児の治療をする工程と
を含み、
治療をする工程は、分娩に介入して、胎児への神経学的損傷の危険度を任意の従来の治療処置によって低減又は除去する工程を含む。
【0024】
一態様によると、分娩中の第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0025】
更なる態様によると、分娩中の第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0026】
別の特徴によると、胎児への神経学的損傷の危険度は、低下率が46%以上の場合に適応となる。
【0027】
更に別の実施形態によると、分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法が開示されており、
胎児に対する神経学的損傷の危険度を、
分娩第1期中の第1時期に、胎児血液の分析を行って、胎児の第1塩基過剰(BE)値を少なくとも決定し、
第2時期より後の、分娩第1期中の第2時期に、胎児血液の分析を行って、胎児の第2BE値を少なくとも決定し、
第1BE値から第2BE値への低下率を決定し、
低下率を、第1時期及び第2時期と同一の分娩第1期中の
時期に確立された胎児BE値の低下率の母集団を含むデータセットの低下率の中央値で除算することで、低下率の中央値の倍数(MoM)を決定する
ことにより、分娩中に同定をする工程であって、低下率のMoMが、所定の低下率の中央値の倍数である場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
同定をする工程により神経学的損傷の危険度が示される胎児の治療をする工程とを含み、治療をする工程は、分娩に介入して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置を介して低減又は除去する工程を含む。
【0028】
一態様によると、分娩中の第1時期は、0~3cmの間の子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0029】
更に別の態様によると、分娩中の第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0030】
更なる実施形態によると、分娩中又は分娩前のヒト胎児に対する神経学的損傷の存在を同定するための方法が開示されており、
(a)胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータに対し、胎児のモニタリングをする工程と、
(b)分娩中の第1時期又は分娩前の第1時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、決定がなされた現在の危険度の水準が、数値(FRI値)として呈示される工程と、
(c)第1時期より後の、分娩中の第2時期又は分娩前の第2時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、決定がなされた現在の危険度の水準が、FRI値として呈示される工程と、
(d)第1FRI値から第2FRI値への低下率の決定をする工程と、
(e)FRI値を、第1時期と同一の分娩第1期中の時期又は分娩第1期前の時期に確立されたFRI値の母集団を含むFRI値のデータセットの中央値で除算することで、第1時期でのFRI値の中央値の倍数(MoM)の決定をする工程であって、FRI値のMoMが、所定のFRI値の中央値の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
(f)低下率を、第1時期及び第2時期と同一の分娩第1期中の時期又は分娩第1期前の時期に確立されたFRI値の低下率の母集団を含むデータセットの低下率の中央値で除算することで、低下率のMoMの決定をする工程であって、低下率のMoMが、所定の低下率のMoMである場合に、胎児に対する神経学的損傷の存在が呈示される工程と
を含む。
【0031】
一特徴によると、初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、(a)FHRと、(b)FHR基線細変動と、(c)FHR一過性頻脈と、(d)FHR一過性徐脈と、(e)母体の子宮活動とを含み、小児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を決定する工程は、各々の同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示するか否かを決定する工程と、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示する同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)の数を、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示するパラメータ(a)~(e)の数に対応する、胎児に対する現在の危険度の水準の指標に変換する工程とを含む。
【0032】
別の特徴によると、第2時期は、第1時期より後の最大1時間である。
【0033】
更に別の特徴によると、工程(b)及び/又は工程(c)によって神経学的損傷の危険度が示される場合に、本方法は、分娩第1期中又は分娩第1期前の、少なくとも第3時期に胎児血液の分析を行って、塩基過剰(BE)値を少なくとも決定する工程を更に含む。
【0034】
別の実施形態においては、分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法が開示されており、
(a)胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を呈示する、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータに対し、胎児のモニタリングをする工程と、
(b)分娩中又は分娩前の第1時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、決定がなされた現在の危険度の水準が、数値(FRI値)として呈示される工程と、
(c)第1時期より後の、分娩中の第2時期又は分娩前の第2時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準の決定をする工程であって、決定がなされた現在の危険度の水準が、FRI値として呈示される工程と、
(d)第1FRI値から第2FRI値への低下率の決定をする工程であって、低下率が所定の値を超える場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が呈示される工程と、
同定をする工程により神経学的損傷の危険度が呈示された胎児の治療をする工程と
を含み、治療をする工程は、分娩に介入して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を、任意の従来の治療処置によって低減又は除去する工程を含む。
【0035】
一特徴によると、分娩中の第1時期は、0~3cmの子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0036】
更なる特徴によると、分娩中の第2時期は、10cm以下の子宮頸部の開大によって特徴づけられる。
【0037】
更に別の特徴によると、胎児に対する神経学的損傷の危険度は、低下率が46%以上の場合に呈示される。
【0038】
更に開示されるのは、本開示の方法を行うための装置である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本開示は、以下の説明及び添付の図面から理解されよう。
【0040】
図1図1は、多様な子宮頸部の開大における-12mMol/L未満へのBE値の到達の検出感度をグラフで示したものであり、乳児の母集団のデータから得られる。
図2図2は、FRIの評点をグラフで示したものであり、図1と同一のデータから、かつ図1と同一の子宮頸部の開大で得られる。
図3図3は、分娩第1期にわたる、BE値及びFRIの評点の低下をグラフでプロットしたもの(箱形図)である。
図4図4は、分娩第1期にわたる、BE値の中央値の低減をプロットしたものである。
図5図5は、酸血症の危険度に関連して、初期のBE値、及び初期のBE値の低下率の変数について、有意性を示すモデルの線図である。
図6図6は、受信者動作特性(ROC)分析に関連して、以前に導出された初期のBE値及びBEの低下率の感度及び特異性を比較したものである。
図7図7は、分娩の段階2の始めにおけるBEスコアの下位30%におけるメンバーシップを予測するためのロジスティック回帰分析を要約する表である。
図8図8は、分娩第2期の初期での、pH読取値の下30%における構成員を予測するためのロジスティック回帰分析の概要を示した表である。
図9図9は、酸血症の危険度に関連して、初期のBE値、及び初期のBE値の低下率の変数について、有意性を示すモデルの線図である。
図10図10は、酸血症の危険度に関連して、初期のFRIの評点、FRIの評点の低下率、初期のBE値、及びBEの低下率の変数について、有意性を示す別のモデルの線図である。
図11図11は、BEの初期の低下率(すなわち、第1BE値と第2BE値との間の降下速度)のROC曲線分析を示している。直線は、感度と特異性との間の一致、すなわち連関(tie)を示している。
図12図12は、BE値の測定値の25パーセンタイル、50パーセンタイル、及び75パーセンタイルの各々について、子宮頸部の開大及び分娩後の時間に対するBE値をグラフにしたものである。
図13図13は、10パーセンタイル(最下行)、20パーセンタイル(最下行から2番目)、30パーセンタイル(最下行から3番目)、40パーセンタイル(最上行から2番目)、50パーセンタイル(最上行)の各々について、子宮頸部の開大及び分娩後の時間に対するBE値をグラフにしたものである。
図14図14は、BE値の測定値の90パーセンタイルについて、子宮頸部の開大及び分娩後の時間に対するBE値、並びにFRIの評点をグラフにしたものである。
図15図15は、BE値の測定値の75パーセンタイルについて、子宮頸部の開大及び分娩後の時間に対するBE値、並びにFRIの評点をグラフにしたものである。
図16図16は、BE値の測定値の25パーセンタイルについて、子宮頸部の開大及び分娩後の時間に対するBE値、並びにFRIの評点をグラフにしたものである。
図17図17は、BE値の測定値の10パーセンタイルについて、子宮頸部の開大及び分娩後の時間に対するBE値、並びにFRIの評点をグラフにしたものである。
図18図18は、分娩の活動期全体にわたる、BE及びFRIの中央値及び下四分位値をグラフにしたものである。
図19図19は、分娩の活動期全体にわたる、pH及びFRIの中央値及び下四分位値をグラフにしたものである。
図20図20は、分娩の活動期全体にわたる、BE及びpHの中央値及び下四分位値をグラフにしたものである。
図21図21は、本開示の方法を実装するための装置の例示的な構成の線図である。
図22図22は、本開示の方法を実装するための装置の別の例示的な構成の線図である。
図23図23は、遠隔モニタリング及び/又は遠隔フィードバックを提供する本開示の方法を実装するための装置の実施形態の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための方法及び装置を以下に記載する。当該方法及び装置は、以下に記載される、分娩第1期において全て採取された胎児頭皮試料のデータセットの分析を前提としている。更に具体的には、当該分析は、特定の結果を、非母数の「中央値の倍数(MoM:multiple of median)」に変換することを含んでいる。MoMを用いることにより、特定の時間での子宮頸部の開大の量として本明細書で同定がなされた、離散点での中央値からの逸脱の度合は、神経学的損傷の危険度の尤度を予測すべく、独立変数として作用する。
【0042】
必要に応じて、本開示の詳細な実施形態は、本明細書に開示される。しかしながら、開示した実施形態は、多様かつ代替的な形態において具現化できる本開示の例示でしかないことを理解すべきである。添付の図面は、縮尺通りである必要はなく、特徴の一部は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張又は最小化する可能性がある。したがって、本明細書に開示される特定の構造及び機能の詳細は、限定して解釈すべきではなく、当業者に教示して、本開示を多様に用いるための代表的な基準のみとして解釈すべきである。
【0043】
本明細書において用いられるように、「小児(child)」は、分娩前(すなわち、胎児としての小児)及び分娩後(すなわち、新生児期の小児)の双方のヒトの小児を含むことが意図されている。用語「胎児(fetal)」及び「胎児としての小児(child as a fetus)」は、「新生児(neonate)」及び「新生児期の小児(neonatal child)」と同様に、互換的に用いられる。状況によっては、「小児(child)」は、胎児としての小児、及び新生児期の小児のこととなる。
【0044】
本明細書で用いられる「塩基過剰(BE:base excess)」は、98.6°F(37℃)で、40mmHgのpCOで7.4の生理学的水準に回復させるために、1リットルの新生児の血液に添加されなければならない塩基の量又は酸の量のことである。平均より低いBEは、機能不全であり、-12mMol/L以下の値は、神経学的損傷の危険度が高いと見なされる。
【0045】
本明細書で用いられる「コンピュータ(computer)」は、データの記憶、取り出し、処理が可能な装置を意味し、かつ、参照し、汎用型のコンピュータ、手持ち型のコンピュータデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップコンピュータなど)、及び/又は特定用途向けコンピュータのいずれかを含む。
【0046】
[胎児のモニタリング]
本明細書に記載の本開示の例示的な実施形態においては、患者は、分娩中に、小児に対する神経学的損傷の危険度の水準を確立するために用いられる少なくとも初期設定のパラメータについて、モニタリングされる。当該パラメータは、EFMに関連する複数の可変的で動的なパラメータを含み、(a)FHR基線と、(b)FHR基線細変動と、(c)FHR一過性頻脈と、(d)FHR一過性徐脈とを含む。選択的に、当該パラメータは更に、子宮内活動(IUA:intrauterine activity)に関連する動的パラメータである(e)母体の子宮活動(すなわち、子宮収縮)を含む。本状況においては、モニタリングされる患者は、モニタリングされるパラメータに適するような、母体及び/又は胎児のことである。例示的な実施形態においては、モニタリングされると、当該パラメータは、以下の表1に説明される特性により、機能健全又は機能不全について評価される。
【0047】
[表1]
【0048】
選択的に、モニタリングされたパラメータは更に、(f)母体の危険因子、(g)産科の危険因子、及び(h)胎児の危険因子(EFMとは別のもの)のような、(EFMの変数とは別の)特定の追加的な母体、産科、及び胎児の危険因子(MOFR因子)を含めることができる。本例によると、「母体の危険因子(maternal risk factor)」のパラメータ(f)は、機能不全特性である、
(1)心拍出量の低減/胎盤の血管潅流の低減
a.妊娠時における心拍出量の低減の危険度を伴う心疾患
b.高血圧症(慢性高血圧症及び妊娠高血圧症)
c.SLE(全身性エリテマトーデス)
(2)酸素運搬能
a.肺疾患(喘息など)
b.貧血及び異常ヘモグロビン症
(3)感染(慢性感染及び急性感染)
(4)慢性の衰弱性疾患
(5)吸収不良/体重増加不良
(6)糖尿病及び甲状腺疾患といった内分泌疾患
(7)母体の高齢
(8)薬物乱用、嗜癖、及び喫煙
(9)BMI(肥満度指数:body mass index)が35を超える肥満
(10)低身長(5フィート2インチ以下)
(11)硬膜外麻酔
を含む。
【0049】
本例によると、「産科の危険因子(obstetrical risk factor)」のパラメータ(g)は、機能不全特性である、
(1)IUGR(子宮内発育遅延:intrauterine growth restriction)/巨人症
(2)羊水過少
(3)羊水過多
(4)出血及び胎盤剥離
(5)過去の帝王切開
(6)胎盤及び臍帯の奇形
(7)破水(早期破水又は前期破水(PPROM:preterm or premature rupture of membrane)、自然破水(SROM:spontaneous rupture of membrane)、人工破水(AROM:artificial rupture of membrane))
(8)難産(分娩の遷延及び停止障害)
(9)胎位異常
を含む。
【0050】
最後に、本例によると、「胎児の危険因子(fetal risk factor)」のパラメータ(h)は、機能不全特性である、
(1)ドプラ/生物物理学的プロファイル(BPP:biophysical profile)の異常
(2)遺伝性疾患
(3)胎児不整脈
(4)胎便の通過
(5)絨毛羊膜炎
(6)分娩第2期のいきみ(pushing)
(7)羊水補充灌流
(8)胎児不耐性によるピトシンの中断
(9)パターンの転換(170bpmを超える急性遷延性頻拍)
(10)オーバシュートの前兆
(11)100bpm未満の徐脈
(12)分娩における重要データの欠如(例えば、第2期でのEFMの欠如)
を含む。
【0051】
上述の多様なパラメータの解釈は、慣習により行うことができ、特許文献1及び特許文献2において、本明細書の開示者によって開示された方法論を用いることを選択的に含む。より具体的には、上述の文献に開示された一実施形態によると、本方法は、最も一般的には、各々のモニタリング又は評価がなされたパラメータが独立して、例えば、上述の機能不全特性などの1以上の機能不全特性を呈示するか否かを決定する工程と、独立して同時に1以上の機能不全特性を呈示するパラメータ、あるいは存在するパラメータの数に対応し、「胎児予備能指標(FRI:fetal reserve index)」の評点と称される現在の危険度の水準の指標を導出する工程とを含む。上述の例示的な方法論によると、一方では、1以上の機能不全特性を独立して同時に呈示するパラメータの数が、他方では、神経学的損傷の現在の危険水準の指標が、直接的に関連する。したがって、例えば、パラメータ(a)~(e)がモニタリングされる方法による神経学的損傷の危険度の最高水準は、パラメータ(a)~(e)の各々の患者についての1以上の機能不全特性の独立した同時の呈示、及び/又は、該患者の存在に対応し、一方、神経学的損傷の危険度の最低水準は、当該パラメータの任意の患者について、任意の呈示された機能不全特性の不存在、及び/又は、該患者の存在に対応する。
【0052】
パラメータ(a)~(e)は動的パラメータであり、すなわち、当該パラメータは、モニタリングの工程の間に、いずれかの方向(例えば、正常又は機能健全から異常又は機能不全に、及びその逆)の変化に供されることは理解されるであろう。一方、MOFRのパラメータ(f)~(h)は、実質的に一方向性である。すなわち、1回(分娩期間中でも分娩期間前でも)発生した場合にはその時点で、FRIの評点に負の影響を及ぼす。更に、各々のパラメータ(f)~(h)についての機能不全特性の発生は、例示的な実施形態によると、十分に、FRIの評点に負の影響を与えることは理解されよう。例えば、「母体の危険因子」のパラメータ(f)は、上に列挙した11の例示的な機能不全特性のうち、2以上を呈示することは不要である。
【0053】
本開示の状況における「同時(simultaneous)」は、分娩中の全く同じ時期、又は少なくとも分娩中の時期で、各々のモニタリングされたパラメータについての機能健全/機能不全の決定が重複する場合を意味している。例示的な実施形態においては、当該危険度の評価は、IUAのパラメータ(e)についての機能健全/機能不全の決定と一致して、20分間隔で行われる。
【0054】
本開示の状況における「独立(independent)」は、各々のモニタリングされたパラメータによる1以上の機能不全特性の呈示/不呈示が、任意の他のモニタリングされたパラメータによる1以上の機能不全特性の呈示/不呈示に関連せず、現在の危険度の水準の決定に影響を与えることを意味している。換言すると、各々のモニタリングされたパラメータの呈示/不呈示は、決定がなされた現在の危険度の水準に一括での影響を及ぼすが、各々のモニタリングされたパラメータは、機能健全/機能不全の特性を呈示することについては、他とは独立していると見なされる。
【0055】
FRIの評点は、モニタリングされるパラメータ(例えば、(a)~(h))の各々は、パラメータが正常(すなわち、機能健全)と見なされた場合に、第1数値(例えば、「1」)を割り当て、異常(すなわち、機能不全)であると見なされた場合に、第2数値(例えば、「0」)を割り当てることで導出される。第1数値及び第2数値は、各々のパラメータについて同一である。すなわち、2つの値(例えば、「1」又は「0」)のみが使用される。本例によるFRIの評点は、項目の数を、含まれるパラメータの数(例えば、5)で除算して算出され、100を乗算して百分率を提供する。一例として、合計5つのモニタリングされたパラメータ((a)~(e))は、項目の数を5で除算して算出されたFRIの評点を与え、100を乗算して、百分率を与える。合計5つのパラメータ((a)~(e))が正常である場合、FRIの評点は100%(5/5)となる一方で、モニタリングされるFRIのパラメータ(a)~(e)のいずれかについての異常又は機能不全特性の存在の関数として、項目に欠如がある場合、FRIの評点は80%(4/5)、60%(3/5)、40%(2/5)、20%(1/5)、及び0%(0/5)となる。代替的には、合計8つのパラメータ((a)~(h))が正常でる場合、FRIの評点は100(8/8)となる一方で、モニタリングされるFRIパラメータ(a)~(h)のいずれかについての、異常又は機能不全特性の存在の関数として、項目に欠如がある場合、FRIの評点は、100%(8/8)、87.5%(7/8)、75.0%(6/8)、62.5%(5/8)、50.0%(4/8)、37.5%(3/8)、25.0%(2/8)、12.5%(1/8)、及び0%(0/8)となる。
【0056】
神経学的損傷の現在の危険度の水準の同定は、存在する場合は他のパラメータとは独立に、各々のパラメータを考慮することによってなされる。したがって、本開示の範囲内にある現在の危険度の水準を同定するための方式は、一部の従来の方法論の場合のように、任意のパラメータ間の相互依存の結果ではなく、患者に存在する、及び/又は、呈示された特性において、独立して同時に機能不全となるパラメータの数の関数であり、厳密である。前述と一致して、本方法は、モニタリングされるパラメータの1以上の特性によって呈示される機能不全の度合を考慮に入れないという点で更に区別される。むしろ、パラメータ(例えば、(a)~(e)又は(a)~(h))についての所定の1以上の機能不全特性による機能不全の任意の呈示は、各々の当該パラメータが現在同定されている危険度の水準に等しく寄与させるべく、パラメータは等しく重み付けするのが好適である。
【0057】
本開示の方法は、所定の危険度の分類を小児に割り当てる工程を含む例示的な実施形態によって考察されており、所定の危険度の分類は、決定がなされた現在の危険度の水準に対応している。例えば、神経学的損傷の現在の危険度の水準は、上述のような特定のFRIの評点及び/又は容易な解釈のための等級の両方によって同定できる。例えば、限定するものではないが、一例の「等級」は、交通信号灯と同様の任意の色彩帯域の形態をとる。本開示の例においては、現在の危険度の最低水準が、「緑色帯域(green zone)」として同定され、50%を超えるFRIの評点を含む。胎児に対する現在の危険度の(最低水準と比較して)上の水準は、「黄色帯域(yellow zone)」として同定され、50%以下かつ26%を超えるFRIの評点を含む。現在の危険度の最高水準は、「赤色帯域(red zone)」として同定され、25%以下のFRIの評点を含む。評点が低くなると、アシドーシス及び有害な予後の危険度が高くなる。
【0058】
[実験データ]
分娩第1期において全て採取した、胎児頭皮試料からのFHR追跡及びBE値のデータセットから、胎児予備能指標(FRI)の評点が導出され、対応する分娩時間でのBE測定値に沿って分析した。当該データセットの入手可能な測定値を用いて、FRIの評点は、上述のように、かつ、特許文献1~3の開示に記載のように算出した。多様なパラメータ(例えば、FHR、NHR、pH、塩基過剰など)に対応する実在の胎児及び新生児のデータの評価により、胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減する際の、本開示者の仮説及び本開示の有用性を検証する。
【0059】
更に具体的には、危険度の高い正期産単胎妊娠の475の記録からのデータを用いて、FRIとEFM追跡と、分娩経過と、並びに生後1時間以内の新生児の予後との関係を評価した。上述のデータは1970年代に収集され、主に南カリフォルニア大学(University of Southern California)のロサンゼルス郡立病院(LA County Hospital)で収集され、一部は、イエールニューヘイブン病院(Yale New Haven Hospital)で収集された。各々の症例は、母体胎児医学(MFM)の教員の主治医によって監督された。モニタリング片のデータ線は、5つ(EFM、収縮パターン、細変動の拡大の追跡、母体の呼吸、及び母体心拍数)であった。分娩後、連続性のある新生児の心拍数(NHR)、呼吸、ECG、並びに、血圧、pH、並びに臍帯動脈の臍帯血(CB)のBE及びpOのための留置カテーテルを用いて、分析が継続された。頭皮試料の採取、頭皮試料の採取結果(例えば、pH、塩基過剰、pO)、血圧、投与された薬剤、提供された麻酔、及び他の関連データについての記録全体に沿って、同時に注釈が提供された。出生前に、頭皮の試料採取を指示通りに行い、モニター片に記録した。出生後に、臍帯ガスは、1分、4分、8分、16分、32分、及び64分で定期的に取得した。新生児の観察は、1分及び5分のアプガー指標(Apgar score)と、NHR及びNHRが出産前の心拍数及び反応性に戻るまでの時間と、臍動脈pH、BE、及びpOとを含んでいた。上述の記録の大部分は、前述の測定値の全てを有していた。
【0060】
全てのモニタリングは、胎児頭皮電極(FSE:fetal scalp electrode)及び子宮内圧カテーテル(IUPC:intrauterine pressure catheter)を適所に用いて、破水の存在下で開始した。分娩時のFHRと同様に、NHRを連続的に記録した。
【0061】
FRIの評点の結果は、更なる分析の目的で、3つの群に分割した。上述したように、危険度の最低水準は、「緑色帯域」として同定され、50%を超えるFRIの評点を含み、胎児に対する現在の危険度の(最低水準と比較して)上の水準は、「黄色帯域」として同定され、26%を超え、かつ50%以下のFRIの評点を含み、危険度の最高水準は、「赤地帯」として同定され、25%以下のFRIの評点を含んでいる。評価した記録における約10%の症例は赤色帯域であり、30%の症例は黄色帯域であり、60%の症例は緑色帯域であった。以下の表2は、上述の試料母集団の関連する特徴の概要を示したものである
【0062】
[表2]
【0063】
上述のデータから、分娩が進行し、胎児が更なるストレスに曝されるにつれて、FRIの評点及びBE値の双方が悪化する(すなわち、低下する)ことが決定された。上述に基づいて、本明細書の開示者は、分娩の初期に行われた所定の測定が、後に、例えば、第2期において行われた同一の測定とは全く異なる関連性になる可能性があることを示した。
【0064】
上述のデータは、実際の測定値、例えばBE値自体、並びにそれらの平均値及び標準偏差によって分析された。上述のデータは更に、母数である平均値及び標準偏差とは対照的に、非母数の「中央値の倍数」(MoM)に変換された。MoMを用いることにより、本明細書において、特定の時間での子宮頸部の開大の量として同定された、離散点で中央値からの逸脱の度合は、臍帯血BEが-12mMol/L未満(代謝性アシドーシスの危険度の定義)である尤度を予測すべく、独立変数として作用する。当該尺度によると、4cm開大で-7のBEは、10cm開大時の同一のBEの-7mMol/Lの読取値(すなわち、分娩第2期)よりも、妊娠の終わりまでに、あるいは臍帯血中において、BEが-12mMol/L未満になる可能性が高い。上述のデータからの実際の測定値は、当該結論を裏付けている。
【0065】
胎児頭皮試料(FSS)のBE値とpH値の平均(中央値と平均値の両方)は、第1期の過程で漸減し、ほぼ直線的な傾きとなった(平均差と直線成分の有意性とのANOVA検定ではp<.000)。子宮頸部の開大が増加すると、BEとpHの双方の中央値は低下する。分娩第1期中のBE及びpHの低下は、一般的には徐々に始まり、完全な開大が近づくにつれて更に急速になる。当該低下は、出生後4分後まで出産介して促進される。
【0066】
前述の分析の結果の更に詳細な議論は、以下の通りである。
【0067】
図1によると、データセットからの特定の母集団について、4~5cm、6~7cm、及び8~9cmの各々の子宮頸部の開大での、-12mMol/L未満のBE値の割合を示すグラフが示されている。具体的には、下方の線は、20%の割合で代謝性アシドーシスについて陽性であるとスクリーニングしたデータセットからの乳児の母集団についての結果をプロットしている一方、上方の線は、40%の割合で代謝性アシドーシスについて陽性であるとスクリーニングしたデータセットからの乳児の母集団についての結果をプロットしている。図示するように、4~5cmの開大では、20%のスクリーニング陽性の母集団の乳児の40%が、-12mMol/L未満のBE値を示し、40%のスクリーニング陽性の母集団の乳児の80%が、同様の評点を示した。20%のスクリーニング陽性の母集団については、当該割合は8~9cmの開大で、約60%に増加した。40%のスクリーニング陽性の母集団については、同一時において、割合が約80%であった。
【0068】
次に図2によると、BE値ではなく、乳児について算出されたFRIの評点を用いて、図1と同一のデータセットは、同一の子宮頸部の開大(すなわち、4~5cm、6~7cm、8~9cm)で分析された。当該グラフにおいては、下方の線は、20%の割合で代謝性アシドーシス陽性をスクリーニングしたデータセットからの乳児の母集団についての結果をプロットしている一方、上方の線は、40%の割合で代謝性アシドーシス陽性をスクリーニングしたデータセットからの乳児の母集団人口についての結果をプロットしている。FRIの評点は、全く同様ではないが、BEの結果と並行して行われた(BEの結果は、胎児アシドーシスの間接的な予測因子であるFRIとは対照的に、胎児アシドーシスの直接的な測定値である)。
【0069】
図3によると、分娩第1期(すなわち、0~10cmの子宮頸部の開大)にわたるBEの評点及びFRIの評点の低下が、評価された。図3の「箱形図」は、評点の50%である中央を示しており、箱形図の周りのブラケットは、99パーセンタイルを示している。開大の一部の分類に、少数の外れ値が観察される。上述のデータは、胎児が経時的に収縮に曝されるにつれて、分娩中の胎児におけるアシドーシスが徐々に増加していることを示すと推定される。
【0070】
前述のデータは、次いで、各々の開大の群について、パラメータの平均値及び標準偏差からMoMに変換した。 基線は、開大と共に移動するため、任意の所定のBE測定のMoMは、開大により異なる。しかしながら、上述により、MoM値の関数として、手動で開大に対して常に調整することを要せず、規格化された解釈が可能となる。
【0071】
MoMの評点は、下方への進行を反映する(換言すると、MoMは、評点が悪化するにつれて増加する)。
【0072】
未加工のBE値は、負の数であることは注目すべきである。FRIの評点は陽性であるので、本明細書において与えられた結果は、BEのMoMについての陽性の数を任意に用いる。そのようにしない場合、MoM(FRI及びBE)を別の方向に進行させることとなるため、非常に混乱することとなる。更に、多数の臨床医にとっては、負の数字とは対照的に、1を超える数字の差の有意性を可視化するのは容易である。
【0073】
[表3]
【0074】
上述の表3から識別されるように、更に早期の開大(例えば、0~3cm)では、-8の生の値(左の列)は、中央値の評点(2.0 MoM)の2倍(負)に近いため、当該値によって示唆される危険度は比較的高い。他方、出産の過程の後半においては、未加工の-8のBE値は、中央値の評点(1.1MoM)に非常に近いという意味において、「正常」である。
【0075】
中央値の比較を用いると、0~3cmから10cmの開大で、BEは46%低下する。平均値の低減は、非常に類似しており、線形であり、比例して38%低減する。図4を参照されたい。
【0076】
0~3cmから10cmまでの子宮頸部の開大の間の46%のBEの中央値の比例した低下(表3参照)を用いると、簡単な式X=(0.46)(-12)で、0~3cmの子宮頸部の開大でのBE値が-5.52以上である場合に、出生時でBEが-12以下に到達する危険度が、平均的に高いことが示される。
【0077】
平均値の低下から導出された対応する数字は、0~3cmの子宮頸部の開大で、BE値が少なくとも-4.56以下になる場合、平均のBE値は、出生時に-12未満に到達することを示唆している。
【0078】
上述の新規の評点(以下、「初期低下率(IDR:initial drop rate)」又は「初期低下軌道(initial drop trajectory)」と称する)は、出生時の酸血症の危険度の早期警告を提供するのに役立つ(出生時にBEが-12mMol/Lである臍帯ガスが読取られるように操作される)。上述の分析では、第1頭皮試料の読取値(BE1)、及び第1頭皮試料の読取値から第2頭皮試料の読取値へのBEの比例した低減(BE_drop_1_2)が、対象の変数として用いられる。以下の表4は、ロジスティック回帰の出力を示している。
【0079】
[表4]
【0080】
ロジスティック回帰は、予後が発生するオッズ(本件では、出生時に酸血症危険度に曝露されるオッズ)の自然対数である、ロジットに着目するものである。B(ベータ)は、予測変数の1単位変化に対するロジットの変化量を表す。定数は、予測変数の両方が0であれば、酸血症の対数オッズを表す。
【0081】
表4においては、Exp(B)は、回帰方程式の他の変数を一定に保ったオッズ比に変換されたBである。1未満のオッズ比は、予測変数が増加するにつれて、予後の可能性が低くなることを示す一方、1を超えるオッズ比は、予測変数が増加するにつれて予後の可能性が高くなることを示している。
【0082】
表4は出生時の酸血症の危険度を予測する際には、第1読取値から第2読取値までのBEの水準の低下によって反映されるように、初期のBEの水準とその軌跡の双方が非常に重要であることを示しており、BE値が負となるにつれて、胎児が出生時に酸血症の危険度に遭遇する機会が増加し、同様に、BEの初期の水準が抑制されると、BEの第1頭皮試料採取と第2頭皮試料採取との間の低下率が大きくなり、出生時の酸血症の危険度が大きくなる。上述の知見は、図5に示すように、グラフで示すことができる。
【0083】
図5に概略化されたモデルは、モデルに存在するのに十分重要であると考えられる変数の影響の性質を視覚化するのに有用である。全体として、モデルは、経験的にも概念的にも評価できる。経験的な立場では、ホスマー・レメショウ(Hosmer-Lemeshow)検定は(有意であれば)、現実に重要なものが式から除外されているかどうかを我々に知らせる。本件では、有意であり(<0.02)、モデルが誤って特定化されており、臨床的及び理論的な視点からモデルを検討することは有益であることを示唆している。
【0084】
別の経験的方法は、NagelkerkeのR二乗として知られる、R二乗の近似を見ることである。当該数値は0.32であり、出生時の二分されたBE値の分散(酸血症危険度)の約3分の1は、これら2つの変数のみで説明できることが示唆される。内部的には、変数(BE1及びBE1からBE2への比率としての低下)の双方が非常に有意である。
【0085】
これらの経験的結果は、いくつかの方法で更に調査できる。1つは、以下の表4に再現される要約分類表に着目することである。
【0086】
[表4]
【0087】
表4において、「感度」(真陽性/(真陽性+偽陰性)は32%、「特異度」(真陰性/(真陰性+偽陽性))は98%、「陽性尤度比」(感度/1特異度)は23[これはROC(受信者動作特性)曲線の座標を用いた単一統計量であり、方程式は真陽性と偽陽性の間を著しく区別する]、「陰性尤度比」(1感度/特異度)は0.70、PPV(真陽性/陽性として試験されたすべての症例)は81%、NPV(真陰性/陰性として試験されたすべての症例)は88%、正確度=(真陽性と真陰性)/合計は88%である。
【0088】
特に、集団分布を正確に反映しない試料では、PPV及びNPVの両方を慎重に解釈しなければならない。ある事後の発生率が集団よりも高い場合、PPVは実際に予想されるよりも高くなるのであろう。
【0089】
次に図6を参照すると、前述の結果がROC曲線分析を用いて比較されている。これは、ロジスティック回帰分析から予測された確率を保存し、それらをROC分析における予測子として使用することによって達成される。曲線下面積は0.82(有意性<0.000)であり、出生時の酸血症危険度の予測には、早期BE測定値、並びにこれらの測定値が出生時アプローチとして低下している割合が重要な寄与因子であるという事実を反映している。
【0090】
子宮頸部の開大における未変換FRIとBEの評点間、及び隣接するCxD群間の相関も計算した。結果を下記の表5に示してある。表5において、以下のマークは、有意水準を示す。^=<.05 *=<.01。**=<.001。***=<.000。相関は特に同じ子宮頸部の開大において、代理としてFRIを考慮することを正当化するのに十分強力である。第1期広範には、FRIとBE及びpHの両方との間には適度な上昇傾向があり、変化が起こり始めるにつれて、評点の変動が増加することを示唆している。
【0091】
[表5]
【0092】
これらの関連付けは、前の期間からのFRI水準及びその軌跡の両方に関する情報を包含するために、複数の回帰を使用して改善される。以下の表6は、グループ化された子宮頸部の開大におけるFRI及びFRI Dropで退縮したBE結果を示している。4つの分析をこの表に示す。列1は6~7cmの拡張でのBEの水準を分析する;列2は、4~5cmの子宮頸部の開大から6~7cmの子宮頸部の開大までの2点でのBEの低下を分析する;そして次の2列が8~9cmでのBE及び6~7cmから8~9cmの拡張までのBEの低下についてこの分析を再現する。
【0093】
[表6]
【0094】
38例は4~5cmと6~7cmの両方で胎児の頭皮試料が読取られた。4~5cmに対して6~7cmでの読み取りからのFRIのFRI4-5cm及び低下を単に使用すると、Rは0.50(p<.007)である。FRI4-5cm係数は有意性(<.099)に近づくが、2つの連続する範囲間のFRIの低下は非常に有意である(p<.002)。同様に、本開示者らは、BE低下の程度がそれ自体、管理ツールであり得ることを予測する。FRI4-5cmの係数は有意(B=0.10、p<0.526)には達しないが、FRI軌道は非常に有意(B=-.48、p<0.005)である。
【0095】
35例は6~7cmと8~9cmの両方でFSSを有した。この分析を複製すると、対応する低下とFRI変数の開始によって、0.69の倍数Rが生成される。6~7cmでの開始水準及び6~7cm~8~9cmの間の低下は、非常に有意である。BEを同時に予測することを目的とした相関及び回帰分析の両方は互換性がある。
【0096】
隣接する子宮頸部の開大における、かつ、子宮頸部の開大を横切るBEの水準の成功した予想を示したので、第1期のFRIの評点(水準及び軌跡の両方)と、第2時期の開始時にBEの評点の下位30%にある危険度との関連性を評価した。ロジスティック回帰方程式を用いて、5~7cmの子宮頸部の開大から引き出された2つの情報源を分析した。図7はBEについてのこれらの結果を示し、図8は、pHについてのこれらの結果を示す。要約すると、4~10の子宮頸部の開大の間では、低下は50%;5の子宮子宮頸部の開大では41%;6及び7の子宮子宮頸部の開大では27%である。それぞれの比較において、いくつかの場合が実際に改善する(~10%)。
【0097】
前述の図7及び8において、「FRI5」は5cmで拡張されている子宮頸部によって規定される期間の開始付近で測定されたFRIを表し、「FRI10-5chg」は10cm拡張時のFRIと5cm拡張時のFRIとの間の差を表し、「PLO1」は予測された低BEを表し、観察された低BEを表し、「PhOh」は予測された高BE及び観察された高BEを表し、式からの「B」は、独立変数の単位変化を伴う低BE分類変化におけるオッズの自然対数の変化を表す。ここでは、2つの独立した変数、すなわち、ある膨張における初期のFRIの評点と、その膨張と10cmとの間のFRIの変化の程度とがある。更に、“N’s R2”は通常の最小二乗回帰から導かれるNagelkerkeのR二乗の近似を表し、「HL」はホスマー・レメショウ(Hosmer‐Lemshaw)係数について短くしたものである。NagelkerkeのR二乗の有意性が高いほど良好であり、ホスマー・レメショウ係数の有意性が低いほど良好である(なぜなら、何か重要なものがモデルから外れていないことを示しているからである)。
【0098】
より大きな問題は、分娩の第2時期の開始時にBE症例の下位30%にある対数オッズを予測することが可能な程度である。5~7の子宮頸部の開大(CD)に対する方程式は全て十分に大きい「N’s」を有し、それらの推定において一貫性があり、非常に有意である。初期のFRIの評点が高く、軌跡が負でないほど、胎児が下位30%に達する可能性は低くなる。時期2の開始時のアシドーシス危険度を評価するためのスクリーニングツールとしてのこのアプローチの潜在的有用性は、図9のROC曲線分析によって確認される。
【0099】
驚くべきことに、子宮内蘇生(IR)の効果を図5のモデルに考慮すると(IRの使用が塩基過剰変数と対にされた場合に、加法的及び/又は相互作用効果を有する程度を評価することによって)、加法的に、又はBE1と結合した相互作用項として、又はBEの低下として、分析に何も追加されず、追加の係数のいずれも有意ではない。特に、これは、胎児に到達する血液の問題のある酸素化に対処するための戦略としてのIRの使用が包含のためのこのような明白な選択であるため、実際にはIRについての疑問を提起する。しかし、BE1とIRの使用との相関(r=0.08)又はBEの低下とIRの使用との相関(r=-0.06)を見ると、実質的に相関はなく、主治医によるIRの使用の決定は、BE1の水準又は短期間にわたるその変動のいずれによっても影響されなかったことを示唆している。
【0100】
以下の表7及び8は、酸血症危険度モデルに胎児予備能指標(FRI)評価を更に導入した結果を示す。
【0101】
[表7]
【0102】
[表8]
【0103】
前述の表では、「感度」(真の陽性/(真の陽性+偽陰性)は17%、「特異度」(「真の陰性+偽陽性」)/(真の陰性+偽陽性)は97%、「陽性尤度比(感度/1-特異度)」は10.44、「陰性尤度比」(1-感度/特異度)は0.88、PPV(真の陽性/陽性として検査した全症例)は65%*、NPV(真の陰性/陰性として検査した全症例)は88%、「精度」(真の陽性及び真の陰性)/合計は87%である。
【0104】
これらの特性は非常に良好であり、感度が低い。全R二乗の近似は以前のモデル(R二乗=0.33)と有意に異ならないが、Homer-Lemeshow統計量(sig<0.63)はあまりモデルから除外されていないことを示唆している。
【0105】
図9は、FRIの評点の包含を更に包含する、図5のモデルの変形を表す。
【0106】
また、過去数十年間にわたり経過した手順である頭皮サンプルBE読取値なしでモデルを構築することも可能である。表9は、これらの結果を示す。説明された分散量(R二乗の近似=0.11)は包括的モデルにおける分散量の約3分の1であるが、パターンは全く類似している。
【0107】
[表9]
【0108】
図10は、BEデータを除いた図9のモデルの変形例を示す。
【0109】
IRmergeは出生時の酸血症危険度の低減に対して(FRIの低下と併せて)付加的及び相互作用的効果の両方を有するが、FRIの低下はそれ自体では別個の付加的効果を有さない。分類表(表10)としてのモデルの特性に関して、感度はこの時点では非常に低いが、PPVはかなり良好である。
【0110】
[表10]
【0111】
前述の「感度」(真の陽性/(真の陽性+偽陰性)は4%、「特異度」(真の陰性/(真の陰性+偽陽性)は99%、陽性尤度比(感度/1-特異度)は5.46、陰性尤度比(1-感度/特異度)は0.97、PPV(真の陽性/陽性として検査した全症例)は50%*、NPV(真の陰性/陰性として検査した全症例)は85%、真の陽性と真の陰性)/合計は85%である。
【0112】
次に図11を参照すると、酸血症(臍帯血)の比較を示すROC曲線が示されている。
以下の表11は、図11の曲線の曲線下面積をまとめたものである。
【0113】
[表11]
【0114】
次に図12を参照すると、BE値は3行で表されている。BE測定値の75パーセンタイル(最上行)、50パーセンタイル(中行)、25パーセンタイル(最下行)で、所定の拡張、コード・ブラッド、及び分配後、早期から第2時期、分配、及び1時間後の分配で表されている。BE値は、3つの平行な変化線を生成する。重要なことに、IDR(図には示していない)は、損傷や障害の危険度が高い酸血症の水準に胎児/児が到達する可能性を、分娩のごく早期に予測するのに用いることができる。酸血症の危険度の評価を進めることは産科ケアの変化につながる可能性がある。例えば、IRを早期に開始し、このような移送が可能である場合にはIaborの早期に高危険度センターに患者を移送する可能性がある。
【0115】
図13も参照すると、カーブの下部の更なる解析は10パーセンタイル(下の線)について、出生時のBE(臍帯血に基づく)が-12.5であり、すでに危険領域に入っていることを示す。その後、次の4分間で急激に降下して-14.5になり、16分まで危険ゾーンにとどまる。これは、乳児に損傷を与える最大の危険の期間である。定義によると、事例の9%が実際にこれより悪い。
【0116】
ここに提示したデータは酸血症危険度の間接的評価であるFRIがBEと有意に相関することを実証し、どの患者がBEを分析するために胎児頭皮、又は他の胎児血液、サンプリングを有するべきかを直ちに示唆することを有用にする。これらのデータはまた、両結果(BEとFRI)が胎児危険度の水準を予測でき、現在可能なよりも早期の介入を可能にすることを示唆する。
【0117】
前述の実証では、図14-17が、BE結果の90パーセンタイル、75パーセンタイル、25パーセンタイル、及び10のパーセンタイル(各グラフの下線)を示す3つのグラフを示しており、これらの同じデータについて、FRI結果(各グラフの上線)に対してプロットされた、さまざまな耳の拡張及び期間でのBE結果(各グラフの下線)を示している。再び、これらのデータは、FRIの評点(上の線)がBE値(下の線)を得るために胎児頭皮試料を誰が実施するかを決定するためのスクリーニング試験として、分娩の早期に使用され得ることを示す。
【0118】
上記の更なる実証において、図18は、4~5の子宮頸部の開大(X軸上の最も左の点)、6~7、8~9、10、及び出生時(X軸上の最も右の点)におけるBE及びFRI値をプロットする。プロットは、中央値BE値、下四分位におけるBE値、中央値FRIの評点、及び下四分位におけるFRIの評点についての測定値を示す。特に、FRIの評点は、0と1との間の分数値として図18に示され、1は100のFRIの評点を表す。
【0119】
図19は同様に、4~5の子宮頸部の開大(X軸上の最も左の点)、6~7、8~9、10、及び出生時(X軸上の最も右の点)におけるpH測定でプロットされたFRIの評点を示す。プロットは、中央pH値、下四分位のpH値、中央FRIの評点、及び下四分位のFRIの評点についての測定値を示す。特に、FRIの評点は、0と1との間の分数値として図19に示され、1は100のFRIの評点を表す。
【0120】
最後に、図20は、4~5(X軸上の最も左の点)、6~7、8~9、10、及び出生時(X軸上の最も右の点)の子宮頸部の開大におけるpH及びBE測定値を示す。プロットは、中央値BE値、下四分位におけるBE値、中央値pH評点、及び下四分位におけるpH評点についての測定値を示す。
【0121】
BE値に反映されるように、アシドーシスは一般に、減損の危険度を決定するのに最も近い近似であるが、今日までの経験は任意の所与の胎児についての危険度の正確な推定値を作成するには不十分であった。MoMの分類は、即時の危険度評価をより容易に評価できるようにする。軌跡を追加することにより、危険度の水準の進行の精度が向上する。分娩初期からの連続的なBE又はpH測定が特に分娩の活動期(<6 cms)の前に、日常的に利用可能であることは非常にありそうにないので、FRI及びその軌跡は共に、このようなもの合理的な代用物であるように思われる。FRIで入手可能な情報を組み合わせることにより、第2期の初めにアシドーシスの危険度を推測することが可能となり、FSSを検討する時期を示唆することもできる。まとめると、アシドーシスとその続発症を予測するのはCTGの改善である。
【0122】
上記の結果は胎児に対する神経学的損傷の危険度を同定し、低減するためのいくつかの方法を支持する。
【0123】
第1のそのような方法は分娩中の第1時期、例えば、子宮頸部の開大が0~3cmであるときに、胎児についての少なくとも第1の塩基過剰(BE)値を決定するために、胎児血液の分析を行うことを包含し、次いで、第1時期中の同じ期間に第1時期として確立された胎児BE値の母集団を含むデータセット(例えば、本明細書に記載される分析において使用されるよう)の中央BE値でBE値を割ることによって、第1時期におけるBE値の中央値の倍数を決定する。本明細書中で議論されるように、BE値が中央値(MoM)のBE値の所定の倍数(例えば、0~3cmの拡張で1.5)である場合、胎児に対する神経学的損傷の危険度が示される。神経学的損傷の胎児への危険度が同定工程によって示された場合、次いで、任意の従来の治療処置を介して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減又は除去するために、分娩に介入することによって胎児を治療する。
【0124】
この開示によって支持される別の方法は(i)分娩第1期の間の第1時期(例えば、子宮頸部の開大が0~3cmの間である場合)において、分娩中に胎児に対する神経学的損傷の危険度を同定し、胎児血液の分析を実施して、胎児に対する少なくとも最初のBE値を決定することを含む。胎児に対する神経学的損傷の危険度はBE値が-5以下の場合に適応となり、この値は上述の分析から決定される。神経学的損傷の危険度が同定時期によって示される場合、治療は、任意の従来の治療処置-子宮内の両方又は乳児を迅速に娩出する決定を通して、胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減又は除去するために分娩に介入することによってなされる。
【0125】
本開示によってサポートされる別の方法は、以下の工程を含む。(a)胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を示す、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータについての胎児のモニタリングをする工程。(b)分娩第1期(例えば、子宮子宮頸部の開大が0~3cmの場合)の第1時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、神経学的損傷に対する胎児への現在の危険度の水準を決定し、ここで決定された現在の危険度の水準はFRI値として表される工程。(c)FRI値のMoMが中央値FRI値の所定の倍数である場合、神経学的損傷の危険度が示される、第1時期におけるFRI値のためのMoMを、第1時期として分娩第1期の間の同じ期間に確立されたFRI値の母集団を含むデータセット(例えば、本明細書に記載されるデータセット)の中央値FRI値で割ることによって決定する工程。(d)工程(c)によって神経学的損傷の危険度が示される胎児を治療する工程であって、治療工程は従来の治療処置によって胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減又は除去するために、分娩に介入する工程を含む、工程(c)によって示される胎児を治療する工程。
【0126】
工程(c)が胎児に対する神経学的損傷の危険度を示す場合、本明細書に開示されるデータは分娩の第1時期中の少なくとも第2時期(例えば、子宮頸部の開大が10cm未満である場合)に胎児血液の分析を実施して、少なくとも塩基過剰(BE)値を決定する更なる工程を支持する。議論されるように、BE値は、アシドーシスの危険度のより正確な指標である。したがって、分娩早期のFRI測定は、胎児血液のより侵襲的な検査を必要とする児と必要としない児を識別するのを容易にする。
【0127】
本明細書に開示されるデータはまた、分娩の第1時期中の第3時期において胎児血液の分析を実施する更なる工程を支持し、第3時期は、第2時期よりも遅い。
【0128】
本開示によって支持される別の方法は神経学的損傷の危険度を同定及び処置するために、分娩の第1時期の過程の間に決定されるBE値の低下率を利用する。この方法は、以下の工程:分娩第1期(例えば、子宮頸部の開大が0~3cmの場合)における分娩中の胎児に対する神経学的損傷の危険度を同定する工程、胎児のための少なくとも第1BE値を決定するための胎児血液の分析を実施する工程、(ii)分娩第1期の第2時期において、分娩第1期より遅い時期(例えば、第1期後であるが、子宮頸部の開大前は10cmの場合)、胎児のための少なくとも第2の塩基過剰(BE)値を決定するための胎児血液の分析を実施する工程、及び(iii)第1BE値から少なくとも第2BE値への低下率を決定することにより、胎児に対する神経学的損傷の危険度が少なくとも所定の値-例えば、46%以上の方法により、低下率が少なくとも所定の値である場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が示される工程。神経学的損傷の危険度が同定工程によって示された場合、次いで、神経学的損傷の危険度を低減又は除去するように、胎児を治療するための分娩における介入が行われる。
【0129】
BE降下速度を所定のパーセンテージと比較する代わりに、前述の方法は代わりに、降下速度を、分娩の第1時期中に第1及び第2時期と同じ期間に確立された胎児BE値についての降下速度の母集団を含むデータセット(例えば、本明細書に記載される)の降下速度の中央値で割ることによって、降下速度についてのMoMを決定する工程を包含してもよい。この変異体によると、低下率のMoMが低下率の中央値の事前に定義された倍数である場合、胎児に対する神経学的損傷の危険度が適応となる。次いで、神経学的損傷の危険度が適応とされる場合に、任意の従来の治療処置を介して胎児を治療する分娩時の介入を行う。
【0130】
本明細書に記載されるデータによってサポートされる別の方法は、以下の工程を含む:
(a)胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を示す、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータについての胎児のモニタリングをする工程。(b)分娩中又は分娩前の第1時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて神経学的損傷の胎児に対する現在の危険度の水準を決定し、ここで、決定された現在の危険度の水準は数値(FRI値)として表される工程。(c)分娩中又は分娩前の第2時期において、第1期より遅れて、同時に決定された現在の危険度の水準がFRI値として表される、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づく神経学的損傷に対する胎児への現在の危険度の水準の決定をする工程。(d 第1FRI値から第2FRI値への低下率の決定をする工程。(e)FRI値のMoMが中央値FRI値の所定の倍数である場合、神経学的損傷の危険度が示される、第1時期におけるFRI値の中央値(MoM)の倍数を、第1時期として分娩第1期の間又は前の同じ期間において確立されたFRI値の母集団を含むデータセットの中央値FRI値で割ることによって決定する工程。(f)第1及び第2時期として、分娩の第1時期中又は第1時期前の同じ期間に確立されたFRI値についての低下率の母集団を含むデータセットの低下率の中央値で低下率を割ることによって、低下率についてのMoMを決定し、低下率についてのMoMが所定の低下率である場合、胎児に対する神経学的損傷の存在が示される工程。
【0131】
本明細書に記載されるデータによって支持される、分娩中のヒト胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減するための別の方法は、以下の工程を含む。(a)胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を示す、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータについての胎児のモニタリングをする工程。(b)分娩中又は分娩前の第1時期(例えば、0~3cmの子宮子宮頸部の開大)に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて神経学的損傷の胎児に対する現在の危険度の水準を決定し、ここで決定された現在の危険度の水準を数値(FRI値)で表す工程。(c)分娩中又は分娩前の第2時期(例えば、10cm以下の子宮頸部の開大)において、第1時期より後に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、神経学的損傷についての胎児に対する危険度の現在の水準を決定し、ここで、決定された危険度の現在の水準は、FRI値として表される工程。(d)第1FRI値から第2FRI値への低下率を決定する工程であって、低下率が所定の値(例えば、限定されるものではないが、46%以上の低下率)を超える場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度が示される工程;及び、神経学的損傷の危険度が識別工程によって示される胎児を治療する工程であって、治療工程は任意の従来の治療処置によって、胎児に対する神経学的損傷の危険度を低減又は除去するために、分娩に介入する工程。
【0132】
本明細書に記載のMoMアプローチは、代謝危険度評価の「拡大」の増加と考えることができる。本明細書に開示される方法によって、分娩の進行に伴って測定を文脈化することを直ちに求める必要なしに、測定の危険度を直ちに理解することが可能である。更に、本開示によると、早期の分娩データ収集に焦点を当てることにより、分娩に「清潔」になった胎児であって、FRI及びMoMによる分娩状態の悪化が、入院時に既に損傷を受けた可能性がある胎児からの損傷を防ぐことができる胎児を明確にするのに役立つ。
【0133】
産科学における重大な医療法的問題は、乳児が分娩中に損害を受けたか、又は既に損害を受けた分娩に入ったかどうかを決定しようとすることである。EFMの解釈はこれほど主観的であったため、広くコンセンサスが得られておらず、したがって、開業医がこの決定を下す際に従うべき信頼できる指針はない。医療法的状況では、このようなことはしばしば、医療専門家によって提示される正反対の意見につながる。本明細書で議論される承認及び維持評価方法論は、これらの決定を行うための客観的なガイダンスを提供することが理解されるのであろう。
【0134】
本稿で示したデータは分娩初期のBEを評価すること、並びにその後どのくらいの速さでBEが低下するかを評価することの組み合わせが、代謝性アシドーシスの危険度の早期予測のための高感度な方法を提供することを示唆している。それは、EFMの異常がある前にそうする。更に、これらのデータは、最初のFRI及びFRIの初期低下率が出生時のアシドーシス危険度の水準を決定するために、胎児頭皮サンプリング又は他の胎児血液分析を誰が行うかを決定するための有用なスクリーニングを提供することを示す。このように危険度を早期に同定することで、子宮内蘇生をより早期に開始できる可能性があり、これまでに代謝性アシドーシスの可能性及び持続期間、神経学的障害の危険度、及び緊急分娩の必要性を低下させることが示されている。
【0135】
様々なセンサ入力(手動及び/又は自動的に受信される)を受信し、本明細書で説明される方法の様々な決定工程を実行し、介入のための危険度及び/又は推奨の視覚的及び/又は音声的指示を提供するために、専用機器又は汎用コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどを利用する、前述の方法の実施形態が想定される。
【0136】
上記で指定された方法は例えば、1以上のコンピュータを備える装置によって実装され得ることが企図される。
【0137】
一実施形態においては、そのような装置が分娩第1期中の第1時期に確立された胎児についての第1の基準超過(BE)値について、第1時期中の分娩第1期中の同じ期間に確立された胎児BE値の母集団を含むデータセットの中央BE値でBE値を割ることによって、第1時期中のBE値の中央値の倍数を決定するように動作する1以上のコンピュータを備える。1以上のコンピュータはBE値がBE値中央値の予め定義された倍数である場合に、胎児に対する神経学的損傷の危険度を示すために更に作動する。
【0138】
当業者であれば、1以上のコンピュータ、又は1以上のコンピュータに動作可能に接続された別のコンピュータでさえ、分娩第1期中に第1時期と同じ期間に確立された胎児BE値の母集団を含むデータセットを用いてプログラムすることができることを理解するのであろう。
【0139】
別の実施形態においては装置が胎児に対する神経学的損傷の現在の水準を示す同時発生的な臨床パラメータの少なくとも初期設定を示す入力信号を受信し、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、分娩中又は分娩前の第1時期において、神経学的損傷の現在の水準を、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて決定し、決定された現在の危険度の水準は数値(第1FRI値)として表され、第1FRI値の中央値(MoM)を、分娩第1期と同じ期間中又はその前に確立されたFRI値の母集団を含むデータセットの中央値FRI値で割ることによって、第1FRI値の中央値(MoM)の倍数を決定し、出力(i)第1FRI値の決定されたMoMが中央値FRI値の所定の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度を示し、及び/又は(ii)MoMの場合に、胎児に対する神経学的損傷の存在を示す、1以上のコンピュータを備える。滴下速度は予め定義された滴下のMoM速度である。
【0140】
この場合も、当業者であれば、1以上のコンピュータ、又は1以上のコンピュータに動作可能に接続された別のコンピュータでさえ、第1時期としての分娩第1期中又はその前の同じ期間に確立されたFRI値の母集団を含むデータセットを用いてプログラムすることができることを理解するのであろう。
【0141】
更に、この実施形態の1以上のコンピュータは分娩第1期の間の少なくとも第2時期及び第3時期において、胎児のための塩基過剰(BE)値を示す入力を受信し、第3時期は第2時期よりも遅く、第2時期及び第3時期におけるBE値の低下率を決定し、第2時期及び第3時期におけるBE値が所定の値、例えば、46%を超える低下率を反映する場合、神経学的損傷の危険度を示す出力を提供するように動作可能であってもよい。
【0142】
別の実施形態においては、本装置が分娩第1期中の少なくとも第1及び第2時期において胎児の塩基過剰(BE)値を示す入力を受信するように動作する1以上のコンピュータを備え、第2時期は第1の時点よりも遅く、第1及び第2時期におけるBE値の低下率を決定し、第2時期及び第3時期におけるBE値が所定の値、例えば46%を超える低下率を反映する場合、神経学的損傷の危険度を示す出力を提供する。
【0143】
別の実施形態においては、装置が分娩第1期中の少なくとも第1及び第2時期において、第1の時点よりも遅い、胎児のための塩基過剰(BE)値を示す入力を受信し、第1BE値のための低下率から第2BE値への低下率を決定し、低下率のための中央値(MoM)の倍数を、第1及び第2時期と同じ分娩第1期中の同じ期間に確立された胎児BE値の低下率の母集団を含むデータセットの低下率の中央値で割ることによって決定し、低下率のためのMoMが低下率の所定の倍数である場合に、神経学的損傷の危険度を示す出力を提供するように動作する1以上のコンピュータを備える。
【0144】
別の実施形態においては、装置が胎児に対する神経学的損傷の現在の水準を示す同時発生的な臨床パラメータの少なくとも初期設定を示す入力信号を受信し、分娩中又は分娩前の第1時期において、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、神経学的損傷の胎児に対する現在の危険度の水準を決定し、決定された現在の危険度の水準は数値(第1FRI値)として表され、分娩中又は分娩前の第2時期において、第1時期より後に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、神経学的損傷の胎児に対する現在の危険度の水準を決定し、決定された現在の危険度の水準は第2FRI値として表され、第1FRI値から第2FRI値への低下率を決定し、決定された第1FRI値から第2FRI値への低下率が少なくとも所定の値である場合に、神経学的損傷の危険度を示す出力を提供するように動作する、1以上のコンピュータを備える。
【0145】
別の実施形態においては、装置が以下のように動作する1以上のコンピュータを備える。胎児に対する神経学的損傷の現在の危険度の水準を示す、少なくとも初期設定の同時発生的な臨床パラメータを示す入力信号を受信する。分娩中又は分娩前の第1時期に、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づいて、神経学的損傷の胎児に対する現在の危険度の水準を決定し、ここで、決定された現在の危険度の水準は数値(第1FRI値)として表される。分娩中又は分娩前の第2時期において、第1期より遅れて、同時に決定された現在の危険度の水準が第2FRI値として表される、初期設定の同時発生的な臨床パラメータに基づく神経学的損傷に対する胎児への現在の危険度の水準を決定する。第1FRI値から第2FRI値への低下率を決定する。分娩第1期中又は分娩第1期前の同じ期間に確立されたFRI値の母集団を含むデータセットの中央値FRI値で第1FRI値を割ることによって、第1FRI値の中央値(MoM)の倍数を決定する。低下率のMoMは低下率の中央値を、分娩の第1時期中又は第2時期前の同じ期間に確立されたFRI値の低下率の母集団を含むデータセットの低下率の中央値で割ることによって決定し、(i)決定された第1FRI値のMoMが中央値FRI値の所定の倍数である場合に神経学的損傷の危険度を示す出力、及び/又は(ii)低下率のMoMが所定の低下率のMoM率である場合に胎児への神経学的損傷の存在を示す出力を提供する。
【0146】
例示的な形態においては、分娩中の時間における第1時期が0~3cmの間の子宮頸部の開大を特徴とし;分娩中の時間における第2時期が10cm以下の子宮頸部の開大を特徴とする。
【0147】
1つの例では、胎児に対する神経学的損傷の危険度が低下率が46%以上の場合に示される。
【0148】
他の場所で議論されるように、前述の初期設定の同時発生的な臨床パラメータは、(a)FHR、(b)FHR基線細変動、(c)FHR一過性頻脈、(d)FHR一過性徐脈、及び(e)母体子宮収縮を含み得る。そのようなパラメータが使用される場合、1以上のコンピュータは第1時期において、各同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)が独立して1以上の機能不全特性を示すかどうかを決定し、同時に独立して1以上の機能不全特性を示す同時発生的な臨床パラメータ(a)~(e)の数を第1FRI値に変換するように更に動作する。これは、例えば、各々に対して任意に割り当てられた値(例えば、1又は0)を使用して、同時に、独立して機能不全である前記パラメータ(a)~(e)の数を加算する単純なアルゴリズムの実施によって達成されてもよい。
【0149】
前述の実施形態の出力はグラフィカルディスプレイ、警告灯、及び/又は音などのうちの1以上を含む、任意の従来の形態をとることができ、これらの出力は、装置自体を介して提供することができる。それらは、ビデオディスプレイ及び/又はプリンタのような周辺装置を介して提供されてもよいし、代替的に提供されてもよい。
【0150】
本開示によって理解される装置は代替的に又は追加的に、FHR追跡、子宮活動追跡を含む他の情報、及び/又は、非限定的な例として、特定された危険度の水準のために必要とされるか又は推奨される所定のアクションに関係する1以上の臨床医への指示を含む、胎児のために現在示されている危険度の水準に関連する更なる情報を提供するように動作可能であり得ることも企図される。そのような他の情報は例えば、1以上の出力を介して提供されてもよい。
【0151】
1以上のコンピュータは更に、(キーボードのような従来の手段を介して、又はグラフィカルユーザインタフェースと組み合わせてマウスのよう)、上述の方法に従って取られたBE値を示すユーザ入力を受信するように動作する。
【0152】
本開示による装置は、前述のパラメータを示すユーザ入力をモニタリング/受信することができる1以上のセンサを備える内蔵ユニット、又は他の別個のセンサからこれらのパラメータに対応する入力を受信する別個のユニットを備えることができることが企図される。前者の場合、1以上の出力は上述のように、従来のFHM及び子宮収縮センサで提供されるような、FHR及び母体の子宮収縮トレースを示すディスプレイ及び/又はプリントアウトのうちの1以上を含む出力を更に提供することができる。後者の場合、本開示の方法を実施するための装置はFHMデバイスに接続可能であり、FHMデバイスからデータを受信することができる別個の装置であってもよい。
【0153】
本開示の装置の別の実施形態によると、胎児危険度の水準の識別は、インターネット又は他のコンピュータネットワークを介してなど、遠隔で提供することができる。この実施形態によると、例えば地理的に離れた場所にいる1人又は複数の医師及び/又は看護師などの1人又は複数の人に、患者が位置する場所で装置に動作可能に接続されたディスプレイ/インターフェースが提供され、その結果、1人又は複数の離れた場所にいる人に、胎児に対する危険度の水準の識別、及び、必要に応じて、FHM及び/又はモニタリングされる他のパラメータが、分娩室内の出産者を支援することができるようになる(インターフェースを介して、及び/又は電話、テレビ会議装置などの他の手段を介して)。例えば、このシステムは、分娩室に十分な産科医がいないコミュニティ病院で実施することができる。
【0154】
例示的な実施態様によると、本開示の方法を実行するように動作可能な前述の装置又は他の装置がFHRをモニタリングするために(直接又は他のモニタリング装置を介して)患者に動作可能に接続される。所望のスケジュールに従って連続的又は周期的に、FHR基線細変動、FHR一過性頻脈、及びFHR一過性徐脈がFHRから決定され、パラメータ(a)~(d)は、1以上のコンピュータに格納された、本明細書で指定されたものなどの機能不全の既知の特性と比較されて、任意の1以上のパラメータが独立して1以上の機能不全特性を示すかどうかが決定される。1以上のコンピュータが任意の1以上のパラメータ(a)~(d)について、任意の機能不全特性が同時に存在すると判定した場合、その判定は、1以上の出力を介して、胎児に対する対応する危険度の水準の指標をもたらす。更に、装置は、好ましくは臨床医又は他のユーザによって必要とされる/推奨される動作の指示を提供する。
【0155】
図21図23は上記の方法を実施するための例示的な器具を概略的に示すが、手段を限定するものではない。
【0156】
より具体的には、図21が患者40に接続された1以上のセンサ30などから入力信号を受信するように動作する1以上のコンピュータ20を備える装置10を示す。1以上の出力50は、1以上のコンピュータ10に動作可能に接続される。これらの種々の要素20、30、50の作動的な接続は任意の公知の手段によって達成することができ、図21に太線で示されている。1以上の出力50は例えば、ビデオディスプレイ及び/又はプリンタ、警告灯(例えば、各々が異なる危険度の水準に対応する複数の評点固有の灯)、可聴アラーム等を含むことができる。また、装置は代替的に又は追加的に、FHRトレーシング、子宮活動トレーシング、及び/又は、非限定的な例として、特定された危険度の水準に必要とされるか又は推奨される所定のアクションに関連する1人又は複数の臨床医への指示を含む、胎児に現在示されている危険度の水準に関連する更なる情報を含む、他の情報を提供するように動作可能であってもよいことも企図される。そのような他の情報は例えば、1以上の出力50を介して提供されてもよい。1以上のコンピュータ20は更に、ユーザ入力(例えば、キーボードのような従来の手段を介して、又は、例えば、グラフィカルユーザインタフェースと組み合わせたマウスを介して)を受信するように動作する。装置10は、図22に概略的に示されているような、前述のパラメータを示すユーザ入力をモニタリング/受信することができる1以上のセンサ30を備える内蔵ユニット、又は他の別個のセンサ30’、30”(図X)からこれらのパラメータに対応する入力を受信する別個のユニット10’を備えることができることが企図される。
【0157】
別の実施形態(図23)によると、胎児危険度の水準の識別は、インターネット又は他のコンピュータネットワーク(300で示す)を介してなど、遠隔で提供することができる。この実施形態によると、例えば、地理的に離れた場所200にいる1人以上の医師及び/又は看護師のような1人以上の人には患者が位置する場所100において装置110に動作可能に接続されたディスプレイ/インターフェース210が提供され、その結果、1人以上の離れた場所にいる人には出産を伴う分娩室にいる人を(インターフェースを介して及び/又は電話、テレビ会議装置等の他の手段を介して)支援することができるように、胎児に対する危険度の水準の特定が提示されることが企図される。例えば、このシステムは、分娩室に十分な産科医がいないコミュニティ病院で実施することができる。本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。これは、網羅的であること、又は本開示を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であり、又は本開示の実施から獲得され得る。これらの実施形態は、当業者が意図される特定の使用に適した様々な実施形態及び様々な修正形態において、このイノベーションを利用することを可能にするために、このイノベーションの原理及びその実際の適用を説明するために示され、説明される。本開示では本開示のいくつかの実施形態のみが詳細に説明されているが、本開示を検討する当業者は列挙された主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのような修正はすべて、本開示の範囲内に含まれることが意図される。本開示の精神から逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件、及び配置において、他の置換、修正、変更、及び省略を行うことができる。
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【国際調査報告】