(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】物体をアニメーション化するための機構を含む宝石類の部品
(51)【国際特許分類】
A44C 17/02 20060101AFI20221003BHJP
G04B 45/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A44C17/02
G04B45/00 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506667
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020071806
(87)【国際公開番号】W WO2021023710
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506307016
【氏名又は名称】コンプリタイム エスアー
(71)【出願人】
【識別番号】509236863
【氏名又は名称】ジーエフペーイー ソスィエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】GFPI S.A.
【住所又は居所原語表記】Eplatures-Grise 16,CH-2301 La Chaux-de-Fonds,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195017
【氏名又は名称】水間 章子
(72)【発明者】
【氏名】ステファン フォーシー
(72)【発明者】
【氏名】アナイス へメル
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA21
3B114BD09
3B114BD11
3B114BD12
3B114HH08
(57)【要約】
物体(11)をアニメーション化する機構(1)を含む携帯用宝石類部品(3)であり、機構(1)は変速機(9)を駆動する動力源(5)、変速機(9)の回転速度を調整する調整システム(7)、変速機(9)の一部を形成するパワーテイクオフ(9b;9f)を介し動力源(5)の影響下、第1の回転軸(A1)中心の回転に従いアニメーション化される物体(11)を担持する支持システム(13)を備える。支持システム(13)は第1の回転軸(A1)を中心にフレーム要素上に回動可能に取付られた第1フレーム(13b)、第1の回転軸(A1)に対して実質的に直交する第2の回転軸(A2)を中心に第1のフレーム(13b)で回動可能に取付られた内側フレーム(13f)を含み、物体(11)はパワーテイクオフ(9b;9f)により駆動されるよう駆動輪(15)で回転して固定される偏心駆動要素(15b)により駆動される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(11)をアニメーション化するための機構(1)を含む携帯用の宝石類の部品(3)であって、前記機構(1)は、
-変速機(9)を駆動するように配置された動力源(5)と、
-前記変速機(9)の回転速度を調整するように配置された調整システム(7)と、
-前記変速機(9)の一部を形成するパワーテイクオフ(9b;9f)を介して前記動力源(5)により第1の回転軸(A1)を中心として回転してアニメーション化されることが意図された物体(11)を担持する支持システム(13)とを含み、
前記支持システム(13)は、前記第1の回転軸(A1)を中心としてフレーム要素に回動可能に取り付けられた第1のフレーム(13b)と、前記第1の回転軸(A1)に対して実質的に直交する第2の回転軸(A2)を中心として前記第1のフレーム(13b)に回動可能に取り付けられた内側フレーム(13f)とを含み、
前記物体(11)は、前記パワーテイクオフ(9b;9f)によって駆動されるように配置された駆動輪(15)で回転するように拘束された偏心駆動要素(15b)により駆動されるように配置されていることを特徴とする、宝石類の部品(3)。
【請求項2】
前記物体(11)は、第3の回転軸(A3)を中心として前記内側フレーム(13f)に回動可能に取り付けられたシャフト(13h)によって担持され、前記シャフト(13h)は、前記駆動輪(15)と同軸である歯のセット(17)と噛み合う歯車(13l)で回転するように拘束されており、前記歯のセット(17)は、回転によってアニメーション化されるように固定又は配置されている、請求項1に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項3】
前記偏心駆動要素(15b)は、クランク又はレバーである、請求項1又は2に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項4】
前記変速機(9)は、複数の歯付き部材(9a,9b,9c;9d,9e,9f)から構成される歯車列(9)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項5】
前記パワーテイクオフは、前記歯付き部材(9b;9f)の1つによって構成される、請求項4に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項6】
前記パワーテイクオフ(9b)と前記駆動輪(15)との間に運動学的に配置されたクラッチ(19)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項7】
前記クラッチ(19)は、手動又は自動で制御されるように配置されている、請求項6に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項8】
前記変速機(9)と前記物体(11)との間の運動学的接続の少なくとも一部はフレキシブルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項9】
前記動力源(5)は、駆動ばねである、請求項1~8のいずれか1項に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項10】
前記調整システム(7)は、脱進機(7a)によって駆動されるように配置されたバランス-ひげぜんまい発振器(7b)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項11】
前記動力源(7)は電気モーターであり、前記調整システムは、好ましくは石英システムである、請求項1~10のいずれか1項に記載の宝石類の部品(3)。
【請求項12】
前記物体(11)の少なくとも一部が、前記フレームのセット(13b、13f)の外側に突出している、請求項11に記載の宝石類の部品(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は宝石の分野に関する。より具体的には、宝石、貴石又は半貴石、彫刻、又はその中に統合された他の任意のミニチュア物体などの物体をアニメーション化するための機構を含む宝石類の部品に関する。
【背景技術】
【0002】
明細書FR2988866には、柔軟なベルトによって単一の回転軸の周りの回転運動で貴石又は半貴石をアニメーション化するように駆動ばねが配置された、石をアニメーション化するための機構が記載されている。石は、4本の爪又は顎によってシャフトに取り付けられ、所定の位置に固定される。しかし、石の動きは単調であり、その一面しか見えないため、着用者には常に同じ角度を示しており、その結果、その視認性が制限される。さらに、石のシンチレーションは比較的限定されており、観察者はそのクラウン以上のものを見るために、鋭角からそれを観察する必要がある。
【0003】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点が少なくとも部分的に克服された、物体をアニメーション化するための機構を含む宝石類の部品を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
より正確には、本発明は、請求項1で定義された、物体をアニメーション化するための機構を含む携帯用の宝石類の部品に関するものである。この機構は、
【0005】
-例えば、複数の歯付き部材、1以上のベルト、チェーン、伝達シャフト、又は他の同様の手段から構成された歯車列などの変速機を駆動するように配置された駆動ばね又は電気モーターなどの動力源と、
【0006】
-脱進機-バランス-ひげぜんまいシステム、音叉、石英又は同様のシステムなど、前記歯付き部材の回転速度を調整するように配置された調整システムと、
【0007】
-少なくとも第1の回転軸を中心として回転してアニメーション化されることが意図された貴石、半貴石、宝石、ミニチュア彫刻又は同様のもののような物体を担持する支持システムと、を含み、前記物体は、前記変速機からのパワーテイクオフによって直接的又は間接的に駆動されるように配置されている。変速機が歯車列で構成される場合、このパワーテイクオフは、前記歯付き部材の1つであり、したがって、動力源からの力を物体に伝達する。
【0008】
本発明によれば、前記支持システムは、前記第1の回転軸を中心としてフレーム要素に回動可能に取り付けられた第1のフレームと、前記第1の回転軸に対して実質的に直交する第2の回転軸を中心として前記第1のフレームに回動可能に取り付けられた内側フレームとを含む。2つのフレームは任意の形状にすることができる。さらに、前記物体は、駆動輪で回転するように拘束されたクランク、レバーなどの偏心駆動要素によって、前記回転軸を中心として回転駆動されるように配置され、この後者は、変速機からの前記パワーテイクオフによって駆動されるように配置されている。
【0009】
これらの手段により、物体は、2つの回転軸のそれぞれを中心とした前後の回転によって定義される複合的な動きによってアニメーション化され、これにより、物体に2つの回転の自由度が与えられる。このようにして生成された動きは、物体の視認性を高める回転傾斜と、後者が宝石又は貴石又は半貴石である場合にはシンチレーションを表す。
【0010】
有利には、物体は、第3の軸を中心として前記内側フレームに回動可能に取り付けられたシャフトによって担持され、前記シャフトは、前記駆動輪と同軸である固定された又は回転する歯のセットと噛み合う歯車によって回転するように拘束されている。これにより、物体は、3つの回転軸によって規定される複合的な動きでアニメーション化され、前述した回転傾斜に応じた動きだけでなく、第3の軸を中心として連続した動きで揺動する。
【0011】
有利には、機構は、さらに、変速機からの前記パワーテイクオフと前記駆動輪との間に運動学的に置かれ、これら2つの要素間の運動学的接続を切り離し、したがって選択的にするための任意のタイプのクラッチを含む。これにより、アニメーション化された物体を前記変速機から離すことができ、したがって、機構が組み込まれている部品の動きに応じてアニメーション化された物体を動かすことができる。このクラッチは、手動で(例えば、押しボタン、又は、他の操作部材によって)、又は任意の機構によって、自動的に操作されるように構成することができる。
【0012】
有利には、前記変速機と前記アニメーション化された物体との間の運動学的接続の少なくとも一部はフレキシブルであり、これにより、前記部品の動きによって生成される物体の特定の「浮遊」が可能になる。特に、物体は、エラストマー要素又は同様の要素によって内側フレームに接続することができ、及び/又は、駆動輪と変速機との間の運動学的接続は、弾性ベルトを含んでいてもよい。
【0013】
有利には、前記調整システムは、あらゆる種類の脱進機によって発振状態に維持されるように配置されたバランス-ひげぜんまい発振器を含む。これらの要素は、例えば、(単一、二重又は多重、傾斜又は非傾斜)トゥールビヨンシステム、(傾斜又は非傾斜)カルーセルシステムなどの一部とすることができる。さらに、当業者に周知の機構(差動装置など)により、複数の調整装置を互いに組み合わせることができる。
【0014】
有利には、前記アニメーション化された物体の少なくとも一部は、前記フレームのセットから突出し、したがって、その視認性を最大化する。換言すると、前記アニメーション化された物体の少なくとも一部は、前記フレーム全体よりも駆動輪からより遠い距離に位置している。
【0015】
本発明の他の詳細は、添付の図面を参照してなされた以下の説明を読むことによって、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、アニメーション機構の第1の変形例を含む、本発明の宝石類の部品の概略図である。
【
図2】
図2は、アニメーション機構の第2の変形例を含む、本発明の宝石類の部品の概略図である。
【
図3】
図3は、
図1の概略図に対応する機構の構造の等角図である。
【
図4】
図4は、アニメーション化された物体、支持システム、駆動輪、及び固定された歯のセットを含む集合体の等角図である。
【
図5】
図5は、
図4に示されている集合体の等角断面図である。
【
図6】
図6は、
図1と同様の概略図であり、いくつかの可能な選択的な変更をさらに示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び
図2は、宝石類の部品3に組み込まれた、物体をアニメーション化するための機構1の全体的な構造を概略的に示している。この後者は、例えば、ブレスレット、ネックレス、ブローチとして着用されることを意図した宝石類の部品、又は、テーブルなどの表面に置かれることを意図した宝石類の部品であってもよい。これらの図では、運動学的及び/又は機能的な接続が矢印で表されている。
【0018】
図1は、このような機構1の機械的な第1変形例を示す図である。これに関して、機構1は、変速機9によって調整システム7に動力学的に接続された駆動ばねなどの機械的動力源5を含み、ここでは、複数の歯付き部材から構成される歯車列9として示され、そのうち3つは参照記号9a、9b、及び9cで示されている。当然ながら、歯車列9の一部を形成する歯付き部材の数は、製造業者のニーズに応じて選択することができる。さらに、歯車列の代わりに、例えば、ベルト、チェーン、伝達シャフト、又は任意のタイプの変速機など、当業者に周知の他の変速機システムを使用することができ、これらは当業者の手の届く範囲であるので、ここで例示する必要はない。調整システム7は、例えば、遠心調速機、空気中又は液体中で回転する外輪、音叉式調整器、脱進機-バランス-ひげぜんまい調整器、単軸、二軸、又は、三軸のトゥルービヨン、カルーセル、又は、他の同様のシステム(又はシステムの組み合わせ)であってもよい。
【0019】
以下で明らかになるように、歯付き部材9bのうちの1つは、アニメーション化された物体11を駆動するように配置された変速機9からのパワーテイクオフとして機能する。変速機がベルト、チェーン、又は同様のもので構成されている場合、パワーテイクオフは、調整システム7との運動的接続がある場所以外の場所で、後者によって駆動される要素で構成されてもよい。したがって、アニメーション化された物体11は、変速機9から分岐される。
【0020】
図2の変形例では、動力源5は同様に駆動ばねであってもよく、その場合、調整システム7は、上述のように、暫定的な運動学的接続によって動力源5に接続されてもよく、あるいは、電気モーターであってもよい。後者の場合、動力源は、例えば、回転速度が石英システム又は他の同等のシステムのような調整システム7によって制御されるステッピングモータであってもよい。動力源5は、変速機9によってアニメーション化された物体11に運動学的に接続され、ここでも複数の歯付き部材9d、9e、9fからなる歯車列として示され、そのうちの1つは、アニメーション化された物体11を駆動するように配置されている。示されている実施形態では、最後の歯付き部材9fがアニメーション化された物体11を駆動するが、中間の歯付き部材がこれを行うことが可能であり、これは、特に、変速機9が時計針なども駆動する場合である。変速機9が1以上のベルト又はチェーンを含む場合、暫定的な方法でアニメーション化された物体11に運動学的に接続されている。
【0021】
図3から
図5は、
図1の概略図に対応する具体的な実施形態を示す。図面に過剰な負荷がかからないように、橋梁、プレート、軸受などのフレーム要素は表示されていない。
【0022】
この実施形態では、動力源5は、既知の方法でバレル5a内に収容された駆動ばね(図示せず)である。駆動ばねの一方の端部は、変速機9を駆動するパワーテイクオフとして機能する歯車5dで回転するように拘束されたシャフト5bに固定されており、この例では、歯車列9は、互いに二つずつ噛み合う3つの歯付き部材9a、9b、9cから構成されている。これらの歯付き部材9a、9b、9cは、それぞれ、2つの歯車及び/又はピニオンから構成され、互いに回転するように拘束され、フレーム要素(図示せず)に堅固に接続されたベアリング(同様に図示せず)間で回動する。
【0023】
ばねの他方の端部は、ばねを巻き取るために、手動及び/又は自動巻き取りシステムによって回転駆動されるバレル5aのドラムと協働する。あるいは、バレル5aのドラムは、歯車列9を駆動する歯のセットで回転するように拘束されていてもよく、この場合、駆動ばねは、シャフト5bを介して巻き取られる。
【0024】
動力源5のパワーテイクオフ、すなわち、図示した構造の歯車5dは、変速機9によって、調整システム7に運動学的に接続されている。
【0025】
歯車列9の最後の歯付き部材9cは、脱振機-バランス-ひげぜんまいタイプの調整システム7を駆動し、いわゆる「スイスアンカー」タイプの脱進機が周知の方法でバランス-ひげぜんまい発振器の発振を維持し、したがって、詳細に説明する必要はない。上述したように、他のタイプの調整システム7も、他の形態の脱進機(イングリッシュアンカー、レバー、オメガダニエル)と同様に可能である。
【0026】
歯車列9の中央に位置する歯付き部材9bは、ここでは貴石又は半貴石として示されるアニメーション化された物体11のパワーテイクオフとして機能し、上記で説明したように、他の変形が可能である。アニメーション化された物体11は、この後者に固定された支持体13mが指示する一対のピボット13aを介してフレーム要素(図示せず)に接続する支持システム13によって支持されている。
【0027】
これらのピボット13aは、第1のピボット軸A1を規定し、それを中心として、略円形の環状リングによって構成されている第1のフレーム13bが回動する。他の形状(楕円形、正方形、長方形など)も同様に可能である。このフレームは、前記第1の軸A1に対して実質的に直交する第2の回転軸A2を規定する一対の中間ピボット13dを担持している。内側フレーム13fは、この第2の軸A2を中心として回動可能に取り付けられ、アニメーション化された物体11を直接的又は間接的に支持するベース13gに堅固に接続されている。内側フレーム13fは、実質的に円形形状を有する部分と、ピボット13dをベース13gに接続する2つのアーム13f1とから構成されている。言うまでもなく、他の形状も同様に可能であり、フレーム13fが環状部分を含むことは必須ではない。実際には、ベース13gは、単にアーム13f1、又は、他の何らかの暫定的な配置によって、ピボットに接続されていてもよい。
【0028】
フレーム13b、13fの一方、又は両方は、任意の種類の装飾、例えば、エナメル、貴石又は半貴石、又は他の必要な装飾を有することができる。さらに、ピボット13d、13aのシャフトの少なくとも1つは、それが通過する要素の表面、すなわち、ピボット13dについては第1のフレーム13bの外面、ピボット13aについては支持体13mの外面を越えて延び、例えば、貴石又は半貴石などの装飾が施されてもよい。そのため、この石の動きによってシンチレーションが発生し、石が回転するように拘束されたフレームの旋回を強調して知覚させる。
【0029】
同様に、フレーム13b、13fのいずれも、これら後者の13b、13fから延び、したがって突出し、それによってその可視性を最大化するアニメーション化された物体11に対して重ね合わされていないことに留意されたい。換言すると、前記物体11の少なくとも一部は、フレーム13b、13fの全体よりも駆動輪15からの距離が長い。
【0030】
図示の実施形態では、アニメーション化された物体11は、ベース13gを通過するシャフト13hによって支持され、それによって固定されたアニメーション化された物体11が圧着される支持体13jにしっかりと接続されている。あるいは、物体11は、物体11及び支持体13jの性質に応じて、接着、ねじ込み、溶接、圧入などによって物体11そこに取り付けてもよく、アニメーション化された物体11は、シャフト13hと同軸であってもよく、後者に対して中心がずれていてもよいことに留意されたい。さらに、アニメーション化された物体11と内側フレーム13fとの間の接続は、例えばエラストマーなどのフレキシブル要素を含んでいてもよく、部品の動きの影響下でわずかな「浮遊」を可能にする。
【0031】
シャフト13hは、ベース13gに設けられたベアリング13kに取り付けられているので、前記シャフト13hは、この後者に対して回動することができる。
【0032】
前述の説明から、支持システムが、アニメーション化された物体11に2つの回転の自由度を与え、実質的に並進の自由度を与えないジンバル支持を規定していることは明らかである。ベース13gにおけるシャフト13hの回動は、シャフト13hの幾何学的軸に対応する第3の軸A3を中心として、アニメーション化された物体11に第3の回転の自由度を与える。ただし、以下で説明するように、この3番目の自由度は必須ではない。
【0033】
シャフト13hによって構成される歯の集合によって構成される歯車13lと、駆動輪15と同軸で図示の構造で固定される円錐形の歯のセット17との協働によって、アニメーション化された物体11は、第3の軸A3を中心として駆動される。他の形態の歯のセットも同様に可能であり、例えば、クラウン輪又は他の暫定的な歯車列によって支持される円錐形の歯の内部セットである。
【0034】
物体11をアニメーション化するために、機構は、パワーテイクオフとして機能する歯付き部材9bと噛み合う歯付きホイール15aを含む駆動輪15をさらに備える。当然ながら、補助的な歯付きホイール及び/又はベルトなどの他の運動学的接続の介在も同じく可能である。駆動輪15の回転軸は、軸A1と軸A2との交点を横切るように実質的に配置されているが、いくつかの構成では、物体11の動きを非対称にすることができる、ある程度のオフセットが等しく許容される。
【0035】
駆動輪15はまた、偏心駆動要素15bを含み、これは、前記歯付きホイール15aで回転するように拘束され、シャフト15dによってそれに接続されている。図示されている偏心駆動要素15bは、シャフト15dに固定された湾曲したレバー又はクランクの形態をとり、偏心要素15bの自由端は、実質的に円形の経路に沿って駆動するために、ロッド13hの端部と協働する。この場合、駆動輪15が回転すると、物体11は、回転の2つの自由度を有する複合的な動きをもたらし、その振幅は、支持システム13の幾何学的形状及び偏心駆動要素15bの半径によって定義される。これは、軸A1及び軸A2のそれぞれを中心に前後に動くことで、傾斜した軌道運動を生み出す。
【0036】
同時に、シャフト13hの歯131のセットは、固定された歯17のセット上で回転し、これにより、アニメーション化された物体11は、第3の軸A3を中心として回動する。
【0037】
これらの手段により、アニメーション化された物体11は、3つの軸A1、A2、A3を中心として回動し、その動きは、従来技術の場合よりも観察者にそれをより見やすくする。その結果、観察者は、正面以上のものを見るために鋭角からそれを観察する必要がなくなる。
【0038】
言うまでもなく、偏心駆動15bの他の構成が可能であり、三つの回転軸の周りで所望の回転速度で物体11をアニメーション化するために、ギア比を製造業者のニーズに適合させることができる。
【0039】
上記のように、第3の軸を中心とする物体11の回転は必須ではない。この場合、固定された歯17のセット及びシャフト13hのギア131は省略されてもよく、したがって、アニメーション化された物体11の動きは、2つの軸A1及びA2を中心とした前後の回転によってのみ規定される。
【0040】
前述の開示を考慮すると、支持システム13は、調整システム7とは異なり、後者は単に、変速機9の回転速度と、変速機9からの分岐接続によって駆動されるアニメーション化された物体の移動速度を決定する役割を果たすにすぎないことが明らかである。換言すると、アニメーション化された物体11は、調整システム7の一部ではなく、後者の要素に取り付けられておらず、調整システム7のいかなる要素も負担しておらず、後者と運動学的に並列に考えることができる。
【0041】
同じ原理を、機械的又は電気的に駆動されるかどうかにかかわらず、
図2に示されるような実施形態に適用することができる。このような場合、
図4及び
図5の部分組立品は、
図2の文脈で上述したように、歯車列9によって駆動される。
【0042】
物体11の下からの(すなわち、駆動輪15の方向からの)照明を可能にするために、支持システム13は、例えば、ゴブレット、放物面、楕円面、半球面、又は同様の鏡の形態をとることができ、周囲光を物体の下面に向けるように配置された研磨されたウェル(図示せず)の内側に配置又は重ね合わせることができる。さらに代わりに、光源(例えば、トリチウム要素、1以上のLEDなど)を物体及びフレーム13b、13fの下に配置することができる。これらの手段により、物体11が石である場合、そのシンチレーションを増強することができる。
【0043】
当然ながら、その他の構造も可能である。例えば、駆動輪15は、歯付き部材9b(又は他の部材)である変速機9の一部であり得る。運動学的接続は、アニメーション化された物体11が部品3の動きの影響下である程度「浮く」ことを可能にするために、比較的大きな遊びを有することができ、及び/又は、弾性ベルトなどの弾性要素を含むことができる。歯17のセットは、暫定的な運動学的接続によって回転を等しくアニメーション化することができ、これにより、軸A3を中心とする物体の回転速度を決定する際のより自由な選択が可能になる。さらに代わりに、アニメーション化された物体11は、差動歯車装置を介して変速機9に運動学的に接続することができる。
【0044】
図6は、クラッチ19が変速機9とアニメーション化された物体11との間に提供されているという点で、
図1の構成とは異なる、構成のさらに別の変形例を概略的に示している。このクラッチ19は、例えば、垂直、水平、傾斜ピニオン又は差動クラッチのような任意の公知の形態をとることができ(これらのクラッチはすべて、特にクロノグラフ機構において公知であり、ここで詳細に説明する必要はない)、押しボタン、トリガーピースなどによって手動で操作してもよく、あるいは代わりに任意の機構によって自動的に操作してもよい。さらなる代替案は、クラッチ19が間欠歯型であることである。
【0045】
クラッチ19が噛み合わされると、機構は上記のように作動する。しかしながら、クラッチが解放されると、アニメーション化された物体11は、自量、及び/又は、部品3の動きの下で自由に動くことができ、駆動輪15は自由に回転する。
【0046】
同じ原理が、必要な変更を加えて、
図2の実施形態に等しく適用することができ、その場合、クラッチ19は、代替的に、前記歯車列9に配置することができる。
【0047】
最後に、
図6は、クラッチ19のさらなる任意の独立した適合、特に、時間又は他の任意の時間関連の表示を示すために、変速機9に歯付き部材9cから駆動される時計針21のセットを示す。この場合、宝石類3は、腕時計、懐中時計、時計などであり得る。
【0048】
本発明は特定の実施形態に関連して上記で説明されてきたが、他の補足的な変形は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく等しく想定され得る。
【国際調査報告】