(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】回転したコンクリート体積の決定
(51)【国際特許分類】
B28C 7/12 20060101AFI20221003BHJP
B28C 5/42 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B28C7/12
B28C5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506785
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020044153
(87)【国際公開番号】W WO2021021983
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522045327
【氏名又は名称】ジーシーピー・アプライド・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,マーク・エフ
(72)【発明者】
【氏名】トレッガー,ネイサン・エイ
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CB15
4G056CD64
4G056DA05
4G056DA09
(57)【要約】
ドラム回転中にコンクリートに浸漬し、コンクリートから退出し、データに基づいて体積を計算するために使用されるプロセッサにデータを提供するインアンドアウトセンサープローブの使用に基づいて、ミキサードラム内のコンクリートミックスの積載物の体積を決定するための方法が開示される。コンクリート積載物体積の正確な決定を妨げる可能性がある凹面、凸面、および/またはカスケード表面流れ効果を提供するために、プロセッサは、ドラム回転中に監視されたコンクリート積載物の元のバッチ体積および/またはレオロジーを比較するように構成され得る。監視または混和剤の投与目的に非常に有用な積載物体積値の較正は、リアルタイムデータと、経時的に収集されかつプロセッサアクセス可能なメモリに記憶された履歴データとの比較に基づいて行うことができる。さらに例示的な実施形態は、(道路条件による)ドラムの速度および/または傾斜、コンクリートミックス設計、および他の要因も考慮に入れる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート積載物の体積を決定するための方法であって、
(A)内壁と、非垂直回転軸と、前記内壁上にまたは前記内壁に沿って取り付けられ、(i)プローブの浸漬および非浸漬間隔または(ii)プローブの進入角および退出角を使用して、前記コンクリート積載物を介して回転したときにインアンドアウト信号データを前記インアンドアウト信号データを受信しかつ前記コンクリート積載物の体積に対応する値を計算するように構成されたプロセッサに送信するように構成された少なくとも1つのセンサープローブとを有するミキサードラム、内に収容された前記コンクリート積載物を回転させるステップと、
(B)前記プロセッサが、センサープローブから予め取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスして、体積値計算を実行するステップと、
(C)前記体積値計算に基づいて、(i)前記コンクリート積載物に水または混和剤の用量を投与すること、(ii)前記ミキサードラムから一定量のコンクリートを排出すること、(iii)前記投与された用量、排出されたコンクリートの体積、またはその両方の表示を提供すること、および(iv)前述の機能のいずれかの組み合わせ、から選択される少なくとも1つの機能を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(A)において、前記ミキサードラムに収容された前記コンクリート積載物の体積値の前記計算が、バッチプラントによって発行されたバッチチケットに含まれるコンクリート積載物体積値の調整を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転するミキサードラムに収容された前記コンクリート積載物のレオロジー、前記回転するミキサードラムの傾斜角、またはその両方の少なくとも1つを監視するステップと、センサープローブから、様々なドラム回転速度で、様々なレオロジー条件で、および様々なミキサードラム傾斜角で予め取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスすることによって、前記体積値の前記計算を実行するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記回転可能なコンクリートミキサードラムが、生コンクリート配送用トラックに取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ミキサードラム内の現在のコンクリート積載物の前記スランプが、自動スランプ監視システムによって監視され、前記スランプ値は、力センサー、油圧センサー、またはそれらの組み合わせを使用して導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサープローブが接点スイッチである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所与のドラム速度で前記コンクリートミキサードラムを回転させるのに必要な前記圧力を監視し、前記ミキサードラム内の前記現在のコンクリート積載物のスランプ、スランプフロー、または他のレオロジー特性の表示を得るための少なくとも1つの油圧センサーを設けるステップと、前記少なくとも1つのセンサープローブを使用して、所与のドラム速度についての体積値を計算するために前記ミキサードラムに収容された前記現在のコンクリート積載物についてのインアンドアウトデータを生成し、前記油圧およびドラム速度に基づく前記現在のコンクリート積載物のスランプ、スランプフロー、または他のレオロジー特性の前記表示を、様々なドラム速度で計算されたスランプ、スランプフロー、または他のレオロジー特性と相関してインアンドアウトデータが記憶された履歴信号データと比
較するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサープローブが、力プローブおよび接点スイッチを備え、これらの両方が、ミキサードラムハッチドアに取り付けられている、請求項1に記載の方法。
この例の第1の態様では、力プローブの長さおよび力プローブが進入および退出するコンクリート表面上の実際の場所の変動に起因して力プローブが不正確さを有する可能性があるかどうかを確認するために、力プローブと接点スイッチの両方が同じプロセッサにインアンドアウト信号データを提供し、比較することができる。
【請求項9】
前記回転するミキサードラムに収容された現在のコンクリート積載物から得られた前記インアンドアウトプローブ信号データが(i)所定量のミキサードラム回転が発生した後、または(ii)自動スランプ監視システムが前記コンクリート積載物が均質性または均一性に達したことを確認した後、にのみ前記プロセッサによって使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
プローブ進入点、プローブ退出点、ミキサードラム回転速度、およびスランプ値のデータセットを含むインアンドアウトセンサープローブ信号を取得するステップをさらに含み、さらに、プロセッサが、前記ミキサードラム内の現在のコンクリート積載物からのこれらのデータセットを比較し、過去のコンクリート積載物の履歴データと比較する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プローブ進入点、プローブ退出点、ミキサードラム回転速度、スランプを含むデータセットを含むインアンドアウトセンサープローブデータ信号を取得するステップをさらに含み、前記プロセッサは、前記ミキサードラム内の現在のコンクリート積載物から得られたこれらのデータセットを、過去のコンクリート積載物の記憶されたデータと比較し、前記プロセッサは、前記現在のコンクリート積載物のミックス設計番号および傾斜角を、過去のコンクリート積載物の記憶されたデータとさらに比較する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセッサが、ミキサードラムタイプに基づいてメモリに記憶された履歴インアンドアウトセンサープローブデータを選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ミキサードラムに収容された前記コンクリート積載物のスランプおよび傾斜角を監視するステップと、様々なドラム回転速度で、様々なレオロジー条件で、および様々なミキサードラム傾斜角で、センサープローブから以前に取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスすることによって前記体積値計算の前記計算を実行するステップと、をさらに含み、前記プロセッサは、監視されたインアンドアウト信号データ、ミキサードラム回転速度、スランプ、傾斜角、およびコンクリート積載物体積の計算値に対してデータを前記データベースに記憶するようにさらに構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ミキサードラムに収容された前記コンクリート積載物のスランプおよび傾斜角を監視するステップと、様々なドラム回転速度で、様々なレオロジー条件で、およびミキサードラム傾斜角で、センサープローブから以前に取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスすることによって前記体積値計算の前記計算を実行するステップと、をさらに含み、前記プロセッサは、監視されたインアンドアウト信号データ、ミキサードラム回転速度、スランプ、傾斜角、およびコンクリート積載物体積の計算値に対してデータをデータベースに記憶するようにさらに構成され、さらに、ドラム回転速度は、1~16回転/分(RPM)、より好ましくは1~22回転/分の範囲内であり、さらに、スランプが0.5~10インチの範囲内
であるか、またはスランプフローが10~20インチの範囲内であり、前記ドラムの傾斜角は、上向き傾斜道路または下向き傾斜道路に沿って走行する前記配送用トラックなどによって前記ドラムが傾斜したときに測定されるように、(-)10度~(+)10度の変化である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法を実行するようにプログラムされたプロセッサと通信する少なくとも1つのセンサープローブを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートレオロジー測定の分野に関し、より詳細には、回転するミキサードラムの内部で進入/退出プローブを使用してコンクリートの体積を決定するときに、凸面、凹面、および/またはカスケードなどの非ニュートン流体表面の流れの異常の影響を考慮するシステムおよびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
流動学的性質ならびに回転するミキサードラム内に含まれるコンクリートミックスの体積を決定するために、コンクリートミキサードラムの内面に取り付けられたプローブを使用することが知られている。
【0003】
I.B.B.Rheologie Inc.の特許文献1において、Beaupreらは、回転するミキサードラムの内壁に取り付けられたプローブがドラムの回転によってコンクリート内に浸漬され(submerged)、コンクリート内を移動したときにコンクリートによって与えられる圧力を感知するための抵抗部材を有するプローブを開示した。レオロジー特性は、低速および高速でプローブによって感知されるコンクリート中の抵抗によって反映された。
【0004】
特許文献2(GCP Applied Technologies Inc.所有)において、Bermanは、センサーが回転し、回転中にドラム内のコンクリート配合物内に浸漬された第1の時間間隔を記録し、センサーが浸漬されなかった第2の時間間隔を記録するようにコンピュータプロセッサユニットをプログラムすることができ、それにより、第1および第2の間隔の分析に基づいてコンクリートの体積を計算することができることを教示した。計算されたコンクリート体積に基づいて、所望のレオロジー特性を達成するためにコンクリートに添加する液体の量を計算することができる。(例えば、特許文献2の第4欄第49行~第5欄第14行を参照)
【0005】
特許文献3(GCP Applied Technologies Inc.所有)において、Bermanは、コンクリートミックスによって、すなわち、回転ドラムの壁に取り付けられた混合フィンの横向きの動作によって、センサーに加えられる追加の力を考慮に入れたセンサーを開示した。この改善は、前述の特許文献2に記載された体積決定プロセスを前提としていた。プロセスは、回転ドラム内のコンクリート内にセンサープローブが浸漬された角度を記録すること、コンクリート配合物からセンサーが現れた角度を記録すること、ならびに変換表または数学関数を使用して「浸漬角度」および「出現角度」を分析することによってコンクリートのスランプを計算することを含んだ。例えば、第5欄第32行~第6欄第2行を参照されたい。
【0006】
特許文献4において、Biesakらは、回転ドラムに含まれるコンクリートスラリーの体積および/または粘度を検知するためのシステムを開示した。センサーは、内側ドラム壁に取り付けられ、信号プロセッサがコンクリート積載物に対する角度位置ならびに進入点および退出点を決定することを可能にするために、音響トランスデューサ、加速度計、および圧力センサーを含むことができる。低粘度のコンクリートスラリーはドラム内で水平のままであるが、高粘度のコンクリートスラリーは、(ドラムを断面斜視図で見ると)コンクリートの水平レベルに「傾斜」があるように「壁にずり上がる」ことができることが指摘された。傾斜の量は、コンクリートの粘度およびドラムの回転速度に依存すると言われていた(例えば、11ページ19~24行目と
図5を参照)。
【0007】
したがって、回転するミキサードラムに収容されたコンクリートミックスにプローブが出入りする出入り点を記録することによって、コンクリート積載物の正確な体積決定が行われていることが現時点まで想定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第9199391号明細書
【特許文献2】米国特許第9625891号明細書
【特許文献3】米国特許第10041928号明細書
【特許文献4】国際公開第2019/040562号パンフレット
【発明の概要】
【0009】
従来技術の想定から逸脱して、本発明者らは、回転ドラムに収容されたコンクリートスラリー積載物に関して、電気機械センサープローブの進入点および退出点の決定が、回転ドラムに収容されたコンクリート積載物の計算された体積の正確さを保証しないと考えている。
【0010】
本発明者らは、上昇したドラム回転速度での粘性コンクリートミックスが、回転するコンクリートミキサードラムの内部に取り付けられたセンサープローブの回転進入点および退出点に基づいてコンクリート積載物の体積および/または粘度を計算するために使用されるシステムプロセッサを欺く可能性がある表面流動現象を示す可能性があることを認識している。
【0011】
本発明を説明するために使用される様々な概念が、
図1~
図4を参照して示されている。
【0012】
図1および
図2は、コンクリートミキサードラム10の回転軸に沿った断面図であり、プロセッサ18と通信する(16)ように示されているセンサープローブ14が、コンクリート積載物(それぞれ12および22で示されている)の内外に回転する。「低粘度」コンクリート12が
図1に示され、「高粘度」コンクリート22が
図2に示されている。一般的な概念によれば、より高い粘度を有するコンクリート22の積載物(
図2)の表面流は、
図2に示すように「壁にずり上がる効果」のために、低粘度コンクリート12(
図1)と比較して角度方向を示す。
【0013】
しかしながら、
図3には、回転ミキサードラム10の内部に取り付けられたプローブ14の進入/退出点が、コンクリート32の流動面がミキサードラム10の断面斜視図に沿って見たときに凹状であることを除いて、
図2のものと同様であり得る例示的な現象が示されている。この凹面は、(回転方向に)ドラム壁に「乗り上げる」コンクリートのより高い粘度、ならびにコンクリートミックス32内の骨材(例えば、砂、石)の粒子相互作用に起因する。粘度の程度または性質に応じて、凹面の程度(または水平コンクリートと比較して曲率からの変化)は、様々なドラム速度で異なる可能性がある。したがって、回転進入点および退出点でプローブから受信した信号に基づいてコンクリートの体積を計算するために使用されるシステムプロセッサは、
図3に示すコンクリート32の体積が
図2に示すコンクリート22の体積と同一であると「考える」ことができる。本発明者らは、ここで、いくつかの状況では、インアンドアウト(in-and-out)センサー点に基づく体積計算にも影響を及ぼす可能性のある凸面も表示することができることに留意する。
【0014】
カスケード効果の発生は、コンクリートがある時点で非ニュートン流体と粒状材料との組み合わせである流動挙動を示し始めることを実証しており、表面流の挙動は、スラリー
内の粒状粒子の動きの影響を受ける。本発明者らは、プローブの進入/退出点に基づく体積計算中にそのような複雑な挙動を考慮する必要があると考えている。穏やかなカスケード効果は、コンクリート配送用トラックの運転者が低いミキサードラム速度(例えば、1RPM)を維持する正確なコンクリート積載物体積計算を妨げないかもしれないが、建設現場の圧力がコンクリートを混合し注ぐときに運転者を突進させる場合に問題が生じる。トラック運転者がミキサードラムをより速い速度で回転させることには多くの理由があり:その理由は、例えば、積載物を注ぐことができる前にドラムを最小回数回転させる必要性;コンクリート積載物を注ぐことができるように水および/または化学混和剤中で混合するという要望;施工作業者が施工現場の周辺でコンクリートの打設完了(平滑化)を待っていないように、コンクリートを早期に注ぐ必要性;作業シフトの終了のための次の配送のためにバッチプラントに早く戻りたいという要望などである。
【0015】
図4は、断面斜視図で見たときのコンクリート10の表面流れにおけるカスケード効果がコンクリート積載物体積の正確な決定をますます妨げる可能性がある、ミキサードラム10の回転速度にさらされているコンクリート積載物42の図である。
図4に示すように、コンクリート42の極端な「S」曲線形状は、本質的に高度に非対称になる可能性があり、「S」形状の中心は、プローブの進入点および退出点に対してシフトする可能性がある;または、プローブの進入点および退出点は、より低いドラム速度で進入点および退出点に対して不均一に変化する可能性がある。
【0016】
ここでも、本発明者らは、コンクリート積載物の粘度と低いミキサードラム速度(1~3RPMを超えるどこか)との交点で、様々な表面流れ異常が発生し始める可能性があることを考えると、プローブの進入点および退出点のみに基づくコンクリート積載物体積の計算は不正確であり得ると考えている。
【0017】
進入-退出センサープローブデータに基づくコンクリート積載物体積の正確な計算を妨げる可能性がある過剰な凹面、凸面、および/またはカスケード表面流の影響を検出するために、本発明者らは、(例えば、進入点および退出点、またはプローブ浸漬および非浸漬の間隔に基づいて)プローブによって生成されたインアンドアウトデータを、同じレオロジーを有するコンクリート積載物から以前に得られたインアンドアウトプローブデータと比較することができると考えている。プロセッサを使用することにより、現在のコンクリート積載物のインアンドアウト信号データを履歴データと比較することができ、2つ以上の要因を考慮することができ、現在の積載物体積の計算に、および/または体積値が得られるプロセス要因を調整(較正または再較正)するために使用することができる。
【0018】
したがって、本発明は、回転するコンクリートミキサードラムにおけるインアンドアウトセンサープローブの使用に基づいてコンクリート積載物体積計算を決定および/または較正するためのプロセスおよびシステムを提供する。例えば、現在のインアンドアウトデータおよびスランプ値を、プロセッサを使用して、記憶されたインアンドアウトデータおよびスランプ値と比較して、積載物の任意の部分が排出される前のコンクリートに関連する体積値を提供することができる(例えば、バッチチケットに含まれる元の積載物体積値など)。
【0019】
コンクリートの体積を決定するための例示的な方法は、(A)内壁と、非垂直回転軸と、内壁上にまたは内壁に沿って取り付けられ、(i)プローブの浸漬および非浸漬間隔、または(ii)プローブの進入角および退出角を使用して、コンクリート積載物を介して回転したときにインアンドアウト信号データをインアンドアウト信号データを受信しかつコンクリート積載物の体積に対応する値を計算するように構成されたプロセッサに送信する、ように構成された少なくとも1つのセンサープローブとを有するミキサードラム、内に収容されたコンクリート積載物を回転させるステップと、(B)プロセッサが、(例え
ば、好ましくは様々なドラム回転速度で)センサープローブから予め取得されたインアンドアウト信号データに関連付けられて、コンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスして、体積値計算を実行するステップと、(C)体積値計算に基づいて、(i)コンクリート積載物に水または混和剤の用量を投与すること、(ii)ミキサードラムから一定量のコンクリートを排出すること、(iii)投与された用量、排出されたコンクリートの体積、またはその両方の表示(例えば、配送されたコンクリート体積、コンクリートに投入された化学混和剤の量を示す配送チケット)を提供すること、および(iv)前述の機能のいずれかの組み合わせ、から選択される少なくとも1つの機能を実行するステップと、を含む。
【0020】
さらなる例示的な実施形態では、プロセッサは、好ましくは、ミキサードラムの異なる回転速度に加えて、レオロジー(例えば、スランプ、スランプフロー)、コンクリート積載物の傾斜角(配送用トラックが傾斜した路面を上下に走行しているときに経験する可能性がある)、コンクリートミックス設計(例えば、セメント含有量)、ミキサードラム設計、またはこれらの任意の組み合わせなどの他の要因を考慮に入れる。
【0021】
本発明の例示的なシステムは、前述の例示的な方法を実行するようにプログラムされたプロセッサと通信する少なくとも1つのセンサープローブを含む。
【0022】
本発明のさらなる利点および特徴を以下でさらに詳細に説明する。
【0023】
本発明の利点および特徴の理解は、図面と併せて以下の例示的な実施形態の説明を考慮することによってより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】回転するコンクリートミキサードラムの断面斜視図であり、低粘度コンクリート積載物を示す。
【
図2】回転するコンクリートミキサードラムの断面斜視図であり、「壁にずり上がる」効果を示す高粘度コンクリート積載物を示す。
【
図3】高粘度および/または高ドラム回転速度において、回転ミキサードラム内のコンクリート積載物が表面流れに凹面を示し始める例示的な現象の断面斜視図である。
【
図4】高粘度および/または高ドラム回転速度において、回転するミキサードラム内のコンクリート積載物が表面流のカスケードを示す別の断面斜視図である。
【
図5】低粘度および低ドラム速度でのニュートン流体挙動を仮定して、例1の式を解いた結果の断面斜視図である。
【
図6】低粘度および中程度のドラム速度でのニュートン流体挙動を仮定して、例1の方程式を解いた結果を示す断面斜視図である。
【
図7】高粘度および中程度のドラム速度(表面流が「S」形状の現象を表示する)を有するニュートン流体挙動を仮定して、例1の式を解いた結果を示す断面斜視図である。
【
図8】高粘度および中程度のドラム速度(表面流が凹形状を表示する)を有するニュートン流体挙動を仮定して、例1の式を解いた結果を示す断面斜視図である。
【
図9】高粘度および中程度のドラム速度(表面流が凸形状を表示する)を有するニュートン流体挙動を仮定して、例1の式を解いた結果を示す断面斜視図である。
【
図10】レオロジー(例えば、スランプ)を考慮せずに、予測がインアンドアウトセンサー測定のみに基づく97回の比較測定についての予測体積と測定体積との間の関係を示すグラフである。
【
図11】線形予測が3つの異なるセメント含有量についてのインアンドアウトセンサー測定に基づく、97回の比較測定についての予測体積と測定体積との組み合わせ関係を示すグラフである。
【
図12】線形予測が3つの異なるセメント含有量についてのインアンドアウトセンサー測定およびスランプに基づく、97回の比較測定についての予測体積と測定体積との関係を示すグラフである。
【
図13】線形予測が3つの異なるセメント含有量についてのインアンドアウトセンサー測定、スランプ、およびミキサードラムの回転軸に沿った配送用トラックの傾斜に基づく、97回の比較測定についての予測体積と測定体積との関係を示すグラフである。
【
図14】3つの異なるセメント含有量についてのインアンドアウトセンサープローブ測定値、スランプ、およびミキサーの回転軸に沿った配送用トラックの傾斜に基づく線形項と二次項の両方を組み込んだ線形回帰分析から予測が得られる、97回の比較測定の予測体積と測定体積との関係を示すグラフである。
【
図15】3つの異なるセメント含有量についてのインアンドアウトセンサープローブ測定値、スランプ、およびミキサーの回転軸に沿った配送用トラックの傾斜に基づくランダムフォレスト回帰分析から予測が得られる、97回の比較測定の予測体積と測定体積との関係を示すグラフである。
【
図16】70万を超えるコンクリート積載物に対する潜在的較正体積の例示的な分布を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される「コンクリート」という用語は、生コンクリートを含むと理解され得る。典型的には、コンクリートは、骨材(例えば、砂、石)、水(流動可能または圧送可能なスラリーを生成するのに十分な量)、および1つまたは複数の任意の化学混和剤(例えば、可塑剤または超可塑剤と呼ばれる減水剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、腐食防止剤(金属鉄筋使用用)、強度向上剤などの、セメント分散剤)と組み合わせた水和性セメントまたはセメント系結合剤(例えば、粒状高炉スラグ、フライアッシュ、石灰石、および/または天然ポゾランなどの補助セメント系材料を任意に含む普通のポルトランドセメント)を含む。
【0026】
ミキサー「ドラム」の概念は、コンクリートバッチプラント内の固定式または可動式のバッチミキサー、またはより好ましくは、例えば生コンクリート配送用トラックに見られるような非垂直回転軸を有する回転式ミキサードラムをカバーすることができる。(非垂直)角度で軸方向に回転する(例えば、生コンクリート用トラックの)コンクリートミキサードラムの例は、本明細書の共通の譲受人によって所有される、Jordenらの米国特許第10183418号明細書(例えば、
図1を参照)およびBermanの米国特許第10041928号明細書(これも
図1を参照)に示されている。そのようなミキサードラムは、典型的には、ドラムの内壁に取り付けられ、回転軸の周りに螺旋状に配置された少なくとも1つのブレードまたはフィンを有し、その結果、ドラムの一方向への回転が、コンクリート構成要素をドラムの閉鎖端に向かって押し付け(混合またはローディングモード)、反対方向への回転が、ドラムの開放端を介して材料を排出する(注入モード)。
【0027】
本発明での使用が企図されている例示的なセンサープローブは、ドラムのキャビティ内に取り付けられた力型プローブ(例えば、応力または歪みゲージ、ロードセル)、音響トランスデューサ型プローブ、または他の電気機械型を含むことができる。好ましくは、センサープローブは、ドラムの内壁に取り付けられ、より好ましくは、内側ドラム壁の取り外し可能なハッチ蓋またはドアに取り付けられる。例えば、Bermanの米国特許第10041928号明細書は、ソーラーパネル手段によって動力供給され、ミキサーの外側からアクセス可能なハッチドアに取り付けられた力型センサープローブを示している(例えば、
図1を参照)。他の力型プローブは、背景技術のセクションに以前に記載されている(例えば、Beaupreらの米国特許第9199391号明細書とBermanの米国特許第9625891号明細書を参照)。音響トランスデューサ型プローブもまた、背
景技術のセクションに以前に記載されている(例えば、Biesakらの国際公開第2019/040562号パンフレットを参照)。
【0028】
好ましいセンサープローブは、オン/オフ電気または電子接点スイッチであり得、このスイッチは、コンクリートへのプローブの進入時に電気回路を閉じ(すなわち、「オン」にされる)、コンクリートからのプローブの退出時に切断する(すなわち、「オフ」にされる)。そのような設計は、Beaupreら、Berthold Berman、およびBiesakらの前述の特許に教示されている細長い複雑なプローブ構造と比較して、はるかに簡単にすることができる。例えば、油圧感知に依存するスランプ監視システムを使用する場合、コンクリート積載物のスランプを判定するために力または音響型のセンサーを使用する必要はない。
【0029】
適切なセンサーは、コンクリートに関して、より好ましくはミキサードラムの底部の「雑排水(grey water)」などの水またはスラリーに関して、浸漬または非浸漬の状態を区別する能力を必要とする。「雑排水」は、水および/または遅延剤で希釈されてもされなくてもよい残留または戻されたコンクリートスラリーを指すために使用されることがある用語である。例えば、センサーが雑排水と接触するとき、結果として得られる出力は、センサーが雑排水と接触していないときの出力と区別される必要がある。したがって、二値信号は、ミキサードラムの底部における水、スラリー、または他の材料との接触を決定するのに適している。雑排水に浸漬されると、電気抵抗率に基づくセンサーは、雑排水が導電性媒体であるため、抵抗率の著しい低下を示す。電気誘電率に基づくセンサーは、センサーが雑排水と接触するにつれて誘電特性の増加を示す。さらに、濁度を測定するように設計されたセンサーは、センサーが雑排水と接触すると、濁度の顕著な増加を測定する。したがって、適切なセンサーは、電気抵抗(例えば、米国特許第4780665号明細書を参照)、電気誘電率(例えば、米国特許第4438480号明細書を参照)、マイクロ波(例えば、米国特許第4104584号明細書を参照)、核共鳴(例えば、米国特許第2999381号明細書を参照)、赤外線波(例えば、米国特許第8727608号明細書を参照)、音波(例えば、米国特許第7033321号明細書を参照)、光散乱(例えば、米国特許第2324304号明細書および第4263511号明細書を参照)、または流体(すなわちコンクリート)圧力ヘッド変化(例えば、国際公開第2019/040562号パンフレットを参照)を利用することができる。信号から、水没割合または逆の割合をいくつかの方法で計算することができる。前述の特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。測定の精度を高めるために、または単一のセンサーが故障した場合に冗長性を提供するために、複数のセンサーを使用できることが考えられる。冗長センサーが故障した場合、システムは、誤動作を検出し、代替センサーに切り替えてもよく、誤動作を警告してもよい。これらのセンサー[46および48]は、例えば、
図7に示す配置でハッチ[8]上に取り付けられてもよい。
図7に示す例のセンサー[46]および[48]は、同じタイプのセンサーであってもよいし、異なっていてもよい。異なるタイプのセンサーが使用される場合、それらは、センサーが互いの測定に及ぼす影響を最小限に抑えるために離間して配置されてもよい。例えば、センサーが異なる物理現象を測定するために干渉がない場合、それらはより近くに離間され得る。さらに、そのようなセンサーは、バッテリ(充電可能であってもよい)もしくはソーラーパネル、またはその両方の組み合わせなどの異なる手段によって電力供給されてもよい。
【0030】
第1の例示的な実施形態では、本発明は、コンクリートの体積を較正するための方法を提供し、この方法は、(A)内壁と、非垂直回転軸と、内壁上にまたは内壁に沿って取り付けられ、(i)プローブの浸漬および非浸漬間隔、または(ii)プローブの進入角および退出角を使用して、コンクリート積載物を介して回転したときにインアンドアウト信号データをインアンドアウト信号データを受信しかつコンクリート積載物の体積に対応する値を計算するように構成されたプロセッサに送信する、ように構成された少なくとも1
つのセンサープローブとを有するミキサードラム、内に収容されたコンクリート積載物を回転させるステップと、(B)プロセッサが、(例えば、好ましくは様々なドラム回転速度で)センサープローブから予め取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスして、体積値計算を実行するステップと、(C)体積値計算に基づいて、(i)コンクリート積載物に水または混和剤の用量を投与すること、(ii)ミキサードラムから一定量のコンクリートを排出すること、(iii)投与された用量、排出されたコンクリートの体積、またはその両方の表示(例えば、配送されたコンクリート体積、コンクリートに投入された化学混和剤の量を示す配送チケット)を提供すること、および(iv)前述の機能のいずれかの組み合わせ、から選択される少なくとも1つの機能を実行するステップと、を含む。
【0031】
好ましくは、センサーは、ミキサードラムの内壁にまたはそれに沿って取り付けられ、ミキサードラムは、好ましくは、ミキサードラムの回転軸の周りに螺旋配置で内壁に取り付けられた少なくとも1つのブレードまたはフィンを有する。
【0032】
第1の例示的な実施形態の第1の態様では、センサープローブは、コンクリートの電気(導電性)または圧力を感知することができる接点式または圧力式スイッチである。例えば、コンクリート積載物に浸漬されたときに電気回路を閉じ(「オン」にし)、コンクリート積載物に浸漬されていないときに電気回路を開く(「オフ」にする、または切断する)接点スイッチ、音響トランスデューサ、またはそれらの組み合わせである。より好ましい態様では、接点式または圧力式スイッチは、ミキサードラムの底部における水または希釈スラリーの存在を測定するのに有効であり、このタイプのセンサープローブは、残留または戻されたコンクリートである「雑排水」を測定するために使用され得る。
【0033】
この第1の例示的な実施形態の第2の態様では、センサープローブは力型であってもよく、プローブ上の力を測定するための歪みまたは応力ゲージまたはロードセルの使用に基づくセンサーを有し、コンクリート積載物を介して回転される。(例えば、Beaupreの米国特許第9199391号明細書を参照、またBermanの米国特許第8858061号明細書および米国特許第9625891号明細書も参照)。このような力型プローブを、コンクリート積載物のスランプを監視するためにさらに使用することができる。
【0034】
第1の例示的な実施形態の第3の態様では、2つ以上の方向の力を検出するために、2つ以上のセンサープローブを内側ドラム壁にまたはそれに沿って取り付けることができ、または2つ以上のセンサーを同じプローブ本体内に収容することができる。例えば、米国特許第10041928号明細書において、Bermanは、異なる2つの方向のコンクリートの流れを検出することができるセンサープローブデバイスを開示した。1つのセンサーは、(ドラム回転方向などの)一方向のコンクリートの流れを検知することができ、一方、別のセンサーは、ドラム回転中にコンクリートを移動させていた混合ブレードの力によって第2の方向に押されたコンクリートを検知することができる。
【0035】
第1の例示的な実施形態の第4の態様では、センサープローブは、コンクリート内の浸漬またはコンクリートからの出現の状態を反映または指示する信号を生成する音響トランスデューサとすることができる(例えば、Biesakらの国際公開第2019/040562号パンフレットを参照)。
【0036】
上記の第1の例示的な実施形態に基づくことができる第2の例示的な実施形態では、本発明は、ステップ(A)において、ミキサードラムに収容されたコンクリート積載物の体積値の計算が、バッチプラントによって発行されたバッチチケットに含まれるコンクリート積載物体積値の調整を含む方法を提供する。次いで、調整された体積は、例えば、コンクリートが建築現場に注がれた後に配送チケットに印刷されてもよい。
【0037】
この第2の例示的な実施形態の第1の態様では、コンクリート積載物体積値は、現在のコンクリート積載物体積値を計算する動作の結果として、またはその一部として調整される。配送されたコンクリートに対応する値(例えば、建築現場でドラムから排出される体積)は配送チケットに印刷されてもよく、配送チケットを、電子的に送信することができ、またはハードコピー形式で顧客に提供することができ、それによって建築現場に配送されたコンクリートの実際の体積を確認することができる。
【0038】
上記の第1または第2の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第3の例示的な実施形態では、本発明は、回転するミキサードラムに収容されたコンクリート積載物のレオロジー、回転するミキサードラムの傾斜角、またはその両方の少なくとも1つを監視するステップと、センサープローブから、好ましくは様々なドラム回転速度で、様々なレオロジー条件で、およびミキサードラム傾斜角で予め取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスすることによって、体積値計算の計算を実行するステップと、を含む。
【0039】
この第3の例示的な実施形態のさらなる態様では、監視されるレオロジー特性は、本明細書で言及されるように、スランプ、スランプフロー、降伏応力、または特許文献に教示されている他のレオロジー特性を含むことができる。ドラムの傾斜角は、回転ドラム(例えば、センサープローブの隣に、またはセンサープローブの一部として収容される)に取り付けられたもの、コンクリート配送用トラックフレームに取り付けられたもの、またはドラムおよびトラックフレームの両方など、1つまたは複数の加速度計を使用して監視され得る。例えば、加速度計は、ミキサードラムハッチ上にセンサープローブと共に、またはその一部として設置され得る。好ましくは、3軸加速度計がセンサープローブ上で使用され、これは、コンクリートに対するセンサープローブ進入角およびプローブ退出角の検出を可能にすることができ、ドラム回転軸に沿って、任意のドラム角度、ならびにミキサードラムが取り付けられている配送用トラック全体の前後の「傾斜」の検出を可能にすることができるためである。
【0040】
上記の第1から第3の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第4の例示的な実施形態では、本発明は、回転可能なコンクリートミキサードラムが生コンクリート配送用トラックに取り付けられる方法を提供する。この第4の実施形態の第1の態様では、好ましいトラック搭載型ミキサードラムは、少なくとも8立方ヤードのコンクリートの積載物容量、および回転軸の周りに螺旋状に配置された少なくとも2つのブレードを有し、ドラム回転軸は、好ましくは水平に対して5度から75度であり、より好ましくは水平に対して10度から55度である。
【0041】
上記の第1から第4の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第5の例示的な実施形態では、本発明は、ミキサードラム内の現在のコンクリート積載物のスランプが自動スランプ監視システムによって監視される方法を提供し、スランプ値は、力センサー、油圧センサー、またはそれらの組み合わせを使用して導出される。
【0042】
この例の第1の態様では、応力ゲージを有するセンサープローブを使用して、コンクリート積載物のスランプまたは他のレオロジー特性を経時的に監視することができる。例えば、Bermanの米国特許第9625891号明細書は、コンクリートミキサー内のセンサーを監視することによってコンクリートのスランプを測定および制御するために圧力センサーを使用できることを開示した。
【0043】
この例の第2の態様では、(好ましくは、ミキサードラムの回転に関連する油圧モータの「充填」ポートおよび「排出」ポートの各々に油圧センサーを有することによって)油
圧を監視することに基づく自動スランプ監視システムが提供される。油圧検知ならびにドラム速度検知に基づくコンクリート監視システムは、VERIFI(商標)の商品名で、GCP Applied Technologies Inc.および/またはその関連会社であるVerifi LLC,62 Whittemore Avenue,Cambridge,Massachusettsから入手可能である。そのようなシステムおよびそれらの潜在的な性能能力は、特許文献に様々に記載されている。例えば、米国特許第8118473号明細書;米国特許第8020431;米国特許第8764954号明細書;米国特許第8989905号明細書;米国特許第8727604号明細書;また、米国特許第8764272号明細書;米国特許第8960990号明細書;米国特許第8818561号明細書;米国特許第8311678号明細書;米国特許第9789629号明細書;米国特許第8491717号明細書;米国特許第8764273号明細書;米国特許第9466203号明細書;米国特許第9550312号明細書;および米国特許第9952246号明細書を参照されたい。
【0044】
上記の第1から第5の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第6の例示的な実施形態では、本発明は、少なくとも1つのセンサープローブが接点スイッチである方法を提供する。この第6の例示的な実施形態の例示的な態様は、スイッチに十分な圧力または力が加えられたときに回路を開閉する接点スイッチを使用することを含むことができることに留意されたい。接点スイッチは基本的な種類の「力」センサーと考えることができるが、接点スイッチの目的は、コンクリート内のプローブの出現または非浸漬を示すほどには力または圧力を測定することではない。したがって、コンクリートの体積は、コンクリートにおける浸漬と非浸漬との間隔を比較することによって、または(加速度計がセンサープローブと組み合わせて使用される場合などに)プローブの出入りの角度を決定することによって取得され得る。この例示的な実施形態のさらなる態様では、スイッチは、ドラムハッチドアにモジュールユニットとして設置されたジャイロスコープおよび/または加速度計と共に使用され得る。コンクリートミキサードラムの回転速度検知のために教示されたジャイロスコープと加速度計の組み合わせは、Verifi LLCが所有するJordanらによる米国特許第9952246号明細書に開示されている。
【0045】
上記の第1から第6の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第7の例示的な実施形態では、本発明は、所与のドラム速度でコンクリートミキサードラムを回転させるのに必要な圧力を監視し、ミキサードラム内の現在のコンクリート積載物のスランプ、スランプフロー、または他のレオロジー特性の表示を得るための少なくとも1つの油圧センサーを設けるステップと、少なくとも1つのセンサープローブを使用して、所与のドラム速度についての体積値を計算するためにミキサードラムに収容された現在のコンクリート積載物についてのインアンドアウトデータを生成し、油圧およびドラム速度に基づく現在のコンクリート積載物のスランプ、スランプフロー、または他のレオロジー特性の表示を、(好ましくは様々なドラム速度で)計算されたスランプ、スランプフロー、または他のレオロジー特性と相関してインアンドアウトデータが記憶された履歴信号データと比較するステップと、をさらに含む方法を提供する。
【0046】
上記の第1から第7の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第8の例示的な実施形態では、本発明は、少なくとも1つのセンサープローブが、両方ともミキサードラムハッチドアに取り付けられた力プローブおよび接点スイッチを備える方法を提供する。この例示的な実施形態の第1の態様では、力プローブと接点スイッチの両方を使用することで、同じプロセッサにインアンドアウト信号データが提供され、力プローブの長さの変動、および力プローブが出入りするコンクリート表面上の実際の場所に起因して力プローブが不正確さを有する可能性があるかどうかを確認するために比較することができる。
【0047】
上記の第1から第8の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第9の例示的
な実施形態では、本発明は、回転するミキサードラムに収容された現在のコンクリート積載物から得られたインアンドアウトプローブ信号データが、(i)所定量のミキサードラム回転(例えば、5、20、またはおそらく40回転)が発生した後、または(ii)自動スランプ監視システムが、コンクリート積載物が均質性または均一性に達したことを確認した後にのみプロセッサによって使用される方法を提供する。この例の第1の態様では、現在のコンクリート積載物から取得された現在のインアンドアウトセンサープローブ信号データは、次にプロセッサによって照合され、オプション(i)の場合、信号データは、(i)所定量のミキサードラム回転(例えば、5、20、またはおそらく40回転)が発生した後にのみ、プロセッサアクセス可能なメモリに記憶された過去のインアンドアウトセンサープローブ信号データと比較され、オプション(ii)の場合、センサープローブからの信号データは、コンクリート積載物が均質性または均一性を達成したことを自動スランプ監視システムが確認した後にのみ、プロセッサアクセス可能なメモリに記憶された過去のインアンドアウトセンサープローブ信号データと比較される。
【0048】
上記の第1から第9の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第10の例示的な実施形態では、本発明は、プローブ進入点、プローブ退出点、ミキサードラム回転速度、およびスランプ値のデータセットを含むインアンドアウトセンサープローブ信号を取得するステップをさらに含む方法を提供し、さらに、プロセッサは、ミキサードラム内の現在のコンクリート積載物からのこれらのデータセットを比較し、プローブ進入点、プローブ退出点、ミキサードラム回転速度、およびスランプ値に関しても、過去のコンクリート積載物の履歴データと比較する。
【0049】
第10の例示的実施形態の第1の態様では、現在の積載物に関連するミキサードラムの傾斜角およびコンクリートミックス設計番号(例えば、典型的には、コンクリートミックスが提供されたバッチプラントによって割り当てられたもの)の両方が、コンクリートの体積値を決定する(またはバッチチケットで提供されるように体積値を調整する)際にプロセッサによって考慮される要因として、履歴傾斜角およびミックス設計番号も含むインアンドアウト信号データおよび履歴インアンドアウトプローブ信号データ(現在の配送の前に以前に記憶されている)と比較される。
【0050】
上記の第1から第10の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第11の例示的な実施形態では、本発明は、プローブ進入点、プローブ退出点、ミキサードラム回転速度、スランプを含むデータセットを含むインアンドアウトセンサープローブデータ信号を取得するステップをさらに含む方法を提供し、プロセッサは、ミキサードラム内の現在のコンクリート積載物から得られたこれらのデータセットを、過去のコンクリート積載物の記憶されたデータと比較し、プロセッサは、現在のコンクリート積載物のミックス設計番号および傾斜角を、過去のコンクリート積載物の記憶されたデータとさらに比較する。
【0051】
上記の第1から第11の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第12の例示的な実施形態では、本発明は、プロセッサが、ミキサードラムタイプに基づいてメモリに記憶された履歴インアンドアウトセンサープローブデータを選択する方法を提供する。言い換えれば、プロセッサは、同じミキサードラムタイプを使用して生成されたデータを比較するようにプログラムされる。これは、例えば、現在のデータを履歴データと比較した場合の体積計算において、所与のコンクリート送達のためのプローブデータをメモリ位置に記憶すること、または同じメーカー提供のもしくは特定のモデルのドラムを使用して得られたデータをプロセッサに含めることのみを許可する取得タグを採用すること、によって行うことができる。
【0052】
上記の第1から第12の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第13の例示的な実施形態では、本発明は、インアンドアウト信号データおよびミキサードラム回転
速度に加えて、プロセッサが、ミキサードラムに収容されたコンクリート積載物のスランプおよび傾斜角をさらに監視し、様々なドラム回転速度で、様々なレオロジー条件で、およびミキサードラム傾斜角で、センサープローブから以前に取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスすることによって体積値計算の計算を実行するステップをさらに含み、プロセッサは、監視されたインアンドアウト信号データ、ミキサードラム回転速度、スランプ、傾斜角、およびコンクリート積載物体積の計算値に対してデータをデータベースに記憶するようにさらに構成される方法を提供する。
【0053】
上記の第13の例示的な実施形態の第1の態様では、以前のコンクリート配送から得られたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の記憶された値は、コンクリート積載物構成要素に関連して発行されたバッチチケットから得られる(メモリ位置(例えば、クラウド、リモートプロセッサの場所、またはスランプ監視プロセッサメモリでアクセス可能)に積載物体積値を保存する前に、積載物の一部がミキサードラムから排出されなかった場合)。
【0054】
上記の第1から第13の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第14の例示的な実施形態では、本発明は、プロセッサが、インアンドアウト信号データおよびミキサードラム回転速度に加えて、ミキサードラムに収容されたコンクリート積載物のスランプおよび傾斜角を監視し、様々なドラム回転速度で、様々なレオロジー条件で、およびミキサードラム傾斜角で、センサープローブから以前に取得されたインアンドアウト信号データと相関するコンクリート積載物体積の値を記憶したデータベースにアクセスすることによって体積値の計算を実行し、プロセッサが、監視されたインアンドアウト信号データ、ミキサードラム回転速度、スランプ、傾斜角、およびコンクリート積載物体積の計算値に対してデータをデータベースに記憶するようにさらに構成されることをさらに含む方法を提供し、さらに、ドラム回転速度は、1~16回転/分(RPM)、より好ましくは1~22回転/分の範囲内であり、さらに、スランプが0.5~10インチの範囲内であるか、またはスランプフローが10~20インチの範囲内であり、ドラムの傾斜角は、上向き傾斜道路または下向き傾斜道路に沿って走行する配送用トラックなどによってドラム(最初に非垂直回転角を有する)が傾斜したときに測定されるように、-10度~+10度の変化である。
【0055】
上記の第1から第14の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第15の例示的な実施形態では、本発明は、請求項1に記載の方法を実行するようにプログラムされたプロセッサと通信する少なくとも1つのセンサープローブを備えるシステムを提供する。例えば、1つまたは複数のセンサープローブは、配送用トラック上(ミキサードラムの外側)、ミキサードラムハッチドア上、トラック室内、またはトラックフレーム上に位置する、またはディスパッチもしくはコントロールセンタなどの遠隔地にあるプロセッサに無線で接続される(
図3および
図4を参照)。
【0056】
第1から第14の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第16の例示的な実施形態では、本発明は、プロセッサが、同じコンクリート積載物からの少なくとも2つの異なる排出事象の各々の後にコンクリート積載物体積値を決定するようにプログラムされる方法またはシステムを提供する。本発明者らは、本発明まで、同じミキサードラム積載物からの連続的な排出事象の後に体積値を測定するためにセンサープローブを使用する正確な方法がなかったと考えている。この例に基づくさらなる態様では、方法は、ミキサードラム内の元の積載物体積(典型的には12立方ヤードの最大体積まで積載することができる)からの各体積部分排出のための配送チケットを発行するステップをさらに含む。
【0057】
上記の第1から第16の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第17の例
示的な実施形態では、本発明は、上記の例示的な実施形態で説明した方法のいずれかを実行するように構成されたプロセッサを含む方法および/またはシステムを提供し、プロセッサは、力センサー、接点式スイッチ、音響トランスデューサ、またはそれらの組み合わせから選択された少なくとも1つのセンサープローブに無線で接続される。例えば、力センサーは、米国特許第9199391号明細書(Beaupreら)、米国特許第9625891号明細書(Berman)、米国特許第10041928号明細書(Berman)、または国際公開第2019/040562号パンフレット(Biesakら)のいずれかに開示されているタイプのものとすることができる。好ましい組み合わせは、力センサーおよび接点式スイッチを含むことができ、より好ましくは、これらのタイプのセンサーの両方を、ドラムハッチまたはドラム内の同じフレームもしくは構造に取り付けることができる。
【0058】
本発明は、限定された数の例示的な実施形態を使用して本明細書に記載されているが、これらの特定の実施形態は、本明細書に別途記載され特許請求される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。記載された実施形態からの修正および変形が存在する。より具体的には、以下の実施例は、特許請求される発明の実施形態の具体的な例示として与えられる。本発明は、実施例に記載された特定の詳細に限定されないことを理解されたい。実施例および本明細書の残りの部分におけるすべての対象およびパーセンテージは、特に明記しない限り、重量パーセントによるものである。
【0059】
さらに、特性、測定単位、条件、物理的状態またはパーセンテージの特定のセットを表すものなど、本明細書または特許請求の範囲に列挙された数字の任意の範囲は、そのように列挙された任意の範囲内の数字の任意のサブセットを含む、そのような範囲内に含まれる任意の数字を、参照または他の方法によって本明細書に文字通り明示的に組み込むことを意図している。例えば、下限RLおよび上限RUを有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内に入る任意の数Rが具体的に開示される。特に、範囲内の以下の数Rが具体的に開示される:R=RL+k*(RU-RL)、式中、kは、1%の増分で1%から100%の範囲の変数であり、例えば、kは、1%、2%、3%、4%、5%...50%、51%、52%...95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。さらに、上記で計算した任意の2つの値Rによって表される任意の数値範囲も具体的に開示される。
【実施例】
【0060】
[実施例1]
回転ドラム内のコンクリート表面形状に対する様々なパラメータの影響を説明するために、本発明者らは、Zikら(1994)に基づいて簡略化されたモデルを構築しており、ここで、粒状材料の表面は以下の式によって記述される:
【数1】
ここで、Zikらについて、kはニュートン流体内の粒状粒子の運動を説明するための定数を表し、ρは材料の密度を表し、gは重力を表し、ηは流動層の見掛けの粘度を表し、p
0は流動層によって及ぼされる圧力を表し、ωはドラムの回転速度を表し、dy/dxは表面の傾きを表し、μは流動層中の粒状粒子間の内部摩擦を表し、Rは回転ドラムの半径を表し、xおよびyはデカルト座標における表面の位置を表す。
【0061】
前述の式は、異なる充填値(例えば50%フル)で異なるパラメータを有する表面を生成するために数値的に解くことができる。第1の例では、k=1、ρ=2400kg/m
3;g=9.81m/s
2;η=1.0Pa-s;p
0=2400Pa;ω=1rpm;μ=0.2、R=1.1mであり、x=0における表面は0である(50%の面積充填に対応する)。x=0において、表面(y)=0であるという条件は、微分方程式を解くための初期条件を提供する。これらのパラメータは、ゆっくり回転するドラム内の低粘度のコンクリートにおおよそ近い。
図5に示すように、コンクリートの表面(暗い実線)ならびに点線は、センサーがエントランスおよび退出を検出するドラムの内壁付近を示している。知覚された表面(センサーによって決定された)および実際の表面に基づく面積測定の誤差を計算した。
【0062】
したがって、
図5では、低粘度コンクリートおよびゆっくり回転するドラムは、予想されるように比較的平坦な表面流れ形状をもたらす(ここでは反時計回り方向に回転することを示す)。また、両ラインが重なっているため、面積測定の誤差は0である。
【0063】
しかしながら、ミキサードラムの速度が増加するにつれて、
図6に示すように、コンクリートの流動面はより急になる。コンクリートの粘度(例えば、スランプ)は依然として比較的低いため、表面流は依然として比較的平坦であるが、コンクリート内のプローブのエントランス点と退出点との間の直線を表す
図6の点線は、わずかにまたはほとんど見えない。
【0064】
粘度が増加すると、
図7に示すように、形状は非線形になり始める。
図5~
図7に示す3つの場合すべてにおいて、直線性からの変化が点線の両端で比較的均一であったため、体積測定の誤差は無視できる。言い換えれば、ドラムの一方の側の正の誤差は、他方の側の負の誤差によって相殺され、無視できる誤差となる。
【0065】
[実施例2]
グラフィック結果の理論的考察により、さらに、コンクリートミックスがニュートン流体の流動挙動よりも粒状材料により近い流動挙動を示す(例えば、流体内の剪断応力は歪み速度に線形比例する)ことができることが確認される。実施例1の式は、剪断減粘性材料を表すk=0.5で数値的に分解された。剪断減粘性材料としてコンクリートが広く知られている(例えば、剪断歪みが増加すると粘度が低下する)。さらに、材料の内部摩擦はコンクリート内で一定ではない。特に、材料が既に移動している場合、内部摩擦が減少する(すなわち、静摩擦係数対動摩擦係数)。カスケード表面の場合、材料は既にドラムの下部で移動している(x<0)。
【0066】
図8に示すように、静摩擦係数が0.9に増加する間、動摩擦係数は0.2のままであった。言い換えれば、コンクリートが移動していない場合、コンクリートが既に移動している場合と比較して、移動するのにより多くの力を要する。摩擦係数間の関係は、材料に依存する。モデルへの変更は、非対称の凸面の流れが発生する可能性があり、進入点および退出点のみに基づくコンクリート体積計算に実質的な誤差をもたらすことを示唆している。
【0067】
[実施例3]
この実施例は、コンクリートの充填レベルがミキサードラム容量の50%を超えない場合、回転するミキサードラム内のコンクリート積載物の表面流れにおける高度に非対称な効果を増幅できることを確認する。この場合をモデル化するために、微分方程式の初期条件は、
図9に示すように、x=0で、表面(y)=-0.25(すなわち、0未満)になるように調整される。これは、ドラムに収容されたコンクリート積載物の体積計算が10%も誤っている可能性があることを示唆している。言い換えれば、10立方ハードのコンクリート積載物の場合、プローブの進入点および退出点に基づいて体積を計算するようにプログラムされたシステムプロセッサは、コンクリートの1立方ヤード分だけずれる可能
性がある。
【0068】
これらの実施例に基づいて、本発明者らは、回転ドラム内に実際に含まれるコンクリート積載物の体積が理論体積から大きく逸脱する可能性があるように、いくつかの要因がコンクリートの流動面の形状に影響を及ぼし得ると考えている(
図8のエントランス点および退出点に対応する点線を参照)。誤差が一定であれば、心配することはほとんどない。しかしながら、本発明者らは、誤差が、1つのミックス設計から別のミックス設計まで;トラックごとに;1つのドラム速度から別のドラム速度まで;さらにコンクリート体積から別のコンクリート体積まで、性質および程度において変化し得ることを認識した。
【0069】
本発明者らはさらに、例えば、10の異なるコンクリートミックス設計に基づいて、4つの異なるレオロジーレベル(例えば、異なるスランプ)で、4つの異なる体積レベルで、3つのミキサートラックを使用し、1つのコンクリート製造業者のみを使用して、体積決定を較正するために経験的方法を使用する場合、1つのコンクリート製造業者についてのみ480(例えば、10×4×4×3=480)の異なる標準測定を行わなければならないとさらに考えている。
【0070】
したがって、本発明の例示的な方法およびシステムでは、本発明者らは、経時的に収集されたデータを使用してそれらの積載物体積決定を較正することを好む。言い換えれば、これは、センサープローブの浸漬状態、およびレオロジー(例えば、スランプ)、コンクリートミックス設計、およびコンクリート積載物の元の体積または実際の開始体積(元々バッチ式であり、バッチプラントで生コンクリートの配送用トラックに配置されている)などの他の潜在的に関連する要因を含むデータを収集するためにプロセッサを使用することを含む。好ましくは、このデータ収集は、コンクリートがドラムから除去されて典型的なドラム積載物に関する初期データセットを確立する前に行われる。
【0071】
[実施例4~9]
実施例4~9については、ミキサードラムの内壁に取り付けられた生コンクリート配送用トラックおよび力型センサーを使用してデータを収集し、このデータを分析して体積およびこれを決定した精度を決定した。様々な積載物サイズ体積(例えば、2、4、7、10立方ヤード)で25個のコンクリート積載物が生成されて、97個のデータポイントを得た。各積載物について、浸漬/非浸漬比(すなわち、センサーが浸漬したドラム回転の割合)を力センサーから記録した。さらに、トラックの傾き(水平または平らな地面に対するドラムの回転軸の角度である)、セメント含有量(すなわち、コンクリートミックス設計)、コンクリートのスランプ、およびコンクリート積載物の空気含有量を記録した。
【0072】
初期体積は、コンクリートバッチプラントからの初期バッチ報告に基づいた。コンクリートのその後の体積決定は、コンクリートミキサードラムから既知の体積の手押し車に排出されたコンクリートの体積を測定することによって行われた。
【0073】
スランプおよび空気含有量などの関連パラメータをそれぞれのASTM法に従って決定するために、コンクリートの手押し車に対して試験を実行した。
【0074】
トラックの傾き(ミキサードラムの回転軸に沿った)は、トラック上の傾斜計を使用して決定されたが、回転ドラムに取り付けられた加速度計(好ましくは3軸タイプ)を使用して決定されてもよい。
【0075】
[実施例4]
図10にグラフで示すように、プローブによって検知された浸漬/非浸漬比データを使用して行われるコンクリート体積決定の相対精度は、データを測定体積数と比較すること
によって評価された。予測変数として浸漬/非浸漬(インアンドアウト)比を用いて線形回帰分析を行った。線形項のみを考慮した(例えば、インアンドアウト比であるが、インアンドアウト比の2乗ではない)。測定された体積数は、材料が正確に計量されるバッチ設備に従って得られた。実際の体積測定値の0.25立方ヤード以内の予測の割合は、この例ではほぼ32%であると決定された。したがって、このデータセットでは、インアンドアウト比のみに基づく予測の約68%は、ASTM C1792-14などの規格によって要求される十分な精度を満たさない。言い換えれば、インアンドアウト比は、本発明者らによって、25の積載物に対してロバストモデルを開発するのに十分であるとは見なされなかったので、本発明者らは他の要因を考慮した。交差検証スコアは、5の「K倍」を使用して、回帰法の標準的な交差検証を使用することによって決定された。言い換えれば、データセットは5つのグループに分割されており、各グループは、他の4つのグループから作成されたモデルに基づいて検証セットとして使用される。本発明者らは、各積載物サイズグループ(例えば、2、4、7、10立方ヤード)内の予測は、いくつかの要因(例えば、コンクリートのスランプ、コンクリートトラックの傾斜(すなわち、ミキサードラムの回転軸と水平との間の角度)、空気含有量、セメント含有量など)によって生成されるコンクリート内の複雑な流動面のために不正確であると考えた。本発明者らはまた、これらの不正確さが、業界においてあまりにも頻繁に遭遇する2RPM(毎分回転数)の低いドラム速度でさえも生じることに気付いた。実線は当量線を表す(すなわち、予測値は測定値と等しい)。
【0076】
[実施例5]
この実施例では、本発明者らは、流動可能な塊(例えば、実施例1~3)の中心が材料のレオロジーに応じて変化する可能性があり、コンクリートミックス内のセメントの量がレオロジー挙動に非線形変化を及ぼす可能性があると考えた。
図11にグラフで示されているデータによって示されているように、本発明者らは、セメント含有量の3つの異なる群(例えば、423、611および752ポンド/立方ヤード(pcy))のそれぞれについて、進入/退出データ(浸漬/非浸漬の比として反映される)を使用して線形回帰分析を行った。各群内において、実施例4と同様に線形回帰分析を行った。
図11は、それぞれの線形モデルを有する組み合わされた測定体積対予測体積を示している。
図11に示すように、交差検証スコアは23.5パーセントポイント改善されたが、本発明者らは、モデルが精度の点で改善され得ると考えた。
【0077】
[実施例6]
この実施例では、本発明者らは、3つの異なるセメント含有量の予測変数として、インアンドアウト比ならびにコンクリートスランプ(ASTM C143/143M-15aに従って測定)を含めた線形回帰分析を行った。それらは、相互作用項(すなわち、スランプとインアンドアウト比との間)も含んでいた。この場合、本発明者らは、
図12に示すように、交差検証スコアがさらに7.1パーセントポイント改善されたことを見出した。本発明者らは、全体的な精度をさらに向上させることができると考えた。
【0078】
[実施例7]
この例では、本発明者らは、(ミキサードラムの回転軸に沿った)トラックの傾斜が体積決定に悪影響を及ぼし得ると考えた。この実施例では、本発明者らは、予測変数として、各セメント含有量群内のインアンドアウト比、スランプおよび傾斜を含めた線形回帰を行った。傾斜は、(ミキサードラムではなく)トラックフレームに取り付けられた傾斜計を使用して得られた。相互作用項も含めた。この特定のデータセットについて、本発明者らは、傾斜要因が交差検証スコアのさらなる17.5パーセントポイントの増加を提供することを見出した;これは、
図13を参照することによって視覚的に理解され得る。
【0079】
[実施例8]
この実施例では、本発明者らは、実施例7の同じパラメータ(例えば、各セメント群のインアンドアウト比、スランプ、傾斜)の相互作用項を含む二次および三次項を使用してモデルを適用した。立方モデルの結果を
図14に示す。予測されたポイントは線に近いが、交差検証スコアは23.4パーセントポイント減少し、データのオーバフィッティングを示している。この種の予測は、この正確なデータセットに対して比較的良好であるが、新しいデータ(例えば、わずかに異なるスランプ、傾斜などを有するコンクリートの新しい積載物)に遭遇したときには予測があまり正確でない可能性がある。本発明者らは、二次要因を用いたモデル化予測を行う場合にも同様の効果を見出した。
【0080】
[実施例9]
本発明者らは、ランダムフォレスト回帰機械学習法を適用したことを除いて、以下の例において相互作用項と共に予測変数として同じパラメータを使用した。ランダムフォレスト回帰は、複数の決定木(この場合500)を構築し、個々の木の平均予測を出力することによって動作するアンサンブル学習方法である。決定木は、オーバフィッティングの可能性を低減するために、3つの決定の最大深度を有するように制限された。この場合の交差検証スコアは95%超であり、
図16に示されている。本発明者らは、
図15に示すように、インアンドアウト比のみを使用する場合、交差検証スコアは89%未満に低下するという考えを確認した。したがって、本発明者らは、回帰分析および関連パラメータ(例えば、スランプ、傾斜)を解析モデルに含めると、体積予測の精度が向上する可能性があると考えている。
【0081】
[実施例10]
本発明者らは、上述の例示的な方法によって示されるように、取得され得る潜在的な利用可能な体積較正データを示唆するために
図16のヒストグラムを提供する。コンクリート積載物体積の大部分は約9~10立方ヤードであるが、本発明者らは、様々な積載物サイズで有意なデータを得ることができると考えている。時間が経過するにつれて、より多くのデータが生成され、したがって上述の例のような較正方法での使用に利用可能となる。
【0082】
前述の実施例および実施形態は、例示のみを目的として提示されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【国際調査報告】