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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】コンクリート配送および配置の調整
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20221003BHJP
   B28C 5/42 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B28C7/04
B28C5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506786
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020043920
(87)【国際公開番号】W WO2021021836
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/881,614
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522045327
【氏名又は名称】ジーシーピー・アプライド・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トレッガー,ネイサン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,マーク・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ストラカ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ベローディアー,エリーゼ
(72)【発明者】
【氏名】オースチン,グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】フープス,ロバート
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CB32
4G056CD64
4G056DA05
4G056DA09
(57)【要約】
作業現場でのコンクリート積載物の配送および配置を調整するための、より詳細には、コンクリート積載物の硬化時間値または値の範囲を調整し、それによって仕上げまたは他のコンクリート配置作業を容易にするための方法およびシステムが説明される。例示的な実施形態では、調整は、以前に配置されたコンクリート積載物の評価に基づいて実施され得る。コンクリートの硬化時間値または値の範囲は、設置中および/またはその硬化状態で所望の特性を達成するように監視および調整され得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの配送を調整するための方法であって、
(A)各々が、コンクリート積載物を含むミキサードラムと、レオロジーおよび前記ドラム内の前記コンクリート積載物の少なくとも1つの硬化時間値または値の範囲を監視するためのプロセッサ制御システムとを有する、少なくとも2つの配送トラックを提供するステップであって、前記プロセッサが、
i.作業現場への配送のために、ミキサードラムに積載されたコンクリートに割り当てられた、少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲にアクセスするステップと、
ii.経時的に監視された水和に基づいて、積載物の少なくとも1つの現在の硬化時間値または値の範囲を計算するステップと、
iii.前記少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲を、前記計算された少なくとも1つの現在の硬化時間値または値の範囲と比較するステップと、
を含む機能を実施するようにプログラムされる、ステップと、
(B)前記少なくとも2つの配送トラックから注入される前記コンクリート積載物の逐次的配置、仕上げ、離型、枠組み除去、または圧縮強度段階を実行または修正するために、前記少なくとも2つの配送トラックコンクリート積載物のうちの少なくとも1つ内に、硬化促進剤、硬化遅延剤、またはそれらの混合物を導入することによって、現在の硬化時間値(複数可)または値の範囲(複数可)を調節するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(A)において、少なくとも3つの配送トラック(より好ましくは少なくとも6つのトラック)が用意され、各々が、コンクリート積載物を含むミキサードラムと、レオロジーを監視し、前記ドラム内の前記コンクリート積載物の硬化時間値または値の範囲を監視するためのプロセッサ制御システムとを有し、前記プロセッサが、機能(i)、(ii)、および(iii)を実行し、前記コンクリートの前記記憶された硬化時間値もしくは値の範囲または前記現在の硬化時間値もしくは値の範囲を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記記憶された硬化時間値または値の範囲と前記現在の硬化時間値または値の範囲の両方が調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記記憶された硬化時間値または値の範囲は、注入時の前記コンクリートの推定年齢を含む因子に基づいて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
硬化時間値または値の範囲が、(a)仕上げの開始、(b)仕上げ完了、(c)枠組みまたは型を前記コンクリートから除去するステップ、(d)前記コンクリート上の徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)張力をかけられたケーブルをジャッキから解放するステップ(プレストレストコンクリート用途で使用される)、(f)張力をかけられた後のケーブル(張力をかけられた後のコンクリートに関して)を固着またはグラウトするステップ、または(g)先に注入されたコンクリートの上部にさらにコンクリートを流し込むステップのための時間値から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記配送トラックプロセッサ制御システムのうちの少なくとも1つによってアクセスされる、またはアクセスおよび調節される前記記憶された硬化時間値または値の範囲は、(a)前記トラックミキサードラム内の前記コンクリートを供給したバッチプラントによって提供されるチケット情報、(b)前記トラックミキサードラムからコンクリートが注入される作業現場の監督者、(c)前記作業現場または別の作業現場で注入され、もしくは配置されたコンクリートの表面に対して配置された、またはコンクリート内に埋め込まれ
た、湿度、水分、および/または温度センサからデータ信号を受信するプロセッサ、または(d)レオロジーおよび前記コンクリート積載物の硬化時間値または値の範囲を監視するためのプロセッサ制御システムを有する別のコンクリート配送トラックのプロセッサ監視から導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲を調節するステップと、前記少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲に対して行われた調節の報告または指示を提供するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記現在の硬化時間値または値の範囲が、コンクリートの温度、前記コンクリートの温度変化率、前記コンクリートのバッチ量または配合設計、前記コンクリート積載物内に添加される水または化学混和剤の調節、レオロジー、または前記コンクリートの他の特性から選択される少なくとも1つの因子に関して、記憶された硬化時間値または値の範囲と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの配送トラックのうちの1つにおける前記コンクリート積載物のうちの少なくとも1つが戻りコンクリートであり、さらに、記憶された硬化時間値または値の範囲と現在の硬化時間値または値の範囲との比較が、前記作業現場から戻された前記コンクリートの前記最初のバッチ処理からのコンクリートの年齢を考慮することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のコンクリート積載物が可塑状態にある間に、第1の配送トラックからの第1のコンクリート積載物が所定の位置に注入され、第2の配送トラックからの第2のコンクリート積載物が前記第1のコンクリート積載物の上に注入され、前記第1の積載物および前記第2の積載物は、重複する硬化時間値または値の範囲を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記予め配送され、前記作業現場に配置されたコンクリートの前記記憶された硬化時間値または値の範囲が、作業現場で前記ノズル、ホース、または導管を通る前記コンクリートの堆積または噴霧中にコンクリートの前記ノズル、ホース、または他の導管内の少なくとも1つのセンサによって生成されたデータ信号から取得または導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記配送トラックの少なくとも1つの前記コンクリート積載物の一部が第1の作業現場に注入され、前記注入から15分以内、より好ましくは10分以内に、1回の投与量の硬化遅延剤が前記配送トラック内の前記コンクリート積載物の前記残りの部分に導入され、前記1回の投与量の硬化遅延剤を含む前記残りの部分が前記配送トラックによって第2の作業現場に輸送され、前記第2の作業現場の所定の位置に注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも5台(より好ましくは少なくとも10台)の配送トラックが、硬化時間値または値の範囲がステップ(B)に従って調節される、コンクリート積載物を有するステップ(A)に従って提供され、前記調節は、前記作業現場に配置されたコンクリートの経時的な水和を監視するための少なくとも1つのセンサから取得または導出された信号データに基いて硬化時間値または値の範囲の計算を使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
複数のコンクリート配置の硬化時間条件を監視するための方法であって、
水和を示すデータ信号を取得するために、前記配置されたコンクリートの経時的な水和を監視するための少なくとも1つのセンサを有する少なくとも1つの空中ドローンを作業
現場で複数のコンクリート配置場所にわたって移動させるステップと、
少なくとも1つのセンサから得られた経時的な水和データと相関する硬化時間値または値の範囲を得るために、前記得られたデータ信号を以前に記憶されたデータ信号と比較するステップと、
硬化時間値もしくは値の範囲、または硬化時間値もしくは値の範囲に基づく提案されたシーケンス優先度と共に複数のコンクリート配置場所の絵図もしくは地図を生成するステップであって、それによって、(a)仕上げの開始、(b)仕上げの完了、(c)枠組みまたは型を前記コンクリートから除去するステップ、(d)前記コンクリート上の徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)張力をかけられたケーブルをジャッキから解放するステップ、(f)張力をかけた後のケーブルの固着またはグラウト、あるいは(g)先に注入されたコンクリートの上部にさらにコンクリートを流し込むステップに関して逐次的な処理に適した配置の指示を提供するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者は、Nathan TREGGER、Mark ROBERTS、Jason STRAKA、Elise BERODIER、Greg AUSTIN、Robert
HOOPESである。
【0002】
本発明は、コンクリート建設プロセスおよびシステムに関し、より詳細には、作業現場に配送されて配置されるコンクリート積載物の加工性または圧縮強度ウィンドウなどの硬化時間値または値の範囲を調整する(coordinate)ことに関する。
【背景技術】
【0003】
コンクリート混合物積載物のバッチ処理は、典型的には、セメント、骨材、水、および任意選択の化学混和剤を生コンクリートトラック(ready-mix truck)の回転式ミキサードラムに導入することを含み、ここで成分は一緒に均一に混合され、コンクリート混合物が配置される作業現場に輸送される。
【0004】
「場所」または「注入」という用語は、以下では、トラックドラムから作業現場におけるその最終の置き場所までプラスチックコンクリートを搬送する様々な手段を指すために使用され得る。これには、スラブ、道路、基礎、壁、または他の用途のための空間または枠組み内に流れるか、または押し込まれることができるシュート上にドラムからコンクリートを放出するステップ、地表レベルの上方の高層ビル内の位置にコンクリートを圧送するステップ、基礎、壁、またはトンネル表面などの表面にコンクリートを吹き付けるステップ、または3D印刷プロセスなどにおいて、1つのコンクリート塊を以前に堆積されたコンクリート塊上に堆積させるステップが含まれる。
【0005】
例えば、コンクリートが水平スラブ、床、デッキ、舗装、または道路を作製するために使用される場合、コンクリートは、その中でコンクリートを「仕上げる」ことができる比較的狭い期間またはウィンドウを有する。仕上げは、その耐久性を確保するために、表面の平坦化および平滑化(こて塗)などの様々なステップを含む。建築現場の監督者(または管理者)は、「初期硬化時間」の感覚を望み、または換言すれば、注入されたコンクリートが、それが作業可能であり(すなわち、所定の位置に平滑化または移動される能力)、表面仕上げプロセスが開始され得るような強度を最初に発現する瞬間を予測したいと思う。監督者はまた、「最終硬化時間」またはコンクリートが加工性を失い、もはや仕上げることができなくなる瞬間の感覚を持ちたいと思うであろう。これは、特に、監督者が注入されたコンクリート積載物ごとに建築作業員を有さず、限られた資源を短い時間間隔内に操作しなければならない場合に当てはまる。
【0006】
注入されたコンクリートを仕上げる(平滑化する)ことができるかどうかの決定は、コンクリート表面の「水の光沢」を判定することによって行われることが多いが、しかしこの試験は主観的であり、素早く仕上げる必要があることによって曲解されることが多い。粉塵の問題、フレーク状の表面欠陥、および大規模なひび割れによって、コンクリート表面がいつ仕上げできる準備ができているのかを決定することが困難になる。初期硬化時間または最終硬化時間を決定するための通常の「フットプリント」試験は主観的であり、エラーが発生しやすい。
【0007】
コンクリートが壁、柱、または支持構造(例えば、高層ビル)などの垂直用途で使用される場合、監督者の懸念は、硬化時間の様々な態様に注目する可能性がある。コンクリートがいつ内部凝集の発現を開始し、最終的に増加した剛性および最終的な硬度につながる
かを理解することは、アプリケータが枠組みの破裂を回避するためにコンクリートを圧送または注入することができる適切な速度をよりよく理解するのに役立つ。コンクリートがいつ圧縮強度を獲得し始めるかを理解することにより、監督者は、枠組みがどれくらい早く除去され得るかを判断することができ、または、次のコンクリート部分が、先に注入されたコンクリート部分の上部にどのくらい早く流し込まれ得るかを決定することができる。したがって、監督者は、早期硬化時間ならびに後の硬化時間の性質(例えば、バッチ処理の1、3、7、または28日後のコンクリートの圧縮強度)をよりよく理解したい可能性がある。
【0008】
本発明は、初期硬化時間、最終硬化時間、および/または2つ以上の硬化時間値などの1つまたは複数の硬化時間値または値の範囲の決定に焦点を当てる。これは、プラスチック(加工可能)コンクリートの加工性/仕上げ性ウィンドウの開始および/または終了を含むことができ、これはまた、4時間、または1、3、7、もしくは28日間、または他の年齢における圧縮強度など、硬化した(加工不可能な)コンクリートのための強度値を含むことができる。
【0009】
建築現場の請負業者は、最終硬化時間(コンクリートを硬化させる前にコンクリートを仕上げなければならない)などの1つの硬化時間値を考慮したい可能性があり、または、別の例として、初期硬化時間(その後に仕上げを開始することができる)および最終硬化時間(その前に仕上げを完了しなければならない)の両方を含む硬化時間値の範囲を考慮したい可能性がある。
【0010】
図1において、本発明者らは、ミキサードラム内でコンクリート積載物を運ぶ3つの配送トラック(10、12、および14で指定される)を表す3つの例示的なタイムラインを使用して共通の問題を示す。各積載物は異なる水和挙動を有する。各積載物は、バッチプラントで始まるバッチ時間(B)と、積載物が作業現場で排出される時の異なる注入時間(P)とを有する。点線の長方形によって示されるように、問題は、異なるタイムスパンまたは範囲、例えば、異なる仕上げ開始時間(Fsで指定)および異なる仕上げ完了時間(Fcで指定)を定義する異なる硬化時間値によって引き起こされる。図1に示すように、トラック10および14から注がれるコンクリートは、同様の注入(P)時間を有する。仕上げ作業員は、積載物10のFcが積載物14のFsが始まる前に終了するので、注入された積載物14で作業する前に、注入された積載物10を仕上げることができる。しかしながら、積載物12は、積載物14の開始時間と比較してより遅い注入時間および仕上げ開始時間(Fs)を有する。積載物12はまた、積載物14の仕上げ時間と比較して早く発生する仕上げ完了時間(Fc)を有する。したがって、コンクリート注入の調整されない硬化時間挙動は、作業現場での仕上げプロセスを非常に複雑にする。
【0011】
コンクリート産業は、硬化間隔(例えば、15分ごと)でトラックにバッチ積載することによってコンクリート配送を組織化しようとしているが、しかしトラックが作業現場で同様に間隔を空けた間隔で到着するという基本的な仮定はしばしば困難である。例えば、バッチプラント(B)から注入現場(P)への移動において、トラックは、通行および作業現場の混雑、現場でのポンプの故障、混和剤の投与誤差、作業現場でのコンクリートの水和に影響を及ぼす温度変化、および他の問題によって遅延する可能性がある。異なるバッチ重量および配合設計(例えば、積載物は戻りコンクリートを含む可能性がある)などのコンクリート混合物の不整合は、水和挙動に影響を及ぼし、硬化時間値の変動(例えば、Fs、Fc)を引き起こす可能性がある。
【0012】
配送されるコンクリートにおける制御されない硬化時間値または値の範囲の結果として、適用可能な時間内に終了しなかったために除去および交換しなければならないコンクリート部分など、費用がかかり、手間のかかる問題を引き起こす。
【発明の概要】
【0013】
上述の問題を克服する際に、本発明は、好ましくは作業現場に以前に配送されて配置されたコンクリートの評価に基づいて、現場に配送されているコンクリート混合物積載物の1つまたは複数の割り当てられた硬化時間値または値の範囲を調節する(adjusting)ステップを含み、配送されるコンクリートが調整された硬化時間値または値の範囲を有することを可能にする、コンクリートを配送するための方法を提供する。これにより、コンクリートの特性を制御することができる。
【0014】
図2に示すように、3つのコンクリート積載物(B)は、本発明の例示的な実施形態に従って、それらが配置されている作業現場(P)にトラック(16、18、20)で配送される。この例では、コンクリート混合物のレオロジーおよび水和速度挙動が監視され、配置後の硬化時間値の範囲が重複しないように調節される。いくらかの重なりを有する可能性があるが(仕上げ作業員の一部が注入されたコンクリートのある区画から次の区画で作業するために移動し始めることができるので)、この図を簡単にする目的で、3つの注入されたコンクリート積載物16/18/20の仕上げ開始時間(Fs)および仕上げ完了時間(Fc)は、重ならないものとして示されている。例えば、配置されたコンクリートを仕上げるために最低限の数の乗務作業員しか近くにいない場合、FsおよびFc時間イベントは、乗務員が次の注入された区画(例えば、18または20)に進む前に各注入される区画(例えば、16または18)を仕上げることができるように十分に離間させることができる。また、監督者が、硬化前に必要な仕上げを完了しながら仕上げ乗務作業員の一部がある注入されたコンクリート区画から別の区画に移動する場合など、硬化時間の値の範囲がわずかに重複する可能性もあるが、しかし目標は、仕上げ段階を完了するのに十分な数の作業員がいない場合には、一致する硬化時間(例えば、図1の12/14)を有する複数のコンクリート積載物を回避することである。
【0015】
したがって、本発明の硬化時間値または値の範囲を調整するという概念は、個々の生コンクリート配送トラックに対する自動コンクリートレオロジー(例えば、スランプ)管理システムの使用から始まり、システムは、硬化時間値(例えば、初期硬化時間)または値の範囲(例えば、初期および最終硬化時間値、および/または強度レベル)を入力または計算することを可能にするプロセッサによって制御される(例えば、コンクリート配送トラックに搭載されたスランプ監視システムのプロセッサによって)。
【0016】
本発明はまた、現場の監督者などによるコンクリートレオロジーデータに基づいて、または作業現場に配送される様々なコンクリート積載物を監視している他のコンクリート配送トラックからの情報に基づいて、またはおそらく配置されたコンクリートの上方または表面上に配置された、または配置されたコンクリート内に埋め込まれたセンサ(またはこれらの組み合わせ)から得られたセンサデータに基づいて、初期硬化時間を調節することを可能にする。
【0017】
本発明の目的のために、「硬化時間値または値の範囲」という概念は、(a)仕上げの開始、(b)仕上げの完了、(c)枠組みまたは型をコンクリートから除去するステップ(すなわち、硬化後)、(d)コンクリート上で徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)注入されたコンクリートの上部にさらなるコンクリートを流し込むステップ、または(f)プレストレスコンクリート機構調節などの他の注入現場活動を含む任意の数の活動を指すことができる。硬化時間値は、コンクリート積載物がバッチプラントで積載または混合された瞬間から開始するか、あるいは再調節されて(異なる作業現場から、または同じ作業現場の異なる注入位置から戻される場合)、戻りコンクリート積載物の上部に新しいコンクリートがバッチ処理される瞬間を反映すると推定される。言い換えれば、硬化時間値または値の範囲は、用途に応じて、複数の配置時間の時間イベントのいず
れか、または様々な年齢でのコンクリート圧縮強度などの配置後の特性さえも包含することができる。
【0018】
したがって、本発明のコンクリートの配送を調整するための例示的な方法は、
(A)各々が、コンクリート積載物を含むミキサードラムと、レオロジー(例えば、スランプ、スランプ流、降伏応力)およびドラム内のコンクリート積載物の少なくとも1つの硬化時間値または値の範囲(例えば、初期硬化時間、最終硬化時間、圧縮強度またはこれらの値の混合)を監視するためのプロセッサ制御システムとを有する少なくとも2つの配送トラックを提供するステップであって、プロセッサが、
(i)作業現場への配送のために、ミキサードラムに積載されたコンクリートに割り当てられた少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲にアクセスするステップと、
(ii)経時的に監視された水和に基づいて、積載物の少なくとも1つの現在の硬化時間値または値の範囲を計算するステップと、
(iii)少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲を、計算された少なくとも1つの現在の硬化時間値または値の範囲と比較するステップと、
を含む機能を実施するようにプログラムされるステップと、
(B)少なくとも2つの配送トラックから注入されるコンクリート積載物の逐次的配置、仕上げ、離型、枠組み除去、または圧縮強度段階を実行または修正するために、少なくとも2つの配送トラックコンクリート積載物のうちの少なくとも1つ内に硬化促進剤、硬化遅延剤、またはそれらの混合物を導入することによって、現在の硬化時間値(複数可)または値の範囲(複数可)を調節するステップと、
を含む。
【0019】
さらなる例示的な実施形態では、記憶された、または現在の硬化時間値は、初期硬化時間(その後に仕上げを開始することができる)、最終硬化時間(その前に仕上げを完了する必要がある)を含むことができ、かつおそらく硬化時間値の範囲(例えば、初期硬化時間と最終硬化時間の両方によって定義される)さえも含むことができ、他の配置イベント(例えば、1つまたは複数のコンクリートの年齢、例えば、バッチ処理の時間から4時間、4日間、または他の年齢での注入コンクリートの強度の発現)を含むこともできる。再び、加工性ウィンドウに関していくらかの重複があり得る(例えば、以前の注入の終了時間は、その後の注入の開始時間の後に生じる可能性がある)。記憶されているか、または現在の硬化時間値は、例えば、配送トラックに搭載された市販のスランプ監視システムを使用して、好ましくは所与のコンクリートスランプでコンクリートの温度変化を経時的に監視することによって確立され得る。本発明者らは、コンクリート積載物の現在の硬化時間値または値の範囲の調節が、そのような市販の監視システム(例えば、マサチューセッツ州ケンブリッジのGCP Applied Technologies Inc.のVERIFI(登録商標)Monitoring Systems)を使用して、硬化促進剤、硬化遅延剤、またはそれらの混合物の投与量を監視することによって達成され得ることを想定している。さらに、さらなる例示的な実施形態では、本発明は、完全なまたは部分的な積載物を配送するために、第1の作業現場から別の作業現場への完全なまたは部分的な配送トラック積載物の再ルーティングを容易にするので、第1の作業現場は最終的な「注入現場」ではない可能性がある。
【0020】
さらなる例示的な実施形態では、経時的な各コンクリート積載物の水和の監視は、いくつかの方法で行われ得る。例えば、コンクリート積載物の温度が経時的に測定され、バッチ量(バッチプラントでの積載物サイズおよび任意の時点で添加される任意の追加の水または混和剤を含み、加えてコンクリートの年齢を含む)と共に考慮され得る。
【0021】
本発明は、複数のコンクリート配置の硬化時間条件を監視するための方法もまた提供し
、その方法は、
水和を示すデータ信号を取得するために、配置されたコンクリートの経時的な水和を監視するための少なくとも1つのセンサ(例えば、光学、赤外線、音響、電波、マイクロ波、電気抵抗率、電気容量および超音波センサから選択されるセンサ)を有する少なくとも1つの空中ドローンを作業現場で複数のコンクリート配置場所にわたって移動させるステップと、
少なくとも1つのセンサから得られた経時的な水和データと相関する硬化時間値または値の範囲を得るために、得られたデータ信号を以前に記憶されたデータ信号と比較するステップと、
硬化時間値もしくは値の範囲、または硬化時間値もしくは値の範囲に基づく提案されたシーケンス優先度と共に複数のコンクリート配置場所の絵図もしくは地図を生成するステップであって、それによって、(a)仕上げの開始、(b)仕上げの完了、(c)枠組みまたは型をコンクリートから除去するステップ、(d)コンクリート上の徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)張力をかけられたケーブルをジャッキから解放するステップ(例えば、プレストレストコンクリート用途で用いるなど)、(f)張力をかけた後のケーブルの固着またはグラウト(例えば、張力をかけた後のコンクリート用など)、あるいは(g)先に注入されたコンクリートの上部にさらにコンクリートを流し込むステップに関して逐次的な処理に適した配置の指示を提供するステップと、
を含む。
【0022】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の利点および特徴の理解は、好ましい実施形態の以下の書面による説明を図面と併せて考慮すると、より容易に理解することができる。
図1】上記の背景技術の項で説明したように、水和状態が調整されていないコンクリート積載物を有する3つのレディミックス配送トラックの例示的なタイムラインの図である。
図2】上記の背景技術の項で説明したように、水和状態が本発明の例示的な方法を使用して調整される、コンクリート積載物を有するレディミックス配送トラックの例示的なタイムラインの図である。
図3】本発明の特定の実施形態による、作業現場でのコンクリート硬化状態を監視するためのUAV(センサを有する空中ドローン)の使用を説明するブロック図である。
図4】本発明の特定の実施形態による、特定の時間t=20分における水分含有量(すなわち、MおよびM)によってマークされた、2つの注入位置で測定されたスラブを示すグラフ図である。
図5】特定の実施形態による、各区画AおよびBについて経時的に測定された正規化水分値(normalized moisture values)のプロットであり、マーカ「O」および「X」はUAVによる測定値を表し、実線はフィットロジスティクス曲線を表し、点線は将来の予測を表し、斜線領域は最適な仕上げのウィンドウを示すプロットである。
図6】特定の実施形態による、局所的な極値が最適な仕上げのウィンドウに関連し得ることを示す、二次導関数を含む正規化水分値のプロットである。
図7a】特定の実施形態による、基準時点から10分後の時間にUAV(センサ付きドローン)を使用して収集された仮想測定値のプロットである。
図7b】特定の実施形態による、基準時点から30分後の時間にUAVを介して収集された仮想測定値の別のプロットである。
図7c】特定の実施形態による、基準時点から60分後の時間にUAVを介して収集された仮想測定値の別のプロットである。
図7d】特定の実施形態による、基準時点から80分後の時間にUAVを介して収集された仮想測定値の別のプロットである。
図8】データの各セットに対する予測モデルフィットと共に、経時的な2つのコンクリート配置区域のセンサデータのプロットである。
図9】特定の実施形態による、コンクリート配送トラックルートの概略図である。
図10】特定の実施形態による、経時的な注入されたコンクリートスラブの表面の様々な光学測定値の実験結果のプロットである。
図11】特定の実施形態による、コンクリートの硬化特性と相関され得る経時的な注入されたコンクリートセグメントの色の中央強度(グレースケールに関して)のグラフ図である。
図12】特定の実施形態による、硬化時間値または特性を提案するために使用され得る注入されたコンクリートスラブの特定のセグメントの経時的な濃淡レベルコントラストのグラフ図である。
図13】特定の実施形態による、経時的に注入されたコンクリートセグメントによって反射される760~1100nmの波長に対する赤外線(IR)センサの応答のグラフ図である。
図14】コンクリートの性能属性および配合設計、バッチ重量、または水/セメント比などのコンクリートの物理的特性のデータベースから導出された予測硬化時間値(縦軸に沿ってプロットされた)と比較した実際の硬化時間値(横軸に沿ってプロットされた)のグラフ図である。
図15】コンクリートの性能属性および配合設計、バッチ重量、または水/セメント比などのコンクリートの物理的特性の別のデータベースから導出された予測硬化時間値(縦軸に沿ってプロットされた)と比較した実際の硬化時間値(横軸に沿ってプロットされた)のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用されるように、様々な装置および部品は、他の構成要素「を備える(comprise)」として説明され得る。本明細書で使用される「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))」という用語、およびそれらの変形は、追加の構成要素の可能性を排除しない制限のない移行句、用語、または単語であることを意図している。
【0025】
「コンクリート」という用語は、典型的には、セメント(石灰石、フライアッシュ、粒状高炉スラグおよび他のポゾラン材料などの補助的なセメント質材料を含むことが多い)と骨材(例えば、砂等の細骨材、砂利等の粗骨材)との混合物、および任意選択的に1つまたは複数の化学混和剤(例えば、加工性を高めるための可塑剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、エア混入剤、エア抑制剤、塑性収縮低減混和剤(plastic shrinkage reducing admixtures)、コンクリートをその可塑または硬化状態に改質するための腐食防止剤(鉄筋用)を指す。コンクリートは、セメントと骨材との混合物への水の添加が硬化反応を開始させるという点で、水和性な材料であると考えられる。
【0026】
「セメント」という用語は、水硬性ケイ酸カルシウム、アルミン酸塩およびアルミノフェライトからなるクリンカー、ならびに粉砕添加剤としての硫酸カルシウム(例えば、石膏)の1つまたは複数の形態を粉砕することによって製造されるポルトランドセメントなどの水和性セメントを含む。典型的には、ポルトランドセメントは、フライアッシュ、粒状高炉スラグ、石灰石、天然ポゾラン、またはそれらの混合物などの1つまたは複数の補助セメント系材料と組み合わされ、ブレンドとして提供され、そのすべてが骨材を一緒に結合してコンクリートを生成する。したがって、「セメント」および「セメントバインダ」は、製造中にポルトランドセメントと相互粉砕された補助セメント系材料も含み得る。
【0027】
「コンクリート配送トラック(複数可)」という用語は、生コンクリートトラック(複数可)としても知られており、非垂直回転軸を有する回転可能なミキサードラムを有する車両を意味し、これを指すものとする。そのようなミキサードラムは、典型的には、ドラムの内壁に取り付けられ、回転軸の周りに螺旋状に配置された少なくとも1つのブレードまたはフィンを有し、ドラムの一方向への回転がコンクリート構成要素をドラムの閉鎖端に向かって押しやり(したがって、混合モードまたは積載モードでは)、一方、反対方向への回転は、ドラムの開放端を通じて材料を排出する(したがって、注入または放出モードでは)。
【0028】
「バッチ時間」または「バッチ処理時間」という語句は、図1および図2では「B」と指定され、例えば、(a)トラックがコンクリートまたはコンクリートを製造するための特定の混合成分(例えば、セメント、骨材、水、任意選択の化学混和剤)をミキサードラムに受け入れ始める時間、(b)コンクリートまたはコンクリート成分を含有するミキサードラムに1つまたは複数の化学混和剤(例えば、超可塑剤、硬化遅延剤、硬化促進剤、またはそれらの混合物)を添加する時間、(c)ミキサードラムで材料が一緒に混合され、均一に混合されたと判断された時間(例えば、スランプセンサの読み取り値が所定のドラム回転数にわたって比較的一定であることを確認することによって決定され得るなど)、または(d)トラックがバッチプラントを出る時間を含む様々なイベントを指すために使用される。
【0029】
例えば、特定のバッチプラントは、構成要素がミキサードラムに導入された時間を通例示すことができ、これは電子または紙バッチチケットで文書化または記憶されることができ、電子バッチチケットが発行された場合、時間は、コンクリートが積載された配送トラックの配車センタおよび/または自動スランプ監視システムに送信されることができ、これが使用されて特定の積載物のための硬化時間値または値の範囲を決定することができる。
【0030】
「注入」という用語は、コンクリートの全積載物または部分積載物が作業現場で最終の置き場所に注入され、噴霧され、あるいは堆積されるときを意味し、または指す。複数の注入が生じ得る。例えば、コンクリート特性を点検するために初期注入が行われ得る。注入され続けることができるコンクリートに対して調節が行われ得る。コンクリートを受け入れるためのレセプタクルが満杯である場合、またはコンクリートの特性を点検した後に積載物が拒否される場合、部分的な注入が発生する可能性がある。これらの場合、コンクリートをバッチプラントに、または同じもしくは異なる作業現場の別の場所に戻すことができて、その結果、残りのコンクリートが使用され得る。
【0031】
図1および図2の目的のために、「注入」は「P」と指定され、作業現場で配送トラックからコンクリートの全積載物または部分積載物が排出された瞬間を指す。1台のトラックは複数の注入を有することができる。例えば、コンクリートの特性を点検し、コンクリートに調節を加えることを可能にするために、初期注入が行われることができ、その結果、所与の積載物の残りの部分をトラックから所定の位置に排出することができる。
【0032】
コンクリート混合物を受け入れるための枠組み、型、またはポンプホッパーが満杯の場合、部分的な注入も起こり得る。別の例として、特定の積載物が受け入れられない場合、部分的な注入が発生する可能性があり、受け入れられないコンクリートは、バッチプラントに、または残っているコンクリートが使用される同じまたは異なる作業現場の別の場所に戻されることができる。
【0033】
本明細書および上記で使用される「硬化時間値または値の範囲」という概念の意味は、
所与のコンクリート積載物のための特定の用途に依存する。この概念は、単一の瞬間(例えば、最終硬化)のみを包含することができ、またはバッチ処理(または戻りコンクリートの再調節)から計算される期間(例えば、初期硬化と最終硬化の両方)を含むことができる。硬化時間値または値の範囲が、任意の1つまたは複数以下の作業、(a)仕上げの開始、(b)仕上げ完了、(c)枠組みをコンクリートから除去するステップまたはコンクリートを型から取り出すステップ、(d)コンクリート上の徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)張力をかけられたケーブルをジャッキから解放するステップ(プレストレストコンクリート用途で使用される)、(f)張力をかけられた後のケーブル(張力をかけられた後のコンクリートに関して)を固着またはグラウトするステップ、または(g)先に注入されたコンクリートの上部にさらにコンクリートを流し込むステップのための瞬間または期間を含むことができる。
【0034】
上記で説明したように、水平用途(例えば、コンクリート高速道路、スラブ、床などを注入する)の場合、対象となる可能性が高い硬化時間値は、「初期硬化時間」、または言い換えれば、こてまたは他の仕上げ道具によるコンクリート表面の押し込み、平坦化、スクリード、平滑化、またはテクスチャリングが開始できる最も早い時間(コンクリートのバッチ処理または再調節後)を含む(例えば、ACI302.1R-15を参照されたい)。コンクリートが仕上げのために硬くなりすぎる場合、これは「最終硬化時間」と呼ばれることがあり、この用語は、その後に枠組みまたは型が除去され得る時点を指すためにも使用され得る。例えば、ASTM C191-18 a、ASTM C266-18、ASTM C807-18、およびASTM C403-16を参照されたい。
【0035】
他の硬化時間値または値の範囲は、別の例として、圧縮強度などの注入後コンクリート特性を有する初期硬化時間および/または最終硬化時間を含むことができる。いくつかの高速道路スラブプロジェクトでは、所与の期間(例えば、4時間)内に特定の圧縮強度目標(400 psi)を達成することが望まれている。ここでも、コンクリート積載物を監視し、調節することが望まれる可能性がある硬化時間値または値の範囲は、コンクリート積載物が使用される特定の用途に依存する。
【0036】
別の例として、鋼線、ケーブル、またはロッドがコンクリートにプレストレスをかけるために使用されるプレストレストコンクリート用途では、硬化時間値または値の範囲は、ケーブルをコンクリートに固着またはグラウトするため、および/または張力がかけられたケーブルをジャッキから解放するための最も早い時間(バッチ処理から)を含むことができる。
【0037】
本明細書で使用される「割り当て」または「入力」という用語は、コンクリート積載物を監視および/または調節するためにプロセッサに入力される硬化時間値または値の範囲を指し、これは、例えば、配送トラックドラムに含有されたコンクリート混合物積載物のレオロジー(例えば、スランプまたはスランプ流)を監視するプロセッサ制御コンクリート監視システムを含むことができる。上述したように、この硬化時間値または値の範囲は、コンクリートバッチ製造業者によって提供される電子チケットから導出されることができる(例えば、多くのバッチプラントは、単にバッチ処理時間として15分間隔を使用し、それによって、配送トラックは、セメント、砂/岩、および水をミキサードラムおよび任意の化学混和剤に積載する給電システムの下で駆動する。別法として、硬化時間値または値の範囲は、レオロジー(またはスランプまたはスランプ流)またはプロセッサによる他の要因に基づいて、搭載された(トラック)プロセッサによって計算され得る。
【0038】
本発明の例示的な方法およびシステムは、GCP Applied Technologies Inc.がその関連会社であるVerifi,LLC(ともに米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)を通じて商品化している自動スランプ管理(監視)システムを使
用して実行され得ることが本発明者らによって企図されている。そのようなコンクリート監視システムは、バッチプラントからコンクリートが配置される作業現場へのコンクリートの輸送配送中にスランプまたは他のレオロジー特性(例えば、スランプフロー、降伏応力、粘度)を管理することを可能にする。特許文献には、様々な自動プロセス制御コンクリート監視システムが記載されている。そのようなシステムは、レオロジーおよび様々な他のコンクリート特性を監視し、混和剤を混合積載物に配送するように構成および/またはプログラムすることができる。例えば、本明細書に参照として組み込まれる、米国特許第8,020,431号明細書、米国特許第8,118,473号明細書、米国特許第8,311,678号明細書、米国特許第8,491,717号明細書、米国特許第8,727,604号明細書、米国特許第8,764,273号明細書、米国特許第8,989,905号明細書、ならびに、米国特許出願第11/834,002号明細書(米国特許出願公開第2009/0037026号明細書)、米国特許出願第14/052,289号明細書(米国特許出願公開第2012/0016523号)、米国特許出願第14/052,289号明細書(米国特許出願公開第2014/0104066号)、米国特許出願第14/052,310号明細書(米国特許出願公開第2014/0104972号)、国際出願第PCT/US2015/025054号明細書(国際公開第2015/160610号明細書)、および国際出願第PCT/US2014/065709号明細書(国際公開第2015073825号明細書)を参照されたい。
【0039】
さらに、力センサ(応力または歪みゲージを使用する)などの他のセンサが使用されて、トラックミキサードラム内のコンクリートのスランプを監視することができると考えられる。例えば、Bermanの米国特許第8,848,061号明細書および米国特許出願公開第2015/0051737号明細書(Sensocrete Inc./GCP
Applied Technologies社)、Denis Beaupreらの米国特許第9,199,391号明細書(I.B.B.Rheologie Inc.)、またはBenegasの米国特許出願公開第2009/0171595号明細書および国際公開第2007/060272号パンフレットを参照されたい。
【0040】
自動コンクリート監視システムは、「スランプ」を監視するために通例は使用されるが、本発明は、スランプフロー、降伏応力、粘度、および他のレオロジーパラメータなどの他のレオロジーパラメータの監視を含むことを理解されたい。具体的な用語「スランプ」は、便宜上用いられる。
【0041】
割り当てられたまたは入力された硬化時間値または値の範囲は、前述のように、システムプロセッサによって分析されたデータに基づいて自動コンクリート監視システムを使用することによって修正され得る。そのようなデータは、例えば、水分、湿度、温度、または他の特性を取得するために、作業現場で使用される電子センサから得られるデータを含むことができる。データはまた、同じ注入現場でコンクリートを事前に配送する別の(例えば、リード)トラックで使用されるコンクリート監視システムから取得されることもでき、そのようなデータは、スランプ、温度、含水量、混合もしくはバッチ割合、または搭載監視システムによって記憶もしくは導出された他の情報を含むことができる。
【0042】
様々な例示的な実施形態において、割り当てられた、または入力された硬化時間値の修正は、コンクリートが作業現場に配置された(すなわち、注入され、流し込まれ、スクリードされ、平らにされ、平滑化されるなど)後にコンクリートの1つまたは複数の特性を監視するために使用されるセンサから得られたセンサデータに基づいて、管理システムプロセッサによって行われ得る。
【0043】
コンクリート表面の上またはそこに配置されたセンサ。本発明者らは、コンクリートが適所に注入されると、コンクリートの表面を監視するために、1つまたは複数の可動式ま
たは可搬式センサが使用され得ることを想定している。例えば、1つまたは複数のセンサは、以下の段落でさらに説明するように、「無人航空機」(UAV)またはドローンで使用されることができ、または手持ち式ポールに吊り下げられることができ、またはスラブ、パッチ、もしくは注入されたコンクリートの他のセグメント上を移動され得るケーブルもしくはプーリ組立体を使用して吊り下げられることができる。別の例として、コンクリート(例えば、ショットクリート、鉱山へのコンクリートの注入、3D印刷プロセスなどにおけるコンクリートの堆積)を噴霧、注入、または堆積するためのノズルに1つまたは複数のセンサが使用され得る。使用することができるセンサの種類は、光学、赤外線、音響、電波、マイクロ波、電気抵抗率、電気容量、および超音波センサ、ならびに他のセンサタイプから選択されることができ、これらはすべて、コンクリートの可塑状態および/または硬化状態にある間にコンクリートの特性を測定するために知られているタイプのセンサである。
【0044】
ドローン上のセンサ。「無人航空機」(UAV)、すなわちドローンという語句は、遠隔制御によって飛行することができ、作業現場でのコンクリート配置を監視するための1つまたは複数のセンサと、クラウド内の1つまたは複数のプロセッサ、1つまたは複数の他の配送トラック、および/または現場のスマートフォン、タブレット、もしくは作業現場で他の携帯機器を含む1つまたは複数の携帯機器と通信するコンクリート配送トラックに搭載されたプロセッサなどの、プロセッサにデータ信号を送信するための無線送信機とを運ぶことができる装置を指す。例えば、米国特許第8,599,646号明細書において、Parrotは、超音波遠隔測定法デバイスを有するドローンを使用して、隣接するドローン信号からの干渉なしに距離およびトポグラフィを測定することを記載している。米国特許第13/998871号明細書において、Newmanは、ドローンが画像データを収集し、異常のためにデータを処理し、画像を物理的位置にペアリングすることを可能にするデータ収集システムを記載している。米国特許出願公開第14/843455号明細書(MetLife)は、センサデータを収集し、データを保険関連情報に変換し、無線通信を介してデータ情報を送信するためのドローンの使用を記載している。困難な領域でのドローンの使用を可能にすることができる改善もある。米国特許第8,874,283号明細書は、ドローンを閉鎖空間内で利用し、ドローンへの見通し線の有無にかかわらず制御することを可能にする方法を記載しており、これは建設現場で有利であり得る。
【0045】
建設分野では、ドローンは、主に建設現場のデジタル化および視覚化を可能にするのに使用されている(例えば、中国特許出願公開第104536456号明細書を参照されたい)。それらは、請負業者または他の現場計画者(例えば、TREMCO SkyBEAM(商標)アセットマッピングを参照されたい)に提示され得る航空画像を捕捉するために使用されてきた。米国特許出願公開第2017/0016874号明細書では、ドローンが建設現場のコンクリートに埋め込まれたセンサからデータ信号を収集することができることが開示されている。
【0046】
コンクリート内に埋め込まれたセンサ。本発明の例示的な実施形態では、埋め込み可能なセンサが使用され得る。これらは、注入されたコンクリートのマトリックス内に配置されるか、またはコンクリートが型または枠組みに注入される前に鉄筋に結び付けられ、有線または無線手段を介して、配置されたコンクリートの湿度、温度、硬化、および他の特性に対応するデータを送信する。例えば、埋め込まれたセンサは、構造監視のためにコンクリート構造物に使用されてきており、例えば、米国特許第4,943,930号明細書、米国特許第8,913,952号明細書を参照)、強度発現、例えば米国特許第7,551,085号明細書を参照、湿度測定、例えば、米国特許出願公開第2007/0116402号、ならびに腐食検出を含む他の用途については、例えば、米国特許出願公開第2015/0048844号明細書を参照。センサは、コンクリート配送トラックに収容されたプラスチックコンクリートの内部に配置されることさえ想定されており、例えば、
米国特許出願公開第2015/0212061号を参照されたく、とりわけスランプ、温度、および湿度などの特性を監視するように意図される。これらのセンサは、コンクリートが注入されるときにコンクリート中に留まることができ、例えば、硬化コンクリートスラブの強度発現の予測に使用され得る温度読み取り値を提供することができる。複数の市販のセンサをコンクリートに埋め込み、コンクリートの温度および/または湿度状態を示す、またはそれに対応する信号を生成することができる。これらには、カナダのGiatec(SMARTROCK(商標)およびBLUEROCK2(商標)センサ)、マサチューセッツ州ケンブリッジのConcrete Sensors Co.(NOVOCRETE(商標)センサ)、MATOlog of Finland(例えば、CURE(商標)センサ)、ミシガン州グランビルのWake Inc.(HARDTRACK(商標)センサ)、ペンシルベニア州ピッツバーグのQuadrel LLC(vOrb(商標)センサ)、オレゴン州ウィルソンビルのFlir(INTELLIROCK(商標)センサ)、およびカナダのAOMSの(LUMICON(商標)センサ)が含まれる。
【0047】
上述のセンサの多くは、電気抵抗率または電気容量測定を通じて湿度を測定し、温度を測定するための熱電対および/または圧電センサを含み、それらは、温度、湿度、および他の成熟度データのリアルタイム監視およびロギングのために、携帯用デバイス、リモートプロセッサ、および/またはクラウドにデータ信号を無線で送信する。これらのようなセンサの信号データは、1つまたは複数の物理的特性(例えば、バッチ処理後の様々な時点での圧縮強度)と相関させることができ、1つまたは複数の硬化促進剤、硬化遅延剤、または両方の混合物をコンクリートに導入することなどによって、スランプ監視システムのシステムプロセッサによって現在のコンクリート積載物を調節するために使用され得る。
【0048】
コンクリートに埋め込むことができる前述のセクションで述べたセンサのいくつかは、コンクリートの表面に対して位置決めされるか、またはコンクリートの表面上に配置される場合にも使用され得る。例えば、1つまたは複数のセンサは、コンクリートが流し込まれる枠組みまたは型に固着されることができ、または、鉄筋、外装、トンネル壁、基礎、またはコンクリートが流し込まれ、または噴霧される他の構造物に結合または締結される。
【0049】
本発明の様々な例示的な実施形態は、これらの様々な実施形態のいくつかのさらなる例示的な態様と共に、以下に記載される。
【0050】
第1の例示的な実施形態では、本発明は、コンクリートの配送を調整するための方法であって、
(A)各々が、コンクリート積載物を含むミキサードラムと、レオロジー(例えば、スランプ、スランプ流、および降伏応力)およびドラム内のコンクリート積載物の少なくとも1つの硬化時間値または値の範囲(例えば、初期硬化時間、最終硬化時間、圧縮強度もしくはこれらの組み合わせ、または他の値)を監視するためのプロセッサ制御システムとを有する少なくとも2つの配送トラックを提供するステップであって、プロセッサが、
i.作業現場への配送のために、ミキサードラムに積載されたコンクリートに割り当てられた少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲にアクセスするステップと、
ii.経時的に監視された水和に基づいて、コンクリート積載物の少なくとも1つの現在の硬化時間値または値の範囲を計算するステップと、
iii.少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲を、計算された少なくとも1つの現在の硬化時間値または値の範囲と比較するステップと、
を含む機能を実施するようにプログラムされるステップと、
(B)少なくとも2つの配送トラックから注入されるコンクリート積載物の逐次的配置
、仕上げ、離型、枠組み除去、または圧縮強度段階を実行または修正するために、少なくとも2つの配送トラックコンクリート積載物のうちの少なくとも1つ内に硬化促進剤、硬化遅延剤、またはそれらの混合物を導入することによって、現在の硬化時間値(複数可)または値の範囲(複数可)を調節するステップと、
を含む方法を提供する。
【0051】
この第1の例示的な実施形態の第1の態様では、レオロジーを監視するためのシステム(例えば、スランプ)は、1つまたは複数の液圧センサ(例えば、充電圧力ポートおよび放電圧力ポートの両方のセンサに関する米国特許第8,818,561号明細書を参照されたい)、力センサ(例えば、歪みゲージまたは応力ゲージ)、音響センサ、またはこれらの組み合わせの使用に基づくことができる。様々な既知のレオロジー監視システムが上記に記載された。特に好ましい監視システムは、ドラム回転速度モニタ(例えば、ジャイロスコープ、ドラム上の加速度計、またはその両方)と組み合わせた液圧センサに基づく。記憶されているかまたは現在のいずれかの硬化時間値または値の範囲は、例えば、自動スランプ監視システムを使用して、好ましくは所与のコンクリートスランプでコンクリート積載物の温度変化を経時的に監視することによって生成され得る。経時的なコンクリート積載物の監視は、いくつかの方法で行われ得る。例えば、コンクリート積載物の温度が経時的に測定され、バッチ量(バッチプラントでの積載物サイズおよび任意の時点で添加される任意の追加の水または混和剤を含み、加えてコンクリートの年齢を含む)と共に考慮され得る。作業現場で注入した後のコンクリート積載物は、いくつかの重複があり得るが、好ましくは一致しない硬化時間値または値の範囲を有する。他の例示的な態様では、第1の作業現場は、最終的な「注入現場」ではない可能性があり、その場合トラックは第1の作業現場から別の作業現場に移動するように別ルートで送られて、全積載物または部分積載物を配送する。コンクリート積載物に対する現在の硬化時間値または値の範囲の調節は、例えば、硬化促進剤、硬化遅延剤、またはそれらの混合物の投与量を管理することによって達成され得る。
【0052】
第1の例示的な実施形態の第2の態様では、「経時的に監視された水和に基づいてコンクリート積載物の少なくとも1つの現在の硬化時間値または値の範囲を計算するステップ」を含む上記のセクションA(ii)に現れる語句は、温度変化または温度変化率の追跡に加えて、含水量、スランプ変化、または水和状態を追跡する他の既知の手段を含む、時間のコンクリートの水和を追跡するための多くの既知の方法のうちの1つを含むことができる。このような追跡は、ミキサードラム内のコンクリート成分と共に最初にバッチ処理されたセメント質材料の量に関する情報を含むことが好ましく、これはバッチプラントによって発行されたチケットから得られ得る。
【0053】
第1の例示的な実施形態の第3の態様では、少なくとも2つのコンクリート配送トラックのうちの少なくとも2つは、異なるバッチプラントから生じるコンクリート積載物を運ぶ。
【0054】
上記の第1の例示的な実施形態に基づくことができる第2の例示的な実施形態では、本発明は、ステップ(A)において、少なくとも3つの配送トラック(より好ましくは少なくとも6つのトラック)が用意され、各々が、コンクリート積載物を含むミキサードラムと、レオロジーを監視し、ドラム内のコンクリート積載物の硬化時間値または値の範囲を監視するためのプロセッサ制御システムとを有し、プロセッサが、機能(i)、(ii)、および(iii)を上述の通りに実行するようにプログラムされ、少なくとも3つの配送トラック(より好ましくは少なくとも6つのトラック)の各々が、コンクリート積載物の記憶された硬化時間値もしくは値の範囲または現在の硬化時間値もしくは値の範囲を調節する、方法を提供する。
【0055】
上記の第1または第2の例示的な実施形態に基づくことができる第3の例示的な実施形態では、本発明は、記憶された硬化時間値または値の範囲と現在の硬化時間値または値の範囲の両方が調節される方法を提供する。
【0056】
上記の第1から第3の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第4の例示的な実施形態では、本発明は、記憶された硬化時間値または値の範囲が、注入時のコンクリートの推定年齢(estimated age)を含む要因に基づいて計算される方法を提供する。推定年齢は、例えば、通行、作業現場状況、または他の要因に基づいて計算することができる。
【0057】
上記の第1から第4の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第5の例示的な実施形態では、本発明は、硬化時間値または値の範囲が、(a)仕上げの開始、(b)仕上げの完了、(c)枠組みまたは型をコンクリートから除去するステップ、(d)コンクリート上の徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)張力をかけられたケーブルをジャッキから解放するステップ(プレストレストコンクリート用途で使用される)、(f)張力をかけられた後のケーブル(張力をかけられた後のコンクリートに関して)を固着またはグラウトするステップ、または(g)先に注入されたコンクリートの上部にさらにコンクリートを流し込むステップのための時間値から選択される方法を提供する。
【0058】
上記の第1から第5の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第6の例示的な実施形態では、本発明は、配送トラックプロセッサ制御システムの少なくとも1つによってアクセスされる、またはアクセスされ調節される記憶された硬化時間値または値の範囲が、(a)トラックミキサードラム内のコンクリートを調達したバッチプラントによって提供されるチケット情報(例えば、チケット情報は、配合設計、材料バッチ重量、コンクリート積載物体積、含水量もしくは水/セメント比、またはそれらの組み合わせを含むことができる)、(b)トラックミキサードラムからコンクリートが流し込まれる作業現場の監督者(例えば、監督者は、周囲温度、相対湿度、風速、紫外線指数、交通渋滞、作業員の状態などを含むがこれらに限定されない作業員条件を考慮に入れることができる)、(c)作業現場または別の作業現場に注がれ、もしくは配置されたコンクリート内に埋め込まれた、その表面に対して配置された、またはその中に埋め込まれた湿度、水分、および/または温度センサ(またはそのようなセンサの組み合わせ)からデータ信号を受信するプロセッサ、または(d)レオロジーおよびコンクリート積載物の硬化時間値または値の範囲を監視するためのプロセッサ制御システムを有する別のコンクリート配送トラック(例えば、以前の硬化時間値または値の範囲を有する作業現場でコンクリートを注入する主要な配送トラックまたは他の配送トラック)を監視するプロセッサから導出される方法を提供する。
【0059】
第6の例示的な実施形態の第1の態様では、湿度、水分、および/または温度センサは、注入されたコンクリートの表面内に埋め込まれ、および/または表面上に配置され得る。
【0060】
第6の例示的な実施形態の第2の態様では、空中ドローン、ケーブル、ポール、または他の懸架手段を使用して、作業現場で注入されたコンクリートの上方に1つまたは複数のセンサが懸架され得る。この用途に好ましいセンサは、光学、赤外線、音響、電波、マイクロ波、電気抵抗率、電気容量、および超音波センサ、またはそれらの組み合わせから選択され得る。これらのセンサは、コンクリートの水和状態または速度を示すデータ信号を提供することができ、そのようなデータ信号は、好ましくは無線で送信することができ、その結果、配送トラックに搭載されたシステムプロセッサは、コンクリート積載物の現在の水和状態を監視することができ、情報を記録および記憶することができ、その結果、後
に履歴(記憶)情報として使用し、目標硬化時間値または値の範囲と相関させることができる。
【0061】
第6の例示的な実施形態の第3の態様では、センサ(例えば、導電性、超音波)は、ショットクリートの噴霧塗布に使用される1つまたは複数のノズルまたはホース、3D印刷プロセスにおいてコンクリートを堆積させるため、またはトンネルもしくはプレキャストコンクリート形状を作製するためなどのコンクリート部分を押し出すためのノズル内など、作業現場でコンクリートを注入または堆積するためのホース内で使用され得る。
【0062】
上記の第1から第6の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第7の例示的な実施形態では、本発明は、少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲を調節するステップと、少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲に対して行われた調節の報告または指示を提供するステップとをさらに含む方法を提供する。この例の第1の態様では、配送トラックの監視システムは、少なくとも1つの記憶された硬化時間値または値の範囲、例えば初期硬化時間、最終硬化時間、コンクリートから枠組みを除去する時間を使用し、上記の第6の例示的な実施形態で説明したように取得されたような新しいデータ情報に基づいて記憶された値または値の範囲を調節することができる。したがって、コンクリートが注入される(または噴霧される、あるいは配置される)作業現場の監督者は、作業現場での遅延のために硬化時間に5分または10分を追加するようにプロセッサに指示を送ることができる。別の例として、遠隔プロセッサ、またはさらには配送トラックのコンクリート積載物を監視するために使用されるプロセッサは、以前に注入されたコンクリートに埋め込まれた、またはその上またはそれに対して配置されたセンサから導出されたデータ信号または他の情報を受信し、記憶された硬化時間値を調節することができ、その結果、トラックシステムプロセッサは、修正された値を使用してトラック内のコンクリート積載物の現在の硬化時間値を調節することができる。さらなる例では、システムは、記憶された硬化時間値または値の範囲に対して行われた調節の記録または確認を可能にする。
【0063】
この例示的な実施形態の第2の態様では、記憶された硬化時間値に対する調整は、他のコンクリート配送トラック上のコンクリート監視システムに送信され、またはコンクリート監視システムによって検索され、注入現場での注入および仕上げイベントの調節に使用され得る。
【0064】
上記の第1から第7の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第8の例示的な実施形態では、本発明は、コンクリートの温度、コンクリートの温度変化率、コンクリートのバッチ量または配合設計、コンクリート積載物に添加される水または混和剤(例えば、セメント分散剤、化学可塑化または超可塑化混和剤)の調節、レオロジー(例えば、スランプ、スランプ流、降伏応力)、またはコンクリートの他の特性から選択される少なくとも1つの要因に関して、現在の硬化時間値または値の範囲を記憶された硬化時間値または値の範囲と比較する方法を提供する。
【0065】
上記の第1から第8の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第9の例示的な実施形態では、本発明は、少なくとも2つの配送トラックのうちの1つにおけるコンクリート積載物の少なくとも1つが戻りコンクリート(例えば、同じまたは異なる作業現場から戻され、場合により、しかし、おそらくミキサードラム内の部分残留積載物に投与された硬化遅延剤混和剤を含有する可能性が高い)であり、さらに、記憶された硬化時間値または値の範囲と現在の硬化時間値または値の範囲との比較は、作業現場から戻されたコンクリートの最初のバッチ処理からのコンクリートの年齢を考慮することを含む。
【0066】
上記の第1から第9の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第10の例示
的な実施形態では、本発明は、第1の配送トラックからの第1のコンクリート積載物が所定の位置に注入され、第1のコンクリート積載物が可塑状態にある間に、第2の配送トラックからの第2のコンクリート積載物が第1のコンクリート積載物の上に注入され、第1の積載物および第2の積載物は、重複する硬化時間値または値の範囲を有する。
【0067】
例えば、米国特許第7,968,178号明細書において、Scurtoらは、連続的に流し込まれたスラブの間に一体化された区域を生成するために、まだいくらか可塑状態にある間にコンクリートの第1のスラブを第1のコンクリートスラブ上に流し込むことができることを開示した。このようにして、本発明は、まだ可塑状態にある以前のコンクリート上に注入され、噴霧され、印刷され、堆積され、あるいは配置されたコンクリート間の結合を容易にするために、作業現場での連続的または隣接するコンクリート積載物配送の間のように、硬化時間値または硬化時間の値の範囲がわずかに重なり合うことを可能にすることができる。建設業界では、請負業者が「第1の分量」(first lift)(例えば、第1のコンクリートの質量または構成)を流し込み、次いで第1の分量の上に「第2の分量」を流し込むことについて話すのを聞く可能性がある。これは、流し込み自己圧密または自己圧密コンクリートに関連することが多い。コンクリートは、その流動性のために迅速に流し込まれ得るが、流動コンクリートは枠組みに大きな力を与える可能性があり、枠組みが壊滅的に破損する「破裂」のリスクを高める。調整された硬化時間に基づいて、流動コンクリートを硬化させたままにすることができ、そこで次の「分量」を安全に流し込むことができる。
【0068】
上記の第1から第10の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第11の例示的な実施形態では、本発明は、予め配送され、作業現場に配置されたコンクリートの記憶された硬化時間値または値の範囲が、作業現場でノズル、ホース、または導管を通るコンクリートの堆積または噴霧中にコンクリートのノズル、ホース、または他の導管内の少なくとも1つのセンサによって生成されたデータ信号から取得または導出される方法を提供する。例えば、センサは、電気伝導率センサ(または、電極を介して電流を送ることができ、コンクリートの伝導率を測定することができるように、ノズルおよび/またはホース内で離間された2つの電極)とすることができ、またはセンサは、前述のタイプのセンサ(例えば、赤外線(IR)、超音波)であることができる。
【0069】
上記の第1から第11の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第12の例示的な実施形態では、本発明は、配送トラックの少なくとも1つのコンクリート積載物の一部が第1の作業現場に注入され、注入から15分以内、より好ましくは10分以内に、1回の投与量の硬化遅延剤が配送トラック内のコンクリート積載物の残りの部分に導入され、残りの部分が配送トラックによって第2の作業現場に輸送され、第2の作業現場の所定の位置に注入される方法を提供する。この例のさらなる態様では、その後の少なくとも1回の投与量の硬化遅延剤が、第1の作業現場から第2の作業現場への移動中にコンクリート積載物の残りの部分に投与される。
【0070】
上記の第1から第12の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第13の例示的な実施形態では、本発明は、少なくとも5台(より好ましくは少なくとも10台)の配送トラックが、硬化時間値または値の範囲がステップ(B)に従って調節される、コンクリート積載物を有するステップ(A)に従って提供され、前記調節は、作業現場に配置されたコンクリートの経時的な水和を監視するための少なくとも1つのセンサから取得または導出された信号データに基いて硬化時間値または値の範囲の計算を使用して実施される方法を提供する。
【0071】
この13の例示的な実施形態の第一の態様では、作業現場における複数のコンクリート配置場所の経時的な水和信号データは、光学、赤外線、音響、電波、マイクロ波、電気抵
抗率、電気容量、および超音波センサから選択される少なくとも1つのセンサによって生成され、少なくとも1つのセンサは、好ましくは、空中ドローンを使用してコンクリート配置場所の上を移動される。トラックコンクリート積載物のレオロジーを監視するために使用されるプロセッサなどのプロセッサが、少なくとも1つのセンサから得られた経時的な水和データと相関する硬化時間値または値の範囲を得るために、得られたデータ信号を以前に記憶されたデータ信号と比較するようにプログラムされることができ、さらに例示的な実施形態では、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、または携帯型スマートフォンもしくはスマートウォッチなどのプロセッサが、硬化時間値もしくは値の範囲、または硬化時間値もしくは値の範囲に基づく提案されたシーケンス優先度と共に複数のコンクリート配置場所の絵図もしくは地図を生成するために使用されることができ、それによって、(a)仕上げの開始、(b)仕上げの完了、(c)枠組みまたは型をコンクリートから除去するステップ、(d)コンクリート上の徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)張力をかけられたケーブルをジャッキから解放するステップ(例えば、プレストレストコンクリート用途で使用されるなど)、(f)張力をかけた後のケーブルの固着またはグラウト(例えば、張力をかけた後のコンクリート用など)、あるいは(g)先に注入されたコンクリートの上部にさらにコンクリートを流し込むステップに関して逐次的な処理に適した配置の指示を提供することができる。
【0072】
第2の態様では、様々な配置されたコンクリート区画の水和状態は、暗さにおいて水和状態に対応する、暗くなった区画に関して、または他の視覚的補助の観点から視覚的モニタに表示されることができる。
【0073】
上記の第1から第13の例示的な実施形態のいずれかに基づくことができる第14の例示的な実施形態では、本発明は、配置されたコンクリート積載物の硬化時間条件を監視するための方法もまた提供し、その方法は、
水和を示すデータ信号を取得するために、配置されたコンクリートの経時的な水和を監視するための少なくとも1つのセンサ(例えば、光学、赤外線、音響、電波、マイクロ波、電気抵抗率、電気容量および超音波センサから選択されるセンサ)を有する少なくとも1つの空中ドローンを作業現場で複数のコンクリート配置場所にわたって移動させるステップと、
少なくとも1つのセンサから得られた経時的な水和データと相関する硬化時間値または値の範囲を得るために、得られたデータ信号を以前に記憶されたデータ信号と比較するステップと、
硬化時間値もしくは値の範囲、または硬化時間値もしくは値の範囲に基づく提案されたシーケンス優先度と共に複数のコンクリート配置場所の絵図もしくは地図を生成するステップであって、それによって、(a)仕上げの開始、(b)仕上げの完了、(c)枠組みまたは型をコンクリートから除去するステップ、(d)コンクリート上の徒歩通行または自動車通行を許可するステップ、(e)張力をかけられたケーブルをジャッキから解放するステップ(例えば、プレストレストコンクリート用途など)、(f)張力をかけた後のケーブルの固着またはグラウト(例えば、張力をかけた後のコンクリート用など)、あるいは(g)先に注入されたコンクリートの上部にさらにコンクリートを流し込むステップに関して逐次的な処理に適した配置の指示を提供するステップと、
を含む。
【0074】
この第14の例示的な実施形態の第1の態様では、絵画図または地図は、携帯型デバイス上で、または別の例として、現場監督者が着用するゴーグル上で生成され得る。絵画図は、例えば、注入現場マップ上で見たコンクリート配送トラックの写真または画像であってもよく、トラック画像またはコンクリートセグメント画像上にデジタル値および/または色を上塗りすることを可能にする。したがって、現場監督者は、注入状態に関する視覚情報(すなわち、硬化時間値)に従って、注入のためにラインに入るように、または注入
するように配送トラックに指示することができ、および/または必要な設定値または特性を有する注入されたコンクリートのそれらのセグメントへ仕上げ作業員を向けることができる。
【0075】
図3は、本発明の特定の実施形態による例示的なプロセスを示すブロック図である。まず、配置場所にコンクリートが配送され(ブロック22)、次いでコンクリートが注入され、広げられ、固められる(ブロック24)。このように配置されたコンクリートの各コンクリート配送トラック積載物(またはコンクリート配送トラック積載物のグループ)について、UAV(またはUAVのフリート)は、光学および熱信号に基づいて遠隔測定法を使用して配置されたコンクリートの1つまたは複数の外周を決定することができる(ブロック26)。例えば、枠組みとコンクリートは通常異なる温度を有するので、色差(逐次的画像の比較から決定される)、またはコンクリートからの熱シグネチャは、枠組みエッジまたは事前に配置されたコンクリートから注入されたコンクリートを描写することができる。別法として、注入前と注入後とを比較する画像分析はまた、配置されたコンクリートの外周を決定するのに役立つことができる。この情報を使用して、例えば、コンクリートを配送したコンクリート配送トラックの識別(例えば、コンクリート配送トラック番号)、バッチチケット(コンクリート成分または配合設計、例えば含水量を含有する)、コンクリートが注入された時間、およびコンクリートの位置と共に、プロセッサがアクセス可能なデータベースがアップロードされ得る。この情報は、型のすべての区画が適切に充填されているかどうかを決定するのに役立ち、そうでない場合、請負業者に、振動させ、より多くのコンクリートを追加するように警告することができる。
【0076】
また、図3に示すように、コンクリート物品は、異なる特性(ブロック30、32、35、36および38)について監視され得る。例えば、UAVは、コンクリートが硬化する前に対処すべき圧密問題を示し得る密度の差について、注入されたコンクリート物品を走査することができる。これを実行するためにUAVによって使用され得る利用可能な技術には、核密度計、地上貫通レーダ、またはキャパシタンスエネルギー散逸(例えば、米国特許第5,952,561号明細書を参照されたい)が含まれる。本発明者らはまた、空気結合表面波測定を本発明で使用できることを想定している(例えば、米国特許出願公開第2013/0289896号明細書を参照されたい)。密度の差が発見された場合(ブロック40)、影響領域は、例えば、モバイルアプリケーションによって請負業者へ中継されることが可能であり、それにより、請負業者は、さらなる圧縮または振動によって圧密がどこに対処される必要があるかを視覚的に見ることができる。これは、例えば、指定された位置に振動ロッドを挿入することによって達成可能であり、追加のコンクリートが追加される必要さえあり得る。さらに、拡張現実法を利用して、問題の領域(例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,922,590号明細書および同第8,943,569号明細書を参照されたい)をより容易に見ることもできる。
【0077】
配置および圧密の後、UAV(ドローン)は、例えば、再仕上げを必要とする高スポットおよび低スポットの領域を決定するために、光学遠隔測定法または地上レーザ走査などの画像装置を使用してコンクリート物品のトポグラフィを周期的に走査することができる。スクリードプロセスおよび初期フローティングプロセス(これは、押し付け均し、直線縁取り、および仕上げこてを含む)の間、UAVはコンクリート物品を定期的に走査し、表面水分などの特性を決定することができ、これは、他の方法の中でも、光学遠隔測定法(例えば、光反射率、または過去の画像と現在の画像との比較)、水に敏感な近赤外検知(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,265,846号明細書を参照されたい)、レーダ(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,207,323号を参照されたい)によって決定され得る。周期的な走査は、連続的な走査を含むことができ、または例えば5分ごと、または10分ごとのフライバイなどの連続的な走査を含むことができるが、コンクリートの硬化速度または硬化速度の変化に基づいて
頻繁に行う必要があると考えられる。フライバイのルートはまた、例えば、監視されているコンクリート物品の区域、または単に遮られていない飛行ルートに基づいて変更され得る。測定値がコンクリート物品にわたって経時的かつ空間的に収集されると、表面水分を予測することができるように予測数学モデルを構築することができる。そのようなモデルを使用して、建築現場の請負業者に有用な情報を送信することができる。モバイルアプリケーションまたは拡張現実方法をラップトップまたはスマートフォンデバイス上で使用して、例えば、所定の閾値をまもなく超える表面水分を有する注入されたコンクリートの区画を示すことができ、それによって請負業者は、スクリードおよび初期フローティングがいつどこで完了されなければならないかを決定することができる(図3のブロック42を参照されたい)。適用可能な加工性ウィンドウの外側でのスクリードおよび/または初期フローティングは、コンクリート表面の粉塵または拡大縮小につながり、したがって、回避されるべき修理コストにつながる。
【0078】
図4は、注入されたコンクリートスラブの鳥瞰図を示す。これは、注入されたスラブの硬化時間挙動の視覚的表示を生成するための有用な数学的モデルをどのように生成できるかについての考察を開始する。水分測定は、2つの注入区画AおよびB(便宜上並べて示されている)において行われる。図5は、特定の時間(t=20分)における各スラブ区画AおよびB(66および75%)の水分を示す。測定位置は、格子状に整列される必要はなく、または同じ位置で一貫して取られる必要はない。この考察のために、経時的な測定値の位置は一定に保たれる。測定は、経時的に2つの位置(図4に示すAおよびB)のそれぞれで行われる。より多くのデータが収集されるにつれて、モデルはリアルタイムで洗練され得る。言い換えれば、収集された新しいデータ点ごとに、新しいデータを考慮に入れるためにモデルが再構築または洗練される。予測モデルは、経時的な監視される特性(例えば、温度、強度、硬化時間または水分)に関連するデータ曲線の1つまたは複数の特徴を検出することを目的とする。特徴は、局所的または全体的な極値(例えば、山または谷)、または変曲点、または単に所定の閾値を超えるか下回ることであり得る。この場合、経時的な水分を表す曲線の変曲点が、コンクリートを仕上げるのに最適な時間を表すと仮定する。ここでも、コンクリートを仕上げるには、スラブの最小剛性および表面の最大水分が必要である。さらに、コンクリートが硬化し、より多くの水が表面を離れるにつれて、仕上げがより困難になる。したがって、最適な時間が存在する。
【0079】
図5では、最適な時間以降の完全な水分の発生が各区画についてプロットされている。マーカ「O」および「X」は収集されたデータを表し、一方、線は標準的な最小二乗法を使用したロジスティック関数フィットを表す。陰影区域は、区画AおよびBに適した仕上げウィンドウを示す。これは、履歴データ間の比較、例えば、仕上げウィンドウを直接測定し、同じ期間にわたって得られたセンサデータ信号と比較された貫入試験(例えば、ASTM C403-16を参照されたい)によって決定され得る。図から分かるように、変曲点はウィンドウ内に存在する。したがって、変曲点をリアルタイムで決定することができる場合、仕上げプロセスを開始するように請負業者は警告され得る。
【0080】
場合によっては、ウィンドウの中央ではなく、仕上げ性時間ウィンドウの開始時に請負業者に警告することがより有用であり得る。この場合、二次導関数は、データにフィットする関数の仮定された形態(例えば、ロジスティック関数、二次関数、線形関数などである)について標準的な計算技法を使用して計算され得る。時間に対する二次導関数は、有限差分を使用して数値的に計算され得る。後者のプロセスを使用して、元のデータの平滑化が必要な場合があるが、仮定された関数形式(例えば、ロジスティック関数)を仮定する必要はなく、これは、関数の形式を事前に決定することが困難な場合に利点となり得る。
【0081】
図6は、別の例示的な実施形態のグラフ図であり、仕上げを開始または完了できる時を
提案するために、二次導関数が使用されてより高い解像度のデータを生成することができる。
【0082】
さらに、仕上げが開始および終了できる時間値を予測するために、さらなる分析を実行することができる。時間に関して三次導関数をとることは、二次導関数の最大値または最小値を示す三次導関数がどれだけ0に近いかを監視するのに役立つことができる。三次導関数がどれだけ速く0に収束しているかに基づいて、最大値および最小値が発生する時間(したがって、仕上げウィンドウの開始および終了)が予測され、請負業者または他の作業現場職員に報告され得る。
【0083】
初期フローティング作業が行われた後、縁取りまたは接合が実施される前にコンクリートにわずかな補剛が行われなければならないが、そのような補剛は、「わずか約1/4インチ(6mm)の くぼみを伴う足圧を維持する(している)」と記載されている。例えば、ACI302.1R-15を参照されたい。別法として、ドローン搭載センサは、圧力手段(例えば、ドローンに取り付けられた力プローブまたは貫入計)を介して、せん断音波またはレイリー波を測定するための超音波トランスデューサ/受信機/送信機ユニットを介して、あるいは、別の例として、電気抵抗率または温度センサを介して、コンクリートの剛性などの特性の定期的な監視に使用され得る。時間および空間(スラブなどのコンクリート物品の領域)にわたって連続的に測定することにより、予測数学モデルが構築されて、前述したのと同様に補剛を予測することができる。例えば、初期硬化のために温度を監視することは、コンクリート物品を仕上げる時間を示すことができる。時間に対する温度の二次導関数をとることによって(仮定された関数を使用して、または有限差分を介して)、二次導関数の極大値は初期硬化を示すことができる。前述のように、他のセンサからの出力を用いて同様の手法をとることができる。この情報は、注入されたコンクリート区画のどの部分が十分であると示すか(例えば、所定の閾値を超える)に関する視覚的表示を提供するように、そのような数学的モデルを使用して提示され得る。この情報を使用して、請負業者は、仕上げ業者に、コンクリートの特定の区画上でのパワーフローティングおよびこて塗を開始するように指示することができる。コンクリートの配置順序は、例えば、より大きな程度に太陽または風にさらされる領域に配置されたコンクリートが硬化時間挙動を加速させた可能性があるため、より早く注意する必要がある区画に対応できない可能性があり、または、例えば(例えば、図3のブロック44を参照されたい)コンクリートのトラック積載量の不一致も、硬化時間挙動を変化させる可能性がある。
【0084】
一旦パワーフローティングが完了したら、こて塗作業中に、UAVはコンクリート物品を定期的に走査し、光学遠隔測定法または地上レーザ走査によって表面の色およびテクスチャを決定することができる(図3のブロック46)。時間および空間にわたる連続的な測定(物品の領域、例えばスラブの領域)は、仕様外(例えば、色分析による)または終了していない位置(例えば、テクスチャ解析による)を請負業者に中継して(ここでも、例えば、モバイルアプリケーションまたは拡張現実法を介して)、もはやこて塗の必要がない領域および依然として仕上げを必要とする領域を示すことができるように、位置間の比較を可能にする(ブロック50)。これにより、有害な表面色およびテクスチャ変動を防止することができる。
【0085】
図4図6は、測定値が規則的な間隔で区画の中央で収集された2つの区画からなる単純なグリッドの時間および空間モデルの使用を示しているが、図7a~図7dは、一般にドローンと呼ばれる無人航空機(UAV)に搭載された1つまたは複数のセンサを使用して収集されたデータの使用により、より複雑であるがより一般化された方法で、予測モデルを発展させることができる方法を示している。
【0086】
図7aでは、50個の仮想測定値がドローン上のセンサの使用によって収集されており
、各測定位置は、その隣に数字を付した円で示されている。測定は、規則的な格子状に行われる必要はない。7a~7dのそれぞれにおいて、50個の測定値を使用してボロノイ図を作成した。各ボロノイ「セル」は、各測定に関連付けられた領域である。これは、領域内の点のグループに基づいた区域に領域を分割する標準的な方法である。本質的に、各測定について、領域またはセルは、任意の他の測定よりもその測定に近いすべての領域として定義される。図7aは、正規化された値に対応する各区域に対して灰色の濃淡を使用する。例えば、これは、物品の水分、温度、または剛性、または音響測定さえも表すことができる。図7aは、基準時間(例えば、コンクリートが配置されたとき、またはコンクリートがバッチ処理されたとき)の10分後の物品にわたる正規化された値をさらに示す。
【0087】
図7b~図7dは、基準時間後のそれぞれ30分、60分、および80分の時点で、注入されたコンクリートの様々な区画の上に配置された、ドローン(UAV)上の1つまたは複数のセンサを使用した後続の仮想硬化時間値(水和状態)測定を示す。測定値は、必ずしも前の期間と同じ位置にある必要はない。異なる位置が経時的に測定される場合、好ましくは、代表的なサンプリングを得るために多数の測定が行われるべきである。注入されたコンクリートの同様に挙動する区域を一体にグループ化できることが想定される(例えば、2つの間の温度差が所定の閾値を下回る場合)。時間が経過するにつれて、図7a~図7dに示す例示的な実施形態に示すように、陰影区域は暗くなるが、すべてが同じ速度ではない。特に、右下の角は、物品の残りの部分ほど速く暗くならない。これは、単に、この区画が物品の残りの部分よりも遅い時間に注入された結果であり得るか、またはコンクリート混合物が同じではない(例えば、特定の積載物における異なる含水量)など、より複雑な理由であり得る。いずれにせよ、各区域(この場合、右下隅区域および相補的区域)について各期間に収集されたデータを使用して、経時的に関係またはモデルを発展させることができる。
【0088】
図8は、上記で提案されたモデルの仮説例を示す。各マーカは、所与の期間における特定の区域についての平均センサ測定値またはデータ信号値を表す。60分において、データは、各曲線の点線部分によって表される将来の挙動を予測するためにモデルをフィットさせるために使用される。水平の一点鎖線は、「パワーフローティングを開始する」などの仕上げイベントをトリガする閾値を表すことができる。このトリガ点は、測定値を過去の配送から得られた経験的データと比較することによって決定され得る。より好ましくは、特定の特性(または特性の組み合わせ)をトリガ点と相関させることができる。
【0089】
図8はまた、モデルにどのようにロジスティック関数を使用できるかを示している。トリガ点は、ロジスティックデータ曲線の変曲点、例えば曲線が凹状から凸状に(またはその逆に)変化する点に相関させることができる。この例を使用すると、図7cの右下区域に示されているコンクリート部分のパワーフローティングは約20分で開始することができ、他の区画のパワーフローティングは約3分で開始することができる。この予測ツールは、(例えば)早すぎるかまたは遅すぎるパワーフローティング活動からの深刻な表面損傷を防止することができる。
【0090】
多くの異なるセンサは、仕上げプロセスの異なる段階をいつ開始し完了するかを示すことができる情報を得るために、時間と空間の両方にわたって測定値を提供することができる。コンクリート物品の表面水分または剛性の変化などの物理現象の間に関係を発展させることができる。これらの関係のいくつか、例えば、貫入試験とスラブ剛性との間の関係が文献に存在する。他の関係は、より詳細な分析および追加のパラメータを必要とする。例えば、光学センサを使用する場合、マシンビジョン(例えば、Machine Vision,R.Jain,R.Kasturi,B.Schunckを参照されたい)は、例えば表面水分の変化に関連し得る後続の画像上の特性を抽出するための有用な数学的ツ
ールとなり得る。色、陰影およびテクスチャ特性の決定は、特に有用であり得る。例えば、平均強度、エントロピー、エネルギー、コントラスト、均一性および相関計算を使用して、経時的な後続の画像(例えば、Machine Vision,R.Jain,R.Kasturi,B.Schunck,pp.234-248を参照されたい)を分析することができる。異なる特性は、異なる状況(例えば、屋内スラブ対屋外スラブ)に対して多かれ少なかれ敏感である。
【0091】
仕上げ作業の改善以外に、ドローンには他の用途がある。例えば、時間的および空間的方法の両方でコンクリート物品からデータを収集する同じ方法を使用して、温度、水和(例えば、初期および最終硬化)、コンクリート強度(例えば、ASTM C1074-17などの成熟方法を介して)、および水分の経時変化の数学的モデルを生成することができる。各点または点のグループが記録されると、センサ測定値をプロセッサに供給して、予測モデルを再生成するか、または新しいデータ点を含むように更新することができる。したがって、予測モデルは新しいデータに適応し、単なる静的モデルではない。この予測はさらに、請負業者が作業現場でロジスティック決定を行うことを可能にすることができる。
【0092】
さらに、硬化時間予測(初期硬化および最終硬化、ならびに表面仕上げを開始する時間または表面仕上げを完了することができる時間)は、どのコンクリート配送トラック積載物がコンクリート物品の区画に寄与したか、各コンクリート配送トラック積載物のバッチ重量、各コンクリート配送トラック積載物のスランプ、コンクリート配送トラック積載物の他のレオロジー特性、コンクリート配送トラック積載物の空気含有量、各コンクリート配送トラック積載物の輸送中に投与されたものを含む総水量および混和剤投与量などを含む、コンクリートに関連する他のすべてのデータと共に記録され得る。これらのデータが生成されるにつれて収集し、データベースに記録することにより、所与の積載物(すなわち、注入前データ)についての関連するデータを硬化時間を含む注入後データに関連付けた追加の予測モデルを生成することができる。したがって、特定の作業現場に向けられた所与のコンクリート配送トラック積載物について、硬化時間を予測することができる。これは、後述する実施例4を通して示される。
【0093】
別法として、硬化時間推定値は、注入前条件が類似している場合(例えば、総含水量はコンクリート1立方ヤード当たり5ポンド以内であり、またはスランプは1インチ以内などである)、同じ仕事の特定の積載物が以前の積載物と類似の硬化時間を有すると仮定することによって得ることができる。予測された硬化時間を使用し、目標硬化時間と比較することによって、硬化時間の差を確立することができる。この差に基づいて、必要とされる任意の余分な時間と共に、適切な投与量の硬化遅延剤を計算し、コンクリート硬化時間を調節するように管理することができ、その結果、以下の仮説的な例示の詳細な説明で説明するように、コンクリートルート内またはルート変更の配置を調整することができる。
【0094】
図9は、各々が通常2つの作業現場に供給する2つのバッチプラントの例を示す。本発明は、一方の現場で未使用または拒否された部分的または完全な積載物を、他方の現場に直接または間接的に送ることを可能にする。プラント1(102のP)と作業現場A(104のJ)との間のルート110は、45分(1ウェイ)の輸送時間を有する。プラント1から作業現場B(108のJ)までのルート114の輸送時間は25分である。プラント2(116におけるP)とJとの間のルートは、10分の輸送時間である。P(106)とJ(104)との間のルート116の輸送時間は6分である。2つの作業現場JとJ間とのルート118の輸送時間は12分である。
【0095】
図9を参照すると、例示の目的のために、プラント1(102)が作業現場Aへの配送専用であり、プラント2(106)が作業現場B(108)への配送専用であると仮定す
ると、本発明は、プラント1から作業現場A(104)へのコンクリートが作業現場Aで拒絶されるが、作業現場B(108)に配送することができるシナリオを可能にする。このルート変更を認可するチケットを受け取るために、または混合(例えば、セメントを添加する)に調節を行うために、コンクリート配送トラックは、通常、両方向(すなわち、102のプラント1に戻らなければならない)にルート110を走行し、次いで108の作業現場Bへのルート112を走行しなければならない。この走行距離に要する時間の合計は、45×2+25=115分である(チケットの受け取りおよびコンクリートの調節に要する時間は含まない)。通常、作業現場B(108)は、通常は10分しか必要としないルート114によってプラントB(106)からコンクリートを受け取る。したがって、プラント1からの拒否された配送は、ルート114に沿って移動するプラント2から作業現場Bへの典型的な配送と比較して、105分古くなっている(115マイナス10=105)。したがって、プラント1からのコンクリートの仕上げ時間がプラント2からのコンクリートと比較して異なることは驚くべきことではない。これは、プラントAからのコンクリートが、プラントB(106)から作業現場B(108)に通常配送されるコンクリートと比較して105分早く硬化する可能性があるため、深刻な問題につながる。
【0096】
図9を参照すると、別の例を例示する目的を仮定すると、ルート114によるプラント2(106)から作業現場B(108)へのコンクリートが作業現場Bでの使用を拒否されると考える場合、次いで作業現場Aでの再使用を目的とすると、配送トラックは通常、ルート114を2回走行しなければならず(通常、作業現場Aへの配送を認可するチケットを得るためにプラント2に戻らなければならないため)、次いで作業現場Aへの移動ルート116を走行しなければならない。合計時間(再度、新たなチケットを受け取り、配合設計を調節する時間を含まない)は、10×2+6=26分となる。これは、プラント1から作業現場Aへの典型的なコンクリート配送よりも19分短い。プラント2からのコンクリートは、より早く作業Aに到着し、プラント1からのコンクリートと比較して19分遅く硬化する。
【0097】
図9に基づくさらなる例示的な図において、プラント1(102)は、作業現場A(104)への配送専用であり、一方、プラント2(106)は、作業現場B(108)への配送専用であると仮定する。また、プラント1から作業現場Aに配送されたコンクリート積載物が拒否されるが、作業現場Bに配送することができると仮定する。本発明の例示的な実施形態では、コンクリート配送トラックが作業現場Bに配送することが確認されるとすぐに電子チケットを発行することができる。これにより、作業現場Aに位置するコンクリート配送トラックをプラント1に戻す必要がなくなる。プラント2から作業現場Bへの配送時間は、コンクリート配送トラック上のコンクリート積載物の監視を制御するコンクリート管理システムのためにプロセッサに送信することができる。これは、例えば、最後の配送の時間、いくつかの過去の配送の平均、または次の配送の早めの予測に基づくことができる。プロセッサはまた、コンクリートがプラント1から作業現場Aに既に移動している時間を含む、作業現場Aから作業現場Bに到達するための現在のコンクリート配送トラックの推定値を受信する。この場合、プラント2からルート114を経由して作業現場Bに至るまでの配送時間は10分であり、プラント1から作業現場Aに至るまで、および作業現場Aから作業現場Bに至るまでの配送時間は合計57分になる。したがって、プラント1に由来するコンクリートは、プラント2に由来するコンクリートよりも47分古くなる。この場合、プロセッサは、コンクリートを47分遅らせるのに必要な遅延剤の量を計算し、それに応じて遅延剤がコンクリート配送トラックに投与される。投与量は、手動または自動で実行され得る。
【0098】
図9はまた、プラント2(106)から作業現場B(108)へのコンクリート配送が、作業現場Bでの使用のために拒否されるが、作業現場Aで使用することができる、本発明によって可能になるさらなるシナリオを考慮することを可能にする。この場合、プラン
ト2から作業現場Bへの配送が発生し、コンクリートが作業現場Aに対して必要になると、電子チケットを発行することができ(例えば、配送トラックに搭載されたプロセッサ制御管理システムに)、それによってトラックがプラント2に戻る必要がなくなり、次いで、プラント2から作業現場Aに移動する必要がなくなる。プラント1から作業現場Aへの配送時間は、トラックに送信され、または記憶されることができ、ならびに現在のコンクリート配送トラックが、既に移動した時間を含む作業現場Aに到達するための推定値も考慮することができる。したがって、この例では、プラント1から作業現場Aへの配送時間は45分であり、プラント2から作業現場Bおよび作業現場Bから作業現場Aへの配送時間は合計22分である。したがって、プラント2に由来するコンクリートは、プラント1からプラント2に通常配送されるコンクリートのバッチ時間の22分後にバッチ処理されている。この場合、プロセッサは、コンクリートを22分早めるのに必要な促進剤の量を計算し、促進剤はコンクリート配送トラックに投入される。促進剤は、手動または自動のいずれかで投与され得る。別法として、コンクリート配送トラックの運転者または作業現場調整者は、コンクリートを注入する前に約22分待つように指示される。
【0099】
本発明の利点および特徴のなおさらなる例では、図9を例示として使用して、プラント1(102)が作業現場A(104)への配送専用であり、プラント2(106)が作業現場B(108)への配送専用であると仮定する。また、プラント1から作業現場Aに移動するコンクリート配送トラックが拒否されるが、しかし作業現場Bに配送することができると仮定する。加えて、現在のコンクリート配送トラックの配合設計は、作業現場Bでのコンクリート物品の混合要件に一致するように調節される必要がある。コンクリート配送トラックが作業現場Bに配送することが確認されるとすぐに、電子チケットが発行される。コンクリート配送トラックによってアクセス可能なプロセッサは、プラント2から作業現場Bへの配送時間を受信する。これは、例えば、最後の配送の時間、過去の数回の配送の平均、または次の配送の前方予測に基づくことができる。プロセッサはまた、現在のコンクリート配送トラックが作業現場Bに到着するための、既に移動した時間を含む時間推定値と、所与のプラントでのバッチ処理を含むコンクリート配送トラックにおける配合設計を調節するのに必要な時間推定値とを受信する。この時点で、プロセッサは、2つの代替案を考慮するようにプログラムされる。第1の代替案は、コンクリート配送トラックがプラント1に戻り、混合を調節し、作業現場Bに移動することである。第2の代替案は、コンクリート配送トラックがプラント2に移動し、混合を調節し、作業現場Bに移動することである。
【0100】
第1の代替案では、プラント1と、作業現場Aと、プラント1に戻ることと、作業現場Bとの間の合計時間(ルート110、110および112を介して)は、45×2+25=115分である(配合設計を調節する時間を除く)。この走行時間とプラント2と作業現場Bとの間の時間推定値との間の時間差は、115-10=105分である。このため、遅延剤が必要となる。この代替案では、作業現場Aで、コンクリートは、105分に合わせて調節するために、遅延剤を(自動的にまたは手動で)投与される。コンクリート配送トラックがプラント1で調節されると、追加の材料は、プラント1と作業現場Bとの間の走行時間をカバーするために遅延剤を投入することができる。全体の投与量は、作業現場Aで追加され得る。
【0101】
第2の代替案では、配合設計を調節する時間を無視して、プラント1、作業現場A、プラント2、および作業現場Bの間の合計時間(番号110、116および114)は、45+6+10=61分である。この走行時間とプラント2と作業現場Bとの間の時間推定値との間の時間差は、61-10=51分である。ここでも、遅延剤が必要である。しかしながら、この場合、遅延剤がプラント1と、作業現場Aとプラント2との間の時間(配合設計を調節するために必要な任意の時間を含む)を考慮して投入される場合、移動の残りの区間はプラント2と作業現場Bとの間で直接行われる配送と同じであるため、さらな
る調節は必要とされない。
【0102】
上記の例では、時間差の計算を簡単にするために、配合設計を調節する時間を含めなかった。配合設計が調節されるべきである場合、本明細書の開示に基づく当業者は、コンクリートの正確な年齢を補償するために時間を調節する方法を理解するであろう。これらの両方の場合について、「少しずつの投与」(dribble dose)を使用することができる。したがって、遅延剤の正確な投与量を測定する代わりに、一定期間、例えば15分間、効果を得るのに十分な遅延剤が添加される。この期間が満了した後、より多くの遅延剤が必要とされる場合、別の投与量が追加され、以下同様である。これは、実施例5で論じられ例示されている。
【0103】
本明細書に開示される実施形態は、限られた数の例示的な実施形態を使用して本明細書に記載されるが、これらの特定の実施形態は、別途記載され、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図しない。記載された実施形態からの修正形態および変形形態が存在する。より具体的には、以下の実施例は、特許請求される実施形態の具体的な例示として与えられる。実施形態は、実施例に記載された特定の詳細に限定されないことを理解されたい。実施例および本明細書の残りの部分におけるすべての部分およびパーセンテージは、特に明記しない限り、乾燥重量のパーセンテージによるものである。
【0104】
実施例1
図10は、コンクリートスラブの経時的な実験的光学測定値をグラフで示す。564ポンド/立方ヤード(lbs/yd)のセメント、1700lbs/ydの石材、1425lbs/ydの砂、300lbs/ydの水および7.5オンス/100ポンドのWRDA(登録商標)64のセメント質材料(oz/cwt)、低域減水剤(LRWR)を含有するコンクリート混合物。コンクリートは以下のプロトコルに従って混合された。石、砂および水の80%を高速で2分間混合した。セメントに残りの水を加え、高速で2分間混合した。LRWRを添加し、高速で2分間混合した。ミキサーをオフにし、コンクリートを3分間静置した。高速で3分間混合が再開した。混合後、コンクリートの一部はスランプおよび空気について試験され、残りのコンクリートを2フィート×3フィート×6インチのスラブに注入され、スクリードされ、手動で均された。この後、固定カメラ(本明細書に開示される実施形態によるUAVによって置き換えられることが想定される)から5分ごとに画像を取得した。各画像から、典型的な画像解析ツール(例えば、Solomon,C.and Breckon,T.、Fundamentals of Digital Image Processing:A Practical Approach with Examples in Matlab,Wiley-Blackwellを参照されたい)を使用して、階調の平均、中央値および標準偏差を決定した。
【0105】
上から下へ、以下の値、中央値と平均値との比、中央値、標準偏差との間の比を図10の90分間にわたってプロットする。このデータは、数学的モデルの定式化に役立つ。この場合、一般化されたロジスティック関数は、標準的な回帰ツールを使用してフィットされた。これらの式を使用して、所与のコンクリート区画のコンクリート表面から水の光沢が消失する時間を予測することができ、したがって、請負業者は、いつ次の区画に移動して仕上げを行うべきかを知ることができる。前述したように、この例のような測定は、UAVベースのセンサを使用して行うことができ、経時的にスラブ全体の測定値を自動的に収集する能力と組み合わせて、適切な仕上げを確実にするために請負業者がコンクリートの硬化時間挙動をよりよく理解することを可能にすることができる。。
【0106】
実施例2
第2のコンクリートを実施例1と同様に調製し、混合した。配合設計は、625ポンド/立方ヤード(lbs/yd)のセメント、1700lbs/ydの石材、1450
lbs/ydの砂、300lbs/ydの水および4.5オンス/100ポンドのADVA(登録商標190のセメント質材料(oz/cwt)、高域減水剤(HRWR)に変更された。2フィート×2フィート×6インチのスラブを実施例1と同じ方法で生成し、固定カメラ(ここでも、UAVベースのセンサに置き換えられることが想定されている)によって経時的に監視した。実施例1とは異なり、スラブの位置は、照明が可変である領域(例えば、雲/日光の変化)に置かれた。。図10では、各画像の中央強度が経時的に示されている。この例では、経時的な傾向の不十分な表示がある。しかしながら、テクスチャ解析アルゴリズム(例えば、参照により本明細書に組み込まれるMachine Vision,R.Jain,R.Kasturi,B.Schunck,pp.236-238を参照されたい)を使用して、コンクリートの硬化時間値に対するセンサデータの相関を改善することができる。
【0107】
図11にグラフで示すように、コントラスト分析結果は、中央強度のみを使用して示されるものよりもはるかに明確である。さらに、曲線の特性である最小値は、パワーフローティングプロセスを開始するための時間と相関させることができる。
【0108】
実施例3
上記の実施例2の固定カメラによって観察された同じコンクリート試料を、750~1000nmの範囲の波長に敏感な近赤外センサを使用して観察した。図12に示すように、約150分後、センサ読み取り値は直線的に減少し始めた。これは、実施例2における階調共起行列のコントラストの最小値に対応する。その結果、この挙動の変化を使用して、パワーフローティングがいつ開始できるかに関する指示または信号を提供することができる。
【0109】
実施例4
注入前データ 各コンクリート配送からデータを収集するようにシステムをプログラムすることができる。まず、セメント、骨材、水および混和剤の量を含むバッチ重量を記録し、データベースに記憶する。バッチ時間もデータベースに追加される。材料の温度もデータベースに追加されることができる。配送中、コンクリート配送トラックに添加された任意の水または混和剤がデータベースに追加される。排出時点で、最終コンクリート温度、現在の周囲温度、スランプ(またはスランプ流)、空気含有量(例えば、CiDRA(登録商標)ブランドで市販されているようなセンサから)、ドラム回転数、バッチからの時間およびコンクリート体積を記録する。この時点までの全てのデータは、注入前データと考えることができる。これをシミュレートするために、実験室で29種類のコンクリート混合物を試験した。ASTMタイプIセメント565ポンド/立方ヤード(pcy)、粗骨材1700pcy、細骨材1425pcy、および水260から300pcyの間で変化する水を含む同じ基本的な配合設計を使用した。高域減水剤(HRWR)(例えば、GCP Applied TechnologiesのADVA(登録商標)198減水剤)をセメント(cwt)100ポンド当たり4.00オンス(oz)で使用し、空気連行剤(例えば、DAREX(登録商標)II AEAはGCPからも得られる)を0.4oz/cwtで使用した。すべての混合物を以下のプロトコルを使用して混合した。1)粗骨材および細骨材のすべてを、20%の水および空気連行剤と共にミキサーに配置した。2)高速で1分間混合する。3)セメントを添加し、再び高速で2分間混合する。3)さらに2分間混合し続けながらHRWRを添加する。4)ミキサーを停止し、3分間静置する。5)高速で2分間混合を再開する。6)速度を低下させ、さらに1分間混合する。最後に7)ミキサーを停止し、試験を開始する。48の混合物のうち、9つの混合物がAEAを有しておらず、硬化温度は8つの混合物について2℃であり、8つの混合物について硬化温度は38℃であった。残りの23の混合物について、硬化温度は20℃であった。各混合物を注入前データ、スランプおよび空気含有量について試験した。
【0110】
注入後データ システムはまた、注入後のデータを記録する。これをシミュレートするために、注入前特性について試験した各混合物について、初期硬化時間、最終硬化時間および1、3、7および28日目の強度を含む注入後特性も試験した。初期硬化時間および最終硬化時間は、典型的な方法(例えば、www.intrans.iastate.edu/research/documents/research.../CalorimeterReportPhaseIII.pdf)を使用して4×8インチシリンダの温度変化を分析することによって推定した。全てのデータをデータベースに記録した。
【0111】
注入前後のデータに基づいて、最終硬化時間を予測するためのランダムフォレストモデルを開発した。データを訓練セット(29種類の混合)および試験セット(19種類の混合)に分割した。両方のセットは、異なるAEA含有量、含水量および硬化温度を有するサンプルを含んでいた。ランダムフォレストモデル(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Random_forestを参照されたい)分析を使用して、図13に示すモデルを開発し、ここで、x軸は実際の硬化時間であり、y軸は予測硬化時間である。等値線は、試験セットの予測点と共にプロットされる。モデルは、予備注入特性である、スランプ、空気、含水量、ならびに硬化温度を使用して開発された。この硬化温度は、注入現場における現在および近い将来の気象条件を使用して決定することができる。したがって、天候アプリケーションからのデータを使用して、硬化温度を計算することができる。
【0112】
様々な方法を使用してモデルを開発できることに留意されたい。データのコピー量が発生すると、教師あり学習(例えば、サポートベクターマシン、ベイズ法、ランダムフォレスト法など)および教師なし学習(k-平均クラスタリング、ニューラルネットワークなど)を含む機械学習技術が適用可能になる。これは、2つ以上の配合設計を考慮する場合に特に適している。したがって、モデルの入力は、この例で使用されたものに加えて、各構成要素のバッチ重量とすることができる。
【0113】
開発されたモデルでは、コンクリート積載物からの注入前情報に基づいて硬化時間予測を行うことができ、これらの予測は、スランプ、空気、含水量および硬化温度値または値の範囲を含むことができる。
【0114】
予測された硬化時間値は、既に配置されたコンクリートの硬化時間と比較することができる。コンクリート積載物の硬化時間を調整するために、予測された硬化時間と配置された硬化時間との間の差(コンクリートを注入する前に必要な他の任意の時間に基づく)は、例えば、適切な硬化遅延剤投与量を計算するモデルへの入力として設定することができる。これらのモデルは、硬化時間調節を入力(例えば、さらに30分)として取得し、遅延剤投与量(例えば3オンス/cwt)を出力する。コンクリート製造者は、典型的には、配合設計の硬化時間を調節するために硬化遅延剤を使用するが(しかし、通常、遅延剤はバッチプラントでのみ添加される)、しかし、投与量および硬化時間調節のこの一般的な理解が存在し、本発明者らは、本発明の輸送中/配送注入方法に容易に適合されると考えている。このように、標準モデルをすべての混合に使用することができるが、より多くのデータが収集されるにつれて(例えば、投与された投与量および結果として得られた測定された硬化時間調節)、本発明の教示の実施から生じるモデルを、収集されるデータの量を増やすことによって洗練することができることが想定される。さらに、配合設計、バッチ重量、および注入前データ(例えば、スランプ、空気)などのモデルへの追加の入力を使用することができる。やはり、この問題は、機械学習技術による解決に役立つ。
【0115】
硬化遅延剤投与量が計算された後、硬化時間を調整するためにコンクリートドラム内に硬化遅延剤を投与することができる。
【0116】
実施例6
実施例5のデータを、絶対法の代わりに 「差」 法を使用して再分析した。すなわち、温度、スランプ、空気、含水量の絶対値に基づいて硬化時間を予測する代わりに、特定のミックスと基準ミックスとの間の差を分析した。ランダムフォレストモデルを実施例5と同じ方法を用いて開発し、結果を図14に示し、ここで、x軸は実際の硬化時間であり、y軸は予測硬化時間である。等値線は、試験セットの予測点と共にプロットされる。ここでも、相関が明らかであり、より大きなデータセットで改善される。実施例5と同様に、予測モデルを使用して、硬化時間、したがって硬化時間差を決定することができる。
【0117】
実施例7
前述の例と同じ配合設計混合プロトコル:1)粗骨材および細骨材のすべてを、20%の水および空気連行剤と共にミキサーに配置した。2)高速で1分間混合する。3)セメントを添加し、再び高速で2分間混合する。3)さらに2分間混合し続けながらHRWRを添加する。4)ミキサーを停止し、3分間静置する。5)高速で2分間混合を再開する。6)速度を低下させ、作業現場への移動をシミュレートするために22分間混合する。7)部分的な排出をシミュレートするために0.25立方フィートのコンクリートを除去し、かつ8)積載速度でさらに15分間混合する。3つのシナリオを比較した。1)Recover(登録商標)の添加なし、水和硬化遅延剤。2)0.25立方フィートの排出後の混合直前の1回の投与量のRecover(登録商標)。3)3回または4回の徐々に増加する投与量(すなわち、「少しずつの投入」(dribbled-in))であり、合計で1回の投与量となる。混合後、スランプ、空気、強度および硬化時間を測定した。硬化時間は、コンクリートの半断熱温度データを分析する際にフラクション法を使用することによって推定した。最高温度の21%である温度上昇に対応する時間を初期硬化に使用し、最高温度の41%である温度上昇に対応する時間を最終硬化に使用した(例えば、http://www.nrmcaevents.org/?nav=download&file=541を参照されたい)。
【0118】
2つの異なる投与量レベルを試験した。各レベル内で、少量投入と1回投与の両方が、全く同じ総投与量を有していた。最初の投与量レベルを1.0oz/cwtで試験した。少量投入シナリオでは、4回の試験を実施し、Recover(登録商標)なしの混合と比較して、初期硬化において平均82分増加した。標準偏差は24分であった。1回投与シナリオでは、3回の試験を実施し、Recover(登録商標)なしの混合物と比較して、初期硬化において平均32分増加した。標準偏差は27分であった。Recoverの早期のより多い投与量が最大の遅延効果を提供すると予想されるので、徐々に増加する投与量計画がより一貫した、より大きな遅延効果を提供したことは驚くべきことである。
【0119】
4.73オンス/cwt投与量で、各シナリオについて2回の試験を実施した。少量投入シナリオでは、初期硬化時間の平均増加は286分であったが、1回投与シナリオは289分であった。標準偏差はそれぞれ7分および16分であった。したがって、より大きい投与量では、2つのシナリオ間の差は減少する。したがって、必要とされる用量に応じて、徐々に増加する計画または少量投入計画が好ましい場合がある。
【0120】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に別途記載され特許請求される本発明の範囲を限定することを意図しない限られた数の例示的な実施形態を使用して本明細書に記載される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】