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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】レーザ療法の信号調整送達
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/22 20060101AFI20221003BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61B18/22
A61B1/00 512
A61B1/00 511
A61B1/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506933
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020044892
(87)【国際公開番号】W WO2021026158
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/882,837
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/894,226
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/027,090
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブケソフ セルゲイ エー
(72)【発明者】
【氏名】タルボット ブライアン エム
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン クルト ジー
(72)【発明者】
【氏名】千田 雅泰
(72)【発明者】
【氏名】シュナケンバーグ レイチェル ディー
【テーマコード(参考)】
4C026
4C161
【Fターム(参考)】
4C026AA10
4C026HH15
4C161AA06
4C161AA15
4C161BB01
4C161BB08
4C161QQ02
4C161QQ03
4C161QQ04
4C161WW02
4C161WW17
(57)【要約】
分光フィードバックを使用して標的組織に向けてレーザエネルギーを送達するシステム、デバイス、及び方法。例示的なレーザフィードバック制御システムは、分光センサを使用して標的組織から信号を受信するためのフィードバックアナライザと、受信した信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定するためのレーザコントローラとを備える。受信した信号が第1の事前設定値を満たす場合、レーザコントローラは、制御信号をレーザシステムへ送って、第1のレーザシステムの第1の状態から第2の状態へ変化させることができる。レーザシステムは、光ファイバを介して標的組織の方へレーザエネルギーを送達することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織に向けてレーザエネルギーを送達するように構成された第1のレーザシステムに結合されたレーザフィードバック制御システムであって、
分光センサを使用して標的組織から信号を受信するためのフィードバックアナライザであり、前記信号が、標的組織の1つ以上の分光特性を示す第1の信号を含む、フィードバックアナライザと、
前記フィードバックアナライザ及び前記第1のレーザシステムの各々と動作可能に通信するレーザコントローラと、
を備え、
前記レーザコントローラが、
前記フィードバックアナライザから第1の信号を受信し、
前記第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定し、
前記第1の信号が第1の事前設定値を満たす場合、第1の制御信号を前記第1のレーザシステムへ送って、前記第1のレーザシステムの第1の状態から前記第1のレーザシステムの第2の状態へ変化させるように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザコントローラが、前記フィードバックアナライザから第2の信号を受信するようにさらに構成され、
前記第2の信号が、前記第1の信号とは別個である、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザコントローラが、前記第2の信号が第2の事前設定値に概ね等しい場合、第2の制御信号を前記第1のレーザシステムへ送って、前記第1のレーザシステムの前記第2の状態から前記第1のレーザシステムの前記第1の状態へ変化させるようにさらに構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザフィードバック制御システムが、前記第1のレーザシステムとは別個の第2のレーザシステムに接続可能になるように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザコントローラが、前記第1のレーザシステム及び前記第2のレーザシステムを独立して制御するように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザコントローラが、前記第2の信号が第2の事前設定値に概ね等しい場合、第3の制御信号を前記第2のレーザシステムへ送って、前記第2のレーザシステムの第1の状態から前記第2のレーザシステムの第2の状態へ変化させるように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザコントローラが、前記第1の信号が前記第1の事前設定値に概ね等しいと判定した場合、前記レーザコントローラが、第4の制御信号を前記第2のレーザシステムへ送って、前記第2のレーザシステムの前記第2の状態から前記第2のレーザシステムの前記第1の状態へ変化させるように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザコントローラが、前記第1の信号が前記第1の事前設定値を満たすと判定した場合、前記レーザコントローラが、
前記第1の制御信号を前記第1のレーザシステムへ送り、それによって前記第1のレーザシステムを前記第1のレーザシステムの前記第1の状態から前記第1のレーザシステムの前記第2の状態へ変化させ、
前記第4の制御信号を前記第2のレーザシステムへ送り、それによって前記第2のレーザシステムを前記第2のレーザシステムの前記第2の状態から前記第2のレーザシステムの前記第1の状態へ変化させるように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記レーザコントローラが、前記第2の信号が前記第2の事前設定値を満たすと判定した場合、前記レーザコントローラが、
前記第2の制御信号を前記第1のレーザシステムへ送り、それによって前記第1のレーザシステムを前記第1のレーザシステムの前記第2の状態から前記第1のレーザシステムの前記第1の状態へ変化させ、
前記第3の制御信号を前記第2のレーザシステムへ送り、それによって前記第2のレーザシステムを前記第2のレーザシステムの前記第1の状態から前記第2のレーザシステムの前記第2の状態へ変化させるように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記分光センサが、
撮像カメラ、
フーリエ変換赤外(FTIR)分光計、
ラマン分光計、
UV-VIS反射分光計、又は、
蛍光分光計のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記分光センサに動作可能に結合された信号検出光ファイバをさらに備え、
前記信号検出光ファイバが、前記第1の信号を前記標的組織から前記分光センサへ伝送するように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のレーザフィードバック制御システムであって、
前記分光センサが、前記第1のレーザシステムの第1の光ファイバと動作可能に通信し、
前記分光センサが、前記第1のレーザシステムの前記第1の光ファイバを介して前記第1の信号を検出するように構成される、
ことを特徴とするレーザフィードバック制御システム。
【請求項13】
第1のレーザシステムと、
前記第1のレーザシステムに結合されたレーザフィードバック制御システムと、
を備えるレーザ治療システムであって、
前記第1のレーザシステムは、
第1のレーザ源と、
前記第1のレーザ源に動作可能に結合され、前記第1のレーザ源から標的組織の方へエネルギーを送達するように構成された第1の光ファイバと、
を含み、
前記レーザフィードバック制御システムは、
前記標的組織から信号を受信するためのフィードバックアナライザであり、前記信号が、前記標的組織の1つ以上の分光特性を示す第1の信号を含むフィードバックアナライザと、
前記フィードバックアナライザ及び前記第1のレーザシステムの各々と動作可能に通信するレーザコントローラであって、前記フィードバックアナライザから前記第1の信号を受信し、前記第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定し、第1の制御信号を前記第1のレーザシステムへ送って、前記第1のレーザシステムの第1の状態から前記第1のレーザシステムの第2の状態へ変化させるように構成されるレーザコントローラと、
を含む、
ことを特徴とするレーザ治療システム。
【請求項14】
請求項13に記載のレーザ治療システムであって、
前記第1の光ファイバと動作可能に通信する第2のレーザ源を含む第2のレーザシステムをさらに備える、
ことを特徴とするレーザ治療システム。
【請求項15】
請求項14に記載のレーザ治療システムであって、
前記第1のレーザ源が、第1の波長範囲にわたって第1のレーザ出力を生成するように構成され、
前記第2のレーザ源が、前記第1の波長範囲とは別個の第2の波長範囲にわたって第2のレーザ出力を生成するように構成される、
ことを特徴とするレーザ治療システム。
【請求項16】
請求項15に記載のレーザ治療システムであって、
前記第1の波長範囲が、前記標的組織の吸収スペクトルの少なくとも一部分に対応し、
前記第2の波長範囲が、炭化組織の吸収スペクトルの少なくとも一部分に対応する、
ことを特徴とするレーザ治療システム。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか1項に記載のレーザ治療システムであって、
前記第2のレーザシステムは、前記レーザコントローラによって制御可能であり、
前記第2のレーザシステムは、前記レーザコントローラから制御信号を受信すると、前記第2のレーザシステムの第1の状態から前記第2のレーザシステムの第2の状態へ変化させ、又は、前記第2のレーザシステムの前記第2の状態から前記第2のレーザシステムの前記第1の状態へ変化させる、
ことを特徴とするレーザ治療システム。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか1項に記載のレーザ治療システムであって、
前記第1のレーザシステム及び前記第2のレーザシステムの各々の前記第1の状態が、それぞれ前記第1のレーザ源による第1のレーザ出力及び第2のレーザ源による第2のレーザ出力の生成に対応する、
ことを特徴とするレーザ治療システム。
【請求項19】
請求項14~18のいずれか1項に記載のレーザ治療システムであって、
前記第1のレーザシステム及び前記第2のレーザシステムの各々の前記第2の状態が、前記第1のレーザ源及び前記第2のレーザ源の各々がレーザ出力を生成しない状態に対応する、
ことを特徴とするレーザ治療システム。
【請求項20】
第1のレーザシステムを備えるレーザ治療システムを制御する方法であって、
フィードバックアナライザを使用して、標的組織から信号を受信するステップであり、前記信号が、標的組織の1つ以上の分光特性を示す第1の信号を含む、受信するステップと、
レーザコントローラを使用して、前記第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定するステップと、
前記第1の信号が前記第1の事前設定値に概ね等しい場合、第1の制御信号を前記第1のレーザシステムへ送って、前記第1のレーザシステムの第1の状態から前記第1のレーザシステムの第2の状態へ変化させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記第1の信号が、前記第1のレーザシステムからの第1のレーザ出力の吸収によって炭化された前記標的組織を示す、
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記第1のレーザシステムの前記第1の状態が、前記第1のレーザシステムが前記第1のレーザ出力を生成する状態に対応し、
前記第1のレーザシステムの前記第2の状態が、前記第1のレーザシステムが前記第1のレーザ出力を生成しない状態に対応する、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20~22のいずれか1項に記載の方法であって、
前記フィードバックアナライザによって受信された前記信号が、前記第1の信号とは別個の第2の信号を含む、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、全体として参照により本明細書に組み込まれている、2019年8月5日出願の米国仮特許出願第62/882,837号、2019年8月30日出願の米国仮特許出願第62/894,226号、及び2020年5月19日出願の米国仮特許出願第62/027,090号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本明細書は、一般に、内視鏡レーザシステムに関し、より詳細には、分光フィードバックに基づいて標的へ送達されるレーザエネルギーを制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的に、医師に視覚アクセスを提供するように、対象の内部の場所へのアクセスを提供するために、内視鏡が使用される。内視鏡は通常、患者の体内に挿入され、調査されている標的(例えば、標的の解剖学的組織又は物体)へ光を送達し、物体から反射された光を収集する。反射光は、調査されている物体に関する情報を運搬する。いくつかの内視鏡はワーキングチャネルを含み、操作者は、望ましくない組織又は異物を患者の体内から除去するために、ワーキングチャネルを通して吸引を実行し、又はワーキングチャネルにブラシ、生検針、若しくは鉗子などの器具を通し、又は低侵襲手術を実行することができる。
【0004】
軟組織又は硬組織などの様々な標的治療区域へ手術用レーザエネルギーを送達するために、レーザ又はプラズマシステムが使用されてきた。レーザ療法の例には、切除、凝固、蒸発、断片化などが含まれる。砕石術の応用例では、他の石形成領域の中でも、腎臓、胆嚢、尿管における結石構造を分解するために、又は大きい結石を切除してより小さい断片にするために、レーザが使用されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、分光フィードバックを使用して標的組織に向けてレーザエネルギーを送達するシステム、デバイス、及び方法を記載する。例示的なレーザフィードバック制御システムは、分光センサを使用して標的組織から信号を受信するためのフィードバックアナライザと、受信した信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定するためのレーザコントローラとを備える。受信した信号が第1の事前設定値を満たす場合、レーザコントローラは、制御信号をレーザシステムへ送って、第1のレーザシステムの第1の状態から第2の状態へ変化させることができる。レーザシステムは、光ファイバを介して標的組織の方へレーザエネルギーを送達することができる。
【0006】
例1は、標的組織に向けてレーザエネルギーを送達するように構成された第1のレーザシステムに結合されたレーザフィードバック制御システムである。レーザフィードバック制御システムは、分光センサを使用して標的組織から信号を受信するためのフィードバックアナライザであり、信号が、標的組織の1つ以上の分光特性を示す第1の信号を含む、フィードバックアナライザと、フィードバックアナライザ及び第1のレーザシステムの各々と動作可能に通信するレーザコントローラとを備え、レーザコントローラが、フィードバックアナライザから第1の信号を受信し、第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定し、第1の信号が第1の事前設定値を満たす場合、第1の制御信号を第1のレーザシステムへ送って、第1のレーザシステムの第1の状態から第1のレーザシステムの第2の状態へ変化させるように構成される。
【0007】
例2では、例1の主題は、任意選択で、レーザコントローラは、フィードバックアナライザから第2の信号を受信するようにさらに構成され、第2の信号が、第1の信号とは別個であることを含む。
【0008】
例3では、例2の主題は、任意選択で、レーザコントローラが、第2の信号が第2の事前設定値に概ね等しい場合、第2の制御信号を第1のレーザシステムへ送って、第1のレーザシステムの第2の状態から第1のレーザシステムの第1の状態へ変化させるようにさらに構成されることを含む。
【0009】
例4では、例2~3のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、レーザフィードバック制御システムが、第1のレーザシステムとは別個の第2のレーザシステムに接続可能になるように構成されることを含む。
【0010】
例5では、例4の主題は、任意選択で、レーザコントローラが、第1のレーザシステム及び第2のレーザシステムを独立して制御するように構成されることを含む。
【0011】
例6では、例5の主題は、任意選択で、レーザコントローラが、第2の信号が第2の事前設定値に概ね等しい場合、第3の制御信号を第2のレーザシステムへ送って、第2のレーザシステムの第1の状態から第2のレーザシステムの第2の状態へ変化させるように構成されることを含む。
【0012】
例7では、例6の主題は、任意選択で、レーザコントローラが、第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいと判定した場合、レーザコントローラが、第4の制御信号を第2のレーザシステムへ送って、第2のレーザシステムの第2の状態から第2のレーザシステムの第1の状態へ変化させるように構成されることを含む。
【0013】
例8では、例7の主題は、任意選択で、レーザコントローラが、第1の信号が第1の事前設定値を満たすと判定した場合、レーザコントローラが、第1の制御信号を第1のレーザシステムへ送り、それによって第1のレーザシステムを第1のレーザシステムの第1の状態から第1のレーザシステムの第2の状態へ変化させ、第4の制御信号を第2のレーザシステムへ送り、それによって第2のレーザシステムを第2のレーザシステムの第2の状態から第2のレーザシステムの第1の状態へ変化させるように構成されることを含む。
【0014】
例9では、例8の主題は、任意選択で、レーザコントローラが、第2の信号が第2の事前設定値を満たすと判定した場合、レーザコントローラが、第2の制御信号を第1のレーザシステムへ送り、それによって第1のレーザシステムを第1のレーザシステムの第2の状態から第1のレーザシステムの第1の状態へ変化させ、第3の制御信号を第2のレーザシステムへ送り、それによって第2のレーザシステムを第2のレーザシステムの第1の状態から第2のレーザシステムの第2の状態へ変化させるように構成されることを含む。
【0015】
例10では、例1~9のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、分光センサが、撮像カメラ、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計、ラマン分光計、UV-VIS反射分光計、又は蛍光分光計のうちの少なくとも1つを含むことを含む。
【0016】
例11では、例1~10のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、分光センサに動作可能に結合された信号検出光ファイバを含み、信号検出光ファイバが、第1の信号を標的組織から分光センサへ伝送するように構成される。
【0017】
例12では、例1~11のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、分光センサが、第1のレーザシステムの第1の光ファイバと動作可能に通信し、分光センサが、第1のレーザシステムの第1の光ファイバを介して第1の信号を検出するように構成されることを含む。
【0018】
例13は、第1のレーザシステムであって、第1のレーザ源、及び第1のレーザ源に動作可能に結合された第1の光ファイバを備え、第1の光ファイバが、第1のレーザ源から標的組織の方へエネルギーを送達するように構成される、第1のレーザシステムと、第1のレーザシステムに結合されたレーザフィードバック制御システムであって、標的組織から信号を受信するためのフィードバックアナライザであり、信号が、標的組織の1つ以上の分光特性を示す第1の信号を含む、フィードバックアナライザ、並びにフィードバックアナライザ及び第1のレーザシステムの各々と動作可能に通信するレーザコントローラを備え、レーザコントローラが、フィードバックアナライザから第1の信号を受信し、第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定し、第1の制御信号を第1のレーザシステムへ送って、第1のレーザシステムの第1の状態から第1のレーザシステムの第2の状態へ変化させるように構成される、レーザフィードバック制御システムとを備えるレーザ治療システムである。
【0019】
例14では、例13の主題は、任意選択で、第1の光ファイバと動作可能に通信する第2のレーザ源を含む第2のレーザシステムを含む。
【0020】
例15では、例14の主題は、任意選択で、第1のレーザ源が、第1の波長範囲にわたって第1のレーザ出力を生成するように構成され、第2のレーザ源が、第1の波長範囲とは別個の第2の波長範囲にわたって第2のレーザ出力を生成するように構成されることを含む。
【0021】
例16では、例15の主題は、任意選択で、第1の波長範囲が、標的組織の吸収スペクトルの少なくとも一部分に対応し、第2の波長範囲が、炭化組織の吸収スペクトルの少なくとも一部分に対応することを含む。
【0022】
例17では、例14~16のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、第2のレーザシステムが、レーザコントローラによって制御可能であり、レーザコントローラから制御信号を受信すると、第2のレーザシステムが、第2のレーザシステムの第1の状態から第2のレーザシステムの第2の状態へ変化させ、又は第2のレーザシステムの第2の状態から第2のレーザシステムの第1の状態へ変化させることを含む。
【0023】
例18では、例14~17のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、第1のレーザシステム及び第2のレーザシステムの各々の第1の状態が、それぞれ第1のレーザ源による第1のレーザ出力及び第2のレーザ源による第2のレーザ出力の生成に対応することを含む。
【0024】
例19では、例14~18のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、第1のレーザシステム及び第2のレーザシステムの各々の第2の状態が、第1のレーザ源及び第2のレーザ源の各々がレーザ出力を生成しない状態に対応することを含む。
【0025】
例20は、第1のレーザシステムを備えるレーザ治療システムを制御する方法である。方法は、フィードバックアナライザを使用して、標的組織から信号を受信することであり、信号が、標的組織の1つ以上の分光特性を示す第1の信号を含む、受信することと、レーザコントローラを使用して、第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定することと、第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しい場合、第1の制御信号を第1のレーザシステムへ送って、第1のレーザシステムの第1の状態から第1のレーザシステムの第2の状態へ変化させることとを含む。
【0026】
例21では、例20の主題は、任意選択で、第1の信号が、第1のレーザシステムからの第1のレーザ出力の吸収によって炭化された標的組織を示すことを含む。
【0027】
例22では、例21の主題は、任意選択で、第1のレーザシステムの第1の状態が、第1のレーザシステムが第1のレーザ出力を生成する状態に対応し、第1のレーザシステムの第2の状態が、第1のレーザシステムが第1のレーザ出力を生成しない状態に対応することを含む。
【0028】
例23では、例20~22のいずれか1つ以上の主題は、任意選択で、フィードバックアナライザによって受信された信号が、第1の信号とは別個の第2の信号を含むことを含む。
【0029】
この概要は、本出願の教示のいくつかの概説であり、本主題の排他的又は網羅的な取扱いであることを意図したものではない。本主題に関するさらなる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に見られる。本開示の他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部を形成する図面を見ることによって、当業者には明らかであり、詳細な説明及び図面は各々、限定的に解釈されるべきではない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的均等物によって定義される。
【0030】
様々な実施形態について、添付の図面の図に例として示す。そのような実施形態は説明的であり、本主題の網羅的又は排他的な実施形態であることを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】レーザフィードバック制御システムを含む例示的なレーザ治療システムの概略図である。
図2A】ヘモグロビン(Hb)及びオキシヘモグロビン(HbO)を含む異なるタイプの組織の吸収スペクトルの例を示す図である。
図2B】ヘモグロビン(Hb)及びオキシヘモグロビン(HbO)を含む異なるタイプの組織の吸収スペクトルの例を示す図である。
図3A】正常組織及び炭化組織、Hb、HbO、並びにメラニンを含む異なるタイプの組織の吸収スペクトルの例を示す図である。
図3B】正常組織及び炭化組織、Hb、HbO、並びにメラニンを含む異なるタイプの組織の吸収スペクトルの例を示す図である。
図3C】正常組織及び炭化組織、Hb、HbO、並びにメラニンを含む異なるタイプの組織の吸収スペクトルの例を示す図である。
図4】レーザ出力の侵入深さを示す図である。
図5】レーザ出力を提供するためのレーザフィードバック制御システムを示すブロック図である。
図6】レーザフィードバック制御システムによって生成されたフィードバックに基づいて1つ以上のレーザシステムを制御するためのアルゴリズムの例を示す流れ図である。
図7】レーザフィードバック制御システムによって生成されたフィードバックに基づいて1つ以上のレーザシステムを制御するためのアルゴリズムの例を示す流れ図である。
図8】2つの光波長を使用して組織の切除及び凝固を提供する例示的なデュアルレーザシステムのタイミング図である。
図9A】レーザファイバが挿入された内視鏡の例を示す図である。
図9B】レーザファイバが挿入された内視鏡の例を示す図である。
図10A】フィードバック制御式のレーザ治療システムの例を示す図である。
図10B】フィードバック制御式のレーザ治療システムの例を示す図である。
図11A】レーザビームなどの診断ビームを使用して標的を識別するための内視鏡システムの例を示す図である。
図11B】レーザビームなどの診断ビームを使用して標的を識別するための内視鏡システムの例を示す図である。
図12】異なるタイプの腎臓石の組成物を識別するためなど、標的タイプを識別するための反射スペクトルを示す図である。
図13A】異なるタイプの腎臓石の組成物を識別するためなど、標的タイプを識別するための反射スペクトルを示す図である。
図13B】異なるタイプの腎臓石の組成物を識別するためなど、標的タイプを識別するための反射スペクトルを示す図である。
図14図13A図13Bのいくつかのタイプの石の反射スペクトルのUV波長の異なる区分に対応する光ピークを示す図である。
図15図13A図13Bのいくつかのタイプの石の反射スペクトルのUV波長の異なる区分に対応する光ピークを示す図である。
図16A】様々な軟組織及び硬組織組成物からのUV-VIS分光計で捕捉される反射スペクトルの例を示す図である。
図16B】様々な軟組織及び硬組織組成物からのUV-VIS分光計で捕捉される反射スペクトルの例を示す図である。
図16C】典型的な石組成物のFTIRスペクトルの例を示す図である。
図16D】いくつかの軟組織及び硬組織組成物のFTIRスペクトルの例を示す図である。
図18】レーザ治療システムの概略図である。
図17】レーザ治療システムの概略図である。
図19A】複数(例えば、N)のレーザパルス列を使用して生成された組合せレーザパルス列の例を示す図である。
図19B】複数(例えば、N)のレーザパルス列を使用して生成された組合せレーザパルス列の例を示す図である。
図20】分光フィードバックを伴う例示的な分光システムの概略図である。
図21A】マルチファイバ構成を有する内視鏡レーザシステムの例を示す図である。
図21B】マルチファイバ構成を有する内視鏡レーザシステムの例を示す図である。
図21C】マルチファイバ構成を有する内視鏡レーザシステムの例を示す図である。
図21D】マルチファイバ構成を有する内視鏡レーザシステムの例を示す図である。
図22】分光ファイバ送達システムで使用されるマルチファイバシステムの例を示すブロック図である。
図23A】ソース光入力及び分光フィードバック信号を有するマルチファイバアクセサリの例を示す図である。
図23B】ソース光入力及び分光フィードバック信号を有するマルチファイバアクセサリの例を示す図である。
図24A】レーザ送達システム(例えば、光ファイバ)の遠位端と標的との間の距離を計算する例示的な方法を示す図である。
図24B】レーザ送達システム(例えば、光ファイバ)の遠位端と標的との間の距離を計算する例示的な方法を示す図である。
図24C】レーザ送達システム(例えば、光ファイバ)の遠位端と標的との間の距離を計算する例示的な方法を示す図である。
図24D】レーザ送達システム(例えば、光ファイバ)の遠位端と標的との間の距離を計算する例示的な方法を示す図である。
図25A】組織と分光プローブ遠位端との間の距離が標的からの反射光のスペクトルに与える影響を示す図である。
図25B】組織と分光プローブ遠位端との間の距離が標的からの反射光のスペクトルに与える影響を示す図である。
図26】レーザビームなどの診断ビームを使用して標的を識別するための内視鏡システムの例を示す図である。
図27】標的組織又は結石構造のレーザ治療で使用するための異なるパルスエネルギー又は電力レベルを有するレーザパルスのシーケンスのグラフである。
図28】本明細書に論じる技法(例えば、方法)のいずれか1つ以上を実行することができる例示的な機械を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
分光フィードバックを使用して標的組織に向けてレーザエネルギーを送達するシステム、デバイス、及び方法が、本明細書に記載される。例示的なレーザフィードバック制御システムは、分光センサを使用して標的組織から信号を受信するためのフィードバックアナライザと、受信した信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定するためのレーザコントローラとを備える。受信した信号が第1の事前設定値を満たす場合、レーザコントローラは、制御信号をレーザシステムへ送って、第1のレーザシステムの第1の状態から第2の状態へ変化させることができる。レーザシステムは、光ファイバを介して標的組織の方へレーザエネルギーを送達することができる。
【0033】
内視鏡レーザ療法では、異なる組織を認識し、標的治療構造(例えば、がん組織、又は特定の結石タイプ)にのみレーザエネルギーを印加し、レーザ放射への非治療組織(例えば、正常組織)の露出を回避又は低減することが望ましい。従来、関心標的治療構造の認識は、標的手術部位及びその周辺環境を内視鏡によって視覚化するなど、操作者によって手動で実行されている。そのような手動の手法は、精度を欠くことがあり、少なくともいくつかの場合、手術部位へのアクセスが狭く、手術中の視野が制限されることなどによって、標的の組成物を判定することができないことがある。標的構造(例えば、組織)を体内から抽出してその組成物を生体外で分析するために、生検技法が使用されてきた。しかし、多くの臨床の応用例では、手術時間及び複雑さを低減させ、療法の有効性を改善するために、組織組成物を生体内で判定することが望ましい。例えば、結石を粉砕又は破砕するためにレーザを印加するレーザ砕石術では、特定のタイプの結石(例えば、腎臓又は膵胆管又は胆嚢の石の化学組成物)を生体内で自動的に認識し、それを周辺組織から区別することで、医師は、標的石をより効果的に切除しながら、同時に標的石に隣接する非治療組織への放射を回避するように、レーザ設定(例えば、電力、露出時間、又は発射角度)を調整することが可能になるはずである。
【0034】
従来の内視鏡レーザ療法には、処置中に組織タイプ(例えば、組成物)を連続して監視することができないという制限もある。内視鏡処置中には多くの可動部分が存在し、内視鏡から観察される組織は、処置中ずっと変化することがある。従来の生検技法は、組成物を識別するために、組織サンプルの除去を必要とするため、処置中ずっと組織の組成物を監視することはできない。内視鏡の先端で構造タイプ(例えば、軟組織若しくは硬組織のタイプ、正常組織対がん組織、又は結石構造の組成物)を連続して監視及び認識することで、処置中に治療をより良好に適合させるためのより多くの情報を医師に与えることができる。例えば医師が、表面は堅いが芯は柔らかい腎臓結石を破砕している場合、内視鏡による連続する組織組成物情報により、医師が、連続して検出される石表面組成物に基づいて、石の堅い表面でより良好に実行される第1の設定から、石の柔軟な芯でより良好に実行される第2の異なる設定など、レーザ設定を調整することを可能にすることができる。
【0035】
本明細書に記載するいくつかの特徴は、例えば医療の応用例における様々な標的の組成物(例えば、軟組織又は硬組織)を、内視鏡によって生体内で識別することができる方法及び装置を提供することができる。これにより、ユーザが、内視鏡によって観察される標的の組成物を処置中ずっと連続して監視することを可能にすることができる。またこれは、レーザシステムと組み合わせて使用することが可能であり、この方法は、標的の組成物に基づいて設定を調整するためのフィードバックをレーザシステムへ送ることができる。この特徴は、ユーザによって選択された元のレーザ設定の設定範囲内で、レーザ設定の瞬時の調整を可能にすることができる。
【0036】
本明細書に記載するいくつかの特徴を使用して、標的の化学組成物などの差を生体内で測定し、所望の効果をより良好に実現するように、レーザ設定を提案し、又はレーザ設定を自動的に調整するシステム及び方法を提供することができる。標的及び応用例の例には、腎臓結石のレーザ砕石術、及び軟組織のレーザ切開又は蒸発が含まれる。一例では、レーザ、分光システム、及びフィードバックアナライザという3つの主構成要素が提供される。一例では、レーザシステムのコントローラは、標的組成物に基づいて、適当なレーザパラメータ設定によって、レーザ療法を自動的にプログラムすることができる。一例では、分光器データによって訓練された機械学習アルゴリズムに基づいて、レーザを制御することができる。追加又は別法として、ユーザ(例えば、医師)は、処置中に標的タイプの指示を連続して受け取ることができ、レーザ設定を調整するようにユーザを促すことができる。レーザ設定を調整し、単一の結石標的の組成部分にレーザ療法を適合させることによって、石の切除又は破砕処置をより速くよりエネルギー効率的に実行することができる。
【0037】
本明細書に記載するいくつかの特徴は、インターネットの接続性及び測定機能を有する他の手術デバイスへの接続性を含むように、フィードバックアナライザへのデータ入力を提供するシステム及び方法を提供することができる。加えて、レーザシステムは、画像プロセッサなどの別のシステムへの入力データを提供することができ、それによって処置モニタが、医療処置に関する情報をユーザへ表示することができる。この一例は、例えば石など、処置中の視野内の異なる軟組織、血管構造、被膜組織、及び同じ標的内の異なる化学組成物をよりはっきりと識別することである。
【0038】
本明細書に記載するいくつかの特徴は、異なる組織タイプ又は異なる結石タイプなどの異なる標的タイプを識別するシステム及び方法を提供することができる。いくつかの場合、単一の結石構造(例えば、腎臓、膀胱、膵胆管、又は胆嚢の石)が、ブラッシュ石、リン酸カルシウム(CaP)、シュウ酸カルシウム二水和物(COD)、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)、又はコレステロール系若しくは尿酸系の結石構造など、その体積全体にわたって、2つ以上の異なる組成物を有することがある。例えば、標的結石構造は、CODの第1の部分及びCOMの第2の部分を含むことがある。一態様によれば、本明細書は、分光データを生体内で連続して収集及び分析することに基づいて、単一の標的(例えば、単一の石)に含まれる異なる組成物を連続して識別するシステム及び方法を記載する。治療(例えば、レーザ療法)は、識別された標的組成物に従って適合させることができる。例えば、標的石における第1の組成物(例えば、COD)の識別に応答して、第1のレーザパラメータ設定(例えば、電力、露出時間、又は発射角度など)によってレーザシステムをプログラムすることができ、レーザシステムは、それに応じて第1の部分を切除又は破砕するようにレーザビームを送達することができる。レーザ療法中に、分光データを連続して収集及び分析することができる。治療されている同じ標的石内の第1の組成物とは異なる第2の組成物(例えば、COM)の識別に応答して、レーザ療法は、レーザパラメータ設定とは異なる第2のレーザパラメータ設定(例えば、異なる電力、又は露出時間、又は発射角度など)によってレーザシステムをプログラムし、それに応じて同じ標的石の第2の部分を切除又は破砕するようにレーザビームを送達することなどによって調整することができる。いくつかの例では、複数の異なるレーザ源をレーザシステムに含むことができる。異なる組成物の石部分を、異なるレーザ源によって治療することができる。使用するのに適当なレーザは、石タイプの識別によって判定することができる。
【0039】
本明細書に記載するいくつかの特徴は、異なるタイプのレーザ源を組み込むのに有利となり得る様々な応用例のためのレーザシステムに関連して使用することができる。例えば、本明細書に記載する特徴は、医療診断、治療、及び手術処置などの産業用又は医療用の設定において好適となり得る。本明細書に記載する特徴は、内視鏡、レーザ手術、レーザ砕石術、レーザ設定、及び/又は分光法に関連して使用することができる。
【0040】
図1は、本開示の実例によるレーザフィードバック制御システム100を含む例示的なレーザ治療システムの概略図を示す。レーザフィードバック制御システム100の例示的な応用例には、軟(例えば、非石灰化)組織若しくは硬(例えば、石灰化)組織、又は腎臓若しくは膵胆管若しくは胆嚢の石などの結石構造の治療のための産業用及び/又は医療用の応用例など、多くの応用例のためのレーザシステムへの統合が含まれる。例えば、本明細書に開示するシステム及び方法は、切除、凝固、蒸発などの精密に制御された治療処置の送達、又は結石構造の切除、断片化、若しくは破砕に有用となり得る。
【0041】
図1を参照すると、レーザフィードバック制御システム100は、1つ以上のレーザシステムと動作可能に通信することができる。図1は、第1のレーザシステム102及び任意選択で第2のレーザシステム104(点線で示す)に接続されたレーザフィードバックシステムを示すが、本開示の範囲内で追加のレーザシステムも企図される。
【0042】
第1のレーザシステム102は、第1のレーザ源106と、電源、ディスプレイ、冷却システムなどの付随する構成要素とを含むことができる。第1のレーザシステム102はまた、第1のレーザ源106に動作可能に結合された第1の光ファイバ108を含むことができる。第1の光ファイバ108は、第1のレーザ源106から標的組織122へレーザ出力を伝送するように構成することができる。
【0043】
一例では、第1のレーザ源106は、第1の出力110を提供するように構成することができる。第1の出力110は、第1の波長範囲にわたって延びることができる。本開示のいくつかの態様によれば、第1の波長範囲は、標的組織122の吸収スペクトルの一部分に対応することができる。吸収スペクトルは、レーザ波長の範囲の吸収係数を表す。図2Aは、例として、水の吸収スペクトル210を示す。図2Bは、例として、オキシヘモグロビンの吸収スペクトル221及びヘモグロビンの吸収スペクトル222を示す。そのような例では、第1の出力110は、第1の出力110が組織の吸収スペクトルに対応する波長範囲にわたっているため、標的組織122の効果的な切除及び/又は炭酸化を提供することができることが有利である。
【0044】
例えば、第1のレーザ源106は、第1の波長範囲で放出された第1の出力110が、入射する第1の出力110の組織による高い吸収(例えば、約250cm-1を超過する)に対応するように構成することができる。例示的な態様では、第1のレーザ源106は、約1900ナノメートル~約3000ナノメートル(例えば、水による高い吸収に対応する)、及び/又は約400ナノメートル~約520ナノメートル(例えば、オキシヘモグロビン及び/又はデオキシヘモグロビンの高い吸収に対応する)の第1の出力110を放出することができる。組織との光の相互作用には、吸収及び散乱という2つの主機構が存在することが分かっている。組織の吸収が高い(吸収係数が250cm-1を超過する)とき、第1の吸収機構が優勢になり、吸収が低い(吸収係数が250cm-1より小さい)とき、例えば800~1100nmの波長範囲のレーザでは、散乱機構が優勢になる。
【0045】
様々な市販の医療グレードのレーザシステムが、第1のレーザ源106にとって好適となり得る。例えば、約515ナノメートル~約520ナノメートル又は約370ナノメートル~約493ナノメートルの第1の波長範囲内の第1の出力110を提供するInXGa1-XN半導体レーザなどの半導体レーザを使用することができる。別法として、以下の表1に要約したレーザなどの赤外(IR)レーザを使用することができる。
【0046】
【表1】
【0047】
図1を参照すると、本開示のレーザ治療システムは、任意選択で、第2のレーザシステム104を含むことができる。第2のレーザシステム104は、前述のように、第2の出力120を提供するための第2のレーザ源116と、電源、ディスプレイ、冷却システムなどの付随する構成要素とを含む。第2のレーザシステム104は、第1のレーザ源106から動作可能に分離することができ、又は代替では、第1のレーザ源106に動作可能に結合することができる。いくつかの例では、第2のレーザシステム104は、第2の出力120を伝送するように第2のレーザ源116に動作可能に結合された第2の光ファイバ118(第1の光ファイバ108とは別個)を含むことができる。別法として、第1の光ファイバ108は、第1の出力110及び第2の出力120の両方を伝送するように構成することができる。
【0048】
特定の態様では、第2の出力120は、第1の波長範囲とは別個の第2の波長範囲にわたって延びることができる。それに応じて、第1の波長範囲と第2の波長範囲との間にいかなる重複も存在しないことがある。別法として、第1の波長範囲及び第2の波長範囲は、少なくとも部分的な重複を互いに有することもできる。本開示のいくつかの態様によれば、第2の波長範囲は、標的組織122の吸収スペクトルのうち、以前に切除又は炭化されていない組織によって入射放射が強く吸収される部分(例えば、図2に示す)に対応しないことがある。いくつかのそのような態様では、第2の出力120は、非炭化組織を切除しないことが有利である。さらに、別の例では、第2の出力120は、以前に切除された炭化組織を切除することができる。追加の例では、第2の出力120は、追加の治療効果を提供することができる。例えば、第2の出力120は、組織又は血管を凝固させるのにより好適なものとすることができる。
【0049】
レーザ放出は、軟組織又は硬組織、石などによって大きく吸収することができる。例として、図3A図3Cは、異なる組織タイプの吸収スペクトルを示す。図3Aは、正常組織(切除前)の吸収スペクトル311及び炭化組織(切除後)の吸収スペクトル312をそれぞれ示す。図3Bは、特定の波長範囲(例えば、450~850nm)内で、吸収スペクトルがレーザ波長に対して指数関数的減衰をたどることを示す(図3A及び図3Bに示すデータの出典はhttp://omlc.org/spectra/hemoglobin/)。図3Cは、水スペクトル331A~331C(それぞれ75%、100%、及び4%の濃度)、ヘモグロビン(Hb)スペクトル332、オキシヘモグロビン(HbO)スペクトル333、及びメラニンスペクトル334A~334D(それぞれ2%、13%、30%、及び100%のメラノソームの体積分率)を含む、異なる媒体内で測定された光吸収スペクトルを示す(図3Cに示すデータの出典はhttp://www.americanlaserstudyclub.org/laser-surgery-education/)。水吸収の波長は、1900nm~3000nmの範囲内である。オキシヘモグロビン及び/又はデオキシヘモグロビンの波長は、400nm~520nmの範囲内である。多くの手術用レーザは、ある範囲内において水又はヘモグロビンで大きく吸収されるが、水を吸収するのに制限された媒体もあり、これは、内視鏡の内側がレーザエネルギーによって損傷されることがある理由となり得る。
【0050】
図4は、第2の出力120などのレーザ出力の侵入深さを示す(図4に示すデータの出典はhttp://www.americanlaserstudyclub.org/laser-surgery-education/)。同出典に見られるように、第2の出力120は、小さい毛細血管の特性寸法(例えば、約5~約10μm)に同等の侵入深さにより、効果的な凝固に好適となり得る。さらに、特定の例では、図3A及び図3Bを参照すると、第2の波長範囲は、炭化されていない組織による第2の出力120の低い吸収に対応することができるが、炭化された組織(例えば、第1の出力110の切除による)による高い吸収にも対応することができる。第2の出力120のスペクトル特性は、入射する第2の出力120の炭化組織による高い(例えば、約250cm-1より大きい)吸収に対応することが明らかである。好適な第2のレーザ源の例には、約750ナノメートル~約850ナノメートルの第2の波長範囲内の第2の出力120を有するGaAl1-XA、又は約904ナノメートル~約1065ナノメートルの第2の波長範囲内の第2の出力120を有するInGa1-XAが含まれる。
【0051】
組織(正常及び/又は炭化)による吸収に好適な部分的に重複するスペクトルを有する2つのレーザシステムについて上述したが、代替例では、第2のレーザシステム104の代わりに、第1のレーザシステム102が、第2の出力120を提供することができる。一例では、第1のレーザシステム102は、以前に切除されていない「正常」組織の高い吸収(例えば、図2に示す)に好適である、第1の波長範囲にわたっている第1の出力110と、炭化前の組織による低い吸収に対応しており、且つ/又は凝固(例えば、図3A及び図3Bに示す)により好適である、第2の波長範囲にわたっている第2の出力120とを提供することができる。第1のレーザシステム102は、追加の波長範囲にわたって追加の出力を提供することができる。
【0052】
図1を再び参照する。例によれば、レーザ治療システムは、レーザフィードバック制御システム100を含む。図5を次に参照すると、前述のように、レーザフィードバック制御システム100は、標的組織122からのフィードバック信号130を分析し、所望の治療効果を提供するのに好適なレーザ出力を生成するように、第1のレーザシステム102及び/又は第2のレーザシステム104を制御することができる。例えば、レーザフィードバック制御システム100は、治療処置(例えば、切除)中の標的組織122の特性を監視して、別の治療処置(例えば、血管の凝固)の前に、組織が好適に切除されたかどうかを判定することができる。それに応じて、レーザフィードバック制御システム100は、フィードバックアナライザ140を含むことができる。
【0053】
図5を引き続き参照すると、フィードバックアナライザ140は、一例によれば、組織の分光特性を監視することができる。分光特性は、反射率、吸収指数などの特性を含むことができる。それに応じて、フィードバックアナライザ140は、分光センサ142を含むことができる。分光センサ142は、フーリエ変換赤外分光計(FTIR)、ラマン分光計、UV-VIS反射分光計、蛍光分光計などを含むことができる。FTIRは、決まり切った簡単で急速な材料分析に使用される方法である。この技法は、比較的良好な空間分解能を有し、材料の化学組成物に関する情報を与える。ラマン分光法は、硬組織及び軟組織の成分を識別するのに良好な精度を有する。ラマン分光法は、高い空間分解能の技法として、標的内の成分の分布を判定するのにも有用である。UV-VIS反射分光法は、目からもたらされる情報又は高分解能カメラによって作られる色画像と同様であるが、より定量的且つ客観的に、物体から反射された光からの情報を集める方法である。反射分光法は、光の反射及び吸収がその化学組成物及び表面特性に依存することから、材料に関する情報を提供する。この技法を使用して、サンプルの表面特性及び内部特性の両方に関する固有の情報を得ることも可能である。反射分光法は、硬組織又は軟組織の組成物を認識するのに有益な技法となり得る。蛍光分光法は、サンプルからの蛍光を分析する一種の電磁分光法である。蛍光分光法は、通常は紫外の光ビームを使用することを伴い、この光ビームは、材料化合物を励起し、この材料化合物に、典型的には可視又はIR区域の光を放出させる。この方法は、硬組織及び軟組織などのいくつかの有機成分の分析に適用可能である。
【0054】
フィードバックアナライザ140は、任意選択で、一例では、撮像センサ144(例えば、紫外(UV)、可視(VIS)、又は赤外(IR)波長を感知可能なCCD又はCMOSカメラ)を含むことができる。いくつかの例では、分光センサ142は、様々な特徴(例えば、炭化及び非炭化組織、血管構造など)の感知及び検出を強化するために、本明細書に挙げる2種類以上の分光計又は撮像カメラを含むことができる。
【0055】
いくつかの例では、分光センサ142(分光計としても知られる)は、本明細書に挙げる分光計のいずれかを含むことができ、治療処置中に使用される内視鏡の撮像能力にさらに依拠することができる。例えば、内視鏡は、治療処置(例えば、腫瘍のレーザ切除)中に解剖学的特徴を視覚化するために使用することができる。そのような場合、分光センサ142によって、内視鏡の撮像能力を増大することができる。例えば、従来の内視鏡は、解剖学的特徴(例えば、病変、腫瘍、血管構造など)の強化された視覚化に好適な狭帯域撮像を提供することができる。分光センサ142を内視鏡撮像(白色光及び/又は狭帯域撮像)に組み合わせることによって、治療処置の送達を精密に制御するために、炭化レベルなどの組織特性の検出を増大させることができる。
【0056】
図5を再び参照すると、分光センサ142は、信号検出光ファイバ150に動作可能に結合することができる。そのような例では、信号検出光ファイバ150は、組織から分光センサ142へ分光信号を伝送するのに好適な光特性を有することができる。別法として、分光センサ142は、第1のレーザシステム102の第1の光ファイバ108及び/又は第2のレーザシステム104の第2の光ファイバ118に動作可能に結合することができ、それによって第1の光ファイバ108及び/又は第2の光ファイバ118を介して分光信号を検出することができる。
【0057】
図1及び図5を引き続き参照すると、レーザフィードバック制御システム100は、分光センサ142、第1のレーザシステム102、及び任意選択で第2のレーザシステム104の各々と動作可能に通信するレーザコントローラ160を含む。レーザコントローラ160は、標的組織122に所望の治療効果をもたらすように1つ以上のレーザシステムからのレーザ出力を制御するために、本明細書に記載する1つ以上の制御アルゴリズムに従って、レーザコントローラ160に動作可能に接続された1つ以上のレーザシステム(例えば、第1のレーザシステム102、第2のレーザシステム104、及び/又は任意の追加のレーザシステム)を制御することができる。
【0058】
レーザコントローラ160は、レーザコントローラ160に帰する機能の1つ以上を実行するために、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は任意の他の同等の一体若しくは個別の論理回路などのプロセッサ、並びにそのような構成要素の任意の組合せを含むことができる。任意選択で、レーザコントローラ160は、有線又は無線接続によって、分光センサ142及び1つ以上のレーザシステム(例えば、第1のレーザシステム102、第2のレーザシステム104、及び本明細書に示されていない任意選択のレーザシステム)に結合することができる。
【0059】
レーザコントローラ160は、フィードバックアナライザ140と通信して(例えば、有線又は無線接続を介する)、フィードバックアナライザ140から1つ以上のフィードバック信号を受け取ることができる。レーザコントローラ160は、本明細書にさらに説明するように、フィードバック信号に基づいて、標的組織122の1つ以上の特性を判定することができる。例えば、レーザコントローラ160は、フィードバック信号の振幅を比較して最小及び最大の振幅を提示し、組織の特性(例えば、炭化、凝固など)を判定することができる。
【0060】
いくつかの例では、フィードバックアナライザ140は、標的組織122を連続して監視し、レーザコントローラ160と連続して通信して、フィードバック信号を提供することができる。それに応じて、レーザコントローラ160は、フィードバック信号の振幅の変化が検出されるまで、レーザシステムを1つ以上の状態で引き続き維持することができる。分光信号の振幅の変化が検出されたとき、レーザコントローラ160は、1つ以上のレーザシステムと通信し、所望の治療効果を送達するために状態を変化させることができる。別法又は追加として、レーザコントローラ160は、操作者(例えば、医療従事者)と通信し、1つ以上の出力システムを介して、フィードバック信号を示す1つ以上の出力を表示することができ、任意選択で、所望の治療効果を送達するために、第1のレーザシステム及び/又は第2のレーザシステムによって1つ以上の治療処置を実行するように操作者に指示することができる。
【0061】
本明細書に記載する実例では、レーザコントローラ160は、レーザシステムの状態を変化させることによって、1つ以上のレーザシステムを制御することができる。一態様によれば、レーザコントローラ160は、各レーザシステムを独立して制御することができる。例えば、レーザコントローラ160は、各レーザシステムへ別個の制御信号を送り、他のレーザシステムから独立して各レーザシステムを制御することができる。別法として、レーザコントローラ160は、1つ以上のレーザシステムを制御するために、共通の信号を送ることができる。
【0062】
いくつかの例では、レーザシステムの各々は、レーザシステムがレーザ出力を生成する第1の状態、及びレーザシステムがレーザ出力を生成しない第2の状態という2つの別個の状態に関連付けることができる。例えば、第1のレーザシステム102は、第1の出力110(例えば、第1の波長範囲)が生成される第1の状態と、第1の出力110が生成されない第2の状態とを有することができる。同様に、第2のレーザシステム104は、第2の出力120(例えば、第2の波長範囲)が生成される第1の状態と、第2の出力120が生成されない第2の状態とを有することができる。そのような例では、レーザコントローラ160は、レーザシステムの状態を第1の状態から第2の状態へ又は第2の状態から第1の状態へ変化させる制御信号を送ることによって、1つ以上のレーザシステムを制御することができる。さらに、任意選択で、各レーザシステムは、追加の状態、例えば異なる波長範囲のレーザ出力が生成される第3の状態を有することができる。それに応じて、所望の治療効果を提供するレーザ出力を生成するために、レーザコントローラ160によってレーザシステムへ追加の制御信号を送り、それらの現在の状態から1つ以上の追加の状態へ(例えば、第1の状態から第3の状態、第2の状態から第3の状態、第3の状態から第1の状態、及び第3の状態から第2の状態へ)それらの状態を変化させることができる。
【0063】
例示的なレーザシステム制御アルゴリズム
図6及び図7は、本開示に記載のいくつかの例によるレーザフィードバック制御システム100を使用して1つ以上のレーザシステムを制御するためのアルゴリズムの例を示す流れ図である。図6に示す制御アルゴリズム600によれば、ステップ602で、フィードバックアナライザ140(例えば、分光センサ142又は撮像センサ144)によって、第1の信号(例えば、分光信号)を検出することができる。ステップ604で、レーザコントローラ160は、フィードバックアナライザ140から第1の信号を受け取ることができる。第1の信号は、第1の特性に対応することができる。ステップ606で、レーザコントローラ160は、第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定することができる。例えば、レーザコントローラ160は、第1の信号の振幅を標的値又は事前設定された極値(例えば、最大又は最小の振幅)と比較し、標的組織122の第1の特性を判定することができる。第1の特性は、治療処置を受けた後の組織(例えば、切除又は炭化組織)の特性を示すことができる。レーザコントローラ160は、第1の特性(第1の信号と第1の事前設定値との間の比較)に基づいて、所望の治療効果が獲得されたと判定することができ、ステップ608で、第1の制御信号を第1のレーザシステム102へ送り、第1のレーザシステム102の第1の状態から第1のレーザシステム102の第2の状態へ変化させることができる。一例によれば、これにより、満足のいく治療効果(例えば、切除)の送達の結果として、第1のレーザシステム102は第1の出力110を生成しなくなる。別法として、ステップ606で、第1の信号が第1の事前設定値に概ね等しくない(十分に切除されていない)と判定された場合、レーザコントローラは、いかなる制御信号も送らず、フィードバックアナライザは、第1の信号を引き続き監視することができる。
【0064】
任意選択で、ステップ612で、フィードバックアナライザ140は、第1の信号とは別個の第2の信号を受け取ることができる。第2の信号は、第2の事前設定値を有する標的組織の第1の特性を示すことができる。例えば、第2の信号における組織からの反射光の振幅は、第1の信号とは異なることがある。任意選択のステップ614で、レーザコントローラ160によって第2の信号を受け取ることができる。任意選択のステップ616で、レーザコントローラ160は、第2の信号が第2の事前設定値に概ね等しいかどうかを判定することができる。例えば、第2の信号(例えば、分光信号又は画像)は、標的組織122が第1の出力110の吸収によって炭化されていないこと(例えば、測定された信号振幅が、切除組織の分光信号又は画像の事前設定された最大振幅より小さいこと)を示すことができる。いくつかの例では、そのような状態は、不十分な切除又は他の満足のいかない治療効果を示すことがあり、組織を切除することができるように、レーザ出力を引き続き送達することが望ましい。それに応じて、任意選択のステップ618で、レーザコントローラ160は、第1のレーザシステム102と通信して第2の制御信号を送ることができる。第2の制御システムは、第1のレーザシステム102を第1の状態で維持することができる(例えば、第1の出力110を引き続き送達するため)。別法として、第1のレーザシステムが第2の状態(例えば、オフ)にある場合、任意選択のステップ620で、第2の制御信号は、例えば標的組織へ追加の切除を引き続き送達するために、第1のレーザシステムの状態を第1の状態(例えば、オン)へ変化させることができる。
【0065】
任意選択のステップ620で、レーザコントローラ160が、治療状態の満足のいく送達を判定した後、レーザコントローラ160は、追加のレーザ出力(例えば、異なる波長)を送達して追加の治療効果を送達するために、追加の制御動作を実行することができる。
【0066】
図7は、デュアルレーザシステムを制御するための制御アルゴリズムを示す。アルゴリズム700は、レーザコントローラ160が2つ以上のレーザシステムと動作可能に通信している場合に好適となり得る。いくつかのそのような例では、前述のように、第1のレーザシステム102は、第1の出力110(例えば、第1の波長範囲)を送達するように構成することができ、第2のレーザシステム104は、第2の出力120(例えば、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲)を送達するように構成することができる。制御アルゴリズム700は、第1のレーザシステム102、第2のレーザシステム104、及び任意選択で追加のレーザシステムを制御することができる。
【0067】
制御アルゴリズム700に従って、ステップ702で、フィードバックアナライザ140によって第1の信号(例えば、分光信号又は画像)を検出することができる。ステップ704で、レーザコントローラ160は、フィードバックアナライザ140から第1の信号を受け取ることができる。ステップ706で、レーザコントローラ160は、第1の信号が第1の事前設定値(第1の事前設定値の指定の許容差範囲内など)に概ね等しいかどうかを判定することができる。例えば、レーザコントローラ160は、第1の信号の振幅を標的値又は事前設定された極値(例えば、最大又は最小の振幅)と比較し、標的組織122の第1の特性を判定することができる。第1の特性は、治療処置を受けた後の組織(例えば、切除又は炭化組織)の特性を示すことができる。レーザコントローラ160は、第1の特性が標的値又は事前設定された基準を満たすことに基づいて、所望の治療効果が獲得されたと判定することができ、ステップ708で、第1の制御信号を第1のレーザシステム102へ送り、第1のレーザシステム102の第1の状態から第1のレーザシステム102の第2の状態へ変化させることができる。例えば、レーザコントローラ160は、切除組織からの反射光に基づいて、切除が満足のいくものであると判定し、第1の制御信号を第1のレーザシステムへ送り、第1のレーザシステムをOFF状態に戻すことができる。別法として、実例では、レーザコントローラ160は、所望の治療効果に到達したことを示すために、且つ/又は第1のレーザシステムの状態を「OFF」状態に変化させることを操作者(例えば、医療従事者)に示すために、操作者へ出力を提供することができる。
【0068】
ステップ708で、レーザコントローラ160はまた、第4の信号を第2のレーザシステム104へ送り、第2のレーザシステム104の第2の状態から第2のレーザシステム104の第1の状態へ変化させることができる。例えば、第2のレーザシステム104は、炭化組織を切除するのにより好適となり得る。それに応じて、組織が十分に炭化されていることを検出したとき(例えば、ステップ708)、レーザコントローラ160は、いくつかの例では、第1の制御信号を送って第1のレーザシステム102をオフに切り換え、第4の制御信号を送って第2のレーザシステム104をオンに切り換えることができる。第1のレーザシステム及び第2のレーザシステムの状態の例示的なタイミング図を図8に示す。
【0069】
いくつかの例では、第1の制御信号及び第4の制御信号は、同時に送ることができる。別法として、第1の制御信号及び第4の制御信号は、連続して送ることができる。
【0070】
図7に戻ると、任意選択のステップ710で、フィードバックアナライザ140は、第1の信号とは別個の第2の信号(例えば、分光信号又は画像)を検出することができる。例えば、第2の信号は、第1の出力110の吸収によって標的組織122が炭化されていないこと(例えば、測定された信号振幅が、切除組織の分光信号の事前設定された最大振幅より大きいこと)を示すことができる。いくつかの例では、そのような状態は、不十分な切除又は他の満足のいかない治療効果を示すことがあり、組織を切除することができるように、レーザ出力を引き続き送達することが望ましい。任意選択のステップ712で、レーザコントローラは、第2の信号を受け取り、任意選択のステップ714で、第2の信号を第2の事前設定値と比較することができる。第2の信号が第2の事前設定値(第2の事前設定値の指定の許容差範囲内など)に概ね等しい場合、任意選択のステップ716で、レーザコントローラ160は、第2の制御信号を第1のレーザシステムへ送り、第3の制御信号を第2のレーザシステムへ送ることができる。第1のレーザシステム及び第2のレーザシステムの状態の例示的なタイミング図を図8に示す。
【0071】
第2の制御信号は、いくつかの例では、第1のレーザシステムを第2の状態(例えば、OFF)から第1の状態(例えば、ON)へ変化させることができる。別法として、第1のレーザシステムが第1の状態(例えば、ON)にある場合、第2の制御信号は、第1のレーザシステム102を第1の状態で維持することができる(例えば、第1の出力110を引き続き送達するため)。任意選択で、ステップ716で、レーザコントローラ160は、第2のレーザシステム104がその第1の状態にある場合、第3の制御信号を第2のレーザシステム104へ送り、それによって第2のレーザシステム104を第2のレーザシステム104の第1の状態(例えば、ON)から第2のレーザシステム104の第2の状態(例えば、OFF)へ変化させることができる。別法として、第3の制御信号は、第2のレーザシステムが第2の状態にある場合、第2のレーザシステム104を第2の状態(例えば、OFF)で維持することができる。
【0072】
いくつかの例によれば、第1のレーザシステム102及び第2のレーザシステム104の各々の第1の状態は、それぞれ第1のレーザ源106による第1の出力110の生成及び第2のレーザ源116による第2の出力120の生成に対応することができる。それに応じて、第1のレーザシステム102及び第2のレーザシステム104の各々の第1の状態は、「オン」状態を表すことができる。いくつかのそのような例では、第1のレーザシステム102及び第2のレーザシステム104の各々の第2の状態は、「オフ」状態に対応することができる。
【0073】
図5を参照すると、レーザフィードバック制御システム100は、1つ以上の出力システム170を含むことができる。1つ以上の出力システム170は、ユーザ及び/又は治療処置に使用される灌注吸引/圧送システム、若しくは光ディスプレイコントローラ、若しくは他のシステムなどの他のシステムと通信し、且つ/あるいはユーザ及び/又はそのようなシステムへ信号を送達することができる。いくつかの例では、出力システム170は、ディスプレイ172を含むことができる。ディスプレイ172は、スクリーン(例えば、タッチスクリーン)とすることができ、又は代替例では、簡単に視覚インジケータ(例えば、1つ以上の色のLED光)とすることができる。追加の例では、出力システム170は、聴覚信号を提供することが可能な聴覚出力システム174(例えば、スピーカ、警報システムなど)を含むことができる。出力システム170は、所望の治療効果が実現されたことを示すために、1つ以上の出力(例えば、第1の色のLED光、スクリーン上の第1のメッセージ、第1のトーンの警報音)を提供することができる。出力は、例えばステップ610、及び任意選択でステップ620で、提供することができる。さらなる任意選択の例では、出力システム170は、所望の治療効果が実現されていないとき、1つ以上の異なる出力を提供することができる。例えば、出力システム170は、所望の治療効果が実現されていないことを示すために、1つ以上の出力(例えば、第2の色のLED光、スクリーン上の第2のメッセージ、第2のトーンの警報音)を提供することができる。そのような出力は、1つ以上のステップをとる(例えば、1つ以上のレーザシステムを使用して、追加の治療ステップを実行し、追加のレーザ出力を提供する)ように、操作者(医療従事者)を促すことができる。
【0074】
図8は、2つの光波長を利用することによって組織の切除及び凝固を送達する一例によるレーザフィードバック制御システム100を有するデュアルレーザシステムのタイミング図を示す。しかし、前述のように、レーザフィードバック制御システム100は、標的組織122へのレーザ療法又は他のタイプの治療効果の送達を最適化するために、単一又は複数の光波長システムとともに利用することができる。治療効果は、同時を含む任意のシーケンスで送達することができる。別法として、治療効果は、異なる時間に送達することができる。
【0075】
一例によれば、第1のレーザシステム102及び第2のレーザシステム104からのレーザエネルギーは、標的(例えば、組織表面)へ送達することができ、一例では連続して送達することなどができる。第1及び第2のレーザシステムは、同じ光ファイバを介して、それぞれのレーザエネルギーを送達することができる。別法として、第1及び第2のレーザシステムは、それぞれ別個の光ファイバを介して、それぞれのレーザエネルギーを送達することができる。振幅Amaxを有する光フィードバック信号810は、組織表面から反射され、フィードバックアナライザ140によって検出及び分析することができる。第1及び第2のレーザシステムは、それぞれの動作状態(例えば、ON状態又はOFF状態)を交互に変えることができる。図8に示すように、第1のレーザシステム102は、その第1の状態に切り換えることができ、又はその第1の状態(例えば、ON)820Aで維持することができ、第2のレーザシステム104は、第2の状態(例えば、OFF)に切り換えることができ、又はその状態で維持することができる。第1のレーザは、組織を切除及び炭化するために使用することができる。第1のレーザシステム102の動作中、第1の信号は、レーザコントローラ160によって受け取ることができ、その振幅が閾値レベルAminへ低減するまで、組織による高い吸収を示すことができる。第1のレーザシステム102からの出力の波長は、標的組織の効果的な炭化に好適な波長など、標的の吸収スペクトルにおける第1の波長範囲内とすることができる。組織は、レーザエネルギーの高い吸収を有する。一例では、第1のレーザ出力は、UV-VIS又は深赤外波長範囲内である。
【0076】
レーザコントローラ160は次いで、第1のレーザシステム102が第2の状態(例えば、OFF)になり、第2のレーザシステム104が第1の状態(例えば、ON)830Aになるように、レーザシステムの状態を変化させることができる。第2のレーザシステム104からの出力は、炭化組織によって大きく吸収することができ、したがって炭化組織が切除され、炭化を事実上除去する。第2のレーザシステム104からの出力の波長は、標的の吸収スペクトルにおける第2の波長範囲内とすることができる。第2の波長範囲は、第1のレーザシステム102からの出力の第1の波長範囲とは異なることができる。第2のレーザシステム104からの出力の波長はまた、効果的な凝固にとって好適となり得る。一例では、第2のレーザ出力は、赤外波長範囲内(例えば、100~300μm)である。脱炭プロセスによって、信号(例えば、第2の信号)の振幅は初期レベルAmax近くまで戻る。レーザコントローラ160は、それに応じて、レーザの状態を変化させることができ、したがって第1のレーザシステム102は第1の状態(例えば、ON)になり、第2のレーザシステム104は第2の状態(例えば、OFF)になる。このプロセスを繰り返すことができ、したがって第1のレーザシステム102及び第2のレーザシステム104は、図8に示すように交互に、所望の組織の切除及び/又は凝固が実現されるまで、それぞれON状態820B及び830Bに繰返し切り換えられる。いくつかの例では、本明細書に論じる光フィードバック信号810は、レーザエネルギーとは異なる電気手術エネルギーを制御可能に調整及び最適化することができる電気手術システムに提供することができる。
【0077】
標的識別を伴う例示的な内視鏡システム
図9図11は、標的組成物分析を完全に内視鏡内でどのように実行することができるかを実証する。標的組成物分析は、レーザファイバ及び場合によりデジタル内視鏡の遠位先端上のカメラによって、分光法を介して実行することができる。
【0078】
図9A図9Bは、レーザファイバが挿入された内視鏡の一例を示す。例示的な内視鏡910の細長い本体部分が、レーザファイバ912、照射源914、及びカメラ916を含む様々な構成要素を取り囲んでいる。レーザファイバ912は、レーザシステム102又はレーザシステム202の光路108の一例である。レーザファイバ912は、内視鏡910の細長い本体内をワーキングチャネル913に沿って延びることができる。いくつかの例では、レーザファイバ912は、内視鏡とは別個のものとすることができる。例えば、レーザファイバ912は、使用前に内視鏡のワーキングチャネルに沿って供給し、使用後に内視鏡のワーキングチャネルから回収することができる。
【0079】
照射源914は、操作者が標的構造(例えば、組織又は結石構造)を視覚化することを可能にする視覚化システムの一部とすることができる。照射源の例は、光を内視鏡の細長い本体の遠位端から離れる方へ遠位に放出して標的構造の領域を照射するように構成された1つ以上のLEDを含むことができる。一例では、照射源914は、標的構造を照射するために、白色光を放出することができる。白色光は、医師が内視鏡の本体の遠位端の近傍で結石又は組織の変色又は他の色に基づく影響を観察することを可能にすることができる。一例では、照射源914は、標的構造を照射するために、青色光を放出することができる。青色光は、熱による組織の広がりを示し、それによって組織内の損傷を検出するのによく適していることがある。赤色、琥珀色、黄色、緑色などの他の色及び/又は色帯域を使用することもできる。
【0080】
カメラ916は、視覚化システムの一部である。カメラ916は、撮像センサ244の一例である。カメラ916は、照射された標的構造及び周辺環境のビデオ画像又は1つ以上の静止画像を捕捉することができる。ビデオ画像は、実時間、又は処理のための待ち時間が比較的短いほぼ実時間とすることができ、したがって医師は、内視鏡を操作しながら、標的構造を観察することができる。カメラ916は、レンズと、レンズの焦点面に位置するマルチピクセルセンサとを含むことができる。センサは、ビデオ画像内の各画素に対する赤色光、緑色光、及び青色光の強度値を提供するセンサなどのカラーセンサとすることができる。回路基板は、照射された結石の捕捉されたビデオ画像を表すデジタルビデオ信号を生じさせることができる。デジタルビデオ信号は、10Hz、20Hz、24Hz、25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hzのビデオリフレッシュレート、又は別の好適なビデオリフレッシュレートを有することができる。
【0081】
図10A図10Bは、フィードバック制御式のレーザ治療システムの例を示す。図10Aで、レーザ治療システム1000Aは、カメラフィードバックを受け取るフィードバック制御式のレーザ治療システム1010と一体化された内視鏡910を含む。レーザ治療システム1000Aは、レーザ治療システム100の一例であり、内視鏡910、フィードバック制御式のレーザ治療システム1010、レーザ源1020、及び光源1030を備える。様々な例では、フィードバック制御式のレーザ治療システム1010の一部分又は全体を、内視鏡910に埋め込むことができる。
【0082】
フィードバック制御式のレーザ治療システム1010は、レーザフィードバック制御システム200の一例であり、分光計1011(分光センサ242の一例)、フィードバックアナライザ1012(フィードバックアナライザ240の少なくとも一部分の一例)、及びレーザコントローラ1013(レーザコントローラ260の一例)を含む。レーザ源1020は、レーザシステム202の一例であり、レーザファイバ912に結合することができる。ファイバ一体式のレーザシステムは、フレキシブル内視鏡にレーザエネルギーを通し、硬組織及び軟組織を効果的に治療する能力のため、内視鏡処置に使用することができる。これらのレーザシステムは、UV範囲からIRの範囲(200nm~10000nm)の広い波長範囲内のレーザ出力ビームを生じさせる。いくつかのファイバ一体式のレーザは、軟組織又は硬組織によって大きく吸収される波長範囲内、例えば水の吸収の場合は1900~3000nm、又はオキシヘモグロビン及び/若しくはデオキシヘモグロビンの吸収の場合は400~520nmの出力を生じさせる。上記の表1は、1900~3000nmという高い水吸収範囲内で放出するIRレーザの概要である。
【0083】
いくつかのファイバ一体式のレーザは、標的軟組織又は硬組織によって最小限に吸収される波長範囲内の出力を生じさせる。これらのタイプのレーザは、5~10μmという小さい毛細血管の直径に類似した侵入深さのため、効果的な組織凝固を提供する。レーザ源1020の例は、特に、515~520nmで放出するGaNレーザ、370~493nmで放出するInGa1-XNレーザ、750~850nmで放出するGaAl1-XAレーザ、又は904~1065nmで放出するInGa1-XAレーザなど、UV-VISを放出するInGa1-XN半導体レーザを含むことができる。
【0084】
光源1030は、電磁放射信号を生じさせることができ、この電磁放射信号は、内視鏡の細長い本体に沿って延びる第1の光路を介して、標的構造122へ伝送することができる。第1の光路は、ワーキングチャネル913内に位置することができる。一例では、第1の光路は、レーザファイバ912とは別個の光ファイバとすることができる。別の例では、図10Aに示すように、電磁放射信号は、レーザビームを伝送するために使用されるものと同じレーザファイバ912を通って伝送することができる。電磁放射は、第1の光路の遠位端を出て、標的構造及び周辺環境に投影される。図10Aに示すように、標的構造は、内視鏡カメラ916の視野範囲内にあり、したがって電磁放射が標的構造及び周辺環境に投影されることに応答して、CCD又はCMOSカメラなどの内視鏡カメラ916は、標的構造122から反射された信号を収集し、標的構造の撮像信号1050を生じさせ、撮像信号をフィードバック制御式のレーザ治療システム1010へ送達することができる。いくつかの例では、分光応答を収集するために、レーザ走査など、CCD又はCMOSカメラ以外の撮像システムを使用することができる。
【0085】
カメラシステム916を通して生成及び伝送されるフィードバック信号(例えば、撮像信号)に加えて、又はその代わりに、いくつかの例では、標的構造から反射された信号は、追加又は別法として、内視鏡910に付随するものなど、別個のファイバチャネル又はレーザファイバを通して、フィードバック制御式のレーザ治療システム1010へ収集及び伝送することができる。図10Bは、分光センサフィードバックを受け取るように構成されたフィードバック制御式のレーザ治療システム1010と一体化された内視鏡910を含むレーザ治療システム1000Bの一例を示す。反射された分光信号1070(図1及び図2のフィードバック信号130の一例である)は、レーザファイバ912など、光源1030から標的構造へ電磁放射を伝送するために使用されたものと同じ光路を通って、フィードバック制御式のレーザ治療システム1010へ戻ることができる。別の例では、反射された分光信号1070は、光源1030から標的構造へ電磁放射を伝送する第1の光ファイバとは別個の光ファイバチャネルなどの第2の光路を通って、フィードバック制御式のレーザ治療システム1010へ進むことができる。
【0086】
フィードバック制御式のレーザ治療システム1010は、1つ以上のフィードバック信号(例えば、標的構造の撮像信号1050又は反射された分光信号1070)を分析して、レーザ源1020に対する動作状態を判定することができる。分光計1011は、分光センサ242を参照して上記で論じたように、FTIR分光計、ラマン分光計、UV-VIS分光計、UV-VIS-IR分光計、又は蛍光分光計のうちの1つ以上を使用することなどによって、1つ以上のフィードバック信号から1つ以上の分光特性を生成することができる。フィードバックアナライザ1012は、標的検出器246又は標的分類器248のうちの1つ以上を使用することなどによって、標的構造を複数の構造カテゴリ又は構造タイプのうちの1つとして識別又は分類するように構成することができる。レーザコントローラ1013は、図2を参照して上記で同様に論じたように、レーザシステム1020の動作モードを判定するように構成することができる。
【0087】
光源1030は、UVからIRの光範囲内の電磁放射を生じさせることができる。以下の表2は、本明細書に論じる例に適用可能な分光システムのための光源1030の例を提示する。
【0088】
【表2】
【0089】
いくつかの例では、フィードバックアナライザ1012は、レーザファイバ912の遠位端と標的構造122との間、又は反射信号を受け取って再び分光計1011へ伝送する光路の遠位端と標的構造122との間の距離1060(図10Aに示す)を判定することができる。距離1060は、分光計1011によって生じた反射スペクトルなどの分光特性を使用して計算することができる。レーザコントローラ1013は、閾値(dth)未満又は指定のレーザ発射範囲内など、距離1060が条件を満たす場合、標的構造122へレーザエネルギーを送達するように、レーザ源1020を制御することができる。一例では、標的構造122が、意図された治療構造タイプ(例えば、指定の軟組織タイプ又は指定の結石タイプ)として識別されたが、標的構造122が、レーザの範囲内にない(例えば、d>dth)場合、レーザコントローラ1013は、レーザ源1020を「ロック」する(すなわち、レーザ源1020が発射するのを防止する)ように、制御信号を生じさせることができる。距離1060に関する情報、及び標的構造がレーザの範囲外(d>dth)であるという指示は、医師へ提示することができ、医師は次いで、標的により近づくようにレーザファイバ912の遠位端の位置を変えるなど、内視鏡910を調整することができる。距離1060、並びに標的構造タイプは、連続して監視及び判定し、医師に提示することができる。標的が、意図された治療構造タイプとして認識され、レーザの範囲内(d≦dth)であるとき、レーザコントローラ1013は、レーザ源1020を「アンロック」するように、制御信号を生じさせることができ、レーザ源1020は、レーザ動作モード(例えば、電力設定)に従って、標的構造122を狙って発射することができる。分光データからの距離1060を計算する方法の例について、図24A図24Dなどを参照して、以下に論じる。
【0090】
いくつかの例では、分光計1011は、光源から標的へ電磁放射を伝送するように構成された光路の幾何形状及び位置決めに関する情報をさらに使用して、分光特性(例えば、反射スペクトル)を生成するように構成することができる。例えば、レーザファイバ912の外径、若しくは標的から反射された分光信号を分光計1011へ伝送する別個の光路の外径、又は内視鏡910からの前記ファイバ又は経路の突出角度は、反射された信号の強度に影響を及ぼすことがある。外径及び/又は突出角度を測定して分光計1011へ提供し、反射スペクトルデータを獲得することができる。上記で論じたように、標的構造とファイバの遠位端との間の距離1060は、スペクトルデータ、ファイバ又は光路の測定された外径、及びその突出角度、並びに/又は内視鏡画像プロセッサからの入力信号を使用して計算することができる。
【0091】
図11A図11Bは、診断ビームを使用して標的を識別する内視鏡システムの例を示す図である。図11Aに示すように、内視鏡システム1100Aは、内視鏡1110と、内視鏡1110のワーキングチャネル1112を通って挿入可能とすることができる光ファイバ1120Aとを含むことができる。内視鏡1110は、少なくとも1つの内視鏡照射源1130を含むことができ、又は他の形で内視鏡ポート1114を介して少なくとも1つの内視鏡照射源1130に結合することができる。少なくとも1つの内視鏡照射源1130は、異なる照射量を制御可能に提供することができる。光ファイバ1120Aは、ワーキングチャネル1112を通って挿入されるとき、内視鏡ポート1114などを介して、非内視鏡照射源1140に結合することができる。非内視鏡照射源1140は、少なくとも1つの内視鏡照射源1130とは異なることができる。非内視鏡照射源1140は、光ファイバ1120Aを通って内視鏡1110の遠位端1116の近傍で診断ビーム1142を放出することができる。光ファイバ1120Aは、診断ビーム1142を標的1001に向けることができる。一例では、非内視鏡照射源1140は、レーザビームを含む診断ビームを発するように構成されたレーザ源とすることができる。様々な例では、白色光ランプ、LED光源、又は透視光源を、内視鏡のワーキングチャネルを通って挿入することができ、又は腹腔鏡ポートなどの別のポートを通って挿入することができる。
【0092】
内視鏡システム1100Aは、コントローラ1150を含むことができる。コントローラ1150は、例えば第1の照射量を有する第1のモード、及び第1の量より小さい第2の照射量を有する第2のモードを含む異なる動作モードで、少なくとも1つの内視鏡照射源1130を制御可能に動作させることができる。一例では、コントローラ1150は、トリガ信号に応答して照射モードを(例えば、第1のモードから第2のモードへ)変化させるように、そのような制御信号を生成することができる。一例では、内視鏡は、標的1001の画像を取得することができる撮像システム1160を含み、コントローラ1150は、標的の画像の輝度又は強度の変化に応答して、照射モードを(例えば、第1のモードから第2のモードへ)変化させるように、内視鏡への制御信号を生成することができる。以下、第1のモードを高照射モードと呼び、第2のモードを低照射モードと呼ぶ。一例では、高照射モード及び低照射モードは、高照射モード下で照射光を放出するように構成された第1の内視鏡照射源、及び低照射モード下で照射光を放出するように構成された異なる第2の内視鏡照射源など、それぞれの異なる内視鏡照射源によって提供することができる。照射光は、内視鏡1110の遠位端1116の近傍で放出することができる。一例では、照射光は、ワーキングチャネル1112内で、光ファイバ1120Aとは異なる光路を通って進むことができる。光路は、照射光1132を、診断ビームが投影されるものと同じ標的1001に向けることができる。
【0093】
コントローラ1150は、少なくとも1つの内視鏡照射源1130が高照射モードから低照射モードへ変化したとき、診断ビーム1142(例えば、より低い治療レベルのエネルギーを有するレーザビーム)を放出するように、非内視鏡照射源1140への制御信号を生成することができる。一例では、低照射モードは、内視鏡の照射をオフに切り換えることを含む。低照射モード下で標的部位への照射を暗くすることによって、標的に入射する診断ビームの標的からの反射を強化することができ、これにより標的識別を改善するのを助けることができる。
【0094】
いくつかの例では、コントローラ1150は、照射モードが第2のモードにある間に、標的の画像を表示するように、ディスプレイへの制御信号を生成することができ、画像は、標的の以前の画像又は現在の画像の修正された画像である。コントローラ1150は、標的に入射する診断ビーム、及び標的から反射された診断ビームからの光に基づいて、標的の組成物を判定することができる。一例では、コントローラ1150は、結石標的の第1の部分の第1の組成物を判定し、結石標的の第2の部分の異なる第2の組成物を判定することができる。標的の異なる部分の識別された組成物に基づいて、コントローラ1150は、結石標的の第1の部分を標的とするように、第1のレーザ設定をプログラムし、又は第1のレーザ設定をプログラムすることの推奨を生成することができる。コントローラ1150は、結石標的の第2の部分を標的とするように、第1のレーザ設定とは異なる第2のレーザ設定をさらにプログラムし、又は第2のレーザ設定をプログラムすることの推奨を生成することができる。
【0095】
一例では、非内視鏡照射源1140が診断ビーム1142を発するのをやめた後、コントローラ1150は、照射モードを低照射モードから再び高照射モードへ変化させるように、内視鏡への制御信号を生成することができる。
【0096】
図11Bは、内視鏡システム1100Aの変種である内視鏡システム1100Bの一例を示す。この例では、診断ビーム1142は、光ファイバ1120Bを通って伝送することができる。内視鏡1110のワーキングチャネル1112に挿入される光ファイバ1120Aとは異なり、光ファイバ1120Bは、ワーキングチャネル1112とは別個に配置することができる。いくつかの例では、図11Bに示すように、診断ビーム1142は、一例では腹腔鏡ポートなどの2次ポート1115を通って送達することができ、2次ポート1115は、内視鏡照射光を送達するために使用される内視鏡ポート1114とは別個である。光ファイバ1120Bは、内視鏡1110の遠位端1116及び光ファイバ1120Bの遠位端の両方が標的1001を狙うように位置決めすることができる。
【0097】
図12及び図13A図13Bは、UV-VIS分光法又はUV-VIS-IR分光法を介して、いくつかの異なるタイプの腎臓石の組成物を識別するためなど、異なるタイプの標的を識別するための反射スペクトルデータを示す図である。反射スペクトルデータは、シュウ酸カルシウム石(一水和物)、シュウ酸カルシウム石(二水和物)、リン酸カルシウム石、ストルバイト石、及び尿酸石を含む5つの1次タイプの腎臓石の画像の各々に、UV-VIS分光計又はUV-VIS-IR分光計を向けることによって収集された。一例では、電磁放射は、10nm~400nmの1つ以上の紫外波長を含むことができる。別の例では、図12に示すように、異なるタイプの標的を識別するために使用される反射スペクトルは、200~1100nmの波長範囲内で分光計から再コード化することができる。図12では、リン酸アンモニウムマグネシウム(AM MAG)水和物、シュウ酸カルシウム(CA)一水和物、シュウ酸カルシウム(CA)水和物、リン酸カルシウム(CA)、及び尿酸を含む腎臓石組成物の反射スペクトルが示されている。これらの石組成物の反射スペクトルは、より高い波長範囲(例えば、400超)に比べて、より低い波長範囲(例えば、400nm未満)でより識別可能である。図13Aは、リン酸アンモニウムマグネシウム水和物スペクトル1310、シュウ酸カルシウム一水和物スペクトル1320、シュウ酸カルシウム水和物スペクトル1330、リン酸カルシウムスペクトル1340、及び尿酸スペクトル1350を含む、200~400nmの波長範囲内の図12に示す反射スペクトルの一部分を示す。このUV波長範囲は、石の画像のスペクトル内で差を識別することができる1つの範囲である。図13Bは、シスチンスペクトル1360、尿酸スペクトル1370、及びシュウ酸カルシウム一水和物スペクトル1380を含む、400~700nmの波長範囲内の様々な腎臓石組成物の反射スペクトルを示す。UV-VIS分光法又はUV-VIS-IR分光法によって、異なるタイプの腎臓石など、異なるタイプの標的を区別することが可能である。
【0098】
したがってUV波長範囲は、例えば腎臓石などの異なる標的組成物を区別することが期待できるため、この領域の分析を可能にする光源がシステム内に必要とされる。図14は、それぞれ約250nm、280nm、310nm、及び340nmというUV波長範囲のそれぞれの区分をカバーする光ピーク1410、1420、1430、及び1440を示す。図15は、図13A図13Bからのいくつかのタイプの石の正規化反射スペクトルに、これらの光ピーク1410~1440を重ねている。これらの光ピーク1410~1440は、分光計がUV波長内で標的の組成物を分析することを可能にするはずの潜在的な光源を実証する。
【0099】
図16Aは、軟骨スペクトル1610、骨スペクトル1620、筋肉スペクトル1630、脂肪スペクトル1640、及び肝臓組織スペクトル1650を含む、様々な組織タイプからUV-VIS分光計で捕捉された正規化反射スペクトルの一例を示す。図16Bは、軟骨スペクトル1610、骨スペクトル1620、筋肉スペクトル1630、脂肪スペクトル1640、肝臓組織スペクトル1650、及び血管スペクトル1660を含む、様々な軟組織及び硬組織からUV-VIS分光計で捕捉された正規化反射スペクトルの別の例を示す。図16A図16Bに示す反射スペクトルデータは、内視鏡のワーキングチャネル内で利用することができる方法から標的の組成物を分析する実行可能性を実証する。石の画像から捕捉されたスペクトルと同様に、UV-VIS領域を使用して、異なるタイプの標的を識別することができる。図16Cは、典型的な石組成物のFTIRスペクトルの一例を示し、図16Dは、いくつかの軟組織及び硬組織の組成物の例示的なFTIRスペクトルに関する。
【0100】
例示的なレーザ治療システム
本明細書に記載する特徴は、異なるタイプのレーザ源を組み込むのに有利となり得る様々な応用例のためのレーザシステムに関連して使用することができる。例えば、本明細書に記載する特徴は、医療診断、治療、及び手術処置などの産業用又は医療用の設定において好適となり得る。
【0101】
本明細書に記載する特徴は、ファイバ一体式のレーザシステム及び内視鏡と組み合わせて使用することができる分光システムとともに使用することができる。
【0102】
図17図18は、本開示に記載の様々な例によるレーザ治療システムの概略図を示す。レーザ治療システムは、標的の方へ向けてレーザエネルギーを送達するように構成されたレーザシステムと、レーザシステムに結合されるように構成されたレーザフィードバック制御システムとを含むことができる。レーザシステムは、類似した又は異なる波長をUVからIRへ放出することができる1つ以上のレーザモジュール1710A~1710N(例えば、固体状態レーザモジュール)を含むことができる。一体化されたレーザモジュールの数、出力電力、放出範囲、パルス形状、及びパルス列は、システムのコストと、所望の効果を標的へ送達するために必要とされる性能とを均衡させるように選択される。
【0103】
1つ以上のレーザモジュール1710A~1710Nは、ファイバと一体化することができ、レーザ結合システム内に含むことができる。ファイバ一体式のレーザシステムは、フレキシブル内視鏡にレーザエネルギーを通し、硬組織及び軟組織を効果的に治療するそれらの能力のため、内視鏡処置に使用することができる。これらのレーザシステムは、UV範囲からIRの範囲(例えば、200nm~10000nm)の広い波長範囲内のレーザ出力ビームを生じさせる。いくつかのファイバ一体式のレーザは、軟組織又は硬組織によって大きく吸収される波長範囲内、例えば水の吸収の場合は1900~3000nm、又はオキシヘモグロビン及び/若しくはデオキシヘモグロビンの吸収の場合は400~520nmの出力を生じさせる。表1を参照して上述したものなど、内視鏡処置内のレーザ源として様々なIRレーザを使用することができる。
【0104】
レーザモジュール1710A~1710Nは各々、出力電力を増大させ、放出を標的へ送達するために、光ファイバに一体化された複数の固体状態レーザダイオードからなることができる。いくつかのファイバ一体式のレーザは、標的軟組織又は硬組織によって最小限に吸収される波長範囲内の出力を生じさせる。これらのタイプのレーザは、5~10μmという小さい毛細血管の直径に類似した侵入深さのため、効果的な組織凝固を提供する。本開示の様々な例によって記載するファイバ一体式のレーザモジュール1710A~1710Nには、いくつかの利点がある。一例では、レーザモジュールによる発光は、対称のビーム品質であり円形で平滑な(均質化された)強度プロファイルを有する。小型の冷却配置がレーザモジュールに一体化され、システム全体が小型になる。ファイバ一体式のレーザモジュール1710A~1710Nは、別の光ファイバ構成要素と容易に組み合わせることができる。加えて、ファイバ一体式のレーザモジュール1710A~1710Nは、標準的な光ファイバコネクタに対応しており、これによりモジュールは、ほとんどの光モジュールとともに位置合わせなしでうまく動作することが可能になる。さらに、ファイバ一体式のレーザモジュール1710A~1710Nは、レーザ結合システムの位置合わせを変化させることなく、容易に交換することができる。
【0105】
いくつかの例では、レーザモジュールは、図3Cに示すように、軟組織又は硬組織、石、骨、歯などのいくつかの材料によって大きく吸収される波長範囲内、例えば水の吸収の場合は1900~3000nm、又はオキシヘモグロビン及び/若しくはデオキシヘモグロビンの吸収の場合は400~520nmのレーザ出力を生じさせることができる。いくつかの例では、レーザモジュールは、軟組織又は硬組織、石、骨、歯などの標的によってより小さく吸収される波長範囲内のレーザ出力を生じさせることができる。このタイプのレーザは、図3Cに示すように、小さい毛細血管の直径(例えば、5~10μm)に類似した侵入深さのため、より効果的な組織凝固を提供する。市販の固体状態レーザは、レーザモジュールにとって潜在的な放出源である。レーザモジュールのためのレーザ源の例は、GaN(515~520nmで放出)若しくはInGa1-XN(370~493nmで放出)、GaXAl1-XAレーザ(750~850nmで放出)、又はInXGa1-XAレーザ(904~1065nmで放出)など、UV-VISを放出するInGa1-XN半導体レーザを含むことができる。そのようなレーザ源はまた、組織凝固の応用例に適用可能であることがある。
【0106】
レーザフィードバック制御システムは、例えば、分光システム1720、フィードバックアナライザ1730、及びレーザコントローラ1740を含む1つ以上のサブシステムを備えることができる。
【0107】
分光システム1720
分光システム1720は、それだけに限定されるものではないが、結石、軟組織又は硬組織、骨、若しくは歯、又は産業用の標的などの標的へ、光源から制御光信号を送り、標的から反射されたスペクトル応答データを収集することができる。この応答は、別個のファイバ、レーザファイバ、又は内視鏡システムを通って、分光計へ送達することができる。分光計は、デジタルスペクトルデータをシステムフィードバックアナライザ1730へ送ることができる。UVからIRの光範囲をカバーする分光システムのための光源の例は、表2を参照して上述したものを含むことができる。図20は、一例のフィードバックアナライザ1730を有する分光システム1720の概略図を示す。
【0108】
光学分光法は、有機及び無機材料の容易で急速な分析に使用することができる強力な方法である。本開示に記載の様々な例によれば、分光光源を、別個のファイバチャネル、レーザファイバ、又は内視鏡システムに一体化することができる。標的から反射された光源信号は、デジタル内視鏡内に含むことができる例えばCCD又はCMOSセンサなどの検出器を含む撮像システムによって、分光計へ急速に収集及び送達することができる。分光応答を収集するために、レーザ走査のような他の撮像システムを使用することもできる。光学分光法には、いくつかの利点がある。光学分光法は、ファイバレーザ送達システム1701と容易に一体化することができる。光学分光法は、材料の化学組成物を検出及び分析するための非破壊的な技法であり、分析は、実時間で実行することができる。光学分光法は、例えば硬組織及び軟組織、結石構造などを含む異なるタイプの材料を分析するために使用することができる。
【0109】
標的化学組成物を分析し、分光フィードバックを作成するために、様々な分光技法を単独で、又は組み合わせて使用することができる。そのような分光技法の例は、特に、UV-VIS反射分光法、蛍光分光法、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、又はラマン分光法を含むことができる。上記の表2は、一例に適用可能なUVからIRの光範囲をカバーする分光システムのための光源の例を提示している。一般に、可視及び近IR範囲内で分光測定を行う場合、タングステンハロゲン光源が使用される。ジュウテリウム光源が、安定した出力として知られており、UV吸収又は反射測定に使用されている。ハロゲン光をジュウテリウム光と混合することで、200~2500nmの平滑なスペクトルを提供する広いスペクトル範囲の光源が得られる。蛍光測定など、長い寿命及び高い出力パワーが必要とされる応用例では、キセノン光源が使用される。LED及びレーザダイオード光源は、精密な波長で高いパワーを提供し、長い寿命、短いウォームアップ時間、及び高い安定性を有する。分光光源は、別個のファイバチャネル、レーザファイバ、又は内視鏡システムに一体化することができる。標的から反射された光源信号は、別個のファイバチャネル又はレーザファイバを通して、分光計へ急速に検出及び送達することができる。
【0110】
フィードバックアナライザ1730
フィードバックアナライザ1730は、レーザシステム動作パラメータを提案又は直接調整するための分光計からの分光応答データを含めて、様々なソースからの入力を受け取ることができる。一例では、フィードバックアナライザ1730は、標的組成物データの利用可能なデータベースライブラリと分光応答データを比較することができる。分光システムフィードバックに基づいて、信号アナライザは、標的材料組成物を検出し、識別された組織組成物のための効果的な組織治療を実現するために、少なくとも1つのレーザモジュールに対する動作パラメータなどのレーザ動作モード(レーザセットアップとも呼ぶ)を提案する。動作パラメータの例は、少なくとも1つのレーザ波長、パルス又は連続波(CW)放出モード、ピークパルスパワー、パルスエネルギー、パルスレート、パルス形状、及び少なくとも1つのレーザモジュールからの同時又は連続のパルス放出を含むことができる。明示しないが、連続パルスは、選択されたパルスエネルギーを送達するように協働するパルスのバーストを含む。本明細書に記載するパルスは、全体として、レーザモジュールからのレーザ放出の開始と停止との間の時間を指す。選択された平均レーザパワーが維持される限り、各パルス中のレーザエネルギーの強度は変動し、増大若しくは減少する傾斜若しくは正弦波のプロファイルの形状、又は任意の他の形状を、単独で又はパルスシーケンスと組み合わせて有することがある。例えば、1つのパルスのみが存在する場合、1Jのパルスエネルギーによる2Wの平均パワー設定が、2Hzの周波数で生じる。しかし、エネルギーは、2Hzのレートで生じる2つの0.5Jのパルスとして、間断なく送達することもできる。それらのパルスの各々は、類似した又は異なるパルス形状を有することができる。フィードバックアナライザ1730は、アルゴリズム及び入力データを利用して、上記の例に記載のものなどのレーザ動作パラメータを直接調整又は提案する。
【0111】
いくつかの例では、フィードバックアナライザ1730は、入力データを利用して、特別に開発されたアルゴリズムに基づいて、レーザ送達システム1701(ファイバ)の遠位端と標的との間の距離を計算及び制御することができる。移動する標的(例えば、結石)の場合、フィードバックアナライザ1730は、所定の閾値を超える標的をファイバの遠位端へ引き寄せるように水中で蒸気泡を使用して吸引効果を生じさせるレーザ動作パラメータを調整又は提案することができる。この特徴により、ユーザが移動標的との効果的な治療距離を維持するために作用させる必要のある労力が最小になる。標的とファイバの遠位端との間の距離は、スペクトルデータ、各ファイバの知られている外径及び内視鏡からのその突出角度、並びに/又は内視鏡画像プロセッサからの入力信号を使用して計算することができる。図24A図24Dは、例として、レーザ送達システム1701(ファイバ)の遠位端と標的との間の距離を計算する方法を示す。標的とレーザ送達システム1701との間の距離に対する分光反射信号の依存性を、図24A図24Bに示す。図24Aは、組織と分光プローブ遠位端との間に異なる距離をあけて測定された730nmの反射信号強度の一例を示す。図24Bは、組織と分光プローブ遠位端との間に異なる距離をあけて測定された450nmの反射信号強度の一例を示す。そのような依存性は、スペクトルデータ及びレーザ送達システムの幾何形状に関する情報を使用して判定することができる。分光信号の分析は、距離の迅速な推定及びユーザへのこの情報の送達を可能にする。
【0112】
図24Cは、ファイバと組織標的との間の距離計算の例示的なアルゴリズムである。一例では、分光システムは、光源から標的へ制御光信号を送り、標的からスペクトル応答データを収集し、応答信号を分光計へ送達し、デジタルスペクトルデータを分光計からフィードバックアナライザへ送る。図24Cに示す校正曲線1000は、図10図11に示すものなどの標的構造から反射されたフィードバック信号を使用して、分光反射信号強度(例えば、電磁放射に応答して標的構造から反射された分光信号)と、ファイバの遠位端と標的構造との間の距離1060との間の関係を表す。校正曲線1000は、標的構造が特有の波長(例えば、450nm又は730nm)の電磁放射によって投影されるとき、組織と分光プローブ遠位端との間に異なる距離をあけて反射信号強度を測定することによって生成することができる。校正曲線を参照することによって、分光信号の分析は、距離の迅速な推定を可能にする。
【0113】
校正曲線を生成する例示的なプロセスは次のとおりである。第1に、各距離に対する基準値を計算することができる。光反射強度は試験片の反射などに依存するため、距離を識別するために校正曲線自体を使用することはできない。試験片の反射の影響を取り消すための基準値の一例は、次のとおりである。
基準値=dI/dx*1/I (1)
【0114】
生体内手術プロセス中、操作者は、標的組織組成物の反射スペクトルを検出することができるまで、分光フィードバックを連続して記録しながら、ファイバ又は内視鏡を動かすことができる。
【0115】
図24Cを参照すると、反射信号強度がIになる距離xで、第1のスペクトルを測定することができる。このタイミングで、xの実際の値及び反射信号強度の曲線は未知である。次いで、ファイバ又は内視鏡遠位端(反射光検出器)を連続して動かすことができ、距離xに対応する次の反射光強度Iを測定することができる。xはxに近いことがあり、したがってxとxとの間の曲線は、線形に近似することができる。このタイミングで、x、x、及び反射信号強度の曲線は未知である。I、I、及びΔ(x-x)を使用して、比較値を次のとおり計算することができる。
比較値=Δ(I-I)/Δ(x-x)*1/I (2)
【0116】
次いで、比較値に同一の値に関して、基準値が検索される。1つの基準値(x)のみが、等式(2)に与えられる比較値に同一であることが見出された場合、xをxの距離であると判定することができる。2つの基準値(xr1、xr2)が存在する場合、ファイバ又は内視鏡遠位端(反射光検出器)を引き続き動かすことができ、距離xに対応する次の反射光強度Iを測定することができる。xはxに近いことがあり、したがってxとxとの間の曲線は、線形に近似することができる。このタイミングで、x、x、x、及び反射信号強度の曲線は未知である。I、I、I、Δ(x-x)、及びΔ(x-x)を使用して、新しい比較値を次のとおり計算することができる。
比較値=Δ(I-I)/Δ(x-x)*1/I (3)
【0117】
次いで、xr1+Δ(x-x)及びxr2+Δ(x-x)に同一の値に関して、基準値が検索される。基準値は、等式(3)に与えられる比較値と比較することができる。比較値により類似している基準値を有する距離が、実際の距離であると推定される。
【0118】
図24Dを参照すると、生体内手術プロセス中、例示的な方法は、標的組成物の反射スペクトルが検出されるまで、分光フィードバックを連続して記録しながら、ファイバ又は内視鏡を動かすことを含むことができる。分光遠位端が標的の方へ動いているほとんどの場合、検出された反射光の強度は、最初は弱く、標的とファイバ端との間の距離が減少するにつれて増大する。例えば、第1のスペクトルは、反射信号強度がIである距離dで測定された。ファイバ又は内視鏡遠位端を標的の方へ引き続きわずかに動かし、反射データを連続して収集することで、この方法は、距離dに対応する次の反射光強度Iを測定することができる。この方法は次いで、反射信号強度変化勾配の値=Δ(I-I)/Δ(d-d)を計算することを含むことができる。計算された勾配の値を、反射信号強度に依存しないものにするために、計算された勾配を正規化することができる。測定された距離において反射信号強度変化勾配を計算するための最終式は、次のとおりである。
勾配(正規化)=[Δ(I-I)/Δ(d-d)]/I (4)
上式で、I=AVERAGE(I,I)である。
【0119】
この方法は次いで、必要とされる距離の推定を可能にするために、計算された勾配をライブラリ内の校正曲線の勾配と比較することができる。すべての計算は、ソフトウェアを使用して高速で行うことができる。
【0120】
図25A図25Bは、組織と分光プローブ遠位端との間の距離が標的からの反射光のスペクトルに与える影響を示す。図25Aは、膀胱内皮スペクトル2511、胃内皮スペクトル2512、胃平滑筋スペクトル2513、尿管下スペクトル2514、尿管内皮スペクトル2515、腎杯スペクトル2516、膀胱筋肉スペクトル2517、及び髄質スペクトル2518を含む、様々な軟組織タイプの例示的な正規化UV-VIS反射スペクトルを示す。図25Bは、0~0.25インチなど、組織と分光プローブ遠位端との間に異なる距離をあけて記録された特定の組織の例示的なUV-VIS反射スペクトルを示す。図25Aは、動物の軟組織スペクトルのいくつかの例を示す。図25Bは、組織と分光プローブ遠位端との間に異なる距離をあけて記録された組織の例示的なUV-VIS反射スペクトルを提示する。この例では、図24A図24Bを参照して上記で論じたように、450nm及び730nmの2つのスペクトル最大値の反射信号強度が、標的組織と分光プローブ遠位端との間に異なる距離をあけて測定されて提示された。
【0121】
レーザコントローラ1740
レーザコントローラ1740は、レーザ結合システムと一体化することができる。レーザ結合システムは、1つ以上のレーザモジュール(例えば、固体状態レーザモジュール)を1本のファイバに結合する。レーザコントローラ1740は、フィードバックアナライザ1730に結合することができ、フィードバックアナライザ1730は、最適化された信号を、提案された設定とともに、レーザコントローラ1740へ直接送ることができ(自動モード)、又はレーザ設定を調整するための操作者承認を要求することができる(半自動モード)。図17は、完全に自動化されたレーザシステムの概略図である。図18は、半自動化されたレーザシステムの概略図であり、システムは、入力1850及びディスプレイ1860を含むユーザインターフェースなどを介して、ユーザ承認を必要とする。一例では、レーザ設定は、設定範囲内で調整することができ、設定範囲は、一例では、処置の開始時にユーザによって事前に決定することができる。
【0122】
いくつかの例では、レーザコントローラ1740は、2つ以上のレーザパルス列を組み合わせて、組合せレーザパルス列を作成することができる。図19Aは、レーザコントローラ1740が、複数(例えば、N)のレーザパルス列1910A~1910Nを生成し、レーザパルス列1910A~1910Nを組み合わせて組合せパルス列1920にし、1930で標的を組合せパルス列に露出させることができる一例を示す。図19Bは、異なるレーザモジュールから放出された3つの異なるレーザ列1941A、1941B、及び1941Cから組み合わされた出力レーザパルス列1942の一例を示す図である。図19Bに示すように、レーザ列1941A、1941B、及び1941Cは、フィードバックアナライザ信号に従って、異なる時間にオンにし、且つ/又は異なる時間にオフにすることができる。図19Bに示す例では、出力される組合せレーザパルス列1942は、レーザ列1941A、1941B、及び1941Cの2つ以上が時間的に重複する部分を含むことができる。
【0123】
レーザモジュール1910A~1910N、分光システム1720、及びフィードバックアナライザ1730の組合せによって、本明細書に記載するレーザフィードバックシステム1740は、内視鏡を通して標的の組成物を連続して識別し、処置全体にわたってレーザ設定を更新することができる。
【0124】
レーザシステムの主構成要素は、標的とする医療処置に応じて、容易にカスタマイズすることができる。例えば、レーザコントローラ1740は、異なるレーザタイプ及びそれらの組合せに対応する。これにより、パワー、波長、パルスレート、パルス形状、及びプロファイル、単一のレーザパルス列、及び組合せレーザパルス列を含む、より広い範囲の出力信号の選択肢が可能になる。レーザシステムの動作モードは、所望の各光学的効果に対して、自動的に調整又は提案することができる。分光システムは、診断の目的で、レーザパラメータが標的に最適であることを確認するのに有用な標的材料に関する情報を収集する。フィードバックアナライザ1730は、レーザシステムの動作モードを自動的に最適化し、人的誤りのリスクを低減させることができる。
【0125】
Internet of Things(IoT)システム1750
いくつかの例では、レーザシステムは、任意選択のIoTシステム1750を含むことができ、IoTシステム1750は、スペクトルデータベースライブラリをクラウド1752に記憶することに対応し、スペクトル及び最適セットアップデータベースライブラリへの迅速なアクセスに対応し、クラウド1752とフィードバックアナライザ1730との間の通信を可能にする。データのクラウド記憶は、フィードバックアナライザ1730への入力を提供する人工知能(AI)技法の使用に対応し、アルゴリズム及びデータベース改善への瞬時アクセスに対応する。
【0126】
本明細書に記載する様々な例によれば、IoTシステム1750は、レーザシステムの構成要素がインターネットを介して他の構成要素と通信及び相互作用することができるネットワークを含むことができる。IoTは、クラウド1752に記憶されているスペクトルデータベースライブラリへの迅速なアクセスに対応し、クラウド1752とフィードバックアナライザ1730との間の通信を実行する。加えて、レーザシステムの構成要素のすべては、必要な場合、ネットワークを介して遠隔で監視及び制御することができる。そのような成功した接続の一例は、Internet of Medical Things(Internet of Health Thingsとも呼ばれる)である。これは医療及び健康関連の目的のためのIoTの利用可能な応用例であり、研究及び監視のためのデータの収集及び分析を含む。
【0127】
様々な例では、IoTシステム1750は、標的構造(例えば、結石構造又は解剖学的組織)のクラウドに基づく検出、認識、又は分類を含む、様々なクラウド資源へのアクセスに対応することができる。いくつかの例では、クラウドに基づく標的の検出、識別、又は分類のサービスを提供するために、クラウド1752内で機械学習(ML)エンジンを実施することができる。MLエンジンは、訓練済みMLモデル(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサで実行可能な機械可読命令)を含むことができる。MLエンジンは、レーザシステムから標的分光データを受け取り、又はクラウド1752内に記憶されている標的分光器データを回収し、標的の検出、識別、又は分類を実行し、組織タイプ(例えば、正常組織若しくはがん病変、又は特定の解剖学的部位にある組織)、又は結石タイプ(例えば、特定の組成物を有する腎臓、膀胱、膵胆管、又は胆嚢の石)を表すラベルなどの出力を生成することができる。標的分光データは、処置前又は処置中に患者から収集された他の臨床データの中でも、処置の終了時又は他の予定された時間に、クラウド1752へ自動的にアップロードすることができる。別法として、クラウド1752へデータをアップロードするように、システムユーザ(例えば、臨床医)を促すことができる。いくつかの例では、出力は、標的が組織若しくは結石として識別される確率、又は標的が特定の組織タイプ若しくは結石タイプとして分類される確率をさらに含むことができる。システムユーザ(例えば、臨床医)は、そのようなクラウドサービスを使用して、内視鏡レーザ処置を実行している間などに、標的組織又は結石に関するほぼ実時間の情報を生体内で獲得することができる。
【0128】
いくつかの例では、MLエンジンは、クラウド1752内に記憶されているものなどの訓練データを使用して、MLモデルを訓練するように構成された訓練モジュールを含むことができる。訓練データは、標的タイプ(例えば、結石タイプ又は組織タイプ)を識別するタグなどの標的情報に関連付けられた分光データを含むことができる。訓練データは、様々な組織タイプ及び/又は結石タイプの分光分析に基づく研究室データを含むことができる。追加又は別法として、訓練データは、複数の患者から生体外又は生体内で獲得された臨床データを含むことができる。いくつかの例では、そのようなデータが使用される前に、患者臨床データ(例えば、分光データ)から患者識別情報を除去することができ、MLモデルを訓練するため、又は訓練済みのMLモデルを使用して標的の検出、識別、又は分類を実行するために、クラウド1752にアップロードすることができる。システムは、匿名化された患者臨床データを、データのタグ識別ソース(例えば、病院、レーザシステム識別、処置時間)に関連付けることができる。臨床医は、処置中又は処置後、標的タイプ(例えば、結石又は組織タイプ)を分析及び確認し、匿名化された患者臨床データに標的タイプを関連付けて、訓練データを形成することができる。匿名化された患者臨床データを使用することで、MLモデルを訓練するために、大きい患者母集団からの追加のデータを含むことができるため、クラウドに基づくMLモデルの頑強性を増大させることができることが有利である。まれな結石タイプからの分光データを臨床的に又は研究室から獲得することは困難であるため、これによりまれな結石タイプを認識するためのMLモデルの性能を強化することもできる。
【0129】
決定木、ニューラルネットワーク、深層学習ネットワーク、サポートベクターマシンなど、様々なMLモデルアーキテクチャ及びアルゴリズムを使用することができる。いくつかの例では、追加の分光データが利用可能であるため、MLモデルの訓練を連続的若しくは周期的に、又はほぼ実時間で実行することができる。訓練は、訓練されているMLモデルが指定の訓練収束基準を満たすまで、1つ以上のMLモデルパラメータをアルゴリズムで調整することを伴う。その結果得られる訓練済みのMLモデルは、クラウドに基づく標的の検出、認識、又は分類で使用することができる。クラウド1752内に記憶されている大容量のデータ及び常時又は周期的にクラウド1752に追加される追加のデータによって訓練されるMLモデルによって、本明細書に記載するクラウド接続を有するMLに基づく標的認識は、生体内の標的の検出、認識、及び分類の正確さ及び頑強性を改善することができる。
【0130】
例示的な内視鏡レーザシステム
図21A図21Dは、図10Aに示すように、一体化されたマルチファイバアクセサリを有する内視鏡2110と、フィードバック制御式のレーザ治療システム1010及びレーザ源1020を備える手術用レーザシステムとを備える内視鏡レーザシステム2100A及び2100Bの例を示す。別法として、CCD又はCMOSセンサなどの検出器を含む撮像システムによって、分光応答を分光計へ収集及び送達することができる。分光法を介して、マルチファイバアクセサリのコアのうちの1つ以上を通して標的組成物分析を実行しながら、マルチファイバアクセサリの他のコアのうちの1つ以上を通して伝送される光源によって標的を照射することができる。
【0131】
図21Aに示すように、内視鏡レーザシステム2100Aは、分光信号を再び分光計1011へ伝送し、並びに手術用レーザエネルギーをレーザ源1020から標的構造へ送達するために使用される光路2116を含むマルチファイバアクセサリを含む。一例では、光路2116は、内視鏡2110の細長い本体に埋め込まれて内視鏡2110の細長い本体に沿って延びる光ファイバを含む。別の例では、光路2116は、内視鏡2110の細長い本体に沿って延びる2つ以上の光ファイバを含む。レーザコントローラ1013は、分光信号の伝送及びレーザエネルギーの送達が異なる時間又は同時に生じるように、レーザ発射のタイミングを制御することができる。
【0132】
マルチファイバアクセサリは、内視鏡2110の細長い本体に埋め込まれて内視鏡2110の細長い本体に沿って延びる2つ以上の光源ファイバ2114を含むことができる。限定ではなく例として、図21Cは、内視鏡2110の細長い本体の径方向の断面を示し、複数の光源ファイバ2114及び光路2116が、内視鏡の細長い本体内に長手方向に位置決めされており、光源ファイバ2114は、内視鏡の細長い本体の径方向断面上の光路2116に対して円周などに沿って、光路2116の周辺に径方向に分散される。図21Cに示す例では、光路2116は、内視鏡2110の細長い本体の実質的に中心長手方向軸に位置することができる。限定ではなく例として、図21Cに示すように、光路2116の周りに6つの光源ファイバを位置決めすることができる。他の数の光源ファイバ、及び/又は光路2116に対して他の位置の光源ファイバを使用することもできる。例えば、図21Dは、光路2116の両側に径方向に位置決めされた2つの光源ファイバ2114を示す。光源ファイバ2114は、光源1030に結合することができる。別法として、光源ファイバ2114は、図9A図9Bに示すように、照射源914に結合することができる。照射源914(例えば、1つ以上のLED)又は内視鏡の外部などの遠隔光源1030にかかわらず、内視鏡光源からの光は、標的を照射し、標的表面から反射された分光信号を生じさせる機能を担うことができ、この分光信号を分光分析のために収集することができる。フィードバックアナライザ1012は、図10図11に同様に示すように、内視鏡2110の遠位端と標的構造122との間の距離1060を判定することができる。
【0133】
図21Bは、マルチファイバアクセサリを含む内視鏡レーザシステム2100Bを示す。光路2116を通ってレーザエネルギーを送達する代わりに、別個のレーザファイバ2120を使用して、レーザ源1020から標的構造へ手術用レーザエネルギーを送達することができる。光路2116は、分光信号を再び分光計1011へ伝送するための専用の分光信号ファイバとして使用される。
【0134】
図22及び図23A図23Bは、図21A図21Dを参照して上記で論じたものなどの分光ファイバ送達システムで使用することができるマルチファイバシステムの例を示す。図22に示す例では、マルチファイバシステム2200は、光源に結合され、照射光を標的に向けるように構成された第1のファイバ2210と、分光計に結合され、標的の分光特性を示す反射信号(例えば、標的から反射された光)を分光計へ伝送するように構成された別個の第2のファイバ2220とを含む。
【0135】
図23A図23Bは、ソース光入力及び分光フィードバック信号を有する例示的なマルチファイバアクセサリの図である。図23Aに示すように、マルチファイバアクセサリ2300Aは、遠位部分2310、遷移区分2320A、及び近位部分2330Aを含むことができる。遠位部分2310は、第1のファイバ2210及び第2のファイバ2220を密閉するようなサイズ及び形状とすることができるシャフトと、遠位部分2310の近位に位置する遷移区分2320Aとを含む。第1のファイバ2210及び第2のファイバ2220は、遠位部分2310の長手方向シャフトに埋め込むことができ、遠位部分2310の長手方向シャフトに沿って延びることができる。シャフトは、内視鏡のワーキングチャネルを通って延びるようなサイズ及び形状とすることができる。いくつかの例では、第1のファイバ2210は、各々光源に結合された2つ以上の光ファイバを含むことができ、且つ/又は第2のファイバ2220は、1つ以上の光ファイバを含むことができる。いくつかの例では、図21C図21Dに示すように、第2のファイバ2220は、第1の光ファイバ2210の周辺で径方向に分散させることができる。一例では、第2の光ファイバ2220のうちの少なくとも1つは、シャフトの実質的に中心長手方向軸に沿って延びることができる。2つ以上の第1の光ファイバ2210は、シャフトの中心長手方向軸に沿って延びる第2の光ファイバ2220の両側に径方向に位置決めすることができる。
【0136】
近位部分2330Aは、光源に接続されるように構成された第1のコネクタ2332と、分光計に接続されるように構成された第2のコネクタ2334とを備える。遷移区分2320Aは、遠位部分2310及び近位部分2330Aを相互接続し、第1のコネクタ2332を第1のファイバ2210に結合し、第2のコネクタ2334を第2のファイバ2220に結合するように構成することができる。したがって、遷移区分2320Aは、それぞれ第1のコネクタ2332及び第2のコネクタ2334から単一のシャフトへの光ファイバ2210及び2220の遷移を提供する。
【0137】
シャフトは、遠位部分2310から遠位に延ばされた挿入可能な遠位端2312を含むことができる。挿入可能な遠位端2312は、患者に挿入されるように構成することができる。近位部分2300Aは、ユーザがマルチファイバアクセサリ2300Aを操作するためのハンドルに関連付ける(例えば、その中に含む)ことができる。一例では、マルチファイバアクセサリ2300Aの少なくとも一部分(例えば、遠位部分2310、遷移区分2320A、又は近位部分2330Aのうちの1つ以上)を、内視鏡のワーキングチャネルに含むことができ、又は内視鏡のワーキングチャネルに挿入可能とすることができる。
【0138】
図23Bは、マルチファイバアクセサリ2300Aの変種であるマルチファイバアクセサリ2300Bの別の例を示す。図23Bに示す例では、近位部分2330Bは、光ファイバ2210又は2220のうちの1つにレーザ源を結合するように構成された第3のコネクタ2336をさらに含むことができる。図23Aと同様に、遷移区分2320Bが、遠位部分2310及び近位部分2330Bを相互接続する。レーザ源から生成されたレーザエネルギーは、光ファイバ2210又は2220のうちの1つを通って近位部分2330Bから遠位部分2310へ伝送することができ、挿入可能な遠位端2312を介して標的治療部位へ送達することができる。いくつかの例では、マルチファイバアクセサリ2300Bは、光ファイバ2210又は2220とは異なるレーザファイバをさらに含むことができる。レーザファイバは、シャフト内など、内視鏡のワーキングチャネル内に位置決めすることができる。レーザ源から生成されたレーザエネルギーは、レーザファイバを通って遠位部分2310へ伝送することができる。
【0139】
レーザシステムの例示的な応用例
本明細書の様々な例に従って記載するレーザシステムは、切除、凝固、蒸発、又は他のレーザ作用の有効性を改善するために、内視鏡の硬組織又は軟組織手術などの多くの応用例で使用することができる。
【0140】
組織手術の応用例に対するレーザシステムの一応用例は、レーザ及びプラズマデバイスなどの市販のデバイスで行われることの多い2つの異なるフットペダルの使用ではなく、レーザシステムを使用して効果的な組織切除及び凝固を提供することに関する。例示的なシステムは、ファイバを通ってレーザコントローラ内へ結合された2つの異なる波長で放出する2つ以上の固体状態レーザモジュールと、調整される前に代替設定をユーザに提案するフィードバックアナライザへスペクトル信号を送達するUV-VIS反射分光システムとを利用する。
【0141】
一例では、より効率的な切除/炭酸化プロセスのために高い組織吸収光波長で放出することができる第1のレーザモジュールと、小さい毛細血管の直径に類似した侵入深さなどのため、より効率的な凝固のためにより低い組織吸収光波長で放出することができる第2のレーザモジュールとを含む2つのレーザモジュールを提供することができる。第1のレーザモジュールの例は、表1で要約したUV-VISで放出するInXGa1-XN半導体レーザ、515~520nmで放出するGaN、370~493nmで放出するInXGa1-XN、又は1900~3000nmの高い水吸収範囲で放出するIRレーザを含むことができる。第2のレーザモジュールの例は、750~850nmで放出するGaXAl1-XA、又は904~1065nmで放出するInXGa1-XAを含むことができる。第1及び第2のレーザモジュールはどちらも、レーザ結合システムによってレーザコントローラに結合することができる。
【0142】
分光光源は、別個のファイバチャネル、レーザファイバ、又は内視鏡システムに一体化することができる。標的から反射された分光光源信号は、別個のファイバチャネル又はレーザファイバを通って分光計へ急速に検出及び送達することができる。別法として、分光システムは、CCD又はCMOSセンサなどの検出器を含む撮像システムから分光信号を収集することもできる。分光システムフィードバックに基づいて、信号アナライザは、標的材料組成物を検出し、効果的な組織治療を実現するための第1又は第2のレーザモジュールセットアップを提案し、提案されたセットアップ情報をユーザに提供するために使用される信号を出力システムへ送達することができる。
【0143】
この例は、フィードバックアナライザシステムによって制御される光波長を有する2つ以上のレーザパルスを利用することによって、組織切除及び凝固を可能にする。しかし、標的への特有の作用の同時送達を最適化するために、単一又は複数の光波長システムによってフィードバック制御を利用することもできる。これらの作用は、ユーザの観点からのみ同時とすることができ、本明細書に記載する特徴は、波長をちょうど同じ時間に送達することに限定されるものではない。
【0144】
分光フィードバックによるこのレーザの例示的な時間動作図が、図8に提示されている。図8に記載するように、振幅Amaxを有する光フィードバック信号は、標的表面へ連続して送達されて標的表面から反射され、信号アナライザによって検出及び分析される。次いで、ユーザは、軟組織を切除することを選択した後、第2のレーザをOFFにしたまま、第1のレーザをONにすることができ、又は第1のレーザをONで維持する。第1のレーザの動作中、光フィードバック信号は、その振幅が閾値レベルAminに低下するまで、炭化組織によって大きく吸収される。次いで信号アナライザは、レーザの状態を変化させ、第1のレーザがOFFにされ、第2のレーザがONにされる。第2のレーザは、炭化組織によって大きく吸収され、したがって炭化組織は切除され、炭化を事実上除去する。第2のレーザの波長はまた、効果的な凝固を提供する。脱炭プロセスによって、光フィードバックパルスの振幅は、初期レベルAmaxの近くに戻る。これが生じると、信号アナライザは、レーザの状態を再び変化させ、第1のレーザがONにされ、第2のレーザがOFFにされる。上記のプロセスは、必要とされる量の組織切除及び凝固が実現されるまで繰り返すことができる。
【0145】
レーザシステムの別の応用例は、患者内の腎臓又は膀胱の石を断片化するための効率的なレーザ砕石術プロセスに関するものである。この応用例は、まず標的によってあまり吸収されない波長を有する多波長レーザエネルギーを使用して、標的を加熱し、次いでより強い吸収の波長を使用して、例えば腎臓石などの標的を断片化するプロセスに関する。レーザ砕石術中、光熱作用によって、腎臓又は膀胱石の断片化を行うことができる。石は高いレーザエネルギーを吸収することができ、したがって化学分解に対する閾値を上回る急速な温度上昇が引き起こされて、その分解及び断片化が生じる。一例では、レーザ砕石術は、2段階のプロセスを含むことができる。第1の段階は、事前加熱段階であり、第1の波長のレーザエネルギーを使用して石が加熱され、石によるレーザエネルギー吸収はより低くなる。次の第2の段階は、第2の波長を有するレーザエネルギーの印加を伴い、石によるレーザエネルギー吸収が、第1の波長より強くなる。そのような多段階プロセスにより、断片化プロセスに比べて、蒸気泡基準をより良好に制御し、生成される衝撃波の強度を低減させる(石の後方移動作用を低減させる)ことが可能になる。
【0146】
一例では、レーザシステムは、ファイバを通ってレーザコントローラ内へ結合された2つの異なる波長で放出する2つ以上の固体状態レーザモジュールと、調整される前に代替設定をユーザに提案するフィードバックアナライザへスペクトル信号を送達する分光システムとを利用する。第1のレーザモジュールは、効率的な事前加熱のために、より低い石/水吸収光波長で放出することができ、第2のレーザモジュールは、より効率的な石の断片化のために、高い石/水吸収光波長で放出することができる。この応用例の第1のレーザモジュールは、より低い石又は水吸収波長で出力を生じさせることができる。このレーザは、効果的で均一な石の事前加熱を提供する。第1のレーザモジュールのための第1のレーザ源の例は、750~850nmで放出するGaXAl1-XA、又は904~1065nmで放出するInXGa1-XAを含むことができる。第2のレーザ源の例は、表1に要約した515~520nmで放出するGaNレーザ、若しくは370~493nmで放出するInXGa1-XNレーザなどのUV-VISレーザを放出するInXGa1-XN半導体レーザ、又は1900~3000nmの高い水及び石吸収範囲内で放出するIRレーザを含むことができる。
【0147】
第1及び第2のレーザモジュールはどちらも、レーザ結合システムによってレーザコントローラに結合することができる。分光光源は、別個のファイバチャネル、レーザファイバ、又は内視鏡システムに一体化することができる。標的から反射された分光光源信号は、別個のファイバチャネル又はレーザファイバを通って分光計へ急速に検出及び送達することができる。別法として、分光システムは、CCD又はCMOSセンサなどの検出器を含む撮像システムから分光信号を収集することもできる。
【0148】
分光システムフィードバックに基づいて、信号アナライザは、標的材料組成物を検出し、効果的なマルチステップ石治療プロセスを実現するための第1又は第2のレーザモジュールセットアップを提案し、提案されたセットアップ情報をユーザに提供するために使用される信号を出力システムへ送達することができる。レーザシステムは、フィードバックアナライザシステムによって制御される光波長を有するレーザモジュールからの2つ以上のレーザパルスを利用することによって、効果的な石の予熱及び断片化を同時に送達することができる。しかし、標的石組成物への特有の作用の同時送達を最適化するために、単一又は複数の光波長システムによってフィードバック制御を利用することもできる。
【0149】
レーザシステムのさらに別の応用例は、高いレーザ出力パワーが必要とされる硬組織、例えば歯、骨などの切除を実行するためのプロセスに関するものである。軟組織レーザ手術の有効性は、100℃での低温水蒸発に基づいているが、硬組織切断プロセスは、5,000℃程度の非常に高い切除温度を必要とする。強化された出力パワーを送達するために、レーザシステムは、より多数のレーザモジュールを結合して、標的を治療するのに十分なレベルまで一体化された出力パワーを増大させることができる。表1で要約したUV-VISで放出するInXGa1-XN半導体レーザ、515~520nmで放出するGaN、370~493nmで放出するInXGa1-XN、又は1900~3000nmのIRレーザというレーザを、放出源として使用することができる。この例に適用可能なレーザモジュールのためのレーザ源は、例えば、750~850nmで放出するGaXAl1-XAレーザ、又は904~1065nmで放出するInXGa1-XAレーザを含むことができる。
【0150】
レーザモジュールは、レーザ結合システムによってレーザコントローラに一体化することができる。必要とされる高いパワーを実現するために、多数のレーザモジュールをシステムに結合することができる。分光光源は、別個のファイバチャネル、レーザファイバ、又は内視鏡システムに一体化することができる。標的から反射された分光光源信号は、別個のファイバチャネル又はレーザファイバを通って分光計へ急速に検出及び送達することができる。別法として、分光システムは、CCD又はCMOSセンサなどの検出器を含む撮像システムから分光信号を収集することもできる。
【0151】
分光システムフィードバックに基づいて、信号アナライザは、標的材料組成物を検出し、必要とされる出力パワーの効果的なマルチステップ治療プロセスを実現するためのレーザモジュールセットアップ及びレーザモジュールの数を提案し、提案されたセットアップ情報をユーザに提供するために使用される信号を出力システムへ送達することができる。レーザシステムは、フィードバックアナライザシステムによって制御される光波長を有する2つ以上のレーザパルスを利用する治療プロセスに含まれるレーザモジュールの数を増大させることによって、必要とされる高いレーザ出力パワーを同時に送達することができる。標的石組成物への特有の作用の同時送達を最適化するために、単一又は複数の光波長システムによってフィードバック制御を利用することもできる。これらの作用は、ユーザの観点からのみ同時とすることができ、波長をちょうど同じ時間に送達することに限定されるものではない。
【0152】
本明細書に記載する特徴は、標的の組成物を識別する方法を提供するために使用することができる。標的は、いくつかの例では、手術用アクセサリの使用による生体内の軟組織及び硬組織などの医療標的とすることができる。このアクセサリは、内視鏡下又は腹腔鏡下で使用することができる。アクセサリは、複数の光ファイバを含む単一のデバイスからなることができ、少なくとも1つのファイバはソース照射を供給し、少なくとも1つのファイバは反射光を分光計へ案内することを意図する。これにより、ユーザが、処置中ずっと、内視鏡による直接の視覚化を使用するかどうかにかかわらず、組織又は標的の組成物を連続して監視することが可能になる。またこれは、レーザシステムと組み合わせて使用することが可能であり、アクセサリは、組織又は標的の組成物に基づいて設定を調整するためのフィードバックをレーザシステムへ送ることができる。この特徴は、ユーザによって選択された元のレーザ設定の設定範囲内で、レーザ設定の瞬時の調整を可能にする。本明細書に記載する特徴は、分光システムとともに使用することができ、分光システムは、光ファイバ一体式のレーザシステムとともに使用することができる。分光光源は、マルチファイバアクセサリ内のファイバのうちの少なくとも1つを通って伝送することができる。標的から反射された光源信号は、マルチファイバ内の追加のファイバを介して分光計へ急速に収集及び送達することができる。
【0153】
例示的な方法は、分光入力データを利用して、アルゴリズムに基づいて、レーザ送達システム1701(ファイバなど)の遠位端と組織又は標的との間の距離を計算及び制御することができる。この方法は、生体内手術プロセスにおいて、軟組織及び硬組織タイプの両方に適用することができる。標的とファイバの遠位端との間の距離は、スペクトルデータの分析に基づいて計算することができる。各ファイバの外径及び内視鏡からのその突出角度は、スペクトルデータを獲得するために測定される反射光の強度に影響を及ぼす。本明細書に記載する特徴によって、異なる開口数値を有するライトによって順次照射することなく、距離を計算することができる。
【0154】
移動する結石の場合、この方法は、距離を制御することができ、所定の閾値を超える標的をファイバの遠位端へ引き寄せるように水中で蒸気泡を使用して吸引効果を生じさせるレーザ動作パラメータを調整又は提案することができる。この特徴により、ユーザが移動標的との効果的な治療距離を維持するために作用させる必要のある労力が最小になる。
【0155】
本明細書に論じる様々な例によるUV-VIS-IR反射分光法は、材料化学組成物の分析を含む分光フィードバックを生じさせ、生体内診断又は治療処置中に反射光強度を測定するために、単独で、又は他の分光技法と組み合わせて使用することができる。反射光は、目又は高分解能カメラによって作られる色画像と同じ情報をもたらすことができるが、より定量的且つ客観的に行う。反射分光法は、光の反射及び吸収がその化学組成物及び表面特性に依存することから、材料に関する情報を提供する。この技法を使用して、サンプルの表面特性及び内部特性の両方に関する固有の情報を得ることも可能である。
【0156】
レーザシステムのさらに別の応用例は、レーザ砕石術中に結石標的の組成物を判定するなど、標的タイプを識別するプロセスに関する。本明細書に論じるいくつかの例によれば、内視鏡システムは光源を有し、光源は、内視鏡の光ガイドを通して、人間の体内の標的へ照射光を提供する。医師は、内視鏡システムからの照射光下で石を砕くために、レーザシステムを使用する。この状況は、レーザシステムが石組成物を検出するために使用される場合、やや問題となることがある。石から反射された光は弱く、他方では内視鏡システムからの照射光は強い。したがって、内視鏡システムによる照射下で石の組成物を分析するのは難しいことがある。
【0157】
図26は、レーザビームなどの診断ビームを使用して標的を識別する(例えば、結石標的の組成物を識別する)ように構成された内視鏡システム2600の一例を示す。システム2600は、内視鏡光源2630及びレーザ生成器モジュール2640の両方を制御することができるコントローラ2650を含むことができる。コントローラ2650は、レーザシステムを通した医師による石組成物検出モードを起動するためのコマンドの入力を検出することができる。次いでコントローラ2650は、照射を止めるために、又は高照射モードから低照射モードへ切り換えるために、内視鏡光源2630へコマンドを送ることができ、低照射モードでは、低減された照射量が、特定の期間にわたって標的に投影される。そのような低照射又は非照射期間中、レーザシステム2640は、標的へレーザビームを放出し、石から反射光を受け取ることができる。検出器2660は、反射光を使用して標的識別を実行することができる。低照射モード下で標的部位への照射を暗くする(又は照射をオフにする)ことによって、標的に入射するレーザビームの標的からの反射を強化することができ、これにより標的識別を改善するのを助けることができる。
【0158】
標的識別が完了したと判定した後、検出器2660は、終了コマンドをコントローラ2650へ送ることができる。次いでコントローラ2650は、標的を再照射するため、又は低照射から再び高照射モードへ切り換えるためのコマンドを送ることができる。一例では、内視鏡光源2630が、照射を止めるため、又は高照射モードから低照射モードへ切り換えるためのコマンドを受け取ったとき、内視鏡システム2600内の画像プロセッサ2670は、標的の静止画像を捕捉し、その期間中にその静止画像を内視鏡システムのモニタ上に表示することができる。図11A図11Bを参照して上記で論じたものなど、標的を識別するための内視鏡システム2600の変形例も企図されている。
【0159】
図27は、第1のパルス列2710及び第2のパルス列2720を含むことができるなど、異なるパルスエネルギー又はパワーレベルを有するレーザパルスシーケンスのグラフ2700を示す。第2のパルス列2720内のパルスは、第1のパルス列2710のパルスより高いエネルギー又はパワーレベルを有する。第1のパルス列2710及び第2のパルス列2720は、それぞれのレーザ源によって生成することができ、各々内視鏡の遠位端からそれぞれのレーザビームの形態で放出することができる。第1のパルス列2710は、特有の期間(例えば、ユーザによって制御される)などにわたって、実質的に常に生成することができる。第2のパルス列2720は、第1のパルス列2710が送達される特有の期間などにわたって、断続的に生成することができる。例えば、第2のパルス列2720は、第1のパルス列2710の2つのパルス同士の間、又は第1のパルス列2710の2つの列同士の間に送達することができる。図27に示す例では、第1のパルス列2710内のパルスは、一定のエネルギー又はパワーレベルを有し、第2のパルス列2720は、第1のパルス列2710より高いエネルギー又はパワーレベルを有する1つのパルスのみを含む。いくつかの例では、第2のパルス列2720は、各々第1のパルス列2710より高いエネルギー又はパワーレベルを有する2つ以上のパルスを含むことができる。
【0160】
図27に示すレーザパルスのシーケンスは、例えば腎臓などの結石構造の亀裂及び断片化を提供するために、レーザ砕石術システムによって使用することができる。図27に示すように、シーケンスは、グラフのX方向に時間を表すが、石又は他の標的上の場所「A」及び「B」によって注釈が付けられている。したがって、レーザパルスのシーケンスは、異なるパルスエネルギー又はパワーレベルを有するレーザパルスの空間時間的パターンを表す。この例では、場所「A」は、石又は他の標的の中心又はその近くにあり、場所「B」は、石又は他の標的の周辺部又はその近くにある。場所「A」と場所「B」との間に送出されるレーザパルスは、アクチュエータを使用することを含むことができるなど、レーザファイバ140が場所「A」から場所「B」へ平行移動しているとき、又はレーザファイバ140が場所「B」から場所「A」へ平行移動しているときに送出されるパルスを示す。第1のパルス列2710は、標的石を断片化することなく、標的石に亀裂を引き起こすように選択することができる。したがって、図27で、そのような第1のパルス列2710を送出することができ、場所「A」から始まり、石の中心に向かって、次いで石の周辺部に向かって場所「B」へ進み、次いで石の中心の場所「A」へ戻り、その時点で、標的石の断片化の最初の試行において、より高いエネルギーパルス2720を送達することができる。より高いエネルギーパルス2720によるそのような断片化が成功しなかった場合、さらなる第1のパルス列2710を送達することができ、石の中心に向かう場所から石の周辺部に向かって場所「B」へ進み、次いで石の中心の場所「A」へ戻り、その時点で、標的石の断片化の第2の試行において、別のより高いエネルギーパルス2720を送達することができる。さらなる反復も可能である。石の周辺部に向かう同じ又は異なる場所「B」は、様々な反復に対して使用することができ、異なる反復における異なる場所「B」が、場所「A」からそのような異なる周辺の場所「B」へのそのような経路に沿って、複数の亀裂を生じさせる。近隣組織に対する第2のパルス列2720の影響を最小にすることなどのために、石の中心に向かうときのみ、より高いエネルギーパルス2720を使用することが好ましいことがある。
【0161】
いくつかの例では、図27に示す異なるパルスエネルギー又はパワーレベルを有するレーザパルスのシーケンスは、標的部位で止血又は凝固を提供する内視鏡システムによって使用することができる。一例では、第1のパルス列2710及び第2のパルス列2720は、効率的な止血又は凝固プロセスを容易にするために、例えば時間的に交互になどの空間時間的パターンで標的部位へ送達することができる。
【0162】
第1のパルス列2710及び第2のパルス列2720など、異なるエネルギー又はパワーレベルを有するパルスは、ボタン又はフットペダルなどのユーザによって動作可能なアクチュエータを介して、制御可能に起動することができる。例えば、ユーザは、第1の起動パターン(例えば、ボタン又はフットペダルの単一の押下)を使用して、第1のパルス列2710の送達を起動することができ、第2の起動パターン(例えば、ボタン又はフットペダルの2回の押下)を使用して、第2のパルス列2720の送達を起動することができる。一例では、第1のパルス列2710及び第2のパルス列2720は、それぞれ別個のアクチュエータを介して制御することができる。追加又は別法として、第1のパルス列2710及び第2のパルス列2720は、標的からのフィードバック信号などに基づいて、自動的に制御可能に起動することができる。例えば、分光計が、標的の分光データを収集することができ、フィードバックアナライザが、分光データを分析して結石構造の異なる部分の組成物を識別することができる。少なくともそのような識別に基づいて、それぞれ識別された組成物を有する標的の異なる部分へ、第1のパルス列2710又は第2のパルス列2720などの異なるエネルギーパルスを送達することができる。
【0163】
図28は、本明細書に論じる技法(例えば、方法)のいずれか1つ以上を実行することができる例示的な機械2800のブロック図を全体として示す。この説明の部分は、本明細書に論じる例によるレーザ治療システムの様々な部分のコンピューティングフレームワークに適用することができる。
【0164】
代替実施形態では、機械2800は、独立型のデバイスとして動作することができ、又は他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)することができる。ネットワーク化された配置では、機械2800は、サーバ-クライアントネットワーク環境においてサーバ機械、クライアント機械、又は両方の容量内で動作することができる。一例では、機械2800は、ピアツーピア(P2P)(又は他の分散型)ネットワーク環境におけるピア機械として作用することができる。機械2800は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、移動電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はその機械がとるべき動作を指定する命令を(順次又は他の形で)実行することが可能な任意の機械とすることができる。さらに、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語はまた、クラウドコンピューティング、ソフトウェアアズアサービス(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書に論じる方法のいずれか1つ以上を実行するための1つ(又は複数)の命令セットを個々に又は共同で実行する任意の1群の機械を含むと解釈されるものとする。
【0165】
本明細書に記載する例は、論理又は複数の構成要素若しくは機構を含むことができる、又は論理又は複数の構成要素若しくは機構によって動作することができる。回路セットは、ハードウェア(例えば、簡単な回路、ゲート、論理など)を含む有形の実体で実施される1群の回路である。回路セットのメンバーシップは、時間とともに柔軟であり、ハードウェアの変動性の根底にある。回路セットは、動作の際、指定の動作を単独又は組合せで実行することができる部材を含む。一例では、回路セットのハードウェアは、特有の動作(例えば、ハードワイヤード)を実施するように不変に設計することができる。一例では、回路セットのハードウェアは、特有の動作の命令を符号化するように物理的に修正されたコンピュータ可読媒体(例えば、不変の密集した粒子の磁気的、電気的に可動の配置など)を含む、可変に接続された物理構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、簡単な回路など)を含むことができる。物理構成要素を接続するとき、ハードウェア構成要素の根本的な電気特性が、例えば絶縁体から導体へ変更され、又は逆も同様である。これらの命令は、動作の際、埋込みハードウェア(例えば、実行ユニット又はローディング機構)が、特有の動作の部分を実施するように、可変の接続を介して、回路セットの部材をハードウェアで作ることを可能にする。それに応じて、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、回路セット部材の他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、2つ以上の回路セットからの2つ以上の部材において、物理構成要素のいずれかを使用することができる。例えば、動作下で、実行ユニットは、1つの時点において、第1の回路セットの第1の回路で使用することができ、異なる時間において、第1の回路セットの第2の回路によって、又は第2の回路セット内の第3の回路によって、再び使用することができる。
【0166】
機械(例えば、コンピュータシステム)2800は、ハードウェアプロセッサ2802(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、又はこれらの任意の組合せ)、主メモリ2804、及び静的メモリ2806を含むことができ、これらのいくつか又はすべては、インターリンク(例えば、バス)2808を介して互いに通信することができる。機械2800は、ディスプレイユニット2810(例えば、ラスターディスプレイ、ベクターディスプレイ、ホログラフィックディスプレイなど)、英数字入力デバイス2812(例えば、キーボード)、及びユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス2814(例えば、マウス)をさらに含むことができる。一例では、ディスプレイユニット2810、入力デバイス2812、及びUIナビゲーションデバイス2814は、タッチスクリーンディスプレイとすることができる。機械2800は、記憶デバイス(例えば、駆動ユニット)2816、信号生成デバイス2818(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェースデバイス2820、及びグローバルポジショニングシステム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、又は他のセンサなどの1つ以上のセンサ2821をさらに含むことができる。機械2800は、1つ以上の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信し又はそのようなデバイスを制御するために、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、パラレル、又は他の有線若しくは無線(例えば、赤外(IR)、近距離通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ2828を含むことができる。
【0167】
記憶デバイス2816は、機械可読媒体2822を含むことができ、機械可読媒体2822には、本明細書に記載する技法若しくは機能のいずれか1つ以上を実施する、又は本明細書に記載する技法若しくは機能のいずれか1つ以上によって利用される、1つ以上のデータ構造又は命令セット2824(例えば、ソフトウェア)が記憶される。命令2824はまた、機械2800によるその実行中、主メモリ2804内、静的メモリ2806内、又はハードウェアプロセッサ2802内に完全又は少なくとも部分的に常駐することができる。一例では、ハードウェアプロセッサ2802、主メモリ2804、静的メモリ2806、又は記憶デバイス2816のうちの1つ又は任意の組合せが、機械可読媒体を構成することができる。
【0168】
機械可読媒体2822は、単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つ以上の命令2824を記憶するように構成された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型データベース、並びに/又は付随するキャッシュ及びサーバ)を含むことができる。
【0169】
「機械可読媒体」という用語は、本開示の技法のいずれか1つ以上を機械2800に実行させる機械2800による実行のための命令を記憶、符号化、又は運搬することが可能であり、又はそのような命令によって使用される若しくはそのような命令に付随するデータ構造を記憶、符号化、若しくは運搬することが可能である、任意の媒体を含むことができる。限定されない機械可読媒体の例は、固体状態メモリ、並びに光及び磁気媒体を含むことができる。一例では、密集した機械可読媒体は、不変の(例えば、静止した)質量を有する複数の粒子を含む機械可読媒体を含む。それに応じて、密集した機械可読媒体は、一時的な伝播信号ではない。密集した機械可読媒体の特有の例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能プログラム可能な読取り専用メモリ(EPSOM))及びフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、内部ハードディスク及び取外し可能なディスクなどの磁気ディスク、磁気光ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含むことができる。
【0170】
命令2824は、複数の伝達プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト伝達プロトコル(HTTP)など)のいずれか1つを利用するネットワークインターフェースデバイス2820を介して、伝送媒体を使用する通信ネットワーク2826によって、さらに伝送又は受信することができる。例示的な通信ネットワークは、特に、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、移動電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、Plain Old Telephone(POTS)ネットワーク、及び無線データネットワーク(例えば、WiFi(登録商標)として知られているInstitute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)802.11ファミリ規格、WiMax(登録商標)として知られているIEEE802.16ファミリ規格)、IEEE802.15.4ファミリ規格、ピアツーピア(P2P)ネットワークを含むことができる。一例では、ネットワークインターフェースデバイス2820は、通信ネットワーク2826に接続するために、1つ以上の物理ジャック(例えば、イーサネット、同軸、又は電話ジャック)又は1つ以上のアンテナを含むことができる。一例では、ネットワークインターフェースデバイス2820は、単一入力複数出力(SIMO)、複数入力複数出力(MIMO)、又は複数入力単一出力(MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用して無線通信する複数のアンテナを含むことができる。「伝送媒体」という用語は、機械2800による実行のための命令を記憶、符号化、又は運搬することが可能な任意の無形の媒体を含むと解釈されるものとし、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタル若しくはアナログ通信信号又は他の無形媒体を含む。
【0171】
追加の注記
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示を目的として、本発明を実施することができる特有の実施形態を示す。本明細書では、これらの実施形態を「例」とも呼ぶ。そのような例は、図示又は記載の要素以外の要素を含むことができる。しかし、本発明者らは、図示又は記載の要素のみが提供される例も企図する。さらに、本発明者らは、特定の例(又はその1つ以上の態様)に対して、又は本明細書に図示若しくは記載の他の例(又はその1つ以上の態様)に対して、図示又は記載の要素の任意の組合せ又は並べ替えを使用する例(又はその1つ以上の態様)も企図する。
【0172】
本明細書では、「a」又は「an」という用語は、特許文献でよく見られるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」といういかなる他の事例又は使用にも依存することなく、1つ又は1つ以上を含むために使用される。本明細書では、「又は(or)」という用語は、非排他的な「or」を指すために使用され、したがって「A又はB」は、別途指示されない限り、「BではなくA」、「AではなくB」、及び「A及びB」を含む。本明細書では、「含む」及び「in which」という用語は、「備える」及び「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む」及び「備える」という用語はオープンエンドであり、すなわち、ある請求項でそのような用語の後に列挙される要素以外の要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、構成、又はプロセスも、その請求項の範囲内に入ると見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は、ラベルとしてのみ使用され、それらの対象に数値要件を課すことを意図したものではない。
【0173】
上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。例えば、上述した例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。当業者などであれば、上記の説明を検討することで、他の実施形態を使用することもできる。要約書は、特許法施行規則§1.72(b)に準拠して、読者が技術的開示の本質を迅速に確かめることを可能にするために提供される。要約書は、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されるものではないことを理解した上で提出される。また、上記の詳細な説明では、本開示を簡素化するために、様々な特徴がグループ化されていることがある。これは、特許請求されていない開示の特徴がいずれかの請求項にとって不可欠であることを意図すると解釈されるべきではない。逆に、本発明の主題は、特定の開示する実施形態のすべての特徴より小さい範囲にあることもある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって、例又は実施形態として詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、別個の実施形態として単独で成立しており、そのような実施形態は、様々な組合せ又は並べ替えで互いに組み合わせることができることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が与えられる均等物の完全な範囲とともに決定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図25A
図25B
図26
図27
図28
【国際調査報告】