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特表2022-543269共振スイッチドキャパシタコンバータ(SCC)の最適動作のためのデジタルゼロ電流スイッチングロックインコントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】共振スイッチドキャパシタコンバータ(SCC)の最適動作のためのデジタルゼロ電流スイッチングロックインコントローラ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
H02M3/155 K
H02M3/155 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506943
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 IL2020050854
(87)【国際公開番号】W WO2021024255
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/882,530
(32)【優先日】2019-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046612
【氏名又は名称】ビー.ジー.ネゲヴ テクノロジーズ アンド アプリケーションズ リミテッド,アト ベン-グリオン ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペレツ,モル モルデカイ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730BB01
5H730BB57
5H730BB61
5H730DD04
5H730EE57
5H730FD41
5H730FF06
5H730FG05
(57)【要約】
共振タンクと、共振タンクの両端に接続された1つ以上のフライングキャパシタとを有する共振型コンバータのためのデジタルロックインコントローラであって、以下を備える:入力としてゼロ電流検出(ZCD)信号を受信し、コンバータ内のすべての共振タンクに対するゼロ電流スイッチング(ZCS)動作を確実にする算術演算を実行することによって同調アルゴリズムを実施するオートチューナ;スイッチング時間コマンドを入力として受信し、コンバータのスイッチングトランジスタのゲートに供給されるパルス幅変調信号を生成するデジタルハイブリッド高分解能(HR)シーケンサ;ZCDセンサの出力を正確に読み取るための単一遅延素子の時間分解能を有するサンプリングブロック;補助構成に基づいて、すべての同期動作を実行し、コントローラの動作モードを指示するガバナモジュール。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振タンクと前記共振タンクの両端に接続された1つ以上のフライングキャパシタとを有する1つ以上のサブ回路を有する共振型コンバータのためのデジタルロックインコントローラであって、
a.入力としてゼロ電流検出(ZCD)信号を受信し、前記コンバータ内のすべての共振タンクにおけるゼロ電流スイッチング(ZCS)動作を確実にする算術演算を実行することによってチューニングアルゴリズムを実装する、オートチューナ;
b.スイッチング時間コマンドを入力として受信し、前記コンバータのスイッチングトランジスタのゲートに対して供給されるパルス幅変調信号を生成する、デジタルハイブリッド高分解能(HR)シーケンサ;
c.ZCDセンサの出力を正確に読み取る、単一遅延素子の時間分解能を持つサンプリングブロック;
d.補助回路構成に基づいて、すべての同期アクションを実行し、前記コントローラの動作モードを指示するガバナモジュール;
を備えるコントローラ。
【請求項2】
前記共振型コンバータは、共振型スイッチドキャパシタコンバータ(RSCC)である、請求項1記載のコントローラ。
【請求項3】
完全なZCS動作が、単段または多段のRSCCトポロジーについて得られる、請求項1記載のコントローラ。
【請求項4】
各サブ回路の共振周期は、各フライングキャパシタにおける電荷移動速度を完全に利用するために、オンザフライで特定され、正しいスイッチング時間にロックインされる、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項5】
各サブ回路のスイッチング時間は、温度または経年劣化による受動部品の値の任意の変動を補償するために、オンザフライで修正される、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項6】
前記コントローラは、単一の供給ドメインを有する変更なしの全デジタル標準セルに基づくアーキテクチャを有し、これにより、汎用デジタルフロープロシージャを使用して設計される、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項7】
前記アーキテクチャの実装は、非同期ハードウェアおよび組み合わせ回路に基づいており、これにより、タイミングおよび高速同期のための複雑で電力消費が大きいハードウェアの必要性を排除している、
請求項6記載のコントローラ。
【請求項8】
前記オートチューナは、ZCD信号を入力として受信するように構成するとともに、
c.前記RSCCの各サブ回路のスイッチング時間を表すデジタルワードであって、前記デジタルワードのMSBはシステムのクロックスイッチング周期の時間分解能を有するRSCCトランジスタに対する駆動信号の粗部分に対応し、前記デジタルワードのLSBは単一の遅延素子の遅延に等しい時間分解能を有する駆動信号の微細部分を表す、デジタルワード;
d.前記コントローラのロックイン状態を示すデジタル信号:
i.始動時における固有遅延計算;
ii.各サブ回路の正しいスイッチング時間へのロックイン;
iii.1つ以上のサブ回路のロックインプロシージャの処理中;
の補助信号を出力することにより、各サブ回路のスイッチング時間をチューニングするように構成されている、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項9】
各共振タンクの共振特性に対するロックインプロセスは、
a.所定数のスイッチングサイクルに対する補償なしに、ユーザ構成可能なゲーティングコマンドに従って動作するステップ;
b.前記コントローラと前記コンバータのトランジスタとの間の固有遅延を計算するステップ;
c.ZCDセンサをサンプリングして各共振タンクのスイッチング状態(早期または遅延スイッチング)を取得するステップ;
d.前記取得された前記コンバータのスイッチング状態に基づいてエラー信号を計算するステップ;
e.各共振タンクのスイッチングサイクルの持続時間を、
i.早期スイッチングが発生した場合において前記持続時間を増加させるステップ;または
ii.遅延スイッチングが発生した場合において前記持続時間を減少させるステップ;
によって変更するステップ;
f.上記ステップe.の結果に基づいて前記コンバータのスイッチング周期を計算するステップ;
g.各共振タンクのゲーティングコマンドを更新するステップ;
h.前記コントローラが停止するまで上記ステップc~fを繰り返すステップ;
を有する、
請求項8記載のコントローラ。
【請求項10】
前記オートチューナは、
a.前記サンプリングされたZCD信号を評価し、前記スイッチング時間の必要な修正を決定する、デジタル補償ユニット;
b.ノイズ変化と前記ZCDセンサの不正確な読取値を平滑化するデジタルローパスフィルタ(LPF);
c.ロックされている間における前記コントローラのロックイン状態のデジタル表現を生成するデジタル論理ブロック;
を備える、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項11】
前記HRシーケンサは、
a.入力として、各サブ回路のスイッチング時間と、ユーザが構成可能なデッドタイムとを受信するステップ;
b.1つの遅延素子の時間分解能で前記RSCCトランジスタに対して駆動信号を出力するステップ;
を実施するように構成されている、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項12】
前記HRシーケンサは、
a.内部クロック周波数で動作する、デジタルカウンタに基づく粗カウントブロック;
b.論理ブロックであって、
b.1.各サブ回路のスイッチング時間を表すビットの第1部分を入力として受信するステップ;
b.2.カウンタコンパレータ回路により、システム内部クロックの周期と等しい時間分解能の時間ベース信号を生成するステップ;
を実施するように構成された論理ブロック;
c.各サブ回路についての遅延線とマルチプレクサの組み合わせからなる回路を備える微調整ブロックであって、前記微調整ブロックは、
c.1.前記スイッチング時間を表すビットのLSB部分と、前記論理ブロックからのカウンタベースの信号を入力として受け取るステップ;
c.2.1つの遅延素子の時間分解能で前記RSCCトランジスタのゲートを制御するパルス幅変調信号を生成するステップ;
を実施するように構成された、微調整ブロック;
を備える、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項13】
前記サンプリングブロックは、
a.複合遅延線マルチプレクサユニット;
b.カウンタコンパレータ論理ブロック;
を備え、
前記サンプリングブロックは、
c.入力として、
c.1.補助サンプリング構成;
c.2.前記HRシーケンサと前記RSCCトランジスタの導通との間の固有遅延を表すデジタルワード;
を受け取るステップ;
d.前記ZCDセンサの有効な読取値を生成するステップ;
を実施するように構成されている、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項14】
前記サンプリング動作は、
a.前記コントローラによるターンオフコマンドから、前記適用されたデッドタイムの終了までの間、前記内部クロックの周波数で前記ZCDセンサの連続サンプリングを実行することにより、前記システムの内部クロックを利用し、前記サンプルを処理して前記コンバータのスイッチング状態を取得する、同期手順;
b.システムの内部クロックと遅延線ベースのモジュールを組み合わせて、単一遅延素子の時間分解能で高分解能サンプリングを実施し、単一サンプリング動作を用いて、スタートアップ時の推定固有遅延に基づいて、前記コンバータのスイッチング状態を正確に取得する、非同期手順;
として実行することができ、
前記デッドタイム期間が終了すると、前記サンプリングブロックは、前記ZCDセンサの有効な読取値を前記オートチューナに対して提供する、
請求項13記載のサンプリングブロック。
【請求項15】
前記コントローラの出力と前記RSCCトランジスタの導通インスタンスとの間の固有遅延は、起動時において、
a.前記共振タンクの前記受動部品の公称値に従ってデフォルトスイッチング周波数を定義して、すべてのサブ回路における早期スイッチングを意図的に保証するステップ;
b.スイッチングサイクル毎の前記ZCDセンサ出力をサンプリングするステップ;
c.前記取得した読取値を評価し、それに応じてサンプリング位置を修正するステップ;
d.有効な早期スイッチング読取値が取得されるまで、上記ステップb~cを繰り返すステップ;
e.前記ステップdの終わりのサンプリング時間に基づいて前記固有遅延を推定するステップ;
によって計算される、
請求項13記載のサンプリングブロック。
【請求項16】
前記サンプリング動作は、前記RSCCのサブ回路ごとに独立して実行される、請求項13記載のサンプリングブロック。
【請求項17】
前記ガバナモジュールは、
a.シングルピンベースのシグマ-デルタアナログ-デジタルコンバータ(SD-ADC)構成回路からの補助構成を入力として受信するステップ;
b.前記補助構成に基づいて、
c.前記固有遅延を計算するためのスタートアップルーチン;
d.サンプリングおよびチューニングをサイクルごとに実行せず消費電力を最小限に抑える軽負荷動作;
e.通常動作モード;
を実施することにより前記コンバータの所望の動作モードを指示するステップ;
を実施するように構成されており、
前記ガバナによって実行されるすべての同期アクションは前記内部システムの内部クロックに基づいており、ロックされている間に前記オートチューナブロックによって提供されるチューニングプロセスに関する情報に基づいている、
請求項1記載のコントローラ。
【請求項18】
a.デジタルフロントエンドを有するシグマ-デルタ変調器;
b.インバータベースの比較器;
c.単純化されたRC積分器;
d.カウンタベースのデシメーションおよびフィルタリング出力段;
を備え、
前記シングルピン構成回路は、前記フロントエンドインバータの前記入力における前記電圧の関数としてデジタルワードを生成する、
請求項17記載のシングルピンベースSD-ADC。
【請求項19】
前記ZCDは、前記サンプリングインスタンスにおける前記共振タンク電流の極性を正確に決定することができる2比較器ベースのセンサアーキテクチャを備え、前記ZCDセンサは、前記サンプリングインスタンスにおける前記共振タンク電流の極性のデジタル表現を生成するために、各サブ回路のスイッチングノード内に配置されている、
請求項1記載のZCDセンサ。
【請求項20】
1つ以上の共振タンクと、前記共振タンクの両端に接続された1つ以上のフライングキャパシタとを有する共振型コンバータを制御する方法であって、
a.入力としてゼロ電流検出(ZCD)信号を受信するオートチューナによって、前記コンバータ内のすべての共振タンクのゼロ電流スイッチング(ZCS)動作を保証する算術演算を実行して、チューニングアルゴリズムを実施するステップ;
b.スイッチング時間コマンドを入力として受信するデジタルハイブリッド高分解能(HR)シーケンサによって、前記コンバータのスイッチングトランジスタのゲートに対して供給されるパルス幅変調信号を生成するステップ;
c.単一の遅延素子の時間分解能を持つサンプリングブロックによって前記ZCDセンサの出力を正確に読み取るステップ;
d.補助構成に基づいて、すべての同期アクションを実行し、制御動作中に動作モードを指示するステップ;
を有する方法。
【請求項21】
前記共振型コンバータは共振スイッチドキャパシタコンバータ(RSCC)である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
完全なZCS動作が、単段または多段のRSCCトポロジーについて得られる、請求項20記載の方法。
【請求項23】
各サブ回路の共振周期は、各フライングキャパシタにおける電荷移動速度を完全に利用するために、オンザフライで特定され、正しいスイッチング時間にロックインされる、
請求項20記載の方法。
【請求項24】
各サブ回路のスイッチング時間は、温度または経年劣化による受動部品の値の任意の変動を補償するために、オンザフライで修正される、
請求項20記載の方法。
【請求項25】
各共振タンクの共振特性に対するロックインプロセスは、
a.所定数のスイッチングサイクルに対する補償なしに、ユーザ構成可能なゲーティングコマンドに従って動作するステップ;
b.前記コントローラと前記コンバータのトランジスタとの間の固有遅延を計算するステップ;
c.ZCDセンサをサンプリングして各共振タンクのスイッチング状態(早期または遅延スイッチング)を取得するステップ;
d.前記取得された前記コンバータのスイッチング状態に基づいてエラー信号を計算するステップ;
e.各共振タンクのスイッチングサイクルの持続時間を、
i.早期スイッチングが発生した場合において前記持続時間を増加させるステップ;または
ii.遅延スイッチングが発生した場合において前記持続時間を減少させるステップ;
によって変更するステップ;
f.上記ステップe.の結果に基づいて前記コンバータのスイッチング周期を計算するステップ;
g.各共振タンクのゲーティングコマンドを更新するステップ;
h.前記コントローラが停止するまで上記ステップc~fを繰り返すステップ;
を有する、
請求項20記載の方法。
【請求項26】
前記HRシーケンサは、
a.入力として、各サブ回路のスイッチング時間と、ユーザが構成可能なデッドタイムとを受信するステップ;
b.1つの遅延素子の時間分解能で前記RSCCトランジスタに対して駆動信号を出力するステップ;
を実施するように構成されている、
請求項20記載の方法。
【請求項27】
前記サンプリングブロックは、
a.前記コントローラによるターンオフコマンドから、前記適用されたデッドタイムの終了までの間、前記内部クロックの周波数で前記ZCDセンサの連続サンプリングを実行することにより、前記システムの内部クロックを利用し、前記サンプルを処理して前記コンバータのスイッチング状態を取得する、同期手順;
b.システムの内部クロックと遅延線ベースのモジュールを組み合わせて、単一遅延素子の時間分解能で高分解能サンプリングを実施し、単一サンプリング動作を用いて、スタートアップ時の推定固有遅延に基づいて、前記コンバータのスイッチング状態を正確に取得する、非同期手順;
として実行され、
前記デッドタイム期間が終了すると、前記サンプリングブロックは、前記ZCDセンサの有効な読取値を前記オートチューナに対して提供する、
請求項20記載の方法。
【請求項28】
前記コントローラの出力と前記RSCCトランジスタの導通インスタンスとの間の固有遅延は、起動時において、
a.前記共振タンクの前記受動部品の公称値に従ってデフォルトスイッチング周波数を定義して、すべてのサブ回路における早期スイッチングを意図的に保証するステップ;
b.スイッチングサイクル毎の前記ZCDセンサ出力をサンプリングするステップ;
c.前記取得した読取値を評価し、それに応じてサンプリング位置を修正するステップ;
d.有効な早期スイッチング読取値が取得されるまで、上記ステップb~cを繰り返すステップ;
e.前記ステップdの終わりのサンプリング時間に基づいて前記固有遅延を推定するステップ;
によって計算される、
請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記サンプリング動作は、前記RSCCのサブ回路ごとに独立して実行される、請求項27記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振型コンバータの分野に関する。より詳細には、本発明は、共振スイッチドキャパシタコンバータ(RSCC)の動作を最適化するためのデジタルゼロ電流スイッチングロックインコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
過去20年間にわたって探求されてきたスイッチドキャパシタコンバータ(SCC)は、データセンタおよび他のクラウドコンピューティング関連アプリケーションにおける電力管理において支配的な役割を果たしている。トレンドをリードするオープンコンピューティングプロジェクト(OCP)コンソーシアムの影響を大きく受けてきた電力供給構造の標準化の加速に鑑み、48Vレールを極めて高い効率と非常に高い電力密度で12Vまで下げる必要性が、アプリケーションの標準を確立した。この点で、SCC技術とその派生品はインダクタベースの代替品よりも優れている。
【0003】
電力密度および変換効率は、ボリューム当たりの計算能力の量を最大にするために、データセンタアプリケーションにおいて重要である。この要件は48Vレベルから12Vレベルへの変換において極めて厳しい性能要件を必要とし、これにより、全体的なソリューションの魅力をさらに低下させることはない。この用途は固定された変換比を必要とするので、SCC技術は非常に魅力的な候補となる。中程度の出力レベルにおいては、SCCは98%以上のピーク効率を広く実証している。データセンタアプリケーションのための共振スイッチドキャパシタベース電力コンバータ(RSCC)の結果が最近提示され、200W付近で98.5%のピーク効率を実証した。
【0004】
RSCCの一般的なケースにおける効率的な電力変換を容易にする主要因は、コンバータの共振条件に関するスイッチング周波数の精度である。各スイッチング状態の伝導時間が共振器の周期のちょうど半分に一致する場合に最適な電荷移動が達成されるので、スイッチング状態間のデッドタイムが最小化される。このようにして、フライングキャパシタの電荷はサイクル毎に完全に利用される。出力のより頻繁な電荷移動を伴うコンバータトポロジーは、本質的に低い等価抵抗をもたらす。その結果、これらのトポロジーは、基本的な充放電パターンを有するトポロジーよりも潜在的に効率的である。
【0005】
充電サイクルを完了するための複数のスイッチング状態を有するトポロジー、または複数の共振器を有する構成においては、各サイクルが各フライングキャパシタからの電荷を完全に利用すると、回路コントローラが複雑になる。伝導経路は共振周期を変化させる各状態毎に異なるので、フライングキャパシタ電流の正確なゼロ交差情報と特定のタイミング設定がスイッチング状態毎(また、いくつかのアプリケーションにおいては個々のスイッチ毎)に必要である。サブ回路あたりの共振パラメータは、部品上の応力、負荷条件、設計の物理的レイアウト、および温度と時間の経過にともなうドリフトの関数として変化する。さらに、タイミングパラメータは、コンポーネントのばらつきと、現在のゼロ交差検出(ZCD)回路の精度について考慮する必要がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、共振スイッチドキャパシタコンバータ(RSCC)の動作を最適化するためのデジタルゼロ電流スイッチングロックインコントローラを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、ZCD情報を取得することに基づいて、各副回路についての共振周期をオンザフライで識別し、正しいスイッチング時間にロックインすることができるコントローラを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、回路のあらゆる変動を自動的に補償することができるコントローラを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0010】
共振タンクと前記共振タンクの両端に接続された1つ以上のフライングキャパシタとを有する1つ以上のサブ回路を有する共振型コンバータのためのデジタルロックインコントローラであって、
a.入力としてゼロ電流検出(ZCD)信号を受信し、前記コンバータ内のすべての共振タンクに対してゼロ電流スイッチング(ZCS)動作を確実にする算術演算を実行することによってチューニングアルゴリズムを実装する、オートチューナ;
b.スイッチング時間コマンドを入力として受信し、前記コンバータのスイッチングトランジスタのゲートに対して供給されるパルス幅変調信号を生成するデジタルハイブリッド高分解能(HR)シーケンサ;
c.ZCDセンサの出力を正確に読み取る、単一遅延素子の時間分解能を持つサンプリングブロック;
d.補助構成に基づいて、すべての同期アクションを実行し、前記コントローラの動作モードを指示するガバナモジュール;
を備えるコントローラ。
【0011】
前記共振型コンバータは、共振型スイッチドキャパシタコンバータ(RSCC)であってもよい。
【0012】
完全なZCS動作は、単段または多段のRSCCトポロジーについて得ることができる。
【0013】
各サブ回路の共振周期は、各フライングキャパシタについての電荷移動速度を完全に利用するために、オンザフライで特定され、正しいスイッチング時間にロックインすることができる。
【0014】
各サブ回路のスイッチング時間は、温度または経年劣化による受動部品の値のあらゆる変動を補償するために、オンザフライで修正することができる。
【0015】
前記コントローラは、汎用デジタルフロープロシージャを使用して設計されるように、修正なしで単一の供給ドメインを有する全デジタル標準セルに基づくアーキテクチャを有することができる。
【0016】
前記アーキテクチャの実装は、タイミングおよび高速同期のための複雑で電力を消費するハードウェアの必要性を排除するために、非同期ハードウェアおよび組み合わせ回路に基づくことができる。
【0017】
前記オートチューナは、ZCD信号を入力として受信するように構成するとともに、
a.前記RSCCの各サブ回路のスイッチング時間を表すデジタルワードであって、前記デジタルワードのMSBはシステムのクロックスイッチング周期の時間分解能を有するRSCCトランジスタに対する駆動信号の粗部分に対応し、前記デジタルワードのLSBは単一の遅延素子の遅延に等しい時間分解能を有する駆動信号の微細部分を表す、デジタルワード;
b.前記コントローラのロックイン状態を示すデジタル信号:
i.始動時における固有遅延計算;
ii.各サブ回路の正しいスイッチング時間へのロックイン;
iii.1つ以上のサブ回路のロックインプロシージャの処理中;
の補助信号を出力することにより、各サブ回路のスイッチング時間をチューニングするように構成してもよい。
【0018】
各共振タンクの共振特性に対するロックインプロセスは、
a.所定数のスイッチングサイクルに対する補償なしに、ユーザ構成可能なゲーティングコマンドに従って動作するステップ;
b.前記コントローラと前記コンバータのトランジスタとの間の固有遅延を計算するステップ;
c.ZCDセンサをサンプリングして各共振タンクのスイッチング状態(早期または遅延スイッチング)を取得するステップ;
d.前記取得された前記コンバータのスイッチング状態に基づいてエラー信号を計算するステップ;
e.各共振タンクのスイッチングサイクルの持続時間を変更するステップ:
f.早期スイッチングが得られる場合において前記持続時間を増加させるステップ;
g.遅延スイッチングが発生した場合において前記持続時間を減少させるステップ;
h.上記ステップe.の結果に基づいてコンバータスイッチング周期を計算するステップ;
i.各共振タンクのゲーティングコマンドを更新するステップ;
j.前記コントローラが停止するまでステップc~fを繰り返すステップ;
を有することができる。
【0019】
前記オートチューナは、
a.前記サンプリングされたZCD信号を評価し、前記スイッチング時間の必要な修正を決定する、デジタル補償ユニット;
b.ノイズの変化と前記ZCDセンサを不正確な読取値を平滑化するデジタルローパスフィルタ(LPF);
c.ロックされている間に前記コントローラのロックイン状態のデジタル表現を生成するデジタル論理ブロック;
を備えることができる。
【0020】
前記HRシーケンサは、
a.入力として、各サブ回路のスイッチング時間と、ユーザが構成可能なデッドタイムとを受信するステップ;
b.1つの遅延素子の時間分解能で前記RSCCトランジスタに対して駆動信号を出力するステップ;
を実施するように構成することができる。
【0021】
前記HRシーケンサは、
a.内部クロック周波数で動作する、デジタルカウンタに基づく粗カウントブロック;
b.論理ブロックであって、
b.1.各サブ回路のスイッチング時間を表すビットの第1部分を入力として受信するステップ;
b.2.カウンタコンパレータ回路により、システム内部クロックの周期と等しい時間分解能の時間ベース信号を生成するステップ;
を実施するように構成された論理ブロック;
c.各副回路についての遅延線とマルチプレクサの組み合わせからなる回路を備える微調整ブロックであって、前記微調整ブロックは、
c.1.前記スイッチング時間を表すビットのLSB部分と、前記論理ブロックからのカウンタベースの信号を入力として受け取るステップ;
c.2.1つの遅延素子の時間分解能で前記RSCCトランジスタのゲートを制御するパルス幅変調信号を生成するステップ;
を実施するように構成された、微調整ブロック;
を備えることができる。
【0022】
前記サンプリングブロックは、
a.複合遅延線マルチプレクサユニット;
b.カウンタコンパレータ論理ブロック;
を備えることができ、
前記サンプリングブロックは、
c.入力として、
c.1.補助サンプリング構成;
c.2.前記HRシーケンサと前記RSCCトランジスタの導通との間の固有遅延を表すデジタルワード;
を受け取るステップ;
d.前記ZCDセンサの有効な読取値を生成するステップ;
を実施するように構成することができる。
【0023】
前記サンプリング動作は、
a.前記コントローラによるターンオフコマンドから、前記適用されたデッドタイムの終了までの間、前記内部クロックの周波数で前記ZCDセンサの連続サンプリングを実行することにより、前記システムの内部クロックを利用し、前記サンプルを処理して前記コンバータのスイッチング状態を取得する、同期手順;
b.システムの内部クロックと遅延線ベースのモジュールを組み合わせて、単一遅延素子の時間分解能で高分解能サンプリングを実施し、単一サンプリング動作を用いて、スタートアップ時の推定固有遅延に基づいて、前記コンバータのスイッチング状態を正確に取得する、非同期手順;
として実行することができ、
前記デッドタイム期間が終了すると、前記サンプリングブロックは、前記ZCDセンサの有効な読取値を前記オートチューナに対して提供する。
【0024】
前記コントローラの出力と前記RSCCトランジスタの導通インスタンスとの間の固有遅延は、起動時において、
a.前記共振タンクの前記受動部品の公称値に従ってデフォルトスイッチング周波数を定義して、すべてのサブ回路における早期スイッチングを意図的に保証するステップ;
b.スイッチングサイクル毎の前記ZCDセンサ出力をサンプリングするステップ;
c.前記取得した読取値を評価し、それに応じてサンプリング位置を修正するステップ;
d.有効な早期スイッチング読取値が取得されるまで、上記ステップb~cを繰り返すステップ;
e.前記ステップdの終わりのサンプリング時間に基づいて固有遅延を推定するステップ;
によって計算することができる。
【0025】
前記サンプリング動作は、前記RSCCのサブ回路ごとに独立して実行することができる。
【0026】
前記ガバナモジュールは、
a.シングルピンベースのシグマ-デルタアナログ-デジタルコンバータ(SD-ADC)構成回路からの補助構成を入力として受信するステップ;
b.前記補助構成に基づいて、
c.前記固有遅延を計算するためのスタートアップルーチン;
d.サンプリングおよびチューニングをサイクルごとに実行せず消費電力を最小限に抑える軽負荷動作;
e.通常動作モード;
を実施することにより前記コンバータの所望の動作モードを指示するステップ;
を実施するように構成することができ、
前記ガバナによって実行されるすべての同期アクションは前記内部システムの内部クロックに基づいており、ロックされている間に前記オートチューナブロックによって提供されるチューニングプロセスに関する情報に基づいている。
【0027】
前記シングルピンベースのSD-ADCは、
a.デジタルフロントエンドを有するシグマ-デルタ変調器;
b.インバータベースの比較器;
c.単純化されたRC積分器;
d.カウンタベースのデシメーションおよびフィルタリング出力段;
を備えることができ、
前記シングルピン構成回路は、前記フロントエンドインバータの前記入力における前記電圧の関数としてデジタルワードを生成する。
【0028】
前記ZCDは、前記サンプリングインスタンスにおける前記共振タンク電流の極性を正確に決定することができる2比較器ベースのセンサアーキテクチャを備えることができ、前記ZCDセンサは、前記サンプリングインスタンスにおける前記共振タンク電流の極性のデジタル表現を生成するために、各サブ回路のスイッチングノード内に配置されている。
【0029】
1つ以上の共振タンクと、前記共振タンクの両端に接続された1つ以上のフライングキャパシタとを有する共振型コンバータを制御する方法であって、
a.入力としてゼロ電流検出(ZCD)信号を受信するオートチューナによって、前記コンバータ内のすべての共振タンクのゼロ電流スイッチング(ZCS)動作を保証する算術演算を実行して、チューニングアルゴリズムを実施するステップ;
b.スイッチング時間コマンドを入力として受信するデジタルハイブリッド高分解能(HR)シーケンサによって、前記コンバータのスイッチングトランジスタのゲートに対して供給されるパルス幅変調信号を生成するステップ;
c.単一の遅延素子の時間分解能を持つサンプリングブロックによって前記ZCDセンサの出力を正確に読み取るステップ;
d.補助構成に基づいて、すべての同期アクションを実行し、制御動作中に動作モードを指示するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、以下の本発明の好ましい実施形態の例示的かつ非限定的な詳細な説明によって、より良く理解されるであろう:
図1】デジタルロックインコントローラICの簡略化された概略図を示す;
図2図2(a)はオートチューナモジュールの内部ブロック図である;図2(b)はLPFの簡略化されたブロック図である;
図3図3(a)は遅延スイッチングを示す;図3(b)は早期スイッチングを示す図である;
図4図4(a)は、シーケンサモジュールの簡略化されたブロック図である;図4(b)は、遅延線ベースの高分解能PWM信号を示す;
図5】ZCDセンサの連続サンプリングベースのアプローチを示す;
図6】ZCDセンサの単一サンプルベースのアプローチを示す;
図7】従来の2:1 RSCCを示す;
図8】遅延スイッチング運転時の共振タンク電流を示す;
図9】コンバータスイッチング状態の関数として負荷に対して配送される電荷を示す;
図10図10(a)は、共振タンクの充電動作中における4:1 STCの等価回路を示す;図10(b)は、共振タンクの放電動作中における4:1 STCの等価回路を示す;
図11】スイッチングノード電圧の2ビット表現を生成する2比較器ベースのZCDセンサを示す;
図12図12(a)は、4:1 STCコンバータのためのコントローラの閉ループ動作中における共振電流を示す;図12(b)は、4:1 STCコンバータのためのコントローラの閉ループ動作中における出力電圧を示す;図12(c)は、コントローライネーブルコマンド前の共振電流の拡大図を示す;図12(d)は、収束期間中における共振電流の拡大図を示す;図12(e)は、定常状態における共振電流の拡大図を示す;
図13図13(a)は、シングルピン構成ハードウェアの簡略化されたアーキテクチャである;図13(b)は、SD変調器の主要な波形を示す;
図14図14(a)は、固有遅延計算手順中におけるコントローラゲーティング信号の波形を示す;図14(b)は、固有遅延計算手順中におけるZCDセンサの波形を示す;図14(c)は、固有遅延計算手順中におけるスイッチングノードの波形を示す;図14(d)は、固有遅延計算手順中におけるサンプリング信号の波形を示す;
図15図15(a)は、遅延スイッチングからZCSへの遷移のレイアウト後シミュレーションである;図15(b)は、開ループ動作のレイアウト後シミュレーションである;図15(c)は、ZCS動作への収束後のレイアウト後シミュレーションである;
図16図16(a)は、デジタルロックインコントローラによる、開ループ遅延スイッチングからZCSへの4:1 STCの遷移の実験結果であり、タンクの電流および出力電圧の全ビューをともに示す;図16(b)は、デジタルロックインコントローラによる、開ループ遅延スイッチングからZCSへの4:1 STCの遷移の実験結果であり、開ループ動作中における以下のズームインビューをともに示す:タンクの電流(Icr1-blue、Icr2-green)10A/div、スイッチングノード(Vsw1-yellow、Vsw2-red)5V/div、時間スケール2μs/div;図16(c)は、デジタルロックインコントローラによる、開ループ遅延スイッチングからZCSへの4:1 STCの遷移の実験結果であり、ZCS閉ループ動作中における以下のズームインビューをともに示す:タンクの電流(Icr1-blue、Icr2-green)10A/div、スイッチングノード(Vsw1-yellow、Vsw2-red)5V/div、タイムスケール2μs/div;
図17図17(a)は、デジタルロックインコントローラによる、開ループ早期スイッチングからZCSへの4:1 STCの遷移の実験結果であり、タンクの電流と出力電圧の全ビューともにを示す;図17(b)は、デジタルロックインコントローラによる、開ループ早期スイッチングからZCSへの4:1 STCの遷移の実験結果であり、開ループ動作中における以下のズームインビューをともに示す:タンクの電流(Icr1-blue、Icr2-green)10A/div、スイッチングノード(Vsw1-yellow、Vsw2-red)5V/div、時間スケール2μs/div;図17(c)は、デジタルロックインコントローラによる、開ループ早期スイッチングからZCSへの4:1 STCの遷移の実験結果であり、ZCS閉ループ動作中における以下のズームインビューをともに示す:タンクの電流(Icr1-blue、Icr2-green)10A/div、スイッチングノード(Vsw1-yellow、Vsw2-red)5V/div、タイムスケール2μs/div。
図18】同調条件におけるSTC効率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、共振SCCのためのロックイン統合コントローラを提案する。コントローラは各サブ回路の共振周期をオンザフライで識別し、正しいスイッチング時間にロックインして、各フライングキャパシタに対する電荷移動速度を完全に利用する。コントローラはオートチューナおよびシーケンサを有し、これらは、構成要素値または回路構成の任意の不整合、変動、またはドリフトに対応し、各共振器のための同調を独立して実行して、システム内の各フライングキャパシタのための電荷転送を完全に利用する。650W 4:1スイッチドタンクコンバータのフルスケールハードウェアプロトタイプを用いて、コントローラの動作を検証し、優れたロックイン能力を実証し、98.6%に至る高効率を得た。
【0032】
図1は、正確なスイッチングタイミングを可能にしてスイッチング状態毎の各フライングキャパシタに対する電荷移動を完全に利用するロックイン統合コントローラアーキテクチャを概略的に示す。コントローラは、構成要素値または回路構成における不整合、変動、またはドリフトに適応するように調整する全デジタルICとして実装される。
【0033】
2つのロックインアーキテクチャを提示する。第1ロックインアーキテクチャは同期デジタルハードウェアに基づいており、中間周波数範囲(数百KHzの範囲)の用途に適している。第2ロックインアーキテクチャは非同期組み合わせ論理に基づいており、MHz範囲に適合する非常に高い周波数分解能を提供する。2つの共振器について、サブ回路ごとの個別独立同調とスイッチング状態を用いて、この制御法を実証した。
【0034】
図1は、様々なタイプのRSCCベースの単一または多段コンバータトポロジに対して適用できる、提案するデジタルロックインコントローラの一般的な形態を示している。コントローラは以下を備える:動作モードを管理し、同期し、かつ指示するシステムガバナモジュール101;スイッチの導通時間を調整および較正して、全ての共振タンクにおけるゼロ電流スイッチング(ZCS)動作を達成するオートチューナモジュール102;電力スイッチへの必要な駆動信号を生成するスイッチングシーケンサ103;ゼロ電流検出(ZCD)センサの出力を正確に読み取るサンプリングブロック104。
【0035】
駆動周波数を共振特性に同調させるための1つの可能性は、ゼロクロス点センサからの情報に対して即座に応答することによって実行することができる。この方法は、システムにおける待ち時間および遅延に起因して、場合によっては問題となることがある。
【0036】
高スイッチング周波数アプリケーションのために利用される代替アプローチは、スイッチング周波数の共振周波数への遅延ロックループ収束を実行する。このような代替アプローチは、所望の実行周波数にロックインし、システム内の任意の変動または不整合を補償する。この動作は、変動に対するシステムの応答がむしろ遅く、数回のスイッチングサイクルにわたって搬送されるので、特に高Qにおいて共振変換に適している。本発明の文脈において、チューニングプロセスの主な動機付けは、システムの最高の効率条件をもたらす最適な伝達条件を達成するための熱的考慮から来ており、ロックインチューニングアーキテクチャによって十分に果たすことができる比較的ゆっくりと変化する対象である。
【0037】
チューニングプロセスは、コントローラICの比較的遅い内部クロックによって実行され、その結果、シーケンサおよびサンプリングブロックが簡単かつ直接的に実現される。より高い周波数で動作するコンバータについては、非同期組み合わせ論理を用いて周波数検出および生成ユニットを実現し、内部同期クロックで得られたものよりも高い分解能での動作を可能にした。
【0038】
ガバナ(制御)モジュール101
ガバナモジュール101は、(図1のOPポートを介して)補助構成に基づいて、コンバータの所望の動作モードを指示する。従来のRSCCにおいて、ガバナモジュール決定は、コンバータの軽負荷動作、起動および停止シーケンスとともに、適用したデッドタイムを含む。より複雑なトポロジーの場合、ガバナモジュール101は、多段コンバータにおけるZCDセンサのようなオンボード周辺機器を最小化し、さらには電圧変換比を決定するために、様々なスイッチング方式を指示することができる。本発明において、システムガバナモジュール101によって実行されるすべての同期動作は、内部クロック(この特定のケースにおいては20MHz)に基づく。オートチューナブロック102からのフィードバック105(図1においてロックされている)は、チューニングプロセスに関する必要な情報をガバナモジュール101に対して提供する。広範囲の共振コンバータをサポートするために、スタートアップおよびターンオフシーケンスは、ハードウェアの変更なしに再プログラムすることができる。
【0039】
オートチューナモジュール102
オートチューニングモジュール102は図2Aに示すように、いくつかの内部ユニットから構成される。デジタル補償器201はサンプリングされたZCD信号を評価し、トランジスタがオフになるときに共振器電流がゼロであるかどうかを決定する。トランジスタターンオフ時の非ゼロ共振電流は、図3A図3Bに示されているように、「早期」または「遅延」スイッチングの場合に発生する。ターンオフ時の電流の極性の情報に基づいて、補償器201は、各共振タンクのオン時間を別々に変更する(図2BのTx)。次のスイッチングサイクルのオン時間は、サンプリングされたZCD信号が「早期」のスイッチングを示す場合には増加し、「遅延」のスイッチングを示す場合には減少する。ZCDのサンプリング信号がZCSを示すと、オンタイムは変わらない。ユニットがプロセスを開始する初期値は、許可されたスタートアップチューニング手順の長さに応じて、前もってプログラムすることができ、またはデフォルトとして使用することができる。
【0040】
補償器ブロック201の後には、任意のノイズ変動を平滑化するためのデジタルLPF202が接続され、さらなる遅れ位相が必要とされる場合には補償ネットワークとしても機能する。この例において、フィルタリングは図2Bに示すように、構成可能な数の補償器出力を比較することによって実行される。それぞれのスイッチングサイクルの始めにおいて、レジスタ203上でシフトオペレーションが実行され、LPFフィルタ202の出力が計算される(図2AのTpulse_x)。チューンレジスタは全てのレジスタが同じ値を保持するときにおいてのみ更新され、これはコンバータの動作に対する特異な非ZCSイベントまたはZCDセンサによる不正確な通知の影響を完全に排除する。
【0041】
オートチューナモジュール102は、コンバータの動作周波数を決定する共振タンク値の柔軟な選択を可能にする。電源投入時においてロックインルーチンが開始され、その間、オートチューナモジュール102は各タンクの共振周波数を特定する。通常の実行モードの間において、オートチューナモジュール102は電力ステージの動作を観察し、起動時に受動部品がそれらの値からドリフトする場合においてZCSを確実にするために微調整を提供する。
【0042】
シーケンサモジュール103
シーケンサモジュール103は、先行モジュールからの情報に基づいて、パワーステージに対してゲーティング信号Q,・・・,Qを実行する。これは多相高分解能タイマを組み込んでおり、単段または多段のコンバータトポロジに対して正しい正確なパルス長を保証する。ゲーティング信号Q,・・・,Qはコンバータの共振器(またはサブ回路)ごとに独立して設定され、その結果、ZCS動作は構成要素の不整合または変動にかかわらず、すべての共振タンクまたはコンバータの段ごとに別々に実現することができる。
【0043】
高分解能タイマを実装する従来のアプローチは、高速クロックカウンタ‐コンパレータ方式によるものである。このように、切り替え周波数fsにおけるnビット分解能は2・fsの基準クロック周波数を必要とし、これは消費電力の増大につながる。この例において、電力スイッチのための高分解能パルス幅駆動信号は、図4Aに示すように、粗計数ブロック401を組み込み、その後の遅延線ベース微調整モジュール402によって生成される。これにより、スタンダードセルをベースとした設計が可能となり、低消費電力で直接合成が可能となる。図4Aに見られるように、カウンタベースの信号は、オートチューナブロックから提供される情報によって、各共振タンクに対して独立して生成される。次いで、この信号は遅延線402によって遅延され、図4Bに示されるように、オートチューナ102によって供給される自己コマンドに従って各マルチプレクサ403の入力を設定することによって、すべての共振タンクのZCS動作のための正確なオン時間を実現する。このシーケンサモジュール103には、シーケンスを完全完了することを可能にし、共振タンクが異なる駆動シーケンスで動作する場合において信号の重複を回避するために、保護ロジックおよび他のゲート関連機能も組み込まれている。シーケンサブロック103の時間分解能は、マルチプレクサ403によって引き起こされる追加の遅延と共に使用されるバッファセルの伝搬遅延と同一である。全ての駆動信号の時間分解能の整合は、全ての遅延線を互いに近接して配置することによって達成される。そうすることにより、温度または製造上の欠陥によって生じるあらゆる変動が排除される。
【0044】
サンプリングブロック104
コントローラ内で生成されたゲーティング信号とトランジスタの実際の導通との間の固有の遅延は、すべてのスイッチモードアプリケーションにおいて非常に共通している。この遅延はコントローラの観点からは一般に不明であり、動作点または使用される受動部品、駆動回路および電力トランジスタの関数として著しく変化し得る。トランジスタのターンオフ時の共振電流の極性に関する情報は、トランジスタの早期または遅延スイッチングのインディケータであり、スイッチングイベントに近接するときのみ有効である。ZCDセンサのサンプリングは、正確なステータス情報すなわち早期または遅延スイッチングが得られるように、この固有の遅延を補償するか、または少なくとも考慮することができなければならない。
【0045】
この例においては、上述の遅延を考慮しながらZCDセンサから情報を取得するために、2つの完全に合成可能なアプローチが実現されている。第1のアプローチは図5に示すように、コントローラによるターンオフコマンドから適用されたデッドタイム期間の終了までの内部クロックの周波数におけるZCDセンサの連続サンプリングに基づいている。ここで、ZCDセンサは各クロックサイクルの開始時にサンプリングされ、取得された結果は状態マシンアルゴリズムに従って処理され、コンバータのスイッチング状態を取得する。デッドタイム期間が終了すると、サンプリングブロック104はオートチューナ102に対して、さらなる処理およびチューニング動作のための有効な読取値を提供する。
【0046】
第2のアプローチは、サンプリングプロセスの間における計算負荷がより少なく、その上でスイッチング動作に対してより接近したサンプリングを可能にし、これにより、トランジスタの遅延または早期スイッチングに起因する電荷損失をさらに最小化する。これは、単一の遅延素子の分解能でサンプリングシグナルを生成する遅延ラインベースの構成に加えて、図6においてΔとして示される、スタートアップ時の固有の遅延を正確に推定する遅延推定ロジックを組み込むことによって、実行される。いったんZCDセンサがサンプリングされると、サンプリングブロック104は、さらなる処理およびチューニング動作のために、取得された読取値をオートチューナ102に対して提供する。
【0047】
電荷移動速度分析
図7に示すように、通常の2:1のRSCCについて、負荷への電荷移動速度を数学的に導出することができる。遅延スイッチング動作の場合についての共振電流を図8に示すが、早期スイッチングの場合についても変更を加えずに同様の解析が適用される。
【0048】
コンバータの共振特性は、その受動部品の値から得られ、次のように表すことができる:
【0049】
【数1】
【0050】
各スイッチング状態間の短いデッドタイム期間(図8のDT)を含めて、スイッチング周期は次式で求められる:
【0051】
【数2】
【0052】
【数3】
【0053】
αはスイッチング動作モードを表す。Α<1の場合、コンバータは早期スイッチングで動作し、遅延スイッチングはα>1の場合において生じる。ZCS動作は、α=1のときに得られる。
【0054】
出力DC電流は、各スイッチングフェーズ中の平均共振電流に等しいので、次式が成り立つ:
【0055】
【数4】
【0056】
(4)を積分することにより、共振電流のピーク値を抽出することができ、次式のように表される:
【0057】
【数5】
【0058】
スイッチング期間の半分の間において負荷に対して転送される電荷は、以下のように(3)を積分することによって導出される:
【0059】
【数6】
【0060】
負荷に対して転送される最大電荷をもたらすαの値は、αに関して(6)の導関数をとり、その結果をゼロに等しくすることによって得られる。得られた方程式を解くと、α=1の場合に最大電荷が負荷に対して転送され、これはZCSの場合と相関する。
【0061】
図9は、所与の値のピーク共振電流に対するコンバータスイッチング状態の関数として、負荷に対して伝達される電荷の関係を示す。同じ解析は多段RSCCにも適用され、この場合、すべての共振タンクについてZCS動作が得られれば、負荷への最大電荷移動速度が生じる。
【0062】
4:1 STC制御とシミュレーション例
上述のように、各共振タンクについてのオン時間は、ターンオフ時の共振電流の極性に基づいてZCS動作を達成するために、オートチューナ102によって修正される。コントローラの動作は、図10Aおよび図10Bに示すように、完全なZCS動作を実現するために個別に調整された2つの共振器(この例では、Cr1;Lr1 とCr2;Lr2)を備える4:1スイッチドタンクコンバータ(STC)について実証されている。
【0063】
STCの動作はそれぞれ、図10Aおよび図10Bに示すように、共振器の充電または放電という2つの状態に分けられ、それらの間に短いデッドタイム期間を有する。フライングキャパシタC図10の中間要素)は、それぞれのアクティブサブ回路において異なった共振器に接続され、その結果、入力から出力への電荷移動が生じる。システム内のすべてのキャパシタについてソフト充電が達成され、コントローラによって指示された正しいタイミングを可能にするために、すべてのスイッチのソフトスイッチングを実現することができる。図10に示す4:1変換比STCの場合、Vsw1とVsw2における電圧は、ターンオフ時の電流極性に対する直接的な指標となる。早期スイッチングにおいて、共振電流はVsw1またはVsw2に向かって流れ(図10Aに示す)、電圧はVout+Vにクランプされる(VFはトランジスタのボディダイオードの順方向電圧である)。同じことは、電流がVsw1またはVsw2(図10Bに示す)から流れている遅延スイッチングの場合にも当てはまる。ここで、電圧は-VFに等しくなる。したがって、コントローラへのZCD入力は、Vsw1またはVsw2から得られる。
【0064】
図11は2コンパレータベースのZCDセンサを示しており、これは、スイッチングノード電圧の2ビット表現を生成する。2つの基準電圧が出力電圧(図11のVth1およびVth2)の関数として生成され、それぞれ上側および下側コンパレータの負入力に対して供給される。この構成は、温度コーダとして機能する。ZCDセンサは、遅延スイッチング(2’b00)、早期スイッチング(2’b11)またはZCS動作(2’b01)を示す2ビットの結果を生成し、これは、図1に示すオートチューナモジュール102への入力である。
【0065】
ZCDセンサの抵抗(R、R、R)は、次のように選択される:
【0066】
【数7】
【0067】
とRは検出されたスイッチングノードのゲインを決定し、RA、RB 、RC はリファレンスウィンドウを決定する。ZCDセンサは出力電圧を追跡し、基準電圧を生成し、これにより、始動時のスイッチング状態(すなわち、早期スイッチングまたは遅延スイッチング)にかかわらず、ZCSへの収束が保証されるようにする。コントローラは、トランジスタのターンオフ後にZCDセンサの状態を観察し、各タンクのオン時間はこれにしたがって補償器201(図2に示す)によって修正される。
【0068】
コントローラ動作の検証は、PSIM(PowerSim,Inc.Rockville,MD,米国)が実施した一組のシミュレーションにより、48V-12V STCコンバータ上で実施した;受動部品の公称値のパラメータは以下である:Cr1=2.35μF,Lr1=70nH,Cr2=2.1μF,Lr2=63nH,RL=0.26Ω。ロックイン同調プロセスの結果は図12A~12Eに示され、両共振器のオフ同調開始点からの同調条件への収束を実証している。図12c、図12d、および図12eは、それぞれ、図12aのC、D、およびEとマークされた領域のズームインである。出力電圧は無負荷ターゲット電圧である約12Vまで増加し、最適電荷移動の文脈において、コントローラがそのタスクを十分に果たすことが分かる。
【0069】
ピンカウントが重要な資産であり、多数の動作モードへのアクセスを提供することが要求される複雑なコントローラICにおいては、シングルピンセットアップが不可欠である。このことは、入力端子に対して印加される電圧レベルに応じて、プログラミング、モード選択、または値の設定が実施されることを意味する。このアプローチにおいて利用できるレベルの量は、入力において許容される電圧範囲、検出ユニットの分解能と精度に依拠する。本研究においては、図13に概略的に示すように、シグマ-デルタ(SD)変調器(アナログ-デジタルコンバータに見られるように、アナログ信号をデジタル信号に符号化するための方法に従って)およびデジタル論理回路によって、シングルピン構成を容易にする。
【0070】
SD変調器は、複雑さおよび有効シリコン面積を低減するために、単純化されたハードウェアで実現されている。これは性能または変換速度をわずかに劣化させる可能性がある。しかしこのADCの目的は、スタティックまたは準スタティックの電圧レベルを取得することであるので、本手法は十分に適合する。
【0071】
図13は、ハイロジックレベル(電源)としてVopを有するデジタルインバータ120によって実現される変調器フロントエンドを示す。積分器は、クロック周波数よりも少なくとも1桁低いコーナー周波数を有する単純なRCネットワーク(R1;C1)によって実現される。量子化器は、別のデジタルインバータ121によって実現される。その結果はDフリップフロップ122によって保持され、クロック化されたビットストリームを容易にし、ADCのオーバーサンプリング周波数を生成する。得られたSDベースのADCはハードウェア効率の良い電圧レベルトランスレータであり、ノードでの平均電圧So(t)は次のように表すことができる:
【0072】
【数8】
【0073】
Vrefは変調プロセスの基準値(インバータベースのコンパレータの閾値電圧)であり、CNTRnは2nクロックサイクルのビットストリームにおいて論理ハイが発生する回数である。インバータベースのコンパレータの入力における電圧So(t)を、結果として得られるビットストリームおよびオーバサンプリングクロックとともに図13Bに示す。
【0074】
ビットストリームは計算論理への入力であり、計算論理は、sincLPFとして動作する専用カウンタを用いて「1」の量(CNTRnに等しい)をカウントし、所定の間隔でリセットしてデシメーションを実行する。この例において、フロントエンドインバータに対して印加される電圧が1024クロックサイクル毎にデジタル表現に変換され、その結果、コントローラの所望の動作モードの10ビット表現が得られる。
【0075】
コントローラのゲーティング信号と電力トランジスタの実際のターンオフとの間の固有遅延の推定は、受動部品の変動を考慮するために、スタートアップ時およびNest回のSTCスイッチングサイクル毎に実行される(Nestは、図1のコントローラの構成可能な入力OPによって設定される)。遅延推定手順の開始時に、事前に定義されたスイッチング周波数が両方のタンクに対して適用され、これにより早期スイッチング動作が確保される。その結果、図14に示すように、スイッチングノードにおける電圧Vsw1およびVsw2は、充電フェーズの最後に電源ステージトランジスタがオフになるとVout+Vとなるようにクランプされる。固有遅延を推定するために、ZCDセンサのサンプリングは、図14B~14Dに示すように、ZCDセンサからの初期スイッチング読取値が取得される(2’b11)まで、異なる場所のスイッチングサイクル(図14のΔx)ごとに1回実施される。固有遅延Δsは、コントローラゲーティング信号と、センサから有効な読取値を取得するサンプリングコマンドとの間の最小遅延であると推定される。実際的な理由のために、追加の小さな調整可能な遅延が、測定されたΔsに対して追加される。
【0076】
RSCC用のデジタル制御器ICを設計し、0.18μm 5Vプロセスで作製した。ICレイアウトは4mmでパッド制限された全ダイ面積を持ち、一方、使用される有効シリコンは0.64mmであった。
【0077】
コントローラICの動作は製造前に、Cadence Virtuosoを用いてレイアウト後シミュレーションで検証されており、ICは0.3Ωの抵抗負荷に給電する48V入力電圧を有する4:1 STCコンバータに対して接続されている。パワーステージだけでなく、すべての周辺回路(ZCD センサ、シグマデルタ変調器など)も、実験装置で使用されるコンポーネントに基づいてシミュレーションに追加された。図15に示すように、遅延スイッチング開ループ動作から閉ループZCS動作への遷移がシミュレートされ、検証される。図15Bの拡大図は、遅延スイッチングの場合、スイッチングノードの電位Vsw2が、IVで説明したようにクランプされ、ターンオフ時の共振電流の極性を正確に示すことを示している。図15Cの拡大図は、閉ループ動作が有効にされると、ZCSが数サイクル以内に達成されることを示す。コントローラICの平均消費電力もまた、レイアウト後のシミュレーションから抽出され、これは250μWであり、コントローラが有効でないときに引き出される電流は無視できる。
【0078】
コントローラICの動作を実証し、本研究で開発した主制御ユニットの能力をさらに調査するために、650W 4:1 STCのフルスケールハードウェアプロトタイプと、コントローラ動作に必要なすべての周辺機器を設計し、構築し、試験した。実験用STCハードウェアは、14層PCB上に設計され、650Wと評価されている。4:1パワーステージの有効基板面積は5cm×2cmである。共振器は、等しい共振周波数および以下の成分値で対称的に設計された:Cr1=2.35μF,Lr1=70nH,Cr2=2.35μF,Lr2=70nH。
【0079】
図16は、対称的に設計された4:1 STCにおけるコントローラのロックイン能力を示す。ここで、コンバータの入力電圧は、電流プローブの制限により24Vである。コントローラが有効になると、出力電圧が上昇する。これは、両方の共振器のZCSに到達することによって達成される、増加した電荷移動レートを直接的に示す。図16B~16Cは、遅延スイッチング(図16B)およびZCS(図16C)中における共振電流およびスイッチングノードの電圧のズームインである。図からわかるように、スイッチングノードの電圧のクランプは、コンバータがZCSで動作しない場合にのみ発生する。この実験におけるイネーブルコマンドは、他のすべての場合と同様に、コントローラに対してランダムに与えられ、イネーブルコマンド前のスイッチング周波数は任意に選択され、正確なZCS動作に収束するコントローラの能力に対して影響を与えない。
【0080】
図17A~17Cは、共振タンク成分値間の意図的な不整合を有するシステムの閉ループ動作のための実験波形を示す(Cr1=2.62μF,Lr1=70nH,Cr2=2.35μF,Lr2=50nH)。図17Aは、両共振タンクの開ループ早期スイッチング動作からZCSへの円滑な移行を示す。スイッチングノードと同様に共振電流の拡大図を図17B~17Cに示す。図から分かるように、各共振タンクのオン時間は、その共振特性に従って個別に設定される。さらに、スイッチングノードの電圧のVout+VFへのクランプは、いったんZCSが達成されると除去される。
【0081】
図18は、コントローラの動作によって得られたチューニングされた条件下での負荷の関数としての効率曲線を示す。コンバータの入力電圧は48Vである。
【0082】
上記の実施例および説明はもちろん、例示の目的のためにのみ提供されており、いかなる方法においても本発明を限定することを意図していない。当業者には理解されるように、本発明は、本発明の範囲を超えることなく、上記の技術からの2つ以上の技術を用いて、多種多様な方法で実施することができる。
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【国際調査報告】