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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】二次電池電極のための組成物
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20221003BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221003BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20221003BHJP
   H01M 4/1391 20100101ALI20221003BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20221003BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20221003BHJP
   C08L 27/16 20060101ALI20221003BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/1391
H01M4/131
H01M4/13
C08L27/16
C08K3/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506966
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 EP2020071803
(87)【国際公開番号】W WO2021023707
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】19190460.6
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アブスレメ, ジュリオ ア.
(72)【発明者】
【氏名】オリアーニ, アンドレーア ヴィットーリオ
(72)【発明者】
【氏名】ペーニャ カブレラ, ロシータ リセッテ
【テーマコード(参考)】
4J002
5H050
【Fターム(参考)】
4J002BD141
4J002DE096
4J002FD206
4J002GF00
4J002GQ00
4J002GT00
4J002HA08
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA02
5H050DA11
5H050EA24
5H050GA02
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA02
(57)【要約】
本発明は、電極形成組成物、電極の製造の方法における前記電極形成組成物の使用、前記電極及び前記電極を含む二次電池などの電気化学デバイスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極形成組成物(C)であって、
(a)少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)]であって、
(i)フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル基含有ビニルモノマー(HA)に由来する繰り返し単位;
(iii)少なくとも1つのカルボキシル基含有ビニルモノマー(CA)に由来する繰り返し単位
を含み;
前記ポリマー(A)中における、モノマー(HA)に由来する繰り返し単位及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の総量は、ポリマー(A)の繰り返し単位の総モルに対して最大で10.0モル%、好ましくは最大で5.0モル%、より好ましくは最大で1.5モル%であり;
モノマー(HA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合は、前記ポリマー(A)中にランダムに分布されている、少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)];
(b)少なくとも1つの電気活性材料(AM);
(c)少なくとも1つの溶媒(S)
を含む電極形成組成物(C)。
【請求項2】
前記ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(HA)は、式(I):
【化1】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びROHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含み、且つ鎖中において、1つ以上の酸素原子、カルボニル基又はカルボキシ基を場合により含有するC~C10炭化水素鎖部分である)
の化合物である、請求項1に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項3】
モノマー(HA)は、式(Ia):
【化2】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びR’OHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC~C炭化水素部分である)
の化合物である、請求項2に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項4】
式(Ia)のモノマー(HA)は、
- ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、
- 2-ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、
- ヒドロキシエチルヘキシル(メタ)アクリレート、及び
それらの混合物
からなる群から選択される、請求項3に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項5】
前記カルボキシル基含有ビニルモノマー(CA)は、式(II):
【化3】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びRは、少なくとも1つのカルボキシル基を含むC~C10炭化水素鎖部分である)
の化合物である、請求項1に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項6】
モノマー(CA)は、式(IIa):
【化4】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びR’は、水素又は少なくとも1つのカルボキシル基を含むC~C炭化水素部分である)
の化合物である、請求項5に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項7】
式(IIa)のモノマー(CA)は、アクリル酸(AA)、(メタ)アクリル酸及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項8】
ポリマー(A)中のモノマー(HA)とモノマー(CA)との間のモル比は、好ましくは、20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは1:2~2:1の範囲に含まれ、更により好ましくは、前記モル比は、1:1である、請求項1~7のいずれか一項に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項9】
VDFと異なる1つ以上のフッ素化コモノマー(CF)に由来する繰り返し単位を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項10】
- 0.5重量%~10重量%、好ましくは0.7重量%~5重量%のポリマー(A);
- 80重量%~99重量%の少なくとも1つの電気活性材料(AM)
を含み、全ての百分率は、組成物(C)の総固形分に対する重量百分率である、請求項1~9のいずれか一項に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項11】
少なくとも1つの酸供与体を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項12】
正極形成組成物であり、前記少なくとも1つの電気活性材料(AM)は、一般式(III)
LiNiM1M2 (III)
(式中、M1及びM2は、互いに同じであるか又は異なり、且つCo、Fe、Mn、Cr及びVから選択される遷移金属であり、0.5≦x≦1であり、ここで、y+z=1-xであり、及びYは、好ましくは、O及びSから選択されるカルコゲンを意味する)
のリチウム含有複合金属酸化物から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の電極形成組成物(C)。
【請求項13】
電極の製造の方法であって、
(i)少なくとも1つの表面を有する金属基材を提供する工程;
(ii)請求項1~12のいずれか一項に記載の電極形成組成物(C)を提供する工程;
(iii)工程(ii)において提供された前記組成物(C)を、工程(i)において提供された前記金属基材の前記少なくとも1つの表面上に塗布し、それにより前記少なくとも1つの表面上への前記組成物(C)でコーティングされた金属基材を含む組立体を提供する工程;
(iv)工程(iii)において提供された前記組立体を乾燥させる工程
を含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法によって得ることができる電極であって、
- 金属基材と、
- 前記金属基材の少なくとも1つの表面上に直接接着された少なくとも1つの層であって、
(a)少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)]であって、
(i)フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル基含有ビニルモノマー(HA)に由来する繰り返し単位;
(iii)少なくとも1つのカルボキシル基含有ビニルモノマー(CA)に由来する繰り返し単位
を含み;
前記ポリマー(A)中における、モノマー(HA)に由来する繰り返し単位及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の総量は、ポリマー(A)の繰り返し単位の総モルに対して最大で10.0モル%、好ましくは最大で5.0モル%、より好ましくは最大で1.5モル%であり;
モノマー(HA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合は、前記ポリマー(A)中にランダムに分布されている、少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)];及び
(b)少なくとも1つの電気活性材料(AM)
を含む組成物からなる少なくとも1つの層と
を含む電極。
【請求項15】
請求項14に記載の少なくとも1つの電極を含む電気化学デバイス。
【請求項16】
正極及び負極を含む二次電池であり、前記正極及び前記負極の少なくとも1つは、請求項14に記載の電極である、請求項15に記載の電気化学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月に出願された欧州特許出願公開第19190460.6号に対する優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、電極形成組成物、電極の製造の方法における前記電極形成組成物の使用、前記電極及び前記電極を含む二次電池などの電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池などの電気化学デバイスは、典型的には、正極、負極、セパレータ及び電解質を含む。
【0004】
二次電池のための電極は、通常、電極形成組成物を、「電流コレクタ」としても知れられる金属基材上に塗布することによって製造される。電極形成組成物は、典型的には、バインダーを、粉末状の電気活性化合物及び任意選択的に溶媒、導電性を高め、且つ/又は粘度を制御するための材料などの他の原料と混合することによって形成される。バインダーは、電流コレクタ及び電気活性化合物への良好な接着性を確保し、こうして必要に応じて電気活性材料が電子を移動させることを可能にしなければならないため、電極の重要な構成要素である。現在の市販の電池は、典型的には、黒鉛をアノードにおける電気活性化合物として使用し、ニッケル及びリチウムを含有する混合酸化物をカソードにおける電気活性化合物として使用している。電極形成組成物は、典型的には、電流コレクタ上に塗布され、乾燥させる。得られたシートは、通常、カレンダー加工されるか又はさもなければ機械的に処理され、圧延される。個々の電極は、次いで、このシートから切り取られる。
【0005】
フルオロポリマーは、二次電池などの電気化学デバイスで使用するための電極の製造のためのバインダーとして好適であることが当技術分野において公知である。
【0006】
関連する技術分野において、フッ化ビニリデンポリマー(PVDF)は、非水性電解質二次電池の電極バインダーとして使用されている。一般に、PVDFホモポリマーは、金属に対する不十分な接着性を有する。この問題に対処するために、いくつかの解決策が提案されている。例として、国際公開第2008/129041号パンフレットにおいて、(メタ)アクリルモノマーに由来するある種の繰り返し単位を含めると、PVDFポリマーの金属への接着性を改善することが実証されている。
【0007】
それにもかかわらず、更により良好な接着性を有するバインダーが依然として必要とされている。
【0008】
PVDF分子量を増加させると、特に金属への接着性の観点から、前記ポリマーを含むバインダーの性能を高めることが知られている。
【0009】
しかしながら、フッ化ビニリデンポリマーの分子量の増加は、極性溶媒への溶解のためのより長い時間及び前記溶液の粘度の増加につながり、これらは、それを含む電極形成組成物のコーティング適用性を制限し得る。
【0010】
電極バインダーに含まれるペンダント官能基を含むフッ素化コポリマーの分子量は、熱架橋によって増加させることができる。
【0011】
特開平07201315A号公報は、ヒドロキシル基を有するポリフッ化ビニリデンを、イソシアネート基を有するポリマーと熱架橋させることによって得られた電極バインダーが電極バインダーとして使用されることを開示している。
【0012】
米国特許出願公開第2018/0248193号明細書は、カルボキシル基を含む少なくとも1つの側鎖を含むフッ素系ポリマーを使用することより調製された電極を熱処理にかけて、架橋構造を形成することにより、電極中の金属及び活物質へのフッ素系ポリマーの接着性を改善する方法を開示している。好ましい実施形態において、電極は、ヒドロキシル基を含む側鎖を有する第2フッ素系ポリマーを更に含む電極混合物を使用することによって調製される。
【0013】
当技術分野において、傑出した容量値及び金属基材への良好な接着性を示す電気化学デバイスの製造を有利に可能にする正極及び負極の両方が依然として必要とされている。
【0014】
本発明は、ヒドロキシル基を含むある種の側鎖及びカルボキシル基を含むある種の側鎖を含むフッ化ビニリデンポリマーを含み、且つ正極及び負極の両方で使用された場合に驚くべき接着性能を示し得る、新しい電極形成組成物を提供することにより、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、電極形成組成物(C)であって、
(a)少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)]であって、
(i)フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル基含有ビニルモノマー(HA)に由来する繰り返し単位;
(iii)少なくとも1つのカルボキシル基含有ビニルモノマー(CA)に由来する繰り返し単位
を含み;
前記ポリマー(A)中における、モノマー(HA)に由来する繰り返し単位及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の総量は、ポリマー(A)の繰り返し単位の総モルに対して最大で10.0モル%、好ましくは最大で5.0モル%、より好ましくは最大で1.5モル%であり;
モノマー(HA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合は、前記ポリマー(A)中にランダムに分布されている、少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)];
(b)少なくとも1つの電気活性材料(AM);
(c)少なくとも1つの溶媒(S)
を含む電極形成組成物(C)に関する。
【0016】
架橋を受けることができるある種のモノマーをフッ化ビニリデン骨格中に組み入れると、電極形成組成物におけるバインダーとして好適に使用することができる架橋性フッ化ビニリデンコポリマーを提供することが見出された。前記架橋性フッ化ビニリデンコポリマーは、電極形成組成物が電極調製方法において電流コレクタ上にキャストされると直ちに熱架橋され、こうして特に金属への接着の観点から改善された性能を有する電極を提供することができる。
【0017】
更なる態様において、本発明は、上に記載されたような電極形成組成物(C)を使用する電極の製造の方法であって、
(i)少なくとも1つの表面を有する金属基材を提供する工程;
(ii)上で定義されたような電極形成組成物(C)を提供する工程;
(iii)工程(ii)において提供された組成物(C)を、工程(i)において提供された金属基材の少なくとも1つの表面上に塗布し、それによって少なくとも1つの表面上への前記組成物(C)でコーティングされた金属基材を含む組立体を提供する工程;
(iv)工程(iii)において提供された組立体を乾燥させる工程
を含む方法に関する。
【0018】
工程(iv)における乾燥は、5分~48時間、好ましくは30分~24時間に含まれる時間にわたり、50℃~200℃、好ましくは80℃~180℃に含まれる温度で好ましくは実施される。
【0019】
更なる態様において、本発明は、そのような方法から得ることができる電極に関する。
【0020】
更なる態様において、本発明は、前記電極を含む電気化学デバイスに関する。
【0021】
本発明の電極形成組成物(C)は、電気化学デバイスのための正極の製造に特に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
用語「フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位」(一般に二フッ化ビニリデン、1,1-ジフルオロエチレン、VDFとしても示される)とは、式CF=CHの繰り返し単位を意味することを意図する。
【0023】
好適なヒドロキシル基含有ビニルモノマー(HA)は、式(I):
【化1】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びROHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含み、且つ鎖中において、1つ以上の酸素原子、カルボニル基又はカルボキシ基を場合により含有するC~C10炭化水素鎖部分である)
の化合物である。
【0024】
好ましい実施形態において、モノマー(HA)は、式(Ia):
【化2】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びR’OHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC~C炭化水素部分である)
の化合物である。
【0025】
式(Ia)のモノマー(HA)の非限定的な例としては、とりわけ、
- ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、
- 2-ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、
- ヒドロキシエチルヘキシル(メタ)アクリレート、及び
それらの混合物
が挙げられる。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つのモノマー(HA)は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)である。
【0027】
好適なカルボキシル基含有ビニルモノマー(CA)は、式(II):
【化3】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びRは、少なくとも1つのカルボキシル基を含むC~C10炭化水素鎖部分である)
の化合物である。
【0028】
好ましい実施形態において、モノマー(CA)は、式(IIa):
【化4】
(式中、互いに等しいか又は異なるR、R及びRは、水素原子及びC~C炭化水素基から独立して選択され、及びR’は、水素又は少なくとも1つのカルボキシル基を含むC~C炭化水素部分である)
の化合物である。
【0029】
式(IIa)のモノマー(CA)の非限定的な例としては、とりわけ、
- アクリル酸(AA)、及び
- (メタ)アクリル酸、並びに
それらの混合物
が挙げられる。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つのモノマー(CA)は、アクリル酸(AA)である。
【0031】
ポリマー(A)中の繰り返し単位(ii)と繰り返し単位(iii)との間のモル比は、好ましくは、20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは1:2~2:1の範囲に含まれ;更により好ましくは、モル比は、1:1である。
【0032】
ポリマー(A)において、モノマー(HA)の少なくとも40%の割合及びモノマー(CA)の少なくとも40%の割合はが、前記ポリマー(A)中にランダムに分布されていることが不可欠である。
【0033】
表現「ランダムに分布したモノマー(HA)の割合」は、以下の式:
【数1】
に従い、(HA)モノマー配列(前記配列は、VDFモノマーに由来する2つの繰り返し単位間に含まれている)の平均数(%)と、(MA)モノマー繰り返し単位の総平均数(%)との間のパーセント比を意味することを意図する。
【0034】
(HA)繰り返し単位のそれぞれが孤立している場合、すなわちVDFモノマーの2つの繰り返し単位間に含まれている場合、(HA)配列の平均数は、(HA)繰り返し単位の平均総数に等しく、そのため、ランダムに分布した単位(HA)の割合は、100%であり、この値は、(HA)繰り返し単位の完全にランダムな分布に対応する。
【0035】
従って、上記のように、(HA)単位の総数に対して孤立した(HA)単位の数が大きいほど、ランダムに分布した単位(HA)の割合の百分率値が高くなるであろう。
【0036】
表現「ランダムに分布したモノマー(CA)の割合」は、以下の式:
【数2】
に従い、(CA)モノマー配列(前記配列は、VDFモノマーに由来する2つの繰り返し単位間に含まれている)の平均数(%)と、(CA)モノマー繰り返し単位の総平均数(%)との間のパーセント比を意味することを意図する。
【0037】
(CA)繰り返し単位のそれぞれが孤立している場合、すなわちVDFモノマーの2つの繰り返し単位間に含まれている場合、(CA)配列の平均数は、(CA)繰り返し単位の平均総数に等しく、そのため、ランダムに分布した単位(HA)の割合は、100%であり、この値は、(CA)繰り返し単位の完全にランダムな分布に対応する。従って、上記のように、(CA)単位の総数に対して孤立した(CA)単位の数が大きいほど、ランダムに分布した単位(CA)の割合の百分率値が高くなるであろう。
【0038】
ポリマー(A)中の(HA)モノマー繰り返し単位及び(CA)モノマー繰り返し単位の総平均数の決定は、任意の好適な方法によって行うことができ、NMRが好ましい。
【0039】
ランダムに分布した単位(HA)及び(CA)の割合は、好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%である。
【0040】
ポリマー(A)は、好ましくは、少なくとも0.01モル%、より好ましくは少なくとも0.05モル%の、前記モノマー(HA)に由来する繰り返し単位を含む。
【0041】
ポリマー(A)は、好ましくは、最大で5.0モル%、より好ましくは最大で3.0モル%、更よりに好ましくは最大で1.5モル%の、モノマー(HA)に由来する繰り返し単位を含む。
【0042】
ポリマー(A)は、好ましくは、少なくとも0.1モル%、より好ましくは少なくとも0.2モル%の、前記モノマー(CA)に由来する繰り返し単位を含む。
【0043】
ポリマー(A)は、好ましくは、最大で7.0モル%、より好ましくは最大で5.0モル%、更により好ましくは最大で3.0モル%の、モノマー(CA)に由来する繰り返し単位を含む。
【0044】
優れた結果は、少なくとも70モル%のVDFに由来する繰り返し単位を含むポリマー(A)を使用して得られている。
【0045】
ポリマー(A)は、エラストマー又は半結晶性ポリマーであり得、好ましくは半結晶性ポリマーである。
【0046】
本明細書で用いる場合、用語「半結晶性」は、DSC分析において、ガラス転移温度Tgに加えて、少なくとも1つの結晶融点を有するフルオロポリマーを意味する。本発明の目的のために、半結晶性フルオロポリマーは、有利には、少なくとも0.4J/g、好ましくは少なくとも0.5J/gの、より好ましくは少なくとも1J/gのASTM D 3418に従って測定される融解熱を有するフルオロポリマーを意味することを本明細書では意図する。
【0047】
本発明の目的のために、用語「エラストマー」は、真のエラストマー又は真のエラストマーを得るための基礎構成成分として役立つポリマー樹脂を示すことを意図する。
【0048】
真のエラストマーは、ASTM,Special Technical Bulletin、第184標準により、室温でそれらの固有長さの2倍に伸長でき、それらを5分間張力下に保持した後に解放すると、同時にそれらの初期長さの10%以内に戻る材料として定義されている。
【0049】
好ましくは、25℃においてジメチルホルムアミド中で測定されるポリマー(A)の固有粘度は、0.05l/g~0.60l/g、より好ましくは0.15l/g~0.50l/g、更により好ましくは0.20l/g~0.45l/gに含まれる。
【0050】
本発明のポリマー(A)は、通常、120℃~200℃の範囲に含まれる融解温度(Tm)を有する。
【0051】
融解温度は、示差走査熱量測定(以下ではDSCとも呼ばれる)によって得られたDSC曲線から決定され得る。DSC曲線が複数の融解ピーク(吸熱ピーク)を示す場合、融解温度(Tm)は、最大のピーク面積を有するピークに基づいて決定される。
【0052】
ポリマー(A)は、VDFと異なる1つ以上のフッ素化コモノマー(CF)に由来する繰り返し単位を更に含み得る。
【0053】
用語「フッ素化コモノマー(CF)」とは、少なくとも1つのフッ素原子を含むエチレン性不飽和コモノマーを意味することを本明細書では意図する。
【0054】
好適なフッ素化コモノマー(CF)の非限定的な例としては、とりわけ、
(a)C~Cフルオロ及び/又はパーフルオロオレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペンタフルオロプロピレン及びヘキサフルオロイソブチレンなど;
(b)C~C含水素モノフルオロオレフィン、例えばフッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン及びトリフルオロエチレンなど;
(c)式CH=CH-Rf0(式中、Rf0は、C~Cパーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレン;
(d)クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C~Cフルオロオレフィン、例えばクロロトリフルオロエチレン(CTFE)など
が挙げられる。
【0055】
本発明の一実施形態において、ポリマー(A)は、0.1モル%~10.0モル%、好ましくは0.3モル%~5.0モル%、より好ましくは0.5モル%~3.0モル%の、前記フッ素化コモノマー(CF)に由来する繰り返し単位を含む。
【0056】
鎖末端、欠陥又は他の不純物タイプの部分は、ポリマーの特性を損なうことなくポリマー(A)中に含まれ得ることが理解される。
【0057】
ポリマー(A)は、より好ましくは、
- 少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも75モル%、より好ましくは少なくとも85モル%のフッ化ビニリデン(VDF)、
- 0.01モル%~3.0モル%、好ましくは0.05モル%~1.5モル%、より好ましくは0.08モル%~1.0モル%の少なくとも1つのヒドロキシル基含有モノマー(HA);
- 0.05モル%~3.0モル%、好ましくは0.1モル%~1.5モル%、より好ましくは0.15モル%~1.0モル%の、少なくとも1つのカルボキシル基含有ビニルモノマー(CA)
に由来する繰り返し単位;
- 任意選択的に、0.5モル%~3.0モル%の、少なくとも1つのフッ素化コモノマー(CF)に由来する繰り返し単位
を含む。
【0058】
ポリマー(A)の調製手順は、反応容器において、フッ化ビニリデン(VDF)モノマー、モノマー(HA)及びモノマー(CA)並びに任意選択的にコモノマー(CF)をラジカル開始剤の存在下において水性媒体中で重合することを含み、前記方法は、
- モノマー(HA)及びモノマー(CA)を含む水溶液を連続的に供給する工程と;
- 前記反応容器中の圧力をフッ化ビニリデンの臨界圧力超に維持する工程と
を含む。
【0059】
全体重合実行中、圧力は、フッ化ビニリデンの臨界圧力超に維持される。一般に、圧力は、50バール超、好ましくは75バール超、更により好ましくは100バール超の値に維持される。
【0060】
一般に、重合は、5℃~130℃の範囲に含まれる温度で実施される。
【0061】
重合は、例えば、典型的には国際公開第2008129041号パンフレットに記載されている手順に従い、有機媒体中の懸濁液又は典型的には当技術分野(例えば、米国特許第4,016,345号明細書、米国特許第4,725,644号明細書及び米国特許第6,479,591号明細書を参照されたい)に記載されているように実施される、水性エマルションにおいてのいずれかで実施することができる。
【0062】
モノマー(HA)及びモノマー(CA)を含有する水溶液の連続供給が重合実行中に実施されることが不可欠である。
【0063】
従って、ポリマー(A)のVDFモノマーポリマー骨格内のモノマー(HA)及びモノマー(CA)の両方のほぼ統計的な分布を得ることが可能である。
【0064】
表現「連続的な供給」又は「連続的に供給」は、少なくとも、VDFモノマーの70モル%の転化率まで、モノマー(HA)及びモノマー(CA)の水溶液のゆっくりした、少量の、徐々に増加する添加が重合継続時間のほとんどの間行われることを意味する。
【0065】
重合中に連続的に供給されるモノマー(HA)及びモノマー(CA)の水溶液は、反応中に供給されるモノマー(HA)及びモノマー(CA)の総量(すなわち初期装入及び連続供給)の少なくとも50重量%となる。モノマー(HA)及びモノマー(CA)の総量の好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%が重合中に連続的に供給される。この要件が必須ではない場合でも、VDFモノマーの徐々に増加する添加は、重合中に達成することができる。
【0066】
一般に、本発明の方法は、少なくとも35℃、好ましくは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも45℃の温度で実施される。
【0067】
重合が懸濁液において実施される場合、ポリマー(A)は、典型的には、粉末の形態で提供される。
【0068】
ポリマー(A)を得るための重合がエマルションにおいて実施される場合、ポリマー(A)は、典型的には、水性分散液(D)の形態で提供され、分散液(D)は、乳化重合によって直接得られたままで又は濃縮工程後に使用され得る。好ましくは、分散液(D)中のポリマー(A)の固形分は、20重量%~50重量%に含まれる範囲である。
【0069】
乳化重合によって得られたポリマー(A)は、分散液の濃縮及び/又は凝固によって水性分散液(D)から単離することができ、その後の乾燥によって粉末形態で得ることができる。
【0070】
粉末の形態のポリマー(A)を任意選択的に更に押出して、ペレットの形態のポリマー(A)を提供し得る。
【0071】
押出は、押出機において好適に実施される。押出の継続時間は、好適には数秒~3分の範囲である。
【0072】
ポリマー(A)を任意の好適な有機溶媒に溶解させて、ポリマー(A)の溶液(Sol)を提供し得る。好ましくは、溶液(Sol)中のポリマー(A)の固形分は、2重量%~30重量%の範囲である。
【0073】
ポリマー(A)を溶解させるための好適な有機溶媒の非限定的な例は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスファミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、トリエチルホスフェート及びトリメチルホスフェート、脂肪族ケトン、脂環式ケトン、脂環式エステルである。これらの有機溶媒は、単独で又は2つ以上の化学種の混合物で使用され得る。
【0074】
本発明の電極形成組成物(C)は、1つ以上の電気活性材料(AM)を含む。本発明の目的のために、用語「電気活性材料」は、電気化学デバイスの充電段階及び放電段階中にアルカリ又はアルカリ土類金属イオンをその構造中に組み入れるか又は挿入し、且つそれから実質的に放出することができる化合物を意味することを意図する。電気活性材料は、好ましくは、リチウムイオンを組み入れるか又は挿入し、且つ放出することができる。
【0075】
本発明の電極形成組成物における電気活性材料の性質は、前記組成物が正極又は負極の製造に使用されるかどうかに依存する。
【0076】
リチウムイオン二次電池のための正極を形成する場合、電気活性化合物は、リチウム含有化合物を含み得る。
【0077】
1つの好ましい実施形態において、リチウム含有化合物は、式LiMQ(式中、Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr及びVなどの遷移金属から選択される少なくとも1つの金属であり、及びQは、O又はSなどのカルコゲンである)の金属カルコゲナイドであり得る。これらの中でも、式LiMO(式中、Mは、上で定義されたものと同じである)のリチウム系金属酸化物を使用することが好ましい。それらの好ましい例としては、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1-x(0<x<1)及びスピネル構造化LiMnが挙げられ得る。
【0078】
別の実施形態において、更に、リチウムイオン二次電池のための正極を形成する場合、電気活性化合物は、式M(JO1-f(式中、Mは、リチウムであり、それは、M金属の20%未満を表す別のアルカリ金属によって部分的に置換され得、Mは、Fe、Mn、Ni又はそれらの混合物から選択される、+2の酸化レベルでの遷移金属であり、それは、+1~+5の酸化レベルでの及びM金属の35%未満を表す1つ以上の追加の金属によって部分的に置換され得、JOは、JがP、S、V、Si、Nb、Mo又はそれらの組合せのいずれかである任意のオキシアニオンであり、Eは、フルオリド、ヒドロキシド又はクロリドアニオンであり、fは、一般に、0.75~1に含まれる、JOオキシアニオンのモル分率である)のリチウム化又は部分的にリチウム化された遷移金属オキシアニオン系電気活性材料を含み得る。
【0079】
上で定義されたようなM(JO1-f電気活性材料は、好ましくは、ホスフェート系であり、規則正しい又は改質されたかんらん石構造を有し得る。
【0080】
より好ましくは、正極を形成する場合の電気活性化合物は、式Li3-xM’M’’2-y(JO(式中、0≦x≦3であり、0≦y≦2であり、M’及びM’’は、同じ又は異なる金属であり、それらの少なくとも1つは、遷移金属であり、JOは、好ましくは、別のオキシアニオンで部分的に置換され得るPOであり、Jは、S、V、Si、Nb、Mo又はそれらの組合せのいずれかである)を有する。更により好ましくは、電気活性化合物は、式Li(FeMn1-x)PO(式中、0≦x≦1であり、ここで、xは、好ましくは、1である(すなわち式LiFePOの鉄リン酸リチウムである))のホスフェート系電気活性材料である。
【0081】
最も好ましい実施形態において、正極のための電気活性材料は、一般式(III)
LiNiM1M2 (III)
(式中、M1及びM2は、互いに同じであるか又は異なり、且つCo、Fe、Mn、Cr及びVから選択される遷移金属であり、0.5≦x≦1であり、ここで、y+z=1-xであり、及びYは、好ましくは、O及びSから選択されるカルコゲンを意味する)
のリチウム含有複合金属酸化物から選択される。
【0082】
この実施形態における電気活性材料は、好ましくは、YがOである式(III)の化合物である。更なる好ましい実施形態において、M1は、Mnであり、M2は、Coであるか又はM1は、Coであり、M2は、Alである。
【0083】
そのような活物質の例としては、LiNiMnCo(以下ではNMCと呼ばれる)及びLiNiCoAl(以下ではNCAと呼ばれる)が挙げられる。
【0084】
具体的には、LiNiMnCoに関して、マンガン、ニッケル及びコバルトの含量比を変えると、電池の電力及びエネルギー性能を調整することができる。
【0085】
本発明の特に好ましい実施形態において、化合物AMは、上で定義されたような式(III)(式中、0.5≦x≦1、0.1≦y≦0.5及び0≦z≦0.5である)の化合物である。
【0086】
式(III)の正極のための好適な電気活性材料の非限定的な例としては、とりわけ、
LiNi0.5Mn0.3Co0.2
LiNi0.6Mn0.2Co0.2
LiNi0.8Mn0.1Co0.1
LiNi0.8Co0.15Al0.05
LiNi0.8Co0.2
LiNi0.8Co0.15Al0.05
LiNi0.6Mn0.2Co0.2
LiNi0.8Mn0.1Co0.1
LiNi0.9Mn0.05Co0.05
が挙げられる。
【0087】
化合物:
LiNi0.8Co0.15Al0.05
LiNi0.6Mn0.2Co0.2
LiNi0.8Mn0.1Co0.1
LiNi0.9Mn0.05Co0.05
が特に好ましい。
【0088】
リチウムイオン二次電池のための負極を形成する場合、電気活性化合物は、好ましくは、1つ以上の炭素系材料及び/又は1つ以上のケイ素系材料を含み得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、炭素系材料は、天然若しくは人工黒鉛などの黒鉛、グラフェン又はカーボンブラックから選択され得る。これらの材料は、単独で又はそれらの2つ以上の混合物として使用され得る。炭素系材料は、好ましくは、黒鉛である。
【0090】
ケイ素系化合物は、クロロシラン、アルコキシシラン、アミノシラン、フルオロアルキルシラン、ケイ素、塩化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化ケイ素からなる群から選択される1つ以上であり得る。より特に、ケイ素系化合物は、酸化ケイ素又は炭化ケイ素であり得る。
【0091】
電気活性化合物中に存在する場合、ケイ素系化合物は、電気活性化合物の総重量に対して1重量%~60重量%、好ましくは5重量%~20重量%の範囲の量で含まれる。
【0092】
本発明の電極形成組成物は、少なくとも1つの溶媒(S)を含む。
【0093】
負極形成組成物のための溶媒は、水を含み得、且つ好ましくは水であり得る。これは、結果として生じるコストの削減、可撚物の低減及び環境影響の低減を伴って有機溶媒の全体的な使用の低減を可能にする。
【0094】
正極形成組成物中の溶媒は、1つ以上の有機溶媒、好ましくは極性溶媒を含み、その例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスファミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、トリエチルホスフェート及びトリメチルホスフェートが挙げられ得る。これらの有機溶媒は、単独で又は2つ以上の化学種の混合物で使用され得る。
【0095】
本発明の電極形成組成物(C)は、典型的には、0.5重量%~10重量%、好ましくは0.7重量%~5重量%のポリマー(A)を含む。組成物は、80重量%~99重量%の電気活性材料も含み、全ての百分率は、組成物(C)の全固形分で割った重量百分率である。
【0096】
用語「全固形分」とは、「溶媒を除いて本発明の電極形成組成物の原料の全て」を意図する。
【0097】
一般に、本発明の電極形成組成物中において、溶媒は、組成物(C)の総量の10重量%~90重量%の量で存在する。特に負極形成組成物について、溶媒は、好ましくは、組成物の総量の25重量%~75重量%、より好ましくは30重量%~60重量%の量で存在する。
【0098】
正極形成組成物について、溶媒は、好ましくは、組成物の総量の5重量%~60重量%、より好ましくは15重量%~40重量%の量で存在する。
【0099】
本発明の電極形成組成物は、本発明の組成物から製造される結果として生じる電極の導電性を改善するために、1つ以上の任意選択的な導電剤を更に含み得る。電池のための導電剤は、当技術分野において公知である。
【0100】
それらの例としては、カーボンブラック、黒鉛微粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン若しくは繊維などの炭素質材料又はニッケル若しくはアルミニウムなどの金属の微粉末若しくは繊維が挙げられ得る。任意選択的な導電剤は、好ましくは、カーボンブラックである。カーボンブラックは、例えば、ブランド名Super P(登録商標)又はKetjenblack(登録商標)で入手可能である。
【0101】
存在する場合、導電剤は、上記の炭素系材料と異なる。
【0102】
任意選択的な導電剤の量は、好ましくは、電極形成組成物中の総固形分に対して0重量%~30重量%である。特に、正極形成組成物について、任意選択的な導電剤は、典型的には、組成物(C)内の固形分の総量の0重量%~10重量%、より好ましくは0重量%~5重量%である。
【0103】
ケイ素系電気活性化合物を含まない負極形成組成物について、任意選択的な導電剤は、典型的には、組成物内の固形分の総量の0重量%~5重量%、より好ましくは0重量%~2重量%である一方、ケイ素系電気活性化合物を含む負極形成組成物について、より多い量の、典型的には組成物(C)内の固形分の総量の5重量%~20重量%の任意選択的な導電剤を導入することが有益であることが分かった。
【0104】
本発明の電極形成組成物は、電極調製方法において電極形成組成物が電流コレクタ上に塗布されると直ちに、架橋性フッ化ビニリデンコポリマーの熱架橋における酸性架橋触媒としての役割を好適に果たす少なくとも1つの酸供与体を更に含み得る。
【0105】
少なくとも1つの酸供与体には、例えば、ルイス酸、強鉱酸、例えば硫酸、リン酸、ポリリン酸、過塩素酸等;飽和脂肪族炭化水素スルホン酸及び芳香族炭化水素スルホン酸、例えばエタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、低級アルキル置換ベンゼンスルホン酸等が含まれる。
【0106】
ここでの好適なルイス酸は、カチオンが、好ましくは、ホウ素、アルミニウム、スズ、アンチモン及び鉄からなる群から選択される無機又は有機金属化合物である。
【0107】
言及されたルイス酸のうち、特に、金属ハロゲン化物ルイス酸、例えば三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素-ジプロピルエーテル錯体等が特に好ましく、塩化第一スズが特に好ましい。
【0108】
ルイス酸には、ルイス酸自体のみならず、ルイス酸の機能を付与する金属又は金属化合物、例えば酸化物及び硫化物も含まれ、三酸化アンチモン(Sb)、酸化亜鉛(ZnO)及び硫化亜鉛(ZnS)が好ましい。
【0109】
酸性架橋剤は、好ましくは、組成物(C)の総固形分に対して0.001重量%~2.0重量%に含まれる、より好ましくは0.005重量%~0.5重量%に含まれる量で組成物(C)中に含まれる。
【0110】
本発明の電極形成組成物は、少なくとも1つの水捕捉剤を更に含み得る。
【0111】
理論に制約されることなく、本発明者らは、少なくとも1つの水捕捉剤の存在が、架橋中に生成する水を捕捉し、且つ縮合反応を促進することにより、ヒドロキシル基を含むポリマー(A)の側鎖と、カルボキシル基を含むものとの間の架橋反応を促進し得ると考える。
【0112】
本発明の電極形成組成物で使用するための好適な水捕捉剤は、無水アルミノ-シリケート、特にゼオライトである。
【0113】
本発明の目的のために好適なゼオライトは、共通の酸素原子によって連結されている、SiO及びAlO四面体の三次元網状構造の高秩序構造を有する全てのそれらの天然又は合成の、好ましくは合成の結晶性無機材料を含む。
【0114】
好ましいゼオライトは、一般式:
y/2・AlSi2(m+n)
(式中、M及びDは、H+イオン又はNHイオンと部分的に又は完全に交換可能な金属、通常、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の一価イオン及び二価イオンである)
に対応する無水状態での化学組成を有するものである。式中、mは、n未満の任意の値をとることができる。1に等しいnを入れると、mは、1~0.0001で変わり得る。この点において、天然品と同様又は類似の構造を有する合成アルミノシリケート材料;合成品としてのみ公知であり、且つゼオライト構造を有するアルミノシリケート材料;モルSi/Al比が高いか若しくはAlが微量で含有されるか、又はその酸化物が両性性質を有する元素、例えばBe、B、Ti、Cr、Mn、Zr、V、Sb若しくはFeによってアルミニウムが置き換えられている、シリカ、SiO2をベースとする合成材料が好適であり、これらの材料は、ゼオライト型の高多孔性結晶性構造を有する。ゼオライトの構造及び特性並びに系統的分類の記載は、J.Wiley&Sons,N.Y.,1973によって刊行された「Zeolite Molecular Sieves」におけるD.W.Breckによる文献に与えられている。
【0115】
ゼオライトは、一般に、酸性形態又は中性アルカリ形態で使用される。
【0116】
ゼオライトにおいて、B、Ga、Fe、Cr、V、As、Sb、Bi若しくはBe又はそれらの混合物などの他の元素をアルミニウムの代わりに骨組中に組み入れ得るか、或いはGe、Ti、Zr又はHfなどの別の四価元素によってケイ素を置き換えることができる。
【0117】
水捕捉剤は、好ましくは、組成物(C)の総固形分に対して0.01重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%に含まれる量で組成物(C)中に含まれる。
【0118】
本発明の電極形成組成物は、電極の製造方法において使用することができ、前記方法は、
(i)少なくとも1つの表面を有する金属基材を提供する工程;
(ii)上で定義されたような電極形成組成物(C)を提供する工程;
(iii)工程(ii)において提供された組成物(C)を、工程(i)において提供された金属基材の少なくとも1つの表面上に塗布し、それにより少なくとも1つの表面上への前記組成物(C)でコーティングされた金属基材を含む組立体を提供する工程;
(iv)工程(iii)において提供された組立体を乾燥させる工程
を含む。
【0119】
金属基材は、一般に、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又は銀などの金属から製造される箔、メッシュ又はネットである。
【0120】
本発明の方法の工程(iii)の下において、電極形成組成物は、典型的には、キャスティング、印刷及びロールコーティングなどの任意の好適な手順によって金属基材の少なくとも1つの表面上に塗布される。
【0121】
任意選択的に、工程(iii)は、工程(ii)において提供された電極形成組成物を、工程(iv)において提供された組立体上に塗布することにより、典型的には1回以上繰り返され得る。
【0122】
工程(iv)は、5分~48時間、好ましくは30分~24時間の時間にわたり、50℃~200℃、好ましくは80℃~180℃に含まれる温度で好適に実施される。
【0123】
工程(iv)の下において、ポリマー(A)中のモノマー(HA)に由来する繰り返し単位のヒドロキシル基の少なくとも一部と、モノマー(CA)に由来する繰り返し単位のカルボキシル基の少なくとも一部との反応を伴う熱架橋が起こる。
【0124】
ヒドロキシル基を含むポリマー(A)の側鎖と、カルボキシル基を含むものとの間の架橋反応のため、電極中に含有されるポリマー(A)と電極活物質との間の接着は、ポリマー(A)と電流コレクタとの間の接着と一緒に改善される。従って、特別な接着剤を使用する方法、複雑な工程を伴う方法等と比較して接着性を容易に改善することができる。
【0125】
工程(iv)で得られた組立体は、電極の目標空隙率及び密度を達成するために、カレンダー加工プロセスなどの圧縮工程を更に受け得る。
【0126】
好ましくは、工程(iv)で得られた組立体は、ホットプレスされ、圧縮工程中の温度は、25℃~130℃に含まれ、好ましくは約90℃である。
【0127】
得られる電極にとって好ましい目標空隙率は、15%~40%、好ましくは25%~30%に含まれる。電極の空隙率は、電極の測定密度と理論密度との間の比の1の補数として計算され、ここで、
- 測定密度は、24mmに等しい直径及び測定された厚さを有する電極の円形部分の体積で割った質量によって与えられ;
- 電極の理論密度は、電極の構成要素の密度に電極配合物中のそれらの体積比を掛けた積の合計として計算される。
【0128】
更なる場合、本発明は、本発明の方法によって得ることができる電極に関する。
【0129】
従って、本発明は、
- 金属基材と、
- 前記金属基材の少なくとも1つの表面上に直接接着された少なくとも1つの層であって、
(a)少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)]であって、
(i)フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル基含有ビニルモノマー(HA)に由来する繰り返し単位;
(iii)少なくとも1つのカルボキシル基含有ビニルモノマー(CA)に由来する繰り返し単位
を含み;
前記ポリマー(A)中における、モノマー(HA)に由来する繰り返し単位及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の総量は、ポリマー(A)の繰り返し単位の総モルに対して最大で10.0モル%、好ましくは最大で5.0モル%、より好ましくは最大で1.5モル%であり;
モノマー(HA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合及びモノマー(CA)に由来する繰り返し単位の少なくとも40%の割合は、前記ポリマー(A)中にランダムに分布されている、少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー[ポリマー(A)];及び
(b)少なくとも1つの電気活性材料(AM)
を含む組成物からなる少なくとも1つの層と
を含む電極に関する。
【0130】
本発明の電極の層は、典型的には、10μm~500μm、好ましくは50μm~250μm、より好ましくは70μm~150μmに含まれる厚さを有する。
【0131】
本発明の電極形成組成物(C)は、電気化学デバイスのための正極の製造に特に好適である。
【0132】
本発明の電極は、前記電極を含む電気化学デバイス、特に二次電池での使用に特に好適である。
【0133】
本発明の目的のために、用語「二次電池」は、再充電可能な電池を意味することを意図する。本発明の二次電池は、好ましくは、アルカリ二次電池又はアルカリ土類二次電池である。本発明の二次電池は、より好ましくは、リチウムイオン二次電池である。本発明による電気化学デバイスは、当業者に公知の標準的な方法によって調製することができる。
【0134】
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0135】
ここで、以下の実施例に関連して本発明が説明され、その目的は、単に例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例
【0136】
原材料
比較ポリマー1:国際公開第2008/129041号パンフレットに記載されているように得られた、25℃においてDMF中で0.30l/gの固有粘度及び162℃のT2fを有するVDF-AA(0.9モル%)ポリマー。
【0137】
ポリマーA-1:25℃においてDMF中で0.32l/gの固有粘度及び165.4℃のT2fを有するVDF-AA(0.5モル%)-HFP(0.1モル%)ポリマー。
【0138】
開始剤(TAPPI):イソドデカン中のt-アミル-パーピバレート(イソドデカン中のt-アミルペルピバレートの75重量%溶液)、Arkemaから市販されている。
【0139】
AkzoNobel製のBermocoll(登録商標)E230FQ。
【0140】
活物質NMC:LiNi0.6Co0.2Mn0.2、Umicore SAから市販されている。
【0141】
活物質LCO:コバルト酸化リチウム(LiCoO)、Umicore SAから市販されている。
【0142】
導電性付与添加剤:C-NERGY(商標)SUPER C65(SC-65)、Imerys Graphite&Carbonから市販されている。
【0143】
ポリマーの固有粘度の測定
固有粘度(η)[dl/g]は、Ubbelhode粘度計を用い、ポリマーを約0.2g/dlの濃度でN,N-ジメチルホルムアミド中に溶解させることによって得られた溶液の、25℃での落下時間に基づいて、以下の式:
【数3】
(式中、cは、ポリマー濃度[g/dl]であり、ηは、相対粘度、すなわちサンプル溶液の落下時間と溶媒の落下時間との間の比であり、ηspは、比粘度、すなわちη-1であり、Γは、ポリマー(A)について3に対応する実験因子である)
を用いて測定した。
【0144】
DSC分析
DSC分析は、ASTM D 3418標準に従って実施し;融点(Tf2)は、10℃/分の加熱速度で決定した。
【0145】
ポリマーA-1:VDF-AA-HEAの調製
650rpmの速度で動作するインペラを備えた4リットルの反応器に脱塩水(2237g)及びMni(設定点温度の前に反応器に添加された初期のモノマー)の1kg当たり0.6gのBermocoll(登録商標)E230FQを順に導入した。反応器を20℃において一連の真空(30mmHg)及び窒素パージでパージした。次いで、2.65gのTAPPIを導入した。880rpmの速度でアクリル酸(0.28g)及びヒドロキシエチルアクリレート(0.07g)を導入した。最後に、1166gのフッ化ビニリデン(VDF)を反応器に導入した。反応器を50℃の設定点温度まで徐々に加熱し、120バールに固定した。アクリル酸及びヒドロキシエチルアクリレートを含有する水溶液を重合中に供給することにより、圧力を120バールに常に等しく保った。6.37gのアクリル酸及び1.59gのヒドロキシエチルアクリレートを供給した後、それ以上の水溶液を導入せず、圧力は、低下し始めた。大気圧に達するまで反応器を脱気することによって9時間後に重合を止めた。82%のモノマーの転化率に達した。そのようにして得られたポリマーを次いで回収し、脱塩水で洗浄し、65℃で一晩中乾燥させた。
【0146】
NMC活物質を用いた電極の一般的な調製
比較ポリマー1及びポリマーA-1の接着挙動を比較するために、NMP中のポリマー(A-1及び比較1)の8重量%溶液の14.9g、115.4gのNMC、2.4gのSC-65及び21.9gのNMPを遠心ミキサーにおいて10分間プレミックスすることによって組成物を調製した。
【0147】
混合物を、次いで高速ディスクインペラーを2000rpmで1時間使用して混合した。そのようにして得られたバインダー組成物を、ドクターブレードを用いて厚さ20μmのAl箔上にキャストし、そのようにして得られたコーティング層を130℃の温度においてオーブン中で約70分間乾燥させることによって正極を得た。乾燥したコーティング層の厚さは、約110μmであった。
【0148】
以下の組成を有する正電極が得られた:
電極E1:97重量%のNMC、1重量%の比較ポリマー1、2重量%の導電性添加剤。
電極E2:97重量%のNMC、1重量%のポリマーF-1、2重量%の導電性添加剤。
【0149】
NMC/LCOブレンド活物質を用いた電極の一般的な調製
比較ポリマー1及びポリマーA-1の接着挙動を比較するために、NMP中のポリマー(A-1及び比較1)の8重量%溶液の14.9g、11.55gのNMC、103.9gのLCO、2.4gのSC-65及び21.9gのNMPを遠心ミキサーにおいて10分間プレミックスすることによって組成物を調製した。
【0150】
混合物を、次いで高速ディスクインペラーを2000rpmで1時間使用して混合した。そのようにして得られた組成物を、ドクターブレードを用いて20μm厚さのAl箔上にキャストし、そのようにして得られたコーティング層を130℃の温度において真空オーブン中で約70分間乾燥させることによって正極を得た。乾燥したコーティング層の厚さは、約110μmであった。
【0151】
以下の組成を有する正極が得られた:
電極E3:9.7重量%のNMC、83.7重量%のLCO、1重量%の比較ポリマー1、2重量%の導電性添加剤。
電極E4:9.7重量%のNMC、83.7重量%のLCO、1重量%のポリマーF-1、2重量%の導電性添加剤。
【0152】
接着剥離力方法
Al箔への乾燥したコーティング層の接着性を評価するために、20℃で300mm/分の速度において、標準ASTM D903に記載されるセットアップを用いて、上で記載されたように調製された電極に関して剥離試験を行った。E1及びE2についての結果を表1に示す。E3及びE4についての結果を表2に示す。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
結果は、意外にも、ポリマーA-1(ここで、ポリマーA-1は、ポリマー主鎖中に一様に分布したモノマーAA及びモノマーHEAの両方に由来する繰り返し単位を有する)をバインダーとして使用することによって調製された電極が、ポリマー主鎖中に一様に分布したモノマーAAに由来する繰り返し単位を有するにすぎない、比較ポリマー1を使用することによって得られたものよりもはるかに高い金属箔への接着性を有することを示す。
【国際調査報告】