IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニムの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】免疫原性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/102 20060101AFI20221003BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221003BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221003BHJP
   C07K 14/195 20060101ALN20221003BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20221003BHJP
【FI】
A61K39/102
A61P11/00 ZNA
A61P37/04
A61K39/02
A61K9/19
A61K9/14
A61K39/39
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/10
C07K14/195
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507362
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2020071760
(87)【国際公開番号】W WO2021023691
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】19189963.2
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デルピエール,ジスラン
(72)【発明者】
【氏名】フォルトピード,ジュリエット
(72)【発明者】
【氏名】エルボー,ヴァージニー
(72)【発明者】
【氏名】ルヴェ,ヴァンサン エドウィン ポール
(72)【発明者】
【氏名】メニル,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】マトット,フレデリック ステファン
(72)【発明者】
【氏名】モラレス アイラ,マリア ドロレス
(72)【発明者】
【氏名】シユール,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイルステク,ブラム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076CC07
4C076CC15
4C076DD23
4C076DD26
4C076DD26Z
4C076DD46
4C076DD51S
4C076DD67
4C076EE23
4C076EE49
4C076FF51
4C076GG06
4C076GG47
4C085AA02
4C085AA03
4C085AA04
4C085BA15
4C085BA18
4C085CC07
4C085CC21
4C085EE01
4C085FF19
4C085FF24
4H045AA11
4H045CA11
4H045DA86
4H045EA28
(57)【要約】
本発明は、ヘモフィルス・インフルエンザ及びモラクセラ・カタラーリス由来の免疫原性ポリペプチドを含む免疫原性組成物並びに対象、例えばヒトにおける慢性閉塞性肺疾患の急性増悪(AECOPD)の処置又は予防でのそれらの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
場合により融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質、例えば配列番号9)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド);UspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド);抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);並びにポロキサマー(場合によりポロキサマー188)を含む免疫原性組成物。
【請求項2】
0.02~0.15%、0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.06%又は0.04~0.05%(w/v)のポロキサマー(場合によりポロキサマー188)を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
0.1~20mM、0.1~15mM、0.5~15mM、5~15mM、7~12mM、8~12mM又は8~10mMの抗酸化剤(場合によりL-メチオニン)を含む、請求項1又は請求項2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
15~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質、15~30μg/mlのプロテインDポリペプチド及び6~9μg/mlのUspA2ポリペプチドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(場合により配列番号9のPE-PilA融合タンパク質)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
ポリソルベート80をさらに含み、場合により0.0001~0.03%、好適には0.0001~0.02%、例えば0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)のポリソルベート80を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
固体形態(場合により凍結乾燥されている)の、請求項1から6のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
水溶液(場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液)中での再構成に好適であり、再構成後の前記免疫原性組成物が、ヘモフィルス・インフルエンザ及び/又はモラクセラ・カタラーリスに対する免疫応答を生じさせることができる、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
液体形態(場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液により再構成されている)の、請求項1から6のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
スクロースをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
場合により0.5ml用量中、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質;20μg/mlのプロテインDポリペプチド;6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド;0.5~1.5mg/ml、例えば1.2mg/mlの抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);0.2~0.6mg/ml、例えば0.4mg/mlのポロキサマー(場合によりポロキサマー188);20~60mg/ml、例えば40mg/mlのスクロース;及び場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
ポリソルベート80(例えば0.03%(w/v)未満のポリソルベート80)をさらに含む、請求項11に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
場合により融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質)としての、(i)ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;並びにUspA2ポリペプチドを、(ii)抗酸化剤(場合によりL-メチオニン)及び(iii)ポロキサマー(場合によりポロキサマー188)と組み合わせるステップを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を調製する方法。
【請求項14】
(i)場合により固体形態(場合により凍結乾燥されている)の、請求項1から8のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を含む第1の容器(場合によりバイアル)、及び(ii)アジュバント、場合によりAS01Eを含む第2の容器(場合によりプレフィルドシリンジ)を含む、キット。
【請求項15】
対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防での使用のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又は請求項14に記載のキット。
【請求項16】
対象、例えばヒトにおける、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪(AECOPD)の処置又は予防のための医薬の製造における、請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項17】
COPDの急性増悪(AECOPD)を発症するリスクのある対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防の方法であって、有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫原性組成物及び医療でのそのような組成物の使用に関する。より詳細には、本発明は、ヘモフィルス・インフルエンザ(インフルエンザ菌:Haemophilus influenzae)及びモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)由来の免疫原性ポリペプチドを含む免疫原性組成物並びに対象、例えばヒトにおける慢性閉塞性肺疾患の急性増悪(AECOPD)の処置又は予防でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコの煙又は他の刺激の吸入の結果として、肺機能の不可逆的な低下を生じる慢性の炎症性障害である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、共存することが多い、いくつかの病態を包含すると考えられる(気流閉塞、慢性気管支炎、気管支炎又は末梢気道病変及び肺気腫)(Wilson et al., Eur. Respir. J. 2001; 17: 995-1007)。患者は、通常、息切れの増加と関連し、粘液又は膿性痰を生じ得る咳が増加することが多い、病状の増悪を患う(Wilson, Eur Respir J 2001 17:995-1007)。COPDは、慢性気管支炎及び/又は肺気腫を有する患者における不可逆的又は部分的に可逆的な気流閉塞の存在により、生理的に定義される(Standards for the diagnosis and care of patients with chronic obstructive pulmonary disease. American Thoracic Society. Am J Respir Crit Care Med. 1995 Nov;152(5 Pt 2):S77-121)。
【0003】
COPDは、世界の疾病率及び死亡率の主原因である。米国での2005年の死亡例20件のうちおよそ1件が、基礎原因としてCOPDを有した(Drugs and Aging 26:985-999 (2009))。2020年には、COPDは、障害調整生存年数、慢性虚弱姓疾患の5番目の主要原因、及び死亡の3番目に重要な原因にまで上昇するであろうと見積もられている(Lancet 349:1498-1504 (1997))。COPDの経過は、空気流の制限の段階的悪化及び肺機能の低下により特徴付けられる。COPDは、頻繁性及び再発性の急性増悪(AE)が合併することがあり、莫大な医療費及び高い疾病率が伴う(Proceedings of the American Thoracic Society 4:554-564 (2007))。ある研究では、COPDの症状の急性増悪のおよそ50%が、型分類不能なヘモフィルス・インフルエンザ、モラクセラ・カタラーリス、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)によって引き起こされることが示唆されている。(Drugs and Aging 26:985-999 (2009))。ヘモフィルス・インフルエンザ(H.influenzae)は、COPDの増悪の20~30%;肺炎球菌は、COPDの増悪の10~15%;及び、モラクセラ・カタラーリスは、COPDの増悪の10~15%に見出される(New England Journal of Medicine 359:2355-2365 (2008))。ヘモフィルス・インフルエンザ、肺炎球菌、及びモラクセラ・カタラーリスは、香港、韓国、及びフィリピンでの気管支炎の急性増悪の主要な病原体であることが示されているが、クレブシエラ種(Klebsiella spp.)、緑膿菌、及びアシネトバクター種(Acinetobacter spp.)は、インドネシア、タイ、マレーシア及び台湾を含む他のアジア諸国/領域での病原体の大部分を占める(Respirology, (2011) 16, 532-539; doi:10.1111/j.1440.1843.2011.01943.x)。バングラデシュでは、COPDを患う患者の20%が、シュードモナス(Pseudomonas)、クレブシエラ、肺炎球菌、及びヘモフィルス・インフルエンザの陽性の喀痰培養を示したが、AECOPD(COPDの急性増悪)を患う患者の65%は、シュードモナス、クレブシエラ、アシネトバクター、エンテロバクター(Enterobacter)、モラクセラ・カタラーリス及びこれらの組合せの陽性の培養を示した。(Mymensingh Medical Journal 19:576-585 (2010))。しかしながら、COPD増悪を予防する2つの最も重要な手段は、能動免疫及び薬物療法の長期的な維持であることが示唆されている(Proceedings of the American Thoracic Society 4:554-564 (2007))。
【0004】
COPDを処置及び管理する難しさの1つは、重症度、進行、運動耐性、及び症状の性質に関する、この複雑な疾患の異質性である。この複雑さは、さらなる医療処置及び多くは入院を必要とする、COPD症状の増加の一時的、及び明らかな確率的期間である、COPDの急性増悪(AECOPD)でも明らかである(Sethi et al., N Eng J Med 2008;359:2355-65)。増悪の公知のサブタイプは、細菌又はウイルス感染、及び/又は高い好酸球レベルを含む、キーとなる誘因の性質によって定義され、これらの事象は、典型的には、非特異的な方法で抗生物質とステロイドの組合せによって処置される(Bafadhel et al., Am J Respir Crit Care Med 2011;184:662)。国際公開第2015125118A1号に記載されるように、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防でのワクチンとして、PE-PilA融合タンパク質及びモラクセラ・カタラーリス由来のUspA2ポリペプチドと共にヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインDポリペプチドが提示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改善された免疫原性組成物の必要性がある。特に、構造及びタンパク質抗原の機能の維持を助ける、改善された免疫原性組成物の必要性がある。そのような検討としては、限定はされないが、免疫原性組成物の化学安定性(例えば、タンパク質のタンパク質分解及び断片化)、免疫原性組成物の物理/熱安定性(例えば、凝集、沈殿、吸着)、免疫原性組成物の容器/密閉系との適合性、免疫原性組成物と非活性成分(例えば、緩衝液、塩、賦形剤、抗凍結剤)の間の相互作用、製造プロセス、剤形(例えば、冷凍乾燥、液体)、輸送、保存及び操作中に遭遇する環境条件(例えば、温度、湿度、剪断力)、及び製造と利用の間の時間の長さが挙げられる。
【0006】
生物医薬の一貫性及び保存可能期間は、製造プロセス中、又は長期保存中、又はプロセスのステップ、例えば凍結するステップ、乾燥するステップ及び凍結乾燥するステップから、又はこれらの因子の組合せからの酸化によって影響され得る。空気又は製造で使用される試薬若しくは条件への暴露からの酸化は、例えば装置の滅菌に使用する過酸化水素が原因になり得る。多くのワクチン又は他の生物医薬を凍結乾燥するために使用される冷凍乾燥プロセスも、例えば、医薬の成分の低温濃縮により、問題の原因になり得るか、又は増悪させ得る。タンパク質は、骨格の断片化を生じ得るタンパク質骨格とアミノ酸側鎖の両方の酸化を標的化し得る。側鎖の酸化は、構造変化及び二量体化又は凝集をもたらし得る。したがって、酸化はタンパク質の損傷をもたらし、タンパク質の構造及び機能の深刻な結果を有し得る。システイン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジン及びチロシンの側鎖は、その順で、酸化の主要な標的である(Ji et al 2009, J Pharmaceutical Sciences, Vol 98, No 12, 4485-4500)。硫黄中心の酸化の容易さにより、システイン及びメチオニン残基はタンパク質内での酸化の好ましい部位になる。
【0007】
タンパク質抗原:場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド及びUspA2ポリペプチドを含む、改善された免疫原性組成物の必要性がある。例えば、(i)タンパク質抗原の凝集を減少させる、及び/又は(ii)タンパク質抗原の酸化を減少させる、及び/又は(iii)改善された安定性を有する、免疫原性組成物の必要性がある。ヘモフィルス・インフルエンザ及びモラクセラ・カタラーリス由来の免疫原性ポリペプチドを含む免疫原性組成物は、国際公開第2018178264A1号に記載されるが、凝集、酸化及び/又は不安定化に感受性のあるタンパク質抗原の同定、並びにそのような問題を緩和する特定の賦形剤、特に特定の賦形剤の組合せの使用は、以前に報告されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(i)タンパク質抗原の凝集(特に剪断ストレスによって起こる凝集)を減少させる、及び/又は(ii)タンパク質抗原の酸化(特にメチオニン残基の酸化)を減らし、従ってタンパク質抗原の構造及び機能の維持を助ける免疫原性組成物を提供する。本発明者らは、凝集、酸化及び/又は不安定化に感受性のあるタンパク質抗原を同定しており、免疫原性組成物におけるそのようなタンパク質抗原の安定性を改善し、したがって、タンパク質抗原の免疫原性の維持を助け得る、免疫原性組成物を提供する。本発明の免疫原性組成物は、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びポロキサマー(例えば、「PX188」とも呼ばれるポロキサマー188)を含む。本発明により、タンパク質抗原:場合により、融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド及びUspA2ポリペプチドを含む免疫原性組成物への抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)の添加が、改善された免疫原性組成物を提供することが見出された。したがって、本発明の第1の態様は、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)とポロキサマー(例えばポロキサマー188)を組み合わせる免疫原性組成物である。驚くべきことに、免疫原性組成物中のタンパク質抗原の安定性は、残留量でさえも、ポリソルベート80(「PS80」とも呼ばれる)の添加によりさらに改善され得ることも見出された。したがって、タンパク質抗原:場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド並びにUspA2ポリペプチドを含む免疫原性組成物への抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80の添加は、さらに改善された免疫原性組成物を提供する。したがって、本発明の第2の態様は、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80を含む免疫原性組成物である。したがって、本発明は、場合により融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質、例えば配列番号9)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド);UspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド);抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);並びにポロキサマー(場合によりポロキサマー188)を含む免疫原性組成物を提供する。本発明は、場合により融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質、例えば配列番号9)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド);UspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド);抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);ポロキサマー(場合によりポロキサマー188)並びにポリソルベート80を含む免疫原性組成物も提供する。
【0009】
本発明は、本発明の免疫原性組成物を調製する方法(プロセス)も提供する。
【0010】
本発明は、本発明の免疫原性組成物を含む第1の容器及びアジュバントを含む第2の容器を含むキットも提供する。
【0011】
本発明は、対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防での使用のための、本発明の免疫原性組成物も提供する。
【0012】
本発明は、対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防のための医薬の製造における、本発明の免疫原性組成物の使用も提供する。
【0013】
本発明は、COPDの急性増悪(AECOPD)を発症するリスクのある対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置の方法であって、有効量の本発明の免疫原性組成物を前記対象に投与するステップを含む方法も提供する。
【0014】
本発明は、COPDの急性増悪(AECOPD)を発症するリスクのある対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の予防の方法であって、有効量の本発明の免疫原性組成物を前記対象に投与するステップを含む方法も提供する。
【0015】
詳細な説明
定義
本明細書で使用される場合、「アジュバント」は、ワクチン、免疫療法、又は他の抗原若しくは免疫原含有組成物と併せて対象に投与されると、(アジュバントなしで得られる免疫応答と比較して)投与された抗原又は免疫原への対象の免疫応答を増加又は増強する化合物又は基質を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「免疫原性断片」は、全体より小さい抗原の一部であり、宿主動物、例えばヒトにおいて、その断片に特異的な液性及び/又は細胞免疫応答を誘発することができる。したがって、ゲノム配列の断片は、ゲノム配列自体を含まず、タンパク質の断片は、全長タンパク質配列自体を含まない。タンパク質の断片は、当技術分野で公知の技術を使用して、例えば組換え、タンパク質消化により、又は化学合成により産生され得る。ポリペプチドの内部又は末端断片は、ポリペプチドをコードする核酸の一端(末端断片のため)又は両端(内部断片のため)から1つ以上のヌクレオチドを除去することにより生成され得る。本発明の免疫原性断片は、1つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のアミノ酸)の欠失及び/又は付加及び/又は置換により改変された、参照配列(例えば、本発明の配列番号1~58)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一なアミノ酸配列由来であり得る。アミノ酸置換は、保存的又は非保存的であり得る。一態様では、アミノ酸置換は保存的である。置換、欠失、付加又はこれらの任意の組合せは、バリアントが免疫原性ポリペプチドである限り、単一のバリアントで組み合わされ得る。例えば、免疫原性断片は、シグナルペプチドの欠失に由来し得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「保存的アミノ酸置換」は、その位置でのアミノ酸残基のサイズ、極性、電荷、疎水性、若しくは親水性に影響がわずかであるか、又はない、及び免疫原性の減少を生じない、天然のアミノ酸残基の非天然の残基との置換を含む。例えば、これらは以下の群:バリン、グリシン;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン内の置換であり得る。ポリペプチドの配列への保存アミノ酸改変(及びコードするヌクレオチドへの相当する改変)は、参照ポリペプチドのものと類似の機能的及び化学的特徴を有するポリペプチドを産生し得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「シグナルペプチド」は、前駆体タンパク質(典型的にはN末端)に存在し、典型的には成熟タンパク質には存在しない、短い(60個未満のアミノ酸、例えば3~60個のアミノ酸)ポリペプチドを指す。シグナルペプチド(sp)は、典型的には疎水性アミノ酸に富む。シグナルペプチドは、膜を通る翻訳されたタンパク質の輸送及び/又は分泌を指示する。シグナルペプチドはまた、標的化シグナル、輸送ペプチド、局在シグナル、又はシグナル配列と呼ばれ得る。例えば、シグナル配列は、同時翻訳又は翻訳後シグナルペプチドであってもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒト、非ヒト霊長類、及び非霊長類哺乳動物、例えば齧歯類(限定はされないが、マウス及びラットを含む)のメンバー及びウサギ目(限定はされないが、ウサギを含む)のメンバーを含む哺乳動物である。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0020】
以下にさらに記載されるように、COPDの急性増悪(AECOPD)は、正常な日々の変動を超える、患者の呼吸症状の悪化により特徴付けられる急性事象である。典型的には、AECOPDは、投薬治療の変更をもたらす。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「COPDの急性増悪(AECOPD)の処置」は、対象、例えばヒトにおける急性増悪の特徴である症状の増加を、緩和する、安定化する、減少させる、又は除くことを意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、句「COPDの急性増悪(AECOPD)の予防」は、対象、例えばヒトにおいて、将来急性増悪の発生若しくは頻度を予防する、減少させること、又は重症度(例えば、気流閉塞、慢性気管支炎、気管支炎又は末梢気道病変及び肺気腫)を減少させることを意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置」は、対象、例えばヒトにおいて、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる細菌感染の特徴である症状の増加を、緩和する、安定化する、減少させる、又は除くことを意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、句「H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の予防」は、対象、例えばヒトにおいて、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる将来の細菌感染の発生若しくは頻度を予防する、減少させること、又は重症度を減少させることを意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「細菌感染」は、通常培養での細菌病原体の陽性検査(ヘモフィルス・インフルエンザ又はモラクセラ・カタラーリス)又は107個の細胞以上の総好気性CFU数を指す。特定の実施形態では、細菌感染は、
a)ヘモフィルス・インフルエンザ(例えば、型分類不能なH.インフルエンザ(NTHi));
b)モラクセラ・カタラーリス;又は
c)ヘモフィルス・インフルエンザ(例えば、型分類不能なH.インフルエンザ(NTHi))及びモラクセラ・カタラーリス
と関連する。
【0026】
本明細書で使用される場合、本発明の免疫原性組成物又はワクチンを対象に投与する文脈での用語「有効量」は、予防及び/又は治療効果を有する免疫原性組成物又はワクチンの量を指す。本明細書で使用される場合、「w/v」は製剤の重量/体積を意味する。
【0027】
ポリペプチド間の同一性は、様々なアルゴリズムによって算出され得る。一般に、同一性のパーセンテージを算出する場合、比較される2つの配列をアラインし、配列間の最大相関を得る。これは、1つ又は両方の配列のいずれかに「ギャップ」を挿入するステップを含み、アラインメントの程度を高めてもよい。例えば、グローバルアラインメントのためのNeedleman Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)、又はローカルアラインメントのためのSmith Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman 1981, J. Mol. Biol. 147: 195- 197)が、例えばデフォルトのパラメーター(Smith Watermanはギャップ開始ペナルティ10及びギャップ伸長ペナルティ1でBLOSUM 62スコアリングマトリックスを使用する)を使用して、使用されてもよい。好ましいアルゴリズムは、Dufresne et al.によってNature Biotechnology in 2002 (vol. 20, pp. 1269-71)に記載され、ソフトウェアGenePAST(Genome Quest Life Sciences, Inc. Boston, MA)で使用される。GenePAST「パーセント同一性」アルゴリズムは、クエリー配列と対象配列間の最良適合を見出し、正確なパーセンテージとしてアラインメントを表す。GenePASTは、クエリー配列と対象配列間の生物学的関連性の検討に基づくアラインメントスコアリング調整を行わない。2つの配列間の同一性は、両方の配列の全長にわたって算出され、参照配列(例えば、本発明の配列番号1~58)のパーセンテージとして表される。断片については、参照配列は最長配列である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】異なる温度における0及び1300ng/mLのH2O2についてのプロテインD Met192の経時的な酸化に関する質量分析の結果。
図2】45℃で3日間、1300ng/mLのH2O2と共に保存したプロテインD(PD)及び4℃で保存した非添加プロテインD(H2O2なし)のRP-HPLCクロマトグラムであり、プロテインDの主要ピーク及び酸化プロテインDのプレピークを示す。
図3】非還元条件下のSDS-PAGEによって得られたH2O2なし(左側のレーン)又はH2O2あり(右側のレーン)で(i)4℃(時間=0)(レーン3及び4)(ii)37℃で15日間(レーン5及び6)及び(iii)45℃で7日間(レーン7及び8)保存した場合のプロテインD(PD)、UspA2及びPE-PilAの抗原プロファイル。
図4】プロテインD Met192の経時的な酸化に関する質量分析の結果であり、酸化ありAOXなし(H2O2あり、酸化防止剤なし)、酸化なしAOXなし(H2O2なし、酸化防止剤なし)、酸化ありの30mM CYS(H2O2及びシステイン(CYS)あり)、酸化ありの50mM MET(H2O2及びメチオニン(MET)あり)。
図5】(i)H2O2なし抗酸化剤なしの18COP1141、(ii)抗酸化剤(AOx)なしの18COP1146、(iii)メチオニン(Meth)ありの18COP1147、及び(iv)システイン(Cysteine)ありの18COP1149を比較する、H2O2で処理したプロテインD(PD)のRP-HPLCクロマトグラム。
図6】抗酸化剤なし(左側のレーン)、メチオニン(MET)あり(中央のレーン)又はシステイン(CYS)あり(右側のレーン)の試料を(i)H2O2なし(レーン3~5)又は(ii)H2O2あり(レーン6~8)の条件下で比較する、非還元条件下のSDS-PAGEによって得られたUspA2、プロテインD(PD)及びPE-PilAの抗原プロファイル。
図7】プロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物についての、試料18COP1401(L-メチオニンなし、H2O2なし)、18COP1402(5mM L-メチオニン、H2O2)及び18COP1407(L-メチオニンなし、H2O2)についての疎水性バリアントHPLC。
図8】H2O2及び10mM L-メチオニンありの試料18COP1403についてのプロテインDのピークを示す、プロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物についての疎水性バリアントHPLC。
図9】プロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物中のプロテインDについての疎水性バリアントRP-HPLC %ピーク3であり、左パネルは、酸化防止剤なしの非H2O2酸化試料(「Ref_試料」)、右パネルは、異なる濃度のメチオニンありのH2O2酸化試料(「処理(添加1300)」)である。
図10】プロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物中のプロテインDについて、0mMメチオニン(「Ref_試料」)から50mMメチオニンまでの異なる濃度でメチオニンを添加したH2O2酸化試料の疎水性バリアントRP-HPLC %ピーク3。
図11】RP-HPLCからの、プロテインD、PE-PilA及びUspAを含む組成物中のプロテインDについてのピーク1、2及び3の面積の合計であり、(i)H2O2なしのRef(参照)、(ii)H2O2ありの陽性対照及び(iii)10mM Met及びH2O2あり。
図12】37℃における1カ月後のプロテインD M192の酸化の液体クロマトグラフィー結合質量分析。左パネルは、H2O2なし及びメチオニンなし(「Ref_試料」)。右パネルは、メチオニンあり又はなしで凍結乾燥前に1300ng/mLのH2O2を添加した(「処理(添加1300)」)。
図13図12と同様に、プロテインD M192の酸化に関する液体クロマトグラフィー結合質量分析。左パネルは、H2O2なし及びメチオニンなし(「Ref_試料」)。右パネルは、10mM メチオニンありで凍結乾燥前に1300ng/mLのH2O2を添加した。
図14】NaClで再構成されたPX188の増加量を含むUspA2のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)プロファイル。
図15】異なる濃度のポロキサマー、PX188 0.001%、PX188 0.005%、PX188 0.01%、PX188 0.02%、PX188 0.05%、PX188 0.1%、PX188 0.15%からPS80 0.05%を比較する、PX188(ポロキサマー188)のUspA2の剪断ストレス耐性に与える影響。
図16】様々な濃度の「CTRL PS80残留」(残留PS80を有する対照)、「PS80」(0.05% ポリソルベート80)及び「PX188」(ポロキサマー188)についてUPLC(超高速液体クロマトグラフィー)によって測定されたPE-PilAの回収。
図17】プロセスフローダイアグラム。プロセスA-PE-PilA原薬をPS80を用いて調製した。プロセスB-PE-PilA原薬をポロキサマー188を用いて調製した。プロセスC-PE-PilAをPS80を用いて調製し、最終的な薬物製品をポロキサマー188及びメチオニンを用いて製剤化する新しく提案されるプロセス。
図18-1】アジュバント緩衝液中で再構成されたプロセスAの材料(COP14303A)及びプロセスBの材料(19COP0410)の+30℃における使用中の安定性の比較、HPSEC-fluoプロファイル。UspA2プレピークは、アジュバント緩衝液中でプロセスBの薬物製品を再構成した後にはHPSECプロファイルに現れるが、アジュバント緩衝液中でプロセスAの薬物製品を再構成した後には現れない。
図18-2】図18-1の続きである。
図18-3】図18-2の続きである。
図18-4】図18-3の続きである。
図19】UPLCによるUspA2含有量は、アジュバント緩衝液中でプロセスBの薬物製品を再構成した後に減少するが、アジュバント緩衝液中のプロセスAの薬物製品では減少しない。
図20】プロセスB:ELISAによって測定されたUspA2の効力。AS01Eアジュバント中で再構成された薬物製品についてはUspA2効力の損失がない。
図21】アジュバント緩衝液中で再構成されたプロセスAの材料(再現ロットCOP14303A)及びプロセスBの材料(ロット19COP0410)の+30℃における使用中の安定性の比較:UPLCによるUspA2の含有量。UPLCによるUspA2含量は、アジュバント緩衝液中でプロセスBの薬物製品を再構成した後に減少するが、アジュバント緩衝液中のプロセスAの薬物製品では減少しない。
図22】異なる供給源の原薬を用いた「交差」製剤の分析。30℃、24時間後のUPLCによるUspA2含有量のT0に対する(すなわち開始時のUspA2含有量と比較した)回収。薬物製品中のUspA2の不安定性は、プロセスBのPE-PilA原薬に関連していた(メチオニン又は冷凍乾燥サイクルの影響なし)。
図23-1】HPSECプロファイルは、プロセスAのアジュバント又はアジュバント緩衝液で再構成した後には変化しない。AS01Eアジュバント中で再構成した後のプロセスBの薬物製品はUspA2のプレピークがないが、AS01E緩衝液で再構成した場合にはプレピークが観察される。
図23-2】図23-1の続きである。
図23-3】図23-2の続きである。
図23-4】図23-3の続きである。
図24】UPLCによる30℃、24時間後のUspA2含有量の回収。再構成されたワクチン(アジュバント緩衝液)に添加されたポリソルベート80は、UspA2の不安定性を防ぐ。プロセスA(左)及びプロセスB(右)についての、24時間後のUspA2含有量の回収のT0に対する(すなわち開始時のUspA2含有量と比較した)比較。
図25】異なる年数の異なるロットのアジュバント緩衝液中で再構成した後の使用中の安定性(24時間、30℃)におけるUPLCによるUspA2含有量の変化の比較。UPLCによるUspA2含有量の回収。UspA2(アジュバント緩衝液中)の不安定性は、古い薬物製品ほど顕著である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
免疫原性組成物
本発明の免疫原性組成物は、タンパク質抗原:場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインDポリペプチド及びモラクセラ・カタラーリス由来のUspA2ポリペプチドを含む。
【0030】
プロテインD
本発明の免疫原性組成物は、プロテインDポリペプチドを含む。本明細書で使用される場合、「プロテインD(ProteinD)」、「プロテインD(proteinD)」及び「PD」は、H.インフルエンザ由来のプロテインDを意味する。ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインD(PD)は、国際公開第91/18926号及び欧州特許第0594610号に記載される。ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインDは、欧州特許第0594610号の図9(図9a及び図9b共に、364アミノ酸)からのプロテインD配列であり得る(配列番号1)。プロテインDポリペプチドは、全長プロテインD又はその免疫原性断片であってもよい(例えば、プロテインDポリペプチドは国際公開第00/56360号に記載される)。例えば、プロテインDポリペプチドは、配列SSHSSNMANT(SerSerHisSerSerAsnMetAlaAsnThr)(配列番号3)で始まり、欧州特許第0594610号の図9から19個のN末端アミノ酸を欠失し、場合により前記プロテインD断片(348アミノ酸)のN末端に融合したNS1からのトリペプチドMDP(すなわち配列番号2)の付加を有する、欧州特許第0594610号に記載されるプロテインD断片を含み得る(又はからなり得る)。したがって、一実施形態では、プロテインDポリペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を含み得る(又はからなり得る)。一実施形態では、プロテインDポリペプチドは、ポリサッカライド、例えば肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)由来のポリサッカライドにコンジュゲートされない。一実施形態では、プロテインDポリペプチドは、肺炎球菌由来のポリサッカライドにコンジュゲートされない。一実施形態では、プロテインDポリペプチドは、遊離のタンパク質(例えば、コンジュゲートされていない)である。一実施形態では、プロテインDポリペプチドは脂質付加されていない。
配列番号1:プロテインD(364アミノ酸)
配列番号2:NS1からのMDPトリペプチドを有するプロテインD断片(348アミノ酸)
【0031】
したがって、本発明での使用のためのプロテインDポリペプチド配列は、例えば、N末端若しくはC末端残基の短縮(例えば、N末端の19個のアミノ酸残基の欠失)により、アミノ酸残基の付加(例えば、トリペプチドMDPの付加)により、又は保存アミノ酸置換により改変され得る。一実施形態では、免疫原性組成物は配列番号1と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するプロテインDポリペプチドを含む。プロテインDの免疫原性断片は、配列番号1の少なくとも7、10、15、20、25、30又は50個の連続するアミノ酸の免疫原性断片を含み得る。例えば、プロテインDの免疫原性断片は、配列番号1の少なくとも7、10、15、20、25、30、50、100、200又は300個の連続するアミノ酸の免疫原性断片、配列番号1の最大363個の連続するアミノ酸を含み得る。プロテインDポリペプチド配列(例えば配列番号1)は、1つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のアミノ酸)の欠失及び/又は付加及び/又は置換によって改変され得る。免疫原性断片は、配列番号1に結合することができる抗体を誘発し得る。別の実施形態では、免疫原性組成物は配列番号2と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するプロテインDポリペプチドを含む。プロテインDの免疫原性断片は、配列番号2の少なくとも7、10、15、20、25、30又は50個の連続するアミノ酸を含み得る。例えば、プロテインDの免疫原性断片は、配列番号2の少なくとも7、10、15、20、25、30、50、100、200又は300個の連続するアミノ酸の免疫原性断片、配列番号2の最大347個の連続するアミノ酸を含み得る。プロテインDの免疫原性断片は、配列番号2の100、200、300、310、320、330又は340個の連続するアミノ酸を含み得る。プロテインDポリペプチド配列(例えば配列番号2)は、1つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のアミノ酸)の欠失及び/又は付加及び/又は置換によって改変され得る。免疫原性断片は、配列番号2に結合することができる抗体を誘発し得る。
【0032】
プロテインE
本発明の免疫原性組成物はヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片を含む。
【0033】
プロテインE(PE)は、付着特性を有する外膜リポタンパク質である。プロテインEは、上皮細胞への型分類不能なヘモフィルス・インフルエンザ(NTHi)の付着/侵入に役割を果たす。(J. Immunology 183: 2593-2601 (2009); The Journal of Infectious Diseases 199:522-531 (2009), Microbes and Infection 10:87-96 (2008))。プロテインEは、カプセル化されたヘモフィルス・インフルエンザと型分類不能なH.インフルエンザの両方で高度に保存されており、保存された上皮結合ドメインを有する(The Journal of Infectious Diseases 201:414-419 (2010))。参照株としてヘモフィルス・インフルエンザRdと比較した場合、13個の異なる点変異が、異なるヘモフィルス種で記載されている。その発現は、対数増殖期の細菌と静止期の細菌の両方で観察される。(国際公開第2007/084053号)。プロテインEは、ビトロネクチンを結合することによりヒト補体耐性にも関与する。(Immunology 183: 2593-2601 (2009))。PEは、終末補体経路の重要な阻害剤であるビトロネクチンに結合する。(J. Immunology 183:2593-2601 (2009))。
【0034】
本明細書で使用される場合、「プロテインE(ProteinE)」、「プロテインE(proteinE)」、「ProtE」、及び「PE」は、H.インフルエンザ由来のプロテインEを意味する。プロテインEは、配列番号4(国際公開第2012/139225A1号の配列番号4に相当する)のアミノ酸配列:
を含み得る(又はからなり得る)。
【0035】
特定の実施形態では、免疫原性組成物は、好適には配列番号4と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、好適には配列番号4と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインEの免疫原性断片を含む。例えば、プロテインEの免疫原性断片は、配列番号4の少なくとも7、10、15、20、25、30又は50個の連続するアミノ酸を含み得る。例えば、プロテインEの免疫原性断片は、配列番号4の少なくとも7、10、15、20、25、30、50、100又は150個の連続するアミノ酸、配列番号4の最大159個の連続するアミノ酸を含み得る。免疫原性断片は、配列番号4に結合することができる抗体を誘発し得る。
【0036】
別の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号5(国際公開第2012/139225A1号の配列番号125に相当する)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片を含む:
配列番号5:プロテインEのアミノ酸20~160
【0037】
別の実施形態では、免疫原性組成物は、好適には配列番号5(国際公開第2012/139225A1号の配列番号125に相当する)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインEの免疫原性断片を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号5(国際公開第2012/139225A1号の配列番号125に相当する)のアミノ酸配列を含む(又はからなる)ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインEの免疫原性断片を含む。
【0038】
PilA
本発明の免疫原性組成物は、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片を含む。
【0039】
PilinA(PilA)は、収縮運動に関与するH.インフルエンザIV型Pilus(Tfp)の主要なピリンサブユニットのようである(Infection and Immunity, 73: 1635-1643 (2005))。NTHi PilAは、in vivoで発現される保存されたアドへシンである。それは、NTHi付着、コロニー形成及びバイオフィルム形成に関与することが示されている。(Molecular Microbiology 65: 1288-1299 (2007))。
【0040】
本明細書で使用される場合、「PilA」はH.インフルエンザ由来のPilinAを意味する。PilAは、配列番号6(国際公開第2012/139225A1号の配列番号58に相当する)のタンパク質配列
を含み得る(又はからなり得る)。
【0041】
特定の実施形態では、免疫原性組成物は、好適には配列番号6と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、好適には配列番号6と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilAの免疫原性断片を含む。例えば、PilAの免疫原性断片は、配列番号6の少なくとも7、10、15、20、25、30又は50個の連続するアミノ酸を含み得る。例えば、PilAの免疫原性断片は、配列番号6の少なくとも7、10、15、20、25、30、50、又は100個の連続するアミノ酸、配列番号6の最大148個の連続するアミノ酸を含み得る。免疫原性断片は、配列番号6に結合することができる抗体を誘発し得る。
【0042】
別の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号7(国際公開第2012/139225A1号の配列番号127に相当する):
配列番号7 H.インフルエンザ株86-028NP由来のPilAのアミノ酸40~149
と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片を含む。
【0043】
別の実施形態では、免疫原性組成物は、好適には配列番号7(国際公開第2012/139225A1号の配列番号127に相当する)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilAの免疫原性断片を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号7(国際公開第2012/139225A1号の配列番号127に相当する)のアミノ酸配列を含む(又はからなる)ヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilAの免疫原性断片を含む。
【0044】
PE-PilA融合タンパク質
ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片は、融合タンパク質として提示され得る。したがって、一実施形態では、免疫原性組成物は、融合タンパク質として提示されるヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片を含む。好適には、融合タンパク質は、融合タンパク質(PE-PilA融合タンパク質)のN末端にヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片を、C末端にヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片を含み得る。別の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号8(国際公開第2012/139225A1号の配列番号194に相当する、LVL-735)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するPE-PilA融合タンパク質としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片を含む。特に、免疫原性組成物は、配列番号8(国際公開第2012/139225A1号の配列番号194に相当する、LVL-735)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するPE-PilA融合タンパク質としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインEの免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilAの免疫原性断片を含む。
配列番号8:LVL735(タンパク質):(pelB sp)(ProtE aa 20-160)(GG)(PilA aa40-149):
一実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号8(国際公開第2012/139225A1号の配列番号194に相当するLVL-735)のアミノ酸配列を含む(又はからなる)PE-PilA融合タンパク質としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインEの免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilAの免疫原性断片を含む。
【0045】
別の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号9(国際公開第2012/139225A1号の配列番号219に相当する、シグナルペプチドが除去されたLVL-735)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片を含む。特に、免疫原性組成物は、配列番号9(国際公開第2012/139225A1号の配列番号219に相当する、シグナルペプチドが除去されたLVL-735)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するPE-PilA融合タンパク質としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインEの免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilAの免疫原性断片を含む。
配列番号9:シグナルペプチドがないPE-PilA融合タンパク質
一実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号9(国際公開第2012/139225A1号の配列番号219に相当する、シグナルペプチドが除去されたLVL-735)のアミノ酸配列を含む(又はからなる)PE-PilA融合タンパク質としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインEの免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilAの免疫原性断片を含む。
【0046】
プロテインE(PE)及びPilin A(PilA)の免疫原性断片の免疫原性は、国際公開第2012/139225A1号に記載されるように測定され得る。
【0047】
UspA2
本発明の免疫原性組成物は、UspA2ポリペプチドを含む。遍在性表面タンパク質A2(UspA2)は、電子顕微鏡写真でロリポップ型共通構造として見られる三量体オートトランスポーターである(Hoiczyk et al. EMBO J. 19: 5989-5999 (2000))。UspA2は、N末端頭部と、続く両親媒性ヘリックスによって終了する軸、及びC末端膜ドメインから構成される。(Hoiczyk et al. EMBO J. 19: 5989-5999 (2000))。UspA2は、非常によく保存されたドメインを含有し(Aebi et al., Infection & Immunity 65(11) 4367-4377 (1997))、マウスモラクセラ・カタラーリス負荷モデルにおいて受動伝達時に保護が示されたモノクローナル抗体によって認識される(Helminnen et al. J Infect Dis. 170(4): 867-72 (1994))。UspA2は、宿主構造並びにフィブロネクチン(Tan et al., J Infect Dis. 192(6): 1029-38 (2005))及びラミニン(Tan et al., J Infect Dis. 194(4): 493-7 (2006))のような細胞外マトリックスタンパク質と相互作用することが示されており、モラクセラ・カタラーリス感染の初期段階で役割を果たし得ることが示唆される。UspA2はまた、正常なヒト血清の殺菌活性に抵抗するモラクセラ・カタラーリスの能力にも関与しているようである。(Attia AS et al. Infect Immun 73(4): 2400-2410 (2005))。UspA2は、(i)補体阻害因子C4bpと結合して、モラクセラ・カタラーリスが古典的補体系を阻害することを可能にし、(ii)血清からC3を吸着することにより代わりの補体経路の活性化を妨げ、(iii)補体調節タンパク質ビトロネクチンと結合することにより、補体系の最終段階である膜侵襲複合体(MAC)と干渉する(de Vries et al., Microbiol Mol Biol Rev. 73(3): 389-406 (2009))。
【0048】
本明細書で使用される場合、「UspA2」は、モラクセラ・カタラーリス由来の遍在性表面タンパク質A2を意味する。UspA2は、ATCC25238からの配列番号10のアミノ酸配列(国際公開第2015/125118A1号の配列番号1に相当する):
(配列番号10)
並びに全長にわたり、配列番号10と少なくとも又は正確に63%、66%、70%、72%、74%、75%、77%、80%、84%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有する配列を含み得る(又はからなり得る)。
【0049】
UspA2ポリペプチドは、全長UspA2又はその免疫原性断片であり得る。特定の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号10と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するUspA2ポリペプチドを含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号10と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するモラクセラ・カタラーリス由来のUspA2の免疫原性断片を含む。例えば、UspA2の免疫原性断片は、配列番号10の少なくとも7、10、15、20、25、30又は50個の連続するアミノ酸を含み得る。例えば、UspA2の免疫原性断片は、配列番号10の少なくとも7、10、15、20、25、30、50、100、200、300、400、500又は600個の連続するアミノ酸、配列番号10の最大629個の連続するアミノ酸を含み得る。免疫原性断片は、配列番号10に結合することができる抗体を誘発し得る。
【0050】
配列番号10に記載されるUspA2は、シグナルペプチド(例えば配列番号10のアミノ酸1~29)、ラミニン結合ドメイン(例えば配列番号10のアミノ酸30~177)、フィブロネクチン結合ドメイン(例えば配列番号10のアミノ酸165~318)(Tan et al. JID 192: 1029-38 (2005))、C3結合ドメイン(例えば配列番号10のアミノ酸30~539(国際公開第2007/018463号)、又は配列番号10のアミノ酸30~539の断片、例えば配列番号1のアミノ酸165~318(Hallstrom T et al. J. Immunol. 186: 3120-3129 (2011))、両親媒性ヘリックス(例えば、異なる予測方法を使用して同定された、配列番号10のアミノ酸519~564又は配列番号10のアミノ酸520~559)、及びC末端アンカードメイン(例えば配列番号10のアミノ酸576~630 (Brooks et al., Infection & Immunity, 76(11), 5330-5340 (2008))を含有する。一実施形態では、UspA2ポリペプチドは、ラミニン結合ドメイン及びフィブロネクチン結合ドメインを含有する。さらなる実施形態では、UspA2の免疫原性断片は、ラミニン結合ドメイン、フィブロネクチン結合ドメイン及びC3結合ドメインを含有する。さらなる実施形態では、UspA2ポリペプチドは、ラミニン結合ドメイン、フィブロネクチン結合ドメイン、C3結合ドメイン及び両親媒性ヘリックスを含有する。
【0051】
UspA2アミノ酸の差異は様々なモラクセラ・カタラーリス種で記載されている。例えば、J Bacteriology 181(13):4026-34 (1999), Infection and Immunity 76(11):5330-40 (2008) and PLoS One 7(9):e45452 (2012)を参照。UspA2ポリペプチドは、AA(アミノ酸)30~298、AA299~302、AA303~333、AA334~339、AA349、AA352~354、AA368~403、AA441、AA451~471、AA472、AA474~483、AA487、AA490、AA493、AA529、AA532又はAA543からなる群から選択されるいずれか1つ以上のアミノ酸において配列番号10と異なるアミノ酸配列を含み得る(又はからなり得る)。UspA2ポリペプチドは、配列番号10と比較してアミノ酸挿入を含有するという点で配列番号10と異なるアミノ酸配列を含み得る(又はからなり得る)。UspA2は、配列番号22~配列番号58におけるアミノ酸差異のいずれか1つにおいて配列番号10と異なるアミノ酸配列を含み得る(又はからなり得る)。例えば、配列番号10は、アミノ酸70においてQの代わりにK、アミノ酸135においてGの代わりにQ及び/又はアミノ酸216においてNの代わりにDを含有し得る。
【0052】
UspA2は、M.カタラーリス株ATCC(US登録商標)25238(商標)、アメリカ2933、アメリカ2912、アメリカ2908、フィンランド307、フィンランド353、フィンランド358、フィンランド216、オランダH2、オランダF10、ノルウェー1、ノルウェー13、ノルウェー20、ノルウェー25、ノルウェー27、ノルウェー36、BC5SV、ノルウェー14、ノルウェー3、フィンランド414、日本Z7476、ベルギーZ7530、ドイツZ8063、アメリカO12E、ギリシャMC317、アメリカV1122、アメリカP44、アメリカV1171、アメリカTTA24、アメリカO35E、アメリカSP12-6、アメリカSP12-5、スウェーデンBC5、アメリカ7169、フィンランドFIN2344、アメリカV1118、アメリカV1145又はアメリカV1156由来のUspA2であり得る。UspA2は、配列番号10又は配列番号22~配列番号38のいずれかで示されるUspA2であり得る。UspA2は、配列番号10又は配列番号22~配列番号58のいずれか1つのUspA2の配列に相当する別の供給源由来のUspA2であり得る。相当するUspA2配列は、様々なアルゴリズムを用いて当業者により決定され得る。例えば、Gapプログラム又はNeedleプログラムが、配列番号10又は配列番号22~配列番号58のいずれか1つに相当するUspA2配列を決定するために使用され得る。
【0053】
UspA2は、その全長にわたり配列番号10又は配列番号22~配列番号58のいずれかと少なくとも95%の同一性を有する配列であり得る。特定の実施形態では、UspA2は、配列番号10、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、及び配列番号58又は配列番号1若しくは配列番号22~配列番号58のいずれかのサブセットからなる群から選択されるアミノ酸配列に記載される配列であり得る。
【0054】
UspA2の免疫原性断片は、配列番号10の少なくとも450個の連続するアミノ酸、配列番号10の490個の連続するアミノ酸(例えば、MC-004又はMC-005のUspA2断片)、配列番号10の511個の連続するアミノ酸(例えば、構築物MC-001、MC-002、MC-003又はMC-004のUspA2断片)、配列番号10の534個の連続するアミノ酸(例えば、MC-009又はMC-011のUspA2断片)又は配列番号10の535個の連続するアミノ酸(例えば、MC-007、MC-008又はMC-010のUspA2断片)の免疫原性断片を含む。免疫原性断片は、配列番号10に結合することができる抗体を誘発し得る。
【0055】
UspA2の免疫原性断片は、配列番号10の少なくとも450、490、511、534又は535個の連続するアミノ酸の免疫原性断片を含み得る。例えば、UspA2の免疫原性断片は、配列番号10の少なくとも450、490、511、534又は535個の連続するアミノ酸、配列番号10の最大629個のアミノ酸の免疫原性断片を含み得る。UspA2の免疫原性断片は、Uspa2の免疫原性断片、例えばUspA2構築物MC-001(配列番号11)、MC-002(配列番号12)、MC-003(配列番号13)、MC-004(配列番号14)、MC-005(配列番号15)、MC-006(配列番号16)、MC-007(配列番号17)、MC-008(配列番号18)、MC-009(配列番号19)、MC-010(配列番号20)又はMC-011(配列番号21)のいずれかを含み得る。免疫原性断片は、断片が由来する全長配列と結合することができる抗体を誘発し得る。
【0056】
別の実施形態では、免疫原性組成物は、MC-001(配列番号11)、MC-002(配列番号12)、MC-003(配列番号13)、MC-004(配列番号14)、MC-005(配列番号15)、MC-006(配列番号16)、MC-007(配列番号17)、MC-008(配列番号18)、MC-009(配列番号19)、MC-010(配列番号20)又はMC-011(配列番号21)からなる群から選択されるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するUspA2ポリペプチドを含む。例えば、免疫原性組成物は、MC009 配列番号19(国際公開第2015/125118A1号の配列番号69に相当する)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するUspA2ポリペプチドを含み得る。
配列番号19 MC-009(タンパク質)-(M)(UspA2 31-564)(HH)
一実施形態では、免疫原性組成物は配列番号19のアミノ酸配列(国際公開第2015/125118A1号の配列番号69に相当する)を含む(又はからなる)UspA2ポリペプチドを含み得る。
【0057】
UspA2ポリペプチドの免疫原性は、国際公開第2015/125118A1号に記載されるように測定され得る。
【0058】
アジュバント
本発明の免疫原性組成物は、薬学的に許容されるアジュバントをさらに含み得る。
【0059】
好適なアジュバントとしては、アルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムゲル又はリン酸アルミニウム又はミョウバンが含まれるが、カルシウム、マグネシウム、鉄若しくは亜鉛の塩であってもよく、又はアシル化チロシン若しくはアシル化糖、陽イオン的に又は陰イオン的に誘導体化された糖類、又はポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。特定の実施形態では、タンパク質抗原はリン酸アルミニウムに吸着させてもよい。別の実施形態では、タンパク質抗原は水酸化アルミニウムに吸着させてもよい。第3の実施形態では、ミョウバンをアジュバントとして使用してもよい。
【0060】
優勢なTh1応答を促進する好適なアジュバント系としては、脂質Aの非毒性誘導体、モノホスホリル脂質A(MPL)又はその誘導体、特に、3-デ-O-アシル化モノホスホリル脂質A(3D-MPL)(その製法については英国特許出願第2220211A号を参照);及びモノホスホリル脂質A、例えば3-デ-O-アシル化モノホスホリル脂質Aと、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウム)又は水中油型エマルションのいずれかとの組合せが含まれる。そのような組合せでは、抗原及び3D-MPLは同じ粒子構造に含有され、抗原性シグナルと免疫刺激性シグナルのより効果的な送達を可能にする。研究により、3D-MPLがミョウバン吸着抗原の免疫原性をさらに増強できることが示されている(Thoelen et al. Vaccine (1998) 16:708-14; EP 689454-B1)。
【0061】
一実施形態では、薬学的に許容されるアジュバントはAS01である。AS01は、MPL(3-O-デスアシル-4'-モノホスホリル脂質A)、QS21((シャボンノキ(Quillaja Saponaria Molina)、画分21) Antigenics, New York, NY, USA)及びリポソームを含有するアジュバント系である。AS01Bは、MPL、QS21及びリポソーム(50μgのMPL及び50μgのQS21)を含有するアジュバント系である。AS01Eは、MPL、QS21及びリポソーム(25μgのMPL及び25μgのQS21)を含有するアジュバント系である。特定の実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンはAS01を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンはAS01B又はAS01Eを含む。特定の実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンはAS01Eを含む。
【0062】
さらなる実施形態では、薬学的に許容されるアジュバントは、AS02、AS03又はAS04であり得る。AS02は、油/水エマルション中にMPL及びQS21を含有するアジュバント系である。AS02Vは、油/水エマルション中にMPL及びQS21を含有するアジュバント系である(50μgのMPL及び50μgのQS21)。AS03は、油/水(o/w)エマルション中にα-トコフェロール及びスクアレンを含有するアジュバント系である。AS03Aは、o/wエマルション中にα-トコフェロール及びスクアレンを含有するアジュバント系である(11.86mgのトコフェロール)。AS03Bは、o/wエマルション中にα-トコフェロール及びスクアレンを含有するアジュバント系である(5.93mgのトコフェロール)。AS03Cは、o/wエマルション中にα-トコフェロール及びスクアレンを含有するアジュバント系である(2.97mgのトコフェロール)。特定の実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンは、AS03を含む。AS04は、アルミニウム塩(500μgのAl3+)に吸着されたMPL(50μgのMPL)を含有するアジュバント系である。特定の実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンはAS04を含む。
【0063】
QS21及び3D-MPLの使用を含む系が国際公開第94/00153号に開示されている。QS21がコレステロールでクエンチされる組成物が国際公開第96/33739号に開示されている。水中油エマルション中にQS21、3D-MPL及びトコフェロールを含むさらなるアジュバント製剤が国際公開第95/17210号に記載されている。特定の実施形態では、免疫原性組成物はサポニンをさらに含み、QS21であり得る。製剤はまた、水中油型エマルション及びトコフェロール(国際公開第95/17210号)も含み得る。非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド(国際公開第96/02555号)及び他の免疫調節オリゴヌクレオチド(国際公開第0226757号及び国際公開第03507822号)もTH1応答の優先的な誘導物質であり、本発明での使用に好適である。
【0064】
さらなるアジュバントは、金属塩、水中油型エマルション、Toll様受容体アゴニスト(特に、Toll様受容体2アゴニスト、Toll様受容体3アゴニスト、Toll様受容体4アゴニスト、Toll様受容体7アゴニスト、Toll様受容体8アゴニスト及びToll様受容体9アゴニスト)、サポニン又はこれらの組合せの群から選択されるものである。
【0065】
投与量
本発明は、15~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(場合により配列番号9のPE-PilA融合タンパク質)、15~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド)及び6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド)を含む免疫原性組成物を提供する。本発明はまた、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(場合により配列番号9のPE-PilA融合タンパク質)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド)及び6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド)を含む免疫原性組成物も提供する。本発明はまた、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(場合により配列番号9のPE-PilA融合タンパク質)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド)を含む免疫原性組成物も提供する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~15μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。
【0066】
用量は、対象、例えばヒトに単回の単位用量として投与されてもよい。また、数回の別々の単位用量が投与されてもよい。例えば、別々の単位用量を、生後1年以内に別々のプライミング用量として、又は一定間隔で(例えば1年、5年又は10年ごとに)与えられる別々のブースター容量として投与されてもよい。一実施形態では、本発明は、単位用量形態の免疫原性組成物を提供する。本発明の免疫原性組成物は、0.1~1mlの間の範囲、例えば0.5mlの単位用量で患者に投与されてもよい。0.5mlとの言及は、正常変動、例えば0.5ml+/-0.05mlを含むと理解されるであろう。したがって、本発明はまた、0.5ml用量中に、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む免疫原性組成物も提供する。
【0067】
所望の治療又は生物学的効果を達成するために必要とされる免疫原性組成物中のタンパク質抗原の量は、いくつかの要因、例えば投与の手段、レシピエント、並びに処置される状態の型及び重症度により、最終的には担当医師又は獣医の裁量であろう。例えば、2つの特定の免疫原性組成物が、国際公開第2015125118号においてマウスモラクセラ・カタラーリス肺炎症モデルで評価された(国際公開第2015125118号の実施例14を参照):
-PD 10μg/PE-PilA(国際公開第2012/139225号に記載される、LVL735構築物) 10μg/UspA2(国際公開第2015125118号に記載される、MC009構築物) 10μg/AS01E
-OR
-PD 10μg/PE-PilA(国際公開第2012/139225号に記載される、LVL735構築物) 10μg/UspA2(国際公開第2015125118号に記載される、MC009構築物) 3.3μg/AS01E
【0068】
したがって、特定の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、好適には0.5ml用量中に、10μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)及び10μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、好適には0.5ml用量中に、10μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)及び3.3μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、20μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。
【0069】
製剤
本発明の免疫原性組成物は、液体形態(すなわち溶液若しくは懸濁液)、又は固体(例えば冷凍乾燥/凍結乾燥されている)形態で製剤化されてもよい。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、液体形態、好適には水性液体形態である。本発明の免疫原性組成物は、(i)凍結乾燥する前の製剤の製造中及び/又は(ii)患者への投与前の再構成後、液体形態であってもよい。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体形態(例えば凍結乾燥されている)である。
【0070】
特定の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、液体形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)及びUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、本発明は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、8.3μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む免疫原性組成物を提供する。そのような免疫原性組成物は、製造中に、例えばバルクの免疫原性組成物として調製されてもよい。バルクの免疫原性組成物は、続いて凍結乾燥されてもよい。例えば、一定量(例えば0.5ml)を取り、凍結乾燥し、凍結乾燥形態の本発明の免疫原性組成物を産生してもよい。本発明の免疫原性組成物が固体形態(例えば凍結乾燥されている)である場合、異なる量の抗原及び賦形剤(例えば抗酸化剤、ポロキサマー等)が、乾燥するステップの前の、最初の液体組成物(バルクの免疫原性組成物)を参照して表されてもよい。
【0071】
本発明の免疫原性組成物は、固体形態(例えば凍結乾燥されている)であってもよい。初めて、本発明は、タンパク質抗原:場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド並びにUspA2ポリペプチドを含む凍結乾燥されている組成物を提供する。特に、凍結乾燥されている組成物を提供し、(i)タンパク質抗原の凝集(特に剪断ストレスによって起こる凝集)を減少させる、及び/又は(ii)タンパク質抗原の酸化(特にメチオニン残基の酸化)を減らし、従ってタンパク質抗原の構造及び機能の維持を助ける。したがって、特定の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体(例えば凍結乾燥されている)形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)及びUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~13μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~13μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、4.15μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)を含む。
【0072】
固体形態(例えば凍結乾燥されている)の本発明の免疫原性組成物は、ワクチン投与前に再構成されてもよい。固体(例えば凍結乾燥されている)形態の免疫原性組成物は、投与前に注射用水(WFI)及び/又はアジュバント(例えばAS01E)で再構成されてもよい。本発明の免疫原性組成物は、アジュバント、例えばAS01Eをさらに含み得る。したがって、本発明の免疫原性組成物は、液体形態(場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液で再構成される)であってもよい。一実施形態では、免疫原性組成物は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、0.5ml用量中に、10μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3.3μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。
【0073】
ポロキサマー
本発明は、一部、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;UspA2ポリペプチドを含む免疫原性組成物中のポロキサマーの必要性及び使用の同定に基づき、本発明により、タンパク質抗原の凝集及び非特異的な吸着を軽減し、他の界面活性剤、例えばポリソルベートよりも優れた特性を提供することが見出された。そのような凝集は、プロセシング中に起こり、タンパク質が気体又は固体表面と接触するといつもタンパク質のデフォールディングのリスクが増加する。
【0074】
タンパク質凝集は、熱、圧力、pH、撹拌、剪断力、凍結融解、脱水、重金属、フェノール化合物、シリコン油、変性剤等を含む、生理化学的なストレスによって起こり得る。実施例において本明細書に記載されるように、PE-PilA融合タンパク質及びUspA2ポリペプチドは製剤化プロセス中に起こり得る剪断ストレスの影響を受けやすく、免疫原性組成物へのポロキサマーの添加は、剪断ストレスによるPE-PilA融合タンパク質及びUspA2ポリペプチドの凝集の形成を軽減できることが見出された。PE-PilA融合タンパク質及びUspA2ポリペプチドが剪断ストレスによる凝集の影響を受けやすいことは事前に分かっておらず、したがって、驚くべきことに、ポロキサマーの添加が改善された免疫原性組成物を提供する(本明細書の実施例4を参照)。したがって、本発明は、安定性の改善された免疫原性組成物を提供する。本発明は、ポロキサマーなしで製剤化された免疫原性組成物と比較して安定性の改善された免疫原性組成物を提供する。本発明により、ポロキサマーが、本発明の免疫原性組成物の特定の吸着を減少させることも助け得ることも見出された。したがって、本発明は改善された免疫原性組成物を提供する。
【0075】
ポロキサマーは、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中心疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロック線状コポリマーである。ポリマーの長さは多様であり得る。ポロキサマーは、7500~15000又は7500~10000の範囲の分子量を有し得る。好適には、ポロキサマーは、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338及びポロキサマー407からなる群から選択される。一実施形態では、ポロキサマーはポロキサマー188(PX188)である。
【0076】
【化1】
ポロキサマー188は、7680~9510 Daの範囲の分子量を有する。Khan et al. (European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 97 (2015) 60-67)は、一般的に、治療用製剤中の非イオン性界面活性剤の使用について記載している。
【0077】
本発明の免疫原性組成物では、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)は、少なくとも0.02%(w/v、すなわち製剤の重量/体積)の量で存在し得る。本発明の免疫原性組成物では、ポロキサマー(場合によりポロキサマー188)は、0.02~0.15%(w/v)、好適には0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.06%、又は0.04~0.05%(w/v)の量で存在し得る。特に、ポロキサマーは0.03%、0.04%、0.05%、又は0.06%(w/v)の量で存在し得る。
【0078】
したがって、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)を含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、及び0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v、すなわち製剤の重量/体積)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及び0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v、すなわち製剤の重量/体積)を含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、8.3μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及び0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v、すなわち製剤の重量/体積)を含む。ポロキサマーは、0.02~0.15%(w/v)、好適には0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、又は0.04~0.06%(w/v)の量で存在し得る。特に、ポロキサマーは0.03%、0.04%、0.05%、0.06%又は0.07%(w/v)の量で存在し得る。
【0079】
別の実施形態では、本発明は、固体、例えば凍結乾燥されている形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びポロキサマーを含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びポロキサマーを含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、4.15μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)及びポロキサマーを含む。ポロキサマーは、0.1~0.5mg、好適には0.15~0.45mg、0.2~0.4mg、0.2~0.35mg又は0.2~0.3mg、例えば0.25mgの量で存在し得る。特に、ポロキサマーは、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg又は0.5mgの量で存在し得る。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。再構成後、ポロキサマーは、0.02~0.15%、好適には0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.4~0.9%、又は0.03~0.05%(w/v)の量で存在し得る。特に、ポロキサマーは、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%又は0.07%(w/v)の量で存在し得る。
【0081】
ポリソルベート80
本発明は、一部、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;UspA2ポリペプチドを含む免疫原性組成物中のポリソルベート80の必要性及び使用の同定にも基づく。ポリソルベート80(PS80、Tween80、ソルビタンモノオレートとしても公知)は、非イオン性界面活性剤である。ポリソルベート80は、本発明により、タンパク質抗原の安定性を増加することが見出された。驚くべきことに、本発明者らは、ポリソルベート80の添加(ポリソルベート80の残留量でさえも)が、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)を含有する免疫原性組成物中のタンパク質抗原の安定性をさらに改善することを見出した。実施例において本明細書に記載されるように(本明細書の実施例5及び6を参照)、非常に低レベルのポリソルベート80、例えば残留レベルのポリソルベート80、及びポロキサマー188が界面活性剤としてすでに存在している場合でさえも、UspA2ポリペプチドの安定性はポリソルベート80の存在下で増加されることが見出された。HP-SEC Fluo測定中のUspA2ポリペプチドのプレピークの形成(UspA2ポリペプチドの安定性の欠如を示す)及びポリソルベート80の存在下で観察される改善は予期されなかった。したがって、本発明は、安定性の改善された免疫原性組成物を提供する。本発明は、PS80なしで製剤化された免疫原性組成物と比較して安定性の改善された免疫原性組成物を提供する。残留量の賦形剤(例えばポリソルベート80)は、典型的には、その賦形剤の目的で免疫原性組成物に通常使用されるよりも少ない量(例えばポリソルベート80の場合、界面活性剤としての作用の目的で通常必要とされるよりも少ない量)である。例えば、残留量のポリソルベート80は、臨界ミセル濃度(界面活性剤が疎水性-親水性界面にそれ自体を単に置くよりもミセル(小胞)を形成し始める濃度)より低い、例えば0.05%(w/v)未満、好適には0.03%(w/v)未満でもよい。残留量は、免疫原性組成物の最終製剤化(混合)中に添加されてもよいが、免疫原性組成物の最終製剤化(混合)前のプロセシングステップでポリソルベート80を含めることにより存在してもよい。
【0082】
本発明の免疫原性組成物では、ポリソルベート80は、残留量、例えば0.03%(w/v)未満、例えば0.00001%~0.03%(w/v)(例えば0.0001%~0.03%(w/v)の量)で存在してもよい。好適には、免疫原性組成物中のポリソルベート80の量は、0.03%未満、0.025%未満、0.02%未満、0.015%未満又は0.01%(w/v)未満でもよい。好ましくは、本発明の免疫原性組成物では、ポリソルベート80は、0.0001~0.03%、より好ましくは0.0001~0.02%(w/v)、より好ましくは0.0001%~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在してもよい。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在してもよい。
【0083】
したがって、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80を含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及び0.0001~0.02%のポリソルベート80(w/v)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、及び0.0001%~0.02%のポリソルベート80(w/v)を含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、8.3μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、及び0.0001%~0.02%のポリソルベート80(w/v)を含む。ポリソルベート80は、0.0001~0.03%(w/v)、好ましくは0.0001~0.02%(w/v)、より好ましくは0.0001%~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在してもよい。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在してもよい。
【0084】
別の実施形態では、本発明は、固体、例えば凍結乾燥されている形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えば0.1~0.5mg)及びポリソルベート80を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー及びポリソルベート80を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、4.15μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー及びポリソルベート80を含む。ポリソルベート80は、1~50μgの量で存在し得る。ポリソルベート80は、1~10μg、好適には1~6μg、1~5μg、2~4μg又は3~4μg、例えば3.2μgの量で存在し得る。特に、ポリソルベート80は、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg又は5μgの量で存在し得る。
【0085】
別の実施形態では、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、ポリソルベート80及びアジュバント(例えばAS01E)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、0.0001~0.02%のポリソルベート80(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、0.0001~0.02%のポリソルベート80(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。再構成後、ポリソルベート80は、0.0001~0.02%(w/v)、好適には0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0086】
抗酸化剤
本発明は、一部、プロテインDポリペプチドを含む免疫原性組成物、例えば、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;モラクセラ・カタラーリス由来のUspA2ポリペプチドを含む免疫原性組成物中の、タンパク質抗原の酸化を軽減する抗酸化剤(例えばL-メチオニン)の必要性及び使用の同定にも基づく。実施例において本明細書に記載されるように、プロテインDは、製剤化プロセス、例えば凍結乾燥中に起こり得る(メチオニン192の酸化によって測定される)酸化の影響を受けやすく、免疫原性組成物への抗酸化剤、例えばL-メチオニンの添加は、製剤化プロセス中、例えば凍結乾燥中に起こり得るプロテインDの酸化を軽減することができる。プロテインDが製剤化プロセス中の酸化の影響を受けやすいことは事前に分かっておらず、抗酸化剤の添加が、抗酸化剤なしで製剤化された免疫原性組成物と比較して改善された免疫原性組成物を提供することが見出された(本明細書の実施例2及び3を参照)。本明細書に記載される組成物での使用のための抗酸化剤は、製剤に添加され、プロセス又は組成物におけるタンパク質抗原の酸化を防止する又は減少させることができる薬学的に許容される試薬である。
【0087】
一実施形態では、抗酸化剤の添加は、プロテインDポリペプチドの酸化を防止又は減少させる。ポリペプチド又はペプチド、例えばワクチン抗原のメチオニン残基は、酸化、例えば過酸化水素の存在による、又は単に周囲空気との接触による、若しくはプロセス、例えば冷凍乾燥中に酸化されやすくなり得る。過酸化水素は、生物医薬の産生に使用される装置の滅菌の残りであり(残留過酸化水素)、製剤へと吸着又は拡散され得る。製剤は、空気と接触するようになり、及び/又は例えばプロセス、例えば製剤が凍結乾燥され、固体産物(冷凍乾燥塊)を産生する冷凍乾燥中に、より酸化されやすくなり得る。
【0088】
特定の実施形態では、抗酸化剤は、プロテインDポリペプチドのメチオニン基(例えばメチオニン192、配列番号2のメチオニン192に相当するアミノ酸)の酸化を減少させる。当業者は、プロテインDポリペプチド配列が配列番号2のアミノ酸配列のバリアント及び/又は断片、例えば配列番号2と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%又は99%同一なアミノ酸配列である場合、「Met192」(すなわちメチオニン192)という言及は、この配列を2つの配列間の配列同一性を最大にするため、配列番号2のアミノ酸配列と並べた場合、指定した位置と等価な位置を指すと理解するであろう。配列アラインメントツールは、Clustal Omega (www(.)ebi(.)ac(.)ac(.)uk) MUSCLE (www(.)ebi(.)ac(.)uk)、又はT-coffee (www(.)tcoffee(.)org)に限定されない。一態様では、使用された配列アラインメントツールは、Clustal Omega (www(.)ebi(.)ac(.)ac(.)uk)である。
【0089】
特定の実施形態では、抗酸化剤は、メチオニン基の酸化を、過酸化水素の不在下での酸化以下のレベルに減少させる。本明細書に記載される実施形態では、ポリペプチドの酸化は、当技術分野で公知の方法、例えば実施例において本明細書に記載されるものによって観察又は測定され得る。タンパク質の酸化は、質量分析、RP-HPLC及びSDS-PAGEによって観察又は測定され得る。特定の実施形態では、これら3つの方法のうちの2つ、例えば質量分析とRP-HPLCが使用され、酸化のレベルが観察又は測定される。別の実施形態では、3つ全ての方法が使用される。一実施形態では、抗酸化剤は、生体分子又はベクターの純度に悪影響を及ぼさずに生体分子又はベクターの酸化に対して保護する抗酸化剤であり、例えばRP-HPLC及び/又はLC-MSによって検出可能な分解生成物を生じない。
【0090】
本明細書に記載される免疫原性組成物での使用のための薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、賦形剤、例えばN-アセチルシステイン、L-システイン、グルタチオン、モノチオグリセロールを含有するチオール;及び賦形剤、例えばL-メチオニン又はD-メチオニンの形態のメチオニンを含有するチオエーテル;並びにアスコルビン酸が挙げられる。アミノ酸抗酸化剤、例えばメチオニンは、メチオニン又は他のアミノ酸の単量体若しくは二量体若しくは多量体形態、又は混合された二量体若しくは多量体、例えば1つ以上の別のアミノ酸とメチオニンに存在するアミノ酸を含む。多量体アミノ酸は、例えば全部で3又は4又は5又は6又は7又は8個のアミノ酸までを含有してもよく、それらは全て同じ、例えば全てメチオニン、又は全てシステインであってもよく、又は例えば少なくとも1つのメチオニン又はシステインを含むアミノ酸の混合物であってもよく、又は例えばメチオニン若しくはシステインが優勢である、又はメチオニンとシステインの混合物が優勢である。メチオニン若しくはシステインの短鎖ペプチド、又はメチオニンの混合物の短鎖ペプチドが含まれる。特定の実施形態では、抗酸化剤は、L-メチオニン、L-システイン及びグルタチオンから選択される自然発生のアミノ酸である。別の実施形態では、抗酸化剤はL-メチオニン又はL-システインである。特定の実施形態では、抗酸化剤はメチオニン(例えばL-メチオニン)である。特定の実施形態では、メチオニンは単量体形態で存在する。
【0091】
特定の実施形態では、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)は、免疫原性組成物中に0.05mM~50mMの間の濃度で存在する。本発明の免疫原性組成物では、抗酸化剤(場合によりL-メチオニン)は、0.1~20mM、0.1~15mM、又は0.5~15mM、好適には5~15mM、7~12mM、8~12mM又は8~10mMの量で存在してもよい。特に、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)の濃度は、8mM、9mM、10mM、11mM又は12mMであってもよい。
【0092】
好適には、本発明の免疫原性組成物は、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)とポロキサマー(例えばポロキサマー188)の両方を含む。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、0.1~20mM、0.1~15mM、又は0.5~15mM、好適には5~15mM、8~12mM又は8~10mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及び0.02~0.15%、好適には0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.06%又は0.04~0.05%(w/v)のポロキサマー(例えばポロキサマー188)を含む。好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80を含む。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、0.1~20mM、0.1~15mM、又は0.5~15mM、好適には5~15mM、8~12mM又は8~10mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及び0.02~0.15%、好適には0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.06%又は0.04~0.05%(w/v)のポロキサマー(例えばポロキサマー188)及び0.0001~0.02%、好適には0.0001~0.01%、0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%、又は0.0004~0.0012%(w/v)のポリソルベート80を含む。
【0093】
したがって、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、及び抗酸化剤(例えばL-メチオニン)を含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及び5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、及び0.1~20mMのメチオニン(例えばL-メチオニン)を含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、及び8.3μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及び0.1~20mMのメチオニン(例えばL-メチオニン)を含む。抗酸化剤(例えばL-メチオニン)の濃度は、0.1~20mM、0.1~15mM、又は0.5~15mM、好適には5~15mM、8~12mM又は9~11mMであり得る。特に、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)の濃度は、8mM、9mM、10mM、11mM又は12mMであり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.02%(w/v)、好適には0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%、又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、固体、例えば凍結乾燥されている形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、及び抗酸化剤(例えばL-メチオニン)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えば0.1~0.5mg)及び抗酸化剤(例えばL-メチオニン)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー及び抗酸化剤(例えばL-メチオニン)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、4.15μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー及び抗酸化剤(例えばL-メチオニン)を含む。抗酸化剤(例えばL-メチオニン)は、0.5~1.0mg、好適には0.6~0.9mg、0.7~0.8mg、例えば0.75mgの量で存在し得る。特に、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)は、0.5mg、0.55mg、0.6mg、0.65mg、0.7mg、0.75mg、0.8mg、0.85mg、0.9mg、0.95mg又は1.0mgの量で存在し得る。一実施形態では、凍結乾燥されている免疫原性組成物中の抗酸化剤の濃度は、凍結乾燥する前の抗酸化剤の濃度より低い。そのような免疫原性組成物は、1~50μg、好ましくは1~10μg、より好ましくは1~6μg、1~5μg、2~4μg又は3~4μg、例えば3.2μgの量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg又は5μgの量で存在し得る。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインD(例えば配列番号2)の免疫原性断片、UspA2(例えば配列番号19)の免疫原性断片、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及び抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及び0.1~20mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、及び0.1~20mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)及び6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)及び0.1~20mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。再構成後の抗酸化剤(例えばL-メチオニン)の濃度は、0.1~20mM、0.1~15mM、又は0.5~15mM、好適には5~15mM、6~10mM又は7~9mMであり得る。特に、再構成後のメチオニンの濃度は、6mM、7mM、8mM、9mM又は10mMであり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.03%(w/v)、好ましくは0.0001~0.02%(w/v)、より好ましくは0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0096】
スクロース
本発明の免疫原性組成物は、糖、場合によりスクロースをさらに含み得る。好適には、本発明の免疫原性組成物は、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)に加えてスクロースを含む。好適には、本発明の免疫原性組成物は、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80に加えてスクロースを含む。本発明の免疫原性組成物では、スクロースは1~10%、好適には3~7%、3~6%、4~6%又は4~5%(w/v)の量で存在し得る。特に、スクロースの濃度は3%、4%、5%、6%又は7%(w/v)であり得る。
【0097】
したがって、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びスクロースを含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及び1~10%のスクロース(w/v)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及び1~10%のスクロース(w/v)を含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、8.3μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及び1~10%のスクロース(w/v)を含む。スクロースの濃度は、1~10%、好適には3~7%、3~6%又は4~6%(w/v)であり得る。特に、スクロースの濃度は、3%、4%、5%、6%又は7%(w/v)であり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.02%(w/v)、好適には0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0098】
別の実施形態では、本発明は、固体、例えば凍結乾燥されている形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びスクロースを含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えば0.1~0.5mg)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びスクロースを含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)形態中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びスクロースを含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、4.15μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びスクロースを含む。スクロースは、10~50mg、好適には15~45mg、20~40mg、20~35mg又は20~30mg、例えば25mgの量で存在し得る。特に、スクロースは、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg又は50mgの量で存在し得る。そのような免疫原性組成物は、1~50μg、好ましくは1~10μg、より好ましくは1~6μg、1~5μg、2~4μg又は3~4μg、例えば3.2μgの量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg又は5μgの量で存在し得る。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース及びアジュバント(例えばAS01E)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)及び6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。免疫原性組成物(再構成後)中のスクロースの濃度は、1~10%、好適には2~6%、2~5%又は3~5%(w/v)であり得る。特に、再構成後のスクロースの濃度は、2%、3%、4%、5%又は6%(w/v)であり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.03%(w/v)、好ましくは0.0001~0.02%(w/v)、より好ましくは0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0100】
緩衝液
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、緩衝液を含む。好適には、本発明の免疫原性組成物は、スクロース、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)に加えて緩衝液を含む。好適には、本発明の免疫原性組成物は、スクロース、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80に加えて緩衝液を含む。一実施形態では、前記緩衝液は、約3.5~約7.5のpKaを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸、コハク酸、ヒスチジン又はクエン酸緩衝液である。ある特定の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液、好適にはリン酸カリウム(例えばKH2PO4/K2HPO4)である。
【0101】
本発明の免疫原性組成物では、緩衝液の濃度は、5~20mM、好適には10~15mM、10~14mM又は10~13mMであり得る。特に、緩衝液の濃度は、10.5mM、11.0mM、11.5mM、12.0mM、12.5mM、13.0mM、13.5mM、14.5mM又は15.0mMであり得る。
【0102】
したがって、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース及び緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)及び5~20mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)及び5~20mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、8.3μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)及び5~20mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む。緩衝液の濃度は、5~20mM、好適には10~15mM、11~14mM又は12~13mMであり得る。特に、緩衝液の濃度は、10.5mM、11.0mM、11.5mM、12.0mM、12.5mM、13.0mM、13.5mM、14.5mM又は15.0mMであり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.02%(w/v)、好適には0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、固体、例えば凍結乾燥されている形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース及び緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えば0.1~0.5mg)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース及び緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース及び緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、4.15μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース及び緩衝液(例えばリン酸緩衝液)を含む。そのような免疫原性組成物は、1~50μg、好ましくは1~10μg、より好ましくは1~6μg、1~5μg、2~4μg又は3~4μg、例えば3.2μgの量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg又は5μgの量で存在し得る。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号8又は9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース、緩衝液(例えばリン酸緩衝液)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)及びアジュバント(例えばAS01E)を含む。再構成後の緩衝液の濃度は、5~20mM、好適には8~12mM、9~11mM又は9.5~10.5mMであり得る。特に、再構成後の緩衝液の濃度は、8.0mM、8.5mM、9.0mM、9.5mM、10.0mM、10.5mM、11.0mM、11.5mM又は12.0mMであり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.03%(w/v)、好ましくは0.0001~0.02%(w/v)、より好ましくは0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0105】
pH
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物のpHは、pH5.0~9.0、pH5.5~8.5、pH6.0~8.0又はpH6.5~7.5であり得る。特に、本発明の免疫原性組成物のpHは、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、又はpH7.5であり得る。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物(例えば、アジュバントによる再構成後)のpHは、pH6.0~8.0、pH6.1~pH7.5、pH6.5~7.5、pH6.5~7.0又はpH6.5~pH6.7であり得る。特に、本発明の免疫原性組成物(例えば、アジュバントによる再構成後)のpHは、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、又はpH7.5であり得る。
【0106】
さらなる構成要素
個々の抗原性構成要素由来の残留物質もまた、本発明のプロセスによって産生される最終ワクチンに微量に存在し得る。例えば、抗原調製中にアルギニンが使用される場合、最終ワクチン産物は微量のアルギニンを含有し得る。したがって、一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、アルギニンを含む。抗原調製中に塩(例えばNaCl)が使用される場合、最終ワクチン産物は微量の塩(例えばNaCl)を含有し得る。したがって、一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、又はリン酸ナトリウムを含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、NaCl(塩化ナトリウム)を含む。残留量のアルギニン及び/又は塩に加えて、本発明の免疫原性組成物は残留量のポリソルベート80を含み得る。
【0107】
したがって、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース、緩衝液、アルギニン及び塩(例えばNaCl)を含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液、1~5mMのアルギニン及び1~10mMのNaClを含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液、1~5mMのアルギニン及び1~10mMのNaClを含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、場合により液体形態中に、25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、8.3μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液、1~5mMのアルギニン及び1~10mMのNaClを含む。アルギニンの濃度は、1~5mM、好適には1~4mM又は2~4mMであり得る。特に、アルギニンの最終濃度は、1mM、2mM、3mM、4mM又は5mMであり得る。塩(例えばNaCl)の濃度は、1~10mM、好適には2~7mM、3~6mM又は4~5mMであり得る。特に、塩(例えばNaCl)の濃度は、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM又は7mMであり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.03%(w/v)、好ましくは0.0001~0.02%(w/v)、より好ましくは0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0108】
別の実施形態では、本発明は、固体、例えば凍結乾燥されている形態中に、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース、緩衝液、アルギニン及び塩(例えばNaCl)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えば0.1~0.5mg)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース、緩衝液、アルギニン及び塩(NaCl)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース、緩衝液、アルギニン及び塩(例えばNaCl)を含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、固体剤形(例えば凍結乾燥されている)中に、12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、4.15μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース、緩衝液、アルギニン及び塩(例えばNaCl)を含む。そのような免疫原性組成物は、1~50μg、好ましくは1~10μg、より好ましくは1~6μg、1~5μg、2~4μg又は3~4μg、例えば3.2μgの量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg又は5μgの量で存在し得る。
【0109】
別の実施形態では、本発明は、PE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、プロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、UspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、スクロース、緩衝液、アルギニン及び塩(例えばNaCl)並びにアジュバント(例えばAS01E)を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液、1~5mMのアルギニン及び1~10mMの塩(例えばNaCl)並びにアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液、1~5mMのアルギニン及び1~10mMの塩(例えばNaCl)並びにアジュバント(例えばAS01E)を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、20μg/mlのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、0.02~0.15%のポロキサマー(例えばポロキサマー188)(w/v)、5~15mMの抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、1~10%のスクロース(w/v)、5~20mMの緩衝液、1~5mMのアルギニン及び1~10mMの塩(例えばNaCl)並びにアジュバント(例えばAS01E)を含む。再構成後のアルギニンの濃度は、1~4mM、好適には1~3mM又は2~3mMであり得る。特に、再構成後のアルギニンの濃度は、1mM、2mM、3mM、4mM又は5mMであり得る。再構成後の塩(例えばNaCl)の濃度は、1~10mM、好適には1~6mM又は2~5mMであり得る。特に、塩(例えばNaCl)の濃度は、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM又は7mMであり得る。そのような免疫原性組成物は、0.0001~0.02%(w/v)、好適には0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)の量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、0.0003~0.002%、0.0003~0.0009%、0.0003~0.0006%、0.0006~0.002%、又は0.0006~0.0009%(w/v)の量で存在し得る。
【0110】
提示
ある特定の実施形態では、免疫原性組成物は、容器、例えばバイアル、又はプレフィルドシリンジを含むシリンジ内に含有される。ある特定の実施形態では、容器はシリコン処理されている。
本発明の免疫原性組成物がバイアルで提示される場合、バイアルは好適にはガラス又はプラスチック材料製である。バイアルは、好ましくは組成物が添加される前に滅菌される。バイアルは単回用量のワクチンを含んでもよく、又は1回より多くの用量(「複数回用量」バイアル)、例えば10用量を含んでもよい。複数回用量バイアルを使用する場合、各用量は厳重な無菌状態下で滅菌針及びシリンジによって抜き出すべきであり、バイアル内容物の夾雑を避けるように注意する。バイアルはプレフィルドシリンジがキャップに挿入され得るように適応したキャップ(例えばルアーロック)を有してもよく、シリンジの内容物はバイアルに出すことができ(例えばその中の冷凍乾燥されている物質を再構成するため)、バイアルの内容物はシリンジへと抜き戻すことができる。バイアルからシリンジを取り外した後、次いで針が付けられ、組成物が患者に投与され得る。キャップは、好ましくは、キャップに接触する前に、シール又はカバーを取り外さなければならないように、シール又はカバー内に位置する。
【0111】
本発明の免疫原性組成物は、適切な経路による、例えば筋肉内経路による投与に適当であり得る。
【0112】
本発明は、初めて、固体形態(例えば、凍結乾燥されている)の本発明の免疫原性組成物を含むキットを提供する。別の実施形態では、本発明は、(i)場合により固体形態(場合により凍結乾燥されている)の、本発明の免疫原性組成物を含む第1の容器(場合によりバイアル)、及び(ii)アジュバント、場合によりAS01Eを含む第2の容器(場合によりプレフィルドシリンジ)を含むキットを提供する。第2の容器の内容物は、投与前に第1の容器の免疫原性組成物を再構成するために使用され得る。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、本発明の免疫原性組成物を含むワクチンを提供する。
【0114】
薬学的に許容される賦形剤
本発明の免疫原性組成物は、さらなる薬学的に許容される賦形剤(複数可)をさらに含み得る。可能な賦形剤としては、希釈剤、例えば水、生理食塩水、グリセロール等を含む。さらに、補助剤、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質、ポリオールなどが存在してもよい。例えば、本発明の免疫原性組成物は、注射用水(WFI)を含み得る。
【0115】
本発明の免疫原性組成物を調製する方法(プロセス)
本発明は、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスを提供する。一実施形態では、本発明は、場合により融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;UspA2ポリペプチドを、抗酸化剤(場合によりL-メチオニン)及びポロキサマー(場合によりポロキサマー188)と組み合わせるステップを含む、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスを提供する。
【0116】
本発明により、ポロキサマーの使用は、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスにおいて有利であることが見出された。ポロキサマーの添加は、特定の吸着を減少させるため、濾過ステップ後に廃棄する必要がある体積を制限することが見出された。したがって、本発明は、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;並びにUspA2ポリペプチドを含む免疫原性組成物を調製する改善されたプロセスを提供する。ポリソルベート80の使用が、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスにおいて有利であることも見出された。免疫原性組成物の調製物にポリソルベート80を含めると、ポリソルベート80なしで調製された免疫原性組成物と比較してUspA2ポリペプチドの安定性を改善することが見出された。
【0117】
本発明の免疫原性組成物は、固体形態で、例えば凍結乾燥されて提供されてもよい。固体形態の免疫原性組成物は、例えば凍結乾燥又はスプレー凍結乾燥により、液体組成物から得ることができる。したがって、別の実施形態では、本発明は、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;UspA2ポリペプチドを、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)と組み合わせるステップ、並びに免疫原性組成物を凍結乾燥するステップを含む、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスを提供する。さらなる実施形態では、本発明は、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;UspA2ポリペプチドを、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80と組み合わせるステップ、及び免疫原性組成物を凍結乾燥するステップを含む、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスを提供する。さらなる実施形態では、本発明は、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;UspA2ポリペプチドを、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)及びポリソルベート80と組み合わせるステップであって、ポリソルベート80が抗原の調製中(例えば、PE-PilA融合タンパク質抗原の調製中)に添加され、ポロキサマー(例えばポロキサマー188)が抗原を混合するステップ中に添加されるステップ、及び免疫原性組成物を凍結乾燥するステップを含む、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスを提供する。
【0118】
「凍結乾燥すること」は、それにより懸濁液が凍結され、その後水が昇華により除去されるプロセスを指す。昇華は、組成物の物理的特性の変化であり、溶媒、例えば水は、液体にならずに直接固体(凍結している)状態から気体状態へと物質変化する。凍結乾燥するステップは、三重点(物質の固体、液体及び気体相が共存し得る最低温度)未満に製剤(例えば水性製剤)を凍結するステップ、圧力を下げるステップ並びに第1の乾燥ステップでの昇華により氷(固体溶媒)を除去するステップ及び第2の乾燥ステップでの残りの水を除去するステップを含む低温脱水プロセスである。アニーリングは、場合により乾燥ステップの前に使用して温度を上げ下げすることにより氷の結晶のサイズを増加させることができる。アニーリングは、製剤のガラス転移温度(Tg')より高い温度に維持するステップ、Tg'未満に下げる前にそれを一定時間維持するステップにより実行される。制御された核形成は、氷結晶のサイズを増加させるために使用されてもよく、マトリックスにも同じ効果を有する。冷凍乾燥は、一般にワクチン製造に使用される。一実施形態では、免疫原性組成物は冷凍乾燥される。冷凍乾燥は、それにより、凍結され、真空下に置かれた後に産物から水が除去されるプロセスであり、氷が液体相を通らずに直接固体から蒸気へと変わることを可能にする。
【0119】
一実施形態では、冷凍乾燥は以下のステップを使用して実行される:
-凍結するステップ(三重点未満)
-場合によりアニーリングステップ又は制御された核形成ステップ
-一次乾燥ステップ
-二次乾燥ステップ
冷凍乾燥は、低温濃縮として公知のプロセスでの製剤の構成要素の濃度を増加させる。結果として生じる本明細書に記載される残留過酸化水素の濃度の増加は、過酸化水素の有害な効果、例えば生物学的構成要素、例えば免疫原性組成物中のポリペプチドの酸化を引き起こし得る又は強調し得る。本発明は、製剤化(例えば凍結乾燥/冷凍乾燥)中に生じ得る抗原性ポリペプチド(例えばプロテインD)の酸化を減少させる免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、凍結乾燥されている免疫原性組成物における抗酸化剤の濃度は、凍結乾燥する前の液体組成物における抗酸化剤の濃度より低い。
したがって、一実施形態では、本発明は、場合により融合タンパク質(例えばPE-PilA融合タンパク質)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;UspA2ポリペプチドを、抗酸化剤(例えばL-メチオニン)及びポロキサマー(例えばポロキサマー188)と組み合わせるステップ、並びに続いて免疫原性組成物を凍結乾燥するステップを含む、本発明の免疫原性組成物を調製するプロセスを提供する。一実施形態では、本発明のプロセスによって産生された凍結乾燥されている組成物は、投与前の水溶液(例えばアジュバント、例えばAS01Eを含む)中での再構成に好適である。
【0120】
再構成された免疫原性組成物
固体形態(例えば凍結乾燥されている)の本発明の免疫原性組成物は、好適には、水溶液(例えばアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液)中での再構成が意図される。したがって、本発明は、水溶液(場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液)中での再構成に好適な免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、再構成後の免疫原性組成物は、ヘモフィルス・インフルエンザ及び/又はモラクセラ・カタラーリスに対する免疫応答を生じさせることができる。一実施形態では、再構成後の免疫原性組成物は、ヘモフィルス・インフルエンザ及びモラクセラ・カタラーリスに対する免疫応答を生じさせることができる。好適には、本発明の免疫原性組成物では、プロテインDポリペプチドの酸化のレベルは、経時的に、例えば保存中に増加しない。好適には、本発明の免疫原性組成物では、プロテインDポリペプチドは酸化されない。好適には、本発明の免疫原性組成物では、プロテインDポリペプチドは、粒子が目に見えるように凝集されない。好適には、本発明の免疫原性組成物では、PE-PilA及び/又はUspA2ポリペプチドの凝集のレベルは、経時的に、例えば保存中に増加しない。好適には、本発明の免疫原性組成物では、PE-PilA及び/又はUspA2ポリペプチドは凝集されない。好適には、本発明の免疫原性組成物では、タンパク質抗原:プロテインDポリペプチド、PE-PilA及びUspA2ポリペプチドが安定である。以下の免疫原性組成物はポリソルベート80をさらに含み得る。
【0121】
上記のように固体形態(例えば凍結乾燥されている)の本発明の免疫原性組成物は、ワクチン投与前にWFI及び/又はアジュバント(例えばAS01E)により再構成され得る。したがって、本発明は、場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液によって再構成された液体形態の免疫原性組成物も提供する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、15~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質;15~25μg/mlのプロテインDポリペプチド;6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド;0.5~1.5mg/ml、例えば1.2mg/mlの抗酸化剤(例えばL-メチオニン);0.2~0.6mg/ml、例えば0.4mg/mlのポロキサマー(例えばポロキサマー188);20~60mg/ml、例えば40mg/mlのスクロース;及び場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、20~25μg/mlのPE-PilA融合タンパク質;20~25μg/mlのプロテインDポリペプチド;6~9μg/mlのUspA2ポリペプチド;0.5~1.5mg/ml、例えば1.2mg/mlの抗酸化剤(例えばL-メチオニン);0.2~0.6mg/ml、例えば0.4mg/mlのポロキサマー(例えばポロキサマー188);20~60mg/ml、例えば40mg/mlのスクロース;及び5~20mM、例えば10mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)並びに場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質;20μg/mlのプロテインDポリペプチド;6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド;0.5~1.5mg/ml、例えば1.2mg/mlの抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);0.2~0.6mg/ml、例えば0.4mg/mlのポロキサマー(場合によりポロキサマー188);20~60mg/ml、例えば40mg/mlのスクロース;及び場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む。
【0122】
本発明の免疫原性組成物は、0.5ml用量で投与され得る。したがって、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、9~13μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、9~13μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、及び場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含み得る。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、10~12.5μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10~12.5μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、及び場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、10μgのPE-PilA融合タンパク質(例えば配列番号9)、10μgのプロテインDポリペプチド(例えば配列番号2)、3.3μgのUspA2ポリペプチド(例えば配列番号19)、及び場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含み得る。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、10μgのPE-PilA融合タンパク質;10μgのプロテインDポリペプチド;3.3μgのモラクセラ・カタラーリス由来のUspA2ポリペプチド;0.25~0.75mg、例えば0.6mgの抗酸化剤(例えばL-メチオニン);0.1~0.3mg、例えば0.2mgのポロキサマー(例えばポロキサマー188);及び10~30mg、例えば20mgのスクロース;並びに場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含み得る。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、場合により0.5ml用量中に、10μgのPE-PilA融合タンパク質;10μgのプロテインDポリペプチド;3.3μgのUspA2ポリペプチド;0.25~0.75mg、例えば0.6mgの抗酸化剤(例えばL-メチオニン);0.1~0.3mg、例えば0.2mgのポロキサマー(例えばポロキサマー188);及び10~30mg、例えば20mgのスクロース;及び5~20mM、例えば10mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液);並びに場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含み得る。そのような免疫原性組成物は、1~10μg、好適には1~6μg、1~5μg、2~4μg又は3~4μg、例えば3.2μgの量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg又は5μgの量で存在し得る。
【0123】
別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、10μgのPE-PilA融合タンパク質;10μgのプロテインDポリペプチド;3.3μgのUspA2ポリペプチド;0.25~0.75mg、例えば0.6mgの抗酸化剤(例えばL-メチオニン);0.1~0.3mg、例えば0.2mgのポロキサマー(例えばポロキサマー188);及び10~30mg、例えば20mgのスクロース;5~20mM、例えば10mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液);及び塩(例えばNaCl)を含み得る。別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、10μgのPE-PilA融合タンパク質;10μgのプロテインDポリペプチド;3.3μgのUspA2ポリペプチド;0.25~0.75mg、例えば0.6mgの抗酸化剤(例えばL-メチオニン);0.1~0.3mg、例えば0.2mgのポロキサマー(例えばポロキサマー188);及び10~30mg、例えば20mgのスクロース; 5~20mM、例えば10mMの緩衝液(例えばリン酸緩衝液)、塩(例えばNaCl)及びアルギニンを含み得る。そのような免疫原性組成物は、1~10μg、好適には1~6μg、1~5μg、2~4μg又は3~4μg、例えば3.2μgの量で存在し得るポリソルベート80をさらに含み得る。特に、ポリソルベート80は、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg又は5μgの量で存在し得る。
【0124】
使用、処置及び予防の方法
本発明は、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防での使用のための免疫原性組成物を提供する。本発明は、対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防での使用のための本発明の免疫原性組成物(又は本発明のキット)も提供する。本発明は、対象、例えばヒトにおける、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防、並びにCOPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防での使用のための免疫原性組成物を提供する。
【0125】
本発明は、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防のための医薬の製造における、本発明の免疫原性組成物の使用を提供する。本発明は、対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防のための医薬の製造における、本発明の免疫原性組成物(又は本発明のキット)の使用も提供する。本発明は、対象、例えばヒトにおける、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防並びにCOPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防のための医薬の製造における、本発明の免疫原性組成物の使用を提供する。
【0126】
本発明は、リスクのある対象、例えばヒトにおける、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防の方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法を提供する。本発明は、COPDの急性増悪(AECOPD)を発症するリスクのある対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防の方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法も提供する。本発明は、リスクのある対象、例えばヒトにおける、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防並びにCOPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防の方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法を提供する。本発明は、リスクのある対象、例えばヒトにおける、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の予防の方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法を提供する。本発明は、COPDの急性増悪(AECOPD)を発症するリスクのある対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の予防の方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法も提供する。
【0127】
本発明は、リスクのある対象、例えばヒトにおける、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置の方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法を提供する。本発明は、COPDの急性増悪(AECOPD)を発症するリスクのある対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置の方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法も提供する。
【0128】
本発明は、対象(例えばヒト)において、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスへの免疫応答を誘導する方法であって、前記対象に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0129】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、正常な呼吸を妨げ、完全に可逆的ではない肺気流の慢性閉塞によって特徴付けられる肺疾患である。COPD診断は、肺活量測定と呼ばれる簡単な検査によって確かめられ、ヒトがどのくらい深く呼吸できるか及びどのくらい早く肺の中及び外に空気を移動できるかを測定する。そのような診断は、咳、痰の生成、又は呼吸困難(呼吸が困難又は苦しい)の症状及び/又は疾患のリスク因子に暴露歴がある任意の患者で検討されるべきである。肺活量測定が利用できない場合、COPDの診断は全ての利用可能な道具を使用して行われるべきである。臨床症状及び徴候、例えば異常に短い呼吸及び努力性呼気時間の増加が診断を補助するために使用され得る。低いピークフローはCOPDと一致するが、他の肺疾患及び検査中の不出来によって生じ得るため、COPDに特異的ではない場合がある。慢性的な咳及び痰産生は、長年にわたる空気流の制限の発症に先行することが多いが、咳及び痰生成を示す全ての個体がCOPDを発症するわけではない。
【0130】
COPDの急性増悪(AECOPD)は、正常な日々の変動を超える、患者の呼吸症状の悪化により特徴づけられる急性事象である。典型的には、AECOPDは、投薬治療の変更をもたらす。急性増悪及び共存疾患は、個々のCOPD患者の全体的な疾患重症度に寄与する。COPDの急性増悪(AECOPD)は、正常な日々の変動を超える、患者の呼吸症状の悪化により特徴づけられる急性事象であり、投薬治療の変更をもたらす(Perez AC, Murphy TF. Potential impact of a Moraxella catarrhalis vaccine in COPD. Vaccine. 2017)。AECOPDは、疾病率及び死亡率を増加させ、肺機能の急速な低下、弱い機能状態をもたらす(Sapey E, Stockley RA. COPD exacerbations. 2: aetiology. Thorax. 2006;61(3):250-8))。肺は、異なる種の細菌によってコロニー形成されることが公知である(Erb-Downward JR, et al. PLoS One. 2011;6(2):e16384 and Wilkinson TMA, et al. Thorax. 2017;72(10):919-27)。COPD患者では、新しい細菌株の獲得がAECOPDの重大な原因になると考えられる(Sethi S, et al. N Engl J Med. 2002;347(7):465-71)。見積もりはばらつきが大きいが、型分類不能なヘモフィルス・インフルエンザ(NTHi)がAECOPDと関連する主要な病原性微生物であるようであり(11~38%)、次いでモラクセラ・カタラーリス(3~25%)及び肺炎球菌(4~9%)である(Alamoudi OS. et al. Respirology. 2007;12(2):283-7, Bandi V, et al. FEMS Immunol Med Microbiol. 2003;37(1):69-75, Beasley V, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2012;7:555-69)。一実施形態では、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪(AECOPD)は、対象における細菌感染、例えばヘモフィルス・インフルエンザ(例えば型分類不能なH.インフルエンザ(NTHi))及び/又はモラクセラ・カタラーリスの細菌感染と関連する。別の実施形態では、細菌感染は、対象、例えばヒトの肺(複数可)に存在する。別の実施形態では、対象、例えばヒトは、細菌感染から生じる慢性閉塞性肺疾患の急性増悪(AECOPD)を発症するリスクがある。
【0131】
解析方法
試料の純度は、「SEC-HPLC-Fluo」とも呼ばれるHPSEC-Fluo、蛍光検出による高速サイズ排除クロマトグラフィーによって評価された。HPSECは、分子サイズ又は流体力学的な容積に基づいて分子を分類し、区画又は固定相に対する親和力によらない特定の型の液体クロマトグラフィーである。
抗原含量は、逆相超高速クロマトグラフィー(RP-UPLC)によって評価された。逆相HPLC(RP-HPLC)は、非極性固定相及び水性の、中極性移動相を使用する。そのような固定相により、保持時間は極性の弱い分子で長いが、極性分子はより容易に(解析の初期に)溶出される。RP-HPLCは、疎水性バリアントの分離を可能にする緩勾配による変性条件下で行われる。
抗原活性は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって評価された。アッセイは、固相酵素免疫測定法(EIA)を使用し、測定されるタンパク質に対する抗体を使用して液体試料中のリガンド(一般にタンパク質)の存在を検出する。未知の量の抗原を有する試料は、「サンドイッチ」ELISAにおいて、同じ抗原に特異的な別の抗体による捕捉を介して固体支持体上に固定化される。
【0132】
本発明の実施形態は、次の番号付けした項にさらに記載される:
1.場合により融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質、例えば配列番号9)としての、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド);UspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド);抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);並びにポロキサマー(場合によりポロキサマー188)を含む免疫原性組成物。
2.ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片が配列番号5と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する、項1に記載の免疫原性組成物。
3.ヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片が配列番号7と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する、項1又は項2に記載の免疫原性組成物。
4.場合により配列番号9と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質)として、ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片が提示される、項1から3のいずれかに記載の免疫原性組成物。
5.プロテインDポリペプチドが、配列番号2と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する、項1から4のいずれかに記載の免疫原性組成物。
6.UspA2ポリペプチドが、ポリペプチドMC009(配列番号19)と少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する、項1から5のいずれかに記載の免疫原性組成物。
7.PE-PilA融合タンパク質(場合により配列番号9のPE-PilA融合タンパク質)、プロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド)、UspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド)、抗酸化剤(場合によりL-メチオニン)、及びポロキサマー(場合によりポロキサマー188)を含む項1から6のいずれかに記載の免疫原性組成物。
8.0.02~0.15%、0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.04~0.09%、0.04~0.06%又は0.04~0.05%(w/v)のポロキサマー(場合によりポロキサマー188)を含む、項1から7のいずれかに記載の免疫原性組成物。
10.0.1~20mM、0.1~15mM、0.5~15mM、5~15mM、8~12mM又は8~10mMの抗酸化剤(場合によりL-メチオニン)を含む、項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
11.20~30μg/mlのPE-PilA融合タンパク質、20~30μg/mlのプロテインDポリペプチド及び6~9μg/mlのUspA2ポリペプチドを含む、項1から10のいずれかに記載の免疫原性組成物。
12.9~15μg(例えば9~13μg)のPE-PilA融合タンパク質(場合により配列番号9のPE-PilA融合タンパク質)、9~15μg(例えば9~13μg)のプロテインDポリペプチド(場合により配列番号2のプロテインDポリペプチド)、3~5μgのUspA2ポリペプチド(場合により配列番号19のUspA2ポリペプチド)を含む、項1から11のいずれかに記載の免疫原性組成物。
13.ポリソルベート80をさらに含み、場合により0.0001~0.03%、好適には0.0001~0.02%、例えば0.0001~0.01%、0.0001~0.005%、0.0001~0.002%、0.0002~0.002%、0.0003~0.0015%又は0.0004~0.0012%(w/v)のポリソルベート80を含む、項1から12のいずれかに記載の免疫原性組成物。
14.固体形態(場合により凍結乾燥されている)の、項1から13のいずれかに記載の免疫原性組成物。
15.水溶液(場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液)中での再構成に好適であり、再構成後の前記免疫原性組成物が、ヘモフィルス・インフルエンザ及び/又はモラクセラ・カタラーリスに対する免疫応答を生じさせることができる、項14に記載の免疫原性組成物。
16.液体形態(場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む水溶液により再構成されている)の、項1から13のいずれかに記載の免疫原性組成物。
17.0.1~20mM、0.1~15mM、又は0.5~15mM、好適には5~15mM、6~10mM又は7~9mM、例えば8mMの抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);及び0.02~0.15%、好適には0.03~0.15%、0.03~0.09%、0.04~0.15%、0.04~0.1%、0.4~0.9%、又は0.03~0.05%、例えば0.04%(w/v)のポロキサマー(場合によりポロキサマー188)を含む、項1から7のいずれかに記載の免疫原性組成物。
18.20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質、20μg/mlのプロテインDポリペプチド、6.6μg/mlのUspA2ポリペプチドを含む、項1から7又は17のいずれかに記載の免疫原性組成物。
19.アジュバント、場合によりAS01Eをさらに含む、項1から13、17又は18のいずれかに記載の免疫原性組成物。
20.スクロースをさらに含む、項1から19のいずれかに記載の免疫原性組成物。
21.20μg/mlのPE-PilA融合タンパク質;20μg/mlのプロテインDポリペプチド;6.6μg/mlのUspA2ポリペプチド;0.5~1.5mg/ml、例えば1.2mg/mlの抗酸化剤(場合によりL-メチオニン);0.2~0.6mg/ml、例えば0.4mg/mlのポロキサマー(場合によりポロキサマー188);及び20~60mg/ml、例えば40mg/mlのスクロースを含む、項1から7のいずれかに記載の免疫原性組成物。
22.ポリソルベート80(例えば0.03%(w/v)未満のポリソルベート80)をさらに含む、項20又は項21に記載の免疫原性組成物。
23.場合により融合タンパク質(場合によりPE-PilA融合タンパク質)としての、(i)ヘモフィルス・インフルエンザ由来のプロテインE又はその免疫原性断片及びヘモフィルス・インフルエンザ由来のPilA又はその免疫原性断片;プロテインDポリペプチド;並びにUspA2ポリペプチドを、(ii)抗酸化剤(場合によりL-メチオニン)及び(iii)ポロキサマー(場合によりポロキサマー188)と組み合わせるステップを含む、項1から22のいずれかに記載の免疫原性組成物を調製するプロセス。
24.免疫原性組成物を凍結乾燥するステップをさらに含む、項23に記載の免疫原性組成物を調製するプロセス。
25.凍結乾燥されている組成物が、投与前の水溶液(場合によりアジュバント、例えばAS01Eを含む)中での再構成に好適である、項24に記載の免疫原性組成物を調製するプロセス。
26.(i)場合により固体形態(場合により凍結乾燥されている)の、項1から15のいずれかに記載の免疫原性組成物を含む第1の容器(場合によりバイアル)、及び(ii)アジュバント、場合によりAS01Eを含む第2の容器(場合によりバイアル)を含む、キット。
27.項1から22のいずれかに記載の免疫原性組成物を含むワクチン。
28.H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防での使用のための、項1から22のいずれかに記載の免疫原性組成物、又は項26に記載のキット。
29.対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防での使用のための、項1から22のいずれかに記載の免疫原性組成物又は請求項26に記載のキット。
30.H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防のための医薬の製造における、項1から18のいずれかに記載の免疫原性組成物、又は項26に記載のキットの使用。
31.対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防のための医薬の製造における、項1から18のいずれかに記載の免疫原性組成物の使用。
32.リスクのある対象、例えばヒトにおける、H.インフルエンザ及び/又はM.カタラーリスによって起こる疾患の処置又は予防の方法であって、有効量の項1から18のいずれかに記載の免疫原性組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
33.COPDの急性増悪(AECOPD)を発症するリスクのある対象、例えばヒトにおける、COPDの急性増悪(AECOPD)の処置又は予防の方法であって、有効量の項1から18のいずれかに記載の免疫原性組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【0133】
本発明がより理解されるように、以下の実施例が記載される。これらの実施例は、例示の目的のみのためであり、いかなる方法であっても本発明の範囲を限定すると解釈されない。
【実施例
【0134】
[実施例1]:製剤化
【0135】
【表1】
【0136】
プロテインD(配列番号2)は、欧州特許第0594610号に記載されているように調製し得る。
PE-PilA(LVL735、配列番号9)は、国際公開第2012/139225号に記載し得る。
UspA2(MC009、配列番号19)は、国際公開第2015/125118号に記載されているように調製し得る。
【0137】
表1に記載されている免疫原性組成物(最終バルク)の製剤化は、ガラス製バイオリアクター内、室温で実施した。注射用水を、15.75%w/vスクロース溶液、100mM KH2PO4/K2HPO4 pH7.4緩衝液(8倍希釈した場合)、100mM Lメチオニン溶液、10%w/vポロキサマー188溶液と混合し、それぞれの目標濃度、5%スクロース、12.5mMリン酸緩衝液、10mM L-メチオニン、及び0.05%w/vポロキサマー188に到達させた。これらの構成要素は蠕動ポンプを用いて添加した。ポロキサマー188については、泡の形成を避けるために低い速度を適用した。その後、Ferrariインペラーを用いて全体を15分間混合した。その後、連続的に混合しながら、3つの抗原(プロテインD、PE-PilA及びUspA2)を添加し、プロテインDが25μg/ml、PE-PilAが25μg/ml、及びUspA2が8.3μg/mlの濃度に達するようにした。UspA2の最後の容器を添加した際に、混合物を15分間ホモジナイズした。このホモジナイズに続いて、pHチェックを行った。2つの1Lバイオリアクター(700mL充填)については、OptiScale(登録商標)47フィルター(Durapore(登録商標)PVDFメンブンレン17.7cm2-ポリプロピレンカートリッジ)を用いて、薬物製品の全体積をろ過した。ろ過は、蠕動ポンプを用いて実施した。ステンレス製スチールタンク容器中で+2/+8℃において静置状態で保存した。
【0138】
3つのCOPD薬物製品再現バッチの充填前に、2つのOptiScale(登録商標)47フィルター(0.22μm、Durapore(登録商標)PVDFメンブレン17.7cm2-ポリプロピレンカートリッジ)を連続して使用して、製剤を無菌ろ過した。ろ過は蠕動ポンプを用いて行った。3つの製剤をDuran Schottガラス製容器に回収した。無菌ろ過の直後に、3つの薬物製品を充填に移した。充填操作を開始する前に、磁気バーを用いて3つのバッチを15分間ホモジナイズした。撹拌速度は、わずかに渦が発生する程度と決定した。充填は、再循環なし及び撹拌なしでロータリーポンプを用いて行った。製剤化されたバルク0.5mL(0.48~0.52mL)を、内径1.4mmの針を備えた3mLのシリコン化ガラスバイアルに充填し、次いでシリコン化ストッパーによって部分的に栓をした。
【0139】
充填したバイアルは,底のないトレイ上に配置し、選択した凍結乾燥機に載せた。使用した凍結乾燥機は、Martin Christ及びthe Martin Christ Epsilonであった。バイアルは、-52℃に予冷した棚に載せた。その後、48時間の凍結乾燥サイクルを用いてこれらを凍結乾燥させた。
【0140】
[実施例2]-プロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物のための酸化防止剤
VHPによる酸化に対するプロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物中に存在する抗原の感受性を評価した。以下の実験で、プロテインD中のメチオニンが酸化に感受性を示し、プロテインD中のメチオニン192が特に感受性を示すことが実証された。第1の実験は、液体H2O2を0、150、800、1300、及び5000ng/mLの範囲の濃度で添加することからなっていた。H2O2を添加していないワクチンバッチ(0ng/mL)を参照とし、ストレスを受けていない、酸化していない参照試料を作成した。150ng/mL及び1300ng/mLで添加した試料は、それぞれアイソレーター内で0.1及び1ppm v/vのVHPにおける製造についての暴露を代表するものであった。その後、生成した試料を凍結乾燥し、25℃、37℃及び45℃における加速安定性計画及び4℃におけるリアルタイム安定性に供した。
【0141】
H2O2添加の影響は、種々の加速安定性の後に分析試験を行うことによって評価した。プロテインDは、酸化に対して最も感受性のある抗原であることが見出され、質量分析によって実証された。酸化したメチオニンのパーセンテージが高く、SDS page及びRP-HPLCクロマトグラムにおいて分子量シフトが観察された。酸化したMet192のレベルに対するH2O2レベルの明確な影響が観察され、H2O2の量が多いほど、Met192はより多く酸化された。M192の酸化に基づいて、相関関係を確立し、プロテインDの他のメチオニンの酸化レベルを決定することができたため、M192を酸化のプローブとして使用した。さらに、製造時に0.1ppm v/vの同等のストレスを与えても、M192の酸化が起こることが実証された。
【0142】
結果を図1図3に以下の通りに示す。
図1は、異なる温度における0及び1300ng/mLのH2O2についてのプロテインDのMet192の酸化の経時的な質量分析の結果を示す。45℃で7日後に±55%の酸化が達成される。
図2は、45℃で3日間保存した1300ng/mLのH2O2によって酸化されたプロテインD及び4℃で保存した非添加プロテインDのRP-HPLCクロマトグラムを示す。
図3は、酸化された又は酸化されていない、4℃で、37℃で15日間及び45℃で7日間保存された試料の非還元条件におけるSDS-PAGEによって得られた抗原プロファイルを示す。レーン4、6及び8は、プロテインDプロファイルに対する酸化ストレスの影響を示す。
【0143】
酸化防止剤の評価
酸化防止剤を使用することで、製造スケールで発生するVHP酸化ストレスによるプロテインDの酸化を防止できるかどうか、及び防止できる場合は、どのような酸化防止剤が最も好適であるかを調べるための実験を設計した。再度、三価ワクチンにH202を添加し(又は添加せず)、次いで凍結乾燥させた。L-メチオニン又はシステインを含む製剤及び含まない製剤を試験した。製剤は、凍結乾燥の前に、50mMのL-メチオニン又は30mMのシステインのいずれかを含んでいた。
【0144】
SDS-PAGE、疎水性バリアントRP-HPLC(RP-HPLCによる純度とも呼ばれる)及び質量分析を、酸化剤として50mMのメチオニン若しくは30mMのシステインのいずれかを含む、又は酸化剤を全く含まない酸化及び非酸化試料について、37℃、2カ月後に実施した。結果を図4、5及び6に示す。
【0145】
非還元条件におけるSDS-PAGEによって得られた抗原プロファイルを図6に示す。システイン及びメチオニンの両方が、試料にH2O2を添加した場合のプロテインDの分子量シフトを防止した。PE-PilAのプロファイル変化は、30mMのシステインの存在下で観察された。これは、H2O2を添加した試料及びH2O2を添加していない試料の両方で観察された。3つの抗原について、メチオニンの存在下ではプロファイル変化は観察されなかった。
【0146】
疎水性バリアントRP-HPLCについて、非酸化参照試料と比較して、3つの抗原についてメチオニンの存在下でプロファイル変化は全く観察されなかった。システインについては、酸化ピークは観察されなかったが、H2O2添加した対照試料と同様に、プロテインDの主要ピーク面積の減少が見られた。プロテインDのRP-HPLCクロマトグラムを図5に示す。
【0147】
質量分析によるメチオニン酸化%については、抗酸化剤の添加は、プロテインDの酸化を防止する上で明らかな有効性を有していた。メチオニンの存在下における酸化レベルは、システインの存在下における酸化レベルよりもわずかに低かった。PE-PilA又はUspA2については、H2O2、システイン又はメチオニンの存在下において、酸化の有意な増加は観察されなかった。プロテインDのみについての結果を図4に示す。なお、図4では50mMのメチオニンを添加した試料の60日後の結果は,30mMのシステインを添加した試料の60日後の結果を示す点の後ろに隠れて見えなくなっていることに留意されたい。
【0148】
これらの結果に基づき、メチオニンをプロテインD、UspA2及びPE-PilAを含むこのワクチンにおいて、H2O2を介する酸化から保護するために最も好適な抗酸化剤であると同定した。そのため、メチオニンの用量範囲実験を行い、酸化を防止するのに十分であろうメチオニン濃度を正確に決定した。
【0149】
[実施例3]-プロテインDの酸化に対する保護に最適なメチオニン濃度を決定するための用量範囲試験
本実施例では、プロテインDの酸化を防ぐための最適なL-メチオニン濃度を決定するために作成したRP-HPLC及び質量分析データを示す。
【0150】
酸化防止剤としてのL-メチオニンの最適濃度は、異なる濃度のL-Metを含むプロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物に、1300ng/mLのH2O2を添加することによって決定した(以下表2)。その後、薬物製品を凍結乾燥し、安定性計画に提出した(表3)。
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
以下の試験を選択した:
- RP-HPLCによる疎水性バリアント
条件/タイムポイント当たり3バイアル、バッチ18COP1401、18COP1402及び18COP1407については、45℃、15日後に154分(3つの抗原について)のランを適用した以外は、全ての試料について54分間のラン(プロテインDに特異的)を適用し、試料は試料セット内で無作為化した。
- 質量分析によるメチオニン酸化(プロテインDのMet192)
バッチ18COP1401(参照試料)、18COP1403(10mM Metを含む酸化試料)及び37℃、1カ月後の18COP1407(酸化参照試料)についての6つのバイアル。10mMのL-Metを含む試料は、37℃及び45℃における7日後及び14日後の全ての試料のRP-HPLCデータに基づいて質量分析のために選択した。
【0154】
この実験の主な目的は、薬物製品を酸化から保護するための抗酸化剤としてのL-Metの最適な濃度を選択することであった。メチオニンの最適濃度は、H2O2を添加した試料の酸化レベルが非H2O2添加対照試料と少なくとも同等に良好であることを保証するものである。
【0155】
この範囲を決定するための第1のステップは、対照試料と比較して非劣性を実証し得る最低のL-Met濃度を見つけることであった。これは、最高用量から開始して最低用量までで評価した。この用量を選択するための許容基準は、質量分析による差異マージン6%(すなわち、質量分析によってM192酸化の参照からの逸脱が6%以下であるものを探した)、又は疎水性バリアントRP-HPLCの酸化ピークの表面積の観点で同等の基準に基づいていた。
【0156】
メチオニンの酸化を質量分析のみによって直接測定するより、RP-HPLCによっても推定した。RP-HPLCの酸化ピーク1、2及び3(下記参照)の合計は、M192の酸化に関する質量分析の測定値とよく相関することが見出された。さらに、ピーク3のみの%面積は、質量分析との相関性において許容範囲を超えていることがわかった。RP-HPLC法は、速度が速く、低酸化値において変動が少ないという利点を有していた。
【0157】
結果及び考察
RP-HPLCによる疎水性バリアント RP-HPLCを用いて純度を調べた。
図7は試料18COP1407(0mM L-Met+H2O2)、18COP1402(5mM L-Met+H2O2)及び18COP1401(0mM Met+H2O2なし)の45℃、2週間後の疎水性バリアントHPLC154分のクロマトグラムを示す。
図8は試料18COP1403(10mM L-Met+H2O2)の45℃、2週間後の疎水性バリアントHPLC分のクロマトグラムを示す。
図9は左パネルに酸化防止剤を含まない酸化されていない試料、右パネルに異なる濃度のメチオニンを含む酸化された試料の疎水性バリアントRP-HPLC%ピーク3を示す。
図10は異なる濃度のメチオニンを含む酸化された試料の疎水性バリアントRP-HPLC%ピーク3を示す。
図11はRP-HPLCによるピーク1、2及び3の面積の合計を示す。
【0158】
45℃で2週間後、5mMのL-Met及びH2O2を含む試料並びにメチオニンを含まずH2O2も含まない参照試料については、60~62分付近にピークが観察されなかった(図7)。67分後には、これらの試料の両方でわずかな酸化ピークが観察された。しかし、そのピークは同等の強度を示していた。一方、H2O2を含むがメチオニンを含まない試料では、60分、62分及び67分付近に明確なピークが観察され、それぞれピーク1、2及び3と名付けた。プロテインDに焦点を当てたクロマトグラフィーランを行った10mMのメチオニンとの重ね合わせについて45℃、1週間後では同様の観察が得られた。
【0159】
メチオニンの存在によるPE-PilA及びUspA2のプロファイルの変化は観察されなかった(図7)。PE-PilA及びUspA2は、クロマトグラム上でそれぞれ38分及び108分付近に見ることができた。H2O2を含むがメチオニンを含まない試料の32分付近の小さなピークは、PE-PilAにH2O2を添加した場合のPE-PilA分析ストレス試験の間にも観察された。
【0160】
45℃で2週間後、H2O2及び10mMのメチオニンを含む試料については、H2O2及び5mMのメチオニンを含む試料及び(図7)の場合と同様に、主要なプロテインDピークの前に酸化ピークは観察されなかった(図8)。45℃で1週間後のH2O2並びに5、10及び15mMのメチオニンを含む試料の重ね合わせは良好であり、これらの試料のいずれについても主要なプロテインDのピークの前に意味のある酸化ピークは観察されなかった(データは示さず)。
【0161】
疎水性バリアントRP-HPLC%ピーク3面積は、ピーク3の面積を、全てのピークを合わせた面積に対するパーセンテージで表したものである。%ピーク3面積は、非添加参照試料(0mM Met)の約2%からメチオニンを含まず1300ng/mLのH2O2を添加した試料の約27%までの明らかな増加を示した(図9参照)。5mM以上のメチオニンを含む、H2O2を添加した試料では、疎水性バリアントRP-HPLC%ピーク3面積のそのような増加は観察されなかった。0~5mMのL-メチオニンのRP-HPLC%ピーク3面積の変化は不明であるが、メチオニンを含まないH2O2を添加した試料では約27%が観察されたことから、%ピーク3の増加はある時点において急激なものであったと考えられた。
【0162】
さらに、メチオニン及びH2O2を含む試料の%ピーク3面積は、メチオニンを含まず、H2O2を添加していない参照試料よりも低いことが観察された(図10参照)。これは、この間、酸化から保護するためのメチオニンは製剤中に存在していない、製剤化、充填及び凍結乾燥のプロセスで参照試料がわずかに酸化されたためであると仮説が立てられた。メチオニンを含む(及びH2O2を添加した)試料は、メチオニンの存在によってこのプロセシング中の酸化から保護されていた。このことにより、H2O2を添加したメチオニンを含む試料が、非添加メチオニンなしの参照試料と比較してより低い%ピーク3面積が観察された理由を説明し得る。
【0163】
以降、ピーク3面積について実施した統計解析の概要を示す。ピーク2の観測されたシグナルが弱かったため、ピーク3がピーク2よりも分析に好適であると考えられた。1300ng/mLのH2O2を添加した試料では、7日及び14日、37℃又は45℃でピーク3が観測された。少なくとも5mMのメチオニンを含む試料では、面積ピーク3の結果が非劣性基準に達し、これは、群間差[処理群-対照群]の両側標準化漸近90%CIの上限がそれぞれ387000及び260000を下回っていたためである[非劣性の限界]。これはそれぞれ、質量分析によって測定した許容可能な差異の9%及び6%に相当する。メチオニンの非存在下では、1300ng/mLのH2O2を添加した試料では非劣性の基準が満たされていなかった。
【0164】
液体クロマトグラフィー結合質量分析によるメチオニン酸化
プロテインD
図12は、37℃で1カ月後のプロテインDのM192酸化の液体クロマトグラフィー結合質量分析を%で示す。左パネルにはH2O2を添加していない試料を、右パネルには凍結乾燥前に1300ng/mLのH2O2を添加した試料を含む。エラーバーは95%信頼区間を示す。
図13は、37℃で1カ月後のプロテインD M192の酸化についての液体クロマトグラフィー結合質量分析を%で示す。左パネルにはH2O2を添加していない試料、右パネルには凍結乾燥前に1300ng/mLのH2O2を添加し、10mMのメチオニンを含む試料を含む。エラーバーは95%信頼区間を示す。
【0165】
プロテインDメチオニン192(M192)の質量分析データを図12に示す。H2O2を添加せず、メチオニンを含まない試料では、非常に限られたレベルのM192の酸化を示したが、H2O2を添加し、メチオニンを含まない試料では明らかな約50%という高いレベルのM192の酸化が示され、これは統計的非劣性基準を満たさなかった。10mMのL-Metを含み、H2O2を添加した試料は、非添加参照よりも低いか、又は同等の酸化レベルを有していた。この試料は、群間差[処理群-対照群]の両側標準化漸近90%CIの上限が6%[非劣性の限界]未満であったため統計的非劣性の基準を満たしていた。疎水性バリアントRP-HPLCについては、メチオニンを含む試料は、非添加非メチオニン含有試料と比較して、酸化がわずかに少ないように見えた(図13)。この観察についての可能な説明は、上記のRP-HPLCの結果の説明で述べられている。
【0166】
PE-PilA
PE-PilAのM215の酸化については、37℃で30日後に観察された酸化レベルは、全ての試験試料で同じ範囲であった(データは示さず)。非H2O2添加参照と、10mMのメチオニンを含むH2O2添加試料の間に差は見られなかった。
【0167】
UspA2
UspA2のM530酸化については、H2O2を添加せず、メチオニンを含まない試料では、非常に限られたレベルのM530酸化を示した(約2%)。H2O2を添加し、メチオニンを含まない試料では、明らかにM530の酸化レベルが約8%と高く、統計的非劣性基準を満たしていた。10mMのL-Metを含み、H2O2を添加した試料は、非添加参照よりも低い酸化レベルを示した(データは示さず)。
【0168】
モル値の考察
酸化は化学反応であるため、酸化剤及び抗酸化剤の量をモルで表し、モル比についての考えを得ることは興味深いことである。
反応物及び試薬の量のモル換算を表4に示す。
【0169】
【表4】
【0170】
プロテインDと比較して、H2O2分子が63倍過剰に存在することがわかる。しかし、10mMのメチオニンを薬物製品に添加すると、1300ng/mLで添加したH2O2の各分子に対して263分子のメチオニンが存在することになる。したがって、メチオニンの添加は、H2O2がプロテインDと反応する可能性を大幅に低下させる。
【0171】
結論
気相中の0.1ppm v/v又は1ppm v/vのH2O2曝露において実行した同等の製造プロセスにおいてプロテインDの酸化が観察されたことを示した。酸化防止剤、特にL-メチオニン又はシステインを添加することで、このような酸化を防ぎ得ることを実証した。
【0172】
薬物製品に添加するメチオニンの濃度を決定する際には以下の点を考慮した:
- [Met]は製造の可撓性を保証するためにアイソレーター内において1ppm v/v H2O2プロセスを保護する必要がある
- 10mMのMetによって十分な安全マージンが得られ、RP-HPLCピーク3面積が非酸化参照(非H2O2添加)を下回る低濃度(5mM)でもデータポイントが得られる。
- 10mMのメチオニンは、プロテインD、PE-PilA及びUspA2を含む組成物に存在する3つの抗原上の感受性のあるメチオニンに対する質量分析の結果に基づいて、酸化からの良好な保護を実証した。
- これらの理由から、本実施例では、このワクチンのために10mMのL-Metの濃度を選択した。
【0173】
[実施例4]:薬物製品の界面活性剤としてのポリソルベート80のポロキサマー188への置換
タンパク質抗原の最終的な製剤、PE-PilA、プロテインD及びUspA2(薬物製品)において、界面活性剤のポリソルベート80(PS80)をポロキサマー188(PX188)に置き換えた。三価製剤(上記実施例1に記載するPE-PilA、プロテインD、UspA2抗原)を、3×75μg/mlにおいてPX188の濃度を0.001%から0.15%まで及びPS80の濃度を0.05%において調製し、室温で4時間撹拌した(非シリコン化3mLバイアル中2.3mL)。この製剤をさらに凍結乾燥させた後、NaClによって再構成した後に分析した。全ての試料について、濁度、含有量及び凝集レベルを分析した。HPLC RP測定では、濁度及び含有量には、差がないか又はごくわずかな差しか観察し得なかった。しかし、HPLC SECに基づくと、1つのタンパク質の凝集レベルに差が見られた。UspA2というタンパク質は、磁気撹拌の影響を受けていた(図14、表5及び図15)。UspA2の凝集(Aggr.)及び分解(Deg.)は、PX188含有量の少ない試料で観察されたが、0.02%w/vの時点で、HPLC SECプロファイルは非攪拌製剤のものと同様になった。試験した全てのPX188量(0.001%~0.15%)によって、残留PS80によって観察されたものを上回るUspA2の%主要ピークが得られた、すなわち90.12%に対して91.56%~95.97%であった。試験した全てのPX188の量(0.001%~0.15%)において、UspA2の%分解ピークは、残留PS80のみで観察されたものよりも低く、すなわち9.88%に対して4.03%~8.44%であった。0.05%のPX188の濃度は、0.05%のPS80によって観察された値に、UspA2の%主要ピーク及びUspA2の%分解ピークの値が最も近かったために選択された。界面活性剤を追加せずに製剤化する場合は、PE-PilAにも非特異的な吸着が見られた。ポロキサマー188を0.02%w/v以上含む製剤では、非特異的吸着は最小にまで減少した(図16参照)。
【0174】
【表5】
【0175】
[実施例5]:ポロキサマー188を用いた製剤への残留ポリソルベート80(PS80)の添加
上記実施例4に記載された(薬物製品中の界面活性剤としてポロキサマー188を使用した)再構成されたワクチンの安定性を調べた。プロセスB(ここで、ポロキサマー188は、PE-PilA原薬の調製並びに薬物製品の最終製剤においてPS80に置き換わる、図17参照)に従って調製されたPE-PilA原薬を用いて調製された薬物製品を、プロセスA(ここで、PS80はPE-PilA原薬の調製に使用され、ポロキサマー188は薬物製品の最終製剤において界面活性剤として使用された)に従って調製されたPE-PilA原薬を用いて調製された薬物製品と比較した。プロセスBの薬物製品をアジュバント緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水pH6.1)で再構成した場合、蛍光検出付き高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC-Fluo、「SEC-HPLC-Fluo」とも呼ばれる)によるプレUspA2ピークの増加が経時的に観察された(図18)。同様に、逆相超高速クロマトグラフィー(RP-UPLC)によるUspA2含有量の減少(図19)及び酵素連鎖免疫吸着法(ELISA)によるUspA2抗原活性の減少(図20)が、アジュバント緩衝液を用いて再構成した場合の使用条件中のプロセスBの薬物製品について観察された。
【0176】
この観察結果を理解するために、いくつかの検討を行った。アジュバント緩衝液によって再構成した後、0~24時間のタイムポイントにおいてUPLCによってUspA2含有量を+30℃で測定するカイネティクス試験を実施し、プロセスAの薬物製品及びプロセスBの薬物製品の間に挙動の差異が示された(図21)。プロセスAの材料は安定していた(UspA2含量の減少及びHPSEC-FLuoプロファイル変化は観察されなかった)。
【0177】
異なる起源の原薬を用いて調製した交差製剤を用いてさらなる検討を行ったところ、挙動の差異は、PE-PilA原薬を調製するプロセスをプロセスAからプロセスBに変更することによって媒介されることが確認された(図22)。L-メチオニンは全ての交差製剤に存在していたため、L-メチオニンの添加は効果の原因としては除外された。
【0178】
薬物製品をAS01Eアジュバントによって再構成した場合、使用条件(24時間+30℃)においてSEC-HPLC-Fluoによるプロファイル変化は観察されなかった(図23)。AS01Eアジュバントによって薬物製品を再構成した場合、UspA2プレピークは観察されなかった。
【0179】
プロセスAのPE-PilA原薬を使用した場合、薬物製品中に存在するポリソルベート80の残留量は、1用量あたり約3μg(臨界ミセル濃度未満)と推定された。
【0180】
また、プロセスAの薬物製品に存在する量と同等のポリソルベート80の残留量(6.66μg/ml)を添加したアジュバントの緩衝液で薬物製品を再構成することによっても検討を行った。これは、PS80の濃縮溶液を添加することによって再構成した後、直接添加した。RP-UPLCによるUspA2の減少は、使用条件(24時間+30℃)では観察されなかった。また、薬物製品を水で再構成し(放出パネルの一部としての薬物製品の試験のための条件)、+30℃で24時間インキュベートした場合、プロセスAの薬物製品では減少が観察されず、プロセスBの薬物製品では限定的な減少(10%未満)が観察されたが、アジュバント緩衝液のみでは減少が大きかった(約25%)(図24)ことが観察された。
【0181】
プロセスBの薬物製品については、古いロットではUspA2含有量の減少がより顕著(アジュバントの緩衝液での使用条件)であるのに対し、最近のロット1.5~2カ月(TCOPA001A)では、人工的なエージング(14日+37℃)を行っても、減少がより限定的であることが観察された(図25)。UspA2の不安定性(アジュバント緩衝液中で再構成した薬物製品)は、古い(又は人工的にエージングさせた)ロットほど高く現れた。アジュバント緩衝液で再構成し、24時間、30℃でインキュベートした場合、9か月目の古いロット(19COP04010)では抗原活性が低下した。
【0182】
まとめると、PS80が存在する場合、
- 再構成したワクチンにPS80を添加した場合
- PS80が製剤に含まれていた場合、又は
- ポリソルベート80を用いてPE-PilA材料を調製した場合(プロセスA)、
UspA2の不安定性は観察されなかった。
【0183】
これらは、アジュバントで薬物製品を再構成した場合、UspA2含有量に損失が見られず、UspA2プレピークが生じず、及びin vitroの効力低下が見られなかったことを示している。
【0184】
実施された検討では、薬物製品をアジュバント(AS01E)で再構成した場合、抗原の完全性に問題がないことが確認された。しかし、アジュバント緩衝液によって誘導される不安定化は古いロットほど顕著であることから、これはプロセスB薬物製品の長期安定性に対するリスクを表している。したがって、残留ポリソルベート80が薬物製品製剤中に存在する以下の免疫原性組成物が提案される(表6)。
【0185】
【表6】
【0186】
プロテインD(配列番号2)は、欧州特許0594610に記載されているように調製し得る。
PE-PilA(LVL735、配列番号9)は、国際公開第2012/139225号に記載されているように調製し得る。
UspA2(MC009、配列番号19)は、国際公開第2015/125118号に記載されているように調製し得る。
【0187】
ポロキサマー188ではなく、PE-PilA原薬の界面活性剤としてPS80を維持する新しいプロセス(プロセスC、図17参照)が提案されている。なお、薬物製品の賦形剤として添加されるポロキサマー188の濃度は変更されず、0.05%w/vのままであることに留意されたい。プロセスCにおいて、PS80界面活性剤は、PE-PilA原薬プロセスの最後、限外ろ過ステップの後、及びバイオバーデンコントロールろ過の前に添加される。PE-PilA原薬におけるPS80濃度の目標は0.04%w/vであり、この目標周辺の20%の変動は、提案されている仕様範囲に沿っていると考えられる、すなわち0.032~0.048%w/vである(以下の実施例6に記載されている実験に従って確認される)。PE-PilA原薬レベルでのポリソルベート80及びPE-PilA抗原濃度の変動は、薬物製品レベルでのPS80濃度の0.00036~0.00120%w/vの変動をもたらす。これについては、以下の実施例に従ってさらに検討する。
【0188】
[実施例6]:ポロキサマー188を用いた製剤中の残留ポリソルベート80(PS80)
この評価の目的は、残留ポリソルベート80(PS80)濃度の変化が、凝集プロファイル(HPSEC-Fluo)、含有量(RP-UPLCによるUspA2)及びUspA2についての抗原活性(ELISA)に影響を与えるかどうかを評価することである。
【0189】
異なるレベルの残留PS80濃度及び固定のポロキサマー188濃度で5つの異なる薬物製品バッチを製造し、その後0.5mLで充填して凍結乾燥する:
- 低末端の1群(PS80が0.00036%w/v)
- 高末端の1群(PS80が0.00120%w/v)
- 目標付近の1群(PS80が0.00079%w/v)
- 中間の1群(PS80が0.00065%w/v)
- PE-PilAの原薬レベルにおいてPS80を含まず、ポロキサマー188のみを含む1陰性対照群。この群では、以前に観察された重要品質特性への影響が確認されることが期待される。
【0190】
【表7】
【0191】
試料は、リアルタイム(4℃で6カ月、1、2、3、4及び5年)及び加速安定性(37℃で1カ月)で追跡される。凍結乾燥試料をAS01E緩衝液によって再構成した後、製品を30℃で24時間保持する。HPSEC-Fluoによる純度は、再構成後の経時的なプロファイルの質的変化を見るために、t0においても試験される。分析の繰り返しは、加速安定性試料で行われ、リアルタイム安定性試料はn=1で試験される。
【0192】
【表8】
【0193】
さらに、異なる試料のTg'を測定し、残留物としてのPS80の導入が現在の凍結乾燥サイクルに影響を与えるかどうかを評価する。
【0194】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18-1】
図18-2】
図18-3】
図18-4】
図19
図20
図21
図22
図23-1】
図23-2】
図23-3】
図23-4】
図24
図25
【配列表】
2022543281000001.app
【国際調査報告】