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特表2022-543296冷却及び/又は液化する方法及びシステム
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  • 特表-冷却及び/又は液化する方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】冷却及び/又は液化する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
F25B9/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507523
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2020069182
(87)【国際公開番号】W WO2021023457
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】1908950
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラン、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、レミ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンドランド、セシル
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、ジャン-マルク
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、ユーザ流体の流れを冷却及び/又は液化する方法であって、低温冷凍装置(1)を備える冷却及び/又は液化システムを使用し、冷凍装置(1)は、ループを形成し及び作動流体を含む作動回路(10)を備え、冷凍装置(1)は、作動回路(10)内を循環する作動流体との熱交換により、ユーザ流体の流れから熱を取り出すように意図された冷却用熱交換器(8)を備え、作動回路(10)は、直列に、圧縮機構(2、3)と、冷却機構(5)と、膨張機構(7)と、再加熱機構(6)とを備えるサイクルを形成し、前記システムは、冷凍装置(1)の冷却用熱交換器(8)との熱交換において冷却されるユーザ流体の流れの循環のためのダクト(25)を備え、方法は、冷却用熱交換器(8)内でユーザ流体の流れを冷却するステップ、及びこの冷却ステップの後に、冷却用熱交換器(8)内で固化した不純物を除去するステップを含み、除去ステップは、冷凍装置(1)を停止すること、及び同時に、ユーザ流体の流れを冷却用熱交換器(8)内に循環させることを含む方法に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ流体、特に天然ガスの流れを冷却及び/又は液化する方法であって、低温冷凍装置(1)、すなわちマイナス100℃~マイナス273℃の温度での冷凍のための低温冷凍装置(1)を備える冷却及び/又は液化システムを使用し、前記冷凍装置(1)は、ループを形成し及び作動流体を含む作動回路(10)を備え、前記冷凍装置(1)は、前記作動回路(10)内を循環する前記作動流体との熱交換により、ユーザ流体の前記流れから熱を取り出すように意図された冷却用熱交換器(8)を備え、前記作動回路(10)は、直列に、前記作動流体を圧縮する機構(2、3)と、前記作動流体を冷却する機構(6)と、前記作動流体を膨張させる機構(7)と、前記作動流体を加熱する機構(6)とを備えるサイクルを形成し、前記システムは、ユーザ流体のタンク(16)と、前記冷凍装置(1)の前記冷却用熱交換器(8)との熱交換において冷却されるユーザ流体の前記流れのための循環ダクト(25)とを備え、前記方法は、前記冷却用熱交換器(8)内でユーザ流体の流れを冷却するステップ、及びこの冷却ステップの後に、前記冷却用熱交換器(8)内で固化した不純物を除去するステップを含み、前記除去ステップは、前記冷凍装置(1)を停止すること、及び同時に、ユーザ流体の流れを前記冷却用熱交換器(8)内に循環させることを含み、前記除去ステップの間に前記冷却用熱交換器(8)内に循環される前記ユーザ流体はその後、前記タンク(16)に戻され、ユーザ流体の流れは前記循環ダクト(25)を介して前記冷却用熱交換器(8)内に循環され、ユーザ流体の流れは、ユーザ流体の前記タンク(16)からポンプ送給されることによって前記冷却用熱交換器(8)内に循環されること、及び、前記流体は前記タンクの気相中に降り注がれることによって前記タンク(16)に戻されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記除去ステップと同時に及び/又は前記除去ステップに続いて、前記除去ステップの間に分離した前記不純物を前記冷却用熱交換器(8)から一掃して排除するために、前記冷却用熱交換器(8)に注入されたパージ流体の流れで前記冷却用熱交換器(8)をパージするステップ(18)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パージするステップ(18)が、放出ゾーンに排出される中性ガスで前記熱交換器(8)を一掃することを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パージするステップ(18)が、ユーザ流体で前記熱交換器(8)を一掃することを含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記パージするステップで使用される前記ユーザ流体が、前記循環ダクト(25)から取得されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却用熱交換器(8)のパージに使用された前記ユーザ流体が、放出ゾーン(16)、前記ユーザ流体のタンク(16)、のうちの少なくとも1つに排出されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ユーザ流体、特に天然ガスの流れを冷却及び/又は液化するためのシステムであって、低温冷凍装置(1)、すなわち、マイナス100℃~マイナス273℃の温度での冷凍のための低温冷凍装置(1)を備え、前記冷凍装置(1)は、ループを形成し及び作動流体を含む作動回路(10)を備え、前記冷凍装置(1)は、前記作動回路(10)内を循環する前記作動流体との熱交換によってユーザ流体の前記流れから熱を取り出すように意図された冷却用熱交換器(8)を備え、前記作動回路(10)は、直列に、前記作動流体を圧縮する機構(2、3)と、前記作動流体を冷却する機構(6)と、前記作動流体を膨張させる機構(7)と、前記作動流体を加熱する機構(6)とを備えるサイクルを形成し、前記システムは、ユーザ流体のタンク(16)と、前記冷凍装置(1)の前記冷却用冷却熱交換器(8)との熱交換において冷却されるユーザ流体の前記流れのための循環ダクト(25)とを備え、前記システムは、前記冷凍装置(1)を制御するための電子コントローラ(12)を備え、前記コントローラ(12)は、前記冷凍装置(1)を、前記冷却用熱交換器(8)が前記作動ガスによって冷却されてユーザ流体の流れを冷却する冷却モード、又は前記作動回路(10)内の前記作動流体の循環が中断される停止モードに切り替えるように構成され、前記電子コントローラ(12)は、前記システムを、前記冷却用熱交換器(8)内の固化した不純物を除去するための構成に切り替えるように構成され、この構成では、前記冷凍装置(1)はその停止モードに切り替えられ、同時に、ユーザ流体の流れが前記冷却用熱交換器(8)内に循環され、前記除去ステップの間に前記冷却用熱交換器(8)内に循環される前記ユーザ流体はその後、前記タンク(16)に戻され、ユーザ流体の流れは前記循環ダクト(25)を介して前記冷却用熱交換器(8)内に循環され、ユーザ流体の流れは、ユーザ流体の前記タンク(16)からポンプ送給されることによって前記冷却用熱交換器(8)内に循環されること、及び、前記システムは、前記流体を前記タンクの気相中に降り注ぐことによって前記タンク(16)に戻すように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項8】
パージ流体の供給源(16)に接続された上流端と、放出ゾーンにつながる下流端とを有するパージ回路(17、19)を備え、前記パージ回路(17、19)は、前記除去ステップの間に分離した前記不純物を前記熱交換器から一掃して排除するために前記冷却用(8)熱交換器(8)を通過することを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記パージ流体が中性ガス又はユーザ流体を含むことを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記放出ゾーンが、燃焼室、大気、又は冷却されるユーザ流体のタンク(16)を備えることを特徴とする、請求項8又は9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却及び/又は液化のための方法と、冷却及び/又は液化のためのシステム及び方法とに関する。
【0002】
本発明は特に、ユーザ流体、特に天然ガスの流れを冷却及び/又は液化する方法に関し、この方法は、低温冷凍装置、すなわちマイナス100℃~マイナス273℃、特にマイナス100℃~マイナス253℃の温度での冷凍のための低温冷凍装置を備える冷却及び/又は液化システムを使用し、冷凍装置は、ループを形成し及び作動流体を含む作動回路を備え、冷凍装置は、作動回路内を循環する作動流体との熱交換により、ユーザ流体の流れから熱を取り出すように意図された冷却用熱交換器を備え、作動回路は、直列に、作動流体を圧縮する機構と、作動流体を冷却する機構と、作動流体を膨張させる機構と、作動流体を加熱する機構とを備えるサイクルを形成し、システムは、冷凍装置の冷却用熱交換器との熱交換において冷却されるユーザ流体の前記流れのための循環ダクトを備え、方法は、冷却用熱交換器内でユーザ流体の流れを冷却するステップ、及びこの冷却ステップの後に、冷却用熱交換器内で固化した不純物を除去するステップを含む。
【0003】
本発明は、特に、例えば、サイクルガス(ヘリウム、窒素、又は他の純粋なガス又は混合物)が熱力学的なサイクルを経て、冷却されるように意図された部材又はガスに伝達され得る冷気を生成する、「ターボブレイトン」サイクル又は「ターボブレイトン冷却器」を有するタイプの極低温冷凍機及び/又は液化機に関する。
【背景技術】
【0004】
これらの装置は幅広い用途で使用され、特に、タンク内の天然ガスを冷却するために使用される(例えば船舶内で)。液化された天然ガスは、例えば、気化を回避するためにサブクールされ、又はガス状の部分が再液化のために冷却される。
【0005】
例えば、天然ガスの流れを、冷凍機/液化機のサイクルガスによって冷却される熱交換器内で循環させることができる。
【0006】
この熱交換器で冷却されたガスには、不純物(二酸化炭素など)が含まれていることがあり、この不純物は冷却用熱交換器で達成される低温で固化する可能性がある。これは、熱交換器を詰まらせ、システムの効率を損なう可能性がある。
【0007】
1つの解決策は、熱交換器を電気ヒータで積極的に加熱する段階を設けることであり得る。しかしながら、この方法はエネルギーの点でコストがかかり、爆発性雰囲気には適さないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の欠点の全部又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明による方法は、他の点では上記の前提部に提示された一般的な定義に従うが、本質的には、除去ステップが、冷凍装置を停止すること、及び同時にユーザ流体の流れを冷却用熱交換器内に循環させることを含むことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る:
- ユーザ流体の流れが循環ダクトを介して冷却用熱交換器内に循環される、
- ユーザ流体の流れが、ユーザ流体のタンクからポンプ送給されることによって、冷却用熱交換器内に循環される、
- この方法は、除去ステップと同時に、又は除去ステップに続いて、除去ステップの間に分離した不純物を冷却用熱交換器から一掃して排除するために、冷却用熱交換器に注入されたパージ流体の流れで冷却用熱交換器をパージするステップを含む、
- パージするステップは、放出ゾーンに排出される中性ガスで熱交換器を一掃することを含む、
- パージするステップは、ユーザ流体で熱交換器を一掃することを含む、
- パージするステップで使用されるユーザ流体は、循環ダクトから取得される、
- 冷却用熱交換器のパージに使用されたユーザ流体は、放出ゾーン、ユーザ流体のタンク、のうちの少なくとも1つに排出される。
【0011】
本発明はまた、ユーザ流体、特に天然ガスの流れを冷却及び/又は液化するためのシステムであって、低温冷凍装置、すなわち、マイナス100℃~マイナス273℃の温度での冷凍のための低温冷凍装置を備え、冷凍装置は、ループを形成し及び作動流体を含む作動回路を備え、冷凍装置は、作動回路内を循環する作動流体との熱交換によってユーザ流体の流れから熱を取り出すように意図された冷却用熱交換器を備え、作動回路は、直列に、作動流体を圧縮する機構と、作動流体を冷却する機構と、作動流体を膨張させる機構と、作動流体を加熱する機構とを備えるサイクルを形成し、システムは、冷凍装置の冷却用冷却熱交換器との熱交換において冷却されるユーザ流体の前記流れのための循環ダクトを備え、システムは、冷凍装置を制御するための電子コントローラを備え、前記コントローラは、冷凍装置を、冷却用熱交換器が作動ガスによって冷却されてユーザ流体の流れを冷却する冷却モード、又は作動回路内の作動流体の循環が中断される停止モードに切り替えるように構成され、前記電子コントローラは、システムを、冷却用熱交換器内の固化した不純物を除去するための構成に切り替えるように構成され、この構成では、冷凍装置はその停止モードに切り替えられ、同時に、ユーザ流体の流れを冷却用熱交換器内に循環させるシステムに関する。
【0012】
他の可能な特定の特徴によれば、
- システムは、パージ流体の供給源に接続された上流端と、放出ゾーンにつながる下流端とを有するパージ回路を備え、パージ回路は、除去ステップの間に分離した不純物を熱交換器から一掃して排除するために冷却用熱交換器を通過する、
- パージ流体は、中性ガス又はユーザ流体を含む、
- 放出ゾーンは、燃焼室、大気、又は冷却されるユーザ流体のタンクを備える。
【0013】
また本発明は、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを備える任意の代替装置又は方法に関し得る。
【0014】
さらなる特定の特徴及び利点は、図を参照しながら与えられる以下の記載を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明を実施できるシステムの一例の構造及び動作を示す、概略部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1]の冷却及び/又は液化システムは、冷却用熱交換器8において冷気(冷却能力)を供給する冷凍装置1を備える。このシステムは、この冷却用熱交換器8と熱交換させる冷却すべき流体の流れを循環させるためのダクト25を備えている。例えば、流体は、タンク16からポンプ送給され、次に冷却され(好ましくはタンク16の外側で)、次にタンク16に戻される(例えばタンク16の気相中に降り注ぐ)、液体天然ガスである。これにより、内容物を冷却又はサブクールすること、及び気化の発生を制限することができる。このため、循環ダクト25は、タンクから液体を取得するために、特にその下部でタンクの内側に接続された下流端と、例えばその上部で流体をタンクに戻すためにタンクに接続された上流端とを備える。例えば、タンク16からの液体はその飽和温度以下にサブクールされ(数K、特に5~20K、特に14Kの温度の低下)、その後タンク16内に再注入される。変形形態において、この冷凍をタンク16からの気化ガスに適用することで、特に気化ガスを再液化することができる。
【0017】
低温冷凍装置は、循環ループを形成する作動回路10(好ましくは閉回路)を備える。この作動回路10は、作動流体(ヘリウム、窒素、ネオン、水素、又は別の適切なガス又は混合物、例えば、ヘリウムとアルゴン又はヘリウムと窒素又はヘリウムとネオン又はヘリウムと窒素とネオン)を含有する。
【0018】
作動回路10は、直列に、作動流体を圧縮する機構2、3と、作動流体を冷却する機構6と、作動流体を膨張させる機構7と、作動流体を加熱する機構6とを備えるサイクルを形成する。
【0019】
装置1は、作動回路10を循環する作動流体との熱交換により、少なくとも1つの部材25において熱を取り出すように意図された冷却用熱交換器8を備える。
【0020】
作動流体を冷却及び加熱するための機構は、従来、作動流体が、冷却されるか加熱されるかに応じて、作動回路の2つの別々の通過部分を向流して通過する共通の熱交換器6を備える。
【0021】
冷却用熱交換器8は、例えば、膨張機構7と共通の熱交換器6との間に配置される。図示のように、冷却用熱交換器8は、共通の熱交換器6とは別の熱交換器であり得る。
【0022】
しかしながら、変形形態において、この冷却用熱交換器8は、共通の熱交換器6の一部から構成されてもよい(つまり、2つの熱交換器6、8は一体であることができる、すなわち、同一の交換構造を共有する別々の流体回路を有してもよい)。
【0023】
したがって、圧縮機構2、3を比較的高温で出た作動流体は、共通の熱交換器6で冷却されてから膨張機構7に入る。膨張機構7と冷却用熱交換器8を比較的低温で出た作動流体は、共通の熱交換器6で部分的に加熱された後、圧縮機構2、3に戻り、新たなサイクルを開始する。
【0024】
従来、通常の動作モード(作動ガスが圧縮、冷却、膨張、加熱のサイクルを経て、冷却用熱交換器8で冷気を生成する)において、等しい質量流量が共通の熱交換器6内で2つの通路部分を循環する。
【0025】
したがって、示されているように、通常の動作モードでは、流体(液化天然ガス等、特に水素)の流れを冷却用熱交換器8で冷却することができる。この流体に、冷却されると固化する可能性のある不純物(二酸化炭素等)が含まれていた場合、冷却用熱交換器8に閉塞17又は障害物が発生する可能性がある。
【0026】
(例えば冷却の数時間又は数日後に)使用中に生じたこれらの不純物を排除するために、システムは自動的に除去モードに入るか、又は手動で除去モードに設定され、冷却用熱交換器8内で固化した不純物を除去することができる。この構成によれば、冷凍装置1が停止され、同時にユーザ流体の流れが冷却用熱交換器8に循環される。
【0027】
冷凍装置1が停止すると、冷却用熱交換器8での冷気の生成が中断される。この熱交換器8は、その冷却構成と比較して昇温する。この昇温とユーザ流体の流れを組み合わせることで、昇華又は気化及び機械的な排除によって、固化した不純物は排除される。具体的には、不純物は流れの中に溶解し、流れによって一掃される。
【0028】
このようにユーザ流体の流れを冷却用熱交換器8に循環させることは、冷却される流体をフィードするのと同じ循環ダクト25によって、例えば、冷却されるタンク16からポンプで送給することによって行うことができる。
【0029】
プロセスの効率と速度をさらに向上させるために、除去ステップと同時に、及び/又は除去ステップに続いて、パージ流体の流れが冷却用熱交換器8に注入される冷却用熱交換器8のパージ18を提供して、除去ステップ中に分離した不純物を冷却用熱交換器8から一掃して排除することができる。
【0030】
例えば、加熱された不純物をパージするために、中性ガスなど(例えば窒素)の回路18を設けることができる。このパージは、必要に応じて、昇温中にユーザ流体の流れを循環させることに取って代わってもよい。得られた混合物は、放出ゾーン(例えば、大気中)に排出することができる。
【0031】
或いは、このパージ18は、ユーザ流体の流れを利用して実施することができる。例えば、ユーザ流体の一部は、循環ダクト12から(例えば、バルブを備えたバイパス9を介して)取り出される。パージ用のユーザ流体は、冷却用熱交換器8で気化し、不純物を分離することができる。得られた混合物は、外部又は回収ゾーンに戻されてもよく、特にユーザ流体のタンク16に再注入されてもよい。
【0032】
本装置は、システムの部材(モータ、バルブ、ポンプ等)の全部又は一部に接続された少なくとも1つの電子コントローラ12を備え得る。電子コントローラ12は、マイクロプロセッサ又はコンピュータを備え得、システムを、特に上述又は後述のプロセスに従って制御するように構成され得る。
【0033】
圧縮機構2、3は、1つ又は複数の圧縮機と、圧縮機2、3を回転させるための少なくとも1つの駆動モータ14、15とを備え、装置の冷凍能力は可変であり、駆動モータ14、15の回転速度(サイクル速度)を調節することによって制御される。
【0034】
図示の例では、冷凍装置は、2つの圧縮段を形成する2つの圧縮機と、膨張タービンとを備える。これは、圧縮機構が、好ましくは遠心式の2つの圧縮機2、3を直列に備え、膨張機構が、1つのタービン7、好ましくは求心式タービンを備えることを意味する。当然のことながら、圧縮機とタービンの任意の他の数及び配置を考えることができ、例えば、直列の3つの圧縮機と1つの膨張タービン、直列の2つの圧縮機と直列の2つのタービン、又は直列の3つの圧縮機と直列の2つ又は3つのタービンなどである。
【0035】
図示の例では、各圧縮機2、3の出口に冷却用熱交換器4、5が設けられる(例えば、周囲温度の水又はいずれかの他の冷却剤又は流体との熱交換による冷却)。これにより、等エントロピー、等温、又は実質的に等温の圧縮が可能になる。当然のことながら、他の任意の配置を考えることができる(例えば、1つ又は複数の圧縮段を有する冷却用熱交換器4、5はない)。同様に、(冷却用熱交換器8の前又は後で)等エントロピー又は等温膨張を実現するために、膨張タービン7の全部又は一部の出口に加熱用熱交換器を設けてもよいし、設けなくてもよい。好ましくはまた、作動流体の加熱及び冷却は好ましくは等圧性であるが、これは限定されるものではない。
【0036】
例えば、装置1は、2つの圧縮段2、3をそれぞれ駆動するための2つの高速モータ14、15(例えば、1分あたり1万回転又は1分あたり数万回転)を備える。タービン7は、圧縮段2、3の一方のモータ2に結合可能であり、つまり、装置は、圧縮段2(特に第1)の駆動モータ2に結合された膨張機構を形成するタービン7を有し得る。
【0037】
したがって、タービン7の動力を有利に回収し、モータの消費量を抑えるために使用することができる。したがって、モータの速度(したがって、作動ガスのサイクルにおける流速)を上げることによって、生成される冷凍能力、したがって液化装置の電力消費量が増大される(逆もまた同様)。圧縮機2、3及びタービン7は、好ましくは、(ギア付き運動伝達機構なしに)関連するモータの出力シャフトに直接結合される。
【0038】
モータの出力シャフトは、磁気タイプ又は動的ガスタイプのベアリングに取り付けられると好ましい。このベアリングは、圧縮機及びタービンを支持するために使用される。
【0039】
さらに、装置の全部又は一部、特にその冷却部材は、熱的に絶縁された密閉ケーシング(特に、冷却部分:冷却用熱交換器8、タービン7、及び任意選択的に共通の向流熱交換器を含む真空チャンバ)に収容することができる。
【0040】
本発明は、他の流体又は混合物、特に水素を冷却及び/又は液化する方法に適用されてもよい。

図1
【国際調査報告】