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特表2022-543297固体バイオマス燃料を生成するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】固体バイオマス燃料を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507585
(86)(22)【出願日】2020-08-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 GB2020051905
(87)【国際公開番号】W WO2021024001
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】1911374.5
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1911446.1
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519385397
【氏名又は名称】バイ ホン メイ
【氏名又は名称原語表記】BAI, HONG MEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】バイ ホン メイ
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA07
4H015BA09
4H015BA11
4H015BA13
4H015BB03
4H015BB05
4H015BB10
4H015CB01
(57)【要約】
ポリエチレンテレフタレート(PET)をリサイクルして、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を生成するための方法であって、(a)好ましくは2つの、直列の解重合反応器において、エチレングリコール及び触媒系の存在下でPETを解重合して、BHETを含む解重合された混合物を形成するステップ;(b)解重合された混合物から、BHETを含む沈殿物を結晶化するステップ;(c)好ましくは水であるが、メタノールでもよいプロトン性溶媒中で沈殿物を溶解して、BHETを含む溶液を形成するステップ;(d)溶液から不純物を除去して、BHETを含む精製された溶液を形成するステップ;並びに(e)精製された溶液から、BHETを含む精製された生成物を結晶化するステップを含む、方法。そのような方法のための適切な装置、及び触媒系における尿素の使用も、したがって提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)前記微粉化バイオマス粉末を圧縮して、30重量%未満の水分率を有する圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)前記圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(v)前記乾燥圧縮バイオマス粉末を成型して、成型バイオマス生成物を提供するステップ、
(vi)前記成型バイオマス生成物を、0.25~5時間の期間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ、並びに
(vii)前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
1又は2以上のバイオマスの供給源が農業廃棄物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、イネ科植物、籾殻、ヤム、藁、トウモロコシ穂軸、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、20重量%~80重量%の量のイネ科植物と、籾殻、ヤム、藁、トウモロコシ穂軸のうち1若しくは2以上、又はこれらの任意の組合せとを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
1又は2以上のバイオマスの供給源がイネ科植物を含み、前記イネ科植物がペニセタム属の植物を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
1又は2以上のバイオマスの供給源がペニセタム・シネセ・Roxbを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)ペニセタム属の植物などのイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、(ii)籾殻とヤムとの混合物、(iii)藁とヤムとの混合物、及び(iv)トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)が、(a)50重量%未満の水分率を有するように、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ、及び/又は(b)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップを含み、好ましくは、ステップ(a)とステップ(b)との両方を含み、より好ましくは、前記1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ(a)を、前記1又は2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップ(b)の前に含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が、30重量%~50重量%である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)が、前記乾燥圧縮バイオマス粉末が、10重量%~18重量%、好ましくは12重量%~15重量%の水分率を有するように、前記圧縮バイオマス粉末を乾燥させることを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)が、乾燥させながら前記圧縮バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ(v)が、成形バイオマス生成物のその密度が制御されるように、前記成型するステップを適応させることを含み、任意に、前記成型バイオマス生成物の密度が制御されるように、前記成型するステップを適応させることが、前記成型するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ(v)の前に、前記乾燥圧縮バイオマス粉末に添加剤を添加する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
添加剤が、成型バイオマス生成物の収率を上昇させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)が、0.4~2.5時間の期間行われる、及び/又は成型バイオマス生成物を加熱するステップが、前記成型バイオマス生成物を、180℃~350℃、任意に210℃~280℃の温度に加熱することを含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)が、前記成型バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、前記成型バイオマス生成物を加熱することを含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)を、固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(vi)を、前記固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させることが、前記成型バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(vi)を実施することを含み、任意に、ステップ(vi)を、前記固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させることが、前記成型バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、前記成型バイオマス生成物を、前記装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
加熱するステップ(vi)の後、かつ固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vii)の前に、前記固体バイオマス燃料を冷却するステップをさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vii)が、スクリーンを用いて、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
スクリーンが3mm~8mmの空隙サイズを有し、好ましくは、前記スクリーンが4mm~6mmの空隙サイズを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vii)が、前記固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度が、0.58kg/l~0.8kg/l、好ましくは0.6kg/l~0.75kg/l、最も好ましくは0.60~0.70kg/lであり、及び/又はDIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性が、95%以上、96%以上、97%以上、若しくは98%以上である、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源が、ペニセタム属の植物などのイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbを含むか、又はこれらから本質的になり、固体バイオマス燃料が、0.60kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であり、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻とヤムとの混合物を含み、前記固体バイオマス燃料が、0.58kg/L~0.63kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であり、
(iii)1又は2以上のバイオマスの供給源が、藁とヤムとの混合物を含み、前記固体バイオマス燃料が、0.60kg/L~0.64kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であり、又は
(iv)1又は2以上のバイオマスの供給源が、トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含み、前記固体バイオマス燃料が、0.62kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であり、
前記バルク密度がDIN EN 15103によって決定され、前記機械的耐久性がDIN EN 15210-1によって決定される、
請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
(i)バイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量が、0.15重量%以下、好ましくは0.12重量%以下、最も好ましくは0.10重量%以下であり、前記総乾燥硫黄含有量がDIN EN 15289によって決定される、(ii)バイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量が、5重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、前記総乾燥水素含有量がDIN EN 15104によって決定される、(iii)バイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量が、36重量%以上、好ましくは38重量%~42重量%、より好ましくは38重量%~40重量%であり、前記総乾燥酸素含有量がDIN EN 15296によって決定される、(iv)バイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量が、36重量%以上、好ましくは38重量%~48重量%、より好ましくは39重量%~45重量%であり、総乾燥炭素含有量がDIN EN 15104によって決定される、及び/又は(v)バイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量が、0.8重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.6重量%未満であり、前記総乾燥窒素含有量がDIN EN 15104によって決定される、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
固体バイオマス燃料が、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間耐水性である、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
(i)固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)が、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以下であり、前記化学的酸素要求量がGB/11914-89によって決定される、(ii)固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、25重量%以上、好ましくは28重量%~35重量%、より好ましくは30重量%~33重量%であり、前記固定炭素含有量がDIN EN 51734によって決定される、(iii)固体バイオマス燃料の灰分が、20重量%未満、好ましくは18重量%未満、最も好ましくは16重量%未満であり、前記灰分が550℃において、EN 14775によって決定される、及び/又は(iv)固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、42重量%~70重量%、より好ましくは48重量%~75重量%であり、前記揮発性物質含有量がDIN EN 15148によって決定される、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
固体バイオマス燃料が、8重量%未満、好ましくは7重量%未満、最も好ましくは6重量%未満の水分率を有し、前記水分率がDIN EN 14774によって決定される、請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
バイオマス固体燃料が、4300kcal/kg~6500kcal/kgの発熱量を有し、前記発熱量がDIN EN 14918に従って決定される、請求項1~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
成型バイオマス生成物のバルク密度がAであり、バイオマス固体燃料のバルク密度がBであって、B/Aが0.55~1であり、前記バルク密度がDIN EN 15103に従って決定される、請求項1~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
バイオマスに由来する材料が、固体バイオマス燃料中に、前記固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、請求項1~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
請求項1~30のいずれかに記載の方法によって得ることできる又は得られた固体バイオマス燃料。
【請求項32】
1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、
(i)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbを含む、これらからなる、若しくはこれらから本質的になる、
(ii)籾殻とヤムとの混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になる、
(iii)藁とヤムとの混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になる、
(iv)トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になる、
(v)ペニセタム・シネセ・Roxbと籾殻との混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になる、
(vi)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbと藁との混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になる、又は
(vii)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbとトウモロコシ穂軸との混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になる、
前記固体バイオマス燃料。
【請求項33】
1若しくは2以上のバイオマスの供給源又は固体バイオマス燃料が、請求項2~7、22~28及び30のいずれかに記載の通りである、請求項31又は32に記載の固体バイオマス燃料。
【請求項34】
請求項31~33のいずれかに記載の固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法。
【請求項35】
石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
方法におけるPM1.0排出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
燃焼方法における燃料としての、請求項31~33のいずれかに記載の固体バイオマス燃料の使用であって、1又は2以上のバイオマスの供給源を、請求項1~30のいずれかに記載の方法に使用することを含み、任意に前記燃焼方法が石炭などの化石燃料と一緒に前記固体バイオマス燃料を同時焼成することを含む、前記使用。
【請求項38】
燃焼方法におけるPM1.0排出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbを含むか、これらからなるか、若しくはこれらから本質的になり、(ii)籾殻とヤムとの混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になり、(iii)藁とヤムとの混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になり、(iv)トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になり、(v)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbと籾殻との混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になり、(vi)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbと藁との混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になり、又は(vii)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbとトウモロコシ穂軸との混合物を含むか、前記混合物からなるか、若しくは前記混合物から本質的になり、任意に、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、請求項2~7及び23のいずれかに記載の通りである、前記使用。
【請求項40】
1又は2以上のバイオマスの供給源を、請求項1~30のいずれかに記載の方法に使用することを含む、及び/又は固体バイオマス燃料が、請求項31~33のいずれかに記載の通りである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
固体バイオマス燃料の生成において使用するために、1又は2以上のバイオマスの供給源を前処理するための前処理方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)前記微粉化バイオマス粉末を圧縮して、30重量%未満の水分率を有する圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、並びに
(iv)前記圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ
を含む、前記前処理方法。
【請求項42】
30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)が、(a)50重量%未満の水分率を有するように、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ、及び/又は(b)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、前記1若しくは2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップを含み、好ましくは、ステップ(a)とステップ(b)との両方を含み、より好ましくは、前記1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ(a)を、前記1又は2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップ(b)の前に含む、請求項41に記載の前処理方法。
【請求項43】
1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が、30重量%~50重量%である、請求項41又は42に記載の前処理方法。
【請求項44】
圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)が、前記乾燥圧縮バイオマス粉末が、10重量%~18重量%、好ましくは12重量%~15重量%の水分率を有するように、前記圧縮バイオマス粉末を乾燥させることを含む、請求項41~43のいずれかに記載の前処理方法。
【請求項45】
圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)が、乾燥させながら圧縮バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む、請求項41~43のいずれかに記載の前処理方法。
【請求項46】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、請求項2~7及び23のいずれかに記載の通りである、請求項41~45のいずれかに記載の前処理方法。
【請求項47】
請求項41~46のいずれかに記載の前処理方法であって、固体バイオマス燃料を生成する方法の前に行われ、前記固体バイオマス燃料を生成する方法が、乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ又は加熱するステップを含み、任意に、前記方法が、請求項1~30のいずれかに記載の通りである、前処理方法。
【請求項48】
固体バイオマス燃料を後処理するための後処理方法であって、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップを含む、前記後処理方法。
【請求項49】
固体バイオマス燃料を後処理するための後処理方法であって、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、スクリーンを用いて、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む、前記後処理方法。
【請求項50】
スクリーンが3mm~8mmの空隙サイズを有し、好ましくは、スクリーンが4mm~6mmの空隙サイズを有する、請求項49に記載の後処理方法。
【請求項51】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、前記固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む、請求項48~50のいずれかに記載の後処理方法。
【請求項52】
1又は2以上のバイオマスの供給源から固体バイオマス燃料を生成するための方法の後に行われ、前記固体バイオマス燃料を生成するための方法が、成型するステップ又は加熱するステップを含み、任意に、前記方法が、請求項1~30のいずれかに記載の通りである、請求項48~51のいずれかに記載の後処理方法。
【請求項53】
固体バイオマス燃料が、請求項31~33のいずれかに記載の通りである、請求項48~52のいずれかに記載の後処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体バイオマス燃料を生成するための方法、及び前記方法によって生成される固体バイオマス燃料に関する。さらに、本発明は、前記固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電は、世界中で発電所及び工業プロセスにおいて使用されている。石炭及び他の化石燃料は、非再生可能エネルギー資源である。ここ数十年にわたって、石炭火力発電所における石炭の消費を低減し、代わりにエネルギーのために再生可能資源を使用することが要求されている。
【0003】
バイオマスに由来する燃料は、石炭に取って代わる、又は少なくとも部分的に取って代わるように使用することができる、再生可能エネルギー源の一例である。バイオマス由来燃料は、発電所におけるエネルギーを生じるための燃焼方法において、酸素の存在下で燃やすことができる。バイオマス由来燃料は、当初は石炭燃焼用に設計された伝統的な発電所において燃焼させることができ、又はバイオマス由来燃料は、特にバイオマス燃焼用に建設された発電所において燃焼させることができる。ある特定の形態のバイオマスは、石炭と混合して、発電所内の同じ燃焼方法において燃焼させることができる。このような方法は、バイオマスの石炭同時焼成として公知である。石炭との同時焼成に好適であるためには、バイオマス由来燃焼は、典型的には、特性に関するある特定のレベルの質及び均質性など、ある特定の特性を有しなければならない。例えば、均質なサイズ、密度、水分率等の粒子を含むバイオマス燃料は、同時焼成方法に特に望ましい。バイオマス燃料が低レベルの灰を含有することも望ましい。バイオマス由来燃料中の灰のレベルは、典型的には、石炭中のレベルよりも高い。
【0004】
バイオマス供給源から固体バイオマス燃料を生成するための様々な方法が公知である。国際公開第2014/087949号パンフレットは、バイオマスの供給源を水蒸気爆砕した後でバイオマスブロックに成型し、次いで、バイオマス燃料が形成されるように加熱する、固体バイオマス燃料を生成するための方法を開示している。この方法の狙いは、貯蔵時の十分な取り扱い性を有し、貯蔵時の排水中の化学的酸素要求量(COD,chemical oxygen demand)が低減した、バイオマス燃料を生成することである。この方法において使用されるバイオマス供給源は、パーム核外殻である。
【0005】
国際公開第2016/056608号パンフレットは、国際公開第2014/087949号パンフレットの教示のもとに構築され、燃料を生成するために水蒸気爆砕ステップを必要としない、固体バイオマス燃料を製造するための方法を開示している。この方法は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成型する、成型するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する。前記方法における使用について教示されるバイオマス供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムなどの樹木である。
【0006】
国際公開第2017/175733号パンフレットは、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成型する、成型するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する、同様の方法を開示している。国際公開第2017/175733号パンフレットの方法は、低崩壊を呈し、雨水に曝露した場合の排水中のCODの低減を達成するバイオマス燃料を提供することを対象とする。この方法に使用されるバイオマスの供給源は、ゴムノキ、アカシア、メランティ、ユーカリ、チーク、及びカラマツとトウヒとカバノキとの混合物から選択される。
【0007】
国際公開第2019/069849号パンフレットは、輸送及び貯蔵が容易であり、貯蔵時の自然燃焼への抵抗性があるバイオマス燃料を提供することを狙いとする。バイオマス燃料は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成型する、成型するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する方法によって作製される。燃料を生成するためのバイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア樹木、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、並びにトウヒ、マツ、及びモミから選択される。
【0008】
国際公開第2019/069860号パンフレットは、バイオマス固体燃料を生成するための装置を開示している。この装置は、成型バイオマス生成物を炭化させて、バイオマス固体燃料を得るための炭化炉を含む。この装置は、収率算出ユニット、温度測定ユニット、及び制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、バイオマス燃料の自然燃焼特性に基づいて、炭化炉に適用される熱を制御する。成型バイオマス生成物は、バイオマス供給源を微粉化してペレットにした後、前記ペレットを成型バイオマス燃料に成型することによって形成される。バイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア、フタバガキ(dipterocarp)、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、又はトウヒとマツとモミとの混合物から選択される。
【0009】
国際公開第2018/181919号パンフレットは、固体バイオマス燃料を生成するための、上に論じたものとは異なる方法を開示している。この方法には、バイオマスの供給源を、バイオマスが炭化されるように熱水中で加圧する、バイオマスの水熱炭化のステップが伴う。この方法は、高収率かつ低減した製造コストで、高い微粉砕性を有するバイオマス燃料を提供することが報告されている。バイオマスの供給源は、殻、パーム核外殻、ココヤシ、竹、空果房、アンズ、及びナスから選択される。
【0010】
国際公開第2017/175737号パンフレットは、炭化バイオマスを冷却するための冷却装置を開示している。この装置は、半炭化成型バイオマスの冷却効率を改善する。この装置はバイオマスを、水を噴霧することによって冷却する。冷却器は、振動平板、及び平板に水を噴霧するための噴霧セクションを含む。バイオマス燃料は、上に論じたものと同じ方法によって生成する。バイオマス燃料を生成するためのバイオマスの供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムノキである。
【0011】
最後に、国際公開第2014/050964号パンフレットは、石炭とともに微粉砕できるように、バイオマスの微粉砕性を改善するための方法を開示している。この方法には、微粉砕木質バイオマスの水分率を10~50%に上昇させること、0.55g/cm以上の密度を有するようにバイオマスを高密度化した後、バイオマスを焙焼に供することが伴う。バイオマスの供給源としては、ウッドチップ、樹皮、経木、及びおがくずが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2014/087949号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/056608号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2017/175733号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2019/069849号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2019/069860号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2018/181919号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2017/175737号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2014/050964号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の発明者らは、上の文献において論じられた固体バイオマス燃料及びその製造のための方法が、これらに関連する様々な問題を有することを認識している。例えば、上の文献に記載されるバイオマス供給源はすべて、典型的には天然にのみ存在し、商業規模において栽培及び収穫することが容易ではない植物及び樹木である。本発明者らは、容易に成長させ、収穫できる、又は商業規模において利用可能なバイオマスの供給源を有することが有利であると認識している。バイオマス供給源の質及び特定の特徴を制御できるように、成長させ、収穫できるバイオマスの供給源を有することも有利である。燃料として使用するための十分な量のバイオマス供給源を提供するために、大規模な伐採を必要としない、代替バイオマス供給源を有することも有利であろう。
【0014】
加えて、本発明者らは、すべて木質材料又は同様の材料を含む、上の文献に記載されるバイオマスの供給源は、当技術分野において公知である従来の微粉化技法に供する場合、低い均質度を有する粒子を形成することを見出した。さらに、バイオマス供給源を微粉化することは、木材及び木材様材料は微粉化が困難であるという性質に起因して、費用がかかる。本発明の発明者らは、当技術分野において公知である従来の微粉化技法によってより容易に微粉化され、微粉化した場合により均質なサイズの粒子を形成するバイオマスの供給源を有することは、有利であると認識している。
【0015】
加えて、本発明者らは、上の文献において論じられたバイオマス供給源から調製される、及び上の文献における方法によって調製される、固体バイオマス燃料は、十分な防水特徴を有しないことを見出した。固体バイオマス燃料は、燃焼方法(単独で、又は石炭との同時焼成の場合のいずれか)に使用する時点で乾燥(又は少なくとも十分に乾燥)している必要があるため、防水特徴は固体バイオマス燃料には重要である。バイオマス燃料は、貯蔵又は輸送中に(例えば雨水から)、頻繁に水分に曝露される。したがって、耐水能力が上昇したバイオマス燃料が望ましい。
【0016】
本発明者らはまた、上の文献に記載されるバイオマス燃料生成方法は、十分な質及び均一性を有する燃料を提供しないことを認識している。特に、上に論じた方法は、成型するステップ中のバイオマスの密度の十分な制御を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以前の方法に関連して上に論じた問題に対処するものである。本発明の発明者らは、驚くべきことに、固体バイオマス燃料を提供するのに有用な、ある特定のバイオマスの供給源を、商業規模において成長させ、収穫できることを見出した。そうすることで、決まった一定のバイオマスの供給源を、燃料の生成のために、成長サイクルにおいて提供することができる。加えて、前記バイオマスの供給源を商業規模において成長させ、収穫すると、例えば、栽培及び交配の技法によって、バイオマス供給源の質及び均一性を制御することができる。
【0018】
加えて、本発明の発明者らはまた、農業廃棄生成物である、ある特定のバイオマスの供給源を使用して、固体バイオマス固体燃料を生成できることを見出した。
【0019】
上記に加えて、本発明の発明者らはまた、方法の成型するステップ及び/又は加熱するステップを変更することによって、改善された耐水特徴を有するバイオマス燃料を提供できることを見出した。本発明の方法の成型するステップ及び加熱するステップの適応及び制御によって、固体バイオマス燃料生成物の質及び均一性が改善し、燃焼方法における使用に非常に好ましいある特定の物理的特徴が、固体バイオマス燃料生成物に付与されることも見出した。さらに、成型するステップ及び加熱するステップを適応させることで、固体バイオマス燃料の収率が上昇し、輸送及び貯蔵を容易にする特徴が、燃料に付与されることが見出されている。本発明者らは、バイオマス供給源の性質と、成型及び加熱するステップの特定の特性とがともに作用して、当技術分野において公知のものを超える、燃焼方法における使用のための優れたバイオマス燃料生成物を提供することを見出した。
【0020】
本発明の第1の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)微粉化バイオマス粉末を圧縮して、30重量%未満の水分率を有する圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、
(v)乾燥圧縮バイオマス粉末を成型して、成型バイオマス生成物を提供するステップ、
(vi)成型バイオマス生成物を、0.25~5時間の期間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ、並びに
(vii)固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ
を含む、方法が提供される。
【0021】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、イネ科植物、籾殻、ヤム、藁、トウモロコシ穂軸、又はこれらの任意の組合せを含む。実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は農業廃棄物を含む。
【0022】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量のイネ科植物と、籾殻、ヤム、藁、トウモロコシ穂軸のうち1若しくは2以上、又はこれらの任意の組合せとを含む。
【0023】
好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源はイネ科植物を含む。より好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源はペニセタム(Pennisetum)属の植物を含む。最も好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源はペニセタム・シネセ(Pennisetum sinese)・Roxbを含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、(i)ペニセタム属の植物などのイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、(ii)籾殻とヤムとの混合物、(iii)藁とヤムとの混合物、及び(iv)トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる。
【0025】
典型的には、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)は、(a)50重量%未満の水分率を有するように、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ、及び/又は(b)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップを含み、好ましくは、この方法はステップ(a)とステップ(b)との両方を含み、より好ましくは、この方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ(a)を、1又は2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップ(b)の前に含む。
【0026】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率は、30重量%~50重量%である。
【0027】
典型的には、圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)は、乾燥圧縮バイオマス粉末が、10重量%~18重量%、好ましくは12重量%~15重量%の水分率を有するように、圧縮バイオマス粉末を乾燥させることを含む。
【0028】
典型的には、圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)は、乾燥させながら圧縮バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む。
【0029】
典型的には、乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ(v)は、成型バイオマス生成物のその密度が制御されるように、成型するステップを適応させることを含み、任意に、成型バイオマス生成物の密度が制御されるように、成型するステップを適応させることは、前記成型するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含む。
【0030】
典型的には、乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ(v)の前に、乾燥圧縮バイオマス粉末に添加剤を加える。好ましくは、添加剤によって、成型バイオマス生成物の収率を上昇させる。
【0031】
典型的には、成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)は、0.4~2.5時間の期間行われる、及び/又は成型バイオマス生成物を加熱するステップは、成型バイオマス生成物を、180℃~350℃、任意に210℃~280℃の温度に加熱することを含む。
【0032】
好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)は、成型バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、成型バイオマス生成物を加熱することを含む。
【0033】
好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)を、固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(vi)を、固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させることは、成型バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(vi)を実施することを含み、任意に、ステップ(vi)を、固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させることは、成型バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、成型バイオマス生成物を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。
【0034】
典型的には、この方法は、加熱するステップ(vi)の後、かつ固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vii)の前に、固体バイオマス燃料を冷却するステップをさらに含む。
【0035】
典型的には、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vii)は、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む。好ましくは、スクリーンは3mm~8mmの空隙サイズを有し、好ましくは、スクリーンは4mm~6mmの空隙サイズを有する。
【0036】
典型的には、DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度は、0.58kg/l~0.8kg/l、好ましくは0.6kg/l~0.75kg/l、最も好ましくは0.60~0.70kg/lである。
【0037】
典型的には、DIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性は、95%以上、96%以上、97%以上、又は98%以上である。
【0038】
この方法のいくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源及び固体バイオマス燃料は、次の通りである:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源は、ペニセタム属の植物などのイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbを含み、又はこれらから本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.60kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とヤムとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.58kg/L~0.63kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(iii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、藁とヤムとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.60kg/L~0.64kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(iv)1又は2以上のバイオマスの供給源は、トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.62kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
バルク密度はDIN EN 15103によって決定され、機械的耐久性はDIN EN 15210-1によって決定される。
【0039】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量は、0.15重量%以下、好ましくは0.12重量%以下、最も好ましくは0.10重量%以下であり、総乾燥硫黄含有量はDIN EN 15289によって決定される。
【0040】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量は、5重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、総乾燥水素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0041】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量は、36重量%以上、好ましくは38重量%~42重量%、より好ましくは38重量%~40重量%であり、総乾燥酸素含有量はDIN EN 15296によって決定される。
【0042】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量は、36重量%以上、好ましくは38重量%~48重量%、より好ましくは39重量%~45重量%であり、総乾燥炭素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0043】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量は、0.8重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.6重量%未満であり、総乾燥窒素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0044】
典型的には、固体バイオマス燃料は、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間耐水性である。
【0045】
典型的には、固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)は、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以下であり、化学的酸素要求量はGB/11914-89によって決定される。
【0046】
典型的には、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量は、25重量%以上、好ましくは28重量%~35重量%、より好ましくは30重量%~33重量%であり、固定炭素含有量はDIN EN 51734によって決定される。
【0047】
典型的には、固体バイオマス燃料の灰分は、20重量%未満、好ましくは18重量%未満、最も好ましくは16重量%未満であり、灰分は550℃において、EN 14775によって決定される。
【0048】
典型的には、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量は、42重量%~70重量%、より好ましくは48重量%~75重量%であり、揮発性物質含有量はDIN EN 15148によって決定される。
【0049】
典型的には、固体バイオマス燃料は、8重量%未満、好ましくは7重量%未満、最も好ましくは6重量%未満の水分率を有し、水分率はDIN EN 14774によって決定される。
【0050】
典型的には、バイオマス固体燃料は、4300kcal/kg~6500kcal/kgの発熱量を有し、発熱量はDIN EN 14918に従って決定される。
【0051】
典型的には、成型バイオマス生成物のバルク密度がAであり、バイオマス固体燃料のバルク密度がBであって、B/Aは0.55~1であり、バルク密度はDIN EN 15103に従って決定される。
【0052】
典型的には、バイオマスに由来する材料は、固体バイオマス燃料中に、固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、先行する請求項のいずれかによる方法によって得ることができる又は得られた固体バイオマス燃料が提供される。
【0054】
本発明の第3の態様によれば、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、1又は2以上のバイオマスの供給源が、
(i)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbを含む、これらからなる、若しくはこれらから本質的になる、
(ii)籾殻とヤムとの混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、
(iii)藁とヤムとの混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、
(iv)トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、
(v)ペニセタム・シネセ・Roxbと籾殻との混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、
(vi)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbと藁との混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、又は
(vii)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbとトウモロコシ穂軸との混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、
固体バイオマス燃料が提供される。
【0055】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、イネ科植物、籾殻、ヤム、藁、トウモロコシ穂軸、又はこれらの任意の組合せを含む。実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は農業廃棄物を含む。
【0056】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量のイネ科植物と、籾殻、ヤム、藁、トウモロコシ穂軸のうち1若しくは2以上、又はこれらの任意の組合せとを含む。
【0057】
好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源はイネ科植物を含む。より好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源はペニセタム属の植物を含む。最も好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源はペニセタム・シネセ・Roxbを含む。
【0058】
ある特定の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、(i)ペニセタム属の植物などのイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、(ii)籾殻とヤムとの混合物、(iii)藁とヤムとの混合物、及び(iv)トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる。
【0059】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率は、30重量%~50重量%である。
【0060】
典型的には、DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度は、0.58kg/l~0.8kg/l、好ましくは0.6kg/l~0.75kg/l、最も好ましくは0.60~0.70kg/lである。
【0061】
典型的には、DIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性は、95%以上、96%以上、97%以上、又は98%以上である。
【0062】
この方法のいくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源及び固体バイオマス燃料は、次の通りである:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源は、ペニセタム属の植物などのイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbを含み、又はこれらから本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.60kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とヤムとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.58kg/L~0.63kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(iii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、藁とヤムとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.60kg/L~0.64kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(iv)1又は2以上のバイオマスの供給源は、トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.62kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
バルク密度はDIN EN 15103によって決定され、機械的耐久性はDIN EN 15210-1によって決定される。
【0063】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量は、0.15重量%以下、好ましくは0.12重量%以下、最も好ましくは0.10重量%以下であり、総乾燥硫黄含有量はDIN EN 15289によって決定される。
【0064】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量は、5重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、総乾燥水素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0065】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量は、36重量%以上、好ましくは38重量%~42重量%、より好ましくは38重量%~40重量%であり、総乾燥酸素含有量はDIN EN 15296によって決定される。
【0066】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量は、36重量%以上、好ましくは38重量%~48重量%、より好ましくは39重量%~45重量%であり、総乾燥炭素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0067】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量は、0.8重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.6重量%未満であり、総乾燥窒素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0068】
典型的には、固体バイオマス燃料は、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間耐水性である。
【0069】
典型的には、固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)は、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以下であり、化学的酸素要求量はGB/11914-89によって決定される。
【0070】
典型的には、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量は、25重量%以上、好ましくは28重量%~35重量%、より好ましくは30重量%~33重量%であり、固定炭素含有量はDIN EN 51734によって決定される。
【0071】
典型的には、固体バイオマス燃料の灰分は、20重量%未満、好ましくは18重量%未満、最も好ましくは16重量%未満であり、灰分は550℃において、EN 14775によって決定される。
【0072】
典型的には、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量は、42重量%~70重量%、より好ましくは48重量%~75重量%であり、揮発性物質含有量はDIN EN 15148によって決定される。
【0073】
典型的には、固体バイオマス燃料は、8重量%未満、好ましくは7重量%未満、最も好ましくは6重量%未満の水分率を有し、水分率はDIN EN 14774によって決定される。
【0074】
典型的には、バイオマス固体燃料は、4300kcal/kg~6500kcal/kgの発熱量を有し、発熱量はDIN EN 14918に従って決定される。
【0075】
典型的には、成型バイオマス生成物のバルク密度がAであり、バイオマス固体燃料のバルク密度がBであって、B/Aは0.55~1であり、バルク密度はDIN EN 15103に従って決定される。
【0076】
典型的には、バイオマスに由来する材料は、固体バイオマス燃料中に、固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する。
【0077】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第2及び第3の態様に従った固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法が提供される。
【0078】
一実施形態では、化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる。好ましくは、化石燃料は石炭を含む。
【0079】
一実施形態では、方法のPM1.0排出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0080】
本発明の第5の態様によれば、燃焼方法における燃料としての、本発明の第2及び第3の態様による固体バイオマス燃料の使用が提供される。
【0081】
好ましくは、燃焼方法は、化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成するステップを含む。好ましくは、化石燃料は石炭である。
【0082】
一実施形態では、方法のPM1.0排出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0083】
本発明の第6の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、1又は2以上のバイオマスの供給源は、(i)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbを含む、これらからなる、若しくはこれらから本質的になる、(ii)籾殻とヤムとの混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、(iii)藁とヤムとの混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、(iv)トウモロコシ穂軸とヤムとの混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、(v)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbと籾殻との混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、(vi)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbと藁との混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、又は(vii)ペニセタム属の植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbとトウモロコシ穂軸との混合物を含む、混合物からなる、若しくは混合物から本質的になる、使用が提供される。
【0084】
好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、本発明の第1及び第3の態様に従って上に記載した通りである。
【0085】
好ましくは、使用は、1又は2以上のバイオマスの供給源を、本発明の第1の態様による方法に使用することを含む。
【0086】
好ましくは、固体バイオマス燃料は、本発明の第1及び第3の態様に従って上に記載した通りである。
【0087】
本発明の第7の態様によれば、固体バイオマス燃料の生成において使用するために、1又は2以上のバイオマスの供給源を前処理するための前処理方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)微粉化バイオマス粉末を圧縮して、30重量%未満の水分率を有する圧縮バイオマス粉末を提供するステップ、並びに
(iv)圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ
を含む、前処理方法が提供される。
【0088】
典型的には、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)は、(a)50重量%未満の水分率を有するように、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ、及び/又は(b)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップを含み、好ましくは、この方法はステップ(a)とステップ(b)との両方を含み、より好ましくは、この方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップ(a)を、1又は2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップ(b)の前に含む。
【0089】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率は、30重量%~50重量%である。
【0090】
典型的には、圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)は、乾燥圧縮バイオマス粉末が、10重量%~18重量%、好ましくは12重量%~15重量%の水分率を有するように、圧縮バイオマス粉末を乾燥させることを含む。
【0091】
典型的には、圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)は、乾燥させながら圧縮バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む。
【0092】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、本発明の第1及び第3の態様に従って上に論じた通りである。
【0093】
典型的には、前処理方法は、固体バイオマス燃料を生成する方法の前に行われ、固体バイオマス燃料を生成する方法は、乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ又は加熱するステップを含む。好ましくは、固体バイオマス燃料を生成する方法は、本発明の第1の態様に従って上に論じた通りである。
【0094】
本発明の第8の態様によれば、固体バイオマス燃料を後処理するための後処理方法であって、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップを含む、後処理方法が提供される。
【0095】
好ましくは、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む。より好ましくは、スクリーンは3mm~8mmの空隙サイズを有し、好ましくは、スクリーンは4mm~6mmの空隙サイズを有する。
【0096】
典型的には、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む。
【0097】
好ましくは、後処理方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源から固体バイオマス燃料を生成するための方法の後に行われ、固体バイオマス燃料を生成するための方法は、成型するステップ又は加熱するステップを含む。より好ましくは、固体バイオマス燃料を生成するための方法は、本発明の第1の態様に従って上に論じた通りである。
【0098】
好ましくは、固体バイオマス燃料は、本発明の第2及び第3の態様に従って上に論じた通りである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
例として、添付の図を参照しながら、本発明をここに記載する。
図1】植物ペニセタム・シネセ・Roxbの写真である。
図2】本発明に従って使用されうる、典型的な圧縮型の略図である。
図3】本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、X軸の圧縮比に対する、Y軸の生産性を図示したグラフである。ここでのバイオマス供給源は、ペニセタム・シネセ・Roxbからなる。
図4】成型するステップ中に添加剤を含む場合の、添加剤を含まない場合に対する、成型するステップの後の収率の差を示し、1又は2以上のバイオマスの供給源はペニセタム・シネセ・Roxbからなる。成型する前に添加剤を乾燥圧縮バイオマスに加える場合、より高収率が得られることを見て取ることができる。
図5】本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、x軸の圧縮比に対する、y軸(kg/L)の密度を図示したグラフである。バイオマス供給源はペニセタム・シネセ・Roxbからなる。
図6】本発明の固体生成物の写真である。
図7】本発明のバイオマス固体燃料生成物の振動、ローリング、又は回転において使用されうる装置を示す図である。
図8】本発明のバイオマス固体燃料生成物の振動、ローリング、又は回転において使用されうる装置を示す図である。
図9】本発明の複数の生成物のバルク密度を図示したグラフである。
図10】本発明の複数の生成物の耐久性を図示したグラフである。
図11】本発明の複数の生成物の硫黄含有量を図示したグラフである。
図12】本発明の複数の生成物の水素含有量を図示したグラフである。
図13】本発明の複数の生成物の酸素含有量を図示したグラフである。
図14】本発明の複数の生成物の炭素含有量を図示したグラフである。
図15】本発明の複数の生成物の窒素含有量を図示したグラフである。
図16】本発明の複数の生成物の固定炭素含有量を図示したグラフである。
図17】本発明の複数の生成物の灰分を図示したグラフである。
図18】本発明の複数の生成物の水分率を図示したグラフである。
図19】本発明の複数の生成物の揮発性物質含有量を図示したグラフである。
図20】本発明の複数の生成物のPM1.0排出を図示したグラフである。
図21】人工気候室における、本発明の生成物の試験の結果を示すグラフである。
図22】人工気候室における、本発明の生成物の別の試験の結果を示すグラフである。
図23】1又は2以上のバイオマスの供給源をチップ化するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
図24】1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
図25】1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
図26】1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
バイオマスの供給源
本発明に従って使用される1又は2以上のバイオマスの供給源は、上に論じたもののいずれであってもよい。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は農業廃棄物を含む。本明細書で使用される「農業廃棄物」という用語は、典型的には、農業操業の副生成物として生成する植物系廃棄生成物を指す。例えば、農業廃棄物は、収穫されて残った植物系生成物、又は収穫された植物系生成物の不用な成分を含みうる。1又は2以上のバイオマスの供給源は、好ましくは、イネ科植物を含む。イネ科植物は、農業操業の副生成物として生成する農業廃棄物、又は特定の目的のために成長させ、残った過剰なイネ科植物でありうる。あるいは、イネ科植物は、特に固体バイオマス燃料のためのバイオマスの供給源として使用する目的のために、成長させ、収穫してもよい。あるいは、イネ科植物は、自然に存在するイネ科植物であってもよい。
【0101】
本発明に従って使用するために好ましい形態のイネ科植物は、ペニセタム属の植物である。ペニセタムは、世界の熱帯及び温帯地域に自生する、イネ科の植物の広範な属である。本発明に従って使用するために好ましいペニセタム属の植物は、植物ペニセタム・シネセ・Roxbである。植物ペニセタム・シネセ・Roxbの写真を、図1に示す。
【0102】
本発明に従って使用されうる他のバイオマスの供給源としては、籾殻、ヤム、藁、及びトウモロコシ穂軸が挙げられる。これらのバイオマスの供給源は、農業操業の副生成物として、農業廃棄物として生成しうる。あるいは、これらのバイオマスの供給源は、特に、バイオマス固体燃料の調製のための供給原料とする目的のために成長させてもよい。トウモロコシ穂軸は、農業廃棄物として生成しうる材料の特定の例である。例えば、ヒトが消費するために、トウモロコシを育て、収穫してもよい。ヒトが消費するためのトウモロコシ植物を加工する場合、加工には、非食用のトウモロコシ穂軸から、食用のトウモロコシを取り去ることが伴いうる。したがって、トウモロコシ穂軸は、農業廃棄生成物である。いくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻、ヤム、藁、トウモロコシ穂軸、又はこれらの任意の組合せを含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる。例えば、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とヤム、藁とヤム、又はトウモロコシ穂軸とヤムを含みうる、これらからなりうる、又はこれらから本質的になりうる。
【0103】
1又は2以上のバイオマスの供給源がイネ科植物と、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源を含む場合、1又は2以上のバイオマスの供給源は、5重量%~95重量%など、任意の特定の量のイネ科植物を含有しうる。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源がイネ科植物と、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源を含む場合、イネ科植物は、1又は2以上のバイオマスの供給源の総量の10重量%~90重量%、20重量%~80重量%、30重量%~70重量%、又は40重量%~60重量%の量で存在する。
【0104】
ある特定の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量のイネ科植物、例えばペニセタム属のイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbと、20重量%~80重量%の量の藁、トウモロコシ穂軸、籾殻、又はこれらの任意の組合せとを含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる。
【0105】
上に論じた1又は2以上のバイオマスの供給源のそれぞれは、当技術分野において公知の従来の方法によって、得る、又は収穫することができる。
【0106】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、任意のさらなる不定の成分が存在してもよいことを意味するために使用される。本明細書で使用される「からなる(consisting)」という用語は、特に列挙されたもの以外のさらなる成分が、存在してはならないことを意味するために使用される。本明細書で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、さらなる不定の成分が存在してもよいが、これらの成分は、組成物の本質的な特徴には実質的に影響しないことを意味するために使用される。
【0107】
上に論じたように、本発明に使用する1又は2以上のバイオマスの供給源は、商業規模において成長させ、収穫することができ、先行技術において使用される材料と比較して、バイオマス供給源の質及び特定の特徴の制御の上昇を提供することが見出されている。前記材料の使用によって、必要な伐採など、樹木を使用することに関連する環境への損害も回避される。上の利点は、イネ科植物、ヤム、トウモロコシ穂軸、及び籾殻の使用に特に関連し、イネ科植物、例えばペニセタム属のイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbに特に関連する。
【0108】
本発明に使用する1又は2以上のバイオマスの供給源の使用では、驚くべきことに、木材などの前記以前から使用されていた材料よりも、微粉砕するのが容易であることも見出されている。これによって、微粉砕プロセスのコストが低減する。特に、イネ科植物は、木材などの以前から使用されていた材料と同じ程度まで微粉砕する必要がない。
【0109】
本発明の材料の使用はまた、微粉砕する場合、前記以前から使用されていた材料よりも、均質な粒子サイズのミックスを提供する。理論によって限定されるものではないが、これによって、バイオマス燃料生成物のより高い均一性及び連続性など、最終的な固体燃料生成物に有利な特性が付与されると考えられる。これは、複数の理由のために、燃焼方法において望ましい。
【0110】
本発明の発明者らは、イネ科植物の使用が、バイオマスの供給源として特に有用であることを認識している。特に、ペニセタム属のイネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxbは、特に有用である。ペニセタム・シネセ・Roxbは、早く育ち、高収率の交配種イネ科植物であることが見出されている。これは、遺伝子組換えされておらず、成長させた場合に、周囲の環境への生態学的リスクもない。多様な土壌条件下で成長することができるため、利用可能な土地について、食用作物と競合しないことになる。さらに、ペニセタム・シネセ・Roxbは、作付け後最初の年に収穫することができる、短期間で早く育つ作物である。対照的に、他の作物、例えば、スイッチグラス、タケ、及び様々な他の作物は、低い収率を有し、作付け後、2、3、又は4年まで収穫することができない。ペニセタム・シネセ・Roxbは、ひとたび1メートルの高さまで成長した後は、作付け後40日でバイオガス生成のために収穫することができ、次いで、25~30日毎に再び収穫できることが見出されている。例えば本発明の方法における、バイオマスペレット及び他の形態の固体燃料の生成について、ペニセタム・シネセ・Roxbは、ひとたび4メートルの高さまで成長した後は、作付け後195日で収穫することができ、次いで、120日毎に再び収穫できることが見出されている。したがって、この植物の高い成長速度によって、継続的に成長するバイオマスの供給源が提供される。
【0111】
イネ科植物、例えばペニセタム・シネセ・Roxb、及び上に記載した他のバイオマスの供給源の使用に関連する、上に記載した利点にもかかわらず、このようなバイオマスの供給源の使用に関連する問題は、これらが典型的には、非常に多量の水分を含有することにあると、本発明者らは認識している。例えば、典型的には、新たに収穫したペニセタム・シネセ・Roxbの水分率は、秋又は冬に収穫する場合、70重量%超である。固体バイオマス燃料を生成するための成型又は焙焼プロセスに直接使用するためのバイオマスの供給源としては、この水分率は高すぎる。したがって、このようなステップの前に、バイオマスの供給源の水分率を低減することが必要である。従来の乾燥プロセスを使用してもよい。しかしながら、従来の乾燥プロセス、例えば、日光において乾燥させることに関連する欠点は、プロセスに長い時間がかかることである。さらに、天候の不確実性に起因して、理想的な乾燥時間が変動することがあり、予測するのが困難である。長期間放置して日光において乾燥させる場合、バイオマス供給源が腐敗して、バイオマス供給源を固体燃料に変換したとき、最終生成物の質に影響することがある。より技術的に前進した乾燥方法を使用してもよいが、前記プロセスは、典型的には費用がかかり、包括的なプロセスの経済性が低減する。
【0112】
したがって、本発明者らは、上に論じたものなどの材料を使用して、固体バイオマス燃料を製造する方法であって、加熱するステップ及び成型するステップなど、バイオマス供給源を固体バイオマス燃料に変換するステップの前に、バイオマスの供給源の水分率を、好適かつ経済的に低減させる方法が、当技術分野において必要とされていることを認識している。言い換えれば、本発明者らは、1又は2以上のバイオマスの供給源を、前記バイオマス供給源をバイオマス固体燃料に変換する前に、バイオマスの水分率が低減するように前処理する方法が、当技術分野において必要とされていることを認識している。上記の必要なことは、本発明の方法によって提供される。
【0113】
1又は2以上のバイオマスの供給源の準備
上に論じたように、本発明の方法は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップを含む。
【0114】
バイオマス供給源の1又は2以上の供給源は、当技術分野において公知の標準的な技法によって、サイズを低減してもよい。バイオマスは、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、例えば40,000μm~50,000μmの平均粒子直径をバイオマスが有するように、サイズを低減してもよい。
【0115】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、従来のチップ化装置に導入することによって、上記範囲におけるサイズを有する粒子として準備されるが、これは当然、特定のバイオマスの供給源次第である。例えば、バイオマスの供給源が自然に存在し、粒子が上記範囲におけるサイズを有するならば、チップ化は必要でないことになる。ペニセタム・シネセ・Roxbの場合、この植物を、当技術分野において公知である従来のチップ化デバイスに供給して、植物を上に論じたサイズの粒子に低減してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1又は2以上のバイオマスの供給源を切り刻むステップを含んでもよい。
【0116】
30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、及び50重量%未満の水分率を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップはまた、1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するステップも含んでもよい。この圧縮ステップは、典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が、50重量%未満に低減するように、1又は2以上のバイオマスの供給源から水分を圧搾する。したがって、好ましい実施形態では、上に論じた粒子サイズを有するバイオマスを準備するステップは、70重量%超の水分率を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を、圧縮後には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が50重量%未満となるように、圧縮するステップを含む。
【0117】
好ましい実施形態では、ひとたびチップ化及び/又は圧縮した1又は2以上のバイオマスの供給源は、30重量%~50重量%の水分、例えば、30重量%~40重量%、又は40重量%~50重量%、又は30重量%~45重量%を含みうる。
【0118】
好ましい実施形態では、上に論じた粒子サイズを有するバイオマスを準備するステップは、バイオマスを圧縮するステップ、及びまたバイオマスをチップ化するステップの両方を含む。
【0119】
チップ化するステップと圧縮ステップとは、別々の装置を使用して行ってもよい。あるいは、これらのステップを、バイオマスのチップ化と圧縮との両方のために構成された、単一の装置において行ってもよい。例えば、バイオマスを圧縮するのに好適なモーター付きローリングデバイスを、従来のチップ化デバイスに供給する搬送ベルト上に設置してもよい。この点において、バイオマス供給源はチッパーに入る前に圧縮される。1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮及びチップ化するステップを行うのに好適な装置は、当技術分野において公知である。チップ化のために使用される装置の例を、図23に示す。図23に示したものなどのチップ化装置は、典型的には、供給ポートを通じて材料を供給する搬送ベルトなどの搬送システムを介して、材料がチッパーに入るという原理において動作する。次いで、高速回転ブレード(図示せず)及び機械の基部に取り付けられたブレード(図示せず)によって、材料が切断されてチップとなる。前記メカニズム及び同様のチップ化メカニズムの機能は、当技術分野における当業者には公知である。
【0120】
圧縮ステップのために使用される装置の例を、図24に示す。
【0121】
上に論じたように、いくつかの実施形態では、図24に示したものなどのローリングデバイスを搬送ベルト上に設置して、供給源材料を圧縮した後で、前記供給源材料を図23に示したものなどのチップ化デバイスに入れることができる。
【0122】
バイオマスの微粉化
ステップ(ii)は、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供することを含む。
【0123】
バイオマス供給源は、当技術分野において公知の標準技法によって、バイオマス粉末に微粉化されうる。バイオマス供給源は、バイオマス粉末が1000μm~20,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、微粉化されうる。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は微粉化されて、1000μm~18,000μm、1000μm~15,000μm、1000μm~10,000μm、又は1,000~5000μmの平均粒子直径を有する。あるいは、バイオマスを、10,000μm~20,000μm、10,000μm~18,000μm、又は10,000μm~15,000μmの平均粒子直径を有するように微粉化することができる。上に論じたように、本発明における使用のために特定のバイオマス供給源を微粉化することで、以前から公知のバイオマス供給源を微粉砕することによって提供されるよりも小さい、有利な粒子サイズ分布を有するバイオマス粉末が提供されることが見出されている。これは、ペニセタム・シネセ・Roxbなどのイネ科植物について、特に当てはまる。
【0124】
バイオマス粉末の圧縮
ステップ(iii)は、微粉化バイオマス粉末を圧縮して、30重量%未満の水分率を有する圧縮バイオマス粉末を提供することを含む。
【0125】
この圧縮ステップには、当技術分野において公知である好適な装置を使用して、バイオマス粉末を圧縮することが伴いうる。このような装置の例を、図25に示す。このような装置は、液圧圧縮デバイスによってバイオマス粉末を圧縮することによって動作する。材料を、図25に示したメッシュ付きコンテナに挿入することができる。次いで、材料を、液圧圧縮デバイスによる液圧圧縮に供してもよく、メッシュの孔を通じて、水がメッシュ付きコンテナを出ていく。
【0126】
バイオマス粉末を圧縮するために使用されうる別の装置は、図26に示した装置であり、スクリュー水圧搾機である。圧縮する材料を、螺旋状押出容器に導入する。材料から出た水分は、モーター駆動螺旋スクリューの回転によって、スクリーンメッシュを通じて圧搾される。
【0127】
上に論じたようにバイオマスを微粉化した後で圧縮ステップを行うことで、いっそう低い水分率を有する圧縮バイオマス粉末が提供されることが見出されている。典型的には、圧縮バイオマス粉末の水分率は、30重量%未満、例えば25重量%未満、又は20重量%未満である。圧縮ステップ中にバイオマスの水分を低減することは、後続の乾燥ステップの開始時にバイオマスがより低い水分率を有するため、重要である。バイオマスから水分を除去する必要がより少ないため、このようにして乾燥ステップが高速化される。
【0128】
30,000μm~60,000μmの粒子サイズ及び50重量%未満の水分率を有するように、バイオマスをチップ化及び圧縮した後、前記バイオマスを微粉化してバイオマス粉末を形成し、次いでその後、バイオマス粉末を再び圧縮して、30重量%未満の水分を有する圧縮バイオマス粉末を形成することで、異なる順序でステップを実施する、又はステップのいずれかを除去するよりも、バイオマスの水分率の低減において効率的かつ経済的な方法となることが見出されている。例えば、微粉化の前に、バイオマスをチップ化し、50重量%未満の水分まで圧縮することで、より効果的な微粉化ステップとなることが見出されている。同様に、後続の圧縮ステップの前にこれらのステップを行うことで、この方法のステップを異なる順序で行うことによって、又はいずれかの特定のステップを省略することによって得ることができるよりも、いっそう低い水分率までバイオマス粉末が圧縮される。その結果、組み合わせたこれらのステップによって、低レベルの水分を有する圧縮バイオマス粉末生成物が、乾燥ステップのために提供され、乾燥方法の効率及び経済性が改善される。
【0129】
圧縮バイオマス粉末の乾燥
この方法のステップ(iv)において、バイオマスを乾燥させる。圧縮バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥圧縮バイオマス粉末を提供するステップ(iv)は、乾燥圧縮バイオマス粉末が、10重量%~18重量%、好ましくは12重量%~15重量%の水分率を有するように、圧縮バイオマス粉末を乾燥させることを含む。
【0130】
バイオマス粉末を乾燥させるステップはまた、圧縮バイオマス粉末を、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源と混合することを含んでもよい。例えば、1又は2以上のバイオマスの供給源が少なくとも2のバイオマスの供給源を含む場合、本発明の方法の任意のステップ中に、2又は3以上のバイオマスの供給源を混合することができるが、好ましくは、本発明の方法の乾燥ステップ中に、1又は2以上のバイオマスの供給源を混合する。いくつかの実施形態では、圧縮バイオマス粉末を、やはり本明細書に記載する方法のステップを使用して調製した圧縮バイオマス粉末である、追加のバイオマスの供給源と混合する。他の実施形態では、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源は、本明細書に記載するようには加工されない。例えば、本明細書に記載するように調製した圧縮バイオマス粉末を、圧縮することなく微粉化するなど異なる方法、又はこれらのステップのいずれでもない方法で調製した、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源と混合してもよい。
【0131】
圧縮バイオマス粉末は、当技術分野において公知の標準的な乾燥シリンダーを使用するなど、任意の好適な方法を使用して乾燥させてもよい。好ましくは、乾燥ステップは、回転乾燥ドラムを含む乾燥装置において行う。回転乾燥ドラムの回転を使用して、圧縮バイオマス粉末を、上に記載した1又は2以上の追加のバイオマスの供給源と混合することができる。好ましくは、回転乾燥ドラムは、リフティングプレートを含む。リフティングプレートは、乾燥シリンダーを回転させながら、材料を連続的に持ち上げる。驚くべきことに、本発明の発明者らは、1若しくは2以上のバイオマス粉末を追加の材料とともに乾燥させる、又は2若しくは3以上のバイオマス粉末を混合する、リフティングプレートを有する回転乾燥シリンダーを使用することで、1又は2以上のバイオマス粉末の混合が改善することを見出した。
【0132】
乾燥圧縮バイオマス粉末の成型
乾燥圧縮バイオマス粉末を成型して、成型バイオマス生成物を提供する。成型するステップは、当技術分野において公知である任意の成型装置において、当技術分野において公知のバイオマス成型技法に従って行ってよく、押出成型システムを含んでもよい。好ましくは、成型するステップは、圧縮型において行われる。好ましくは、圧縮型は、成型物脱出孔を含む。成型するステップは、中国特許第105435708号明細書に記載される装置を使用して行ってもよい。
【0133】
好ましくは、成型するステップは、乾燥圧縮バイオマス粉末をペレットに成型することを含む。したがって、好ましい実施形態では、成型バイオマス生成物と固体バイオマス燃料生成物とが、バイオマスペレットを構成する。
【0134】
バイオマス粉末を成型して成型バイオマス生成物を生成することは公知であるが、本発明の本発明者らは、驚くべきことに、成型するステップを、前記ステップから生成される成型バイオマス生成物の密度が、ある特定の範囲内に制御されるように適応させることで、最終的な固体バイオマス燃料生成物に、ある特定の有利な特性が付与されることを発見した。特に、成型するステップを、成型バイオマス生成物の密度が1.0~1.2kg/Lの範囲内となるように制御することで、最終的なバイオマス燃料生成物に有利な特性が付与されることが見出された。好ましくは、成型するステップを、成型バイオマス生成物の密度が1.0kg/L~1.2kg/Lの範囲内となるように制御する。
【0135】
成型するステップは、多様な方法で制御されうる。成型するプロセスが圧縮型の使用を含む場合、3.8~6.5の圧縮比を使用することによって、密度が制御される。典型的には、圧縮比が小さいほど、成型バイオマス生成物の密度が低くなる。しかしながら、圧縮比が大きいほど、成型バイオマス生成物の収率が低くなる。
【0136】
成型物脱出孔を有する圧縮型についての圧縮比は、成型物脱出孔の長さと直径との比として定義されうる。
【0137】
図2は、本発明に従って使用されうる圧縮型の例を示す。乾燥圧縮バイオマス生成物を型の内部に挿入した後、図における成型物脱出孔を出ていくように、圧力によって型の内側から押し出す。圧力比を、成型物脱出孔の長さと直径との比として図に示す。
【0138】
本発明の方法において、好ましくは、乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ(v)は、成型バイオマス生成物のその密度が1.1kg/L~1.2kg/Lの範囲内に制御されるように、成型するステップを適応させることを含む。好ましくは、圧縮型を使用し、圧縮型の圧縮比を制御することによって、密度が制御される。より好ましくは、圧縮比は3.8~6.5である。
【0139】
成型するステップ中の成型バイオマス生成物の密度を制御することで、驚くべきことに、最終的なバイオマス燃料生成物に耐水能の上昇が提供されることが見出されている。好ましくは、1.1kg/L~1.2kg/Lの範囲内の密度を有する成型バイオマス生成物から生成される固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは最大30日間、十分に耐水性である。
【0140】
好ましくは、乾燥圧縮バイオマス粉末を成型するステップ(v)の前に、乾燥圧縮バイオマス粉末に添加剤を加える。前記添加剤は、成型プロセスを改善し、成型するステップから生成される成型バイオマス生成物の収率を上昇させると考えられる。好適な添加剤は、当技術分野において公知であり、限定するものではないが、デンプン又はデンプン誘導体が挙げられる。
【0141】
図3は、本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、X軸の圧縮比に対する、Y軸の生産性を図示したグラフである。ここでのバイオマス供給源は、ペニセタム・シネセ・Roxbからなる。
【0142】
図4は、成型するステップ中に添加剤を含む場合の、添加剤を含まない場合に対する、成型するステップの後の収率の差を示し、1又は2以上のバイオマスの供給源はペニセタム・シネセ・Roxbからなる。成型する前に添加剤を乾燥圧縮バイオマスに加える場合、より高収率が得られることを見て取ることができる。
【0143】
図5は、本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、x軸の圧縮比に対する、y軸(kg/L)の密度を図示したグラフであり、バイオマス供給源はペニセタム・シネセ・Roxbからなる。
【0144】
典型的には、上に論じたものなどの添加剤の他には、成型するステップ中の乾燥圧縮バイオマス粉末に、他の燃料供給源を加えない。したがって、成型するステップの成型バイオマス生成物は、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、乾燥圧縮バイオマス粉末をペレットに成型する場合、典型的には、この方法の終了時に生成する固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成型する前に、他の燃料供給源を乾燥圧縮バイオマス生成物に加えない。したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。
【0145】
固体燃料の全燃料含有量という用語が本明細書において使用される場合、これは、バイオマス由来材料及び石炭など、可燃性材料である固体燃料の成分を指すことが意図される。固体燃料に対する燃料含有量という用語は、固体燃料ペレット中に存在しうる、それ自体の燃焼によってエネルギーを生じない添加剤を包含することを意図しない。
【0146】
成型するステップはまた、最終的なバイオマス固体燃料生成物の耐水特性を増強することも見出されている。成型するステップ中に起こる密度の上昇は、より高密度の成型バイオマス生成物粒子には、水がより染み込みにくいことを意味する。
【0147】
さらに、生成物が高密度化するにつれて、より多くのバイオマスが成型物の内部に濃縮され、水とは直接接触しなくなる。
【0148】
成型バイオマス生成物の加熱
成型バイオマス生成物を、固体バイオマス燃料が生成するように加熱する。加熱は、0.25~5時間の期間、160℃~420℃の温度において行われる。好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップは、0.4~2時間の期間行われる。好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップは、成型バイオマス生成物を、180℃~350℃の温度に、より好ましくは210℃~280℃の温度に加熱することを含む。
【0149】
好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)は、成型バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、成型バイオマス生成物を加熱することを含む。焙焼は、10%未満の酸素含有量の雰囲気など、低酸素雰囲気において加熱を行う、穏やかな熱分解のプロセスである。焙焼の好適な条件及びプロセスは、当技術分野において公知である。したがって、好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップ(ii)は、焙焼を含む。
【0150】
加熱するステップは、成型バイオマス生成物を加熱するために好適な、当技術分野において公知である任意の装置において行ってよい。例えば、加熱するステップは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されている装置において、開示されているプロセス条件を使用して行ってよい。
【0151】
好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップ(vi)を、固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(vi)を、固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させることは、成型バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(vi)を実施することを含み、任意に、ステップ(vi)を、固体バイオマス燃料の均一性が制御されるように適応させることは、成型バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、成型バイオマス生成物を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。固体バイオマス燃料の均一性も、上に論じた加熱温度及び期間によって最適化される。
【0152】
本発明の方法が、バイオマスを加熱するステップの後に冷却するステップを含む場合、冷却するステップは、固体バイオマス燃料を回転させることを含んでもよい。バイオマスは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されているものなど、好適な装置において回転させてもよい。好ましくは、加熱するステップ(vi)と、バイオマスを冷却するステップとの両方が、バイオマスを回転させることを含む。冷却するステップ又は加熱するステップのいずれかにおいてバイオマスを回転させる場合、バイオマスを、連続サイクルにおいて時計回りと反時計回りとの両方など、異なる方向に回転させてもよい。
【0153】
固体バイオマス生成物の「均一性」という用語は、固体バイオマス燃料又は成型バイオマス生成物の各粒子の端から端まで、及び固体バイオマス燃料生成物又は成型バイオマス生成物のバルク試料内の複数の粒子の端から端まで、一定の又は同様の特性を有する固体バイオマス燃料又は成型バイオマス生成物を指すために使用される。例えば、限定するものではないが、粒子の密度、粒子の燃焼の容易さ、粒子の化学組成、及び粒子の水抵抗特性。均一性は、燃焼プロセスにおいて使用するためのバイオマス燃料について、非常に望ましい特性である。
【0154】
本発明者らはまた、上に論じたように加熱するステップを制御すると、先行技術のバイオマス燃料と比較して、増強された耐水特性を有する固体バイオマス燃料生成物の提供がさらに支援されることも見出した。加熱するステップの間に、バイオマス粉末中に存在する、水を吸収する親水性化合物が分解する。さらに、加熱するステップによって、バイオマス粉末中に存在する油が、バイオマス粉末粒子の外部に移動して、前記粒子の疎水性が上昇する。
【0155】
固体バイオマス燃料からの塵粒子の除去
本発明の方法には、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップを伴う。本発明の発明者らは、当技術分野において公知のバイオマス固体燃料生成方法では、かなりの量の塵が固体バイオマス燃料に付着することを見出した。この塵は、固体バイオマス燃料の輸送及び包装中に大気を汚染しうるため、問題である。塵はまた、局地的な環境も汚染しうる。さらに、開放空気中に貯蔵する場合、塵粒子が白カビを形成し、固体バイオマス燃料の性能及び質に影響を及ぼす。したがって、固体バイオマス燃料の粒子の表面の塵は、除去することが有益であることになる。
【0156】
本発明者らは、バイオマス固体燃料粒子の表面の塵は、粒子間の摩擦を誘起することによって除去されうることを見出した。例えば、固体バイオマス燃料粒子を振動又は回転させることなどの手段により、摩擦を誘起することで、粒子に付着している塵が除去されうる。したがって、固体バイオマス粒子から塵を除去するステップ(vii)は、好ましくは、固体バイオマス燃料の粒子間の摩擦を誘起することを含む。好ましくは、固体バイオマス粒子から塵を除去するステップ(vi)は、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに、粒子を供することを含む。
【0157】
固体バイオマス燃料粒子のローリング、回転、及び振動を実施するのに好適な装置は、当技術分野における当業者に公知であり、これを図7及び8に示す。固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vii)は、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含んでもよい。好ましくは、スクリーンは、2mm~10mm、より好ましくは3mm~8mm、最も好ましくは4mm~6mmの空隙サイズを有する。固体バイオマス燃料粒子に混入している塵粒子は、スクリーンを通過することによって、固体バイオマス燃料から分離されうる。より大きな固体バイオマス燃料粒子はスクリーンを通過せず、したがって、塵粒子から分離される。スクリーニングステップを実行するのに好適な装置及び方法は、当技術分野における当業者に公知であり、前記好適な装置のいずれかを使用してもよい。例えば、固体バイオマス燃料のスクリーニング、ローリング、及び回転を用いる装置を使用して、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去してもよい。このようなデバイスの使用において、固体バイオマス燃料をスクリーン上に置いてもよく、モーターの動作によってスクリーンを駆動して、軸上でローリング及び回転させてもよい。スクリーンのローリング/傾斜及び回転中、スクリーンの篩表面の材料はひっくり返る。一部の材料はスクリーンを通過して、スクリーンを通過しない材料から分離される。スクリーンのローリング及び回転によって、スクリーンの空隙にはまり込んだ材料が落ち、これによって、スクリーンの空隙の詰まりが防止される。あるいは、固体バイオマス燃料粒子を振動させてスクリーニングする装置を使用してもよい。この場合、モーターを使用してスクリーンを振動させてもよく、これによって、スクリーン表面の材料が投げ上げられる。このプロセスによって、大きな粒子に付着している小さな粒子が解き放たれ、次いでスクリーンにおける空隙を通過しうる。スクリーンと振動とを用いて小さな粒子から大きな粒子を分離する、小さな粒子は大きな粒子に付着していても、していなくてもよい、装置の例は、中国実用新案登録第201324717号に教示されているデバイスである。
【0158】
したがって、本発明の好ましい方法は、固体バイオマス燃料粒子間の摩擦が誘起されるように、固体バイオマス燃料粒子を、ローリング、回転、及び振動のうち1又は2以上に供して、前記固体バイオマス燃料粒子に付着している塵粒子が、前記粒子から除去されるステップを含む。この方法は、次いで、好ましくは、固体バイオマス燃料粒子と塵粒子との混合物を、上に論じたスクリーニングステップに供して、前記固体バイオマス燃料粒子から前記塵粒子を除去することを含む。したがって、除去ステップ(vii)は、前記固体バイオマス燃料の粒子から塵を除去するための、有効な後処理である。
【0159】
前処理及び後処理
固体バイオマス燃料が形成されるように成型及び加熱する、上に論じたステップ(v)及び(vi)は、典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源を、固体バイオマス燃料に変換する主要な生成ステップであると考えることができる。
【0160】
対照的に、バイオマスを準備する、微粉化する、圧縮する、及び乾燥させるステップ(i)~(iv)は、1又は2以上のバイオマスの供給源を前処理する方法であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源(乾燥圧縮バイオマス粉末として加工された形態における)を、成型するステップ及び加熱するステップを通じて固体バイオマス燃料に変換する前に、前処理する方法であると考えることができる。したがって、本発明は、上に論じた前処理方法を提供する。前処理方法は、バイオマスを準備する、微粉化する、圧縮する、及び乾燥させるステップ(i)~(iv)を含む。これらのステップは、固体バイオマス燃料を生成する本発明による方法の文脈において、上に論じたステップ(i)~(iv)と同じであってもよい。
【0161】
本発明の前処理方法は、好ましくは、固体バイオマス燃料を作製する方法である、上に論じたステップ(v)~(vii)の前に行う。しかしながら、これは必須ではなく、本発明の前処理方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源を固体バイオマス燃料に変換するための任意の方法の前に行ってもよい。好ましくは、前処理方法は、成型するステップ、加熱するステップ、又は成型と加熱との両方をするステップを含む、固体バイオマス燃料を生成するための方法の前に行う。
【0162】
本明細書で使用される「前処理」という用語は、1又は2以上のバイオマスの供給源を固体バイオマス燃料に変換するための方法における出発材料を、状態調節するために行うプロセスを指す。好ましくは、「前処理」という用語は、バイオマス供給源出発材料を、前記バイオマス供給源を固体バイオマス燃料に変換する方法の前に、処理することであって、前記方法には、成型するステップ又は加熱するステップが伴う、処理することを指す。
【0163】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去する、上に論じたステップ(vii)は、固体バイオマス燃料の後処理ステップであると考えることができる。したがって、本発明は、上に論じた後処理方法を提供する。
【0164】
本発明の後処理方法は、好ましくは、固体バイオマス燃料を作製する方法である、上に論じたステップ(v)~(vi)又はステップ(i)~(vi)の後に行う。しかしながら、これは必須ではなく、本発明の後処理方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源を固体バイオマス燃料に変換するための任意の方法の後に行ってもよい。好ましくは、後処理方法は、成型するステップ、加熱するステップ、又は成型と加熱との両方をするステップを含む、固体バイオマス燃料を生成するための方法の後に行う。
【0165】
本明細書で使用される「後処理」という用語は、固体バイオマス燃料を1又は2以上のバイオマスの供給源から生成した後に、前記固体バイオマス燃料に行う方法を指す。好ましくは、「後処理」という用語は、バイオマス供給源出発材料を、前記バイオマス供給源を固体バイオマス燃料に変換する方法の後に、処理することであって、前記方法には、成型するステップ又は加熱するステップが伴う、処理することを指す。
【0166】
固体バイオマス燃料生成物
固体バイオマス燃料生成物は、上に論じた物理的特性のいずれかを有しうる。
【0167】
上に論じたように、本発明のバイオマス固体燃料は、好ましくはペレットを含む。ペレットは、任意の好適なサイズであってよい。好ましくは、ペレットは、3mm~100mm、より好ましくは、5mm~8mmの直径を有する。好ましくは、ペレットは、20mm~60mm、より好ましくは30mm~50mmの長さを有する。上に論じたように、驚くべきことに、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、先行技術の方法によって作製される固体バイオマス燃料生成物と比較して、増強された耐水特徴を有することが見出されている。これは、成型及び/又は加熱するステップが、上に論じたように制御されることに起因すると考えられる。本発明者らは、先行技術のバイオマス燃料が最大10日間しか十分に耐水性でないことを見出した。対照的に、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは30日間、より好ましくは40日間、十分に耐水性であることを見出した。
【0168】
固体バイオマス燃料の耐水特性は、下でさらに詳細に記載する、Energy Research Centre of the Netherlands(ECN)の標準試験によって決定される。
【0169】
本発明のバイオマス固体燃料の水分率も、標準ECN試験方法によって決定されうる。本発明の固体バイオマス燃料の水分率は、典型的には3~8重量%、好ましくは4~7重量%、より好ましくは4~6重量%である。
【0170】
本発明の固体バイオマス燃料はまた、予想外に高い機械的耐久性を有することも見出されている。機械的耐久性は、典型的には95%超である。これは、95%以上の機械的耐久性のバイオマスペレットは、2カ月もの期間、損傷せずに外に貯蔵できることが見出されているため、有利である。対照的に、95%未満の機械的耐久性を有するバイオマスペレットは、典型的には、降雨によって損傷し、外に貯蔵できない。したがって、高い機械的耐久性は、本発明のバイオマスペレットのさらなる利点である。
【0171】
固体バイオマス燃料粒子の高い耐久性に関連するさらなる利点は、ペレットが力によって何らかの形で破壊された場合、低い機械的耐久性を有するペレットよりも大きなピースに分解することである。これによって、粉塵爆発のリスクがあるとしても、最小化される。
【0172】
上に論じたように、好ましい実施形態では、典型的には、上に論じたものなどの添加剤の他には、成型するステップ中の加熱バイオマス生成物に、他の燃料供給源を加えない。したがって、固体バイオマス燃料は典型的には、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、加熱バイオマス生成物をペレットに成型する場合、典型的には、成型するステップによって生成される固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成型する前に、他の燃料供給源を加熱バイオマス生成物に加えない。
【0173】
したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなる、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマス固体燃料は、バイオマスに由来する材料の燃料の全燃料含有量の少なくとも95重量%を構成する。
【0174】
燃焼方法
本発明の生成物は、多様な異なる燃焼方法に使用されうる。特定の方法における使用についての前記生成物の適合性は、当技術分野における当業者には明らかであろう。例えば、本発明のバイオマス燃料は単独で、発電所における燃焼方法、又は工業プロセスに使用してもよい。あるいは、本発明のバイオマス生成物は同時焼成において、石炭などの追加の燃料とともに、燃焼方法に使用してもよい。
【0175】
有利なことに、本発明の生成物は、当技術分野において公知である他のバイオマス燃料と比較した場合、非常に少ないPM1.0排出を提供することが見出されている。加えて、この方法のPM1.0排出は、石炭の燃焼を伴う方法よりも少ない。
【0176】
有利なことに、本発明のバイオマス燃料の改善された物理的特性によって、バイオマスが、石炭との同時焼成に特に好適となることが見出されている。例えば、生成物の改善された質及び均一性によって、本発明のバイオマス燃料を、石炭と特に良好に同時焼成させることができる。本発明のバイオマス燃料の改善された耐水特性はまた、バイオマスを石炭と同時焼成させ、その耐水的性質に起因して、貯蔵及び輸送をより容易とするのに特に好適であることを意味する。
【実施例1】
【0177】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、ペニセタム・シネセ・Roxbのみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【0178】
固体生成物の写真を図6に示す。
【実施例2】
【0179】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、75重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、25重量%の籾殻とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例3】
【0180】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、50重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、50重量%の籾殻とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例4】
【0181】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、25重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、75重量%の籾殻とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例5】
【0182】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、75重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、25重量%の藁とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例6】
【0183】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、50重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、50重量%の藁とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例7】
【0184】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、25重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、75重量%の藁とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例8】
【0185】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、75重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、25重量%のトウモロコシ穂軸とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例9】
【0186】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、50重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、50重量%のトウモロコシ穂軸とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【実施例10】
【0187】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、25重量%のペニセタム・シネセ・Roxbと、75重量%のトウモロコシ穂軸とであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。
【0188】
実施例1~10において生成した固体バイオマス燃料の特性評価
実施例1~10において調製した固体バイオマス燃料のバルク密度(kg/L)を、DIN EN 15103を使用して測定し、図9に示す。
【0189】
実施例1~10において調製した固体バイオマス燃料の耐久性を、DIN EN 15210-1によって決定し、図10に示す。
【0190】
実施例1~10において調製した固体バイオマス燃料の硫黄含有量を、図11に示す。硫黄含有量は、DIN EN 15289に従って決定する。
【0191】
実施例1~10において調製した固体バイオマス燃料の水素含有量を、図12に示す。水素含有量は、DIN EN 15104によって決定した。
【0192】
実施例1~10において調製した固体バイオマス燃料の酸素含有量を、図13に示す。酸素含有量は、DIN EN 15296によって決定した。
【0193】
実施例1~10において調製したバイオマス固体燃料の炭素含有量を、図14に示す。炭素含有量は、DIN EN 15104に従って決定する。
【0194】
実施例1~10において調製したバイオマス固体燃料の窒素含有量を、図15に示す。窒素含有量は、DIN EN 15104に従って決定する。
【0195】
実施例1~10において調製したバイオマス固体燃料の固定炭素含有量を、図16に示す。固定炭素含有量は、DIN EN 51734に従って決定する。
【0196】
実施例1~10において調製したバイオマス固体燃料の灰分を、図17に示す。灰分は、DIN EN 14775によって、550℃において決定した。
【0197】
実施例1~10において調製したバイオマス固体燃料の水分率を、図18に示す。水含有量は、DIN EN 14774-2に従って決定した。
【0198】
実施例1~10において調製した固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量を、図19に示す。
【0199】
実施例1~10において生成したバイオマス固体燃料のPM1.0排出を、図20に示す。PM1.0排出は、ドイツECN試験研究所の標準方法によって決定した。
【0200】
上記図において、実施例1の生成物をAとして表し、実施例2の生成物をBとして表し、実施例3の生成物をCとして表し、実施例4の生成物をDとして表し、実施例5の生成物をEとして表し、実施例6の生成物をFとして表し、実施例7の生成物をGとして表し、実施例8の生成物をHとして表し、実施例9の生成物をIとして表し、実施例10の生成物をJとして表す。
【実施例11】
【0201】
実施例1の固体バイオマス燃料を人工気候実験において試験し、人工気候室に10日間曝露した。この試験は、バイオマス燃料粒子の水分率を評定するためのECN標準試験である。
【0202】
この試験の結果を、図21に示す。図21の結果は、バイオマス生成物A~Jの各々について、バイオマス粒子の平衡水分取込みが、27℃及び90%相対湿度における約14日間の曝露後、7~9重量%において安定したことを示す。これは、バイオマス燃料粒子の低い水分率であり、バイオマス粒子が、当技術分野において公知のバイオマス固体燃料と比較して、非常に疎水性であり、非常に水抵抗性であることを指し示す。
【0203】
気候室における第2の実験では、バイオマス固体燃料を、27℃の温度において、水中に15分間浸漬させ、気候室に曝露した。水中への浸漬後、試料の水分率は90重量%であった。気候室における10日間の曝露後、燃料の水分率は7.8%~8%前後で安定した。結果を図22に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【国際調査報告】