(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
B05B 7/04 20060101AFI20221003BHJP
B01F 23/235 20220101ALI20221003BHJP
B01F 25/45 20220101ALI20221003BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20221003BHJP
B05B 7/24 20060101ALI20221003BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B05B7/04
B01F23/235
B01F25/45
B05B1/02 101
B05B7/24
B65D47/34 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507586
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 IB2019056755
(87)【国際公開番号】W WO2021024027
(87)【国際公開日】2021-02-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真司
【テーマコード(参考)】
3E084
4F033
4G035
【Fターム(参考)】
3E084AB01
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4F033BA02
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4F033QJ09
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4G035AB30
4G035AC26
4G035AE13
(57)【要約】
本発明は、泡吐出器に関する。泡吐出器は、起泡性液体と気体、具体的には空気を混合することによって作り出される泡を分配するのに適している。さらに、本発明は、泡吐出器本体、起泡性水性組成物を収納する容器、及び泡吐出器を用いて泡を形成する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部及び前方部と、
前記基部と前記前方部との間に形成され、周壁を有する、混合部と、
少なくとも1つの液体流出開口部及び少なくとも1つの気体流出開口部を介して前記混合部と流体接続される、少なくとも1つの液体供給流路及び少なくとも1つの気体供給流路と、
を備える、泡吐出器において、
少なくとも1つの分散部を備え、
前記分散部は、液体流が前記混合部に流入するとき又は流入した後に、前記液体流を分散させて、気体と分散状態で混合するように構成された、泡吐出器。
【請求項2】
前記混合部に流入する前記気体は、加圧気体、好ましくは、加圧空気である、請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
ダイインサートを備え、
前記ダイインサートは、前記基部に取り付けられ、前記液体流出開口部を構成する、請求項1又は2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
前記分散部は、前記液体流出開口部に対向して配置された内壁を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項5】
前記内壁は、前記液体流出開口部から吐出された液体の少なくとも一部が、前記混合部の前記周壁で方向変化するよりも前に前記内壁に到達するように配置される、請求項4に記載の泡吐出器。
【請求項6】
前記内壁は、泡を吐出する1つ又は複数のオリフィスを有し、前記1つ又は複数のオリフィスは、前記液体流出開口部の径方向外方に位置する、請求項4又は5に記載の泡吐出器。
【請求項7】
前記1つ又は複数のオリフィスは、前記液体流出開口部の軸方向には存在しない、請求項4、5及び6に記載の泡吐出器。
【請求項8】
前記液体流出開口部は、前記内壁に対して軸方向に液体を噴出する噴射ダイとして構成される、請求項4~7のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項9】
前記分散部は、前記液体流出開口部を有し、前記液体流出開口部は、前記液体流出開口部から流出する前記液体流を分散させる分散ダイとして構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項10】
前記液体流出開口部は、1つ又は複数の液体流路を介して前記液体供給流路に連結され、前記液体流路は、前記液体供給流路よりも狭い断面を有する、請求項9に記載の泡吐出器。
【請求項11】
前記液体流路は、前記液体流出開口部と非鏡面対称に連結され、排出される液体に回転成分を付与する、請求項8~10のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項12】
前記液体流出開口部及び前記気体流出開口部は、前記混合部の異なる壁面に離れて配置される、又は、
前記液体供給流路の前記液体流出開口部及び前記気体供給流路の前記気体流出開口部は、前記混合部の異なる壁面に離れて配置される、
請求項1~11のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項13】
前記気体流出開口部は、前記液体流出開口部の径方向外側に配置される、請求項1~12のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項14】
1つ又は複数の気体流出開口部の最大断面長さと、前記液体流出開口部の直径との比は、1:0.25から1:4の範囲内にある、請求項1~13のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項15】
前記液体出口開口部は、ベンチュリノズルとして構成される、請求項1~14のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の泡吐出器と、
液体容器と、
を備える、泡吐出器組立品であって、
前記泡吐出器組立品は、好ましくは、噴射剤式泡吐出器組立品、ポンプ式泡吐出器組立品及びスクイズ式泡吐出器から選択され、より好ましくは、ポンプ式泡吐出器組立品である、泡吐出器組立品。
【請求項17】
起泡性水性組成物の貯蔵容器であって、請求項1~15のいずれか1項に記載の泡吐出器を含むキャップを取り付けた、起泡性水性組成物の貯蔵容器。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか1項に記載の泡吐出器又は請求項16に記載の泡吐出器組立品を用いて泡を形成する方法であって、
混合部に気体、特に加圧空気を導入するステップと、
前記混合部に液体を導入するステップと、
を含み、
前記液体は、液体流が前記混合部に流入するとき又は流入した後に、前記液体流を分散させて、前記気体と分散状態で混合するように導入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡吐出器に関する。泡吐出器は、起泡性液体と気体、具体的には空気とを混合することによって得られる泡を吐出するのに適している。さらに、本発明は、泡吐出器組立品、起泡性水性組成物の貯蔵容器、及び泡吐出器を用いて泡を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、均一で安定した品質の泡を吐出することができる泡吐出容器が開示されている。この泡吐出容器は、起泡性液体を空気-液体混合室に導入するための複数の液体導入路と、液体導入路の中に空気を導入するための複数の空気導入路とを備え、ワンプッシュで空気-液体混合室に大量の液体を流入させなくても、空気-液体混合効率を著しく向上させ、空気と起泡性液体の供給量を安定させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2578512号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、泡の安定性、柔らかな感触、豊かな外観を改善した泡を生成する装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る泡吐出器は、
基部及び前方部と、
基部と前方部との間に形成され、周壁を有する、混合部と、
少なくとも1つの液体流出開口部及び少なくとも1つの気体流出開口部を介して混合部と流体接続される、少なくとも1つの液体供給流路及び少なくとも1つの気体供給流路と、
を備える、泡吐出器であって、
少なくとも1つの分散部を備え、
分散部は、液体流が混合部に流入するとき又は流入した後に、液体流を分散させて、気体と分散状態で混合するように構成されている。
【0006】
第2の態様によれば、本発明に係る泡吐出器組立品は、上述の泡吐出器と、液体容器とを備える、泡吐出器組立品であって、好ましくは、噴射剤(propellant)式泡吐出器組立品、ポンプ式泡吐出器組立品及びスクイズ式泡吐出器組立品から選択され、より好ましくは、ポンプ式泡吐出器組立品である。
【0007】
第3の態様によれば、本発明に係る起泡性水性組成物の貯蔵容器は、起泡性水性組成物の貯蔵容器であって、上述の泡吐出器を含むキャップを取り付けた。
【0008】
第4の態様によれば、本発明に係る泡吐出器組立品を用いて泡を形成する方法は、上述の泡吐出器又は上述の泡吐出器組立品を用いて泡を形成する方法であって、混合部に気体、特に加圧空気を導入するステップと、混合部に液体を導入するステップとを含み、液体は、液体流が混合部に流入するとき又は流入した後に、前記液体流を分散させて、前記気体と分散状態で混合するように導入される、方法を提供する。
【0009】
図面は、本発明の実施形態を示し、説明と合わせて開示された主題の様々な実施形態を説明する。図面は、必ずしも縮尺通りには描かれておらず、添付の図面における寸法は、説明のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る泡吐出器の断面斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る泡吐出器の側面断面図である。
【
図3a】本発明の第1実施形態に係る泡吐出器の一部であるダイインサートを示す。
【
図4】
図3a、
図3bのダイインサートの開口部の変形例を示す図である。
【
図5a】底側から見たダイインサートの変形例の図である。
【
図5b】底側から見たダイインサートの変形例の図である。
【
図5c】底側から見たダイインサートの変形例の図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る泡吐出器の断面斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る泡吐出器の断面図である。
【
図8】本発明に係る泡吐出器を備える泡吐出器組立品の断面図を示す。
【
図9】本発明に係る泡吐出器を備える泡吐出器組立品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
均一で安定した品質の泡を提供する手法は知られているが、バランスの良い泡質は、依然としてさらに改善すべき目標である。いくつかの側面のうちの1つとして、そのような泡は、消費者に好ましい触覚体験と視覚体験との両方をもたらす。
【0012】
本発明に係る泡吐出器を用いると、径が小さく均一で、安定性が高く、豊かな外観の泡が提供される。さらに、本発明の泡吐出器で製造された泡は、消費者に好まれる、触覚的特徴、特に、柔らかな感触を有している。
【0013】
請求項1は、そのような泡吐出器を提供する。
【0014】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、さらに詳細に説明する。実施形態の特定の態様の変形例及び変更例は、さらなる実施形態を提供するように組み合わせられる。各実施形態、各変更例及び各変形例は、限定的なものとして理解されるのではなく、本発明の理解を促進するための例として理解され、各実施形態、各変更例及び各変形例の単一の特徴又はそれらの組み合わせは、添付の特許請求の範囲に記載された発明を特定することに用いられる。
【0015】
泡吐出器
本発明は、基部、前方部、及び基部と前方部との間に形成された混合部を備えた泡吐出器であって、混合部は、周壁、少なくとも1つの液体供給流路、及び少なくとも1つの気体供給流路を有する。液体供給流路及び気体供給流路は、それぞれ、少なくとも1つの液体流出開口部及び少なくとも1つの気体流出開口部を介して混合部と流体接続されている。泡吐出器は、少なくとも1つの分散部を備える。分散部は、液体流が混合部に流入するとき又は流入した後に、液体流を分散させて、気体と分散状態で混合するように構成される。
【0016】
泡吐出器10は、互いに連結される基部11と前方部12とを備える。基部11の第1端部の外周壁11aは、前方部12の内周壁と係合する。基部11の外周壁11aの径方向内側には、液体供給流路16を形成する周方向空隙が設けられている。
【0017】
泡吐出器は、好ましくは、手持ち式の容器又はボトルに取り付けることができ、液体は、好ましくは容器に充填される。泡吐出器は、好ましいノンエアゾールデバイスとすることができる。
【0018】
第1実施形態-ダイインサート(die insert)
泡吐出器は、ダイインサートを備える。ダイインサートは、基部に取り付けられ、液体流出開口部を構成する。液体流出開口部の具体的な形状は、対応するダイインサートを基部に取り付けることによってもたらされる。その結果、費用効果の高い製造工程を保証しつつ、泡吐出器の製造の可変性が増大する。
【0019】
ダイインサート13の突出部13cを基部11の空隙に挿入することで、ダイインサート13が、基部11に取り付けられる。
【0020】
基部11、前方部12及びダイインサート13は、射出成形で製造される。イインサート13は、基部11とは別に形成されるため、ダイインサート13の構造、特に、以下にさらに詳細に説明されるダイインサート13の液体流出開口部13aの構造及び寸法を変えることができる。
【0021】
混合部(混合室)14は、基部11と前方部12との間に形成される。特に、混合部14は、基部11に取り付けられたダイインサート13の上部と、前方部12の内周壁14bと、ダイインサート13の上部と対向する内壁14aとの間に設けられる。ダイインサート13は、基部11に取り付けられ、これにより、ダイインサート13の上部が、混合部14の底部となる。
【0022】
図5a~
図5cは、基部11に面するダイインサートの部分、すなわち、ダイインサートの下部の異なる変形例の平面図である。これらの変形例の態様を組み合わせることにより、さらなる変更を加えることができる。例えば、流路の数又は流路の形状を変えることができる。
【0023】
図5aに示される第1変形例によれば、ダイインサート13には、液体を液体流出開口部13aへと導く3つの流路13bが設けられている。流路13bは、周方向に等間隔に配置され、流路13b間の角度は約120°である。
【0024】
図5bは、第1実施形態に係る泡吐出器に設けられるダイインサート13xの第2変形例を示す図である。ダイインサート13xは、液体をダイインサート13xの中心に設けられた液体開口部13axへと導く4つの流路13bxを備える。流路13bxは、流路13bx同士の間が約90°の角度になるように周方向に等間隔に配置される。
【0025】
図5cには、ダイインサート13yの第3変形例が示されている。
図5bと同様に、ダイインサート13yは、液体を液体流出開口部13ayへと導く4つの流路13byを備える。しかしながら、ダイインサート13yの流路13byは、液体流出開口部13ayに向かって狭まる形状となっている。
【0026】
第1実施形態-内壁
さらなる一態様によれば、分散部は、液体流出開口部に対向して配置される内壁を備える。内壁は、液体流出開口部に対向して配置されるので、液体流出開口部からの液体流は、内壁に衝突したときに、より微細な液滴を形成するように分散される。この構造によって、泡形成過程がさらに強化される。
【0027】
内壁は、液体流出開口部から吐出された液体の少なくとも一部が、混合部の周壁で方向変化するよりも前に内壁に到達するように配置される。これにより、感触が柔らかく豊かな外観の安定した泡を生じさせる微細液滴が形成される。
【0028】
混合部14の内壁14aは、内壁14aの径方向外側に配置される複数のオリフィス12bを備え、複数のオリフィス12bは、前方部12の軸方向に伸びており、内壁14aに貫通孔を形成する。
【0029】
好ましい一態様によれば、内壁は、泡を吐出する1つ又は複数のオリフィスを備え、1つ又は複数のオリフィスは、液体流出開口部の径方向外方に位置する。これにより、液体流出開口部からの液体流は、内壁で微細液滴となって分散し、その後、混合部に導入される気体と混合し、混合状態で混合部から排出される。
【0030】
液体流出開口部からの液体流が内壁で分散されるように、1つ又は複数のオリフィスのいずれもが、液体流出開口部の軸方向にないことが好ましい。その結果、微細液滴が混合部に形成される。
【0031】
内壁14aは、液体流出開口部13aに対向して配置されており、これにより、液体流出開口部13aを通って混合部14に入る液体が内壁14aへ向かうようになっている。この配置により、内壁14aは、液体流出開口部13aを通過し、混合部14を通過してきた液体流を分散させるように構成された分散部として機能する。液体流が内壁14aによって分散されるので、微細液滴が混合部14に供給される。微細液滴は、複数の気体流出開口部によって供給される気体と混合し、それによって、感触が柔らかく豊かな外観の安定した泡が供給される。
【0032】
第1実施形態-液体及び気体の供給流路
泡吐出器10は、基部11の周方向の隙間によって形成される液体供給流路16、及び気体供給流路15をさらに備える。液体供給流路16は、気体供給流路15に比べて基部11の軸寄りに配置される。
【0033】
液体供給流路16及び気体供給流路15はともに、混合部14と流体接続している。具体的には、液体供給流路16は、ダイインサート13に設けられる液体流出開口部13aと流体接続している。気体供給流路15は、ダイインサート13の外側に配置される複数の気体流出開口部15aと流体接続している。
【0034】
1つ又は複数の液体流路の最大断面長さと、液体流出開口部の直径との比は、1:0.4から1:4の範囲内にある。本発明者らが実施した実験によれば、この範囲は、混合室に流入する液体流を変化させることに適していて、これにより再び泡質が改善されることを示している。
【0035】
別の態様によれば、液体流路は、吐出液体に回転成分を与えるように非鏡面対称に液体流出開口部に連結されている。この構成によってもたらされる回転成分を含む液体流は、混合部における液体流の分散能力に影響を及ぼし、混合部において、液体は微細液滴を形成することができる。
【0036】
さらなる一態様として、液体流出開口部及び気体流出開口部は、混合部の異なる壁面に離れて配置することができる。別の構成によれば、液体供給流路の液体流出開口部及び気体供給流路の気体流出開口部は、混合部の異なる壁面に離れて配置することができる。これらの構成によれば、液体及び気体は、混合部に別々に流入する。液体は、混合部に流入するとき又は流入した後に分散され、その後、混合部において、気体は細かく分散した液体と混合することができる。
【0037】
別の好ましい態様の気体流出開口部は、液体流出開口部の径方向外側に配置される。混合部に流入する気体は、混合部の壁際に誘導される一方、液体流は、径方向内側で混合部に流入する。
【0038】
別の態様によれば、1つ又は複数の気体流出開口部の最大断面長さと、液体流出開口部の直径との比は、1:0.25から1:4の範囲内にある。それにより、気泡径が均一で泡安定性が高く豊かな外観の泡が提供される。
【0039】
好ましい一態様によれば、混合部に流入する気体は、加圧気体である。一例として、加圧気体は、加圧空気である。加圧気体又は加圧空気は、混合部に導入され、液体流出開口部からの液体が、その加圧気体又は加圧空気と混合し、それによって泡が形成される。好ましくは、加圧気体は、気体室からポンプで汲み上げられ、より好ましくは、加圧液体は、液体室から汲み上げられる。
【0040】
第1実施形態-液体流出開口部
液体流出開口部は、内壁に対して軸方向に液体噴流を吐出する噴射ダイとして構成される。この構成では、液体流は、液体が混合部で細かく分散されるように、比較的高い衝撃で内壁に衝突する。
【0041】
別の態様によれば、分散部は、液体流出開口部を備え、液体流出開口部は、液体流出開口部から流出する液体流を分散させる分散ダイとして構成される。液体は、液体流出開口部から流出した時点で既に、小滴状態に分散されているので、導入された気体との混合が促進され、これが混合部で生成される泡の安定構造をもたらす。
【0042】
液体流出開口部は、1つ又は複数の液体流路を介して液体供給流路に連結され、液体流路は、液体供給流路よりも狭い断面を有する。したがって、液体流は、液体流出開口部を通って混合部に流入する前に好ましい状態となる。
【0043】
図3aは、ダイインサート13の断面斜視図であり、第1実施形態の一部である。ダイインサート13は、中央部に液体流出開口部13aが設けられている。
【0044】
液体流出開口部13aは、流入部13a-1、中間部13a-2及び流出部13a-3を備える。流出部13a-3は、混合部14に面する。中間部13a-2は、流入部13a-1及び流出部13a-3と比較すると直径が小さい。流出部13a-3の直径が中間部13a-2の直径よりも大きいので、開口部13aを通る液体は分散される。液体流を断面の観点から見ると、液体流は、円錐形状で混合部14に流入するので、混合部14に流入した時点で既に分散している。混合部14に流入する際に分散された液体流は、混合部14における微細液滴形成の一因となり、それにより、泡形成過程を強化する。
【0045】
図4には、ダイインサートに設けられる液体流出開口部13a’の変形例が示されている。液体流出開口部13a’は、流入部13a-1’、中間部13a-2’及び流出部13a-3’を備える。流出部13a-3’は、液体吐出器の混合部に面している。
【0046】
図4に示した変形例によれば、中間部13a-2’は、液体流の流れ方向の直径を狭める第1円錐部、実質的に一定の直径の中心部、及び液体流の流れ方向の直径を広げる第2円錐部を備える。流出部13a-3’に隣接する第2円錐部の直径は、流出部13a-3’の直径よりも小さい。
【0047】
液体流出開口部は、混合部に面する最外部において、最外部に隣接する部分よりも大きな断面直径を有する。この構造により、液体流は、混合部に流入する際に分散される。
【0048】
液体供給流路の開口部を通過する液体の流れ方向において、液体供給流路の開口部の断面直径は、減少させた後、増加させることができ、好ましくは、段階的又は連続的に、減少させた後、増加させることができる。それにより、液体流は、混合部に流入した際に分散される。
【0049】
さらに他の一態様によれば、基部及び前方部は、互いに付着させることができ、それにより、泡吐出器の製造工程における可変性がもたらされる。
【0050】
液体流出開口部をベンチュリノズルとして構成することにより、泡形成過程をさらに強化できる。
【0051】
第1実施形態-泡吐出器組立品
図1には、泡吐出器10の第1実施形態が示される。泡吐出器10は、例えば、
図8及び
図9の泡吐出器組立品100のように、泡吐出器組立品に組み込まれる。泡吐出器組立品100は、起泡性水性組成物の収納に使用される容器又はコンテナに取り付けられる。泡吐出器組立品100は、ポンプ操作のための操作部101、及び泡吐出器組立品100を容器に取り付けるための取付部102を備える。容器(図示せず)は、水性組成物を含む。
【0052】
第2実施形態-泡吐出器
図6は、本発明の泡吐出器の第2実施形態を示す。泡吐出器10Aは、内壁が設けられないという点で第1実施形態の泡吐出器とは異なる。
【0053】
第2実施形態の泡吐出器10Aは、例えば、
図8及び
図9の泡吐出器組立品100のように、泡吐出器組立品に組み込まれる。泡吐出器組立品100は、起泡性水性組成物の収納に使用される容器又はコンテナに取り付けられる。同様の構成には同様の参照符号が付されている。第1実施形態の説明も参照する。
【0054】
泡吐出器10Aは、互いに連結される基部11A及び前方部12Aを備える。基部11Aの第1端部の外周壁11Aaは、前方部12Aの内周壁に係合する。基部11Aの外周壁11Aaの径方向内側には、周方向空隙が設けられ、これが液体供給流路16Aを形成する。ダイインサート13Aの突出部13Acは、基部11Aの空隙に挿入され、それにより、ダイインサート13が、基部11Aに取り付けられる。
【0055】
第2実施形態-ダイインサート
第1実施形態と同様に、基部11、前方部12A及びダイインサート13Aは、射出成形によって製造される。
【0056】
混合部(混合室)14Aは、基部11A及び前方部12Aの周壁14Abに取り付けられたダイインサート13Aの上部の上方に形成される。ダイインサート13Aは、基部11Aに取り付けられ、ダイインサート13Aの上部が混合部14Aの底部となる。
【0057】
第2実施形態-液体及び気体の供給流路
泡吐出器10Aは、基部11Aの周方向空隙によって形成される液体供給流路16A、及び気体供給流路15Aを備える。液体供給流路16Aは、気体供給流路15Aに比べると基部11Aの軸寄りに配置される。
【0058】
液体供給流路16A及び気体供給流路15Aはともに、混合部14と流体接続している。具体的には、液体供給流路16Aは、ダイインサート13Aに設けられる液体流出開口部13Aaと流体接続し、気体供給流路15は、ダイインサート13Aの外側に配置される複数の気体流出開口部15Aaと流体接続している。
【0059】
ダイインサート13Aは、第1実施形態のダイインサート13と同様に構成される。ダイインサート13Aの液体流出開口部13Aaの構造により、開口部13Aaを通過する液体は、混合部14Aに流入する際に分散される。混合部14Aに流入する際に分散された液体流は、混合部14Aにおける微細液滴形成の一因となり、それにより、泡形成過程を強化する。
【0060】
第2実施形態-泡吐出器本体
第1実施形態と同様、第2実施形態の泡吐出器10Aは、例えば、
図8及び
図9の泡吐出器組立品100のような泡吐出器組立品に組み込まれる。泡吐出器組立品100は、起泡性水性組成物の収納に使用される容器又はコンテナに取り付けられる。
【0061】
第3実施形態-泡吐出器
図7には、泡吐出器10Bの第3実施形態が示されている。泡吐出器10Bは、以下にさらに詳述するような構造のダイインサートが使用されるという点で第1実施形態の泡吐出器10とは異なる。
【0062】
第3実施形態-ダイインサート
具体的には、泡吐出器10Bのダイインサート13Bは、ダイインサート13Bの中心部に設けられる液体流出開口部13Baが、断面において、実質的に円筒形状であるように構成される。
【0063】
泡吐出器10Bは、互いに連結される基部11B及び前方部12Bを備える。基部11Bの第1端部の外周壁11Baは、前方部12Bの内周壁に係合する。基部11Bの外周壁11aの径方向内側には、周方向空隙が設けられ、これが液体供給流路16Bを形成する。ダイインサート13の突出部13Bcは、基部11Bの空隙に挿入され、それにより、ダイインサート13Bが、基部11Bに取り付けられる。
【0064】
混合部(混合室)14Bは、基部11Bと前方部12Bとの間に形成される。具体的には、混合部14Bは、基部11Bに取り付けられたダイインサート13Bの上部、前方部12Bの内周壁14Bb及び前方部12Bの内壁14Baの間に設けられ、内壁14Baは、ダイインサート13Bの上部と対向する位置に設けられている。ダイインサート13Bは、基部11Bに取り付けられ、ダイインサート13Bの上部が、混合部14Bの底部を形成する。
【0065】
第3実施形態-内壁
混合部14の内壁14Baは、複数のオリフィス(
図6には示されないが、第1実施形態のオリフィスと同様のオリフィス)を備える。
【0066】
第3実施形態-液体と気体の供給流路
泡吐出器10Bは、基部11Bの周方向空隙によって形成される液体供給流路16B、及び気体供給流路15Bをさらに備える。液体供給流路16Bは、気体供給流路15Bに比べて基部11Bの軸寄りに配置される。
【0067】
液体供給流路16B及び気体供給流路15Bは、混合部14Bと流体接続している。具体的には、液体供給流路16Bは、ダイインサート13Bに設けられる液体流出開口部13Baと流体接続している。気体供給流路15Bは、ダイインサート13Bの外側に配置される複数の気体流出開口部15Baと流体接続している。
【0068】
内壁14Baは、液体流出開口部13Baに対向して配置され、液これにより、体流出開口部13aを通過して混合部14Bに流入する液体は、内壁14Baに向けられる。
【0069】
この配置により、内壁14Baは、液体流出開口部13Baを通過し、混合部14Bを通過してきた液体流を分散させるように構成された分散部として機能する。液体流が噴流のように形成されるので、液体流の速度は比較的速い。液体流は、混合部14Bを通過し、次いで内壁14Baによって分散され、それにより、混合部14Bに微細液滴が形成される。微細液滴は、複数の気体流出開口部15Baにより供給される気体と混合し、それにより、感触が柔らかく豊かな外観の安定した泡が提供される。
【0070】
第3実施形態-泡吐出器組立品
第1実施形態又は第2実施形態と同様に、第3実施形態の泡吐出器10Bは、例えば、
図8及び
図9の泡吐出器組立品100のように、泡吐出器組立品に組み込まれる。泡吐出器組立品100は、起泡性水性組成物の収納に使用される容器又はコンテナに取り付けられる。
【0071】
第3実施形態の他の構成については、特に説明しないが、第1実施形態又は第2実施形態のいずれか、又はそれらの変更形態/変形形態を参照する。
【0072】
泡吐出器組立品
別の態様では、先述の態様のいずれかによる泡吐出器及び液体コンテナを有する泡吐出器組立品が提供される。泡吐出器組立品は、噴射剤フォーマー組立品、ポンプフォーマー組立品及びスクイズフォーマー組立品から選択され、より好ましくは、ポンプフォーマー組立品である。
【0073】
泡吐出器組立品は、皮膚及び/又は毛髪の洗浄のための水性組成物を含むことができ、この水性組成物は、
-1つ又は複数の起泡性界面活性剤と、
-静的光散乱法によって求められる個数平均粒径が1μmから250μmの範囲内であり、25℃大気圧下で水に不溶性の1つ又は複数の粒子と、
を含む。この構成の場合、泡吐出器により作り出される泡は、さらに向上した洗浄効果を有する。
【0074】
本発明のさらなる一態様によれば、1つ又は複数の先の態様による泡吐出器付きのキャップを備える、起泡性水性組成物を収納する容器が提供される。
【0075】
泡形成方法
別の実施形態として、本発明は、泡形成方法を提供する。この泡形成方法によれば、先述の態様の1つもしくは複数による泡吐出器、又は、先述の実施形態の1つもしくは複数による泡吐出器組立品を用いることができる。この泡形成方法は、具体的には加圧空気である気体を混合部に導入するステップと、液体を混合部に導入するステップとを含む。液体流が、混合部に流入するとき又は流入した後に、液体流を分散させて、気体と分散状態で混合するように、液体が導入される。
【0076】
この方法によれば、気泡径が小さく均一で泡安定性が高く豊かな外観の泡が提供され得る。
【国際調査報告】