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特表2022-543305水晶体乳化吸引のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】水晶体乳化吸引のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
A61F9/007 130B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507632
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2019049644
(87)【国際公開番号】W WO2021025705
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】16/532,722
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522048580
【氏名又は名称】ナラクリシュナン ファミリー トラスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナラクリシュナン,ラヴィ
(57)【要約】
生体組織を乳化する水晶体乳化吸引針が提供される。針は、針に振動を与える水晶体乳化吸引ハンドピースに取り付けられるように構成される。針は中空の本体を有し、中空の本体は、作動遠位端部、ハンドピースに取り付けられる近位端部、及び近位端部と遠位端部との間に延在する吸引通路を画定する内面を有する。針本体は、遠位端部において先端を有し、針本体は、吸引通路内において先端に近い場所に位置する閉塞低減手段を有し、閉塞低減手段は、(i)内面から径方向の内向きに突出する突起、(ii)内面へと延在する溝、(iii)吸引通路内に位置する少なくとも1つのインサート、(iv)吸引通路内に位置する少なくとも1つのブレード、又は(v)針本体の変形部分のうちの1つである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を乳化する水晶体乳化吸引針であって、前記針は、前記針に振動を与える水晶体乳化吸引ハンドピースに取り付けられるように構成され、
前記針は、遠位端部と、近位端部と、前記近位端部と前記遠位端部の間に延在する吸引通路を画定する内面とを有する中空の針本体を有し、
前記近位端部は、前記針本体を水晶体乳化吸引ハンドピースに取り付けるためのものであり、
前記吸引通路は、長手方向に延在する中心本体軸を有し、
前記針本体は、前記遠位端部において先端を画定し、
前記針本体は、前記吸引通路内において前記先端に近い場所に位置する閉塞低減手段を有し、
前記閉塞低減手段は、(i)前記内面から径方向の内向きに突出する突起、(ii)前記内面に延在する溝、(iii)前記吸引通路内の少なくとも1つのインサート、(iv)前記吸引通路内に位置する少なくとも1つのブレード、又は(v)前記針本体の少なくとも1つの窪み部分、のうちの1つである、水晶体乳化吸引針。
【請求項2】
前記吸引通路は前記先端において拡張されており、
前記先端における前記吸引通路は、前記中心本体軸に対して直角な平面において切り取られた、前記本体内の前記吸引通路の表面エリアよりも大きい表面エリアを有する、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項3】
前記先端は、径方向にオフセットされた部分を有し、
前記径方向にオフセットされた部分は、前記針本体の前記本体近位端部に向かう前記本体軸に沿った方向において径方向の内向きに傾斜する内部傾斜面を有する、請求項2に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項4】
前記内部傾斜面は凸曲線である、請求項3に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項5】
前記内部傾斜面は実質的に直線状である、請求項3に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項6】
前記先端の少なくとも一部は、(i)前記先端の外面、又は(ii)前記先端の内面のうちの少なくとも一方にテクスチャー加工された表面を有する、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項7】
前記本体は、前記中心本体軸に沿った長さを有し、
前記閉塞低減手段は、前記針本体の前記長さの大部分に沿って延在する、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項8】
前記本体は、前記中心本体軸に沿った長さを有し、
前記閉塞低減手段は、前記針本体の前記長さの半分未満の距離だけ延在する、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項9】
前記閉塞低減手段は、前記内面から径方向の内向きに突出する複数の突起であり、
前記複数の突起は、前記内面上に施条模様で配設される、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項10】
前記閉塞低減手段は、前記内面内に延在する少なくとも1つの螺旋状の溝である、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項11】
前記閉塞低減手段は、前記針本体の複数の周期的な窪み部分である、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項12】
前記閉塞低減手段は、前記針本体の複数の周期的な窪み部分であり、
前記窪み部分は、前記中心本体軸を包有する平面において断面で見たときに正弦形状を有する、請求項11に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項13】
前記閉塞低減手段は、前記針本体の複数の周期的な円周窪み部分である、請求項11に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項14】
前記閉塞低減手段は、前記中心本体軸に対して直角な平面に対して角度付けられた、前記針本体の複数の周期的な窪み部分である、請求項11に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項15】
前記閉塞低減手段は、前記吸引通路内に延在する少なくとも1つの捻れインサートである、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項16】
前記閉塞低減手段は、前記吸引通路内に延在する一対の捻れインサートである、請求項15に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項17】
前記閉塞低減手段は、前記吸引通路内に延在する複数の径方向に延在するブレードである、請求項1に記載の水晶体乳化吸引針。
【請求項18】
水晶体乳化吸引を行う方法であって、
請求項1に記載の水晶体乳化吸引針を得ることと、
前記水晶体乳化吸引針の前記近位端部に振動性ハンドピースを組み付けることと、
前記ハンドピースによって前記針に振動を与えて、眼内の組織を乳化することと、
前記閉塞低減手段と接触するように、乳化した組織を前記吸引通路内へと吸引することと、
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科手術に使用される手術器具及びその使用方法に関し、より詳細には、水晶体乳化吸引装置及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な眼科手術技法としては、眼からの疾患のある又は損傷した水晶体の除去がある。水晶体の除去に使用される早期の技法においては、典型的には、水晶体が包まれる水晶体嚢に大幅な切開を行う必要があった。このような切開は長さ約12mm程となることが多かった。
【0003】
より最近の技法においては、疾患のある水晶体を除去し、長さ約5mmという可能な限り小さい切開部分を通して交換用人工レンズを挿入することが着目された。例えば、人工眼球内レンズ(IOL:intraocular lens)を取ってこれを折り曲げ、切開部分を通して折り曲げたレンズを挿入し、水晶体嚢内に適切に位置決めされた際にレンズの展開を可能にすることは、今では一般的な技法である。同様に、同等に小さい切開部分を通した疾患のある水晶体の除去を実現する取り組みがなされている。
【0004】
1つのそのような除去技法は水晶体乳化吸引として知られる。典型的な水晶体乳化吸引ツールとしては、中空の針の近位端部に取り付けられるハンドピースが含まれる。ハンドピースにおいて、眼から中空の針内にある吸引通路を通って吸引されるのに十分小さい粒子へと疾患のある水晶体を細分化するために、電気エネルギーが圧電結晶に印加され、針の遠位作動端部が超音波周波数で振動する。一般に、水晶体粒子の水洗及び吸引を促進するために、灌注液を眼に供給する注入スリーブが遠位端部において針の周りに取り付けられる。
【0005】
そのような手術時に液体を適切に注入することが極めて重要である。十分な量の液体を維持することにより、眼内のある特定の組織の崩壊、及び繊細な眼構造への付随する傷害又は損傷が防止される。一例として、内皮細胞はそのような崩壊時に容易に損傷し得るものであり、これらの細胞は再生しないため、この損傷は永久的であり得る。そのような手術時に可能な限り小さい切開部分を使用する幾つかの利点としては、組織の崩壊を防止するのに役立つように手術中及び手術後に液体の漏れが最小化されること、治癒時間がより短くなること、及び術後の乱視が減少することがある。
【0006】
多くの水晶体乳化吸引針及び先端は、比較的低い周波数で長手方向に針を振動させるハンドピースとともに使用されるように設計される。長手方向の振動に加えて、ある特定のハンドピースは、毎秒約100サイクルの振動周波数で針に捻れ運動を与える。毎秒約32000サイクルの周波数で水晶体乳化吸引先端の捻れ振動を与えるハンドピースもある。代替的に、Cetus ARCナノレーザー等の幾つかのハンドピースは、眼の核を乳化するために可動機械部品を用いずにレーザーパルスを利用する。
【0007】
捻れタイプのハンドピースを使用するには、長手方向タイプのハンドピースとともに使用される設計とは異なる水晶体乳化吸引針先端の設計が必要となる。例えば、針は、ハンドピースが生む針運動を利用するように成形、スエージ加工及び角度付けされた先端を含む設計がなされる。
【0008】
単一のハンドピースを用いた捻れ運動、長手方向運動、又はその混合運動の使用を外科医が選択することを可能にする、例えば、テキサス州フォートワース所在のAlcon Laboratories社が製造したCenturion(商標)システム等、既知の水晶体乳化吸引システムがある。他の一般的なシステムとしては、カリフォルニア州サンタアナ所在のJohnson & Johnson社が製造したSovereign(商標)システム、Whitestar Signature(商標)システム、Signature Ellips(商標)FXシステム、及びニューヨーク州ロチェスター所在のBausch & Lomb社が製造したStellaris(商標)システムが挙げられる。長手方向振動の一般的な周波数は29Hz~43Hzの範囲である。捻れ振動の一般的な周波数は31Hz~38Hzの範囲である。一般的な混合設定は、時間の3分の2は捻れ運動を使用し、時間の3分の1は長手方向運動を使用する。長手方向の水晶体乳化吸引時に与えられる前後運動と、捻れ水晶体乳化吸引時に先端に生じる偏心運動とにより、「混合」運動はより三次元の効果を生じるものと考えられる。
【0009】
多くの外科医は、長手方向ハンドピースとともに一般的に使用される直線状の先端設計を有する水晶体乳化吸引針を好む。外科医の大多数は、捻れハンドピースではなく長手方向ハンドピースを使用するものであり、多くの場合にその理由は、捻れ水晶体乳化吸引機器が長手方向機器よりも高価であり、そのため、これらの外科医は、捻れ水晶体乳化吸引システムが提供するとされる、改良された水晶体乳化吸引の結果を有効活用できないと思うからである。
【0010】
引用することにより全体が本明細書の一部をなす特許文献1及び2を参照すると、本発明者は、針本体を通って延在する吸引通路の軸に対して軸外位置に先端を有する水晶体乳化吸引針を形成することにより、捻れ水晶体乳化吸引時に偏心運動又は「揺動」が発生し、水晶体乳化吸引効率が改善されることを前に見出した。驚くべきことに、本発明者は、先端をそのような軸外位置に形成することにより、長手方向ハンドピースを使用する際にも水晶体乳化吸引効率が上がることも見出した。予備的臨床試験によれば、長手方向ハンドピースとともに軸外針を使用することは、100%の捻れ作用をもたらす捻れハンドピースとともに同じ針を使用するよりも効率的であり得ることを示している。ここで、効率は水晶体乳化吸引時に散逸するエネルギーによって測定される。本明細書において使用する場合、「散逸エネルギー」という用語は、大抵はジュール単位で測定される、水晶体乳化吸引時にハンドピースが使用するエネルギーの量を指す。散逸エネルギーの読み取り値が低いほど、水晶体乳化吸引時に発生する熱が少なくなり、さらに、繊細な眼組織が熱損傷を受ける可能性が低くなることを意味する。
【0011】
長手方向ハンドピースとともに軸外先端を使用することにより、より複雑で高価な捻れ水晶体乳化吸引装置を使用することなく、ハイブリッドタイプの水晶体乳化吸引運動が生じるものと思われる。また、本発明者は、中央吸引通路を針本体内の軸外位置に形成することによって、先端にフレアがない水晶体乳化吸引針に偏心又は揺動タイプの運動を与えることができることを見出した。また、針本体自体の断面構成とは異なる断面構成を有して形成された吸引通路を有する直線状の水晶体乳化吸引針を使用して同様の結果が得られることが期待され、通路が軸外に配置された場合にこれらの結果が更に拡張されることが期待される。
【0012】
さらに、本発明者は、本明細書において、高価な流体力学管理システムを購入する必要なく、前眼房の崩壊又は平坦化を防止又は少なくとも最小化する有益な流体管理を提供するために、水晶体乳化吸引針を更に変更及び改善する必要があることを見出した。
【0013】
さらに、本発明者は、針先端の幾つかの内面により、吸引通路を通って吸引され針本体を通って搬送されるのではなく、針本体内の吸引通路の開口部から組織粒子が望ましくない跳ね返り又は排出が行われ得ることを見出した。そのような跳ね返り、反発、又はサージにより、針の全体的な吸引効率が減少し、手術時間が増えるおそれがある。
【0014】
本発明の単数又は複数の好ましい実施形態を以下に説明するが、このような説明が例としてのみ行われ、本発明の範囲を限定する意図はないことが理解されるべきである。本発明の原理の変形及び更なる修正、並びに他の応用及び更なる応用は、本発明が係る技術分野の当業者であれば考案されるものであり、上記とは異なるものの、本明細書において説明及び特許請求する本発明の趣旨及び範囲内に留まるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第8,764,782号
【特許文献2】米国特許第8,992,459号
【発明の概要】
【0016】
本発明の1つの好ましい実施の形態によれば、生体組織を乳化する水晶体乳化吸引針が提供される。針は、針に振動を与える水晶体乳化吸引ハンドピースに取り付けられるように構成される。針は中空の針本体を有し、中空の針本体は、遠位端部、近位端部、及び近位端部と遠位端部の間に延在する吸引通路を画定する内面を有する。針本体の遠位端部は、針本体を水晶体乳化吸引ハンドピースに取り付けるためのものである。針本体は、その遠位端部に先端が形成される。吸引通路は、長手方向に延在する中心本体軸を規定する。針本体は、吸引通路内において先端に近い場所に位置する閉塞低減手段を有し、閉塞低減手段は、(i)内面から径方向の内向きに突出する突起、(ii)内面に延在する溝、(iii)吸引通路内に位置する少なくとも1つのインサート、(iv)吸引通路内に位置する少なくとも1つのブレード、又は(v)針本体の少なくとも1つの窪み部分、のうちの1つである。
【0017】
本発明の別の好ましい実施の形態によれば、水晶体乳化吸引方法が開示される。本方法は、上述した水晶体乳化吸引針を得るステップを含む。本方法は、水晶体乳化吸引針の近位端部に振動性ハンドピースを組み付けるステップを含む。本方法は、ハンドピースによって針に振動を与えて、眼内の組織を乳化するステップを含む。本方法は、閉塞低減手段と接触するように、眼の乳化した組織を吸引通路内へと吸引するステップを更に含む。
【0018】
本発明は、本明細書に詳述する閉塞低減手段のうちのいずれかを単独又は任意の組み合わせで有することができることが理解されるべきである。さらに、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲及び図面を含む明細書全体を精査することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を具現化する水晶体乳化吸引針の第1の実施形態の拡大側面図である。
図2図1に示す針の先端部分を大幅に拡大した部分図である。
図3図1に示す針先端を大幅に拡大した正面図である。
図4図1に示す針を図3の平面4-4に沿って切り取って、大幅に拡大した断面図である。
図5図1に示す針の本体部分を大幅に拡大した部分斜視図であって、針の本体部分の内面に沿って螺旋状に延在する複数の隆起した内部突起を示す図である。
図6図1に示す針の本体部分の代替的な実施形態の拡大部分側面図と側面図とであって、針の本体部分の内面内に延在する単一の螺旋状の内部溝を示す図である。
図7図1に示す針の本体部分の4つの更なる代替的な実施形態を示す一連の図であって、吸引通路の閉塞を防止することを促進する周期的な隆起した内面又は突起を形成する針本体の窪み部分を示す図である。
図8図1に示す針の本体部分の更なる代替的な実施形態の一連の図である。
図9図1に示す針の本体部分の代替的な実施形態を大幅に拡大した部分斜視図であって、針の本体部分の吸引通路内に延在する単一の螺旋状インサートを示す図である。
図10図1に示す針の本体部分の別の代替的な実施形態を大幅に拡大した部分斜視図であって、針の本体部分の吸引通路内に延在する単一の螺旋状インサートを示す図である。
図11図1に示す針の本体部分の別の代替的な実施形態の一連の拡大図であって、針の本体部分の吸引通路内に延在する一対の螺旋状インサートを示す図である。
図12図1に示す針の本体部分の別の代替的な実施形態を大幅に拡大した部分断面図であって、針の本体部分の吸引通路内に延在する複数の径方向ブレード又はフィンを示す図である。
図13】本発明に係る水晶体乳化吸引針の別の実施形態を大幅に拡大した断面図であって、フレア又はオフセット先端のない直線状の針を示す図である。
図14図13に示す針を大幅に拡大した端面図である。
図15】本発明に係る水晶体乳化吸引針の別の実施形態を大幅に拡大した断面図であって、吸引通路へと近位方向に繋がる曲線状の傾斜面を有するフレア加工されたオフセット先端を有する針を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、図1を参照する。符号100は、本発明を具現化する水晶体乳化吸引針の第1の好ましい実施形態を示す。針100は概ね直線状であり、針本体104を有する。本体は、針本体104の長さを規定する、動作端部又は遠位端部99と近位端部106とを有する。針の遠位端部99は先端102を有する。先端102は、針本体104の長さに対して垂直に延びる平面に対して約30度である角度βによって規定される前縁部及び後縁部を有することが好ましい。先端102は、全く角度付ける必要はない又は他の角度によって規定してもよい。図2は、針先端102の外面「A」がテクスチャー加工又は粗面加工されることが好ましいことを更に示す。
【0021】
図1を更に参照すると、針の近位端部106は、針100を水晶体乳化吸引ハンドピース(図示せず)に接続するための取り付け部分又は嵌合面を有することができる。針100は、任意の方法で、例えば、嵌合ねじ、クランプ、スナップ嵌合、係止、摩擦嵌合、又は調節可能嵌合等によってハンドピースに接続することができる。針本体は、近位端部106から遠位端部99まで延在するとともに中心本体軸110を規定する吸引通路(図2の124)を有する。以降で説明するように、針軸110から見て内向き又は外向きの方向を「径方向」と呼び、軸110に沿った方向は遠位端部99又は近位端部106に向かうものである。
【0022】
図2を参照する。図2は針先端102を大幅に拡大した図である。先端102は、先端102の近くに位置する針本体104の残りの部分における吸引通路124の径方向高さと比較したとき、吸引通路124が針本体の遠位端部99において径方向に広いフレア形状を有するものとして概ね特徴付けることができる。先端102は、リップ部114において終端する、開いた又は中空の口部112を有するものとして特徴付けることができる。先述したように、先端102は前縁部116及び後縁部118を有することができる。後縁部118は、上側針表面120と連続していることが好ましく、一方、前縁部116は、下側針表面130から側方にオフセットされている。ただし、本発明の最も広範な態様において、先端102は見分けられる前縁部又は後縁部を有する必要はなく、前縁部及び後縁部の配置はリップ部114に沿った他の場所に位置決めされてもよい。
【0023】
図3を参照する。先端102は、距離128だけ針本体軸110からオフセットされた中心先端軸126を有することができる。吸引通路124が開いた口部112を介してリップ部114に接続する様を見て取ることができる。針先端102の第1の図示した実施形態が円形のリップ部114を有する様を見て取ることができる。本体軸110からオフセットされる先端軸126の向きによって、ハンドピースによる振動発振(長手方向、捻れ、又はその混合)時に水晶体乳化吸引針の遠位端部99に対して有益な偏心運動を与えることができる。
【0024】
次に図4を参照する。図4は、図3の4-4平面に沿って切り取った断面図であり、針遠位端部99及び針先端102の内部特徴を詳細に見て取ることができる。針100の第1の図示した実施形態は、先端102が、針本体104内の吸引通路124の上面と同一の広がりを有する上面103を有することを示す。針先端102のオフセット部分134が、先端102の残りの部分よりも更に本体軸110から径方向外向きに延在する様を見て取ることができる。傾斜面136は、吸引通路の下面141と同一の広がりを有する吸引通路の開口部140に接続する。傾斜面136は、角度αによって規定される実質的に直線状の表面において、先端102の開放端部に向かう方向において径方向の外向きに延在する。角度αは、本体軸110に対する傾斜面136の角度である。角度αは90度以下であり、12度~90度であり得る。表面136の傾斜すなわち角度αは、45度以下であることが好ましい。傾斜面136は、地点138において第2の内面137に更に接続し、第2の内面137は、本体軸110に対して概ね平行である。寸法「A」は、第2の内面137の、本体軸110に沿った長さである。寸法「B」は、傾斜面136の、本体軸110に沿った長さ成分であり、一方、寸法「C」は、傾斜面136の高さ成分である。好ましい実施形態において、寸法「A」は寸法「B」よりも大きい。寸法「D」は、針の遠位端部99における吸引通路124の全高である。針100の第1の図示した実施形態において、傾斜面136の先端102の高さ「C」は、吸引通路の全高「D」の少なくとも半分である。
【0025】
傾斜面136は、針先端102をミル加工する二次的なステップにおいて製造されることが好ましい。ただし、傾斜面136を、他の一般的な製造方法、例えば、針本体における一体成型、又はエッチング、放電加工、若しくは他の材料除去作業等による除去、によって作製してもよい。
【0026】
本発明者は、先端102等の中心が外れたフレア先端を有する水晶体乳化吸引針により、水晶体乳化吸引時に眼の核に対して理想的な保持がもたらされることを見出した。大きな表面エリアを有し、その後に相対的に狭い表面エリアの吸引通路124が続くフレア先端102の広い口部は、この有利な特徴に寄与するものと考えられる。さらに、針100のこの構成により、眼内の流体管理が改善されて、眼房の平坦化が最小になることが分かった。大きな表面エリアを有し、その後に相対的に狭い表面エリアの吸引通路124が続くフレア先端102の広い口部は、従来技術の針と比較して水晶体乳化吸引時に吸引される灌注流体の相対量も削減するものと考えられる。
【0027】
図5を参照すると、先端102の近くに存在する(すなわち、本体中心軸110に沿った針100の近位端部106に向かって位置する)針本体104の断片部分又は切片が図示されている。本体104は内面200を有し、内面200から複数の突起210が針本体104の中心に向かって内向きに突出する。突起210は、中心本体軸110に沿った針本体104の長さに沿って延在する螺旋模様又は施条模様で配設される。突起210の施条模様により、吸引通路124に入る核の吸引部分の分裂、拡散、又は別様な分解が促進され、狭い通路124の詰まりが防止され得る又は少なくとも最小になり得るものと考えられる。突起210は、針100(図1)の先端102(図1)から近位端部106まで吸引通路124の全長にわたって延在することが好ましい。ただし、突起210は針本体104の長さに沿って途中までしか延在しなくてもよいことが理解される。図5の突起210は、中心本体軸110(図1)に対して直角な断面で見たときに概ね半円形又は弓形を有する。突起210は、吸引特性を改善する他の断面形状、例えば、四角形、三角形、又は他の多角形若しくは不規則形状を有してもよいことが理解される。
【0028】
本発明者は、先端102等の中心から外れたフレア先端を有する水晶体乳化吸引針の吸引通路124内に突起210を設けることが、水晶体乳化吸引時の眼内の流体管理を改善して、眼房の平坦化、虹彩粗動、及び/又は閉塞による吸引通路124の詰まりを最小にする際に特に有利であり得ることを見出した。
【0029】
図6を参照すると、針100の針本体104の内部特徴の代替的な実施形態が示されている。ここで、針本体の代替的な実施形態は符号104Aによって指定されている。図6は先端102(図1)の近くに存在する針本体104Aの一部のみを図示したものであることが理解される。本体104Aは内面200Aを有し、内200Aにおいて、螺旋状の溝210Aが針本体104Aの近位端部と遠位端部との間に延在する。溝210Aは、吸引通路124(図4)に入る核の吸引部分の分裂、拡散、又は別様な分解を促進して、狭い通路124の詰まりを防止し得る又は少なくとも最小にし得ることが有利である。溝210Aは、針100(図1)の先端102(図1)から近位端部106まで吸引通路124の全長にわたって延在することが好ましい。ただし、溝210Aは針本体104Aの長さに沿って途中までしか延在しなくてもよいことが理解される。
【0030】
図6の溝210Aは、中心軸110(図1)に対して直角な断面で見たときに、概ねねじ山形状を有する。溝210Aは、用途に応じて他の断面形状、例えば、四角形、円形、又は他の多角形若しくは不規則形状を有してもよいことが理解される。さらに、溝210Aのピッチ、深さ、及び/又は角度は、図示したものと異なってもよい。また、溝210Aの数を増やしてもよいことが理解される。溝210Aは、突起210に関して上述したのと同様に挙動することで、眼の核の水晶体乳化吸引時に眼房の平坦化、虹彩粗動、及び/又は閉塞による吸引通路124の詰まりを最小にするものと考えられる。溝210Aは、針本体104Aのドリル加工又は切削加工等による二次的な機械加工プロセスによって形成されることが好ましい。
【0031】
図7を参照すると、針100の針本体104の4つの代替的な実施形態が示されている。ここで、針本体の代替的な実施形態は、それぞれ符号104B、104C、104D、及び104Eによって指定されている。図7は先端102(図4)の近くに存在する針本体104B、104C、104D、及び104Eの一部のみを図示したものであることが理解される。
【0032】
図7を更に参照すると、本体104Bは、外部から見たときに一連の円周凹部又は窪み部分210Bを有し、これにより、吸引通路124を画定する針本体104Bの円周突起又は波形内面が生まれる。実質的に平滑な円筒形の外面を有する本体104又は104Aの実施形態とは異なり、針本体104Bの外面は、周期的な窪み部分210Bを有して顕著に窪んでいる。幾つかの代替形態(図示せず)において、窪み部分210Bの間隔は規則的又は周期的である必要はなく、代わりに不規則に間隔を置いてもよいことが理解される。
【0033】
図7を更に参照すると、本体104Cは、一連の角度付けられた凹部又は窪み部分210Cを有し、これにより、内面上に角度付けられた突起又は針本体104Cの角度付けられた波形内面が生まれる。針本体104Cの外面が周期的な窪み部分210Cによって顕著に窪んでいる様を見て取ることができる。
【0034】
図7を更に参照すると、本体104Dは、本体104Dの周りに螺旋状に配設される単一の角度付けがされた凹部又は窪み部分210Dを有し、これにより、針本体104Cの内面の長さに沿って延在する単一の螺旋状の突起又は波形が生まれる。
【0035】
再び図7を参照すると、本体104Eは、外部から見たときに一連の正弦状の凹部又は窪み部分210Eを有し、これにより、針本体104Eの正弦波形の内面が生まれる。
【0036】
窪み部分210B、210C、210D、及び210Eは、結果として生じる内部突起とともに、吸引通路124(図4)に入る核の吸引部分の分裂、拡散、又は別様な分解を促進して、狭い通路124の詰まりを防止し得る又は少なくとも最小にし得ることが理解される。一連の窪み部分210B、210C、210D、及び210Eは、針100(図1)の先端102(図4)から近位端部106まで吸引通路124の全長に沿って周期的に延在することが好ましい。
【0037】
ただし、一連の窪み部分210B、210C、210D、及び210Eは、針本体104B、104C、104D、及び104Eの長さに沿って途中までしか延在しなくてもよいことが理解される。窪み部分210B、210C、210D、及び210Eのピッチ、深さ、角度、数及び形状は図示したものと異なってもよい。窪み部分210B、210C、210D、及び210Eは、窪み部分210B、210C、210D、及び210Eを形成するための針100のクリンピング等の二次的な機械加工プロセスを必要とすることなく、針100の残りの部分とともに形成されることが好ましく、これにより製造コストが削減され得る。
【0038】
次に図8を参照すると、針100の針本体104の別の代替的な実施形態が示されている。ここで、針本体の代替的な実施形態は、符号104Fによって指定されている。図8は、先端102(図4)の近くに存在する針本体104Fの一部のみを図示したものであることが理解される。本体104Fは、本体104F周りに螺旋状に配設された半円形状を有する、単一の角度付けがされた凹部又は窪み部分210Fを有する。
【0039】
次に図9を参照すると、針100の針本体104の別の代替的な実施形態が示されている。ここで、針本体の代替的な実施形態は、符号104Gによって指定されている。図9は、先端102(図1)の近くに存在する針本体104Gの一部のみを図示したものであることが理解される。本体104Gは、内部捻れ本体又はインサート210Gを有し、これは、中空の本体104Gを通って移動する吸引された組織と接触することで、吸引通路124(図4)に入る核の吸引部分の分裂、拡散、又は別様な分解を促進して、狭い通路124の詰まりを防止する又は少なくとも最小にする。
【0040】
捻れインサート210Gは、針100(図1)の先端102(図4)から近位端部106まで吸引通路124の全長にわたって延在することが好ましい。ただし、インサート210Gは、針本体104Gの長さに沿って途中までしか延在しなくてもよいことが理解される。捻れの周期及び形状は図示したものと異なってもよい。インサート210Gは、二次的な機械加工プロセスを必要とすることなく、針100の残りの部分とともに形成されるか、又は二次的なプロセスにおいて針100の残りの部分との溶接又は摩擦嵌合によって挿入されることが好ましい。
【0041】
次に図10を参照すると、針100の針本体104の更に別の代替的な実施形態が示されている。ここで、針本体の代替的な実施形態は、符号104Hによって指定されている。図10は、先端102(図1)の近くに存在する針本体104Hの一部のみを図示したものであることが理解される。本体104Hは、隆起した円周部分204H及び捻れ本体又はインサート210Hを有し、これらは双方とも、中空の本体104Hを通って移動する吸引された核部分と接触することで、吸引通路124(図4)に入る核の吸引された部分の分裂、拡散、又は別様な分解を促進して、狭い通路124の詰まりを防止する又は少なくとも最小にする。隆起した円周部分204Hは、対応する円周内部凹部を有し、これにより、本体104Hの内面とインサート210Hとの間の間隔を変えることが可能になる。
【0042】
捻れインサート210Hは、針100(図1)の先端102(図4)から近位端部106まで吸引通路124の全長にわたって延在することが好ましい。ただし、インサート210Hは、針本体104Hの長さに沿って途中までしか延在しなくてもよいことが理解される。捻れの周期及び形状は図示したものと異なってもよい。インサート210Hは、二次的な機械加工プロセスを必要とすることなく、針100の残りの部分とともに形成されるか、又は二次的なプロセスにおいて針100の残りの部分との溶接又は摩擦嵌合によって挿入されることが好ましい。本体104Hは、その長さに沿って複数の隆起した円周部分204Hを有することが好ましい。
【0043】
図11は、針100の針本体104の別の代替的な実施形態を示す。ここで、針本体の代替的な実施形態は、符号104Iによって指定されている。図11は、先端102(図1)の近くに存在する針本体104Iの一部のみを図示したものであることが理解される。本体104Iは、一対の捻れ本体又はインサート210Iを有し、これらは双方とも、中空の本体104Iを通って移動する吸引された組織と接触することで、吸引通路124(図4)に入る核の吸引された部分の分裂、拡散、又は別様な分解を促進して、相対的に狭い通路124の詰まりを防止する又は少なくとも最小にする。一対のインサート104Iにより、本体104Iを通る材料の乱流が可能になる。
【0044】
捻れインサート210Iは、針100(図1)の先端102(図4)から近位端部106まで吸引通路124の全長にわたって延在することが好ましい。ただし、一方又は双方のインサート210Iは針本体104Iの長さに沿って途中までしか延在しなくてもよいことが理解される。捻れの周期及び形状は図示したものと異なってもよい。インサート210Iは、二次的な機械加工プロセスを必要とすることなく、針100の残りの部分とともに形成されるか、又は二次的なプロセスにおいて針100の残りの部分との溶接又は摩擦嵌合によって挿入されることが好ましい。
【0045】
図12は、針100の針本体104の別の代替的な実施形態を示す。ここで、針本体の代替的な実施形態は、符号104Jによって指定されている。図12は、先端102(図1)の近くに存在する針本体104Jの一部のみを図示したものであることが理解される。本体104Jは、中心シャフト又は中心柱204Jを有し、中心シャフト又は中心柱204Jは、そこから径方向に延在する複数の固定フィン又はブレード210Jを有し、固定フィン又はブレードJは吸引通路124(図4)に露出される。ブレード210Jは、中空の本体104Jを通って移動する吸引された核部分と接触することで、吸引通路124(図4)に入る核の吸引された部分の分裂、拡散、又は別様な分解を促進して、相対的に狭い通路124の詰まりを防止する又は少なくとも最小にする。
【0046】
複数の組のブレード210Jは、針100(図1)の先端102(図4)から近位端部106まで吸引通路124の全長にわたって延在することができる。ただし、ブレード210Jは、針本体104Jの長さに沿って途中までしか延在しなくてもよいことが理解される。ブレード210Jの数、角度、及び形状は図示したものと異なってもよい。ブレード210Jは、二次的な機械加工プロセスを必要とすることなく、針100の残りの部分とともに形成されるか、又は二次的なプロセスにおいて針100の残りの部分との溶接又は摩擦嵌合によって挿入されることが好ましい。
【0047】
針本体104、104A、104B、104C、104D、104E、104F、104G、104H、104I、及び104Jの上述した実施形態は全て、フレア又はオフセット先端のない針に対して使用し得ることが理解される。例えば、針本体104、104A、104B、104C、104D、104E、104F、104G、104H、104I、又は104Jのうちのいずれかを、300を付して図13及び図14に示すようにフレア先端のない針において形成してもよい。針100の第1の図示した実施形態と同様に、針300は、先端302、本体軸310を有する中心本体304、それ自体の中心軸326を有する吸引通路324を有する。軸310及び326は距離Hだけオフセットされる(図14)。
【0048】
また、針本体104、104A、104B、104C、104D、104E、104F、104G、104H、104I、及び104Jの上述した実施形態は全て、詰まりを防止するために異なる内面が吸引通路に繋がっているフレア又はオフセット先端を有する、図15に示された針400等の針に対して使用し得ることが理解される。針100の第1の図示した実施形態と同様に、針400は、先端部分402、本体中心軸410を有する縦長シャフト又は本体404、本体404を通って延在する吸引通路424を有する。先端402は、中心本体軸410に対して直角な平面において切り取られた、針400の口部の相対的に広い表面エリアから吸引通路424の相対的に狭い表面エリアに向かって繋がる、曲線状の凸内面を有する。曲線状の傾斜面420は、半径「R」によって規定されており、二次元においては凸曲線を形成しながらも、三次元においては円錐曲線体形状を形成する。傾斜面420の半径「R」は0.35mm~0.9mmであることが好ましい。傾斜面420のこの円錐曲線体形状は、傾斜面420から偏向される除去された組織材料の量を低減し、フレア先端402を有する針400の吸引効率を改善し得る。
【0049】
上述したような閉塞低減手段を有する本発明の針本体104、104A、104B、104C、104D、104E、104F、104G、104H、104I、及び104Jは、針に長手方向振動、捻れ振動、楕円振動、及び/又は混合振動を与えることができる多様な振動性ハンドピースとともに使用することが有利であり得る。さらに、このように改善された針により、眼の組織の水晶体乳化吸引を行う際に高価な流体管理システムを採用する必要をなくすことができる。
【0050】
上述したような閉塞低減手段を有する本発明の針本体104、104A、104B、104C、104D、104E、104F、104G、104H、104I、及び104Jは、有利には、概ね直線状ではなく、屈曲した、階段状である、又はその長さに沿って角度付けられた針とともに使用することができる。
【0051】
図示の実施形態は、針の具体的な壁構成を描いたものではあるが、本発明がそのように制限されるべきでないことが理解されるべきである。水晶体乳化吸引針の選択された壁又は壁部分は様々な厚さで製造することができる。
【0052】
特定の実施形態の上記の開示は、本発明が包含する広範な概念を示すことを意図したものである。



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】