(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】低ダストエアレイド不織布材料
(51)【国際特許分類】
D04H 1/732 20120101AFI20221003BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20221003BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20221003BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20221003BHJP
【FI】
D04H1/732
B01J20/26 D
B01J20/28 Z
D04H1/425
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508527
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 IB2020057401
(87)【国際公開番号】W WO2021024200
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522052244
【氏名又は名称】グラットフェルター・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャセック・ケー・ドゥトキェヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ティー・ムース
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・フォン
(72)【発明者】
【氏名】キャシー・マクジー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ブッカー
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ジェイ・キャンベル
【テーマコード(参考)】
4G066
4L047
【Fターム(参考)】
4G066AC02B
4G066AC21D
4G066BA03
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA43
4G066DA07
4G066FA37
4L047AA08
4L047BA12
4L047CC12
4L047EA03
(57)【要約】
低いダスト又は毛羽含有率を有する不織布材料、及びそれを製造する方法を提供する。そのような不織布材料は、可塑剤を用いて前処理されたセルロース繊維を含むことができ、又は、材料を成形するプロセス時に可塑剤の添加を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑剤で処理されたセルロース繊維を含む第1の層を含み、
約10%未満のダスト含有率を有する、エアレイド不織布材料。
【請求項2】
可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載のエアレイド不織布材料。
【請求項3】
可塑剤がポリエチレングリコール400を含む、請求項2に記載のエアレイド不織布材料。
【請求項4】
第1の層が結合剤を更に含む、請求項1に記載のエアレイド不織布材料。
【請求項5】
二成分繊維を含む、第1の層に隣接した第2の層を更に含む、請求項1に記載のエアレイド不織布材料。
【請求項6】
少なくとも約6g/gの吸収容量を有する、請求項1に記載のエアレイド不織布材料。
【請求項7】
約10秒未満の吸収速度を有する、請求項1に記載のエアレイド不織布材料。
【請求項8】
約50000未満のGelbo合計値を有する、請求項1に記載のエアレイド不織布材料。
【請求項9】
第1の可塑剤を含む第1の層、
セルロース繊維を含む、第1の層に隣接した第2の層、及び
第2の可塑剤を含む、第2の層に隣接した第3の層
を含み、約10%未満のダスト含有率を有する、多層エアレイド不織布材料。
【請求項10】
第1及び第3の層が結合剤を更に含む、請求項9に記載の多層エアレイド不織布材料。
【請求項11】
第1及び第2の可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項9に記載の多層エアレイド不織布材料。
【請求項12】
第1及び第2の可塑剤がポリエチレングリコール400を含む、請求項11に記載の多層エアレイド不織布材料。
【請求項13】
可塑剤を含む第1の層、並びに
セルロース繊維及び結合剤を含む、第1の層に隣接した第2の層
を含み、約10%未満のダスト含有率を有する、多層エアレイド不織布材料。
【請求項14】
可塑剤を含む、第2の層に隣接した第3の層を更に含む、請求項13に記載の多層エアレイド不織布材料。
【請求項15】
第1及び第3の層の可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項14に記載の多層エアレイド不織布材料。
【請求項16】
可塑剤が、不織布材料の総質量に対して約1%~約2%の量で存在する、請求項13に記載の多層エアレイド不織布材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、不織布材料、及びそれを製造する方法に関する。そのような不織布材料は、有利には低いダスト又は毛羽含有率を有する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアレイド不織布材料はダストが多いという評判がある。そのような材料のほこりっぽさは、一部は、結合していない短いセルロース質繊維の存在に起因することがある。ダストは、毛羽とも称され、様々な変換プロセスにおいてエアレイド材料の加工性に負の影響を及ぼすことがあり、またこれらのタイプの不織布の適用(例えば医療環境の)を限定することがある。
【0003】
低いダスト又は毛羽含有率を有するエアレイド不織布材料を提供する一定の需要がある。そのような低ダストエアレイド不織布材料を達成する1つの方法は、材料の表面により多くの結合剤を適用することである。別の方法は、より多くの二成分繊維の構造体への添加を含む。更により高価な代替法は、表面への結合剤の添加及び材料の二成分繊維含有率の両方を増加させることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,492,759号
【特許文献2】米国特許第5,601,921号
【特許文献3】米国特許第6,159,335号
【特許文献4】米国特許第4,432,833号
【特許文献5】米国特許第4,425,186号
【特許文献6】米国特許第5,776,308号
【特許文献7】米国特許第4,098,996号
【特許文献8】米国特許第5,547,541号
【特許文献9】米国特許第4,731,269号
【特許文献10】米国特許第5,372,885号
【特許文献11】米国特許第5,456,982号
【特許文献12】米国特許第4,950,541号
【特許文献13】米国特許第5,082,899号
【特許文献14】米国特許第5,126,199号
【特許文献15】米国特許第5,705,565号
【特許文献16】米国特許第2,861,319号
【特許文献17】米国特許第2,931,091号
【特許文献18】米国特許第2,989,798号
【特許文献19】米国特許第3,038,235号
【特許文献20】米国特許第3,081,490号
【特許文献21】米国特許第3,117,362号
【特許文献22】米国特許第3,121,254号
【特許文献23】米国特許第3,188,689号
【特許文献24】米国特許第3,237,245号
【特許文献25】米国特許第3,249,669号
【特許文献26】米国特許第3,457,342号
【特許文献27】米国特許第3,466,703号
【特許文献28】米国特許第3,469,279号
【特許文献29】米国特許第3,500,498号
【特許文献30】米国特許第3,585,685号
【特許文献31】米国特許第3,163,170号
【特許文献32】米国特許第3,692,423号
【特許文献33】米国特許第3,716,317号
【特許文献34】米国特許第3,778,208号
【特許文献35】米国特許第3,787,162号
【特許文献36】米国特許第3,814,561号
【特許文献37】米国特許第3,963,406号
【特許文献38】米国特許第3,992,499号
【特許文献39】米国特許第4,052,146号
【特許文献40】米国特許第4,251,200号
【特許文献41】米国特許第4,350,006号
【特許文献42】米国特許第4,370,114号
【特許文献43】米国特許第4,406,850号
【特許文献44】米国特許第4,445,833号
【特許文献45】米国特許第4,717,325号
【特許文献46】米国特許第4,743,189号
【特許文献47】米国特許第5,162,074号
【特許文献48】米国特許第5,256,050号
【特許文献49】米国特許第5,505,889号
【特許文献50】米国特許第5,582,913号
【特許文献51】米国特許第6,670,035号
【特許文献52】米国特許第2,345,543号
【特許文献53】米国特許第2,926,116号
【特許文献54】米国特許第2,926,154号
【特許文献55】米国特許第3,700,623号
【特許文献56】米国特許第3,772,076号
【特許文献57】米国特許第3,556,932号
【特許文献58】米国特許第5,466,337号
【特許文献59】米国特許第3,556,933号
【特許文献60】米国特許第4,605,702号
【特許文献61】米国特許第4,603,176号
【特許文献62】米国特許第5,935,383号
【特許文献63】米国特許第6,017,417号
【特許文献64】米国特許第5,147,343号
【特許文献65】米国特許第5,378,528号
【特許文献66】米国特許第5,795,439号
【特許文献67】米国特許第5,807,916号
【特許文献68】米国特許第5,849,211号
【特許文献69】米国特許第6,403,857号
【特許文献70】米国特許第2,929,154号
【特許文献71】米国特許第3,224,986号
【特許文献72】米国特許第3,332,909号
【特許文献73】米国特許第4,076,673号
【特許文献74】米国特許第3,972,092号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Watson, P.ら、Canadian Pulp Fibre Morphology: Superiority and Considerations for End Use Potential、The Forestry Chronicle、85巻3号、401-408頁、2009年5月/6月
【非特許文献2】Horn, R.、Morphology of Pulp Fiber from Hardwoods and Influence on Paper Strength、Research Paper FPL 312、Forest Products Laboratory、U.S. Department of Agriculture(1978) and Bleached Eucalyptus Kraft Pulp ECF Technical Sheet(2017年4月)(https://www.metsafibre.com/en/Documents/Data-sheets/Cenibra-euca-Eucalyptus.pdf)
【非特許文献3】A. J. Stamm、Forest Products Journal 5(6):413頁、1955年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、エアレイド不織布材料のダスト含有率を減少させる実用的かつ費用効果的な方法に対する必要性が依然としてある。更に、加工性を上げ、しかも様々な用途に使用することができる、改善された低ダストエアレイド不織布材料に対する必要性が依然としてある。本開示の主題は、これら及び他のニーズに取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の主題は、有利にはダスト又は毛羽含有率を減少させる改善された不織布材料を提供する。そのような不織布材料は、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール又はPEG)を用いて前処理されたセルロース繊維を含むことができ、又は、代替として、不織布成形プロセス時の可塑剤の適用を含むことができる。
【0008】
本開示はエアレイド不織布材料を提供する。不織布材料は、可塑剤で処理されたセルロース繊維を含む第1の層を含むことができる。そのような不織布材料は、約10%未満のダスト含有率を有することができる。
【0009】
ある実施形態において、可塑剤はポリエチレングリコールを含むことができる。特定の実施形態において、可塑剤はポリエチレングリコール400を含むことができる。
【0010】
ある実施形態において、第1の層は結合剤を更に含むことができる。
【0011】
ある実施形態において、エアレイド不織布材料は第1の層に隣接した第2の層を更に含むことができる。ある実施形態において、第2の層は二成分繊維を含むことができる。
【0012】
ある実施形態において、不織布材料は少なくとも約6g/gの吸収容量を有することができる。
【0013】
ある実施形態において、不織布材料は約10秒未満の吸収速度を有することができる。
【0014】
ある実施形態において、不織布材料は、約50000未満のGelbo合計値を有することができる。
【0015】
本開示は多層エアレイド不織布材料を提供する。不織布材料は、第1の層、第2の層及び第3の層を含むことができる。第1の層は第1の可塑剤を含むことができる。第2の層は、第1の層に隣接することができ、セルロース繊維を含むことができる。第3の層は、第2の層に隣接することができ、第2の可塑剤を含むことができる。不織布材料は約10%未満のダスト含有率を有することができる。
【0016】
ある実施形態において、第1及び第3の層は結合剤を更に含むことができる。
【0017】
ある実施形態において、第1及び第2の可塑剤はポリエチレングリコールを含むことができる。特定の実施形態において、第1及び第2の可塑剤はポリエチレングリコール400を含むことができる。
【0018】
本開示は多層エアレイド不織布材料を提供する。不織布材料は第1の層及び第2の層を含むことができる。第1の層は可塑剤を含むことができる。第2の層は、第1の層に隣接することができ、セルロース繊維及び結合剤を含むことができる。不織布材料は約10%未満のダスト含有率を有することができる。
【0019】
ある実施形態において、不織布材料は、第2の層に隣接し可塑剤を含む第3の層を更に含むことができる。
【0020】
ある実施形態において、第1及び第3の層の可塑剤はポリエチレングリコールを含むことができる。
【0021】
ある実施形態において、可塑剤は、不織布材料の総質量に対して約1%~約2%の量で存在する。
【0022】
前述では、以下の詳細な記載がよりよく理解され得るように本出願の特色及び技術的な利点を広く概説した。
【0023】
本出願の特許請求の範囲の主題を形成する、本出願の追加の特色及び利点は、以下に記載される。開示される概念及び特定の実施形態が、本出願の同一の目的を実行するための他の構造体を修飾又は設計する基礎として容易に利用され得ることは当業者に認識されるべきである。また、そのような等価構造が、添付された特許請求の範囲において述べられる本出願の趣旨及び範囲から逸脱しないことも当業者によって了解されるべきである。本出願の特徴であると考えられる新規の特色は、その構成及び操作の方法の両方に関して、更なる対象及び利点と一緒に、以下の記載から一層よく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例1において提供されるある非限定的な実施形態に従って調製された低ダストラテックス結合エアレイド(LBAL)不織布材料(構造体1A-1B)のダスト試験結果を描写する。
【
図2】実施例2において提供されるある非限定的な実施形態に従って調製された低ダスト熱的結合エアレイド(TBAL)不織布材料(構造体2A-2B)のダスト試験結果を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の主題は、低いダスト又は毛羽含有率を有する新規の不織布材料、及びそれを製造する方法を提供する。本開示の不織布材料は、処理される繊維を含むウェブ構造体を形成する前に可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール)で処理されたセルロース質繊維、又は不織布成形プロセス時に繊維ウェブに可塑剤を適用することによるセルロース質繊維を含み、驚いたことに、有利なことに低いダスト又は毛羽含有率を有するエアレイド不織布材料をもたらす。本開示の主題のこれら及び他の態様は、詳細な説明及び実施例で更に論じられる。
【0026】
定義
本明細書において使用される用語は、一般にこの主題の文脈内で、また各用語が使用される特定の文脈中で、当業界で通常の意味を有する。ある用語は、本開示の主題の組成物及び方法、並びにそれを製造し使用する方法を説明する際の、追加の手引きを提供するために以下に定義される。
【0027】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、文脈上明記されない限り、複数の指示物も含む。したがって、例えば、「化合物」に対する言及は、化合物の混合物を含む。
【0028】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定されるとおりの特定の値について許容できる誤差範囲内を意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち、測定システムの限界に一部依存する。例えば、「約」は、当業界の慣行に従って、3又は3を超える標準偏差以内を意味し得る。代替として、「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、より好ましくは更に最大1%の範囲を意味し得る。代替として、特にシステム又は方法に関して、この用語は、値の桁1つの範囲内、好ましくは5倍の範囲内、より好ましくは2倍の範囲内を意味し得る。
【0029】
本明細書において使用される場合の用語「坪量」は、所与の面積にわたる化合物の質量による量を指す。測定単位の例としては、頭字語「gsm」によって特定される1平方メートル当たりグラムを含む。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語「セルロース」又は「セルロース質」は、特異的に少なくとも50質量パーセントのセルロース又はセルロース誘導体を含む、主成分としてセルロースを有する任意の材料を含む。したがって、この用語は、綿、通常の木材パルプ、酢酸セルロース、レーヨン、熱化学木材パルプ、化学木材パルプ、脱結合化学木材パルプ、トウワタのフロス、微結晶性セルロース、ミクロフィブリル化セルロース等を含む。
【0031】
本明細書において使用される場合、語句「化学変性」とは、繊維に関して使用される場合には、繊維が多価金属含有化合物を用いて処理されてそれに結合した多価金属含有化合物を含む繊維を生成することを意味する。化合物が繊維と化学的に結合することは必要でないが、化合物が繊維の通常の取扱い中に繊維から移動しないように、コーティング、接着、沈殿又は任意の他の機構によって繊維と近接して会合したままであることが好ましい。特に、化合物は、液体で濡れるか又は洗浄された場合ですら繊維と会合したままでいることができる。便宜上、繊維と化合物の間の会合は、結合と称することができ、その化合物は繊維と結合していると言うことができる。
【0032】
本明細書において使用される場合、「ダスト(dust)」又は「ダストが多い(dusty)」という用語は、物質の粒子又はそのような粒子を含む材料を指し、微粒子を含み得る。
【0033】
本明細書において使用される場合、「繊維」又は「繊維質」という用語は、そのような粒状材料の直径に対する長さの比が約10より大きい粒状材料を指す。逆に「非繊維」又は「非繊維質」材料は、そのような粒状物質の直径に対する長さの比が約10以下である粒状材料を指すことを意味する。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「毛羽(lint)」は、殊に加工時に材料の表面から分離するダスト又は短く細かい繊維を指す。
【0035】
本明細書において使用される場合、「不織布」は、テキスタイル又はプラスチックを含むがこれらに限定されない材料の種類を指す。不織布は、繊維、フィラメント、溶融プラスチック、又は機械的、熱的若しくは化学的に一緒に結合したプラスチック製フィルムでできたシート又はウェブの構造体である。不織布は、織り又は編みに必要なヤーン調製なしで、繊維のウェブから直接に作られた生地である。不織布では、繊維の集合体は、以下の1つ又は複数によって、すなわち、(1)ランダムウェブ若しくはマット中での機械的インターロッキングによって;(2)熱可塑性繊維の場合でのように繊維の融合によって;又は(3)天然若しくは合成樹脂等の接合媒体による結合によって一緒に保持される。
【0036】
本明細書において使用される場合、用語「質量パーセント」とは、(i)材料層の質量百分率としての材料中の構成要素/成分の質量による量;又は(ii)最終の不織布材料又は製品の質量百分率としての材料中の構成要素/成分の質量による量のいずれかを指すことを意味する。
【0037】
繊維
本開示の主題の不織布材料は、繊維を含む。繊維は、天然繊維、合成繊維又はこれらの混合物であってもよい。ある実施形態において、繊維は、セルロース系繊維、1種若しくは複数の合成繊維又はこれらの混合物であってもよい。特定の実施形態において、セルロース繊維は、1種又は複数の可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール)を用いて前処理することができる。
【0038】
セルロース繊維
任意の天然起源のセルロース繊維、例えば、木材パルプ又は再生セルロースに由来するものを含む、当業界で公知のいずれのセルロース繊維もセルロース質層に使用することができる。ある実施形態において、セルロース繊維は、軟材、硬材又は綿花リンターに由来する、クラフト繊維、予備加水分解クラフト繊維、ソーダ繊維、亜硫酸塩繊維、化学熱機械繊維、及び熱機械処理繊維等の消化繊維を含むが、これらに限定されない。他の実施形態において、セルロース繊維は、予備加水分解クラフト消化繊維を含むクラフト消化繊維を含むがこれらに限定されない。本主題における使用に適したセルロース繊維の非限定的な例は、軟材、例えば、マツ、モミ及びエゾマツに由来するセルロース繊維である。他の適切なセルロース繊維は、エスパルトグラス、バガス、ケンプ、亜麻、ヘンプ、ケナフ並びに他の木質及びセルロース質繊維源に由来するものを含むがこれらに限定されない。適切なセルロース繊維は、商標FOLEY FLUFFS(登録商標)(Buckeye Technologies Inc.社、Memphis, Tenn.)の下で販売されている漂白クラフト南方マツ繊維を含むがこれらに限定されない。更に、商標CELLU TISSUE(登録商標)(例えば、Grade 3024)(Clearwater Paper Corporation社、Spokane、Wash.)の下で販売されている繊維は、本開示の主題のある態様で用いられる。
【0039】
本開示の主題の不織布材料としては、南方軟材クラフト(例えば、GP Cellulose社製Golden Isles(登録商標)4725)又は南方軟材フラッフパルプ(例えば、Treated FOLEY FLUFFS(登録商標))、北方軟材亜硫酸塩パルプ(例えば、Weyerhaeuser社製T730)、又は硬材パルプ(例えば、ユーカリ)を含むがこれらに限定されない、市販ブライトフラッフパルプも挙げることができるが、これに限定されない。ある実施形態において、不織布材料はユーカリ繊維(Suzano社、未処理)を含むことができる。ある種のパルプは、様々な要因に基づいて好ましくあり得るが、いずれの吸収性フラッフパルプ又はその混合物も使用することができる。ある実施形態において、木材セルロース、綿花リンターパルプ、化学変性セルロース、例えば、架橋セルロース繊維及び高度精製セルロース繊維を使用することができる。更なるパルプの非限定的な例は、FOLEY FLUFFS(登録商標)FFTAS(またFFTAS又はBuckeye Technologies FFT-ASパルプとしても知られる)及びWeyco CF401である。
【0040】
ある実施形態において、ある軟材繊維等の細かい繊維を使用することができる。パルプの繊維粗度性を含む、そのような細かい繊維のある非限定的な例としては、Watson, P.ら、Canadian Pulp Fibre Morphology: Superiority and Considerations for End Use Potential、The Forestry Chronicle、85巻3号、401-408頁、2009年5月/6月を参照して下のTable I(表1)に提供される。
【0041】
【0042】
ある実施形態において、ある硬材繊維等の細かい繊維を使用することができる。パルプの繊維粗度性を含む、そのような細かい繊維のある非限定的な例としては、Horn, R.、Morphology of Pulp Fiber from Hardwoods and Influence on Paper Strength, Research Paper FPL 312、Forest Products Laboratory、U.S. Department of Agriculture(1978) and Bleached Eucalyptus Kraft Pulp ECF Technical Sheet(2017年4月)(以下から入手可能: https://www.metsafibre.com/en/Documents/Data-sheets/Cenibra-euca-Eucalyptus.pdf)を少なくとも部分的に参照してTable II(表2)に提供される。特定の実施形態において、ユーカリパルプ(Sunzano社、未処理)を使用することができる。
【0043】
【0044】
他の適切なタイプのセルロース繊維は、化学変性セルロース繊維を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、変性セルロース繊維は架橋セルロース繊維である。米国特許第5,492,759号、米国特許第5,601,921号、及び米国特許第6,159,335号は、それらのすべてが参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、本開示の主題の実施に有用な化学的処理セルロース繊維に関する。ある実施形態において、変性セルロース繊維はポリヒドロキシ化合物を含む。ポリヒドロキシ化合物の非限定的な例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、及び完全加水分解ポリ酢酸ビニルが挙げられる。ある実施形態において、繊維は、多価陽イオン含有化合物で処理される。一実施形態において、多価陽イオン含有化合物は、未処理繊維の乾燥質量に対して約0.1質量パーセント~約20質量パーセントの量で存在する。特定の実施形態において、多価陽イオン含有化合物は、多価金属イオン塩である。ある実施形態において、多価陽イオン含有化合物は、アルミニウム、鉄、スズ、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。遷移金属塩を含む任意の多価金属塩が使用されてもよい。適切な多価金属の非限定的な例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム及びスズが挙げられる。好ましいイオンとしては、アルミニウム、鉄及びスズが挙げられる。好ましい金属イオンは、+3又は+4の酸化状態を有する。多価金属イオンを含む任意の塩が用いられてもよい。上記金属の適切な無機塩の非限定的な例としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、窒化物、過塩素酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、アルコキシド、フェノキシド、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩が挙げられる。上記金属の適切な有機塩の非限定的な例としては、ギ酸塩、酢酸塩、酪酸塩、ヘキサン酸塩、アジピン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、グリシン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、グルタミン酸塩、オクタン酸塩、安息香酸塩、グルコン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、及び4,5-ジヒドロキシ-ベンゼン-1,3-ジスルホン酸塩が挙げられる。多価金属塩に加えて、上記塩の錯体等の他の化合物としては、アミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DIPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、2,4-ペンタンジオン、及びアンモニアを含むがこれらに限定されない。
【0045】
一実施形態において、セルロースパルプ繊維は、未変性パルプ繊維より本質的に圧縮性になるように軟化又は可塑化された化学変性セルロースパルプ繊維である。可塑化パルプウェブに印加される同じ圧力は、未変性パルプウェブに印加される場合より高い密度をもたらす。更に、可塑化セルロース繊維の高密度化ウェブは、同じ木材タイプの未変性繊維の同様の密度のウェブより本質的に軟らかい。軟材パルプは、繊維内会合を破壊するために脱結合剤として陽イオン界面活性剤を使用してより圧縮性にされてもよい。1種又は複数の脱結合剤の使用により、エアレイドプロセスにおけるパルプシートのフラッフ中への崩壊が促進される。脱結合剤の例としては、限定されないが、米国特許第4,432,833号、米国特許第4,425,186号、及び米国特許第5,776,308号に開示されたものが挙げられ、それらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。脱結合剤処理セルロースパルプの一例は、FFLE+である。ウェットレイドシートの形成前にパルプスラリーに添加することができる、セルロース用の可塑剤も、パルプを軟化するために使用することができるが、それらは、脱結合剤と異なる機構で作用する。可塑剤は、繊維内で、セルロース分子に作用して、非晶質領域を可撓性にするか、又は軟化する。得られる繊維は、柔軟と特性評価される。可塑化繊維は剛性を欠くので、この粉砕パルプは、可塑剤で処理されない繊維と比較して高密度化することがより容易である。可塑剤は、グリセリン等の多価アルコール、ポリエチレングリコール等の低分子量ポリグリコール、ポリヒドロキシ化合物、ソルビトール、エチレングリコール及びエタノールアミンを含むが、これらに限定されない。これらの及び他の可塑剤は、米国特許第4,098,996号、米国特許第5,547,541号、及び米国特許第4,731,269号に記載及び例示されており、それらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例であり、限定されないが、可塑剤は、ポリエチレングリコール100(PEG 100)、ポリエチレングリコール200(PEG 200)、ポリエチレングリコール300(PEG 300)、ポリエチレングリコール400(PEG 400)、ポリエチレングリコール600(PEG 600)又はポリエチレングリコール1000(PEG 1000)であってもよい。アンモニア、尿素及びアルキルアミンも、セルロースを主として含む木材製品を可塑化すると知られている(A. J. Stamm, Forest Products Journal 5(6):413頁、1955年、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0046】
特定の実施形態において、本開示の不織布材料は、ポリエチレングリコール、例えば、Carbowax Sentry Polyethylene Glycol 400 NF(The Dow Chemical Company社製)等の可塑剤を用いて前処理されたセルロース繊維を含むことができる。可塑剤は、例えば、約1%~約2%の溶液に希釈し、セルロース繊維に噴霧することができる。特定の実施形態において、セルロース繊維に対する合計の可塑剤付加は、周囲のパルプシート質量に対して約0.01%~約10%、約0.1%~約10%、約1%~約5%、約2%~約4%又は約1%~約3%であってもよい。特定の実施形態において、セルロース繊維に対する合計の可塑剤付加は、周囲のパルプシート質量に対して約0.01%、約0.1%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%又は約10%であってもよい。
【0047】
本開示の主題の特定の実施形態において、以下のセルロースが使用される:
【0048】
Golden Isle 4725、半処理パルプ(Georgia-Pacific社から入手可能);Golden Isle 4725、Georgia Pacific社、Leaf Riverからの半処理パルプ(1%のCarbowax Sentry Polyethylene Glycol 400 NFで処理された);Eucafluff(Suzano Pulp社から入手可能);Paper S.A. Eucafluff(Suzano Pulp社から入手可能な漂白されたEuculyptusクラフトフラッフパルプ)。本開示の不織布材料はセルロース繊維を含むことができる。ある実施形態において、不織布材料の1つ又は複数の層は約50%~約95%、約65%~約95%、約70%~約90%又は約75%~約85%のセルロース繊維を含むことができる。ある実施形態において、不織布材料の1つ又は複数の層は、約65%、約75%、約85%又は約95%のセルロース繊維を含むことができる。
【0049】
合成繊維
セルロース繊維の使用に加えて、本開示の主題はまた、合成繊維の使用も企図する。一実施形態において、合成繊維は、二成分及び/又は一成分繊維を含む。コア及びシースを有する二成分繊維は、当業界で公知である。多くの種類、特にエアレイド技法での使用のために製造されたものが、不織布材料の製作で使用される。本開示の主題における使用に適した様々な二成分繊維が、米国特許第5,372,885号及び米国特許第5,456,982号に開示されており、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。二成分繊維製造業者の例としては、Trevira社(Bobingen、Germany)、Fiber Innovation Technologies社(Johnson City、TN)及びES Fiber Visions社(Athens。GA)を含むがこれらに限定されない。
【0050】
二成分繊維は、それらのコア及びシース成分として様々なポリマーを組み込むことができる。PE(ポリエチレン)又は変性PEシースを有する二成分繊維は、典型的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)又はPP(ポリプロピレン)コアを有する。一実施形態において、二成分繊維は、ポリエステルから作られたコア及びポリエチレンから作られたシースを有する。別の実施形態において、二成分繊維は、ポリプロピレンから作られたコア及びポリエチレンから作られたシースを有する。
【0051】
二成分繊維のデニールは、好ましくは約1.0dpf~約4.0dpf、より好ましくは約1.5dpf~約2.5dpfの範囲である。二成分繊維の長さは、約3mm~約36mm、好ましくは約3mm~約12mm、より好ましくは約3mm~約10mmであってもよい。特定の実施形態において、二成分繊維の長さは、約4mm~約8mm、又は約6mmである。特定の実施形態において、二成分繊維は、ポリエステルコアと無水マレイン酸で変性されたポリエチレンシースとを含むTrevira社 T255である。T255は、様々なデニール、切断長さ及びコアシースの構成で製造されており、好ましい構成は、約1.7dpf~2.0dpfのデニール及び約4mm~12mmの切断長さ及び同心コアシースの構成を有する。具体的な実施形態において、二成分繊維はTrevira社 1661、T255、2.0dpf及び6mmの長さである。
【0052】
二成分繊維は、典型的には、溶融紡糸によって商業的に作製される。この手順において、各溶融ポリマーは、ダイ、例えば、紡糸口金を通して押し出され、その後、溶融ポリマーを引張って、それを紡糸口金の面から取り出す。これに、周囲の流体媒体、例えば冷却空気への伝熱によるポリマーの固化、次には固体のフィラメントの巻取りが続く。溶融紡糸後の更なる工程の非限定的な例としては、高温延伸又は冷延伸、熱処理、捲縮及び切断も挙げることができる。この全体的な製作プロセスは、一般に最初にフィラメントの紡糸及び多数のフィラメントを含むトウへのそれらの集束を伴う不連続2工程プロセスとして行われる。紡糸工程中に、溶融ポリマーが紡糸口金の面から引き離されるときに、フィラメントのいくらかの延伸がまさに起こり、これはまたドローダウンとも呼ばれ得る。これに第2の工程が続き、ここで、紡糸された繊維は、延伸又は伸張されて、分子整列及び結晶性を増加させ、個別のフィラメントに増強された強度及び他の物理的特性を与える。その後の工程は、熱固定、捲縮及び繊維へのフィラメントの切断を含むことができるが、これらに限定されない。延伸又は伸張工程は、コア及びシースが含まれる材料並びに延伸又は伸張プロセス中に用いられる条件に依存して、二成分繊維のコア、二成分繊維のシース、又は二成分繊維のコアとシースの両方の延伸を伴い得る。
【0053】
二成分繊維は、紡糸及び延伸が連続プロセスで行われる連続プロセスで形成することもできる。繊維製作プロセスの間に、プロセス中の様々なその後の工程で、溶融紡糸工程後の繊維に様々な材料を添加することが望ましい。これらの材料は、「仕上げ」と称することができ、活性剤、例えば、潤滑剤及び帯電防止剤を含むがこれらに限定されない。仕上げは、典型的には水性系溶液又は乳剤によって供給される。仕上げは、例えば、エアレイド又はウェットレイドプロセスにおいて、二成分繊維の製作と、繊維の使用者の両方のための望ましい特性を与えることができる。
【0054】
多数の他のプロセスが、紡糸及び延伸工程の前、間及び後に含まれ、米国特許第4,950,541号、米国特許第5,082,899号、米国特許第5,126,199号、米国特許第5,372,885号、米国特許第5,456,982号、米国特許第5,705,565号、米国特許第2,861,319号、米国特許第2,931,091号、米国特許第2,989,798号、米国特許第3,038,235号、米国特許第3,081,490号、米国特許第3,117,362号、米国特許第3,121,254号、米国特許第3,188,689号、米国特許第3,237,245号、米国特許第3,249,669号、米国特許第3,457,342号、米国特許第3,466,703号、米国特許第3,469,279号、米国特許第3,500,498号、米国特許第3,585,685号、米国特許第3,163,170号、米国特許第3,692,423号、米国特許第3,716,317号、米国特許第3,778,208号、米国特許第3,787,162号、米国特許第3,814,561号、米国特許第3,963,406号、米国特許第3,992,499号、米国特許第4,052,146号、米国特許第4,251,200号、米国特許第4,350,006号、米国特許第4,370,114号、米国特許第4,406,850号、米国特許第4,445,833号、米国特許第4,717,325号、米国特許第4,743,189号、米国特許第5,162,074号、米国特許第5,256,050号、米国特許第5,505,889号、米国特許第5,582,913号、及び米国特許第6,670,035号に開示されており、これらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
本開示の主題はまた、様々な程度の延伸又は伸張によって部分延伸される二成分繊維、高度延伸二成分繊維、及びこれらの混合物も含む物品を含むことができるが、これらに限定されない。これらは、Trevira社 T255(Bobingen、Germany)等のポリエチレンシースを特異的に含む様々なシース材料を有する高延伸されたポリエステルコア二成分繊維、又はES FiberVisions社 AL-Adhesion-C(Varde, 、Denmark)等のポリエチレンシースを特異的に含む様々なシース材料を有する高延伸されたポリプロピレンコア二成分繊維を含むことができるが、これらに限定されない。更に、ポリブチレンテレフタレート(PBT)でできたコアを有する部分延伸コアとポリエチレンでできたシースとを有するTrevira社 T265 二成分繊維(Bobingen、Germany)を使用することができる。同じ構造体における部分延伸と高延伸の二成分繊維両方の使用は、それらが構造体中に組み込まれる仕方に基づいて具体的な物理的及び性能の性質を満たすように活用することができる。
【0056】
本開示の主題の二成分繊維は、いずれの部分延伸コア二成分繊維も伸び及び強度に関して増強された性能を与えることができるので、コア又はシースのいずれかについて範囲が任意の特定のポリマーに限定されるわけではない。部分延伸二成分繊維が延伸される程度は、異なる延伸度が性能の異なる増強をもたらすので、範囲は限定されない。部分延伸二成分繊維の範囲は、同心、偏心、並列、海島、パイ分割及び他の変形を含むがこれらに限定されない様々なコアシース構成を有する繊維を包含する。全繊維のコア及びシース成分の相対質量パーセントは、変えることができる。加えて、本主題の範囲は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン及び他の溶融紡糸可能なポリマー等の部分延伸ホモポリマーの使用に及ぶ。本主題の範囲はまた、繊維構造体の部分として3種以上のポリマーを有し得る多成分繊維に及ぶ。
【0057】
本開示の不織布材料は二成分繊維を含むことができる。ある実施形態において、本開示の不織布材料は、高コア二成分繊維を含むことができる。高コア二成分繊維は、1:1を超えるコア対シースの比を有し、すなわち、高コア二成分繊維は50質量%を超えるコアを含む。ある実施形態において、本開示の不織布材料は、Trevira Type 255;1.7 dtex;6mm;30%PE/70% PETを含むことができる。ある実施形態において、不織布材料の1つ又は複数の層は、約0%~約35%、約1%~約34%、約5%~約30%又は約10%~約25%の二成分の成分を含むことができる。特定の実施形態において、不織布材料の1つ又は複数の層は、約0%、約1%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%又は約25%の二成分繊維を含むことができる。
【0058】
特定の実施形態において、二成分繊維は、約0.5dtex~約20dtexの範囲の低dtexステープル二成分繊維である。ある実施形態において、dtex値は、約1.3dtex~約15dtex、約1.5dtex~約10dtex、約1.7dtex~約6.7dtex、又は約2.2dtex~約5.7dtexの範囲であってもよい。ある実施形態において、dtex値は、約1.3dtex、約1.5dtex、約1.7dtex、約2.2dtex、約3.3dtex、約5.7dtex、約6.7dtex、又は約10dtexであってもよい。
【0059】
繊維又は二成分結合剤繊維として様々な実施形態において使用するのに適している他の合成繊維は、様々なポリマーから製造された繊維を含むがこれらに限定されず、例として、また限定されずに、以下を含む:アクリル、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン12、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸を含むがこれらに限定されない)、ポリアミン、ポリイミド、ポリアクリル(ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、メタクリル酸及びアクリル酸のエステルを含むがこれらに限定されない)、ポリカルボネート(ポリ炭酸ビスフェノールA、ポリ炭酸プロピレンを含むがこれらに限定されない)、ポリジエン(ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリノルボルネンを含むがこれらに限定されない)、ポリエポキシド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリプロピレンスクシネートを含むがこれらに限定されない)、ポリエーテル(ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリブチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレン(パラホルムアルデヒド)、ポリテトラメチレンエーテル(ポリテトラヒドロフラン)、ポリエピクロルヒドリンを含むがこれらに限定されない)、ポリフルオロカーボン、ホルムアルデヒドポリマー(尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒドを含むがこれらに限定されない)、天然ポリマー(セルロース質、キトサン、リグニン、ワックスを含むがこれらに限定されない)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリオクテンを含むがこれらに限定されない)、ポリフェニレン(ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテルスルホンを含むがこれらに限定されない)、ケイ素含有ポリマー(ポリジメチルシロキサン、ポリカルボメチルシランを含むがこれらに限定されない)、ポリウレタン、ポリビニル(ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのエステル及びエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリビニルメチルケトンを含むがこれらに限定されない)、ポリアセタール、ポリアリレート、及びコポリマー(ポリエチレン-co-酢酸ビニル、ポリエチレン-co-アクリル酸、ポリブチレンテレフタレート-co-ポリエチレンテレフタレート、ポリラウリルラクタム-block-ポリテトラヒドロフランを含むがこれらに限定されない)、ポリブチレンスクシネート及びポリ乳酸系ポリマー。
【0060】
具体的な実施形態において、合成繊維層は、約1.2~約20dtexの範囲の高dtexステープル繊維を含む。ある実施形態において、dtex値は、約1.2dtex~約15dtex、又は約2dtex~約10dtexの範囲であってもよい。特定の実施形態において、繊維は、約6.7dtexのdtex値を有することができる。
【0061】
他の具体的な実施形態において、合成層は合成フィラメントを含む。合成フィラメントは、紡糸及び/又は押出しプロセスによって形成することができる。例えば、このようなプロセスは、溶融紡糸プロセスに関して上に記載された方法と同様であってもよい。合成フィラメントは1種又は複数の連続ストランドを含み得る。ある実施形態において、合成フィラメントはポリプロピレンを含むことができる。
【0062】
可塑剤
本開示の主題の不織布材料は、1種又は複数の可塑剤を更に含むことができる。ある実施形態において、1種又は複数の可塑剤はポリエチレングリコールを含むことができる。特定の実施形態において、1種又は複数の可塑剤は、成形プロセス時に不織布材料に適用することができる。
【0063】
可塑剤は、グリセリン等の多価アルコール、ポリエチレングリコール等の低分子量ポリグリコール、ポリヒドロキシ化合物、ソルビトール、エチレングリコール、及びエタノールアミンを含むが、これらに限定されない。これらの及び他の可塑剤は、米国特許第4,098,996号、米国特許第5,547,541号及び米国特許第4,731,269号に記載及び例示されており、それらのすべてはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。例であり限定されないが、可塑剤は、ポリエチレングリコール100(PEG 100)、ポリエチレングリコール200(PEG 200)、ポリエチレングリコール300(PEG 300)、ポリエチレングリコール400(PEG 400)、ポリエチレングリコール600(PEG 600)、ポリエチレングリコール1000(PEG 1000)、又はより高分子量のポリエチレングリコールであってもよい。アンモニア、尿素及びアルキルアミンも、セルロースを主として含む木材製品を可塑化すると知られている(A. J. Stamm, Forest Products Journal 5(6):413頁、1955年、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0064】
ある実施形態において、可塑剤は溶液として添加することができる。例であり限定されないが、10%の溶液の可塑剤を不織布材料に添加することができる。
【0065】
本開示の不織布材料は、約0.1gsm~約10gsm、約0.4gsm~約5gsm又は約0.5gsm~約1.5gsmの量の1種又は複数の可塑剤を含むことができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約0.4gsm、0.52gsm、0.7gsm又は約1.4gsmの量の1種又は複数の可塑剤を含むことができる。可塑剤は、本開示の不織布材料中に、構造体全体の約0.5%~約5%、又は約1%~約2%の量で含まれてもよい。特定の実施形態において、不織布材料は、構造体全体の少なくとも約0.8%、少なくとも約1%、約1%又は約2%の量の可塑剤を含むことができる。可塑剤は、繊維質層の1つの面、好ましくは外部に面する層に適用することができる。代替として、可塑剤は、層の両面に同じ又は不均一な量で適用することができる。ある実施形態において、可塑剤は、不織布材料の少なくとも1つの外側表面に適用することができる。
【0066】
結合剤
適切な結合剤は、液体結合剤及び粉末結着剤を含むがこれらに限定されない。液体結合剤の非限定的な例としては、結合剤の乳剤、溶液又は懸濁液が挙げられる。結合剤の非限定的な例としては、ポリエチレン粉末、コポリマー結合剤、酢酸ビニルエチレン結合剤、スチレン-ブタジエン結合剤、ウレタン、ウレタン系結合剤、アクリル結合剤、熱可塑性結合剤、天然ポリマー系結合剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
適切な結合剤としては、Wacker Vinnol 4500, Vinnol 4514及びVinnol 4530等の塩化ビニル含有コポリマー、Wacker社 Vinnapas 192、Wacker社 Vinnapas EF 539、Wacker社 Vinnapas EP907、Wacker社 Vinnapas EP129, Celanese社 Duroset El30、Celanese社 Dur-O-Set Elite 130 25-1813、及びCelanese社 Dur-O-Set TX-849, Celanese社 75-524A等の安定剤を有し得る酢酸ビニルエチレン(「VAE」)コポリマーを含むコポリマー、Wacker社 Vinac 911等のポリビニルアルコール-ポリ酢酸ビニルブレンド、酢酸ビニルホモポリマー、BASF社 Luredur等のポリビニルアミン、アクリル樹脂、陽イオン性アクリルアミド、Bercon Berstrength 5040及びBercon Berstrength 5150等のポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、National Starch社 CATO RTM 232、National Starch社 CATO RTM 255、National Starch社 Optibond、National Starch社 Optipro又はNational Starch社 OptiPLUS等のデンプン、グアーガム、スチレン-ブタジエン、ウレタン、ウレタン系結合剤、熱可塑性結合剤、アクリル結合剤、並びにHercules社 Aqualon CMC等のカルボキシメチルセルロースを含むがこれらに限定されない。ある実施形態において、結合剤は天然ポリマー系結合剤である。天然ポリマー系結合剤の非限定的な例としては、デンプン、セルロース、キチン及び他の多糖類に由来するポリマーが挙げられる。
【0068】
ある実施形態において、結合剤は水溶性である。一実施形態において、結合剤は酢酸ビニルエチレンコポリマーである。そのようなコポリマーの1つの非限定的な例はEP907(Wacker Chemicals社、Munich、Germany)である。Vinnapas EP907は、陰イオン界面活性剤である約0.75質量%のAerosol OT(Cytec Industries社、West Paterson、N.J.)を組み込んで約10%固体の水準で適用することができる。ある実施形態において、Vinnapas 192は、約0.08質量%のAerosol OT 75(Cytec Industries社、West Paterson、N.J.)を組み込んで約15%の水準で適用することができる。
【0069】
スチレン-ブタジエン及びアクリル結合剤等の他のクラスの液体結合剤も使用することができる。その内容が本明細書において参照によってその全体で組み込まれる米国特許第5,281,306号に記載されているように、カルボキシル基を含む水溶性結合剤は、多糖誘導体、合成高分子及び天然物質を含むことができる。適切な天然の水溶性結合剤の非限定的な例は、アルギン酸、キサンタンガム、アラビアガム、トラガカントガム及びペクチンである。
【0070】
ある実施形態において、結合剤は水溶性ではない。これらの結合剤の例としては、限定されないが、Vinnapas 124及び192(Wacker社)が挙げられ、これらは、乳剤中に分散された二酸化チタンを含むがこれらに限定されない乳白剤及び漂白剤を有することができる。他の結合剤としては、Celanese Emulsions社(Bridgewater、N.J.)DUR-O-SET(登録商標)Elite 22 DUR-O-SET(登録商標) 909及びElite 33を含むがこれらに限定されない。
【0071】
ある実施形態において、結合剤は熱可塑性結合剤である。そのような熱可塑性結合剤としては、セルロース繊維を大きくは損なわない温度で溶融させることができる任意の熱可塑性ポリマーを含むがこれらに限定されない。好ましくは、熱可塑性結合材料の融点は、約175℃未満である。適当な熱可塑性材料の例としては、熱可塑性結合剤及び熱可塑性粉末の懸濁液を含むがこれらに限定されない。特定の実施形態において、熱可塑性結合材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル及び/又はポリ塩化ビニリデンであってもよい。
【0072】
結合剤は非架橋性、又は架橋性であることができる。ある実施形態において、結合剤は、HB Fuller社により供給されるWD4047ウレタン系結合剤溶液である。一実施形態において、結合剤は、Michelman社により供給されるエチレンアクリル酸(「EAA」)のMichem Prime 4983-45N分散体である。ある実施形態において、結合剤は、Celanese Emulsions社(Bridgewater、N.J.)によって供給されるVAE結合剤のDur-O-Set Elite 22LV乳剤である。上で述べたように、特定の実施形態において、結合剤は架橋性である。架橋性結合剤は、恒久的湿潤強度結合剤としても公知であることも理解される。恒久的湿潤強度結合剤としては、Kymene(登録商標)(Hercules Inc.社、Wilmington、Del.)、Parez(登録商標)(American Cyanamid Company社、Wayne、N.J.)、Wacker社 Vinnapas又はAF192(Wacker Chemie AG社、Munich、Germany)等を含むが、これらに限定されない。様々な恒久的湿潤強度剤が、米国特許第2,345,543号、米国特許第2,926,116号、及び米国特許第2,926,154号に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の恒久的湿潤強度結合剤としては、ポリアミン-エピクロロヒドリン、ポリアミドエピクロロヒドリン、又はポリアミド-アミンエピクロロヒドリン樹脂を含むが、これらに限定されず、これらは集合的に「PAE樹脂」と称される。非限定的な例示の恒久的湿潤強度結合剤は、Kymene 557H又はKymene 557LX(Hercules Inc.社、Wilmington、Del.)を含み、米国特許第3,700,623号及び米国特許第3,772,076号に記載され、これらは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0073】
代替として、ある実施形態において、結合剤は一時的湿潤強度結合剤である。一時的湿潤強度結合剤は、Hercobond(登録商標)(Hercules Inc.社、Wilmington、Del.)、Parez(登録商標) 750(American Cyanamid Company社、Wayne、N.J.)、Parez(登録商標) 745(American Cyanamid Company社、Wayne、N.J.)等を含むが、これらに限定されない。他の適切な一時的湿潤強度結合剤としては、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンイミン、マンノガラクタンガム、グリオキサール及びジアルデヒドマンノガラクタンを含むが、これらに限定されない。他の適切な一時的湿潤強度剤は、米国特許第3,556,932号、米国特許第5,466,337号、米国特許第3,556,933号、米国特許第4,605,702号、米国特許第4,603,176号、米国特許第5,935,383号及び米国特許第6,017,417号に記載され、これらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
ある実施形態において、結合剤は可塑剤を含む。可塑剤は、グリセリン等の多価アルコール;ポリエチレングリコール等の低分子量ポリグリコール及びポリヒドロキシ化合物を含むが、これらに限定されない。これらの及び他の可塑剤は、米国特許第4,098,996号、米国特許第5,547,541号及び米国特許第4,731,269号に記載及び例示されており、それらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例であり限定されないが、可塑剤は、ポリエチレングリコール100(PEG 100)、ポリエチレングリコール200(PEG 200)、ポリエチレングリコール300(PEG 300)又はポリエチレングリコール400(PEG 400)であってもよい。アンモニア、尿素及びアルキルアミンも、主としてセルロースを含む木材製品を可塑化すると知られている(A. J. Stamm, Forest Products Journal 5(6):413頁、1955年、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0075】
本開示の主題の特定の実施形態において、以下の結合剤が使用される:Vinnapas 192(Wacker社)13.5%、0.033gsmの界面活性剤Aerosol OT 75(Cytec Industries社)を含む;Vinnapas 192(Wacker社)25%、0.05gsmの界面活性剤Aerosol OT 75(Cytec Industries社)を含む;Wacker Chemie AG社 VINNAPAS(登録商標)192(13.5%又は15%の固形分);1.6%のCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標)OT 75(結合剤の固形分に対して);0.8%のCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標)OT 75(結合剤の固形分に対して);Celanese DUR-O-SET Elite 22 (13.5%の固形分)。
【0076】
ある実施形態において、結合剤は、約1gsm~約15gsm又は約2gsm~約10gsm又は約2gsm~約8gsm又は約3gsm~約5gsmの範囲の量の乳剤として適用することができる。特定の実施形態において、結合剤は、約1gsm、約2gsm、約3gsm、約4gsm、約4.1gsm、約4.13gsm、約5gsm又は約6.5gsmの量の乳剤として適用することができる。ある実施形態において、結合剤は、約1%~約30%、約5%~約25%又は約10%~約15%の範囲の量の乳剤として適用することができる。特定の実施形態において、結合剤は、約11.8%又は約20%の付加で乳剤として適用することができる。結合剤は、繊維質層の1つの面、好ましくは外部に面する層に適用することができる。代替として、結合剤は、層の両面に同等の又は不均化した量で適用することができる。ある実施形態において、結合剤は、不織布材料の少なくとも1つの外側表面に適用することができる。
【0077】
他の添加剤
本開示の主題の不織布材料は、他の添加剤も含むことができる。例えば、不織布材料は超吸収性ポリマー(SAP)を含むことができる。本開示の主題で使用されてもよい超吸収性ポリマーのタイプは、粉末、不揃いの(irregular)顆粒、球形粒子、ステープル繊維及び他の細長い粒子等のタイプの粒状形態のSAPを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、材料は超吸収性繊維(SAF; Technical Absorbents Limited社によって製作、9 dtex、5.8 mm)を含むことができる。米国特許第5,147,343号、米国特許第5,378,528号、米国特許第5,795,439号、米国特許第5,807,916号、米国特許第5,849,211号、及び米国特許第6,403,857号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、様々な超吸収性ポリマー及び超吸収性ポリマーを製造する方法が記載されている。超吸収性ポリマー形成系の一例は、アクリル酸の金属塩と、アクリルアミド又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等の他のモノマーとの架橋アクリルコポリマーである。多くの慣用の顆粒超吸収性ポリマーは、重合中に当業界で周知の幾つかの多官能性コモノマー架橋剤のいずれかと架橋されたポリ(アクリル酸)に基づく。多官能性架橋剤の例は、米国特許第2,929,154号、米国特許第3,224,986号、米国特許第3,332,909号、及び米国特許第4,076,673号に述べられており、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、架橋カルボキシル化高分子電解質を、超吸収性ポリマーを形成するために使用することができる。他の水溶性高分子電解質ポリマーが、架橋による超吸収剤の調製に有用であることは公知であり、これらのポリマーとしては、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース、キトサン塩、ゼラチン塩等が挙げられる。しかしながら、それらは、主としてそれらの比較的高いコストのために使い捨て吸収性物品の吸収性を増強するために一般に商業的規模では使用されない。本主題の実施に有用な超吸収性ポリマー顆粒は、幾つかの製造業者、例えば、BASF社、Dow Chemical社(Midland、Mich.)、Stockhausen社(Greensboro、N.C.)、Chemdal社(Arlington Heights、Ill.)、及びEvonik社(Essen、Germany)から市販されている。SAPの非限定的な例としては、表面架橋アクリル酸系粉末、例えば、Stockhausen社 9350又はSX70、BASF社 Hysorb Fem 33、BASF社 HySorb FEM 33N、又はEvonik社 Favor SXM 7900が挙げられる。
【0078】
特定の実施形態において、SAPはデンプン系であってもよい。例えば、SAPは、K-Boost(XGF-450、Corno Cascades LLC社、Beavertown、ORによって製作されている)又はK-Boost(XGF 463、Corno Cascades LLC社、Beavertown、ORによって製作されている)を含むことができる。そのようなデンプン系SAPは生物分解性であってもよい。ある実施形態において、SAPは、高容量SAP、高速SAP又はその組合せを含むことができる。高容量SAPの特定の例は、K-Boost(XGF-450、Corno Cascades LLC社、Beavertown、ORによって製作されている)を含む。高速SAPの特定の例は、K-Boost(XGF-463、Corno Cascades LLC社(Beavertown、OR)によって製作されている)を含む。
【0079】
ある実施形態において、SAPは、構造体の総質量に対して約5%~約50%の範囲の量で層に使用することができる。ある実施形態において、SAPの含有率は、構造体の総質量に対して約0%から約30%、約0%から約15%、約5%から約25%、約5%から約15%、又は約10%から約20%の間にある。特定の実施形態において、SAPの含有率は、構造体の総質量に対して約0%、約2%、約5%、約8%、約10%、約15%、約20%、約25%又は約30%であってもよい。ある実施形態において、層中のSAPの量は、約5gsm~約50gsm、約5gsm~約25gsm、約10gsm~約50gsm、又は約12gsm~約40gsm、又は約15gsm~約25gsmの範囲であってもよい。特定の実施形態において、SAPは、約10gsm又は約20gsmの量で層中に使用することができる。
【0080】
不織布材料
本開示の主題は、低いダスト又は毛羽含有率を有する不織布材料を提供する。本明細書において具現されるように、不織布材料は、少なくとも1層、少なくとも2層又は少なくとも3層を含むことができる。特定の実施形態において、不織布材料は1層を含む。
【0081】
本明細書において具現されるように、不織布材料はエアレイド材料であってもよい。例であり限定されないが、材料は、熱的結合したエアレイド(TBAL)材料、ラテックス結合したエアレイド(LBAL)材料又は多重結合したエアレイド(MBAL)材料であってもよい。
【0082】
ある実施形態において、不織布材料は、セルロース繊維を含む単層を含むことができる。例えば、決して限定されないが、層は、セルロース繊維又は可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール)で処理されたセルロース繊維を含むことができる。層は第2のタイプのセルロース繊維を更に含むことができる。例であり限定されないが、セルロース繊維は、変性セルロース繊維、セルロースフラッフ及び/又はユーカリパルプを含むことができる。特定の実施形態において、層のセルロース繊維は、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール)で処理されたセルロース繊維のみを含むことができる。
【0083】
更なる例として、特定の実施形態において、不織布材料は、少なくとも1層がセルロース繊維を含む少なくとも2層を含むことができる。したがって、ある実施形態において、2層構造体の両層はセルロース繊維を含むことができる。代替の実施形態において、2層構造体の1層は、二成分繊維を含む他の層と共にセルロース繊維を含むことができる。
【0084】
更に、ある実施形態において、不織布材料は第2の層に隣接した第3の層を含むことができる。第3の層は場合によって、セルロース繊維を含むことができる。したがって、ある実施形態において、3層構造体の層はすべてセルロース繊維を含むことができる。各層のセルロース繊維は同一のタイプ又は異なるタイプのセルロース繊維であってもよい。ある実施形態において、不織布材料は3以下の層を含む。
【0085】
更に又は代替として、不織布材料は、その外側表面の少なくとも一部に結合剤を用いて被覆することができる。結合剤が層の一部と化学的に結合する必要はないが、層の通常の取扱い中に層から移動しないように、コーティング、接着、沈殿又は任意の他の機構によって層と近接して会合したままであることが好ましい。便宜のために、上で論じられた層と結合剤との間の会合は、結合と称することができ、化合物は層に結合されると言うことができる。存在する場合、結合剤は、約1gsm~約15gsm、又は約2gsm~約10gsm、又は約2gsm~約8gsm、又は約3gsm~約5gsmの範囲の量で適用することができる。結合剤は、繊維質層の1つの面、好ましくは外部に面する層に適用することができる。代替として、結合剤は、層の両面に同じ又は不均一な量で適用することができる。ある実施形態において、結合剤は、不織布材料の少なくとも1つの外側表面に適用することができる。
【0086】
更に又は代替として、不織布材料は、1種又は複数の可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール)の層を含むことができる。存在する場合、可塑剤は、約0.1gsm~約10gsm、約0.5gsm~約5gsm又は約0.5gsm~約1.5gsmの範囲の量を適用することができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約0.7gsm又は約1.4gsmの量の1種又は複数の可塑剤を含むことができる。可塑剤は、本開示の不織布材料において、構造体全体の約1%~約5%、又は約1%~約2%の量で含むことができる。特定の実施形態において、不織布材料は構造体全体の約2%の量の可塑剤を含むことができる。可塑剤は、繊維質層の1つの面、好ましくは外部に面する層に適用することができる。代替として、可塑剤は、層の両面に同じ又は不均一な量で適用することができる。ある実施形態において、可塑剤は、不織布材料の少なくとも1つの外側表面に適用することができる。
【0087】
特定の実施形態において、不織布材料は、セルロース繊維の第1の層を含むことができる。セルロース繊維の層は、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール)で処理されたセルロース繊維を含むことができる。特定の実施形態において、第1の層は、可塑剤で処理されたセルロース繊維のみを含むことができる。代替の実施形態において、第1の層は非処理のセルロース繊維のみを含むことができる。第1の層は、少なくとも1つの表面に結合剤を用いて被覆することができる。そのような実施形態において、第1の層は、少なくとも1つの表面に可塑剤を用いて更に被覆することができる。代替として、第1の層は、少なくとも1つの表面に可塑剤を用いて、更に、第1の層の少なくとも1つの表面に追加の結合剤を用いて被覆することができる。本開示の不織布材料は、繊維の第2の層を更に含むことができる。第2の層は、セルロース繊維、二成分繊維及びその混合物を含むことができる。特定の実施形態において、第2の層は二成分繊維のみを含む。
【0088】
ある実施形態において、不織布材料は、それぞれセルロース繊維を含む少なくとも3層を含むことができる。第1及び第3の層は同一タイプのセルロース繊維を含むことができる。特定の実施形態において、中間層は、ユーカリパルプ等の細かいセルロース繊維を含むことができる。第1の層及び第3の層は、外表面に結合剤を用いて被覆することができる。ある実施形態において、可塑剤は、不織布材料の少なくとも1つの外表面に更に適用することができる。
【0089】
全体として、不織布材料の層は、約5gsm~約100gsm、又は約30gsm~約80gsm、又は約50gsm~約75gsm、又は約50gsm~約65gsmの坪量を有することができる。特定の実施形態において、不織布材料の層は、約10gsm、約20gsm、約30gsm、約40gsm、又は約80gsmの坪量を有することができる。
【0090】
すべての層を包括する不織布材料のノギス値は、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約8.0mm、約0.1mm~約7.5mm、約0.5mm~約6.0mm、約0.5mm~約4.0mm、約1.0mm~約4.0mm又は約1.0mm~約3.5mmであってもよい。特定の実施形態において、すべての層を包括する不織布材料のノギス値は、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.83mm約0.9mm又は約1mmであってもよい。
【0091】
ある実施形態において、本開示の不織布材料は三次元の表面微細構造を有することができる。例えば、限定するためではないが、不織布材料は少なくとも1つの表面をパターン化することができる。パターニングは「尾根」及び「谷」を含むことができる。尾根は横断方向(CD)に走らせることができ、したがって、不織布材料は、縦断方向(MD)に高坪量及び低坪量の交互の領域(「尾根」と「谷」)を含むことができる。差のある坪量のパターンは、均質な坪量を全体に有する不織布材料には存在しない試料に対して、独特の性質を与えることができる。
【0092】
不織布材料の特色
本開示の不織布材料は、有利なことに低いダスト又は毛羽含有率を有する。そのような不織布材料は、適切な吸収速度及び容量特性も有することができる。本開示の不織布材料は、可塑剤を用いて前処理されたセルロース繊維を含むことができる。あるシリコーン系薬品を含むエチレン酢酸ビニル(EVA)結合剤を用いて結合したエアレイド材料の処理は、毛羽の量を低減することができる。更に、ポリエチレングリコール(PEG)の水性溶液を用いるそのようなエアレイド不織布材料の処理は、またダスト又は毛羽含有率を減少させるのに使用することができる。更に又は代替として、可塑剤を、成形プロセス時に不織布材料に添加することができる。
【0093】
本開示の不織布材料は低いダスト含有率を有することができる。ある実施形態において、本開示の不織布材料は、約0.1%~約10 %、約1%~約6%又は約2%~約5%のパーセントダスト含有率を有することができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約5.5%、約3.3%、約7.6%又は約9.2%のパーセントダスト含有率を有することができる。ある実施形態において、本開示の不織布材料は、約10%未満、約8%未満、約5%未満又は約3%未満のパーセントダスト含有率を有することができる。
【0094】
本開示の不織布材料は、約5g/g~約15g/g、約5g/g~約10g/g又は約8g/g~約12g/gの吸収容量を有することができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約8g/g、約9g/g、約10g/g、約11g/g、約12g/g、約13g/g又は約14g/gの吸収容量を有することができる。ある実施形態において、不織布材料は、少なくとも約6g/g、少なくとも約8g/g、少なくとも約10g/g、少なくとも約11g/g又は少なくとも約12g/gの吸収容量を有することができる。
【0095】
本開示の不織布材料は、約1秒~約15秒、約3秒~約10秒、約5秒~約8秒又は約2~約2.5秒の吸収速度を有することができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約1秒、約1.5秒、約2.0秒、約2.5秒、約3秒、約6秒、約7秒、約10秒、約11秒又は約14秒の吸収速度を有することができる。ある実施形態において、不織布材料は、約2秒、約4秒、約5秒、又は約10秒未満、約5秒未満若しくは約2.5秒未満の吸収速度を有することができる。
【0096】
本開示の不織布材料はパーセント繊維消失を減少させることができる。ある実施形態において、不織布材料は、約5%及び約30%、約5%及び約20%の間、又は約10%及び約20%の間の繊維消失を有することができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約12%、約13%、約14%、約15%、約15.5%、約16%、又は約17%の繊維消失を有することができる。本開示の不織布材料は低い毛羽含有率を有することができる。
【0097】
ある実施形態において、不織布材料は、約100~約500000、約1000~約50000、又は約1000~約10000のGelbo合計値を有することができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約1000、約30000、約40000、約5000、約8000、又は約10000のGelbo合計値を有することができる。特定の実施形態において、不織布材料は、約50000又は約48697未満のGelbo合計値を有することができる。
【0098】
不織布材料を製造する方法
材料を製造するために本開示の主題の実施において使用される材料を集成するために、伝統的な乾式形成法、例えば、エアレイイング及びカーディング、又は他の形成技術、例えば、スパンレース若しくはエアレースを含むがこれらに限定されない様々な方法を使用することができる。好ましくは、材料は、エアレイド法によって調製することができる。エアレイド法は、別個の層を有する製品を製造する製造プロセスにおいて選択順序で異なる組成物の原料を堆積させる1つ又は複数の形成ヘッドの使用を含むがこれらに限定されない。これにより、製造することができる様々な製品の大きな多用途性が可能になる
【0099】
一実施形態において、この材料は、連続エアレイドウェブとして調製される。エアレイドウェブは、典型的にはセルロースパルプのシートを、典型的にはハンマーミルによって解砕又は脱繊維化して、個別化繊維を生じることによって調製される。バージン繊維のパルプシートよりはむしろ、再利用エアレイド縁部トリミング、並びに等級変化及び他のエアレイド製造廃棄物から生じた仕様外過渡的材料を、ハンマーミル又は他の解砕機に供給することができる。それにより製造廃棄物を再利用することができることは、方法全体にとって経済性の改善に寄与する。次いで、バージン、再利用、いずれの供給源からでも、個別化繊維は、エアレイドウェブ形成機の形成ヘッドに空気搬送される。Dan-Web Forming of Aarhus社、Denmark、M&J Fibretech A/S of Horsens社、Denmark、Rando Machine Corporation社、Macedon、N.Y.(これは、米国特許第3,972,092号に記載されている)、Margasa Textile Machinery of Cerdanyola del Valles社、Spain、及びDOA International of Wels社、Austriaを含めて、幾つかの製造業者が、本開示の主題における使用に適したエアレイドウェブ形成機を製造している。これらの多くの形成機は、繊維を開繊し、形成ワイヤーに空気搬送する仕方で異なるが、それらはすべて、本開示の主題のウェブを製造することができる。Dan-Web形成ヘッドは、回転又は揺動する穿孔ドラムを含み、これらは、繊維が有孔形成搬送機又は形成ワイヤー上に真空により引張されるまで繊維の分離を維持するのに役立つ。M&J機において、形成ヘッドは基本的にスクリーンの上の回転式揺動機である。回転式揺動機は、一連又は一群の回転プロペラ又はファンブレードを備えていてもよい。他の繊維、例えば、合成熱可塑性繊維は、Laroche S. A. of Cours-La Ville社、Franceにより供給されるテキスタイルフィーダ等の繊維投与システムで開繊、秤量及び混合される。特定の実施形態において、そのようなエアレイド機は、カスタム化形成ヘッド、又は層個別化長繊維の可能なヘッドを装備することができる。テキスタイルフィーダから、繊維はエアレイド機の形成ヘッドに空気搬送され、ここで、それらはハンマーミルからの粉砕セルロースパルプ繊維と更に混合され、連続的に移動する形成ワイヤー上に堆積される。規定の層が望ましい場合、別個の形成ヘッドが繊維の各タイプについて使用されてもよい。代わりに又は更に、もしあれば、追加の層と合わせる前に、1つ又は複数の層を事前作製することができる。
【0100】
エアレイドウェブは、形成ワイヤーからカレンダー又は他の高密度化段階に移されて、必要ならば、ウェブを高密度化し、その強度を増加し、ウェブ厚さを制御する。一実施形態において、ウェブの繊維は、次いで、含まれる熱可塑性又は他の結合剤材料を融合するために十分高い温度に設定されたオーブンに通過させることによって結合される。更なる実施形態において、ラテックス噴霧又は泡塗布の乾燥又は硬化からの二次的結合が同じオーブン内で生じる。オーブンは、慣用の通気式オーブンであり、対流オーブンとして操作することができるか、又は赤外線若しくは更にマイクロ波照射によって必要な加熱を達成してもよい。特定の実施形態において、エアレイドウェブは、熱硬化前又は後に更なる添加剤で処理することができる。
【0101】
エアレイドウェブは、成形プロセス時に1回又は複数回硬化させることができる。ある実施形態において、エアレイドウェブは、約100℃~約200℃、約125℃~約175℃の間又は約150℃~約170℃の間の温度で硬化させることができる。特定の実施形態において、エアレイドウェブは、約150℃、約160℃又は約170℃の温度で硬化させることができる。エアレイドウェブは、約1分~約10分、約2分~約8分又は約1分~約5分の期間硬化させることができる。特定の実施形態において、エアレイドウェブは約4分又は約5分間硬化させることができる。ある実施形態において、エアレイドウェブは移動ラインで硬化させることができる。ある実施形態において、エアレイドウェブは、移動ラインで約3秒~約5秒間硬化させることができる。
【0102】
ある実施形態において、ポリエチレングリコール等の1種又は複数の可塑剤を、ハンマーミルで解砕する前にセルロースシートに適用することができ、又は、それは、成形プロセスの間に、若しくは結合剤の硬化が完結した後で、エアレイドラインの最後のいずれかにエアレイドウェブへの噴霧によって適用することができる。使用するシリコーン系薬品は、形成された後及び硬化される前又はエアレイドラインの最後のいずれかにウェブに噴霧することができる。ポリエチレングリコールポリマーはシリコーン系薬品と異なり親水性であり、またシリコーンより経済的になり得る。特定の実施形態において、ポリエチレングリコールはパルププレハンマーミルに添加することができる。更なる特定の実施形態において、ポリエチレングリコールは結合剤を用いてエアレイドウェブに第1の噴霧すること、続いて直ちにポリエチレングリコールを用いて湿潤シートに噴霧することによって、エアレイド実施形態に対して添加することができる。次いで、エアレイドウェブはオーブンで乾燥することができる。
【0103】
用途及び最終使用
本開示の主題の不織布材料は、当業界で公知のいずれの用途にも使用することができる。例えば、不織布材料は、単独で、又は消費者製品の構成要素として使用することができる。例えば、不織布材料は、清浄製品、例えば、ワイプ、シート、タオル等に使用することができる。例として、不織布材料は、家庭用、個人用及び産業用清浄用途又はトレーライナーを含む清浄用途のための使い捨てできるワイプとして、又は医療用覆布として使用することができる。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本開示の主題の単なる例証であり、それらは、決して、主題の範囲を限定するように見なされるべきではない。
【0105】
(実施例1)低ダストのラテックス結合エアレイド(LBAL)不織布 - ダスト試験
本実施例は、本開示のラテックス結合エアレイド(LBAL)不織布、及びそれを製造する方法を提供する。そのような不織布で、有利にはダスト含有率が減少した。
【0106】
構造体1Aは、セルロース繊維及び実験室パッド成型機を使用して製造したエアレイドLBAL構造体であった。構造体1Aは、パッド成型機にセルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)を52gsm載せることにより形成した。界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.05gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、25%)の形態のポリマー結合剤6.5gsm(結合剤乾燥質量)を用いて構造体に噴霧した。オーブンで構造体1Aを150℃5分間硬化させた。構造体の反対側に、界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.05gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、25%)の形態のポリマー結合剤6.5gsm(結合剤乾燥質量)を用いて噴霧した。LBAL構造体に対する合計の結合剤付加は20%であった。次いで、構造体1Aを、150℃で5分間、オーブンで2回目の硬化をした。
【0107】
構造体1Aの組成をTable 1(表3)に示す。
【0108】
【0109】
構造体1Bは、Carbowax Sentry Polyethylene Glycol 400 NF(The Dow Chemical Company社製)及び実験室パッド成型機を用いて前処理したセルロース繊維を使用して製造したエアレイドLBAL構造体であった。Carbowax Sentry Polyethylene Glycol 400 NF(The Dow Chemical Company社製)を2%の溶液に希釈し、次いで、セルロース繊維のパルプシート(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)に噴霧した。ポリエチレングリコール(PEG)付加の合計は1%(周囲のパルプシート質量に対して)であった。およそ2日間パルプシートを風乾した。次いで、シートをハンマーミルによって解砕し、形成ヘッドに集めた。次いで、PEG処理したセルロースパルプを構造体1Bを形成するのに使用した。PEG処理したセルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)52gsmをパッド成型機に載せることにより、構造体1Bを形成した。界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.05gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、25%)の形態のポリマー結合剤6.5gsm(結合剤乾燥質量)を用いて構造体に噴霧した。オーブンで構造体1Bを5分間150℃硬化させた。界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.05gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、25%)の形態のポリマー結合剤6.5gsm(結合剤乾燥質量)を用いて構造体の反対側に噴霧した。LBAL構造体に対する合計の結合剤付加は20%であった。次いで、構造体1Bを、150℃で5分間オーブンで2回目の硬化をした。
【0110】
Table 2(表4)に構造体1Bの組成を示す。
【0111】
【0112】
ダスト試験
各構造体の試料を1/2インチ×1/2インチ角に切断し秤量した。次いで、14番ふるい(12メッシュ; 1.40mmの開口部)に材料の切断片を入れた。ふるいの上に蓋を置いた。切断試料は、気流(30psi)を動かしながら揺動した。緩んだ毛羽及び繊維を取り出すために同時に真空を適用した。切断試料に対して適用した真空全体は3cm Hgであった。7分間連続して実験を実施した。その後、材料の切断試料を秤量した。次いで、下記式を使用することによりパーセントダストを計算した:
【0113】
【0114】
【0115】
図1に示すように、試料1Aは、5.5%のダスト値を有していたが、しかし、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて前処理したセルロース繊維を含む試料1Bは、より低い、3.3%のダスト含有率を示した。
【0116】
(実施例2)低ダストの熱的結合エアレイド(TBAL)不織布 - ダスト試験
本実施例は、本開示の熱的結合エアレイド(TBAL)不織布、及びそれを製造する方法を提供する。そのような不織布で、有利にはダスト含有率が減少した。
【0117】
構造体2Aは、実験室パッド成型機でセルロース繊維及び二成分繊維を均質に混合することにより製造したエアレイドTBAL構造体であった。セルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社、Leaf Riverからの半処理パルプ)40gsmを二成分繊維
(TRevira 1661、2.2dtex、6mm、Type 255)10gsmと混合しパッド成型機に混合物を載せることにより、構造体2Aを形成した。オーブンで150℃4分間、構造体を硬化させた。
【0118】
Table 3(表5)に構造体2Aの組成を示す。
【0119】
【0120】
構造体2Bは、実験室パッド成型機を使用して二成分繊維、及びCarbowax Sentry Polyethylene Glycol 400 NF(The Dow Chemical Company社製)を用いて前処理したセルロース繊維を均質に混合することにより製造したエアレイドTBAL構造体であった。Carbowax Sentry Polyethylene Glycol 400 NF(The Dow Chemical Company社製)を2%の溶液に希釈し、次いで、セルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)のパルプシートに噴霧した。ポリエチレングリコール(PEG)付加の全体は1%(周囲のパルプシート質量に対して)であった。およそ2日間パルプシートを風乾した。次いで、ハンマーミルによってシートを解砕し、形成ヘッドに集めた。次いでPEG処理したパルプを構造体2Bを形成するのに使用した。PEG処理セルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)40gsm、及び二成分繊維(Trevira 1661、2.2dtex、6mm、Type 255)10gsmの均質混合物をパッド成型機に載せることにより構造体2Bを形成した。オーブンで150℃4分間、構造体を硬化させた。
【0121】
Table 4(表6)に構造体2Bの組成を示す。
【0122】
【0123】
ダスト試験
1/2インチ×1/2インチ角に各構造体の試料を切断し秤量した。次いで、14番ふるい(12メッシュ; 1.40mmの開口部)に材料の切断片を入れた。ふるいの上に蓋を置いた。切断試料は、気流(30psi)を動かしながら揺動した。緩んだ毛羽及び繊維を取り出すために同時に真空を適用した。切断試料に適用した真空全体は3cm Hgであった。7分間連続して実験を実施した。その後、材料の切断試料を秤量した。次いで、実施例1のように同じ式に従って、パーセントダストを計算した。
【0124】
【0125】
図2に示すように、試料2Aは、9.2%のダスト値を有していたが、しかし、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて前処理したセルロース繊維を含む試料2Bは、7.6%で、より低いダスト含有率を示す。
【0126】
(実施例3)低ダストのラテックス結合エアレイド(LBAL)不織布(パイロットライン)
本実施例は、本開示のラテックス結合エアレイド(LBAL)不織布、及びそれを製造する方法を提供する。
【0127】
構造体3Aはパイロットラインで製造したエアレイドLBALであった。セルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)60.3gsmを載せることにより、構造体3Aを形成した。最上側に界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤4.13gsm(結合剤乾燥質量)を用いて構造体に噴霧し、オーブン中170℃で7秒間硬化させた。界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤4.13gsm(結合剤乾燥質量)を用いて最下側に噴霧し、その後170℃で20秒間オーブンで硬化させた。LBAL構造体に対する合計の結合剤付加は11.8%であった。
【0128】
Table 5(表7)に構造体3Aの組成を示す。
【0129】
【0130】
構造体3Bはパイロットラインで製造したエアレイドLBALであった。セルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)60.3gsmを載せることにより、構造体3Bを形成した。構造体に、界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192、Wacker社、13.5%)の形態のポリマー結合剤4.13gsm(結合剤乾燥質量)を用いて最上側に噴霧し、170℃で7秒間オーブン中で硬化させた。界面活性剤(エアロゾルOT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤4.13gsm(結合剤乾燥質量)を用いて最下側に噴霧し、その後170℃で20秒間オーブン中で硬化した。LBAL構造体に対する合計の結合剤付加は11.8%であった。最後のオーブンを出たら、エアレイドシートにポリエチレングリコール400溶液の10%溶液を用いて最上側に噴霧した。適用したポリエチレングリコール400の全体は構造体全体の1.4gsm又は2%であった。
【0131】
Table 6(表8)に構造体3Bの組成を示す。
【0132】
【0133】
構造体3Cはパイロットラインで製造したエアレイドLBALであった。セルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)60.3gsmを載せることにより、構造体3Cを形成した。構造体に、界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤4.13gsm(結合剤乾燥質量)を用いて最上側に噴霧した。エアレイドシートがまだ濡れている間に、ポリエチレングリコール400、0.7gsmを用いてそれに噴霧し、次いで、170℃で7秒間オーブン中で硬化させた。界面活性剤(エアロゾルOT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤4.13gsm(結合剤乾燥質量)を用いて最下側に噴霧した。乾燥又は硬化せずに、含湿エアレイドシートにポリエチレングリコール400、0.7gsmを用いて噴霧し、次いで、オーブン中170℃で20秒間硬化させた。LBAL構造体としての合計の結合剤付加は11.8%であった。ポリエチレングリコール400付加の全体は構造体全体の1.4gsm又は2%であった。
【0134】
Table 7(表9)に構造体3Cの組成を示す。
【0135】
【0136】
構造体3Dはパイロットラインで製造したエアレイドLBALであった。セルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ) 60.3gsmを載せることにより、構造体3Dを形成した。構造体に、ポリエチレングリコール400、0.7gsmを用いて最上側にも噴霧した。エアレイドシートがまだ濡れている間に、それに界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤(結合剤乾燥質量)4.13gsmを用いて更に最上側に噴霧し、次いで、170℃で7秒間オーブン中で硬化させた。ポリエチレングリコール400、0.7gsmを用いて最下側に噴霧した。乾燥又は硬化せずに、含湿エアレイドシートに、界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤(結合剤乾燥質量)4.13gsmを用いて噴霧した。次いで、170℃で20秒間オーブン中で含湿シートを硬化させた。LBAL構造体に対する合計の結合剤付加は11.8%であった。ポリエチレングリコール400付加の全体は構造体全体の1.4gsm又は2%であった。
【0137】
Table 8(表10)に構造体3Dの組成を示す。
【0138】
【0139】
構造体3Eはパイロットラインで製造したエアレイドLBALであった。PEG400-処理されたセルロース繊維(Golden Isle 4725、Georgia Pacific社(Leaf River)製の半処理パルプ)61.7gsmを載せることにより、構造体3Eを形成した。ハンマーミルでの解砕前にポリエチレングリコール400(パルプ質量に対して)2.267%の量でパルプシートにポリエチレングリコール400を添加した。このようにして、70gsmの構造体は1.4gsmのポリエチレングリコール400を有する。エアレイド構造体に界面活性剤(Aerosol OT 75(Cytec Industries社))0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤(結合剤乾燥質量)4.13gsmを用いて最上側に噴霧し、170℃で7秒間オーブン中で硬化させた。最下側に界面活性剤(Aerosol OT 75、Cytec Industries社)0.033gsmを含む乳剤(Vinnapas 192(Wacker社)、13.5%)の形態のポリマー結合剤(結合剤乾燥質量)4.13gsmを用いて噴霧し、その後170℃で20秒間オーブン中で硬化させた。LBAL構造体に対する合計の結合剤付加は11.8%であった。
【0140】
Table 9(表11)に構造体3Eの組成を示す。
【0141】
【0142】
毛羽全クラスのGelbo合計値
繊維の毛羽立ちを報告するのに使用した尺度は、SGS-IPS試験によって実行されるNWSP 160.1.R0 (15) Resistance to Linting of Nonwoven Fabrics (Dry)によるGelbo毛羽分析であり、これは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。この試験では、ねじり曲げる動作の間に材料の表面から脱落させ、粉塵計によって集めた粒子を測定した。様々な異なる毛羽クラス(> 0.5μm、>1.0μm、>2.0μm、>3.0μm、>5.0μm、>7.0μm、>10.0μm及び>25.0μm)の粒子の数として毛羽試験のデータが得られる。それらのクラスのそれぞれについての平均値を一緒に加えて測定した毛羽全クラスについて合計値が得られた。
【0143】
Table 10(表12)に試料及び試験結果を示す。
【0144】
【0145】
(実施例4)市販試料 - 毛羽及びダスト試験
本実施例は、市販されている不織布製品の毛羽及びダスト試験を提供する。繊維消失及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して不織布製品の様々な市販試料を試験した。Table 11(表13)に市販試料A-Oを示す。
【0146】
ダスト試験
0.2032メートル×0.254メートルのシートを1.27センチメートルの四角片に切断し、7分間回転する空気ノズル(30psi、400-410rpm)を用いてU.S.A. Standard Testing Sieve No. 14中で揺動した。同時に真空を適用して緩んだ毛羽及び繊維を取り出した。切断試料に対して適用した全真空は3cm Hgであった。
【0147】
試料を3回繰り返して測定した。初期の質量と、揺動後の最終質量とのパーセント差が%繊維消失である。%繊維消失の数字が大きいほど、試料が使用中及び変換作業中にダストを多く生成するということを示す。
【0148】
毛羽全クラスのGelbo合計値
繊維の毛羽立ちを報告するのに使用した尺度は、SGS-IPS試験によって実行されるNWSP 160.1.R0 (15) Resistance to Linting of Nonwoven Fabrics (Dry)によるGelbo毛羽分析である。この試験では、ねじり曲げる動作の間に材料の表面から脱落し、粉塵計によって集めた粒子を測定した。様々な異なる毛羽クラス (> 0.5μm、>1.0μm、>2.0μm、>3.0μm、>5.0μm、>7.0μm、>10.0μm、及び>25.0μm)の粒子の数として毛羽試験のデータが得られる。それらのクラスのそれぞれについての平均値を一緒に加えて、測定した毛羽全クラスについて合計値が得られた。
【0149】
Table 11(表13)に試料及び試験結果を示す。
【0150】
【0151】
Table 11(表13)に示したように、%繊維消失及びGelbo毛羽値の間に相関性はなかった。繊維消失(しばしばダストと呼ばれる)又は毛羽立ちの減少を測定している場合、評価中の製品について指定することは重要である。これらの評価にとって、毛羽立ちの減少は好ましい。2.6%の繊維消失を有する試料は、70936のGelbo毛羽値を有し(試料D)、2.8%の%繊維消失値を有する異なる試料は、223821のGelbo毛羽値を有していた(試料E)。Halyard Sample Tray liner HK63(48697 Gelbo)(試料O)より低い値を有することが好ましい。Gelbo毛羽について評価した最も近い未処理の市販エアレイド試料は、軟質(低TG)結合剤のCelanese DUR-O-SET Elite 22を13%含むスポットエンボス加工された、60gsmのLBALであった(70936 Gelbo)(試料D)。
【0152】
(実施例5)低ダストエアレイド不織布- シリコーン系乳剤の試験(後処理)(パイロットプラント)
本実施例は、低ダスト不織布材料を提供するために可塑剤としてシリコーン系流体の乳剤の適用の試験を提供する。可塑剤を用いる処理の後にそのような材料を試験した。
【0153】
試料ロール調製
Dan-Webエアレイド機で30メートル/分でAlbany RibTech 84の形成ワイヤーを利用して3層の65gsm試料を形成した。最下層は、セルロース繊維(Georgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725)18gsmを含み、中間層は、セルロース繊維(Stora Enso Semi-Treated EF Pulp)21gsmを含み、最上層は、セルロース繊維(Georgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725)18gsmを含んでいた。形成した後に、3.5バールの転圧を用いて試料の密度を高めた。Wacker Chemie AG社 VINNAPAS(登録商標) 192の4gsm結合剤適用の噴霧によって各側に18%の固形分で試料を結合し、次いで、通気式乾燥器中170℃で乾燥した。形成ワイヤーの表面微細構造により、ワイヤーに最も近い、形成した試料の側は、表面が隆起している。尾根は横断方向(CD)に走り、したがって、試料は、縦断方向(MD)に高い坪量及び低い坪量(「尾根」及び「谷」)の交互の領域を含んでいた。差のある坪量のパターンは、均質な坪量を全体に有する試料には存在しない試料に対して、独特の性質を与えた。特に、この試料の調製に使用したパターン化形成ワイヤーは、高いダストレベルを有する試料をもたらした。すべての試料に、結合剤固形分に対して1.6%のCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標) OT 75を使用した。
【0154】
特定の理論に束縛されることはないが、RibTech 84形成ワイヤーによって得られる微細構造の差異形成は、ノギス値によって測定して0.823mmの試料の嵩の著しい増加をもたらすことができ、ラテックス結合エアレイド構造体について、繊維消失のレベルの増加によって相殺され得る。二成分繊維を用いて結合された試料については、粘着成分は構造体の全体にわたって分布する。
【0155】
試料は、水を用いる初期の試験において平均2.24秒の吸収時間を有する吸収性であり、水中では12.675g/gの吸収容量を有していた。初期の試験は、また16.2%と試料が比較的高い%繊維消失を有することを示した。このように、毛羽立ち又は繊維消失のいかなる差異も容易に測定することができた。
【0156】
試料調製(試料5-1~5-11)
横方向10インチ×縦断方向12インチの試料を試料ロールの中央から切断した。Wacker E335(35%の有効成分)を5%の有効成分に希釈した。各シートにWacker E335の合計1%を噴霧し2分の1を各側に適用した。幾つかのシリコーンの予想される疎水性の傾向により、幾つかの試料について、Table 12(表14)に示すように5%の有効成分のWacker E335に対して様々なレベルでWacker TS 533を添加した。試料5-1については、Wacker TS 533のみを添加した。他の試料については、対照として役立つように水の添加又は噴霧無しのいずれかとした(すなわち、試料5-9及び5-11)。
【0157】
【0158】
試料調製(試料5-12~5-19)
より高いWacker E335含有率を有する試料も試験した。横方向10インチ×縦断方向12インチの試料を、同一の試料ロールの中央から切断した。Wacker E335(35%の有効成分)を5%の有効成分に希釈した。各シートについてWacker E335の合計1~2%を噴霧し2分の1を各側に適用した。幾つかのシリコーンの予想される疎水性の傾向により、幾つかの試料について、Table 13(表15)に示すように5%の有効成分のWacker E335に対して様々なレベルでWacker TS 533を添加した。試料5-1については、Wacker TS 533のみを添加した。他の試料について、対照として役立つように水の添加又は噴霧無しのいずれかとした(すなわち、試料5-14及び5-16)。
【0159】
【0160】
試料試験
繊維消失、吸収速度及び吸収容量に関して試料5-1~5-19を試験した。試料5-12~5-19を、毛羽全クラスのGelbo合計値に関して更に試験した。実施例4に示すように繊維消失試験及び毛羽全クラスのGelbo合計値の試験を実行した。
【0161】
吸収速度試験
試料を5g±0.1g(乾燥質量)秤量した。天秤にワイヤーバスケット(3.0g±0.03g)を載せ、天秤の風袋を計った。試料を折り重ね、緩く巻きバスケットに入れた。吸収容量を計算する場合には、試料の乾燥質量を記録した。室温で高さ25mmから750mLの水道水の容器にバスケットを落とし、タイマーをスタートさせた。試料が完全に水没したら、タイマーを止めた。記録した時間が吸収速度であった。次いで、吸収容量を決定するのに試料を使用した。
【0162】
吸収容量試験
吸収速度試料を60秒間水没させたままにし、次に、水からバスケット(試料を含め)を取り出し吊るした。水は、120秒間バスケット(試料を含め)から自由に排出させた。120秒たったら、風袋を計った天秤にバスケット(試料を含め)を置いた。試料の含湿質量を記録した。試料に吸収された水を計算し、1グラム当たりのグラムとして報告した。
【0163】
Table 14(表16)に試料5-1~5-11について試験結果を示す。
【0164】
【0165】
幾つかの試料では水の取り込みがわずかにより遅く見えたが、水についての容量はそのままであった。繊維消失は、Wacker E335を用いる処理によって有意な影響を受けたようには見えなかった。繊維消失での最も大きな減少は、水の対照の場合に起こった。調製時の処理の後に著しくより少ない毛羽立ちがこれらの試料で観察されたので、繊維消失が、SGS Integrated Paper Services, Inc.社(Appleton, WI)によって実行されるNWSP 160.1.R0 (15) Resistance to Linting of Nonwoven Fabrics (Dry)によるGelbo毛羽分析によって測定される毛羽立ちについての代表的な尺度であるかどうか更に調査した。繊維消失が切断した縁の数を増加させ、乱流の試験雰囲気中で繊維全体の流失を伴い、Gelbo毛羽試験は、粒子又は繊維が試験表面から流失するのを可能にする、制御された環境中でより温和な屈曲であるので、追加の試料を調製し、NWSP 160.1.R0試験についてSGS-IPS試験にかけた(すなわち、試料5-12~5-19)。
【0166】
Table 15(表17)に試料5-12~5-19について試験結果を示す。
【0167】
【0168】
Table 15(表17)に示すように、Gelbo毛羽粒子計数測定は、%繊維消失測定と関係がなく、幾つかの事例においては互いに逆であった。これらの結果は、シートからの発塵の減少(又は繊維消失の減少)及びシートからの毛羽立ちの減少が異なるメカニズムで起こり得ることを示す。
【0169】
(実施例6)低ダストエアレイド不織布 - シリコーン系乳剤の試験(後処理)(市販機)
本実施例は、低ダスト不織布材料を提供するために可塑剤としてシリコーン系流体乳剤の適用の試験を提供する。可塑剤で処理した後にそのような材料を試験した。
【0170】
試料調製
Georgia-Pacific Nonwovens LLC社で工業的に製造されているラテックス結合エアレイドの12インチ×12インチのシートを入手した。材料は88.2%のGeorgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725を含み、11.8%のWacker Chemie AG VINNAPAS(登録商標) 192によって一緒に結合されていた。試料は層に形成されていた。Wacker E335(35%の有効成分)は5%の有効成分に希釈し、Table 16(表18)に示すように、合計0.5~2%のWacker E335を各シートに噴霧した。他の試料について、調査のために対照として役立つように水の添加又は噴霧無しのいずれかとした(すなわち、試料6-6~6-11)。
【0171】
【0172】
試験
実施例4及び5に示すように、吸収速度、吸収容量及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して試料6-1~6-11を試験した。
【0173】
Table 17(表19)に試験結果を示す。
【0174】
【0175】
Table 17(表19)に示すように、Wacker E335の添加レベルが増すと、試料の吸収速度及びGelbo合計毛羽値は減少した。特定の理論に束縛されることはないが、Wacker E335の添加レベルを減少させると、吸収速度及びGelbo合計毛羽値の両方を最適化することができる。
【0176】
(実施例7)低ダストエアレイド不織布-シリコーン系乳剤の試験(試料製造プロセス中の添加)(パイロットプラント)
本実施例は、低ダスト不織布材料を提供するために可塑剤としてシリコーン系流体の乳剤の適用の試験を提供する。材料を成形するプロセス時に可塑剤を用いてそのような材料を処理した。
【0177】
ラテックス結合エアレイド(LBAL)構造体及び多重結合エアレイド(MBAL)構造体の一連の異なる試料を、3種の試料シリーズで、パイロットラインで製造した。以下に示すように、試料を調製し試験した。
【0178】
試料シリーズ1(試料7-1~7-8)
試料の第1の組について、70gsm LBAL、61.8gsmのGeorgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725を、Dan-Webエアレイド機で30メートル/分でAlbany ET100S形成ワイヤーを利用して3層に形成した。Wacker Chemie AG VINNAPAS(登録商標) 192、4.1gsmの結合剤適用の噴霧によって、各側に13.5%の固形分で試料を結合し、次いで、通気式乾燥器中で170℃で乾燥した。すべての試料は、結合剤固形分に対して0.8%のCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標) OT 75を使用した。
【0179】
各試料の転圧は、水処理又はWacker E335処理の前に、0.83mmの開始時ノギス値を目標として変動させた。水を添加すると、エアレイド材料のノギス値を減少させることができ、繊維の結合の増加をもたらすことができる。ノギス値は試料処理と共に様々であり得る。周囲の湿度条件もまた、製造する試料の3組すべてについてこの態様に寄与し得る。
【0180】
Table 18(表20)に示すように試料7-1~7-8を調製した。Wacker E335処理を含む試料について、Wacker E335(35%の有効成分)を5%の有効成分に希釈した。幾つかの試料について、オーブンを出る際に結合剤を硬化させた後、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後試料を巻き取った。他の試料について、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後、別個の噴霧バーを介して結合剤を噴霧する前又は後のいずれかに、結合剤を硬化させた。Wacker E335は、公知の疎水性に配慮して結合剤と混合しなかった。
【0181】
【0182】
実施例4及び5に示すように、吸収速度、吸収容量、及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して試料7-1~7-8を試験した。
【0183】
Table 19(表21)に試験結果を示す。
【0184】
【0185】
すべてのLBAL試料については、6g/g又は11g/gの最小吸収容量が好ましく、4秒又は2秒の最大吸収速度が好ましい。毛羽全クラスについて約48697未満のGelbo合計値が好ましい。試料処理はこれらの値に影響を与え得る。
【0186】
吸収容量の試験時に、硬化後にWacker E335を用いて片側のみ処理した試料は、それがバスケット中で外向きに面していると、処理した側ではより遅い吸収速度を示した。水でも希薄なWacker E335でも、ノギス値は液体の添加によって影響を受けた。吸収時間は添加ポイントにかかわらずWacker E335の添加によって遅くなったが、パーセント有効成分の添加が低いと吸収時間を増加させた(例えば、試料7-6対試料7-7)。硬化前の、結合剤の前又は後いずれかのWacker E335の噴霧は、有意には吸収速度又は吸収容量に影響を与えなかった。
【0187】
すべての事例において、水は毛羽立ちを減少させることを示した。特定の理論に束縛されることはないが、これは、より低いノギス値基材の結合による場合があると仮定される。各事例において、Wacker E335の毛羽立ち値は、水の値よりはるかに低い。更に、Wacker E335の毛羽立ち値は水の値よりはるかに低いことが観察された。したがって、液体添加のみによるノギス値の影響は、Wacker E335の添加からのGelbo毛羽減少に対する唯一の理由ではない。所望の限界内に吸収速度を維持するために、Wacker E335有効成分の添加量は、約48697未満にGelbo合計毛羽値をなお維持しつつ、LBAL材料に対して減少させることができる。
【0188】
試料シリーズ2(試料7-9~7-13)
試料の第2の組について、60gsm MBAL、40.9gsmのGeorgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725を、Dan-Webエアレイド機で30メートル/分でAlbany ET100S形成ワイヤーを利用して、12.3gsmのTrevira T255 2641 2.2dtex 6mm繊維と3層で混合した。Wacker Chemie AG VINNAPAS(登録商標) 192、3.6gsmの結合剤適用の噴霧によって、各側に13.5%の固形分で試料を結合し、次いで、通気式乾燥器中で170℃で乾燥した。すべての試料は、結合剤固形分に対して0.8%のCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標) OT 75を使用した。各試料の転圧は、水処理又はWacker E335処理の前に、1.0mmの開始時ノギス値を目標として変動させた。試料処理と共にノギス値を変動させた。
【0189】
Table 20(表22)に示すように試料7-9~7-13を調製した。Wacker E335処理を含む試料については、Wacker E335(35%の有効成分)を5%の有効成分に希釈した。幾つかの試料について、オーブンを出る際に結合剤を硬化させた後、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後試料を巻き取った。他の試料について、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後結合剤を硬化させ、その後又はその前のいずれかに別個の噴霧バーを介して結合剤を噴霧した。Wacker E335は、公知の疎水性に配慮して結合剤と混合しなかった。
【0190】
【0191】
実施例4及び5に示すように、吸収速度、吸収容量及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して試料7-9~7-13を試験した。
【0192】
Table 21(表23)に試験結果を示す。
【0193】
【0194】
すべてのMBAL試料について、8g/g 10g/gの最小吸収容量が好ましく、5秒又は2.5秒未満の最大吸収速度が好ましい。毛羽全クラスについて約48697未満のGelbo合計値が好ましい。試料処理はこれらの値に影響を与えることができる。
【0195】
吸収容量の試験時に、硬化後にWacker E335を用いて片側のみ処理した試料は、それがバスケット中で外向きに面していると、処理した側ではより遅い吸収速度を示した。水でも希薄なWacker E335でも、ノギス値は液体の添加によって影響を受けた。吸収時間は添加ポイントにかかわらずWacker E335の添加によって遅くなったが、より低いパーセント有効成分の添加は吸収時間を増加させた。硬化前の、結合剤の前又は後いずれかのE335の噴霧は、有意には吸収速度又は吸収容量に影響を与えなかった。すべての事例において、水は毛羽立ちを減少させることを示した。特定の理論に束縛されることはないが、これは、より低いノギス値基材の結合による場合があると仮定される。各事例において、Wacker E335の毛羽立ち値は、水の値よりはるかに低い。更に、Wacker E335の毛羽立ち値は水の値よりはるかに低いことが観察された。したがって、液体添加のみによる、ノギス値影響は、Wacker E335の添加からのGelbo毛羽減少に対する唯一の駆動力ではないことは明らかである。所望の限界内に吸収速度を維持するために、Wacker E335有効成分添加量は、約48697未満にGelbo合計毛羽値をなお維持しつつ、MBAL材料に対して減少させることができる。
【0196】
試料シリーズ3(試料7-14~7-19)
試料の第3の組について、70gsmのLBAL、61.8gsmのGeorgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725を、Dan-Webエアレイド機で30メートル/分で Albany ET100S形成ワイヤーを利用して3層に形成した。Celanese DUR-O-SET Elite 22、4.1gsmの結合剤適用の噴霧によって、各側に13.5%の固形分で試料を結合し、次いで、通気式乾燥器中170℃で乾燥した。各試料の転圧は、水処理又はWacker E335処理の前に、0.83mmの開始時ノギス値を目標として変動させた。ノギス値は試料処理と共に様々であり得る。
【0197】
Table 22(表24)に示すように試料7-14~7-19を調製した。Wacker E335処理を含む試料について、Wacker E335(35%の有効成分)を5%の有効成分に希釈した。幾つかの試料について、オーブンを出る際に結合剤を硬化させた後、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後試料を巻き取った。他の試料について、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後結合剤を硬化させ、その後又はその前のいずれかに別個の噴霧バーを介して結合剤を噴霧した。Wacker E335は、公知の疎水性に配慮して結合剤と混合しなかった。
【0198】
【0199】
実施例4及び5に示すように、吸収速度、吸収容量、及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して試料7-14~7-19を試験した。
【0200】
試験結果をTable 23(表25)に示す。
【0201】
【0202】
すべてのLBAL試料について、6g/g又は11g/gの最小吸収容量が好ましく、4秒又は2秒の最大吸収速度が好ましい。約48697未満の毛羽全クラスのGelbo合計値が好ましい。試料処理はこれらの値に影響を与え得る。
【0203】
吸収容量の試験時に、硬化後にWacker E335を用いて片側のみ処理した試料は、それがバスケット中で外向きに面していると、処理した側ではより遅い吸収速度を示した。水でも希薄なWacker E335でも、ノギス値は液体の添加によって影響を受けた。吸収時間は添加ポイントにかかわらずWacker E335の添加によって遅くなったが、より低いパーセント有効成分の添加は吸収時間を増加させた。硬化前の、結合剤の前又は後いずれかのWacker E335の噴霧は、有意には吸収速度又は吸収容量に影響を与えなかった。すべての事例において、水は毛羽立ちを減少させることを示した。特定の理論に束縛されることはないが、これは、より低いノギス値基材の結合による場合があると仮定される。各事例において、Wacker E335の毛羽立ち値は、水の値よりはるかに低い。更に、Wacker E335の毛羽立ち値は水の値よりはるかに低いことが観察された。したがって、液体添加のみによる、ノギス値の影響が、Wacker E335の添加からのGelbo毛羽減少に対して唯一の駆動力ではないことは明らかである。所望の限界内に吸収速度を維持するために、Wacker E335有効成分添加量は、約48697未満にGelbo合計毛羽値をなお維持しつつ、LBAL材料に対して減少させることができる。
【0204】
(実施例8)低ダストエアレイド不織布-処理試料試験(試料製造プロセス時の添加)(パイロットプラント)
本実施例は、転圧並びにWacker E335及び/又は水の量を変動させた試験試料を提供する。
【0205】
ラテックス結合エアレイド(LBAL)構造体の一連の異なる試料を、パイロットラインで製造した。70gsmのLBAL、61.8gsmのGeorgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725を、Dan-Webエアレイド機で30メートル/分でAlbany ET100S形成ワイヤーを利用して3層に形成した。Wacker Vinnapas 192、4.1gsmの結合剤適用の噴霧によって、各側に13.5%の固形分で試料を結合し、次いで、通気式乾燥器中摂氏170度で乾燥した。すべての結合剤は、結合剤固形分に対して0.8%のCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標) OT 75を含んでいた。
【0206】
各試料の転圧は、水処理又はWacker E335処理の前に、0.83mmの開始時ノギス値を目標として変動させた。ノギス値を一貫して保持するように試みた。
【0207】
Wacker E335処理を含む試料については、Wacker E335(35%の有効成分)を0.5又は1.0%の有効成分に希釈した。すべての試料について、別個の噴霧バーを介して結合剤を噴霧した後に、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後結合剤を硬化させた。Wacker E335は、公知の疎水性問題のために結合剤と混合しなかった。
【0208】
すべてのLBAL試料について、目標の吸収容量は少なくとも6g/gであり、最大吸収速度は少なくとも4秒であった。48697未満の毛羽全クラスのGelbo合計値を目標とした。
【0209】
Table 24(表26)に示すように、試料8-1~8-7を調製した。
【0210】
【0211】
実施例4及び5に示すように、吸収速度、吸収容量、及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して試料8-1~8-7を試験した。
【0212】
Table 25(表27)に試験結果を示す。
【0213】
【0214】
吸収時間は添加量にかかわらずWacker E335の添加によって著しく遅くなったが、より低いパーセント有効成分の添加はこれを最小限にするのに有望であった。両方の事例において、水は毛羽立ちを減少させた。特定の理論に束縛されることはないが、これは、より低いノギス値基材とのより良好な結合による場合があり得ると仮定される。各事例において、Wacker E335の毛羽立ち値は、水値よりはるかに低い。これは、液体添加のみによる、ノギス値の影響が、Wacker E335の添加からのGelbo毛羽減少に対して唯一の理由でないことを意味する。単にWacker E335有効成分量を減少させることでは、すべての事例において受容できる吸収速度を達成するのには十分ではないように見える。
【0215】
(実施例9)低ダストエアレイド不織布-処理試料試験(試料製造プロセス中の添加)(パイロットプラント)
本実施例は、転圧並びにWacker E335及び/又は水の量を変動させた試験試料を提供する。
【0216】
パイロットラインで熱的結合エアレイド(TBAL)構造体の一連の異なる試料を製造した。Dan-Webエアレイド機で30メートル/分で Albany ET100S形成ワイヤーを利用して51.2gsmのTBALを3層に形成した。通気式乾燥器で摂氏160度で乾燥することによって試料を結合した。Table 26(表28)に試料9-1~9-9の一般的な構造体を示す。
【0217】
【0218】
各試料の転圧は、水処理又はWacker E335処理の前に、1.0mmの開始時ノギス値を目標として変動させた。ノギス値を一貫して保持するように試みた。
【0219】
Wacker E335処理を含む試料については、Wacker E335(35%の有効成分)を0.5~4.0%の有効成分に希釈した。幾つかの試料について、別個の噴霧バーを介して結合剤を噴霧した後に、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後結合剤を硬化させた。他の試料については、オーブンから出し、Wacker E335及び/又は水をラインの最後に噴霧し、その後材料を巻き取った。Wacker E335は、公知の疎水性問題のために結合剤と混合しなかった。
【0220】
すべてのTBAL試料について、目標の吸収容量は少なくとも8g/gであり、最大吸収速度は少なくとも5秒であった。48697未満の毛羽全クラスのGelbo合計値を目標とした。
【0221】
Table 27(表29)に示すように試料9-1~9-9を調製した。
【0222】
【0223】
実施例4及び5に示すように、吸収速度、吸収容量、及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して試料9-1~9-9を試験した。
【0224】
Table 28(表30)に試験結果を示す。
【0225】
【0226】
吸収時間は添加量にかかわらずWacker E335の添加によって有意に遅くなったが、より低いパーセント有効成分の添加はこれを最小限にするのに有望であることが観察された。また、硬化後の片側端部添加による影響も少なかった。Wacker E335又は水の後添加はすべて吸収材容量に負の影響を与えた。両側にWacker 335を添加すると、Gelbo合計値はより良好になる。単にWacker E335有効成分量を減少させることでは、すべての事例において受容できる吸収速度を達成するのには十分ではないように見える。
【0227】
(実施例10)低ダストエアレイド不織布-結合剤中のAEROSOL(登録商標)OT 75の量を変動させた処理試料試験(試料製造プロセス時の添加)(パイロットプラント)
本実施例は、転圧並びにWacker E335及び/又は水の量を変動させ、並びにCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標) OT 75の量を変動させた試験試料を提供する。
【0228】
パイロットラインでラテックス結合エアレイド(LBAL)構造体の一連の異なる試料を製造した。Dan-Webエアレイド機で30メートル/分で Albany ET100S形成ワイヤーを利用して70gsmのLBAL、61.8gsmのGeorgia Pacific Golden Isles(登録商標) Semi-Treated Pulp Grade 4725を3層に形成した。試料は各側に13.5%の固形分で4.1gsmのWacker Vinnapas 192結合剤適用の噴霧によって結合し、次いで、通気式乾燥器中摂氏170度で乾燥した。結合剤はすべて、結合剤固形分に対して0-1.6%のCytec Solvay Group AEROSOL(登録商標) OT 75を含んでいた。
【0229】
各試料の転圧は、水処理又はWacker E335処理の前に、0.83mmの開始時ノギス値を目標として変動させた。ノギス値を一貫して保持するように試みた。
【0230】
Wacker E335処理を含む試料については、35%の有効成分で市販されているWacker E335を0.5又は1.0%の有効成分に希釈した。すべての試料については、別個の噴霧バーを介して結合剤を噴霧した後に、Wacker E335及び/又は水を添加し、その後結合剤を硬化させた。Wacker E335は公知の疎水性問題により結合剤と混合しなかった。
【0231】
すべてのLBAL試料について、目標の吸収容量は少なくとも6g/gであり、最大吸収速度は少なくとも4秒であった。48697未満の毛羽全クラスのGelbo合計値を目標とした。
【0232】
Table 29(表31)に示すように試料10-1~10-10を調製した。
【0233】
【0234】
実施例4及び5に示すように、吸収速度、吸収容量、及び毛羽全クラスのGelbo合計値に関して試料10-1~10-10を試験した。
【0235】
Table 30(表32)に試験結果を示す。
【0236】
【0237】
Wacker E335の添加によって、添加量にかかわらず吸収時間は著しく遅くなったが、より低いパーセント有効成分を添加することは、これを最小限にするのに有望であることが観察された。試験結果は、結合剤への界面活性剤AEROSOL(登録商標)OT 75の添加を増加させると、受容できるレベルへの吸収速度の減少を助けることを示す。結合剤に追加のAEROSOL(登録商標)OT 75を添加することの不都合は、Gelbo毛羽立ち結果を負の方向に抑制することである。0.1%のWacker E335を含み、結合剤に対する添加がAerosol OT 75の1.6%を超える試料10-10は、48697未満という目標Gelbo合計値を超える。
【0238】
記述され特許請求された様々な実施形態に加えて、本開示の主題は、本明細書において開示及び特許請求された特色の他の組合せを有する他の実施形態も対象とする。したがって、本明細書に提示される特定の特色は、本開示の主題が本明細書で開示された特色の任意の適切な組合せを含むような本開示の主題の範囲内で他の仕方で互いと組み合わせることができる。本開示の主題の具体的な実施形態の上述の説明は、例示及び説明の目的で提示されてきた。排他的であること、又は本開示の主題を開示されたそれらの実施形態に限定することは意図されない。
【0239】
様々な変更及び変形が、本開示の主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく本開示の主題のシステム及び方法においてなされ得ることは、当業者に明らかである。したがって、本開示の主題が添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内である変更及び変形を含むことが意図される。
【0240】
様々な特許及び特許出願が本明細書で引用されており、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】