(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】周囲エアバッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/207 20060101AFI20221004BHJP
B60R 21/2342 20110101ALI20221004BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/2342
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501127
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2020033787
(87)【国際公開番号】W WO2021006958
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ウォルド、デーナ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、チャンスー
(72)【発明者】
【氏名】アルセダウィ、モハマド ユーセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツェンスティエル、フランク ジョセフ
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA21
3D054AA23
3D054CC04
3D054CC06
3D054CC08
3D054CC18
3D054CC34
(57)【要約】
【解決手段】 車両のシートバックから展開するように構成された周囲膨張式エアバッグアセンブリ(100)が開示されている。膨張式エアバッグアセンブリは、車両衝突事象における乗員の保護を提供することができる。衝突事象において、又は車両に対する乗員の前方及び/又は側方移動をもたらす他の事象において、開示された膨張式エアバッグアセンブリは、車両着座位置に対して前方又は側方に配置された車両構造体との衝撃から生じる傷害を防止又は最小化するように、ライドダウン中の乗員を受容及び支持することができる。開示されたエアバッグは、ヘッドバック部分を含むシートバックから展開することができる。展開中に、エアバッグの前部分は、乗員の頭部の上に向かって及び頭部の上に拡張することができ、車両着座位置の前に前方及び下方に更に拡張することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレータ(204)と、
膨張式クッション(110)と
を備えるエアバッグアセンブリ(100)であって、前記膨張式クッション(110)が、車両着座位置(30)を少なくとも部分的に包含するように展開可能であり、前記膨張式クッション(110)が、
前記車両着座位置(30)の第1の側面(31)において展開する第1の側面チャンバ(130)と、
前記車両着座位置(30)の第2の側面(32)において展開する第2の側面チャンバ(140)と、
展開された構成において、前記第1の側面チャンバ(130)と前記第2の側面チャンバ(140)との間に、及び前記車両着座位置(30)の前方に配置される前面チャンバ(150)と、
前記展開された構成において、前記第1の側面チャンバ(130)と前記第2の側面チャンバ(140)との間に、及び前記前面チャンバ(150)より上に配置されるリングチャンバ(160)とを含む、
エアバッグアセンブリ(100)。
【請求項2】
展開前に、前記リングチャンバ(160)が、前記前面チャンバ(150)に結合されている、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記リングチャンバ(160)が、破断ステッチ(303)を介して前記前面チャンバ(150)に結合されている、請求項2に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記リングチャンバ(160)が、ラッパー(304)又はテープ(310)を介して前記前面チャンバ(150)に結合されている、請求項2に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記ラッパーが、引き裂きシーム(305)を含む、請求項4に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記リングチャンバ(160)が、展開中に前記前面チャンバ(150)から分離される、請求項2に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項7】
展開前に、前記前面チャンバ(150)が、前記リングチャンバ(160)の周りに巻き付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記前面チャンバ(150)の第1の端部(151)が、前記第1の側面チャンバ(130)に対してねじられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記前面チャンバ(150)の前記第1の端部(151)の反対側の前記前面チャンバ(150)の第2の端部(152)が、前記第2の側面チャンバ(140)に対してねじられている、請求項8に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記展開された構成において、前記膨張式クッション(110)が、前記前面チャンバ(150)と前記リングチャンバ(160)との間に窓(111)を画定する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記リングチャンバ(160)の膨張が、前記前面チャンバ(150)を上方及び前方軌道において展開させる、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記前面チャンバ(150)、前記第1の側面チャンバ(130)、前記第2の側面チャンバ(140)、及び前記リングチャンバ(160)が、流体連通する、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項13】
前記膨張式クッション(110)が、前記車両着座位置(30)を画定するシートバック(44)及びヘッドバック(45)のうちの1つ以上から展開可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項14】
前記膨張式クッション(110)が、前記車両着座位置(30)のシートバック(44)及び/又はヘッドバック(45)の周囲の大部分から展開可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、自動車保護システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、衝突事象において展開するように構成されたエアバッグシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになる。添付の図面は、典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると考えられるべきでないことを理解した上で、実施形態について、添付の図面を参照して、具体的に及び詳細に記載及び説明する。
【0003】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、車両の車両着座位置における乗員の周りに配置されている、展開された状態にある膨張式エアバッグアセンブリの等角側面図である。
【0004】
【
図1A】
図1Aは、乗員が乗員の着座位置にあり、
図1の膨張式エアバッグアセンブリが展開されていない状態で車両シートのシートバック内に配置されている、車両シートの等角側面図である。
【0005】
【
図1B】
図1Bは、乗員が乗員の着座位置にあり、
図1Aの膨張式エアバッグアセンブリが初期の部分的に展開された状態でシートバックに隣接して配置されている、車両シートの等角側面図である。
【0006】
【
図1C】
図1Cは、乗員が乗員の着座位置にあり、
図1Bの膨張式エアバッグアセンブリが更に部分的に展開された状態にある、車両シートの等角側面図である。
【0007】
【
図1D】
図1Dは、乗員が乗員の着座位置にあり、
図1Cの膨張式エアバッグアセンブリがなおも更に部分的に展開された状態にある、車両シートの等角側面図である。
【0008】
【
図1E】
図1Eは、乗員が乗員の着座位置にあり、
図1Dの膨張式エアバッグアセンブリがなおも更に部分的に展開された状態にある、車両シートの等角側面図である。
【0009】
【
図1F】
図1Fは、乗員が乗員の着座位置にあり、
図1Eの膨張式エアバッグアセンブリが完全に展開された状態にある、車両シートの等角側面図である。
【0010】
【
図2】
図2は、シートバック内の配置のためにパッケージ化される前の、膨張していない状態にある
図1の膨張式エアバッグアセンブリの側面図である。
【0011】
【
図3A】
図3Aは、膨張式エアバッグアセンブリのリングチャンバ及び前面チャンバの周りのバンドの形態の結合機構の一実施形態を示す、部分的に折り畳まれた状態にある膨張式エアバッグアセンブリの側面図である。
【0012】
【
図3B】
図3Bは、膨張式エアバッグアセンブリのリングチャンバと前面チャンバとの間のタグの形態の結合機構の別の実施形態を示す、部分的に折り畳まれた状態にある膨張式エアバッグアセンブリの側面図である。
【0013】
【
図3C】
図3Cは、膨張式エアバッグアセンブリのリングチャンバと前面チャンバとの間の破断ステッチの形態の結合機構の別の実施形態を示す、部分的に折り畳まれた状態にある膨張式エアバッグアセンブリの側面図である。
【0014】
【
図3D】
図3Dは、膨張式エアバッグアセンブリの部分リングチャンバ及び前面チャンバの周りのラッパーの形態の結合機構の別の実施形態を示す、部分的に折り畳まれた状態にある膨張式エアバッグアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載されており図に示されている実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されよう。よって、図に示されている様々な実施形態に関する以下のより詳細な説明は、特許請求されている本開示の範囲を限定することは意図されておらず、単に様々な実施形態を示す。実施形態の様々な態様が図面に示されているが、図面は、特段に示されていない限り、必ずしも縮尺どおりに示されてはいない。
【0016】
膨張式エアバッグアセンブリは、衝突事象中の乗員の傷害を低減又は最小化するために広く使用されている。エアバッグモジュールは、ステアリングホイール内、ダッシュボード及び/又は計器パネル内、車両のルーフレールに隣接するサイドドア又はサイドシート内、頭上位置、又は膝若しくは脚位置を含むがこれらに限定されない、車両内の様々な箇所に設置されている。本開示は、前面及び側面保護を乗員に与えることができる。以下の開示では、「エアバッグ」とは一般に、衝突事象中にシートバックから展開して側面及び前面保護を提供する単一の膨張式エアバッグを指す。
【0017】
設置中に、エアバッグは、典型的に、パッケージ化された(例えば、巻かれた、折り畳まれた、及び/又はそうでなければ圧縮された)状態で配置されており、カバーを画定する車両の内部の部分の後ろにパッケージ化された状態で保持され得る。いくつかのシナリオでは、エアバッグは、展開中に1つ以上の方向のエアバッグの変位を必要とする展開後の所望の箇所から離れた箇所においてパッケージ化された状態に配置され得る。衝突事象中に、インフレータがトリガされ、これにより、エアバッグが膨張ガスで急速に充填される。エアバッグは、パッケージ化された状態から展開された状態又は拡張した構成へ急速に移行することができる。例えば、膨張するエアバッグは、(例えば、破裂シームを介して引き裂くことによって又はドア状構造体を開くことによって)エアバッグカバーを開いて、カバーから出ることができる。インフレータは、任意の好適なデバイス又はシステムによってトリガされてもよく、トリガは、衝突事象中に1つ以上の車両センサへの応答、及び/又は1つ以上の車両センサによる影響であってもよい。
【0018】
本明細書に開示されているエアバッグアセンブリのいくつかの実施形態は、前部座席の乗客を保護する(cushion)のにより好適であり得るが、他の実施形態は、より後方の座席など前部座席以外の座席の乗客に特により好適であり得る。エアバッグアセンブリは、車両内の構造体に対する乗員の衝撃(身体-構造体衝撃)の影響を低減することによって、衝突事象中の車両の乗員への傷害を軽減することができる。
【0019】
本明細書に開示されているいくつかの実施形態は、配置、保護、及び/又は安全性の向上を、特定のタイプの衝突に巻き込まれた乗員に提供することができる。例えば、いくつかの実施形態は、車両ドライバー、及び/又はドアに隣接して着座している前部座席の乗客を保護するように構成され得る。ある実施形態が有利となり得る衝突のタイプの例としては、(1)ぶつかった物体が、乗員の車両の構造的長手方向構成要素及び/又はエンジンブロックにかみ合わない衝突、(2)衝撃力が乗員の車両の左長手方向ビーム又は右長手方向ビームのいずれかの外側に主に作用する衝突、(3)FLEE又はFREE等の衝突変形分類(Collision Deformation Classification)スキームで分類される衝突、(4)乗員の車両が車両幅の25%未満でぶつかる前面衝撃衝突、(5)米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety,IIHS)のスモールオーバーラップ前突試験について規定されている衝突、又は(6)米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration,NHTSA)の斜め衝撃試験について規定されている衝突のうちの1つ以上が挙げられる。IIHSのスモールオーバーラップ前突試験、及びNHTSAの斜め衝撃試験についての条件は、Insurance Institute for Highway Safety, Small Overlap Frontal Crashworthiness Evaluation Crash Test Protocol(バージョンII)(2012年12月)、及びSaunders,J.,Craig,M.及びParent,D.,Moving Deformable Barrier Test Procedure for Evaluating Small Overlap/Oblique Crashes,SAE Int.J.Commer.Veh.5(1):172~195頁(2012年)に開示されている。本明細書で使用されるとき、衝突(衝突(crash)、衝撃など)を説明するために使用される「斜め」という用語は、前述の衝突のいずれか、及び衝撃の結果としての乗員の移動方向が前方方向又は成分と側方方向又は成分との両方を含む任意の他の衝突を包含することが意図されている。本開示では、斜め衝突中又は斜め衝突後の乗員の衝突後軌跡の長手方向成分は、車両前方方向に向けられ得る。本開示の膨張式エアバッグは、単独で、又は車両内の他の領域から展開される1つ以上の追加の膨張式エアバッグと組み合わせて使用され得る。
【0020】
図1は、車両の車両着座位置30における乗員50の周りに配置されている、展開された状態である膨張式エアバッグアセンブリ100の等角側面図である。車両着座位置は、車両のシートに着座しているときの乗員が一般に配置されている位置であり得る。「乗員」という用語は、車両内の人若しくは衝突試験用ダミー、又はそうでなければ車両を占有する人若しくは衝突試験用ダミーを指し得る。
【0021】
車両シートアセンブリ40は、シート42、シートバック44、及びヘッドバック45を含む。膨張式エアバッグアセンブリ100は、実質的に完全に展開及び膨張した状態で示されており、車両着座位置30の前方に及び車両着座位置30より上に拡張する、並びに車両着座位置30の第1の側面31(例えば、左側)及び第2の側面32(例えば、右側)に沿って拡張する膨張式クッション110を含む。いくつかの実施形態では、膨張式クッション110は、車両着座位置30及び車両着座位置30における乗員50を部分的に包含し得る。膨張式クッション110はまた、シートバック44の両側で側方外向きに展開又は拡張することができ、また、ヘッドバック45の両側で側方外向きに及びヘッドバック45の上方に拡張することができる。
【0022】
膨張式クッション110は、メインチャンバ120及びリングチャンバ160を含んでもよく、互いに流体連通してもよい。メインチャンバ120は、前面チャンバ150、第1の側面チャンバ130、及び第2の側面チャンバ140によって画定されてもよく、これらの全ては互いに流体連通する。前面チャンバ150は、前面チャンバ150の第1の端部151において第1の側面チャンバ130に接合し、また、前面チャンバ150の第2の端部152において第2の側面チャンバ140に接合する。
【0023】
リングチャンバ160は前部分161、後部分162、並びに/又は第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140の上部分によって画定され得る。したがって、リングチャンバ160は、車両着座位置30より上から見たとき、車両着座位置30より上に開口部(図示せず)を有するドーナツ形状を有し得る。いくつかの実施形態では、開口部は、車両着座位置30より上に配置され得、いくつかの場合では、車両着座位置30に着座している乗員50の頭部51より上に配置され得る。リングチャンバ160の前部分161は、車両着座位置30に着座しているときの乗員50の頭部51より上に及び頭部51の前方にあるように、車両着座位置30の上方及び前方に拡張し得る。後部分162は、車両シートアセンブリ40のヘッドバック45より上に配置されてもよく、また、車両着座位置30に着座しているときの乗員50の頭部51より上に及び/又は頭部51の後ろに拡張してもよい。いくつかの実施形態では、後部分162はまた、ヘッドバック45の前方及び/又は後方に拡張してもよい。いくつかの実施形態では、リングチャンバ160は、前部分161、並びに側面チャンバ130及び140の上部分によって形成された、ドーナツの代わりにU字形状のように見え得る。同様に、後部分162は省略されてもよい。いくつかの実施形態では、リングチャンバ160は、別のパネル若しくは膨張式パネル、又はこれらの組み合わせで部分的に又は完全に閉じられ得る。
【0024】
前面チャンバ150は、前面チャンバ150が車両着座位置30に着座しているときの乗員50の胴体の前方に拡張するように、車両着座位置30の前方に拡張する。前面チャンバ150は、車両着座位置30に着座しているときの乗員50の脚の頂部に隣接する及び/又は脚の頂部と接触するように下方に拡張し得る。いくつかの実施形態では、前面チャンバ150は、車両着座位置30における乗員50の膝の前方に拡張し得る。前面チャンバ150はまた、乗員50の胴体より上に上方に拡張してもよく、いくつかの実施形態では、前面チャンバ150はまた、乗員50の肩に隣接するように上方に拡張してもよい。前面チャンバ150の後側は、乗員50の胴体に隣接する及び/又は胴体と接触するように後方に拡張し得る。前面チャンバ150の前側はまた、乗員50の膝へ又は膝を越えて拡張し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140の前部分は、乗員50の顔及び肩の前方に拡張し得る。第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140の下部分は、乗員50の腰部に隣接する及び/又は腰部より下にあるように下方に拡張してもよく、シート42に隣接する及び/又はシート42より下にあるように更に拡張してもよい。
【0026】
メインチャンバ120及びリングチャンバ160は、前面開口部又は窓111を画定し得る。窓111は、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140によって側で境界付けられ得、リングチャンバ160の前部分161によって頂部で境界付けられ得、前面チャンバ150によって底部で境界付けられ得る。いくつかの実施形態では、窓111は、乗員がステアリングホイールエアバッグ又は乗客前面エアバッグなどの追加のエアバッグシステムと相互作用することを可能にし得る。
【0027】
図1A~
図1Fは、膨張中の展開の逐次的状態にある膨張式エアバッグアセンブリ100を示す。
図1Aは、乗員50が車両着座位置30に着座しており、膨張式エアバッグアセンブリ100が展開されていないパッケージ化された状態にある、車両シートアセンブリ40の等角側面図である。パッケージ化された状態で、膨張式エアバッグアセンブリ100は、隠れ線で示されているように、車両シートアセンブリ40のシートバック44及びヘッドバック45内に配置され得る。膨張式エアバッグアセンブリ10はまた、シートバック44内に全体が配置され得、ヘッドバック45より下のシートバックをまたがってパッケージ化され得る。車両シートアセンブリ40は、展開されていない膨張式エアバッグアセンブリ100をその内に配置するための空洞を含み得る。空洞は、シートバック44の側縁部及びヘッドバック45の側縁部に沿って配置され得、ヘッドバック45の頂部の上に向かって及びヘッドバック45の頂部の上に拡張して、連続的な細長い逆U字形状を形成し得、連続的な細長い逆U字形状は、シートバック44及びヘッドバック45の周囲の大部分に沿って配置されている。いくつかの実施形態では、配置のための空洞は、シートバック44内に全体が配置され得る。展開されていない状態で、膨張式クッション110は、最小限の体積及び空洞の形状と一致する形状に巻かれてもよく、折り畳まれてもよく、又はそうでなければ圧縮されてもよい。第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140は、シートバック44のそれぞれの側縁部に沿って拡張する空洞内に配置され得る。リングチャンバ160と一緒に前面チャンバ150は一緒に圧縮され得、ヘッドバック45の周囲に沿って配置された空洞の部分内に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140の部分は、空洞のヘッドバック部分に沿って配置されてもよく、前面チャンバ150及びリングチャンバ160の部分は、シートバック44の側縁部に沿って拡張する空洞の部分内に配置されてもよい。いくつかの場合では、ヘッドバック45の頂部部分は、空洞がまた頭部51の頂部より上に配置されるように、乗員50の頭部51の頂部より上に拡張してもよい。他の場合では、ヘッドバック45の頂部分は、頭部51の頂部より下にあってもよい。他の実施形態では、側面チャンバ130及び/又は140の部分と共にリングチャンバ160と一緒に前面チャンバ150は、シートバック44をまたがって延び主にヘッドバック45より下にあってもよく又はヘッドバック45より下になくてもよい空洞内に配置され得る。
【0028】
図1B~
図1Eは、部分的展開の逐次的状態における膨張式エアバッグアセンブリ100を示す。
図1Bでは、膨張式クッション110は、膨張の初期状態にある。膨張中に、空洞の部分は、膨張式クッション110が空洞を出ることを可能にするように開き得る。
図1Bに示されているように、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140は、シートバック44の側縁部から離れて側方に展開及び拡張し、リングチャンバ160と一緒にフロントチャンバ150は、ヘッドバック45の後ろに又はヘッドバック45より下にパッケージ化されている場合は、ヘッドバック45から離れて上方及び側方に、又はヘッドバック45の上に展開及び拡張する。前面チャンバ150は、乗員50が車両着座位置30に着座している状態で、車両着座位置30の後ろの初期位置から車両着座位置30の前の最終位置まで展開するように構成されており、膨張式エアバッグアセンブリ100は、画定された経路に沿って前面チャンバ150を展開するように構成され得る。画定された経路は、第1の軌道171及び第2の軌道172(
図1Eを参照されたい)を含み得る。
図1Bは、リングチャンバ160の前部分161と一緒に第1の軌道171において拡張する前面チャンバ150を示す。第1の軌道171は、車両着座位置30に着座しているときの乗員50の頭部51より上にあるように、車両着座位置30より上に上方として及び前方方向に画定され得る。いくつかの実施形態では、前面チャンバ150及びリングチャンバ160は、一緒に結合され得る。前面チャンバ150とリングチャンバ160との結合は、前面チャンバ150及びリングチャンバ160が同じ第1の軌道171において展開することを可能にする。様々な結合機構について、以下で更に詳細に説明する。
【0029】
図1Cでは、膨張式クッション110は、
図1Bに示されている状態に対して膨張の更なる状態にある。
図1Cでは、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140は、シートバック44の側縁部から離れて側方に拡張し続け、車両着座位置30の第1の側面31及び第2の側面32に沿って前方に拡張し始める。加えて、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140は、シートバック44の前方に拡張している。同様に、リングチャンバ160の前部分161及び後部分162と一緒に前面チャンバ150は、ヘッドバック45から離れて上方及び側方に拡張し続ける。前面チャンバ150、及びリングチャンバ160の前部分161は一緒に、第1の軌道171において拡張し続ける。
【0030】
図1Dでは、膨張式クッション110は、
図1Cに示されている状態に対して膨張の更なる状態にある。
図1Dでは、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140は、シートバック44の前方に膨張及び拡張し続ける。同様に、リングチャンバ160の前部分161及び後部分162は膨張し続け、前部分161は、ヘッドバック45から離れて前方方向に拡張し続ける。前面チャンバ150は、以下で更に説明するように、リングチャンバ160よりもゆっくりと膨張するように構成されてもよい。したがって、前面チャンバ150は、リングチャンバ160よりも小さい膨張の状態で前方方向に拡張し続ける。前述のように、前面チャンバ150は、リングチャンバ160の前部分161に結合されてもよく、このため、前部分161の前方拡張は、第1の軌道171において前方に向けられた力を前面チャンバ150に及ぼして、車両着座位置30の前方にあるように前面チャンバ150の前方拡張を容易にする。第1の側面チャンバ130は、第1の側面31に沿って前方に拡張し続け、第2の側面チャンバ140は、第2の側面32に沿って前方に拡張し続ける。
【0031】
図1Eでは、膨張式クッション110は、
図1Dに示されている状態に対して膨張の更なる状態にある。
図1Eでは、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140は、それぞれ、第1の側面31及び第2の側面32に沿って実質的に全体が膨張及び拡張する。リングチャンバ160は、前部分161が前方方向に完全に拡張する状態で実質的に完全に膨張する。前面チャンバ150は、部分的にのみ膨張し、リングチャンバ160の前部分161から分離されており、よって、前面チャンバ150が第2の軌道172において変位することを可能にする。いくつかの実施形態では、第2の軌道172は、車両着座位置30に着座しているときの乗員50の前にあるように、
図1Dに示されている位置に対して車両着座位置30の前に前方及び下方方向として画定される。前面チャンバ150と前部分161との分離は、窓111の形成を開始する。前面チャンバ150の部分的膨張は、前面チャンバ150の形状及び/又は密度を確立して、前面チャンバ150の運動量が、画定された経路、例えば第2の軌道に沿う前面チャンバ150の変位を支援することを可能にするのに役立つ。
【0032】
いくつかの実施形態では、前面チャンバ150は、側面チャンバ130及び140に対してねじられてもよい。例えば、一実施形態では、前面チャンバ150は、前面チャンバ150の第1の端部151において、第1の側面チャンバ140に対してねじられてもよい。別の実施形態では、前面チャンバ150は、前面チャンバ140の第2の端部152において、第2の側面チャンバ140に対してねじられてもよい。いくつかの実施形態では、前面チャンバ150は、前面チャンバ150の第1の端部151において、第1の側面チャンバ130に対してねじられてもよく、前面チャンバ150の第2の端部152において、第2の側面チャンバ140に対してねじられてもよい。第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140に対する前面チャンバ150のねじれは、第1の側面チャンバ130、第2の側面チャンバ140、及びリングチャンバ160の膨張速度に対して前面チャンバ150の膨張を阻止し得又は減速させ得、これは、前面チャンバ150のねじれが第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140から又はこれらに対して解かれるまで、膨張ガスが前面チャンバ150を膨張させることができないためである。他の実施形態では、前面チャンバ150は、側面チャンバ130又は140のいずれかに対してねじられなくてもよい。他の実施形態では、側面チャンバ130又は140に対する前面チャンバ150の膨張は、遅延しなくてもよく、又は著しく遅延しなくてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、前面チャンバ150の第1の端部151は、第1の側面チャンバ130に対してz折り畳まれてもよく、押しつぶされてもよく、又はそうでなければ圧縮されてもよく、前面チャンバの第1の端部151の反対側の前面チャンバ150の第2の端部152は、第2の側面チャンバ140に対してz折り畳まれてもよく、押しつぶされてもよく、又はそうでなければ圧縮されてもよい。展開中に、前面チャンバの第1の端部151の折り畳みは、第1の側面チャンバ130に対して解かれてもよく、第2の端部152の折り畳みは、第2の側面チャンバ140に対して解かれてもよい。第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140に対する前面チャンバ150のz折り畳みは、第1の側面チャンバ130、第2の側面チャンバ140、及びリングチャンバ160の膨張速度に対して前面チャンバ150の膨張を阻止し得又は減速させ得、これは、前面チャンバ150の折り畳みが第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140から又はこれらに対して解かれるまで、膨張ガスが前面チャンバ150を膨張させることができないためである。
【0034】
図1Fでは、膨張式クッション110は、完全に展開された状態にある。第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140は、それぞれ、第1の側面31及び第2の側面32に沿って完全に膨張及び拡張し、リングチャンバ160の前部分161は、前方方向に完全に膨張し完全に拡張する。リングチャンバ160の前部分161及び後部分162は完全に膨張して、車両着座位置30より上にドーナツ形状の開口部(図示せず)を確立する。いくつかの実施形態では、リングチャンバ160は、車両着座位置30より上にU字形状の開口部(図示せず)を確立することができる。他の実施形態では、このリングは、パネル若しくは膨張式パネル又はこれらの組み合わせで部分的に又は完全に閉じられ得る。リングチャンバは、単一又は複数のチャンバから作製され得る。リングチャンバは大部分、後部から充填されてもよく、又は側面チャンバ130及び/若しくは140からの複数の入口点から充填されてもよい。前面チャンバ150は、完全に膨張し車両着座位置30の前に配置され、窓111が形成される。
【0035】
図2は、膨張していない状態にある膨張式エアバッグアセンブリ100の側面図である。膨張式エアバッグアセンブリ100は、インフレータ204を含み、上述のように、膨張式クッション110を含む。膨張式クッション110は、メインチャンバ120及びリングチャンバ160を画定するように、外側シーム201を介して一緒に結合された単一又は複数のファブリックパネル205から形成され得る。外側シーム201はまた、ファブリックパネル205を一緒に結合して、第1の側面チャンバ130、第2の側面チャンバ140、及び前面チャンバ150を画定することができる。外側シーム201は、ファブリックパネル205を一緒に更に結合して、リングチャンバ160の前部分161及び後部分162、並びに窓111を画定することができる。いくつかの実施形態では、後部分162は、外側シーム201によって形成されなくてもよい。いくつかの実施形態では、内側シーム202は、ファブリックパネル205の部分を一緒に結合して、チャンバの膨張した形状を更に画定又は制約することができる。図示された実施形態では、インフレータ204は、第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140のうちの1つの後部領域に沿って膨張式クッション110に結合され得る。他の実施形態では、インフレータ204は、別の箇所において膨張式クッション110に結合され得る。
【0036】
上述のように、前面チャンバ150は、リングチャンバ160、より具体的には、リングチャンバ160の前部分161に結合され得る。
図3A~
図3Dは、例示的な結合機構及び方法を示す。リングチャンバ160と前面チャンバ150との間の結合は、一時的であってもよい。したがって、前面チャンバ150は、展開前及び展開の早期部分中にリングチャンバ160に結合され得る。展開の後期部分中に及び展開後に、前面チャンバ150は、リングチャンバ160から分離されてもよい。結合機構は、展開中の膨張式クッション110の状態に基づいて分離し得る。例えば、結合機構は、1つ以上のチャンバが膨張の規定された状態を超えたとき分離し得る。いくつかの実施形態では、結合機構は、1つ以上のチャンバが拡大したとき又はそうでなければ1つ以上のチャンバの形状が変化したとき、結合機構に課される上昇したレベルの引張応力に起因して分離し得る。他の実施形態では、上昇したレベルの引張応力は、1つ以上のチャンバが互いに対して変位したとき、結合機構に課され得る。図示された実施形態では、結合機構は、前面チャンバ150の一部分をリングチャンバ160の一部分に結合することができ、前面チャンバ150の該一部分及びリングチャンバ160の該一部分は、膨張式クッション110が膨張していないとき、互いに近接して配置され得るが、膨張式クッション110が膨張したとき、互いに離れて配置され得る。したがって、結合された部分の分離は、結合機構の分離を引き起こし得る。
【0037】
図3Aは、前部分161に近接して前面チャンバ150を制約するように、リングチャンバ160の前部分161及び前面チャンバ150の周りに配置されたバンド301の形態の結合機構の実施形態を示す。バンド301は、閉ループを画定するように任意の構造から形成され得る。例えば、バンド301は、平坦ストラップ、丸コード、固体フィラメント、テープ、又は任意の他の好適な材料から形成され得る。バンド301は、接着剤、縫製、フック/ループ、摩擦、又は他の方法などの様々な手段によって閉じられ得る。バンド301は、実際には物理的に閉じられなくてもよく、前部分161及び前面チャンバ150の周りに巻き付けられるのみでよい。したがって、前面チャンバ150及び前部分161は、
図1B~
図1Dに示されているような展開の一部分中に同じ経路又は軌道に沿って展開し得る。展開中のある時点において、張力のレベルがバンド301の破断強度を超え得、この際に、バンド301は破断し、前面チャンバ150が前部分161から離れて変位することを可能にする。いくつかの実施形態では、バンド301は破断しなくてもよく、バンド301の巻き付けが解かれるのみでよい。いくつかの実施形態では、バンド301は、破断強度を有する材料から形成され得。該破断強度は、例えば、前面チャンバ150の変位中にリングチャンバ160への前面チャンバ150結合を維持するのに十分に強く、リングチャンバ160内の膨張圧力によって加えられるフープ応力に起因して、リングチャンバ160の連続する膨張の際に破断するのに十分に弱い。他の実施形態では、バンド301は、より薄いセクション、ノッチ付きセクション、穿孔セクション、切れ目セクション、又はバンド310の端部が一緒に結合されている点などの、破壊強度を規定するために弱められたセグメントを含み得る。例えば、バンド310の端部は、バンド301の端部が分離してバンド301を破断させるように、ステッチング又は接着剤を介して一緒に結合され得る。したがって、前面チャンバ150は、車両着座位置30の下方及び前に変位し得、リングチャンバ160は、車両シートアセンブリ40のヘッドバック45に隣接する又はヘッドバック45より上のレベルに留まり得る。
【0038】
図3Bは、前部分161に近接して前面チャンバ150を制約するように、リングチャンバ160の前部分161と前面チャンバ150との間に配置されたタグ302の形態の結合機構の別の実施形態を示す。バンド301と同様に、タグ302は、展開の一部分中に同じ経路又は軌道に沿って展開するように、前面チャンバ150及び前部分161を制約することができる。展開中のある時点において、張力のレベルがタグ302の結合能力を超え得、この際に、タグ302の結合能力が負かされ、これは、前面チャンバ150が前部分161から離れて変位することを可能にする。図示された実施形態では、タグ302は、クッション織り端を貫通するが、タグ302は、膨張したチャンバを貫通してもよく、又は一方の側で膨張し他方の側で膨張しないチャンバを貫通してもよい。他の実施形態では、2つ以上のタグ302が存在してもよい。
【0039】
図3Bはまた、展開されていない状態にある前面チャンバ150のねじられた構成を示す。前面チャンバ150の中心部分は、前面チャンバ150の第1の端部151及び第2の端部152に対してねじられて、前面チャンバ150の第1の端部151及び第2の端部152のねじられた構成を確立してもよい。図示されているように、前面チャンバ150の中央部分は、前面チャンバ150がねじられた状態にあるとき、リングチャンバ160の前部分161に結合され得る。タグ302は、前面チャンバ150がリングチャンバ160から分離されるまで、第1の端部151及び第2の端部152のねじれが解かれるのを阻止することができる。前面チャンバ150の第1の端部151及び第2の端部152のねじられた構成は、第1の側面チャンバ130、第2の側面チャンバ140、及びリングチャンバ160の膨張速度に対して前面チャンバ150の膨張を阻止し得又は減速させ得る。前面チャンバ150のねじられた構成は、
図1B及び
図1Cに示されているような第1の軌道171、及び
図1Eに示されているような第2の軌道172を含む画定された経路に沿う前面チャンバ150の変位を提供することができる。図示された実施形態では、ねじられた構成は、前面チャンバ150の形状及び/又は密度を確立して、前面チャンバ150の運動量が、画定された経路に沿う前面チャンバ150の変位を支援することを可能にし得る。他の実施形態では、ねじれ以外の方法は、前面チャンバ150の周りに配置されたスリーブ、前面チャンバ150の部分を一緒に結合するシーム又は接着剤などの、前面チャンバ150の所望の形状又は密度を共に確立し得る。図示された実施形態では、リングチャンバ160の前部分161の展開方向は、膨張中のリングチャンバ160の拡大によって画定されてもよく、向けられてもよく、又は影響されてもよい。前面チャンバ150が前部分161に結合された際に、前面チャンバ150は、ねじられた前面チャンバ150の運動量を第1の軌道171に沿って確立する前部分161(
図1B及び
図1Cを参照されたい)と同じ又は同様の経路に沿って変位するように制約され得る。前面チャンバ150がリングチャンバ160から分離した際に、ねじられた前面チャンバ150の運動量は、前面チャンバ150を前部分161とは独立して第1の軌道171に沿って変位させ続け得る。したがって、ねじられた前面チャンバ150の運動量は、前面チャンバ150が車両着座位置30の上方及び前方に変位することを可能にし得る。
【0040】
図3Cは、前部分161に近接して前面チャンバ150を制約するように、リングチャンバ160の前部分161と前面チャンバ150との間に配置された破断ステッチ303の形態の結合機構の別の実施形態を示す。破断ステッチ303は、これらのチャンバの膨張していない領域間でのみ、これらのチャンバの膨張した領域間でのみ、又はこれらのいくつかの他の組み合わせで縫製され得る。様々なタイプのファブリックの別個のパネルが、これらの縫製が起きる箇所間のいずれの間隙をも埋めるために使用され得る。
図3Bの実施形態と同様に、前面チャンバ150は、リングチャンバ160に結合する前にねじられてもよい。他の実施形態では、前面チャンバ150はねじられなくてもよいが、そうでなければ、全体的なモジュール折り畳みのこの段階において折り畳まれる又は圧縮される。破断ステッチ303は、前面チャンバ150のねじれが解かれるのを防止することができ、展開の一部分中に同じ又は同様の経路又は軌道に沿って展開するように前面チャンバ150及び前部分161を制約することができる。展開中のある時点において、引張応力のレベルが破断ステッチ303の結合能力を超え得、この際に、前面チャンバ150は、リングチャンバ160から分離され、前部分161から離れて変位することが可能にされる。
【0041】
図3Dは、前部分161に近接して前面チャンバ150横長部分を制約するように、リングチャンバ160の前部分161及び前面チャンバ150の周りに配置されたラッパー304の形態の結合機構の更に別の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ラッパー304は、ねじられた第1の端部151とねじられた第2の端部152との間の前面チャンバ150の一部分がリングチャンバ160に結合されているように、ねじられた第1の端部151とねじられた第2の端部152との間に拡張し得る。他の実施形態では、ラッパー304はまた、ねじられた第1の端部151及びねじれられた第2の端部152の部分をリングチャンバ160に結合し得る。前述の実施形態と同様に、ラッパー304は、展開の一部分中に同じ経路又は軌道に沿って展開するように、前面チャンバ150及び前部分161を制約し得る。バンド301と同様に、ラッパー304は、破断強度を有する材料から形成され得、該破断強度は、例えば、前面チャンバ150の変位中にリングチャンバ160への前面チャンバ150結合を維持するのに十分に強く、リングチャンバ160内の膨張圧力によって加えられるフープ応力に起因して、リングチャンバ160の連続する膨張の際に破断するのに十分に弱い。いくつかの実施形態では、ラッパー304は、引き裂きシーム305又は穿孔部分を含み得、これにより、展開中のある時点において、引き裂きシーム305は分離し得、前面チャンバ150が前部分161から離れて変位することを可能にし得る。
【0042】
前面チャンバ150をリングチャンバ160の前部分161に一時的に結合する他の方法は、本開示の利益を有する当業者によって、本明細書に含まれるように企図され得る。いくつかの実施形態では、前面チャンバ150は、前面チャンバ150の一部分をリングチャンバ160の前部分161と一緒に巻き付けることによって、リングチャンバ160に結合され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、膨張式クッション110は、車両に取り付けるためのパッケージ化された状態にパッケージ化され得る。膨張式クッション110をパッケージ化することは、膨張式クッション110の第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140に対して、膨張式クッション100の前面チャンバ150をねじることを含み得る。前述のように、前面チャンバは、第1の側面チャンバと第2の側面チャンバとの間に配置され得る。
【0044】
前面チャンバ150が第1の側面チャンバ130及び第2の側面チャンバ140に対してねじられた後、前面チャンバ150は、上述の実施形態のいずれかに従って、又は任意の他の結合機構によって、膨張式エアバッグクッション110のリングチャンバ160に結合され得る。リングチャンバ160は、第1の側面チャンバ130と第2の側面チャンバ140との間、及び前面チャンバ150より上に配置され得る。
【0045】
前面チャンバ150がリングチャンバ160に結合された後、膨張式クッション110は、つぶされた構成に巻かれ得、空洞内に配置され得、空洞は、シートバック44及びヘッドバック45の周囲の大部分を含み得る。いくつかの実施形態では、膨張式クッションは、シートバック44内にのみ配置される。したがって、車両に取り付けるためのパッケージ化された状態に膨張式エアバッグクッション110をパッケージ化する方法は、以下のステップを含み得る。前面チャンバ150は、前面チャンバ150が第1の後期チャンバ130と第2の側面チャンバ140との間に配置されている状態で、第1の後期チャンバ130及び第2の側面チャンバ140に対してねじられ得る。前面チャンバ150は、リングチャンバ160が第1の後期チャンバ130と第2の側面チャンバ140との間、及び前面チャンバ150より上に配置されている状態で、リングチャンバ160に結合され得る。次いで、膨張式エアバッグクッション110は、つぶされた構成に巻かれ得及び/又は折り畳まれ得る。
【0046】
本明細書全体における「一実施形態(an embodiment)」又は「実施形態(the embodiment)」への言及は、当該実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体において記載されている句、又は句の変形は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及してはいない。
【0047】
同様に、実施形態の上記の説明において、本開示を合理化するために、様々な特徴は、これらの特徴の単一の実施形態、図、又は説明に一緒にグループ化されていることがあることを理解されたい。しかしながら、開示のこの方法は、任意の請求項が当該請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、いずれの単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。よって、この発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、この発明を実施するための形態に明示的に組み込まれており、各請求項は、それ自体が別個の実施形態として成立する。本開示は、独立請求項と独立請求項の従属請求項との全ての並べ替えを含む。
【0048】
特徴又は要素に対する「第1の」という用語の特許請求の範囲における記載は、第2の又は追加のそのような特徴又は要素の存在を必ずしも示唆してはいない。本発明の根本的な原理から逸脱することなく、変更が上記の実施形態の詳細になされてもよいことが、当業者には明らかである。排他的な所有権又は特権が請求されている本発明の実施形態は、以下のように定義されている。
【国際調査報告】