(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】インテリジェントマッチングを実現し、リズミックトラックを追加する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G10G 1/04 20060101AFI20221004BHJP
G10H 1/40 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G10G1/04
G10H1/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505266
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 CN2020107778
(87)【国際公開番号】W WO2021023296
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201910729601.9
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リー, ドンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, チャオユー
【テーマコード(参考)】
5D182
5D478
【Fターム(参考)】
5D182AC01
5D182AD05
5D182AD06
5D478EA51
(57)【要約】
本開示は、インテリジェントマッチングを実現し、リズミックトラックを追加する方法及びシステムを提供する。1つの実施例では、複数の音楽要素を事前に記憶することと、複数の音楽要素に従ってリズミックトラックライブラリを生成することであって、リズミックトラックライブラリは、複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む、生成することと、元の音楽のBPMを検出し、元の音楽の検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔を計算することと、元の音楽のリズムに合致するように、リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを選択し、時間間隔に基づいて1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータを割り当てることと、元の音楽と合成し、再生するように、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックを元の音楽に追加することと、を含む方法が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェントマッチングを実現し、リズミックトラックを追加する方法であって、
複数の音楽要素を事前に記憶することと、
前記複数の音楽要素に従ってリズミックトラックライブラリを生成することであって、前記リズミックトラックライブラリは、前記複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む、前記生成することと、
元の音楽の毎分ビート(BPM)の数を検出し、前記元の音楽の前記検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔を計算することと、
前記元の音楽のリズムに合致するように、前記リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを選択し、前記時間間隔に基づいて前記1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータを割り当てることと、
前記元の音楽と合成し、再生するように、前記時間パラメータが割り当てられた前記1つ以上のリズミックトラックを前記元の音楽に追加することと、
を備えた、前記方法。
【請求項2】
前記元の音楽に対してダウンビート検出を実行することと、
前記元の音楽のダウンビートを、前記時間パラメータが割り当てられた前記1つ以上のリズミックトラックの第1のビートと調整することと、
を更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リズミックトラックライブラリ内の前記複数のリズミックトラックは、音楽様式及び/または音楽ビートタイプに従って複数のグループに分割される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを前記選択することは、
前記元の音楽の前記BPMに基づいて、前記元の音楽の音楽ビートタイプを判定すること、及び/または前記元の音楽の前記BPMに基づいて、前記元の音楽の音楽様式を判定することと、
前記元の音楽の前記判定された音楽ビートタイプ及び/または音楽様式に基づいて、前記リズミックトラックライブラリ内の前記複数のリズミックトラックの前記複数のグループのうちの少なくとも1つから1つ以上のリズミックトラックを選択することと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のリズミックトラックは、包含される前記複数の音楽要素、及び包含される前記複数の音楽要素の各々と包含される前記第1の音楽要素との間のビートの数のみを記録する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
異なる持続時間を有する複数のリズミックトラックを前記リズミックトラックライブラリに追加することを更に備えた、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
各々のリズミックトラック内の音楽要素ごとにボリュームを個々に設定することを更に備えた、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記元の音楽の再生の工程中にリアルタイムで前記BPMを検出することと、
最後に検出された前記BPMに従って、2つのビートごとの時間間隔を更新することと、
を更に備えた、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
予め定められた時間間隔において、前記元の音楽の前記ダウンビートを、前記時間パラメータが割り当てられた前記1つ以上のリズミックトラックの前記第1のビートと再調整することを更に備えた、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
インテリジェントマッチングを実現し、リズミックトラックを追加するシステムであって、
複数の音楽要素及びリズミックトラックライブラリを事前に記憶したメモリであって、前記リズミックトラックライブラリは、前記複数の音楽要素に従って生成され、前記リズミックトラックライブラリは、前記複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む、前記メモリと、
プロセッサであって、
元の音楽の毎分ビート(BPM)の数を検出し、前記元の音楽の前記検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔を計算し、
前記元の音楽のリズムに合致するように、前記リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを選択し、前記時間間隔に基づいて前記1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータを割り当て、
前記元の音楽と合成し、再生するように、前記時間パラメータが割り当てられた前記1つ以上のリズミックトラックを前記元の音楽に追加する、
ように構成された、前記プロセッサと、
を備えた、前記システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記元の音楽に対してダウンビート検出を実行し、前記元の音楽のダウンビートを、前記時間パラメータが割り当てられた前記1つ以上のリズミックトラックの前記第1のビートと調整するように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記リズミックトラックライブラリ内の前記複数のリズミックトラックは、音楽様式及び/または音楽ビートタイプに従って複数のグループに分割される、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記元の音楽の前記BPMに基づいて、前記元の音楽の音楽ビートタイプを判定し、及び/または前記元の音楽の前記BPMに基づいて、前記元の音楽の音楽様式を判定し、
前記元の音楽の前記判定された音楽ビートタイプ及び/または音楽様式に基づいて、前記リズミックトラックライブラリ内の前記複数のリズミックトラックの前記複数のグループのうちの少なくとも1つから1つ以上のリズミックトラックを選択する、
ように更に構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のリズミックトラックは、包含される前記複数の音楽要素、及び包含される前記複数の音楽要素の各々と包含される前記第1の音楽要素との間のビートの数のみを記録する、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項15】
前記メモリは、異なる持続時間を有する複数のリズミックトラックを前記リズミックトラックライブラリに更に記憶する、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、各々のリズミックトラック内の音楽要素ごとにボリュームを個々に設定するように更に構成されている、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記元の音楽の再生の工程中にリアルタイムで前記BPMを検出し、最後に検出された前記BPMに従って、2つのビートごとの時間間隔を更新する、ように更に構成されている、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、予め定められた時間間隔において、前記元の音楽の前記ダウンビートを、前記時間パラメータが割り当てられた前記1つ以上のリズミックトラックの前記第1のビートと再調整するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法を実行することができる、前記コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音声の分野に関し、特に、インテリジェントマッチングを実現し、元の音楽に基づいてリズミックトラックを追加する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
材料の寿命の継続的な改善により、パーティを催し、パーティに参加するために人々が集まるより多くの機会が存在する。一般的に、人々は、パーティの音声システムによって再生される音楽にエフェクトを追加することによって、パーティの雰囲気を盛り上げることを望む。より良好な結果を達成するために、専門的な機器(ディスクジョッキー(DJ)ステーション)を制御するために高度に専門的な人員(DJ)を必要とすることが多い。しかしながら、通常のユーザにとって、そのような専門的な人員及び専門的な機器を欠いていることが多い。
【0003】
現在では、音声システム上で実装された既存のスマートなDJソリューションは、再生される元の音楽に対して特定のサウンドエフェクト処理を単純に実行することができる。
図1は、再生される元の音楽に対してサウンドエフェクト処理を実行する既存の方法の概略図を示す。
図1を参照して、サウンドエフェクト処理工程は、再生される元の音楽を読み取ることと、再生される元の音楽の特定のセグメントを自動で且つ無作為に選択することと、何らかの特殊サウンド処理エフェクト(位相シフト及び遅延など)を追加することと、によるものである。音楽に対するこの種のサウンド処理ソリューションは、人間の介入なしに自動サウンドエフェクト処理を実現するが、以下の欠点をなおも有する。
a)既存のサウンドエフェクト処理が無作為方式においてサウンド処理エフェクトを追加することができるにすぎないので、サウンドエフェクトをシーンの雰囲気に良好に統合することができないという不意の状況が存在する。
b)既存のサウンドエフェクト処理ソリューションは、元の音楽のフラグメントの一部に対して何らかの単純なサウンドエフェクト処理を実行するにすぎず、元の音楽に新たな音楽要素を追加しない。このことによって、サウンドエフェクト処理を通じて提示されるエフェクトが繰り返され、単調さが生じる。
c)既存のサウンドエフェクト処理ソリューションは、元の音楽に対していくつかの固定された共通エフェクト処理を実行することができるにすぎない。共通サウンドエフェクト処理は、エッジング/位相シフト/遅延/コーラシングを含むが、それらのサウンドエフェクトは、完全に異なる様式を有する。したがって、既存のサウンドエフェクト処理ソリューションに従って、処理された音楽の音楽様式は、非常に不明瞭であり、それは、ユーザに良好なリスニング経験をもたらすことができない。
【0004】
したがって、ユーザにより良好なリスニング経験をもたらすための、改善されたサウンドエフェクト追加及び処理ソリューションに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つ以上の態様に従って、複数の音楽要素を事前に記憶することと、複数の音楽要素に従ってリズミックトラックライブラリを生成することであって、リズミックトラックライブラリは、複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む、生成することと、元の音楽の毎分ビート(BPM)の数を検出し、元の音楽の検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔を計算することと、元の音楽のリズムに合致するように、リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを選択し、時間間隔に基づいて1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータを割り当てることと、元の音楽と合成し、再生するように、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックを元の音楽に追加することと、を含む方法が提供される。
【0006】
本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法は、元の音楽に対してダウンビート検出を実行することと、元の音楽のダウンビートを、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックの第1のビートと調整することと、を更に含む。本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法では、リズミックトラックライブラリ内の複数のリズミックトラックは、音楽様式及び/または音楽ビートタイプに従って複数のグループに分割される。本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法では、リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを選択することは、元の音楽のBPMに基づいて、元の音楽の音楽ビートタイプを判定し、及び/または元の音楽のBPMに基づいて、元の音楽の音楽様式を判定することと、判定された元の音楽の音楽ビートタイプ及び/または判定された元の音楽の音楽様式に基づいて、リズミックトラックライブラリ内の複数のリズミックトラックの複数のグループのうちの少なくとも1つから1つ以上のリズミックトラックを選択することと、を含む。
【0007】
本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法では、複数のリズミックトラックは、包含される複数の音楽要素、及び包含される複数の音楽要素の各々と包含される第1の音楽要素との間のビートの数のみを記録する。本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法は、異なる持続時間を有する複数のリズミックトラックをリズミックトラックライブラリに追加することを更に含む。本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法は、各々のリズミックトラック内の音楽要素ごとにボリュームを個々に設定することを更に含む。
【0008】
本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法は、元の音楽の再生の工程中にリアルタイムでBPMを検出することと、最後に検出されたBPMに従って、2つのビートごとの時間間隔を更新することと、を更に含む。本開示の1つ以上の態様に従って提供される方法は、予め定められた時間間隔において、元の音楽のダウンビートを、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックの第1のビートと再調整することを更に含む。
【0009】
本開示の1つ以上の態様に従って、複数の音楽要素及びリズミックトラックライブラリを事前に記憶したメモリであって、リズミックトラックライブラリは、複数の音楽要素に従って生成され、リズミックトラックライブラリは、複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む、メモリと、プロセッサであって、元の音楽の毎分ビート(BPM)の数を検出し、元の音楽の検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔を計算し、元の音楽のリズムに合致するように、リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを選択し、時間間隔に基づいて1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータを割り当て、元の音楽と合成し、再生するように、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックを元の音楽に追加する、ように構成されたプロセッサと、を含むシステムが提供される。
【0010】
本発明の別の実施形態は、上記説明された方法のステップを実行するように構成されたコンピュータ可読媒体を提供する。
【0011】
有利なことに、本発明において開示される方法及びシステムは、インテリジェントマッチングを実現することができ、元の音楽に基づいてリズミックトラックを追加することができ、その結果、追加されたリズミックトラックは、元の音楽のリズムに完全に合致することができる。加えて、本発明において開示される方法及びシステムは、ユーザに、調和がとれ且つ統一されたリスニングエフェクトをもたらすように、音楽のリズムを分析することによって、元の音楽のタイプを判定することができ、対応するタイプに合致する、追加するリズミックトラックを選択することができる。リズミックトラックライブラリ内のリズミックトラックの数が十分に多いので、より多くの音楽要素を元の音楽に追加することができ、その結果、ユーザは、より多彩なリスニング経験を有することができる。
【0012】
添付図面を参照して非限定的な実装態様の以下の説明を読むことによって、本開示をより良好に理解することができる。図面の一部は、必ずしも同一縮尺ではないが、本発明の原理を説明することに焦点が置かれる。加えて、図面では、同様のまたは同一の参照符号は、同様のまたは同一の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】再生される元の音楽に対してサウンドエフェクト処理を実行する既存の方法の概略図を示す。
【
図2】本発明の1つ以上の実施形態の音楽波形エフェクトの概略図を例示的に示す。
【
図3】本発明の実施形態の方法フローチャートを例示的に示す。
【
図4】音楽要素をナンバリングする概略図を例示的に示す。
【
図5】本発明の別の実施形態の方法フローチャートを例示的に示す。
【
図6】元の音楽のダウンビートをリズミックトラックの第1のビートと調整する概略図を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の以下の説明は、例示のみを目的として与えられ、限定するものではないことが理解されるべきである。図面において示される機能ブロック、モジュール、またはユニットにおける実施例の分割は、それらの機能ブロック、及びそれらのモジュールまたはユニットが物理的に別個のユニットとして実装される必要があることを表すとして解釈されるべきではない。示されまたは説明される機能ブロック、モジュール、またはユニットは、個々のユニット、回路、チップ、関数、モジュール、または回路素子として実装することができる。1つ以上の機能ブロックまたはユニットも、共通の回路、チップ、回路素子、またはユニットにおいて実装することができる。
【0015】
本明細書で説明されるプロセッサ、メモリ、またはシステムのうちのいずれかの1つ以上は、様々なプログラミング言語及び/または技術を使用して生成されたコンピュータプログラムからコンパイルまたは解釈することができるコンピュータ実行可能命令を含む。一般的に言うと、プロセッサ(マイクロプロセッサなど)は、例えば、メモリ、コンピュータ可読媒体などから命令を受信し、命令を実行する。プロセッサは、ソフトウェアプログラムの命令を実行することが可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、それらに限定されないが、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置、またはそれらの任意の適切な組み合わせであることができる。
【0016】
上記説明されたように、本開示は、元の音楽に自動で適合し、リズミックトラックを追加するソリューションを提供する。本開示によって提供されるソリューションは、人間の介入なしに、音声システムが、再生される音楽にリズミックトラックを自動で追加することを可能にすることができ、追加されたリズミックトラックが元の音楽のリズムに良好に合致することができることを保証することができると共に、サウンドを追加及び合成した後に音楽が自然になり、不意でなくなることを可能にする。
図2は、本発明において開示される1つ以上のソリューションの音楽波形エフェクトの概略図を例示的に示す。
【0017】
図3は、本発明の実施形態に従って、インテリジェントマッチングを実現し、既存の音楽に基づいてリズミックトラックを追加する方法のフローチャートを概略的に示す。
図3に示されるように、ステップS310において、複数の音楽要素が事前に記憶される。例えば、複数の楽器サウンドを含む大多数の音楽要素が事前に記憶され、後続の使用のために各々の音楽要素がナンバリングされる(例えば、番号は、a、b、c、d、e、f、g...)。
図4は、音楽要素をナンバリングする実施例を概略的に示す。
【0018】
ステップS320において、複数の事前に記憶された音楽要素に従ってリズミックトラックライブラリが生成され、リズミックトラックライブラリは、複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む。例えば、リズミックトラックライブラリ内の複数の音楽要素は、複数のリズミックトラックを形成するよう配列及び合成されてもよい。リズミックトラックは、包含される複数の音楽要素、及び包含される複数の音楽要素の各々と包含される第1の音楽要素との間のビートの数を記録するにすぎない。表1は、そのようなリズミックトラックの概略配列図を概略的に表す。表1に示されるように、リズミックトラックは、一連の使用される音楽要素を時間順に記録するにすぎず、リズミックトラックの時間パラメータを定義しない。言い換えると、リズミックトラックは、1つのトラック内の各々の音楽要素と第1の音楽要素との間のビートの数、例えば、n0、n1、n2、n3、n4、n5...を記録し、2つのビートごとの時間間隔を記録しない。
【0019】
より良好な理解を促進するために、以下は、例示のために表1内のリズミックトラック1を例として見なす。
【表1】
【0020】
表1に示されるように、リズミックトラック1は、複数の音楽要素(b、f、o、p、c、j、o、p、b、i)を含む。音楽要素b、fは、第1の音楽要素(n0=0ビート)としての順に配列され、音楽要素o、pと第1の音楽要素との間の間隔は、n1=0.5であり、音楽要素bと第1の音楽要素との間の時間間隔は、n2=1ビートであり、音楽要素c、j、o、pと第1の音楽要素との間の間隔は、n3=1.5ビートであり、音楽要素b、iと第1の音楽要素との間の間隔は、n4=2ビートである。すなわち、ステップS32において生成されたリズミックトラックライブラリ内のリズミックトラックは、包含される複数の音楽要素と共に、包含される複数の音楽要素の各々と包含される第1の音楽要素との間のビートの数を単に記録してもよい。
【0021】
ステップS330において、元の音楽の毎分ビート(BPM)の数が検出され、元の音楽の検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔(t_beat)が計算される。例示を目的として、以下の説明は、4/4ビートの音楽を例として見なすにすぎない。当業者は、本開示の様々な実施形態が様々なビートの音楽に適用することができることを理解することができる。例えば、4/4ビートの音楽を例として見なして、元の音楽の検出されたBPMから、元の音楽の2つのビートごとの時間間隔がt_beat=60/BPMとして計算することができる。例えば、元の音楽の検出されたBPMが120である場合、時間間隔t_beat=60/120=0.5sである。
【0022】
ステップS340において、リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックが選択される。ステップS350では、時間間隔に基づいて、元の音楽のリズムに合致するよう、1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータが割り当てられる。例えば、時間間隔t_teatが取得された後、リズミックトラックに時間パラメータt1=n1*t_beat、t2=n2*t_beat、t3=n3*t_beat...が割り当てられる。なおも4/4ビートの元の音楽を例として見なし、元の音楽のBPMが120であると想定して、t_beat=0.5sである。次いで、例えば、表1内のリズミックトラック1は、以下の時間パラメータt0=0s、t1=n1*t_beat=0.5*0.5=0.25s、t2=0.5s、t3=0.75s、及びt4=1sを割り当てることができる。
【0023】
したがって、上記言及された時間間隔に基づいて、元の音楽のリズムに合致するように、リズミックトラック内の複数の音楽要素に時間パラメータが割り当てられる。
【0024】
次に、方法の処理フローは、ステップS360に進む。ステップS360において、元の音楽と合成し、再生するように、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックが元の音楽に追加される。
図3に示された上記言及された方法は、インテリジェントマッチングを実現することができ、元の音楽に基づいてリズミックトラックを追加することができ、その結果、追加されたリズミックトラックが、元の音楽のリズムに完全に合致することができ、ユーザにより良好なリスニング経験をもたらすことができる。
【0025】
図5は、本発明の別の実施形態に従って、インテリジェントマッチングを実現し、既存の音楽に基づいてリズミックトラックを追加する方法のフローチャートを概略的に示す。
図5に示されるように、ステップS510において、複数の音楽要素が事前に記憶される。ステップS520において、複数の音楽要素に従ってリズミックトラックライブラリが生成され、リズミックトラックライブラリは、複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む。ステップS530において、元の音楽の毎分ビート(BPM)が検出され、元の音楽の検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔が計算される。ステップS540において、リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックが選択される。ステップS550において、元の音楽のリズムに合致するよう、時間間隔に基づいて1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータが割り当てられる。上記ステップS510~S550は、
図3におけるステップS310~S350と同様なので、
図3におけるステップS310~S350に関する先述の関連する説明は、
図5におけるステップS510~S550にも適用可能である。説明は、ここでは繰り返されない。
【0026】
本実施形態では、次のステップS560において、元の音楽に対してダウンビート検出が実行され、元の音楽のダウンビートが、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックの第1のビートと調整される。例えば、プロセッサは、ダウンビートを検出するよう、元の音楽のビートを規則的な間隔(例えば、0.5秒など)において分析することができる。
図6は、元の音楽のダウンビートをリズミックトラックの第1のビートと調整する概略図を例示的に示す。同様に、例示のみを目的として、
図6は、概略表現のために4/4ビートの音楽を例として使用するにすぎない。当業者は、本開示の実施形態が様々なビートの元の音楽に適用することができることを理解することができる。
【0027】
次に、ステップS570において、元の音楽と合成し、再生するように、ダウンビート調整の影響を受けた1つ以上のリズミックトラックが元の音楽に追加される。
【0028】
本発明の1つ以上の実施形態では、好ましくは、リズミックトラックライブラリ内の複数のリズミックトラックが複数のグループに分割されることができる、例えば、音楽様式及び/または音楽ビートタイプに従って複数のグループに分割されることができる。加えて、元の音楽のBPM範囲値が、BPM範囲における差に従っておおよそ分類されることができ、次いで、適応的な方式において、リズミックトラックライブラリ内の複数のグループに対応するようにされる。より良好な説明のために、以下の表2は、音楽様式に従って音楽をグループ化する実施例を与える。
【表2】
【0029】
例えば、元の音楽のBPM値の範囲に従って分類が実行されてもよい。BPM値が値a以下であるとき、元の音楽の音楽様式が「様式A」に属すると判定することができ、次いで、リズミックトラックライブラリ内の複数のリズミックトラックから選択が行われるとき、元の音楽の判定された音楽様式Aに基づいて、リズミックトラックライブラリ内の対応するグループ「グループ1」から1つ以上のリズミックトラックを選択することができる。残りは同様に行うことができる。
【0030】
上記の元の音楽のBPM様式分類を判定し、次いで、適応的な方式において異なるグループのリズミックトラックにそれを対応させることによって、リズミックトラックが追加されるとき、リズミックトラックの様式と一貫して元の音楽の様式を保持してもよく、それによって、ユーザにより快適なリスニング経験をもたらす。
【0031】
加えて、本開示の様々な実施形態では、異なる持続時間を有する複数のリズミックトラックもリズミックトラックライブラリに追加されてもよい。異なる持続時間を有するそれらのリズミックトラック内のルーピングバーの数が異なる。例えば、いくつかのリズミックトラックが1つのバーの単位でループされ、いくつかのリズミックトラックが2つのバーの単位でループされる。このようにして、追加されたリズミックトラックがよりリッチになることができ、無作為に変化することができ、その結果、ユーザは、より良好なリスニング経験を有することができると共に、機能についての新鮮な感情を維持する。
【0032】
更に、本開示の様々な実施形態では、各々のリズミックトラック内の音楽要素ごとにボリュームも個々に設定することができる。結果として、異なるリズミックトラック内で異なるボリュームにある同一の音楽要素さえも呼び出すことができ、その結果、元の音楽のリズミックトラックのリズムの突出度を調節することができる。
【0033】
加えて、元の音楽のBPMが再生工程中に変化するので、音楽再生工程中の自身の誤りを補正するために、本開示の方法はまた、音楽再生工程中にリアルタイムで元の音楽のBPMを検出し(または、予め定められた時間間隔において検出してもよい)、最後に検出されたBPMに従って、2つのビートごとの時間間隔(t_beat)を調節及び更新するために、音声システムのプロセッサを使用することができる。例えば、プロセッサは、0.5秒おきに元の音楽のBPMを検出及び分析してもよく、最後に検出されたBPMに基づいて、時間間隔t_beatを更新するよう調節してもよい。
【0034】
同様に、検出及び計算の重なった誤りを除去するように、音声システムのプロセッサによって、元の音楽のダウンビートが更に再調整されてもよく、予め定められた時間間隔において、1つ以上のリズミックトラックの第1のビートに時間パラメータが割り当てられる。例えば、プロセッサは、バーの単位での時間間隔においてダウンビート調整演算を実行してもよい。
【0035】
本開示は更に、メモリ及びプロセッサを含むシステムを提供する。複数の音楽要素及びリズミックトラックライブラリを事前に記憶するためにメモリが使用される。複数の音楽要素に基づいてリズミックトラックライブラリが生成され、リズミックトラックライブラリは、複数の音楽要素に基づいた複数のリズミックトラックを含む。プロセッサは、元の音楽のBPMを検出し、元の音楽の検出されたBPMに基づいて、2つのビートごとの時間間隔を計算し、リズミックトラックライブラリから1つ以上のリズミックトラックを選択し、元の音楽のリズムに合致するように、時間間隔に基づいて1つ以上のリズミックトラックに時間パラメータを割り当て、元の音楽と合成し、再生するように、時間パラメータが割り当てられた1つ以上のリズミックトラックを元の音楽に追加する。
【0036】
本開示の実装態様に従って、インテリジェントマッチングを実現し、元の音楽に基づいてリズミックトラックを追加する方法及びシステムは、改善されたエフェクトを達成している。本開示の方法及びシステムは、リズミックトラックを生成するために、基本的な音楽要素を使用することができ、リズミックトラックは、元の音楽のビート及び様式に良好に合致することができる。元の音楽について、新たな音楽要素の追加に起因して、合成の後に再生される音楽は、リッチなサウンドエフェクトを有することができる。加えて、本開示のソリューションにおけるリズミックトラックは、包含される複数の音楽要素、及び包含される複数の音楽要素の各々と包含される第1の音楽要素との間のビートの数を記録するにすぎない。すなわち、メモリは、音楽要素の配列コードの組み合わせを記憶することしか必要なく、プロセッサは、様々なリッチなリズミックトラックを形成するよう、計算された時間間隔に従って、コード内の音楽要素に時間パラメータを割り当てる。したがって、理論的には、大多数のリズミックトラックを生成するために少数の音楽要素のみを使用してもよく、少量のメモリ空間しか必要とされない。インテリジェントマッチングを実現し、元の音楽に基づいてリズミックトラックを追加する本開示の実施態様は、ユーザ経験を著しく改善する。
【0037】
実施態様の説明が例示及び説明を目的として説明されてきた。実施態様の適切な修正及び変更が上記説明を考慮して実施することができ、または実践的な方法を通じて取得することができる。例えば、他に示されない限り、説明された方法のうちの1つ以上は、適切なデバイス及び/またはシステムの組み合わせによって実行されてもよい。記憶された命令を実行するよう、1つ以上の追加のハードウェア要素(記憶装置、メモリ、回路、ハードウェアネットワークインタフェースなど)との組み合わせにおいて1つ以上の論理デバイス(例えば、プロセッサ)を使用して、以下の方式において方法を実行することができる。本出願に説明された順序以外の様々な順序において並列に及び/または同時に、方法及び関連する行為も実行することができる。システムは、本質的に例示であり、追加の要素を含んでもよく、及び/または要素を省略してもよい。本開示の主題は、開示される様々な方法及びシステム構成、ならびに他の特徴、機能、及び/または特性の全ての新規且つ自明でない組み合わせを含む。
【0038】
本出願において使用されるように、単数形において記載され、単語「one/a」が先行する要素またはステップは、そのような排除が示されない限り、複数の先述の要素またはステップを排除しないとして理解されるべきである。更に、本開示の「1つの実施形態」または「実施例」への言及は、記述された特徴をも組み込んだ追加の実施態様の存在を排除するものとして解釈されることを意図していない。
【国際調査報告】