(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】撮像システムを備えた制御部
(51)【国際特許分類】
A61F 7/03 20060101AFI20221004BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20221004BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A61F7/08 331
A61F9/007 200C
A61B3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505537
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020044886
(87)【国際公開番号】W WO2021026154
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511093328
【氏名又は名称】サイト サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】バダウィ,ポール
【テーマコード(参考)】
4C099
4C316
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA06
4C099GA02
4C099PA01
4C316AA02
4C316AB16
4C316FC04
4C316FC12
(57)【要約】
ドライアイ処置装置および方法のための制御部は、上眼瞼および下眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の皮膚に貼り付けられたパッチやストリップで通常構成されており、下にある皮膚内にある1つ以上のマイボーム腺に熱を与える。1つ以上の処置用ストリップは、被験者の片眼または両眼に近接する皮膚の下にある部位に接着するように構成された1つ以上のストリップからなり、これらの1つ以上のストリップによって、被験者は1つ以上のパッチの制約を受けずに自然なまばたきをすることができる。制御部は、1つ以上のストリップと通信し、1つ以上のストリップの温度を監視して、12分間の処置期間中に、例えば39℃の閾値温度を超え、例えば48℃の最高温度未満の処置療法を提供するようにプログラムされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の加熱ストリップに接続するように構成されたハウジングを有する制御部と、
前記制御部に組み込まれ、患者の眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方を撮像するように構成された撮像素子と、
を備え、
前記制御部が、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の画像を受信し、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の状態を判定するように構成されている、患者の状態を判定するための処置システム。
【請求項2】
前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方を照明するためのライトをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジングに沿ってディスプレイをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハウジングに沿って視覚的または聴覚的なインジケーターをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の1つ以上の画像を受信するために、外部デバイスと無線で通信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の状態を経時的に追跡するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の画像を、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の以前に得られた画像と比較するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部が、角膜および結膜のうちの少なくともいずれか一方の染色イメージング、涙膜分析、干渉法、脂質層の厚み分析および水層(涙液メニスカスの高さ)分析、ムチン層分析、非侵襲的な涙液層破壊時間測定、まばたき分析の機能、並びに眼瞼のサイズおよび寸法の撮像分析からなる群から選択される状態を分析するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、赤外線マイボグラフィー、レーザー共焦点マイボグラフィー、接触マイボグラフィー、非接触マイボグラフィー、光干渉断層マイボグラフィー、および赤外光を介して状態を分析するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の内側の画像を受信するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記1つ以上のストリップの温度を監視および誘導して治療を行うようにプログラム可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御部は、予め定められた処置期間中、セットポイントを閾値温度を超えるとともに最高温度未満に維持するようにプログラム可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のストリップは、皮膚の下にある部位に熱エネルギーを放出するように構成されており、前記1つ以上のストリップは、前記皮膚の下にある部位に含まれる1つ以上のマイボーム腺の位置に沿うように形状が形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のストリップが、被験者の片眼または両眼に近接した皮膚の下にある部位に付着するように構成されており、前記1つ以上のストリップにより、前記被験者は前記1つ以上のストリップによる制約が最小限の状態で、または全くの制約無しに自然なまばたきをすることが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
1つ以上の加熱ストリップに接続するように構成されたハウジングを有する制御部と一体的に設けられた撮像素子により、患者の眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の画像をキャプチャーするステップと、
前記制御部によって取得された前記画像に基づいて、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の状態を判定するステップと、を含む、患者の状態を判定する方法。
【請求項16】
前記判定された状態に基づいて、処置法を選択するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記状態を判定するステップは、赤外線マイボグラフィー、レーザー共焦点マイボグラフィー、接触マイボグラフィー、非接触マイボグラフィー、光干渉断層マイボグラフィー、および赤外光からなる群から選択されるモダリティーにより前記状態を分析するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記画像に基づいて診断評価を決定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の処置にわたって生理学的または疾患マーカーの傾向を判定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記画像をキャプチャーするステップは、前記眼瞼の内側表面の画像をキャプチャーするステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
患者の少なくとも1つの眼球から、少なくとも1つの眼瞼の1つ以上の画像を受信するステップと、
前記1つ以上の画像に基づいて、加熱ストリップの1つ以上の寸法を決定するステップであって、前記1つ以上の寸法は、前記1つ以上の加熱ストリップを前記少なくとも1つの眼瞼内に含まれるマイボーム腺に適合させる大きさである、ステップと、
を含む、患者用の1つ以上の加熱ストリップのサイズを決定する方法。
【請求項22】
前記1つ以上の画像を受信するステップが、撮像素子を有する制御部を介して前記少なくとも1つの眼瞼を撮像するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記制御部は、前記制御部に組み込まれるとともに前記患者の眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方を撮像するように構成された撮像装置を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の画像を受信するステップが、個人用画像処理装置を介して前記少なくとも1つの眼瞼を画像化するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記個人用画像処理装置がスマートフォンで構成されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記加熱ストリップを製造するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
1つ以上の加熱ストリップに接続するように構成されたハウジングを有する制御部と、
前記制御部に組み込まれ、患者の眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方を撮像するように構成された撮像素子と、
を備え、
前記制御部は、前記眼球、眼球表面、涙、および眼瞼のうちの少なくともいずれかの画像を受信し、前記1つ以上の加熱ストリップを前記眼瞼に含まれるマイボーム腺に適合させるサイズの1つ以上の寸法を決定するように構成されている、患者のために1つ以上の加熱ストリップのサイズを決定する処置システム。
【請求項28】
前記制御部が、前記眼球、前記眼球表面、前記涙、および前記眼瞼のうちの少なくともいずれかの状態を判定するようにさらに構成されている、請求項27に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライアイ症候群やその他の関連する症状を処置するための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、患者の目または眼窩周囲の選択された部位に付着するように特別な外形または形状を有する粘着ストリップを使用してドライアイ症候群を処置するためのプログラム可能な制御部を有する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
涙は、水、脂質、粘液、タンパク質、電解質の複合混合物であり、この混合物により、滑らかで潤滑性があり、光学的に透明な光学面を維持することが支援され、また、感染から眼球を保護することも支援される。涙膜には、油、水、粘液の3つの基本的な層があり、これらの層のいずれかに問題や障害があると、ドライアイ症状をはじめとする眼球表面の問題を引き起こす。
【0003】
涙膜のもっとも外側の層は、通常、脂肪酸および脂質を含む油層(マイバム)で構成されている。この油層は、主に眼瞼の縁に沿ったマイボーム腺と呼ばれる皮脂腺によって形成される。油層は涙の表面を滑らかにし、水性または水を含んだ中間層の蒸発を妨げる。しかしながら、マイボーム腺から十分な油分が分泌されなかったり、最適でない脂肪酸混合物が生成されたり、マイボーム腺が閉塞したり詰まったりすると、一般的に水の層が迅速に蒸発してしまい、ドライアイになる。マイボーム腺の閉塞や炎症は、腺の肥大や感染症、分泌物の濃縮、麦粒腫、霰粒腫、麦粒腫、眼窩隔膜前蜂巣炎などの原因となる。このように、ドライアイは、マイボーム腺が障害されていたり、機能が低下したりしている人に多く見られる。前述の例は、蒸発性ドライアイとも呼ばれるマイボーム腺機能不全の一例である。
【0004】
涙の中間水層は、主に水溶液で構成されており、涙腺および付属腺(涙腺)で生成される。中間層は、眼球を清潔にして異物や刺激物を洗い流し、透明な光学媒体を維持し、眼球表面の潤いを保つ。涙膜のもっとも内側の層は主に粘液で構成されており、涙を眼球の表面に一様に広げることを支援する。また、涙膜中の粘液が不足すると、ドライアイ症候群になる。
【0005】
上述したように、マイボーム腺は、上眼瞼および下眼瞼の両者にある、油を分泌する腺である。上眼瞼に沿って約30乃至40個、下眼瞼に沿って約20乃至30個の腺があり、それぞれの腺の導管は、各眼瞼の自由縁の内側縁に沿って微細な孔が開いており、そこから分泌物が放出され、眼瞼同士や眼球表面への癒着を防いでいる。
図1Aは上眼瞼ULの断面図にてマイボーム腺の配置の一例を示し、1つのマイボーム腺MGの相対的な位置関係を示している。他の腺や解剖学的組織要素は、参考のために図示されており、例えば、ヴォルフリング腺GW、瞼板TR、モル腺GM、ツァイス腺GZ、クラウゼ腺GK、上側円蓋UF、結膜CN、および上眼瞼ULで部分的に覆われている目の角膜CRが示されている。図示のように、マイボーム腺MGは、上眼瞼UL(および下眼瞼LL)の長さに沿って位置しており、眼瞼ULの内縁に沿って導管が開口し、下にある眼球の表面に近接している。
【0006】
図1Bは、患者がまばたきをするときなどの、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLが閉じた状態の患者の眼球を正面から見た図である。図示のように、上眼瞼ULおよび下眼瞼のLLの両者に対して、マイボーム腺MGが隣接して並んでいるのが視認される。
図1Cは、患者の目が開いた状態を示す斜視図であり、患者の目が開いたときに、マイボーム腺が通常どのように相対的に並んでいるかを示している。
【0007】
まばたきをすることでマイボーム腺の孔が開き、マイボーム腺から油分の分泌物が放出されると考えられている。自然なまばたきの動作およびまばたきの力によって、上眼瞼が、涙膜の2つの下層にわたってマイボーム腺から分泌された脂質のシートを引き寄せ、保護膜を形成して、下層の蒸発速度を制限している。マイボーム腺疾患やドライアイのうちの少なくとも65%は、油層の欠陥、またはそのような脂質の量の不足により、水層の蒸発が促進されることに起因すると推定されている。したがって、眼瞼閉鎖やまばたきの障害、あるいは涙の適切な分布に影響を与えるその他の障害も、マイボーム腺機能障害やドライアイの原因となったり、悪化させたりする可能性がある。
【0008】
眼瞼が閉じて完全なまばたきになると、涙の貯蔵庫である上下の孔が前隔膜筋(preseptal muscle)の力で圧迫され、眼瞼が互いに向かって移動する。例えば、上眼瞼は、眼球表面上に力を加えながら眼球を覆うように移動し、眼球の前のデブリーや不溶性のムチンを取り払うことを支援し、また、マイボーム腺から分泌される油分を絞り出す。下眼瞼は鼻方向に水平に移動し、最終的に鼻腔に排出される開口部である両方の穿孔に向かってデブリーを押し出す。
【0009】
眼瞼が開くと、涙膜は再配分され、上眼瞼は毛細管現象によって水相を引き寄せ、油層は眼瞼の動きに合わせて迅速に広がる。そのため、眼瞼の運動は、涙膜の再生、分配、代謝回転、排出に重要な役割を果たしている。
【0010】
様々な理由により、マイボーム腺が塞がれたり、詰まったり、炎症を起こしたり、閉塞したりすることで、マイボーム腺機能不全やドライアイ症候群の原因となる。病気の引き金となる障害は、マイボーム腺のどこにでも発生する可能性があり、例えば、正常な脂質の分泌物が流れるのを妨げる腺の表面や開口部、腺の主な流路が狭くなっていたり、詰まっていたりしている箇所、主な流路につながる腺の奥深くの他の箇所などである。
【0011】
詰まったマイボーム腺の処置には、いくつかの従来の処置法がある。処置の1つのコースは、眼瞼の炎症を抑えるために、石鹸および洗浄剤、眼瞼用スクラブ、防腐剤、または抗生物質を塗布することである。テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、バシトラシン、エリスロマイシンなどの抗生物質を経口または局所的に投与することで、マイボーム腺の脂質の産生を調整または改善することができる。また、眼球表面上の炎症は、コルチコステロイドやシクロスポリン(カリフォルニア州に所在するAllergan,Inc社製RESTASIS(登録商標))などの抗炎症化合物や免疫抑制剤などの局所用薬で抑えることができる。眼球表面の炎症は、マイボーム腺機能障害のみならず、ドライアイ症候群にも関連付けられていることが示唆されている。
【0012】
ドライアイ処置の他の例としては、人工涙液を使用できない中等度から重度のドライアイ症状を有するヒトのために、処方された眼球用挿入剤を塗布することが挙げられる。下眼瞼と眼球との間に、眼球用挿入剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース(Merck&Co,Inc.社製LACRISERT(登録商標))が挿入されてもよい。挿入物がゆっくりと溶けて、眼球を潤滑にする物質を放出する。これに代えて、特殊なコンタクトレンズや羊膜移植により、眼球の表面をシールドして水分を閉じ込める方法もある。
【0013】
他の処置法では、患者の涙管に涙点プラグを挿入したり、排水領域の組織を焼灼したりすることで、涙膜が眼球の表面から早く排出されないように、涙管を閉じることがある。ドライアイ症候群の処置には、移植や焼灼療法のほかに、点眼薬や眼球をコーティングする軟膏などの医薬品を使用することもある。ドライアイの処置には、人工涙液、ゲル、軟膏、自己血清涙液、アルブミン点眼液などが使用されている。
【0014】
加えて、眼球を覆うように温湿布を置き、脂質を溶かしてマイボーム腺の機能を回復させたり、眼瞼をマッサージしてマイボーム腺の内容物をさらに絞り出したりすることに使用される。しかしながら、温湿布は1日に2乃至3回行う必要があり、その間、患者は患部の片方の眼瞼のみを目標としてしまい、湿布のために処置される眼球を見ることができなくなってしまうことがある。温湿布は、不従順、持続性の低さ、変動性の高さなど、複数の問題を抱えている。また、熱すぎて炎症を悪化させたり、冷えすぎて処置効果が十分に得られなかったりする場合もある。
【0015】
また、患部全体を覆うようにして、患部の眼瞼に直接熱とマッサージの力とを加える処置デバイスも開発されている。しかしながら、このようなデバイスは、湿布と同様に、処置中に患者の眼球を一時的にだが完全に遮る必要があるため、不快感や生産性の低下を招き、患者の応諾性を低下させる可能性がある。加えて、これらの処置法は、医師や医療機関に通う必要があるため、手間がかかり、不便で、高価であり、結果的に消費者に広く普及するのに適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、患者や医師が日常的に使用できる比較的簡単な方法で、患者が通常の活動を続けることができ、邪魔にならず、患者の自然な生理的活動を利用して処置を促進することができる方法や装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
マイボーム腺機能不全やドライアイ症候群などの処置には、パッチやストリップを上眼瞼および下眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の皮膚に貼り付けて、熱やその他の形態のエネルギー、冷却、光、超音波、振動、圧力、薬剤、水分などを(単独または組み合わせて)下にある皮膚に含まれる1つ以上のマイボーム腺に供給することができる。特に、1つ以上の処置用ストリップのアセンブリは、一般的に、被験者の片眼または両眼に近接した皮膚の下にある部位に貼り付けられるように構成された1つ以上のストリップからなり、1つ以上のパッチによる制限を受けることなく被験者が自然にまばたきできるようになっている。さらに、1つ以上のストリップは、皮膚の下にある部位にエネルギーまたは治療を照射するように構成されていてもよく、1つ以上のストリップは、皮膚の下にある部位に含まれる1つ以上のマイボーム腺の位置に沿うような形状に形成されている。
【0018】
制御ボードおよびプロセッサーを有するプログラマブル制御部は、1つ以上のストリップと通信してもよく、制御部は、1つ以上のヒーターストリップのプログラマブル温度を誘導し、監視し、処置療法を提供してもよい。治療法は、12分間の処置期間にわたって、周知の精度内で、例えば39℃の閾値温度を超え、かつ例えば48℃未満の最高温度の設定点(例えば42℃プラスマイナス1℃)を維持するようにプログラムされていてもよい。他の処置の態様では、他の処置時間を実施してもよく、例えば、他の処置の態様では、処置時間は1分乃至60分まで延長してもよい。
【0019】
使用時には、1つ以上のストリップを、被験者の片眼または両眼に近い皮膚の領域に貼り付け、これらの1つ以上のストリップにより、被験者は1つ以上のパッチによる制約を受けずに自然にまばたきをすることができる。貼り付けられた状態で、ストリップは、皮膚の部位を処置したり、エネルギーを放出したりすることができ、1つ以上のストリップは、皮膚の領域に含まれる1つ以上のマイボーム腺の位置に沿うように形状が形成されている。これに代えて、ストリップが直接マイボーム腺やその他の眼窩腺を覆っていなくても、その下にある隣接した組織や血管系からエネルギーを供給したり吸収したりして、最終的に拡散したり上記腺に供給したりしてもよい。すなわち、これらのストリップを使用して眼瞼、マイボーム腺、涙腺のうちの少なくともいずれかへの血液供給を温めたり冷やしたりすることは、それらの機能および代謝に影響を与える可能性があるが、必ずしも特定の態様においてそれらに直接過度に影響を与える必要はない。
【0020】
したがって、上側ストリップは、上側の湾曲したまたは弧状の周縁部を有し、この周縁部は、(上眼瞼のしわに沿って、または上眼瞼のしわまで、)マイボーム腺の上側(上位)の境界に沿って延びる形状に形成されており、下縁の直線化された周縁部は、上眼瞼の自由縁に沿って、マイボーム腺の下側(または下位)の境界に沿って延びる形状に形成されていてもよい。直線的ではあるが、別の態様において、下縁は緩やかな曲線や弧状になっていてもよい。下側ストリップは、同様に、下眼瞼の自由縁に沿ってマイボーム腺の上側(または上位)の境界線を延長して沿う上側の直線状の周縁部と、下眼瞼に沿って(下眼瞼のしわに沿って、または下眼瞼のしわまでなど)マイボーム腺の下側(または下位)の境界線を延長して沿う下側の曲線状または弧状の周縁部とを有していてもよい。これに代えて、別の態様において、下側ストリップの上側周縁部も、同様に緩やかに湾曲していたり、弧状になっていたりしてもよい。
【0021】
すなわち、近位から遠位までのマイボーム腺を含む瞼板では、処置用ストリップの外周縁が遠位側眼瞼縁および近位側周縁に対応し、処置用ストリップが複数の構成をとることができるのである。一般的に、処置用ストリップの遠位側外周縁および近位側外周縁を有し、遠位側外周縁は、比較的直線的であるか、または緩やかなカーブを描いており、いずれも下にある遠位側眼瞼縁および瞼板に沿うことができ、近位側外周縁は、下にある瞼板のより湾曲した近位側縁を想定して比較的湾曲している。
【0022】
これらのストリップは、処置の目的に応じて、上眼瞼のみ、または下眼瞼のみに配置するように個別に使用することができる。さらに、処置用ストリップの長さも、必要に応じて、本明細書でさらに詳細に説明するように、個別のマイボーム腺を目的とした処置を行うために変化させることができる。加えて、処置用ストリップは一般的なサイズであってもよく、特定のヒトの眼瞼の寸法に合わせてカスタムメイドまたはサイズを変更することもできる。
【0023】
処置用ストリップの特定の外形を形成されたサイズおよび可撓性により、処置用ストリップを患者に装着して、その下にあるマイボーム腺に治療を施すことができ、一方または両方の処置用ストリップに妨害されることなく、患者の目を通常通り開閉することができる。そのため、処置用ストリップの外形を形成されたサイズ、形状、厚み、および可撓性により、処置を行いながら、患者の片眼または両眼を開いたままにすることができ、患者は処置中に正常で生理的なまばたきを行うことができる。両眼瞼にかかる力をさらに低減するために、ヒーターの接続経路に複数の返し(例えば、非線形領域)を追加することで、接続部(ワイヤーなど)にかかる力からヒーターを切り離すことができ、電源ケーブルから片側または両眼瞼に伝わる負荷を不安定にすることができる。この処置用ストリップは、外部から力を加えるのではなく、まばたきによってマイボーム腺から油分を取り除くという目の自然な仕組みを利用している。したがって、処置用ストリップは、患者または医療従事者によるさらなる介入を伴うことなく、処置のために所定の位置に粘着させることができ、これにより、目が妨げられず、自然なまばたきができる状態のままで、処置用ストリップが例えば熱エネルギーを加えて、ワックス状または固体のマイボーム腺の障害物を溶かしたり液化したりすることができる。他の処置法では、処置中に患者が目を閉じることで妨げられたり、まばたきをしないようにする必要があったりするが、この処置用ストリップでは、自然なまばたきの力で、加熱処理されて軟化した障害物が再び固まる前に腺から取り払うことができる。
【0024】
処置用ストリップは、接触層(例えば、金属、合金、多孔質セラミックス、エンジニアリングセラミックス、木材、ポリマー、複合材料、発泡体、ポリマー発泡体、布、エラストマーなどの導電性材料から形成されたもの)を有するように構成されていてもよく、これにより、皮膚を火傷やその他の悪影響から保護することができる。第2の加熱層は、熱エネルギーを生成するために接触層の上に(または皮膚に直接接触して)配置され、断熱層は、熱を下にある皮膚表面に向けて集中させる、方向付ける、または反射させるために加熱層の上に配置され、また、体の他の部分が加熱層と接触することから患者を保護するために配置されてもよい。感覚層は、システムや治療の、例えば、温度、組織インピーダンス、筋活動などのモニタリングおよびフィードバックを行うために、任意の層の上または層の間に配置することができる。複数のセンサーを任意の1つのヒーターに使用し、制御部のプロセッサーを介して比較することで、ヒーターの状態、機能、ヒーター内の部分差、ヒーター間の差、患者との位置関係などを判断することができる。断熱層は、患者にエネルギーを送り、治療目標温度を維持し、周囲の状況に応じて治療の変動を抑える目的で、発泡体、発泡テープ、ガーゼ、シリコン、微多孔ポリエチレンフィルム、布、ポリマー、反射物などのさまざまな断熱材や反射材を使用して形成することができる。断熱層は、温度変化を調整する目的で、熱応答時間を目標とする熱負荷(容量)を有することができる。例えば、熱質量の増加に伴い、加熱および冷却時間の増加を処置手順に考慮することができる。
【0025】
処置用ストリップからの熱エネルギーの適用について説明したが、他の変形例として、処置用ストリップを使用して下にある皮膚を冷却するという適用を代替的に含むことができる。発熱反応の加熱層を利用するのではなく、これに代えて例えば吸熱反応を利用して皮膚の冷却を行うように層を構成してもよい。炎症を抑えたり、アレルギーや目の疲れを和らげたりするために、特に患者の休息や睡眠時には、加熱ではなく冷却を行うことができる。また、光などの電磁エネルギー、機械的エネルギー、振動、超音波エネルギーなども、目的となる組織に与えることができる治療法の一例である。エネルギーの供給は、連続的に行われても、周期的に行われてもよい。
【0026】
処置用ストリップからの熱エネルギーの適用とは別に、ストリップは、1つ以上の医薬、生物学的または化学的薬剤を単独で、または温熱処置と組み合わせて、拡散、指向性送達、または放出するための層を含んでもよい。例えば、薬剤、生物学的薬剤、または化学的薬剤は、接触層、断熱層、または完全に別体の層のいずれかに組み込まれ、追加的処置および代替的な処置のうちの少なくともいずれか一方のために、マイボーム腺またはマイボーム腺周辺の領域に経皮的に送達することができる。温熱処置中に薬理学的または化学的な薬剤が放出された場合、熱によって下にある皮膚への薬剤の浸透の改善が支援されてもよい。
【0027】
処置用ストリップは、様々な異なる処置効果を得るためにストリップに様々な層を組み込むことができるが、処置用ストリップが少なくとも1つのマイボーム腺の位置に沿うように外形または形状が形成されている限り、所望の処置領域に応じてストリップのサイズ、形状、外形などを変化させることもできる。
【0028】
処置用ストリップは、1つ以上のマイボーム腺に適用することができるが、ストリップの変形例は、皮脂腺などの他の腺を処置するためにも使用することができ、例えば、ニキビ処置、美容目的、関節痛、筋肉痛、創傷治癒、痛み、炎症、月経前の痛み、胸部痛、および炎症などに使用することができる。ニキビを処置するための処置用ストリップは、異なる薬理学的処置を利用してもよい。さらに、この処置用ストリップは、マイボーム腺機能不全以外の目の疾患の処置にも使用できる可能性がある。
【0029】
さらなる別例としては、目の上に位置する涙腺および/または涙を分泌する瞼板涙腺(palpebral lacrimal gland)の障害を処置するための処置用ストリップの使用が挙げられる。涙腺ストリップなどの様々なサイズの処置用ストリップは、湾曲した上部周縁を有するようなサイズに形成されており、涙腺が位置する上記の皮膚表面上に直接配置するようにサイズ設定してもよい。涙腺および涙を分泌する瞼板涙腺のうちの少なくともいずれか一方は、単独で処置してもよいし、マイボーム腺の処置のための外形を形成された処置用ストリップと組み合わせて処置してもよい。
【0030】
熱エネルギーを加えるために、処置用ストリップをマイボーム腺の上に適用してもよいが、処置はストリップやその他の外部装置によって適用される外力を必要とせず、処置を促進するために患者の自然なまばたきを利用してもよい。しかしながら、追加の変形例では、処置用ストリップは、温熱処置および外力の両者を適用するように構成されていてもよい。温熱療法を行う際に、下にある皮膚およびマイボーム腺を圧迫するために、挟み込むようにして力を加えたり付勢したりするなどのいくつかの機構を利用することができる。
【0031】
圧迫力以外にも、機械的、音波的、超音波的などの代替要素を用いてストリップを形成し、振動エネルギーなどのエネルギーを付与することで、マイボーム腺の圧搾を促し、油分の絞り出しを促進することができる。これに代えて、可視光線、赤色波長、赤外線波長などの電磁放射線を、連続的または周期的な治療として照射することもできる。
【0032】
さらなる別の態様では、処置用ストリップのうちの一方または両者が、所定の処置が完了したときに患者に警告するために、電源およびプロセッサーのうちの少なくともいずれか一方に電気的に結合されたインジケーター、例えば、LEDライト、アラーム、振動要素などを組み込むように構成されてもよい。この機能(および他の機能のいずれか)は、本明細書に記載されている処置用ストリップの他の変形例のいずれかと、実用に応じて組み合わせることができる。
【0033】
処置用ストリップにプロセッサーやセンサーを組み込むことで、処置時間やストリップの温度などのパラメーターをプログラムしたり、監視したり、任意で患者が選択的にまたは自動的にオン/オフしたりすることができる。さらに、処置およびモニタリングにさらなる柔軟性を持たせるために、熱の供給やその他の刺激や治療の頻度などの他のパラメーターもプロセッサーによってプログラムすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1Aは、上眼瞼の側面断面図であって、マイボーム腺の位置の一例を示した図である。
【
図1B】
図1Bは、上眼瞼および下眼瞼を閉じた状態、例えば患者がまばたきをしたときのような状態のヒトの眼瞼におけるマイボーム腺の分布、並びに上眼瞼および下眼瞼の両者にわたるマイボーム腺の配列を示す正面図である。
【
図1C】
図1Cは、患者の目を開いた状態の斜視図であり、患者の目を開いたときにマイボーム腺が互いに対してどのように通常並んでいるかを示す。
【
図2A】
図2Aは、上眼瞼または下眼瞼(またはその両者)に貼り付ける処置用ストリップの一例で、ストリップが下眼瞼にあるマイボーム腺の上に直接配置されるようにサイズまたは外形が形成されている、閉じた状態の患者の目を示す正面図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aの処置用ストリップを示しており、まぶたが後退し、患者が目を正常に見ながらまばたきを続けることができるようにするために、ストリップが患者の皮膚にどのように貼り付けられているかを示す図である。ストリップは眼瞼の縁から眼瞼のしわまで適用されるが、正常なまばたきの障害を防ぎ、快適性を最大化するために、まばたき中に屈曲または蛇腹状に伸縮、かつ/または圧縮することもできる。
【
図3A】
図3Aは、外形を形成された処置用ストリップの一例を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、処理用ストリップの側面断面図の一例を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、別例による処置用ストリップを示す図であり、このストリップには、制御部に供給される感覚的な機能を任意に組み込むことができる。
【
図3D】
図3Dは、患者のまばたきを容易にするために、処置用ストリップをジグザグまたは曲線状に形成したさらなる別の態様を示す図である。
【
図4】
図4は、別例による処置用ストリップを示す正面図であり、処置用ストリップは、比較的細く、上眼瞼の上に配置されている。
【
図5】
図5は、別例による処置用ストリップを示す正面図であり、処置用ストリップは、対象となるマイボーム腺のみならず周辺組織の処置のために比較的太くなっている。
【
図6】
図6は、上眼瞼のマイボーム腺に密着するような外形を形成された、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図7】
図7は、眼瞼に沿って選択的に配置するために短くしたストリップに形成することができる、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図8】
図8は、比較的細く、下眼瞼に沿って配置するための外形を形成された、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図9】
図9は、比較的太く、下眼瞼に沿って配置するための外形を形成された、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図10】
図10は、下眼瞼に沿って配置するための比較的太い、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図11】
図11は、下眼瞼のための外形を有し、様々な長さに短くすることができる、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図12】
図12は、相対的に直線化され、かつ選択的に短くされた、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図13】
図13は、別例による外形を形成された処置用ストリップを示す正面図であり、異なるサイズのストリップを互いに組み合わせて使用する方法を示している。
【
図14】
図14は、下眼瞼に沿ったマイボーム腺のみならず、周辺の組織領域にも沿うことのできるサイズに形成された、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図15】
図15は、下眼瞼に沿って、周囲の組織領域とともにマイボーム腺に沿った外形に形成される、別例による処置用ストリップを示す正面図である。
【
図16】
図16は、さらなる別例を示す正面図であり、ストリップが、マイボーム腺の少なくとも一部に沿っているのみならず、周囲の組織の選択された領域を覆うように外形が形成されていることを示す。
【
図17】
図17は、下にある組織の特定の領域を選択的に処置するために外形を形成される、さらなる別例を示す正面図である。
【
図18】
図18は、上眼瞼および下眼瞼の両者を処置するために外形を形成された処置用ストリップを組み合わせて使用することができる、さらなる別例を示す正面図である。
【
図19】
図19は、処置用ストリップの色を変えて、下にある肌の色に近づけることができる、さらなる別例を示す正面図である。
【
図20】
図20は、処置用ストリップが指定されたマイボーム腺を処置するためのサイズに形成可能である、さらなる別例を示す正面図である。
【
図21】
図21は、ストリップのサイズを変えて、特定のマイボーム腺を選択的に処置できるようにした、さらなる別例を示す正面図である。
【
図22】
図22は、処置用ストリップが個別のマイボーム腺を処置するためのサイズに形成された、さらなる別例を示す正面図です。
【
図23】
図23は、処置用ストリップを下眼瞼に沿って配置するためのサイズに形成した、さらなる別例を示す正面図である。
【
図24】
図24は、涙腺の相対的な位置関係を示す正面図である。
【
図25】
図25乃至27は、下にある涙腺を処置するために外形および位置を変えることができる処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図26】
図25乃至27は、下にある涙腺を処置するために外形および位置を変えることができる処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図27】
図25乃至27は、下にある涙腺を処置するために外形および位置を変えることができる処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図28】
図28乃至30は、任意により涙腺の処置と組み合わせて、マイボーム腺を処置するための外形およびサイズに形成された処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図29】
図28乃至30は、任意により涙腺の処置と組み合わせて、マイボーム腺を処置するための外形およびサイズに形成された処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図30】
図28乃至30は、任意により涙腺の処置と組み合わせて、マイボーム腺を処置するための外形およびサイズに形成された処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図31】
図31および
図32は、涙腺と組み合わせて、特定のマイボーム腺を選択的に処置できるサイズに形成された処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図32】
図31および
図32は、涙腺と組み合わせて、特定のマイボーム腺を選択的に処置できるサイズに形成された処置用ストリップの変形例を示す図である。
【
図33】
図33は、下にある組織およびマイボーム腺に力を加えるために、ストリップに沿って機械的に付勢する要素が設けられた、別例による処置用ストリップを示す図である。
【
図34】
図34は、
図33の処置用ストリップを詳細に示す斜視図であり、ストリップに沿って組み込まれた付勢機構の一例を示している。
【
図35】
図35は、下にある組織およびマイボーム腺に振動力を与えるために、1つ以上のトランスデューサーを組み込んだ、別例による処置用ストリップを示す図である。
【
図36】
図36は、ストリップの長手部分にわたって電極を組み込んだ、さらなる別例による処置用ストリップを示す図である。
【
図37】
図37は、マイクロ波アンテナ、誘導コイル、または制御部に物理的に接続しなくてもストリップにワイヤレスで電力を供給できる技術を組み込んだ、さらなる別例による処置用ストリップを示す図である。
【
図38】
図38は、処置が完了したときにユーザーに警告するためのタイマーおよびインジケーターを組み込んだ、さらなる別例による処置用ストリップを示す図である。
【
図39】
図39は、スマートフォンやタブレットのような携帯型のリモート制御部に結合することができる、さらなる別例による眼瞼処置システムを示す図である。
【
図40】
図40は、処置用ストリップアセンブリと組み合わせて使用するように特別に設計およびプログラムされた制御部を示す斜視図である。
【
図41A】
図41Aおよび
図41Bは、制御部に結合されたそれぞれの処置用ストリップアセンブリのためのコネクターを有する制御部を示す斜視図である。
【
図41B】
図41Aおよび
図41Bは、制御部に結合されたそれぞれの処置用ストリップアセンブリのためのコネクターを有する制御部を示す斜視図である。
【
図42A】
図42Aおよび
図42Bは、内部コンポーネントの一部を明確に示すためにハウジングを透明にして示している、制御部を示す斜視図である。
【
図42B】
図42Aおよび
図42Bは、内部コンポーネントの一部を明確に示すためにハウジングを透明にして示している、制御部を示す斜視図である。
【
図43】
図43は、制御部を保持するための受承クレードルを提供する充電ステーションを示す斜視図である。
【
図45A】
図45Aおよび
図45Bは、制御部による画像またはビデオキャプチャのために、患者の眼球および眼瞼(または眼球表面、涙、涙成分または層、またはマイボーム腺)を照らすライトを組み込んだ制御部を示す斜視図である。
【
図45B】
図45Aおよび
図45Bは、制御部による画像またはビデオキャプチャのために、患者の眼球および眼瞼(または眼球表面、涙、涙成分または層、またはマイボーム腺)を照らすライトを組み込んだ制御部を示す斜視図である。
【
図46】
図46は、撮像素子とともにディスプレイを組み込んだ制御部を示す斜視図である。ディスプレイは、図示のように制御部の背面に設置することもできるが、タッチスクリーン・インターフェースを有する制御部の前面に設置することになるであろう(iPhone(登録商標)のように、タッチスクリーン機能、画像ボタン、画像ディスプレイがユーザーに対向しており、撮像素子および照明がユーザーから離れたデバイスの背面にある)。
【
図47】
図47は、撮像素子によって撮像されている眼球および/または眼瞼(または眼球表面、涙、涙成分または層、またはマイボーム腺)の画像を表示するためのディスプレイを有する制御部を示す斜視図である。
【
図48】
図48は、眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の適切な画像が撮像素子によって撮影されたかどうかをユーザーに警告するためのインジケーターを有する制御部を示す斜視図である。
【
図49】
図49は、制御部と通信可能なスマートフォンなどの別の撮像装置によって撮影された眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の画像を受信する、一例による制御部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
蒸発型ドライアイ症候群(DES)の原因となるマイボーム腺機能不全(MGD)などの処置には、パッチやストリップ、肉薄な接着器具などを上眼瞼および下眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の皮膚に貼り付けて、その下の皮膚にある1つ以上のマイボーム腺に熱やその他の形態のエネルギー、圧力、薬剤、水分などを(単独または組み合わせて)伝達または吸収させることができる。特に、1つ以上の処置用ストリップは、上眼瞼および下眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の皮膚の中にある1つ以上の目的となるマイボーム腺の上に配置するように構成され、サイズが決められている。眼瞼は一般的に人体で最も肉薄な皮膚であり、組織は高度に血管化されているため、加熱や冷却などの温熱療法を適用すると、眼瞼を簡単に通過することができる。眼瞼の付け根が近位側に、眼瞼の縁が遠位側に位置しているため、動脈血の正味の流れは近位側から遠位側に向かって流れる。そのため、これらの処置用ストリップをどこに配置しても、加熱治療または冷却治療は、眼瞼およびそこに含まれるあらゆる構造物、マイボーム腺MG、涙腺LG、ツァイス腺GZ、モル腺GM、ヴォルフリング腺GW、クラウゼ腺GKなどに容易に行われ得る。
【0036】
さらに、眼瞼が相当肉薄であるため、加熱治療または冷却治療が眼球表面および眼球自体にも伝えられる(詳細は後述する)。そのため、治療により、結膜、杯状細胞、上強膜血管系、角膜、房水、虹彩、毛様体、場合によっては網膜、脈絡膜、視神経、前部硝子体、水晶体などにもエネルギーを付与することができる。このように、処置用ストリップによる任意の温熱治療は、眼表面疾患および前眼部疾患、例えば、結膜炎、角膜炎、角膜症、毛様体炎、角膜症、緑内障、白内障などにも影響を与え、それらの処置に使用することができる。また、以下に詳述するように、レーシック、レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)、白内障や角膜の手術、その他の眼球、眼周囲、眼内、眼瞼の手術後のような術後の状態での使用も考えられる。
【0037】
図2Aおよび
図2Bの正面図に示すように、一態様によるこのような処置用ストリップは、説明のために閉じた状態の患者Pの目の上の上眼瞼ULおよび下眼瞼LLに一時的に接着されているものとして示される。外形を形成された上側ストリップ10は、上眼瞼ULの皮膚に直接接着できるようなサイズに形成されており、これにより、ストリップ10は、上眼瞼ULの下にある皮膚に含まれる1つ以上のマイボーム腺の位置に沿った構成および形状に形成されている。同様に、外形を形成された下側ストリップ12は、下眼瞼LLの下にある皮膚に含まれる1つ以上のマイボーム腺の位置に沿った構成および形状を有していてもよい。別例では、以下の別例で説明するように、外形を形成されたストリップは、眼瞼のしわで止まってもよいし、その上を横切ってもよい。
【0038】
したがって、上側ストリップ10は、上側の湾曲したまたは弧状の周縁部14を有し、この周縁部14は、(上眼瞼のしわに沿って、または上眼瞼のしわまで、)マイボーム腺の上側(上位)の境界に沿って延びる形状に形成されており、下縁の直線化された周縁部16は、上眼瞼ULの自由縁に沿って、マイボーム腺の下側(または下位)の境界に沿って延びる形状に形成されていてもよい。下側ストリップ12は、同様に、下眼瞼LLの自由縁に沿ってマイボーム腺の上側(または上位)の境界線を延長して沿う上側の直線状の周縁部20と、下眼瞼LLに沿って(下眼瞼のしわに沿って、または下眼瞼のしわまでなど)マイボーム腺の下側(または下位)の境界線を延長して沿う下側の曲線状または弧状の周縁部18とを有していてもよい。本明細書では、下側および上側という用語の使用は、患者P(ヒトまたは動物)に貼付されたときの処置用ストリップの周縁部を意味し、本明細書では説明のために使用されている。
【0039】
処置用ストリップ10,12は、いずれも上眼瞼ULおよび下眼瞼LLに貼付されて示されているが、ストリップ10,12は、所望の処置に応じて、上眼瞼ULのみ、または下眼瞼LLのみに貼付されて個別に使用することができる。さらに、処置用ストリップ10,12の長さも、必要に応じて、本明細書でさらに詳細に説明するように、個別のマイボーム腺を目的とした処置を行うために変化させることができる。
【0040】
処置用ストリップ10,12は、患者Pの閉じた眼瞼の上に配置された状態が示されているが、ストリップ10,12は、患者の眼瞼の縁の曲率を想定した円弧状または可撓性を備え、瞼板の下にあるマイボーム腺の一部または全部をカバーするのに十分な長さであってもよい。処置用ストリップ10,12は、一般的なサイズに形成されてもよいが、特定のヒトの眼瞼の寸法に合わせてカスタムメイドのサイズに形成したり、粘着性および/または快適性および/または安定性を最適化するような形状に形成したりすることもできる。一般的に、成人の眼瞼裂の長さは約27mm乃至30mmであるため、処置用ストリップ10,12の長さは、所望処置の長さおよび患者の解剖学的組織の考慮事項に応じて、約1mm乃至50mmの範囲としてもよい。したがって、できるだけ多くのマイボーム腺をカバーするために、処置用ストリップ10,12は、例えば25mm乃至30mmの長さを有するようなサイズに形成されてもよいし、すべてのマイボーム腺のすぐ向こう側をカバーするようなサイズに形成された場合には、例えば30mm乃至50mmの長さを有するようなサイズに形成されてもよい(カバー力/接着力/快適性/安定性を最適化するために必要な場合には、それ以上)。さらに、片方または両方の処置用ストリップ10,12は、約1mm乃至25mmの範囲の幅を有することができる。これは、白人男性の典型的な眼瞼のしわは、眼瞼の縁から上に約8mm乃至9mmのところにあり、白人女性の場合は、眼瞼の縁から上に約9mm乃至11mmのところにあるからである(密着性/快適性、および流入した血流を加熱または冷却することで効果を高める可能性があるため、必要に応じてそれ以上の幅を有することができる)。カスタマイズすることで、体格や人種、民族などに合わせることができる。さらに、処置用ストリップは、眼瞼および眼瞼のまばたきの人間工学に合わせて、様々なレベルの可撓性を備えるように製造することができ、最適な快適性を得るとともに目障りさや動きを最小限にすることができる。
【0041】
処置用ストリップ10,12の外形のサイズおよび可撓性により、処置用ストリップは、患者P自身が消費者として使用するために患者Pに装着したり、医療従事者が下にあるマイボーム腺に治療を行うために患者に装着したりすることができ、これにより、
図2Bに示すように、片方または両方の処置用ストリップに邪魔されることなく、患者の目は正常に開閉できる。ストリップは眼瞼の縁から眼瞼のしわまで貼付されるが、正常なまばたきの障害を防ぐとともに快適性を最大化するために、まばたき中に屈曲または蛇腹状に変形および/または圧縮することもできる。
【0042】
温湿布のような典型的な処置パッチは、一般的に、処置セッション中に患者が目を開けたりまばたきをしたりできないように、片眼または両眼全体を覆うように装着されるようなサイズに形成される。しかしながら、DESとMGDとの間には強力な関連性があるため(例えば、MGDには、MGD、マイボーム腺炎、眼瞼炎、酒さのスペクトルが含まれる)、ヒトの自然なまばたきは、通常、マイボーム腺の分泌物が眼瞼の縁上および涙の上に放出される仕組みである。まばたきをしない場合、マイボーム腺に含まれる油分は、腺の末端管内で圧搾されず、涙の上の油性層の分布に寄与しない。
【0043】
そのため、処置用ストリップ10,12の外形を形成されたサイズ、形状、および可撓性により、処置を行いながら、患者の片眼または両眼を開いたままにすることができ、患者は処置中に正常で生理的なまばたきを行うことができる。この処置用ストリップ10,12は、外部から力を加えて油分や障害物を腺から絞り出すのではなく、まばたきによって目の自然な仕組みを利用してマイボーム腺から油分を取り除くことができる。したがって、処置用ストリップ10,12は、患者または医療従事者によるさらなる介入を伴うことなく、処置のために所定の位置に粘着させることができ、これにより、目が妨げられず、自然なまばたきができる状態のままで、処置用ストリップ10,12が例えば熱エネルギーを加えて、ワックス状または固体のマイボーム腺の障害物を溶かしたり液化したりすることができる。他の処置法では、処置中に患者が目を閉じることで妨げられたり、まばたきをしないようにする必要があるが、この処置用ストリップ10,12では、自然なまばたきの力で、加熱処理されて軟化した障害物が再び固まる前に腺から取り払うことを補助することができる。また、血流が増加すると、代謝や他の組織の温度に影響を与えたり、炎症に影響を与えたりして、組織の機能や回復を促進することができるため、熱の供給は血管拡張を促進して血流を増加させてもよい。
【0044】
患者の中にはマイボーム腺に障害物や閉塞物があり、マイボーム腺の温度が高くならないとそれらが十分に溶解せず、緩まず、軟化しない場合があるため、処置用ストリップ10,12は、処置用ストリップ10,12が一日中の任意の期間に患者に装着された状態を保持することができるので、比較的より長い処置時間およびより高い処置温度で、相当の期間、熱または他の処置を眼瞼の表面に施すことができる。処置用ストリップは、処置範囲全体で正常に機能するように、比較的透明または肌色で、それによって目立たないようにしてもよい。患者は、目を開けてまばたきをしながら、ストリップを使った処置の心地よさを感じつつ、日常生活を送ることができる。さらに、患者はドライアイの症状が治まるまで、1日、1週間、1ヶ月など、必要に応じて何度でも処置用ストリップを貼り付けることができる。これにより、処置の頻度や利便性が向上し、結果として処置の効果を高めることができる。
【0045】
処置時間が長くなるため、患者が処置中にまばたきを続けることができる限り、ストリップを貼る以外に別の力を加える必要はないであろう。さらに、処置頻度は、処置対象となる症状の重症度に応じて調整または変化させることができる。潜在的な処置頻度の一例としては、例えば、1日に最大6回、10分間の処置、または各処置に最大1時間までまたはそれ以上の片方または両方のストリップの貼付が挙げられる。さらに、処置用ストリップは、眼球表面に重なっているマイボーム腺の上に配置されているので、温熱治療を施すことにより、眼球表面も間接的に加熱され、あらゆる慢性的な眼球表面の炎症、慢性的な結膜の炎症、または角膜の新血管新生をさらに低減してもよい。
【0046】
また、眼表面を加熱するのみならず、潜在的に眼表面から間接的に加熱したり、網膜を加熱したりして、加齢性黄斑変性症(AMD)、網膜血管閉塞症、網膜血管新生、緑内障、網膜変性症、網膜ジストロフィー、糖尿病性網膜症などの疾患の基礎となる症状である炎症および新血管新生を抑制するための温熱療法を任意に行うことも可能である。
【0047】
処置用ストリップ10,12は、患者の生理的なまばたきを利用するために一日中使用することができるが、処置用ストリップ10,12は、患者が休息している間や眠っている間、あるいは単に目を閉じている間にも使用することができる。処置用ストリップ10,12は、単回使用の処置として適用することもできるし、再利用可能な器具として十分な堅牢性を備えるように構成することもできる。
【0048】
処置用ストリップ10,12は、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLのうちの少なくともいずれか一方の約15mm以上の動きにも対応できるよう十分な可撓性を備えることが望ましい。このように、処置用ストリップ10,12は、様々な材料から製作することができる。
図3Aおよび
図3Bは、皮膚表面に対して直接配置するための接触領域30を残すように、接着剤32がストリップの周縁部の周囲に配置されているように構成されている、一例による処置用ストリップの正面図および側面断面図をそれぞれ示している。接触領域30は、ストリップからの熱伝達を促進し、皮膚に保湿治療を施すために、ストリップと皮膚との間に界面を形成する保湿層をさらに含んでいてもよい。これに代えて、処置用ストリップは、処置用ストリップとは別に、患者Pや医療従事者が下にある皮膚に塗布する任意の数の保湿剤と併用することもできる。さらに、接触領域30は、処置用ストリップから皮膚表面への接触および熱の伝達を容易にするために、平滑、多孔質、不規則、波形などの表面を有するように形成されてもよい。これに代えて、良好な接触を維持するために、その周辺を含む接触領域30全体を接着剤としてもよい。また、ヒンジ式やカーブ式にすることで、屈曲や蛇腹状に伸縮するような動的な動きを可能にし、快適かつ生理学的にも優れたエルゴノミクスを実現している。使用時には、まばたきの障害を低減するために、
図3Dの張力をかけたストリップ10’に示すように、一旦張力をかけた状態でストリップを皮膚に貼り付けた後は、患者Pのまばたきを容易にするために、同じく
図3Dの解放したストリップ10”に示すように、ストリップを解放して屈曲させることができる。
【0049】
本態様では、処置用ストリップ10は、火傷やその他の悪影響から皮膚を保護可能な接触層34(例えば、金属、合金、多孔質セラミック、エンジニアリングセラミック、木材、ポリマー、複合材料、発泡体、ポリマー発泡体、エラストマーなどの導電性材料から形成されたもの)を有するように構成されていてもよい。また、このような接触層34は、単回使用の粘着層や軟質の粘着性のある高分子材料などで構成されていてもよい。第2の加熱層36は、熱エネルギーを発生させるために接触層34の上に(または皮膚に直接接触して)配置され、断熱層38は、熱を下にある皮膚表面に向けて集中、誘導、または反射させるために加熱層36の上に配置され、また、身体の他の部分から加熱層36への接触から患者を保護してもよい。断熱層または反射層38は、発泡体、発泡テープ、ガーゼ、シリコン、微多孔性ポリエチレンフィルム、金属、合金、反射材、ミラーなど、さまざまな断熱材または反射材で構成されている。さらに、処置用ストリップ10の厚みは、加熱層36の仕組みや、所望の熱プロファイル、目標とする透過温度に応じて、例えば、約1/64インチ乃至1/8インチ(約0.397mm乃至3.175mm)以上の範囲で変化する。加えて、かつ/またはこれに代えて、断熱層38は熱変色性の材料で構成されていて、これは、処置用ストリップ10が目標温度に達したときにその色が変わり、目標温度が達成されたことや治療が完了したことを患者に示すことができる。断熱層38を設けた場合、熱質量が増加するため、加熱および冷却時間の増加を考慮した処置が必要となる。
【0050】
加熱層36は、機械的機構、電気的機構、または化学的機構などの任意の数の様々な機構によって、例えば、約20℃乃至55℃(若しくはそれ以上)または40℃乃至50℃の温度範囲まで、その熱エネルギーを生成するように構成されていてもよい。一態様では、加熱層36は、例えば5分乃至24時間、またはそれ以上続く期間、上昇した処置温度に上げることができる、空気活性化または酸素活性化されたヒーターから構成されてもよい。一例として、例えば鉄を含む空気活性化層などが挙げられる。他の例としては、セルロース、鉄粉、水、活性炭(反応を速めるため)、蛭石(水を蓄えるため)、塩(触媒)、おがくず、塩化ナトリウム、水などを含む加熱層36を設け、空気に触れたときに鉄の発熱による酸化で熱を発生させるものがある。その他の態様としては、発熱反応を開始および維持のうちの少なくともいずれか一方を行うために、光による活性化(可視光やUV光で動力)や過飽和溶液(結晶化タイプ)を用いた加熱層36がある。
【0051】
任意で、処置用ストリップが特定の温度に達したことを判断するために熱変色性の材料を使用する以外に、
図3Bに示すように、個別の温度センサー39(例えば、熱電対またはサーミスタ装置)を処置用ストリップ10に組み込んで、ストリップの頂部またはストリップの底部に取り付けてもよい。
図3Cに示すように、処置用ストリップ10は、プログラム可能なプロセッサーを有する任意の制御部およびディスプレイ37のうちの少なくともいずれか一方を内蔵してもよいし、個別のオン/オフ機能を内蔵してもよい。1つ以上の温度センサー39は、制御部37と通信することができ、制御部は、加熱層36の温度、および/または、特定の処置のための時間の長さを調整するようにプログラムされる。センサーは、温度の地域的な変化を示すデータを制御部に提供することができる。これにより、治療ウィンドウ内に留まる能力が向上し、また、最適でない装着状態や加熱ストリップの剥離をユーザーに通知することができる。複数の温度センサーを使用して、患者へのストリップの正確な貼付を判定することができ、例えば、患者と接触していないセンサーは、患者と接触しているセンサーと比べて異なる温度を記録するであろう。制御部37は、医師や介護者、あるいは患者が直接プログラムできるようになっている。これに代えて、制御部37は、患者がアクセスできないように構成されていても、患者に表示するために温度および時間のうちの少なくともいずれか一方の表示を行うのみであってもよい。制御部37がプログラム可能である場合、制御部37は、例えば、加熱期間の長さの設定、処置時間の設定、予め定められた温度範囲の設定、加熱温度プロファイルの制御(所定の時間にわたって加熱温度を徐々に上昇させる、または温度を低減するなど)などをプログラムすることができる。
【0052】
別例では、加熱層36は、通常再利用可能な過飽和溶液(典型的には酢酸ナトリウム)の発熱結晶化によって熱を生成してもよい。処置用ストリップは、例えば沸騰させるなどして加熱し、冷却することで再充電することができる。この処置用ストリップの加熱は、処置用ストリップに埋設された小型の金属デバイスをスナップすることで、結晶化を開始する核生成の中心を生じさせることができる。塩を結晶化する水に溶かすためには熱が必要であり、結晶化が開始されるとこの熱が放出される。
【0053】
さらなる別の態様では、加熱層36は、電池内の電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために使用される電気抵抗発熱体を利用する電池式ヒーターで構成されていてもよい。電源は処置用ストリップの内部にあっても外部にあってもよく、処置用ストリップは、例えば、直接の電気的接触、誘導などによって充電されてもよい。
【0054】
また、加熱層36に組み込まれる他の機構としては、酢酸ナトリウムの加熱パッドに見られるような、化学的に活性化する反応が考えられる。例えば、鉄を触媒で錆びさせたり、塩化カルシウムを溶解したりする単回使用の化学反応は、試薬が処置用ストリップ内の個別の区画に維持される場合に使用できる。患者が処置用ストリップを圧搾すると、仕切りが破断されて試薬が混ざり合い、熱が発生する。例えば、水中の酢酸ナトリウム(NaCH3COO)の過飽和溶液を使用して、液体中に埋め込まれたノッチ付き鉄金属の小さく平坦なディスクを屈曲することで結晶化を起こし、酢酸ナトリウムの水和塩(酢酸ナトリウム三水和物)への結晶化のための核生成サイトとして機能させることができる。液体が過飽和状態になっているので、溶液が急激に(急速に)結晶化し、これにより、結晶格子のエネルギーが解放される。
【0055】
加熱層36での使用のさらなる別例としては、塩の過飽和溶液を含むホットジェルの使用が挙げられる。所与の塩の結晶化が発熱を伴い生じると熱が発生し得る。このような加熱層36は、加熱層36内で塩を強制的に溶液に戻すことで再利用することができる。
【0056】
また、加熱層36に使用するさらなる材料としては、高比熱の材料を使用することもできる。高比熱の材料は、使用前に電子レンジにかけるなどして加熱し、所定の時間をかけて熱を放出させることができる。
【0057】
処置用ストリップからの熱エネルギーの印加について説明したが、これに代えて、他の態様として、処置用ストリップを使用して下にある皮膚を冷却するという応用が挙げられる。加熱層36を発熱反応に用いるのではなく、これに代えて吸熱反応を利用して、例えば約0℃乃至37℃、より具体的には約25℃乃至35℃の温度範囲で皮膚の冷却を行うように層を構成してもよい。一例としては、層36に水および硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムを含ませることができる。水およびアンモニウムの混合物により、層36の温度を低減することができる。別例では、ヒドロキシエチルセルロースやビニルコーティングされたシリカゲルを加えた冷却ゲルを使用することもできるが、これらは使用前に冷却または凍結される。これに代えて、ペルチェ接合などの冷却素子を用いて、熱電冷却を含む冷却を行うこともできるが、これに限定されるものではない。炎症や腫れの軽減、アレルギーや疲れ目の緩和など、特に患者の休息や睡眠時には加熱ではなく冷却を行うことができる。一例として、アレルギー性結膜炎の処置では、冷却処置を施すことにより、血管収縮神経薬として血流を制限し、血管の漏れや透過性を低減し、急性の腫れおよび炎症を抑えることで、ほてりやかゆみを緩和することができる。さらなる別例としては、トラベクレクトミーの結果として生じる結膜濾過胞の炎症および繊維症を軽減したり、一般的にあらゆる眼病または眼球周囲の外科的処置または処置の後に生じる炎症を軽減したりすることが挙げられる。
【0058】
加熱層36を組み込むための複数の様々な機構があることから、処置用ストリップは、単回使用の使い捨てストリップ、複数回使用の使い捨てストリップ、再使用可能なストリップ、選択的に活性化可能なストリップなどに構成されてもよい。
【0059】
処置用ストリップからの熱エネルギーの印加とは別に、ストリップは、1つ以上の医薬、生物学的薬剤、または化学的薬剤を単独で、または熱処理と組み合わせて拡散または放出するための層をさらに含んでもよい。例えば、医薬、生物学的薬剤、または化学的薬剤は、接触層34、断熱層38のいずれか、または完全に別体の層に組み込まれ、追加的処置および代替的処置のうちの少なくともいずれか一方のために、マイボーム腺またはマイボーム腺周辺の領域に経皮的に送達される。例えば、処置用ストリップに組み込むことができる(温熱処置の有無にかかわらず使用するための)様々な薬理学的薬剤のいくつかの例として、抗炎症化合物、抗生物質、局所テトラサイクリン、経口テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、メトロニダゾール、ステロイド拮抗薬、局所アンドロゲン類似化合物、TGF-β、オメガ3またはオメガ6化合物、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、テトラヒドロゾリンなどの血管収縮神経薬、脂質の産生を促進する酵素、脂質の産生を促進する酵素の産生を刺激する薬剤、マイボーム腺の分泌を促進する分泌促進薬として機能する薬剤、任意の涙成分の代替または産生を促進する薬剤、コリン作用薬、ムスカリン作用薬、ニコチン作用薬の使用、化粧品分野における、しわ、膨らみ、たるみのある肌のためのレチノールやヒアルロン酸(HA)などの薬用化粧品、ニキビのためのレチノイン酸、あるいはリパーゼのような脂質を分解または破壊する薬剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
他の薬剤としては、例えば、涙の生成を高めるαメラノサイト刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、またはテストステロンなどのアンドロゲンや、まばたきを促すために眼輪筋やリオラン筋などの下にある筋肉を刺激して、まばたきの回数を増やしたりする薬剤、あるいはまばたきや眼瞼の閉鎖を強制するために眼瞼挙筋を抑制することで、まばたき後の閉鎖をより長く維持したり、あるいは、マイボーム腺やツァイス腺などの杯状細胞や付属涙腺を機械的に圧迫する薬剤などが挙げられる。
【0061】
加えて、かつ/またはこれに代えて、処置用ストリップに組み込むための他の薬剤は、例えば、神経伝達物質、有害または刺激性の化学物質または蒸気、ホルモン、油分、脂質、極性脂質、または脂肪酸をさらに含むことができる。神経伝達物質を使用することで、カルシウム/プロテインキナーゼC経路の活性化、Gタンパク質の活性化、その他のカルシウム関連経路、カルシウム-カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ、環状アデノシン一リン酸依存性経路、アデニルシクラーゼ経路の活性化、cAMP依存性ホスホジエステラーゼの阻害など、セカンドメッセンジャー経路を介して刺激を与えることができる。
【0062】
熱処理中に薬理学的または化学的な薬剤が放出された場合、熱によって下にある皮膚への薬剤の浸透が改善されることが支援される可能性がある。
【0063】
さらなる別の態様として、処置用ストリップを介して、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLのうちの少なくともいずれか一方に貼付することでマイボーム腺を処置するヒートラブや、光を引き寄せて加熱する化合物を塗布する処置用ストリップも挙げられる。これらの各態様により、処置用ストリップ10,12を、自然なまばたきをさせながら貼付および使用することで、マイボーム腺内の溶融した油分の詰まりを管内から取り払い、涙に油分を行き渡らせやすくすることができる。
【0064】
処置用ストリップは、様々な異なる処置効果を得るためにストリップに様々な層を組み込むことができるが、処置用ストリップが少なくとも1つのマイボーム腺の位置に沿うように外形または形状が形成されている限り、所望の処置領域に応じてストリップのサイズ、形状、外形などを変化させることもできる。
図4の正面図に処置用ストリップの別の一構成例を示し、上眼瞼ULに沿って配置するようにサイズおよび形状が形成された、外形を形成された細いストリップ40を示している。この処置用ストリップは、下側縁42および上側縁44の外形を有し、これらはその下にあるマイボーム腺の位置に沿っている。さらに、ストリップ40は、患者Pの両眼の上眼瞼ULに配置されていることが図示されているが、1つのストリップ40を1つの眼瞼上に使用して、本明細書に示すこの例および他の例において、特定のマイボーム腺を選択的に処置することができる。加えて、一方または両方の上眼瞼ULを単独で、または一方または両方の下眼瞼LLと組み合わせて、本明細書に示すこの例および他の例における所望の処置に応じて処置することができる。
【0065】
図5に別例の正面図を示し、これは、外形を形成された太いストリップ50を示すが、このストリップには外形を形成された下側縁52および外形を形成された上側縁54を有し、これらはマイボーム腺やその周辺の組織および腺に装着するためのものである。さらなる別の態様として、2つの個別の処置用ストリップを使用するのではなく、患者の鼻梁を覆う1つのストリップを使用することもできる。加えて、太いストリップ50は、容易に処置するために、眼瞼縁から近位側に離間した皮膚の部分を覆うことができる。眼瞼への動脈血の供給は、瞼縁の近位側から遠位側に向かって進むため、処置用ストリップは、眼瞼縁に向かって流れ続ける血液供給を加熱(または冷却)することができる。このように早期に加熱(または冷却)することで、患者の快適性の向上、(まばたきなどの)眼瞼機能への影響の軽減、使用時の安全性の向上、眼球表面からの距離の増加などの治療効果が得られ、また、より総合的な加熱および冷却治療が潜在的に可能になる。
【0066】
図6は、下側縁62および上側縁64が先端ほど細くなる端部66に収束している、別例による外形を形成された細いストリップ60を示しているが、このストリップはマイボーム腺に装着するためのものである。
図7は、さらなる別例において、処置用ストリップが、第1の幅を有する直線状のストリップ70と、細い直線状のストリップ72とを組み合わせて使用するように構成される態様を示す図である。直線状のストリップ70は、直線状のストリップ(任意に丸みを帯びた角部を有する)で構成されていてもよく、これらを選択的にマイボーム腺を覆うように配置してもよい。この例では、片方の目の上眼瞼UL上には1つの直線状のストリップ70が貼付され、残りの目には、上眼瞼ULの第1の部分に沿って貼付された1つの直線状のストリップ70と、上眼瞼ULの第2の部分上に配置される比較的より細い幅を有する第2の直線状のストリップ72とを利用することができる。各ストリップは、所望の処置領域に応じて単体または様々な組み合わせで貼付することができ、本態様では例示的な組み合わせとして示されている。
【0067】
図8の態様では、下眼瞼LLに沿って、外形を形成された細いストリップ80を貼付した一例が示されている。図示のように、外形を形成された上縁82および外形を形成された下縁84は、下にあるマイボーム腺の上に沿うように外形が形成されている。上述したように、処置用ストリップは、片眼または両眼に単体で貼付されてもよいし、上眼瞼の片眼または両眼の上に貼付される処置用ストリップと組み合わせて貼付されてもよい。さらに、本明細書に示す処置用ストリップのいずれも、互いに任意の数の組み合わせで使用することができる。
【0068】
図9は、
図8に示した処置用ストリップよりも比較的さらに幅広である、外形を形成された太いストリップ90が下眼瞼LLを覆うように貼付される別例を示している。同様に、
図10は、外形を形成された太いストリップ92が、下にあるマイボーム腺のみならず、眼窩周囲の部位の腺および組織をも処置するために、比較的より幅広であるさらなる別例を示している。
図5の態様で上述したように、幅広に形成された処置用ストリップは、血液が眼瞼縁に向かって流れ続けるときに、血液を加熱(または冷却)してもよい。早期の加熱(または冷却)により、患者の快適性の向上、眼瞼の機能(まばたきなど)への影響の低減、装着の安全性の向上および眼球表面からの距離の増加などの治療効果が得られる。
【0069】
処置用ストリップの幅を変更するのみならず、処置用ストリップの長さを変更することによっても、マイボーム腺の一部または特に選択されたマイボーム腺を選択的に目的とすることができる。例えば、
図11は、第1の短くされた長さを有する短くされた外形を形成されたストリップ100を下眼瞼LL(および/または上眼瞼UL)上に貼付する場合の一態様を示している。短くされた外形を形成されたストリップ100よりも長い第2の長さを有する第2の外形を形成されたストリップ102も比較のために示す。
図12は、同様に、下眼瞼LL上に貼付された短くて直線状のストリップ110と、第2の下眼瞼LL上に貼付された比較的より長い長さを有する第2の直線状のストリップ112とを示している。直線状のストリップ110,112は、丸みを帯びた端部を組み込んでもよく、所望の処置部位に応じて長さを変えてもよい。また、1つ以上のスタイルをカバーするために、丸みを帯びた形状または円形状にしてもよい。
【0070】
図13は、さらなる別例において、外形を形成されたストリップ120の端部を先端ほど細くなるように設け、マイボーム腺を覆うように構成する態様を示す。これと比較して、太い外形を形成されたストリップ122は、端部が先端ほど細くなるように設けられているが、処置部位を変えるために比較的幅広になっている。
【0071】
図14は、別例において、外形を形成されたストリップ130が、下眼瞼LLのマイボーム腺を覆うように配置するための第2の部分134よりも相対的に幅広である第1の部分132を有する態様を示している。第1の部分132および第2の部分134のそれぞれの幅は、所望の処置部位に応じて再び変えることができる。
図15に別例を示し、この図は、下眼瞼LLに沿ったマイボーム腺のみならず、その下にある上顎洞のような周囲の眼窩周囲組織領域を処置するために相当より幅広な第1の部分142および第2の部分144を有する外形を形成されたストリップ140を示している。
図16は、第1の部分152と、第1の部分152よりも幅広である第2の部分154とを有する外形を形成されたさらなる別例によるストリップ150を示しており、ストリップ150は、下眼瞼LLに沿ったマイボーム腺の一部のみをカバーするように配置されているが、眼窩周囲の部位の涙腺など、他の様々な腺もカバーしている。
【0072】
図17は、外形を形成されたストリップ160に、接続ストリップ164を介して二次的な拡大部分162を取り付けたさらなる別例による処置用ストリップを示す。外形を形成されたストリップ160は、下眼瞼LLに沿ったマイボーム腺を処置することができるが、二次的に拡大した部分162は、患者の頬に沿った組織の部位を処置することができる。
【0073】
さらなる別例として、
図18は、上側の外形を形成されたストリップ170と下側の外形を形成されたストリップ172の両者が、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLに沿ってそれぞれ貼付される一例を示している。上述したように、外形を形成されたストリップ170,172は、患者Pが普通にまばたきできるようにしながら、下にあるマイボーム腺に沿うような形状に形成されるとともに貼付される。
図19は、同様に貼付された上側の外形を形成されたストリップ180および下側の外形を形成されたストリップ182を示しており、ストリップは、患者Pの肌の色または陰影とより密接に一致するように色を変えてもよい。処置用ストリップは、任意の期間、一日中使用される可能性があるため、ストリップ180,182は、患者Pの肌の色または陰影により近くなるように、様々な色または色調で形成されてもよい。
【0074】
さらなる別の態様として、
図20は、上眼瞼ULや下眼瞼LLに沿った特定の部位を処置するために、処置用ストリップの長さを変えることができる別の例を示している。この例では、第1の長さを有する第1の上側ストリップ190が、第2のそれよりも長い長さを有する第2の上側ストリップ192に隣接して適用されてもよい。任意により、相対的に短い長さを有する第3の上側ストリップ194および/または第4の上側ストリップ196を、選択されたマイボーム腺上に同様に貼付することもできる。また、下眼瞼LLに沿って配置するために、拡大された遠位端200,202を有する下側ストリップ198も示されている。遠位端200は、ストリップ198を容易に皮膚に配置し、かつ/または皮膚から取り外しできるような形状に(または、より良く接着できるように)形成されていてもよい。
図21にさらなる別例を示し、これは、いくつかの短くされた処置用ストリップ、例えば、第1の上側ストリップ210および第2の上側ストリップ212が、上眼瞼ULに沿って選択的に配置されており、また、例えば第1の下側ストリップ214および第2の下側ストリップ216が、下眼瞼LLに沿って選択的に配置されていることを例示している。それぞれのストリップは、処置部位に応じて長さおよび大きさを変更することができる。
【0075】
処置用ストリップの長さが可変であるため、複数のストリップを隣接して貼付したり、眼瞼に沿って水平方向および垂直方向のうちの少なくともいずれか一方に重ねて貼付することができる。さらに、1つ以上の処置用ストリップを一単位として、または水平または垂直方向のいずれかに配向された一連のパネルとして形成してもよく、これらのパネルは任意に可撓性を備える裏地によって接続されてもよい。
図22の態様に示すように、対象となるストリップ220のそれぞれは、僅か1つのマイボーム腺をカバーするために、例えば、約1mmの長さを有していてもよい。対象となるストリップ220の1つ以上は、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLのうちの少なくともいずれか一方に沿って貼付されてもよい。加えて、対象のストリップ222の1つ以上は、個別の対象のストリップ222を互いに結合するための裏地として機能する接続部材224をさらに含んでもよい。これらの個別のストリップは、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLのうちの少なくともいずれか一方に沿って、特に問題のあるマイボーム腺に選択的に貼付することができる。例えば、
図23は、下眼瞼LLのみに沿って配置された個別の目標のストリップ222を示している。
【0076】
処置用ストリップは、1つ以上のマイボーム腺に貼付することができるが、ストリップの変形例は、皮脂腺などの他の腺を処置するため、例えば、ニキビ処置のために使用することもできる。ニキビを処置するための処置用ストリップは、異なる薬理学的処置を利用することができる。処置をする下にある眼瞼および結膜CNの他の腺は、また、例えば、ツァイス腺GZ、杯状細胞、付属皮脂腺、ヘンレ腺やマンツ腺(Manz gland)などの付属杯状細胞、ヴォルフリング腺GWやクラウゼ腺GKなどの付属涙腺、または眼瞼部や眼窩部などの主涙腺の片方または両者の葉の処置をさらに含んでいてもよい。
【0077】
さらに、処置用ストリップは、例えば、眼瞼炎、シェーグレン症候群、涙腺炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、乾性角結膜炎、角膜炎、涙嚢炎、虹彩炎、角膜炎、網膜炎、強膜角膜炎、ブドウ膜炎、コンタクトレンズに関連する眼の問題、眼瞼形成術後、眼瞼または眼球の外科的処置後(例:白内障手術、LASIK、PRKなど)、瞬目がない、機能不全によるまばたき障害、結膜炎、眼瞼痙攣、兎眼性角膜症、角膜上皮剥離、再発性角膜びらん、角膜ジストロフィー、顔面神経麻痺または不全麻痺、兎眼、眼瞼の筋波動症、感染症、ものもらい、霰粒腫、麦粒腫、緑内障、水疱、外傷などの、マイボーム腺機能不全を超える眼の障害を潜在的に処置することに使用され得る。
【0078】
さらなる別例としては、
図24に示すように、眼球の上にある涙腺LGおよび瞼板涙腺PLのうちの少なくともいずれか一方の障害を処置するために処置用ストリップを使用することができる。
図25に示す涙腺ストリップ230など、湾曲した上側の外形を有するようにサイズを形成された様々なサイズの処置用ストリップは、涙腺LGがある上の皮膚表面を覆うように直接配置可能なサイズに形成可能である。
図26には、幅が比較的細い涙腺ストリップ232を、
図27には、外周部が湾曲して先端が細くなっている涙腺ストリップ234を示しているが、これらは他の変形例である。処置用ストリップは、例えば、涙腺LGを刺激し、涙腺の代謝、活動、涙を増加させるために、熱を伝達してもよい。これに代えて、処置用ストリップは、腺の機能を損なう炎症を抑えるために冷却療法を行うこともできる。
【0079】
涙腺LGおよび瞼板涙腺PLのうちの少なくともいずれか一方は、単独で、または、マイボーム腺の処置のための、外形を形成された処置用ストリップと組み合わせて処置することができる。
図28は、上眼瞼ULに沿ったマイボーム腺および涙腺LGの両者をカバーするために幅を広げた、一態様による外形を形成されたストリップ240を示している。また、図示のように、下眼瞼LLに沿って外形を形成された処置用ストリップ242を配置し、マイボーム腺の処置も行っている。
【0080】
図29は、涙腺ストリップ250を、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLの両者に沿ってマイボーム腺の位置を確認しながら、目を完全に包囲するようなサイズに形成される一体型の複合の、外形を形成されたストリップ252と組み合わせて、涙腺LGを覆うように配置することができる別例を示している。この完全に包囲するような構成は、所望に応じて、患者の頭部を包囲するようなストラップで、より堅固に皮膚に保持することもできる。
図30に別例を示し、これは、眼を完全に包囲するサイズで、さらに涙腺LGの上に配置するのに適した幅を有する、一体型の外形を形成されたストリップ260を示す。
【0081】
涙腺ストリップ270は、本明細書に開示するいずれの処置用ストリップと組み合わせて使用してもよい。また、
図31は別例において、涙腺ストリップ270を別体のストリップ222と組み合わせた態様を示し、
図32は涙腺ストリップ270をストリップ222のみならず、下眼瞼LLおよび上眼瞼ULに沿って配置されたストリップ220とも組み合わせて使用することができる態様を示している。
【0082】
熱エネルギーを印加するために、処置用ストリップをマイボーム腺の上に貼付してもよいが、処置はストリップや任意のその他の外部装置によって印加される外力の印加を必要とせず、上述したように、処置を促進するために患者の自然なまばたきを利用してもよい。しかしながら、追加の態様では、処置用ストリップは、熱処置および外力の両者を適用するように構成されていてもよい。温熱療法を行う際に、下にある皮膚およびマイボーム腺を圧迫するために、挟み込むようにして力を加えたり、付勢したりするいくつかの機構を利用することができる。その一例を
図33の正面図に示し、この図は、上述したようにストリップ282で構成され、また、ストリップ282に沿って配置された1つ以上の付勢機構284を有する、付勢された処置用ストリップ280を示している。1つ以上の付勢機構284は、図示のように、上側ストリップまたは下側ストリップのいずれか、または両者に沿って配置されてもよい。
【0083】
この例では、付勢機構284が局所的に下にある皮膚を圧迫することで、障害物を容易に除去するために、特に加熱処置と同時に適用される場合は、マイボーム腺MGに圧力をかけることができる。
図34の斜視図に一例による付勢機構284を示し、この図は、付勢機構284が、一般的に、ストリップの一部282から構成されているか、または、開閉形態で屈曲するように構成された対応するチャネル286を形成するように付勢された個別の部材から構成されていることを示している。最初に皮膚の上に配置するときには、ストリップの両端部を張引して、チャネル286を開き、それを皮膚の表面上に配置してもよい。ストリップおよび付勢機構284が緩むと、付勢機構284に誘導された圧縮力288によって、下にある皮膚およびマイボーム腺MGが圧縮されたり、挟まれたりしてもよい。例えば、ニチノール線に流す電流を変えて、電流を流したときの線の長さを変えることで、圧縮力を加えることができる。加えて、ワイヤーはストリップを眼瞼に固定したり、圧縮力を加えたりすることにも使用できる。
【0084】
また、圧縮力以外にも、振動エネルギーを付与する機械部品などの代替部品を用いてストリップを形成することで、マイボーム腺の絞り出しを促し、油分の分泌を促進することができる。
図35は一例を示し、別例による外形を形成されたストリップ290A,290Bが、ストリップ290A,290Bに沿って組み込まれた1つ以上の振動要素292(例えば、圧電トランスデューサー、電磁アクチュエータ、偏心して結合された回転要素など)を有する態様を示している。1つ以上の振動要素292は、ストリップ290A,290Bに沿って含まれる電源およびプロセッサー294のうちの少なくともいずれか一方に電気的に結合されていてもよい。さらに、振動エネルギーは、温熱療法とは別に印加してもよいし、温熱療法と組み合わせて印加してもよい。電源は、微小電流のエネルギーを供給するために、充電可能なマイクロバッテリーを含んでもよい。このようなマイクロバッテリーは、ストリップに組み込むことも、個別に組み込むことも可能である。
【0085】
真空や吸引、機械的な圧力や振動エネルギーの印加のほかに、他の形態のエネルギーも、1つ以上の処置用ストリップによって提供することができる。
図36に別例を示し、上側の外形を形成されたストリップ300Aは、外形を形成されたストリップ300Aの全長(または部分的な長さ)に沿って一体的にワイヤなどの導電性要素302が形成されている。導電性要素302は、交互に構成されていてもよいし、下側の外形を形成されたストリップ300Bに沿って導電性要素306(または電気抵抗)で示されるように、ストリップの長さに沿って単純に並んでいてもよい。各導電性要素302,306は、対応する電源およびプロセッサー304,308のうちの少なくともいずれか一方と電気的に通信していてもよい。導電性要素302,306は、熱エネルギーを印加するように選択的に活性化されてもよいし、高周波(RF)エネルギー、可視光またはその特定の帯域もしくは波長、または赤外線を下にある皮膚およびマイボーム腺に印加するように構成されていてもよい。電気エネルギーの印加に関して、処置用ストリップによって適用可能な電気エネルギーの1つの形態は、例えば、涙の生産を増加させるために神経刺激を提供するために、経皮的電気神経刺激機能の使用を含むことができる。導電性要素は、バッテリー、太陽電池、運動、RFなど、さまざまな電源を介して熱エネルギーを生成することができる。
【0086】
図37は、外形を形成されたストリップ310A,310Bに、例えばマイクロ波エネルギーを下にあるマイボーム腺に印加するために、電源およびプロセッサー314のうちの少なくともいずれか一方に結合された電極またはアンテナ312を組み込むように構成されている別例を示している。電気エネルギーやマイクロ波エネルギーとは別に、処置用ストリップはマイボーム腺を処置するための他の形態のエネルギーを印加するように構成されていてもよい。例えば、他の態様として、超音波、RF、マイクロ波、磁気、光子(赤外線または可視光スペクトルの光エネルギー)、圧電型レシーバーなどのレシーバーによる超音波給電、起電力または電磁放射給電、熱などを適用するためのアクチュエーターまたはトランスミッターを組み込んでもよい。さらなる他の態様として、導電性要素は、一旦活性化されると電磁性要素として機能するように構成されていてもよいし、ストリップには、眼瞼の閉鎖を促進するための強磁性要素が組み込まれていてもよい。磁力は、磁力に打ち勝って両眼を開けたり再度開けたりすることで、マイボーム腺を圧迫し、油性の障害物を絞り出す役割を果たす。
【0087】
さらなる別例では、一方または両方の処置用ストリップ320A,320Bは、所定の処置が完了したときに患者に警告するために、電源およびプロセッサー322のうちの少なくともいずれか一方に電気的に結合されたインジケータ324、例えば、LEDライト、アラーム、振動要素などを組み込むように構成されてもよい。この機能(および他の機能のいずれか)は、本明細書に記載されている処置用ストリップの任意の他の態様と、実用的に組み合わせることができる。
【0088】
図39は、眼瞼処置用システム330が、結合されたデュアルストリップ設計、例えば、「叉骨(wishbone)」設計に形成されていてもよく、デュアルストリップ加熱ストリップが、片眼の上眼瞼ULおよび下眼瞼LLのマイボーム腺の位置に沿う2つの加熱要素を有していてもよいさらなる別例を示している。また、両眼、片眼、および/または上下両眼瞼のいずれを処置するかに応じて、システム330は、それぞれの眼のための第1の加熱ストリップアセンブリ332および第2の加熱ストリップアセンブリ334から構成されていてもよい。アセンブリ332,334のそれぞれは、対応して、上側および下側の眼瞼処置ヒーター、例えば、上側眼瞼処置用ストリップ332Aおよび下側眼瞼処置用ストリップ332Bを利用してもよく、上側および下側の要素のそれぞれは、ワイヤ336(例えば、フレキシブル回路)を介して互いに結合されてもよい。さらに、各アセンブリ332,334は、接続ケーブル338を介して、制御部340に結合されていてもよい。制御部340は、図示のように、(例えば、ヘッドフォンジャック、USBポート、マイクロHDMI、その他の接続ポートなどの入出力ポートを介して)ポータブル電子機器342(例えば、タッチスクリーン・インターフェースを有するスマートフォン、タブレット、PDA、ラップトップコンピュータなど)に結合されてもよい。
【0089】
他の態様では、接続ケーブルの数は、1本のケーブル338を利用するのではなく、1乃至4本の範囲のコネクターケーブルを利用することができる。例えば、1本のケーブルを使用して、各アセンブリ332,334の数個の発熱体または4個の発熱体すべてに電力および通信を提供することができる。これに代えて、4本の接続ケーブルが、アセンブリ332,334の各発熱体に電力および通信を提供してもよい。さらなる他の選択肢では、2本の接続ケーブルが、アセンブリ332,334のそれぞれに電力および通信を提供してもよい。
【0090】
他の追加の態様では、記載の処置用ストリップのいずれかが、実用的なように、本明細書に記載されている制御部342と組み合わせて使用されてもよい。さらなる態様において、楕円形または円形の発熱体が目および両眼瞼を覆い、発熱体やストリップの外縁が上下のマイボーム腺の経路に沿っていてもよい。この場合、1枚の処置用ストリップで両眼瞼および両組のマイボーム腺をカバーすることができ、ユーザーは両眼をカバーするために円形、丸形、または楕円形の処置用ストリップを合計2枚(4枚ではなく)使用することができる。このような態様は、例えば、眼が必ずしも開いていなくてもよい睡眠前や睡眠中にベッドの中で行う夜間治療に使用することができる。
【0091】
アセンブリ332,334は、上述したようにストリップで構成されており、これらのストリップは、患者が容易にまばたきをし、快適に日常生活を送ることができるようにしながら、マイボーム腺の位置に沿っている。処置用システム330と組み合わせて使用するように構成されたそのようなヒーターの一例としては、Minco Products,Inc.社(ミネソタ州ミネアポリスに所在)などの会社から市販されているものや、カスタムに設計および製造したり、第三者が製造したりすることができる肉薄かつ可撓性を備えたヒーターが挙げられる。個別の処置用ストリップの各々、例えば、処置用ストリップ332A,332Bは、それぞれ1つの眼瞼用のサイズであり、例えば、28mm×7mm×0.15mmであり、底面のコードの長さは例えば28mmであり、曲率半径は例えば75mmであり、鼻側または側頭側の縁が円弧の半径と一致するような鈍角の角部を有する円弧状の矩形の一般的な構成を有する。しかしながら、これらのサイズ制限は例示的なものであり、これらに限定的されるものではない。その理由として、処置用ストリップ332A,332Bが、異なる目の解剖学的組織構造に対応するために、より小さいサイズまたはより大きいサイズにすることができることが挙げられる。
【0092】
さらに、個別の処置用ストリップ332A,332Bは、発熱体を含む細くて可撓性を備えた透明ポリマーとして形成されていてもよく、ストリップの接触面は、例えば、使い捨ての接着剤で対応する眼瞼に貼付されてもよい。他の態様では、不透明なストリップや、肌色などの色付きストリップを利用することもできる。さらに、1つ以上の温度センサーを処置用ストリップと一体的に設けてもよく、その場合、発熱体およびセンサーは接続ケーブル338を介して、図示のように電源および/または制御部340および/または携帯電子機器342に配線される。
【0093】
制御部340は、一般的に、治療を制御するようにプログラムされたハードウェア/ソフトウェアのプラットフォームまたはユニットで構成される。したがって、制御部340は、プロセッサーの他、アセンブリ332,334に電力を供給するためのバッテリー(充電式または使い捨て)などの電源を含んでいてもよい。制御部340内の電源は、携帯型電子機器342とは別に、任意に充電可能であってもよいし、電源は、携帯型電子機器342から直接、アセンブリ332,334およびプロセッサーに電力を供給してもよい。
【0094】
制御部340が処置プロトコルを提供するようにプログラムされている場合には、処置を制御するための1つ以上の制御が制御部340に直接組み込まれてもよい。携帯型電子機器342は、制御部340とのインターフェースであり、一態様では、処置を開始および/または停止するための制御など、制御の一部を電子機器342の画面(例えば、タッチスクリーン)に表示してもよい。制御部はまた、リード線が正しく接続されていないことを検知したり、電力レベルを測定したり、温度レベルを測定したりする機能も備えている。したがって、これらの値のいずれかが範囲外になった場合、ユーザーに通知または警告する機能や、これらのシナリオが明示的に認識または修正されるまで、処置の開始を阻止または処置を停止する機能がある。これに代えて、すべての制御が制御部340上に設置されている一方で、電子機器342上のディスプレイは、主に様々な結果や処置パラメータ、処置状況を表示または追跡する役割を果たすことができる。また、ディスプレイと制御部とを個別に組み合わせて使用することもできる。
【0095】
さらなる別の選択肢として、すべての制御は、制御部340上ではなく、様々な処置オプションやパラメーターを制御するための電子機器342のディスプレイ上に存在してもよい。この態様では、スマートフォンなどの電子機器342は、処置用ストリップアセンブリ332,334に電力を供給し、様々な処置温度および時間をさらに制御し、温度フィードバックや測定される他の生理学的パラメーターを受信して表示することもできる。この場合、処置用ストリップ332,334および接続ケーブル338は、モバイル機器または個人用ポータブル電子機器342に直接差し込むことができる。例えば、電子機器342は、処置パラメーター、および処置を開始するためのアイコンやボタンなどの制御を表示するために使用されてもよい。一例では、電子機器342を介してユーザーが治療を開始し、処置用ストリップアセンブリ332,334の一方または両者のストリップのうちの1つ以上を加熱することができる。いずれの態様においても、電子機器342、特にスマートフォンやタブレット端末の場合には、電子機器342が制御部340およびアセンブリ332,334と組み合わされてどのように使用されるかに応じて、電子機器342上の様々な制御および/または表示パラメーターを容易にする任意のプログラムやアプリケーションが装置上にダウンロードされていてもよい。態様に応じて、ディスプレイおよび制御表示は、制御部340自体に設けられてもよいし、制御部340とは別体のデバイスに設けられてもよい。
【0096】
加えて、電子機器342は、ユーザーがドライアイの検査をし、かつ/または処置前、処置中、処置後のいずれかで処置の進行状況を判断したりするための診断機能を提供することもできる。したがって、電子機器342または制御部340は、ユーザーの眼球の涙膜または眼球表面を撮像し、総涙液層の厚み、および/または涙膜ムチン層の厚み、および/または涙膜脂質層の厚み、および/または涙膜水層の厚み、またはそれらの任意の組み合わせなどの一般的に使用される涙の評価基準を評価する目的で、例えば、内蔵カメラおよび/またはフラッシュ/光源を活用することができる。このようなカメラは、ストリップの配置を表示したり、「ミラーリング」したりして、同期または非同期に、ユーザーがまたは遠隔で評価したり調整したりすることができる。モバイルアプリケーションは、ユーザーの涙膜および眼表面のうちの少なくともいずれか一方の状態の撮像に加えて、ドライアイを診断するための他の一般的な方法を含むことができ、例えば、ユーザーの患者の症状、不快感、および/または症状の改善または悪化に関するユーザーアンケートが、電子機器のタッチスクリーン・インターフェースを使用して記入でき、結果が電子機器342またはウェブ・アプリケーションまたはメーカーのサーバーに保存され、傾向評価のために経時的に追跡され、場合によってはユーザーの主治医と共有される。
【0097】
さらに、いずれの態様においても、制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方は、アセンブリ332,334を例えば42.5℃プラスマイナス1℃乃至2℃に加熱するようにプログラムまたは開始されてもよい。処置時間は例えば1分乃至30分または60分などそれ以上に設定されてもよく、制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方は、割り当てられた処置時間が経過した場合、または測定された温度が予め定められたレベル(例えば45℃)を超えた場合にシャットダウンするようにさらにプログラムされていてもよい。加えて、制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方は、様々な処置パラメータ(処置の開始、発熱体の加温、処置の完了、エラー、バッテリー残量など)を、任意の数の視覚的、聴覚的、または触覚的なインジケーターによって示すようにプログラムまたは設定されていてもよい。
【0098】
加えて、制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方を使用して、過去の処置データ、使用時間、総処置時間、温度データなどの様々なデータを保存および/または送信することができる。さらに、制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方は、リモートサーバーまたは追加の制御部と無線通信してもよく、これにより、制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方は、例えば、医師などによって遠隔でプログラムすることもできる。さらなる他の態様では、リモートサーバーから受信した音声および視覚情報(例えば、広告、教育メディア、ソーシャルメディアへの接続性、または他のメディア)のうちの少なくともいずれか一方が、制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方の上に表示されてもよく、あるいは様々な他のデータが制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方に、かつ/または制御部340および電子機器342のうちの少なくともいずれか一方から送信されてもよい。
【0099】
さらなる他の態様では、制御部340は、有線接続ケーブル338を介してアセンブリ332,334に結合されているものとして図示されているが、他の態様では、制御部340は、アセンブリ332,334と無線で接続されていてもよい。このような接続は、Bluetooth(登録商標)やRFなどの任意の数の無線プロトコルを介して行うことができる。
【0100】
この「精密温度制御」携帯型加温治療システムは、身体の他の部位の加温にも使用できる。この場合、システムはほぼ同じであるが、処置する表面積の合計、温度目標、患者の快適さ、その他の状況に応じて、発熱体の寸法を変えたり、必要な電力を変更したりすることができる。
【0101】
処置用ストリップにプロセッサーを組み込むことで、処置時間やストリップの温度などの他のパラメーターをプログラムし、患者が選択的に任意に、または自動的に、オン/オフを切り替えることができる。さらに、処置の柔軟性をさらに高めるために、熱の供給やその他の刺激の頻度などの他のパラメータもプロセッサーによってプログラムすることができる。
【0102】
さらなる別例では、処置用ストリップアセンブリは、処置用ストリップアセンブリと組み合わせて使用するように特別に設計およびプログラムされた制御部350と組み合わせて使用することができる。
図40の斜視図にこのような制御部の例を示し、図はこの制御部350が、ハウジング352、例えば、8オンス(約226.79グラム)未満(またはそれを超える)の重さを有する円形のハウジングであって、電源とプログラマブル・プロセッサーを内蔵する制御ボードとを包囲するハウジングで構成されることを示す。制御部ハウジング352は、2つのヒーターアセンブリを差し込むための2つのポート354、すなわち、第1の眼のための第1の処置用アセンブリを接続するための第1のポートと、第2の眼のための第2の処置用アセンブリを接続するための第2のポートを組み込んでもよいが、他の態様では、片眼を処置するために1つのポートを使用してもよい。第1の眼の周囲の組織のみを処置する場合は、1つのポートを使用することができる。コネクター・インジケーター358は、第1および第2のポート354のうちの少なくともいずれか一方がヒーターと正しく接続されているかどうかをユーザーに示すために、視覚的なインジケーター(および/または聴覚的なインジケーター)を提供するために含まれていてもよい。また、制御部350を充電するための電源に接続するための充電ポート356をハウジング352に組み込んでもよい。制御部のヒーターアセンブリ用のポート354は、充電ポート356に対して、制御部に接続されているヒーターの数に関わらず、充電ができないように配向されている。
【0103】
電源ボタン360は、ユーザーが制御部350をオン/オフできるように設けられてもよく、電源インジケーター362は、制御部350の電力レベルを示すように設けられてもよい。また、電源インジケーター362に加えて、温度制御部364を設けて、ユーザーが処置中に必要に応じて「+」または「-」を押圧することによりストリップアセンブリの温度を調整できるようにしてもよい。加えて、タイマー366を設けて、処置時間のカウントダウンを視覚的(および/または聴覚的)に示すようなフィードバックを行うこともできる。例えば、12分間のタイマーが開始されると、タイマー366の各表示バーは1分間点滅した後に、12分間の処置時間全体が経過するまで消灯する。
【0104】
図41Aおよび
図41Bに示すように、制御部350は、コネクター・インジケーター358によって示されるように、視覚的な表示を提供してもよい。第1の処置用ストリップアセンブリのための第1のコネクター370Aが第1のポート354Aに挿入されたとき、同様に、第2の処置用ストリップアセンブリのための第2のコネクター370Bが第2のポート354Bに挿入されたときの表示を、コネクター・インジケーター358によって示すことができる。
【0105】
図42Aおよび
図42Bは、ハウジング350の様々な斜視図であり、ハウジング352は、ハウジング352内に含まれる内部構成要素の一部を明確にするために透明に示されている。例えば、第1および第2の処置アセンブリに電力を供給するために、第1および第2の電源380A,380B、例えば充電式バッテリーをハウジング352に組み込んでもよい。加えて、処置パラメーターの他様々な安全性の要素を制御するために、プログラマブルプロセッサーを搭載した制御ボード382をハウジング352に組み込むこともできる。
【0106】
例えば、制御ボード382およびプロセッサーは、処置用ストリップアセンブリ(制御部350に接続されている場合)に約12分の処置時間で電力を印加することにより、治療セッションを開始するようにプログラムされていてもよい(ただし、この処置時間は必要または所望に応じて変更することができる)。電源380A,380Bによって供給された印加電圧は、制御ボード382によって活性化されて、ヒーターストリップの電気トレースを介して電流を供給し、約42.5℃の温度で眼瞼に熱を加えることができる。制御ボード382は、処置を開始してから例えば20秒以内に処置用ストリップを処置温度まで加熱するようにプログラムされていてもよい(例えば、室温20乃至26℃のような温度制御設定において)。
【0107】
制御ボード382は、42プラスマイナス1℃の公称温度を維持することができる温度検知フィードバックループを含むようにプログラムされていてもよく、さらに、処置中の任意の時点で処置用ストリップが閾値温度、例えば39℃を下回った場合に、視覚的および/または聴覚的な警告を提供するようにプログラムされていてもよい。また、制御ボード382は、処置中に処置用ストリップの表面温度が予め定められた期間、最高温度を超えることを禁止するように、例えば5秒以下の累積期間、48℃を超えることを禁止するようにプログラムされていてもよい。制御部は、1つの処置用ストリップの温度の不一致を識別するようにプログラムされていてもよく、これは患者の顔にストリップが部分的に貼付されたことを示し得る。各ストリップには複数のセンサーが搭載されており、ストリップに沿った部位ごとの温度差を正確に把握することができるほか、任意によりストリップとは別の温度をより正確かつ迅速に検知し、それに応じて調整することができる。
【0108】
患者が処置用ストリップアセンブリが熱すぎると判断した場合、ユーザーは温度制御部364を調整して処置温度を調整してもよいし、1)制御部350上の電源ボタン360を瞬間的に押す、2)制御部350の電源を切る(例えば、電源ボタンを3乃至5秒間押し続ける)、3)制御部350から処置用ストリップアセンブリを外す、4)処置用ストリップアセンブリを患者の眼瞼から外す、のいずれかにより処置を停止してもよい。処置が完了または停止した後に、処置用ストリップアセンブリを患者の眼瞼から取り払い、制御部350から切断し、廃棄してもよい。
【0109】
制御ボード350内の電源380A,380Bは、少なくとも5回分の12分間の温熱処置サイクルに十分であり、制御ボード382は、再充電が必要な場合(例えば、電源380A,380Bの充電残量が25%未満の場合)には、処置サイクルを開始しないようにプログラムされていてもよい。
【0110】
加えて、制御ボード382は、コネクター370A,370Bのうちの一方または両者が対応するポート354A,354Bから抜かれたときに、処置用ストリップへの電力を自動的に遮断するようにプログラムされていてもよい。処置セッションが一時停止され、温度インジケーター364の状態が変化して、処置用ストリップがコンセントから外れていることを示すことができる。
【0111】
加えて、制御ボード382は、加熱サイクル以外の期間、例えば15秒間活動しなかった場合(スタート/ストップ、ヒーターや充電器の接続などをしなかった場合)、自動シャットオフを行うようにさらにプログラムされていてもよい。
【0112】
制御部350は、電源に直接接続することによっても充電ポート356を介しても充電可能である。これに代えて、
図43の斜視図に示すように、制御部350を保持するための受承クレードル392を提供する別体の充電ステーション390を設けてもよい。充電ポート356は、受承クレードル392に一体的に設けられた充電ポートに整列してもよい。別例では、充電ステーション390は、制御部350をワイヤレスで、例えば非接触充電で充電するように構成されていてもよく、これにより、制御部350は、充電コネクターに差し込まれるのではなく、充電ステーション390の近傍に単純に置かれるだけでもよい。
【0113】
さらなる別の選択肢として、制御部350は、1つ以上の交換可能なバッテリーパックを有していてもよく、これらのパックは、制御部350の外部で充電され、1つのパックが消耗したときにユーザーが交換することができる。
【0114】
さらなる別例として、制御部は、ドライアイの治療のみならず、ドライアイの診断(およびその他の眼に関連するあらゆる症状)のために、複数の追加機能を組み込むように構成されていてもよい。
【0115】
図44Aの斜視図に示す態様では、制御部400は、図示のように、制御部400の表面404、例えば制御インターフェースの反対側の表面に沿って、カメラなどの撮像素子406を一体的に形成するように構成されていてもよい。また、1つ以上の加熱ストリップに接続するためのポート402の位置が、制御部ハウジングの縁部に沿って配置されることも示されている。撮像素子406は、表面404に沿って、撮像素子406が眼球(片眼を個別に、または両眼を同時に)およびその周辺のマイボーム腺を含む眼瞼を視認して分析するのに適した任意の箇所に配置することができる。一態様による撮像素子406は、制御部ハウジングの表面404に沿った縁部の近傍に配置されてもよい。
図44Bの斜視図に示すように、別例では、撮像素子408は、制御部400の中央部近傍または中央部で、表面404に沿って配置されてもよい。
【0116】
別例では、
図45Aおよび
図45Bの斜視図に示すように、撮像素子410は、眼球および周囲の眼瞼を十分に照らすために、撮像素子410に近接したライト412または撮像素子420に近接したライト422を組み込んでもよい。
【0117】
さらなる別例では、
図46の斜視図に示すように、制御部400は、ユーザーにプロンプトまたは他の情報を表示するために、撮像素子406に近接した表面404に沿って、タッチスクリーン・ディスプレイでもよいスクリーンまたはディスプレイ430を組み込むこともできる。
【0118】
制御部400が患者の眼球およびその周辺の眼瞼の画像を取得するように構成されている場合、制御部400に内蔵されたプロセッサーは、例えば、マイボグラフィー機能をプログラムすることができる。例えば、制御部400は、患者の眼瞼(または内側眼瞼)およびマイボーム腺の画像を取得し、その画像を以前に取得した任意の画像と比較して、処置の進捗状況を追跡し、かつ/またはマイボーム腺の健康状態を判断したりすることができる。また、制御部400は、眼瞼およびマイボーム腺に関する複数の画像およびその他の関連データを記憶するメモリ機能を内蔵していてもよい。1つ以上の選択された画像の比較および分析は、患者および医師のうちの少なくともいずれか一方によって開始されたときに選択的に、または制御部400内のプロセッサーによって自動的に達成されてもよい。加えて、制御部400には、インターネットに接続するための無線または有線の機能が搭載されており、相互接続されたサーバーを介して1人または複数の選択されたユーザーにデータおよび画像のうちの少なくともいずれか一方を送信することができる。
【0119】
さらに、画像を分析する際に、制御部400は、例えば、単純な診断出力や評価を行うようにプログラムされていてもよいし、かつ/または処置の進行に伴う生理学的または病気のマーカーの傾向を示すようにプログラムされていてもよい。
【0120】
制御部400は、眼瞼およびマイボーム腺の状態を追跡、比較、診断するのみならず、プロセスをプログラムして、眼球表面診断機能、例えば、角膜および結膜のうちの少なくともいずれか一方の染色撮像機能を提供してもよい。その他の機能としては、涙膜分析、干渉計、脂質層の厚み分析の他、水層(涙液メニスカスの高さ)の分析、ムチン層の分析などが挙げられる。さらなる特徴は、非侵襲的な涙分解時間の測定、まばたきの分析機能、眼瞼のサイズおよび寸法の画像分析機能などもあり、これらを利用して、例えば、個々の患者に合わせてカスタムサイズの治療用加熱ストリップを形成することができる。
【0121】
マイボグラフィーを利用する際には、赤外線マイボグラフィー、レーザー共焦点マイボグラフィー、接触型マイボグラフィー、非接触型マイボグラフィー、光干渉断層型マイボグラフィーなど、さまざまな方法を利用することができる。加えて、赤外光をマイボグラフィーに使用することもでき、例えば、赤外フィルターおよび赤外固体撮像素子カメラを使用して眼瞼を撮像することができる。
【0122】
さらに、眼球および/または眼瞼および/またはその他のパラメーターを撮像する際に、デジタル的に裏返された眼瞼または眼瞼内部を撮像してもよく、例えば、生体内でのマイボーム腺の形態を撮像することも可能である。すなわち、眼球の表面に対して接触している内側の面を撮像可能である。
【0123】
記載されている機能のうちのいずれか1つまたはすべてを、本明細書に記載されている制御部の任意の変形例と組み合わせて組み込むことができる。さらに、加熱ストリップの態様のいずれも、本明細書に記載されている様々な制御部の実施形態と任意の数の組み合わせで使用することができる。
【0124】
患者の眼瞼およびマイボーム腺の画像を取得する際に、制御部400は、患者または施術者(医師、看護師など)が、自分の眼瞼が撮像素子406によって適切に撮像されていることを確認できるようにするための機能を含んでいてもよい。
図47に、制御部400に、撮像素子406で撮影された患者の眼球および眼瞼442の画像を表示するディスプレイ440を組み込んでいる一例を示す。このようにして、ユーザーは、使用中の撮像素子406によって、自身の眼瞼の適切な画像が撮影されていることを確認することができる。別例を、
図48の斜視図に示すが、適切な画像検知が制御部400によって行われ得る。撮像素子406による画像キャプチャの間、制御部400は、ユーザーの眼球および眼瞼の適切な画像が撮像されているか、キャプチャされているかを画像分析によって自動的に判断してもよい。適切な画像が得られたかどうか、あるいは新たな画像が必要かどうかを確認するために、ライトや音声による警告などのインジケーター450をユーザー(患者または施術者)に提供してもよい。
【0125】
さらなる別例として、制御部400は撮像素子406を直接表面404上に組み込んでもよいが、制御部400は、追加的および/または代替的に、カメラを内蔵するとともに無線機能も有する別体の撮像装置460(スマートフォン、タブレット、ラップトップなど)と無線通信してもよい。例えば、ユーザーがスマートフォンを使用して眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の画像を取得し、その画像を無線で制御部400に直接送信してマイボグラフィー解析を行ってもよい。これに代えて、撮像装置460を使用して画像を取得し、解析を行い、その結果を制御部400および他のユーザーのうちの少なくともいずれか一方に直接送信してもよい。
【0126】
上述した装置および方法の用途は、ドライアイ症候群の処置に限定されるものではなく、任意の数のさらなる処置用途を含むことができる。さらに、このような装置および方法は、 急性または慢性の炎症が病気や疾患を引き起こす、体内の他の処置部位にも適用することができる。処置用ストリップは、このように、下にある生理的組織の通路に沿うようにカスタム設計可能であり、例えば、副鼻腔および急性または慢性副鼻腔炎、鼻炎およびアレルギー性鼻炎、関節痛および関節の炎症、関節炎、筋肉痛、腰痛、頭痛、傷、スポーツ傷害などを処置するために、外形を形成された冷却または温熱処置用ストリップをカスタム設計することができる。本発明を実施するための上述したアセンブリおよび方法の変更、実行可能な異なる態様間の組み合わせ、および当業者にとって明白な本発明の態様の変形例は、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
また、加熱層36に組み込まれる他の機構としては、酢酸ナトリウムの加熱パッドに見られるような、化学的に活性化する反応が考えられる。例えば、鉄を触媒で錆びさせたり、塩化カルシウムを溶解したりする単回使用の化学反応は、試薬が処置用ストリップ内の個別の区画に維持される場合に使用できる。患者が処置用ストリップを圧搾すると、仕切りが破断されて試薬が混ざり合い、熱が発生する。例えば、水中の酢酸ナトリウム(NaCH3COO)の過飽和溶液を使用して、液体中に埋め込まれたノッチ付き鉄金属の小さく平坦なディスクを屈曲することで結晶化を起こし、酢酸ナトリウムの水和塩(酢酸ナトリウム三水和物)への結晶化のための核生成サイトとして機能させることができる。液体が過飽和状態になっているので、溶液が急激に結晶化し、これにより、結晶格子のエネルギーが解放される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の加熱ストリップに接続するように構成されたハウジングを有する制御部と、
前記制御部に組み込まれ、患者の眼球および眼瞼のうちの少なくともいずれか一方を撮像するように構成された撮像素子と、
を備え、
前記制御部が、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の画像を受信し、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の状態を判定するように構成されている、患者の状態を判定するための処置システム。
【請求項2】
前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方を照明するためのライトをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジングに沿ってディスプレイをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハウジングに沿って視覚的または聴覚的なインジケーターをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の1つ以上の画像を受信するために、外部デバイスと無線で通信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の状態を経時的に追跡するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の画像を、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の以前に得られた画像と比較するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部が、角膜および結膜のうちの少なくともいずれか一方の染色イメージング、涙膜分析、干渉法、脂質層の厚み分析および水層(涙液メニスカスの高さ)分析、ムチン層分析、非侵襲的な涙液層破壊時間測定、まばたき分析の機能、並びに眼瞼のサイズおよび寸法の撮像分析からなる群から選択される状態を分析するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、赤外線マイボグラフィー、レーザー共焦点マイボグラフィー、接触マイボグラフィー、非接触マイボグラフィー、光干渉断層マイボグラフィー、および赤外光を介して状態を分析するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記眼球および前記眼瞼のうちの少なくともいずれか一方の内側の画像を受信するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記1つ以上のストリップの温度を監視および誘導して治療を行うようにプログラム可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御部は、予め定められた処置期間中、セットポイントを閾値温度を超えるとともに最高温度未満に維持するようにプログラム可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のストリップは、皮膚の下にある部位に熱エネルギーを放出するように構成されており、前記1つ以上のストリップは、前記皮膚の下にある部位に含まれる1つ以上のマイボーム腺の位置に沿うように形状が形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のストリップが、被験者の片眼または両眼に近接した皮膚の下にある部位に付着するように構成されており、前記1つ以上のストリップにより、前記被験者は前記1つ以上のストリップによる制約が最小限の状態で、または全くの制約無しに自然なまばたきをすることが可能である、請求項1に記載のシステム
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【国際調査報告】