(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】点群再構成前の復号フレーム同期
(51)【国際特許分類】
H04N 19/44 20140101AFI20221004BHJP
H04N 19/597 20140101ALI20221004BHJP
H04N 19/70 20140101ALI20221004BHJP
【FI】
H04N19/44
H04N19/597
H04N19/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506275
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020054863
(87)【国際公開番号】W WO2021072131
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】グラジオッシ ダニーロ
(72)【発明者】
【氏名】ザゲットー アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】タバタバイ アリ
(72)【発明者】
【氏名】ザハルチェンコ ヴラディスラフ
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159KK31
5C159PP13
5C159RC02
5C159RC04
5C159RC12
5C159TB04
5C159TC35
5C159UA02
5C159UA05
5C159UA34
(57)【要約】
点群再構成前の復号フレーム同期のための方法及びビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダを提供する。点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むV-PCCビットストリームを受け取る。受け取られたV-PCCビットストリームのサブストリームをV-PCCデコーダの一群のビデオデコーダによって復号して、属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分などのV-PCC成分を生成する。再構成ユニットへの属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分の放出を、それぞれ第1の出力遅延、第2の出力遅延、第3の出力遅延及び第4の出力遅延に基づいて遅延させる。この遅延した放出は、再構成ユニットが属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分に基づいて点群を再構成する前に、V-PCC成分を互いに同期させる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダにおいて、
点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むV-PCCビットストリームを受け取るステップと、
前記V-PCCビットストリームのサブストリームを一群のビデオデコーダによって復号して、属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分を含むV-PCC成分を生成するステップと、
前記V-PCCデコーダの再構成ユニットへの前記属性成分の放出を第1の出力遅延に基づいて遅延させるステップと、
前記再構成ユニットへの前記形状成分の放出を第2の出力遅延に基づいて遅延させるステップと、
前記再構成ユニットへの前記占有マップ成分の放出を第3の出力遅延に基づいて遅延させるステップと、
前記再構成ユニットへの前記アトラス成分の放出を第4の出力遅延に基づいて遅延させるステップと、
を含み、前記遅延した放出は、前記再構成ユニットが前記V-PCC成分に基づいて点群を再構成する前に、前記属性成分、前記形状成分、前記占有マップ成分及び前記アトラス成分を互いに同期させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記V-PCCビットストリームの属性サブストリームに関連する第1のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記属性成分の前記放出を遅延させる前記ステップは、
前記受け取られた第1のピクチャタイミングSEIメッセージから前記第1の出力遅延を抽出するステップと、
前記抽出された第1の出力遅延に基づいて、前記属性成分に関連する遅延オフセットを決定するステップと、
前記抽出された第1の出力遅延及び前記決定された遅延オフセットに基づいて、前記属性ビデオデコーダに関連する第1の復号ピクチャバッファから前記属性成分を除去すべき第1の合成時点を修正するステップと、
前記修正された第1の合成時点に前記第1の復号ピクチャバッファから前記属性成分を除去するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記V-PCCビットストリームの形状サブストリームに関連する第2のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記形状成分の前記放出を遅延させる前記ステップは、
前記受け取られた第2のピクチャタイミングSEIメッセージから前記第2の出力遅延を抽出するステップと、
前記抽出された第2の出力遅延に基づいて、前記形状成分に関連する遅延オフセットを決定するステップと、
前記抽出された第2の出力遅延及び前記決定された遅延オフセットに基づいて、前記形状ビデオデコーダに関連する第2の復号ピクチャバッファから前記形状成分を除去すべき第2の合成時点を修正するステップと、
前記修正された第2の合成時点に前記第2の復号ピクチャバッファから前記形状成分を除去するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記V-PCCビットストリームの占有マップサブストリームに関連する第3のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記占有マップ成分の前記放出を遅延させる前記ステップは、
前記受け取られた第3のタイミングSEIメッセージから前記第3の出力遅延を抽出するステップと、
前記抽出された第3の出力遅延に基づいて、前記占有マップ成分に関連する遅延オフセットを決定するステップと、
前記抽出された第3の出力遅延に基づいて、前記占有マップデコーダに関連する第3の復号ピクチャバッファから前記占有マップ成分を除去すべき第3の合成時点を修正するステップと、
前記修正された第3の合成時点に前記第3の復号ピクチャバッファから前記占有マップ成分を除去するステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記V-PCCビットストリームのアトラスサブストリームに関連するアトラスタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アトラス成分の前記放出を遅延させる前記ステップは、
前記受け取られたアトラスタイミングSEIメッセージから前記第4の出力遅延を抽出するステップと、
前記抽出された第2の出力遅延に基づいて、前記アトラス成分に関連する遅延オフセットを決定するステップと、
前記抽出した第4の出力遅延及び前記決定されたオフセット遅延に基づいて、前記アトラスフレームデコーダに関連する復号アトラスバッファから前記アトラス成分を除去すべき第4の合成時点を修正するステップと、
前記修正された第4の合成時点に前記復号アトラスバッファから前記アトラス成分を除去するステップと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記復号後に、前記V-PCCデコーダのV-PCC合成バッファに前記属性成分を記憶するステップと、
前記復号後に、前記V-PCC合成バッファに前記形状成分を記憶するステップと、
前記復号後に、前記V-PCC合成バッファに前記占有マップ成分を記憶するステップと、
前記復号後に、前記V-PCC合成バッファに前記アトラス成分を記憶するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記記憶された属性成分、前記記憶された形状成分、前記記憶された占有マップ成分及び前記記憶されたアトラス成分の各々について、前記第1の出力遅延、前記第2の出力遅延、前記第3の出力遅延及び前記第4の出力遅延のうちの1つに基づいて、前記V-PCC合成バッファから除去する合成時点を修正するステップと、
前記V-PCC成分のそれぞれの成分に関連する前記修正された合成時点に、前記記憶された属性成分、前記記憶された形状成分、前記記憶された占有マップ成分及び前記記憶されたアトラス成分の各々を前記V-PCC合成バッファから除去するステップと、
をさらに含み、前記記憶された属性成分、前記記憶された形状成分、前記記憶された占有マップ成分及び前記記憶されたアトラス成分の各々の前記除去は、前記再構成ユニットへの前記遅延した放出に対応する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダであって、
点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むV-PCCビットストリームを受け取り、
前記V-PCCビットストリームのサブストリームを復号して、属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分を含むV-PCC成分を生成し、
前記V-PCCデコーダの再構成ユニットへの前記属性成分の放出を第1の出力遅延に基づいて遅延させ、
前記再構成ユニットへの前記形状成分の放出を第2の出力遅延に基づいて遅延させ、
前記再構成ユニットへの前記占有マップ成分の放出を第3の出力遅延に基づいて遅延させ、
前記再構成ユニットへの前記アトラス成分の放出を第4の出力遅延に基づいて遅延させる、
ように構成された回路を備え、前記遅延した放出は、前記再構成ユニットが前記V-PCC成分に基づいて点群を再構成する前に、前記属性成分、前記形状成分、前記占有マップ成分及び前記アトラス成分を互いに同期させる、
ことを特徴とするV-PCCデコーダ。
【請求項13】
前記回路は、
前記V-PCCビットストリームの属性サブストリームに関連する第1のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取り、
前記受け取られた第1のピクチャタイミングSEIメッセージから前記第1の出力遅延を抽出し、
前記抽出された第1の出力遅延に基づいて、前記属性成分に関連する遅延オフセットを決定し、
前記抽出された第1の出力遅延及び前記決定されたオフセット遅延に基づいて、前記属性ビデオデコーダに関連する第1の復号ピクチャバッファから前記属性成分を除去すべき第1の合成時点を修正し、
前記修正された第1の合成時点に前記第1の復号ピクチャバッファから前記属性成分を除去する、
ようにさらに構成され、前記除去は、前記属性成分の前記遅延した放出に対応する、
請求項12に記載のV-PCCデコーダ。
【請求項14】
前記回路は、
前記V-PCCビットストリームの形状サブストリームに関連する第2のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取り、
前記受け取られた第2のピクチャタイミングSEIメッセージから前記第2の出力遅延を抽出し、
前記抽出された第2の出力遅延に基づいて、前記形状成分に関連する遅延オフセットを決定し、
前記抽出された第2の出力遅延及び前記決定された遅延オフセットに基づいて、前記形状ビデオデコーダに関連する第2の復号ピクチャバッファから前記形状成分を除去すべき第2の合成時点を修正し、
前記修正された第2の合成時点に前記第2の復号ピクチャバッファから前記形状成分を除去する、
ようにさらに構成され、前記除去は、前記形状成分の前記遅延した放出に対応する、
請求項12に記載のV-PCCデコーダ。
【請求項15】
前記回路は、
前記V-PCCビットストリームの占有マップサブストリームに関連する第3のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取り、
前記受け取られた第3のタイミングSEIメッセージから前記第3の出力遅延を抽出し、
前記抽出された第3の出力遅延に基づいて、前記占有マップ成分に関連する遅延オフセットを決定し、
前記抽出された第3の出力遅延に基づいて、前記占有マップデコーダに関連する第3の復号ピクチャバッファから前記占有マップ成分を除去すべき第3の合成時点を修正し、
前記修正された第3の合成時点に前記第3の復号ピクチャバッファから前記占有マップ成分を除去する、
ようにさらに構成され、前記除去は、前記占有マップ成分の前記遅延した放出に対応する、
請求項12に記載のV-PCCデコーダ。
【請求項16】
前記回路は、前記V-PCCビットストリームのアトラスサブストリームに関連するアトラスタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るようにさらに構成される、
請求項12に記載のV-PCCデコーダ。
【請求項17】
前記回路は、
前記受け取られたアトラスタイミングSEIメッセージから前記第4の出力遅延を抽出し、
前記抽出された第2の出力遅延に基づいて、前記アトラス成分に関連する遅延オフセットを決定し、
前記抽出された第4の出力遅延及び前記決定されたオフセット遅延に基づいて、前記アトラスフレームデコーダに関連する復号アトラスバッファから前記アトラス成分を除去すべき第4の合成時点を修正し、
前記修正された第4の合成時点に前記復号アトラスバッファから前記アトラス成分を除去する、
ようにさらに構成され、前記除去は、前記アトラス成分の前記遅延した放出に対応する、
請求項16に記載のV-PCCデコーダ。
【請求項18】
前記回路は、
前記復号後に、前記V-PCCデコーダのV-PCC合成バッファに前記属性成分を記憶し、
前記復号後に、前記V-PCC合成バッファに前記形状成分を記憶し、
前記復号後に、前記V-PCC合成バッファに前記占有マップ成分を記憶し、
前記復号後に、前記V-PCC合成バッファに前記アトラス成分を記憶する、
ようにさらに構成される、請求項12に記載のV-PCCデコーダ。
【請求項19】
前記回路は、前記記憶された属性成分、前記記憶された形状成分、前記記憶された占有マップ成分及び前記記憶されたアトラス成分の各々について、前記V-PCC合成バッファから除去する合成時点を修正するようにさらに構成され、
前記合成時点は、前記第1の出力遅延、前記第2の出力遅延、前記第3の出力遅延及び前記第4の出力遅延のうちの1つに基づいて修正される、
請求項18に記載のV-PCCデコーダ。
【請求項20】
前記回路は、前記V-PCC成分のそれぞれの成分に関連する前記修正された合成時点に、前記記憶された属性成分、前記記憶された形状成分、前記記憶された占有マップ成分、及び前記記憶されたアトラス成分の各々を前記V-PCC合成バッファから除去するようにさらに構成され、
前記記憶された属性成分、前記記憶された形状成分、前記記憶された占有マップ成分及び前記記憶されたアトラス成分の各々の前記除去は、前記再構成ユニットへの前記遅延した放出に対応する、
請求項19に記載のV-PCCデコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照/引用による組み入れ〕
本出願は、2019年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/912,928号に対する優先権を主張するものであり、この文献はその内容全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示の様々な実施形態は、ビデオベースの点群圧縮(V-PCC)に関する。具体的には、本開示の様々な実施形態は、点群再構成前の復号フレーム同期に関する。
【背景技術】
【0003】
3次元(3D)スキャン技術分野の進歩は、3Dオブジェクトの動的及び静的3D幾何学表現を作成する能力をもたらした。動的3D点群は3D幾何学表現の一例であり、これらは、スポーツ又はライブイベントの中継放送の自由視点映像(FVV)、地理情報システム、文化遺産の再現、又は車両の自律航法などの異なる用途に採用されることが多くなっている。通常、動的3D点群は多くの点群フレームを含み、各点群フレームは、(例えば、各点がX、Y及びZ座標を有する)多くの非構造的3D点と、例えば色又は反射率を含むテクスチャなどの関連する属性とを含む。3D点群によって表されるオブジェクトの3D画像は非常に多くの未加工データを含むことができ、これによってあらゆる実用的応用のためのデータの記憶、処理及び伝送が困難な作業になっている。動的3D点群を符号化する技術の1つはビデオベースの点群圧縮(V-PCC)と呼ばれ、従来のビデオコーデックを使用して動的3D点群の形状及びテクスチャを符号化するものである。動的3D点群の解凍効率を高めることが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当業者には、説明したシステムと、本出願の残り部分において図面を参照しながら示す本開示のいくつかの態様とを比較することにより、従来の慣習的な手法のさらなる限界及び不利点が明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実質的に少なくとも1つの図に関連して図示及び/又は説明し、特許請求の範囲にさらに完全に示すような、点群再構成前の復号フレーム同期のためのビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダ及び方法を提供する。
【0006】
全体を通じて同じ要素を同じ参照符号によって示す添付図面を参照しながら本開示の以下の詳細な説明を検討することにより、本開示のこれらの及びその他の特徴及び利点を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態による、点群再構成前の復号フレーム同期のための例示的なビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダの図である。
【
図2】本開示の実施形態による、点群再構成前の復号フレーム同期のための例示的な手法の実装を示すV-PCCデコーダのアーキテクチャの図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、それぞれが単一のV-PCC成分マップを含むサブビットストリームの例を示す図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、インターリーブマップを含む単一のサブビットストリームの例を示す図である。
【
図4】本開示の少なくとも1つの実施形態による、アトラスフレームのための仮想参照デコーダ(HRD)を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図1のV-PCCデコーダのブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態による、点群再構成前の復号フレーム同期のための例示的な動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
点群再構成前の復号フレーム同期のための開示する方法及びビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダでは、後述する実装を見出すことができる。本開示は、通常は異なるピクチャ群(Group of Pictures:GOP)構造に起因して時間的に整合していない異なるV-PCC成分の復号フレームを同期させる2つの個別の手法を提供する。V-PCCデコーダの各ビデオデコーダの出力における適合点(conformance point)は、V-PCCデコーダの再構成ユニットが点群シーケンスの単一フレームを再構成できるように、V-PCC成分が再構成ユニットに転送される前に全てのこのような成分が時間的に整合することを必要とする。点群シーケンスの完全な点群フレームを再構成するには全てのV-PCC成分が必要となり得る。このような成分が整合していなければ、再構成ユニットの出力における別の適合点の要件を満たすことが困難になる場合がある。
【0009】
本開示では、属性フレーム、形状フレーム、占有マップ及びアトラスフレームなどのV-PCC成分を時間的に整合させる2つの個別の手法を提供する。第1の手法では、V-PCC成分が点群再構成のために再構成ユニットに転送される前に全てのこのような成分が時間的に整合するように、各ビデオデコーダを、それぞれのデコーダの復号ピクチャ/アトラスバッファからのそれぞれのV-PCC成分の放出を遅延させるように構成することができる。第2の手法では、一群のビデオデコーダがそのGOP構造に従ってV-PCC成分を出力することができるが、外部バッファを使用してこのような成分を一定期間にわたって保持することができる。必要なV-PCC成分が全て外部バッファ内に存在する場合には、このような成分を外部バッファから除去して点群再構成のために再構成ユニットに放出することができる。この手法では、ビデオデコーダを変更しないことができるが、さらなるバッファ管理が必要となり得る。開示する方法は、復号フレーム又はV-PCC成分が点群フレーム再構成のための要件に従うとともに、点群フレーム再構成の幅広い柔軟性をもたらすことを確実にする。
【0010】
図1は、本開示の実施形態による、点群再構成前の復号フレーム同期のための例示的なビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダの図である。
図1には、ビデオベースの点群圧縮(V-PCC)デコーダ102のブロック
図100を示す。V-PCCデコーダ102は、一群のビデオデコーダ104及び再構成ユニット106を含むことができる。V-PCCデコーダ102は、カラー再構成ユニットなどの他のコンポーネントを含むこともできるが、簡潔にするために本開示からは省略する。
【0011】
V-PCCデコーダ102は、メディア記憶装置などのデータソースからV-PCCビットストリーム108を受け取るように構成できる好適なロジック、回路、インターフェイス及び/又はコードを含むことができる。V-PCCビットストリーム108は、点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むことができる。V-PCCデコーダ102は、受け取ったV-PCCビットストリーム108を復号して、点群シーケンスのフレーム毎の再構成を実行することができる。フレーム毎の再構成プロセスは、点群シーケンス全体が再構成されるまで繰り返すことができる。
【0012】
ある実施形態では、V-PCCデコーダ102を、グラフィカルプロセッシングユニット(GPU)、中央処理装置(CPU)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(CISC)プロセッサ、コプロセッサ、又はこれらの組み合わせに実装することができる。別の実施形態では、V-PCCデコーダ102を専用ハードウェアデコーダとして実装することができる。専用ハードウェアデコーダの例としては、以下に限定するわけではないが、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルASIC(PL-ASIC)、特定用途向け集積部品(ASSP)、及び標準的なマイクロプロセッサ(MPU)又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)に基づくシステムオンチップ(SOC)を挙げることができる。別の実施形態では、V-PCCデコーダ102を、記憶されたプログラム可能命令と専用又は汎用デコーダ回路との組み合わせとして実装することができる。
【0013】
一群のビデオデコーダ104の各々は、V-PCCビットストリーム108のサブストリームを復号してV-PCC成分を生成するように構成できる好適なロジック、回路、インターフェイス及び/又はコードを含むことができる。一群のビデオデコーダ104は、V-PCCビットストリーム108を復号することによって、属性成分(例えば、(単複の)属性フレーム)、形状成分(例えば、(単複の)形状フレーム)、占有マップ成分(例えば、(単複の)占有マップ)、及びアトラス成分(例えば、(単複の)アトラスフレーム)などのV-PCC成分を生成することができる。ある実施形態では、一群のビデオデコーダ104の各々を、高効率ビデオコーディング(HEVC)コーデック又はアドバンストビデオコーディング(AVC)コーデックなどの標準的なビデオコーデックに基づいて実装することができる。別の実施形態では、一群のビデオデコーダ104の各々を、非標準的な又は専用のビデオコーデックに基づいて実装することができる。
【0014】
再構成ユニット106は、点群シーケンスのフレーム毎の再構成を実行するように構成できる好適なロジック、回路、インターフェイス及び/又はコードを含むことができる。例えば、再構成ユニット106は、点群シーケンスの1つの完全なフレーム(すなわち、3D点群)を再構成するために必要となり得る少なくとも単位サイズの生成されたV-PCC成分を受け取ることができる。再構成ユニット106は、V-PCCデコーダ102の汎用又は専用ハードウェアコンポーネント、記憶されたプログラム可能命令、又はこれらの組み合わせのうちの1つとして実装することができる。
【0015】
通常、V-PCCエンコーダは、点群シーケンスを符号化してV-PCCビットストリーム108を生成することができる。V-PCCエンコーダは、点群属性(例えば、テクスチャ)、形状、占有マップのビデオを作成してこのようなビデオをビデオエンコーダで符号化することによって点群シーケンスを符号化する。V-PCCは、点群シーケンスのパラメータを示すメタデータ情報、並びにパッチサイズ及び位置などのその他の関連情報のストリーム様構造を定める。
【0016】
符号化のためには、ボリュメトリックデータすなわち点群を3Dパッチと呼ばれる連結成分の領域にセグメント化することができる。各3Dパッチに対してx、y又はz軸のいずれかに沿った平面上に正投影を適用すると、2Dパッチ点の組を得ることができる。アトラスフレームは、アトラス成分の一部として、対応する3Dパッチ境界ボックスの投影とすることができる2次元(2D)境界ボックスの集合を意味することができる。パッキングは、回転及び変換などの一連の変形の適用を通じた各アトラスフレーム内における2D境界ボックスの配置を意味することができる。一般に、アトラスフレームは、3Dから2Dへのパッチ生成及びパッキングプロセス中に適用される座標変換に関する情報を提供することができる。
【0017】
V-PCCエンコーダは、点群シーケンス内の各点群から複数の成分を抽出することができる。例えば、V-PCCエンコーダは、(単複の)占有マップと呼ばれる二値画像、(単複の)形状フレーム、(単複の)属性フレーム、及び(単複の)アトラスフレームなどの4つの成分を抽出することができる。(単複の)形状フレームは、第3の座標、すなわち点群の3D点と投影された2D点との間の距離に関する情報を伝えることができる。同様に、(単複の)属性フレームは、色又は反射率情報などの各点に関連する属性情報を伝えるために使用することができる。3Dパッチは、同じ2D点上に投影できる複数の点を有することができるので、重複する点の割合を維持するために複数の成分を抽出することができる(例えば、内側表面点対外側表面点を記憶する近くの画像対遠くの画像)。占有マップは二値画像とすることができ、1のピクセル強度は少なくとも1つの有効点群の存在を示すことができる。アトラスフレームは、パッチの位置及び向き、又はパッチパッキング動作において使用されるブロックサイズなどの情報を含むことができる。このような情報は、点群シーケンスの点群を再構成するために必要となり得る。
【0018】
動作中、V-PCCデコーダ102は、点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むことができるV-PCCビットストリーム108を受け取ることができる。ある実施形態では、V-PCCデコーダ102が、逆多重化動作を適用してV-PCCビットストリーム108をサブストリームに分割することができる。V-PCCビットストリーム108は、属性サブストリーム、形状サブストリーム、占有マップサブストリーム及びアトラスサブストリームなどのサブストリームを含むことができる。その後、各サブストリームを一群のビデオデコーダ104のそれぞれのデコーダに入力することができる。一群のビデオデコーダ104は、V-PCCビットストリーム108のサブストリームを復号して、属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分などのV-PCC成分を生成することができる。
【0019】
V-PCCは、基礎となるビデオエンコーダに同じピクチャ群(GOP)構造を有するように強制せず、すなわちエンコーダ側の個々のV-PCC成分のビデオフレームを異なる順序で符号化することができる。V-PCCデコーダ102などのシステムが点群シーケンスの単一フレームを再構成できるようにするには、再構成ユニット106に1つのV-PCCユニットを転送しなければならない。本明細書では、1つのV-PCCユニットが、点群シーケンスの完全な点群フレームを再構成するために必要となり得るV-PCC成分を含むことができる。しかしながら、再構成プロセスの主要課題は、復号成分すなわちV-PCC成分の時間整合の必要性に関連することができる。この理由として、V-PCCサブストリームにわたって予測構造に対する制約が存在せず、このためフレーム期間及び符号化順が異なる場合があることを挙げることができる。
【0020】
V-PCCの基本プロファイルでは、サブストリームの全ての要素が時間的に整合することが必要となり得るが、他のプロファイルでは、サブビットストリームについて時間的構造が変化する場合がある。これにより、V-PCCデコーダ102のビデオデコーダ部分に出力遅延調整の問題が生じることがある。例えば、V-PCCデコーダ102は、V-PCC成分の出力遅延調整を保証するために、一群のビデオエンコーダ104の出力に適合点「A」を含むことができる。
【0021】
点群シーケンスの1つの完全な点群フレームの再構成のために全てのV-PCC成分が再構成ユニット106に放出される前に、全てのV-PCC成分を時間的に整合させる必要がある。通常、このような成分は、V-PCCビットストリーム108の各サブストリーム内の符号化フレームに関連する異なるGOF構造に起因して時間的に整合していない。本開示では、属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分などのV-PCC成分を同期させる2つの個別の手法について述べる。これらの2つの手法の重要な違いは、遅延調整又は同期のために必要な修正が復号ピクチャ/アトラスバッファで行われるか、それともV-PCC合成バッファレベル(すなわち、再構成前にV-PCC成分を保持する外部ユニットバッファ)で行われるかである。
【0022】
第1の手法では、一群のビデオデコーダ104内の各ビデオデコーダがそれぞれのV-PCCサブストリームを復号した後に、V-PCCデコーダ102が、それぞれのビデオデコーダに関連する復号ピクチャバッファ/復号アトラスバッファ(DPB/DAB)からの各それぞれのV-PCC成分(すなわち、それぞれのV-PCCサブストリームから復号された(単複の)フレーム)の放出を遅延させることができる。このような遅延は、再構成ユニット106が点群再構成のために全てのV-PCC成分を利用できるようになった時にこれらのV-PCC成分が時間的に整合するように適用することができる。第1の手法に関連する詳細については、例えば
図2にさらに示す。
【0023】
第2の手法では、一群のビデオデコーダ104が、属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分などのV-PCC成分をそのGOP構造に従って出力することできるが、(例えば、
図2に示す)V-PCC合成バッファを使用して全ての成分を一定期間にわたって保持することができる。全ての必要なV-PCC成分がV-PCC合成バッファ(すなわち、外部バッファ)に含まれる場合には、このような成分をV-PCC合成バッファから除去し、点群シーケンスの点群再構成のために再構成ユニット106に放出することができる。第2の手法に関連する詳細については、例えば
図2にさらに示す。
【0024】
両手法では、V-PCCデコーダ102を、再構成ユニット106への属性成分の放出を第1の出力遅延に基づいて遅延させるように構成することができる。同様に、V-PCCデコーダ102は、再構成ユニット106への形状成分の放出を第2の出力遅延に基づいて遅延させるように構成することができる。V-PCCデコーダ102は、再構成ユニット106への占有マップ成分の放出を第3の出力遅延に基づいて遅延させ、再構成ユニット106へのアトラス成分の放出を第4の出力遅延に基づいて遅延させるようにさらに構成することができる。
【0025】
第1の出力遅延、第2の出力遅延、第3の出力遅延又は第4の出力遅延の各々は、ピクチャ/アトラスタイミング補足強化情報(Supplemental Enhancement Information:SEI)メッセージなどのタイミングメッセージ内で指定することができる。このようなメッセージは、受け取られるV-PCCビットストリーム108のそれぞれのサブストリームの一部として個々のアクセスユニット(AU)と共に含めることができる。この遅延した放出は、再構成ユニット106が属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分などの(時間的に整合した)V-PCC成分に基づいて点群を再構成する前に、このようなV-PCC成分を互いに同期(すなわち、時間的に整合)させることができる。
【0026】
図2は、本開示の実施形態による、点群再構成前の復号フレーム同期のための例示的な手法の実装を示すV-PCCデコーダのアーキテクチャの図である。
図2の説明は、
図1の要素に関連して行う。
図2には、点群シーケンスの1つの完全なフレームを再構成するために通常必要とされる様々なV-PCC成分の同期(すなわち、時間整合)のための例示的な手法を実装するV-PCCデコーダ102のアーキテクチャのブロック
図200を示す。ブロック
図200には、デマルチプレクサ202と、デマルチプレクサ202に通信可能に結合された一群のビデオデコーダ104とを示す。一群のビデオデコーダ104は、属性ビデオデコーダ204、形状ビデオデコーダ206、占有マップデコーダ208、及びアトラスフレームデコーダ210を含む。属性ビデオデコーダ204については、第1の符号化ピクチャバッファ(CPB)204A及び第1の復号ピクチャバッファ(DPB)204Bを示す。形状ビデオデコーダ206については、第2のCPB206A及び第2のDPB206Bを示す。占有マップビデオデコーダ208については、第3のCPB208A及び第3のDPB208Bを示す。アトラスフレームデコーダ210については、符号化アトラスバッファ(CAB)210A及び復号アトラスバッファ(DAB)210Bを示す。
【0027】
さらに、V-PCC合成バッファ220、再構成ユニット106、及び2つの適合点(A、B)も示す。適合点Aは、一連のビデオデコーダ104の出力における出力順の適合性及び出力タイミングの適合性を必要とすることができる。同様に、適合点Bは、V-PCCデコーダ102の再構成ユニット106の出力における正しい点群再構成を必要とすることができる。通常、CPB及びDPBは、HEVCデコーダなどのビデオデコーダと共に実装される。従って、本開示では、簡潔にするためにCPB及びDPBの詳細については省略する。
【0028】
動作中、デマルチプレクサ202はV-PCCビットストリーム108を受け取り、受け取ったV-PCCビットストリーム108を、例えば属性サブストリーム、形状サブストリーム、占有マップサブストリーム及びアトラスサブストリームなどの異なるサブストリームに逆多重化することができる。V-PCCデコーダ102は、各V-PCC成分を生成するために、属性サブストリーム、形状サブストリーム、占有マップサブストリーム及びアトラスサブストリームから第1のCPB204A、第2のCPB206A、第3のCPB208A及びCAB210Aにそれぞれ符号化AUを転送することができる。それぞれのビデオデコーダは、CPB/CABの各々からそれぞれの符号化AUを受け取り、これらを復号してV-PCC成分を生成することができる。このような各V-PCC成分は、復号後にV-PCCデコーダ102のそれぞれのDPB/DABに転送することができる。
【0029】
本明細書では、V-PCC成分の出力遅延調整(又は時間整合)のための例示的な第1の手法について説明する。従来、H.264/AVC又はH.265/HEVCなどのビデオコーデック内の仮想参照デコーダ(HRD)は、仮想バッファモデルを参照する。HRDのパラメータは、符号化されたアクセスユニット(AU)ビットストリームが復号に利用できるようになる時点、及びその後に復号されたAUを出力できる時点すなわち合成時点をエンコーダがデコーダに知らせることができるようにする手段を提供することができる。このようなパラメータは、例えばV-PCCビデオユーザビリティ情報(Video Usability information:VUI)によって伝えることができるビットレート、CPB/CABサイズ、初期CPB/CAB除去遅延及びタイミング情報を含むことができる。ピクチャバッファリング期間、アトラスバッファリング期間、ピクチャタイミング及びアトラスフレームタイミングなどのHRD関連SEIメッセージは、CPB及びCAB AU除去時点、並びにDPB及びDAB出力合成時点を抽出するために必要なタイミング情報を提供することができる。なお、HRD関連パラメータは、V-PCCビットストリーム108に埋め込むことも、或いは外部手段を通じて(例えば、システムレベル情報を通じて)提供することもできる。
【0030】
V-PCC成分の復号AU(又は(単複の)復号フレーム)の合成時点は、(V-PCCビットストリーム108のサブストリームに含まれる)符号化AUの除去時点(remTims[n][j])に出力遅延であるoutDelay[n][i]を加えたものとして定義することができ、ここでn及びiは、それぞれi番目のV-PCC成分のn番目のAUを意味する。属性成分、形状成分及び占有マップ成分などの各V-PCC成分については、ピクチャタイミングSEIメッセージ内の(pic_cpb output_delayなどの)構文要素からそれぞれの出力遅延を抽出することができる。アトラス成分などのV-PCC成分については、アトラスタイミングSEIメッセージ内の(aft_cab_output_delay_minus1などの)構文要素から出力遅延を決定することができる。合成時点は、新たな出力遅延値に基づいて修正することができる。第1の例示的な手法は、全てのV-PCC成分における復号フレームが、修正されたcompositionTime[n][i]に従ってAUのV-PCC合成バッファ220に入力される前に、このような復号フレームの正しい整合を確実にすることができる適切な遅延オフセットを導出するものである。
【0031】
ある実施形態では、V-PCCデコーダ102が、V-PCCビットストリーム108の属性サブストリームに関連する第1のピクチャタイミングSEIメッセージを受け取ることができる。V-PCCデコーダ102は、属性成分212(すなわち、第1のV-PCC成分)の放出を他のV-PCC成分と共に遅延させるために、受け取った第1のピクチャタイミングSEIメッセージから第1の出力遅延を抽出し、抽出された第1の出力遅延に基づいて、属性成分212に関連する遅延オフセットを決定することができる。(outDelay[n][i]とも呼ばれる)第1の出力遅延は、属性サブストリーム内のアクセスユニット(n)に関連する第1のピクチャタイミングSEIメッセージ内の構文要素(pic_dpb_output_delay)のi番目(例えば、i=0)のV-PCC成分の値として抽出することができる。その後、V-PCCデコーダ102は、第1のDPB204Bから属性成分212を除去すべき(compositionTime[n][i]とも呼ばれる)第1の合成時点を修正することができる。第1の合成時点は、抽出された第1の出力遅延及び決定された遅延オフセットに基づいて修正することができる。遅延オフセットの決定に関連する詳細については、例えば
図3A~
図3Bに示す。V-PCCデコーダ102は、修正された第1の合成時点に第1のDPB204Bから属性成分212を除去することができる。修正された第1の合成時点における除去は、再構成のための属性成分212の遅延した放出に対応することができる。
【0032】
ある実施形態では、V-PCCデコーダ102が、V-PCCビットストリーム108の形状サブストリームに関連する第2のピクチャタイミングSEIメッセージを受け取ることができる。V-PCCデコーダ102は、形状成分214(すなわち、第2のV-PCC成分)の放出を他のV-PCC成分と共に遅延させるために、受け取った第2のピクチャタイミングSEIメッセージから第2の出力遅延を抽出し、抽出された第2の出力遅延に基づいて、形状成分214に関連する遅延オフセットを決定することができる。(outDelay[n][i]とも呼ばれる)第2の出力遅延は、形状サブストリーム内のアクセスユニット(n)に関連する第2のピクチャタイミングSEIメッセージ内の構文要素(pic_dpb_output_delay)のi番目(例えば、i=1)のV-PCC成分の値として抽出することができる。その後、V-PCCデコーダ102は、第2のDPB206Bから形状成分214を除去すべき(compositionTime[n][i]とも呼ばれる)第2の合成時点を修正することができる。第2の合成時点は、抽出された第2の出力遅延及び決定された遅延オフセットに基づいて修正することができる。遅延オフセットの決定に関連する詳細については、例えば
図3A~
図3Bに示す。V-PCCデコーダ102は、修正された第2の合成時点に第2のDPB206Bから形状成分214を除去することができる。修正された第2の合成時点における除去は、再構成のための形状成分214の遅延した放出に対応することができる。
【0033】
ある実施形態では、V-PCCデコーダ102が、V-PCCビットストリーム108の占有マップサブストリームに関連する第3のピクチャタイミングSEIメッセージを受け取ることができる。V-PCCデコーダ102は、占有マップ成分216(すなわち、第3のV-PCC成分)の放出を他のV-PCC成分と共に遅延させるために、受け取った第3のピクチャタイミングSEIメッセージから第3の出力遅延を抽出し、抽出された第3の出力遅延に基づいて、占有マップ成分216に関連する遅延オフセットを決定することができる。(outDelay[n][i]とも呼ばれる)第3の出力遅延は、占有マップサブストリーム内のアクセスユニット(n)に関連する第3のピクチャタイミングSEIメッセージ内の構文要素(pic_dpb_output_delay)のi番目(例えば、i=2)のV-PCC成分の値として抽出することができる。その後、V-PCCデコーダ102は、第3のDPB208Bから占有マップ成分216を除去すべき(compositionTime[n][i]とも呼ばれる)第3の合成時点を修正することができる。第3の合成時点は、抽出された第3の出力遅延及び決定された遅延オフセットに基づいて修正することができる。遅延オフセットの決定に関連する詳細については、例えば
図3A~
図3Bに示す。V-PCCデコーダ102は、修正された第3の合成時点に第3のDPB208Bから占有マップ成分216を除去することができる。修正された第3の合成時点における除去は、再構成のための占有マップ成分216の遅延した放出に対応することができる。
【0034】
ある実施形態では、V-PCCデコーダ102が、V-PCCビットストリーム108のアトラスサブストリームに関連するアトラスタイミングSEIメッセージを受け取ることができる。V-PCCデコーダ102は、アトラス成分218(すなわち、第4のV-PCC成分)の放出を他のV-PCC成分と共に遅延させるために、受け取ったアトラスタイミングSEIメッセージから第4の出力遅延を抽出し、抽出された第4の出力遅延に基づいて、アトラス成分218に関連する遅延オフセットを決定することができる。(outDelay[n][i]とも呼ばれる)第4の出力遅延は、アトラスサブストリーム内のアクセスユニット(n)に関連するアトラスタイミングSEIメッセージ内の構文要素(aft_cab_output_delay_minus1)のi番目(例えば、i=3)のV-PCC成分の値として抽出することができる。その後、V-PCCデコーダ102は、DAB210Bからアトラス成分218を除去すべき第4の合成時点(compositionTime[n][i]とも呼ばれる)を修正することができる。第4の合成時点は、抽出された第4の出力遅延及び決定された遅延オフセットに基づいて修正することができる。遅延オフセットの決定に関連する詳細については、例えば
図3A~
図3Bに示す。V-PCCデコーダ102は、修正された第4の合成時点にDAB210Bからアトラス成分218を除去することができる。修正された第4の合成時点における除去は、再構成のためのアトラス成分218の遅延した放出に対応することができる。
【0035】
遅延した放出は、再構成ユニット106が属性成分212、形状成分214、占有マップ成分216及びアトラス成分218などの(時間的に整合した)V-PCC成分に基づいて点群222を再構成する前に、このようなV-PCC成分を互いに同期(すなわち、時間的に整合)させることができる。
【0036】
第1の手法では、(H.264/AVC標準及び/又はH.265/HEVC標準で使用されるSEIメッセージに類似することができる)SEIメッセージ及びVUIメッセージの構文及び意味論を使用して、CPB/CAB除去時点及びDPB/DAB出力時点などのHRDを参照する。しかしながら、JPEGなどの特定のコーデックでは、V-PCC仕様のコーデック不可知論性に起因して、HRD構文構造がサポートされていないこと又は存在しないことが十分に起こり得る。従って、(第1の手法で説明した)SEI及びVUI構文構造で伝えられる情報と同等の何らかの情報を伝える符号化V-PCC成分に関連するいずれかの構文要素の組に依拠する必要がある。このことは、このような情報がV-PCCビットストリーム108内の他のいずれかの構文構造を使用して伝えられるか、それとも他の何らかの手段によって伝えられるかとは無関係である。
【0037】
例示的な第2の手法では、(
図2及び
図3A~
図3Bで第1の手法について説明するような)合成時点の修正を第1の手法に類似したままとすることができる。違いはバッファリングスキームとすることができ、すなわち各V-PCC成分からの復号フレーム/マップを(第1のDPB204B、第2のDPB206B、第3のDPB208B及びDAB210Bなどの)それぞれのDPB/DABから出力し、修正を行わずに直接V-PCC合成バッファ220に入力することができる。このような(単複の)フレーム/(単複の)マップのV-PCC合成バッファ220から再構成ユニット106への放出は、(
図2、
図3A~
図3Bで第1の手法について説明するような)修正された合成時点に従って実行することができる。第2の手法は、V-PCCコーデックのプロファイル/レベル要件に影響を与えないことができる。代わりに、第2の手法は、記憶を行うために(V-PCC合成バッファ220などの)V-PCCユニットバッファに依拠することができる。
【0038】
本明細書では、様々なV-PCC成分の同期(すなわち、時間整合)のための例示的な第2の手法(コーデック非依存の手法とも呼ばれる)について説明する。属性成分212などの第1のV-PCC成分は、V-PCCビットストリーム108の第1のサブストリームが復号された後に、第1のDPB204Bから出力してV-PCCデコーダ102のV-PCC合成バッファ220に記憶することができる。同様に、形状成分214などの第2のV-PCC成分は、V-PCCビットストリーム108の第2のサブストリームが復号された後に、第2のDPB206Bから出力してV-PCC合成バッファ220に記憶することができる。占有マップ成分216などの第3のV-PCC成分は、V-PCCビットストリーム108の第3のサブストリームが復号された後に、第3のDPB208Bから出力してV-PCC合成バッファ220に記憶することができる。アトラス成分218などの第4のV-PCC成分は、V-PCCビットストリーム108の第4のサブストリームが復号された後に、DAB210Bから出力してV-PCC合成バッファ220に記憶することができる。
【0039】
V-PCCデコーダ102は、記憶された属性成分212、記憶された形状成分214、記憶された占有マップ成分216及び記憶されたアトラス成分218の各々について、V-PCC合成バッファ220から除去する合成時点を修正することができる。属性成分212の合成時点は、属性成分212に関連する第1の出力遅延及び/又は遅延オフセットに基づいて修正することができる。形状成分214の合成時点は、形状成分214に関連する第2の出力遅延及び/又は遅延オフセットに基づいて修正することができる。占有マップ成分216の合成時点は、占有マップ成分216に関連する第3の出力遅延及び/又は遅延オフセットに基づいて修正することができる。アトラス成分218の合成時点は、アトラス成分218に関連する第4の出力遅延及び/又は遅延オフセットに基づいて修正することができる。合成時点の修正、それぞれの出力遅延の抽出、及びそれぞれの遅延オフセットの決定の詳細は、第1の手法のものと同じとすることができ、例えば
図2、
図3A及び
図3Bに示す。
【0040】
V-PCC合成バッファ220に全ての必要なV-PCC成分が含まれる場合、このような各成分は、それぞれのV-PCC成分に関連する修正された合成時点にV-PCC合成バッファ220から除去することができる。記憶された属性成分212、記憶された形状成分214、記憶された占有マップ成分216及び記憶されたアトラス成分218の各々の除去は、再構成ユニット106への遅延した放出に対応することができる。
【0041】
このような成分は、点群シーケンスの(点群222などの)1つの完全なフレームの再構成のために除去して放出することができる。1つの実施形態では、第1の出力遅延、第2の出力遅延、第3の出力遅延及び第4の出力遅延の各々を、V-PCCビットストリーム108のそれぞれのサブストリームのアクセスユニットと共に受け取ることができるアトラス/ピクチャタイミングSEIメッセージに基づいて決定することができる。
【0042】
図3Aは、本開示の実施形態による、それぞれが単一のV-PCC成分マップを含むサブビットストリームの例を示す図である。
図3Aの説明は、
図1及び
図2の要素に関連して行う。
図3には、それぞれが単一のV-PCC成分マップを含むサブビットストリームの例を示す
図300Aを示す。
図300Aには、アトラスフレーム302(すなわち、アトラス成分)、占有マップ304(すなわち、占有マップ成分)、形状フレーム306(すなわち、形状成分)、及び属性フレーム308(すなわち、属性成分)などの各V-PCC成分のピクチャ順序カウント(picture order count(POC))を示す。4つのV-PCC成分は、最初に(特定のピクチャ群(GOP)構造に従う)特定の順序で復号できる6つのフレームをそれぞれ含む。
図3AにおけるPOCという用語は、符号化ピクチャ及びアトラスフレームの出力位置を定めるインデックスを意味することができ、これらは必ずしも時間の概念に直接関連する必要はない。
【0043】
図示のように、アトラスフレームデコーダ210などのビデオデコーダは、V-PCCビットストリーム108のアトラスサブストリームを復号して第1の順序[0,1,2,3,4,5]のアトラスフレーム302(V-PCC0)を生成することができる。アトラスフレーム302は、復号後にDAB210Bに記憶することができる。同様に、占有マップデコーダ208などの別のビデオデコーダは、V-PCCビットストリーム108の占有マップサブストリームを復号して第2の順序[0,1,2,3,3,4]の占有マップ304(V-PCC1)を生成することができる。占有マップ304は、第3のDPB208Bに記憶することができる。第1の順序及び第2の順序はいずれも正しいピクチャ順であるため、このようなフレーム/マップは、点群再構成のために出力される前に並べ替える必要はないと考えられる。形状ビデオデコーダ206などの別のビデオデコーダは、形状サブストリームを復号して第3の順序[0,2,1,4,3,5]の形状フレーム306(V-PCC2)を生成することができる。形状フレーム306は、第2のDPB206Bに記憶することができる。属性ビデオデコーダ204などの別のビデオデコーダは、属性サブストリームを復号して第4の順序[0,4,2,1,3,5]の属性フレーム308(V-PCC3)を生成することができる。属性フレーム308は、第1のDPB204Bに記憶することができる。
【0044】
形状フレーム306及び属性フレーム308のPOCはフレーム順が正しくないことを示しているので、このようなフレームは、再構成のために出力される前に並べ替える必要があると考えられる。図示のように、並べ替えを行うと、形状成分及びアトラス成分のためのそれぞれのDPBの長さにそれぞれ1フレーム及び2フレームの遅延及び延長が発生することができる。換言すれば、形状フレーム306及び属性フレーム308の各々をそれぞれのDPBから除去する出力時点(すなわち、合成時点)は、アトラスフレーム302及び占有マップ304の出力時点に比べて遅延することができる。
【0045】
アトラスフレーム302、占有マップ304、形状フレーム306及び属性フレーム308を時間的に同期させるために、V-PCC成分毎に遅延オフセットを課すことができる。図示のように、形状フレーム306及び属性フレーム308の出力時点(すなわち、合成時点)を一致させるには、アトラスフレーム302をDAB210B内で2フレームだけオフセットさせ、占有マップ304を第3のDPB208B内で1フレームだけオフセットさせることができる。なお、遅延オフセットの導入によるDPB/DABバッファサイズの増加は、いずれも伝えられるプロファイル及びレベル指示によって設定される制限内とすべきである。
【0046】
本明細書では、(
図1及び
図2に示す)生成された各V-PCC成分の合成時点の修正及び遅延オフセットの決定の詳細について説明する。アトラス成分(すなわち、アトラスフレーム302)、占有マップ成分(すなわち、占有マップ304)、形状成分(すなわち、形状フレーム306)及び属性成分(すなわち、属性フレーム308)などのV-PCC成分の総数をcompNumとする。配列mapCnt(i)は、i番目の各V-PCC成分に関連する(単複の)マップの数を示すものとする。本明細書では、iがアトラス又は占有マップ成分を参照する場合、或いは形状及び属性のフレームが個別に符号化される場合には、mapCnt(i)を1に設定することができる。マップが時間的にインターリーブされる場合、mapCnt(i)は、形状フレーム及び属性フレームの数に設定することができる。V-PCCデコーダ102は、HRDビデオユーザビリティ情報(VUI)タイミングパラメータを使用して、クロック単位(vui_num_units_in_tick)及びタイミングスケール(vui_timescale)を決定することができる。クロックチック期間(clock tick duration)(CclockTick)は、以下のような方程式(1)によって与えることができ、
ここで、
vui_num_units_in_tickは、クロックチックカウンタの(クロックチックと呼ばれる)1増分に対応する周波数vui_time_scale Hzで動作するクロックの時間単位数とすることができ、
vui_time_scaleは、1秒間に経過する時間単位数とすることができる。例えば、27MHzクロックを使用して時間を測定する時間座標系は、27000000のvui_time_scaleを有する。vui_time_scaleの値は0よりも大きくすべきである。
vui_num_units_in_tickは0よりも大きくすべきである。クロックチックは、秒単位では、vui_num_units_in_tickをvui_time_scaleで除算した商に等しくなることができる。例えば、ビデオ信号のピクチャレートが25Hzである場合、vui_time_scaleは27000000に等しく、vui_num_units_in_tickは1080000に等しく、従ってクロックチックは0.04秒に等しくなることができる。
V-PCC成分当たりのクロックチック期間であるclockSubTickは、以下のような方程式(2)によって与えることができる。
図3Aでは、変数(i)が成分番号(すなわち、V-PCC成分の識別子)を表すことができ、間隔i=[0;compNum]で定義することができる。
【0047】
限定ではなく一例として、方程式(1)及び方程式(2)を使用すると、i番目のV-PCC成分の合成時点は、以下のような方程式(3)を使用して修正することができ、
ここで、
n及びiは、i番目のV-PCC成分のn番目のアクセスユニット(AU)を意味することができ、
compositionTime[n][i]は、V-PCC成分当たりの遅延オフセットが適用された後の修正された合成時点とすることができ、
remTime[n][i]は、V-PCCデコーダ102のそれぞれのCPB/CABからの(V-PCCビットストリーム108のサブストリームに含まれる)符号化AUの除去時点とすることができ、
outDelay[n][i]は、ピクチャタイミングSEIメッセージ/アトラスタイミングSEIメッセージ内の構文要素から抽出することができ、
delayOffset[n][i]は、全てのV-PCC成分を時間的に同期させるために課すべき(方程式(4)を使用して計算される)さらなる出力遅延とすることができる。
【0048】
同期を達成するには、初期最大遅延を0に設定した状態でV-PCC成分毎に遅延オフセット(delayOffset[n][i])を課すことができる。maxInitDelay[n]は、i番目のV-PCC成分のn番目のAUに関連する全ての出力遅延(outDelay[n][i])にわたって存在し得る最大初期遅延とすることができる。一例として、遅延オフセットは、以下のような方程式(4)を使用して決定することができる。
maxInitDelayは、以下の方法を使用して計算することができる。
【0049】
なお、このさらなるオフセットの導入に起因するDPBバッファサイズの増加は、いずれも伝えられるプロファイル及びレベル指示によって設定される制限内とすべきである。最終的に(
図3Bの方程式(3)又は方程式(5)を使用して取得された)修正された合成時点に各V-PCC成分が放出されると、このような成分を(単位サイズの)V-PCC合成バッファ220に入力することができる。V-PCC合成バッファ220は、V-PCC成分からの全てのフレーム/マップを再構成ユニット106に出力し、再構成ユニットは(点群シーケンスの1フレームに対応する)点群222を再構成することができる。
【0050】
各V-PCC成分の合成時点の決定及び修正では、各マップ/フレームに関連する全てのAUが利用可能であることを前提とする。しかしながら、実際には所与のアトラスAUに対応するいくつかのAUが失われることがある。失われたAUを補償する手法例は、V-PCC成分の最後の利用可能なAUの複製を必要とすることができる。
【0051】
図3Bは、本開示の実施形態による、インターリーブマップを含む単一のサブビットストリームの例を示す図である。
図3Bの説明は、
図1、
図2及び
図3Aの要素に関連して行う。
図3Bには、インターリーブマップを含む単一のサブビットストリームの例を示す
図300Bを示す。
図300Bには、アトラスフレーム310(すなわち、アトラス成分)及び占有マップ312(すなわち、占有マップ成分)などのV-PCC成分のPOCを示す。形状フレーム314(すなわち、形状成分)及び属性フレーム316(すなわち、属性成分)のPOC/アトラスフレーム順序カウント(atlas frames order count:AFOC)も示す。4つのV-PCC成分は、最初に(特定のピクチャ群(GOP)構造に従う)特定の順序で復号できる9つのフレームをそれぞれ含む。
図3BにおけるPOC/AFOCという用語は、符号化ピクチャ及びアトラスフレームの出力位置を定めるインデックスを意味することができ、これらは必ずしも時間の概念に直接関連する必要はない。
【0052】
図示のように、アトラスフレームデコーダ210などのビデオデコーダは、V-PCCビットストリーム108のアトラスサブストリームを復号して第1の順序[0,1,2,3,4,5,6,7,8]のアトラスフレーム310(V-PCC0)を生成することができる。アトラスフレーム310は、復号後にDAB210Bに記憶することができる。同様に、占有マップデコーダ208などの別のビデオデコーダは、V-PCCビットストリーム108の占有マップサブストリームを復号して第2の順序[0,1,2,3,3,4,5,6,7,8]の占有マップ312(V-PCC1)を生成することができる。占有マップ312は、第3のDPB208Bに記憶することができる。第1の順序及び第2の順序はいずれも正しいピクチャ順であるため、このようなフレーム/マップは、点群再構成のために出力される前に並べ替える必要はないと考えられる。
【0053】
形状ビデオデコーダ206などの別のビデオデコーダは、形状サブストリームを復号して第3の順序[0/0,2/1,1/0,4/2,3/1,6/3,5/2,8/4,7/3]の形状フレーム314(V-PCC2)を生成することができる。形状フレーム314は、第2のDPB206Bに記憶することができる。同様に、属性ビデオデコーダ204などの別のビデオデコーダは、属性サブストリームを復号して第4の順序[0/0,4/2,2/1,1/0,3/1,8/4,6/3,5/2,7/3]の属性フレーム316(V-PCC3)を生成することができる。属性フレーム316は、第1のDPB204Bに記憶することができる。このようなフレームは、それぞれ(例えば、0/0(インデックス)によって示されるように)2つのインターリーブマップを表すことができる。
【0054】
形状フレーム314及び属性フレーム316のPOCはフレーム順が正しくないことを示しているので、このようなフレームは、再構成のために出力される前に並べ替える必要があると考えられる。図示のように、並べ替えを行うと、形状成分及びアトラス成分のためのそれぞれのDPBの長さにそれぞれ1フレーム及び2フレームの遅延及び延長が発生することができる。換言すれば、形状フレーム314及び属性フレーム316の各々をそれぞれのDPBから除去する出力時点(すなわち、合成時点)は、アトラスフレーム310及び占有マップ312の出力時点に比べて遅延することができる。
【0055】
アトラスフレーム310、占有マップ312、形状フレーム314及び属性フレーム316を時間的に同期させるために、V-PCC成分毎に遅延オフセットを課すことができる。図示のように、形状フレーム314及び属性フレーム316は、出力時点(すなわち、合成時点)を一致させるためにそれぞれのDPB内で1フレームだけオフセットされる。これに対し、アトラスフレーム310はDAB210B内で3フレームだけオフセットされ、占有マップ312は第3のDPB208B内で3フレームだけオフセットされる。なお、遅延オフセットの導入によるDPB/DABバッファサイズの増加は、いずれも伝えられるプロファイル及びレベル指示によって設定される制限内とすべきである。本明細書では、単一のサブストリームがインターリーブマップを含むことができるシナリオについて、V-PCC成分当たりの遅延オフセットに基づく合成時点の修正例を示す。このようなシナリオでは、V-PCCデコーダ102が成分収集出力プロセスを呼び出すことができる。このようなプロセスの一部として、以下のように与えられる方程式(5)を使用して合成時点を修正することができ、
ここでjは、対応するマップ成分のi番目のV-PCC成分及びn番目のAUに対応するマップインデックスを示すことができる。方程式(5)は、
図3Aの方程式(1)、(2)及び(4)を使用して導出することができる。
【0056】
図4は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、アトラスフレームのための仮想参照デコーダ(HRD)を示す図である。
図4の説明は、
図1、
図2、
図3A及び
図3Bの要素に関連して行う。
図4には、仮想参照デコーダ(HRD)402の
図400を示す。HRD402は、仮想ストリームスケジューラ(HSS)404と、符号化アトラスバッファ(CAB)406と、瞬間復号動作408と、DAB410とを含むことができる。HRD402は、
図2のアトラスフレームデコーダ210の例示的な実装とすることができる。このような実装では、DAB410を
図2のDAB210Bの例示的な実装とすることができる。
【0057】
各アクセスユニットはアクセスユニット[n]と呼ぶことができ、数字nは特定のアクセスユニットを識別する。デフォルトではアクセスユニット0が選択され、各後続のアクセスユニットについてはnの値が復号順に1ずつ増分される。アトラスフレーム[n]は、アクセスユニット[n]の符号化アトラスフレーム又は復号アトラスフレームを意味することができる。
【0058】
動作時には、HRD402を復号ユニット0(すなわち、アクセスユニット0)において初期化することができ、CAB406及びDAB410の両方を空に設定することができる(DABフルネスを0に等しく設定することができる)。初期化後には、HRD402を後続のバッファリング期間SEIメッセージによって再び初期化しなくてもよい。HSS404は、指定された到着スケジュールに基づいてCAB406内に流入する復号ユニットに関連するデータを供給することができる。瞬間復号動作408は、復号ユニットのCAB除去時点に各復号ユニットに関連するデータを瞬時に除去して復号することができる。各復号されたアトラスフレームはDABに入れることができる。復号されたアトラスフレームは、もはやインター予測参照のために必要でなくなり、もはや出力のために必要でない時にDABから除去することができる。
【0059】
各アトラスビットストリームの適合性試験では、CAB406の(ビット数単位の)サイズ及びDAB410の(アトラスフレーム記憶バッファ数単位での)サイズをCabSize[SchedSelIdx]及びasps_max_dec_patch_frame_buffering_minus1[HighestTid]+1によってそれぞれ定義することができる。CabSize[SchedSelIdx]は、符号化アトラスデータを保持するバッファのサイズ(CAB=符号化アトラスバッファ)とすることができる。
【0060】
例えば、本明細書では、CAB406及びDAB410の動作、並びに瞬間復号動作408を指定する。HRD402は、バッファリング期間SEIメッセージによって指定された通りに初期化することができる。CAB406からの復号ユニットの除去タイミング及びDAB410からの復号アトラスの出力タイミングは、アトラスフレームタイミングSEIメッセージ内の情報に基づいて指定することができる。特定の復号ユニットに関連する全てのタイミング情報は、特定の復号ユニットのCAB除去時点よりも前に到着することができる。
【0061】
DAB410は、アトラスフレーム記憶バッファを含むことができる。各アトラスフレーム記憶バッファは、「参照用に使用」としてマーキングできる又は将来的な出力のために保持できる復号アトラスフレームを含むことができる。DAB410からのアトラスフレームの除去は、現在のアトラスフレームが復号される前(ただし、現在のアトラスフレームの第1のスライスのスライスヘッダが構文解析された後)に、(現在のアトラスフレームを含む)アクセスユニットnの第1の復号ユニットのCAB除去時点(AuCabRemovalTime[n])で瞬時に行うことができる。DAB410から除去される各アトラスフレームについては、DABフルネスが1だけ減分される。
【0062】
AtlasFrameOutputFlagが1に等しく、DabOutputTime[n]がAuCabRemovalTime[n]に等しい場合、現在のアトラスフレームを出力することができる。一方で、AtlasFrameOutputFlagが0に等しい場合には、現在のアトラスフレームを出力せず、DAB410に記憶することができる。一方で、AtlasFrameOutputFlagが1に等しく、DabOutputTime[n]がAuCabRemovalTime[n]を上回る場合には、現在のアトラスフレームを後で出力してDAB410に記憶することができる。このような場合、現在のアトラスフレームは、DabOutputTime[n]よりも前の時点に1に等しいno_output_of_prior_patch_frames_flagの復号又は推論によって出力しないように指示されていない限り、時点DabOutputTime[n]に出力することができる。ここで、no_output_of_prior_patch_frames_flagは、復号されたアトラスが表示のために出力されないことを示すフラグとすることができる。
【0063】
ある実施形態では、現在の復号アトラスフレームを空のアトラスフレーム記憶バッファ内のDAB410に記憶してDABフルネスを1だけ増分することができる。asps_long_term_ref_atlas_frames_flagが1に等しい場合、このアトラスフレームは「長期参照用に使用」としてマーキングされる。0に等しいasps_long_term_ref_atlas_frames_flagは、長期参照アトラスフレームがCAS内のいずれの符号化アトラスフレームのインター予測にも使用されないことを指定することができる。1に等しいasps_long_term_ref_atlas_frames_flagは、長期参照アトラスフレームをCAS内の1又は2以上の符号化アトラスフレームのインター予測に使用できることを指定することができる。
【0064】
現在のアトラスフレームの全てのタイルグループが復号された後には、このアトラスフレームに「短期参照用に使用」としてマーキングすることができる。なお、デコーダは、レベル制限に必要なものよりも多くのメモリが復号アトラスフレームの記憶に利用可能でない限り、第1のタイルグループが復号された時に現在のアトラスフレームの復号部分をDAB410に記憶し始め、復号プロセスが進むにつれてさらに多くの復号サンプルを記憶し続けるべきである。現在のアトラスフレームが復号された直後には、(現在のアトラスフレームを含む)アクセスユニットnの最後の復号ユニットのCAB除去時点で現在の復号アトラスフレームをDAB410から除去してDABフルネスを1だけ減分することができる。
【0065】
図5は、本開示の実施形態による、
図1のV-PCCデコーダのブロック図である。
図5の説明は、
図1、
図2、
図3A、
図3B及び
図4の要素に関連して行う。
図5には、V-PCCデコーダ102のブロック
図500を示す。V-PCCデコーダ102は、デマルチプレクサ202及び回路502を含み、回路502は、プロセッサ504と、(CPB/CAB及びDPB/DABに関連する)一群のビデオデコーダ104と、再構成ユニット106とを含むことができる。ある実施形態では、V-PCCデコーダ102が、メモリ506、入力/出力(I/O)インターフェイス508、及びV-PCC合成バッファ220を含むこともできる。
【0066】
プロセッサ504は、V-PCCビットストリーム108の復号と、復号V-PCCビットストリーム108から取得されたV-PCC成分からの点群シーケンスのフレーム毎の再構成とに関連するプログラム命令を実行するように構成できる好適なロジック、回路及び/又はインターフェイスを含むことができる。プロセッサ504は、当業で周知の複数のプロセッサ技術に基づいて実装することができる。プロセッサ504の実装例としては、以下に限定するわけではないが、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(CISC)プロセッサ、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)、マイクロコントローラ、コプロセッサ、中央処理装置(CPU)、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0067】
メモリ506は、プロセッサ504が実行できるプログラム命令を記憶するように構成できる好適なロジック、回路及び/又はインターフェイスを含むことができる。メモリ506は、回路502のいずれかの動作段階で必要になる(又は生成される)ことがある情報を記憶するように構成することができる。メモリ506の実装例としては、以下に限定するわけではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、固体ドライブ(SSD)、又はCPUキャッシュを挙げることができる。
【0068】
I/Oインターフェイス508は、デマルチプレクサ202、回路502、メモリ506及びV-PCC合成バッファ220などの異なるコンポーネント間の通信インターフェイスとして機能するように構成できる好適なロジック、回路、インターフェイス及び/又はコードを含むことができる。
【0069】
V-PCCデコーダ102のブロック
図200には、本開示の範囲から逸脱することなく修正、追加又は省略を行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック
図500が、明示的に図示又は説明していない他のいくつかのコンポーネントを含むことができる。
図1、
図2、
図3A~
図3B及び
図6に示すようなV-PCCデコーダ102によって実行される機能又は動作は、回路502によって実行することができる。
【0070】
図6は、本開示の実施形態による、点群再構成前の復号フレーム同期のための例示的な動作を示すフローチャートである。
図6の説明は、
図1、
図2、
図3A、
図3B、
図4及び
図5の要素に関連して行う。
図6には、フローチャート600を示す。フローチャート600に示す方法は、
図1のV-PCCデコーダ102などのいずれかのコンピュータシステムによって実行することができる。方法は、602から開始して604に進むことができる。
【0071】
604において、V-PCCビットストリーム108を受け取ることができる。V-PCCビットストリーム108は、点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むことができる。ある実施形態では、回路502を、点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むV-PCCビットストリーム108を受け取るように構成することができる。
【0072】
606において、V-PCCビットストリーム108のサブストリームを復号して、属性成分212、形状成分214、占有マップ成分216及びアトラス成分218などのV-PCC成分を生成することができる。ある実施形態では、回路502が、V-PCCビットストリーム108のサブストリームを復号してV-PCC成分を生成するように構成できる一群のビデオデコーダ104を含むことができる。
【0073】
608において、V-PCCデコーダ102の再構成ユニット106への属性成分212の放出を第1の出力遅延に基づいて遅延させることができる。ある実施形態では、V-PCCデコーダ102の回路502を、再構成ユニット106への属性成分212の放出を第1の出力遅延に基づいて遅延させるように構成することができる。ある実施形態では、回路502を、第1のDPB204Bからの属性フレームの放出を遅延させるように構成することができる。このような場合、第1の出力遅延は、V-PCCビットストリーム108の属性サブストリームのアクセスユニットに関連する第1のピクチャタイミングSEIメッセージに含めることができるDPB出力遅延とすることができる。
【0074】
610において、V-PCCデコーダ102の再構成ユニット106への形状成分214の放出を第2の出力遅延に基づいて遅延させることができる。ある実施形態では、V-PCCデコーダ102の回路502を、再構成ユニット106への形状成分214の放出を第2の出力遅延に基づいて遅延させるように構成することができる。ある実施形態では、回路502を、第2のDPB206Bからの形状フレームの放出を遅延させるように構成することができる。このような場合、第2の出力遅延は、V-PCCビットストリーム108の形状サブストリームのアクセスユニットに関連する第2のピクチャタイミングSEIメッセージに含まれるDPB出力遅延とすることができる。
【0075】
612において、V-PCCデコーダ102の再構成ユニット106への占有マップ成分216の放出を第3の出力遅延に基づいて遅延させることができる。ある実施形態では、V-PCCデコーダ102の回路502を、再構成ユニット106への占有マップ成分216の放出を第3の出力遅延に基づいて遅延させるように構成することができる。ある実施形態では、回路502を、第3のDPB208Bからの占有マップ成分216の放出を遅延させるように構成することができる。このような場合、第3の出力遅延は、V-PCCビットストリーム108の占有マップサブストリームのアクセスユニットに関連する第3のピクチャタイミングSEIメッセージに含まれるDPB出力遅延とすることができる。
【0076】
614において、V-PCCデコーダ102の再構成ユニット106へのアトラス成分218の放出を第4の出力遅延に基づいて遅延させることができる。ある実施形態では、V-PCCデコーダ102の回路502を、再構成ユニット106へのアトラス成分218の放出を第4の出力遅延に基づいて遅延させるように構成することができる。ある実施形態では、回路502を、DAB210Bからのアトラス成分218の放出を遅延させるように構成することができる。このような場合、第4の出力遅延は、V-PCCビットストリーム108のアトラスサブストリームのアクセスユニットに関連するアトラスタイミングSEIメッセージに含まれるDPB出力遅延とすることができる。608、610、612及び614における遅延した放出は、再構成ユニット106が属性成分212、形状成分214、占有マップ成分216及びアトラス成分218に基づいて点群222を再構成する前に、このような放出された成分を互いに同期(すなわち、時間的に整合)させることができる。制御は終了に進むことができる。
【0077】
本開示の様々な実施形態は、機械及び/又はコンピュータがシステム(例えば、V-PCCデコーダ102)を動作させるために実行できる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体及び/又は記憶媒体を提供することができる。これらの命令は、点群シーケンスに関連する符号化フレームを含むV-PCCビットストリーム108を受け取ることと、一群のビデオデコーダ104がV-PCCビットストリーム108のサブストリームを復号してV-PCC成分を生成することとを含む動作を機械及び/又はコンピュータに実行させることができる。このような成分は、属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分を含む。これらの動作は、V-PCCデコーダ102の再構成ユニット106への属性成分の放出を第1の出力遅延に基づいて遅延させることと、再構成ユニット106への形状成分の放出を第2の出力遅延に基づいて遅延させることとをさらに含む。動作は、再構成ユニット106への占有マップ成分の放出を第3の出力遅延に基づいて遅延させることと、再構成ユニット106へのアトラス成分の放出を第4の出力遅延に基づいて遅延させることとをさらに含む。遅延した放出は、再構成ユニット106が属性成分、形状成分、占有マップ成分及びアトラス成分に基づいて点群を再構成する前に、このような放出された成分を互いに同期させることができる。
【0078】
本開示の例示的な態様は、(回路502などの)回路を含む(
図1のV-PCCデコーダ102などの)V-PCCデコーダを提供することができる。回路502は、点群シーケンスに関連する符号化成分を含むV-PCCビットストリーム108を受け取るように構成することができる。回路502は、V-PCCビットストリームのサブストリームを復号して、属性成分212、形状成分214、占有マップ成分216及びアトラス成分218などのV-PCC成分を生成するように構成できる一群のビデオデコーダ104を含むことができる。回路502は、V-PCCデコーダ102の再構成ユニット106への属性成分212の放出を第1の出力遅延に基づいて遅延させて、再構成ユニット106への形状成分214の放出を第2の出力遅延に基づいて遅延させるようにさらに構成することができる。回路502は、再構成ユニット106への占有マップ成分216の放出を第3の出力遅延に基づいて遅延させて、再構成ユニット106へのアトラス成分218の放出を第4の出力遅延に基づいて遅延させるようにさらに構成することができる。遅延した放出は、再構成ユニット106が属性成分212、形状成分214、占有マップ成分216及びアトラス成分218に基づいて(点群222などの)点群を再構成する前に、このような放出された成分を互いに同期(すなわち、時間的に整合)させることができる。
【0079】
ある実施形態では、回路502を、V-PCCビットストリーム108の属性サブストリームに関連する第1のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るようにさらに構成することができる。回路502は、受け取った第1のピクチャタイミングSEIメッセージから第1の出力遅延を抽出し、抽出された第1の出力遅延に基づいて、属性成分212に関連する遅延オフセットを決定することができる。回路502は、第1のDPB204Bから属性成分212を除去すべき第1の合成時点を更新することができる。第1の合成時点は、抽出された第1の出力遅延及び決定されたオフセット遅延に基づいて更新することができる。回路502は、更新された第1の合成時点に第1のDPB204Bから属性成分212を除去することができる。属性成分の除去は、属性成分212の遅延した放出に対応することができる。
【0080】
ある実施形態では、回路502を、V-PCCビットストリーム108の形状サブストリームに関連する第2のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るようにさらに構成することができる。回路502は、受け取った第2のピクチャタイミングSEIメッセージから第2の出力遅延を抽出し、抽出された第2の出力遅延に基づいて、形状成分214に関連する遅延オフセットを決定することができる。回路502は、第2のDPB206Bから形状成分214を除去すべき第2の合成時点を更新することができる。第2の合成時点は、抽出された第2の出力遅延及び決定された遅延オフセットに基づいて更新することができる。回路502は、更新された第2の合成時点に第2のDPB206Bから形状成分214を除去することができる。形状成分214の除去は、形状成分214の遅延した放出に対応することができる。
【0081】
ある実施形態では、回路502を、V-PCCビットストリーム108の占有マップサブストリームに関連する第3のピクチャタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るようにさらに構成することができる。回路502は、受け取った第3のピクチャタイミングSEIメッセージから第3の出力遅延を抽出し、抽出された第3の出力遅延に基づいて、占有マップ成分216に関連する遅延オフセットを決定することができる。その後、回路502は、第3のDPB208Bから占有マップ成分216を除去すべき第3の合成時点を更新することができる。第3の合成時点は、抽出された第3の出力遅延及び決定された遅延オフセットに基づいて更新することができる。回路502は、更新された第3の合成時点に第3のDPB208Bから占有マップ成分216を除去することができる。占有マップ成分216の除去は、占有マップ成分216の遅延した放出に対応することができる。
【0082】
ある実施形態では、回路502を、V-PCCビットストリーム108のアトラスサブストリームに関連するアトラスタイミング補足強化情報(SEI)メッセージを受け取るようにさらに構成することができる。回路502は、受け取ったアトラスタイミングSEIメッセージから第4の出力遅延を抽出し、抽出された第4の出力遅延に基づいて、アトラス成分218に関連する遅延オフセットを決定することができる。その後、回路502は、DAB210Bからアトラス成分218を除去すべき第4の合成時点を更新することができる。第4の合成時点は、抽出された第4の出力遅延及び決定された遅延オフセットに基づいて更新することができる。回路502は、更新された第4の合成時点にDAB210Bからアトラス成分218を除去することができる。アトラス成分218の除去は、アトラス成分218の遅延した放出に対応することができる。
【0083】
ある実施形態では、回路502を、属性サブストリームが復号された後に、V-PCCデコーダ102のV-PCC合成バッファ220に属性成分212を記憶するようにさらに構成することができる。同様に、回路502は、形状サブストリーム、占有マップサブストリーム及びアトラスサブストリームの各々がそれぞれ復号された後に、形状成分214、占有マップ成分216及びアトラス成分218をV-PCC合成バッファ220に記憶するようにさらに構成することができる。
【0084】
回路502は、記憶された属性成分212、記憶された形状成分214、記憶された占有マップ成分216及び記憶されたアトラス成分218の各々について、V-PCC合成バッファ220から除去する合成時点を修正するように構成することができる。合成時点は、第1の出力遅延、第2の出力遅延、第3の出力遅延及び第4の出力遅延のうちの1つに基づいて修正することができる。回路502は、記憶された属性成分212、記憶された形状成分214、記憶された占有マップ成分216及び記憶されたアトラス成分218の各々を、それぞれの成分に関連する修正された合成時点にV-PCC合成バッファ220から除去するようにさらに構成することができる。記憶された属性成分212、記憶された形状成分214、記憶された占有マップ成分216及び記憶されたアトラス成分218の各々の除去は、再構成ユニット106への遅延した放出に対応することができる。
【0085】
本開示は、ハードウェアで実現することも、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現することもできる。本開示は、少なくとも1つのコンピュータシステム内で集中方式で実現することも、又は異なる要素を複数の相互接続されたコンピュータシステムにわたって分散できる分散方式で実現することもできる。本明細書で説明した方法を実行するように適合されたコンピュータシステム又はその他の装置が適することができる。ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせは、ロードされて実行された時に本明細書で説明した方法を実行するようにコンピュータシステムを制御することができるコンピュータプログラムを含む汎用コンピュータシステムとすることができる。本開示は、他の機能も実行する集積回路の一部を含むハードウェアで実現することができる。
【0086】
本開示は、本明細書で説明した方法の実装を可能にする全ての特徴を含み、コンピュータシステムにロードされた時にこれらの方法を実行できるコンピュータプログラム製品に組み込むこともできる。本文脈におけるコンピュータプログラムは、情報処理能力を有するシステムに特定の機能を直接的に、或いはa)別の言語、コード又は表記法への変換、b)異なる内容形態での複製、のいずれか又は両方を行った後に実行させるように意図された命令セットの、いずれかの言語、コード又は表記法におけるいずれかの表現を意味する。
【0087】
いくつかの実施形態を参照しながら本開示を説明したが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、同等物を代用することもできると理解するであろう。また、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は内容を本開示の教示に適合させるように多くの修正を行うこともできる。従って、本開示は、開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むように意図される。
【国際調査報告】