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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】断熱材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20221004BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221004BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20221004BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221004BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20221004BHJP
   C08K 3/40 20060101ALI20221004BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20221004BHJP
   C09K 21/02 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
C08L75/04
C08G18/00 K
C08G18/32 006
C08G18/76 014
C08K3/34
C08K3/40
F16L59/02
C09K21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506592
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 CZ2020000023
(87)【国際公開番号】W WO2021023317
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】PV2019-507
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522006650
【氏名又は名称】ファースト ポイント エー.エス.
【氏名又は名称原語表記】FIRST POINT A.S.
【住所又は居所原語表記】Brnenska 4404/65a, 69501 Hodonin (CZ)
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】チャンドヴァ,ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】スパニエル,ペトル
【テーマコード(参考)】
3H036
4H028
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
3H036AB13
3H036AB15
3H036AB18
3H036AB23
3H036AE01
4H028AA05
4H028BA06
4J002CK021
4J002DJ006
4J002DL007
4J002EN038
4J002EN108
4J002FA097
4J002FD017
4J002FD038
4J002FD136
4J002GL00
4J002HA08
4J034BA02
4J034CA03
4J034CB02
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC61
4J034HC71
4J034MA04
4J034QC03
4J034QD03
4J034RA10
4J034RA12
4J034RA14
(57)【要約】
断熱材料、特に、43~57.5重量%のプラスチック成分と、30~47重量%のケイ酸塩水溶液と、9~11.5重量%の中空ガラス微小球と、0.1~1重量%の水ガラス安定剤とを含有する混合物からなる水ガラスとプラスチック成分とを含有する非可燃性断熱材料。断熱材料の製造方法であって、特に、第1の工程として、水ガラス安定剤をケイ酸塩水溶液に添加し、同時に、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物を調製し、次いでケイ酸塩水溶液をフェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物と混合し、その後、得られた混合物に中空ガラス球を添加し、次いですべてを再び完全に混合するという事実にある不燃性断熱材料の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項11】
前記得られた混合物をシリコーン型に注ぎ、硬化するまでそのまま放置することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の断熱材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は断熱材料、特に、水ガラスおよびプラスチック成分を含有する不燃性断熱材料ならびにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックが特に建設産業において断熱材料として使用されている既存の技術水準から、広範囲の方法が知られている。これらの欠点は耐火性が低いことである。
【0003】
発泡断熱材料は、例えば断熱材として広く使用されているものである。最も頻繁に使用される材料は、発泡および押出ポリスチレンである。この材料は断熱能力は高いが、引火性が高く、蒸気透過性ではない。
【0004】
ポリウレタンフォームおよびポリイソシアヌレートフォームもまた、建設産業において広く使用されている材料である。これらの材料の欠点は、それらの用途の要求が厳しいこと、UV劣化、および場合によっては吸水性であることである。
【0005】
一般的に使用されているすべての断熱材料に共通する特性としては、火災の拡大にかなり寄与してしまう可燃性である。これらの材料は、加熱されて燃焼すると、火災自体よりも危険な有毒ガスをかなりの量で発生させる。
【0006】
特許文献カナダ特許出願CA1064200Aには、可燃性を低下させるために、発泡前にソーダ水ガラスを添加したポリウレタンフォームの製造が記載されている。この材料の欠点は、依然として可燃性が高いことである。
【0007】
別の特許文献中国特許公報CN105924942には、パーライトまたは中空ガラス球およびホスホアミン遅延剤を用いたポリウレタンフォームの製造が記載されている。球体は、再び高度に可燃性であるこの材料の剛性を増大させるためのものである。
【0008】
別の可燃性プラスチック材料が特許文献中国特許公報CN 106220819から知られている。添加された球体およびポリプロピレングリコールを有するポリウレタンからなる材料は、ボードを製造するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】カナダ特許出願第CA1064200A号公報
【特許文献2】中国特許第CN105924942号公報
【特許文献3】中国特許第CN 106220819公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
技術水準から、上記の全ての材料の主な欠点は、これまでに知られているプラスチック断熱材料がほとんど常に可燃性であるという事実であることは明らかである。
【0011】
本発明の目的は高い耐火性を有すると同時に、劣化耐性を有する断熱材料を組成することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の欠点は大幅に取り除かれ、本発明の目的は断熱材料、特に、材料が43~57.6重量%のプラスチック成分と、30~47重量%のケイ酸塩水溶液と、9~11.5重量%の中空ガラス微小球と、0.1~1重量%の水ガラス安定剤とを含有する混合物であるという事実から本発明の性質がなる、本発明による水ガラスとプラスチック成分とを含有する不燃性断熱材料によって達成される。断熱材料の利点は、その高い熱安定性、火災に対する高い耐性、および劣化に対するかなり高い耐性である。同時に、断熱材料は優れた抗真菌効果を有し、環境に優しく、健康に害がなく、紫外線を良好に反射し、有機有害物質を放出しない。
【0013】
使用されるプラスチック成分がポリウレタンであり、最も有利な選択肢では、ポリウレタンが60~70重量%のフェニルメチルジイソシアネートと30~40重量%の分岐ポリオールとの混合物からなる場合が有利である。これは、ポリウレタンが、得られる断熱材料に弾性及び可撓性を与えるので有利である。
【0014】
中空ガラス球が0.05~0.08mmの微小球であると非常に有利である。これらの球体は非常に薄い壁を有する。それらは個々の点で互いに接触し合い、多数の鋭い材料界面(境界)が熱の通過に対する抵抗を示す。このような多孔質系は低い熱伝導率によってそれ自体を際立たせ、優れた断熱材料として作用する。
【0015】
第1の変形例によれば、上記の第1の変形例で言及したケイ酸塩水溶液がケイ酸ナトリウム水溶液であると、いくつかの用途において有利である。
【0016】
第2の変形例によれば、上記第2の変形例で言及したケイ酸塩水溶液がケイ酸カリウム水溶液であると、これも有利であり得る。
【0017】
断熱材料が水ガラス硬化剤、例えば、グリセロールモノアセテート~トリアセテートまたはそれらの混合物をさらに含有すると、非常に有利である。
【0018】
水ガラス安定剤として親水性アルコキシルアルキルアンモニア塩を使用すると、さらに有利である。
【0019】
上記の欠点は大幅にさらに取り除かれ、本発明の目的は断熱材料の製造方法、特に、水ガラス安定剤が第1の工程として、ケイ酸塩水溶液に添加され、同時に、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物が調製されるという事実からその性質がなる、水ガラスおよびプラスチック成分を含有する不燃性断熱材料の製造方法によって達成される。次いで、第2の工程として、ケイ酸塩水溶液をフェニルメチルジイソシアネートおよび分岐ポリオールの混合物と混合し、第3の工程として、得られた混合物に中空ガラス球を添加し、次いで全てを完全に混合する。この方法は、断熱ボード、成形片などの固体製品を作ることと、液体塗布を行うこととの両方を容易にすることができるという利点がある。
【0020】
水ガラス硬化剤をケイ酸塩水溶液および水ガラス安定剤に添加すると有利である。利点は、硬化速度が最適化され得るという事実にある。
【0021】
次に、得られた混合物を型に注ぎ、硬化するまでそのまま放置すると有利である。
【0022】
本発明による断熱材料およびその製造方法の主な利点は、不燃性が高いという事実である。別の利点は、材料に使用される水ガラスがポリマーの分解を遅らせ、同時に、ポリウレタンの有益な特性、特にその可塑性に影響を与えずに、混合物全体の不燃性を保証するという事実である。ポリウレタン、水ガラスおよび球体の混合物は、軽く、十分に柔らかく、弾性があり、成形可能であり、型に注ぐのが容易であり、健康に害がない、不燃性の断熱プラスチック成分を形成する。また、一般的な無機顔料を用いて染色することもできる。その液体形態では、それは非常に粘着性があり、あらゆる種類の下層表面上の保護層として適用可能である。次いで、この層は、機械的および化学的の両方で、水、カビ、白カビ、腐食などから表面を保護する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施例1
【0024】
不燃性断熱材料は、45重量%のプラスチック成分と、43重量%のケイ酸ナトリウム水溶液と、9.6重量%の中空ガラス微小球と、0.1重量%の水ガラス安定剤と、2.3重量%の水ガラス硬化剤とを含有する混合物からなる。
【0025】
プラスチック成分は、67重量%のフェニルメチルジイソシアネートと、33重量%の分岐ポリオールとの混合物からなるポリウレタンである。
【0026】
中空ガラス球は、0.05mmの大きさの微小球である。
【0027】
水ガラス硬化剤は、純粋水ガラスに対して0.5~5重量%の濃度を有する体積部の比が7:3の純粋なグリセロールジアセテート/トリアセテートの混合物である。
【0028】
N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの98%水溶液の形態の親水性アルコキシルアルキルアンモニア塩を水ガラス安定剤として使用する。
【0029】
製造方法:第1工程として、水ガラス安定剤をケイ酸ナトリウム水溶液に添加する。第2工程として、水ガラス硬化剤を溶液に添加し、全てを10分間撹拌する。同時に、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物を調製する。その後、ケイ酸ナトリウム水溶液をフェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物と混合する。次いで、得られた混合物に中空ガラス球を添加し、全てを再び完全に混合する。
【0030】
その後、得られた混合物をシリコーン型に注ぎ、硬化するまでそのまま放置する。
【0031】
実施例2
【0032】
不燃性断熱材料は、54重量%のプラスチック成分と、34.9重量%のケイ酸カリウム水溶液と、11重量%の中空ガラス微小球と、0.1重量%の水ガラス安定剤とを含有する混合物からなる。
【0033】
プラスチック成分は、66重量%のフェニルメチルジイソシアネートと、33重量%の分岐ポリオールとの混合物からなるポリウレタンである。
【0034】
中空ガラス球は、0.065mmの大きさの微小球である。
【0035】
水ガラス硬化剤は、純粋水ガラスに対して0.5~5重量%の濃度を有する体積部の比が7:3の純粋なグリセロールジアセテート/トリアセテートの混合物である。
【0036】
N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの98%水溶液の形態の親水性アルコキシルアルキルアンモニア塩を水ガラス安定剤として使用する。
【0037】
製造方法:第1工程として、水ガラス安定剤をケイ酸ナトリウム水溶液に添加する。同時に、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物を調製する。次いで、ケイ酸ナトリウム水溶液を、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物と混合する。次いで、得られた混合物に中空ガラス球を添加し、全てを再び完全に混合する。
【0038】
その後、得られた混合物をシリコーン型に注ぎ、硬化するまでそのまま放置する。
【0039】
実施例3
【0040】
不燃性断熱材料は、57.5重量%のプラスチック成分と、30重量%のケイ酸ナトリウム水溶液と、11.5重量%の中空ガラス微小球と、0.8重量%の水ガラス安定剤と、0.2重量%の水ガラス硬化剤とを含有する混合物からなる。
【0041】
プラスチック成分は、60重量%のフェニルメチルジイソシアネートと、40重量%の分岐ポリオールとの混合物からなるポリウレタンである。
【0042】
中空ガラス球は、0.08mmの大きさの微小球である。
【0043】
水ガラス硬化剤は、純粋水ガラスに対して0.5~5重量%の濃度を有する体積部の比が7:3の純粋なグリセロールジアセテート/トリアセテートの混合物である。
【0044】
N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの98%水溶液の形態の親水性アルコキシルアルキルアンモニア塩を水ガラス安定剤として使用する。
【0045】
製造方法:第1の工程として、水ガラス安定剤および水ガラス硬化剤をケイ酸ナトリウム水溶液に添加し、すべてを10分間撹拌する。同時に、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物を調製する。次に、ケイ酸ナトリウム水溶液をフェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物と混合する。次いで、得られた混合物に中空ガラス球を添加し、全てを再び完全に混合する。
【0046】
その後、得られた混合物をシリコーン型に注ぎ、硬化するまでそのまま放置する。
【0047】
実施例4
【0048】
不燃性断熱材料は、43重量%のプラスチック成分と、47重量%のケイ酸カリウム水溶液と、9重量%の中空ガラス微小球と、1重量%の水ガラス安定剤とを含有する混合物からなる。
【0049】
プラスチック成分は、70重量%のフェニルメチルジイソシアネートと、30重量%の分岐ポリオールとの混合物からなるポリウレタンである。
【0050】
中空ガラス球は、0.065mmの大きさの微小球である。
【0051】
水ガラス硬化剤は、純粋水ガラスに対して0.5~5重量%の濃度を有する体積部の比が7:3の純粋なグリセロールジアセテート/トリアセテートの混合物である。
【0052】
N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの98%水溶液の形態の親水性アルコキシルアルキルアンモニア塩を水ガラス安定剤として使用する。
【0053】
製造方法:第1工程として、水ガラス安定剤をケイ酸ナトリウム水溶液に添加する。同時に、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物を調製する。次いで、ケイ酸ナトリウム水溶液を、フェニルメチルジイソシアネートと分岐ポリオールとの混合物と混合する。次いで、得られた混合物に中空ガラス球を添加し、全てを再び完全に混合する。
【0054】
その後、得られた混合物をシリコーン型に注ぎ、硬化するまでそのまま放置する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明による断熱材料は、個々の断熱製品を製造するために使用することができるか、または保護すべき個々の表面(例えば、金属)上に直接適用することができるので、建築産業のみならず、自動車および電気技術産業においても広範囲の用途がある。
【国際調査報告】