(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】鋼ストリップを冷却するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
C21D 9/573 20060101AFI20221004BHJP
C21D 1/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C21D9/573 101Z
C21D1/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507388
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2020057132
(87)【国際公開番号】W WO2021024096
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/056684
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハミデ,マハルーフ
【テーマコード(参考)】
4K034
4K043
【Fターム(参考)】
4K034AA02
4K034BA04
4K034BA05
4K034DB03
4K034FA04
4K034FA05
4K034FB09
4K034FB12
4K043AA01
4K043CB02
4K043CB04
4K043DA05
4K043EA05
(57)【要約】
本発明は、平坦な金属製品の冷却動作のための冷却デバイスに関し、前記冷却デバイスは、本質的に垂直な経路に位置し、-冷却剤表面を画定する冷却剤槽で満たされたタンクであって、-前記タンクは、一方は上面上にあり、他方は底面上にある少なくとも2つの開口部を備え、これら開口部を前記平坦な金属製品が通過することができ、-底面上の前記開口部は、シーリング手段を装備する、タンク、-2つの対向するタンク側部で本質的に水平に配向された2つの系列の投射デバイスを備え -前記投射デバイスは、前記冷却剤槽に浸漬され、-各系列の投射デバイスは、冷却剤表面に最も近い投射デバイスとして定義される最上部の投射デバイスを有し、-両側部の少なくとも最上部の投射デバイスは、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な金属製品(S)の冷却動作のための冷却デバイス(10)であって、前記冷却デバイスは、本質的に垂直な、上昇または下降する経路に位置し、
-冷却剤表面(11)を画定する冷却剤槽(17)で満たされたタンク(15)であって、
-前記タンクは、一方は上面(16)上にあり、他方は底面(16’)上にある少なくとも2つの開口部を備え、これら開口部を前記平坦な金属製品(S)が通過し、経路を描くことができ、
-底面(16’)上の前記開口部は、シーリング手段(9)を装備する、タンク、
-前記経路の各側部で互いに対向する、前記冷却剤槽に浸漬される少なくともアパーチャ(13E)を備える、2つの系列(18および18’)の投射デバイス(13)
を備え、
-前記投射デバイス(13)は、前記冷却剤槽(17)に少なくとも部分的に浸漬され、
-系列の任意の2つの垂直方向に連続する投射デバイスは、間隙(19)によって分離されており、
-各系列(18および18’)の投射デバイス(13)は、冷却剤表面(11)に最も近い投射デバイスとして定義される最上部の投射デバイス(20および20’)を有し、
-両側部の少なくとも最上部の投射デバイス(20および20’)は、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している、冷却デバイス(10)。
【請求項2】
両方の系列(18および18’)が、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜した同じ数の投射デバイス(13)を有する、請求項1または2に記載の冷却デバイス。
【請求項3】
両方の系列(18および18’)の2つの最上部の投射デバイスが、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している、請求項1または2に記載の冷却デバイス。
【請求項4】
両方の系列(18および18’)の3つの最上部の投射デバイスが、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している、請求項1または2に記載の冷却デバイス。
【請求項5】
両方の系列(18および18’)の4つの最上部の投射デバイスが、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している、請求項1または2に記載の冷却デバイス。
【請求項6】
冷却剤表面から50cmの深さまでに位置するすべての投射デバイスが、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している、請求項1から5のいずれか一項に記載の冷却デバイス。
【請求項7】
前記系列の投射デバイスが、10~40個の投射デバイスを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の冷却デバイス。
【請求項8】
前記投射デバイスが管(14)である、請求項1から7のいずれか一項に記載の冷却デバイス。
【請求項9】
前記冷却デバイスを通過する前記平坦な金属製品が経路を描き、前記投射デバイスのアパーチャが、前記経路から30~200mmの間の距離にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却デバイス。
【請求項10】
冷却方法であって、
本質的に垂直に、上昇して、または下降して移動する平坦な金属製品が、請求項1から10に記載されたデバイス内で冷却され、前記系列の投射デバイスが、平坦な製品の表面あたり毎時250m
3~2500m
3の間の冷却剤フラックスを排出する、冷却方法。
【請求項11】
前記系列の投射デバイスが、0.25m.s
-1~20m.s
-1の間の速度を有する冷却剤を排出する、請求項10または11に記載の冷却方法。
【請求項12】
前記系列の投射デバイスが、10~100℃の間の温度にある冷却剤を排出する、請求項10から12のいずれか一項に記載の冷却方法。
【請求項13】
前記冷却デバイスが、少なくとも200℃.s
-1で前記平坦な金属製品を冷却することを可能にする、請求項10から12のいずれか一項に記載の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ストリップを冷却するためのデバイスに関する。特に、本発明は、アニーリングプロセスの急冷を改善することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
製造中、金属ストリップは、特にアニールされる冷間圧延後に、いくつかの熱処理を受ける。アニーリングプロセスを通して、金属製品は、一般に700~850℃の温度で急速に加熱され、最高温度で約1分間維持される。次いで、金属製品は、制御された冷却速度で冷却される冷却処理を受ける。最終的に、過時効および最終冷却が行われる。
【0003】
鋼ストリップの場合、熱処理のおかげで、再結晶や炭化物析出などのいくつかの現象が起こる。これらの処理はすべて、ストリップの耐性および成形性を改善する所望の構造を得ることを可能にする。
【0004】
特定の鋼、例えば、(TRIP)変態誘起塑性、多相鋼、高比強度鋼の場合、アニーリングは、一般に、第1の徐冷と、次いで第2の急冷との2回の冷却を含む。
【0005】
図1に示すように、2つの冷却は、冷却剤3を収容するタンク2における冷却と、冷却剤を含む連続冷却デバイス4におけるより速い冷却とを組み合わせたデバイス1で行われ得る。矢印は、平坦な金属製品の移動方向を表す。
図2に示すように、米国特許第7645417号明細書は、2つの系列(6および6’)の浸漬管7がストリップ8の両側に垂直に積み重ねられているタンク5を備える冷却デバイスを開示している。前記管は、本質的に水平な乱流ジェットの形で冷却剤をストリップに投射する。1000℃を超える高い冷却速度が達成されたとしても、このデバイスは、冷却がストリップ幅方向に均質ではなく、平坦性欠陥をもたらすので満足のいくものではない。したがって、出てくる金属平坦製品の製品平坦性を改善する必要がある。したがって、冷却デバイス4は、改善される必要がある。
【0006】
さらに、シーリング手段9は、通常、タンク2と冷却デバイス4とを隔離して、冷却デバイス4への冷却剤3の影響を制限する。さらに、冷却デバイス4内の冷却剤温度は、一般に、タンク2の冷却剤の冷却剤温度より低い。ある空間から別の空間への漏れは、冷却の均質性に悪影響を及ぼす温度勾配を生じさせる。欧州特許第1300478B1号明細書は、シーリング手段9およびその利点を広く記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7645417号明細書
【特許文献2】欧州特許第1300478号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の装置を提供することによって達成される。機器はまた、請求項2から9のいずれかの特徴を含むことができる。この目的は、請求項10から13に記載の方法を提供することによっても達成される。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0011】
本発明を説明するために、特に以下の図を参照して、非限定的な例の様々な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、タンク2および冷却デバイス4を備えるデバイス1の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、最先端技術に開示されている冷却デバイス4の実施形態を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態である冷却デバイス10を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施形態である冷却デバイス10を示す。
【
図5】
図5は、本発明の冷却デバイスの一実施形態の冷却剤槽表面11および冷却剤流12を示す。
【
図6】
図6は、投射デバイス13間の間隙が冷却剤槽表面11’と冷却デバイスの冷却剤流12’とに対して与える影響を示す。
【
図7】
図7は、最先端技術に開示されている実施形態の冷却剤槽表面11’’および冷却剤流12’を示す。
【
図8】
図8は、最先端技術に開示されている実施形態の冷却剤槽表面4’’のシミュレーションを示す。
【
図9】
図9は、特許請求されるデバイスの2つの他の可能な使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2から
図7は、冷却デバイスのすべての要素を示しているのではなく、本発明および既知の最先端技術とのその違いを理解することを可能にする主要な要素を示している。例えば、投射デバイスに冷却剤を流すことを可能にするシステムは示されていない。
【0014】
図3に示すように、本発明は、平坦な金属製品Sの冷却動作のための冷却デバイス10に関し、前記冷却デバイスは、本質的に垂直な、上昇または下降する経路に位置し、
-冷却剤表面11を画定する冷却剤槽17で満たされたタンク15であって、
-前記タンクは、一方は上面16上にあり、他方は底面16’上にある少なくとも2つの開口部を備え、これら開口部を前記平坦な金属製品Sが通過し、経路を描くことができ、
-底面16’上の前記開口部は、シーリング手段9を装備する、タンク、
-前記経路の各側部で互いに対向する、前記冷却剤槽に浸漬される少なくともアパーチャ13Eを装備する、2つの系列(18および18’)の投射デバイス13
を備え、
-前記投射デバイス13は、前記冷却剤槽17に浸漬され、
-系列の任意の2つの垂直方向に連続する投射デバイスは間隙19によって分離されており、
-各系列(18および18’)の投射デバイス13は、冷却剤表面11に最も近い投射デバイスとして定義される最上部の投射デバイス(20および20’)を有し、
-両側部の少なくとも最上部の投射デバイス(20および20’)は、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。
【0015】
以下の明細書では、平坦な金属製品Sをストリップと称する。しかしながら、前記平坦な金属製品はストリップに限定されない。
【0016】
図3および
図4に示すように、高速冷却デバイス10は、鋼ストリップなどの平坦な金属製品を冷却および/またはクエンチするために使用される。シーリング手段は、
図4には示されていない。
【0017】
冷却デバイスは、平坦な金属製品の本質的に垂直な上昇経路または下降経路に配置される。これは、平坦な金属製品が冷却デバイスを通過するとき、その移動方向が矢印Dによって表されるように本質的に垂直であることを意味する。
【0018】
冷却デバイスは、冷却剤表面11を画定する冷却剤槽17を含むタンク15を備える。タンクの主な役割は、冷却剤槽を形成する冷却剤を含むことである。冷却剤は、好ましくは液体であり、水であり得る。その第2の役割は、冷却剤槽を外部から隔離することであり、これにより、冷却剤の温度などの冷却剤パラメータ、およびフラックス化された投射冷却剤を制御することが可能になる。
【0019】
さらに、前記タンクは、少なくとも2つの開口部を備え、一方はその上側16にあり、他方はその底側16’にあり、これら開口部を前記平坦な金属製品Sが通過して経路を描くことができる。これら開口部の役割は、平坦な金属製品を冷却デバイス10に通すことである。それらはまた、冷却剤槽17内へのいかなる外部液体の侵入も防止すべきである。ストリップが通過する前記開口部は、ストリップが本質的に垂直な経路を有することができるように、本質的に垂直に整列されるべきである。前記平坦な金属製品によって描かれる経路は、本質的に垂直である。
【0020】
さらに、タンクは、好ましくは、冷却剤の排出を可能にする少なくとも2つの側方開口部(21および21’)を備える。
【0021】
底側の開口部には、外部からの冷却剤槽の隔離を改善するためのシーリング手段9が装備されている。
図3に示すように、シーリング手段は、ストリップSに押し付けられ、ストリップSに対して対称に配置された二重対のローラ(22および22’)を含むことができる。さらに、ローラ間に制御可能な圧力および/または温度で流体を注入することができる。
【0022】
図3および
図4に示すように、少なくともアパーチャ13Eを含む、2つの系列(18および18’)の投射デバイス13は、互いに対向している。言い換えれば、2つの系列(18および18’)は、前記平坦な金属製品の垂直経路の両側にある。好ましくは、前記2つの系列の投射デバイスは、2つの対向するタンク側部に配置される。各系列は、ストリップをその幅方向Wに均質に冷却するために、本質的に垂直に整列して配置されたいくつかの投射デバイス13からなる。投射された冷却剤は、ストリップ幅方向に均質な冷却を達成するために、ストリップ幅に沿って分配されるべきである。
【0023】
冷却剤は、前記投射デバイス13のアパーチャ13Eを通って投射される。前記アパーチャ13は、他の可能性の中でもとりわけ、スリット、孔、または一連の孔である。前記投射デバイスのアパーチャ13Eは、冷却剤槽に完全に浸漬される。そのような浸漬は、浸漬されていないアパーチャと比較して、ストリップに近い冷却剤槽内の気泡または蒸気の形成(および存在)を抑制または少なくとも低下させることを可能にする。好ましくは、前記投射デバイスは、前記冷却剤に完全に浸漬される。
【0024】
間隙19は、投射デバイスの系列(18および18’)の垂直方向に連続する2つの投射デバイス(例えば、13Aおよび13B)を分離する。
図5に示すように、このような間隙は、ストリップに接触する冷却剤のリニューアルおよび投射された冷却剤とストリップとの間の熱交換を改善することによって、噴射される冷却剤の冷却効率を改善することを可能にする。投射デバイス間に間隙がない場合、冷却剤は、
図6に示すように、ストリップに沿って12’を垂直に流すことによって排出できるだけであり、したがって冷却効率を低下させる。反対に、そのような間隙は、ストリップ表面に対して垂直に冷却剤の放出を可能にする。さらに、間隙が存在しないことはまた、槽表面11’における動揺の生成を促進する。
【0025】
各系列の、タンク15に含まれる冷却剤槽表面11に最も近い投射デバイスは、最上部の投射デバイス(20および20’)と呼ばれる。
図3、
図4、および
図5に示すように、系列の少なくとも最上部の投射デバイスは、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。最上部の投射デバイスのこのような傾斜は、米国特許第7645417B2号明細書に開示され、槽表面11’’が平坦ではないが動揺を示す
図7に示される水平投射デバイスと比較して、最上部の投射デバイスによって生成される動揺を抑制または少なくとも大幅に低減することを可能にする。これにより、幅方向の冷却均質性が向上する。
【0026】
図8は、本質的に水平に向けられた、すなわち、本質的に水平に噴射される冷却剤を有し、ストリップが上方に移動している投射デバイスの系列を有する冷却デバイスの冷却剤槽表面11’’のシミュレーションである。この事例は、米国特許第7645417号明細書のものに対応する。ストリップに近い冷却剤槽表面に動揺が生じることを観察することができる。その結果、冷却はストリップ幅に沿って均一ではなく、ストリップ品質を低下させる。
【0027】
そのような特許請求される冷却デバイス10の使用は、
図1に示すように冷却デバイスからのストリップ出口に配置されたもののみに限定されない。反対に、この特許請求される冷却デバイス10は、
図9Aに示すように、タンク2のストリップ入口に配置されることができる。さらに、
図9Bに示すように、2つの特許請求される冷却デバイスは、タンク2のストリップの入口および出口に設置されることができる。1つまたはいくつかの特許請求される冷却デバイスのそのような配置は、水を収容するタンクに加えて使用されるときに様々な冷却サイクルを実行することを可能にする。例えば、冷却デバイス10内の冷却剤温度がタンク2内の冷却剤温度より低い場合、以下の3つの熱サイクルが可能である。
【0028】
1)徐冷、次いで急冷(
図1)
2)急冷、次いで徐冷(
図10A)
3)急冷、次いで徐冷、次いで急冷(
図10B)
ここで、急冷は、特許請求される冷却デバイス内で行われ、徐冷は、沸騰水を含むタンク内で行われる。
【0029】
従来技術では、ストリップ幅に沿って不均質な冷却をもたらす動揺の形成を回避することを可能にする解決策はないようである。反対に、本発明による装置では、ストリップ幅に沿って冷却の均質性が改善される。
【0030】
有利には、両方の系列(18および18’)は、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜した同じ数の投射デバイス(13)を有する。ストリップ幅における均質性を得るために、各系列の傾斜した投射デバイスは互いに対向している必要がある。
【0031】
有利には、両方の系列(18および18’)の2つの最上部の投射デバイスは、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。系列の2つの最上部の投射デバイス(20および20Aまたは20’および20’A)は、
図4に示すように、表面により近い2つの浸漬された投射デバイスに対応する。このような配置は、ストリップ幅の冷却均質性をさらに高めることを可能にする。
【0032】
有利には、両方の系列(18および18’)の3つの最上部の投射デバイスは、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。
【0033】
有利には、両方の系列(18および18’)の4つの最上部の投射デバイスは、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。
【0034】
有利には、冷却剤表面から50cmの深さまでに位置するすべての投射デバイスは、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。このような配置は、気泡の形成がさらに低減されるため、ストリップ幅における冷却均質性をさらに高めることを可能にする。好ましくは、冷却剤表面から1メートル、または2メートル、または3メートルの深さまでに位置するすべての投射デバイスは、水平に対して20°~40°の角度で下方に傾斜している。
【0035】
有利には、前記系列の投射デバイスは、10~40個のデバイスを備える。このような数のデバイスは、冷却デバイスの十分な冷却能力を確保することを可能にする。より有利には、各投射デバイスは、ストリップ1m2当たり少なくとも250m3.h-1の冷却剤を噴射することができる。
【0036】
有利には、前記投射デバイスは管14である。好ましくは、
図10に示すように、前記管は中空の直方体である。冷却剤は、好ましくはそれら管の最小面である2つの側面23上の開口部によって前記管に入る。冷却剤は、ストリップに向けられた前面24によって前記管を出る。好ましくは、前記前面は、
図9Aに示すように円形孔の列などの少なくとも1つのアパーチャ、および/または
図9Bに示すように少なくとも1つのスリットを有するプレートを装備する。
【0037】
有利には、前記投射デバイスのアパーチャ13Eは、前記経路から30~200mmの間の距離にある。経路は、平坦な金属製品によって描かれる経路を指す。一方では、投射デバイスのアパーチャとストリップとの間の距離が30mm未満である場合、移動するストリップが冷却デバイスに接触する可能性があり、ストリップ表面に引っ掻き傷または損傷を与える可能性がある。他方では、距離が200mmを超えると冷却性能が低下する。
【0038】
有利には、冷却デバイスは、前記2つの開口部の間に拘束ロールなどのロールを含まない。
【0039】
本発明はまた、本質的に垂直に、上昇して、または下降して移動する平坦な金属製品が、前述のようなデバイス内で冷却され、前記系列の投射デバイスが、平坦な製品の表面あたり毎時250m3~2500m3の間の冷却剤フラックスを排出する冷却方法に関する。この範囲の冷却剤フラックスは、所望の製品特性を達成するのに所望の冷却速度を得るのに十分である。
【0040】
好ましくは、前記系列の投射デバイスは、0.25m.s-1~20m.s-1の間の速度を有する冷却剤を排出する。そのような速度は、排出された冷却剤がストリップ表面に到達し、投射デバイス間の間隙内で水平に反射されることを可能にし、冷却剤のリニューアルを改善し、したがって冷却の均質性を改善する。
【0041】
好ましくは、前記系列の投射デバイスは、10~100℃の間の温度にある冷却剤を排出する。
【0042】
好ましくは、前記冷却デバイスは、少なくとも200℃.s-1で前記平坦な金属製品を冷却することを可能にする。より好ましくは、前記冷却デバイスは、少なくとも500℃.s-1で前記平坦な金属製品を冷却することを可能にする。さらにより好ましくは、前記冷却デバイスは、少なくとも1000℃.s-1で前記平坦な金属製品を冷却することを可能にする。
【0043】
以上、本発明を、現時点で実用的であるとともに好ましいと考えられる実施形態に関して説明した。しかしながら、本発明は、明細書に開示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨または精神を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることを理解されたい。
【国際調査報告】