(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】散乱フィルム及び散乱フィルムを含む電子装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/14 20060101AFI20221004BHJP
H01Q 19/10 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
H01Q19/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507416
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 CN2019125926
(87)【国際公開番号】W WO2021022753
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201910722601.6
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204482
【氏名又は名称】広州方邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU FANGBANG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】6/F,Building A5,11 Kaiyuan Avenue,New and Hi-tech Industrial Development Zone,Guangzhou,Guangdong 510660(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】スー,ジー
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,チアン
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA01
5J020BC13
5J020DA03
(57)【要約】
本開示は、散乱フィルム及び散乱フィルムを含む電子装置を提供する。散乱フィルムは、マイクロ波信号を送信及び/又は受信するように構成されたキャリア層と、前記キャリア層の表面に設けられた第1の凸状構造とを含み、マイクロ波が前記第1の凸状構造を通過する場合に反射される。本解決手段において、第1の凸状構造が設けられ、マイクロ波が第1の凸状構造を通過する場合に反射されることで、元の指向方向にのみ伝送するマイクロ波の送信及び/又は受信の空間範囲を増加させ、マイクロ波信号のカバー範囲を拡大する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波信号を送信及び/又は受信するように構成される第1のキャリア層と、
前記キャリア層の表面に設けられる第1の凸状構造と、を含み、
マイクロ波は、前記第1の凸状構造を通過する場合に反射される、散乱フィルム。
【請求項2】
前記キャリア層は、金属層を含み、前記第1の凸状構造は、金属材料を利用する、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項3】
前記キャリア層は、絶縁層を含み、前記第1の凸状構造は、複数の凸部を含み、隣接する前記凸部の距離S1は、前記マイクロ波の波長よりも小さい、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項4】
前記キャリア層の厚さd1は、0.1μm~10μmである、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項5】
前記第1の凸状構造は、複数の凸部を含み、複数の前記凸部は、前記キャリア層の表面に互いに間隔をおいて配置されるか、或いは、
複数の前記凸部は、前記キャリア層の表面に連続的に配置されるか、或いは、
複数の前記凸部は、一部が前記キャリア層の表面に互いに間隔をおいて配置され、他の一部が前記キャリア層の表面に連続的に配置される、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項6】
前記キャリア層及び/又は前記第1の凸状構造は、銅、アルミニウム、チタン、亜鉛、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、銀、又は金のうちのいずれか1つの金属材料又は2つ以上の合金材料で製造される、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項7】
前記第1の凸状構造は、マイクロ波の反射に寄与する斜面、円弧面、平面、又は不規則な形状の反射面のうちのいずれか1つ又は2つ以上を有する、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項8】
前記キャリア層の表面に第1の連結層が設けられ、前記第1の連結層と前記第1の凸状構造は、前記キャリア層の同一表面に位置し、前記第1の凸状構造は、前記第1の連結層に入り込む、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項9】
前記第1の連結層は、接着フィルム層である、請求項8に記載の散乱フィルム。
【請求項10】
前記第1の凸状構造の高さh1≦前記第1の連結層の厚さd2である、請求項8に記載の散乱フィルム。
【請求項11】
前記キャリア層の前記第1の凸状構造が設けられた表面に反対する他方の表面には、第1の絶縁層が設けられる、請求項1に記載の散乱フィルム。
【請求項12】
前記キャリア層の表面には、前記第1の絶縁層に入り込む第2の凸状構造が設けられる、請求項11に記載の散乱フィルム。
【請求項13】
前記散乱フィルムは、可撓性を有し、折り畳み可能で、湾曲可能な構造である、請求項1~12のいずれか一項に記載の散乱フィルム。
【請求項14】
前記第1の凸状構造は、前記キャリア層と一体的に成形される、請求項1~12のいずれか一項に記載の散乱フィルム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の散乱フィルムを含み、さらに、一方の表面が前記散乱フィルムに連結されるアンテナ装置を含む、電子装置。
【請求項16】
前記アンテナ装置の表面は、前記散乱フィルムの第1の連結層により前記散乱フィルムに連結されるか、或いは、
前記アンテナ装置の表面に第3の連結層が設けられ、前記散乱フィルムは、前記第3の連結層により前記アンテナ装置に連結される、請求項15に記載の電子装置。
【請求項17】
前記アンテナ装置の前記散乱フィルムが設けられた表面に反対する他方の表面には、電磁散乱フィルムが設けられ、前記電磁散乱フィルムは、少なくとも第2のキャリア層を含み、第2のキャリア層には、上面と下面を貫通する貫通孔が設けられる、請求項15に記載の電子装置。
【請求項18】
前記第2のキャリア層は、金属導電層である、請求項17に記載の電子装置。
【請求項19】
前記金属導電層の金属残存率は、1%~99%である、請求項18に記載の電子装置。
【請求項20】
前記第2のキャリア層の表面に第2の連結層が設けられ、前記アンテナ装置は、前記第2の連結層により前記電磁散乱フィルムに連結されるか、或いは、
前記アンテナ装置の表面に第4の連結層が設けられ、前記電磁散乱フィルムは、前記第4の連結層により前記アンテナ装置に連結される、請求項17に記載の電子装置。
【請求項21】
前記第2のキャリア層の表面には、前記第2の連結層に入り込む第3の凸状構造が設けられる、請求項20に記載の電子装置。
【請求項22】
前記第2のキャリア層の第2の連結層が設けられた表面に反対する他方の表面には、第2の絶縁層が設けられる、請求項20に記載の電子装置。
【請求項23】
前記貫通孔が円形孔である場合、前記貫通孔の孔径と前記マイクロ波の波長との比率は、1:200~1:100であり、
前記貫通孔が円形孔ではない場合、前記貫通孔の横断面の縁部における2点の間の最長距離と前記マイクロ波の波長との比率は、1:200~1:100である、請求項17に記載の電子装置。
【請求項24】
前記電磁散乱フィルムは、可撓性を有し、折り畳み可能で、湾曲可能な構造である、請求項17に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2019年8月6日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201910722601.6である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、通信の技術分野に関し、例えば、散乱フィルム、散乱フィルムを含む電子装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ波通信は、0.1ミリメートル~1メートルの波長の電磁波を用いた通信である。当該波長帯の電磁波に対応する周波数範囲は、300MHz(0.3GHz)~3THzである。マイクロ波通信は、マイクロ波が直進伝送する特性により指向性を有し、ユーザーがその所定の方向領域内にない場合、信号を受信することができいため、通信不感帯が生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、マイクロ波が散乱フィルムを通過した後に散乱され、マイクロ波の送信及び/又は受信の空間範囲を増加させ、できるだけ通信不感帯を回避する散乱フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
本開示は、マイクロ波信号の送信及び/又は受信範囲が大きく、ユーザーの使用体験の良い電子装置を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、以下の技術的解決手段が提供される。
【0007】
一側面では、マイクロ波信号を送信及び/又は受信するように構成された第1のキャリア層と、前記キャリア層の表面に設けられた第1の凸状構造とを含み、マイクロ波が前記第1の凸状構造を通過する場合に反射される散乱フィルムが提供される。本解決手段において、第1の凸状構造が設けられ、マイクロ波が第1の凸状構造を通過する場合に反射されることで、元の指向方向にのみ伝送するマイクロ波の送信及び/又は受信の空間範囲を増加させ、マイクロ波信号のカバー範囲を拡大する。
【0008】
他の側面では、前記散乱フィルムと、一方の表面が前記散乱フィルムに連結されるアンテナ装置とを含む電子装置が提供される。
【0009】
一実施形態において、前記アンテナ装置の前記散乱フィルムが設けられた表面に反対する他方の表面には、電磁散乱フィルムが設けられ、前記電磁散乱フィルムは、少なくとも第2のキャリア層を含み、第2のキャリア層には、その上面と下面を貫通する貫通孔が設けられる。
【0010】
本開示の実施例に係る電子装置によれば、散乱フィルムがアンテナ装置に連結され、アンテナ装置が送信及び/又は受信したマイクロ波信号が、散乱フィルムの第1の凸状構造により外部に反射されることで、電子装置のマイクロ波信号の送信及び/又は受信の空間範囲を増加させることができ、また、アンテナ装置の他面には、さらに電磁散乱フィルムが設けられ、電磁散乱フィルムの貫通孔を介して、アンテナ装置により伝送されたマイクロ波及び前記散乱フィルムにより反射されたマイクロ波を回折させ、さらにマイクロ波の送信及び/又は受信の空間範囲を増加させ、電子装置の信号不感帯の問題を回避し、ユーザーの使用体験を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施例に係る散乱フィルムの構造概略図(マイクロ波信号の受信)である。
【
図2】本開示の一実施例に係る散乱フィルムの構造概略図(マイクロ波信号の送信)である。
【
図3】本開示の一実施例に係る連結層付きの散乱フィルムの構造概略図である。
【
図4】本開示の一実施例に係る散乱フィルムの第1の構造概略図である。
【
図5】本開示の一実施例に係る散乱フィルムの第2の構造概略図である。
【
図6】本開示の一実施例に係る散乱フィルムの第3の構造概略図である。
【
図7】本開示の別の実施例に係る散乱フィルムの構造概略図である。
【
図8】本開示の一実施例に係る電子装置の構造概略図である。
【
図9】本開示の別の実施例に係る電子装置の構造概略図である。
【
図10】本開示のさらに別の実施例に係る電子装置の構造概略図である。
【
図11】本開示のまたさらに別の実施例に係る電子装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示が解決しようとする課題、採用された技術的解決手段及び達成された技術的効果をより明確にするために、図面を参照しながら本開示の実施例の技術的解決手段をさらに詳細に説明し、明らかに、説明された実施例は、本開示の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本開示における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに想到し得る他の実施例は、すべて本開示の保護範囲に属する。
【0013】
図1は、本開示の一実施例に係る散乱フィルムの構造概略図である。
図1に示すように、本開示の実施例に係る散乱フィルム1は、第1のキャリア層11と、第1のキャリア層11の一方の表面に設けられた第1の凸状構造13とを含む。通信の技術分野において、信号の伝送は、データ交換を実現する重要な手段であり、マイクロ波信号の伝送は、そのうちの1つである。マイクロ波信号が所定の方向に沿って直進伝送するため、所定の方向に位置ない領域は、マイクロ波信号を受信できない可能性があるか、又は所定の方向以外の領域にマイクロ波信号を送信できず、通信できなくなる。
図1に示す矢印方向は、例示的なマイクロ波の伝送方向であり、本開示の実施例に係る散乱フィルムは、拡散反射の原理を利用して、第1のキャリア層11に第1の凸状構造13を設けることで、マイクロ波が送信されて当該第1の凸状構造13を通過する場合に反射され、指向方向にのみ伝送するはずのマイクロ波の伝送経路を変化させ、反射により複数の方向の伝送経路を生成し、マイクロ波の送信及び/又は受信の空間範囲を増加させる。
【0014】
本開示の第1のキャリア層11は、マイクロ波信号を送信及び/又は受信するように構成される。第1のキャリア層11は、マイクロ波信号に対して反射作用を果たすことができる金属層を含んでもよい。例えば、第1のキャリア層11自体は、金属材質を利用する。第1のキャリア層11は、絶縁層をさらに含んでもよく、この時に、主に第1の凸状構造によりマイクロ波信号の反射作用を実現する。上記実施例において、第1のキャリア層11は、マイクロ波信号を受信するように構成される。本開示の他の実施例において、第1のキャリア層11は、さらに、マイクロ波信号を送信するように構成されてもよい。
図2に示すように、図示の実施例において、第1のキャリア層11の表面又は内部に導電性金属信号線路111が設けられる。図中の矢印方向は、例示的なマイクロ波の伝送方向であり、第1のキャリア層11が信号線路111を含む場合、第1のキャリア層11は、外部にマイクロ波信号を送信することができ、マイクロ波信号が第1の凸状構造13を通過する場合に反射され、マイクロ波信号の送信の空間範囲を増加させる。
【0015】
本開示は、マイクロ波の反射機能を実現する材質について、金属材質の第1の凸状構造13を利用することができ、もちろん、本開示において特に限定されず、マイクロ波の反射機能を実現可能な材料であれば、本開示に適用することができ、例えば、合金材質の第1の凸状構造13にすることができる。一実施形態において、第1のキャリア層11は、金属層を含み、第1の凸状構造13は、金属材料を利用する。金属層は、例えば、導電性金属パターン付きの回路基板であり、第1の凸状構造13は、金属層に設けられた金属凸部であってもよい。第1のキャリア層11と第1の凸状構造13を同じ材料で製造することで、両者の結合力を向上させ、第1の凸状構造13が第1のキャリア層11から外れにくく、当該散乱フィルム1の耐用年数及び安定性を保証することができる。他の実施例において、第1のキャリア層11は、もちろん、絶縁層をさらに含んでもよく、例えば、絶縁層は、樹脂材料であり、この時に、第1のキャリア層11の第1の凸状構造13は、金属材料であり、複数の凸部を含み、隣接する前記凸部の距離S1は前記マイクロ波の波長よりも小さく、同様にマイクロ波が第1の凸状構造13を通過する場合に反射される。例えば、隣接する前記凸部の距離S1は、0μm~500μmである。なお、隣接する凸部の距離とは、隣接する2つの凸部の輪郭の間の最小距離である。一例では、第1のキャリア層11及び/又は第1の凸状構造13は、銅、アルミニウム、チタン、亜鉛、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、銀、又は金のうちのいずれか1つの金属材料又は2つ以上の合金材料で製造される。
【0016】
本開示の第1のキャリア層11の厚さd1は、製品を有効にすることを保証する前提で、散乱フィルム1の全体をより軽量化且つ薄型化するように、できるだけ薄くする必要がある。本実施の実施例における第1のキャリア層11の厚さd1は、0.1μm~10μmであってもよい。
【0017】
図3は、本開示の一実施例に係る散乱フィルムの構造概略図である。
図3に示すように、本開示に係る散乱フィルム1と他の部材との連結を容易にするために、第1のキャリア層11の表面に第1の連結層12を設ける。ここで、第1の連結層12と第1の凸状構造13は、第1のキャリア層11の同一表面に位置し、第1の凸状構造13は、第1の連結層12に入り込む。本開示の一実施例における第1の連結層12は、接着フィルム層である。接着フィルム層を設けることで、本実施例に係る散乱フィルム1は、外部との連結を実現しやすい。連結の信頼性を保証するために、接着フィルム層は、全ての第1の凸状構造13を覆う。したがって、本実施例における第1の凸状構造13の高さh1≦第1の連結層12の厚さd2である。前記設計により、第1の凸状構造13が第1の連結層12に入り込むが、第1の連結層12から突出しないことを保証する。なお、第1の凸状構造13は、複数の異なる高さの凸部131を含む可能性があり、この時に、第1の凸状構造13の高さh1とは、全ての凸部131のうち最も高い高さである。接着フィルム層の外面及び第1のキャリア層11の表面は、起伏のない平面であってもよく、緩やかな起伏のある非平面であってもよく、本開示において特に限定されない。例えば、前記接着フィルム層に用いられる材料は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル酸、変性ゴム、熱可塑性ポリイミド、変性熱可塑性ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、有機シリコーンからなる群から選択されるいずれか1つである。
【0018】
本開示の実施例における第1の凸状構造13は、複数の凸部131を含む。第1のキャリア層11における凸部131のレイアウト方式は、全体的にマトリクスアレイで配置され、隣接する凸部131同士が連続的に設けられてもよく、互いに間隔をおいて設けられてもよい。凸部131のサイズは、本開示において特に限定されず、複数の凸部131のサイズは、同じであっても異なってもよい。
図4は、本開示の実施例に係る散乱フィルムの第1の構造概略図である。本実施例において、複数の凸部131は、第1のキャリア層11の表面に互いに間隔をおいて配置される。
図5は、本開示の実施例に係る散乱フィルムの第2の構造概略図である。本実施例において、複数の凸部131は、第1のキャリア層11の表面に連続的に配置される。
図6は、本開示の実施例に係る散乱フィルムの第3の構造概略図である。本実施例において、複数の凸部131は、一部が第1のキャリア層11の表面に互いに間隔をおいて配置され、他の一部が第1のキャリア層11の表面に連続的に配置される。
【0019】
本開示の実施例において、第1の凸状構造13の形状は、実際の必要に応じて多様性を有し、規則的又は不規則な立体幾何学的形状であってもよい。いくつかの例示では、第1の凸状構造13の形状は、尖角状、逆円錐状、粒子状、樹枝状、柱状、ブロック状のうちの1つ又は複数である。例えば、
図4の例示では、第1の凸状構造13は、柱状構造である。
図5の例示では、第1の凸状構造13は、三角形である。
図6の例示では、第1の凸状構造13は、不規則な曲面形状である。当業者であれば理解できるように、第1の凸状構造13の形状は、マイクロ波の反射に寄与する斜面、円弧面、平面又は不規則な形状の反射面のうちのいずれか1つ又は2つ以上を有するものであれば、本開示に適用することができる。反射面を設計することで、本開示の反射によりマイクロ波伝送経路を変更するという目的を実現することができる。
【0020】
図7は、本開示の別の実施例に係る散乱フィルムの構造概略図である。
図7を参照すると、本実施例において、第1のキャリア層11のうち、第1の凸状構造13が設けられた表面に反対する他方の表面には、第1の絶縁層14が設けられる。第1の絶縁層14は、絶縁及び保護作用を有し、散乱フィルム1の使用中に第1のキャリア層11が外部の他の電子部品と接触して短絡するという問題を防止し、第1のキャリア層11を使用中に起きる破損から保護することもできる。一実施形態において、第1の絶縁層14は、PPSフィルム層、PENフィルム層、ポリエステルフィルム層、ポリイミドフィルム層、エポキシ樹脂インクが硬化されて形成されたフィルム層、ポリウレタンインクが硬化されて形成されたフィルム層、変性アクリル樹脂が硬化されて形成されたフィルム層、又はポリイミド樹脂が硬化されて形成されたフィルム層のうちのいずれか1つを利用する。本開示の実施例は、第1のキャリア層11と第1の絶縁層14との間の連結信頼性を向上させ、第1の絶縁層14と第1のキャリア層11との間に剥がれ落ちが発生することを防止するために、第1のキャリア層11の表面に第1の絶縁層14に入り込む第2の凸状構造15が設けられる。
図7に示すように、第2の凸状構造15は、複数の凸部を含み、凸部は、第1のキャリア層11の表面から第1の絶縁層14の方向に向かって突設され、もちろん、当業者であれば理解できるように、凸部は、第1の絶縁層14から第1のキャリア層11の表面の方向に向かって突設されてもよい。第2の凸状構造15の形状、数、及びサイズは、本開示において特に限定されず、第1の絶縁層14と第1のキャリア層11との間の連結信頼性を向上させることを満たす凸部であれば、本開示に適用することができる。例示的には、第2の凸状構造15の形状は、尖角状、逆円錐状、粒子状、樹枝状、柱状、ブロック状のうちの1つ又は複数であってもよい。
図7の例示では、第2の凸状構造15は、三角形である。また、第2の凸状構造15の高さh2≦第1の絶縁層14の厚さd3であり、第1の絶縁層14が有効性を失わないように、前記設計により、第2の凸状構造15が第1の絶縁層14内に入り込むが、第1の絶縁層14から突出しないことを保証する。なお、第2の凸状構造15が複数の異なる高さの凸部を含む場合、この時の第2の凸状構造の高さh2とは、全ての凸部のうちの最も高い高さである。一実施形態において、第1の絶縁層14の厚さd3は、1μm~25μmであり、第2の凸状構造14の高さh2は、0.1μm~15μmである。
【0021】
より多くの使用場面に適用するために、本開示の前記散乱フィルム1は、可撓性を有し、折り畳み可能で、湾曲可能な構造である。一実施形態において、第1のキャリア層11をFPC回路基板のような可撓性の構造にし、第1のキャリア層11の一方の表面に設けられた連結用の接着フィルム層が折り畳み可能性を有し、第1のキャリア層11の他方の表面に設けられた保護用の第1の絶縁層14も湾曲可能性を有することで、本開示の散乱フィルム1は、折り畳み可能で湾曲可能な性能を有する。実際に使用する場合、必要に応じて、散乱フィルムを、円弧状構造、楕円形構造、積層構造のような環状構造又は半密閉構造などの任意の形状に湾曲するか又は折り畳むことができる。
【0022】
本開示の一実施例は、以下のステップ(1)~ステップ(2)を含む散乱フィルムの製造方法を提供する。
【0023】
ステップ(1)は、表面に一体的に成形される第1の凸状構造13を有する第1のキャリア層11を提供する。
第1のキャリア層11を導電性パターン付きの回路基板にする場合、第1の凸状構造13の回路基板における具体的な位置を予め定め、回路基板の加工プロセスにより第1の凸状構造13を有する第1のキャリア層11を一度で成形することができ、
ステップ(2)は、第1のキャリア層11の表面に第1の連結層12を形成し、第1の連結層12は、少なくとも第1の凸状構造13を覆う。第1の連結層12を接着フィルム層にする場合、まず、第1のキャリア層11の表面に接着材料を塗布又は印刷し、次に、硬化処理を行って接着フィルム層を取得するか、或いは、まず、離型フィルムに接着フィルム層を塗布し、次に、離型フィルムにより接着フィルム層を第1のキャリア層11の表面に圧接転移し、この接着フィルム層は、少なくとも第1の凸状構造13を覆う。
【0024】
本開示の別の実施例は、以下のステップ(1)~ステップ(3)を含む散乱フィルムの製造方法を提供する。
【0025】
ステップ(1)は、導電性金属パターン付きのキャリア層材料である第1のキャリア層11を提供する。
ステップ(2)は、第1のキャリア層11の表面に第1の凸状構造13を形成するステップとして、導電性金属パターン付きのキャリア層材料、即ち、第1のキャリア層に、電気めっき、化学めっき、物理気相成長、化学気相成長などのうちの1つ又は複数で金属凸部を形成する。第1のキャリア層の表面自体は、起伏のない平坦な表面であってもよく、起伏のある非平坦な表面であってもよい。
ステップ(3)は、第1のキャリア層11の第1の凸状構造13が設けられた表面に第1の連結層12を形成し、第1の連結層12は、少なくとも第1の凸状構造13を覆う。
【0026】
第1の連結層12を接着フィルム層にする場合、まず、第1のキャリア層11の表面に接着材料を塗布又は印刷し、次に、硬化処理を行って接着フィルム層を取得するか、或いは、まず、離型フィルムに接着フィルム層を塗布し、次に、離型フィルムにより接着フィルム層を第1のキャリア層の表面に圧接転移し、この接着フィルム層は、少なくとも第1の凸状構造13を覆う。
【0027】
図8は、本開示の一実施例に係る電子装置の構造概略図である。
図8に示すように、本開示の実施例は、一方の表面が散乱フィルム1に連結されるアンテナ装置2と、前記散乱フィルム1とを含む電子装置を提供する。散乱フィルム1をアンテナ装置2に連結することで、アンテナ装置2から送信されたマイクロ波信号は、散乱フィルム1の第1の凸状構造13を通過する場合に反射される。本実施例において、アンテナ装置2は、第1の連結層12により散乱フィルム1に連結される。他の実施例において、アンテナ装置2は、さらに、アンテナ装置2の表面に設けられた第3の連結層(図示せず)により散乱フィルム1に連結されてもよい。
【0028】
図9は、本開示の別の実施例に係る電子装置の構造概略図である(図中の矢印は、マイクロ波の伝送方向を示す)。散乱フィルム1の第1のキャリア層11は、信号線路111を含む。散乱フィルム1は、第1の連結層12によりアンテナ装置2に連結される。ここで、信号線路111から送信されたマイクロ波信号は、第1の凸状構造13を通過する場合に反射され、マイクロ波信号の送信の空間範囲を増加させる。前記設計により、電子装置の信号カバー範囲を拡大し、ユーザー体験を向上させる。一実施形態において、アンテナ装置2は、アンテナ線路21と、アンテナ線路21を設けるための基板22とを含む。基板22の表面は、散乱フィルム1の接着フィルム層と貼り合わせることで、アンテナ装置2と散乱フィルム1との連結を実現する。
【0029】
図10は、本開示の別の実施例に係る電子装置の構造概略図である。本実施例において、アンテナ装置2の散乱フィルム1が設けられた表面に反対する他方の表面には、第2のキャリア層31と、第2の連結層32とを含む電磁散乱フィルム3が設けられる。ここで、第2のキャリア層31には、その上面、下面を貫通する貫通孔311が設けられ、第2の連結層32は、第2のキャリア層31の一方の表面に設けられ、アンテナ装置2の連結に用いられる。アンテナ装置2の他方の側に電磁散乱フィルム3を設けており、電磁散乱フィルム3に第2の連結層32を設計することで、アンテナ装置2との迅速な連結を実現する。アンテナ装置2との迅速な接着連結を実現するように、第2の連結層32は、接着フィルム層であってもよい。一方で、電磁散乱フィルム3には、その上面、下面を貫通する貫通孔311がさらに開口され、アンテナ装置2により受信及び伝送されたマイクロ波は、貫通孔311を通過して回折され、マイクロ波信号の受信及び/又は送信の空間範囲を増加させるとともに、散乱フィルム1で反射されたマイクロ波も貫通孔311に入射し、マイクロ波信号の受信及び/又は送信の空間範囲をさらに増加させ、マイクロ波を指向性伝送から多方向伝送に変換し、電子装置の信号カバー範囲を拡大することができ、ユーザー体験を向上させるのに役立つ。当業者であれば理解できるように、本開示の他の実施例において、電磁散乱フィルム3は、さらに、アンテナ装置2の表面に設けられた第4の連結層によりアンテナ装置2に連結されてもよい。
【0030】
図10の例示では、貫通孔311は、円形孔であるが、貫通孔311の形状は、本開示において特に限定されず、三角形、四角形等の多角形の孔、又は他の不規則な形状の孔であってもよく、マイクロ波が孔に入射して回折することを満たせばよい。上記機能を実現するために、貫通孔311をできるだけ小さく開口し、マイクロ波の波長よりはるかに小さくする。一実施形態において、貫通孔311が円形孔である場合、貫通孔311の孔径と前記マイクロ波の波長との比率は、1:200~1:100である。貫通孔311が円形孔ではない場合、前記貫通孔311の横断面の縁部における2点の間の最長距離と前記マイクロ波の波長との比率は、1:200~1:100である。このように、貫通孔311の孔径又は貫通孔311の横断面の縁部における2点の間の最長距離を、前記マイクロ波の波長よりはるかに小さくすることで、マイクロ波がどの方向から貫通孔311内に入射しても回折することを保証して、マイクロ波を指向性伝送から多方向伝送に変換することを確保し、信号のカバー範囲を拡大し、信号の受信不感帯の問題を解決する。一実施形態において、貫通孔311が円形孔である場合、貫通孔311の孔径は、1μm~500μmであり、貫通孔が円形孔ではない場合、貫通孔311の横断面の縁部における2点の間の最長距離は、1μm~500μmである。
【0031】
本開示の実施例において、第2のキャリア層31は、金属導電層である。第2のキャリア層31に貫通孔311を開口することで、マイクロ波の回折を実現する。一実施形態において、第2のキャリア層31の金属残存率は、1%~99%であり、前記設計により、マイクロ波が電磁散乱フィルムで回折されて、十分にカバーする作用を果たすことを確保する。金属残存率は、第2のキャリア層31における金属含有領域の断面積と第2のキャリア層31全体の断面積との比率であり、第2のキャリア層31における金属含有領域の断面積は、第2のキャリア層31全体の面積から貫通孔311の断面積を引いたものである。金属残存率が高すぎると、第2のキャリア層31の金属含有領域が多いことを示し、マイクロ波が第2のキャリア層31の金属層に反射されて、大量のマイクロ波が電磁散乱フィルム3を通過できず、金属残存率が低すぎると、第2のキャリア層31に割れやすい等の問題が存在し、電磁散乱フィルムの故障を引き起こす。
【0032】
本実施例において、第2のキャリア層31の厚さd4は、0.1μm~10μmであってもよい。前記厚さの設計により、第2のキャリア層31が割れにくく、良好な可撓性を有することを確保する。また、第2の連結層32を、導電性粒子を含有しない接着層である接着フィルム層にすることで、導電性粒子を含有することから貫通孔311に入りやすくて貫通孔311を塞ぐことによる、マイクロ波が貫通孔311を通過して回折されることができないという問題を回避する。
【0033】
図11は、本開示の別の実施例に係る電子装置の構造概略図である。
図11に示すように、本実施例において、第2のキャリア層31の表面には、第2の連結層32に入り込まれた第3の凸状構造33が設けられる。第3の凸状構造33を設けることで、電磁散乱フィルム3を使用する場合、外部で接地することを実現し、干渉電荷を導出し、干渉電荷の蓄積により干渉源を形成することを回避する。例えば、第3の凸状構造33の高さh3は、0.1μm~30μmであり、第2の連結層32の厚さd5は、0.1μm~45μmであり、使用時に、電磁散乱フィルムが接地することを確保するように、第3の凸状構造33は第2の連結層32を貫通することができる。第3の凸状構造33は、複数の凸部を含み、複数の凸部の形状及びサイズは、本開示において特に限定されず、凸部は、尖角状、逆円錐状、粒子状、樹枝状、柱状、ブロック状のうちの1つ又は複数であってもよい。複数の凸部のサイズは、同じであっても異なってもよい。
【0034】
第2のキャリア層31の第2の連結層32が設けられた表面に反対する他方の表面には、第2の絶縁層34が設けられる。第2の絶縁層34は、絶縁及び保護作用を有し、電磁散乱フィルム3の使用中に第2のキャリア層31が他の外部の電子部品と接触して短絡するという問題を防止し、第2のキャリア層31を使用中に起きる破損から保護することもできる。一実施形態において、第2の絶縁層34は、PPSフィルム層、PENフィルム層、ポリエステルフィルム層、ポリイミドフィルム層、エポキシ樹脂インクが硬化されて形成されたフィルム層、ポリウレタンインクが硬化されて形成されたフィルム層、変性アクリル樹脂が硬化されて形成されたフィルム層、又はポリイミド樹脂が硬化されて形成されたフィルム層のうちのいずれか1つを使用する。第2のキャリア層31と第2の絶縁層34との間の連結信頼性を向上させ、第2の絶縁層34と第2のキャリア層31との間に剥がれ落ちが発生することを防止するために、本開示の実施例において、第2のキャリア層31の表面に第2の絶縁層34に入り込む第4の凸状構造35が設けられる。
図8に示すように、第4の凸状構造35は、複数の凸部を含み、凸部は、第2のキャリア層31の表面から第2の絶縁層34の方向に向かって突設され、もちろん、当業者であれば理解できるように、凸部は、第2の絶縁層34から第2のキャリア層31の表面の方向に向かって突設されてもよい。第4の凸状構造35の形状、数、及びサイズは、本開示において特に限定されず、第2の絶縁層34と第2のキャリア層31との間の連結信頼性を向上させることを満たす凸部であれば、本開示に適用することができる。例示的には、第4の凸状構造35の形状は、尖角状、逆円錐状、粒子状、樹枝状、柱状、ブロック状のうちの1つ又は複数であってもよい。また、第4の凸状構造35の高さh4≦第2の絶縁層34の厚さd6であり、第2の絶縁層34が有効性を失わないように、前記設計により、第4の凸状構造35が第2の絶縁層34内に入り込むが、第2の絶縁層34を貫通しないことを保証する。なお、第4の凸状構造35が複数の異なる高さの凸部を含む場合、この時の第4の凸状構造の高さh4とは、全ての凸部のうちの最も高い高さである。一実施形態において、第2の絶縁層34の厚さd4は、1μm~25μmであり、第4の凸状構造35の高さh2は、0.1μm~15μmである。
【0035】
より多くの使用場面に適用するために、本開示の前記電磁散乱フィルム3は、可撓性を有し、折り畳み可能で、湾曲可能な構造である。一実施形態において、第2のキャリア層31を金属回路基板、FPC回路基板のような可撓性の構造にし、第2のキャリア層31の一方の表面に設けられた連結用の接着フィルム層が折り畳み可能性を有し、第2のキャリア層31の他方の表面に設けられた保護用の第2の絶縁層34も湾曲可能性を有することで、本開示の電磁散乱フィルム3は、折り畳み可能で湾曲可能な性能を有する。実際に使用する場合、必要に応じて、散乱フィルムを、円弧状構造、楕円形構造、積層構造のような環状構造又は半密閉構造などの任意の形状に湾曲するか又は折り畳むことができる。
【0036】
前記のように、本開示の実施例に係る電子装置によれば、散乱フィルムがアンテナ装置に連結され、アンテナ装置により受信及び伝送されたマイクロ波信号は、散乱フィルムの第1の凸状構造により外部に反射されることで、マイクロ波信号の受信及び/又は送信の空間範囲を増加させることができ、また、アンテナ装置の他面には、さらに電磁散乱フィルムが設けられ、電磁散乱フィルムの貫通孔を介して、アンテナ装置により伝送されたマイクロ波及び前記散乱フィルムにより反射されたマイクロ波を回折させ、マイクロ波信号の受信及び/又は送信の空間範囲をさらに増加させ、電子装置の信号不感帯の問題を回避し、ユーザーの使用体験を向上させることができる。
【0037】
なお、上記は、本開示の一部の実施例及び用いられる技術的原理だけである。
【符号の説明】
【0038】
1-散乱フィルム、11-第1のキャリア層、111-信号線路、12-第1の連結層、13-第1の凸状構造、131-凸部、14、第1の絶縁層、15-第2の凸状構造、2-アンテナ装置、21-アンテナ線路、22-基板、3-電磁散乱フィルム、31-第2のキャリア層、311-貫通孔、32-第2の連結層、33-第3の凸状構造、34-第2の絶縁層、35-第4の凸状構造。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
図7は、本開示の別の実施例に係る散乱フィルムの構造概略図である。
図7を参照すると、本実施例において、第1のキャリア層11のうち、第1の凸状構造13が設けられた表面に反対する他方の表面には、第1の絶縁層14が設けられる。第1の絶縁層14は、絶縁及び保護作用を有し、散乱フィルム1の使用中に第1のキャリア層11が外部の他の電子部品と接触して短絡するという問題を防止し、第1のキャリア層11を使用中に起きる破損から保護することもできる。一実施形態において、第1の絶縁層14は、PPSフィルム層、PENフィルム層、ポリエステルフィルム層、ポリイミドフィルム層、エポキシ樹脂インクが硬化されて形成されたフィルム層、ポリウレタンインクが硬化されて形成されたフィルム層、変性アクリル樹脂が硬化されて形成されたフィルム層、又はポリイミド樹脂が硬化されて形成されたフィルム層のうちのいずれか1つを利用する。本開示の実施例は、第1のキャリア層11と第1の絶縁層14との間の連結信頼性を向上させ、第1の絶縁層14と第1のキャリア層11との間に剥がれ落ちが発生することを防止するために、第1のキャリア層11の表面に第1の絶縁層14に入り込む第2の凸状構造15が設けられる。
図7に示すように、第2の凸状構造15は、複数の凸部を含み、凸部は、第1のキャリア層11の表面から第1の絶縁層14の方向に向かって突設され、もちろん、当業者であれば理解できるように、凸部は、第1の絶縁層14から第1のキャリア層11の表面の方向に向かって突設されてもよい。第2の凸状構造15の形状、数、及びサイズは、本開示において特に限定されず、第1の絶縁層14と第1のキャリア層11との間の連結信頼性を向上させることを満たす凸部であれば、本開示に適用することができる。例示的には、第2の凸状構造15の形状は、尖角状、逆円錐状、粒子状、樹枝状、柱状、ブロック状のうちの1つ又は複数であってもよい。
図7の例示では、第2の凸状構造15は、三角形である。また、第2の凸状構造15の高さh2≦第1の絶縁層14の厚さd3であり、第1の絶縁層14が有効性を失わないように、前記設計により、第2の凸状構造15が第1の絶縁層14内に入り込むが、第1の絶縁層14から突出しないことを保証する。なお、第2の凸状構造15が複数の異なる高さの凸部を含む場合、この時の第2の凸状構造の高さh2とは、全ての凸部のうちの最も高い高さである。一実施形態において、第1の絶縁層14の厚さd3は、1μm~25μmであり、第2の凸状構造
15の高さh2は、0.1μm~15μmである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
第2のキャリア層31の第2の連結層32が設けられた表面に反対する他方の表面には、第2の絶縁層34が設けられる。第2の絶縁層34は、絶縁及び保護作用を有し、電磁散乱フィルム3の使用中に第2のキャリア層31が他の外部の電子部品と接触して短絡するという問題を防止し、第2のキャリア層31を使用中に起きる破損から保護することもできる。一実施形態において、第2の絶縁層34は、PPSフィルム層、PENフィルム層、ポリエステルフィルム層、ポリイミドフィルム層、エポキシ樹脂インクが硬化されて形成されたフィルム層、ポリウレタンインクが硬化されて形成されたフィルム層、変性アクリル樹脂が硬化されて形成されたフィルム層、又はポリイミド樹脂が硬化されて形成されたフィルム層のうちのいずれか1つを使用する。第2のキャリア層31と第2の絶縁層34との間の連結信頼性を向上させ、第2の絶縁層34と第2のキャリア層31との間に剥がれ落ちが発生することを防止するために、本開示の実施例において、第2のキャリア層31の表面に第2の絶縁層34に入り込む第4の凸状構造35が設けられる。
図8に示すように、第4の凸状構造35は、複数の凸部を含み、凸部は、第2のキャリア層31の表面から第2の絶縁層34の方向に向かって突設され、もちろん、当業者であれば理解できるように、凸部は、第2の絶縁層34から第2のキャリア層31の表面の方向に向かって突設されてもよい。第4の凸状構造35の形状、数、及びサイズは、本開示において特に限定されず、第2の絶縁層34と第2のキャリア層31との間の連結信頼性を向上させることを満たす凸部であれば、本開示に適用することができる。例示的には、第4の凸状構造35の形状は、尖角状、逆円錐状、粒子状、樹枝状、柱状、ブロック状のうちの1つ又は複数であってもよい。また、第4の凸状構造35の高さh4≦第2の絶縁層34の厚さd6であり、第2の絶縁層34が有効性を失わないように、前記設計により、第4の凸状構造35が第2の絶縁層34内に入り込むが、第2の絶縁層34を貫通しないことを保証する。なお、第4の凸状構造35が複数の異なる高さの凸部を含む場合、この時の第4の凸状構造の高さh4とは、全ての凸部のうちの最も高い高さである。一実施形態において、第2の絶縁層34の厚さd4は、1μm~25μmであり、第4の凸状構造35の高さ
h4は、0.1μm~15μmである。
【国際調査報告】