(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】一台の超音波センサを基にした仰角を推定するための方法
(51)【国際特許分類】
G01S 15/42 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G01S15/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507451
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2020074176
(87)【国際公開番号】W WO2021047927
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】スレイマン・ワッシム
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・ロビン
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB13
5J083AC28
5J083AD01
5J083AD16
5J083AD17
5J083AE10
5J083AF05
5J083AF09
5J083BA03
5J083BA16
5J083BB12
5J083BE18
5J083CA01
(57)【要約】
本発明は、以下のステップを包含している一台の超音波センサ(2)によって受信された信号の仰角(α)及び/或いは方位角を割出すための方法に関する:
- 周波数依存の放射パターン(2.1)を有する一台の超音波センサ(2)を準備するステップ(S10);
- 少なくとも第一超音波の送信を、第一周波数において開始するステップ(S11);
- 少なくとも第二超音波の送信を、第一周波数とは異なる第二周波数において開始するステップ(S12);
- 第一及び第二超音波の反射に関する情報を受け取るステップ(S13)、但し、これらの反射は特定のオブジェクトによって引き起こされた;
- 第一及び第二の反射した超音波の仰角(α)を、第一及び第二超音波の反射の振幅を基にして割出すステップ(S14);
但し、仰角(α)及び/或いは方位角の割出しは、第一及び第二超音波の受信された反射の振幅間の比を算出し、該算出された比を、仰角及び/或いは方位角にマッピングする、尚、該マッピングは、特定の振幅比を仰角(α)及び/或いは方位角に関連付ける所定の比率曲線または比率データセットを基に実施される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを包含していることを特徴とする一台の超音波センサ(2)によって受信された信号の仰角(α)及び/或いは方位角を割出すための方法:
- 周波数依存の放射パターン(2.1)を有する一台の超音波センサ(2)を準備するステップ(S10);
- 少なくとも第一超音波の送信を、第一周波数において開始するステップ(S11);
- 少なくとも第二超音波の送信を、第一周波数とは異なる第二周波数において開始するステップ(S12);
- 第一及び第二超音波の反射に関する情報を受け取るステップ(S13)、但し、これらの反射は特定のオブジェクトによって引き起こされた;
- 第一及び第二の反射した超音波の仰角(α)及び/或いは方位角を、第一及び第二超音波の反射の振幅を基にして割出すステップ(S14);
但し、仰角(α)及び/或いは方位角の割出しは、第一及び第二超音波の受信された反射の振幅間の比を算出し、該算出された比を、仰角及び/或いは方位角にマッピングする、尚、該マッピングは、特定の振幅比を仰角(α)及び/或いは方位角に関連付ける所定の比率曲線または比率データセットを基に実施される。
【請求項2】
超音波センサの放射パターン(2.1)が、周波数の増加とともに狭くなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
仰角(α)を割出すステップに、垂直方向の放射パターン(2.1)の曖昧性の除去も包含されることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
垂直方向の放射パターンの曖昧性が、垂直方向に非対称の放射パターンを提供する少なくとも一台の超音波センサ(2)を使用することによって除去されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
垂直方向の放射パターン(2.1)の曖昧性が、少なくとも更なる一台の超音波センサ(2)が受信した反射を用いて除去されることを特徴とする請求項3或いは4に記載の方法。
【請求項6】
垂直方向の放射パターン(2.1)の曖昧性が、検出されたオブジェクトは、下半空間(LHS)に配置されていると仮定して削除されることを特徴とする請求項3から5のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
垂直方向の放射パターン(2.1)の曖昧性が、超音波以外の技術を用いている少なくとも1つの更なるセンサを使用することによって除去されることを特徴とする請求項3から6のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
オブジェクトの方位角が、少なくとも一台の他の位置に配置されている更なる超音波センサ(2)に基づいて割出されることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
第一及び第二超音波の送信が、周波数変調された送信パルスを超音波センサ(2)に与えることによって実施されることを特徴とする先行請求項のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
上述の周波数変調された送信パルスが、時間とともに線形或いは非線形に変化する周波数を包含していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上述の周波数変調された送信パルスが、時間とともに段階的に変化する周波数を包含していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
異なる中央周波数を有する複数の送信パルスが超音波センサ(2)に提供される請求項1から8のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
周波数に依存する放射パターンを有する少なくとも一台の超音波センサ(2)と、該超音波センサへの超音波信号の提供を制御するための制御エンティティとを包含し、該制御エンティティが、以下を実施できる様に構成されていることを特徴とする運転支援システム:
- 少なくとも第一超音波の送信が、第一周波数において開始される;
- 少なくとも第二超音波の送信が、第一周波数とは異なる第二周波数において開始される;
- 第一及び第二超音波の反射に関する情報を受け取る、尚、これらの反射は特定のオブジェクトによって引き起こされる;
- 第一及び第二の反射した超音波の仰角(α)及び/或いは方位角を、第一及び第二超音波の反射の振幅を基にして割出す;
- 仰角(α)及び/或いは方位角の割出しは、第一及び第二超音波の受信された反射の振幅間の比を算出し、該算出された比を、仰角及び/或いは方位角にマッピングする、尚、該マッピングは、特定の振幅比を仰角(α)及び/或いは方位角に関連付ける所定の比率曲線または比率データセットを基に実施される。
【請求項14】
運転支援システムが、請求項1から12のうち何れか一項に記載の方法を実行できる様に構成されていることを特徴とする運転支援システムを装備した車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して超音波センサの分野に関する。詳しくは、本発明は、一台の超音波センサによって受信された信号の仰角及び/或いは方位角を割出すための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一次元(1D)超音波センサを用いた高さ或いは仰角の割出しは、物理的な制限のため、本質的に、非常に困難である。この様な超音波センサは、頻繁に距離測定に用いられる。仰角は、接近速度法(rate-of-closing method)などの幾何学的アプローチを基にして割出されることが多い。上述の方法は、例えば、縁石などのオブジェクトへの接近速度をトラッキングし、センサよりも下にある反射オブジェクトを介した場合と、センサの高さにある反射オブジェクトを介した場合において超音波が移動した距離の差を比較することを応用している。
【0003】
他の検知方法には、オブジェクトの高さを2D画像から推定するカメラ支援アプローチ(camera-assisted approach)や複数のセンサを用い三角測量に基づいて仰角を推定する到着方向法(direction-of-arrival-method)なども含まれている。
【0004】
しかしながら、上述の方法は、幾ばくかの欠点を有している。一次元接近速度法(rate-of-closing method)は、反射の経時的な同一オブジェクトへの正しい帰属に依存している。帰属を誤ると言うことは、誤った高さが推定されるだけでなく、検出すらもミスすると言うことを意味している。カメラと複数のアンテナに基づく方法は、1D超音波センサの低コスト性や機械的堅牢性と言った長所を活かせない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって本発明の課題は、一台の超音波センサ、特に1D超音波センサが受信したシグナルの仰角を割出すための堅牢且つコストパフォーマンスの高い方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の特徴によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項に示されている。特に明記しない限り、本発明の実施形態は、互いに自由に組み合わせることができる。
【0007】
1つのアスペクトによれば、本発明は、一台の超音波センサによって受信された信号の仰角及び/或いは方位角を割出すための方法に関する。超音波センサとしては、特に一次元(1D)の超音波センサ、即ち、仰角を割出す物理的なセンシング手段(例えば、高さを割出すための異なる配置の2つのセンサ部分)を有していないセンサを用いることができる。この方法は、以下のステップを包含している:
【0008】
先ず周波数に依存する放射パターンを有する一台の超音波センサ、特に好ましくは、一台の1D超音波センサが準備される。「周波数に依存する放射パターン」とは、方位角と仰角によって定義される特定の方向におけるセンサのゲインまたは感度が、周波数依存性を示す、つまり、超音波周波数を変化させると変化することを意味している。
【0009】
続くステップにおいて、少なくとも第一超音波が、第一周波数で送信される。該第一周波数は、送信パルスの固定周波数であり得る。代案的に、該第一周波数は、チャープ信号の周波数値、即ち、ランプに沿って或いは段階的に周波数が変化する信号であり得る。
【0010】
続くステップにおいて、第二超音波が、第二周波数で送信される。該第二周波数は、送信パルスの固定周波数であり得る。代案的に、該第二周波数は、チャープ信号の周波数値、即ち、ランプに沿って或いは段階的に周波数が変化する信号であり得る。第二周波数の周波数値は、第一周波数とは異なっている。
【0011】
第一及び第二超音波の照射後、第一及び第二超音波の反射は、該超音波センサによって受信される。これらの反射は、特定のオブジェクト、特に好ましくは、同一の超音波センサの周囲の縁石、車、壁などと言ったオブジェクトに起因する。
【0012】
最後に、第一及び第二の反射した超音波の仰角及び/或いは方位角は、第一及び第二超音波の反射の振幅を基にして割出される。該割出ステップは、放射パターンの周波数依存性に関する情報を用いて、仰角及び/或いは方位角を割出す、或いは、推定することができる。
【0013】
仰角及び/或いは方位角の割出しは、第一及び第二超音波の受信された反射の振幅間の比を算出し、該算出された比を、仰角及び/或いは方位角にマッピングすることによって実施されるが、ここで、該マッピングは、特定の振幅比を仰角及び/或いは方位角に関連付ける所定の比率曲線または比率データセットを基に実施される。該比率曲線または比率データセットは、超音波センサの放射パターンの周波数依存性を示すセンサ固有の情報であり得る。
【0014】
超音波センサの周波数依存性を用いることにより高さ情報及び/或いは方位情報を割出すことができ、これにより、超音波センサのコスト及び機械的堅牢性に関する利点を維持できるため上述の方法は有利である。更には、振幅比に基づいて、超音波の実際の振幅の高さに関係なく、仰角及び/或いは方位角を決定することも可能である。
【0015】
ある実施形態によれば、超音波センサの放射パターンは、周波数の増加とともに狭くなる。言い換えれば、その角度においてセンサ感度が特定の感度値まで低下する放射パターンの開口角は、周波数が高ければ高いほど小さくなる。また、逆の構成、即ち、超音波センサの放射パターンを、周波数が低くなればなるほど広がる様にすることもできる。少なくとも2つの特定の周波数ギャップを有する超音波周波数を用いることにより、仰角及び/或いは方位角を示す振幅差を生じさせることができる。
【0016】
ある実施形態によれば、仰角を割出すステップには、垂直方向の放射パターンの曖昧性の除去も包含される。超音波センサの放射特性は、水平な又は実質的に水平な面に対して対称であり得る。そしてこの対称性は、曖昧性を生じさせ得る、即ち、該特定の検出は、単一の仰角ではなく、少なくとも一対の仰角に関連付けられてしまう。曖昧性の除去により、検出と仰角の明確な関連付けが可能になる。
【0017】
ある実施形態によれば、垂直方向の放射パターンの曖昧性は、垂直方向に非対称の放射パターンを提供する少なくとも一台の超音波センサを使用することによって除去される。該非対称性は、周波数依存の非対称性であり得る。そのため、周波数の異なる二つ以上の超音波を使用することにより、明確な高さ情報を導くことを可能にできる。
【0018】
ある実施形態によれば、垂直方向の放射パターンの曖昧性は、少なくとも更なる一台の超音波センサが受信した反射を用いて除去される。この様な更なる超音波センサは、異なるアライメントを包含している、或いは、垂直方向の非対称放射パターンを包含していることができる。
【0019】
ある実施形態によれば、垂直方向の放射パターンの曖昧性は、検出されたオブジェクトは、下半空間に配置されていると仮定して削除される。この仮定は-通常の運転状況では-オブジェクトか下向きに高くぶら下がっているよりも、地面に低く置かれている可能性の方がはるかに確からしいと言う事実に基づいている。
【0020】
ある実施形態によれば、垂直方向の放射パターンの曖昧性は、超音波以外の技術を用いている少なくとも1つの更なるセンサを使用することによって除去される。このようなセンサとしては、例えば、更なる運転支援用途のために車両に既設されているカメラ、レーダセンサ、及び/或いは、LIDARセンサであり得る。この様な更なるセンサを基にして、曖昧性は、上記の更なるセンサから提供される情報を評価することによって解決される。
【0021】
ある実施形態によれば、オブジェクトの方位角は、少なくとも一台の他の位置に配置されている更なる超音波センサに基づいて割出される。通常、多数の超音波センサが、車両の周り、例えば、バンパの異なる場所に配置されている。一台乃至複数台の隣接する超音波センサによってもたらされる情報は、方位情報を割出すために用いることができる。
【0022】
ある実施形態によれば、第一及び第二超音波の送信は、周波数変調された送信パルスを超音波センサに与えることによって実施される。これにより、送信パルスは、仰角を決定することができる少なくとも2つの異なる周波数を含む。
【0023】
一実施形態によれば、上述の周波数変調された送信パルスは、時間とともに線形或いは非線形(例えば、指数関数的)に変化する周波数を包含している。尚該送信パルスの周波数は、例えば、開始周波数から停止周波数までチャープされることができる。こうすることにより、複数の周波数を含む超音波信号を送信し、該信号の反射を評価して仰角を決定することができる。
【0024】
一実施形態によれば、上述の周波数変調された送信パルスは、時間とともに段階的に変化する周波数を包含している。言い換えれば、段階的に周波数変調された超音波信号が、送信される。この様な段階的な周波数変調をされた超音波シグナルは、仰角を決定するために使用することができる複数の別個の周波数を包含している。
【0025】
代案的には、異なる中央周波数を有する複数の送信パルスが超音波センサに提供される。該送信パルスは、これらのパルス間の反射信号を評価することができるように異なる時点に送信されることができる。
【0026】
ある更なるアスペクトによれば、本発明は、周波数に依存する放射パターンを有する少なくとも一台の超音波センサと、該超音波センサへの超音波信号の提供を制御するための制御エンティティとを包含する運転支援システムに関する。該制御エンティティは、以下を実施できる様に構成されている:
- 少なくとも第一超音波の送信が、第一周波数において開始される;
- 少なくとも第二超音波の送信が、第一周波数とは異なる第二周波数において開始される;
- 第一及び第二超音波の反射に関する情報を受け取る、尚、これらの反射は特定のオブジェクトによって引き起こされる;
- 第一及び第二の反射した超音波の仰角及び/或いは方位角を、第一及び第二超音波の反射の振幅を基にして割出す;
- 仰角及び/或いは方位角の割出しは、第一及び第二超音波の受信された反射の振幅間の比を算出し、該算出された比を、仰角及び/或いは方位角にマッピングする、尚、該マッピングは、特定の振幅比を仰角及び/或いは方位角に関連付ける所定の比率曲線または比率データセットを基に実施される。
【0027】
更なる他のアスペクトによれば、本発明は、運転支援システムを備えた車両に関する。該運転システムは、上述の実施形態のいずれかに係る方法を実施する様に構成されている。
【0028】
本開示において使用される「車両(原文:vehicle)」という用語は、自動車、トラック、バス、列車、或いは、その他の動力車両を意味していることができる。
【0029】
また、「超音波センサ(原文:ultrasound sensor)」と言う用語は、20kHzを超える周波数の音波を送受信するように構成されたセンサを意味していることができる。
【0030】
本発明で使用される「実質的(原文:essentially)」或いは「略(原文:approximately)」という用語は、正確な値から+/-10%、好ましくは+/-5%の差、及び/或いは、その変化が、機能及び/或いは交通法規に対して重要でない程度の差であることを意味している。
【0031】
特定の特徴及び利点を含む本発明の様々なアスペクトは、以下の詳細な説明及び添付図面から容易に理解され得る:
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、車両が駐車スペースに駐車している駐車状況の概略的描写を示し;
【
図2】
図2は、
図1の駐車状況におけるバンパに備えられている一台の超音波センサの放射パターンを概略的に示し;
【
図3】
図3は、2つの異なる超音波周波数の仰角に依存する一台の超音波センサの利得を表し;
【
図4】
図4は、
図3に係る仰角に依存する一台の超音波センサのゲインの比率を表し;
【
図5】
図5は、2つの異なる超音波周波数の方位角及び仰角に依存する一台の超音波センサの2D放射パターンを表し;
【
図6】
図6は、線形に周波数変調された第一超音波信号及び段階的に周波数変調された第二超音波信号を表し;そして、
【
図7】
図7は、一台の超音波センサによって受信された信号の仰角を割出すための方法のステップを表している概略ブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明は、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照することにより、更に完全に説明される。図中の実施形態は、好ましい実施形態に関連し得るが、該実施形態に関連して説明される全ての要素及び特徴は、適切である限り、本明細書で説明される他の実施形態及び特徴と組み合わせて、特に、先に詳しく説明した実施形態と関連して使用され得る。いずれにせよ、本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。該当する限り、以下の説明全体を通して、同様な参照番号を使用して、同様の要素、部品、アイテム、又は、機能を示す。
【0034】
本明細書に開示された本発明の特徴、特許請求の範囲、実施例、及び/或いは、図は、個別に、乃至、これらの任意の組み合わせの両方において、本発明を様々な形態で実施するためのマテリアルでもあり得る。
【0035】
図1は、車両1が、縁石3に隣接する駐車スペースに駐車している駐車状況を、概略的上面図として示している。車両1は、車両1の異なる位置に配置された複数の超音波センサ2を有する運転支援システムを装備している。縁石3は、特定の高さを占有することができ、該運転支援システムによって、具体的には、運転支援システムの一台乃至複数台の超音波センサ2によって検出されることができる。
【0036】
図2は、駐車状況の側面図を示している。左側には、一台乃至複数台の超音波センサ2を備えた車両1のバンパ1.1が描写されている。これらの超音波センサ2は、下半空間LHSをカバーする下半放射パターン部分と、上半空間UHSをカバーする上半放射パターン部分とを包含する放射パターン2.1を有することができる。破線は、放射パターン2.1を上述の下半放射パターン部分と上述の上半放射パターン部分に分割する水平面を示している。縁石3は、上述の下半空間LHSに配置されているいることができる。
【0037】
図3は、垂直方向の超音波センサ2の放射パターン2.1を示している、即ち、角度の値は、様々な周波数値における仰角を示している。実線は、第一周波数での放射パターン2.1を、破線は第二周波数での放射パターン2.1を示しており、該第一及び第二周波数は、異なっており、且つ、該第一周波数は、第二周波数よりも高い。示されている如く、超音波センサ2の放射パターン2.1は、周波数の増加とともに狭くなる。
【0038】
それ故、超音波センサ2に少なくとも2つの異なる周波数において超音波を提供し、異なる周波数を有する反射波の振幅を評価することにより、上述の反射の原因となったオブジェクト(本例では縁石3)に対する仰角αを割出すことができる。より具体的には、反射波の振幅を比較することにより仰角αを割出すことができる。即ち、放射パターンの周波数依存性に基づいて導かれる放射パターンの異なる形状、及び、該放射パターンの仰角依存性から、オブジェクトの仰角αを割出すことが可能である。
【0039】
反射波の振幅を比較するステップは、反射波の振幅の比を計算し、この比を仰角値にマッピングすることを包含しているが、該マッピングは、特定の振幅比を仰角及び/或いは方位角に関連付ける所定の比率曲線或いは比率データセットに基づいて実施される。
【0040】
図4は、異なる周波数を有し、異なる仰角から受信される反射波の振幅の商を示すグラフを表している。上述のグラフによれば、第一周波数を有する第一反射波と第二周波数を有する第二反射波との比の値を仰角に関連付けることができる。
【0041】
図3~5に示されているように、放射パターン2.1は、中心仰角に関して対称又は実質的に対称的であり得る。この例において、中心仰角は、例えば、0°又は実質的に0°であり得る、即ち、該放射パターン2.1は、水平面に対して対称であり得る。他の実施形態によれば、車両に搭載された超音波センサは、僅かに上向きに傾斜させることができる。よって、中心仰角は、例えば、1°から10°の範囲、特に好ましくは、1°から4°の範囲にあり得る。放射パターン2.1の上述の対称性は、仰角を決定する際に曖昧性をもたらす可能性がある、即ち、反射波の特定の振幅比は、少なくとも二方向の仰角に関連付けられることができる。第一の正の仰角は、上半空間UHSを向いており、第二の負の仰角は、下半空間LHSを向いていることができる。
【0042】
上述の仰角の曖昧性は、様々な方法によって解決できる:
【0043】
第一実施形態によれば、更なるセンサ、特に好ましくは、他のセンサの水平対称面に対して非対称である放射パターンを有する超音波センサを用いることができる。該更なるセンサから得られた測定された振幅を基に、曖昧性は、改善されることができる。
【0044】
他の実施形態によれば、ほとんどの場合、上述の仮定から正しい検出結果が得られるため、検出されたオブジェクトが常に下半空間LHSに配置されると仮定することによって、曖昧性は、改善されることができる。
【0045】
更なる他の実施形態によれば、該曖昧性は、更なる情報源、例えば、傾いた放射パターン有する(即ち、放射パターンのビーム最大値が、最初のセンサの水平面上に無い)別の超音波センサを使用することによって改善できる。更なる例としては、超音波とは異なる技術を使用するセンサ、例えば、カメラ、レーダセンサ、ライダセンサなどを挙げることができる。
【0046】
又、車両1の異なる位置にある上述の一台乃至複数の超音波センサによって得られた情報を使用して、曖昧性を取り除くこともできる。言い換えれば、車両の様々な位置において軌道に沿って収集された複数の情報を利用して、曖昧性が除去される。
【0047】
図5に示す如く、超音波センサの放射パターンは2D形状、即ち、方位角と仰角を考慮した特定のビーム形状を有することができる。要するに、検出結果の曖昧性は、水平方向、即ち、方位角でも発生する。方位角の曖昧性を解決するため、別の場所(例えば、バンパの別の位置)に配置された更なるセンサの情報を使用可能である。三辺測量は、方位角の曖昧性を修正するための好ましい手法であり得る。
【0048】
上述の如く、仰角を決定するには、超音波センサ2の放射パターンの周波数依存性を利用する、即ち、放射ビームの2D形状は超音波の周波数に依存している。少なくとも2つの異なる周波数を有する該超音波は、以下の如く生成できる:
【0049】
第一実施形態によれば、二つ乃至それ以上の異なる中央周波数を有する送信パルスを用いることができる。
【0050】
第二実施形態によれば、周波数変調された送信パルスを用いることができる。該周波数変調された送信パルスは、例えば、線形周波数変調信号(「チャープ・シグナル」とも呼ばれる)であることができる。
【0051】
第三実施形態によれば、周波数がステップ関数に従う場合は、シングル周波数変調された送信パルスを用いることができる。
【0052】
図6は、線形周波数変調信号とステップ周波数変調信号を示している。線形周波数変調信号の周波数は、時間と共に線形に変化するが、ステップ周波数変調信号の周波数は、時間と共に段階的に変化する。
【0053】
図7は、超音波センサ2によって受信された信号の仰角αを割出すための方法ステップを表しているブロック図を示している。
【0054】
最初に、周波数依存の放射パターンを有する一台の超音波センサ2が準備される(S10)。
【0055】
該超音波センサ2は、第一周波数において少なくとも第一超音波を送信し(S11)、第一周波数とは異なる第二周波数において第二超音波を送信する(S12)。
【0056】
該超音波の送信後、第一及び第二超音波の反射が受信されるが、該反射は特定の物体によって引き起こされたものである(S13)。
【0057】
該反射の受信後、第一及び第二超音波の反射の振幅に基づいて、第一及び第二反射超音波の仰角αが割出される(S14)が、該仰角αの割出しは、第一及び第二超音波の受信された反射の振幅の間の比を算出し、該算出された比率を仰角αにマッピングすることによって実施されるが、該マッピングは、予め割出されている特定の振幅と仰角を関連付けた比率曲線又は比率データセットに基づいて実施される。
【0058】
留意すべきは、上述の説明及び図面は、単に、提案されている発明の原理を例示しているということである。当業者であれば、本明細書には明示的に説明或いは示されていなくとも、本発明の原理を具現化できる様々な構成を実施できるであろう。
【符号の説明】
【0059】
1 車両
1.1 バンパ
2 超音波センサ
2.1 放射パターン
3 縁石
LHS 下半空間
UHS 上半空間
【国際調査報告】