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特表2022-543455流動性材料の変位を使用したアンダーキャリッジシステムのアイドラー高さ調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】流動性材料の変位を使用したアンダーキャリッジシステムのアイドラー高さ調整
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/15 20060101AFI20221004BHJP
   E02F 9/02 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B62D55/15
E02F9/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507580
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020042513
(87)【国際公開番号】W WO2021030006
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】16/537,118
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイクス、デイヴィッド ジェイ.
(57)【要約】

トラック式機械(10)のためのアンダーキャリッジシステム(18)は、互いに反対側でフレーム(12)に支持されたピストンアセンブリ(34、38)を有し、アイドラー支持要素(44)またはブロックの上側および下側(75、77)に接触するアイドラー高さ調整システム(32)を含む。導管(46)は、ピストンアセンブリ(34、38)を接続し、その中に、グリース等の流動可能な材料がピストンアセンブリ(34、38)間で導管(46)を通して交換される開位置、およびピストンアセンブリ(34、38)間の流体接続がブロックされ、アイドラー高さが固定される閉位置に調整可能な流体交換弁(48)を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック式機械(10)のアンダーキャリッジシステム(18)におけるアイドラー(30)のためのアイドラー高さ調整システム(32)であって、
前進位置と後退位置との間で移動可能な第1のピストン(36)を含む第1のピストンアセンブリ(34)と、
前進位置と後退位置との間で移動可能な第2のピストン(40)を含む第2のピストンアセンブリ(38)と、
前記アンダーキャリッジシステム(18)におけるアイドラー支持要素(44)の上方および下方にそれぞれ配置するために、前記第1のピストンアセンブリ(34)および前記第2のピストンアセンブリ(38)を互いに反対方向に支持するフレーム(12)と、
前記第1のピストンアセンブリ(34)を前記第2のピストンアセンブリ(38)に接続する導管(46)と、
前記流体導管(46)内の流体交換弁(48)であって、前記第1のピストンアセンブリ(34)と前記第2のピストンアセンブリ(38)との間で前記導管(46)を通る流動可能な材料を交換するために、閉位置から開放位置まで調整可能である流体交換弁(48)と、を備える、システム(32)。
【請求項2】
前記フレーム(12)が、
前記第1のピストンアセンブリ(34)と接触する上部アーム(56)、前記第2のピストンアセンブリ(38)と接触する下部アーム(58)、および前記上部アーム(56)を前記下部アーム(58)に接続するU曲げ部(60)を含み、
前記流体交換弁(48)が、外部ハンドル(72)を有する機械的に作動された弁を含み、
前記導管(46)が閉じた導管であり、
前記流動可能な材料が、前記導管(46)を充填するグリースを含み、前記システム(32)が、流動的に前記第1のピストン(36)と前記第2のピストン(40)との間にある場所にグリースポート(86)と、前記グリースポート(86)をブロックする閉鎖部(88)とをさらに含み、
前記システム(32)は、前記第1のピストン(36)に当接し、かつ前記アイドラー支持要素(44)の上側(75)に接触するように構造化されている第1のブロック接触プレート(74)と、前記第2のピストン(40)に接触し、かつ前記アイドラー支持要素(40)の下側(77)に接触するように構造化されている第2のブロック接触プレート(76)と、をさらに備える、請求項1に記載のシステム(32)。
【請求項3】
前記フレーム(12)が、前記フレーム(12)を前記アンダーキャリッジシステム(18)におけるトラックローラフレーム(22)にボルトで固定するために、前記フレーム(12)内に形成された複数のボルト穴(62)を有し、
前記上部アーム(56)が、第1のレセプタクル(64)を形成し、前記下部アーム(58)が、第2のレセプタクル(66)を形成し、前記第1のレセプタクル(64)および前記第2のレセプタクル(66)が、それぞれ、前記第1のピストンアセンブリ(34)および前記第2のピストンアセンブリ(38)を受ける、請求項2に記載のシステム(32)。
【請求項4】
前記第1のブロック接触プレート(74)および前記第2のブロック接触プレート(76)が、各々、前記第1のピストン(36)および前記第2のピストン(40)の対応するものと接触する固定パターンの水平方向の面(78,80)と、前記フレーム(12)と接触するスライドパターンを有する垂直方向のガイド面(82,84)と、を含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
トラック式機械(10)のためのアンダーキャリッジシステム(18)であって、
アイドラーヨーク(50)と、
前記アイドラーヨーク(50)に結合されたアイドラー支持要素(44)と、
それぞれ、前記アイドラー支持要素(44)に対して上部位置および下部位置で、かつ互いに対向して支持された第1のピストンアセンブリ(34)および第2のピストンアセンブリ(38)と、
前記第1のピストンアセンブリ(34)を前記第2のピストンアセンブリ(38)に接続する導管(46)と、
前記導管(46)内の流体交換弁(48)であって、前記第1のピストンアセンブリ(34)および前記第2のピストンアセンブリ(38)を流体接続するために、閉位置から開位置まで調整可能である流体交換弁(48)と、を備える、アンダーキャリッジシステム(18)。
【請求項6】
前記導管(46)が閉じた導管であり、前記導管を充填するグリースをさらに含み、
前記アンダーキャリッジシステム(18)は、
トラックローラフレーム(22)と、前記トラックローラフレーム(22)に取り付けられ、前記上部位置および前記下部位置で前記第1のピストンアセンブリ(34)および前記第2のピストンアセンブリ(38)を支持する支持フレーム(42)と、を備える、請求項5に記載のアンダーキャリッジシステム(18)。
【請求項7】
前記アイドラー支持要素(44)が、前記第1のピストンアセンブリ(34)と前記第2のピストンアセンブリ(38)との間にトラップされたアイドラー支持ブロックを含み、
前記支持フレーム(42)が、前記第1のピストンアセンブリ(34)を支持する上部アーム(56)と、前記第2のピストンアセンブリ(38)を支持する下部アーム(58)と、を含み、
前記上部アーム(56)が、第1のレセプタクル(64)を形成し、前記下部アーム(58)は、第2のレセプタクル(66)を形成し、前記第1のレセプタクル(64)および前記第2のレセプタクル(66)は、それぞれ、前記第1のピストンアセンブリ(34)および前記第2のピストンアセンブリ(38)を受け、
前記導管(46)が、前記上部アーム(56)および前記下部アーム(58)の各々を通って延在する、請求項6に記載のアンダーキャリッジシステム(18)。
【請求項8】
トラック式機械(10)のアンダーキャリッジシステム(18)におけるアイドラー(30)の高さを調整する方法であって、
前記アンダーキャリッジシステム(18)におけるアイドラー支持要素(44)の上側(75)で支持された第1のピストンアセンブリ(34)と、前記アイドラー支持要素(44)の下側(77)で支持された第2のピストンアセンブリ(38)との間に延在する導管(46)内の流体交換弁(48)を開くことと、
前記流体交換弁(48)が開いている間に、前記アンダーキャリッジシステム(18)におけるトラックローラフレーム(22)に対して前記アイドラー支持要素(44)を再配置することと、
前記アイドラー支持要素(44)の再配置に基づいて、前記第1のピストンアセンブリ(34)および前記第2のピストンアセンブリ(38)におけるピストン(36、40)の位置を共変動させることと、
前記ピストン(36、40)の前記位置の共変動に基づいて、前記導管(46)を通って流動可能な材料を変位させることと、
前記流体交換弁(48)を閉じて、前記流動可能な材料の変位後に前記アイドラー(30)の高さを設定することと、をさらに含む、方法。
【請求項9】
前記アイドラー(30)の回転軸が前記支持ブロックの上方に垂直に位置するように、基板上に置かれた較正ブロック(110)上に、前記アンダーキャリッジシステム(18)におけるトラック(20)を配置することをさらに含み、
前記導管(46)が閉じた導管であり、前記流動可能な材料の変位が、グリースを変位させることを含み、
前記流体交換弁(48)を開くことおよび前記流体交換弁(48)の閉じることは、外部ハンドル(72)を使用して前記流体交換弁(48)を調整することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アイドラー支持要素(44)の再配置が、重力の下で、前記較正ブロック(110)に向かって、前記アンダーキャリッジシステム(18)における前記アイドラー支持ブロック(44)を下げること、またはトラックローラフレーム(22)を下げることを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、トラック式機械のアンダーキャリッジシステムにおけるアイドラー高さの調整に関し、より具体的には、導管が、流動可能な材料を交換することによってアイドラー高さをセットするように調整可能なピストンアセンブリを流体接続するアイドラー高さ調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック式機械は、建設、林業、埋め立て、鉱業、解体、および他のさまざまな環境など、世界中の多くの用途で使用されている。典型的な設計では、共に結合されたトラックリンクの無限ループは、機械の各側に配置され、複数の回転可能なトラック係合要素の周りに延在する。トラック式機械、特にトラックを含むアンダーキャリッジシステムは、極めて過酷な条件にさらされる可能性がある。側方荷重、構成要素への曲げ荷重、ねじれ荷重、衝撃、および他の様々な現象は、トラックのひずみ、摩耗、および性能低下につながる可能性がある。硬い岩石材料、砂、粘土、埋め立てゴミ、および他の様々な材料を含む作業現場の材料は、トラックにおける構成要素間に侵入する可能性がある。アンダーキャリッジシステムにおいて、互いに接触する構成要素の動きは、アンダーキャリッジ構成要素が作製される材料を摩耗させる傾向があり、その摩耗は、作業現場材料によって加速または悪化する可能性がある。結果として、機械トラックおよび関連する構成要素は、構成要素の基本設計において予想される摩耗パターンおよび摩耗率を利用して、特定の耐用年数を考慮して構築されることが多い。
【0003】
それにもかかわらず、典型的には、フィールド耐用年数にわたってアンダーキャリッジシステムを修理し、トラックを締め付けるか、またはそれ以外の方法で調整し、シールを点検および交換し、他の基本的なメンテナンスを行う必要がある。機械のダウンタイムを必要とする可能性のある1つの現象は、アンダーキャリッジシステム構成要素の摩耗に応答してアイドラーの高さの変化に対処することに関する。アイドラーは、駆動スプロケットによって駆動されるトラックを受動的に回転させ、誘導する、回転可能なトラック係合要素である。材料がアイドラー、トラック、および潜在的に他のコンポーネントから摩耗すると、アイドラーの他の構成要素に対する位置が変化する可能性がある。アイドラー高さが大きすぎると、アイドラーの周囲で前進しているトラックが所望の場所の後方の場所で下地基板に接触する可能があるが、アイドラー高さが低すぎると、トラックは所望の場所より前方の場所で基板に接触する可能性がある。いずれの場合も、機械の乗車品質および性能に悪影響を及ぼす可能性ある。
【0004】
アイドラーの高さを調整することを可能にするために、長年にわたって様々な技術が提案されてきた。シムパックなどが設けられ、機械に搭載されて搬送されることもあり、アンダーキャリッジ構成要素の摩耗により、アイドラーの高さが時間の経過とともに次第に低くなるため、個々のシムはアイドラーの上の位置からアイドラーの下の位置まで移動可能である。さらに他の技術は、アイドラーシャフトのためのオフセンターホールを有するアイドラー支持ブロックを伴う。アイドラーの高さが変わると、アイドラーシャフトを異なる高さで支持するように支持ブロックを再配置することができる。これらおよび他のアイドラー高さ調整方策は、労働集約的であり、トラックを破壊する必要があり、機械のダウンタイムを必要とする可能性がある。1つの既知のアイドラー高さ調整戦略は、Livesayらの米国特許第7,237,631号に記載されている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、トラック式機械のアンダーキャリッジシステムにおけるアイドラーのためのアイドラー高さ調整システムであって、前進位置と後退位置との間で移動可能な第1のピストンを有する第1のピストンアセンブリと、前進位置と後退位置との間で移動可能な第2のピストンを含む第2のピストンアセンブリと、アンダーキャリッジシステムにおけるアイドラー支持要素の上方および下方にそれぞれ配置するために、第1のピストンアセンブリおよび第2のピストンアセンブリを互いに反対方向に支持するフレームと、を含む。システムは、第1のピストンアセンブリを第2のピストンアセンブリに接続する導管と、導管内の流体交換バルブであって、第1のピストンアセンブリと第2のピストンアセンブリとの間で導管を通る流動可能な材料を交換するために、閉位置から開放位置まで調整可能である流体交換弁と、をさらに含む。
【0006】
別の態様では、トラック式機械のためのアンダーキャリッジシステムは、アイドラーヨークと、アイドラーヨークに結合されたアイドラー支持要素と、を含む。システムは、それぞれ、アイドラー支持要素に対して上部位置および下部位置で、かつ互いに対向して支持された第1のピストンアセンブリおよび第2のピストンアセンブリをさらに含む。システムはまた、第1のピストンアセンブリを第2のピストンアセンブリに接続する導管と、導管内の流体交換弁であって、第1のピストンアセンブリと第2のピストンアセンブリを流体的に接続するために、閉位置から開放位置まで調整可能である流体交換弁と、をさらに含む。
【0007】
さらに別の態様では、トラック式機械のアンダーキャリッジシステムにおけるアイドラーの高さを調整する方法は、アンダーキャリッジシステムにおけるアイドラー支持要素の上側で支持される第1のピストンアセンブリと、アイドラー支持要素の下側で支持される第2のピストンアセンブリとの間に延在する導管内の流体交換弁を開くことを含む。本方法は、流体交換弁が開いている間、アンダーキャリッジシステムにおけるトラックローラフレームに対してアイドラー支持要素を再配置することと、アイドラー支持要素の再配置に基づいて、第1のピストンアセンブリおよび第2のピストンアセンブリにおけるピストンの位置を共変位させることと、をさらに含む。本方法は、ピストンの位置の共変位に基づいて導管を通って流動可能な材料を変位させることと、流体交換弁を閉じて、流動可能な材料の変位後にアイドラーの高さを設定することとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、アンダーキャリッジシステムを有するトラック式機械の部分的に開いた図である。
図2】一実施形態による、アイドラー高さ調整システムの斜視図である。
図3】第1の高さに配置されたアイドラーを有するアンダーキャリッジシステムの部分断面側面図である。
図4】第2の高さに配置されたアイドラーを有する図3のアンダーキャリッジシステムの部分断面側面図である。
図5】本開示によるアイドラー高さ調整のために配置されているように見えるアンダーキャリッジシステムの図である。
【0009】
図1を参照すると、一実施形態によるトラック式機械が示され、その上に取り付けられたキャブ14を有する機械フレーム12を含む。実装システム16は、フレーム12によって支持され、アンダーキャリッジシステム18は、機械推進のために提供される。機械10は、トラック式トラクターの文脈で示されているが、しかしながら、他の実施形態では、機械10は、トラックローダ、掘削機、またはハーフトラックマシンさえも含み得る。アンダーキャリッジシステム18は、機械10の第1の側に配置されたトラック20を含み、典型的には、機械10の反対側に同一トラックを含む。トラック20は、トラックリンクに取り付けられたトラックシューズと一緒に結合されたトラックリンクの無限ループを含み、駆動スプロケット24、アイドラー30、キャリアローラ26、および機械10の重量の大部分を搬送するように構造化された複数のトラックローラ28を含む、複数の回転可能なトラック係合要素の周りに延在する。トラック20は、楕円形のトラック構成で示されるが、しかしながら、他の実施形態では、トラック20は、いわゆる高駆動構成でアンダーキャリッジシステム18と共に構成され得る。アンダーキャリッジシステム18は、アンダーキャリッジシステム18におけるアイドラー30のためのアイドラー高さ調整システム32をさらに含む。アイドラー高さ調整システム32(以下、「システム32」)は、第1のピストンアセンブリ34および第2のピストンアセンブリ38、ならびに第1のピストンアセンブリ34を第2のピストンアセンブリ38に接続する導管46を含む。以下の説明からさらに明らかになるように、システム32は、例えばアンダーキャリッジシステム18における構成要素の摩耗に応答して、トラック20を破壊する必要がない迅速かつ効率的な様式で、アイドラー高さ調整のために一意に構成されている。
【0010】
ここで図2および図3も参照すると、第1のピストンアセンブリ34は、前進位置と後退位置との間で移動可能な第1のピストン36を含み、第2のピストンアセンブリ38は、前進位置と後退位置との間で移動可能な第2のピストン40を含む。システム32はまた、第1のピストンアセンブリ34および第2のピストンアセンブリ36を、アイドラー支持要素44に対して、それぞれ上部位置および下部位置で支持するフレーム42を含む。システム32で構成されるように、第1のピストンアセンブリ34および第2のピストンアセンブリ38は、互いに対向して配置され、アンダーキャリッジシステム18におけるアイドラー支持要素44の上および下にある。アイドラー支持要素44は、アイドラー支持ブロックを含み得る。アイドラーヨーク50が提供され、アイドラー支持要素44は、概して従来の方法でアイドラーヨーク50に結合される。
【0011】
例示された実施形態において、フレーム42は、第1のピストンアセンブリ44と接触する上部アーム56と、第2のピストンアセンブリ38と接触する下部アーム58と、上部アーム56および下部アーム58を接続するU曲げ部60を有する支持フレームを含む。U曲げ部60は、概してU字形の構成を有することができ、「U」に厳密に近くない様々な形状が、図面に示される構成に機能的および構造的に類似することができる。フレーム42は、アンダーキャリッジシステム18におけるトラックローラフレーム22にフレーム42をボルトで固定するために、それぞれボルトを受け入れる、フレーム42内に形成された複数のボルト穴62を有する。さらに、上部アーム56は、第1のレセプタクル64を形成し、下部アーム58は、第2のレセプタクル66を形成し、第1のレセプタクル64および第2のレセプタクル66は、それぞれ、第1のピストンアセンブリ34および第2のピストンアセンブリ38を受ける。アイドラーシャフト54は、アイドラー支持要素44内に延在し、アイドラーヨーク50は、回転のために概してアイドラー30を支持する。アイドラーヨーク50は、いくつかの実施形態において、1つ以上の機械的ばねまたはガスばねなどのアイドラー反動システム(図示せず)と結合され得る。システム32は、アイドラー30の各側上に実質的に同一であるが潜在的に鏡像構成要素を含むことが理解されよう。特に、第1のピストンアセンブリ34および第2のピストンアセンブリ38は、トラックローラフレーム22の第1の側に配置されてよく、第3のピストンアセンブリ、第4のピストンアセンブリ、および第3のピストンアセンブリを第4のピストンアセンブリに接続する第2の導管は、トラックローラフレーム22の第2の側に配置されてよい。図3および4の側面図に示されているトラックローラフレーム22の一方側での構成要素の本明細書における説明および議論は、トラックローラフレーム22の第2の側での構成要素を類推して指すと理解されるべきである。いくつかの例では、トラックローラフレーム22のいずれかの側にあるシステム32を形成する構成要素は、別個の独立したシステムとして理解され得る。さらに他の実施形態において、コンポーネントは、単一のシステム、さらには単一のアセンブリに一体化され得る。
【0012】
導管46は、第1のピストンアセンブリ34を第2のピストンアセンブリ38に接続することが想起される。流体交換弁48は、導管46内に配置され、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間で導管46を通る流動可能な材料を交換するために、閉位置から開位置まで調整可能である。同様の方法で構成された第2の導管および第2の流体交換弁は、トラックローラフレーム32の第2の側に配置されてもよい。例示された実施形態において、導管46は、上部アーム56および下部アーム58の各々を通って延在し、第1のピストンアセンブリ34および第2のピストンアセンブリ38に流動可能な材料を供給し、そこから流動可能な材料を供給する。図3において、フレーム42は、上部アーム56に形成されたボア68と、下部アーム58に形成された別のボア70とを有することが示されている。他の実施形態では、導管46は、フレーム42の構造の側面の周りに延在し、他の方法でピストンアセンブリ34および38に流体的に接続することができる。流体交換弁48は、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間の導管46のほぼ中央に配置されていることが示されている。流体交換弁48は、他の実施形態では、他の位置に配置され得る。また、例示された実施形態では、流体交換弁48は、外部ハンドル72を有する機械的に作動された弁を含む。導管46は、閉じた導管であってもよく、これは、導管46が、オンボード油圧システムなどの機械10における他の流体回路に接続せず、接続可能ではないことを意味する。それでも、導管46、およびシステム32の他の構成要素は、常駐機械油圧システムの一部であり得ることが企図される。
【0013】
上述したように、導管46は、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間で流動可能な材料を搬送する。流体交換弁48は、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間の流体接続をブロックするための閉位置を有し、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38とを流体接続するための開位置に移動してもよく、その意義は以下の説明からさらに明らかになるであろう。第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間で導管46を介して流動可能な材料を交換することは、流動可能な材料の交換が生じたときに、ピストンアセンブリの一方内の流体が必ずピストンアセンブリの他方に流れることを意味すると解釈されるべきではないとさらに理解されたい。言い換えると、開口部流体交換弁46は、一方側からの流動可能な材料が、たとえその材料がピストンアセンブリ間で文字通り交換されなくても、他方側へ通過するように、システム32の2つの側を流体接続するように理解され得る。
【0014】
実用的な実装方策において、流動可能な材料は、グリース充填導管46を含む。本明細書で企図されるグリースは、典型的には、油および石鹸等の増粘剤を混合することによって取得されるものなどの半固体または半流体組成物であろう。しかしながら、油のみを使用することができ、鉱油グリースまたは植物油グリースなどのグリースは、実用的な実装方策を提供する。システム32は、流体的に第1のピストン36と第2のピストン40との間にある場所にグリースポート86を含むことができる。閉鎖部88は、グリースポート86をブロックする。
【0015】
図4も参照すると、アイドラー支持要素44は、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間にトラップされていることに留意する。システム32はまた、第1のピストン36に当接し、かつアイドラー支持要素の上側75に接触するように構造化されている第1のブロック接触プレート74と、第2のピストン40に接触し、かつアイドラー支持要素44の下側77に接触するように構造化されている第2のブロック接触プレート76と、を含む。第1のブロック接触プレート74および第2のブロック接触プレート76は、各々、第1のピストン36および第2のピストン40の対応する1つとの固定された接触パターンで水平方向の面78および80を含み得る。第1のブロック接触プレート74および第2のブロック接触プレート76の各々は、フレーム42との接触のスライドパターンを有する、それぞれ垂直方向のガイド面82および84を含み得る。図3は、アイドラー支持要素44およびアイドラー30が実質的に最大アイドラー高さまで完全に上昇したところにあるように見える可能性がある際のアイドラー30およびシステム18を示す。図4は、これらの構成要素が、最小アイドラー高さまで実質的に完全に下がっているように見える可能性がある際のこれらの構成要素を示す。ブロックコンタクトプレート74および76が、フレーム42に対して上下に移動する間に誘導されるように構造化されていることも分かる。特に、第1のブロック接触プレート74は、概して垂直に延在し、かつフレーム42に形成されたスロット92に受けられる脚部90で構成されるように示されている。パッド94などは、脚部90とフレーム42との間に垂直に配置され得る。パッド94は、緩衝のために提供され得るが、アイドラー高さの設定を補助する厚さを有することもできる。したがって、異なるパッドは、システム18を使用して取得され得るアイドラー高さの相対的な調整を変化させるために入れ替えられ得る。
【0016】
産業上の利用可能性
一般的に図面を参照するが、ここで図5も参照すると、様々な既知のアイドラー高さ調整方策は、構成要素の再配置、回転などを可能にするためにトラックを破壊する必要があることが想起される。本開示は、シム、支持ブロックの回転、または他の方策を使用する既知の方策と比較して、取得され得るアイドラー高さの無限の範囲を有する簡略化された調整システムを提供する。本開示により、アンダーキャリッジシステム18におけるアイドラー30の高さを調整することは、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間の流体接続を確立するために、導管46における流体交換弁48を開くことを含むことができる。流体交換弁が48が開いた状態で、アイドラー支持要素44は、トラックローラフレーム22に対して再配置することができる。アイドラー支持要素44の再配置は、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間の導管46を通してグリースを変位させることができる。システム32は概して閉じたシステムであるため、ピストン36またはピストン40の一方を移動させることは、導管46を通るグリースの変位に応答して、ピストン36およびピストン40の他方を移動させる傾向にある。ピストン36および40の位置は、共変位として最もよく理解され得る。例えば、ピストン36が前進するときに、第2のピストン40は、第1のピストンアセンブリ34と第2のピストンアセンブリ38との間の動きの流体連通によって同様の量を後退させる。流体交換弁48が開いた状態でグリースを変位させた後、流体交換弁48を閉じて、アイドラー30の高さを設定することができる。
【0017】
図5を引き続き参照すると、アイドラーの高さの調整は、アイドラー30の下に配置され、基板上に置かれた較正ブロック110を用いて、機械10を実質的なレベル、典型的には硬い基板上に配置することによって実行することができる。機械10は、キャリッジシステム18、特にトラック20の下で、較正ブロック110上で駆動するように動作させることができる。較正ブロック110の上または上にトラック20が配置されている状態で、流体交換弁48を開いて、重力の下で、較正ブロック110に向かってアンダーキャリッジシステム18におけるアイドラー支持要素44を下げること、またはトラックローラフレーム22を下げることを可能にすることができる。また、図5に示されるのは、較正ブロック110の垂直方向において上方に位置するアイドラー30の回転軸100と、アンダーキャリッジシステム18における第1のトラックローラ28との間の約中間であり得る接触点120である。トラック20のグラウザーが、ほぼそのような点120で下地基材と接触することが概して望ましい。アイドラー高さが低すぎる場合、トラック20は点120の前方の位置で基板に接触する可能性があり、アイドラー高さが高すぎる場合、トラック20は点120の後方の位置で基板に接触する可能性がある。トラック20が機械10と共に前進してキャリブレーション支持ブロック110上に配置されるときに、アイドラー高さが高すぎる場合、流体交換弁48を開くことで、アイドラー30およびアイドラー支持要素52が、トラック20がキャリブレーションブロック110上にあるように、重力下で下向きに沈降することが可能になり得る。このような例において、アイドラー高さが低すぎる場合、流体交換弁48を開くことにより、トラックローラフレーム22が重力下で下向きに沈降することを可能にし、アイドラー30およびアイドラー支持要素44をトラックローラフレーム22に対して上昇させることが可能にし得る。一実施態様では、較正ブロック110は、厚さ約10ミリメートルであってもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0018】
上記で説明されたように、トラック式トラクターまたは特定の他の機械の整地性能および乗車品質などの性能は、アイドラー高さとローラー高さとの関係に実質的に依存する可能性がある。この関係は、構成要素の摩耗により時間の経過とともに変化する。したがって、本開示は、特定の他の方策よりもはるかに容易に調整されたシステムおよび反復可能な方法を提供することが理解される。例示された実施形態において、操作者または技術者は、流体交換弁48の外部ハンドル72を操作して、グリースが導管46内を流れることを可能にすることができる。他の例では、手動動作システムよりも、高さ監視または乗車品質監視、または他のパラメータの監視および分析が、一般的に本明細書で論じられた手動動作に類似した流体交換弁を選択的に電気機械的に開閉する電子制御システムで使用することができる。
【0019】
本説明は、例示的な目的のためだけのものであり、本開示の幅をいかなる方法でも狭めるように解釈されるべきではない。したがって、当業者は、様々な修正が、本開示の完全かつ公正な範囲および趣旨から逸脱することなく、現在開示されている実施形態に対して行われ得ることを理解するものである。他の態様、特徴、および利点は、添付の図面および添付の特許請求の範囲を調べることにより明らかになるであろう。本明細書で使用される場合、「a」および「an」という冠詞は、1つ以上の項目を含むことを意図しており、「1つ以上」と互換的に使用されてもよい。1つの項目のみが意図される場合、「1つ」という用語または同様の言葉が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有している(having)」という用語などは、非限定的用語であることを意図している。さらに、語句「に基づいて」は、別途明示的に記載されない限り、「に少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】