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特表2022-543478骨切断および関節再整列処置のための二平面器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】骨切断および関節再整列処置のための二平面器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/15 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A61B17/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507743
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020045393
(87)【国際公開番号】W WO2021026448
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/883,649
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517238835
【氏名又は名称】トリース メディカル コンセプツ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン メイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ディー.サントロック
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エフ.スカンラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ティー.トリース
(72)【発明者】
【氏名】ジョー ダブリュ.ファーガソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョディー マカリアー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ.ハッチ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
(57)【要約】
外反母趾などの骨の変形を矯正するための技術は、支点に接続されたスペーサー本体を画定する器具を使用して実施され得る。器具のスペーサー本体部分は、対向する骨端の間の関節空間内に挿入され得る。支点本体は、隣接する中足骨の間に挿入され得る。スペーサー本体と支点本体との間の角度設定は、外科的処置の後続のステップが適切に実施され、かつ器具が適切に整列されることを確実にするために、両方の特徴を異なる関節空間内に適切に位置決めすることに役立ち得る。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨切断および関節再整列処置のための二平面器具であって、
足の中足骨と対向する楔状骨との間の関節空間内に挿入されるように構成されたスペーサー本体と、
スペーサー本体に結合された支点本体であって、前記支点本体が、中足骨と隣接する中足骨との間の中足骨間空間内に挿入されるように構成されている、支点本体と、を備える、器具。
【請求項2】
前記スペーサー本体が、前記関節空間内に挿入されるように構成された長さ、前記中足骨と前記対向する楔状骨との間に延在するように構成された厚さ、および前記関節空間の少なくとも一部分にわたって内側から外側方向に延在するように構成された幅を画定し、
前記支点本体が、前記中足骨間空間内に挿入されるように構成された長さ、前記中足骨と前記隣接する中足骨との間に延在するように構成された厚さ、および足に沿って近位から遠位方向に延在するように構成された幅を画定する、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記スペーサー本体と前記支点本体との間に延在するブリッジをさらに備え、前記支点本体が、前記ブリッジを介して前記スペーサー本体に結合されている、請求項1または2に記載の器具。
【請求項4】
前記スペーサー本体が、前記足の第1の平面内に延在するように構成されており、前記支点本体が、前記足の第2の平面内に延在するように構成されており、前記ブリッジ部材が、前記第1の平面から前記第2の平面に移行する、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記ブリッジ部材が、前記中足骨の近位側から前記中足骨の外側に延在するように構成されている、請求項3または4に記載の器具。
【請求項6】
前記スペーサー本体と前記支点本体との間に画定される角度が、60度~120度の範囲内にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記スペーサー本体が、前記支点本体に固定的に接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記スペーサー本体が、前記スペーサー本体にヒンジ接続されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
前記スペーサー本体が、右足および左足の両方における使用を容易にするために、前記支点本体に対して少なくとも180度回転するように構成されている、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記スペーサー本体が、前記支点本体に取り外し可能に接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の器具。
【請求項11】
前記スペーサー本体が、前記中足骨と前記対向する楔状骨との間の前記関節空間内に延在するように構成された第1の部分と、前記関節空間の上に延在するように構成された第2の部分と、を画定し、前記第2の部分が、骨形成ガイドの受容開口部と係合するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の器具。
【請求項12】
前記骨形成ガイドが、前記中足骨上に位置決めされるように構成された少なくとも1つの切断スロットを画定し、前記少なくとも1つの切断スロットが、前記対向する楔状骨上に位置決めされるように構成されている、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記スペーサー本体の前記第2の部分は、前記スペーサー本体が、前記受容開口部内に挿入されている状態で、前記骨形成ガイドが、前記スペーサー本体に対して少なくとも1つの平面内を移動し得るように、前記骨形成ガイドの前記受容開口部よりも小さいサイズである、請求項11または12に記載の器具。
【請求項14】
前記スペーサー本体の前記第2の部分が、前記スペーサー本体の少なくとも1つの前面および後面から外向きに延在する棚をさらに備え、前記棚が、前記骨形成ガイドと前記スペーサー本体との間の移動を制限する、請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記スペーサー本体に恒久的に接合された骨形成ガイドをさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の器具。
【請求項16】
前記支点本体に接続されたハンドルをさらに備え、前記ハンドルが、前記支点本体から離れて突出している、請求項1~15のいずれか一項に記載の器具。
【請求項17】
前記中足骨が、第1の中足骨であり、
前記対向する楔状骨が、内側楔状骨であり、
前記隣接する中足骨が第2の中足骨である、請求項1~16のいずれか一項に記載の器具。
【請求項18】
方法であって、
中足骨と対向する楔状骨との間の関節空間内にスペーサー本体を挿入することと、
前記中足骨と隣接する中足骨との間に前記スペーサー本体に結合された支点本体を挿入することと、
前記スペーサーと整列された骨形成ガイドを使用して、骨形成器具をガイドし、前記中足骨の端を形成することと、
前記骨形成ガイドを使用して、前記骨形成器具をガイドし、前記対向する楔状骨の端を形成することと、
少なくとも横断面で前記隣接する中足骨に対して前記中足骨を移動させて、それによって、前記支点本体を中心として前記中足骨を旋回させ、前記中足骨と前記隣接する中足骨との間の中足骨間角度を低減させることと、を含む、方法。
【請求項19】
前記スペーサー本体が、ブリッジ部材を用いて前記支点本体に結合されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記スペーサー本体を挿入すること、および前記支点本体を挿入することが、前記ブリッジ部材を介して前記支点本体に結合された前記スペーサー本体を含む単一器具を挿入することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記単一器具を挿入することが、前記中足骨の近位横方向角に対して前記ブリッジ部材を位置決めすることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記スペーサー本体が、前記支点本体に固定的に接続されている、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記スペーサー本体と前記支点本体との間に画定される角度が、60度~120度の範囲内にある、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記スペーサー本体と前記支点本体との間に画定される角度を調整することをさらに含む、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記スペーサー本体が、前記支点本体にヒンジで取り付けられており、前記スペーサー本体と前記支点本体との間に画定される前記角度を調整することが、ヒンジ接続を中心として前記支点本体に対して前記スペーサー本体を回転させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記スペーサー本体と前記支点本体との間に画定される前記角度を調整することが、前記スペーサー本体を前記支点本体に接続する材料の可鍛性区分を曲げることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記スペーサー本体を前記関節空間内に挿入することが、前記スペーサー本体の第2の部分が前記関節空間の上に延在している状態で前記スペーサー本体の第1の部分を前記関節空間内に挿入することを含み、前記骨形成ガイドを前記スペーサー本体の前記第2の部分と整列することをさらに含む、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記スペーサー本体の前記第2の部分は、前記スペーサー本体の前記第2の部分が挿入される前記骨形成ガイドの受容開口部よりも小さいサイズであり、前記スペーサー本体が、前記受容開口部内に挿入された状態で、前記スペーサー本体に対して前記骨形成ガイドを少なくとも1つの平面内で移動させることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記スペーサー本体の前記第2の部分が、前記スペーサー本体の少なくとも1つの前面および後面から外向きに延在する棚をさらに備え、前記棚が、前記骨形成ガイドと前記スペーサー本体との間の移動を制限する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記骨形成ガイドが、前記スペーサー本体に恒久的に接続されており、前記スペーサー本体を前記関節空間内に挿入することが、前記骨形成ガイドを前記中足骨および前記対向する楔状骨上に位置決めすることを含む、請求項18~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記支点本体から離れて非ゼロ度の角度で突出するハンドルをさらに備え、前記支点本体を挿入することが、前記中足骨および前記隣接する中足骨へのアクセスを提供する切開部から離れて横方向に組織を開創することと、前記ハンドルと前記支点本体との間に形成された組織開創空間内で前記切開部から離れて前記組織を保持することと、をさらに含む、請求項18~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記中足骨が、第1の中足骨であり、
前記対向する楔状骨が、内側楔状骨であり、
前記隣接する中足骨が第2の中足骨である、請求項18~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記関節空間から少なくとも前記スペーサー本体を除去することと、前記中足骨の形成された端を前記対向する楔状骨の形成された端に対して圧縮することと、前記中足骨の前記形成された端を前記対向する楔状骨の前記形成された端に固定することと、をさらに含む、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも前記スペーサー本体を除去することが、前記スペーサー本体に結合された前記支点本体を除去することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記中足骨の前記形成された端を前記対向する楔状骨の前記形成された端に固定することが、足根中足骨関節にわたって固定部材を挿入することを含む、請求項18~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記中足骨の前記端を形成すること、および前記対向する楔状骨の前記端を形成することが、前記中足骨を前記隣接する中足骨に対して移動させた後に、前記中足骨の前記端および前記対向する楔状骨の前記端の一方または両方を形成することを含む、請求項18~35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年8月7日出願の米国特許仮出願第62/883,649号の利益を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、外科用デバイス、より具体的には、骨切断および/または再整列技術を支援するための外科用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
足の骨などの、人体内の骨は、解剖学的にずれていることがある。例えば、骨の変形の一般的なタイプの1つは外反母趾であり、これは進行性の足の変形であり、第1の中足指節関節が影響を受け、多くの場合、重大な機能障害および足の痛みを伴う。中足指節関節は内側にずれており、趾骨が内転している間に第1の中足骨が外転する。これは、多くの場合、軟組織の発達、および外反母趾と呼ばれる足の内側の骨の隆起につながる。
【0004】
外反母趾の変形を矯正するために外科的介入が使用される場合がある。外反母趾の変形を矯正するための様々な異なる外科的処置が存在し、第1の中足骨の異常な骨の拡大を取り除くこと、および/または隣接する中足骨に対して第1の中足骨を再整列させることを試みることを伴う場合がある。効率的で、正確で、かつ再現性のある臨床結果を促進できる外科的器具は、骨の再整列技術を実施する施術者にとって有用である。
【発明の概要】
【0005】
概して、本開示は、外科的骨切断および/または再整列処置中に使用され得る器具を対象としている。器具は、支点本体に接続されたスペーサー本体を含み得る。スペーサー本体および支点本体は、隣接する関節空間に位置決め可能であり得、スペーサー本体と支点本体との間の接続部材は、それぞれの関節空間内に挿入されたときのスペーサー本体および支点本体の相対位置を制御するのに役立つ。
【0006】
例えば、スペーサー本体は、中足骨と対向する楔状骨との間の関節空間などの、対向する骨端の間の関節空間に位置決めされ得る。いくつかの実施態様では、中足骨が第1の中足骨であり、対向する楔状骨が内側楔状骨である。いずれの場合も、スペーサー本体は、対向する骨端間の関節空間内に位置決め可能な第1の部分と、関節空間から上(例えば、背側)に延在する第2の部分と、を画定し得る。スペーサー本体の第2の部分は、骨形成ガイドに接続され得る。骨形成ガイドは、スペーサー本体から取り外し可能であり、かつスペーサー本体と係合可能であり得る(例えば、スペーサー本体が関節空間内に挿入された後、骨形成ガイドをスペーサー本体上に挿入することによって)。あるいは、骨形成ガイドは、スペーサー本体に恒久的に(例えば、単一構造を画定するために)結合され得る。いずれの場合も、骨形成ガイドは、隣接する骨の端を形成するために(例えば、中足骨の端および/または対向する楔状骨の端を形成するために)骨形成器具をガイドするための1つ以上のガイド表面を画定し得る。例えば、骨形成ガイドは、中足骨の端を切断するように鋸刃をガイドするために中足骨の上に位置決めされた少なくとも1つの切断スロットと、対向する楔状骨の端を切断するように鋸刃をガイドするために対向する楔状骨の上に位置決めされた少なくとも1つの切断スロットと、を画定し得る。
【0007】
器具はまた、スペーサー本体に結合された支点本体を含む。支点本体は、第1の中足骨と第2の中足骨との間の中足骨間空間などの、隣接する中足骨間の中足骨間空間内に位置決めされるように構成(例えば、サイズ決めおよび/または形状決め)され得る。支点本体は、支点、または旋回表面を画定し得、それを中心として、中足骨が回転して、対向する楔状骨および/または隣接する中足骨に対して中足骨の位置を再整列し得る。例えば、支点本体は、旋回表面を画定し得、それを中心として、中足骨と隣接する中足骨との間で中足骨間角度が閉じられるときに、中足骨の近位基部が旋回し得る。これは、中足骨が再整列されるときに、隣接する中足骨に対して圧縮することなどによって、中足骨の基部が横方向にシフトすることを防止するのに役立ち得る。
【0008】
いくつかの構成では、スペーサー本体は、ブリッジ部材を用いて支点本体に結合されている。ブリッジ部材は、スペーサー本体が位置決めされている1つの平面(例えば、一般に、前額面)から、支点本体が位置決めされている第2の平面(例えば、一般に、矢状面)に移行し得る。例えば、ブリッジ部材は、スペーサー本体を支点本体に動作可能に接続する角(例えば、60度~120度の範囲、例えば、80度~100度、または約90度の内角を有する)を画定し得る。使用中、ブリッジ部材は、中足骨の近位横方向角/表面などの、再整列されている中足骨の角に対して位置決めされ得る。そのように位置決めされたとき、スペーサー本体は、中足骨と対向する楔状骨との間の関節空間内に位置決めされ得るが、一方、支点本体は中足骨と隣接する中足骨との間の関節空間内に位置決めされ得る。ブリッジ部材は、スペーサー本体と支点本体との間に固定位置を確立すること、ならびに/または外科的処置中にスペーサー本体および支点本体が互いに対しておよび/もしくはそれらのそれぞれの関節空間内でシフトするのを防止することに役立ち得る。これは、スペーサー本体および支点本体が、スペーサー本体および支点本体を使用して実施される後続の処置ステップ(例えば、スペーサー本体に取り付けられた骨形成ガイドを使用して骨形成ステップを実施する、および/または支点本体を中心として旋回することによって中足骨を再整列する)のために適切に位置決めされることを確実にするのに役立ち得る。
【0009】
一例では、骨切断および関節再整列処置のための二平面器具が説明されている。器具は、足の中足骨と対向する楔状骨との間の関節空間内に挿入されるように構成されたスペーサー本体を含む。器具はまた、スペーサー本体に結合された支点本体を含み、支点本体が、中足骨と隣接する中足骨との間の中足骨間空間内に挿入されるように構成されている。
【0010】
別の例では、中足骨と対向する楔状骨との間の関節空間内にスペーサー本体を挿入することを含む方法が説明されている。方法はまた、中足骨と隣接する中足骨との間に、スペーサーに結合された支点本体を挿入することを含む。方法は、スペーサーと整列された骨形成ガイドを使用して、骨形成器具をガイドして、中足骨の端を形成することと、骨形成ガイドを使用して、骨形成器具をガイドし、対向する楔状骨の端を形成することと、をさらに伴う。加えて、方法は、少なくとも横断面で隣接する中足骨に対して中足骨を移動させて、それによって、支点本体を中心として中足骨を旋回させ、中足骨と隣接する中足骨との間の中足骨間角度を低減させることと、を含む。
【0011】
1つ以上の実施例の詳細は、添付の図面および以下の説明において記載する。他の特徴、目的、および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aおよび図1Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な前額面回転ずれ位置をそれぞれ示す足の正面図である。
図1B図1Aおよび図1Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な前額面回転ずれ位置をそれぞれ示す足の正面図である。
図2A図2Aおよび図2Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な横断面ずれ位置をそれぞれ示す足の上面図である。
図2B図2Aおよび図2Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な横断面ずれ位置をそれぞれ示す足の上面図である。
図3A図3Aおよび図3Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な矢状面ずれ位置をそれぞれ示す足の側面図である。
図3B図3Aおよび図3Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な矢状面ずれ位置をそれぞれ示す足の側面図である。
図4A図4Aおよび図4Bは、それぞれ、二平面器具が第1の関節空間および交差する第2の関節空間内に位置決めされる例示的な骨位置決め操作の斜視図および上面図である。
図4B図4Aおよび図4Bは、それぞれ、二平面器具が第1の関節空間および交差する第2の関節空間内に位置決めされる例示的な骨位置決め操作の斜視図および上面図である。
図5A図5Aおよび図5Bは、それぞれ、図4Aおよび図4Bの二平面器具の例示的な構成の斜視図および上面図である。
図5B図5Aおよび図5Bは、それぞれ、図4Aおよび図4Bの二平面器具の例示的な構成の斜視図および上面図である。
図5C図5Cおよび図5Dは、それぞれ、凹状骨接触表面を画定する支点本体の例示的な構成を示す、斜視図および断面図である。
図5D図5Cおよび図5Dは、それぞれ、凹状骨接触表面を画定する支点本体の例示的な構成を示す、斜視図および断面図である。
図5E図5Eおよび図5Fは、それぞれ、凸状骨接触表面を画定する支点本体の例示的な構成を示す、斜視図および断面図である。
図5F図5Eおよび図5Fは、それぞれ、凸状骨接触表面を画定する支点本体の例示的な構成を示す、斜視図および断面図である。
図6A図6Aおよび図6Bは、それぞれ、二平面器具を伴う外科的処置の一部として使用され得る例示的な骨形成ガイドを示す、斜視図および上面図である。
図6B図6Aおよび図6Bは、それぞれ、二平面器具を伴う外科的処置の一部として使用され得る例示的な骨形成ガイドを示す、斜視図および上面図である。
図7A図7Aおよび図7Bは、それぞれ、スペーサー本体が支点本体から取り外し可能であり、かつ支点本体に取り付け可能である、二平面器具の例示的な構成の斜視図および上面図である。
図7B図7Aおよび図7Bは、それぞれ、スペーサー本体が支点本体から取り外し可能であり、かつ支点本体に取り付け可能である、二平面器具の例示的な構成の斜視図および上面図である。
図8A図8Aおよび図8Bは、それぞれ、ヒンジ接続で構成された二平面器具の例示的な構成の正面図および背面斜視図である。
図8B図8Aおよび図8Bは、それぞれ、ヒンジ接続で構成された二平面器具の例示的な構成の正面図および背面斜視図である。
図9A図9A図9Dは、図8Aおよび図8Bに示された例示的な二平面器具について、スペーサー本体と支点本体との間の例示的な相対回転位置を示す。
図9B図9A図9Dは、図8Aおよび図8Bに示された例示的な二平面器具について、スペーサー本体と支点本体との間の例示的な相対回転位置を示す。
図9C図9A図9Dは、図8Aおよび図8Bに示された例示的な二平面器具について、スペーサー本体と支点本体との間の例示的な相対回転位置を示す。
図9D図9A図9Dは、図8Aおよび図8Bに示された例示的な二平面器具について、スペーサー本体と支点本体との間の例示的な相対回転位置を示す。
図10A図10A図10Cは、骨形成ガイドが二平面器具のスペーサー本体に対して移動するようにサイズ決めされている、二平面器具および骨形成ガイドを含む例示的なシステムを示す。
図10B図10A図10Cは、骨形成ガイドが二平面器具のスペーサー本体に対して移動するようにサイズ決めされている、二平面器具および骨形成ガイドを含む例示的なシステムを示す。
図10C図10A図10Cは、骨形成ガイドが二平面器具のスペーサー本体に対して移動するようにサイズ決めされている、二平面器具および骨形成ガイドを含む例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概して、本開示は、骨再整列処置などの外科的処置で使用され得るスペーサー本体および支点本体を含む器具を対象としている。支点構造が使用され得る例示的な処置としては、骨の整列、骨切り術、融合処置、および/または1つ以上の骨が1つ以上の他の骨に対して操作および/または再整列される他の処置が挙げられる。そのような処置は、骨が、人体の解剖学的構造の他の部分の骨と比較して比較的小さい、例えば、足または手の骨(例えば、関節または単一の骨の異なる部分によって分離された隣接する骨)に対して実施され得る。一例では、ブリッジ部材によって一緒に接合された2つの本体を含む器具を利用する処置は、外反母趾矯正手術などで、中足骨(例えば、第1の中足骨)と第2の中足骨および/または楔状骨(例えば、内側、または第1の楔状骨)との間の整列を矯正するために実施され得る。このような処置の例は、ラピダス法(第1の足根骨-中足骨融合としても知られている)である。本開示の例示的な器具は、概して、中足骨間空間内に移行する対向する骨端間の空間内への挿入に有用であると説明されているが、器具は、任意の所望の用途で使用され得、本開示は、この点に関して限定されない。
【0014】
図1図3は、本開示に従って発生し、かつ支点を使用して矯正され得る例示的な解剖学的ずれを示す、足200の異なる図である。このようなずれは、外反母趾(外反母趾(bunion))、自然な成長の変形、または解剖学的なずれを引き起こす他の状態によって引き起こされることがある。図1Aおよび図1Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な前額面回転ずれ位置をそれぞれ示す、足200の正面図である。図2Aおよび図2Bは、正常な第1の中足骨位置および例示的な横断面のずれ位置をそれぞれ示す、足200の上面図である。図3Aおよび図3Bは、通常の第1の中足骨位置および例示的な矢状面のずれ位置をそれぞれ示す、足200の側面図である。図1B図2B、および図3Bは各々、それぞれの平面のずれを単独で示しているが、実際には、中足骨は、3つの平面のうちの任意の2つ、または3つすべての平面におけるずれである場合がある。したがって、図1B図2B、および図3Bの各々における単一の平面のずれの描写は、例示を目的とするものであり、中足骨は、望ましくは矯正される複数の平面におけるずれである場合があることを理解されたい。
【0015】
図1Aおよび図2Aを参照すると、足200は、第1の中足骨210、第2の中足骨212、第3の中足骨214、第4の中足骨216、および第5の中足骨218を含む複数の骨から構成される。中足骨は、遠位で趾骨220に接続され、より具体的には、各々がそれぞれの基節骨に接続されている。第1の中足骨210は内側楔状骨222に近位に接続され、第2の中足骨212は中間楔状骨224に近位に接続され、第3の中足骨は外側楔状骨226に近位に接続されている。第4および第5の中足骨216、218は、立方骨228に近位に接続されている。中足骨とそれぞれの楔状骨(例えば、第1の中足骨210および内側楔状骨222)との間の関節230は、足根中足骨(「TMT(tarsometatarsal)」)関節と呼ばれる。中足骨とそれぞれの基節骨との間の関節232は、中足指節関節と呼ばれる。隣接する中足骨(例えば、第1の中足骨210および第2の中足骨212)の間の角度234は、中足骨間角度(「IMA(intermetatarsal angle)」)と呼ばれる。
【0016】
前述のように、図1Aは、第1の中足骨210の典型的な位置を示す足200の前額面図である。冠状面としても知られている前額面は、概して、体を前部と後部に分割する任意の垂直面と見なされる。足200において、前額面は、垂直に延在する平面であり、足の長さに沿って近位から遠位に延在する軸に垂直である。図1Aは、前額面の典型的な回転位置にある第1の中足骨210を示している。図1Bは、線238によって示されるように、地面に対する回転角236によって特徴付けられた前額面回転変形を伴う第1の中足骨210を示している。
【0017】
図2Aは、横断面において第1の中足骨210の典型的な位置を示す足200の上面図である。水平面、軸平面、または体軸横断面としても知られている横断面は、体を上位部分と下位部分に分割する任意の平面と見なされる。足200において、横断面は、水平に延在する平面であり、足を横切って背側から足底側(上から下)に延在する軸に垂直である。図2Aは、横断面に典型的なIMA234を伴う第1の中足骨210を示している。図2Bは、第1の中足骨210の遠位端が第2の中足骨212に対して内側に旋回することによって引き起こされるより大きなIMAによって特徴付けられた横断面回転変形を伴う第1の中足骨210を示す。
【0018】
図3Aは、矢状面において第1の中足骨210の典型的な位置を示す足200の側面図である。矢状面は、体を右半分と左半分に分割する矢状縫合に平行な平面である。足200において、矢状面は、垂直に延在する平面であり、足の長さに沿って近位から遠位に延在する軸に垂直である。図3Aは、矢状面において典型的な回転位置を伴う第1の中足骨210を示している。図3Bは、線238によって示されるように、地面に対する回転角240によって特徴付けられた矢状面回転変形を伴う第1の中足骨210を示している。
【0019】
本開示による二平面器具は、足の近位から遠位方向に(例えば、矢状平面に平行に)延在する支点本体に結合される足の内側から外側方向に(例えば、前額面に平行に)延在するスペーサー本体を画定し得る。接続部材は、スペーサー本体を支点本体に結合し、前額面から矢状面に移行し得る。いくつかの例では、接続部材は、中足骨の近位端面および中足骨の外側の近位端にも再整列されている中足骨の領域に一致(例えば、接触)し得る。二平面器具は、1つ以上の骨の解剖学的ずれを矯正するための骨位置決め技術の一部として使用され得る。いくつかの用途では、技術は、隣接する楔状骨および/または隣接する中足骨に対して中足骨を再整列することを伴う。再整列を受けている中足骨は、上記の図1図3に関して図示され、かつ議論されているように、前額面、横断面、および/または矢状面において解剖学的にずれていることがある。したがって、再整列は、ずれた中足骨またはその一部分を再整列のために解放し、その後、1つ以上の平面、2つ以上の平面、または3つすべての平面において中足骨を再整列させることを伴い得る。中足骨を好適に再整列した後、中足骨を固定して、再整列された位置を保持し、かつ維持することができる。
【0020】
中足骨は、様々な解剖学的に整列された位置、およびずれた位置を有することができるが、いくつかの例では、「解剖学的に整列された位置」という用語は、第2の中足骨212の長軸に対する第1の中足骨210の長軸の角度が、横断面および/または矢状面において約10度以下であることを意味する。特定の実施形態では、解剖学的ずれは、横断面および前額面の両方において矯正することができる。横断面において、第1の中足骨210と第2の中足骨212との間の通常のIMA234は約9度未満である。約9度~約13度のIMA234は、第1の中足骨および第2の中足骨の軽度のずれと見なされる。約16度を超えるIMA234は、第1の中足骨および第2の中足骨の重度のずれと見なされる。
【0021】
いくつかの用途では、二平面器具は、第2の中足骨に対して異なる角度で第1の中足骨を位置決めすることにより、約-5度の負の角度まで、または第2の中足骨と干渉するまでを含めて、IMAを10度超から約10度以下(例えば、約1~5度のIMA)に縮小することによって、第1の中足骨210またはその一部を解剖学的に整列させるために再整列技術の一部として使用される。
【0022】
前額面に関して、通常の第1の中足骨は、その稜隆起が概して地面に垂直であるように、かつ/またはその種子骨が概して地面に平行であり、中足骨の下に位置決めされるように位置決めされる。この位置は、0度の中足骨の回転として定義できる。ずれた第1の中足骨において、中足骨は、約4度~約30度以上で軸方向に回転する。いくつかの実施形態では、二平面器具は、中足骨を内側楔状骨に対して回転させることによって、中足骨の回転を約4度以上から4度未満(例えば、約0~2度)に低減することによって、中足骨を解剖学的に整列させるために再整列技術の一部として使用される。
【0023】
本開示による、支点本体に結合されたスペーサー本体を画定する二平面器具は、2つの隣接する交差する関節空間である、中足骨および楔状骨の対向する端の間の第1の関節空間と、隣接する中足骨間の中足骨間空間との間に位置決めされ得る、単一構造(例えば、組み立て前後)を提供するために有用であり得る。スペーサー本体は、関節空間内に挿入可能な第1の部分と、関節空間の上に突出する第2の部分と、を含み得る。関節空間の上に突出する第2の部分は、骨形成ガイドに結合され、それによって、スペーサー本体が間に位置決めされる中足骨および/または楔状骨上における骨形成ガイドの位置決めを容易にし得る。支点本体は、移動した隣接する骨の間に空間を確立し、かつ/または維持することができ、回転および/または旋回中の骨の横方向の並進または基部のシフトを防止する。
【0024】
例えば、二平面器具は、第1の中足骨210と内側楔状骨222との間の関節空間内に位置決め可能なスペーサー本体を含み得る。スペーサー本体は、骨形成ガイドに結合され得る。骨形成ガイドは、スペーサー本体の突出端が位置決めされる受容スロットを含み、それによって、その中に位置決めされたスペーサー本体を介して関節空間に対して骨形成ガイドを配向し得る。骨形成ガイドは、切断されることになる、第1の中足骨210の端上に位置決め可能な少なくとも1つの中足骨側切断スロット、および切断されることになる、内側楔状骨222の端上に位置決め可能な少なくとも1つの楔状骨切断スロットなどの、切断されることになる、第1の中足骨210の端および/または内側楔状骨の端上に位置決めされた少なくとも1つの切断スロットを含み得る。
【0025】
二平面器具はまた、第1の中足骨210と第2の中足骨212との間の関節空間内に位置決め可能な支点本体を含み得る。支点本体は、例えば、第1の中足骨210の再近位基部が第2の再近位基部212に向かってシフトすることを回避することに役立つように、第1の中足骨を移動させる前に、中足骨の基部(例えば、隣接するそれぞれの楔状骨)において第1の中足骨210と第2の中足骨212との間のノッチ内に挿入され得る。支点本体は、第1の中足骨と第2の中足骨との間の基部圧縮を最小化するか、または回避するのに役立ちながら、それを中心に第1の中足骨210が回転し、かつ/または旋回できる点を提供することができる。加えて、支点本体を使用すると、第1の中足骨210および内側楔状骨222が、骨の端面上に位置決めされたガイドスロット(スペーサー本体と係合された骨形成ガイドの)に対してより良い角度になり、支点本体を使用しない場合よりもガイドスロットを通るより良い切断角度を提供することができる。これは、中足骨の最初の再整列後の第1の中足骨210の不要なスプリングバックまたはリターンポジショニングを低減するか、または排除するのに役立ち得る。
【0026】
図4Aおよび図4B(まとめて図4と呼ばれる)は、それぞれ、二平面器具10が第1の関節空間および交差する第2の関節空間内に位置決めされている例示的な骨位置決め操作の斜視図および上面図であり、第1および第2の関節空間を形成する骨が、1つ以上の隣接する骨に対して再整列されている。特に、図4は、接続またはブリッジ部材16を介して支点本体14に結合されたスペーサー本体12を有する二平面器具10を示す。スペーサー本体12は、第1の中足骨210の端と対向する内側楔状骨222との間の交差部に位置決めされている。支点本体14は、第1の中足骨210と第2の中足骨212との間に位置決めされている。二平面器具10は、任意選択的に、骨位置決めガイド20および骨形成ガイド30(図6)などの、他の外科用デバイスと組み合わせて使用され得る。例示的な骨位置決めガイド、骨形成ガイド、および関連技術に関する追加の詳細は、2015年12月28日出願の米国特許出願第14/981,335号、および2016年8月14日出願の米国特許出願第15/236,464号に説明されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
図4の例に示されるように、スペーサー本体12は、関節空間によって分離された中足骨(例えば、第1の中足骨210)および楔状骨(例えば、内側楔状骨222)の対向端などの、隣接する骨の対向端の間に位置決めされ得る。スペーサー本体12は、2つの骨の間の関節空間内に挿入されるように構成された長さ(例えば、本体の少なくとも一部分が関節空間の上に背側に突出している状態)、中足骨と対向する楔状骨との間に延在するように構成された厚さ(例えば、第1の中足骨210および内側楔状骨222がスペーサー本体の反対側に接触している状態)、および足を横切って内側から外側方向に延在するように構成された幅を画定し得る。
【0028】
スペーサー本体12は、関節空間を横切る任意の好適な場所に(例えば、前面において)位置決めされ得る。使用中のスペーサー本体12の特定の位置決めは、支点本体14に結合されたブリッジ部材16によって確立され得る。例えば、二平面器具10が関節空間内に挿入されるとき、ブリッジ部材16は、第1の中足骨210の近位横方向角または領域に接触し得る。これは、スペーサー本体12が関節空間を横切って内側にシフトし得る範囲を制限し、スペーサー本体を内側から外側向に(例えば、前額面において)固定するのに役立ち得る。他の例では、二平面器具10は、ブリッジ部材16によって画定される角が骨(例えば、第1の中足骨)に接触することなく、関節空間内に挿入することができる。
【0029】
図4に示されていないが、異なる例では、スペーサー本体12は、骨形成ガイド30と係合可能であり、かつそれから分離可能であってもよく、または骨形成ガイドと一体であってもよい(例えば、恒久的に結合されてもよい)。関節空間におけるスペーサー本体12の位置決めは、それに結合された骨形成ガイド30の位置決め、および、これに対応して、骨形成ガイドによって容易にされる骨形成器具のガイドを規定し得る。
【0030】
二平面器具10はまた、支点本体14を含む。支点本体14は、第1の中足骨210と第2の中足骨212との間の骨位置決めガイド20の遠位に、または他の用途では、ガイドの遠位に位置決めされ得る。示されるように、二平面器具10の支点本体14は、骨位置決めガイド20の近位に示され、支点本体は、第1の中足骨と第2の中足骨との間の関節空間内に(例えば、それぞれ、内側および中間楔状骨に当接している第1および第2の中足骨の端において)位置決めされている。さらに他の例では、支点本体14は、骨位置決めガイド20および/または骨形成ガイド30(図6)を使用せずに、第1の中足骨210と第2中足骨212との間の中足骨間空間内に位置決めされ得る。
【0031】
使用中、臨床医は、第1の中足骨を移動させる(例えば、骨位置決めガイド20を作動させるか、または骨を操作する他の手段によって)前の任意の時点で第1の中足骨210と第2の中足骨212との間に支点本体16を挿入し得る。一実施形態では、臨床医は、軟組織を解放するために、および/または第1の中足骨210の基部から足底炎症を切除するために、操作されている関節を形成する。隣接する骨の上に骨位置決めガイド20を設置する前または後のいずれかで、臨床医は、関節空間内に二平面器具10を挿入する。臨床医は、第1の中足骨210と内側楔状骨222との間の関節空間内にスペーサー本体12を挿入し得、また、第1の中足骨210と第2の中足骨212との間の関節空間内に支点本体14を挿入し得る。
【0032】
二平面器具10を挿入した後、臨床医は、骨位置決めガイド20を作動させ得る。図4に示されるような左足の場合、骨位置決めガイド20の作動は、第1の中足骨210を前額面で反時計回りに回転させ(患者の視点から)、また、支点本体を中心として横断面で旋回させる。右足(図示せず)の場合、作動は、第1の中足骨を前額面で時計回りに回転させ(患者の視点から)、また、支点を中心として横断面で旋回させる。したがって、両足について、骨位置決めガイド20の作動は、前額面で第1の中足骨を回外し、支点本体14を中心として横断面で第1の中足骨を旋回させ得る。
【0033】
骨位置決めガイド20(使用される場合)を作動させる前または後に、臨床医は、第1の中足骨210と内側楔状骨222との間の関節空間から突出するスペーサー本体12の一部分と骨形成ガイドを係合させ得る。スペーサー本体12は、それに骨形成ガイドを係合するのに有効な長さを有し得る。いくつかの実施態様では、臨床医は、二平面器具10を関節空間内に挿入した後、別個の取り外し可能な骨形成ガイド30をスペーサー本体12上に設置する。臨床医は、骨位置決めガイド20を取り付ける前または後に、骨形成ガイド30を取り付け得る。臨床医は、骨形成ガイド30を使用して、切断刃などの骨形成器具をガイドして、第1の中足骨210の端および内側楔状骨222の対向端を形成し得る。臨床医は、骨形成ガイド20を係合する前および/または後に骨の一端または両端を形成して、横断面および/または前額面などの、少なくとも1つの平面内で第1の中足骨210を移動させ得る。
【0034】
図5Aおよび図5B(まとめて図5と呼ばれる)は、それぞれ、二平面器具10の例示的な構成の斜視図および上面図である。この例に示されるように、器具10は、支点本体14に結合されたスペーサー本体12を含む。いくつかの例では、スペーサー本体12および支点本体14は、介在する結合部材なしで一緒に結合された交差する本体部材である。図5に示される例などの、他の例では、中間結合部材16は、スペーサー本体12を支点本体14に接合する。
【0035】
結合部材16は、スペーサー本体12と支点本体14との間に延在するブリッジの形態であり得る。使用中、スペーサー本体12は、第1の中足骨210と内側楔状骨222との間で、足の前額面内に延在するように構成され得る。支点本体14は、第1の中足骨210と内側中足骨212との間で、足の矢状面内に延在するように構成され得る。ブリッジ部材16は、前額面から矢状面に移行する二平面器具10の曲がったおよび/または角度のある領域を画定し得る。例えば、ブリッジ部材は、第1の中足骨210の近位側から中足骨の外側まで延在するように構成され得る。ブリッジ部材16を介してスペーサー本体12を支点本体14に結合することによって、2つの本体の互いに対する、および/または第1の中足骨210に対する、位置および配向が固定され得る。これは、使用中のそれぞれの本体の適切な位置決めを確実にするのに役立ち得る。
【0036】
概して、スペーサー本体12は、関節空間内に挿入されるように構成された長さ、関節空間を画定する骨の(中足骨と対向する楔状骨との)間に延在するように構成された厚さ、および関節空間の一部分または全部にわたって内側から外側方向に延在するように構成された幅を画定し得る。スペーサー本体12は、中足骨と対向する楔状骨との間の関節空間内に少なくとも部分的に延在するように構成された第1の部分40と、関節空間の上に延在するように構成された第2の部分42とを画定し得る。第2の部分42は、骨形成ガイドの受容空洞と係合するように構成され得るか、または骨形成ガイドに一体的に取り付けられ得る。
【0037】
支点本体14は、中足骨間空間内に挿入されるように構成された長さ、第1の中足骨210と第2の中足骨212との間に延在するように構成された厚さ、および足にわたって近位から遠位方向に延在するように構成された幅を画定し得る。支点本体14の厚さは、隣接する中足骨の間の空間内への支点本体14の挿入を容易にするために、前端に向かって先細になり得る。
【0038】
いくつかの例では、器具10は、ハンドル44を含む。ハンドル44は、支点本体14に加えて、または支点本体14の代わりにスペーサー本体12に接続され、かつそれから延在し得るが、支点本体14に動作可能に接続されているように示されている。ハンドル44は、使用中に器具に把持場所を提供し得る、二平面器具10から(例えば、支点本体14から)近位に突出する任意の構造であり得る。図5に示される例などのいくつかの例では、ハンドル44は、支点本体14から離れて角度を有して突出して、組織開創空間を画定し得る。組織開創空間は、支点本体14およびハンドル44の一方側によって、一方側で境界が定められた領域であり得る。使用中、本体支点14は、ハンドル44が、外科的切開から外に、組織が組織開創空間内に捕捉されている表皮層上に延在している状態で、中足骨間空間内に挿入され得る。例えば、支点本体14は、ハンドル44が、操作されている足の外側に向かって突出している状態で、中足骨間空間内に挿入され得る。組織開創空間は、組織を開創し、操作されている第1の中足骨および/または内側楔状骨から離れて横方向に組織を押すのに役立ち得る。
【0039】
組織開創空間を形成するために、ハンドル44は、支点本体14から離れて、例えば、ゼロ度の角度で直線的に、および/または非ゼロ度の角度で横方向に、突出し得る。本体14に対するハンドル44の特定の角度配向は、変動し得る。しかしながら、いくつかの例では、ハンドル44は、支点本体14に対して配向されているため、ハンドル軸は、支点本体の長さに沿って延在する軸と、20度~75度、または35度~55度などの、5度~85度の範囲の鋭角で交差する。
【0040】
概して、二平面器具10は、任意の好適な材料から製作され得る。異なる例では、器具は、金属、高分子材料、または複数の金属および/もしくは高分子材料の混成形態から製作され得る。加えて、スペーサー本体12および支点本体14は、概して、矩形断面形状を有するものとして例示されているが、一方または両方の本体は、異なる略多角形断面形状(例えば、正方形、六角形)および/または略弧状断面形状(例えば、円形、楕円形)を画定し得る。
【0041】
例えば、スペーサー本体12および/または支点本体14は、骨に接触する平面を画定し得るが、一方または両方の本体は、代替的に、骨に接触する非平面を有し得る。図5Cおよび図5Dは、それぞれ、凹状骨接触表面を画定する支点本体14の例示的な構成を示す、斜視図および断面図である。図5Eおよび図5Fは、それぞれ、凸状骨接触表面を画定する支点本体14の例示的な構成を示す、斜視図および断面図である。
【0042】
さらに別の例として、二平面器具10の支点本体14は、例えば、支点本体の足底端が支点本体の背側端よりもさらに内側に延在するように、または、代替的に、支点本体の足底端が支点本体の背側端よりもさらに外側に延在するように、矢状面内で角度付けされ得る。矢状面内で支点本体14を角度付けすることは、例えば、矢状面内で中足骨を再配向する傾向がある角度付き支点表面を提供することによって、移動した中足骨を背屈または底屈するのを助けるために有用であり得る。例示的な支点本体形状および/または外形構成の上記の議論は、本明細書に説明される技術においてスタンドアロン支点デバイスで用いられ得る(例えば、取り付けられたスペーサー本体を使用せずに)。
【0043】
いくつかの例では、二平面器具10(例えば、スペーサー本体12、支点本体14、ブリッジ部材16)は、例えば、恒久的かつ構造的に一緒に統合されるように構成要素をフライス加工、鋳造、またはモールド成形することによって、単一構造として形成される。他の例では、1つ以上の特徴は、後で一緒に接合される別個の構成要素として製作され得る。
【0044】
いくつかの例では、二平面器具10は、中足骨が2つまたは3つの平面などの1つ以上の平面において隣接する楔状骨および/または中足骨に対して再整列される中足骨再整列処置の一部として使用される。器具10を使用することができる骨再整列技術およびデバイスの例に関する追加の詳細が、2015年12月28日に出願され、2017年4月18日に発行された「BONE POSITIONING AND PREPARING GUIDE SYSTEMS AND METHODS」と題された米国特許第9,622,805号、2016年7月14日に出願され、2018年4月10日に発行された「BONE POSITIONING GUIDE」と題された米国特許第9,936,994号、および2016年8月14日に出願された「TARSAL-METATARSAL JOINT PROCEDURE UTILIZING FULCRUM」と題された米国特許公開第2017/0042599号に記載されている。これらの文献の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
図6Aおよび図6B(まとめて図6と呼ばれる)は、それぞれ、二平面器具10を伴う外科的処置の一部として使用され得る例示的な骨形成ガイド30を示す、斜視図および上面図である。いくつかの例では、骨形成ガイド30は、第1の形成面を画定するための第1のガイド面34、および第2の形成面を画定するための第2のガイド面36を画定する本体32を含む。組織除去器具(例えば、のこぎり、回転バー、オステオトームなど、図示せず)を表面に整列させて組織を除去することができる(例えば、軟骨もしくは骨を除去し、かつ/または骨を切断する)。第1および第2のガイド面34、36は、ある距離(例えば、約2ミリメートル~約10ミリメートル、例えば、約4~約7ミリメートル)だけ互いに離間させることができる。異なる構成では、第1および第2のガイド表面は、互いに平行であるか、または互いに対して角度付けされ得、それにより、ガイド表面を使用する隣接する骨に対する切断は、概して、互いに平行であるか、または角度付けされることになる。
【0046】
いくつかの構成では、第1および第2のガイド表面34、36は、ガイドスロットを画定するために対向表面によって境界が定められている。各スロットは、骨端を形成するための組織除去器具を受容するようにサイズ決めされ得る。いずれの場合も、開口部38が、スペーサー本体12を受容するために、骨形成ガイド30の本体32内に画定され得る。使用中、臨床医は、第1の中足骨210と内側楔状骨222との間、および第1の中足骨210と第2の中足骨212との間の関節空間内に二平面器具10を挿入し得る。次いで、臨床医は、例えば、開口部38を関節空間から背側に突出するスペーサー本体12の一部分と整列させることによって、器具のスペーサー本体12に骨形成ガイド30を挿入し得る。あるいは、上記のように、骨形成ガイド30および二重器具10は、二平面器具10を隣接する骨の間の関節空間に挿入することが、形成されることになる1つ以上の骨の上に骨形成ガイド30を同時に位置決めするように、事前に組み立てられ得る(例えば、一緒に取り外し可能に結合されるか、または恒久的かつ固定的に一緒に接合される)。
【0047】
示される例では、骨形成ガイド30は、第1の中足骨210の上に位置決めされた第1の端、および内側楔状骨222の上に位置決めされた第2の端から延在する。本体の一端または両端は、骨形成ガイド30を1つ以上の骨に固設するための固定ピンを受容するように構成された1つ以上の固定開口を画定し得る。
【0048】
骨形成ガイド30によって容易にされた骨形成は、例えば、関節によって分離された隣接する骨の前縁、または骨整列および/もしくは融合処置などにおいて、骨折によって分離された単一の骨の異なる部分の間の接触を容易にするために有用であり得る。骨は、1つ以上の骨形成技術を使用して形成することができる。いくつかの用途では、骨は骨を切断することによって形成される。骨を横方向に切断して、反対側の骨部分に面する新しい骨端を確立することができる。追加的または代替的に、骨は、骨の端部を細片化することによって形成され得る。骨端は、回転バー、オステオトーム、ドリルなどの任意の好適なツールを使用して細片化することができる。骨端は、対向する骨部分との変形可能な接触を容易にするために、骨端をすり潰し、穴をあけ、破砕し、パルプ化し、かつ/または小さな欠片に破壊することによって細片化することができる。
【0049】
二平面器具10を利用する外科技術の間に、骨は、解剖学的にずれた位置から別の骨に対して解剖学的に整列された位置に移動され得る。さらに、移動された骨の端部および隣接する端部の対向する端部の両方が、固定のために形成され得る。いくつかの用途では、移動された骨および/または他の骨の少なくとも1つの端部は、骨を整列された位置に移動した後に形成される。他の用途では、移動された骨および/または他の骨の少なくとも1つの端部は、骨を整列された位置に移動する前に形成される。さらに他の用途では、移動された骨の一方および他方の骨の端は、骨を整列された位置に移動する前に形成されるが、反対側に面する骨(移動された骨または他の骨のいずれか)の端は、骨を整列された位置に移動した後に形成される。
【0050】
別の骨に対する一方の骨の移動は、1つ以上の器具および/または技術を使用して達成することができる。いくつかの例では、骨の移動は、例えば、1つ以上の移動する構成要素を通じて1つの骨に力を加え、その力に応答して骨を並進および/または回転させる骨位置決めデバイスを使用して達成される。これは、例えば、骨係合部材、先端、骨係合部材と先端を互いに向かって押し付ける機構、および機構を作動させるアクチュエータを含む骨位置決めガイドを使用して達成することができる。追加的または代替的に、骨の移動は、圧縮伸延器が実質的に平行なピン上に位置決めされるときに、1つの骨の別の骨に対する移動を付与し、ピンをそれらの実質的に平行な整列から移動させ、1つの平面(例えば、前額面、矢状面、横断面)、2つ以上の平面、または3つすべての平面において、下にある骨の移動をもたらすことによって、圧縮伸延器を使用して達成することができる。なおさらなる追加または代替として、臨床医は、骨との直接接触によって、または間接的に(例えば、Kワイヤの挿入、テナキュラムによる把持など)のいずれかによって骨を物理的に把持し、自身の手を動かして骨を移動することによって移動を容易にすることができる。
【0051】
使用時、臨床医は、第1の中足骨を移動させる(例えば、骨位置決めガイドを作動させるか、または骨を別様に操作することによって)前の任意の時点で、第1の中足骨210と第2の中足骨212との間、および第1の中足骨210と内側楔状骨222(または第1の中足骨再整列を実施していないとき、他の隣接する骨)との間に二平面器具10を挿入し得る。一実施形態では、臨床医は、軟組織を解放するために、および/または第1の中足骨210の基部から足底炎症を切除するために、操作されている関節を形成する。任意選択の骨位置決めガイドを隣接する骨に設置する前または後に、臨床医は、器具10を第1の中足骨と第2の中足骨との間の関節、および第1の中足骨と内側楔状骨との間の関節に挿入する。臨床医は、その後、骨位置決めガイド20を作動させ得る(例えば、使用される場合)。第1の中足骨の遠位部分は、横断面で第2の中足骨に向かって移動して、IMAを閉じ、それによって、支点本体14を中心として第1の中足骨の近位部分を旋回させ、第1の中足骨と第2の中足骨の間のIMAを縮小し得る。支点本体14の使用は、操作されている隣接する骨の間の基部圧縮を最小化または排除し得る。
【0052】
臨床医は、追加的に、骨形成ガイド30をスペーサー本体12と係合させ、骨形成ガイドを使用して、第1の中足骨210の端および内側楔状骨222の端を形成し得る。臨床医は、第1の中足骨を1つ以上の平面に移動する前または後に、一方または両方の骨の端を形成し得る(例えば、骨形成ガイド30を使用して)。いずれの場合も、臨床医は、任意選択的に、移動された位置を第1の中足骨210および隣接する骨(例えば、第2の中足骨212、内側楔状骨222)に暫定的に固定し得る(例えば、kワイヤまたは他の固定要素を挿入することによって)。臨床医は、例えば、任意選択的に暫定的に固定する前または後に、骨位置決めガイド20および二平面器具10を足から除去し得る。いずれの場合も、臨床医は、形成された骨端を恒久的に固定して、形成された骨端を一緒に融合させ得る。
【0053】
1つの例示的な技術では、従来の外科的形成およびアクセスの後、骨形成器具を関節(例えば、第1の足根骨中足骨関節)に挿入して、軟組織を解放し、かつ/または第1の中足骨210の基部から足底炎症を切除することができる。足底炎症を切除することは、第1の中足骨210から足底炎症を切断することを伴い得るので、第1の中足骨の面は概して平面である。このステップは、関節を移動させて変形の矯正を容易にするのに役立つ。いくつかの実施形態では、第1の中足骨の背外側炎症もまた、変形矯正のための空間を作成するために切除され得る(例えば、第1の中足骨の回転に対して)。特定の実施形態では、内側楔状骨に面する中足骨基部の部分は、この移動させるステップ中に除去することができる。
【0054】
切開を行うことができ、骨位置決め器具を使用する場合は、骨位置決めガイド20の一端(例えば、先端)を、第2の中足骨212などの第1の中足骨210以外の中足骨の外側に挿入する。先端は、第2の中足骨212の基部および第3の中足骨294界面に近位に位置決めされ得る。
【0055】
任意選択の骨位置決めガイド20を取り付ける前または後に、臨床医は、二平面器具10を関節内に挿入し得る。臨床医は、スペーサー本体12を第1の中足骨210と内側楔状骨222との間の関節空間内に位置決めし得るが、同時に、支点本体14を第1の中足骨210と第2の中足骨212との間の関節空間内に位置決めする。
【0056】
二平面器具10がブリッジ部材16を含むとき、ブリッジ部材は、第1の中足骨210の近位横方向角と接触して位置決めされ、スペーサー本体12および支点本体14を互いに対して適切に位置決めするのに役立ち得る。例えば、ブリッジ部材16は、第1の中足骨210と内側楔状骨222との間の関節空間の実質的に中央、または外側半分にスペーサー本体12を位置決めし得る。ブリッジ部材16は、中足骨の基部(例えば、隣接するそれぞれの楔状骨)で第1の中足骨210と第2の中足骨212との間のノッチ内に支点本体14をさらに位置決めし得る。支点本体14は、第1の中足骨と第2の中足骨との間の基部圧縮を最小化するか、または回避するのに役立ちながら、それを中心に第1の中足骨210が回転し、かつ/または旋回できる点を提供することができる。
【0057】
骨位置決めガイド20を利用する用途では、骨位置決めガイドの1つ以上の移動可能な特徴は、角度(第1の中足骨と第2の中足骨との間の横断面角度)を低減し、第1の中足骨をその軸を中心として回転させる(前額面軸回転)ように移動され得る。第1の中足骨210は、骨位置決めガイド20の先端に対して骨位置決めガイド20の骨係合部材を移動させることによって、内側楔状骨222に対して適切に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、このような移動は、楔状骨に対して第1の中足骨を同時に旋回させ、その長手方向軸を中心に第1の中足骨を解剖学的に正しい位置に回転させて、横断面変形および前額面変形を矯正する。他の計装および/または非計装アプローチを使用して、内側楔状骨222に対する第1の中足骨210の位置を調整することができる。したがって、二平面器具10を利用する他の用途は、骨位置決めガイド20を利用せずに、および/または本明細書に示される特定の例とは異なる設計を有する骨位置決めガイドを使用せずに、実施され得る。
【0058】
骨位置決めガイド20が使用されるか否かに関係なく、例示的な技術は、図6に示されるように、スペーサー本体12上に骨形成ガイド30を位置決めすることを含み得る(骨形成ガイドがスペーサー本体と一体でない場合)。第1の中足骨210と内側楔状骨222との間の関節空間から背側に突出するスペーサー本体12の一部分は、骨形成ガイド30の開口部38内で受容され得る。1つ以上の固定ピンが、骨形成ガイド30の開口内に挿入されて、ガイドを第1の中足骨210および内側楔状骨222に固設し得る。骨形成ガイド30が二平面器具10とともに事前に組み立てられている(例えば、それに取り外し可能に結合されているか、またはそれに固定的、かつ恒久的に結合されている)とき、関節空間への二平面器具10の挿入は、ガイド表面を使用して形成される(例えば、切断される)1つ以上の骨表面上に骨形成ガイド30の1つ以上のガイド表面を同時に位置決めし得る。
【0059】
いくつかの用途では、内側楔状骨222に面する第1の中足骨210の端部は、骨形成ガイド30のガイド面によってガイドされる組織除去器具で形成することができる(例えば、第1のガイド面および最初に面する表面によって画定されたスロットを通して挿入される)。いくつかの実施形態では、第1の中足骨210の端形成は、例えば、骨位置決めガイド20を作動させるか、または第1の中足骨を別様に移動させることによって、骨を少なくとも部分的に整列した後であるが、第1の中足骨210の端を形成した後に行われる。他の実施形態では、第1の中足骨210の端形成は、骨の整列の前に行われる。
【0060】
第1の中足骨210の端部を形成することに加えて、第1の中足骨210に面する内側楔状骨222の端部は、骨形成ガイド30のガイド面によってガイドされる組織除去器具で形成することができる(例えば、第2のガイド面および第2の対向面によって画定されたスロットを通して挿入される)。いくつかの実施形態では、内側楔状骨222の端部形成は、骨の整列後に行われる。さらに他の実施形態では、内側楔状骨222の端部形成は、骨の整列の前に行われる。骨または軟骨の切断を含む実施形態では、楔状骨の切断および中足骨の切断は、平行で、一致する切断であり得るか、または切断は、互いに対して角度付けされ得る。いくつかの例では、鋸刃を第1のスロットを通して挿入して内側楔状骨の一部分を切断することができ、鋸刃を第2のスロットを通して挿入して第1の中足骨の一部分を切断することができる。
【0061】
骨形成ガイド30が二平面器具10から分離可能であるとき、任意の角度のある/収束するピンが除去され得、骨形成ガイド30は、骨内に同様に挿入された実質的に平行な第1および第2のピンから持ち上げられ得る(またはすべての固定ピンが除去され得る)。二平面器具10(または器具の少なくともスペーサー本体12)は、足から除去され得る。いくつかの例では、圧縮伸延器は、骨に残っているか、または骨に別様に取り付けられた平行ピンの上に下向きに位置決めされる。
【0062】
骨位置決めガイド20が利用される用途では、骨位置決めガイドは、骨形成ガイド30が除去され、かつ使用される場合、圧縮伸延器が設置される前または後に、除去され得る。いずれの場合も、いくつかの例では、オリーブピン、kワイヤ、または他の固定構造などの一時的な固定デバイスは、例えば、骨形成ガイド30が除去され、かつ、任意選択的に、圧縮伸延器が設置されている間、および/または恒久的な固定中に、下にある骨(例えば、内側楔状骨222に対する第1の中足骨210)の位置を維持するために使用され得る。
【0063】
圧縮伸延器が、下にある骨(例えば、第1の中足骨210および内側楔状骨222)にピン留めされるとき、圧縮伸延器は、下にある骨を伸延するために作動され得る。下にある骨が伸延された状態で、臨床医は、骨の間の空間および/または一方もしくは両方の骨の端面を洗浄するか、さもなければ形成することができる。臨床医は、過剰な軟骨、骨、および/または元々存在し得るか、または注入物を阻害し得る骨形成ステップ中に作成されたかもしれない他の細胞破片を除去することによって、空間を洗浄することができる。
【0064】
臨床医が洗浄のために下にある骨を伸延するように圧縮伸延器100を利用するか否かとは無関係に、臨床医は、内側楔状骨に向かって第1の中足骨を圧縮するために圧縮伸延器を係合させ得る。
【0065】
端面が一緒に押し付けられた状態で(任意選択的に、圧縮伸延器の作動を介して)、臨床医は、骨または骨部分を一緒に暫定的および/または恒久的に固定し得る。例えば、異なる平面に位置決めされた2つの骨プレートなど、1つ以上の骨固定デバイスを、関節を横切って2つの骨に適用して、融合のために関節を安定化させることができる。例えば、第1の骨プレートが、第1の中足骨および内側楔状骨の背内側に位置決めされ、第2の骨プレートが、第1の中足骨および内側楔状骨の内側足底側に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、固定に使用される骨プレートは、楔状骨の内側から関節空間を横切る第1の中足骨の足底側に位置決めされたらせん状の骨プレートであり得る。プレートは骨ねじを挿入することで適用できる。第1の骨プレート310および/または第2の骨プレート320として使用できる骨プレートの例は、「Bone Plating System and Method」と題され、参照により本明細書に組み込まれる、2016年1月7日に出願された米国特許公開第2016/0192970号に記載されている。骨固定デバイスの構成の他のタイプを使用することができ、本開示はこの点に関して限定されない。例えば、骨プレートに加えて、または骨プレートの代わりに、髄内ピンまたは釘が使用され得る。
【0066】
二平面器具10のスペーサー本体12および支点本体14は、恒久的に一緒に結合されてもよい(例えば、スペーサー本体が、デバイスを恒久的に破壊または改造せずに互いに分離することができないように)。あるいは、スペーサー本体12は、支点本体14に取り外し可能に接続されてもよい。そのような構成は、支点本体14を関節空間内に残したまま(または他の分離措置を実施して)、スペーサー本体12が関節空間から除去されること、またはその逆を可能にし得る。
【0067】
一実施態様では、例えば、臨床医は、二平面器具10を関節空間内に挿入し、次いで、1つの骨を別の骨に対して再整列させ得る。骨が互いに対して再整列されると、支点本体14は、表面を提供し、それに沿って、隣接する骨が、摺動し得る、および/または再整列中の隣接する骨間の圧縮もしくは基部シフトを防止し得る。骨を互いに対して再整列させた後、臨床医は、スペーサー本体12を支点本体14から取り外して、スペーサー本体12を関節空間に残し得る。次いで、骨形成ガイド30は、スペーサー本体12上に設置されて、一方または両方の骨の形成を容易にし得る。
【0068】
別の例として、臨床医は、二平面器具10を関節空間内に挿入し、次いで、二平面器具10のスペーサー本体12上に骨形成ガイド30を挿入し得る(骨形成ガイドおよび器具が別々に設置される場合)。次いで、臨床医は、骨形成ガイド30を使用して、その後の再整列の前に、一方または両方の骨の端面を形成し得る。一方または両方の骨の端面が好適に形成されると、臨床医は、骨形成ガイド30を除去し、スペーサー本体12を支点本体14から取り外し得る。次いで、スペーサー本体12が関節空間から除去され、その後の骨再整列のために隣接する骨間に支点本体14を残し得る。
【0069】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ、スペーサー本体12が支点本体14から取り外し可能であり、かつそれに取り付け可能である、二平面器具10の例示的な構成の斜視図および上面図である。この例では、ブリッジ部材16は、スペーサー本体12に恒久的に取り付けられ、支点本体14の対応する受容部分に挿入可能な挿入端を画定する。スペーサー本体12およびブリッジ部材16は、スペーサー本体およびブリッジ部材を長手方向に(例えば、足に挿入されたときに背側方向に)摺動させることによって、支点本体14から取り外され、スペーサー本体およびブリッジ部材が支点本体から取り外されることを可能にし得る。
【0070】
他の構成では、ブリッジ部材16は、支点本体14に取り付け可能であり、かつそれから取り外し可能であることに加えて、またはその代わりに、スペーサー本体12に取り付け可能であり、かつそれから取り外し可能であってもよい。さらに他の構成では、二平面器具10は、ブリッジ部材を含まなくてもよいが、代わりに、支点本体14に直接接続されたスペーサー本体12で構成されてもよい。これらの構成では、スペーサー本体12および支点本体14は、2つの本体が互いに取り付け可能および取り外し可能であることを可能にする、対応する接続を有し得る。概して、互いに取り外し可能に結合されている(例えば、取り付け可能および取り外し可能)と説明されている任意の特徴は、特徴が一緒に選択的に接合され、かつ互いに分離されることを可能にする、相補的接続特徴(例えば、対応する雄および雌の接続特徴、対応する磁気特徴)を有し得る。
【0071】
スペーサー本体12および支点本体14が互いに取り外し可能であるか否かに関係なく、二平面器具10は、2つの異なる本体を互いに接合して位置決めし得る。スペーサー本体12と支点本体14との間の相対角度は、所望の用途(例えば、二平面器具10が挿入されることが意図される解剖学的場所および/または二平面器具10が使用される特定の患者の解剖学的構造)に依存して変動し得る。いくつかの例では、二平面器具10は、60度~120度の範囲、例えば、80度~100度、または約90度のスペーサー本体12と支点本体14との間の内角(ブリッジ部材16の有無にかかわらず)を画定する。スペーサー本体12と支点本体14との間の角度は、固定され得るか(角度は、使用中に臨床医によって調整可能または操作可能であるように意図されていないように)、または可変であり得る(角度は、挿入前および/または器具が使用される処置を受ける患者に挿入される間、外科部位内で臨床医によって調整され得るように)。
【0072】
いくつかの例では、スペーサー本体12と支点本体14との間の角度は、例えば、スペーサー本体が、それらの間で画定された角度で支点本体と交差する、急勾配によって画定される。他の例では、二平面器具10は、スペーサー本体12と支点本体14との間で移行する曲率半径を画定し、交差の角度は2つの本体の面の間で画定される。例えば、図5Bおよび図7Bに示された例では、二平面器具10は、スペーサー本体12と支点本体14との間に曲率半径を有するように示されている。スペーサー本体12と支点本体14との間に湾曲した移行部(少なくとも器具の裏側)を有して二平面器具10を構成することは、例えば、挿入中に患者の組織に引っ掛かり得る鋭利な縁を最小化することによって、器具を患者に挿入するのを助けるように、平滑表面を提供するために有用であり得る。
【0073】
二平面器具10がスペーサー本体12と支点本体14との間の固定角度で構成されるとき、器具は、臨床医が器具の使用中に2つの本体間の角度を変化させることを実質的に阻止するために有効な材料で製作され、かつ材料厚さを有し得る。同様に、二平面器具10に付随する使用法は、器具が、スペーサー本体12と支点本体14との間の角度を操作することなく使用されることを意図されていることを示し得る。
【0074】
他の構成では、スペーサー本体12と支点本体14との間の角度は、臨床医によって調整可能であり得る。例えば、二平面器具10に付随する使用法は、患者内に器具を挿入する前および/または後で、臨床医が、スペーサー本体12および支点本体14の互いに対する位置を調整することができることを示し得る。一例では、二平面器具10は、臨床医が使用中にスペーサー本体12と支点本体14との間の角度を変化させることを可能にするために有効な材料で製作され、かつ材料厚さを有し得る。例えば、二平面器具10(例えば、器具のブリッジ部材16)は、臨床医が、スペーサー本体12と支点本体14との間の角度を変化させるために、手の圧力下で(例えば、曲げツールなどの器具の支援の有無にかかわらず)操作し得る可鍛性金属および/または高分子材料で製作され得る。
【0075】
追加的または代替的に、二平面器具10は、1つ以上の可撓性ジョイント(例えば、回転ジョイント)を含み得、これは、スペーサー本体12の角度位置が支点本体14に対して調整されることを可能にする。一例として、スペーサー本体12は、1つ以上のケーブルを介して支点本体14に動作可能に接続されて、スペーサー本体12および支点本体14の角度配向が、1つ以上のケーブルを曲げることによって変化することを可能にし得る。別の例として、スペーサー本体12は、ヒンジ接続を介して支点本体14に動作可能に接続されて、スペーサー本体および支点本体が、ヒンジを中心として互いに対して回転することを可能にし得る。
【0076】
図8Aおよび図8Bは、それぞれ、器具がスペーサー本体12と支点本体14との間のヒンジ接続50で構成される、二平面器具10の例示的な構成の正面図および背面斜視図である。示された構成では、スペーサー本体12は、ヒンジ50を介して支点本体14に直接接続されている。他の実施形態では、スペーサー本体12は、ブリッジ部材16にヒンジでまたは固定的に接続され得、次いで、ブリッジ部材16はヒンジ接続の有無にかかわらず(例えば、ヒンジ接続または固定接続)、支点本体14に接続される。ヒンジ接続50を用いて二平面器具10を構成することは、スペーサー本体12が支点本体14に対して回転することを可能にするために有益であり、2つの構成要素間の相対角度が調整されることを可能にし得る。
【0077】
使用時、臨床医は、患者の関節空間内に挿入する前、挿入中、および/または挿入後に、スペーサー本体12と支点本体14との間の角度を調整し得る。これは、スペーサー本体12と支点本体14との間の角度が、治療される条件の必要性および/または処置を受ける患者の特定の解剖学的構造に基づいて調整されることを可能にし得る。臨床医は、上述のように、スペーサー本体12が挿入される関節空間を画定する骨の一方または両方の端面を形成する前および/または後に、ヒンジ50を中心としてスペーサー本体12および支点本体14を互いに対して回転させ得る。
【0078】
いくつかの構成では、スペーサー本体12および支点本体14は、回転から無制限の範囲について互いに対して回転し得る(例えば、スペーサー本体12の内面が支点本体14の内面に接触する第1の位置から、スペーサー本体の外面が支点本体の外面に接触する第2の位置まで)。他の構成では、スペーサー本体12および支点本体14は、回転の制限された範囲内で互いに対して回転し得る。例えば、二平面器具10は、スペーサー本体12と支点本体14との間の回転の程度を制限する1つ以上の回転停止部を含み得る。
【0079】
図9A図9Dは、二平面器具10のスペーサー本体12と支点本体14との間の例示的な相対回転位置を示す。図9Aは、支点本体14に対して垂直に(+90度の角度で)延在しているスペーサー本体12を示す。図9Bは、支点本体14に対して鋭角に位置決めされたスペーサー本体12を示す。図9Cは、支点本体14に対して鈍角に位置決めされたスペーサー本体12を示す。さらに、図9Dは、支点本体14に対して反対側の垂直方向に(-90度の角度で)延在するスペーサー本体12を示す。
【0080】
図9A図9Dに示されるように、スペーサー本体12は、少なくとも180度の回転弧などの、90度超の回転弧を介して回転するように構成され得る。例えば、スペーサー本体12は、支点本体14に対して少なくとも+45度から支点本体に対して-45度までの角度を画定するヒンジ50によって画定された回転軸を中心として支点本体14に対して回転し得る。結果として、スペーサー本体12および支点本体14の位置は、逆転可能であり得る。これは、単一の器具10が、患者の右足および左足の両方で使用されることを可能にするために有用であり得る。スペーサー本体12の位置は、器具10が右足または左足のどちらで使用されることを意図されているかに依存して、回転し得る(例えば、約180度)。
【0081】
上で論じられたように、二平面器具10は、スペーサー本体12を含む。スペーサー本体12は、隣接する骨間の関節空間(例えば、中足骨と楔状骨との間のTMT関節)などの、2つの骨部分の間の空間に位置決めされるようにサイズ決めおよび形状決めされ得る。スペーサー本体12は、隣接する骨部分の間の空間内に挿入可能な第1の部分と、骨部分の間の空間の上に突出する第2の部分と、を含み得る。空間の上に突出する第2の部分は、骨形成ガイドなどの外科用器具に結合されて、スペーサー本体12が挿入される空間を画定する骨部分上における外科用器具の位置決めを制御し得る。
【0082】
外科用器具(以下で、議論の目的で骨形成ガイド30を参照して説明される)をスペーサー本体12と係合させるために、外科用器具は、スペーサー本体が挿入される関節空間の上に突出する、スペーサー本体12の部分を受容するように構成された受容開口部を有し得る。したがって、受容開口部およびスペーサー本体は、スペーサー本体が外科用器具の受容開口部内に挿入されること、および/またはそれを通して挿入されることを可能にするために、互いに対してサイズ決めおよび形状決めされ得る。いくつかの構成では、外科用器具の受容開口部は、その中に挿入されるスペーサー本体12のサイズに一致するようにサイズ決めされる(例えば、一旦、スペーサー本体が外科用器具内に挿入されると、スペーサー本体と外科用器具との間に相対移動がほとんどまたはまったく存在しないように)。他の構成では、一旦、スペーサー本体が外科用器具の受容開口部内に挿入されたとしても、外科用器具は、スペーサー本体と外科用器具との間の相対移動を可能にするようにサイズ決めされ得る。
【0083】
図10A図10Cは、骨形成ガイドが二平面器具のスペーサー本体に対して移動するように構成されている、二平面器具10および骨形成ガイド30を含む例示的なシステムを示す。図10Aおよび図10Bは、それぞれ、第1の位置で骨形成ガイド30の受容開口部38内に挿入された二平面器具10のスペーサー本体12を示す、斜視図および上面図である。図10Cは、第1の位置に対して横断面内で移動される第2の位置で骨形成ガイド30の受容開口部38内に挿入された二平面器具10のスペーサー本体12を示す上面図である。
【0084】
図10A図10Cの例に示されるように、骨形成ガイド30の開口部38は、1つ以上の寸法(例えば、1つのみ)で開口部内に受容されたスペーサー本体12の部分よりも大きいサイズである。特に、示される例では、骨形成ガイド30の開口部38は、例えば、TMT関節上に設置されたときに、横断面におけるスペーサー本体12に対する骨形成ガイド30の直線移動を容易にするようにサイズ決めされる。骨形成ガイド30の開口部38は、開口部内に挿入されたスペーサー本体12の長さよりも長い領域52を有する。結果として、骨形成ガイド30は、スペーサー本体12に対して摺動することができ、一方、スペーサー本体は、開口部を通って上向きに突出する。これは、一旦、骨形成ガイドが関節空間内に挿入されたスペーサー本体上に設置されても、臨床医が、形成される1つ以上の骨端に対して骨形成ガイドの1つ以上のガイド表面34、36を再位置決めすることを可能にするために有用であり得る。
【0085】
図10Aおよび図10Bは、スペーサー本体12よりも大きい開口部38の領域52がスペーサー本体の外側に位置するように、最も外側(足の上に位置決めされたとき)に並進された骨形成ガイド30を示す。図10Cは、スペーサー本体12よりも大きい開口部38の領域52がスペーサー本体の内側に位置するように、最も内側(足の上に位置決めされたとき)に並進された骨形成ガイド30を示す。臨床医はまた、スペーサー本体12の内側と外側との間に分割される、スペーサー本体12よりも大きい開口部38の領域52内の1つ以上の中間位置に骨形成ガイド30を移動させ得る。
【0086】
いくつかの構成では、開口部38は、骨形成ガイドがスペーサー本体12に対して少なくとも0.5mm、例えば、少なくとも1mm、少なくとも2mm、または少なくとも5mmの距離を並進し得るように、スペーサー本体12のサイズに対してサイズ決めされる。例えば、開口部38は、その中に受容されるスペーサー本体12の部分に対して、スペーサー本体の長さよりも0.5mm~25mm長くなるように、例えば、1mm~10mm長くなるようにサイズ決めされ得る。これは、骨形成ガイドとスペーサー本体との間で、0.5mm~25mmの相対移動、例えば、1mm~10mmの相対移動を可能にし得る。骨形成ガイド30がTMT関節上に設置されると、骨形成ガイドは、スペーサー本体のサイズに対する開口部38の余分な長さを利用して、横断面において(内側から外側方向に)スペーサー本体12に対して移動され得る。
【0087】
いくつかの例では、骨形成ガイド30の開口部38は、横断面における相対移動を可能にすることに加えて、またはその代わりに、前額面および/または矢状面における骨形成ガイドとスペーサー本体との間の相対移動を可能にするように、スペーサー本体12に対して構成(例えば、サイズ決めおよび/または形状決め)される。他の例では、スペーサー本体12および骨形成ガイド30は、1つ以上の平面内における互いに対する移動を阻止するように構成される。スペーサー本体12および骨形成ガイド30は、1つ以上の平面における移動を防止または制限するために2つの特徴を互いに対してサイズ決めおよび/または形状決めすることによって、1つ以上の平面における互いに対する移動を阻止するように構成され得る。
【0088】
図8Aおよび図8Bをさらに参照すると、二平面器具10は、スペーサー本体12の残りの部分から外向きに突出する棚54を含むように示されている。棚54は、スペーサー本体12の残りの部分と比較して厚さが増加した領域であり得る。棚54は、図8Aおよび図8Bの例に示されるように、スペーサー本体12の残りの部分から外向きに、スペーサー本体の1つの側部(例えば、前面)またはスペーサー本体の複数の側部(例えば、前面および後面)から延在し得る。棚54は、隣接する骨間の関節空間内に挿入可能であるスペーサー本体の部分の上に位置し得る。言い換えると、棚54は、骨形成ガイド30の開口部38内に挿入可能であるスペーサー本体12の部分に位置し得る。スペーサー本体12を棚54と構成することによって、棚54の領域におけるスペーサー本体12の増加した厚さは、前額面および/または矢状面(足に設置されたとき)におけるスペーサー本体と骨形成ガイドとの間の相対移動を防止または排除し得る。結果として、骨形成ガイド30は、横断面方向にスペーサー本体12に対して並進し得るが、前額面および/または矢状面においてスペーサー本体に対して実質的に固定された配向にあり得る。
【0089】
図8Aおよび図8Bに示された例では、二平面器具10はまた、スペーサー本体12の片面または両面から外向きに延在する突起56を有するように例示されている。突起56は、スペーサー本体12を上から見たときにブルズアイ(例えば、X字形またはT字形の交差部)を形成し得る。これは、スペーサー本体が関節空間内のどこに、および/または骨形成ガイド30に対してどこに位置するかを臨床医が解釈するのに役立つように、透視下でスペーサー本体12を視覚化するときに有用であり得る。
【0090】
二平面器具10は、概して、中足骨間空間内に移行する対向する骨端間の空間内への挿入に有用であると説明されてきたが、器具は、任意の所望の用途で使用され得、本開示は、この点に関して限定されない。例えば、二平面器具10は、異なる骨部分の間に位置決めされ得る、および/または上で明示的に論じられたものとは異なる関節空間内に挿入され得る。さらに、二平面器具10は、概して、第1の関節空間内に位置決めされるように構成されたスペーサー本体12と、第1の関節空間と交差し、かつそれに対して角度付けされた第2の関節空間内に位置決めされるように構成された支点本体14と、を有するものとして説明されてきたが、二平面器具は、関節空間内に位置決めされた(および/または異なる骨部分の間に位置決めされた)スペーサー本体12および支点本体14のうちの一方のみで使用されてもよい。
【0091】
1つの例示的な用途として、二平面器具10は、足関節全置換処置に利用され得る。一方の本体(例えば、スペーサー本体12または支点本体14)は、冠状面において距骨と脛骨との間に、かつ前額面に平行に挿入され得る。他方の本体は、内側の矢状面における脛骨と距骨との間、または外側の腓骨と距骨との間に挿入され得る。
【0092】
別の例示的な用途として、二平面器具10は、膝関節全置換処置に利用され得る。一方の本体(例えば、スペーサー本体12または支点本体14)は、脛骨と大腿骨との間に挿入され得、他方の本体は、大腿骨または脛骨の軸と切断ガイドを整列するために、大腿骨の内側もしくは外側顆または脛骨の脛骨プラトーのいずれかの周囲に位置決めされ得る
【0093】
またさらなる例示的な用途として、二平面器具10は、肘関節全置換処置に利用され得る。尺骨または橈骨切除のいずれかのために、一方の本体(例えば、スペーサー体12または支点本体14)は、尺骨と上腕骨との間に挿入され得る。他方の本体は、いずれかの骨に対する切断の角度を設定するために、骨の内側または外側(尺骨または上腕骨)のいずれかの周囲に位置決めされ得る。
【0094】
様々な実施例を記載してきた。これらおよび他の実施例は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
【国際調査報告】