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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(54)【発明の名称】熱保護装置を備えたクランプ組立体
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/00 20060101AFI20221004BHJP
   F16L 33/06 20060101ALI20221004BHJP
   F16L 3/12 20060101ALI20221004BHJP
   F16L 59/07 20060101ALI20221004BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F16L3/00 E
F16L33/06
F16L3/12 A
F16L59/07
F16B2/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507855
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2020071795
(87)【国際公開番号】W WO2021023704
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】102019121432.7
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー, マーカス
(72)【発明者】
【氏名】ゲッペルト, ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ランツマン, ナタン
【テーマコード(参考)】
3H023
3H036
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AC51
3H023AD08
3H023AD26
3H036AA09
3H036AB32
3H036AB44
3H036AC04
3H036AD03
3J022DA12
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022FA01
3J022FA05
3J022GA02
3J022GA12
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB53
3J022GB56
(57)【要約】
本発明は、クランプバンド(22)を有するクランプ(14)と、クランプバンド(22)を緊張させるためのクランプ装置(24)とを有し、ハウジング(1)と少なくとも1つの断熱層(30)とを備える熱保護装置(2)を有するクランプ組立体(20)に関する。ハウジング(1)が各軸方向の端面に、部分(8、10)に細分化され半径方向内側に突出するそれぞれの壁(6)を有し、少なくとも1つの断熱層(30)が、ハウジング(1)の壁(6)の間に配置されることができる。クランプ(14)は、少なくともいくつかの領域において、ハウジング(1)および/または熱保護装置の少なくとも1つの断熱層(30)によって周囲が係合され、熱保護装置(2)が、クランプ(14)に接続され得るように構成されている。本発明は、さらに、熱保護装置(2)に関するものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプバンド(22)を有するクランプ(14)と、前記クランプバンド(22)を緊張させるためのクランプ装置(24)とを有し、ハウジング(1)と、少なくとも1つの断熱層(30)とを備える熱保護装置(2)を有し、前記ハウジング(1)が、その軸方向の端面に、部分(8,10)に細分化され半径方向内側に突出する壁(6)を有し、前記少なくとも1つの断熱層(30)が、前記ハウジング(1)の前記壁(6)の間に配置されることができ、前記クランプ(14)は、少なくとも領域において、前記ハウジング(1)および/または前記熱保護装置(2)の前記少なくとも1つの断熱層(30)によって周囲が係合され、前記熱保護装置(2)が、前記クランプ(14)に接続され得るように構成されているクランプ組立体(20)。
【請求項2】
前記熱保護装置(2)が、物質的に係合またはポジティブロック方式によってクランプ(14)に接続可能である請求項1に記載のクランプ組立体。
【請求項3】
前記ハウジング(1)の少なくとも1つの部分(10)が、前記クランプ(14)へのポジティブロック接続を生成するために、曲げられ得るように構成されている請求項1または請求項2に記載のクランプ組立体。
【請求項4】
前記熱保護装置(2)が、該熱保護装置(2)を前記クランプ(14)に接続するために、前記ハウジング(1)に接続可能なハウジングクランプ(32)を有する請求項1から請求項3のいずれかに記載のクランプ組立体。
【請求項5】
前記ハウジングクランプ(32)が、少なくとも1つの溶接位置、ロック接続、パンチング位置および/または少なくとも1つのクリンチ位置によって前記ハウジング(1)に接続されている請求項4に記載のクランプ組立体。
【請求項6】
前記ハウジング(1)が、その半径方向外側(4)に、前記ハウジングクランプ(32)のクランプバンド(34)を受け入れかつ案内するための少なくとも1つの案内部(46)を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載のクランプ組立体。
【請求項7】
前記熱保護装置(2)が、少なくとも1つのスペーサ部材(50)を有し、該スペーサ部材(50)がフラップ、ビードおよび/または材料インサートとして構成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載のクランプ組立体。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスペーサ部材(50)が、前記クランプ(14)および/または前記ハウジング(1)、および/または前記少なくとも1つの断熱層(30,31)に固定され得る請求項7に記載のクランプ組立体。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスペーサ部材(50)により、少なくとも1つのエアギャップ(52)が、径方向(R)に、前記クランプ(14)と前記少なくとも1つの断熱層(30)との間、前記少なくとも1つの断熱層(30)と前記ハウジング(1)の内側(4)との間、2つの断熱層(30,31)の間、および/または、軸方向(A)に、前記クランプ(14)と前記ハウジング(1)の前記壁(6)との間、前記少なくとも1つの断熱層(30,31)と前記ハウジング(1)の前記壁(6)との間、および/または、2つの断熱層(30、31)の間に形成され得る請求項7または請求項8に記載のクランプ組立体。
【請求項10】
前記熱保護装置(2)が、前記クランプ(14)の前記クランプ装置(24)を受け入れるための少なくとも1つの突起(42)を有する請求項1から請求項9のいずれかに記載のクランプ組立体。
【請求項11】
前記熱保護装置(2)が、ハウジング(1)上に端部に配置される少なくとも1つの重なり部分(54)を有し、該重なり部分(54)は、前記クランプ組立体(20)が組み立てられた状態において、前記ハウジング(1)の第2の端部(18)を覆い、かつ/または、接触するように構成されている請求項1から請求項10のいずれかに記載のクランプ組立体。
【請求項12】
クランプ(14)を少なくともいくつかの領域において取り囲むための熱保護装置(2)であって、周方向に延び、軸(A)に対する径方向(R)に突出するように形成された2つの壁(6)を有するハウジング(1)を有し、該ハウジング(1)に挿入可能な少なくとも1つの断熱層(30,31)を有し、該少なくとも1つの断熱層(30,31)が、前記ハウジング(1)に直接または少なくとも1つのスペーサ部材(50)を介して挿入され得る熱保護装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプバンドを有するクランプと、クランプバンドを緊張させるためのクランプ装置とを有するクランプ組立体であって、ハウジングと、少なくとも1つの断熱層(断熱用インサート)とを備える熱保護装置を有し、ハウジングが、その軸方向の端面に、部分に細分化され半径方向内側に突出する壁を有し、少なくとも1つの断熱用インサートが、ハウジングの壁の間に配置されることができるクランプ組立体に関する。さらに、本発明は、クランプ組立体用の熱保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな技術分野において、ホースやパイプを接続するためにクランプが使用されている。特に、クランプは、ホースやパイプを対応する支持体に固定し、その結果、流体の流出を防止するために使用されることがある。そのような流体は、例えば、加熱流体または冷却剤であることがある。
【0003】
特に、金属製のクランプやコネクタを使用する場合、流体の熱が周囲や隣接する部品に大量に放出される可能性があり、熱損失が制御されないと、システムの効率が損なわれる可能性がある。
【0004】
さらに、高い流体温度の結果、クランプが強力に加熱され、耐熱性のない隣接部品に危険が及ぶ可能性がある。
【0005】
通常、このようなクランプや接続部への熱保護装置の取り付けは、それぞれのクランプを組み立てた後に行われる。2本のパイプの接続部には、簡単に熱保護装置を配置することができる。クランプへの熱保護装置の取り付けは、さまざまな形状のため、問題が生じる可能性がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、組立の複雑さが低減された熱保護装置を有するクランプ組立体を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によるクランプの主要な特徴は、請求項1および請求項11の後段部に明記される。請求項2~請求項10は実施形態に関する。
【0008】
本発明は、クランプバンドを有し、クランプバンドを緊張させるためのクランプ装置と熱保護装置とを有するクランプ組立体に関する。
【0009】
熱保護装置は、ハウジングと、少なくとも1つの断熱の層または断熱層とを備える。ハウジングが、その軸方向端面に、部分に細分化され半径方向内側に突出する壁を有する。特に、ハウジングは、少なくとも部分的に環状に型うち(スタンピング)されていてもよく、外側で実質的に閉じられていてもよい。ハウジングは内側に開放するように構成されていてもよい。
【0010】
少なくとも1つの断熱用インサートまたは断熱層は、ハウジングの壁の間に配置することができる。クランプは、少なくとも領域において、ハウジングおよび/または熱保護装置の少なくとも1つの断熱層によって周囲が係合され、熱保護装置が、クランプに接続され得るように構成されている。
【0011】
本発明は、さらに、少なくとも領域においてクランプを囲むための熱保護装置に関する。この熱保護装置は、周方向に延び、半径方向に突出するように形成された2つの壁を有するハウジングを備えている。さらに、熱保護装置は、ハウジングに挿入可能な少なくとも1つの断熱層を備え、少なくとも1つの断熱層は、ハウジングに直接または少なくとも1つのスペーサ要素を介して挿入することができる。
【0012】
熱保護装置のハウジングは、好ましくは、例えば、シート状の材料から、打ち抜きや曲げなどの手段で形成できるようにしてもよい。特に、ハウジングは、金属または耐熱性プラスチック材料から構成されてもよい。ハウジングは、周壁と、周壁から径方向に突出する2つの壁とを有する。熱保護装置の組立状態において、ハウジングは、周壁によって外側に向かって閉じられたU字形状のプロファイルを形成している。ハウジングの開放側においては、1つまたは複数の断熱層が、U字形状のプロファイル内またはハウジングの壁の間に配置されてもよい。U字形状のプロファイルによって、壁と周壁によって領域が区切られたハウジングの受入空間が形成される。
【0013】
ハウジングの壁は、凹部によって互いに間隔を空けることができる部分に細分されている。凹部または部分は、この例では、ハウジングがクランプの周囲の円周に配置することができるように形成されている。特に、部分は、周壁からの間隔が増加するにつれて先細りになる形状を有していてもよく、それによって、ハウジングは、円周で実質的に円形のクランプに適合することができる。
【0014】
壁は、好ましくは、1つ以上の断熱層およびクランプを受け入れることができる長さを有していてもよい。壁の十分な長さによって、少なくとも1つの断熱層の圧縮と、結果的に断熱効果の減損を防止することができる。壁の1つ以上の部分は、延長された部分が端部で曲げられることによってクランプへの接続を生成するために、より長くなるように構成されてもよい。クランプは、好ましくは、ハウジングの開放プロファイルの最後の構成要素または層として受け入れられ、伸長した屈曲可能フランクまたは部分によって領域内で閉じることができてもよい。
【0015】
あるいは、または追加的に、クランプは、ハウジングの受入空間の軸方向範囲に実質的に対応する軸方向範囲を有していてもよい。クランプは、それによって、受入空間の閉鎖としてハウジングに押し込まれるか、またはロック接続によって熱保護装置のハウジングにポジティブロック方式で接続されることができる。
【0016】
断熱層は、例えば、膨張材料で構成されてもよい。好ましくは、少なくとも1つの断熱層は、難燃剤として機能することが好ましい。この目的のために、熱保護装置の少なくとも1つの断熱層は、可能な限り低い熱伝導率を有していてもよい。断熱層は、鉱物繊維マットとして、または微多孔質材料断熱材として構成されてもよい。熱保護装置がクランプ組立体の組み立てにおいてほぼ一体的な構成要素として扱えるように、少なくとも1つの断熱層は、ポジティブロック方式または物質的に係合する方法でハウジングに接続されてもよい。
【0017】
クランプを介して熱保護装置を使用することで、熱量がシステム内に残るか、または、システムから遠ざけた状態に維持できる。その結果、熱保護装置は、双方向に断熱材として機能することができる。特に、クランプに隣接する環境は、クランプの高温または低温から保護され、損傷または火災の危険性を事前に回避することができる。
【0018】
このような熱保護装置は、新たなクランプと一体的に製造することができ、一体型クランプ組立体として提供することできる。あるいは、または追加的に、熱保護装置は、改良解決策として構成されてもよく、既存のクランプまたは組み立てられたクランプに組み付けることができる。このため、熱保護装置のハウジングは、取り付けられたクランプの円周の周りを導かれ、端部で熱保護装置の閉鎖部分に固定されてもよい。閉鎖部は、熱保護装置をクランプに周方向に均一な方法で固定できれば、任意に構成することができる。
【0019】
ハウジングの形状および寸法は、この例では、異なるクランプに適合させることができ、および/または複数のクランプに普遍的に適合させるように構成されてもよい。例えば、熱保護装置は、調節可能な長さを有することができることにより、異なるサイズのクランプを熱保護装置に備えることができる。
【0020】
クランプ組立体の単一片構成により、クランプと熱保護装置の組み立ての複雑さを軽減することができる。特に、熱保護装置により、既存のクランプおよびコネクタを後付けすることも可能である。
【0021】
有利な実施形態によれば、熱保護装置は、クランプに物質的に係合またはポジティブロック方式で接続可能であるよう構成される。例えば、熱保護装置は、ハウジング上に配置され、クランプの周りに曲げることができるフランクを有していてもよい。これにより、クランプと熱保護装置のハウジングの間にポジティブロック接続を生成することができる。さらに、熱保護装置のハウジングは、少なくとも部分的に、例えばクランプバンドなどのクランプの一部とロック接続を形成できる形状を有していてもよい。
【0022】
あるいは、または追加的に、熱保護装置は、パンチング、クリンチング接続、摩擦係合、接着剤、粘着ストリップなどの手段でクランプに接続できるようにしてもよい。
【0023】
特に、熱保護装置の壁面には、横方向に配置されたクランプのロック突起がポジティブロック方式で挿入される凹部が設けられていてもよい。これにより、クランプは、ハウジングの壁の間で少なくとも1つの断熱層と平行に配置することができる。特に、クランプまたはクランプの少なくともクランプバンドは、周壁および少なくとも1つの断熱層と平行に延びることができる。その結果、クランプは、ハウジングの開放されたU字形状を少なくとも部分的に閉じることができる。
【0024】
ハウジングは、クランプのクランプ装置を受け入れるのに役立つ少なくとも1つの凹部をさらに有することができる。これにより、配置された熱保護装置にもかかわらず、クランプを取り付けることができる。
【0025】
熱保護装置は、ハウジングの少なくとも1つの部分が、クランプへのポジティブロック接続を生成するために、曲げられ得るように構成されていれば、技術的に特に簡単な方法でクランプに接続することができる。この目的のために、ハウジングの壁の少なくとも一部分は、壁の残りの部分よりも長くなるように構成することができる。延長された部分は、線に沿って曲げることができ、それによって、曲げられる保持舌が構成される。
【0026】
別の実施形態によれば、熱保護装置は、熱保護装置をクランプに接続するために、ハウジングに接続可能なハウジングクランプを有する。ハウジングクランプは、例えば、クランプバンドと、クランプバンド上の端部に配置される2つのクランプジョーと、ハウジングクランプのクランプジョー間の間隔を調整するためのクランプネジとを有するホースクランプ又は頑丈なクランプであってもよい。ハウジングクランプは、少なくとも領域において、ハウジングの周壁の外側に固定されていればよい。
【0027】
ハウジングクランプは、好ましくは、熱保護装置をクランプの周りに配置し、クランプを介して最適な方法でロックするために使用することができる。
【0028】
ハウジングクランプは、ハウジングクランプが少なくとも1つの溶接位置、ロック接続、パンチング位置および/または少なくとも1つのクリンチ位置によってハウジングに接続されるとき、特に柔軟な方法でハウジングの周壁に取り付けることができてもよい。
【0029】
別の実施形態によれば、ハウジングが、その半径方向外側に、ハウジングクランプのクランプバンドを受け入れかつ案内するための少なくとも1つの案内部を有する。それによって、ハウジングクランプは、ポジティブロック方式でハウジングに接続されることができる。特に、ハウジングクランプのクランプバンドは、案内部によって案内されることができる。案内部は、ハウジングの周壁から半径方向に領域に突出し、クランプバンドを受け入れるための案内トンネル状部材を形成する打ち抜き部分またはフラップとして構成されてもよい。
【0030】
熱保護装置の受入空間において、熱保護装置が少なくとも1つのスペーサ部材を有する場合、少なくとも1つの追加の空気の断熱層を導入することができる。スペーサ部材は、例えば、フラップ、ビード、および/または材料インサートとして構成されている。それにより、少なくとも1つのスペーサ部材は、柔軟性を有し、熱保護装置のそれぞれの用途に対応するように構成することができる。空気の断熱層を導入することにより、熱保護装置の断熱性は、最小限の材料の複雑さで改善することができる。
【0031】
このようなスペーサ部材は、例えば、断熱層とクランプとの間、または断熱層とハウジングの周壁との間に配置することができる。さらに、断熱層とクランプとの間、およびクランプと断熱層との間のいずれにおいても、スペーサ部材を用いて空気層を調整することができる。空気層の厚さは、スペーサ部材の径方向への大きさに応じて柔軟に調整することができる。使用されるスペーサ部材は、同一寸法であっても異なっていてもよい。特に、スペーサ部材を用いることで、熱保護装置の周方向の断熱性を可変に構成することができる。例えば、熱保護装置の一方の半分に、さらに空気層を設けてもよい。これにより、特定の領域をより効果的に熱の影響から遮蔽することができる。
【0032】
少なくとも1つのスペーサ部材は、クランプ組立体内の空気層を調整するために、半径方向および/または軸方向に使用されることが好ましい。その結果、熱保護装置による熱の伝達を軸方向にも減少させることができる。
【0033】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのスペーサ部材は、クランプおよび/またはハウジングおよび/または少なくとも1つの断熱層に取り付けることができる。その結果、少なくとも1つのスペーサ部材は、クランプ組立体内に様々な方法で配置することができる。例えば、スペーサ部材は、打ち抜き部分または曲げフラップの形態で、クランプまたはハウジングの製造中に既に導入することができる。
【0034】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのスペーサ部材によって、少なくとも1つのエアギャップが、径方向に、クランプと少なくとも1つの断熱層との間、少なくとも1つの断熱層とハウジングの内側との間、2つの断熱層の間、および/または、軸方向に、クランプとハウジングの壁との間、少なくとも1つの断熱層とハウジングの壁との間、および/または、2つの断熱層の間に形成されることができる。それにより、少なくとも1つのスペーサ部材は、熱保護装置の熱特性に影響を与えるために、要求に応じて柔軟に使用することができる。その結果、クランプ組立体の厚さを選択的に調整または制御することができる。
【0035】
熱保護装置は、熱保護装置がクランプのクランプ装置を受け入れるための少なく1つの突起を有するとき、特に嵌め合いで、かつ迅速にクランプに組み付けることができる。クランプは、この例では、任意のクランプであってよい。例えば、クランプは、プロファイルクランプ、パイプクランプ、ホースクランプ、固定クランプ等として構成されてもよい。
【0036】
別の実施形態によれば、熱保護装置は、端部でハウジング上に配置される少なくとも1つの重なり部を有する。有利な実施形態によれば、重なり部は、クランプ組立体が組み立てられた状態において、ハウジングの第2の端部を覆い、かつ/または、接触するように構成されている。クランプ組立体の閉じた状態では、クランプ組立体によって囲まれ係合されるパイプまたは部品は、それによって、熱保護装置によって完全に覆うことができる。特に、重なり部により、完全な円周方向の熱保護作用を達成することができる。
【0037】
好ましくは、重なり部は、ハウジングと一体的に構成されてもよい。あるいは、重なり部は、ハウジングおよび/またはクランプバンドに固定することができるようにしてもよい。重なり部は、例えば、横方向または内部でハウジングの第2端部と重なってもよく、その結果、熱保護を中断することなく確保することができる。
【0038】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、特許請求の範囲の文言、および図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】一実施形態による熱保護装置のハウジングの斜視図である。
図2】一実施形態によるクランプアセンブリの側面図である。
図3】一実施形態による熱保護装置の平面図である。
図4図3の熱保護装置の側面図である。
図5】他の実施形態による熱保護装置の平面図である。
図6図5の熱保護装置の側面図である。
図7】他の実施形態による熱保護装置の平面図である。
図8図7の熱保護装置の側面図である。
図9】ガイド部を説明するための図8におけるA-Aの断面図である
図10】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図11】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図12】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図13】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図14】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図15】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図16】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図17】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図18】熱保護装置の可能な実施形態を示すための、図2におけるB-Bの断面図である。
図19】一実施形態による重なり部を有するクランプ組立体の側面図である。
図20】他の実施形態による重なり部を有するクランプ組立体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、一実施形態による、熱保護装置2のハウジング1の斜視図である。
ハウジング1は、周方向Uに延びる周壁4を有する。周壁4の両側において、ハウジング1の壁または側壁6は、軸方向Aにおける周壁4の延長として構成されている。壁6は、周壁4に対して径方向Rに曲げられ、実施形態によれば、周壁4に対して直角を形成する。
【0041】
ハウジング1の壁6は、凹部12によって互いに離間可能な部分8、10に細分化される。凹部12または部分8、10は、この例では、ハウジング1がクランプ14の周りの円周に配置され得るような方法で形成されている。特に、部分8、10は、周壁4からの間隔が大きくなるにつれてテーパ形状を有していてもよく、それによって、ハウジング1は、円周において実質的に円形のクランプ14に適合することができる。
【0042】
壁6の1つまたは複数の部分10は、端部で折り曲げられている延長された部分10によってクランプ14との接続を生成するために、より長くなるように構成されてもよい。
【0043】
ハウジング1は、端部17、18のポジティブロック連携によって形成される閉鎖部16を有する。閉鎖部16は、クランプ14の形状に適合させることができる。特に、ハウジング1の長さは、閉鎖部16によって調整することができる。
【0044】
図2は、実施形態に係るクランプ組立体20を示す側面図である。クランプ組立体20は、クランプバンド22を有するクランプ14を備え、クランプバンド22を緊張させるためのクランプ装置24を有する。クランプ装置24は、この例では概略的に図示されており、クランプバンド22上の端部に配置されるスナップフィットクロージャとして構成されている。
【0045】
本実施形態によれば、ハウジング1は、壁6に導入されるロック溝26を有する。クランプバンド22は、それぞれのロック溝26に対応し、ロック溝26に挿入することができるロック突起28を有する。これにより、クランプ14は、ハウジング1上に固定的にロックすることができる。
【0046】
壁6の折り返された延長した部10は、側面図によって図示されている。この場合、延長した部10は、折り曲げられた状態において、壁6の残りの部分8と同じ長さを有する。
【0047】
わかりやすくするために、図2における少なくとも1つの断熱層を有する受入空間は図示していない。これに関連する詳細な説明は、図2の断面B-Bを示す図10図18に示されている。
【0048】
図3は、実施形態における熱保護装置2を示す平面図である。図4には、対応する側面が図示されている。熱保護装置2は、ハウジング1と、ハウジング1内に配置される断熱層30とを備える。
【0049】
図示された実施形態によれば、熱保護装置2は、熱保護装置2をクランプ14に接続するためにハウジング1に接続することができるハウジングクランプ32を有する。
【0050】
ハウジングクランプ32は、一例として、ホースクランプとして構成されている。ハウジングクランプ32は、クランプバンド34と、クランプバンド34に型打ちされたネジ山と協働するクランプネジ38を有するクランプ装置36とを備えている。クランプ装置36の作動の結果、熱保護装置2の直径Dは、異なるサイズのクランプ14に対して調整することができる。
【0051】
ハウジングクランプ32は、ハウジング1の周壁4に対して溶接箇所として型打ちしされた3つの接続箇所40を介して接続されている。なお、接続箇所40は、クリンチ位置、接着位置、パンチング位置等として形成されてもよい。
【0052】
図5は、別の実施形態に係る熱保護装置2を示す平面図である。図6には、熱保護装置2の対応する側面図が図示されている。接続箇所40及び断熱層30は、この例では、分かりやすくするために図示されていない。既に示した実施形態とは対照的に、熱保護装置2は、この例では、クランプ14のクランプ装置24を受けるための突起42を有する。
【0053】
突起42は、ハウジングクランプ32のクランプ装置36に対して180°回転し、熱保護装置2によって断熱されたクランプ14のクランプ装置24を損なわないようにする。
【0054】
図7および図8は、別の実施形態による熱保護装置1を異なる視点から示している。既に示した実施形態とは対照的に、ハウジングクランプ32は、案内部44によってハウジング1上に配置されている。図9は、この点に関して、案内部44のスタンピング形状を示す断面A-Aを示す。
【0055】
ハウジング1は、その半径方向外側の側面または半径方向外側4において、ハウジングクランプ32のクランプバンド34を受け入れて案内するための3つの案内部44を有している。それによって、ハウジングクランプ32は、ハウジング1に対してポジティブロック方式で接続することができる。特に、ハウジングクランプ32のクランプバンド34は、案内部によって案内されることができる。案内部44は、領域においてハウジング1の周壁4から半径方向に突出し、クランプバンド34を受け入れるためのトンネル状の案内部46を形成する打ち抜き部分またはフラップとして構成されてもよい。
【0056】
図10図18は、熱保護装置2の可能な実施形態を説明するための、図2からの概略断面B-Bである。特に、熱保護装置2の受入空間48が図示されている。受入空間48は、ハウジング1の側壁6と周壁4とによって形成されている。受入空間48は、本実施例ではU字型のプロファイルを有する。
【0057】
図10に示される第1の例示的な実施形態では、受入空間48は、断熱層30で満たされている。受入空間48は、クランプ14のクランプバンド22によって閉じられている。
【0058】
図11は、空気の断熱層(エアギャップ)52をさらに導入した例を示している。このために、熱保護装置2は、少なくとも2つのスペーサ部材50を有する。実施形態によれば、スペーサ部材50は、クランプ14と断熱層30との間に配置されている。スペーサ部材50は、受入空間側でハウジング1の壁6上に横方向に導入される。
【0059】
図12では、対応するように配置されたスペーサ部材50によって、周壁4と断熱層30との間に空気の断熱層52が生成される。図13では、スペーサ部材50によって、クランプ14と断熱層30との間、および断熱層30とハウジング1との間に、径方向Rに2つの空気の断熱層52が生成される。
【0060】
図14および図15は、2つの異なる断熱層30、31を有する熱保護装置2を示している。第1の断熱層30は、この例では、第2の断熱層31と異なる材料を有していてもよい。断熱層30、31は、空気の断熱層52によって互いに接続されてもよいし、互いに分離されてもよい。
【0061】
図16は、図10に対応する熱保護装置2の実施形態を示し、この例では、互いに直接接続される2つの断熱層30、31とクランプ14とが挿入されている。例えば、断熱層30、31は、ハウジング1とクランプ14とに接着されていてもよい。
【0062】
図17および図18において、断熱層30、31は、軸方向Aに平面的な広がりを有するだけでなく、代わりに径方向Rに領域でクランプ14の周囲に係合する。これにより、断熱層30、31も、受入空間48と同様に、U字形状を形成している。クランプ14からの、およびクランプ14への軸方向Aの熱伝達は、それによって、予備排気されるか、または少なくとも減衰され得る。
【0063】
図18は、断熱層30、31間または断熱層31とハウジング1の壁6との間にも、軸方向Aにエアギャップが形成されてもよい例を示す。
【0064】
本発明は、上記で説明した実施形態の1つに限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0065】
構造的な詳細、物理的な配置および方法のステップを含む、特許請求の範囲、明細書および図面から生じる全ての特徴および利点は、個別におよび多種多様な組み合わせでも、本発明に不可欠なものである。
【0066】
図19は、実施形態に係る重なり部分54を有するクランプ組立体20の側面図である。重なり部分54は、熱保護装置2のハウジング1の第1の周方向端部17に配置され、クランプ組立体20の受入部58に径方向Rに延在する。受入部58には、例えば、部品、パイプ、ホース等を受け入れまたは固定することができる。
【0067】
重なり部分54は、クランプ組立体20に応じた丸みを帯びた形状であり、好ましくは、受入部58の形状に沿う。その結果、熱保護装置2の連続的な支持面を受入部58に設けることができる。
【0068】
特に、クランプ組立体20は、組み立てられた状態で図示されており、その際、重なり部分54は、一側でハウジング1の第2の端部18に接触し、結果として、熱保護装置2の中断を防止している。ハウジング1の第2の端部18は、この例では、周方向Uに、熱保護装置2のハウジング1の第2の端部を形成している。
【0069】
図20は、他の実施形態による重なり部分54を有するクランプ組立体20の側面図である。図19に示された実施形態とは対照的に、重なり部分54は、この例では、軸方向Aにおいて、少なくとも軸方向一側でハウジング1の第2の端部18に重なるように形成されている。
【0070】
図示の実施形態では、重なり部分54は、ハウジング1の第1の端部55を周方向Uに延びている。
【0071】
好ましくは、重なり部分54は、ハウジング1の第2の端部18の軸方向両側に重なってもよいし、ハウジング1の第2の端部18の周囲に少なくとも部分的に係合してもよい。それによって、例えば、第1の端部17と第2の端部18との間の接続領域において、熱保護装置2がスライドすることを防止することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 ハウジング
2 熱保護装置
4 周壁
6 壁/側壁
8 部分
10 延長された部分
12 凹部
14 クランプ
16 閉鎖部
17 ハウジングの第1の端部
18 ハウジングの第2の端部
20 クランプ組立体
22 クランプバンド
24 クランプ装置
26 ハウジングのロック溝
28 クランプのロック突起
30 断熱層/第1の断熱層
31 第2の断熱層
32 ハウジングクランプ
34 ハウジングクランプのクランプバンド
36 ハウジングクランプのクランプ装置
38 ハウジングクランプのクランプネジ
40 溶接箇所/接続箇所
42 突起
44 案内部
46 トンネル状の案内部
48 受入空間
50 スペーサ部材
52 空気の(断熱)層
54 重なり部分
58 受入部
A 軸方向
D 熱保護装置の直径
R 径方向
U 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】