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特表2022-543513アクセルペダル及びブレーキペダルと連動するクラッチシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】アクセルペダル及びブレーキペダルと連動するクラッチシステム
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/08 20060101AFI20221005BHJP
   B60K 26/04 20060101ALI20221005BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F16D41/08 Z
B60K26/04
B60K26/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546828
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2020009538
(87)【国際公開番号】W WO2021029548
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0099195
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0076343
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353610
【氏名又は名称】オートディン シス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジョン ユン
【テーマコード(参考)】
3D037
【Fターム(参考)】
3D037EB02
3D037EB10
(57)【要約】
本発明は車両システム内のエンジンとトランスミッションとの間のトルク伝達率を100%保障し、既存の手動及び自動変速機車両に共に適用することができ、アクセルペダル及びブレーキペダルと連動して作動する新概念のクラッチシステムを提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両エンジンに連結されるか断絶されるクラッチアセンブリーを含み、クラッチアセンブリーはアクセルペダルの踏込み及び踏込み解除とブレーキペダルの踏込み及び踏込み解除によって状態が変わり、アクセルペダル及びブレーキペダルの踏込み及び踏込み解除をクラッチアセンブリーに伝達するために、動力伝達機構及び動力伝達機構と連結された駆動軸を含む回転体アセンブリーをさらに含む、クラッチシステム。
【請求項2】
前記クラッチアセンブリーは、アクセルペダルが踏み込まれてエンジンの回転力を入力軸を介して変速機に伝達する第1状態、ブレーキペダルが踏み込まれてエンジンと入力軸の接続を断絶する第3状態、及び第3状態でブレーキペダルの踏込みを解除してエンジンの回転力を変速機に伝達する初期の遷移状態又は中間状態の第4状態のいずれか一状態にある、請求項1に記載のクラッチシステム。
【請求項3】
アクセルペダルの踏込みによって、動力伝達機構と連結された回転体アセンブリーの駆動軸が一方向に線形移動してクラッチアセンブリーが第1状態に位置する、請求項2に記載のクラッチシステム。
【請求項4】
ブレーキペダルの踏込みによって、動力伝達機構と連結された回転体アセンブリーの駆動軸が一方向と反対の他方向に線形移動してクラッチアセンブリーが第3状態に位置する、請求項2に記載のクラッチシステム。
【請求項5】
第3状態でブレーキペダルの踏込み解除によって、動力伝達機構と連結された回転体アセンブリーの駆動軸が一方向に線形移動してクラッチアセンブリーが第4状態に位置する、請求項4に記載のクラッチシステム。
【請求項6】
動力伝達機構は、アクセルペダルのケーブルと連結されて駆動するアクセルクチュエーターと、ブレーキペダルのケーブルと連結されて駆動し、前記アクセルクチュエーターと対向して位置するブレーキアクチュエーターとを備える、請求項2に記載のクラッチシステム。
【請求項7】
前記クラッチアセンブリーは、車両のアクセルペダル及びブレーキペダルと連動して回転するアウターカムと、車両エンジンの回転によって回転するインナーカムと、アウターカムと接触し、アウターカムの回転によって高さ方向に移動することによって選択的にインナーカムと接触することができる回転部材と、回転部材を支持し、回転部材とともに回転するフォーク部とを含み、エンジンの回転力がインナーカム、回転部材及びフォーク部を介して順次伝達される、請求項2に記載のクラッチシステム。
【請求項8】
前記クラッチアセンブリーのアウターカムの回転軸のスリーブには少なくとも一つの突起が形成され、前記駆動軸には前記それぞれの突起を収容するためのガイドスロットが形成され、前記ガイドスロットは、線形の第1経路と、第1経路に対して所定の傾斜角を成すように延びる第2経路とを含み、前記突起は前記駆動軸の一方向線形移動によって第1経路と第2経路が成す傾斜角の分だけ回転して前記アウターカムが回転する、請求項7に記載のクラッチシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動及び手動変速機に共に適用可能なクラッチシステムに関するものである。より具体的に、本発明は車両内のエンジンとトランスミッションとの間のトルク伝達率を100%保障し、アクセルペダル及びブレーキペダルと連動して作動する新概念のクラッチシステムに関するものである。
【0002】
本発明は2019年8月14日に出願された韓国特許出願第10-2019-0099195号に基づく。本発明の一部内容は出願人の韓国特許出願第10-2020-0051364号(回転軸アセンブリー;2020年4月28日出願)、第10-2020-0034811号(クラッチアセンブリー;2020年3月23日出願)及び第10-2019-0166488号(動力伝達機構;2019年12月13日出願)に開示されている。
【背景技術】
【0003】
自動車の車輪は、エンジンの回転運動がフライホイール及びクラッチディスクを介して変速機に伝達されて変速され、メイン軸に伝達されることにより回転する。
【0004】
手動変速車両の場合、フライホイールとディスクの断続は、運転席の左側上方のフロアに設けられたクラッチペダルによって遂行される。クラッチペダルを踏み込めば両部材の接続が遮断され、踏込みを解除すれば両部材が連結される。運転者はギア変速のためにクラッチペダルを踏み込み、ペダルを踏み込んだ状態でギアを変速した後、ペダルから徐々に足を離せば、フライホイールとディスクがいま接触し始める状態の半クラッチ状態になる。
【0005】
自動変速車両の場合、クラッチペダルはなく、エンジン回転、車両速度などを感知し、車両負荷によって自動で変速する方式であり、トルクコンバーター、オイルポンプ、油圧クラッチ、遊星ギアセット、回転センサー、減速ギア及びバルブボディーから構成され、遊星ギアセット、湿式多板クラッチ及びブレーキの組合せから変速段が構成される。
【0006】
手動及び自動変速機は両者の利点を互いに模倣しながら発展して来た。例えば、手動変速機は自動変速機に適用された自動制御アルゴリズムを適用して来たし、自動変速機は燃費向上のために手動変速機に適用された機械的な摩擦クラッチ方式を一部適用して来た。しかし、手動及び自動変速機の設計構造は最初に開発されたプラットホーム形態を維持している。
【0007】
手動変速車両の場合、クラッチペダルと同時に連動して変速しなければならなく、傾斜路で再出発するときに滑り現象の発生によって国内及び北米地域で選好度が落ちる方である。よって、ブレーキ及び加速ペダルと連動して別途のクラッチペダルの必要なしに変速ができるようにし、傾斜路での滑り現象を防止することができるシステムの開発が必要である。
【0008】
自動変速車両の場合、流体によるトルク伝達によって燃費効率が下がり、急発進のような異常現象の発生の際、エンジンからトランスミッションに伝達されるトルクの短絡に脆弱な問題がある。よって、ブレーキペダル及び加速ペダルによる加速、半クラッチ、停止(ブレーキ)状態を機械的に作動することにより、自動変速機で発生する急発進現象を除去するシステムの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は車両システム内のエンジンとトランスミッションとの間のトルク伝達率を100%保障し、既存の手動及び自動変速機車両に共に適用することができる新概念のクラッチシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明は、車両エンジンに連結されるか断絶されるクラッチアセンブリーを含み、クラッチアセンブリーはアクセルペダルの踏込み及び踏込み解除とブレーキペダルの踏込み及び踏込み解除によって状態が変わり、アクセルペダル及びブレーキペダルの踏込み及び踏込み解除をクラッチアセンブリーに伝達するために、動力伝達機構及び動力伝達機構と連結された駆動軸を含む回転体アセンブリーをさらに含む、クラッチシステムを提供する。
【0011】
前記クラッチアセンブリーは、アクセルペダルが踏み込まれてエンジンの回転力を入力軸を介して変速機に伝達する第1状態、ブレーキペダルが踏み込まれてエンジンと入力軸の接続を断絶する第3状態、及び第3状態でブレーキペダルの踏込みを解除してエンジンの回転力を変速機に伝達する初期の遷移状態又は中間状態の第4状態のいずれか一状態にあることができる。
【0012】
アクセルペダルの踏込みによって、動力伝達機構と連結された回転体アセンブリーの駆動軸が一方向に線形移動してクラッチアセンブリーが第1状態に位置することができる。
【0013】
ブレーキペダルの踏込みによって、動力伝達機構と連結された回転体アセンブリーの駆動軸が一方向と反対の他方向に線形移動してクラッチアセンブリーが第3状態に位置することができる。
【0014】
第3状態でブレーキペダルの踏込み解除によって、動力伝達機構と連結された回転体アセンブリーの駆動軸が一方向に線形移動してクラッチアセンブリーが第4状態に位置することができる。
【0015】
動力伝達機構は、アクセルペダルのケーブルと連結されて駆動するアクセルクチュエーターと、ブレーキペダルのケーブルと連結されて駆動し、前記アクセルクチュエーターと対向して位置するブレーキアクチュエーターとを備えることができる。
【0016】
前記クラッチアセンブリーは、車両のアクセルペダル及びブレーキペダルと連動して回転するアウターカムと、車両エンジンの回転によって回転するインナーカムと、アウターカムと接触し、アウターカムの回転によって高さ方向に移動することによって選択的にインナーカムと接触することができる回転部材と、回転部材を支持し、回転部材とともに回転するフォーク部とを含み、エンジンの回転力がインナーカム、回転部材及びフォーク部を介して順次伝達されることができる。
【0017】
前記クラッチアセンブリーのアウターカムの回転軸のスリーブには少なくとも一つの突起が形成され、前記駆動軸には前記それぞれの突起を収容するためのガイドスロットが形成され、前記ガイドスロットは、線形の第1経路と、第1経路に対して所定の傾斜角を成すように延びる第2経路とを含み、前記突起は前記駆動軸の一方向線形移動によって第1経路と第2経路が成す傾斜角の分だけ回転して前記アウターカムが回転することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のクラッチシステムは、変速の簡素化によって手動変速機車両の底辺層を拡大することができ、アクセルペダル及びブレーキペダルと連動して正確で永久的な使用が可能であるという効果を発揮する。
【0019】
また、本発明のクラッチシステムは、動力伝達と断絶が機械的に作動するから、急発進から自由であり、運転者及び歩行者の両者を保護することができる。
【0020】
また、本発明のクラッチシステムは、全ての乗用車に適用可能であり、ハイブリッド自動車の運営の際、内燃機関が関与することになる時点に内燃機関から発生する動力を伝達する主要部品に代替することができ、電気自動車とその他のパワープラントなど、内燃機関が使われる大型システム内の動力伝達及び断絶が要求される部分に拡大適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のクラッチシステムの全体構成図である。
図2】運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
図3図2の状態で運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
図4図3の状態、すなわち運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した状態でブレーキペダルを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
図5図4の状態、すなわち運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態でその踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
図6】本発明のアクセルペダルを踏み込んだ場合、動力伝達機構の構成図である。
図7】アクセルペダル踏込みを解除した場合、動力伝達機構の構成図である。
図8】ブレーキペダルを踏み込んだ場合、動力伝達機構の構成図である。
図9図8の状態でブレーキペダル踏込みを解除した場合、動力伝達機構の構成図である。
図10】本発明のクラッチアセンブリーの外郭を成すリム及びリムの間に介在されたフォーク部材の斜視図である。
図11図10の一部を拡大した図である。
図12】フォーク板の間の空間で切断して示した本発明のクラッチアセンブリーの断面図である。
図13図12の一部を拡大した図である。
図14図12で運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合を示す図である。
図15図14で運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した場合を示す図である。
図16図12で運転者がブレーキペダルを完全に踏み込んだ場合を示す図である。
図17図12の状態で運転者がブレーキペダルの踏込みを解除した場合を示す図である。
図18】本発明の回転軸アセンブリーの駆動軸の斜視図である。
図19】本発明の回転軸を含むフォーク部の斜視図である。
図20】本発明のアウターカムの回転軸を含むクラッチアセンブリーの斜視図である。
図21】本発明の回転軸アセンブリーとクラッチアセンブリーを結合した状態を示す斜視図である。
図22】本発明の回転軸アセンブリーの機能を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的又は辞書的意味に限定して解釈されてはいけなく、本発明の技術的思想に合う意味と概念に解釈されなければならない。本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は本発明の実施例に過ぎないだけで、本発明の技術的思想を全部代弁するものではない。
【0023】
本発明の回転軸アセンブリーを説明するに先立ち、クラッチシステム及びクラッチアセンブリーの全体構成について図1図9を参照して説明する。
【0024】
1.クラッチシステムの全体構成図
図1は本発明の新概念のクラッチシステムの全体構成図である。
【0025】
クラッチシステムは、エンジンEgと、エンジンEgに連結されるか断絶されるクラッチアセンブリーCとを含む。入力軸3200’が少なくともクラッチアセンブリーCと変速機構Trとの間に連結される。エンジンEg、変速機構Tr及び入力軸3200’の構成及び機能は公知となっているが、現在又は将来のいずれも用いることができる。
【0026】
クラッチアセンブリーCは、アクセルペダルEの踏込み及び踏込み解除、そしてブレーキペダルBの踏込み及び踏込み解除によって位置及び状態が変わる。アクセルペダル及びブレーキペダルE、Bの踏込み及び踏込み解除をクラッチアセンブリーCに伝達するために、動力伝達機構1000及び駆動軸3100’が提供される。動力伝達機構1000と駆動軸3100’はロッドのような連結部材Sを介して連結される。動力伝達機構1000の動力は駆動軸3100’に伝達され、駆動軸3100’の動力はクラッチアセンブリーCに伝達される。駆動軸3100’は変速機Trとは連結されない。動力伝達機構1000の一側はアクセルペダルEと、例えばケーブルを介して連動し、反対側はブレーキペダルBと連動する。
【0027】
図2は運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0028】
運転者がアクセルペダルEを踏み込めば、動力伝達機構1000の駆動によって連結部材Sが図面の第1方向、例えば左側に線形移動する。すると、駆動軸3100’が左側に線形移動し、駆動軸3100’の線形移動はクラッチアセンブリーCの回転運動に変換され、クラッチアセンブリーCはエンジンEgの回転力を入力軸3200’を介して変速機構Trに伝達する状態、すなわち“第1状態”に転換される。運転者がアクセルペダルEをずっと踏み込めば、エンジンEgの増加した回転力が変速機Trに伝達され、クラッチアセンブリーCは第1状態をずっと維持する。
【0029】
図3図2の状態で運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0030】
運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除すれば、動力伝達機構1000の駆動によって連結部材Sが図面の第2方向、例えば右側に少し線形移動する。すると、駆動軸3100’が右側に多少線形移動し、駆動軸3100’の線形移動は、図2とは反対方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。クラッチアセンブリーCの位置は第1状態と少し違うが、エンジンEgの回転力を入力軸3200’を介して変速機Trに伝達する状態(“第2状態”)はそのまま維持する。
【0031】
一般に、クラッチ機構は、アクセルペダルEを踏み込む場合にもその踏込みを解除する場合にもエンジンと変速機を連結する機能を依然として遂行する。この点で図2図3のクラッチアセンブリーCの機能は根本的に同一であると言える。
【0032】
図4は、例えば図3の状態、すなわち運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した状態でブレーキペダルBを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0033】
運転者がブレーキペダルEを踏み込めば、動力伝達機構1000の駆動によって連結部材Sが図面の第2方向、すなわち右側に線形移動する。すると、駆動軸3100’が右側に線形移動し、駆動軸3100’の線形移動は、図2とは反対方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。クラッチアセンブリーCはエンジンEgと入力軸3200’の接続を断絶する段階、すなわち変速機Trに動力を伝達しない状態(“第3状態”)に転換される。図3との相違点は、動力伝達機構1000の連結部材がもっと右側に移動し、クラッチアセンブリーCが図3と同じ方向にもっと回転し、エンジンEgの回転力が入力軸3200’に伝達されない確かな遮断状態に転換されることにある。
【0034】
図5は、例えば図4の状態、すなわち運転者がブレーキペダルBを踏み込んだ状態でその踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0035】
運転者がブレーキペダルEの踏込みを解除すれば、動力伝達機構1000の駆動によって連結部材Sが図面の第1方向、すなわち左側に少し線形移動する。すると、駆動軸3100’が左側に多少線形移動し、駆動軸3100’の線形移動は、図2と同じ方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。ここで、クラッチアセンブリーCはエンジンのフライホイールとディスクがいま接触し始める、いわゆる半クラッチ状態に転換される(“第4状態”)。本発明で、“半クラッチ状態”はエンジンの回転力を変速機に伝達する初期の不安定な状態であるという点で、従来の手動車両でクラッチペダルの踏込みを解除した“半クラッチ状態”と同じ用語を使うが、ブレーキペダルの踏込みを解除した状態である点で根本的に違う。したがって、以下では、説明によって“半クラッチ状態”を“遷移状態(transition condition or status)”又は“中間状態(intermediate condition or status)”と称することにする。
【0036】
運転者は車両を駆動するためにブレーキペダルBを踏み込みながら始動させ、ブレーキペダルBの踏込みを解除してからアクセルペダルEを踏み込む。この場合、クラッチシステムは、順次図4図5及び図2の状態、すなわちエンジンEgと変速機Trとの間の動力断絶、初期動力伝達(半クラッチ状態又は遷移状態)及びエンジンEgと変速機Trとの間の動力連結状態に転換される。運転者が走行中にアクセルペダルE及びブレーキペダルBの踏込み及び解除を繰り返す場合、クラッチシステムが図2図5のいずれか一状態に転換されるか既存の状態を維持する。このように、クラッチシステムは手動車両のクラッチペダルを無くしながら手動及び自動を含めた全ての車両に適用可能である。
【0037】
2-1.動力伝達機構1000
動力伝達機構1000は方形ボックスの外形に規定される。ボックスは、図示のように長方形のフレーム1002によって外観が規定される。フレーム1002の右側にはアクセルペダルEの油圧ラインと連結されたアクセルクチュエーター1000E1が設けられ、左側にはブレーキペダルBの油圧ラインと連結されたブレーキアクチュエーター1000B1が設けられる。アクセルクチュエーター1000E1に連結された螺旋状の回転軸の前方(左側)には第1ヘッド1022が設けられ、ブレーキアクチュエーター1000B1の回転軸の前方(右側)には第2ヘッド1032が設けられる。第1ヘッド1022と第2ヘッド1032との間には円筒状の第1及び第2スプリング1000S1、1000S2が順に装着される。第1及び第2ヘッド1022、1032は、例えば押圧ボルトであることができる。
【0038】
図6で、第1ヘッド1022と中心部が接触するようにフレーム1002を横切って移動バー1004が設けられ、移動バー1004の上下両端からは図面の左側に向かってフレーム1002の外側から一対の側面バー1006が平行に延びている。それぞれの側面バー1006の他端にはウェッジのようなガイド1008が付着される。ガイド1008の下面は傾いた傾斜面1008Aとして形成される。
【0039】
フレーム1002の左側内部の上下には“ ”形の第1支持部1012と“ ”形の第2支持部1014が連続的に形成され、回動バー1016が第1支持部1012とその内部空間及びフレーム1002を通過して外部に突出している。回動バー1016の上面は傾斜面1008Aと相補する形状に傾いた第1傾斜面1016Bとして形成される。回動バー1016の内側に位置する一端にも傾いた第2傾斜面1016Aが形成される。
【0040】
本発明で、駆動バー1010は、右側では第1スプリング1000S1と接触し、左側では第2スプリング1000S2と接触するように、フレーム1002の内部で上下方向に線形に垂直に設けられている。駆動バー1010の上下両端の前面(左側面)には切り取られて第2傾斜面1016Aと相補する形状の傾いた傾斜面1010Aが形成される。駆動バー1010は、図示されていないが、下部又は側面を介して連結部材Sと連結される。
【0041】
以上は本発明の動力伝達機構1000の基本構成を説明したものである。特に、図6は運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合の動力伝達機構1000の作動を示す。すなわち、運転者がアクセルペダルEを踏み込めば、油圧ラインを通して流入した油圧によってアクセルクチュエーター1000E1が作動し、第1ヘッド1022が左側に移動する。これにより、移動バー1004と側面バー1006が一体に左側に移動し、側面バー1006のガイド1008が回動バー1016を後ろから打撃することにより、回動バー1016が反時計方向に回転して駆動バー1010が左側に動ける状態になる。駆動バー1010は第1スプリング1000S1によって押圧されて第2スプリング1000S2の弾性力を克服して押しながら図6に示す位置に移動する。駆動バー1010の上下端の平坦面は第1支持部1012の内側面と当接する。連結部材Sは左側に移動し、クラッチアセンブリーが所定の位置に回転して第1状態になる。
【0042】
図6の状態で搭乗者がアクセルペダルから足を離せば、アクセルクチュエーター1000E1の作動は止まり、第1スプリング1000S1の押圧力が解除されるので、第2スプリング1000S2が駆動バー1010を右側に押し始める。駆動バー1010が右側に移動するに伴って移動バー1004と側面バー1006も同じ方向に移動するが、傾斜面1008Aが第1傾斜面1016Bと干渉してそれ以上動けない位置で停止する。この状態は図7に示されている。この位置で駆動バー1010が停止し、駆動バー1010は少し右側に移動した状態になる。連結部材Sも駆動バー1010の移動距離だけ右側に移動し、これによりクラッチアセンブリーはアクセルペダルEの踏込み解除状態に対応する位置に回転して第2状態になる。
【0043】
図7の状態で、運転者がブレーキペダルBを踏み込めば、油圧ラインを通して流入した油圧によってブレーキアクチュエーター1000B1が作動し、第2ヘッド1032がもっと右側に移動する。これにより、移動バー1004と側面バー1006が一体に右側に移動し、駆動バー1010は第2スプリング1000S2によって押圧されて第1スプリング1000S1の弾性力を克服して押しながら図8に示す位置に移動する。駆動バー1010の上下端の平坦面は第2支持部1014の内側面と当接する。ロッドSは右側に移動し、これによりクラッチアセンブリーはブレーキペダルBの踏込み状態に対応する位置に回転して第3状態になる。
【0044】
図8の状態で運転者がブレーキペダルBの踏込みを解除すれば、図6のような方式で駆動バー1010は所定距離だけ左側に移動した状態になる。
【0045】
連結部材Sも駆動バー1010の移動距離だけ左側に移動し、これによりクラッチアセンブリーはブレーキペダルBの踏込み解除状態に対応する位置に回転して第4状態になる。この状態は図9に示されている。
【0046】
図6図7図8及び図9を総合すると、駆動バー1010は左側からアクセルペダル踏込み位置(図6)、アクセルペダル踏込み解除位置(図7)、ブレーキペダル踏込み解除位置(図9)及びブレーキペダル踏込み位置(図8)の順に置かれる。運転者が車両を駆動するためにブレーキペダルBを踏み込みながら始動させ、ブレーキペダルBの踏込みを解除してからアクセルペダルEを踏み込む場合、本発明の動力伝達機構1000は順次図8図9及び図7の状態になり、前述したように、クラッチアセンブリーCの状態は、それぞれエンジンEgと変速機Trとの間の動力断絶、初期動力伝達(半クラッチ状態又は遷移状態)及びエンジンEgと変速機Trとの間の動力連結状態に転換される。
【0047】
以上で説明した動力伝達機構1000及び連結部材Sは多様な変形が可能である。連結部材Sはロッド型の線形部材を例として挙げたが、リンク機構又は先端にトリガー(trigger)があるプッシュ機構などに代替することができる。動力伝達機構1000も両アクチュエーターの駆動によって駆動部1010を左右の各位置に移動させることができる限り、フレーム1002、移動部1004、第1及び第2スプリング1000S1、1000S2などの部品は他の構成に代替するか変更することができる。
【0048】
2-2.クラッチアセンブリーの構造
以下で説明するクラッチアセンブリーCはアクセルペダルE及びブレーキペダルBと連動して動力を伝達又は遮断することができる構造であればいずれも採用可能である。
【0049】
図10はクラッチアセンブリーCの外郭を成すリム2010及びリム2010の間に介在されたフォーク部2020の斜視図である。
【0050】
リム2010は互いに対向する一対の円形ディスクからなり、ディスクは図示しない締結道具によって結合されて機能的に一体になる。リム2010はハウジングの役割を果たす。
【0051】
図11に詳細に示すように、フォーク部2020は、互いに対向する一対の略円形のディスク状を有するフォーク板2022を含む。フォーク板2022の外面には一定間隔で、例えば5個の凹んでいる曲面部2024が形成され、連結部2026が曲面部2024を互いに連結する。連結部2026の両側面にはフォーク2028が設けられる。連結部2026の間で対面するフォーク2028の間には、例えばニードルベアリングのような回転部材2030が設けられる。
【0052】
回転部材2030はフォーク2028の両側面と接触する。すなわち、フォーク2028は回転部材2030と接触してこれを支持する機能を果たす。回転部材2030はフォーク部2020とは独立した構成である。回転部材2030は曲面部2024上に装着され、フォーク2028によって狭持されるので、回転部材2030が回転すればフォーク部2020も回転する。フォーク部2020の中央には回転軸2020Aが形成され、回転軸2020Aの回転が変速機構Trに伝達される。
【0053】
本発明では、一対のフォーク板2022の間の空間に、回転部材2030の下面に隣接してはインナーカム2100を、上面に隣接してはアウターカム2200を設けた点に特徴がある。
【0054】
図12はフォーク板2022の間の空間で切断して示す本発明のクラッチアセンブリーCの断面図である。
【0055】
インナーカム2100はフォーク板2022より小さい直径を有する全体的に五角円形を有する。アウターカム2200はフォーク板2022より大きい直径を有するディスク形を有する。インナーカム2100とアウターカム2200は回転部材2030を介して連結されているだけで、互いに動力の観点で断絶され、いずれか一部材が回転すれば自動で他の部材が回転するものではない。インナーカム2100とアウターカム2200はフォーク板2022の間の空間に配置されるので、それぞれの回転によってフォーク板2022との衝突や干渉は発生しない。インナーカム2100とアウターカム2200はリム2010やフォーク部2020のように対向する二重板からならなく、所定厚さを有する単一プレートから製作される。
【0056】
インナーカム2100は図示しないエンジンEgの回転軸と連結されている。よって、インナーカム2100はエンジンEgの回転によって自動で回転する従属部材である。インナーカム2100の外周には、回転部材2030の数に対応して均等な間隔で外部に突出した5個の曲線形凸面2102が形成される。
【0057】
アウターカム2200の外周部には縁部2204が形成され、縁部2204の内面には回転部材2030の数に対応して均等な間隔で縁部2204の外面に向かって凹んでいる5個の曲線形収容面2202が形成される。このような構造により、それぞれの回転部材2030にそれぞれの凸面2102と収容面2202が配置されて“整列”されると言える。図示の例では一つの回転部材2030を示したが、全部5個の回転部材2030が装着される。
【0058】
アウターカム2200はアクセル又はブレーキペダルE、Bの踏込み又は踏込み解除によって時計方向に又は反時計方向に回転する。駆動軸2100’は図示しないアウターカム2200の軸と連結され、駆動軸2100’の線形移動はアウターカム2200の軸を介してアウターカム2200の回転運動に変換される。これにより、収容面2202に収容された回転部材2030の位置が変わる。
【0059】
図12では、回転部材2030が収容面2202の頂点に接触して完全に収容され、凸面2102とは微細な間隔を置いて離隔している。よって、エンジンEgとインナーカム2100が回転しても回転部材2030とこれを支持するフォーク部2020は回転しなく、変速機構Trに回転力が伝達されない。この点で、図12は車両においてブレーキペダルBを完全に踏み込んで動力が断絶された状態を示すと言える。
【0060】
図12の一部を拡大した図13を参照してクラッチアセンブリーCの動作原理について説明する。
【0061】
図13の状態で、アウターカム2200が反時計方向(2000R1)に回転すれば、収容面2202が同じ方向に回転する。この際、収容面2202の頂点ではない他の部分が回転部材2030を下方に強制で押し出すので、回転部材2030は方向(2000H1)に下方に移動する。回転部材2030の側面は、前述したように、フォーク2028の側面2028Aによって支持され、アウターカム2200が回転してもフォーク部2020は回転しないので、回転部材2030は側方に移動しない。すなわち、方向(2000H1)は回転部材2030が側面2028Aに沿って下方に移動するほとんど垂直線に近い線形経路である。回転部材2030が下方に移動すれば、回転部材2030はインナーカム2100の凸面2102と接触する。よって、エンジンEgが駆動してインナーカム2100が回転すれば、凸面2102の回転に伴って回転部材2030が回転し、回転部材2030を把持するフォーク部2020も回転し、回転力がフォーク部2020の回転軸2020Aを介して変速機構Trに伝達される。アウターカム2200は、その縁部2204がいつも回転部材2030と当接しているので、回転部材2030の回転に伴って一緒に回転する。
【0062】
図13の状態で、アウターカム2200が時計方向(2000R2)に回転すれば、前記と同様な原理が適用されることが理解可能であろう。
【0063】
次に、以上の説明に基づき、運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合、アクセルペダルEの踏込みを解除した場合、ブレーキペダルBを踏み込んだ場合、及びブレーキペダルBの踏込みを解除した場合の本発明のクラッチアセンブリーCの作動について図14図17を参照して説明する。
【0064】
図14図12で運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合を示す図である。アクセルペダルEの踏込みによってアウターカム2200が反時計方向(2000R1)に回転すると仮定すれば、図13で説明した結果と一致するようになる。すなわち、図示のように、収容面2202が回転部材2030を下方に押し出しながら回転部材2030から離脱し、縁部2204の内周の平坦面が回転部材2030を押す。回転部材2030は収容面2202の深さの分だけ下方(2000H1)に移動してインナーカム2100の凸面2102と接触する。エンジンEgの加速によって回転するインナーカム2100の回転力は回転部材2030を介してフォーク部2020に伝達され、フォーク部2020の回転運動は変速機構Trに伝達される。回転部材2030と当接しているアウターカム2200も同時に回転する。アクセルペダルEを最大に踏み込めばアウターカム2200は反時計方向(2000R1)にもっと回転するが、回転部材2030とインナーカム2100は基本的に図14と同様に接触した状態をずっと維持するので、動力伝達に何の問題もない。
【0065】
図15図14で運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した場合を示す図である。アウターカム2200は時計方向(2000R2)に少し回転して位置し、回転部材2030は依然として縁部2204の平坦な内周面に位置するから、アクセルペダルEの踏込みの際と同様に、依然としてエンジンEgのトルクを伝達する。また、回転部材2030はインナーカム2100の凸面2102と接触した状態をそのまま維持する。よって、図14に比べて、アクセルペダルEの踏込みが解除された状態であるので、エンジンEgの加速とインナーカム2100の回転力が減少する点を除けば、エンジンEgの回転力は回転部材2030を介してフォーク部2020にずっと伝達される。回転部材2030と当接したアウターカム2200も同時にずっと回転する。
【0066】
図16図15で運転者がブレーキペダルBを完全に踏み込んだ場合を示す図である。アウターカム2200は時計方向(2000R2)にさらに回転し、図12のように回転部材2030が収容面2202の頂点に接触するように上方に移動して完全に収容され、凸面2102とは微細な間隔を置いて離隔する。よって、エンジンEgの動力は変速機構Trに伝達されない。
【0067】
図15の状態でブレーキペダルBを徐々に踏み込めば、図16の状態に段階的に変化することが理解可能であろう。すなわち、回転部材2030は最初にはインナーカム2100と接触を維持するが、自体の遠心力によって再びアウターカム2200の収容面2202に入り始めて垂直上方(2000H2)に移動し、相対的にインナーカム2100との接触面積は次第に小さくなる。そして、収容面2202の頂点近所に到逹する瞬間、収容面2202に完全に収容されてインナーカム2100から離隔した状態(図16)になる。
【0068】
図17図16の状態で運転者がブレーキペダルBの踏込みを解除した場合を示す図である。図16の状態でアウターカム2200が反時計方向(2000R1)に少し回転するが、アクセルペダルEを踏み込んだ場合ではないので、回転距離は図14に比べて小さい。このときは、図示のように、回転部材2030が収容面2202と縁部2204の内周平坦面との間の境界付近に位置するまでアウターカム2200が回転する。すると、回転部材2030は次第に下方(2000H1)に移動し、図示のようにインナーカム2100の凸面2102と接し始める位置に来る。この状態は前述した、いわゆる半クラッチ状態(“第4状態”)であり、エンジンの回転力を変速機に伝達する初期の不安定な状態になる。このように、本発明はクラッチペダルを無くしながらもまるで手動変速機車両のように“遷移状態”又は“中間状態(intermediate condition or status)”を具現することができる。これは本発明のクラッチアセンブリーCの特徴を成すものである。
【0069】
以上の図14図17を総合すると、運転者が車両を駆動するためにブレーキペダルBを踏み込みながら始動させ、ブレーキペダルBの踏込みを解除してからアクセルペダルEを踏み込む場合、本発明のクラッチアセンブリーCは順次図16図17及び図14の状態になることが分かる。車両の走行中には、運転者がアクセルペダル及びブレーキペダルE、Bを踏み込む程度によってクラッチアセンブリーCは図14及び図15に基づいて説明したいずれか段階に位置し、エンジンEgと変速機構Trはいつも動力連結状態を成すという事実が重要である。車両の実際走行速度の変化はエンジンの回転数変化によって決定され、クラッチアセンブリーC自体とは関係ない。
【0070】
以上で説明したクラッチアセンブリーCは多様な変形が可能である。フォーク部2020は回転部材2030を把持して支持することができる限り、フォーク2028を省略することができる。回転部材2030の数及び形状は多様に変更可能であり、インナーカム2100とアウターカム2200との間で高さ方向に移動することができる限り、ニードルベアリング以外の部品を選択することができる。また、フォーク2028が高速回転にもかかわらず回転部材2030を堅く支持するために、締結部材を用いてフォーク2028をリムに固定することも可能である。
【0071】
2-3.回転軸アセンブリー
次に、本発明の一実施例による回転軸アセンブリーについて説明する。回転軸アセンブリーは駆動軸3100’の線形移動をクラッチアセンブリーCのアウターカム2200の回転運動に変換する装置である。以下は一例を説明するものであり、直線運動を他の部材の回転運動に転換させることができる構造であればどれを採用しても良い。
【0072】
図18を参照すると、駆動軸3100’がクラッチアセンブリーCに隣接した部位には第1ガイドスロット3002と第2ガイドスロット3004が駆動軸3100’のスリーブに形成される。図示しなかったが、図面の左側にはクラッチアセンブリーCが、右側には動力伝達機構1000が位置する。
【0073】
第1ガイドスロット3002は互いに対向する一対が形成され、駆動軸3100’の長手方向に沿って所定長さを有する長い直線チャネル形である。一対の第1ガイドスロット3002は互いに180度を置いて対向することができるが、これに制限されるものではない。
【0074】
第2ガイドスロット3004も同様に互いに対向する第2上部ガイドスロット3004Aと第2下部ガイドスロット3004Bとからなる。第2上部ガイドスロット3004Aは、所定長さの直線形チャネルである第1経路3006Aと、第1経路3006Aに連続して傾いたチャネルである第2経路3008Aとからなる。第2下部ガイドスロット3004Bは第2上部ガイドスロット3004Aを180度の角度に回転させた形状である。すなわち、第1経路3006Aに対応しては駆動軸3100’の外面に沿って対向して位置する第3経路3008Bが形成され、第2経路3008Aに対応しては所定長さの傾いたチャネルである第4経路3006Bが形成される。第1経路3006Aと第2経路3008Aとの境界と、第3経路3008Bと第4経路3006Bとの境界は仮想線から分かるように円周方向に沿って同一である。第1経路3006A及び第3経路3008Bの長さ及び第2経路3008A及び第4経路3006Bの長さのそれぞれは同一である。第2上部ガイドスロット3004Aと第2下部ガイドスロット3004Bは互いに180度を置いて対向することができるが、これに制限されるものではない。
【0075】
図19を参照すると、フォーク部2020の回転軸2020Aには、長手方向に垂直な円周方向にスリーブから外側に一対の突起2002’が形成される。一対の突起2002’はそれぞれの第1ガイドスロット3002に挿入されるためのものである。突起2002’の円周に沿っての離隔距離は第1ガイドスロット3002の離隔距離と同一であり、突起2002’のスリーブに沿っての長手方向への位置は同一である。
【0076】
図20を参照すると、アウターカム2200の回転軸3000’には長手方向に垂直な円周方向にスリーブから内側に向かって第1及び第2突起3002A’、3002B’が形成される。第1突起3002A’は第2上部ガイドスロット3004Aに、第2突起3002B’は第2下部ガイドスロット3004Bに挿入されるためのものである。第1及び第2突起3002A’、3002B’の円周に沿っての離隔距離は、第2上部及び第2下部ガイドスロット3004A、3004Bの離隔距離と同一であり、第1及び第2突起3002A’、3002B’のスリーブに沿っての長手方向への位置は同一である。
【0077】
図21は駆動軸3100’にフォーク部の回転軸2020A及びアウターカム2200の回転軸3000’を構造的に連結したものを示す斜視図である。駆動軸3100’の直径は回転軸2020Aの直径より大きく回転軸3000’の直径より小さい。よって、駆動軸3100’の第1ガイドスロット3002がその下側ではそれぞれの突起2002’と対向し、第2ガイドスロット3004の上側では第1及び第2突起3002A’、3002B’と対向した状態で3個の軸を結合すれば、図示のように、突起2002’は駆動軸3100’の第1ガイドスロット3002の下側から上側に向かって、かつ第1及び第2突起3002A’、3002B’は第2上部及び下部ガイドスロット3004A、3004Bの上側から下側に向かってそれぞれ挿合される。
【0078】
図示しないインナーカム2100の回転軸は回転軸2020Aより小さい直径を有するように製作されて回転軸2020Aに結合されるか、回転軸2020A自体がインナーカム2100の回転軸の一部になることができる。よって、エンジンEgの回転運動は本発明の回転軸アセンブリーと干渉又は衝突せずに駆動軸3100’を介して変速機構Trに伝達される。
【0079】
以上の説明に基づき、図22を参照して駆動軸3100’の線形移動によるアウターカム2200の回転動作について説明する。
【0080】
運転者がアクセルペダルを踏み込んで駆動軸3100’が左側、すなわちA’方向に線形移動すれば、第1ガイドスロット3002が同じ方向に移動するが、後者は直線形であるので、突起2002’は円周方向に移動しない。よって、フォーク部2020は回転せずに安定した正位置を維持する。
【0081】
一方、第2上部ガイドスロット3004Aが線形移動すれば第2経路3008Aの傾斜面が第1突起3002A’を押圧するので、第1突起3002A’は正位置を維持することができず、第1経路3006Aと第2経路3008Aが成す傾斜角によって方向(3000Ar)に回転しようとする力を受ける。この際、第2下部ガイドスロット3004Bの場合にも、第3経路3008B及び第4経路3006Bの傾斜面の傾斜角によって、第2上部ガイドスロット3004Aでの作動原理と同様に、第2突起3002B’が方向(3000Ar)に回転する。したがって、アウターカム2200の回転軸3000’が第1及び第2突起3002A’、3002B’によって支持されて方向(3000Ar)に回転し、最終的にアウターカム2200が回転する。
【0082】
駆動軸がA’方向に移動した状態で、反対にブレーキペダルを踏み込んで駆動軸3100’が右側、すなわちB’方向に線形移動すれば、第1ガイドスロット3002が同じ方向に移動するが、後者は直線形であるので、突起2002’は円周方向に移動しない。よって、フォーク部2020は回転せずに安定した正位置を維持する。
【0083】
一方、第2上部ガイドスロット3004Aが線形移動すれば第2経路3008Aの傾斜面が第1突起3002A’を押圧するので、第1突起3002A’は正位置を維持することができず、第1経路3006Aと第2経路3008Aが成す傾斜角によって方向(3000Br)に回転しようとする力を受ける。この際、第2下部ガイドスロット3004Bの場合にも、第3経路3008B及び第4経路3006Bの傾斜面の傾斜角によって、第2上部ガイドスロット3004Aでの作動原理と同様に、第2突起3002B’方向(3000Br)に回転する。したがって、アウターカム200の回転軸3000’が第1及び第2突起3002A’、3002B’によって支持されて方向(3000Br)に回転し、最終的にアウターカム2200が回転する。
【0084】
以上本発明の好ましい実施例を開示したが、これは例示のためのものであるだけで、本発明の権利範囲を限定するか制限するものではない。
【0085】
本発明のクラッチシステムは乗用車はもちろんのこと、手動変速操作が一般的な大型トラック、バス、重機、軍用車両又は機甲装備に広く適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】