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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】フルクトースの酵素的生産
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/02 20060101AFI20221005BHJP
   C12N 9/16 20060101ALN20221005BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20221005BHJP
【FI】
C12P19/02 ZNA
C12N9/16 B
C12N15/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570833
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 US2020000022
(87)【国際公開番号】W WO2020242538
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/855,397
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518059587
【氏名又は名称】ボヌモーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィチェレキー、ダニエル、ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050DD02
4B050EE02
4B050LL02
4B064AF02
4B064CA21
4B064CB04
4B064CC09
4B064CD02
4B064DA10
(57)【要約】
フルクトース6-リン酸ホスファターゼ(F6PP)が、1つ以上の二価陽イオン、Mg2+、Zn2+、Ca2+、Co2+及びMn2+の存在下でフルクトース6-リン酸(F6P)からフルクトースへの変換を触媒する工程による、糖類からのフルクトースの生産が本明細書で開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、糖類からフルクトースを調製するための方法:
Mg2+、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せからなる群から選択される二価陽イオンの存在下でフルクトース6-リン酸ホスファターゼ(F6PP)によって触媒される、フルクトース6-リン酸(F6P)をフルクトースに変換する工程
【請求項2】
F6PPによって触媒される、F6Pをフルクトースに変換する工程が、Mg2+と、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せからなる群から選択される二価陽イオンとの存在下のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二価陽イオンの濃度が、0.01mM~500mMの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
二価陽イオンがCo2+又はMn2+である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
二価陽イオンがCo2+である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
二価陽イオンがMn2+である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
グルコース6-リン酸(G6P)をF6Pに変換する工程をさらに含み、該工程がホスホグルコイソメラーゼ(PGI)によって触媒される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
グルコース1-リン酸(G1P)をG6Pに変換する工程をさらに含み、該工程がホスホグルコムターゼ(PGM)によって触媒される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
糖類が、スクロース、デンプン、又はアミロース、アミロペクチン、可溶性デンプン、アミロデキストリン、マルトトリオース、マルトデキストリン、マルトース及びグルコースからなる群から選択されるデンプン誘導体、から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
糖類をG1Pに変換する工程をさらに含み、該工程が少なくとも1つの酵素によって触媒される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
糖をG1Pに変換する工程における少なくとも1つの酵素が、α-グルカンホスホリラーゼ(αGP)、マルトースホスホリラーゼ及びスクロースホスホリラーゼならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
糖類がデンプンであり、デンプンをデンプン誘導体に変換する工程をさらに含み、前記デンプン誘導体が、デンプンの酵素加水分解によるか又はデンプンの酸加水分解によって調製されたものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
4-グルカントランスフェラーゼ(4GT)が方法において添加される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
デンプン誘導体が、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、α-アミラーゼ又はそれらの組合せによって触媒されるデンプンの酵素加水分解によって調製される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の方法であって、前記方法の工程が、約37℃~約95℃の範囲の温度、約5.0~約8.0の範囲のpHで、及び/又は約8時間~約48時間行われる、方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の方法であって、前記方法の工程が、単一のバイオリアクター中で行われる、方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の方法であって、前記方法の工程が、ATPフリー、NAD(P)(H)フリー、約0.1mM~約150mMのリン酸濃度で行われ、リン酸が再利用され、及び/又は方法の少なくとも1つの工程が、エネルギー的に好ましい化学反応を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルクトースの酵素的生産のための方法に関する。
【0002】
フルクトースは、多くの植物に見られる単純なケトン型の単糖であり、グルコースに結合して二糖であるスクロースを形成することが多い。商業的には、フルクトースは、サトウキビ、サトウダイコン及びトウモロコシ由来である。フルクトースが食品及び飲料に商業的に使用される主な理由は、そのコストが低いことに加えて、その高い相対的な甘味である。これは、全ての天然炭水化物の中で最も甘味が強い。フルクトースは、酵素でのトウモロコシシロップの処理及び、平衡状態によって収率が限定されるグルコースからフルクトースへの変換によって生産される人工甘味料である高フルクトースコーンシロップ(HFCS)中でも見られる。(en.wikipedia.org/wiki/Fructose#Physical_and_functional_properties--3/7/18アクセス)。或いは、フルクトースは、代替甘味料アルロース(例えば、国際公開第2016160573A1号パンフレット、国際公開第2015032761A1号パンフレット、国際公開第2014049373A1号パンフレットを参照)の製造のための前駆体として、又はヒドロキシメチルフルフラールの前駆体として使用され得、これらは次に2,5-フランジカルボン酸又は2,5-ジメチルフランなどの様々な有用な化学物質に変化させ得る(en.wikipedia.org/wiki/Hydroxymethylfurfural)。これらの用途は高純度フルクトースを必要とするが、一方で甘味料としての用途は高純度又は低純度フルクトースの何れかとして利用され得る。
【0003】
本発明の方法のうち少なくとも1つの工程がエネルギー的に有利な化学反応を含む、フルクトースの高収率、高純度生産のための費用効果の高い合成経路を開発する必要がある。さらに、方法の工程が1つのタンク又はバイオリアクター内で行われ得、及び/又は高価な分離工程が回避又は排除される製造方法が必要とされている。リン酸を再利用し得、及び/又は当該方法はリン酸の添加源としてアデノシン三リン酸(ATP)を使用することを必要としない、比較的低濃度のリン酸で行われ得るフルクトース生産の高収率で、高純度を達成する方法も必要とされている。
【0004】
フルクトースを調製するための酵素的な方法が、その全体において参照により組み込まれる国際公開第2018/169957号パンフレットで提供されている。フルクトース収率及び酵素活性を改善して、方法のコストを削減することが望ましい。これに関して、以下に記載されるように、フルクトースを生産するための方法において特定の二価陽イオンを使用すると、その結果、フルクトース6-リン酸ホスファターゼ活性及びフルクトース収率が顕著に改善する。
【0005】
本明細書に記載の発明は、一般に、フルクトースの酵素的生産のための改善された方法に関する。とりわけ、本発明の方法は、例えばMg2+、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せを含む1つ以上の二価陽イオンの存在下でのフルクトース6-リン酸ホスファターゼ(F6PP)によって触媒される反応によって、フルクトース6-リン酸をフルクトースに変換する工程を含む。従って、本発明による方法は、Mg2+と、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せからなる群から選択される二価陽イオンとの存在下でのF6PPにより触媒される反応によって、フルクトース6-リン酸をフルクトースに変換する工程を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、デンプン又はその誘導生成物をフルクトースに変換する酵素経路を示す概略図である。以下の略語が使用される:IA、イソアミラーゼ;PA、プルラナーゼ;aGP、アルファグルカンホスホリラーゼ又はデンプンホスホリラーゼ;MP、マルトースホスホリラーゼ;PGM、ホスホグルコムターゼ;PPGK、ポリリン酸グルコキナーゼ;PGI、ホスホグルコイソメラーゼ;F6PP、フルクトース6-リン酸ホスファターゼ。
【0007】
図2図2は、スクロースをフルクトースに変換する酵素経路を示す概略図である。以下の略語が使用される:SP、スクロースホスホリラーゼ;PGM、ホスホグルコムターゼ;PGI、ホスホグルコイソメラーゼ;F6PP、フルクトース6-リン酸ホスファターゼ。
【0008】
図3図3は、マルトデキストリンからのフルクトースの収率に対する、様々な二価陽イオンとマグネシウムとの効果の研究のクロマトグラムを示す。フルクトースは~19分の保持時間で見られ、出発物質は8~11.5分の間、マルトトリオースは11.75分、マルトースは12.75分、グルコースは14分で見られる。さらなる二価陽イオンなし=青色;カルシウム=赤色;コバルト=緑色;マンガン=ピンク;銅=金;及び亜鉛=紫。
【0009】
図4図4は、反応混合物中のマグネシウムとの様々な濃度のCo2+及びMn2+の試験のクロマトグラムを示す。1mMコバルト=青色;0.5mMコバルト=赤色;0.1mMコバルト=緑色;1mMマンガン=ピンク;0.5mMマンガン=金色;及び0.1mMマンガン=紫色。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の発明は、フルクトース生産コストを低下させながら、高い産物収率でフルクトースを生産するための改善された、酵素的な経路又は方法を提供する。これらの方法によって生産されるフルクトースも本明細書に記載される。フルクトースの酵素的生産のための、本発明の改善された方法は、二価陽イオンの存在下でフルクトース6-リン酸ホスファターゼ(F6PP)によって触媒される、フルクトース6-リン酸をフルクトースに変換する工程を含む。例えば、F6Pをフルクトースに変換するための本発明の方法は、Mg2+、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の二価陽イオンの存在下で行われ得る。いくつかの実施形態は、Mg2+と、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せからなる群から選択される二価陽イオンとの存在下でF6PPによって触媒される、フルクトース6-リン酸をフルクトースに変換する工程を含む。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、二価陽イオンはF6PPを安定化し、その結果、活性がより高くなり、全体的な収率がより高くなると考えられる。当技術分野で公知のような適切な塩を使用して、本発明による方法に所望の金属陽イオンを導入し得る。例えば、ハロゲン化物、例えば塩化物又は硫酸塩などを本発明による方法で使用し得る。
【0011】
いくつかの本発明の方法では、二価陽イオンの濃度は0.01mM~500mMの範囲である。本発明のいくつかの好ましい改善された酵素的な方法では、二価陽イオンはCo2+又はMn2+である。いくつかの好ましい実施形態では、二価陽イオンはCo2+である。他の好ましい実施形態では、二価陽イオンはMn2+である。二価陽イオンがCo2+である場合、Co2+の濃度は約0.01mM~500mMの範囲である。例えばCo2+の濃度は約0.1mMである。0.2mM、0.5mM、1mM、1.5mM、2mM、2.5mM、3mM、3.5mM、4mM、4.5mM、5mM、10mM、20mM、50mM、100mM、200mM又は500mM。二価陽イオンがMn2+である場合、Mn2+の濃度は約0.01mM~500mMの範囲である。例えばMn2+の濃度は、約0.05mM、0.1mM、0.15mM、0.2mM、0.25mM、0.3mM、0.3mM、0.35mM、0.4mM、0.45mM、0.5mM、0.55mM、0.6mM、0.65mM、0.7mM、0.75mM、0.8mM、0.85mM、0.9mM、0.95mM、1mM、1.5mM、2mM、2.5mM、3mM、3.5mM、4mM、4.5mM、5mM、10mM、20mM、50mM、100mM、200mM又は500mMである。
【0012】
本発明の改善された酵素的な方法では、F6PPはフルクトースに特異的であり、即ちF6PPは、例えばグルコース6-リン酸などの他の糖リン酸よりもフルクトースに対して高い比活性を有する。F6PPの非限定的な例は、配列番号1(MIEAVIFDMDGVIINSEPIHYKVNQIIYEKLGIKVPRSEYNTFIGKSNTDIWSFLKRKYNLKESVSSLIEKQISGNIKYLKSHEVNPIPGVKPLLDELSEKQITTGLASSSPEIYIETVLEELGLKSYFKVTVSGETVARGKPEPDIFEKAARILGVEPPHCVVIEDSKNGVNAAKAAGMICIGYRNEESGDQDLSAADVVVDSLEKVNYQFIKDLI)に示されるアミノ酸配列を有するUniprot ID B8CWV3である。
【0013】
F6PPの例としては、上述のUniprot IDに対する少なくとも25%、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%又は少なくとも94%及びさらに最も好ましくは少なくとも96、97、98、99又は100%のアミノ酸配列同一性を有する何れかの相同体も挙げられる。
【0014】
本発明のいくつかの好ましい改善された酵素的な方法では、F6Pをフルクトースに変換するためのF6PPは、触媒作用のためのロスマノイド折り畳みドメインを含有するが含有することに限定されず;さらに、限定されないが、基質特異性のためのC1又はC2キャッピングドメインを含有し;加えて、限定されないが、第2のAspが一般的な酸/塩基触媒である二価陽イオンを配位させるために、ロスマノイド折り畳みの第1のβ鎖にDxDシグネチャーを含有し;さらに、限定されないが、反応中間体の安定性を助けるロスマノイド折り畳みの第2のβ鎖の末端にThr又はSerを含有し;さらに、限定されないが、反応中間体の安定性を助けるロスマノイド折り畳みの第3のβ鎖に対してC末端のα-ヘリックスのN末端にLysを含有し;さらに、限定されないが、二価陽イオンを配位させるために、ロスマノイド折り畳みの第4のβ鎖の末端にGDxxxD、GDxxxxD、DD又はEDシグネチャーを含有する。これらの特徴は当技術分野で公知であり、例えば、Burroughs et al.,Evolutionary Genomics of the HAD Superfamily:Understanding the Structural Adaptations and Catalytic Diversity in a Superfamily of Phosphoesterases and Allied Enzymes.J.Mol.Biol.2006;361;1003-1034を参照のこと。
【0015】
本発明によるフルクトースを調製するためのいくつかの改善された酵素的な方法はまた、ホスホグルコイソメラーゼ(PGI)によって触媒される、グルコース6-リン酸(G6P)をF6Pに酵素により変換する工程を含む。他の実施形態では、本発明は、ホスホグルコムターゼ(PGM)によって触媒される、グルコース1-リン酸(G1P)をG6Pに変換する工程をさらに含む。またさらなる実施形態では、フルクトース生産工程は、少なくとも1つの酵素によって触媒される、糖類をG1Pに変換する工程も含む。デンプン誘導体を含む一部のフルクトース生産工程では、収率を高めるために4-α-グルコトランスフェラス(glucotransferas)(4GT)が添加される。
【0016】
一実施形態では、本発明によるフルクトースを調製するための改善工程は、例えば、以下の工程を含む:(i)1つ以上の酵素を使用した、糖類からグルコース1-リン酸(G1P)への変換;(ii)ホスホグルコムターゼ(PGM、EC5.4.2.2)を用いたG1PからG6Pへの変換;(iii)ホスホグルコイソメラーゼ(PGI、EC5.3.1.9)を用いたG6PからF6Pへの変換;(iv)Mg2+、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せからなる群から選択される二価陽イオンの存在下でのF6PPを使用したF6Pからフルクトースへの変換。別の実施形態では、本発明によるフルクトースを調製するための改善工程は、例えば、以下の工程を含む:(i)1つ以上の酵素を使用した糖類からグルコース1-リン酸(G1P)への変換;(ii)ホスホグルコムターゼ(PGM、EC5.4.2.2)を用いたG1PからG6Pへの変換;(iii)ホスホグルコイソメラーゼ(PGI、EC5.3.1.9)を用いたG6PからF6Pへの変換;(iv)Mg2+と、Zn2+、Ca2+、Co2+、Mn2+及びそれらの組合せからなる群から選択される二価陽イオンとの存在下でのF6PPを使用したF6Pからフルクトースへの変換。
【0017】
典型的には、開示の工程で使用される酵素単位の比は、1:1:1:1:1(4GT:αGP:PGM:PGI:F6PP)である。生成物収率を最適化するために、これらの比を何らかの数の組合せで調整し得る。例えば、特定の酵素は、他の酵素の量に対して約2倍、3倍、4倍、5倍などの量で存在し得る。
【0018】
本発明の改善工程の重要な長所の1つは、方法の工程を単一のバイオリアクター又は反応容器中で行い得ることである。或いは、これらの工程を直列に配置される複数のバイオリアクター又は反応容器中でも行い得る。
【0019】
次いで、脱リン酸化工程中に生じたリン酸イオンは、特に全ての方法の工程が単一のバイオリアクター又は反応容器中で行われる場合、糖類をG1Pに変換する方法の工程で再利用され得る。開示される方法においてリン酸を再利用する能力は、非化学量論量のリン酸を使用することを可能にし、反応リン酸濃度を低く保つ。これは、全体的な経路及び全体的な方法の速度に影響を及ぼすが、個々の酵素の活性を制限せず、フルクトース生産方法の全体的な効率的働きを可能にする。
【0020】
例えば、各方法における反応リン酸濃度は、約0.1mM~約300mM、約0mM~約150mM、約1mM~約50mM、好ましくは約5mM~約50mM又はより好ましくは約10mM~約50mMの範囲であり得る。例えば、各方法における反応リン酸濃度は、約0.1mM、約0.5mM、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM又は約55mMであり得る。
【0021】
リン酸濃度が低いと、全リン酸量が低いため生産コストが低下し、したがってリン酸除去コストが低下する。また、これは、高濃度の遊離リン酸による、方法における酵素の阻害も防ぎ、リン酸汚染の可能性を低下させる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明の改善された酵素的な方法は、リン酸の供給源としてATPを添加せず、即ちATP不含で、行われる。いくつかの実施形態では、本方法は、NAD(P)(H)を添加する必要なく、即ちNAD(P)(H)不含でも行われ得る。他の長所としては、フルクトースを製造するための開示される方法の最後の工程がエネルギー的に好ましい化学反応を含むという事実も挙げられる。
【0023】
デンプン及びその誘導体、セルロース及びその誘導体並びにスクロース及びその誘導体からフルクトースを調製する方法は、例えば、その全体において参照により組み込まれる国際公開第2018/169957号パンフレットで見ることができる。
【0024】
デンプンの誘導体は、デンプンの酵素的加水分解によって又はデンプンの酸加水分解によって調製され得る。具体的には、デンプンの酵素による加水分解は、α-1,6-グルコシド結合を加水分解するイソアミラーゼ(IA、EC.3.2.1.68);α-1,6-グルコシド結合を加水分解するプルラナーゼ(PA、EC.3.2.1.41);短いマルトオリゴ糖のトランスグリコシル化を触媒し、より長いマルトオリゴ糖をもたらす4-α-グルカノトランスフェラーゼ(4GT、EC.2.4.1.25);又はα-1,4-グルコシド結合を切断するα-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)によって触媒又は促進され得る。
【0025】
さらに、セルロースの誘導体は、セルラーゼ混合物によって触媒されるセルロースの酵素的加水分解によって、酸によって、又はバイオマスの前処理によって調製され得る。
【0026】
糖をG1Pに変換するために使用される酵素は、αGPを含み得る。例えば、糖類がデンプンを含む方法では、G1Pは、αGPによってデンプンから生成され;この糖類が可溶性デンプン、アミロデキストリン又はマルトデキストリンを含有する場合、G1Pは、可溶性デンプン、アミロデキストリン又はマルトデキストリン及び遊離リン酸からαGPにより生成される。糖類がマルトデキストリンであるいくつかの実施形態では、マルトデキストリンが脱灰される。他の実施形態では、マルトデキストリンは脱灰されない。
【0027】
糖類がマルトースを含み、酵素がマルトースホスホリラーゼを含有する場合、G1Pはマルトースホスホリラーゼによってマルトース及び遊離リン酸から生成される。糖類がスクロースを含み、酵素がスクロースホスホリラーゼを含有する場合、G1Pはスクロースホスホリラーゼによってスクロース及び遊離リン酸から生成される。
【0028】
糖類がセロビオースを含み、酵素がセロビオースホスホリラーゼを含有する場合、セロビオースホスホリラーゼによってセロビオースからG1Pが生成され得る。糖類がセロデキストリンを含有し、酵素がセロデキストリンホスホリラーゼを含む場合、G1Pは、セロデキストリンホスホリラーゼによってセロデキストリン及び遊離リン酸から生成され得る。糖類をG1Pに変換する際、糖類がセルロースを含み、酵素がセルロースホスホリラーゼを含有する場合、G1Pはセルロースホスホリラーゼによってセルロース及び遊離リン酸から生成され得る。
【0029】
フルクトースはスクロースからも作製され得る。スクロースをフルクトースに変換する本発明の改善された酵素的な方法は、スクロースホスホリラーゼ(SP)によって触媒されるスクロース及び遊離リン酸からのG1Pの生成;PGMによって触媒されるG1PからG6Pへの変換;PGIによって触媒されるG6PからF6Pへの変換;F6PPによって触媒されるF6Pからフルクトースへの変換を含む。F6P脱リン酸化工程中に生成されるリン酸イオンは、スクロースをG1Pに変換する工程で再利用され得る。
【0030】
本発明の改善された方法は、デンプン中の多糖類及びオリゴ糖類、セルロース、スクロース及びそれらの誘導産物などの糖類をフルクトースに変換するための方法を含む。無細胞酵素カクテルを使用してデンプン、セルロース、スクロース及びそれらの誘導生成物をフルクトースに変換するために、人工(非天然)ATP不含酵素経路が提供され得る。
【0031】
いくつかの酵素は、デンプンを加水分解してG1P収量を増加させるために使用され得る。このような酵素としては、イソアミラーゼ、プルラナーゼ及びα-アミラーゼが挙げられる。コーンスターチは、αGP作用を妨げる多くの分岐を含有する。イソアミラーゼ及びプルランセ(pullulanse)を使用してデンプンの分岐をなくし、直鎖状アミロデキストリンを得ることができる。イソアミラーゼ及びプルラナーゼは、α-1,6-グリコシド結合を切断し、α-グルカンホスホリラーゼによるデンプンのより完全な分解を可能にする。α-アミラーゼはα-1,4-グリコシド結合を切断するので、フルクトースへのより迅速な変換及び溶解性の向上のためにデンプンを断片(即ちマルトデキストリン)に分解するため、α-アミラーゼが使用される。
【0032】
マルトースホスホリラーゼ(MP)を使用して、分解産物マルトースをG1P及びグルコースへとリン酸化的に切断することによってフルクトース収率を上昇させ得る。或いは、4-グルカントランスフェラーゼ(4GT)を使用して、分解産物であるグルコース、マルトース及びマルトトリオースをより長いマルトオリゴ糖へと再利用することによってフルクトース収率を上昇させ得;これをαGPによってリン酸化的に切断してG1Pを得ることができる。
【0033】
さらに、セルロースは、最も豊富な生物資源であり、植物細胞壁の主要な構成成分である。非食品リグノセルロース性バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース及びリグニン並びに他の微量成分を含有する。Avicel(微結晶セルロース)、再生非晶質セルロース、細菌セルロース、濾紙などを含む純粋なセルロースは、一連の処理を介して調製され得る。部分加水分解セルロース系基質としては、重合度が7を超える非水溶性セロデキストリン、重合度が3~6の水溶性セロデキストリン、セロビオース、グルコース及びフルクトースが挙げられる。
【0034】
セルロース及びその誘導生成物は、一連の工程を通してフルクトースに変換され得る。本発明の改善された方法はまた、以下の工程を含むインビトロ合成経路を提供する:それぞれセロデキストリンホスホリラーゼ(CDP)及びセロビオースホスホリラーゼ(CBP)によって触媒される、セロデキストリン及びセロビオース並びに遊離リン酸からのG1Pの生成;PGMによって触媒されるG1PからG6Pへの変換;PGIによって触媒されるG6PからF6Pへの変換。この方法では、セロデキストリン及びセロビオースをG1Pに変換する工程によってリン酸イオンが再利用され得る。
【0035】
いくつかの酵素を使用して、固体セルロースを水溶性セロデキストリン及びセロビオースに加水分解し得る。このような酵素には、エンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼが含まれるが、β-グルコシダーゼ(セロビアーゼ)は含まれない。
【0036】
セルロース加水分解及びG1P生成の前に、セルロース及びバイオマスを前処理してそれらの反応性を高め、セルロース鎖の重合度を低下させ得る。セルロース及びバイオマス前処理法は、希酸による前処理、セルロース溶媒ベースのリグノセルロース分画化、アンモニア繊維膨張、アンモニア水浸漬、イオン液体処理及び、塩酸、硫酸、リン酸及びそれらの組合せを含む濃酸を使用することによる部分加水分解を含む。
【0037】
ポリリン酸及びポリリン酸グルコキナーゼ(PPGK)を本発明による方法に付加し得、したがって分解産物グルコースをG6Pにリン酸化することによってフルクトースの収率を上昇させる。
【0038】
フルクトースは、グルコースから生産され得る。フルクトース生産のための方法は、ポリリン酸グルコキナーゼ(PPGK)によって触媒されるグルコース及びポリリン酸からG6Pを生成させる工程及びPGIによって触媒されるG6PからF6Pへの変換の工程を含み得る。
【0039】
当技術分野で公知の何らかの適切な生物学的に適合性の緩衝剤、例えばHEPES、PBS、BIS-TRIS、MOPS、DIPSO、Trizmaなどを本発明の方法のそれぞれで使用し得る。本発明による方法のための反応緩衝液は、5.0~8.0の範囲のpHを有し得る。より好ましくは、反応緩衝液pHは約6.0~約7.3の範囲であり得る。例えば、反応緩衝液pHは、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2又は7.3であり得る。
【0040】
本発明の方法のそれぞれにおいて、方法の工程が行われる反応温度は、37~95℃の範囲であり得る。より好ましくは、この工程は、約40℃~約90℃の範囲の温度で行い得る。温度は、例えば、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃又は約90℃であり得る。好ましくは、反応温度は約50℃である。
【0041】
フルクトースを生成させるための改善された方法のそれぞれの反応時間は、必要に応じて調整され得、例えば、約8時間~約48時間の範囲であり得る。例えば、反応時間は、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約32時間、約34時間、約36時間、約38時間、約40時間、約42時間、約44時間、約46時間又は約48時間であり得る。より好ましくは、反応時間は約24時間である。いくつかの実施形態では、フルクトースは連続反応で生産される。
【0042】
本発明の方法は、低コストの出発材料を使用し、原料及び生成物の分離に関連するコストを低減することによって製造コストを低下させる。デンプン、セルロース、スクロース及びそれらの誘導体のいくつかは、例えばラクトースよりも安価な原料である。フルクトースがバイオマス又はラクトースから生産される場合、収率は本発明よりも低く、フルクトースはクロマトグラフィーを介して他の糖から分離しなければならず、これにより製造コストがより高くなる。さらに、本発明の方法は動物を含まない。
【0043】
本発明によるF6Pをフルクトースに変換する工程は、原料にかかわらず、不可逆的ホスファターゼ反応である。従って、後続の生成物分離コストを効果的に最小限に抑えながら、フルクトースが非常に高い収率で生産される。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明は、フルクトースの無細胞調製を含み、細胞内外への基質/生成物の輸送を遅くすることが多い細胞膜が排除されているので、比較的高い反応速度を有する。それはまた、栄養豊富な発酵培地/細胞代謝産物を含まない最終産物を有する。
【0045】
本発明の特定の実施形態は、フルクトースを生産するための本明細書に記載の改善された方法によって生産されるフルクトースである。
【0046】

材料及び方法
全ての化学物質は試薬グレード以上であり、特に明記しない限り、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO,USA)又はFisher Scientific(Pittsburgh,PA,USA)から購入した。制限酵素、T4リガーゼ及びPhusion DNAポリメラーゼは、New England Biolabs(Ipswich,MA,USA)から購入した。オリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologie(Coralville,IA,USA)又はEurofins MWG Operon(Huntsville,AL,USA)の何れかによって合成された。DNA操作のための宿主細胞としてエシェリキア・コリ(Escherichia coli)Sig10(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)を使用し、組み換えタンパク質発現のための宿主細胞としてE.コリ(E.coli)BL21(DE3)(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)を使用した。100mg L-1アンピシリン又は50mg L-1カナマイシンの何れかを含むZYM-5052培地をE.コリ(E.coli)細胞増殖及び組み換えタンパク質発現のために使用した。プルラナーゼ(カタログ番号:P1067)は、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO,USA)から購入し、Novozymes(Franklinton,NC,USA)によって製造された。マルトースホスホリラーゼ(カタログ番号:M8284)はSigma-Aldrichから購入した。Deashed Maltodextrin DE5はCargill(Minneapolis,MN,USA)から購入した。
【0047】
100mg L-1アンピシリン又は50mg L-1カナマイシンの何れかを含有する100mLのZYM-5052培地を含む1Lエーレンマイヤーフラスコ中でタンパク質発現プラスミドを保有するE.コリ(E.coli)BL21(DE3)株を温置した。220rpmで回転振盪しながら37℃で16~24時間、細胞を増殖させた。12℃での遠心分離によって細胞を回収し、50mM NaCl及び5mM MgCl2を含有する20mMリン酸緩衝食塩水(pH7.5)(熱沈殿及びセルロース結合モジュール)又は300mM NaCl及び5mMイミダゾールを含有する20mMリン酸緩衝食塩水(pH7.5)(ニッケル精製)の何れかで1回洗浄した。細胞ペレットを同じ緩衝液中で再懸濁し、超音波処理(Fisherbrand(商標)Sonic Dismembrator Model 500;パルスオン5秒、オフ10秒、振幅50%で合計21分)によって溶解させた。遠心分離後、上清中の標的タンパク質を精製した。
【0048】
3つのアプローチを使用して、様々な組み換えタンパク質を精製した。Hisタグ付加タンパク質をNi Sepharose 6 Fast Flow樹脂(GE Life Sciences,Marlborough,MA,USA)によって精製した。表面積が大きい再生非晶質セルロース上での高親和性吸着を通じて、セルロース結合モジュール(CBM)及び自己開裂インテインを含有する融合タンパク質を精製した。60~95℃で5~30分間の熱沈殿を使用して、超耐熱性酵素を精製した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって組み換えタンパク質の純度を調べた。
【0049】
Thermus sp.(サーマス種)CCB_US3_UF1由来のα-グルカンホスホリラーゼ(αGP)(Uniprot ID G8NCC0)を使用した。カルジバチルス・デビリス(Caldibacillus debilis)由来のホスホグルコムターゼ(PGM)(Uniprot ID A0A150LLZ1)を使用した。サームス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)由来のホスホグルコイソメラーゼ(PGI)(Uniprot ID Q5SLL6)を使用した。アナエロリネア・サーモフィラ(Anaerolinea thermophila)由来の組み換え4-α-グルカノールトランスフェラーゼを使用した(Uniprot E8MXP8)。ハロサーモスリックス・オレニイ(Halothermothrix orenii)由来のフルクトース6-リン酸ホスファターゼ(F6PP)(Uniprot ID B8CWV3)を使用した。
【0050】
例1.マルトデキストリンからフルクトースへの変換に対する二価陽イオンの効果を決定するための二価陽イオンの試験。マルトデキストリンからフルクトースへの変換に対する二価陽イオンの効果を決定するために様々なさらなる二価陽イオンを試験した。50mMホスファートpH7.2、5mM MgCl、さらなる二価陽イオン(2.5mM CaCl、0.96mM CaCl、2mM CuCl、2mM ZnCl、2mM CoCl、2mM MnCl)、200g/Lの脱分岐及び脱灰マルトデキストリン、0.8g/L αGP、0.1g/L PGM、0.1g/L PGI、1.0g/L F6PP及び0.05g/L 4GTの反応物を調製し、50℃で24時間温置した。16、20及び24時間で、Vivaspin(登録商標)2濃縮器(10,000 MWCO)を用いた酵素の濾過を介して反応を停止させた。Supel Cogel Pbカラム及び屈折率検出器を使用して生成物フルクトースを評価した。試料を0.6mL/分で超純水中に80℃で25分間流した。16時間で生成されたフルクトースの量を使用して各反応の相対活性を決定し、同時に、24時間で生成されたフルクトースの量(完全反応)を使用して各反応の相対収率を決定する。例えば、24時間で、さらなる二価陽イオン反応がないとマルトデキストリンの重量でフルクトースの~約41%の収率しか達成しないが、コバルト反応はマルトデキストリンの重量でフルクトースの~約88%の収率を達成する。結果を表1及び図3で示す:いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、示される利益の殆どは、F6PPの安定性の促進に起因すると考えられる。
【表1】
【0051】
例2.マルトデキストリンからフルクトースへの変換に対するコバルト及びマンガンのさらなる特徴評価。コバルト及びマンガンが最も効果があったので、コバルト又はマンガンの濃度を除いて例1と同じ濃度勾配試験を行った。16時間で生成されたフルクトースの量を使用して各反応の相対活性を決定し、同時に、24時間で生成されたフルクトースの量(完全反応)を使用して各反応の相対収率を決定する。図4のクロマトグラムは、マンガンが0.1mM以下の低濃度で有効であるのに対して、コバルトは1mM未満で有効性を失うことを示す。1mMコバルト=青色;0.5mMコバルト=赤色;0.1mMコバルト=緑色;1mMマンガン=ピンク;0.5mMマンガン=金色;及び0.1mMマンガン=紫色。表2は、上記反応の活性%(16時間の時点)並びに相対収率(24時間の時点)を示す。
【表2】
【0052】
例3:マルトデキストリンからフルクトースへの変換に対するマグネシウム及びコバルト/マンガンの相互依存。マグネシウム及びコバルト/マンガンの相互依存性を決定するために、マグネシウムの漸増量又はマグネシウムを含まないコルバルト/マンガンの漸増量で実験を行った。総二価金属が以下:25mM MgCl、1mM CoCl又は1mM MnClと等しいことを除いて、反応は例1と同じである。16時間で生成されたフルクトースの量を使用して各反応の相対活性を決定し、同時に、24時間で生成されたフルクトースの量(完全反応)を使用して各反応の相対収率を決定する。表3は、上記反応の活性%(16時間の時点)並びに相対収率(24時間の時点)を示す。
【0053】
まとめると、この例は、一般に、二価陽イオンがより多い方が反応に有益であることを示す。驚くべきことに、5倍のマグネシウム濃度を用いた反応は、マンガンのみを用いた反応と同様の%活性及び相対収率を示した。マグネシウムとマンガン又はコバルトとの混合物は、導電率又はイオン強度を制限することに目を向けた工程に好ましい。
【表3】
【0054】
配列表
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2022543520000001.app
【国際調査報告】