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▶ シャンハイ ブイエスアイ インテリジェント テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

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  • 特表-杖 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】杖
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/02 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A61H3/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574787
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2019091242
(87)【国際公開番号】W WO2020248217
(87)【国際公開日】2020-12-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521547699
【氏名又は名称】シャンハイ ブイエスアイ インテリジェント テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、クオシアン
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA04
4C046AA10
4C046AA23
4C046AA29
4C046AA44
4C046AA45
4C046AA47
4C046BB01
4C046BB07
4C046BB10
4C046CC01
4C046DD02
4C046DD07
4C046DD29
4C046DD33
4C046EE02
4C046EE03
4C046EE06
4C046EE09
4C046EE26
4C046EE33
4C046EE34
(57)【要約】
杖は、モータ(10)と偏心ホイール装置(20)とを含む。偏心車輪装置(20)は、杖の頭部支持ユニット(30)に設けられている。モータ(10)は干渉力を形成するように偏心輪装置(20)を駆動し、その結果、杖は転倒する傾向を有し、それによって、ユーザは、自分の身体の運動システムを安定したままに調節することを余儀なくされる。モータ(10)は偏心ホイール装置(20)を駆動して干渉力を形成し、それにより、指定された振幅の干渉をユーザに加えることができ、それにより、ユーザに、ユーザの身体の運動システムを安定したままにするように強制し、それにより、予想される行動習慣を形成するための訓練を支援し、それにより、ユーザのニーズにより良く対処する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと偏心車輪装置とを備えた杖であって、
前記偏心車輪装置は前記杖の頭部支持ユニットに設けられ、
前記モータは前記偏心車輪装置を駆動して干渉力を形成し、前記杖が転倒する傾向を有するようにし、ユーザが自身の身体の運動システムを調整して、安定した状態を保つことを強制する、ことを特徴とする杖。
【請求項2】
前記杖は空間姿勢検出センサ群を更に備え、前記空間姿勢検出センサ群は前記ユーザの姿勢を検出するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の杖。
【請求項3】
前記空間姿勢検出センサ群は、速度センサ、力センサ、加速度センサ、角センサ、および磁界センサのうちの1つ以上を備えることを特徴とする請求項2に記載の杖。
【請求項4】
前記頭部支持ユニットに音響光学装置または振動装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の杖。
【請求項5】
中間支持ユニットに高さ調節可能な装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の杖。
【請求項6】
前記杖の底部支持ユニットは、多点支持体または表面支持体として構成されることを特徴とする請求項1に記載の杖。
【請求項7】
無線伝送ユニットを備え、ユーザデータを収集し、前記無線伝送ユニットを介して格納のためのクラウドに伝送することを特徴とする請求項2に記載の杖。
【請求項8】
クラウドエンジンを介して使用中のユーザの状態を分析することを特徴とする請求項1に記載の杖。
【請求項9】
前記ユーザの使用状況に応じて、クラウドにおいて、前記ユーザに商品がマッチングされることを特徴とする請求項1に記載の杖。
【請求項10】
クラウドにおいて、前記ユーザに対してトレーニングパラメータが選択されることを特徴とする請求項1に記載の杖。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日常使用のための物品に関し、特に杖(ウォーキングスティック)に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化の進展に伴い、高齢者への対応は、今日の社会において解決すべき喫緊の課題となっている。統計によると、中国では60歳以上の高齢者が2億2000万人に達しており、これは世界の高齢者人口の5分の1であり、アジアでは全人口の半分である。2035年までに中国の高齢者数は4億人に達すると推定されている。高齢化の進展により、高齢者のための補助装置、特に高齢者のためのリハビリテーション補助装置の市場が台頭している。技術の発展に伴い、従来の装置はますます知性のあるものになり、一連の機能を実現することができる。しかしながら、ほとんどの装置は杖のような製品の単一の機能を認識する伝統的な段階にあり、杖は一般に、市場において身体を支持するための製品として位置付けられており、杖は常に変化しているが、ユーザ価値に向けられた飛躍的な革新は決してなかった。したがって、杖を高齢者にいかに良好にサービスするかは、当業者にとって解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ユーザにより良くサービスを提供するために、本発明は、杖を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決策によって実施される。
【0005】
杖はモータと偏心ホイール装置とを備え、偏心ホイール装置は杖の頭部支持ユニットに設けられ、モータは杖が転倒する傾向を有するように、干渉力を形成するように偏心ホイール装置を駆動し、それによって、ユーザに、ユーザの身体の運動システムを安定したままに調節させる。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、杖は空間姿勢検出センサ群をさらに備え、空間姿勢検出センサ群はユーザの姿勢を検出するために使用される。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、空間姿勢検出センサ群は、速度センサ、力センサ、加速度センサ、角度センサ、および磁界センサのうちの1つまたは複数を含む。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、杖には、更に、頭部支持ユニット内に音響光学装置又は振動装置が設けられている。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、杖は、中間支持ユニット内に高さ調節可能な装置を備える。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、杖の底部支持ユニットは、多点支持体または表面支持体として構成される。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、杖はユーザデータを収集し、それを無線送信ユニットを介して格納するためにクラウドに送信する無線送信ユニットをさらに備える。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、杖は、クラウドエンジンを介して使用中のユーザの状態を分析する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、ユーザの使用状況に応じて、クラウド内のユーザに商品がマッチングされる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、杖では、クラウド内のユーザのためにトレーニングパラメータが選択される。
【0015】
本発明はモータが偏心ホイール装置を駆動して干渉力を形成し、指定された振幅の干渉をユーザに加えることができ、それによって、ユーザに、予想される行動習慣を形成するための訓練を支援するように、ユーザの身体の運動システムを安定したままにするように強制し、それによって、ユーザのニーズにより良く対処する、杖を提供する。
【0016】
以下、本発明の目的、特徴及び効果を十分に理解できるように、本発明の概念、具体的な構成及び技術的効果について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係るモータおよび偏心輪装置の概略構成図である。
図2】一実施形態に係る杖の概略構造図である。
図3】一実施形態に係る杖の原則の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の技術的内容をより明確かつ容易に理解するために、添付図面を参照して本発明の複数の好ましい実施形態について説明する。本発明は多くの異なる形態の実施形態で具現化することができ、本発明の保護範囲は、本明細書で言及した実施形態に限定されない。
【0019】
また、従来技術において、高齢のユーザのためのインテリジェント製品の幾つかの探求及び試みがなされてきた。市販されている知的杖には警報を出したり、転倒後に持ち上げるのに役立つものがある。これには杖の身体に制御装置、垂直方向感知装置、警報装置が組み込まれており、独立した電源によって給電できる。検知装置が落下または水平方向を検知すると、警報装置が警報を発するように制御され、アクチュエータがトリガされて、落下状態で杖を持ち上げる。この種のインテリジェント杖製品のアラームモードは主に、音響光学アラームによる支援のために周囲の人々の注意を引き付けるためのものである。警報形成は単一であり、他の電子機器との外部相互接続に欠ける。高齢者が一人歩行すると、このような警報が働かなくなり、故意に転倒したときに他人の助けを得ることが困難になる。また、自動持ち上げは、実用化過程で落下した後に高齢者を急いで持ち上げることができないなどの要因を考慮することなく、機能的な観点からのみ考慮される。従来技術のインテリジェント杖製品は主に単一の機能シーンを有し、十分に精密かつ科学的ではなく、高齢者の活動中のリスク管理の重要な考慮事項を満たさず、製品の背後にあるユーザの中心的な問題を解決することができず、高齢者ユーザに監視支援サービスを提供することが困難であることが分かる。
【0020】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0021】
図1および図2に示すように、この実施形態は、杖を提供する。杖は、インテリジェントトレーニングモジュールを形成することができるモータ10及び偏心車輪装置20を含む。偏心車輪装置20は、杖の頭部支持ユニット30に設けられている。ヘッド支持部30は、ユーザが杖を把持するハンドル位置にある。モータ10は干渉力を形成するように偏心輪装置20を駆動し、その結果、杖が転倒する傾向を有し、それによって、ユーザに、正しいウォーキングモードを形成し、ウォーキング機能を維持し、強化するようにユーザの身体の訓練を達成するように、ユーザの身体の運動システムを安定したままにするように強制する。偏心車輪が回転すると、重力の作用下で干渉力が形成される。偏心ホイール自体の重量により、杖は、ある範囲内で転倒する傾向がある。杖は所望の杖保持モードを達成し、ユーザがトレーニングを受けることを可能にするために、使用中にユーザに能動的なトレーニング機能を提供する。
【0022】
最初に、評価者は杖製品を使用しようとするユーザの身体機能を評価して、ユーザが製品を使用するのに適しているかどうかを判定することができ、ユーザが移動を助けるために杖を必要とする要件を満たすかどうかを判定するために、ユーザの個人ファイルに、現在のウォーキング能力、姿勢、およびリスクレベルなどを含むユーザの基本データを入力することができる。
【0023】
また、杖はユーザによる杖の使用状況を検出するために、空間姿勢検出センサ群を備えている。空間姿勢検出センサ群はユーザの姿勢を検出するため、すなわち、ユーザによる杖の使用状況を検出するために用いられる。ユーザが片側に傾いているか、歩行が不安定であるか、または使用中に頻繁に急激な加速度の変化を伴うかどうかを分析するモデルを使用して、ユーザのための杖の使用状況に適合させることが可能である。
【0024】
任意に、空間姿勢検出センサ群は、速度センサ、力センサ、加速度センサ、角度センサ、および磁界センサのうちの1つまたは複数を含む。速度センサは単位時間当たりの変位の変化を検出し、力センサは力の大きさを関連する電気信号に変換することができ、加速度センサは質量ブロックの慣性力を測定することによって加速度値を得ることができ、磁界センサは様々な磁界および変化量を電気信号に変換することができ、その結果、速度、加速度、角度、磁界、または高さなどの状態を検出することができる。
【0025】
この実施形態では杖には対応するフィードバックを提供するように、頭部支持ユニット30内に音響光学装置または振動装置も設けられており、これは異なる使用環境でそれを合理的に使用することをユーザに思い出させることができ、また、異常な状況で警告の役割を果たすことができる。音響光学装置または振動装置は、要求に応じてトリガーして、ユーザフィードバック信号を提供することができる。
【0026】
適用可能性を提供するために、杖は中部支持ユニット40内に高さ調節可能な装置を備えており、この装置は人間工学的に整合させることができ、テレスコピック・ロッドおよび螺旋調整ロッドのような種々の方法によって設計することができる。杖は、高さ調節可能な装置を介して、異なる高さの人に適合させることができる。
【0027】
引き続き図2を参照すると、この実施形態では、杖の底部支持ユニット50が多点支持体または表面支持体として構成される。底部支持ユニットは、杖の下に支持を提供する。表面支持体はソールの形状であってもよく、多点支持体は複数の支持柱の形成であってもよい。杖は多点支持体または表面支持体のいずれかによって独立して組み立てることができ、これは、使用者が自由に使用し、保管するのに便利である。
【0028】
この実施形態では、杖がユーザデータを収集し、それを無線伝送ユニットを介して格納するためにクラウドに伝送する無線伝送ユニットも備える。ユーザデータ、すなわち、ユーザによる使用プロセス中に生成されたデータはユーザによる使用プロセス中に無線伝送ユニットを介してクラウドに連続的にアップロードすることができ、したがって、ユーザトレーニングのプロセス全体の追跡ファイルを形成する。
【0029】
この実施形態では、杖がクラウドエンジンを介して使用中のユーザの状態を分析する。クラウドインテリジェントデータエンジンは対応するデータに対して解析機能を実現することができ、クラウド内でビッグデータ解析を行うことができる。ユーザの各種データの集約・統合により、ユーザの状況に応じた杖の使用状況がアルゴリズムにより取得される。
【0030】
使用中、杖では、クラウド内のユーザのためにトレーニングパラメータが選択される。高齢者の身体状態は、動的な変化及び連続的な衰退の過程にあるので、杖は一般に、ユーザに永久には適していない。したがって、クラウドが、ユーザによって使用された製品がもはやユーザの挙動とうまく一致しないことを発見した場合、再マッチングモジュールを設定して、モバイルアプリまたはオフラインビジネスユニットにおける評価および製品交換のために指定されたサービスポイントに行くようにユーザに通知することができる。交換される製品は、ユーザの使用プロセスデータに基づいて正確にマッチングされる。右側に傾く傾向がある場合には、他の側よりも右側でより多くの支持を有する製品をマッチングさせることが可能である。加速度が急激に変化することが多い場合はハンドヘルドモードで、適度な高さの製品と保護固定装置を合わせ、落下履歴を確認し、落下しやすい部品に保護対策を加えて、偶発的な負傷を回避する必要がある。
【0031】
図3に示すように、具体的な実施形態では、空間姿勢検知センサ群を入力部として、ユーザが杖の使用状況を検知し、処理制御部に送信する。処理制御ユニットは構成パラメータを設定するためのマイクロコントローラ(MCU)とすることができ、構成パラメータは、クラウド解析処理ユニットで処理された後に通信ユニットを介して設定することができる。処理制御ユニットは、命令に従って構成パラメータを出力ユニットに出力する。出力ユニットは、モータと偏心車輪とを備え、対応する干渉力を形成するモータ作動モジュールである。また、出力ユニットは、異なる使用状況に応じて対応する信号を送信するための音響光学装置または振動装置を備える。バッテリなどの電源装置ユニットは、すべてのデバイスに電力を供給する。
【0032】
杖は頭部支持ユニットと、中央支持ユニットと、底部支持ユニットとに、上から下に分割することができる。それらは、互いに非堅固に接続されてもよく、ある程度の弾性を有するゴム材料によってジョイントに設けられてもよい。例えば、底部支持ユニットと中間支持ユニットとの間の非剛性接続は、特定の緩衝力を形成することができる。頭部支持ユニットの形状は、ほとんどの構成要素を一体化することができる手のひらの適切な把持度に対応する。干渉力を及ぼすユニットは杖の頭部に配置することができ、空間姿勢検出センサ群、処理制御ユニット、モータ作動モジュール、音響光学デバイスまたは振動デバイス、バッテリなどを含むことができ、中間支持ユニットは高さ調節構造の設計および人間工学的マッチングを含むことができ、高さ調節構造は入れ子式ロッドによって実現することができ、人間工学的マッチングは異なる人々のために重量分布、着色などを調節することができ、底部支持ユニットは支持構造を通して支持機能を実現し、支持構造は、ソール形状または多点支持などの様々な支持方法を採用することができる。
【0033】
本発明はモータが偏心ホイール装置を駆動して干渉力を形成し、指定された振幅の干渉をユーザに加えることができ、それによって、ユーザに、予想される行動習慣を形成するための訓練を支援するように、ユーザの身体の運動システムを安定したままにするように強制し、それによって、ユーザのニーズにより良く対処する、杖を提供する。
【0034】
本発明の実施形態は、本発明を例示するためにのみ使用され、特許請求の範囲に対する限定を構成するものではない。当業者が考えることができる他の実質的に同等の置換は、全て本発明の保護範囲内である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】