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特表2022-543603調整可能な電極受入部を持つ不活性ガス溶接トーチヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】調整可能な電極受入部を持つ不活性ガス溶接トーチヘッド
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/29 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B23K9/29 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506765
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020044854
(87)【国際公開番号】W WO2021026132
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/882,700
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522044847
【氏名又は名称】ロジャース, ジェセ
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース, ジェセ
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001LH04
4E001MD02
(57)【要約】
取外し可能なアーク溶接トーチヘッドは開口を受け入れる可変の電極を有し、それは、円錐形の内面内にガイドされた分離したスライド可能な多数のウェッジを含み、トーチヘッドの構成を変更せずに、さまざまな直径の複数の電極を用いてヘッドを使用可能にする。トーチの取外し可能な性質は、不活性ガスの適切な流れを提供する一方で、複数のウェッジと係合し、電極が挿入されるための調整可能な開口部を形成する調整カラーを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能な電極受入部を有する取外し可能なアーク溶接トーチヘッドであって、
溶接トーチへのねじ接続を可能にするための第1の端部を有する中空のプランジャーと、
プランジャーの第1の端部を取り囲み、かつプランジャーの第1の端部に動作的に接続されたノズルシートと、
トーチヘッド本体とを備え、トーチヘッド本体は、
先細りの内部領域、そこを通るガスの流れを可能にする複数の開口、およびその上のチャックバックプレートの動作的な係合を可能にするねじ山が形成された内径を含み、
チャックバックプレートは、トーチ本体の内径と係合するための外径を有し、
放射状に配置された複数の電極固定ウェッジをさらに備え、複数の電極固定ウェッジは、トーチ本体の先細りの内部領域内で複数の電極固定ウェッジの間に電極開口を形成し、電極開口は、それぞれの固定ウェッジが一斉に、先細りの領域の円錐形の内面を長手方向に通過し、それらの間に可変の開口を形成するように形成され、前記複数の固定ウェッジは、それらの端部でプランジャースラストカップにさらに接触しており、スラストカップはプランジャーおよびバックプレートとさらに組み合わされて、バックプレートに対するプランジャーの回転を複数の電極固定ウェッジと接触するスラストカップの線形運動に変換し、さらに先細りの表面とのそれらの接触の結果として、複数の電極固定ウェッジのクランプ動作をさらに提供し、
前記複数の電極固定ウェッジの各々は、それらの間の少なくとも1つの付勢部材によって、お互いに離れて付勢され、
それぞれの固定ウェッジと接触する内部円錐面をさらに含み、前記複数の固定ウェッジは、電極とトーチ本体の円錐面との間の電気的接触をさらに提供し、
ノズルをさらに備え、ノズルはトーチ本体を囲み、その一端でノズルシートに動作的に取り付けられる、取外し可能なアーク溶接トーチヘッド。
【請求項2】
複数の電極固定ウェッジの各々は、それらの中に付勢部材の一部を受け入れるための少なくとも1つの表面特徴をさらに含む、請求項1に記載の調節可能な電極受入部。
【請求項3】
前記中空のプランジャーは、従来のトーチへのねじ接続に適している、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項4】
前記従来のトーチは、HW20トーチおよびWP20トーチからなる群から選択される、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項5】
前記トーチ本体および前記放射状に配置された複数の電極固定ウェッジの組合せは、少なくとも0.145インチまでの直径を有する電極を受入れ可能である、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項6】
前記放射状に配置された複数の電極固定ウェッジは、それぞれ合金で形成される、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項7】
前記ノズルは、機械加工可能なセラミック材料で形成される、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項8】
前記ノズルは、高温での使用に適した材料で形成される、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項9】
前記高温での使用に適した材料は、ガラス充填ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項8に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項10】
前記ノズルシートは、高温での使用に適した素材で形成される、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項11】
前記高温での使用に適した材料は、ガラス充填ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項10に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項12】
少なくとも1つの付勢部材は、隣接する複数の電極固定ウェッジの間に配置されたコイルばねである、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項13】
少なくとも3つの電極固定ウェッジを含む、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項14】
前記複数の電極固定ウェッジの各々は、隣接する複数の平面を含み、それぞれは、第1の端部またはそれらの間の移動を共有し、それぞれは、第1のエッジに対して間隔をおいてわずかに角度の付いた対向端部と、複数の平面の複数の対向端部の間にまたがる円錐面とを有する、請求項13に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項15】
電極固定ウェッジの隣接する複数の平面間の第1の端部または移動は、電極と接触する連続的な接触領域を提供する、請求項14に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項16】
前記トーチヘッド本体は、トーチヘッド本体を通るトーチヘッド本体の周りの不活性ガスの移動を促進するために、その中に複数の開口を含む、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【請求項17】
前記ノズルは、トーチ本体ノズルシートに関連付けられており、ノズルシートおよびトーチ本体に対して摩擦嵌合により取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載の調整可能な電極受入部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張およびクロスリファレンス
【0002】
この出願は、2019年8月5日にジェスロジャースによって出願された、調整可能な電極受入部を持つ不活性ガス溶接トーチヘッドの米国仮特許出願第62/882,700号からの米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
この出願は、2017年10月17日にジェスロジャースに出願された、可変電極受信部を有するアーク溶接トーチに関する米国特許第9,789,560 B2を相互参照し、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
技術分野
【0005】
セルフセンタリングの調整可能な電極受入部は、ガスシールドされた溶接トーチに提供されてもよいが、そのようなデバイスの使用を促進するためには、ユーザー(たとえば溶接工)が、従来の溶接トーチで使用されていたヘッドを簡単に交換または切り替え可能であることが必須である。たとえば、さまざまな電極サイズに対応するために、不活性ガス溶接トーチ全体を交換またはスワップアウトするには費用がかかる。開示された溶接トーチヘッドは、複数のトーチタイプでの使用に適しており、したがって、交換可能な不活性ガス溶接トーチヘッドにおける調整可能な電極受入部の追加の利点を提供する。したがって、溶接工は、溶接トーチ全体を交換することなく、調整可能な電極受入部の利点を享受できる-広範囲の電極サイズを使用するために、溶接工は改良されたトーチヘッドをインストールするだけで済む。取外し可能なトーチヘッドは、様々な形状、直径、長さ、および傾きの電極に均一に接触する電極固定ウェッジ(wedge)を含む。調整可能な電極固定ウェッジは、電極との強固で均一な接触を提供し、したがって、接触領域での抵抗性加熱のおそれを低減する。
【背景技術】
【0006】
背景技術およびサマリー
【0007】
ガスタングステンアーク溶接(GTAW)は、タングステン不活性ガス(TIG)溶接としても知られ、タングステン電極からのアークを使用して、ワークピースを溶接または融合するための溶融物またはプラズマである「パドル」を生成するのに十分な熱を提供する電気溶接プロセスである。不活性ガス溶接は、多くの金属およびそれらの合金に使用することができ、その結果、非常に多用途の溶接プロセスである。しかし、溶接パラメータおよび電極サイズは、多くの場合、溶接される材料および溶接条件に基づいて調整する必要がある。たとえば、非消耗タングステン電極の直径は、ワークピースの材料および溶接のタイプに応じて、約0.5mmから約6.4mm(0.020インチ~0.25インチ)の間で変化し得、電極の長さは、約75mmから約610mm(3インチ~24インチ)の範囲で変化し得る。ユーザーが溶接ヘッドを分解し、電極サイズごとに異なるコレットを使用できるように、従来の不活性ガス溶接トーチは通常、さまざまなコレットを使用する-特にユーザーが電極サイズを定期的に切り替える必要がある場合、時間のかかるプロセスである。
【0008】
不活性ガス溶接プロセスでは、溶接領域は、アルゴンなどの不活性シールドガスによって大気汚染から保護される。溶接電源は電流を生成し、この電流は、電極と溶接される材料との間にアークを生成する際に、部品を溶接するのに十分な熱エネルギーを集中させて生成する。集束した熱は、接触領域と付加的なフィラーロッドとをプラズマ状態にするのに十分である。溶接操作によって熱が発生し、その結果、溶接トーチには、冷却システムが必要となる場合がある。低電流操作では空冷システムが最もよく使用されるが、高電流用途または長いデューティサイクルが必要な用途で熱を放散するためには、TIG溶接システムのトーチ内で水冷が必要になる場合がある。
【0009】
上記のように、タングステンアーク溶接ガスシールドトーチは、トーチヘッド内に特定の直径電極を保持するための専用のコレットおよびコレット本体を採用している。電極コレットは、通常、管状の銅よりなっており、隣接するコレット本体の内部円錐形状に関連して移動した場合に、コレットの直径を放射状に圧縮できるように、少なくとも2つの縦方向のギャップまたはスロットを有する。このコレットの圧縮によって、その中の開口部が最小限に低減され、コレットの公称内部放射状領域内に電極を係合および固定する。コレットは比較的小さな領域で電極に対して圧縮されるため、単位面積あたりの電流密度が大きく、電極への電気抵抗接続に起因するかなりの熱が発生する可能性があり、コレット内の周辺のアーク放電を永続させる可能性がある。したがって、抵抗性および伝導性の加熱と、その後の冷却との両方によって引き起こされる反復的な膨張および収縮の影響に起因して、電極およびコレットは時間とともに腐食される傾向がある。銅コレットの熱膨張係数が9.8×10-6in/in/0Fであるのに対し、タングステン電極の膨張率は約半分(3.9×10-6in/in/0F)であるため、状況はさらに悪化し、それにより、溶接中に電極のフィッティングの緩みが潜在的に起こり、その中で、電気抵抗がさらに増加し、および/または電極が不安定になり、トーチヘッド内で移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
コレットおよびコレット本体は、通常、ジョブ固有の電極のさまざまな直径に対応するために、少なくとも6つの開口サイズで提供される。したがって、既存のコレットの重要な制限は、それぞれの電極サイズに対応する特定のコレットおよびコレット本体が必要になることである。したがって、代替の電極の直径が必要になるたびに、コレットアセンブリも交換する必要がある。たとえば、1/16インチのタングステン電極に付属する少なくとも1つの1/16インチのコレットおよびコレット本体を持つ必要があり、同様に1/8インチの電極の1/8インチのコレットおよびコレット本体などを持つ必要がある。残念ながら、これはロジスティックの課題になるだけでなく、電極が別のサイズに交換されるたびに時間のかかる作業になる。さらに、複数のコレットの使用はまた、電極の反転(端と端との入替え)を妨げ、コレット開口部を通過することを妨げるビードまたは拡大された先端を発達させる可能性がある。
【0011】
電極がワークピースまたはフィラーワイヤに直接接触した場合、タングステン電極の先端に移動して付着する「異物」金属によって先端が汚染される。この追加された材料は、先端のキノコを生成し、電極を再研磨または交換する必要を生じさせる。しかし、本明細書に開示されるように、調整可能な電極受入部を持つ取外し可能な溶接ヘッドの使用によって、電極のキノコ状の端部を端から端まで反転させ、かつ拡大され汚染された端部が調整可能な開口部を通過するときに再挿入されるのに十分な開口部または調整可能性が提供される。その結果、電極は、再研磨または交換の間に2回使用されてもよい。したがって、それを通して拡張/汚染された電極の端部を挿入することを可能にする電極受入部を提供し、電極を保持するためのサイズのコレットの使用に関する問題を回避することが、さらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示される一実施の形態では、トーチの内部金属部分は、電流を伝導し、比較的小さな接触面積にわたって最小の抵抗で熱を伝達するために、銅または真ちゅうなどの導電性金属よりなることが好ましい。トーチの本体は、金属部品を覆うだけでなく、溶接機を保護するための熱および電気からの絶縁を提供するために、耐熱性の絶縁セラミック、プラスチック、および同様の材料よりなっている。さらに、溶接部の近くに不活性ガス領域または雰囲気を提供するために、シールドガスの一定の流れがトーチハンドルおよび電極受入部を通過してワークピース領域に到達できるように設備が提供されてもよい。
【0013】
汎用性と利便性のために、溶接機は、トーチヘッド内の電極受入部を再構成する必要なしに、いつでも任意のサイズの電極を選択して使用できるようにして、最適な溶接を実現する必要がある。言い換えれば、トーチヘッドおよび関連するハウジングの構成は、電極のサイズまたは形状を規定するものであってはならない。したがって、さまざまなサイズの電極に対応するために必要に応じて変更できる調整可能な電極受入部は、TIG溶接を用いる場合などの電気溶接トーチを使用する場合に、明確な利点を提供する。
【0014】
本明細書に開示される実施の形態は、調整可能なまたは可変の電極受入部を持つ取外し可能なトーチヘッドに向けられており、これは、複数の電極サイズの使用を可能にするために、従来のヘッドを置き換え、従来のコレットを削除する。
【0015】
開示された実施の形態の一つの局面に従うと、調整可能な電極受入部を有する取外し可能なアーク溶接トーチヘッドが提供され、アーク溶接トーチヘッドは、溶接トーチへのねじ接続を可能にするための第1の端部を有する中空のプランジャーと、プランジャーの第1の端部を取り囲み、かつプランジャーの第1の端部に動作的に接続されたノズルシート(たとえば、テフロン(登録商標)などの高温プラスチック)と、トーチヘッド本体とを備え、トーチヘッド本体は、先細りの内部領域、そこを通るガスの流れを可能にする複数の開口、およびその上のチャックバックプレートとの動作的な係合(たとえば、ねじ接続可能な(threadable)係合)を可能にするねじ山が形成された内径を含み、チャックバックプレートは、トーチ本体の内径と係合するための外径を有し、アーク溶接トーチヘッドは、放射状に配置された複数の電極固定ウェッジ(複数のジョー片)をさらに備え、複数の電極固定ウェッジは、トーチ本体の先細りの内部領域内で複数の電極固定ウェッジの間に電極開口を形成し、電極開口は、それぞれの固定ウェッジが一斉に、先細りの領域の円錐形の内面を長手方向に通過し、それらの間に可変の開口(ジョー)を形成するように形成され、前記複数の固定ウェッジは、それらの端部でプランジャースラストカップにさらに接触しており、スラストカップはプランジャーおよびバックプレートとさらに組み合わされて、バックプレートに対するプランジャーの回転を複数の電極固定ウェッジと接触するスラストカップの線形運動に変換し、さらに先細りの表面とのそれらの接触の結果として、複数の電極固定ウェッジのクランプ動作を提供し、前記複数の電極固定ウェッジの各々は、それらの間の少なくとも1つの付勢部材によって、お互いに離れて(そしてテーパー領域の円錐内面に向かって)付勢され、それぞれの固定ウェッジと接触する内部円錐面をさらに含み、前記複数の固定ウェッジは、電極とトーチ本体の円錐面との間の電気的接触をさらに提供し、アーク溶接トーチヘッドは、ノズルをさらに備え、ノズルはトーチ本体を囲み、その一端でノズルシートに動作的に取り付けられている。
【0016】
他のおよびさらなる目的、特徴、および利点は、以下の明細書を読み、その一部を形成する添付の図面を参照することによって明らかになり、現在好ましい実施の形態の例は、開示の目的で与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の簡単な説明
図1】開示された実施の形態に従うTIG溶接トーチの斜視図であり、取外し可能なヘッドを様々なトーチタイプに適合させるのに適した複数のプランジャー片に沿って、取外し可能なヘッドを取り付けることができる2つの溶接トーチを示している。
図2】従来のトーチハンドルに取り付けられた調整可能な電極受入部を持つ不活性ガス溶接トーチヘッドの実施の形態の斜視図である。
図3】ガスノズルが除去され、異なる直径の溶接電極が調整可能な電極受入部に挿入された状態の、図2の実施の形態の斜視図である。
図4】開示された実施の形態に従う、トーチ上に取り付けられたプランジャーおよびノズルシートの構成要素を持つトーチの拡大斜視図である。
図5】開示された実施の形態に従う、トーチヘッド本体および関連する構成要素を持つ交換可能な不活性ガス溶接ヘッドの例示的な例である。
図6】開示された実施の形態に従う、トーチヘッド本体および関連する構成要素を持つ交換可能な不活性ガス溶接ヘッドの例示的な例である。
図7】開示された実施の形態に従う、トーチヘッド本体および関連する構成要素を持つ交換可能な不活性ガス溶接ヘッドの例示的な例である。
図8】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図9】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図10】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図11】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図12】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図13】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図14】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図15】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図16】開示された実施の形態に従う、図1~7に示される様々な構成部品の詳細図である。
図17】調整可能な電極受入部を有するトーチヘッド本体を含む、開示された実施の形態に従う取外し可能なトーチヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に記載された様々な実施の形態は、記載されたそれらの実施の形態に発明を限定することを意図するものではない。反対に、その意図は、添付の特許請求の範囲で定義される溶接トーチおよび調整可能な電極受入部の精神および範囲に含まれる可能性のあるすべての代替案、修正、および同等物を網羅することにある。
【0019】
詳細な説明
【0020】
ここで、図面を参照し、図面の表示は、調整可能な電極受入部を持つ取外し可能なトーチヘッドの好ましい実施の形態を説明することを目的とするものである。理解されるように、開示された溶接トーチヘッドは、ガスタングステンアーク溶接システムの一部である。一実施の形態では、そのような溶接システムは、たとえば図2に示すように、電源と、不活性ガス供給源と、水/液体冷却部と、トーチヘッド100を含むトーチアセンブリとを含む。実際には、ワークピース(図示せず)は電源に電気的に接続され、ワークピース(図示せず)に電気的に接続されたクランプおよびリターンケーブルを介して-DC、+DC、またはACのいずれかを電源は提供する。トーチ100は、タングステン電極120の先端とワークピースとの間のエアギャップ内に形成されたアークとともに、不活性ガスを運ぶ手段を提供し、このアークは、複数のワークピースを一緒に溶解させるために必要な熱を発生させるのに十分なものである。トーチ100は、大電流および/または拡張された時間の溶接動作が実行される場合に、トーチを冷却するための水または冷却液体の供給にさらに接続されてもよい。
【0021】
調整可能な電極受入部の動作可能な機械的要素は、トーチ100内に存在し、特に取外し可能なトーチヘッド110が取り付けられたトーチハンドル108に存在する。図面に示されるように、取外し可能なトーチヘッド110は中空のプランジャー114を含み、中空のプランジャー114は、トーチ本体(たとえば、図1を参照)にフィットするように適合され、溶接トーチ100に対してねじ接続を可能にするための第1の端部116を有する。プランジャーの第2のねじ山端部118は、トーチヘッド本体130に結合し、トーチヘッド本体130と相互作用するためのものである。たとえば図1および5に示したように、溶接トーチに取り付けられた場合、中空のプランジャー114は外側に延在しており、ステムを提供し、ステム上では、周囲のノズルシート126がプランジャーの露出したねじ山端部118の周りで動作的に接続され得る。取外し可能なトーチヘッド110の使用を許可するために、中空のプランジャー114の端部116は、従来のトーチへのねじ接続に適していなければならない。HW20トーチおよびWP20トーチなどの少なくとも2つの異なるトーチタイプが図1に示されている一方、本明細書に開示される取外し可能なトーチヘッドは、同様に他のトーチでの使用にも適していてもよいことが理解されるであろう。特に図示されていないが、トーチの後端部は、通常、取外し可能なヘッドを通って延在する電極の部分を囲むテールピースを含むことが理解されるであろう。
【0022】
ノズルシート126およびノズル128は、機械加工可能または成形されたセラミック、パイレックス(登録商標)、またはガラス充填ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)もしくはテフロン(登録商標)などの高温プラスチックなどの、高温使用に適した多くの材料よりなっていてもよい。トーチおよび取外し可能なトーチヘッド110の中に供給される不活性ガスは、プランジャー114の中空の内部を通って流れ、そこでガスはトーチヘッド本体130およびノズル128に向けられ、そしてワークピースと電極との間に延在するアークの領域で電極の周りに流れ出る。
【0023】
たとえば図3~4に示されているように、ノズル128は、トーチ本体およびノズルシート126に関連付けられており、ノズルシートおよびトーチヘッド本体130に対して摩擦嵌合によって取り外し可能に取り付けられている。ノズルシートとノズルとの間の摩擦嵌合の代わりとして、それらの間のねじ山接続またはバヨネットタイプの接続も考えられる。さらに一実施の形態では、トーチ本体との摩擦嵌合は、Oリング124またはトーチ本体を取り囲む同様の要素、たとえば図9に示されるようなOリング保持溝122内のOリングを介して提供されてもよい。
【0024】
図18も参照して、取外し可能なトーチ110ヘッドはまたトーチヘッド本体130を含み、トーチヘッド本体130は、先細りの内部領域134と、そこを通るガスの流れを可能にする複数の開口138と、その上でのチャックバックプレート146の動作的な係合を可能にする(たとえばねじ接続を可能にする)ねじ山が形成された内径142とを含む。一実施の形態では、チャックバックプレート146は、トーチ本体のねじ山内径と係合するためのねじ山外径を有する。また、取外し可能なヘッド130内には、少なくとも2つ、典型的には少なくとも3つ以上の放射状に配置された電極固定ウェッジ(ジョーピース)154があり、電極固定ウェッジ(ジョーピース)154は、トーチ本体の先細りの内部領域内でそれらの間に電極開口を形成し、電極開口は、それぞれの固定ウェッジが、先細りの領域134の円錐形の内面に沿って長手方向に一斉に横断またはスライドして、それらの間に可変の開口(ジョー)を形成することができるように形成される。固定ウェッジ154は、その端部がプランジャースラストカップ160にさらに接触している。スラストカップ160は、プランジャー114およびバックプレート146とさらに組み合わされて、バックプレートに対するプランジャーの回転を、電極固定ウェッジと接触するスラストカップの線形運動に変換し、さらに先細りの表面とそれらとの滑り接触の結果として、電極120に対する電極固定ウェッジのクランプ運動を提供する。
【0025】
動作中、電極120は、複数のウェッジ154の内面に沿って挿入され、プランジャースラストカップ160によって複数のウェッジの内端部に加えられる力によってそれらの中にクランプされる。図示された実施の形態では、トーチヘッド本体130に対して回転されるプランジャー114によってスラストカップ160に圧縮力が提供され、それによって、ヘッドの回転に応答して複数のウェッジ154を前進させ、電極の周りで複数のウェッジによって形成されたジョーを閉じる。プランジャーが反対方向に回転されると、プランジャーはヘッド本体130に対して引っ込められ、その結果、複数のウェッジに加えられた圧力が取り除かれる。プランジャー114からの圧力がない場合、複数の電極ウェッジ120は、付勢部材(ばね)164の力の下でジョーを上にスライドさせて、ジョーを拡張または開く。言い換えれば、プランジャー114がスラストカップから離れるときに、付勢ばね164は、複数の電極ウェッジを押し離し、複数のウェッジがジョーを内側コーンに沿って上方および外側にスライドさせ、スラストカップに対してそれらを維持する。プランジャーまたはスラストカップの引っ張り動作は無いが、付勢力によって複数のウェッジが最大径の位置に移動する。ばねは、すべてを張力下に保ち、収縮時にコーン内を移動するだけである。万が一、複数のウェッジが一時的に1つの位置に「固定」された場合、タングステン電極を軽くたたくと、それらはスナップバックして収縮のために移動し続けるが、通常はスライドして戻る。
【0026】
複数のウェッジ154によって形成されるオリフィス直径の変化率は、ウェッジ154の後面162の夾角θまたは傾斜と同様に、チャックバッキングプレート146と中空のプランジャー114の端部118との合わせ面における、ねじのピッチまたは1インチ当たりの回転数(TPI)の関数である。対応する内部円錐面134は、典型的には15~20度の範囲の共通の傾斜角θを共有する。したがって、最小および最大の開口径は、角度θの正弦関数である。
【0027】
さらに、電極固定ウェッジ154が電極に対して圧縮されていない場合に、間隔を空けたままであるようにするために、電極固定ウェッジの各々は、隣接するウェッジから離れて先細りの領域の円錐形の内面に向かって付勢され、隣接する複数のウェッジの間の少なくとも1つの付勢部材164によって付勢される。一実施の形態では、付勢部材は、ステンレス鋼よりなる圧縮ばねであり、電極固定ウェッジ154の平面168の各々の凹み142に着座している。理解されるように、電極固定ウェッジの各々に関連する弾性部材164(たとえばコイル圧縮ばね)は、複数のウェッジを先細りの領域134の円錐形の内面に向けて付勢する。さらに、弾性部材164は、隣接する複数のウェッジ154の間、またはより具体的には複数のウェッジ上の複数の凹み142の間に存在するように記載されているが、それらが外側に移動するように(したがって、ハウジングのより大きな直径に向かって移動するように)、複数のウェッジを付勢する他のウェッジおよびばね構成を提供することも可能である。
【0028】
要約すると、調整可能な電極受入部のトーチヘッド本体130において、電極固定ウェッジ154のそれぞれは、それらの間で第1の端部または移動線156を共有する隣接する複数の平面を含み、それぞれは、第1の端部に対して間隔を置いてかつわずかに傾斜した対向端部158を有し、平面168の複数の対向端部の間に広がる円錐面(162、図16のウェッジの後方)をさらに含み、複数の平面の少なくとも1つは、その中に(コイル圧縮ばね164の端部を受け入れるための)開口を含む。さらに理解されるように、電極固定ウェッジの隣接する平面間の移動線156は、ウェッジと電極との間の接触のための(たとえば線に沿った)連続領域を提供する。
【0029】
トーチヘッド本体130を通って複数のウェッジ154および関連する電極129への電流の流れを確保するために、内部円錐面134は、すべてではないにしても少なくとも一部の外側のウェッジ面を越えてそれぞれの固定ウェッジと接触したままであり、これにより接触加熱を減らす。一実施の形態では、複数のウェッジは、たとえば鋼合金、銅合金(たとえば真ちゅう、青銅)、またはニッケル合金などの合金などの導電性材料から形成される。図7に示されるように、一実施の形態では、ヘッド130に3つの電極固定ウェッジ154が採用される。そして固定ウェッジ154は、電極120と、トーチ本体130の円錐面134との間を電気的に接続する。たとえば図6、7、および18に示した実施の形態では、トーチヘッド本体130内に放射状に配置された電極固定ウェッジ154は、少なくとも約0.145インチ以上の電極直径を受け入れることができる。
【0030】
上述のように、トーチ本体を取り囲むノズル128は、不活性ガスをトーチヘッドに沿って、そしてトーチヘッドを通して導き、ノズルは、その一端でノズルシート126に動作的に取り付けられている。
【0031】
要約すると、図面に示されているように、取外し可能なトーチヘッドは、可変のサイズの電極受入部を備えている。複数の電極固定ウェッジ154は、トーチヘッド本体130内に放射状に配置され、それらの間に開口を形成し、開口サイズは、本体内の内部円錐面134に対する複数のウェッジの位置に基づいて調整可能である。開示された実施の形態の使用は、様々な電極の直径または形状の間で切り替える場合に、コレットを変更する必要性を少なくとも排除することによって、生産性の改善をもたらすと考えられる。さらに、交換可能なヘッドは簡単に取り付けられ、従来の不活性ガス溶接トーチでの使用に適合する。
【0032】
上記に開示された実施の形態、ならびに他の特徴および機能のいくつか、またはそれらの代替物は、望ましくは、他の多くの異なるシステムまたは用途に対して、必要に応じて組み合わせることができることが理解されよう。また、その中の様々な現在予期しないもしくは新たな代替、修正、変形、または改善を当業者はその後行うことができ、上記の説明および以下の特許請求の範囲に含まれることも意図される。
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【国際調査報告】