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特表2022-543611セツキシマブ-IR700コンジュゲート組成物
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  • 特表-セツキシマブ-IR700コンジュゲート組成物 図1
  • 特表-セツキシマブ-IR700コンジュゲート組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】セツキシマブ-IR700コンジュゲート組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20221005BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20221005BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
C07K16/28
A61P35/00 ZNA
A61K47/54
A61K39/395 P
A61K39/395 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507334
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020045283
(87)【国際公開番号】W WO2021026393
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/883,825
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】518055877
【氏名又は名称】ラクテン・メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】マニブサン アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】マキングス ルイス アール.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C085AA14
4C085BB22
4C085DD59
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA50
4H045GA23
(57)【要約】
フタロシアニン色素IR700と、セツキシマブ抗体などのEGFR結合抗体とのコンジュゲート、およびその薬学的組成物が、提供される。いくつかの局面において、この組成物は、セツキシマブ抗体の重鎖および/または軽鎖の特定の位置におけるIR700色素とのコンジュゲーションによって修飾された、セツキシマブ抗体などのEGFR結合抗体を含有する。いくつかの局面において、そのようなコンジュゲートは、コンジュゲートに対して照射した後に標的特異的に細胞を死滅させることができる。関連する製造方法、ならびに、例えば、腫瘍および特定のがん適応症の処置における、使用方法および使用も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セツキシマブの少なくとも2個のリジン(K)位置とコンジュゲートされた少なくとも2個のIR700分子を含むコンジュゲートであって、
少なくとも2個のリジン位置が、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、コンジュゲート。
【請求項2】
セツキシマブの少なくとも3個のリジン位置とコンジュゲートされた少なくとも3個のIR700分子を含む、請求項1記載のコンジュゲート。
【請求項3】
少なくとも3個のリジン位置が、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207、ならびに重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より独立して選択される、請求項2記載のコンジュゲート。
【請求項4】
IR700とコンジュゲートされたリジン位置のうちの少なくとも1個が、軽鎖のK145、または重鎖のK215、K416、もしくはK449からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項5】
少なくとも1個のIR700分子が、軽鎖のリジンとコンジュゲートされており、かつ
少なくとも1個のIR700分子が、重鎖のリジンとコンジュゲートされている、
請求項1~4のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項6】
690nm±50nmの波長での光照射によって活性化可能であり、それによって、細胞の表面上のエピトープと結合している時に細胞死滅活性を示す、請求項1~5のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項記載のコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
【請求項8】
コンジュゲートの集団を含む組成物であって、
集団内のコンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、セツキシマブの少なくとも2個のリジン(K)位置とコンジュゲートされた少なくとも2個のIR700分子を含み、
2個のリジン位置が、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、組成物。
【請求項9】
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、セツキシマブの少なくとも3個のリジン位置とコンジュゲートされた少なくとも3個のIR700分子を含む、請求項7または8記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも3個のリジン位置が、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207、ならびに重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より独立して選択される、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、軽鎖のK145、または重鎖のK215、K416、もしくはK449とコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700分子を含む、請求項7~10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、軽鎖のK145とコンジュゲートされたIR700分子、および重鎖のK215、K416、またはK449のうちの少なくとも1個とコンジュゲートされたIR700分子を含む、請求項7~11のいずれか一項記載の組成物。
【請求項13】
IR700分子とセツキシマブとの比が、約2:1~約4:1である、請求項7~12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
IR700分子とセツキシマブとの比が、約2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、3.0:1、3.1:1、3.2:1、3.3:1、または3.4:1である、請求項7~13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
IR700分子とセツキシマブとの比が、約2.7:1~約3.2:1である、請求項7~13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
組成物中のセツキシマブ分子の15%以下または約15%以下が、IR700とコンジュゲートされていない、請求項7~15のいずれか一項記載の組成物。
【請求項17】
組成物中のセツキシマブ分子の10%未満または約10%未満が、IR700とコンジュゲートされていない、請求項7~16のいずれか一項記載の組成物。
【請求項18】
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、または0.5%未満もしくは約0.5%未満である、請求項7~17のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
セツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含む組成物であって、
組成物中の複数のコンジュゲートが、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より選択されるセツキシマブの軽鎖または重鎖のリジン(K)においてセツキシマブとコンジュゲートされたIR700を各々含み、
組成物が、以下の:
(a)組成物中のIR700分子と、集団内のセツキシマブ分子との比が、約2:1~約3:5であり、
(b)セツキシマブ分子の10%未満または約10%未満が、IR700とコンジュゲートされておらず、かつ
(c)組成物中の全色素分子のうちの組成物中の遊離色素のパーセンテージが、3%未満または約3%未満である
という特色を含む、組成物。
【請求項20】
前記複数のコンジュゲートが、軽鎖のK145においてIR700とコンジュゲートされたセツキシマブを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記複数のコンジュゲートが、重鎖のK215、K416、またはK449においてIR700とコンジュゲートされたセツキシマブを含む、請求項19または20記載の組成物。
【請求項22】
前記複数のコンジュゲートが、少なくとも3個のIR700分子とコンジュゲートされたセツキシマブを含む、請求項19~21のいずれか一項記載の組成物。
【請求項23】
前記複数が、組成物中のコンジュゲートの、少なくとも51%もしくは少なくとも約51%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、または少なくとも80%もしくは少なくとも約80%を含む、請求項19~22のいずれか一項記載の組成物。
【請求項24】
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、または0.5%未満もしくは約0.5%未満である、請求項19~23のいずれか一項記載の組成物。
【請求項25】
セツキシマブが、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列、またはそれらの組み合わせを含む、請求項7~24のいずれか一項記載の組成物。
【請求項26】
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、暗条件または減光条件での6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変である、請求項7~25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも95%、96%、97%、もしくは98%、または少なくとも約95%、96%、97%、もしくは98%の、単量体型のコンジュゲート
を含む、請求項7~26のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
5%、4%、もしくは3%未満、または約5%、4%、もしくは3%未満の、高分子量種
を含む、請求項7~27のいずれか一項記載の組成物。
【請求項29】
腫瘍またはがん細胞を死滅させる方法であって、以下:
請求項1~28のいずれか一項記載のコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で腫瘍またはがん細胞の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、腫瘍またはがん細胞を死滅させる、工程
を含む、方法。
【請求項30】
対象における疾患または状態を処置する方法であって、以下:
請求項1~28のいずれか一項記載のコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で対象における病変または腫瘍の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、疾患または状態を処置する、工程
を含む、方法。
【請求項31】
照射する工程が、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で実施される、請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
照射する工程が、約690nmの波長で実施される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
疾患または状態が、腫瘍またはがんである、請求項30~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
腫瘍もしくはがん細胞が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳腺、胃、前立腺、子宮頸部、食道、もしくは頭頸部のがんである腫瘍を含むか、または
疾患もしくは状態が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳腺、胃、前立腺、子宮頸部、食道、もしくは頭頸部のがんである腫瘍である、
請求項29~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
腫瘍もしくはがん細胞が、頭頸部、乳腺、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、もしくは肺に位置するがんを含むか、または
疾患もしくは状態が、頭頸部、乳腺、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、もしくは肺に位置するがんである、
請求項29~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
がんが、頭頸部がんである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
以下の工程:
(a)セツキシマブ-IR700コンジュゲートが作製される条件下で、セツキシマブをIR700と接触させる工程であって、
コンジュゲートが、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、IR700とコンジュゲートされた少なくとも2個のリジン(K)位置を含む、工程;
(b)コンジュゲーション中および/またはコンジュゲーション後に、セツキシマブと非特異的に会合したIR700を実質的に低下させるステップにコンジュゲートを供する工程;ならびに
(c)薬学的に許容される緩衝液中でコンジュゲートを製剤化する工程
を含む、安定的なコンジュゲートを製造する方法であって、
工程(a)~(c)の各々において、色素およびコンジュゲートが曝される唯一の光が、約400nm~約650nmの範囲の波長を有するか、または500ルクス未満もしくは約500ルクス未満の強度を有する、方法。
【請求項38】
工程(b)が、IR700とセツキシマブとのコンジュゲーション反応の完了後に、コンジュゲートをグリシンクエンチング反応に供することを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
クエンチング反応が、一晩または6時間超もしくは約6時間超の期間、実施される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
請求項37~39のいずれか一項記載の方法によって製造された、安定的なコンジュゲート。
【請求項41】
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
(a)SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(b)SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(c)SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(d)SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
を含むペプチドの集団を生成する、組成物。
【請求項42】
ペプチドの集団が、以下:
(e)SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(f)SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド
をさらに含む、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
ペプチドの集団が、以下:
(g)SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(h)SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(i)SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(j)SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド
をさらに含む、請求項41または42記載の組成物。
【請求項44】
ペプチドの集団が、以下:
(k)SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(l)SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(m)SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;および
(n)SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項41~43のいずれか一項記載の組成物。
【請求項45】
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
(a)SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(b)SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(c)SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(d)SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(e)SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(f)SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(g)SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(h)SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(i)SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(j)SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(k)SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(l)SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(m)SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;および
(n)SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
を含むペプチドの集団を生成する、組成物。
【請求項46】
ペプチドが、ポジティブイオンモード質量分析によって検出される、請求項41~45のいずれか一項記載の組成物。
【請求項47】
ポジティブイオンモード質量分析によって検出されたペプチドについて抽出イオンクロマトグラム(EIC)が生成される時に、
(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の3%または約3%から、5%または約5%であり;
(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の3%または約3%から、5%または約5%であり;
(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の8%または約8%から、11%または約11%であり;
(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、2.5%または約2.5%であり;
(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の8%または約8%から、12%または約12%であり;
(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.2%または約0.2%から、2.5%または約2.5%であり;
(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の4.5%または約4.5%から、7%または約7%であり;
(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の9.5%または約9.5%から、13%または約13%であり;
(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の6%または約6%から、10%または約10%であり;
(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の2%または約2%から、5%または約5%であり;
(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の7%または約7%から、11%または約11%であり;
(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、4%または約4%であり;
(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の1.5%または約1.5%から、5%または約5%であり;かつ
(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、4%または約4%である、
請求項46記載の組成物。
【請求項48】
(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.8±1%であり;
(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.5±1%であり;
(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約10.0±1%であり;
(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約1.7±1%であり;
(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約10.2±1%であり;
(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約1.3±1%であり;
(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約5.9±1%であり;
(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約11.2±1%であり;
(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約7.6±1%であり;
(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.4±1%であり;
(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約9.3±1%であり;
(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約2.1±1%であり;
(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.5±1%であり;かつ
(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約2.0±1%である、
請求項47記載の組成物。
【請求項49】
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%もしくは少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;ならびに/または
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積のおよそ少なくとも8.5%もしくはおよそ少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも4.5%もしくは少なくとも約4.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%もしくは少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも7%もしくは少なくとも約7%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8.5%もしくは少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも1%もしくは少なくとも約1%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;ならびに
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも1%もしくは少なくとも約1%である、ペプチド
に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルを生成するペプチドを生成する、組成物。
【請求項50】
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.8±1%であり;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.5±1%であり;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約10.0±1%であり;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約1.7±1%であり;
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約10.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約1.3±1%であり;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約5.9±1%であり;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約11.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約7.6±1%であり;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.4±1%であり;
SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約9.3±1%であり;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約2.1±1%であり;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.5±1%であり;かつ
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約2±1%である、
請求項49記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「セツキシマブ-IR700コンジュゲート組成物」という名称の2019年8月7日に出願された米国仮出願第62/883,825号に基づく優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本願は電子形式の配列表と共に提出される。配列表は、5.84キロバイトのサイズを有する2020年8月4日に作成された751702001640SeqList.txtという名称のファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が組み入れられる。
【0003】
領域
本開示は、フタロシアニン色素IR700と、セツキシマブ抗体などのEGFR結合抗体とのコンジュゲート、およびその薬学的組成物に関する。いくつかの局面において、組成物は、セツキシマブ抗体の重鎖および/または軽鎖の特定の位置におけるIR700色素とのコンジュゲーションによって修飾された、セツキシマブ抗体などのEGFR結合抗体を含有する。いくつかの局面において、そのようなコンジュゲートは、コンジュゲートに対して照射した後に標的特異的に細胞を死滅させることができる。関連する製造方法、ならびに、例えば、腫瘍および特定のがん適応症の処置における、使用方法および使用も提供される。
【背景技術】
【0004】
背景
がんなどの疾患を処置するためには、様々な治療が利用可能である。例えば、光免疫治療(PIT)は、特定の細胞の標的特異的な死滅を可能にするため、細胞表面標的分子、例えば、細胞表面受容体を標的とするための抗体またはその他のターゲティング分子とコンジュゲートされた光増感剤を使用する方法である。いくつかのケースにおいて、PITは、腫瘍細胞などの疾患細胞を選択的に標的とし、それによって、健常細胞に傷害を与えることなく、そのような細胞を選択的に死滅させることができる。PITにおいて使用するためのフタロシアニン色素コンジュゲートを改善するため、改善された戦略が必要とされている。そのような必要を満たす組成物および方法が提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
抗体-フタロシアニン色素コンジュゲート、例えば、セツキシマブ-IR700コンジュゲートなどのコンジュゲートが、本明細書において提供される。提供された態様のいずれかのいくつかにおいて、コンジュゲートは、セツキシマブの少なくとも2個のリジン(K)位置とコンジュゲートされた少なくとも2個のIR700分子を含み、少なくとも2個のリジン位置は、セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびにセツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)からなる群より独立して選択される。
【0006】
任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートは、セツキシマブの少なくとも3個のリジン位置とコンジュゲートされた少なくとも3個のIR700分子を含む。任意の態様のいくつかにおいて、少なくとも3個のリジン位置は、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207、ならびに重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より独立して選択される。任意の態様のいくつかにおいて、IR700とコンジュゲートされたリジン位置のうちの少なくとも1個は、軽鎖のK145、または重鎖のK215、K416、もしくはK449からなる群より選択される。任意の態様のいくつかにおいて、少なくとも1個のIR700分子が軽鎖のリジンとコンジュゲートされており、かつ少なくとも1個のIR700分子が重鎖のリジンとコンジュゲートされている。
【0007】
任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートは、690nm±50nmの波長での光照射によって活性化可能であり、それによって、細胞の表面上のエピトープと結合している時に細胞死滅活性を示す。
【0008】
組成物も、本明細書において提供される。提供された態様のいずれかのいくつかにおいて、組成物は、本明細書に記載されたコンジュゲートのいずれかと、薬学的に許容される賦形剤とを含有する。
【0009】
コンジュゲートの集団を含む組成物であって、
集団内のコンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、セツキシマブの少なくとも2個のリジン(K)位置とコンジュゲートされた少なくとも2個のIR700分子を含み、
2個のリジン位置が、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、組成物
もまた、本明細書において提供される。
【0010】
任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、セツキシマブの少なくとも3個のリジン位置とコンジュゲートされた少なくとも3個のIR700分子を含む。任意の態様のいくつかにおいて、少なくとも3個のリジン位置は、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207、ならびに重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より独立して選択される。
【0011】
任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、軽鎖のK145、または重鎖のK215、K416、もしくはK449とコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700分子を含む。任意の態様のいくつかにおいて、コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、軽鎖のK145とコンジュゲートされたIR700分子、および重鎖のK215、K416、またはK449のうちの少なくとも1個とコンジュゲートされたIR700分子を含む。
【0012】
任意の態様のいくつかにおいて、IR700分子と、セツキシマブとの比は、約2:1~約4:1である。任意の態様のいくつかにおいて、IR700分子と、セツキシマブとの比は、約2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、3.0:1、3.1:1、3.2:1、3.3:1、または3.4:1である。任意の態様のいくつかにおいて、IR700分子と、セツキシマブとの比は、約2.7:1~約3.2:1である。
【0013】
任意の態様のいくつかにおいて、組成物中のセツキシマブ分子の15%以下または約15%以下は、IR700とコンジュゲートされていない。任意の態様のいくつかにおいて、組成物中のセツキシマブ分子の10%未満または約10%未満は、IR700とコンジュゲートされていない。
【0014】
任意の態様のいくつかにおいて、組成物中の遊離色素のパーセンテージは、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、または0.5%未満もしくは約0.5%未満である。
【0015】
セツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含む組成物であって、
組成物中の複数のコンジュゲートが、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より選択される、セツキシマブの軽鎖または重鎖のリジン(K)においてセツキシマブとコンジュゲートされたIR700を各々含み、
組成物が、以下の:
(a)組成物中のIR700分子と、集団内のセツキシマブ分子との比が、約2:1~約3:5であり、
(b)セツキシマブ分子の10%未満または約10%未満が、IR700とコンジュゲートされておらず、かつ
(c)組成物中の全色素分子のうちの組成物中の遊離色素のパーセンテージが、3%未満または約3%未満である
という特色を含む、組成物
もまた、本明細書において提供される。
【0016】
任意の態様のいくつかにおいて、複数のコンジュゲートは、軽鎖のK145においてIR700とコンジュゲートされたセツキシマブを含む。任意の態様のいくつかにおいて、複数のコンジュゲートは、重鎖のK215、K416、またはK449においてIR700とコンジュゲートされたセツキシマブを含む。任意の態様のいくつかにおいて、複数のコンジュゲートは、少なくとも3個のIR700分子とコンジュゲートされたセツキシマブを含む。
【0017】
任意の態様のいくつかにおいて、前記複数は、組成物中のコンジュゲートの少なくとも51%もしくは少なくとも約51%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、または少なくとも80%もしくは少なくとも約80%を含む。
【0018】
任意の態様のいくつかにおいて、組成物中の遊離色素のパーセンテージは、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、または0.5%未満もしくは約0.5%未満である。
【0019】
任意の態様のいくつかにおいて、セツキシマブは、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列、またはそれらの組み合わせを含む。
【0020】
任意の態様のいくつかにおいて、組成物中の遊離色素のパーセンテージは、暗条件または減光条件での6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変である。任意の態様のいくつかにおいて、組成物は、少なくとも95%、96%、97%、もしくは98%、または少なくとも約95%、96%、97%、もしくは98%の、単量体型のコンジュゲートを含む。任意の態様のいくつかにおいて、組成物は、5%、4%、もしくは3%未満、または約5%、4%、もしくは3%未満の、高分子量種を含む。
【0021】
本明細書において提供されたコンジュゲートまたは組成物のいずれかに関連する方法も、提供される。態様のいずれかのいくつかにおいて、提供された方法は、腫瘍またはがん細胞を死滅させる方法を含む。提供された態様のいずれかのいくつかにおいて、方法は、以下:
本明細書に記載されたコンジュゲートまたは組成物のいずれかを含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で腫瘍またはがん細胞の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、腫瘍またはがん細胞を死滅させる、工程
を含む。
【0022】
対象における疾患または状態を処置する方法も、本明細書において提供される。態様のいずれかのいくつかにおいて、方法は、以下:
本明細書に記載されたコンジュゲートまたは組成物のいずれかを含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で対象における病変または腫瘍の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、疾患または状態を処置する、工程
を含む。
【0023】
任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程は、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で実施される。任意の態様のいくつかにおいて、照射する工程は、約690nmの波長で実施される。
【0024】
任意の態様のいくつかにおいて、疾患または状態は、腫瘍またはがんである。任意の態様のいくつかにおいて、腫瘍もしくはがん細胞または疾患もしくは状態は、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳腺、胃、前立腺、子宮頸部、食道、もしくは頭頸部のがんである腫瘍である。任意の態様のいくつかにおいて、腫瘍もしくはがん細胞または疾患もしくは状態は、頭頸部、乳腺、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、もしくは肺に位置するがんである。任意の態様のいくつかにおいて、がんは、頭頸部がんである。
【0025】
本明細書に記載されたセツキシマブ-IR700コンジュゲートなどのコンジュゲートを製造する方法も、提供される。態様のいずれかのいくつかにおいて、安定的なコンジュゲートを製造する方法が、提供される。態様のいずれかのいくつかにおいて、方法は、以下:
(a)セツキシマブ-IR700コンジュゲートが作製される条件下で、セツキシマブをIR700と接触させる工程であって、
コンジュゲートが、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、IR700とコンジュゲートされた少なくとも2個のリジン(K)位置を含む、工程;
(b)コンジュゲーション中および/またはコンジュゲーション後に、セツキシマブと非特異的に会合したIR700を実質的に低下させるステップにコンジュゲートを供する工程;ならびに
(c)薬学的に許容される緩衝液中でコンジュゲートを製剤化する工程
を含み、
工程(a)~(c)の各々において、色素およびコンジュゲートが曝される唯一の光は、約400nm~約650nmの範囲の波長を有するか、または500ルクス未満もしくは約500ルクス未満の強度を有する。
【0026】
任意の態様のいくつかにおいて、工程(b)は、IR700とセツキシマブとの間のコンジュゲーション反応の完了後に、コンジュゲートをグリシンクエンチング反応に供することを含む。任意の態様のいくつかにおいて、クエンチング反応は、一晩または6時間超もしくは約6時間超の期間、実施される。
【0027】
安定的なコンジュゲートも、本明細書において提供される。態様のいずれかのいくつかにおいて、安定的なコンジュゲートは、本明細書に記載されたコンジュゲートを製造する方法のいずれかによって製造される。
【0028】
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
(a)SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(b)SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(c)SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(d)SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
を含むペプチドの集団を生成する、組成物
もまた、本明細書において提供される。
【0029】
任意の態様のいくつかにおいて、ペプチドの集団は、以下:
(e)SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(f)SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド
をさらに含む。
【0030】
任意の態様のいくつかにおいて、ペプチドの集団は、以下:
(g)SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(h)SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(i)SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(j)SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド
をさらに含む。
【0031】
任意の態様のいくつかにおいて、ペプチドの集団は、以下:
(k)SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(l)SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(m)SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;および
(n)SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
のうちの1つまたは複数をさらに含む。
【0032】
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
(a)SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(b)SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(c)SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(d)SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(e)SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(f)SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(g)SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(h)SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(i)SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(j)SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(k)SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(l)SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(m)SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;および
(n)SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
を含むペプチドの集団を生成する、組成物
もまた、本明細書において提供される。
【0033】
任意の態様のいくつかにおいて、ペプチドは、ポジティブイオンモード質量分析によって検出される。任意の態様のいくつかにおいて、ポジティブイオンモード質量分析によって検出されたペプチドについて、抽出イオンクロマトグラム(EIC)が生成される時に、
(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の3%または約3%から、5%または約5%であり;
(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の3%または約3%から、5%または約5%であり;
(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の8%または約8%から、11%または約11%であり;
(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、2.5%または約2.5%であり;
(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の8%または約8%から、12%または約12%であり;
(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.2%または約0.2%から、2.5%または約2.5%であり;
(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の4.5%または約4.5%から、7%または約7%であり;
(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の9.5%または約9.5%から、13%または約13%であり;
(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の6%または約6%から、10%または約10%であり;
(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の2%または約2%から、5%または約5%であり;
(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の7%または約7%から、11%または約11%であり;
(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、4%または約4%であり;
(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の1.5%または約1.5%から、5%または約5%であり;かつ
(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、4%または約4%である。
【0034】
任意の態様のいくつかにおいて、
(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.8±1%であり;
(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.5±1%であり;
(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約10.0±1%であり;
(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約1.7±1%であり;
(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約10.2±1%であり;
(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約1.3±1%であり;
(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約5.9±1%であり;
(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約11.2±1%であり;
(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約7.6±1%であり;
(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.4±1%であり;
(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約9.3±1%であり;
(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約2.1±1%であり;
(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.5±1%であり;かつ
(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積は、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約2.0±1%である。
【0035】
提供された態様のいずれかのいくつかにおいて、
(a)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸1-38に相当し;
(b)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸72-81に相当し;
(c)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸213-216に相当し;
(d)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸225-250に相当し;
(e)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸291-294に相当し;
(f)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸325-336に相当し;
(g)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸329-340に相当し;
(h)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸412-418に相当し;
(i)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1のアミノ酸442-449に相当し;
(j)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2のアミノ酸104-108に相当し;
(k)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2のアミノ酸143-149に相当し;
(l)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2のアミノ酸184-190に相当し;
(m)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2のアミノ酸189-207に相当し;かつ
(n)のペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2のアミノ酸191-211に相当する。
【0036】
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピーク(conjugated EIC peak)の面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%または少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8%または少なくとも約8%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8%または少なくとも約8%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8%または少なくとも約8%である、ペプチド
に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルを生成するペプチドを生成する、組成物
もまた、本明細書において提供される。
【0037】
任意の態様のいくつかにおいて、組成物のトリプシン消化は、以下:
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも5%もしくは少なくとも約5%である、ペプチド;ならびに/または
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも3.5%もしくは少なくとも約3.5%である、ペプチド
のうちの1つまたは複数に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルをさらに生成する。
任意の態様のいくつかにおいて、組成物のトリプシン消化は、以下:
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;ならびに/または
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド
に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルをさらに生成する。
【0038】
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%もしくは少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;ならびに/または
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積のおよそ少なくとも8.5%もしくはおよそ少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも4.5%もしくは少なくとも約4.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%もしくは少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも7%もしくは少なくとも約7%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8.5%もしくは少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも1%もしくは少なくとも約1%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;ならびに
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも1%もしくは少なくとも約1%である、ペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルを生成するペプチド、を生成する、組成物
もまた、本明細書において提供される。
【0039】
任意の態様のいくつかにおいて、
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.8±1%であり;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.5±1%であり;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約10.0±1%であり;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約1.7±1%であり;
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約10.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約1.3±1%であり;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約5.9±1%であり;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約11.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約7.6±1%であり;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.4±1%であり;
SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約9.3±1%であり;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約2.1±1%であり;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.5±1%であり;かつ
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約2±1%である。
【0040】
任意の態様のいくつかにおいて、リジンとコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドは、
SEQ ID NO:1のアミノ酸1-38、アミノ酸72-81、アミノ酸213-216、アミノ酸225-250、アミノ酸291-294、アミノ酸325-336、アミノ酸329-340、アミノ酸412-418、およびアミノ酸442-449に相当するアミノ酸の配列、SEQ ID NO:2のアミノ酸104-108、アミノ酸143-149、アミノ酸184-190、アミノ酸189-207、およびアミノ酸191-211に相当するアミノ酸の配列
の中から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含む。
【0041】
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体を含むコンジュゲートであって、少なくとも1個のIR700分子がセツキシマブ抗体の軽鎖のリジン(K)と連結されている、コンジュゲートが、本明細書において提供される。1つの局面において、少なくとも1個のIR700分子は、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207からなる群より選択される位置においてリジンと連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、少なくとも1個のIR700分子は、軽鎖のK145と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の軽鎖の2個以上のリジン位置においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の軽鎖のK145においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の軽鎖のK145、およびセツキシマブ抗体の軽鎖または重鎖の少なくとも1個の他のリジン位置においてIR700と連結されていてよい。
【0042】
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体を含むコンジュゲートであって、少なくとも1個のIR700分子がセツキシマブ抗体の重鎖のリジン(K)と連結されている、コンジュゲートが、本明細書において提供される。1つの局面において、少なくとも1個のIR700分子は、重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より選択される位置においてリジンと連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、少なくとも1個のIR700分子は、重鎖のK215、K292、K336、K416、およびK449からなる群より選択される位置においてリジンと連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の重鎖の2個以上のリジン位置においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の重鎖の3個以上のリジン位置においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、および/またはK449においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の重鎖のK215、K292、K336、K416、および/またはK449、ならびにセツキシマブ抗体の軽鎖または重鎖の少なくとも1個の他のリジン位置においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の軽鎖のK145においてIR700と連結されていてよい。
【0043】
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体を含むコンジュゲートであって、少なくとも1個のIR700分子がセツキシマブ抗体の軽鎖のリジン(K)と連結されており、少なくとも1個のIR700分子がセツキシマブ抗体の重鎖のリジン(K)と連結されている、コンジュゲートが、本明細書において提供される。1つの局面において、軽鎖のリジンは、K107、K145、K188、K190、およびK207からなる群より選択され得る。提供された態様のいずれかにおいて、重鎖のリジンは、K5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より選択され得る。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の軽鎖のK145においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、および/またはK449においてIR700と連結されていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体は、セツキシマブ抗体の一方または両方の軽鎖のK145、ならびにセツキシマブ抗体の一方または両方の重鎖のK215、K292、K416、およびK449においてIR700と連結されていてよい。
【0044】
提供された態様のいずれかにおいて、コンジュゲートのIR700分子と、セツキシマブ抗体との比は、1:1、2:1、3:1、または4:1であり得る。提供された態様のいずれかにおいて、コンジュゲートは、約600nm~約850nm(例えば、690nm±50nm)の波長での照射によって活性化され、それによって、細胞死滅活性を獲得することができる。
【0045】
任意の態様のいくつかにおいて、前記態様のいずれかのコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物が、本明細書において提供される。任意の態様のいくつかにおいて、セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の軽鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700分子を有する、組成物が、本明細書において提供される。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の一方または両方の軽鎖のK107、K145、K188、K190、および/またはK207と連結された少なくとも1個のIR700分子を有し得る。提供された態様のいずれかにおいて、集団におけるIR700とコンジュゲートされている主な軽鎖リジン位置は、K145であり得る。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体分子が変性質量分析によって分析される時に、軽鎖K145におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドは、他の軽鎖リジン位置とコンジュゲートされたIR700を含有するペプチドより多量に存在するであろう。
【0046】
任意の態様のいくつかにおいて、セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の重鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700分子を有する、組成物が、本明細書において提供される。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の一方または両方の重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、および/またはK449と連結された少なくとも1個のIR700分子を有し得る。提供された態様のいずれかにおいて、集団におけるIR700とコンジュゲートされている主な重鎖リジン位置は、K215、K292、K336、K416、およびK449のうちの1個または複数個であり得る。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体分子が質量分析によって分析される時に、重鎖K215、K292、K336、K416、またはK449におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドは、他の重鎖リジン位置とコンジュゲートされたIR700を含有するペプチドより多量に存在し得る。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体分子の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の一方または両方の重鎖の2個以上のリジンと連結された少なくとも1個のIR700分子を有し得る。
【0047】
提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体分子の約20%以下は、IR700とコンジュゲートされていなくてよい。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体分子の10%未満は、IR700とコンジュゲートされていなくてよく、かつ/または組成物中の遊離色素のパーセンテージは、3%未満であり得る。提供された態様のいずれかにおいて、組成物中のIR700分子と、集団内のセツキシマブ抗体分子との比は、約2:1、約2.5:1、または約3:1であり得る。
【0048】
任意の態様のいくつかにおいて、セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の軽鎖または重鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700分子を有する、組成物が、本明細書において提供される。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の一方もしくは両方の軽鎖のK107、K145、K188、K190、および/もしくはK207と連結された、または一方もしくは両方の重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、および/もしくはK449と連結された少なくとも1個のIR700分子を有し得る。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の一方もしくは両方の軽鎖のK145と連結された、または一方もしくは両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、もしくはK449と連結された少なくとも1個のIR700分子を有し得る。
【0049】
任意の態様のいくつかにおいて、セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の軽鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700分子、および重鎖のリジンと連結された少なくとも1個のIR700分子を有する、組成物が、本明細書において提供される。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の一方または両方の軽鎖のK107、K145、K188、K190、および/またはK207と連結された少なくとも1個のフタロシアニンIR700分子、ならびに一方または両方の重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、および/またはK449と連結された少なくとも1個のIR700分子を有し得る。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の一方または両方の軽鎖のK145と連結された少なくとも1個のフタロシアニンIR700分子、ならびに一方または両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、またはK449と連結された少なくとも1個のIR700分子を有し得る。
【0050】
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、セツキシマブ抗体分子の約20%以下が、セツキシマブ抗体分子の軽鎖または重鎖のリジン(K)においてIR700とコンジュゲートされていない、組成物が、本明細書において提供される。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の15%未満が、IR700とコンジュゲートされていなくてよい。1つの局面において、セツキシマブ抗体分子の10%未満が、IR700とコンジュゲートされていなくてよい。提供された態様のいずれかにおいて、組成物中の全色素分子のうちの組成物中の遊離色素のパーセンテージは、3%、約2%、約1%、または約0.5%未満であり得る。提供された態様のいずれかにおいて、組成物中のIR700分子と、集団内のセツキシマブ抗体分子との比は、約2:1、約2.5:1、または約3:1であり得る。
【0051】
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
1個または複数個のセツキシマブ抗体分子が、1個または複数個のセツキシマブ抗体分子の軽鎖または重鎖のリジン(K)においてIR700とコンジュゲートされており、
組成物中のIR700分子と、集団内のセツキシマブ抗体分子との比が、約2:1、約2.5:1、または約3:1であり、
セツキシマブ抗体分子の10%未満が、IR700とコンジュゲートされておらず、かつ
組成物中の全色素分子のうちの組成物中の遊離色素のパーセンテージが、約0.5%未満である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0052】
SEQ ID NO:1を含む組成物であって、SEQ ID NO:1のリジン145がIR700とコンジュゲートされている、組成物が、本明細書において提供される。SEQ ID NO:2を含む組成物であって、SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449がIR700とコンジュゲートされている、組成物が、本明細書において提供される。
【0053】
SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を含む組成物であって、SEQ ID NO:1のリジン145がIR700とコンジュゲートされており、SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449がIR700とコンジュゲートされている、組成物が、本明細書において提供される。1つの局面において、組成物は、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を同一分子内に含んでいてよく、SEQ ID NO:1のリジン145がIR700とコンジュゲートされていてよく、SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449がIR700とコンジュゲートされていてよい。提供された態様のいずれかにおいて、組成物は、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を異なる分子内に含んでいてよく、SEQ ID NO:1のリジン145がIR700とコンジュゲートされていてよく、SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449がIR700とコンジュゲートされていてよい。
【0054】
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ抗体分子の15%未満がIR700とコンジュゲートされておらず、
組成物が3%未満の遊離IR700を含み、
組成物中の遊離色素のパーセンテージが約6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0055】
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、0.6%未満もしくは約0.6%未満、0.5%未満もしくは約0.5%未満、0.4%未満もしくは約0.4%未満、または0.3%未満もしくは約0.3%未満の遊離色素を含む組成物が、本明細書において提供される。1つの局面において、組成物は、少なくとも95%、96%、97%、もしくは98%、または少なくとも約95%、96%、97%、もしくは98%の、単量体を含み得る。1つの局面において、組成物は、5%、4%、もしくは3%未満、または約5%、4%、もしくは3%未満の、高分子量種を含み得る。提供された態様のいずれかにおいて、組成物は、30%、20%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、もしくは5%未満、または約30%、20%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、もしくは5%未満の、コンジュゲートされていない抗体を含み得る。
【0056】
提供された態様のいずれかにおいて、遊離色素のパーセンテージは、暗条件または減光条件での組成物の6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変であり得る。提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体分子の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の軽鎖のリジン(K)とコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700分子を有し得る。提供された態様のいずれかにおいて、集団におけるIR700とコンジュゲートされている主な軽鎖リジン位置は、K145であり得る。提供された態様のいずれかにおいて、集団の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ抗体分子の重鎖のリジン(K)とコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700分子を有し得る。提供された態様のいずれかにおいて、集団におけるIR700とコンジュゲートされている主な重鎖リジン位置は、K215、K292、K336、K416、およびK449のうちの1個または複数個であり得る。
【0057】
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約9%~約10%が、軽鎖リジン145(K145)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドである、組成物が、本明細書において提供される。
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約9%~約11%が、重鎖リジン215(K215)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドである、組成物が、本明細書において提供される。
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約9%~約11%が、重鎖リジン292(K292)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドである、組成物が、本明細書において提供される。
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約10%~約12%が、重鎖リジン416(K416)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドである、組成物が、本明細書において提供される。
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約7%~9%が、重鎖リジン449(K449)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドである、組成物が、本明細書において提供される。
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約5%~7%が、重鎖リジン336(K336)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドである、組成物が、本明細書において提供される。
セツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約9%~11%が、軽鎖リジン145(K145)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約9%~11%が、重鎖リジン215(K215)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約9%~11%が、重鎖リジン292(K292)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約10%~12%が、重鎖リジン416(K416)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約7%~9%が、重鎖リジン449(K449)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであり;かつ/または
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約5%~7%が、重鎖リジン336(K336)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドである、組成物
が、本明細書において提供される。
提供された態様のいずれかにおいて、
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約3%~4%が、軽鎖リジン107(K107)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよく;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約1%~3%が、軽鎖リジン188(K188)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよく;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約3%~4%が、軽鎖リジン190(K190)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよく;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約1%~3%が、軽鎖リジン207(K207)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよく;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約3%~4%が、重鎖リジン5(K5)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよく;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約3%~4%が、重鎖リジン75(K75)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよく;
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約1%~2%が、重鎖リジン248(K248)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよく;かつ/または
質量分析によって分析されたセツキシマブ抗体分子の全ペプチドの約1%~2%が、重鎖リジン328(K328)におけるIR700コンジュゲーションを含有するペプチドであってよい。
【0058】
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置292(K292)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、重鎖のリジン位置416(K416)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0059】
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約1:1:1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0060】
IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置416(K416)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約1:1:1:1:1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0061】
提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ抗体分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700の比は、質量分析によって測定され得る。
【0062】
以下:
前記態様のいずれかのコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で腫瘍細胞の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、腫瘍またはがん細胞を死滅させる、工程
を含む、腫瘍またはがん細胞を死滅させる方法が、本明細書において提供される。
以下:
前記態様のいずれかのコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を対象へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で対象における(例えば、腫瘍またはがんによる)病変の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、疾患または状態を処置する、工程
を含む、対象における疾患または状態、例えば、腫瘍またはがんを処置する方法が、本明細書において提供される。
提供された態様のいずれかにおいて、方法は、投与する工程の前に、薬学的組成物を提供する工程をさらに含み得る。
提供された態様のいずれかにおいて、照射する工程は、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で実施され得る。
提供された態様のいずれかにおいて、照射する工程は、約690nmの波長で実施され得る。
提供された態様のいずれかにおいて、腫瘍は、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳腺、胃、前立腺、子宮頸部、食道、または頭頸部のがんであり得る。
提供された態様のいずれかにおいて、がんは、頭頸部、乳腺、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置し得る。
提供された態様のいずれかにおいて、がんは、頭頸部に位置するがんであり得る。
【0063】
(a)K145(軽鎖)、K215(重鎖)、K292(重鎖)、K336(重鎖)、K416(重鎖)、およびK449(重鎖)からなる群より選択されるセツキシマブ抗体の1個または複数個のリジンと連結されたIR700を含むコンジュゲートが作製される条件下で、セツキシマブをIR700と接触させる工程;
(b)コンジュゲーション中および/またはコンジュゲーション後に、セツキシマブ抗体と非特異的に会合したIR700を実質的に低下させるステップにコンジュゲートを供する工程;
(c)薬学的に許容される緩衝液中でコンジュゲートを製剤化する工程
を含む、安定的なコンジュゲートを製造する方法であって、
工程(a)~(c)の各々において、色素およびコンジュゲートが曝される唯一の光が、約400nm~約650nmの範囲の波長を有するか、または500ルクス未満の強度を有する、方法
が、本明細書において提供される。
1つの局面において、工程(b)は、コンジュゲートをクエンチング反応に供することを含み得る。
提供された態様のいずれかにおいて、工程(b)は、IR700とセツキシマブ抗体との間のコンジュゲーション反応の完了後に、コンジュゲートをグリシンクエンチング反応に供することを含み得る。
提供された態様のいずれかにおいて、クエンチング反応は、一晩または約6時間超の期間、実施され得る。
【0064】
任意の態様のいずれかにおいて、前記態様のいずれかによって製造された安定的なコンジュゲートが、本明細書において提供される。提供された態様のいずれかにおいて、コンジュゲートは、IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体分子の集団を含んでいてよく、集団におけるセツキシマブ抗体分子のリジンとコンジュゲートされたIR700の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比は、約1:1:1:1であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】参照標準と比べた、セツキシマブ-IR700コンジュゲートの3つのバッチのBxPC3細胞死滅活性を比較している、光免疫治療(PIT)アッセイの結果を示す。
図2】3つのロットが、全て、少なくとも97%の単量体、3%未満の高分子量種(HMW)、および0.3%以下の遊離IR700色素(例えば、コンジュゲートされていない色素)を示したことを示している、セツキシマブ-IR700コンジュゲートの3つのバッチのサイズ排除HPLC(SEC-HPLC)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
詳細な説明
フタロシアニン色素IR700とセツキシマブ抗体とのコンジュゲート(セツキシマブ-IR700)、およびそのようなコンジュゲートを含有する組成物、例えば、薬学的組成物が、本明細書において提供される。
【0067】
いくつかの態様において、本明細書に開示されたコンジュゲートおよびコンジュゲートの調製物は、組成物、例えば、薬学的組成物の増加した均一性、安定性、活性、および/または改善された一貫性を提供する。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、特定のアミノ酸位置または特定のアミノ酸残基、例えば、特定のリジン(K)位置または残基におけるIR700色素とのコンジュゲーションによって修飾されたセツキシマブ抗体を含有する。トリプシンなどのエンドプロテアーゼによって消化された時に、特定のリジン位置または残基におけるIR700のコンジュゲーションなどの、ある種のペプチドおよび修飾の集団を含む組成物をもたらす、セツキシマブ-IR700コンジュゲートおよびそのようなコンジュゲートを含有する組成物も、提供される。トリプシンなどのエンドプロテアーゼによって消化され、液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)などの質量分析によって分析または査定された時に、特定の質量スペクトルを示す、セツキシマブ-IR700コンジュゲートおよびそのようなコンジュゲートを含有する組成物も、提供される。提供されたコンジュゲートまたは組成物のいずれかに関連した、処置の方法または治療的使用などの方法および使用も、提供される。提供されたセツキシマブ-IR700コンジュゲートおよび/またはセツキシマブ-IR700コンジュゲートを含む組成物のいずれかを生成する方法も、提供される。
【0068】
本願において言及された特許書類、科学文献、およびデータベースを含む刊行物は、全て、個々の刊行物が各々個別に参照により組み入れられるのと同じ程度に、事実上、参照によりその全体が組み入れられる。本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、およびその他の刊行物に記載の定義に反するかまたはその他の方法で一致しない場合には、本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義より優先される。
【0069】
本明細書において使用されるセクションの見出しは、系統立てるためのものに過ぎず、記載された主題を限定するものと解釈されてはならない。
【0070】
I. IR700フタロシアニン色素およびそのコンジュゲート
本明細書において提供されたコンジュゲートは、リンカー基を介して、セツキシマブなどの上皮増殖因子受容体(EGFR)結合抗体とコンジュゲートされた、IR700などのフタロシアニン色素分子を含む。1つの局面において、コンジュゲートは、式Iを有する:
A-[(L)n-D]p
(I)
式中、
AはセツキシマブまたはEGFRに対する抗体であり;
Lは各pについて独立して選択されるリンカーであり;
nは1または2であり;
Dは各pについて独立して選択される親水性フタロシアニン色素であり;かつ
pは独立して1、2、3、4、5、一般的には、1~3である。
【0071】
いくつかの態様において、反応基を含有するフタロシアニン色素は、IRDye 700DX NHSエステル(LiCor 929-70010、929-70011)などのIR700 NHSエステルである。いくつかの態様において、色素は、以下の式を有する化合物である:
【0072】
本明細書における目的のため、(IRDye 700またはIR700色素とも呼ばれる)「IR700」という用語は、例えば、反応基を介して、色素が、例えば、抗体とコンジュゲートされた時に上記式を含む。いくつかの態様において、IR700色素は、近赤外(NIR)スペクトル、典型的には、680nm~800nmに吸収波長および放射波長を有する蛍光色素である。
【0073】
本明細書に記載されたフタロシアニン色素は、市販の出発材料によって作製され得る。コア構造は、2個以上の異なるジイミノイソインドリンの縮合によって合成される。異なるジニトリルまたはジイミノイソインドリンを使用した合成戦略は、フタロシアニンの様々な置換度および/または位置異性体の分布をもたらし得る。色素を生成するための例示的な合成スキームは、米国特許第7,005,518号に記載されている。IR700などの色素とのコンジュゲートを調製し、特徴決定するための例示的な合成スキームは、WO 2017/031363に記載されている。
【0074】
いくつかの態様において、IR700フタロシアニン色素は、色素分子の反応基を介して抗体とコンジュゲートされる。いくつかの態様において、反応基は、NHSエステルである。
【0075】
いくつかの態様において、本明細書に記載された組成物に含有されるセツキシマブ-IR700コンジュゲートは、1個または約1個から、3個または約3個の色素分子である、1抗体分子当たりの特定の数の色素残基を含有する。いくつかの態様において、1抗体当たりの色素分子の数は、2または約2から、5または約5、例えば、2または約2から、4または約4、例えば、約3または3であり得る。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートでは、1抗体軽鎖当たりの色素分子の数は、1もしくは約1、または1もしくは約1から、2もしくは約2であり得る。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートでは、1抗体重鎖当たりの色素分子の数は、1もしくは約1、2もしくは約2、または3もしくは約3、または4もしくは約4、または1もしくは約1から、2もしくは約2、または2もしくは約2から、3もしくは約3、または2もしくは約2から、4もしくは約4であり得る。
【0076】
II. 上皮増殖因子受容体(EGFR)結合抗体セツキシマブおよびそのコンジュゲート
抗体の特定のアミノ酸位置または残基、具体的には、抗体のリジン位置または残基においてコンジュゲートされた1個または複数個の(IR700などの)フタロシアニン色素分子を有する抗体コンジュゲートが、本明細書において提供される。いくつかの態様において、1個または複数個の色素分子は、抗体の軽鎖および/または重鎖の定常領域とコンジュゲートされている。そのようなコンジュゲートは、標的抗原と結合する抗体の能力を保持しており、さらに、コンジュゲートは、例えば、標的抗原を発現する細胞の表面への抗体-色素コンジュゲートの結合、および光の照明または照射の後に、抗体-色素コンジュゲートの標的細胞死滅活性を提供する。
【0077】
本明細書において提供されたコンジュゲートおよび組成物において、色素分子の位置(例えば、IR700がコンジュゲートされている抗体の1つまたは複数の鎖またはドメインのリジン(K)位置または残基)は、一貫しており、再現性があり、このことは、いくつかのケースにおいて、重鎖および軽鎖のIR700とコンジュゲートされる位置の選択、ならびに位置間のコンジュゲーションの釣り合いが、コンジュゲートされた抗体のバッチ間で実質的に一定であることをさすか、または意味する。コンジュゲーション位置の一貫性および再現性は、薬物組成物の活性および純度の均一性、予測可能性、および一定性を提供する。
【0078】
いくつかの態様において、提供されたコンジュゲートまたは組成物における抗体は、上皮増殖因子受容体(EGFR;ErbB-1;HER1;EGF受容体)を標的とするか、または結合する、例えば、特異的に結合する抗体であるため、抗体は、細胞の表面上のEGFRと結合することができる。1つの態様において、抗体は、セツキシマブである。セツキシマブは、EGFRの細胞外ドメインと特異的に結合する組換えヒト/マウスキメラモノクローナル抗体である。セツキシマブは、マウス抗EGFR抗体のFv領域と、ヒトIgG1の重鎖およびκ軽鎖の定常領域とから構成される。いくつかの局面において、抗体は、SEQ ID NO:1に記載の配列を含む重鎖を含む。いくつかの局面において、抗体は、SEQ ID NO:2に記載の配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は、それぞれ、SEQ ID NO:1および2に記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む。いくつかの態様において、提供されたコンジュゲートは、それぞれ、SEQ ID NO:1および2に記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含むセツキシマブなどのセツキシマブ抗体を含む。いくつかの態様において、抗体は、セツキシマブに由来するか、またはセツキシマブのバリアントもしくは誘導体、例えば、抗原結合断片もしくはその修飾バージョン、もしくはセツキシマブのバイオシミラー(biosimilar)、交換可能物(interchangeable)、もしくはバイオベター(biobetter)である。そのような抗体には、セツキシマブのコピーバイオロジカル(copy biologicals)およびバイオジェネリック(biogenerics)も含まれる。
【0079】
「抗体」とは、本明細書において使用されるように、腫瘍特異的タンパク質などの抗原のエピトープを特異的に認識し、それに結合する、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖の可変領域を少なくとも含むポリペプチドリガンドである。一般的に、抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と呼ばれる可変領域を各々含む、重鎖および軽鎖から構成される。共に、VH領域およびVL領域は、抗体によって認識される抗原との結合を担う。
【0080】
「抗体」には、本明細書において使用されるように、完全な免疫グロブリン、ならびにFab断片、Fab'断片、F(ab)'2断片、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)などの、抗原結合を示す抗体の断片が含まれる。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域(VL)と免疫グロブリンの重鎖可変領域(VH)とがリンカーによって結合している融合タンパク質であり、dsFvにおいては、鎖の会合を安定化するためのジスルフィド結合を導入するため、鎖が変異させられている。この用語には、キメラ抗体、例えば、ヒト化マウス抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、例えば、二重特異性抗体などの遺伝子改変型も含まれる。Pierce Catalog and Handbook,1994-1995(Pierce Chemical Co.,Rockford,Ill.);Kuby,J.Immunology,3rd Ed.,W.H.Freeman & Co.,New York,1997も参照すること。
【0081】
典型的には、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互に接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖には、ラムダ(λ)およびカッパ(k)という2つの型が存在する。重鎖には、抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要なクラスまたはアイソタイプが存在する:IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgE。IgG抗体は、2本の重鎖および2本の軽鎖から構成された四量体タンパク質である。IgG重鎖は、それぞれ、重鎖可変ドメイン、重鎖定常ドメイン1、重鎖定常ドメイン2、および重鎖定常ドメイン3をさす、N末端からC末端へVH-CH1-CH2-CH3の順に連結された4つの免疫グロブリンドメインから構成される(IgGクラスについては、それぞれ、重鎖可変ドメイン、定常ガンマ1ドメイン、定常ガンマ2ドメイン、および定常ガンマ3ドメインをさす、VH-Cγ1-Cγ2-Cγ3とも呼ばれる)。IgG軽鎖は、それぞれ、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインをさす、N末端からC末端へVL-CLの順に連結された2つの免疫グロブリンドメインから構成される。
【0082】
重鎖および軽鎖は、「ドメイン」としても公知の定常領域および可変領域を各々含有する。重鎖および軽鎖の可変領域の組み合わせが、一般的に、抗原と特異的に結合する。軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域が介在する「フレームワーク」領域を含有し得る。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、画定されている(参照により本明細書に組み入れられるKabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照すること)。Kabatデータベースは、現在、オンラインで維持されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、ヒトなどの種内で比較的保存されている。構成している軽鎖および重鎖のフレームワーク領域の組み合わせである、抗体のフレームワーク領域は、三次元空間においてCDRを位置付け、整列させるために役立つ。
【0083】
CDRは、典型的には、抗原のエピトープとの結合を担う。各鎖のCDRは、典型的には、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、N末端から開始して順番に番号付けられ、一般的に、特定のCDRが位置している鎖によっても同定される。従って、VH CDR3は、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、VL CDR1は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。異なる抗原に対する異なる結合部位などの異なる特異性を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体間で変動するのは、CDRであるが、CDR内の限定された数のアミノ酸位置のみが、抗原結合に直接関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
【0084】
「VH」または「VH」との言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabのものを含む、免疫グロブリン重鎖の可変領域(即ち、重鎖可変領域)をさす。「VL」または「VL」との言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabのものを含む、免疫グロブリン軽鎖の可変領域(即ち、軽鎖可変領域)をさす。
【0085】
「CH」または「CH」との言及は、免疫グロブリン重鎖の定常領域をさす。「CL」または「CL」との言及は、免疫グロブリン軽鎖の定常領域をさす。定常領域は、同一のアイソタイプまたは重鎖クラスの抗体間で、アミノ酸配列が比較的類似しているかまたは同一であるため、そのように呼ばれる。例えば、IgG抗体の定常領域は、異種間でさえ、高度に相同である。例示的なIgGアイソタイプには、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が含まれ、IgG2aおよびIgG2bなどのサブクラスにさらに分類され得る。例えば、ヒトのIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4の定常領域は、アミノ酸配列の90%超の相同性を示し、違いはランダムには分布していない。大部分の変動がヒンジ領域およびN末端CH2ドメインに見出され、その他のドメインには、アミノ酸の違いがほとんど見出されない。
【0086】
「抗体断片」とは、完全抗体が結合する抗原と結合する、完全抗体の一部分を含む、完全抗体以外の分子をさす。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ(diabodies);直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。その他の抗体断片、または抗体断片から形成された多重特異性抗体には、多価scFv、二重特異性scFv、またはscFv-CH3二量体が含まれる。抗体断片は、完全抗体のタンパク質分解および組換え宿主細胞による産生を含むが、これらに限定されるわけではない、様々な技術によって作製され得る。
【0087】
「モノクローナル抗体」とは、Bリンパ球の単一のクローンによって、または単一の抗体の軽鎖および重鎖の遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば、骨髄腫細胞と免疫脾細胞との融合からハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって作製される。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。
【0088】
「キメラ抗体」は、ヒトなどの1つの種に由来するフレームワーク残基と、メソテリンと特異的に結合するマウス抗体などの別の種に由来する、一般的に、抗原結合を付与するCDRとを有する。
【0089】
「ヒト化」免疫グロブリンとは、ヒトフレームワーク領域と、非ヒト(例えば、マウス、ラット、または合成)免疫グロブリンに由来する1つまたは複数のCDRとを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。いくつかの態様において、ヒト化免疫グロブリンにおいて、CDRは、ドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域は、存在する必要はないが、存在する場合には、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、例えば、少なくとも約85~90%、例えば、約95%以上同一であり得る。従って、おそらく、CDRを除く、ヒト化免疫グロブリンの部分は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」とは、免疫グロブリンのヒト化軽鎖およびヒト化重鎖を含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同一の抗原と結合する。ヒト化された免疫グロブリンまたは抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから得られたアミノ酸による限定された数の置換を有し得る。ヒト化またはその他のモノクローナル抗体は、抗原結合またはその他の免疫グロブリン機能に対する効果を実質的に有しない、付加的な保存的アミノ酸置換を有し得る。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子改変の手段によって構築され得る(例えば、米国特許第5,585,089号を参照すること)。
【0090】
(「完全ヒト」抗体とも呼ばれる)「ヒト」抗体とは、ヒトフレームワーク領域およびヒト免疫グロブリン抗体に由来するCDRを含む抗体である。いくつかの態様において、フレームワークおよびCDRは、同一のヒトの重鎖および/または軽鎖のアミノ酸配列に由来する。しかしながら、あるヒト抗体に由来するフレームワークを、異なるヒト抗体に由来するCDRを含むよう改変することができる。ヒト免疫グロブリンの部分は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一であり得る。
【0091】
IR700などのフタロシアニン色素とコンジュゲートされた抗体、具体的には、EGFRと結合する抗体が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、コンジュゲートの抗体は、セツキシマブである。いくつかの態様において、セツキシマブは、IR700色素とコンジュゲートされている。いくつかの態様において、IR700とコンジュゲートされたセツキシマブは、SEQ ID NO:1を含む重鎖を有する。いくつかの態様において、IR700とコンジュゲートされたセツキシマブは、SEQ ID NO:2を含む軽鎖を有する。いくつかの態様において、セツキシマブは、それぞれ、SEQ ID NO:1および2を含む重鎖および軽鎖を有する。
【0092】
本明細書において使用されるように、2つのポリペプチド配列の間の「配列同一性」とは、配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。「配列類似性」とは、同一であるか、または保存的アミノ酸置換を表すアミノ酸のパーセンテージを示す。
【0093】
いくつかの態様において、本明細書に開示されたセツキシマブは、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列のCDR領域のうちの1つまたは複数に対して、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%または80%、さらに好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%のCDR領域における配列同一性を有する。いくつかの態様において、本明細書に開示されたセツキシマブは、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列のCDR領域のうちの1つまたは複数に対して、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%または80%、さらに好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%のCDR領域における配列同一性を有する。いくつかの態様において、本明細書に開示されたセツキシマブは、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列およびSEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列のCDR領域のうちの1つまたは複数に対して、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%または80%、さらに好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%のCDR領域における配列同一性を有する。
【0094】
いくつかの態様において、本明細書に開示されたセツキシマブは、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列のCDR領域のうちの1つまたは複数に対して、少なくとも80%、より好ましくは、90%、最も好ましくは、95%のCDR領域における配列類似性を有する。いくつかの態様において、本明細書に開示されたセツキシマブは、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列のCDR領域のうちの1つまたは複数に対して、少なくとも80%、より好ましくは、90%、最も好ましくは、95%のCDR領域における配列類似性を有する。いくつかの態様において、本明細書に開示されたセツキシマブは、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列およびSEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列のCDR領域のうちの1つまたは複数に対して、少なくとも80%、より好ましくは、90%、最も好ましくは、95%のCDR領域における配列類似性を有する。
【0095】
いくつかの態様において、抗体は、(例えば、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列および/またはSEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列を含む)セツキシマブのバリアントまたは誘導体である。例えば、抗体は、セツキシマブの可変領域VHおよびVLを有し、CH領域およびCL領域は、異なっており、例えば、異なるIgGアイソタイプに由来するCHおよびCLであるか、またはセツキシマブのCH領域およびCL領域との1個もしくは複数個のアミノ酸の違いを有する。いくつかの態様において、セツキシマブのバリアントまたは誘導体は、セツキシマブと同一のCDRを有し、セツキシマブのCH領域との少なくとも90%、92%、95%、98%、または99%の同一性を有するCH領域を有するものである。いくつかの態様において、セツキシマブのバリアントまたは誘導体は、セツキシマブと同一のCDRを有し、セツキシマブのCL領域との少なくとも90%、92%、95%、98%、または99%の同一性を有するCL領域を有するものである。いくつかの態様において、セツキシマブのバリアントまたは誘導体は、セツキシマブと同一のCDRを有し、セツキシマブのCHとの少なくとも90%、92%、95%、98%、または99%の同一性を有するCH領域、およびCL領域との少なくとも90%、92%、95%、98%、または99%の同一性を有するCL領域を有するものである。いくつかの態様において、セツキシマブのCH領域およびCL領域との少なくとも90%、92%、95%、98%、または99%の同一性には、CH領域および/またはCL領域の1個または複数個のリジン残基または露出したリジン残基の位置が含まれる。
【0096】
いくつかの態様において、セツキシマブのバリアントまたは誘導体は、(例えば、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列および/またはSEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列を含む)セツキシマブと同一のCDRを有し、セツキシマブのCH領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20超のアミノ酸置換を有するCH領域を有するものである。いくつかの態様において、セツキシマブのバリアントまたは誘導体は、セツキシマブと同一のCDRを有し、セツキシマブのCL領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超のアミノ酸置換を有するCL領域を有するものである。いくつかの態様において、セツキシマブのバリアントまたは誘導体は、セツキシマブと同一のCDRを有し、セツキシマブのCH領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20のアミノ酸置換を有するCH領域、およびセツキシマブのCL領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のアミノ酸置換を有するCL領域を有するものである。提供された態様のいずれかにおいて、1個または複数個のアミノ酸置換は、CH領域および/またはCL領域のリジン残基以外の位置にあり得る。提供された態様のいずれかにおいて、1個または複数個のアミノ酸置換は、CH領域および/またはCL領域の露出したリジン残基以外の位置にあり得る。いくつかの態様において、1個または複数個のアミノ酸置換には、全て、参照により本明細書に組み入れられる、US 6,737,056、US 7,183,387、US 7,632,497、US 7,741,072、US 7,960,512、US 8,217,147、US 8,388,955、US 8,445,645、US 8,652,466、US 8,697,071、US 8,735,547、US 8,753,628、およびUS 8,937,158に開示されたものが含まれ得る。
【0097】
いくつかの態様において、抗体は、バリアントFc領域を有するセツキシマブのバリアントまたは誘導体である。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、(例えば、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列および/またはSEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列を含む)セツキシマブのFc領域と比較して変動、例えば、アミノ酸残基置換を含む。いくつかの態様において、変動には、全て、参照により本明細書に組み入れられる、US 6,737,056、US 7,183,387、US 7,632,497、US 7,741,072、US 7,960,512、US 8,217,147、US 8,388,955、US 8,445,645、US 8,652,466、US 8,697,071、US 8,735,547、US 8,753,628、およびUS 8,937,158に開示されたものが含まれ得る。
【0098】
本明細書中の態様において、IR700などのフタロシアニン色素は、抗体上の個々の反応部位を介して、抗体とコンジュゲートされている。いくつかの態様において、反応部位は、抗体の軽鎖の1個または複数個のリジン残基である。いくつかの態様において、反応部位は、抗体の重鎖の1個または複数個のリジン残基である。いくつかの態様において、反応部位は、抗体の軽鎖の1個または複数個のリジン残基および抗体の重鎖の1個または複数個のリジン残基である。
【0099】
いくつかの態様において、少なくとも1個のIR700色素が、抗体の軽鎖の少なくとも1個のリジンとコンジュゲートされている。いくつかの態様において、少なくとも1個のIR700色素が、抗体の軽鎖の少なくとも1個のリジンとコンジュゲートされており、コンジュゲーション位置の残基は、定常領域のリジンである。いくつかの態様において、1個のIR700色素のみが、抗体の軽鎖のリジンとコンジュゲートされており、コンジュゲーション位置の残基は、定常領域のリジンである。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、(例えば、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列の位置番号付けに関して)IR700色素分子とコンジュゲートされた少なくとも1個のリジンをセツキシマブの軽鎖の145位(K145)に有する。
【0100】
いくつかの態様において、少なくとも1個のIR700色素が、抗体の重鎖のリジンとコンジュゲートされている。いくつかの態様において、少なくとも1個のIR700色素が、抗体の重鎖のリジンとコンジュゲートされており、コンジュゲーション位置の残基は、定常領域のリジンである。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、セツキシマブの重鎖の1個または複数個の特定の位置において修飾されている。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、(例えば、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列の位置番号付けに関して)IR700色素分子とコンジュゲートされた少なくとも1個のリジンをセツキシマブの重鎖のK215、K292、K336、K416、およびK449の1個または複数個の位置に有する。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、セツキシマブの重鎖の2個以上の特定の位置において修飾されており、IR700色素分子とコンジュゲートされた少なくとも1個のリジンを重鎖のK215、K292、K336、K416、およびK449の位置に有する。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、セツキシマブの重鎖の2個以上の特定の位置において修飾されており、IR700色素分子とコンジュゲートされた少なくとも2個のリジンを重鎖のK215、K292、K336、K416、およびK449の位置に有する。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、セツキシマブの重鎖の3個以上の特定の位置において修飾されており、IR700色素分子とコンジュゲートされた位置K215、K292、K336、K416、およびK449のうちの1個、2個、または3個を有する。
【0101】
III. コンジュゲートの組成物
提供されたコンジュゲート、例えば、セツキシマブ-IR700コンジュゲートのうちの1つまたは複数を含有する薬学的組成物などの組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物は、コンジュゲートの集団または複数のコンジュゲート、例えば、セツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団または複数のセツキシマブ-IR700コンジュゲートを含む。トリプシンなどのエンドプロテアーゼによって消化された時に、特定のリジン位置もしくは残基におけるIR700のコンジュゲーションなどの、ある種のペプチドおよび修飾の集団をもたらし、かつ/または液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)などの質量分析によって分析もしくは査定された時に、(例えば、ある種のペプチドおよび修飾の存在を示す)特定の質量スペクトルを示す、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを含有する組成物も提供される。セツキシマブ-IR700コンジュゲートを含む組成物のエンドプロテアーゼ、例えば、トリプシンによる消化から生成されたペプチドおよび修飾型ペプチド(例えば、IR700とコンジュゲートされたアミノ酸残基を含有するペプチド)を含有する分析組成物などの組成物も提供される。いくつかの局面において、そのような分析組成物は、LC/MSなどの質量分析によって分析または査定され得る。
【0102】
いくつかの態様において、集団内の抗体の1抗体当たりの色素分子の平均数は、2もしくは約2から、5もしくは約5、例えば、2もしくは約2から、4もしくは約4、例えば、約3もしくは3、または約2.5もしくは2.5であり得る。いくつかの態様において、集団内の抗体の1軽鎖当たりの色素分子の平均数は、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または約1、または0.2もしくは約0.2から、1.0もしくは約1.0、0.2もしくは約0.2から、0.6もしくは約0.6、または0.4もしくは約0.4から、0.5もしくは約0.5、または0.5もしくは約0.5から、1.0もしくは約1.0である。いくつかの態様において、集団内の抗体の1重鎖当たりの色素分子の平均数は、1もしくは約1、約2、または約3、または約4、または1もしくは約1から、2もしくは約2、または2もしくは約2から、3もしくは約3、または2もしくは約2から、4もしくは約4、または約2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、もしくは3.5である。
【0103】
本明細書において提供された態様のいずれかのいくつかにおいて、IR700によって修飾された、またはIR700とコンジュゲートされたリジン(K)残基または位置は、セツキシマブのアミノ酸位置番号に関するものである。本明細書において提供された態様のいずれかのいくつかにおいて、IR700によって修飾された、またはIR700とコンジュゲートされた重鎖リジン(K)残基または位置は、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列のアミノ酸位置番号に関するものである。例えば、重鎖のK215、K292、K336、K416、またはK449とは、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列の215位、292位、336位、416位、または449位のリジンをさし得る。本明細書において提供された態様のいずれかのいくつかにおいて、IR700によって修飾された、またはIR700とコンジュゲートされた軽鎖リジン(K)残基または位置は、SEQ ID NO:1に記載の軽鎖配列のアミノ酸位置番号に関するものである。例えば、軽鎖のK145とは、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列の145位のリジンをさし得る。
【0104】
いくつかの態様において、集団は、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを含み、コンジュゲートの実質的なパーセンテージが、IR700色素とコンジュゲートされた軽鎖のリジン残基を少なくとも1個有する。いくつかの態様において、集団内の抗体の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、もしくは少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または、50%超が、IR700色素とコンジュゲートされた軽鎖のリジン(K)残基を少なくとも1個有する。
【0105】
いくつかの態様において、集団は、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを含み、コンジュゲートの実質的なパーセンテージが、IR700色素とコンジュゲートされた軽鎖の位置K145を少なくとも有する。いくつかの態様において、集団内の全セツキシマブ抗体の少なくとも10%または約10%が、軽鎖の位置K145においてIR700とコンジュゲートされている。いくつかの態様において、集団内の全てのコンジュゲートされた抗体の少なくとも10%、15%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、もしくは少なくとも約10%、15%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、または、50%超が、(例えば、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列の位置番号付けに関して)軽鎖の位置K145にIR700を有する。
【0106】
いくつかの態様において、集団は、セツキシマブ抗体を含み、IR700とコンジュゲートされたセツキシマブ抗体の実質的なパーセンテージが、(例えば、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列の位置番号付けに関して)IR700色素分子とコンジュゲートされた重鎖の位置K215、K292、K336、K416、またはK449を少なくとも有する。いくつかの態様において、集団内の全セツキシマブ抗体の少なくとも10%、15%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、もしくは少なくとも約10%、15%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、または、50%超が、重鎖の位置K215、K292、K336、K416、またはK449のうちの少なくとも1個においてIR700とコンジュゲートされている。いくつかの態様において、集団内の全セツキシマブコンジュゲートの少なくとも55%、60%、65%、または70%が、重鎖の位置K215、K292、K336、K416、またはK449のうちの1個または複数個にIR700を有する。いくつかの態様において、集団内の全セツキシマブ抗体の少なくとも10%、15%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、もしくは少なくとも約10%、15%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、または、50%超が、重鎖とコンジュゲートされた少なくとも2個のIR700色素分子を有し、コンジュゲートされた位置のうちの1個または2個は、K215、K292、K336、K416、またはK449である。
【0107】
いくつかの態様において、組成物は、トリプシンなどのエンドプロテアーゼによって消化され得るセツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含み、消化された組成物は、その後、液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)によって分析され得る。いくつかの態様において、本明細書において提供された組成物のトリプシン消化は、表1に記載のアミノ酸(AA)、コンジュゲートされていないペプチドおよびIR700とコンジュゲートされたペプチドのモノアイソトピック質量([MH]+)を有するペプチドを含む、複数のペプチドを与える。
【0108】
【表1】
【0109】
いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団または複数のセツキシマブ-IR700コンジュゲートを含む組成物であって、組成物のトリプシン消化が、1個または複数個のIR700分子とコンジュゲートされているペプチドと、IR700分子とコンジュゲートされていないペプチド(コンジュゲートされていないペプチドまたは未修飾ペプチド)との混合物を含むペプチドを生成する、組成物が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、提供された組成物のトリプシン消化は、(例えば、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列の位置番号付けに関して)5位のリジン(K5)、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、および/またはK449のうちの1個または複数個とコンジュゲートされたIR700分子を含有するセツキシマブの重鎖のペプチドを含有する。いくつかの態様において、提供された組成物のトリプシン消化は、(例えば、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列の位置番号付けに関して)107位のリジン(K107)、K145、K188、K190、および/またはK207のうちの1個または複数個とコンジュゲートされたIR700分子を含有するセツキシマブの軽鎖のペプチドを含有する。
【0110】
いくつかの態様において、IR700分子とコンジュゲートされたペプチドは、(例えば、ポジティブイオンモードでの)質量分析によって検出される。いくつかの態様において、提供された組成物のトリプシン消化は、質量分析によって検出される修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドを生成する。
【0111】
液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)手法の後、保持時間の関数として記録された一連の質量スペクトルにおいて、選択された質量電荷比(m/z)値または一連の選択されたm/z値において観察されたシグナルの強度をプロットすることによって、抽出イオンクロマトグラム(EIC)を作出することができる。選択された値について積分によって決定されたEICの曲線下面積を、選択された成分の含量を計算するために使用することができる。(選択された質量電荷比(m/z)値を有する)選択されたペプチドについてのコンジュゲーションパーセントを決定するため、選択されたペプチドに相当する曲線下面積を、コンジュゲートされたペプチド配列およびコンジュゲートされたペプチドと同一の残基に相当するコンジュゲートされていないペプチド(未修飾型)についての曲線下面積の和で割り、100を掛ける[コンジュゲーションパーセント=コンジュゲートされたペプチドの面積/(コンジュゲートされたペプチドの面積+未修飾ペプチドの面積)100]。選択されたペプチドは、1価ペプチドであってもよいし、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上の電荷を有するペプチドなどの多価ペプチドであってもよい。
【0112】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K5において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の2%もしくは約2%から、5%もしくは約5%、または約3%から、5%もしくは約5%、例えば、約3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、または約5%である。いくつかの態様において、位置K5においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約3.8±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K5においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸1-38に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K5においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 1243.09の[MH4]4+ペプチドである。
【0113】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K75において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の2%もしくは約2%から、5%もしくは約5%、または3%もしくは約3%から、5%もしくは約5%、例えば、約3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、または約5%である。いくつかの態様において、位置K75においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約3.5±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K75においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸72-81に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K75においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 984.91の[MH2]2+ペプチドである。
【0114】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K215において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の8%もしくは約8%から、11%もしくは約11%、または9%もしくは約9%から、11%もしくは約11%、例えば、約9%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、または約11%である。いくつかの態様において、位置K215においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約10.0±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K215においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸213-216に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K215においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 643.76の[MH2]2+ペプチドである。
【0115】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K248において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の0.5%もしくは約0.5%から、2.5%もしくは約2.5%、例えば、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、または約2.5%である。いくつかの態様において、位置K248においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約1.7±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K248においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸225-250に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K248においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 1205.22の[MH3]3+ペプチドである。
【0116】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K292において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の8%もしくは約8%から、12%もしくは約12%、例えば、約8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、11.0%、11.1%、11.2%、11.3%、11.4%、11.5%、11.6%、11.7%、11.8%、11.9%、または約12%である。いくつかの態様において、位置K292においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約10.2±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K292においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸291-294に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K292においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 424.16の[MH3]3+ペプチドである。
【0117】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K328において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の0.2%もしくは約0.2%から、2.5%もしくは約2.5%、例えば、約0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、または約2.5%である。いくつかの態様において、位置K328においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約1.3±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K328においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸325-336に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K328においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 1018.47の[MH2]2+ペプチドである。
【0118】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K336において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の4.5%もしくは約4.5%から、7%もしくは約7%、例えば、約4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、または約7.0%である。いくつかの態様において、位置K336においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約5.9±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K336においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸329-340に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K336においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 1018.98の[MH2]2+ペプチドである。
【0119】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K416において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の9.5%もしくは約9.5%から、13%もしくは約13%、例えば、約9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、11.0%、11.1%、11.2%、11.3%、11.4%、11.5%、11.6%、11.7%、11.8%、11.9%、12.0%、12.1%、12.2%、12.3%、12.4%、12.5%、12.6%、12.7%、12.8%、12.9%、または約13.0%である。いくつかの態様において、位置K416においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約11.2±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K416においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸412-418に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K416においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 529.89の[MH3]3+ペプチドである。
【0120】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K449において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の6%もしくは約6%から、10%もしくは約10%、例えば、約6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、または約10.0%である。いくつかの態様において、位置K449においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約7.6±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K449においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸442-449に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ重鎖の位置K449においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 779.33の[MH2]2+ペプチドである。
【0121】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K107において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の2%もしくは約2%から、5%もしくは約5%、例えば、約2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、または約5.0%である。いくつかの態様において、位置K107においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約3.4±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K107においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:2のアミノ酸104-108に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ軽鎖の位置K107においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 714.34の[MH2]2+ペプチドである。
【0122】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K145において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の7%もしくは約7%から、11%もしくは約11%、例えば、約7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、または約11.0%である。いくつかの態様において、位置K145においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約9.3±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K145においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:2のアミノ酸143-149に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ軽鎖の位置K145においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 829.36の[MH2]2+ペプチドである。
【0123】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K188において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の0.5%もしくは約0.5%から、4%もしくは約4%、例えば、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、または約4.0%である。いくつかの態様において、位置K188においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約2.1±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K188においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:2のアミノ酸184-190に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ軽鎖の位置K188においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 415.67の[MH4]4+ペプチドである。
【0124】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K190において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の1.5%もしくは約1.5%から、5%もしくは約5%、例えば、約1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、または約5.0%である。いくつかの態様において、位置K190においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約3.5±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K190においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:2のアミノ酸189-207に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ軽鎖の位置K190においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 970.76の[MH3]3+ペプチドである。
【0125】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチドに相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークの積分面積(コンジュゲートされたペプチドのパーセント)は、対応する未修飾ペプチドのEICピークおよび位置K207において修飾されたペプチドに相当するEICピークの積分面積の和の0.5%もしくは約0.5%から、4%もしくは約4%、例えば、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、または約4.0%である。いくつかの態様において、位置K207においてコンジュゲートされたペプチドのパーセントは、約2.0±1%である。いくつかの態様において、コンジュゲートされたペプチドのパーセントを計算するために使用される、位置K207においてIR700とコンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドは、SEQ ID NO:2のアミノ酸191-211に相当する。いくつかの態様において、セツキシマブ軽鎖の位置K207においてIR700とコンジュゲートされたペプチドは、約m/z 1050.48の[MH3]3+ペプチドである。
【0126】
いくつかの態様において、提供された組成物のトリプシン消化は、(例えば、ポジティブイオンモードでの)質量分析によって検出される、IR700とコンジュゲートされた複数のペプチドの計算された画分(コンジュゲートされたペプチドの%)のパターンを生成し、組成物のペプチド質量フィンガープリントを生成する。
【0127】
いくつかの態様において、トリプシンによって消化され、LC/MSによって分析された組成物は、組成物中の検出されたIR700修飾型ペプチドの第1のセットの存在量(または検出の頻度)が、他の修飾型ペプチドの存在量または検出の頻度より大きく、第1のセットが、SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチド;SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチド;SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチド;およびSEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチドのうちの1つまたは複数を含む、ペプチドの集団を含有する。そのような態様のいくつかにおいて、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約7.5%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約8%、8.5%、または少なくとも9%である。いくつかの態様において、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約7.5%~20%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約7.5%、8%、8.5%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、11.0%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、18%、19%、または少なくとも20%である。
【0128】
いくつかの態様において、組成物中の検出されたIR700修飾型ペプチドの第2のセットの存在量(または検出の頻度)は、他の修飾型ペプチドの存在量または検出の頻度より高く(しかし、第1のセットよりは、存在量または検出の頻度が低く)、そのような第2のセットには、SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチド;およびSEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドのうちの1つまたは複数が含まれる。そのような態様のいくつかにおいて、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約4%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約4%、4.5%、または少なくとも5%であるが、修飾型ペプチドの第1のセットよりは、存在量または頻度が低い。いくつかの態様において、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約4%~9%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約4%、4.5%、5%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.5%、または9%である。
【0129】
いくつかの態様において、組成物中の検出されたIR700修飾型ペプチドの第3のセットの存在量(または検出の頻度)は、他の修飾型ペプチドの存在量または検出の頻度より高く(しかし、第1のセットおよび第2のセットよりは、存在量または検出の頻度が低く)、そのような第3のセットには、SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチド;SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチド;SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチド;およびSEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチドのうちの1つまたは複数が含まれる。そのような態様のいくつかにおいて、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約2%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約2.5%、2.7%、または少なくとも3%であるが、修飾型ペプチドの第1のセットおよび第2のセットよりは存在量または頻度が低い。いくつかの態様において、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約2.5%~5.5%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約2.5%、2.7%、3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、または5.5%である。
【0130】
いくつかの態様において、組成物中の検出されたIR700修飾型ペプチドの第4のセットの存在量(または検出の頻度)は、他の修飾型ペプチドの存在量または検出の頻度より高く(しかし、第1のセット、第2のセット、および第3のセットよりは、存在量または検出の頻度が低く)、そのような第4のセットには、SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチド;SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの重鎖のペプチド;SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチド;およびSEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むセツキシマブの軽鎖のペプチドのうちの1つまたは複数が含まれる。そのような態様のいくつかにおいて、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約0.5%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約1%、1.1%、または少なくとも1.2%であるが、修飾型ペプチドの第1のセット、第2のセット、および第3のセットよりは、存在量または頻度が低い。いくつかの態様において、IR700コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約0.5%~3%、例えば、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の約0.5%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、または3%である。
【0131】
いくつかの態様において、本明細書において提供された、トリプシンによって消化され、LC/MSによって分析された組成物は、
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ペプチドおよび未修飾ペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積のおよそ少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約4.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約7%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約1%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約2.5%である、ペプチド;ならびに
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも約1%である、ペプチド、を含有する。
【0132】
いくつかの態様において、SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.8±1%であり;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.5±1%であり;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約10.0±1%であり;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約1.7±1%であり;
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約10.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約1.3±1%であり;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約5.9±1%であり;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約11.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約7.6±1%であり;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.4±1%であり;
SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約9.3±1%であり;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約2.1±1%であり;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約3.5±1%であり;かつ
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントは、約2±1%である。
【0133】
いくつかの態様において、面積パーセントは、
SEQ ID NO:1のアミノ酸1-38、アミノ酸72-81、アミノ酸213-216、アミノ酸225-250、アミノ酸291-294、アミノ酸325-336、アミノ酸329-340、アミノ酸412-418、およびアミノ酸442-449に相当するアミノ酸の配列;ならびに
SEQ ID NO:2のアミノ酸104-108、アミノ酸143-149、アミノ酸184-190、アミノ酸189-207、およびアミノ酸191-211に相当するアミノ酸の配列
を有するペプチドを使用して計算される。
【0134】
いくつかの態様において、IR700分子とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、組成物が質量分析によって分析される時に、
軽鎖リジン145(K145)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン215(K215)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
軽鎖リジン145(K145)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン292(K292)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
軽鎖リジン145(K145)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン336(K336)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
軽鎖リジン145(K145)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン416(K416)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
軽鎖リジン145(K145)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン449(K449)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0135】
いくつかの態様において、セツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、組成物が質量分析によって分析される時に、
重鎖リジン215(K215)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン292(K292)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
重鎖リジン215(K215)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン336(K336)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
重鎖リジン215(K215)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン416(K416)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
重鎖リジン215(K215)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン449(K449)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0136】
いくつかの態様において、セツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、組成物が質量分析によって分析される時に、
重鎖リジン292(K292)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン336(K336)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
重鎖リジン292(K292)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン416(K416)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
重鎖リジン292(K292)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン449(K449)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0137】
いくつかの態様において、セツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、組成物が質量分析によって分析される時に、
重鎖リジン336(K336)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン416(K416)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
重鎖リジン336(K336)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン449(K449)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物
が、本明細書において提供される。
【0138】
いくつかの態様において、セツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、組成物が質量分析によって分析される時に、重鎖リジン416(K416)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン449(K449)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、組成物が、本明細書において提供される。
【0139】
いくつかの態様において、セツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、組成物が質量分析によって分析される時に、軽鎖リジン145(K145)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと重鎖リジン215(K215)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと重鎖リジン292(K292)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン416(K416)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が約1:1:1:1である、組成物が、本明細書において提供される。
【0140】
いくつかの態様において、リジン145がIR700色素とコンジュゲートされているSEQ ID NO:1を含む組成物が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、組成物は、SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、およびリジン416、ならびに、任意で、SEQ ID NO:2のリジン449がIR700色素と各々コンジュゲートされているSEQ ID NO:2をさらに含む。
【0141】
いくつかの態様において、少なくとも1個のIR700色素が抗体の軽鎖のリジンとコンジュゲートされている、IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブを含むコンジュゲートが、本明細書において提供される。いくつかの局面において、IR700色素は、セツキシマブの軽鎖の145位のリジンにおいてコンジュゲートされている。
【0142】
いくつかの態様において、少なくとも1個のIR700色素が抗体の重鎖のリジンとコンジュゲートされている、IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブを含むコンジュゲートが、本明細書において提供される。いくつかの局面において、IR700色素分子は、K215、K292、K416、およびK449からなる群より選択される重鎖のリジン残基においてコンジュゲートされている。
【0143】
提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブは、重鎖の2個以上のリジン残基においてコンジュゲートされたIR700色素を含み得る。いくつかの局面において、セツキシマブは、重鎖の3個のリジン残基においてコンジュゲートされたIR700色素を含む。
【0144】
提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブは、リジン残基145においてセツキシマブの軽鎖とコンジュゲートされたIR700色素を有し得る。
【0145】
提供された態様のいずれかにおいて、コンジュゲートは、約600nm~850nmの波長での照射によって活性化され得、それによって、細胞死滅活性を獲得する。いくつかの局面において、波長は、690nm±50nmである。
【0146】
いくつかの態様において、集団の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、セツキシマブの軽鎖のリジンとコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700色素を有する、IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブの集団を含む組成物が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、軽鎖のコンジュゲートされている主なリジン残基は、K145である。
【0147】
いくつかの態様において、集団の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、セツキシマブの重鎖のリジンとコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700色素を有する、IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブの集団を含む組成物が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、重鎖のコンジュゲートされている主なリジン残基は、K215、K292、K416、およびK449のうちの1個または複数個である。
【0148】
提供された態様のいずれかにおいて、セツキシマブ分子の集団の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、セツキシマブの重鎖の2個以上のリジンとコンジュゲートされたIR700色素を有し得る。
【0149】
いくつかの態様において、集団の約20%以下が、コンジュゲートされていない抗体である、IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブの集団を含む組成物が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、集団の10%未満が、コンジュゲートされていない抗体である。いくつかの局面において、集団の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満が、コンジュゲートされていない抗体である。
【0150】
提供された態様のいずれかにおいて、集団内の色素とセツキシマブとの比は、約2:1、約2.5:1、または約3:1であり得る。
【0151】
いくつかの態様において、0.6%、0.5%、0.4%、もしくは0.3%未満、または約0.6%、0.5%、0.4%、もしくは0.3%未満の遊離色素(例えば、コンジュゲートされていないIR700色素)を含む、IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブを含む組成物が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、組成物は、少なくとも95%、96%、97%、もしくは98%、または少なくとも約95%、96%、97%、もしくは98%の、単量体を含む。いくつかの局面において、組成物は、5%、4%、もしくは3%未満、または約5%、4%、もしくは3%未満の、高分子量種を含む。いくつかの局面において、組成物は、30%、20%、25%、20%、15%、もしくは10%未満、または約30%、20%、25%、20%、15%、もしくは10%未満の、コンジュゲートされていない抗体を含む。いくつかの局面において、遊離色素(例えば、コンジュゲートされていないIR700色素)のパーセンテージは、暗条件または減光条件での組成物の6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変である。
【0152】
提供された態様のいずれかにおいて、集団の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、抗体の軽鎖のリジンとコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700色素を有し得る。いくつかの局面において、軽鎖のコンジュゲートされている主なリジン残基は、K145である。
【0153】
提供された態様のいずれかにおいて、集団の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、抗体の重鎖のリジンとコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700色素を有し得る。いくつかの局面において、重鎖のコンジュゲートされている主なリジン残基は、K215、K292、K416、およびK449のうちの1個または複数個である。
【0154】
IV. セツキシマブ-IR700コンジュゲートの製造方法
軽鎖および/または重鎖の1個または複数個の特定のリジン残基または位置にIR700色素を有するセツキシマブ-IR700コンジュゲートならびにセツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含む、本明細書において提供されたコンジュゲートおよび/または組成物の作製、製造、または生成の方法も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、特定の色素と抗体との比が達成されるような条件を提供する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、コンジュゲートを含む組成物の消化および分析の後に、ペプチドおよび修飾型ペプチドの特定の型および/もしくは相対比率ならびに/または(例えば、LC/MSによって査定される)質量スペクトルが達成されるような条件を提供する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、組成物中のIR700色素分子の実質的な大多数が、セツキシマブ内のリジンと共有結合でコンジュゲートされているよう、リジン位置以外の位置においてセツキシマブと会合した色素の量が実質的に低下するような条件を提供する工程を含む。
【0155】
いくつかの態様において、安定的であり、一貫しているセツキシマブ-IR700コンジュゲート、およびセツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含む組成物が提供される。コンジュゲートに関して、「一貫している」という用語は、コンジュゲーション過程の後に、コンジュゲートのDAR(色素抗体比)および組成物中の遊離色素の量が、経時的に実質的に同一であり続ける、コンジュゲートまたはコンジュゲートの集団の組成物をさす。いくつかの過程において、IR700色素は、例えば、チオールエステルおよびチロシンエステルを通して、リジン以外の位置において抗体と会合し得る。これらの非リジンコンジュゲーション位置は不安定であり、経時的に、IR700色素が解離し、組成物中へ放出されるため、組成物は経時的に一貫しない。
【0156】
一貫しているセツキシマブ-IR700コンジュゲートおよびセツキシマブ-IR700コンジュゲートの一貫している集団を製造する方法が、本明細書において提供される。本明細書に記載された製造工程のいくつかまたは全てにおいて、反応成分および反応工程は、色素および/またはコンジュゲートが、環境光に曝されないか、または700ルクス超、600ルクス超、500ルクス超、400ルクス超、300ルクス超、200ルクス超、もしくは100ルクス超の強度を有する光に曝されないよう、遮光条件で実施される。製造のいくつかの態様において、色素およびコンジュゲートは、10分超または5分超、700ルクス超の強度を有する光に曝されない。製造のいくつかの態様において、色素およびコンジュゲートは、10分超または5分超、200ルクス超の強度を有する光に曝されない。例えば、WO2017/031363として公開されたPCT/US2016/047636を参照すること。
【0157】
いくつかの態様において、コンジュゲート製造方法は、コンジュゲートを調製または作製する工程を含む。いくつかの態様において、そのような方法は、フタロシアニン色素を提供する工程を含む。いくつかの態様において、フタロシアニン色素は、水性溶液などの水性形態で提供される。いくつかの態様において、色素は、凍結乾燥粉末などの凍結乾燥形態で提供され、水性溶液が形成されるよう、溶媒で再生されるか、または溶媒に溶解させられる。例えば、いくつかの態様において、反応基を含有するフタロシアニン色素、例えば、IR700 NHSエステルが、溶媒に溶解させられる。いくつかの態様において、方法は、例えば、色素と抗体とのコンジュゲーションの前に、フタロシアニン色素を溶媒に溶解させる工程を含む。いくつかの態様において、溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはDMFなどの有機溶媒である。いくつかの例において、溶媒は、水ベースの溶媒である。いくつかの態様において、色素は、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、100mg/mLもしくは約100mg/mL、1mg/mLもしくは約1mg/mLから、50mg/mLもしくは約50mg/mL、1mg/mLもしくは約1mg/mLから、15mg/mLもしくは約15mg/mLの範囲の濃度で溶媒に溶解させられるか、または10mg/mLもしくは約10mg/mLの濃度で溶媒に溶解させられる。いくつかの態様において、方法において使用するための色素を準備する工程において、IR700 NHSエステルなどのフタロシアニン色素は、白色光に曝されないよう保護される。
【0158】
いくつかの態様において、コンジュゲートを調製または作製する工程は、IR700などのフタロシアニン色素とのコンジュゲーションのためのセツキシマブなどの抗体の提供を含む。いくつかの態様において、抗体は、フタロシアニン色素とのコンジュゲーションの前に準備される。いくつかの態様において、抗体の準備は、コンジュゲーション反応前の、特定の量または濃度への抗体の濃縮または希釈を含む。いくつかの態様において、抗体の準備は、コンジュゲーション反応と適合性であるか、またはコンジュゲーション反応のために適当である緩衝液などの緩衝液への抗体の交換を含む。いくつかの態様において、抗体の準備は、コンジュゲーション反応において使用するために適当なpHへのpHの調整を含む。例えば、抗体は、6~10、または約6~10、例えば、8~9、または約8~9、例えば、約8.5、例えば、8.46のpHで準備される。
【0159】
いくつかの態様において、抗体は、例えば、限外濾過/透析濾過を使用して、例えば、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)を使用して、ある緩衝液へ緩衝液交換される。いくつかの態様において、TFFは、再生セルロースメンブレンなどの再生メンブレンを含む。いくつかの態様において、抗体が交換される緩衝液は、例えば、8.5または8.65のpHを有する、100mMリン酸ナトリウムなどのリン酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの態様において、タンジェンシャルフローフィルトレーションは、濾液の所望のpHに達するまで実施される。いくつかの態様において、所望のpHは、6~10、または約6~10、例えば、8~9、または約8~9、例えば、約8.5、例えば、8.46である。
【0160】
いくつかの態様において、抗体は、0.01gもしくは約0.01gから、100gもしくは約100g、1gもしくは約1gから、50gもしくは約50g、1gもしくは約1gから、25gもしくは約25g、5gもしくは約5gから、15gもしくは約15gであるか、または12gもしくは約12gである量で提供される。いくつかの態様において、抗体調製物の体積は、0.01Lもしくは約0.01Lから、100Lもしくは約100L、1Lもしくは約1Lから、50Lもしくは約50L、約1Lから、15Lもしくは約15Lであるか、または6Lもしくは約6Lである。いくつかの態様において、抗体の濃度は、0.01mg/mL未満もしくは約0.01mg/mL未満であるか、または0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、100.0mg/mLもしくは約100.0mg/mL、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、50mg/mLもしくは約50mg/mL、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、10mg/mLもしくは約10mg/mL、または1mg/mLもしくは約1mg/mLから、5mg/mLもしくは約5mg/mLであるか、または5mg/mLもしくは約5mg/mLであるか、または4.5mg/mLもしくは約4.5mg/mLであるか、または2mg/mLもしくは約2mg/mLであるか、10mg/mLもしくは約10mg/mLである。いくつかの態様において、抗体は、例えば、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、100.0mg/mLもしくは約100.0mg/mL、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、50mg/mLもしくは約50mg/mL、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、10mg/mLもしくは約10mg/mL、1mg/mLもしくは約1mg/mLから、5mg/mLもしくは約5mg/mL、または1.8mg/mLもしくは約1.8mg/mLから、2.4mg/mLもしくは約2.4mg/mLの濃度に希釈されるか、または2mg/mLもしくは約2mg/mL、約5mg/mL、もしくは約10mg/mLの濃度に希釈される。
【0161】
いくつかの態様において、抗体は、0.2μmフィルターまたは0.22μmフィルターなどの滅菌フィルターで濾過される。いくつかの態様において、準備された抗体は、例えば、30℃未満、例えば、一般的には、26℃、20℃、15℃、10℃未満、例えば、一般的には、2℃または約2℃から、8℃または約8℃の温度で保管される。いくつかの態様において、抗体の量が決定される。
【0162】
いくつかの態様において、コンジュゲート製造方法は、抗体をIR700などのフタロシアニン色素と接触させる工程を含む。いくつかの態様において、フタロシアニン色素および抗体を、反応槽などの容器において共に混合する。いくつかの態様において、接触工程は、容器または反応槽などの槽において実施される。いくつかの態様において、槽は、チューブ、ボトル、またはカーボイである。いくつかの態様において、槽は、約1L、2L、5L、10L、15L、20L、30L、40L、50L、もしくは100L、または少なくとも1L、2L、5L、10L、15L、20L、30L、40L、50L、もしくは100Lの最大容積を有する。いくつかの態様において、槽は、40Lカーボイである。いくつかの態様において、槽は、約100μL、500μL、1mL、1.5mL、5mL、15mL、50mL、250mL、もしくは500mL、または少なくとも100μL、500μL、1mL、1.5mL、5mL、15mL、50mL、250mL、もしくは500mLの最大容積を有する。いくつかの態様において、容器または槽は、半透明もしくは不透明であり、緑色もしくは琥珀色であり、かつ/またはアルミ箔などの不透明体で覆われ、例えば、包まれている。
【0163】
いくつかの態様において、抗体を接触させるために使用される色素の量は、容器または槽に存在する抗体の量に基づき計算される。例えば、いくつかの態様において、最終的な色素と抗体との比が、1:1もしくは約1:1から、1000:1もしくは約1000:1、1:1もしくは約1:1から、100:1もしくは約100:1、1:1もしくは約1:1から、10:1もしくは約10:1、1:1もしくは約1:1から、4:1もしくは約4:1、または約4:1もしくは4:1になるような量の色素が添加される。
【0164】
いくつかの態様において、色素と抗体との比は、1抗体当たりの所望の数の色素残基が組み入れられるよう選択される。いくつかの態様において、1抗体当たりの色素残基の所望の数は、1~5もしくは約1~5、2~5もしくは約2~5、2~3もしくは約2~3、または約3もしくは3である。
【0165】
いくつかの態様において、色素および抗体は、調節された温度で接触させられるか、またはインキュベーターもしくは冷蔵庫などの、調節された温度を有するユニットにおいて接触させられる。いくつかの態様において、方法は、4℃もしくは約4℃から、37℃もしくは約37℃、例えば、10℃もしくは約10℃から、30℃もしくは約30℃、20℃もしくは約20℃から、30℃もしくは約30℃、または23℃もしくは約23℃から、27℃もしくは約27℃の範囲、または約25℃+2.0℃、25℃+1.0℃、または25℃+0.3℃、例えば、25℃もしくは約25℃の温度で、フタロシアニン色素(例えば、IR700)と抗体とを接触させる工程を含む。いくつかの態様において、接触工程は、室温、例えば、21℃~25℃、例えば、約23℃で実施される。
【0166】
いくつかの態様において、接触させる工程は、色素と抗体とのインキュベーション、例えば、反応を含む。いくつかの態様において、接触は、反応槽において実施され得る。いくつかの態様において、接触は、接触の少なくとも一部分について、組み合わせられた色素および抗体組成物の、例えば、攪拌による、混合を含む。いくつかの態様において、内容物は、例えば、攪拌プレートにおいて、攪拌される。いくつかの態様において、内容物は、約5~30分または少なくとも5~30分、例えば、約5~20分、例えば、約10~15分、攪拌される。
【0167】
いくつかの態様において、接触させる工程は、少なくとも5分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも60分、少なくとも90分、少なくとも120分、少なくとも240分、少なくとも360分、少なくとも24時間、少なくとも72時間、または少なくとも120時間、実施される。いくつかの態様において、接触させる工程は、5分~150時間、5分~100時間、5分~48時間、5分~24時間、5分~6時間、5分~2時間、5分~90分、5分~60分、5分~30分、30分~150時間、30分~100時間、30分~48時間、30分~24時間、30分~6時間、30分~2時間、30分~90分、30分~60分、60分~150時間、60分~100時間、60分~48時間、60分~24時間、60分~6時間、60分~2時間、60分~90分、90分~150時間、90分~100時間、90分~48時間、90分~24時間、90分~6時間、90分~2時間、2時間~150時間、2時間~100時間、2時間~48時間、2時間~24時間、2時間~6時間、6時間~150時間、6時間~100時間、6時間~48時間、6時間~24時間、24時間~150時間、24時間~100時間、24時間~48時間、48時間~150時間、48時間~100時間、または100時間~150時間、実施される。いくつかの態様において、接触は、5分~6時間、例えば、5分~4時間、5分~2時間、5分~60分、5分~30分、例えば、約5分~20分、例えば、約10分~15分、実施される。いくつかの態様において、方法は、フタロシアニン色素(例えば、IR700)と抗体(例えば、抗体)とを、少なくとも15分もしくは約15分、少なくとも30分もしくは約30分、少なくとも60分もしくは約60分、少なくとも90分もしくは約90分、少なくとも120分もしくは約120分、または少なくとも150分もしくは約150分インキュベートすることによって接触させる工程を含む。いくつかの態様において、方法は、90~150分または約90~150分、例えば、120分、色素と抗体とを接触させる工程、例えば、反応させる工程を含む。
【0168】
いくつかの態様において、色素および抗体は、DMSOまたはDMFなどの有機溶媒を含んでいてもよい水性緩衝液において混合される。いくつかの態様において、溶媒は、水ベースの溶媒である。いくつかの態様において、緩衝液のpHは、6~10もしくは約6~10、例えば、7~10もしくは約7~10、8~10もしくは約8~10、または8~9もしくは約8~9である。
【0169】
いくつかの態様において、接触させる工程の後に、反応は、例えば、グリシンなどのクエンチング剤を添加することによってクエンチングされる。「クエンチング」という用語は、例えば、色素と抗体との間の反応を止めるため、未反応の反応基を過剰の非特異的な(クエンチャーとも呼ばれる)クエンチング剤と反応させる過程をさす。使用される具体的な薬剤またはクエンチャーは、色素に関連した具体的な反応基に依存する。例えば、NHS-エステル架橋反応は、トリスまたはグリシンを含有する緩衝液などの、アミンを含有する緩衝液の存在下でクエンチングされ得る。
【0170】
いくつかの態様において、クエンチング工程は、未反応の色素を除去する。いくつかの態様において、クエンチング工程は、抗体の非リジン位置と反応して、例えば、チオールエステルまたはチロシンエステルを形成した色素を除去する。いくつかの態様において、クエンチング工程は、抗体と反応した色素の実質的に全てが、抗体の1個または複数個のリジン位置にあるよう実施される。
【0171】
いくつかの態様において、添加されるクエンチング剤の量は、少なくとも200mMもしくは約200mM、少なくとも500mMもしくは約500mM、少なくとも1Mもしくは約1M、少なくとも2Mもしくは約2M、少なくとも5Mもしくは約5M、または少なくとも10Mもしくは約10Mである。いくつかの態様において、クエンチング反応は、1Mグリシンの添加を含む。いくつかの態様において、コンジュゲーション反応に添加された後のクエンチング試薬の最終濃度は、少なくとも1mMもしくは約1mM、少なくとも2mMもしくは約2mM、少なくとも3mMもしくは約3mM、少なくとも4mMもしくは約4mM、少なくとも5mMもしくは約5mM、または少なくとも10mMもしくは約10mMである。いくつかの態様において、グリシンなどのクエンチング試薬の最終濃度は、4.2nMまたは約4.2nMである。いくつかの態様において、クエンチング工程のpHは、6~10もしくは約6~10、例えば、7~10もしくは約7~10、例えば、8~10もしくは約8~10、または8~9もしくは約8~9である。いくつかの態様において、クエンチング工程のpHは、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、もしくは9.0、または約8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、もしくは9.0である。
【0172】
いくつかの態様において、クエンチング工程において、反応槽の内容物は、例えば、攪拌プレート上で、混合され、例えば、攪拌される。いくつかの態様において、反応槽の内容物は、100rpm~1000rpmもしくは約100rpm~1000rpm、200rpm~500rpmもしくは約200rpm~500rpmで攪拌されるか、または300+50rpmもしくは300rpmで攪拌される。いくつかの態様において、クエンチング反応は、少なくとも5分、もしくは約5分、少なくとも10分、もしくは約10分、または少なくとも15分、もしくは約15分、混合される。いくつかの態様において、クエンチング反応は、約10~12分、混合される。
【0173】
いくつかの態様において、クエンチング反応の混合の後に、反応槽などの容器は、例えば、インキュベーターにおいて、調節された温度に戻される。いくつかの態様において、槽の内容物は、例えば、21℃または約21℃から、30℃または約30℃、例えば、23℃または約23℃から、27℃または約27℃、例えば、25℃または約25℃でインキュベートされる。いくつかの態様において、クエンチング工程の、クエンチング試薬を反応槽の内容物と混合した後の付加的なインキュベーションなどのインキュベーションは、少なくとも30分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、12~15時間、12~16時間、15~20時間、12~24時間、または約30分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、12~15時間、12~16時間、15~20時間、12~24時間、約20時間、または約24時間、実施される。いくつかの態様において、インキュベーションは、12時間もしくは約12時間または一晩、実施される。
【0174】
いくつかの態様において、
(a)K145(軽鎖)、K215(重鎖)、K292(重鎖)、K416(重鎖)、およびK449(重鎖)からなる群より選択されるセツキシマブの1個または複数個のリジンにおいてコンジュゲートされたIR700色素を含むコンジュゲートが作製される条件下で、セツキシマブをIR700色素と接触させる工程;
(b)コンジュゲーション中および/またはコンジュゲーション後に、セツキシマブと非特異的に会合したIR700色素を実質的に低下させるステップにコンジュゲートを供する工程;
(c)薬学的に許容される緩衝液中でコンジュゲートを製剤化する工程
を含む、安定的なコンジュゲートを製造する方法であって、
工程(a)~(c)の各々において、色素およびコンジュゲートが曝される唯一の光が、約400nm~約650nmの範囲の波長を有するか、または500ルクス未満の強度を有する、方法
が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、工程(b)は、約8.4のpHでIR700色素とセツキシマブとの間のコンジュゲーション反応を実施することを含む。いくつかの局面において、工程(b)は、IR700色素とセツキシマブとの間のコンジュゲーション反応の完了後に、約8.4のpHでのグリシンクエンチング反応にコンジュゲートを供することを含む。いくつかの局面において、クエンチング反応は、一晩または約6時間超の期間、実施される。
【0175】
いくつかの態様において、本明細書において提供された製造方法は、原薬を作製するため、コンジュゲートが製剤化されるか、精製されるか、または単離される工程を含む。いくつかの態様において、コンジュゲートは、0.1もしくは約0.1mg/mLから、1000もしくは約1000mg/mL、0.1mg/mL~約500mg/mL、0.1mg/mL~約200mg/mL、0.1mg/mL~約100mg/mL、0.1mg/mL~約50mg/mL、0.1mg/mL~約10mg/mL、0.5mg/mL~約10mg/mL、または0.5mg/mL~約5mg/mLの範囲の濃度に製剤化される。
【0176】
いくつかの態様において、コンジュゲートを製剤化する方法は、コンジュゲートを濃縮もしくは希釈する工程、コンジュゲートを薬学的に許容される緩衝液へ交換する工程、または滅菌加工する工程を含み得る。
【0177】
いくつかの態様において、製剤化する工程は、コンジュゲートの濃縮を含む。いくつかの態様において、濃縮する工程は、コンジュゲートの体積の低下を含む。いくつかの態様において、体積低下は、限外濾過/透析濾過系を使用して達成される。いくつかの態様において、コンジュゲートの体積は、10L、15L、20L、25L、30L、40L、もしくは50L、または約10L、15L、20L、25L、30L、40L、もしくは50Lから、5L、8L、9L、10L、12L、もしくは15L、または約5L、8L、9L、10L、12L、もしくは15Lへ低下させられる。いくつかの態様において、濃縮後の最終体積は、8L~10Lまたは約8L~10Lである。いくつかの態様において、コンジュゲートは、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、約1000mg/mL、0.1mg/mL~約500mg/mL、0.1mg/mL~約200mg/mL、0.1mg/mL~約100mg/mL、0.1mg/mL~約50mg/mL、0.1mg/mL~約10mg/mL、0.5mg/mL~約10mg/mL、0.5mg/mL~約5mg/mL、または1.8mg/mL~約2.1mg/mLの範囲の濃度に濃縮される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、2.0mg/mLもしくは約2.0mg/mL、約5.0mg/mL、または約10mg/mLに濃縮される。
【0178】
いくつかの態様において、製剤化する工程は、コンジュゲートを希釈することを含む。いくつかの態様において、コンジュゲートの希釈は、コンジュゲートを含む緩衝液の体積を、5L、10L、15L、20L、30L、40L、もしくは50L、または約5L、10L、15L、20L、30L、40L、もしくは50Lから、20L、30L、40L、50L、もしくは75L、または約20L、30L、40L、50L、もしくは75Lへ増加させることを含む。いくつかの態様において、コンジュゲートは、0.1mg/mLもしくは約0.1mg/mLから、約1000mg/mL、0.1mg/mL~約500mg/mL、0.1mg/mL~約200mg/mL、0.1mg/mL~約100mg/mL、0.1mg/mL~約50mg/mL、0.1mg/mL~約10mg/mL、0.5mg/mL~約10mg/mL、または0.5mg/mL~約5mg/mLの範囲の濃度に希釈される。
【0179】
いくつかの態様において、製剤化する工程は、コンジュゲートを精製することを含む。いくつかの態様において、コンジュゲートは、SEPHADEX G-50カラムなどの装置を使用したゲル浸透クロマトグラフィによって、またはコンジュゲートされていない色素を除去するための透析によって、精製される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、例えば、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)を使用することによって、限外濾過または透析濾過される。いくつかの態様において、限外濾過/透析濾過は、コンジュゲートが環境光に曝されることを回避するため、暗条件または遮光条件で実施される。
【0180】
いくつかの態様において、製剤化する工程は、(IR700-抗体コンジュゲートなどの)フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートを反応緩衝液から薬学的に許容される緩衝液へ交換することを含む。いくつかの態様において、緩衝液交換は、限外濾過/透析濾過によって実施され得る。
【0181】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、薬学的に許容される担体または媒体を含有するものなどの、薬学的に許容される緩衝液中で製剤化される。一般的に、薬学的に許容される緩衝液に存在するものなどの、薬学的に許容される担体または媒体は、当技術分野において公知の任意のものであり得る。Remington's Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,19th Edition(1995)は、1つまたは複数の治療用化合物の薬学的送達のために適当な組成物および製剤を記載している。コンジュゲートを含有する組成物は、経口投与のため、溶液、懸濁液、錠剤、分散錠、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤、もしくはエリキシルなどの適当な薬学的調製物に製剤化されてもよいし、経皮パッチ調製物および乾燥粉末吸入器に製剤化されてもよい。典型的には、化合物を含有する組成物は、当技術分野において周知の技術および手法を使用して、薬学的組成物に製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Fourth Edition,1985,126を参照すること)。一般的に、製剤化のモードは、投与ルートによって変わる。フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートを含む薬学的組成物は、例えば、WO2019/035053として公開されたPCT/US2019/035053に記載されたように、製剤化され得る。
【0182】
いくつかの態様において、組成物のpHは、6~10、または約6~10、例えば、6~8、または約6~8、6.9~7.3、または約6.9~7.3、例えば、約pH 7.1である。いくつかの態様において、薬学的に許容される緩衝液のpHは、少なくとも5もしくは約5、少なくとも6もしくは約6、少なくとも7もしくは約7、少なくとも8もしくは約8、少なくとも9もしくは約9、または少なくとも10もしくは約10であるか、または7.1である。
【0183】
いくつかの態様において、安定的なセツキシマブ-IR700コンジュゲートなどの色素コンジュゲートが提供される。いくつかの態様において、提供された方法の実施によって、コンジュゲートの純度、不純物、完全性、組成、および効力は、臨床的または商業的な使用を支持するための製造目的のための許容される仕様より大きく変化しない。態様において、コンジュゲートは、例えば、色素の加工、製造、または保管の後に、安定的であり、最小の凝集を示し、効力および活性を保持する。いくつかの態様において、色素コンジュゲートは、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月超、例えば、一般的には、6ヶ月超、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月超、またはそれ以上、安定的である。いくつかの態様において、そのような安定性は、30℃未満の温度、例えば、一般的には、2~8℃の温度で、その時間、保管された時に存在する。
【0184】
セツキシマブ-IR700コンジュゲートなどの色素コンジュゲートに関して、「安定的」という用語は、必要な時間より長い、例えば、3ヵ月超、例えば、6ヶ月、12ヶ月、もしくは24ヶ月超、または約6ヶ月、12ヶ月、もしくは24ヶ月超の保管の後に、試料中に存在するコンジュゲートの総分子量のパーセンテージとして、コンジュゲートの90%超もしくは約90%超が、主要な単量体成分として存在し、試料中に存在するコンジュゲートの総分子量のパーセンテージとして、コンジュゲートの10.0%以下が、高分子量成分として存在するか、またはコンジュゲートが、必要な時間の保管の前(例えば、t=0)のコンジュゲートと比較して、その完全性、例えば、物理的品質および機能的品質、例えば、純度(例えば、単量体の含量および高分子量成分などの凝集物の含量のパーセント)、同一性(例えば、構造的特徴などの化学組成)、効力(例えば、薬理学的応答を生じるために必要とされる濃度もしくは量)、もしくは活性(例えば、PIT死滅)の少なくとも20%~100%を保持する、コンジュゲートをさす。いくつかの態様において、純度、同一性、効力、または活性の少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%が保持される。
【0185】
前記態様のいずれかの方法によって製造されたコンジュゲートの安定的な組成物も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物は、安定的なコンジュゲートが質量分析によって分析される時に、(例えば、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列および/またはSEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列の位置番号付けに関して)軽鎖リジン145(K145)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン215(K215)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン292(K292)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドと、重鎖リジン416(K416)にIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドとの比が、約1:1:1:1である、IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む。
【0186】
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置292(K292)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
【0187】
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
【0188】
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
【0189】
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
【0190】
いくつかの態様において、コンジュゲートの安定的な組成物において、セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置416(K416)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比は、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である。
【0191】
いくつかの態様において、一貫している色素コンジュゲート組成物が提供される。色素コンジュゲート組成物に関して、「一貫している」という用語は、クエンチング工程後に、組成物中に低い遊離色素を有するか、または遊離色素を実質的に有しておらず、経時的に遊離色素が組成物中に実質的に放出されない組成物をさす。例えば、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の遊離色素が、クエンチング工程後に、組成物中に存在し、組成物中の遊離色素の量が、組成物の保管中に、例えば、約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、または少なくとも1年、2年、または2年超の保管中に増加しない。
【0192】
コンジュゲートの組成物の製造に関して、「一貫している」という用語は、異なる製造バッチ間の、IR700などのフタロシアニン色素とコンジュゲートされた軽鎖および/または重鎖の特定の位置の実質的な均一性をさす。例えば、セツキシマブ-IR700コンジュゲートの本明細書に記載された組成物の製造において、色素とコンジュゲートされている主なリジン位置および各リジン位置におけるコンジュゲーションの釣り合いは、製造バッチ間で比較的一定である。
【0193】
V. 処置の方法
本明細書に記載されたIR700-セツキシマブコンジュゲートなどのフタロシアニン色素-抗体コンジュゲートを含有する薬学的組成物などの提供された組成物は、光免疫治療(PIT)法などの治療方法または処置計画において使用され得る。光免疫治療は、ターゲティング分子、例えば、腫瘍細胞上の細胞表面タンパク質、上皮増殖因子受容体(EGFR;ErbB-1;HER1;EGF受容体)を標的とするセツキシマブとコンジュゲートされたIR700フタロシアニン色素に基づく、標的特異的光増感剤を利用する分子標的治療である。提供されたコンジュゲートおよび薬学的組成物などの組成物の方法および使用には、例えば、疾患、状態、または障害を有する対象へ分子を投与し、その後にPITを照射し、それによって、そのような細胞または病原体の光溶解をもたらし、疾患または障害の処置をもたらすことを含む、治療的な方法および使用が含まれる。いくつかの態様において、投与された(IR700-セツキシマブコンジュゲートなどの)フタロシアニン-色素セツキシマブコンジュゲートが、腫瘍に関連した細胞へターゲティングされ、それによって、そのような細胞の光溶解をもたらし、いくつかのケースにおいて、腫瘍の処置をもたらす方法が、腫瘍またはがんを処置するために使用され得る。使用には、そのような方法および処置、例えば、治療計画または処置計画における組成物の使用、ならびにそのような治療方法を実施するための医薬の調製におけるそのような組成物の使用が含まれる。いくつかの態様において、方法およびそれによる使用は、対象における腫瘍またはがんなどの疾患または状態または障害を処置する。
【0194】
セツキシマブ-IR700コンジュゲートによるPITの方法が、本明細書において提供される。セツキシマブは、腫瘍特異的細胞の表面上のEGFRを標的とする。吸収光の照射による色素-コンジュゲートの活性化は、光増感剤を励起させ、腫瘍細胞の細胞死滅をもたらす。一般的に、標的特異的な光毒性は、特異的なターゲティング分子(例えば、抗体)を介した色素-コンジュゲートの細胞膜との結合に主として依存するようである。例えば、例示的な抗体-IR700分子を使用した研究は、コンジュゲートが、活性であるために、細胞膜に結合していなければならないこと、細胞死滅が有効であるために細胞内局在を必要としないことを示している(例えば、米国特許第8,524,239号および公開された米国出願番号US20140120119号を参照すること)。コンジュゲートが結合した細胞の光活性化は、迅速な細胞死および壊死をもたらす。
【0195】
典型的には、PITは、細胞が照射された後に、抗体-IR700コンジュゲートなどのフタロシアニン-色素コンジュゲートが結合している細胞の細胞死を主にもたらし、抗体によって認識される細胞表面タンパク質を発現しない細胞は、有意な数、死滅しない。従って、腫瘍細胞などの疾患細胞に特異的に治療がターゲティングされるため、その効果は、健常な組織または細胞と比較して、疾患組織に高度に選択的である。
【0196】
がん細胞上のEGFRなどの上皮増殖因子受容体(EGFR;ErbB-1;HER1;EGF受容体)を標的とするための組成物、例えば、薬学的組成物が、本明細書において提供される。例えば、EGF受容体HER1は、膵臓、乳腺、前立腺、および結腸などの多くの器官に見出され得る腺がんに、典型的に見出される。
【0197】
いくつかの態様において、方法は、上皮増殖因子受容体(EGFRまたはHER1)抗原を発現するがんのための、抗体の軽鎖および/または重鎖の特定のリジン残基またはリジン位置においてコンジュゲートされたIR700色素を有するセツキシマブ-IR700コンジュゲートなどのEGFR抗体-フタロシアニンコンジュゲートによる前がん病変またはがんの処置を含む。そのようながんには、頭頸部がん、前悪性異形成、神経膠芽腫、食道がん、喉頭がん、甲状腺髄様がん、非メラノーマ皮膚SCC、乳がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、結腸直腸がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、外陰がん、前立腺がん、陰茎がん、精巣がん、および肛門がんが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0198】
いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載されたセツキシマブ-IR700コンジュゲートまたはセツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含有する組成物による頭頸部がんの処置を含む。いくつかの態様において、対象における頭頸部がんに由来する不要な細胞を処置する方法は、(a)本明細書に記載される色素とコンジュゲートされた特定の位置を含むセツキシマブ-IR700コンジュゲートまたはセツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含む組成物を対象へ投与する工程、および(b)少なくとも1J cm-2または1J/cmファイバー長の線量で660~740nmの波長で不要な細胞を照射する工程であって、それによって、対象における不要な細胞を除去するか、または死滅させる、工程、を含む。いくつかの態様において、方法は、本明細書において提供された遮光デバイスのいずれかからセツキシマブ-IR700コンジュゲートを投与する工程を含み、かつ/または投与する工程の前もしくは途中に、組成物は500ルクス超の強度の環境光に曝されない。いくつかの態様において、照射は、690nmまたは690nm±50nmで実施される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2、もしくは1280mg/m2、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2、もしくは1280mg/m2の量で投与される。
【0199】
いくつかの態様において、対象における頭頸部がんを処置する方法は、(a)本明細書に記載される色素とコンジュゲートされた特定の位置を含むセツキシマブ-IR700コンジュゲートまたはセツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含む組成物を、製剤化された組成物として、頭頸部がんを有する対象へ静脈内投与する工程であって、コンジュゲートが640mg/m2または約640mg/m2の量で投与される、工程;および(b)コンジュゲートを投与した後に、少なくとも50J cm-2もしくは100J/cmファイバー長、少なくとも約50J cm-2もしくは100J/cmファイバー長、または約50J cm-2もしくは100J/cmファイバー長の線量で690±20nmの波長で病巣を照射する工程であって、それによって、対象におけるがんを処置する、工程、を含む。方法のいくつかの態様において、光照明は、セツキシマブ-IR700の投与の20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、もしくは32時間後、または約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、もしくは32時間後に、病巣を照射するため、投与されるか、またはセツキシマブ-IR700の投与の約24時間±4時間後に投与される。
【0200】
以下:
いくつかの態様において、本明細書に開示されたコンジュゲートを含む薬学的組成物を腫瘍細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で600nm~850nmの波長で腫瘍細胞の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、腫瘍細胞を死滅させる工程
を含む、腫瘍細胞を死滅させる方法が、本明細書において提供される。
【0201】
以下:
いくつかの態様において、本明細書に開示された組成物を含む薬学的組成物を腫瘍細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で600nm~850nmの波長で腫瘍細胞の近傍の区域を照射し、それによって、腫瘍細胞を死滅させる工程
を含む、腫瘍細胞を死滅させる方法が、本明細書において提供される。
【0202】
以下:
いくつかの態様において、本明細書に開示されたコンジュゲートを含む薬学的組成物を対象へ投与する工程;
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で600nm~850nmの波長で対象における腫瘍または病変の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、疾患または状態を処置する、工程
を含む、疾患または状態を処置する方法が、本明細書において提供される。
【0203】
以下:
いくつかの態様において、本明細書に開示された組成物を含む薬学的組成物を対象へ投与する工程;
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で600nm~850nmの波長で対象における腫瘍または病変の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、疾患または状態を処置する、工程
を含む、疾患または状態を処置する方法が、本明細書において提供される。
【0204】
方法のいくつかの態様において、投与されるセツキシマブ-IR700コンジュゲートは、非イオン性界面活性剤および/または保護剤を含む組成物に製剤化される。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、トリトンX-100、CHAPS、またはプルロニック(Pluronic)酸(F-68)などの非イオン性界面活性剤を含み、任意で、トレハロース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、またはショ糖などの保護剤を含む組成物に製剤化される。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、ポリソルベートおよびトレハロースを含む組成物に製剤化される。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、ポリソルベート-80およびトレハロースを含む組成物に製剤化される。いくつかの態様において、セツキシマブ-IR700コンジュゲートは、10mMリン酸ナトリウム、0.02%(w/v)ポリソルベート-80、および9%(w/v)トレハロース(pH 7.1)を含む組成物に製剤化される。
【0205】
いくつかの態様において、対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒト、またはマウスなどの獣医学的対象である。いくつかの態様において、対象は、がんを有するか、またはがんのために処置されている、ヒトなどの哺乳動物である。いくつかの態様において、開示された組成物は、本明細書に記載された腫瘍などの腫瘍を有する対象を処置するために使用される。いくつかの態様において、腫瘍は、以前に処置されており、例えば、外科的に、または化学的に除去されており、開示された組成物は、その後、対象に残存しているかもしれない望ましくない残存腫瘍細胞を死滅させるために使用される。
【0206】
本明細書に記載されるセツキシマブ-IR700コンジュゲートなどのコンジュゲートを含有する提供された組成物は、がんなどの腫瘍を有するか、またはそれが以前に除去された、もしくは処置された、ヒトなどの哺乳動物対象を処置するために使用され得る。開示された治療を必要とする対象には、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートと特異的に結合することができる腫瘍特異的タンパク質をがん細胞が表面上に発現しているがんを有するヒト対象が含まれ得る。例えば、開示された組成物は、単独で、または放射線もしくはその他の化学療法と組み合わせて、がんのための最初の処置として使用され得る。開示された組成物は、以前の放射線または化学療法に失敗した患者においても使用され得る。従って、いくつかの態様において、対象は、他の治療を受容したことがあるが、それらの他の治療が所望の治療的応答を提供していない者である。開示された組成物は、限局性および/または転移性のがんを有する患者においても使用され得る。
【0207】
A. 付加的な治療剤との組み合わせ処置
いくつかの態様において、病変、疾患、または状態の処置のための第2の治療、例えば、付加的な治療剤または抗がん処置の付加と共に、本明細書に開示されたコンジュゲートまたは組成物は、投与され、本明細書中の方法は、実施される。いくつかの態様において、処置のための付加的な治療剤または第2の治療薬は、腫瘍の処置の効力を増加させることができ、いくつかのケースにおいて、処置された対象の治療成績または生存を増加させることができる、免疫調整剤、抗がん剤、またはその他の薬剤である。いくつかの態様において、付加的な治療剤または第2の治療薬は、免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの態様において、付加的な治療剤または第2の治療薬は、下記の任意のものである。
【0208】
フタロシアニン色素-抗体コンジュゲート(例えば、セツキシマブ-IR700コンジュゲート)を含有する組成物の投与の前、途中、または後に、対象は、1つまたは複数の他の治療を受容し得る。一例において、対象は、コンジュゲートの投与の前に、腫瘍を除去するか、または低下させるための1つまたは複数の処置を受容する。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートを含有する組成物の投与の前、途中、または後に、対象は、免疫調整剤を受容する。いくつかの態様において、免疫調整剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。
【0209】
本明細書中の方法および組成物のいくつかの態様において、セツキシマブ-IR700などのフタロシアニン色素-抗体コンジュゲートは、免疫調整剤または抗がん剤の一方または両方などの他の治療剤と組み合わせて提供される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートと他の治療剤とは、共に、連続的に、または断続的に投与するため、別々の組成物としての製品としてパッケージングされ得る。組み合わせは、キットとしてパッケージングされ得る。いくつかの態様において、治療剤およびフタロシアニン色素-抗体コンジュゲートは、同一の組成物に共に製剤化される。いくつかの態様において、治療剤およびフタロシアニン色素-抗体コンジュゲートは、別々の組成物として製剤化される。
【0210】
いくつかの態様において、投与される他のもしくは付加的な薬剤、または組み合わせ治療における付加的な薬剤は、コンジュゲートされていない抗体である。いくつかの態様において、コンジュゲートされていない抗体は、コンジュゲートの抗体と同一であるか、または実質的に同一である。例えば、いくつかの態様において、コンジュゲートを含有する組成物の投与の前に、タンパク質または抗原を標的とするコンジュゲートされていない抗体が、対象へ投与される。いくつかの態様において、抗体は、コンジュゲートの投与前96時間以内に投与される。いくつかの態様において、抗体は、10mg/m2もしくは約10mg/m2から、約500mg/m2の範囲の用量で投与される。例えば、抗体はセツキシマブであり、セツキシマブは、コンジュゲートを含有する組成物の投与前96時間以内に、対象へ投与される。
【0211】
いくつかの態様において、投与される他のもしくは付加的な薬剤、または組み合わせ治療における付加的な薬剤は、免疫調整剤または抗がん剤である。いくつかの態様において、免疫調整剤、抗がん剤、および/またはフタロシアニン色素-抗体コンジュゲート(例えば、セツキシマブ-IR700コンジュゲート)は、別々の組成物として製剤化される。いくつかの態様において、免疫調整剤は、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートとは別の組成物として製剤化され、それらの2つの組成物は別々に投与される。いくつかの態様において、抗がん剤は、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートとは別の組成物として製剤化され、それらの2つの組成物は別々に投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲート(例えば、セツキシマブ-IR700コンジュゲート)は、非イオン性界面活性剤および/または保護剤である1つまたは複数の安定剤によって製剤化され、免疫調整剤または抗がん剤は、別の異なる製剤として投与される。
【0212】
いくつかの態様において、免疫調整剤および/または抗がん剤およびフタロシアニン色素-抗体コンジュゲートは、同一の組成物に製剤化される。組成物は、非経口送達のため(即ち、全身送達のため)製剤化され得る。例えば、組成物または組成物の組み合わせは、皮下送達のため、または静脈内送達のため、製剤化される。フタロシアニン色素-抗体コンジュゲート、免疫調整剤、および/または抗がん剤などの薬剤は、異なる投与ルートによって投与され得る。
【0213】
付加的な治療剤への腫瘍の到達可能性を増強することができる、がんまたは腫瘍の処置のため、開示された抗体-IR700コンジュゲートと組み合わせて使用され得る付加的な治療の例には、腫瘍の除去または低下のための外科的処置、例えば、外科的切除、寒冷療法、または化学塞栓療法が含まれ、放射線治療剤、抗悪性腫瘍性化学療法剤、抗生物質、アルキル化剤および抗酸化剤、キナーゼ阻害剤、ならびにその他の薬剤を含み得る抗腫瘍薬学的処置も含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの例において、付加的な治療剤は、ナノ粒子とコンジュゲートされる。使用され得る付加的な治療剤の具体例には、微小管結合剤、DNAインターカレーターまたはクロスリンカー、DNA合成阻害剤、DNAおよび/またはRNA転写阻害剤、抗体、酵素、酵素阻害剤、ならびに遺伝子制御剤が含まれる。治療的に有効な量で投与されるこれらの薬剤、および処置は、単独で、または組み合わせて使用され得る。そのような薬剤の方法および治療的投薬量は、当業者に公知であり、熟練した医師によって決定され得る。
【0214】
いくつかの態様において、転移性腫瘍などの腫瘍の少なくとも一部分が、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートの投与などの開示された治療の投与の前に、例えば、寒冷療法を介して、外科的に除去されるか、照射されるか、例えば、化学塞栓療法を介して、化学的に処置されるか、またはそれらの組み合わせを受容する。例えば、転移性腫瘍を有する対象は、開示された治療の投与の前に、腫瘍の全部または一部を外科的に切除されてよい。いくつかの態様において、1つまたは複数の化学療法剤が、コンジュゲートによる処置および照射の後に投与される。いくつかの態様において、対象は、転移性腫瘍を有し、開示された治療の投与と同時に、放射線治療、化学塞栓療法、または両方を投与される。
【0215】
いくつかの態様において、免疫調整剤は、抗体もしくはその抗原結合断片、低分子、もしくはポリペプチドであるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、免疫調整剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28、VISTA、ICOS、ICOS-L、CD27、CD30、STING、CCR4、およびA2Aアデノシン受容体の中から選択される分子と特異的に結合する免疫調整剤であるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、免疫調整剤は、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ(lucatumumab)、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、またはそれらの抗原結合断片である。いくつかの態様において、免疫調整剤は、コンジュゲートによる処置および照射の前に、例えば、コンジュゲート投与の1週間、2週間、3週間、もしくは4週間前、または約1週間、2週間、3週間、もしくは4週間前に投与される。いくつかの態様において、免疫調整剤は、コンジュゲートによる処置および照射の後に、例えば、コンジュゲート投与の1週間、2週間、3週間、もしくは4週間後、または約1週間、2週間、3週間、もしくは4週間後に投与される。いくつかの態様において、免疫調整剤は、コンジュゲートによる処置および照射の前および後に、例えば、1週間、2週間、3週間、または4週間毎のサイクルで投与される。
【0216】
いくつかの態様において、抗がん剤は、アルキル化剤、白金薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、副腎皮質ステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬、抗悪性腫瘍剤、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様において、抗がん剤は、抗体もしくはその抗原結合断片、低分子、またはポリペプチドである。
【0217】
いくつかの態様において、抗がん剤は、5-フルオロウラシル/ロイコボリン(leukovorin)、オキサリプラチン、イリノテカン、レゴラフェニブ、アフリベルセプト(ziv-afibercept)、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トポテカン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチン・ウェガー(wager)、テモゾロミド、メトトレキサート、カパシタビン(capacitabine)、ラパチニブ、エトポシド、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、リポソームシタラビン、シタラビン、インターフェロンアルファ、エルロチニブ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムシン(lomusine)、プロカルバジン、スニチニブ、ソマストスタチン(somastostatin)、ドキソルビシン、ペグ化リポソーム被包ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イクサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テムシロリムス、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、エベロリムス、オクトレオチド、ランレドチド(lanredtide)、ダカルバジン、メスナ、パゾパニブ、エリブリン、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ(dasantinib)、セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、シロリムス、クリゾチニブ、セルチニブ(certinib)、エンザルタミド、アビラテロン酢酸エステル、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、アファチニブ、セリチニブ、ゲフィチニブ、カボザンチニブ、オキソリプラチン(oxoliplatin)、およびオーロロピリミジン(auroropyrimidine)のうちの1つまたは複数の中から選択される。いくつかの態様において、抗がん剤は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン(ado-trastuzumab emtansine)、ペルツズマブ、ニボルマブ、またはそれらの抗原結合断片のうちの1つまたは複数の中から選択される。いくつかの態様において、抗がん剤は、ラパチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エルロチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ、セレコキシブ、クリゾチニブ、セルチニブ、アファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、ルキソリチニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、またはビスモデギブのうちの1つまたは複数の中から選択される。
【0218】
VI. 定義
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、記号、ならびにその他の技術用語および科学用語、または用語法は、全て、特許請求の範囲に記載された主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有するものとする。いくつかのケースにおいて、一般的に理解される意味を有する用語が、明確および/または容易な言及のため、本明細書において定義されるが、そのような定義の内含は、必ずしも、当技術分野において一般的に理解されるものとの実質的な違いを表すとは解釈されない。
【0219】
本明細書において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、前後関係が他のことを明白に示さない限り、複数形も含まれる。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1」または「1または複数」を意味する。本明細書に記載された局面および変動には、局面および変動「からなる」および/または「から本質的になる」が含まれることが理解される。
【0220】
本開示の全体において、特許請求の範囲に記載された主題の様々な局面が、範囲フォーマットで提示される。範囲フォーマットでの記載は、便宜および簡潔のためのものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された主題の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない。従って、範囲の記載は、その範囲内の全ての可能な部分範囲および個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間にある各中間値、および記述された範囲内の任意の他の記載値または中間値が、特許請求の範囲に記載された主題に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立に含まれてよく、記述された範囲の具体的に除外される限度を条件として、特許請求の範囲に記載された主題に包含される。記述された範囲が限度の一方または両方を含む場合、含まれた限度の一方または両方を除外した範囲も、特許請求の範囲に記載された主題に含まれる。これは、範囲の幅に関わらず当てはまる。
【0221】
「約」という用語は、本明細書において使用されるように、当業者に容易に公知の、それぞれの値についての通常の誤差範囲をさす。本明細書において、「約」が付いた値またはパラメータの言及は、その値またはパラメータ自体に関する態様を含む(記載する)。例えば、「約X」との記載には、「X」の記載が含まれる。いくつかの態様において、「約」が付いた値は、その値の±25%、±10%、±5%、±1%、±0.1%、±0.01%であるか、またはそれらをさす。
【0222】
本明細書において使用されるように、「コンジュゲート」とは、ポリペプチドまたは化学的成分などの1個または複数個の他の分子と直接または間接的に連結されたポリペプチドをさす。そのようなコンジュゲートには、融合タンパク質、化学的コンジュゲートによって作製されたもの、および他の任意の方法によって作製されたものが含まれる。例えば、コンジュゲートとは、抗体などの1個または複数個の他の分子と直接または間接的に連結されたIR700分子などのフタロシアニン色素をさし得る。
【0223】
本明細書において使用されるように、組成物とは、細胞を含む2つ以上の生成物、物質、または化合物の混合物をさす。それは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0224】
本明細書において使用されるように、「薬学的組成物」または「薬学的製剤」とは、含有されている活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、製剤が投与される対象に対して許容されない程度に有毒である付加的な成分を含有しない調製物をさす。
【0225】
本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される担体」とは、対象に対して無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分をさす。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0226】
本明細書において使用されるように、「未修飾ペプチド」とは、ペプチド内のリジンとコンジュゲートされたIR700分子を有しないペプチドをさす。そのようなペプチドは、酸化、リン酸化、アセチル化、アルキル化、グリコシル化、水の喪失、またはIR700分子を含まないその他の修飾などの他の修飾を受けたペプチドを除外しない。
【0227】
本明細書において使用されるように、キットとは、付加的な試薬などの他の要素、および組み合わせまたはその要素の使用のための説明書を任意で含む、パッケージングされた組み合わせである。
【0228】
「パッケージインサート」という用語は、そのような治療用生成物の適応症、使用法、投薬量、投与、組み合わせ治療、禁忌、および/または使用上の警告に関する情報を含有する、治療用生成物の商業的パッケージに慣習的に含まれる説明書をさすために使用される。
【0229】
本明細書において使用されるように、「製品」とは、作製され、いくつかのケースにおいて、販売され得る、生成物である。いくつかの態様において、その用語は、パッケージング材、例えば、容器に含有されている組成物をさし得る。
【0230】
本明細書において使用されるように、「疾患または障害」とは、感染、後天的条件、遺伝的条件を含むが、これらに限定されるわけではない原因または条件に起因し、同定可能な症状によって特徴決定される、生物における病理学的状態をさす。本明細書における関心対象の疾患および障害は、免疫グロブリンによって処置可能なものである。
【0231】
本明細書において使用されるように、疾患または状態を有する対象の「処置」とは、処置後に、対象の症状が、部分的にもしくは完全に軽減されるか、または静止状態であり続けることをさす。従って、処置には、予防、治療、および/または治癒が包含される。予防とは、可能性のある疾患の防止、および/または症状の悪化もしくは疾患の進行の防止をさす。
【0232】
本明細書において使用されるように、「処置」とは、状態、障害、もしくは疾患、またはその他の適応症の症状が、寛解するか、またはその他の方法で有益に変更される様式を意味する。
【0233】
本明細書において使用されるように、「治療効果」とは、疾患もしくは状態の症状を変更し、典型的には、改善するか、もしくは寛解させ、または疾患もしくは状態を治癒させる、対象の処置に起因する効果を意味する。
【0234】
本明細書において使用されるように、「治療的に有効な量」または「治療的に有効な用量」とは、治療効果を生じるために少なくとも十分である、薬剤、化合物、材料、または化合物を含有する組成物の量をさす。従って、それは、疾患または障害の症状の防止、治癒、寛解、阻止、または部分的な阻止のために必要な量である。
【0235】
本明細書において使用されるように、処置による、例えば、薬学的組成物またはその他の治療薬の投与による、特定の疾患または障害の症状の寛解とは、組成物もしくは治療薬の投与が原因の、またはそれと関連した、永久であってもよいし、一時的であってもよく、持続的であってもよいし、一過性であってもよい、症状の低下をさす。
【0236】
本明細書において使用されるように、「対象」という用語は、ヒトなどの哺乳動物を含む動物をさす。
【0237】
本明細書において使用されるように、「任意選択の」または「任意で」とは、その後に記載されるイベントまたは状況が、起こってもよいし、起こらなくてもよく、その記載には、そのイベントまたは状況が起こる場合と起こらない場合が含まれることを意味する。例えば、任意で置換された基とは、その基が置換されていないか、または置換されていることを意味する。
【0238】
本明細書において使用されるように、「実質的に」という用語は、高レベルの類似性をさす。いくつかの態様において、実質的にとは、ほぼ全てまたは完全であること、例えば、少なくとも85%、90%、95%、99%、99.9%、または99.99%完全であることをさし得る。例えば、いくつかの態様において、薬剤が、実質的に、ある状態にあると言われる場合には、薬剤の少なくとも85%、90%、95%、99%、99.9%、または99.99%が、その状態にある。
【0239】
本願において言及された特許書類、科学文献、およびデータベースを含む刊行物は、全て、個々の刊行物が各々個別に参照により組み入れられるのと同じ程度に、事実上、参照によりその全体が組み入れられる。本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み入れられた特許、出願、公開された出願、およびその他の刊行物に記載の定義に反するかまたはその他の方法で一致しない場合には、本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義より優先される。
【0240】
VII. 例示的な態様
本明細書において提供された態様には、以下のものが含まれる:
1.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブを含むコンジュゲートであって、
少なくとも1個のIR700色素分子が、セツキシマブの軽鎖のリジン(K)と連結されている、
コンジュゲート。
2.
少なくとも1個のIR700色素分子が、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207からなる群より選択される位置においてリジンと連結されている、態様1のコンジュゲート。
3.
少なくとも1個のIR700色素分子が、軽鎖のK145と連結されている、態様1または態様2のコンジュゲート。
4.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の軽鎖の2個以上のリジン位置においてIR700色素と連結されている、態様1~3のいずれかのコンジュゲート。
5.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の軽鎖のK145においてIR700色素と連結されている、態様1~4のいずれかのコンジュゲート。
6.
セツキシマブが、セツキシマブの軽鎖のK145、およびセツキシマブの軽鎖または重鎖の少なくとも1個の他のリジン位置においてIR700色素と連結されている、態様1~5のいずれかのコンジュゲート。
7.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブを含むコンジュゲートであって、
少なくとも1個のIR700色素分子が、セツキシマブの重鎖のリジン(K)と連結されている、
コンジュゲート。
8.
少なくとも1個のIR700色素分子が、重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より選択される位置においてリジンと連結されている、態様7のコンジュゲート。
9.
少なくとも1個のIR700色素分子が、重鎖のK215、K292、K336、K416、およびK449からなる群より選択される位置においてリジンと連結されている、態様7または態様8のコンジュゲート。
10.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の重鎖の2個以上のリジン位置においてIR700色素と連結されている、態様7~9のいずれかのコンジュゲート。
11.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の重鎖の3個以上のリジン位置においてIR700色素と連結されている、態様7~10のいずれかのコンジュゲート。
12.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、および/またはK449においてIR700色素と連結されている、態様7~11のいずれかのコンジュゲート。
13.
セツキシマブが、セツキシマブの重鎖のK215、K292、K336、K416、および/またはK449、ならびにセツキシマブの軽鎖または重鎖の少なくとも1個の他のリジン位置においてIR700色素と連結されている、態様7~12のいずれかのコンジュゲート。
14.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の軽鎖のK145においてIR700色素と連結されている、態様7~13のいずれかのコンジュゲート。
15.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブを含むコンジュゲートであって、
少なくとも1個のIR700色素分子が、セツキシマブの軽鎖のリジン(K)と連結されており、
少なくとも1個のIR700色素分子が、セツキシマブの重鎖のリジン(K)と連結されている、
コンジュゲート。
16.
軽鎖のリジンが、K107、K145、K188、K190、およびK207からなる群より選択される、態様15のコンジュゲート。
17.
重鎖のリジンが、K5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より選択される、態様15または態様16のコンジュゲート。
18.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の軽鎖のK145においてIR700色素と連結されている、態様15~17のいずれかのコンジュゲート。
19.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、および/またはK449においてIR700色素と連結されている、態様15~18のいずれかのコンジュゲート。
20.
セツキシマブが、セツキシマブの一方または両方の軽鎖のK145、ならびにセツキシマブの一方または両方の重鎖のK215、K292、K416、およびK449においてIR700色素と連結されている、態様15~19のいずれかのコンジュゲート。
21.
IR700色素分子と、セツキシマブとの比が、1:1、2:1、3:1、または4:1である、態様1~20のいずれかのコンジュゲート。
22.
約600nm~約850nm(例えば、690nm±50nm)の波長での照射によって活性化可能であり、それによって、細胞死滅活性を獲得する、態様1~21のいずれかのコンジュゲート。
23.
態様1~22のいずれかのコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
24.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の軽鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
25.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の一方または両方の軽鎖のK107、K145、K188、K190、および/またはK207と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様24の組成物。
26.
集団におけるIR700色素とコンジュゲートされている主な軽鎖リジン位置が、K145である、態様24または態様25の組成物。
27.
セツキシマブ分子が変性質量分析によって分析される時に、軽鎖K145におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドが、他の軽鎖リジン位置とコンジュゲートされたIR700色素を含有するペプチドより多量に存在する、態様24~26のいずれかの組成物。
28.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の重鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
29.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の一方または両方の重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、および/またはK449と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様28の組成物。
30.
集団におけるIR700色素とコンジュゲートされている主な重鎖リジン位置が、K215、K292、K336、K416、およびK449のうちの1個または複数個である、態様28または態様29の組成物。
31.
セツキシマブ分子が変性質量分析によって分析される時に、重鎖K215、K292、K336、K416、またはK449におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドが、他の重鎖リジン位置とコンジュゲートされたIR700色素を含有するペプチドより多量に存在する、態様28~30のいずれかの組成物。
32.
セツキシマブ分子の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の一方または両方の重鎖の2個以上のリジンと連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様28~31のいずれかの組成物。
33.
セツキシマブ分子の約20%以下が、IR700色素とコンジュゲートされていない、態様24~32のいずれかの組成物。
34.
セツキシマブ分子の10%未満が、IR700色素とコンジュゲートされておらず、かつ/または
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、3%未満である、
態様33の組成物。
35.
組成物中のIR700色素分子と、集団内のセツキシマブ分子との比が、約2:1、約2.5:1、または約3:1である、態様24~34のいずれかの組成物。
36.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の軽鎖または重鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
37.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の一方もしくは両方の軽鎖のK107、K145、K188、K190、および/もしくはK207と連結された、または一方もしくは両方の重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、および/もしくはK449と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様36の組成物。
38.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の一方もしくは両方の軽鎖のK145と連結された、または一方もしくは両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、もしくはK449と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様37の組成物。
39.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の軽鎖のリジン(K)と連結された少なくとも1個のIR700色素分子、および重鎖のリジンと連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
40.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の一方または両方の軽鎖のK107、K145、K188、K190、および/またはK207と連結された少なくとも1個のフタロシアニンIR700色素分子、ならびに一方または両方の重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、および/またはK449と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様39の組成物。
41.
セツキシマブ分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の一方または両方の軽鎖のK145と連結された少なくとも1個のフタロシアニンIR700色素分子、ならびに一方または両方の重鎖のK215、K292、K336、K416、またはK449と連結された少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様40の組成物。
42.
セツキシマブ分子の約20%以下が、セツキシマブ分子の軽鎖または重鎖のリジン(K)においてIR700色素とコンジュゲートされていない、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
43.
セツキシマブ分子の15%未満が、IR700色素とコンジュゲートされていない、態様42の組成物。
44.
セツキシマブ分子の10%未満が、IR700色素とコンジュゲートされていない、態様43の組成物。
45.
組成物中の全色素分子のうちの組成物中の遊離色素のパーセンテージが、約3%未満、約2%未満、約1%未満、または約0.5%未満である、態様42~44のいずれかの組成物。
46.
組成物中のIR700色素分子と、集団内のセツキシマブ分子との比が、約2:1、約2.5:1、または約3:1である、態様42~45のいずれかの組成物。
47.
1個または複数個のセツキシマブ分子が、1個または複数個のセツキシマブ分子の軽鎖または重鎖のリジン(K)においてIR700色素とコンジュゲートされており、
組成物中のIR700色素分子と、集団内のセツキシマブ分子との比が、約2:1、約2.5:1、または約3:1であり、
セツキシマブ分子の10%未満が、IR700色素とコンジュゲートされておらず、
組成物中の全色素分子のうちの組成物中の遊離色素のパーセンテージが、約0.5%未満である、
セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
48.
SEQ ID NO:1を含む組成物であって、
SEQ ID NO:1のリジン145が、IR700色素とコンジュゲートされている、組成物。
49.
SEQ ID NO:2を含む組成物であって、
SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449が、IR700色素とコンジュゲートされている、組成物。
50.
SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を含む組成物であって、
SEQ ID NO:1のリジン145が、IR700色素とコンジュゲートされており、かつ
SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449が、IR700色素とコンジュゲートされている、組成物。
51.
同一分子内にSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を含む、態様50の組成物であって、
SEQ ID NO:1のリジン145が、IR700色素とコンジュゲートされており、かつ
SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449が、IR700色素とコンジュゲートされている、組成物。
52.
異なる分子内にSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2を含む、態様50または態様51の組成物であって、
SEQ ID NO:1のリジン145が、IR700色素とコンジュゲートされており、かつ
SEQ ID NO:2のリジン215、リジン292、リジン416、および/またはリジン449が、IR700色素とコンジュゲートされている、組成物。
53.
セツキシマブ分子の15%未満が、IR700色素とコンジュゲートされておらず、
組成物が、3%未満の遊離IR700色素を含み、
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、約6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変である、
セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
54.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
0.6%未満もしくは約0.6%未満、0.5%未満もしくは約0.5%未満、0.4%未満もしくは約0.4%未満、または0.3%未満もしくは約0.3%未満の遊離色素を含む、組成物。
55.
少なくとも95%、96%、97%、もしくは98%、または少なくとも約95%、96%、97%、もしくは98%の、単量体
を含む、態様54の組成物。
56.
5%、4%、もしくは3%未満、または約5%、4%、もしくは3%未満の、高分子量種
を含む、態様55の組成物。
57.
30%、20%、25%、20%、15%、もしくは10%未満、または約30%、20%、25%、20%、15%、もしくは10%未満の、コンジュゲートされていない抗体
を含む、態様54~56のいずれかの組成物。
58.
遊離色素のパーセンテージが、暗条件または減光条件での組成物の6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変である、態様54~57のいずれかの組成物。
59.
セツキシマブ分子の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の軽鎖のリジン(K)とコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様53~58のいずれかの組成物。
60.
集団におけるIR700色素とコンジュゲートされている主な軽鎖リジン位置が、K145である、態様59の組成物。
61.
集団の少なくとも70%、80%、90%、または、90%超が、各セツキシマブ分子の重鎖のリジン(K)とコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700色素分子を有する、態様53~60のいずれかの組成物。
62.
集団におけるIR700色素とコンジュゲートされている主な重鎖リジン位置が、K215、K292、K336、K416、およびK449のうちの1個または複数個である、態様61の組成物。
63.
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約9%~約10%が、軽鎖リジン145(K145)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドである、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
64.
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約9%~約11%が、重鎖リジン215(K215)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドである、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
65.
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約9%~約11%が、重鎖リジン292(K292)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドである、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
66.
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約10%~約12%が、重鎖リジン416(K416)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドである、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
67.
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約7%~約9%が、重鎖リジン449(K449)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドである、セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
68.
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約9%~約10%が、軽鎖リジン145(K145)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約9%~約11%が、重鎖リジン215(K215)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約9%~約11%が、重鎖リジン292(K292)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約10%~約12%が、重鎖リジン416(K416)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約7%~約9%が、重鎖リジン449(K449)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;かつ/または
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約5%~約7%が、重鎖リジン336(K336)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドである、
セツキシマブ分子の集団を含む組成物。
69.
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約3%~4%が、軽鎖リジン107(K107)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約1%~3%が、軽鎖リジン188(K188)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約3%~4%が、軽鎖リジン190(K190)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約1%~3%が、軽鎖リジン207(K207)におけるR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約3%~4%が、重鎖リジン5(K5)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約3%~4%が、重鎖リジン75(K75)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約1%~2%が、重鎖リジン248(K248)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドであり;かつ/または
質量分析によって分析されたセツキシマブ分子の全ペプチドの約1%~2%が、重鎖リジン328(K328)におけるIR700色素コンジュゲーションを含有するペプチドである、
態様63~68のいずれかの組成物。
70.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置292(K292)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、
組成物。
71.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、
組成物。
72.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置336(K336)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、
組成物。
73.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1であり;かつ/または
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、
組成物。
74.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、重鎖のリジン位置416(K416)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約2:1~約1:2、任意で、約1:1である、
組成物。
75.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約1:1:1:1である、
組成物。
76.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む組成物であって、
セツキシマブ分子の集団におけるリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と重鎖のリジン位置215(K215)と重鎖のリジン位置292(K292)と重鎖のリジン位置336(K336)と重鎖のリジン位置416(K416)と重鎖のリジン位置449(K449)との間の比が、約1:1:1:1:1:1である、
組成物。
77.
比が、質量分析によって測定される、態様71~76のいずれかの組成物。
78.
腫瘍またはがん細胞を死滅させる方法であって、以下:
態様1~77のいずれかのコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で腫瘍細胞の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、腫瘍またはがん細胞を死滅させる、工程
を含む、方法。
79.
対象における疾患または状態、例えば、腫瘍またはがんを処置する方法であって、以下:
態様1~78のいずれかのコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を対象へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で対象における(例えば、腫瘍またはがんによる)病変の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、疾患または状態を処置する工程
を含む、方法。
80.
投与する工程の前に薬学的組成物を提供する工程をさらに含む、
態様78または態様79の方法。
81.
照射する工程が、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で実施される、態様78~80のいずれかの方法。
82.
照射する工程が、約690nmの波長で実施される、態様78~81のいずれかの方法。
83.
腫瘍が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳腺、胃、前立腺、子宮頸部、食道、または頭頸部のがんである、態様78~82のいずれかの方法。
84.
がんが、頭頸部、乳腺、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置する、態様78~83のいずれかの方法。
85.
がんが、頭頸部に位置するがんである、態様78~84のいずれかの方法。
86.
(a)K145(軽鎖)、K215(重鎖)、K292(重鎖)、K336(重鎖)、K416(重鎖)、およびK449(重鎖)からなる群より選択されるセツキシマブの1個または複数個のリジンと連結されたIR700色素を含むコンジュゲートが作製される条件下で、セツキシマブをIR700色素と接触させる工程;
(b)コンジュゲーション中および/またはコンジュゲーション後に、セツキシマブと非特異的に会合したIR700色素を実質的に低下させるステップにコンジュゲートを供する工程;
(c)薬学的に許容される緩衝液中でコンジュゲートを製剤化する工程
を含む、安定的なコンジュゲートを製造する方法であって、
工程(a)~(c)の各々において、色素およびコンジュゲートが曝される唯一の光が、約400nm~約650nmの範囲の波長を有するか、または500ルクス未満の強度を有する、方法。
87.
工程(b)が、コンジュゲートをクエンチング反応に供することを含む、態様86の方法。
88.
工程(b)が、IR700色素とセツキシマブとのコンジュゲーション反応の完了後にコンジュゲートをグリシンクエンチング反応に供することを含む、態様86または態様87の方法。
89.
クエンチング反応が、一晩または約6時間超の期間、実施される、態様88の方法。
90.
態様86~89のいずれかによって製造された、安定的なコンジュゲート。
91.
IR700色素とコンジュゲートされたセツキシマブ分子の集団を含む、態様90の安定的なコンジュゲートであって、
集団におけるセツキシマブ分子のリジンとコンジュゲートされたIR700色素の、軽鎖のリジン位置145(K145)と、重鎖のリジン位置215(K215)と、重鎖のリジン位置292(K292)と、重鎖のリジン位置416(K416)との間の比が、約1:1:1:1である、安定的なコンジュゲート。
92.
セツキシマブの少なくとも2個のリジン(K)位置とコンジュゲートされた少なくとも2個のIR700分子を含むコンジュゲートであって、
少なくとも2個のリジン位置が、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、コンジュゲート。
93.
セツキシマブの少なくとも3個のリジン位置とコンジュゲートされた少なくとも3個のIR700分子を含む、態様92のコンジュゲート。
94.
少なくとも3個のリジン位置が、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207、ならびに重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より独立して選択される、態様93のコンジュゲート。
95.
IR700とコンジュゲートされたリジン位置のうちの少なくとも1個が、軽鎖のK145、または重鎖のK215、K416、もしくはK449からなる群より選択される、態様92~94のいずれかのコンジュゲート。
96.
少なくとも1個のIR700分子が、軽鎖のリジンとコンジュゲートされており、かつ
少なくとも1個のIR700分子が、重鎖のリジンとコンジュゲートされている、
態様92~95のいずれかのコンジュゲート。
97.
690nm±50nmの波長での光照射によって活性化可能であり、それによって、細胞の表面上のエピトープと結合している時に細胞死滅活性を示す、態様92~96のいずれかのコンジュゲート。
98.
態様92~97のいずれかのコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
99.
コンジュゲートの集団を含む組成物であって、
集団内のコンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、セツキシマブの少なくとも2個のリジン(K)位置とコンジュゲートされた少なくとも2個のIR700分子を含み、
2個のリジン位置が、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、組成物。
100.
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、セツキシマブの少なくとも3個のリジン位置とコンジュゲートされた少なくとも3個のIR700分子を含む、態様98または99の組成物。
101.
少なくとも3個のリジン位置が、軽鎖のK107、K145、K188、K190、およびK207、ならびに重鎖のK5、K75、K215、K248、K292、K328、K336、K416、およびK449からなる群より独立して選択される、態様100の組成物。
102.
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、軽鎖のK145、または重鎖のK215、K416、もしくはK449とコンジュゲートされた少なくとも1個のIR700分子を含む、態様98~101のいずれかの組成物。
103.
コンジュゲートの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または90%超もしくは約90%超が、軽鎖のK145とコンジュゲートされたIR700分子、および重鎖のK215、K416、またはK449のうちの少なくとも1個とコンジュゲートされたIR700分子を含む、態様98~102のいずれかの組成物。
104.
IR700分子とセツキシマブとの比が、約2:1~約4:1である、態様98~103のいずれかの組成物。
105.
IR700分子とセツキシマブとの比が、約2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、3.0:1、3.1:1、3.2:1、3.3:1、または3.4:1である、態様98~104のいずれかの組成物。
106.
IR700分子とセツキシマブとの比が、約2.7:1~約3.2:1である、態様98~104のいずれかの組成物。
107.
組成物中のセツキシマブ分子の15%以下または約15%以下が、IR700とコンジュゲートされていない、態様98~106のいずれかの組成物。
108.
組成物中のセツキシマブ分子の10%未満または約10%未満が、IR700とコンジュゲートされていない、態様98~107のいずれかの組成物。
109.
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、または0.5%未満もしくは約0.5%未満である、態様98~108のいずれかの組成物。
110.
セツキシマブ-IR700コンジュゲートの集団を含む組成物であって、
組成物中の複数のコンジュゲートが、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より選択されるセツキシマブの軽鎖または重鎖のリジン(K)においてセツキシマブとコンジュゲートされたIR700を各々含み、
組成物が、以下の:
(a)組成物中のIR700分子と、集団内のセツキシマブ分子との比が、約2:1~約3:5であり、
(b)セツキシマブ分子の10%未満または約10%未満が、IR700とコンジュゲートされておらず、かつ
(c)組成物中の全色素分子のうちの組成物中の遊離色素のパーセンテージが、3%未満または約3%未満である
という特色を含む、組成物。
111.
前記複数のコンジュゲートが、軽鎖のK145においてIR700とコンジュゲートされたセツキシマブを含む、態様110の組成物。
112.
前記複数のコンジュゲートが、重鎖のK215、K416、またはK449においてIR700とコンジュゲートされたセツキシマブを含む、態様110または111の組成物。
113.
前記複数のコンジュゲートが、少なくとも3個のIR700分子とコンジュゲートされたセツキシマブを含む、態様110~112のいずれかの組成物。
114.
前記複数が、組成物中のコンジュゲートの少なくとも51%もしくは少なくとも約51%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、または少なくとも80%もしくは少なくとも約80%を含む、態様110~113のいずれかの組成物。
115.
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、または0.5%未満もしくは約0.5%未満である、態様110~114のいずれかの組成物。
116.
セツキシマブが、SEQ ID NO:1に記載の重鎖配列、SEQ ID NO:2に記載の軽鎖配列、またはそれらの組み合わせを含む、態様98~115のいずれかの組成物。
117.
組成物中の遊離色素のパーセンテージが、暗条件または減光条件での6ヶ月間の保管の後に、実質的に不変である、態様98~116のいずれかの組成物。
118.
少なくとも95%、96%、97%、もしくは98%、または少なくとも約95%、96%、97%、もしくは98%の、単量体型のコンジュゲート
を含む、態様98~117のいずれかの組成物。
119.
5%、4%、もしくは3%未満、または約5%、4%、もしくは3%未満の、高分子量種
を含む、態様98~118のいずれかの組成物。
120.
腫瘍またはがん細胞を死滅させる方法であって、以下:
態様92~119のいずれかのコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で腫瘍またはがん細胞の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、腫瘍またはがん細胞を死滅させる、工程
を含む、方法。
121.
対象における疾患または状態を処置する方法であって、以下:
態様92~119のいずれかのコンジュゲートまたは組成物を含む薬学的組成物を腫瘍またはがん細胞の部位またはその近傍へ投与する工程;および
約25J cm-2~約400J cm-2または約25J/cmファイバー長~約500J/cmファイバー長の線量で約600nm~約850nmの波長で対象における病変または腫瘍の近傍の区域を照射する工程であって、それによって、疾患または状態を処置する、工程
を含む、方法。
122.
照射する工程が、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長で実施される、態様120または121の方法。
123.
照射する工程が、約690nmの波長で実施される、態様122の方法。
124.
疾患または状態が、腫瘍またはがんである、態様121~123のいずれかの方法。
125.
腫瘍もしくはがん細胞が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳腺、胃、前立腺、子宮頸部、食道、もしくは頭頸部のがんである腫瘍を含むか、または
疾患もしくは状態が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳腺、胃、前立腺、子宮頸部、食道、もしくは頭頸部のがんである腫瘍である、
態様120~124のいずれかの方法。
126.
腫瘍もしくはがん細胞が、頭頸部、乳腺、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、もしくは肺に位置するがんを含むか、または
疾患もしくは状態が、頭頸部、乳腺、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、もしくは肺に位置するがんである、
態様120~124のいずれかの方法。
127.
がんが、頭頸部がんである、態様126の方法。
128.
以下の工程:
(a)セツキシマブ-IR700コンジュゲートが作製される条件下で、セツキシマブをIR700と接触させる工程であって、
コンジュゲートが、
セツキシマブの軽鎖の107位に相当するリジン(K107)、145位に相当するリジン(K145)、188位に相当するリジン(K188)、190位に相当するリジン(K190)、および207位に相当するリジン(K207)、ならびに
セツキシマブの重鎖の5位に相当するリジン(K5)、75位に相当するリジン(K75)、215位に相当するリジン(K215)、248位に相当するリジン(K248)、292位に相当するリジン(K292)、238位に相当するリジン(K328)、336位に相当するリジン(K336)、416位に相当するリジン(K416)、および449位に相当するリジン(K449)
からなる群より独立して選択される、IR700とコンジュゲートされた少なくとも2個のリジン(K)位置を含む、工程;
(b)コンジュゲーション中および/またはコンジュゲーション後に、セツキシマブと非特異的に会合したIR700を実質的に低下させるステップにコンジュゲートを供する工程;ならびに
(c)薬学的に許容される緩衝液中でコンジュゲートを製剤化する工程
を含む、安定的なコンジュゲートを製造する方法であって、
工程(a)~(c)の各々において、色素およびコンジュゲートが曝される唯一の光が、約400nm~約650nmの範囲の波長を有するか、または500ルクス未満もしくは約500ルクス未満の強度を有する、方法。
129.
工程(b)が、IR700とセツキシマブとのコンジュゲーション反応の完了後に、コンジュゲートをグリシンクエンチング反応に供することを含む、態様128の方法。
130.
クエンチング反応が、一晩または6時間超もしくは約6時間超の期間、実施される、態様129の方法。
131.
態様128~130のいずれかの方法によって製造された、安定的なコンジュゲート。
132.
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
(a)SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(b)SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(c)SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(d)SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
を含むペプチドの集団を生成する、組成物。
133.
ペプチドの集団が、以下:
(e)SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(f)SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド
をさらに含む、態様132の組成物。
134.
ペプチドの集団が、以下:
(g)SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(h)SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(i)SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;および
(j)SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド
をさらに含む、態様132または133の組成物。
135.
ペプチドの集団が、以下:
(k)SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(l)SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(m)SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;および
(n)SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
のうちの1つまたは複数をさらに含む、態様132~134のいずれかの組成物。
136.
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
(a)SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(b)SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(c)SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(d)SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(e)SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(f)SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(g)SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(h)SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(i)SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの重鎖のペプチド;
(j)SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(k)SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(l)SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;
(m)SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド;および
(n)SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含む、セツキシマブの軽鎖のペプチド
を含むペプチドの集団を生成する、組成物。
137.
ペプチドが、ポジティブイオンモード質量分析によって検出される、態様132~136のいずれかの組成物。
138.
ポジティブイオンモード質量分析によって検出されたペプチドについて抽出イオンクロマトグラム(EIC)が生成される時に、
(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の3%または約3%から、5%または約5%であり;
(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の3%または約3%から、5%または約5%であり;
(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の8%または約8%から、11%または約11%であり;
(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、2.5%または約2.5%であり;
(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の8%または約8%から、12%または約12%であり;
(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.2%または約0.2%から、2.5%または約2.5%であり;
(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の4.5%または約4.5%から、7%または約7%であり;
(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の9.5%または約9.5%から、13%または約13%であり;
(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の6%または約6%から、10%または約10%であり;
(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の2%または約2%から、5%または約5%であり;
(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の7%または約7%から、11%または約11%であり;
(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、4%または約4%であり;
(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の1.5%または約1.5%から、5%または約5%であり;かつ
(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の0.5%または約0.5%から、4%または約4%である、
態様137の組成物。
139.
(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(a)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.8±1%であり;
(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(b)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.5±1%であり;
(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(c)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約10.0±1%であり;
(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(d)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約1.7±1%であり;
(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(e)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約10.2±1%であり;
(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(f)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約1.3±1%であり;
(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(g)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約5.9±1%であり;
(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(h)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約11.2±1%であり;
(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(i)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約7.6±1%であり;
(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(j)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.4±1%であり;
(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(k)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約9.3±1%であり;
(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(l)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約2.1±1%であり;
(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(m)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約3.5±1%であり;かつ
(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積が、対応する未修飾ペプチドのEICピークの積分面積と(n)のペプチドに相当するEICピークの積分面積との和の約2.0±1%である、
態様138の組成物。
140.
(a)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸1-38に相当し;
(b)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸72-81に相当し;
(c)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸213-216に相当し;
(d)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸225-250に相当し;
(e)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸291-294に相当し;
(f)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸325-336に相当し;
(g)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸329-340に相当し;
(h)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸412-418に相当し;
(i)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1のアミノ酸442-449に相当し;
(j)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:2のアミノ酸104-108に相当し;
(k)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:2のアミノ酸143-149に相当し;
(l)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:2のアミノ酸184-190に相当し;
(m)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:2のアミノ酸189-207に相当し;かつ
(n)のペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:2のアミノ酸191-211に相当する、
態様132~139のいずれかの組成物。
141.
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%または少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8%または少なくとも約8%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8%または少なくとも約8%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8%または少なくとも約8%である、ペプチド
に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルを生成するペプチドを生成する、組成物。
142.
前記組成物のトリプシン消化が、以下:
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも5%もしくは少なくとも約5%である、ペプチド;ならびに/または
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも3.5%もしくは少なくとも約3.5%である、ペプチド
のうちの1つまたは複数に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルをさらに生成する、態様141の組成物。
143.
前記組成物のトリプシン消化が、以下:
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2%もしくは少なくとも約2%である、ペプチド;ならびに/または
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド
のうちの1つまたは複数に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルをさらに生成する、態様141または142の組成物。
144.
複数のコンジュゲートを含む組成物であって、
該コンジュゲートが、セツキシマブとコンジュゲートされたIR700を含み、
該組成物のトリプシン消化が、以下:
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%もしくは少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;ならびに/または
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積のおよそ少なくとも8.5%もしくはおよそ少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも0.5%もしくは少なくとも約0.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも4.5%もしくは少なくとも約4.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも9%もしくは少なくとも約9%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも7%もしくは少なくとも約7%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:1の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも8.5%もしくは少なくとも約8.5%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも1%もしくは少なくとも約1%である、ペプチド;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも2.5%もしくは少なくとも約2.5%である、ペプチド;ならびに
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドであって、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが、対応する修飾型ポリペプチドおよび未修飾ポリペプチドのEICピークの総面積の少なくとも1%もしくは少なくとも約1%である、ペプチド
に相当する抽出イオンクロマトグラム(EIC)ピークを含む質量スペクトルを生成するペプチドを生成する、組成物。
145.
SEQ ID NO:1の5位に相当するリジン(K5)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.8±1%であり;
SEQ ID NO:1の75位に相当するリジン(K75)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.5±1%であり;
SEQ ID NO:1の215位に相当するリジン(K215)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約10.0±1%であり;
SEQ ID NO:1の248位に相当するリジン(K248)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約1.7±1%であり;
SEQ ID NO:1の292位に相当するリジン(K292)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約10.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の328位に相当するリジン(K328)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約1.3±1%であり;
SEQ ID NO:1の336位に相当するリジン(K336)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約5.9±1%であり;
SEQ ID NO:1の416位に相当するリジン(K416)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約11.2±1%であり;
SEQ ID NO:1の449位に相当するリジン(K449)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約7.6±1%であり;
SEQ ID NO:2の107位に相当するリジン(K107)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.4±1%であり;
SEQ ID NO:2の145位に相当するリジン(K145)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約9.3±1%であり;
SEQ ID NO:2の188位に相当するリジン(K188)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約2.1±1%であり;
SEQ ID NO:2の190位に相当するリジン(K190)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約3.5±1%であり;かつ
SEQ ID NO:2の207位に相当するリジン(K207)とコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドについて、コンジュゲートのEICピークの面積パーセントが約2±1%である、
態様141~144のいずれかの組成物。
146.
リジンとコンジュゲートされたIR700分子を含むペプチドが、
SEQ ID NO:1のアミノ酸1-38、アミノ酸72-81、アミノ酸213-216、アミノ酸225-250、アミノ酸291-294、アミノ酸325-336、アミノ酸329-340、アミノ酸412-418、およびアミノ酸442-449に相当するアミノ酸の配列、
SEQ ID NO:2のアミノ酸104-108、アミノ酸143-149、アミノ酸184-190、アミノ酸189-207、およびアミノ酸191-211に相当するアミノ酸の配列
の中から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含む、
態様141~145のいずれかの組成物。
【実施例
【0241】
VIII. 実施例
以下の実施例は、例示的な目的のために含まれるに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0242】
実施例1:セツキシマブ-IR700コンジュゲートの生成
この実施例においては、色素が光感受性であるため、製造設備における425~575nmの波長および200ルクス未満の強度を有する低レベルの緑色光の使用を含む、色素およびコンジュゲートの露光を制限する方法を使用して、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを生成した。以下の緩衝液を、コンジュゲーションのために使用した:コンジュゲーション緩衝液(100mMリン酸ナトリウム(pH 8.65))、クエンチング緩衝液(1.0Mグリシン(pH 9))、および最終リン酸緩衝生理食塩水(PBS)製剤化緩衝液:(5.60mM Na2HPO4、1.058mM KH2PO4、154mM NaCl(pH 7.1))。
【0243】
A. 色素およびセツキシマブの準備
1. セツキシマブの準備
コンジュゲーション前に、セツキシマブを0.5/0.2μm PES Millipore SHCフィルターで濾過し、プールし、2~8℃で保管した。
【0244】
次いで、限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって、濃縮および緩衝液交換の工程を実施した。UF/DF装置を清浄化し、100mMリン酸ナトリウム(pH 8.65)緩衝液によって平衡化した。UF/DF作動前に、プールされた濾過されたセツキシマブを、25℃のインキュベーターに120~150分置くことによって加温した。最初に、材料を17~20g/Lの目標に濃縮し、次いで、PBS(pH 7.1±0.2)緩衝液へ透析濾過した。透析濾過されたセツキシマブ生成物の濃度を決定し、次いで、30~38g/Lの目標濃度に調整した。得られた溶液を0.5/0.2μm PES Millipore SHCフィルターで、20~40g/Lの最終濃度で濾過した。コンジュゲーション前に、抗体溶液を、8.0~8.6の最終目標pHで、100mMリン酸ナトリウム(pH 8.65±0.15)緩衝液で、10g/Lの濃度に調整した。
【0245】
2. 色素の準備
コンジュゲーション前に、IRDye 700DX NHSエステル(色素;カタログ番号929-70011;Li-COR,Lincoln,NE)を、無水DMSOに10mg/mLの濃度で溶解させることによって準備した。色素によって強力に吸収される波長の光から色素を保護するため、緑色光(例えば、425~575nmの波長かつ200ルクス未満の強度)で、工程を実施した。
【0246】
B. コンジュゲーション
コンジュゲーションおよびクエンチングの工程を、遮光のためアルミ箔等で包まれた、透析濾過されたセツキシマブを含有する槽またはタンクにおいて実施した。コンジュゲートを光分解から保護するため、緑色光(例えば、425~575nmの波長かつ200ルクス未満の強度)で、室温で、工程を実施した。
【0247】
1セツキシマブ分子当たりおよそ2~3個の色素残基の組み入れを達成するため、4:1(IRDye 700DX NHSエステル:セツキシマブ)の最終モル濃度比で、DMSO中のIRDye 700DX NHSエステルによって、コンジュゲーション反応を実施した。セツキシマブを含有するカーボイにIRDye 700DX NHS エステルを添加し、攪拌プレート上で10~15分混合した。次いで、槽を25℃(23~27℃の範囲)のインキュベーターに置くことによって、コンジュゲーション反応を60~90分進行させた。
【0248】
20mMグリシンの最終目標濃度で1.0Mグリシン(pH 9.0±0.2)と混合することによって、コンジュゲーション反応をクエンチングした。槽を25℃(23~27℃の範囲)でさらに16~24時間インキュベートした。
【0249】
コンジュゲート生成物を最終PBS製剤化緩衝液に交換するため、最終UF/DF工程を実施した。クエンチングされたコンジュゲートをUF/DF系に移し、まず、9~11g/Lに濃縮した後、8~12ダイアボリューム(diavolumes)の10mMリン酸ナトリウム(pH 7.1±0.2)によって透析濾過した。タンパク質濃度を決定し、9~11g/Lの最終目標生成物濃度に達するよう、必要に応じて、緩衝液による希釈をさらに実施した。
【0250】
0.5/0.2μm PES Millipore SHCフィルターでの濾過を実施し、内容物を光から保護するためアルミ箔で覆われた槽において、2~8℃の暗所で、セツキシマブ-IR700コンジュゲートを保管した。セツキシマブ-IR700コンジュゲートを保護するため、緑色光で室温で工程を実施した。コンジュゲートを、10mMリン酸ナトリウム(pH 7.1±0.2)で6.7g/Lの濃度に希釈した。次いで、このコンジュゲート溶液を、4倍濃縮賦形緩衝液:10mMリン酸ナトリウム、36%トレハロース、0.06%PS-80(pH 7.1±0.2) (w/v)、0.5~0.8mg/mLポリソルベート-80で、5g/Lの濃度に希釈した。最終濾過工程を0.2um PVDF Millipore Duraporeフィルターを使用して実施し、得られたコンジュゲートを、10mMリン酸ナトリウム、9%トレハロース、0.02%ポリソルベート-80(pH 7.1±0.2)で、5g/Lとして製剤化した。
【0251】
濃度、色素抗体比(DAR)、同一性、および純度を決定し、外観、pH、バイオバーデン(bioburden)、および内毒度レベルを決定するため、得られたコンジュゲートをSEC-HPLC分析に供した。
【0252】
実施例2:セツキシマブ-IR700コンジュゲートのコンジュゲーション位置のマッピング
A. ペプチドマッピングによるIR700部位占有
セツキシマブ-IR700コンジュゲートを、変性緩衝液(6Mグアニジン-HCl、0.1Mトリス(pH 8.0))中のDTTを使用して還元した後、ヨードアセトアミドによってアルキル化した。還元されアルキル化された試料を、トリプシン消化緩衝液(25mMトリス、10mM塩化カルシウム(pH 7.5))へ脱塩し、1:20(プロテアーゼ:タンパク質)の比でプロテアーゼによって処理し、37℃で一晩、インキュベートした。IR700コンジュゲーションの部位を決定するため、トリプシンで消化された試料を1%TFAによって処理し、さらに2時間、37℃で加熱した。TFAによって処理された試料を、表E1に要約された条件下で、220nmおよび690nmでの検出によるC18カラム(Waters)でのRP-HPLC分析、ならびにMS検出によって分析した。
【0253】
【表E1】
【0254】
IR700コンジュゲーションを690nmにおいて分析し、ポジティブイオンモードでの質量分析によって確認した。コンジュゲーションレベルを決定するための下記式を使用して、コンジュゲートされたペプチドおよび未修飾ペプチドと相関する抽出イオンクロマトグラムピークの積分によって、IR700コンジュゲーションの定量化を決定した:
【0255】
セツキシマブの軽鎖および重鎖のIR700色素のコンジュゲーション位置を、コンジュゲートの3つの別々に作製されたバッチにおいてマッピングし、その結果、選択されたコンジュゲートされたペプチドおよび対応する未修飾ペプチドの保持時間(RT)および質量(m/z)を、表E2(軽鎖)および表E3(重鎖)に示した。
【0256】
【表E2】
【0257】
【表E3】
【0258】
B. 強陰イオン交換(SAX)HPLCによるコンジュゲートされていない抗体
電荷に基づき、試料中の成分を分離するため、強陰イオン交換(SAX)HPLCを使用した。セツキシマブとIRDye 700 DX(IR700)との間のコンジュゲーションは、抗体の電荷を変化させたため、コンジュゲートされた抗体成分およびコンジュゲートされていない抗体成分は、異なる電荷プロファイルを有する。そのため、SAXカラムを使用して、これらの2つの成分を相互に分離し、バルク原薬および薬物生成物のコンジュゲートされていない抗体の含量を測定した。含量を総ピーク面積に対する面積パーセントとして報告した。280nmにおける吸収によって検出を行い、690nmの吸収において補正した。この例示的な方法を、放出および安定性の試験のために使用した。
【0259】
試料を低電導度緩衝液で希釈し、表E4に示される条件下で、SAX HPLCカラムに適用した。IR700色素からの有意な電荷の寄与は、SAX-HPLCによる、コンジュゲートされていないセツキシマブ抗体とIR700-コンジュゲートとの分解能を提供する。表E5に示されるように、コンジュゲートされていない抗体のパーセンテージは、様々なバッチにおいて、4.6%~7.1%の範囲であった。
【0260】
【表E4】
【0261】
【表E5】
【0262】
実施例3:セツキシマブ-IR700コンジュゲートの査定
セツキシマブ-IR700コンジュゲートバッチを、参照標準と比較して、EGFR結合および光免疫治療(PIT)活性について試験した。
【0263】
A. EGFR結合
前記実施例2に記載されたコンジュゲートの3つのバッチの各々について、セツキシマブ-IR700コンジュゲートのヒト上皮増殖因子受容体(EGFR)に対する結合を、参照標準と比べて、ELISAによって測定した。コンジュゲートは、それぞれ、参照標準と比較して、103%、97%、および101%の相対EGFR結合を示した。
【0264】
B. PIT
BxPC3細胞をマイクロタイタープレートに播種し、いくつかのウェルは無細胞のままとした(対照)。細胞を、37℃、5%CO2での一晩のインキュベーションによって、マイクロタイタープレートに接着させる。参照材料およびセツキシマブ-IR700コンジュゲートの試料を段階希釈し、プレートのウェル内の細胞に適用した。無細胞ウェルには完全細胞培養培地を添加した。37℃、5%CO2での1時間のインキュベーションの後、所望の光フルエンス(J/cm2)を達成するため、露光時間を変動させて、150mW/cm2のパワー密度で、690nmの光をマイクロタイタープレートに照射した。露光後、光によって処理された細胞を含有するマイクロタイタープレートを、37℃、5%CO2で、22+/-2時間インキュベートした。一晩のインキュベーションの後、発光細胞生死判定試薬CellTiter-Glo 2.0の添加によって、細胞生存度を決定した。異なるバッチについての細胞ベースの光免疫治療(PIT)分析の結果は、図1に示され、各バッチの相対効力は、下記表E6に示される。生の発光単位を収集し、参照標準と比べた試料の細胞死滅活性を示す4パラメータロジスティック曲線にプロットした。
【0265】
【表E6】
【0266】
実施例4:セツキシマブ-IR700コンジュゲートのサイズ排除(SEC)HPLCによる残存遊離IR700測定
分子量および水力学的比に基づき、試料を分画するため、SEC-HPLCを利用した。方法は均一濃度条件で実施された。色素の検出は、690nm(A690)および280nm(A280)における吸収により、総ピーク面積に対する面積パーセントとして含量を報告した。2つの波長の使用は、同一性(A690)、生成物濃度(バックグラウンド補正を伴うA280)、純度および不純物含量(A690およびA280)、遊離IR700含量(A690)、ならびに色素抗体比(DAR;A690およびA280)の査定を可能にした。高分子量種の増加および主要ピークの減少が、光に曝された試料において起こるため、安定性を示す尺度と相関する。この方法を使用して、表E7に示される条件下で、コンジュゲートの3つのバッチ(バッチ1~3)を査定し、結果を図2に示した。図中、青色トレースは、セツキシマブ-IR700コンジュゲートのバッチ番号1を示し、赤色トレースは、バッチ番号2を示し、緑色トレースは、バッチ番号3を示す。この方法は、バルク原薬および薬物生成物の放出および安定性の試験のために使用され得る。
【0267】
【表E7】
【0268】
下記表E8に示されるように、セツキシマブ-IR700コンジュゲートの3つのバッチは、全て、少なくとも97%の単量体、3%未満の高分子量種(HMW)、および0.3%以下の遊離IR700色素(例えば、コンジュゲートされていない色素)を示した。
【0269】
【表E8】
【0270】
本発明は、例えば、本発明の様々な局面を例示するために提供された、具体的な開示された態様に、その範囲を限定されないものとする。記載された組成物および方法に対する様々な修飾が、本明細書中の説明および教示から明らかになるであろう。そのような変動は、本開示の真の範囲および本旨から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
【配列表】
2022543611000001.app
【国際調査報告】