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特表2022-543620密閉コンテナのための検知装置及びコンテナ壁を通してデータを送信するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】密閉コンテナのための検知装置及びコンテナ壁を通してデータを送信するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 23/02 20060101AFI20221005BHJP
   H04B 11/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G08C23/02
H04B11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022507390
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020071141
(87)【国際公開番号】W WO2021023550
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】19190507.4
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515169326
【氏名又は名称】ズルツァー マネジメント アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルデ、ヴァンサン
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB14
2F073BB20
2F073BC05
2F073CC01
2F073CD11
2F073CD14
2F073DD01
2F073DE02
2F073DE06
2F073EE01
2F073EE12
2F073FF20
2F073FG01
2F073FG03
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG07
2F073GG08
(57)【要約】
本発明は、特に密閉コンテナ11内の物理的パラメータを検知し、それぞれのデータを、コンテナ壁14を通してコンテナ11の外部に送信するための検知装置10であって、密閉コンテナ11の内部に配置された内部回路12を含み、密閉コンテナ11の外部に配置された外部回路13をさらに含む、検知装置10に関する。内部回路12は、センサ情報SIなどの送信すべき情報を特徴付けるコントローラ出力信号OSを作成するように構成された送信機回路15を含む。送信機回路15の第1の内部圧電トランスデューサ24は、コントローラ出力信号OSに基づいて音響データ信号DSを作成し、音響データ信号DSをコンテナ11の壁14を通してコントローラ外部回路13の第1の外部圧電トランスデューサ30に送信する。コントローラ出力信号OS及び/又はデータ信号DSは、コントローラ出力信号OS及び/又はデータ信号DSの振幅又は位相又は周波数にセンサ情報SIを含まない。コントローラ出力信号OSは、パルス幅変調されることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に密閉コンテナ(11)内の物理的パラメータを検知し、それぞれのデータを、コンテナ壁(14)を通して前記コンテナ(11)の外部に送信するための検知装置(10)であって、密閉コンテナ(11)の内部に配置されるように構成された内部回路(12)を含み、前記密閉コンテナ(11)の外部に配置されるように構成された外部回路(13)をさらに含み、
前記内部回路(12)が、センサ・デバイス(22)と、内部コントローラ(23)と、第1の内部圧電トランスデューサ(24)とを有する送信機回路(15)を含み、前記内部コントローラ(23)が、前記センサ・デバイス(22)からのセンサ情報(SI)を含む、前記第1の内部圧電トランスデューサ(24)を制御するためのコントローラ出力信号(OS)を作成するように構成され、前記第1の内部圧電トランスデューサ(24)が、前記コントローラ出力信号(OS)に基づいて音響データ信号(DS)を作成し、前記音響データ信号(DS)を前記コンテナ(11)の前記壁(14)に結合するように構成され、
前記外部回路(13)が、外部コントローラ(33)と第1の外部圧電トランスデューサ(30)とを有する受信機回路(17)を含み、前記受信機回路(17)が、前記コンテナ(11)の前記壁(14)を通して前記第1の外部圧電トランスデューサ(30)によって前記音響データ信号(DS)を受信するように構成され、
前記内部回路(12)の前記送信機回路(15)が、前記コントローラ出力信号(OS)及び/若しくは前記音響データ信号(DS)の振幅又は位相にセンサ情報(SI)が含まれることなく、前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)を作成するように構成される、検知装置(10)において、
前記内部回路(12)の前記送信機回路(15)が、前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)が、1つの発振信号部分(PO)及び1つの一定信号部分(PC)によって形成される少なくとも1つのシーケンス(S)を含むように、前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)を作成するように構成され、さらに、前記発振信号部分(PO)及び/又は前記一定信号部分(PC)に対して2つの事前定義された持続時間(t1、t2)のうちの一方を選択することによって前記少なくとも1つのシーケンス(S)を作成するように構成され、各事前定義された持続時間(t1、t2)が、異なる2進値を特徴付けることを特徴とする、検知装置(10)。
【請求項2】
前記外部回路が、給電器(38)に接続され、第2の外部圧電トランスデューサ(42)を備える、給電回路(18)を含み、前記給電回路(18)が、音響パワー信号(PS)を作成し、前記第2の外部圧電トランスデューサ(42)によって前記音響パワー信号(PS)を前記コンテナ(11)の前記壁(14)に結合するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記内部回路が、第2の内部圧電トランスデューサ(43)とエネルギー貯蔵デバイス(45)とを有する受電回路(16)を含み、前記受電回路(16)が、前記第2の内部圧電トランスデューサ(43)によって前記コンテナ(11)の前記壁(14)を通して前記音響パワー信号(PS)を受信するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記給電回路(18)が、一定の発振周波数を有する前記音響パワー信号(PS)を作成するように構成されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記コントローラ出力信号(OS)を前記第1の内部圧電トランスデューサ(24)に印加するために、前記内部コントローラ(23)が前記第1の内部圧電トランスデューサ(24)と直接結合されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記内部回路(12)の前記送信機回路(15)が、前記音響データ信号(DS)の前記周波数にセンサ情報(SI)が含まれることなく、前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)を作成するように構成されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項7】
前記内部回路(12)の前記送信機回路(15)が、前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)をパルス幅変調信号の形式で作成するように構成されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシーケンス(S)の前記持続時間が、前記少なくとも1つのシーケンス(S)が第1の持続時間(t1)を含むか第2の持続時間(t2)を含むかに応じて変化することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項9】
前記内部回路(12)の前記送信機回路(15)が、前記発振信号部分(PO)に対して2つの事前定義された発振数のうちの1つを選択することによって前記少なくとも1つのシーケンス(S)を作成するように構成され、各事前定義された発振数が異なる2進値を特徴付けることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項10】
前記発振信号部分(PO)の前記振幅及び/又は前記周波数が一定であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項11】
前記送信機回路(15)が、少なくとも前記センサ・デバイス(22)からの前記センサ情報(SI)を含む送信すべき情報を文字列(STR)に変換し、前記文字列(STR)の各文字を複数の2進値の2進ワード(BW)に変換するように構成されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項12】
前記送信すべき情報が、前記送信すべき情報に含まれる前記センサ情報(SI)のタイプを特徴付ける識別子を含むことを特徴とする、請求項11に記載の検知装置。
【請求項13】
特に密閉コンテナ(11)内の物理的パラメータを検知し、それぞれのデータを、コンテナ壁(14)を通して前記コンテナ(11)の外部に送信するための検知装置(10)を使用するための方法であって、前記検知装置(10)が、密閉コンテナ(11)の内部に配置された内部回路(12)と、前記密閉コンテナ(11)の外部に配置された外部回路(13)とを含み、前記方法が以下のステップ、すなわち、
前記コンテナ(11)内のセンサ・デバイス(22)を用いてセンサ値(SV)を検知し、前記センサ値(SV)を特徴付けるセンサ情報(SI)を提供するステップと、
前記センサ情報(SI)に基づいてコントローラ出力信号(OS)を作成する内部コントローラ(23)に、前記センサ情報(SI)を送出するステップと、
前記コントローラ出力信号(OS)に基づいて音響データ信号(DS)を作成し、前記音響データ信号(DS)を前記コンテナ(11)の壁(14)に結合する第1の内部圧電トランスデューサ(24)に、前記コントローラ出力信号(OS)を送出するステップと、
前記外部回路(13)の第1の外部圧電トランスデューサ(30)によって前記コンテナ(11)の前記壁(14)を通して前記音響データ信号(DS)を受信するステップと、
前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)の作成が、前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)の振幅又は位相がセンサ情報(SI)を含まないように実行されるステップと
を含む方法において、
前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)の作成が、前記コントローラ出力信号(OS)及び/又は前記音響データ信号(DS)が1つの発振信号部分(PO)及び1つの一定信号部分(PC)によって形成される少なくとも1つのシーケンス(S)を含むように実行され、前記発振信号部分(PO)及び/又は前記一定信号部分(PC)に対して2つの事前定義された持続時間(t1、t2)のうちの一方を選択することによって前記少なくとも1つのシーケンス(S)が作成され、各事前定義された持続時間(t1、t2)が、異なる2進値を特徴付けることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉コンテナのための検知装置、及び検知装置を使用して、コンテナの内部に位置するセンサから測定されたデータを、コンテナ壁を通してコンテナの外部に送信するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の用途において、密閉コンテナの内部に位置するセンサから測定されたデータを、たとえばコンテナの鋼壁を通してコンテナの外部に送信することが望ましい。具体的には、密閉コンテナの内部に配置された内部回路のセンサ・デバイスによって検出されたセンサ値は、ワイヤ又は他の導体を経由することなくコンテナ壁を通して、コンテナの外部に配置された外部回路に送信されるべきである。したがって、ワイヤレス送信が望まれる。しかしながら、たとえば、コンテナ壁が鋼などの導電性材料から作製されている場合、コンテナの材料によっては、コンテナ壁を通して電磁波を送信することが困難又は不可能である可能性がある。対処しなければならないもう1つの問題は、内部回路のワイヤレス電力供給である。これは、密閉コンテナ内に60℃以上の高温及び/又は大気圧より高い又は低い圧力が生じる用途において特に課題となる。このような用途の一例は、蒸留塔又は精留塔の内部から塔の鋼製の壁を通して塔の外部にデータを転送することである。
【0003】
米国特許第6037704(A)号は、請求項1のプリアンブルによる検知装置、及び請求項13のプリアンブルによる方法を開示している。
【0004】
ES2639765A1は、コンテナの内部に配置された内部回路と、コンテナの外部に配置された外部回路とを含む検知装置を開示している。内部回路は、センサ・デバイスと、内部コントローラと、デジタル対アナログ変換器と、第1の内部圧電トランスデューサとを有する送信機回路を含む。内部コントローラは、センサ情報を含む2進ワードを形成する。デジタル対アナログ変換器は、この2進ワードに基づいて、位相偏移変調によってキャリア信号を変調し、その結果、送信すべき情報は、コンテナの壁に結合される対応する音響データ信号を作成する第1の内部圧電トランスデューサを制御するために使用されるアナログ信号の位相又は位相変化に含まれる。外部回路は、外部コントローラと、第1の外部圧電トランスデューサと、アナログ対デジタル変換器と有する受信機回路を含む。音響データ信号は、第1の外部圧電トランスデューサによって受信され、アナログ信号から2進ワードを取得するために、アナログ対デジタル変換器に転送されて復調される。内部回路は、エネルギー貯蔵デバイスと第2の内部圧電トランスデューサとを有する受電回路も含む。外部回路の給電回路は、電源と、第2の外部圧電トランスデューサとを含む。給電回路は、第2の外部圧電トランスデューサを介してコンテナの壁に結合されたパワー信号を作成する。第2の内部圧電トランスデューサは、このパワー信号を受信し、エネルギー貯蔵器に電気パワーを供給する。エネルギー貯蔵器に貯蔵された電気エネルギーは、内部回路を動作させるために使用することができる。しかしながら、位相変調には複雑な回路が必要であり、したがって、著しい量のエネルギーを消費する。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0049587(A1)号では、別の検知装置が開示されている。内部回路及び外部回路は、データとエネルギーの同時双方向伝送のために1対の圧電トランスデューサを使用する。キャリア信号は、外部回路によって変調され、情報及びエネルギーを内部回路に伝送することが可能である。内部回路では、キャリア信号のエンベロープが決定され、アナログ対デジタル変換器によってサンプリングされる。内部から外部への通信は、外部回路によって作成された連続波キャリア信号を内部回路の圧電トランスデューサに印加することによって実現される。内部回路のトランスデューサは、吸収特性又は反射特性を変化させることが可能であり、したがって、連続波キャリア信号を変調して、外部回路に反射させて戻すことができる。同様に、この検知装置も複雑であり、多くのエネルギーを消費する。
【0006】
DE102007038419A1によるセンサ構成は、測定値に応じて発振キャリア信号を変調することによって、測定値をコンテナの内部から外部に送信するように構成される。この変調された信号は音響波に変換され、コンテナ壁を通して送信される。
【0007】
DE102004014288A1は、データ及びエネルギーをコンテナの壁を通して伝送するためのデバイス及び方法を開示している。外部回路は、コンテナ壁内に音響パワー信号を結合するためのオシレータ、外部トランスデューサを備える。内部受電回路は、エネルギー貯蔵デバイスと、受信した音響パワー信号を、エネルギー貯蔵デバイスに貯蔵され得る電気パワーに少なくとも部分的に変換するように構成された内部トランスデューサとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6037704(A)号
【特許文献2】ES2639765A1
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0049587(A1)号
【特許文献4】DE102007038419A1
【特許文献5】DE102004014288A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に密閉コンテナ内の物理的パラメータを検知するための検知装置及び方法を提供し、それぞれのデータを、コンテナ壁を通してコンテナの外部に送信することであり、これは少なくとも、少量のデータを、コンテナ壁を通して送信するのに適しており、単純であり、特にコンテナ内に生じる高温及び/又は高圧若しくは低圧の状態に対して耐性があり、エネルギー消費を最小限に抑える。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を備えた検知装置及び請求項13の特徴を備えた方法によって解決される。
【0011】
本発明の検知装置は、密閉コンテナの内部に配置されるように構成された内部回路と、密閉コンテナの外部に配置されるように構成された外部回路とを含む。内部回路は、センサ・デバイスと、内部コントローラと、第1の内部圧電トランスデューサとを有する送信機回路を含む。内部コントローラは、センサ・デバイスから受信したセンサ情報を含む出力信号を作成するように構成される。センサ情報は、センサ・デバイスによって検出又は測定された物理的パラメータを特徴付けるセンサ値を含む。したがって、コントローラの出力信号も、センサ・デバイスによって検出又は測定された前記物理的パラメータを特徴付ける。コントローラ出力信号は、第1の内部圧電トランスデューサに印加される。結果として、第1の内部圧電トランスデューサは、コントローラ出力信号に基づいて音響データ信号を作成する。第1の内部圧電トランスデューサは、第1の内部圧電トランスデューサが音響データ信号をコンテナの壁に結合するように配置される。外部回路は、受信機回路を有する。受信機回路は、第1の外部圧電トランスデューサと、外部コントローラとを備える。第1の外部圧電トランスデューサは、コンテナの壁を通して送信された音響データ信号を受信するように配置される。外部コントローラは、受信したデータ信号に含まれるセンサ情報を取得するように構成される。センサ情報は、さらに処理され得、且つ/又は(たとえば、ディスプレイ上に)出力及び/若しくは外部デバイスに送信され得る。
【0012】
コントローラ出力信号及び/又はデータ信号は、コントローラ出力信号及び/又はデータ信号の振幅又は位相にセンサ情報が含まれない方法で作成される。そうではなく、コントローラの出力信号及び/又はデータ信号は、少なくとも1つの信号部分の持続時間を変化させることによって符号化される。コントローラ出力信号及び/又はデータ信号は、区別可能な信号部分の時間シーケンス、すなわち、発振信号部分及び一定信号部分の少なくとも1つのシーケンスを単に含む。送信すべき2進値は、少なくとも1つの信号部分の持続時間によって特徴付けられる。そうすることで、振幅、位相、又は周波数を変調する複雑な構成要素を設ける必要なしに、情報がコントローラ出力信号及び/又はデータ信号に符号化され得る。音響データ信号の単純で耐性がある符号化は、コンテナ壁を通した送信中にデータ信号に影響を与え得る、動作している容器(vessel)の低周波振動の影響を受けない。
【0013】
全体として、本発明の検知装置は、密閉コンテナ内の物理的パラメータを検知し、それぞれのデータを、コンテナ壁を通してコンテナの外部に送信するのに特に適しており、単純で耐性があり、エネルギー消費を最小限に抑える。さらなる利点は、検知装置が乗算器又は信号処理を必要としないことである。
【0014】
コントローラ出力信号は、センサ情報を含むように符号化されることが好ましく、コントローラ出力信号を直接使用して、第1の内部圧電トランスデューサを駆動することができる。具体的には、第1の内部圧電トランスデューサによって音響データ信号が作成された後、音響データ信号は、さらなる信号処理及び/又は符号化なしに、コンテナの壁に結合されるだけである。有利な実施例では、コントローラ出力信号は、パルス幅変調に基づいてセンサ情報を含むように作成される。したがって、コントローラ出力信号及びデータ信号は、センサ情報と任意選択で追加情報とを含むパルス幅変調信号である。
【0015】
内部回路の構造が単純であるため、必要な構成要素の数は少なくて済む。これらの構成要素は、コンテナの内部の過酷な条件に耐えるように選択することができる。コンテナは、たとえば、蒸留塔又は精留塔である。蒸留塔の内部回路は、少なくとも60℃から最大約225℃の温度にさらされる。
【0016】
好ましい実施例では、内部コントローラは、コントローラ出力信号を直接印加するために、第1の内部圧電トランスデューサへのさらなる修正又は増幅なしに、第1の内部圧電トランスデューサと直接結合される。
【0017】
非同期送信を実現することが好ましい。上記で説明したように、データ信号は内部回路から外部回路に送信され得る。電気パワーは、常時、外部回路から内部回路に送信され得る。外部回路は、電源に接続され且つ第2の外部圧電トランスデューサを含む給電回路を含み得る。給電回路は、第2の外部圧電トランスデューサを制御することによって、パワー信号、好ましくは音響パワー信号を作成するように構成される。第2の外部圧電トランスデューサは、パワー信号をコンテナの壁に結合するように配置される。パワー信号は、一定の発振周波数を有し得る。このような実施例では、内部回路は、エネルギー貯蔵デバイスと第2の内部圧電トランスデューサとを有する受電回路を含み得る。第2の内部圧電トランスデューサは、コンテナの壁を通してパワー信号を受信するように配置される。第2の内部圧電トランスデューサに印加された振動は、少なくとも部分的に電気パワーに変換され、内部回路を動作させるためにエネルギー貯蔵デバイスに貯蔵され得る。
【0018】
前述のように、内部回路の送信機回路は、パルス幅変調を使用してコントローラ出力信号及び/又はデータ信号を作成するように構成され得る。本発明によれば、コントローラ出力信号及び/又はデータ信号は、発振信号部分及び一定信号部分によってそれぞれ形成された少なくとも1つのシーケンス、好ましくは複数のシーケンスを含む。発振信号部分の後に一定信号部分が直接続く場合があり、又はその逆の場合もある。少なくとも1つのシーケンスの合計持続時間及び/又は発振信号部分の持続時間及び/又は一定信号部分の持続時間は、2進値のうちの一方を特徴付ける。たとえば、第1の持続時間が2進値のうちの一方(たとえば、「0」)を特徴付け、異なる第2の持続時間が2進値のうちのそれぞれの他方(たとえば、「1」)を特徴付けるように、発振部分の持続時間が変化し得る。
【0019】
発振信号部分の振幅及び/又は周波数は一定であることが好ましい。一定信号部分の振幅は、一定であり、好ましくはゼロである。
【0020】
一実施例では、1つの発振信号部分の発振の数が、2つの可能な2進値のうちの一方を特徴付ける。たとえば、第1の数の発振は、2進値のうちの一方(たとえば「0」)を特徴付け、異なる第2の数の発振は、2進値のうちのそれぞれの他方(たとえば「1」)を特徴付ける。
【0021】
内部回路の送信機回路は、センサ情報が(音響)データ信号の周波数に含まれることなく、コントローラ出力信号及び/又はデータ信号を作成するように構成され得る。具体的には、外部回路において取得されるべきセンサ情報又は他の情報を符号化するために、発振部分の周波数変調は実行されない。
【0022】
送信機回路、たとえばセンサ・デバイスは、少なくともセンサ・デバイスからのセンサ情報を文字列として含む、送信すべき情報を提供するように構成されることが好ましい。この文字列は、たとえばASCIIコード又は文字を定義するための任意の他の知られているコードを使用することによって、2進値で符号化され得る。そうすることで、文字列を文字ごとに複数の2進値のワードに変換することができる。すでに上記で説明したように、このワードは、コントローラ出力信号を符号化するために使用される。
【0023】
コントローラ出力信号は、測定値以外の追加情報、たとえば測定のタイプを特徴付ける識別子を含み得る。測定値に関連付けられる識別子は、測定値を識別することを可能にする任意の記号又はワードとすることができ、たとえば「T」又は「Temp」を温度値に対する識別子として使用することができる。同様に、「P」又は「Pressure」を圧力値に対する識別子として使用することができ、且つ/又は「H」又は「Hum」を湿度値に対する識別子として使用することができる。これにより、内部回路で2つ以上のセンサ・デバイスを使用することが可能になる。したがって、コントローラ出力信号及びデータ信号は、2つ以上のセンサ・デバイスのセンサ情報を含み得る。
【0024】
本発明による好ましい実施例について、以下の添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】密閉コンテナの内部に配置された内部回路と、コンテナの外部に配置された外部回路とを含む検知装置の概略図である。
図2】内部回路及び外部回路の一実施例の概略図である。
図3】センサ情報を符号化及び復号するための好ましい方法を示す流れ図である。
図4】内部回路においてコントローラ出力信号を符号化するための好ましい原理の概略図である。
図5】センサ情報を音響データ信号に符号化するための内部回路での信号処理中、コンテナの壁を通した音響信号の送信中、及びセンサ情報を取得するための外部回路での信号処理中の信号形態の概略図である。
図6】一方はデータ伝送に使用される周波数量、他方は電力伝送に使用される周波数量の異なる周波数量を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、検知装置10の極めて概略的な図である。検知装置10は、密閉コンテナ11内の物理的パラメータを検出又は測定し、物理的パラメータを特徴付ける音響データ信号を作成し、音響データ信号をコンテナ11の外部にワイヤレスで送信するように構成される。本実施例では、検知装置10は、エネルギーをコンテナ11の中にワイヤレスで供給するようにさらに構成される。本明細書に記載の実施例において、コンテナ11は蒸留塔とすることができる。
【0027】
検知装置10は、密閉コンテナ11の内部に配置された内部回路12と、コンテナ11の外部に配置された外部回路13とを含む。内部回路12及び外部回路13は、送信側で音響振動を壁14に結合し、反対の受信側で音響振動を受信することによって、コンテナ11の壁14のうちの1つを通してワイヤレスで互いに通信する。
【0028】
内部回路12及び外部回路13はそれぞれ、内部回路12と外部回路13との間それぞれの、内部から外部へのデータ伝送用に構成されたある回路部分と、外部から内部への電力伝送用に構成された別の回路部分とを含む。具体的には、内部回路12は、送信機回路15及び受電回路16を含み、外部回路13は、受信機回路17及び給電回路18を含む。
【0029】
図2に、内部回路12及び外部回路13の好ましい実施例を概略的に示す。送信機回路15は、コンテナ11内の物理的パラメータを、たとえば、温度、圧力、湿度、又は任意の他の所望値として測定するように構成されたセンサ・デバイス22を備える。センサ・デバイスは、測定値に基づいてセンサ値SVを作成する。好ましい実施例では、センサ・デバイス22は、センサ値SV:sensor valueを含むセンサ情報SIを作成するように構成される。センサ情報SI:sensor informationは、送信機回路15の内部コントローラ23に送信される。この実施例では、センサ・デバイス22はライブラリを含み、図3をより詳細に参照して以下で説明するように、作成されたセンサ情報SIは文字列STR:string of charactersの形態を取り得る。
【0030】
内部コントローラ23は、センサ情報SIに基づいて、送信機回路15の第1の内部圧電トランスデューサ24を制御するために使用されるコントローラ出力信号OSを作成する。そうすることで、第1の内部圧電トランスデューサ24は、出力信号OSに対応する音響データ信号DS:acoustic data signalを生成する。送信機回路15の第1の内部圧電トランスデューサ24は、コンテナ11の壁14に結合され、したがって、音響データ信号DSをコンテナ11の壁14に結合するように配置され、その結果、音響データ信号DSは、前記壁14を通して送信され、コンテナ11の外部で受信され得る。
【0031】
第1の内部圧電トランスデューサ24は、圧力嵌めを作成し得る、且つ/又は嵌め合い及び/若しくは材料接合接続を形成し得る任意の適切な接続手段を使用することによって壁14に接続される。この実施例では、第1の内部圧電トランスデューサ24と壁との間に接続層25が設けられる。この接着性接続層25は、第1の内部圧電トランスデューサ24に対して、より弾性又は柔軟性のある支持体を提供し、第1の内部圧電トランスデューサ24が確実に振動又は発振できるようにする。接続層25は、第1の内部圧電トランスデューサ24を壁14に固定するための接着性層を形成できることが好ましい。たとえば、接着性接続層25として、アクリル材料を使用することができる。
【0032】
受信機回路17は、好ましくは第1の内部圧電トランスデューサ24と一直線に位置合せして壁14に結合された、第1の外部圧電トランスデューサ30を備える。第1の外部圧電トランスデューサ30は、第1の内部圧電トランスデューサ24と同様の任意の適切な接続手段によって、好ましくは接着性接続層25を使用することによって、壁14に接続され得る。
【0033】
受信機回路17は、増幅器31、コンパレータ32、及び外部コントローラ33をさらに備える。第1の外部圧電トランスデューサ30は、音響データ信号DSを受信し、音響データ信号DSに対応する発振アナログ・トランスデューサ出力信号TO:transducer output signalを作成する。第1の外部圧電トランスデューサ30は、増幅器31に接続されて、トランスデューサ出力信号TOを増幅器31に提供し、増幅器31は、増幅されたトランスデューサ出力信号TOA:amplified transducer output signalを出力する。増幅器は、コンパレータ32に接続されて、増幅されたトランスデューサ出力信号TOAをコンパレータ32の入力側に提供する。コンパレータ32は、増幅されたトランスデューサ出力信号TOAをデジタル化するように構成され、対応するコンパレータ信号CS:comparator signalを出力する。コンパレータ32は、コンパレータ信号CSを受信するように構成された外部コントローラ33に接続される。外部コントローラ33では、音響データ信号DSに含まれる情報、具体的にはセンサ情報SIが取得され、さらに処理又は出力され得る。本実施例では、図示のように、外部コントローラ33は、音響データ信号DSに含まれる取得された情報を、ディスプレイ34又は任意の他の適切なユーザインターフェースデバイス上に出力する。
【0034】
さらに図2を参照すると、外部コントローラ33は、給電回路18の制御可能な給電器(power supply)38を制御するようにさらに構成される。給電器38は電源39に接続され、電源39は、AC又はDC電源39とすることができる。電源39は、たとえば、AC電力を提供する送電網である。給電器38は、提供された電力を電源39からより高い周波数の交流信号に変換するスイッチング・ユニット40を備え得る。給電器38は、交流信号を増幅するためのドライバ・ユニット41をさらに備え得る。そうすることで、給電器38は交流供給信号AS:alternating supply signalを生成する。図6に概略的に示すように、交流供給信号ASは、方形波信号とすることができる。給電器38は、電源39によって提供される電力を交流供給信号ASに変換するために、任意の既知の変換器トポロジを使用することができる。交流供給信号ASは、給電器38から出力され、第2の外部圧電トランスデューサ42を制御するために使用される。第2の外部圧電トランスデューサ42は、内部回路12の受電回路16への送信のために、壁14に結合される音響パワー信号PS:acoustic power signalを作成する。
【0035】
音響パワー信号PSは超音波信号であることが好ましい。本実例では、交流供給信号AS及び音響パワー信号PSの周波数は、少なくとも1MHzである。交流供給信号AS及び音響パワー信号PSの周波数は、一定であり得る。
【0036】
第2の外部圧電トランスデューサ42は、音響パワー信号PSを壁14に結合するために、第1の外部圧電トランスデューサ30から離れた位置又は直接隣接する位置で壁14に接続される。音響パワー信号PSの受信のために、受電回路16は、好ましくは第2の外部圧電トランスデューサ42と一直線に位置合せして壁14に結合された、第2の内部圧電トランスデューサ43を備える。第2の内部圧電トランスデューサ43は、壁14を通して受信された音響パワー信号PSに対応する電気パワー信号PE:electric power signalを作成するように構成される。
【0037】
他の圧電トランスデューサ24、30と同様に、第2の外部圧電トランスデューサ42及び第2の内部圧電トランスデューサ43もまた、任意の適切な接続手段によって、好ましくは接着性接続層25を使用することによって壁14に接続され得ることに留意されたい。好ましい実施例では、圧電トランスデューサ24、30、42、43のすべての共振周波数量は、約40kHzである。代替として、トランスデューサの各対は、異なる共振周波数を有し得る。互いに通信するために設けられた共通の1対24、30及び42、43のトランスデューサは、好ましくは同じ共振周波数を有し、同一であり得る。
【0038】
第2の内部圧電トランスデューサ43に加えて、受電回路16は、DC変換器44と、エネルギー貯蔵デバイス45とを備える。DC変換器44は、電気パワー信号PEの受信のために、第2の内部圧電トランスデューサ43に直接接続されることが好ましい。DC変換器44は、交流電気パワー信号PEを、内部回路12の構成要素を動作させるのに適したDC電圧DCV:DC voltageに変換するように構成される。本発明の1つの好ましい実施例では、DC電圧DCV量は、約5Vであり得る。エネルギー貯蔵デバイス45は、DC変換器44の出力に接続される。DC変換器44によって提供される電気パワーは、エネルギー貯蔵デバイス45内に貯蔵される。DC変換器44は、DC変換器44の出力及びエネルギー貯蔵デバイス45において、DC電圧DCVを制御するように構成される。
【0039】
具体的には、図2に示すように、DC変換器44は、整流器46、たとえば、ダイオードブリッジを備え得る。ダイオードブリッジは、好ましくは、電気パワー信号PEを整流するため、したがって整流されたパワー信号PRを提供するための4つのダイオードを備える。整流器46は、制御可能なスイッチング要素を含まずダイオードのみで形成されることが好ましい。整流器46と直列の電圧制御器47は、整流されたパワー信号PRを受信し、DC電気パワーをエネルギー貯蔵デバイス45に供給し、それによってDC電圧DCVを事前設定されたDC電圧値に対応するように制御するように構成される。好ましい実施例では、エネルギー貯蔵デバイス45は、少なくとも1つのコンデンサ48を備える。エネルギー貯蔵デバイス45は、好ましくは、電気エネルギーを貯蔵するための1つ又は複数のコンデンサ48によってのみ形成される。図2に示すように、制御されたDC電圧DCV及び貯蔵されたエネルギーは、送信機回路15、具体的には内部コントローラ23及び/又はセンサ・デバイス22を動作させるために提供される。
【0040】
すでに述べたように、コンテナ11は蒸留塔とすることができる。内部回路12は、約225℃の温度及び蒸留塔内で処理される化学物質にさらされる。したがって、内部回路12に使用される構成要素は、これらの過酷な条件に耐えなければならない。好ましい実施例では、内部回路12に以下の構成要素が使用される。
- 内部コントローラ23として、Honeywell HT83C51
- セラミックコンデンサ48、たとえば、Kemet TCRシリーズ
- 電圧制御器47として、Honeywell HTPLREG
- 整流器46のダイオードブリッジを形成するための2つのCHT-CALLISTO(それぞれ2つのダイオードを含む)
- 圧電トランスデューサとして、TRS TechnologiesのTRS200HD
【0041】
内部回路12全体は、保護用プラスチック材料、たとえばエポキシに包み込まれていることが好ましい。任意選択として、内部回路12は、追加として又は代替として、蒸留塔内で処理される化学物質のタイプに応じて、保護用筐体内に配置され得る。
【0042】
受電回路16のエネルギー貯蔵デバイス45内に十分なエネルギーを確実に貯蔵するには、様々な可能性が存在する。この実施例では、外部コントローラ33は、規則的な事前定義された時間間隔で、又は代替として、要求を受信した時などの任意のトリガイベント時に、給電回路18を起動させ得る。給電回路18の起動に続いて、決定された電力伝送期間の間に、音響パワー信号PSが作成される。この電力伝送期間中、音響パワー信号PSは、1MHz以上の一定周波数を有し得る。電力伝送期間の持続時間は、送信機回路15を動作させて少なくとも1つの音響データ信号DSを受信機回路17に送信できるようにするのに十分な電気パワーが受電回路16に伝送される程度に、十分な長さである。この手順により、受電回路16へのエネルギー伝送を、音響データ信号DSを用いて実際のセンサ情報SIを送信するためのトリガ又は要求として使用することも可能になる。
【0043】
図3図5を参照して、データ伝送用に作成及び使用される信号について詳細に説明する。
【0044】
前述のように、センサ・デバイス22はセンサ値SVを測定し、センサ値SVに基づいて、文字列STRの形式のセンサ情報SIが作成され、内部コントローラ23に送信される。図3の実例では、センサ・デバイス22は温度センサであり、文字列STRは、測定されたセンサ値SVが温度値であることを示す識別子(たとえば、「T」若しくは「Temp」又は「T=」若しくは「TEMP=」)を含む。識別子は、文字列STRの先頭にあり得る。識別子に続いて、測定されたセンサ値SV(たとえば、温度値)がそれぞれの単位とともに文字列STRに含まれる。
【0045】
図示の実施例の代替として、センサ値SVは、センサ・デバイス22から内部コントローラ23に送出され得、内部コントローラ23は、文字列STRを作成するように構成され得る。
【0046】
識別子は、文字列STR内の既定数の文字を含むことが好ましい。また、センサ値SV及び単位は、文字列STR内の既定数の文字を含み得る。そうすることで、内部コントローラ23は、文字列STRが事前定義された合計文字数を含むかどうかの妥当性確認を実行することができる。これにより、作成又は送信された文字列STRにおける少なくともいくつかの障害を検出することが可能になる。
【0047】
内部コントローラ23によって、この文字列STRは、複数の2進値(0又は1)を含む2進ワードBW:binary wordに変換される。文字列STRを変換するために、ASCIIコード又は任意の他の適切なコードが使用され得る。この実例では、ASCIIコードを使用することによって、文字列STR内の各文字がASCIIコード番号に変換され、このASCIIコード番号は、定義された長さ、たとえば8ビットの長さのビットシーケンスを形成する2進数に変換される。したがって、各ビットシーケンスは、文字列STRの1文字に対応する。たとえば、識別子の最初の文字は「T」であり、「T」はASCIIコード値020に対応し、ASCIIコード値020は、8ビットシーケンス00010100に対応する。すべてのビットシーケンスが追加されて、2進ワードBWが形成される。このようにして、文字列STR内のすべての文字がビットシーケンスに変換され、連結されて完全な2進ワードBWが形成される。
【0048】
送信機回路15が2つ以上のセンサ・デバイス22も含み得ることに留意されたい。内部コントローラ23は、1つ又は複数のセンサ・デバイス22から送信される2つ以上の文字列STRを追加して、1つの2進ワードBWを形成し得る。2進ワードBWに含まれる識別子により、含まれる各センサ値SVを識別することが可能になる。
【0049】
2進ワードBWを作成した後、内部コントローラ23は、図4に概略的に示すように、2進ワードBWに基づいて、パルス幅変調コントローラ出力信号OSを作成する。
【0050】
コントローラ出力信号OSは、発振信号部分PO:oscillating portion of the output signal及び一定信号部分PC:constant portion of the output signalによってそれぞれ形成された複数のシーケンスSを含むように形成される。発振信号部分POは、一定の周波数を有する方形波信号であることが好ましく、すべてのパルスが同じピーク値を有し得る。一定信号部分PCは一定の振幅を有し、たとえば、一定信号部分PCの振幅はゼロであり得る。したがって、各シーケンスSは、バーストシーケンスと見なされ得る。
【0051】
本実施例では、信号部分PO、PCのうちの少なくとも一方の持続時間は、関連値にそれぞれ対応する異なる持続時間量が指定されるように変化する。この実例では、2つの異なる持続時間量、すなわち、1つずつ2進値0又は1が定義されている。それぞれ異なる持続時間数が使用される場合、2つ以上の異なる値を区別することも可能である。
【0052】
具体的には、図4に示すように、発振信号部分POは、2進値0に対応する第1の持続時間t1若しくは2進値1に対応する第2の持続時間t2のいずれか、又はその逆を有する。個々のシーケンスSの発振信号部分POを互いに区別するために、各発振信号部分POの後に一定信号部分PCが続く。この実例では、第2の持続時間t2は、第1の持続時間t1よりも短い。第1の持続時間t1は、第2の持続時間t2よりも少なくとも1.5~2.0倍長い場合がある。好ましい一実施例では、第1の持続時間t1は4msであり、第2の持続時間t2は2msである。この持続時間の差異により、信号送信がノイズを受けている場合でも、符号化された2進値0と1とを明確に区別することが可能になる。
【0053】
一定信号部分PCは、好ましくは、少なくとも第1の持続時間t1と同じ長さである一定の第3の持続時間t3を有する。この実施例では、第3の持続時間t3は、第1の持続時間t1よりも少なくとも2.0倍長い。第2の持続時間t3の量は、10msである。一定信号部分PCの第3の持続時間t3を一定に保ち、発振信号部分POの持続時間を変化させると、図4に示すようにシーケンスSの合計持続時間が変化し、信号送信の合計時間が可能な限り短く保たれる。
【0054】
音響データ信号DSは、パルス幅変調コントローラ出力信号OSに基づいて第1の内部圧電トランスデューサ24によって作成され、第1の外部圧電トランスデューサ30への送信のために壁14に結合される。図5に示すように、音響データ信号DSの振幅は、送信中の減衰効果に起因して減少し得る。したがって、トランスデューサ出力信号TOは、音響データ信号DSと比較して振幅が小さい。この理由から、増幅器31が設けられ、トランスデューサ出力信号TOを増幅するように構成される。したがって、増幅されたトランスデューサ出力信号TOAは、トランスデューサ出力信号TOと比較して振幅が大きい。増幅されるトランスデューサ出力信号TOAの振幅が大きくなると、増幅されたトランスデューサ出力信号TOAをデジタル化してコンパレータ信号CSを形成する際に、コンパレータの識別精度が向上する。図5に概略的に示すように、コンパレータ信号CSは、一定の振幅を有する部分によって互いに分離された方形波交流部分を含む。したがって、コンパレータ信号は、コントローラ出力信号OSに含まれるシーケンスSをマッピングするデジタル信号である。
【0055】
図4を再び参照すると、外部コントローラ33は、コンパレータ信号CSを受信する。含まれるセンサ情報SIを取得するために、外部コントローラ33は、コンパレータ信号CS内の個々の交流部分のパルスをカウントする。コンパレータ信号CSの1つの個々の交流部分に含まれるパルス数に応じて、外部コントローラ33は、コンパレータ信号CSのこの交流部分が2進値0に対応するか2進値1に対応するかを判定する。具体的には、コンパレータ信号CSの個々の交流部分が第1の数のパルス(たとえば、160パルス)を有する場合、そのコンパレータ信号CSは、第1の持続時間t1を有する発振信号部分POに基づいて作成されたものであり、コンパレータ信号CSの個々の交流部分が、第2のパルス数(たとえば、80パルス)を有する場合、そのコンパレータ信号CSは、第2の持続時間t1を有する発振信号部分POに基づいて作成されたものである。そうすることで、2進ワードBWは、外部コントローラ33によって復号され得る。
【0056】
後続のステップにおいて、外部コントローラ33は、2進ワードBWを再び文字列STRに変換するために、内部コントローラ23と同じコード、この実施例ではASCIIコードを使用する。復号された文字列STRは、表示され得る、且つ/又はその他の方法で使用され得る。
【0057】
上記で説明したようにパルス幅変調コントローラ出力信号OSにおけるパルス幅変調の方法に基づいて、送信すべき情報を符号化すると、送信機回路15及び受信機回路17の複雑性が著しく低下する。コントローラ出力信号OSの振幅、位相、又は周波数を変調することによって情報が符号化されることはない。また、パルス幅変調コントローラ出力信号OS及び対応する音響データ信号DSはノイズの影響を受けず、含まれる情報の正しい復号は、単純であり耐性がある。
【0058】
発振信号部分POの周波数は、図6に概略的に示すように、交流供給信号AS及び音響パワー信号PSの周波数よりも著しく低いことが好ましい。これにより、両方の信号PS、DSが同時に又は重複する期間で送信される場合に、音響パワー信号PSと音響データ信号DSとの間の干渉が回避される。発振信号部分POの周波数量は、トランスデューサの共振周波数量に対応する、たとえば40kHzであり得る。交流供給信号ASの周波数。
【0059】
情報送信の複雑性が低く、必要な構成要素の数が少ないため、送信回路15の消費電力は低い。また、内部回路12に必要なスペースは小さく、約60cmとすることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 検知装置
11 コンテナ
12 内部回路
13 外部回路
14 コンテナの壁
15 送信機回路
16 受電回路
17 受信機回路
18 給電回路
22 センサ・デバイス
23 内部コントローラ
24 第1の内部圧電トランスデューサ
25 接続層
30 第1の外部圧電トランスデューサ
31 増幅器
32 コンパレータ
33 外部コントローラ
34 ディスプレイ
38 給電器
39 電源
40 スイッチング・ユニット
41 ドライバ・ユニット
42 第2の外部圧電トランスデューサ
43 第2の内部圧電トランスデューサ
44 DC変換器
45 エネルギー貯蔵デバイス
46 整流器
47 電圧制御器
48 コンデンサ
AS 交流供給信号
BW 2進ワード
CS コンパレータ信号
DCV DC電圧
DS 音響データ信号
PS 音響パワー信号
OS 出力信号
PE 電気パワー信号
PC 出力信号の一定部分
PO 出力信号の発振部分
PR 整流されたパワー信号
PS 音響パワー信号
S シーケンス
SI センサ情報
STR 文字列
SV センサ値
t1 第1の持続時間
t2 第2の持続時間
t3 第3の持続時間
TO トランスデューサ出力信号
TOA 増幅されたトランスデューサ出力信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】