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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】溶接アークの点火方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/067 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
B23K9/067
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507455
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2020069919
(87)【国際公開番号】W WO2021023485
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】19190196.6
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504380611
【氏名又は名称】フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゼリンガー、ドミニク
【テーマコード(参考)】
4E082
【Fターム(参考)】
4E082AA01
4E082AB01
4E082BA04
4E082EB01
(57)【要約】
消耗溶接ワイヤ電極(SDE)のワイヤ端とワークピース(W)との間の溶接アーク(SLB)を点火及び/又は再点火する方法及び装置であって、消耗溶接ワイヤ電極、SDE、のワイヤ端がワークピース(W)の表面と接触又は短絡するまでに必要な距離(S)又は時間期間を決定すること(S1)と、決定された距離(S)又は時間期間に応じて設定された点火エネルギ、E、で溶接アーク(SLB)を点火すること(S2)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事象の後に消耗溶接ワイヤ電極、SDE、のワイヤ端とワークピース(W)との間の溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行う方法であって、
(a)前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の表面と接触又は短絡するまでに、もしくは前記溶接アーク(SLB)が点火するまでに必要な距離(S)又は時間期間を決定すること(S1)と、
(b)前記決定された距離(S)又は時間期間に応じて設定された点火エネルギ、E、で前記溶接アーク(SLB)を点火すること(S2)と、を含む方法。
【請求項2】
溶融位置、SS、で形成された前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡するまでに進む前記距離(S)は、前記ワイヤ搬送速度(V)及び検出された時間差、Δt、に応じて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶融位置(SS)で形成された前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡するまでに進む前記距離(S)は、ワイヤ搬送加速度、a、及び検出された時間差、Δt、に応じて決定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出された時間差、Δt、は、前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)を切断する又は前記溶接アークが消滅する時間、t、と、前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡する時間、t、との間の期間を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡するまでに必要な前記距離(S)又は時間期間がセンサによって測定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、は、距離(S)の増加が決定されるとき、又は時間期間の増加が決定されるときに、自動的に高く設定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記距離(S)又は検出された時間差値の様々な距離値に対して、溶接パラメータ、SP、の関連するパラメータセットがパラメータセットメモリから読み出され、前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、が前記溶接パラメータ、SP、の読み出されたパラメータ値に従って設定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータセットは、前記点火作業中の前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の、点火電流、I、点火電圧、U、パルス周波数、ワイヤ搬送速度、V、及びワイヤ搬送加速度、a、の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、は、前記決定された距離(S)又は決定された時間期間に応じて、記憶された特性曲線に従って自動的に設定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、は、前記決定された距離(S)又は時間期間に応じて計算される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
短絡の検出後に前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)を切断するための電流振幅は、比伝導度の前記溶接ワイヤ電極(SDE)の直径、及び前記溶接ワイヤ電極(SDE)の比熱容量の少なくとも一方に応じて設定される、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
消耗溶接ワイヤ電極(SDE)のワイヤ端とワークピース(W)との間の溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行う点火装置(1)であって、
-前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の表面と接触又は短絡するまでに、もしくは前記溶接アークが点火するまでに必要な距離(S)又は時間期間を決定するのに適した決定ユニット(2)と、
-前記距離(S)又は時間期間に応じて、前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための点火エネルギ、E、を設定するのに適した設定ユニット(3)と、を備える、点火装置(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の点火装置(1)と、溶接トーチ(4)と、を備える、アーク溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端とワークピースとの間の溶接アークを点火及び/又は再点火する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接では、ワークピースと溶接ワイヤ電極との間で溶接アークが発生する。溶接ワイヤ電極はプロセス中に溶融することで、同時に溶加材として機能する。溶接アークは、ワークピースと溶接ワイヤ電極との間で発生し、4000Kを超える温度に達する。溶接アークはワークピースの非常に小さな面に作用するため、アーク溶接の出力密度が比較的高くなる。これにより、溶接速度が速くなる。溶接アークは、溶接ワイヤ電極がワークピースに接触する、いわゆる接触点火によって点火される。短絡に起因して大電流が流れ、溶接ワイヤ電極の先端又は溶接ワイヤ端が溶けて、溶接アークを点火する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、点火作業の間、溶接ワイヤ電極の溶接ワイヤ端は、工具の表面に接触したときに工具の表面に溶接されたままとなることがあるため、溶接アークの点火を阻むことがある。さらに、溶接ワイヤ端とワークピースの表面との間の溶接アークは、溶接プロセス中に切れる可能性があるため、溶接アークの再点火が必要になる。従来の溶接アーク法の場合、溶接ワイヤ電極のワイヤ端の熱状態は考慮されていない。その結果、従来の溶接アーク法の場合、溶接ワイヤ電極の溶接ワイヤ自由端に適切な点火エネルギが供給されないため、再点火時にアーク切れや溶接開始不良が発生する可能性がある。
【0004】
したがって、本発明の目的は、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端とワークピースとの間の溶接アークを点火又は再点火する方法及び装置であって、溶接開始不良を防止し、溶接作業中に溶接アークを確実に点火又は再点火する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって達成される。
本発明は、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端とワークピースとの間の溶接アークを点火及び/又は再点火する方法を適切に提供し、方法は、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ自由端がワークピースの表面と接触又は短絡するまでに必要な距離又は時間期間(zeitdauer)を決定することと、決定された距離又は決定された時間期間に応じて設定された点火エネルギで溶接アークを点火することと、を含む。
【0006】
本発明による方法の1つの可能な実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ自由端は、溶接ワイヤ電極を溶融位置(einer schmelzstelle、融点)で切断することによって形成される。
【0007】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接ワイヤ電極の切断は、溶接ワイヤ電極に大電流を印加することによって、及び/又はワイヤ供給速度を減速させる又はマイナスにすることによって行われる。
【0008】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接ワイヤ電極の切断は、溶接ワイヤ電極とワークピースとの間で短絡が検出されるとすぐに、電流を印加することによって、及び/又はワイヤ供給速度を減速させることによって行われる。
【0009】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極は、溶接アークが発生している間、ワイヤ搬送速度でワークピースの表面に向かって搬送される。
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接アークの消滅は、溶接ワイヤ電極の搬送中に確認される。
【0010】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶融位置で形成された消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端がワークピースの表面と接触又は短絡するまでに進む距離は、ワイヤ搬送速度及び/又は検出された時間差に応じて決定される。
【0011】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶融位置で形成された消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端がワークピースの表面と接触又は短絡するまでに進む距離は、ワイヤ搬送加速度及び検出された時間差に応じて決定される。
【0012】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、検出された時間差は、消耗溶接ワイヤ電極を切断する及び/又は溶接アークが消滅する時間と、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端がワークピースの表面と接触又は短絡する時間との間の期間を含む。
【0013】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端がワークピースの表面と接触又は短絡するまでに必要な距離又は時間期間がセンサによって測定される。
【0014】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接アークを点火及び/又は再点火するための点火エネルギは、距離の増加が決定されるとき、又は時間期間の増加が決定されるときに、通常の点火エネルギよりも自動的に高く設定される。
【0015】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、距離又は検出された時間差値の様々な距離値に対して、溶接パラメータの関連するパラメータセットがパラメータセットメモリから読み出され、溶接アークを点火及び/又は再点火するための点火エネルギが溶接パラメータの読み出されたパラメータ値に従って設定される。
【0016】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、パラメータセットは、点火作業中の消耗溶接ワイヤ電極の、点火電流、I、点火電圧、U、及び/又はパルス周波数及び/又はワイヤ搬送速度、V、及び/又はワイヤ搬送加速度、a、を有する。
【0017】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接プロセスは、点火フェーズ、プロセス開始フェーズ、及びメインプロセスフェーズを含み、異なるフェーズでそれぞれ実行される点火作業の点火エネルギは、本発明による点火方法に従って設定される。
【0018】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接アークを点火及び/又は再点火するための点火エネルギは、決定された距離又は決定された時間期間に応じて、記憶された特性曲線に従って自動的に設定される。
【0019】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、溶接アークを点火及び/又は再点火するための点火エネルギは、決定された距離又は決定された時間期間に応じて決定又は計算される。
【0020】
本発明による方法のさらなる可能な実施形態では、短絡の検出後に消耗溶接ワイヤ電極を切断するための電流振幅は、溶接ワイヤ電極の直径に応じて、及び/又は溶接ワイヤ電極の電気伝導度及び比熱容量に応じて、設定される。
【0021】
第2の態様によれば、本発明は、請求項12に記載の特徴を有する点火装置をさらに提供する。
本発明は、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端とワークピースとの間の溶接アークを点火及び/又は再点火する点火装置を適切に提供し、装置は、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ自由端がワークピースの表面と接触又は短絡するもしくは溶接アークを点火するまでに必要な距離又は時間期間を決定するのに適した決定ユニットと、距離又は時間期間に応じて、溶接アークを点火及び/又は再点火するための点火エネルギを設定するのに適した設定ユニットと、を備える。
【0022】
さらに、さらなる態様によれば、本発明は、本発明の第2の態様による点火装置を含むアーク溶接装置を提供する。
本発明による方法及び本発明による点火装置の可能な実施形態は、同封の図を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による点火方法の例示的な実施形態を説明するための概略流れ図である。
図2】本発明による点火装置の1つの可能な実施形態のブロック図である。
図3】本発明による点火方法の動作態様を説明する図である。
図4】本発明による点火方法の動作態様を説明するさらなる図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端とワークピースWとの間の溶接アークSLBを点火及び/又は再点火する本発明による点火方法は、図1に概略的に示されるように、基本的に2つの主要なステップを有する。
【0025】
第1のステップS1において、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触するまで又は短絡するまでに必要な距離S又は時間期間(eine zeitdauer)が決定される。
【0026】
さらなるステップS2において、決定された距離S又は決定された時間期間に応じて設定された点火エネルギEで溶接アークSLBが点火される。したがって、図1に示すように、溶接アークSLBを点火及び/又は再点火する点火方法は、溶接ワイヤ電極SDEの自由端の現在の熱状態を考慮する。これにより、溶接アークを点火するために溶接ワイヤ端に不十分又は過剰な点火エネルギが印加されるのを防止する。これにより、アーク切れを防ぐことができる。さらに、溶接アークSLBを点火する際の溶接開始不良が回避される。
【0027】
1つの可能な実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端は、溶接ワイヤ電極を溶融位置SSで切断することによって形成してもよい。1つの可能な実施形態では、この溶接ワイヤ電極SDEの切断は、溶接ワイヤ電極に大電流Iを印加することによって行われる。溶接ワイヤ電極SDEは、溶接ワイヤ電極SDEとワークピースWとの間の長時間の短絡又は接触が検出されるとすぐに、電流の印加によって切断される。
【0028】
溶接ワイヤ電極SDEは、発生している溶接アークSLBによりワイヤ搬送速度VでワークピースWの表面に向かって搬送される。溶接ワイヤ電極SDEを搬送するための溶接アークSLBが消滅した場合、1つの可能な実施形態では、これを検出することができる。
【0029】
1つの可能な実施形態では、溶融位置SSで形成された消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡するまでに進む距離Sは、既知のワイヤ搬送速度V及び検出された時間差Δtに応じて決定される。
【0030】
1つの可能な実施形態では、検出された時間差は、電流の印加によって消耗溶接ワイヤ電極SDEを切断する時間と、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡する時間、もしくは溶接アークの点火時間との間の期間を含む。
【0031】
代替的に、検出された時間差は、溶接アークSLBの消滅が検出された時間と、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡する時間、もしくは溶接アークの点火時間との間の期間を含んでもよい。
【0032】
本発明による方法のさらなる可能な代替実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡するまでに必要な距離S又は時間期間がセンサによって測定される。
【0033】
本発明による方法の1つの可能な実施形態では、溶接アークSLBを点火又は再点火するための点火エネルギEは、距離の増加が決定されるとき、又は時間期間の増加が決定されるときに、自動的に高く設定される。
【0034】
1つの可能な実施形態では、図1に示される方法において、距離又は検出された時間差値の様々な距離値に対して、溶接パラメータSPの関連するパラメータセットがパラメータセットメモリから読み出され、溶接アークSLBを点火及び/又は再点火するための点火エネルギEが溶接パラメータSPの読み出されたパラメータ値に従って設定される。
【0035】
パラメータセットは、点火作業中の消耗溶接ワイヤ電極SDEの、点火電流I、点火電圧U、及び/又はパルス周波数及び/又はワイヤ搬送速度V、及び/又はワイヤ搬送加速度aなどのパラメータを含み得る。追加的又は代替的に、点火電流時間及び/又は点火電圧時間などのパラメータを含めてもよい。したがって、パラメータセット又は複数のパラメータは、設定された又は選択された溶接プロセス(例えば、短絡溶接プロセス又はパルス溶接プロセスなど)に従って選択される。
【0036】
1つの可能な実施形態では、溶接アークSLBを点火及び/又は再点火するための点火エネルギEは、決定された距離及び/又は決定された時間期間に応じて、記憶された特性曲線に従って自動的に設定される。1つの可能な実施形態では、溶接アークSLBを点火及び/又は再点火するための点火エネルギEは、決定された距離及び/又は決定された時間期間に応じて、コンピューティングユニットによって計算される。これは、選択された溶接プロセス及び事象に適合した態様で適切に行われる。点火エネルギは、通常の点火と比較して最大で90%変化させることができる。
【0037】
1つの可能な実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極SDEを切断するための又は短絡が検出された場合の電流振幅は、溶接ワイヤ電極SDEの直径に応じて設定される。溶接ワイヤ電極SDEの直径が大きいほど、消耗溶接ワイヤ電極SDEを切断するために必要な電流振幅が大きくなる。さらに、消耗溶接ワイヤ電極SDEを切断するための電流振幅は、溶接ワイヤ電極SDEの電気伝導度及び比熱容量に応じて設定されてもよい。
【0038】
図2は、本発明のさらなる態様における本発明による点火装置1の1つの可能な実施形態のブロック図を示す。図2に示す点火装置1は、決定ユニット2と設定ユニット3とを備えている。点火装置1は、図2に概略的に示されるように、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端とワークピースWとの間の溶接アークSLBを点火及び/又は再点火するために使用される。溶接ワイヤ電極SDEは、溶接トーチ4上に配置されており、スプールから巻き戻されてワークピースWに向かって搬送することができる。1つの可能な実施形態では、溶接ワイヤ電極SDEは、所定の既知のワイヤ搬送速度Vで搬送される。点火装置1の決定ユニット2は、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡するまでに、もしくは点火するまでに、必要な距離S又は時間期間を決定するように設計されている。1つの可能な実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触するまでに進む距離Sは、溶接ワイヤ電極の既知のワイヤ搬送速度V及び検出された時間差に応じて決定ユニット2によって決定される。代替的に、消耗溶接ワイヤ電極のワイヤ端が、ワークピースWの表面と接触又は短絡するまでに、もしくは点火するまでに、進む距離Sは、既知のワイヤ搬送加速度a及び検出された時間差Δtに応じて決定ユニット2によって計算されてもよい。1つの可能な実施形態では、検出された時間差Δtは、電流の印加によって消耗溶接ワイヤ電極SDEを切断する時間と、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡する時間、もしくは溶接アークSLBの点火時間との間の期間を含む。さらに、検出された時間差Δtは、溶接アークSLBの消滅が確認された時間と、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡する時間、もしくは溶接アークSLBの点火時間との間の期間を含んでもよい。
【0039】
本発明による点火装置1のさらなる可能な実施形態では、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面と接触又は短絡するまでに必要な距離S又は時間期間が、センサを用いて測定され、決定ユニット2に伝達される。この実施形態では、点火装置1は、タイマ又はクロックを有する。
【0040】
点火装置1の設定ユニット3は、決定された距離及び/又は決定された時間期間に応じて、溶接アークSLBを点火及び/又は再点火するための点火エネルギEを自動的に設定するように設計されている。溶接アークSLBを点火及び/又は再点火するための点火エネルギEは、決定された距離S又は時間期間に応じて計算される。溶接アークSLBを点火及び/又は再点火するための点火エネルギは、距離の増加が決定される及び/又は時間期間の増加が決定されるときに、設定ユニット3によって自動的に高く設定される。距離又は必要な時間期間が長いほど、消耗溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端が冷却され、多くの冷却されたワイヤが供給されるため、溶接ワイヤ電極SDEを点火又は再点火するには、より高い点火エネルギEが必要になる。
【0041】
1つの可能な実施形態では、距離S又は検出された時間差値の様々な距離値に対して、溶接パラメータSPの関連するパラメータセットが点火装置1のパラメータセットメモリに記憶される。これらは、設定ユニット3によって読み出される。溶接アークを点火及び/又は再点火するための点火エネルギEは、溶接パラメータSPの読み出されたパラメータ値に従って設定ユニット3によって設定される。1つの可能な実施形態では、読み出されたパラメータセットは、点火作業中の消耗溶接ワイヤ電極SDEの、点火電流I、点火電圧U、ワイヤ搬送速度V、及び/又はワイヤ搬送加速度aを含み得る。パルスアークの場合、パラメータセットはパルス周波数を追加的に含み得る。さらなる可能な実施形態では、溶接アークを点火及び/又は再点火するための点火エネルギEは、決定された距離S及び/又は決定された時間期間に応じて、記憶された特性曲線に従って設定ユニット3によって自動的に設定されてもよい。図2に示す点火装置1は、アーク溶接装置に組み込まれているため、溶接プロセスを実行することができる。アーク溶接装置のさらなる必要な構成要素は、一般的に知られており、ここでは説明しない。
【0042】
図3は、本発明による点火装置1の動作態様を概略的に示す。時刻tにおいて、溶接ワイヤ電極SDEは、ワイヤ搬送速度Vで、ワークピースWの表面に向かう方向に搬送される。溶接アークSLBは、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ自由端とワークピースWの表面との間に存在し得る。しかし、時刻txにおいて、誤動作などに起因してSLBが消滅する。SLBの消滅は、「x」で象徴的に示されている。この事象により、経路測定(Wegmessung)が有効になる。時刻tにおいて、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面に接触する。接触により、溶接アークSLBが点火する。時刻tにおける接触は、検出することができる。このプロセスにおいて、わずかな材料の変化が生じることがある。溶接ワイヤ電極SDEの先端で一部の材料が溶け出る。時刻tにおいて、図3に概略的に示すように、溶接ワイヤ電極SDEは、減速された供給速度VでワークピースWの表面に移動し、溶接アークSLBは、少なくとも測定された距離に応じて設定された点火エネルギEで点火される。代替実施形態では、溶接ワイヤ電極SDEは、時刻tにおいてワークピースWの表面から離れるように移動してもよい。設定された点火エネルギEは、接触した時刻tにおける溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端の熱状態を考慮している。進む距離S又はこれに必要な時間Δtが大きいほど、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端が冷却される、及び/又は多くの冷却ワイヤが供給される。本発明による方法及び本発明による点火装置1では、溶接アークを点火のための高い点火エネルギEが設定される。
【0043】
図4は、溶接作業の開始手順中に、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端がワークピースWの表面をつつく、又は接触して溶接される状況を示す。時刻tにおいて、溶接ワイヤ電極SDEは、既知のワイヤ搬送速度Vで、ワークピースWの表面に向かう方向に移動し、溶接アークSLBが発生し得る。最初の点火の前に、時刻tにおいて溶接アークSLBは発生しない。時刻tにおいて、溶接ワイヤ電極SDEの溶接ワイヤ端は、ワークピースWの表面に接触し、望ましくないことに、溶接ワイヤ電極SDEの端片は、ワークピースWの表面に付着したままとなる。これを切り離すために、時刻tにおいて、付着している溶接ワイヤ電極SDEに電流振幅の大きい電流Iを流し、溶接ワイヤ電極SDEを切断する。さらに、時刻tにおいて、ワイヤ供給速度Vを減速してもよい。図4に示すように、これにより、時刻tにおいて溶融位置SSで消耗溶接ワイヤ電極SDEの新しいワイヤ端が得られる。大きな印加電流Iに起因して、図4の時刻txにおいてハッチングで示した溶接ワイヤ電極SDEの下側の分離部分は液体になり、吹き飛ばすことができる。これは事象として確認され、経路測定が開始/アクティブ化される。同様に、溶接ワイヤ電極SDEの新しく形成された溶接ワイヤ端は、ワイヤ搬送速度VでワークピースWの表面に向かう方向に搬送される。図4に示すように、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端(溶融位置SSで新たに形成された)は、時刻tにおいてワークピースWの表面に接触する。この接触により、時刻tにおいて溶接アークSLBが点火する。1つの可能な実施形態では、溶融位置SSで形成された新しい溶接ワイヤ端を、その後、ワークピースWの表面から戻してもよい。図4に示すシナリオでは、溶接ワイヤ電極SDEの新しく形成されたワイヤ端は、大きな印加電流Ibに起因して溶融位置SSで強く加熱されるため、例えば溶接作業の開始時での溶接ワイヤ電極のワイヤ端よりも著しく暖かい。この追加情報は、時刻tでの点火エネルギEを設定するために、好ましくは点火装置1の設定ユニット3によって考慮される。
【0044】
溶接ワイヤ電極SDEのワークピースの表面への溶接プロセス中(時刻t)の望ましくない付着(事象)の結果として、溶融位置SSを形成するために大電流I(t)を溶接ワイヤ電極SDEに印加する場合、時刻tにおいて必要なSLBの点火エネルギEは、それに応じてtにおいて低く設定できる。したがって、この実施形態では、点火エネルギEは、好ましくは、決定された距離S又はこれに必要な時間期間に応じてだけでなく、時刻tにおいて流れる切断電流Iの振幅にも応じて設定される。溶接ワイヤ電極SDEを溶融するために提供される電流Iの電流振幅が大きいほど、時刻tにおいて溶接アークSLBを再点火するための点火エネルギEを設定ユニット3によって低く設定することができる。1つの可能な実施形態では、溶接ワイヤ電極SDEに導入される熱又はエネルギが決定、特に溶接パラメータ及び溶接ワイヤ電極SDEの既知の材料特性に基づいて計算される。決定された入熱が高いほど、点火エネルギEは低く設定される。
【0045】
さらなるシナリオでは、溶接アークSLBの切れ(事象)が溶接作業中に検出される可能性がある。溶接アークSLBが切れてから溶接ワイヤ電極SDEがワークピースWの表面に接触するまでの時間を測定又は記録することができる。記録された時間期間が長いほど、溶接ワイヤ電極SDEの端部が冷却され、点火装置1の設定ユニット3によって設定される点火エネルギEが高くなる。溶接ワイヤ電極SDEのワークピースWへの望ましくない付着は、従来の溶接方法において主に最初の点火作業中に発生する。アーク切れの場合、まれに、点火不良の後に、図4に概略的に示すように、溶接ワイヤ電極SDEの溶接ワイヤ端がワークピースWに溶接される又は付着する状況が発生する可能性がある。その結果生じる短絡を解消するために、本発明による方法では、溶接ワイヤ電極SDEに高アンペア数の電流Iを通電することが好ましい(時刻t)。この短絡処理作業では、溶接ワイヤ電極SDEは、様々な位置又は溶融位置SSで溶融する可能性がある。溶接ワイヤ電極SDEの溶融後、溶接ワイヤ電極SDEは、ワークピースWの表面に向かう方向に前方に搬送される。続いて、新たな接触点火が行われることで、設定された点火エネルギEを用いて溶接アークSLBが形成される。
【0046】
本発明による点火装置1において、溶接ワイヤ電極SDEが溶融した時から又はアーク切れが確認された時から再点火時まで、溶接ワイヤ電極SDEが進む距離S、及び/又はこれに必要な時間が記録され、溶融位置又はアーク切れの位置がそこから導出される。経路又は時間が事象に応じて記録されているとも言える。決定された距離S又は記録された時間差は、時刻tにおいて溶接ワイヤ電極が溶融した溶融位置を表す。このことから、必要な最適点火エネルギEを決定又は計算することができる。例えば溶接ワイヤ電極SDEは、ベース位置(ベース位置=ワークピースとの溶接位置)で直接溶融する場合、短絡を解消するために大きな短絡電流Iが使用されたことでワイヤ自由端はすでに比較的強く予熱されているため、点火エネルギEを比較的低く設定することができる。しかし、溶接ワイヤ電極SDEが溶接トーチ4の接触管の方向において溶融した場合、溶接ワイヤ電極SDEがワークピースWの表面に再度接触するまでに、比較的長い経路又は大きな距離Sを進まなければならないため、新たな点火のために増加した点火パワーEが設定ユニット3によって設定される。前方に搬送される溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端は、前方への移動中にすでに冷却されており、さらに冷却されたワイヤが供給されるため、点火パワーEの増加が必要となる。
【0047】
したがって、時刻tにおける事象に起因して、溶接アークSLBは、本発明による方法に対応する点火エネルギで点火される。点火又は再点火の後に、好ましくは開始フェーズを実行することができ、この場合にパラメータを進んだ距離に応じて同様に適合させることができる。例えば、溶接アークSLBがより低い点火エネルギで点火された場合、すなわち溶接ワイヤがより強く加熱された場合、開始フェーズでワイヤの供給がより急速に(より急な傾斜で)増加する。
【0048】
開始フェーズの後、設定された溶接プロセスが実行される。
本発明による点火装置1は、ワイヤの熱制御されたアーク点火を提供し、特に、溶接ワイヤ電極SDEのワイヤ端の現在の熱状態を考慮する。これにより、溶接アークSLBを点火又は再点火するための点火エネルギEを最適に設定することができる。その結果、アーク切れ又は溶接開始不良が大幅に回避される。それに応じて、アーク溶接装置の生産性が向上する。
【符号の説明】
【0049】
1…点火装置
2…決定ユニット
3…設定ユニット
4…溶接トーチ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事象の後に消耗溶接ワイヤ電極、SDE、のワイヤ端とワークピース(W)との間の溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行う方法であって、
(a)前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の表面と接触又は短絡するまでに必要な距離(S)又は時間期間を決定すること(S1)と、
(b)前記決定された距離(S)又は時間期間に応じて設定された点火エネルギ、E、で前記溶接アーク(SLB)を点火すること(S2)と、を含む方法。
【請求項2】
溶融位置、SS、で形成された前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡するまでに進む前記距離(S)は、前記ワイヤ搬送速度(V)及び検出された時間差、Δt、に応じて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶融位置(SS)で形成された前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡するまでに進む前記距離(S)は、ワイヤ搬送加速度、a、及び検出された時間差、Δt、に応じて決定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出された時間差、Δt、は、前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)を切断する又は前記溶接アークが消滅する時間、t、と、前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡する時間、t、との間の期間を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ端が前記ワークピース(W)の前記表面と接触又は短絡するまでに必要な前記距離(S)又は時間期間がセンサによって測定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、は、距離(S)の増加が決定されるとき、又は時間期間の増加が決定されるときに、自動的に高く設定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記距離(S)又は検出された時間差値の様々な距離値に対して、溶接パラメータ、SP、の関連するパラメータセットがパラメータセットメモリから読み出され、前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、が前記溶接パラメータ、SP、の読み出されたパラメータ値に従って設定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータセットは、前記点火作業中の前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の、点火電流、I、点火電圧、U、パルス周波数、ワイヤ搬送速度、V、及びワイヤ搬送加速度、a、の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、は、前記決定された距離(S)又は決定された時間期間に応じて、記憶された特性曲線に従って自動的に設定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための前記点火エネルギ、E、は、前記決定された距離(S)又は時間期間に応じて計算される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
短絡の検出後に前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)を切断するための電流振幅は、比伝導度の前記溶接ワイヤ電極(SDE)の直径、及び前記溶接ワイヤ電極(SDE)の比熱容量の少なくとも一方に応じて設定される、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
消耗溶接ワイヤ電極(SDE)のワイヤ端とワークピース(W)との間の溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行う点火装置(1)であって、
-前記消耗溶接ワイヤ電極(SDE)の前記ワイヤ自由端が前記ワークピース(W)の表面と接触又は短絡するまでに必要な距離(S)又は時間期間を決定するのに適した決定ユニット(2)と、
-前記距離(S)又は時間期間に応じて、前記溶接アーク(SLB)の点火及び再点火の少なくとも一方を行うための点火エネルギ、E、を設定するのに適した設定ユニット(3)と、を備える、点火装置(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の点火装置(1)と、溶接トーチ(4)と、を備える、アーク溶接装置。
【国際調査報告】