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特表2022-543640スパイラル型エレメントのための好ましい流路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】スパイラル型エレメントのための好ましい流路
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/10 20060101AFI20221005BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D63/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507497
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 US2019045222
(87)【国際公開番号】W WO2021025684
(87)【国際公開日】2021-02-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガート,ジェイ,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガート,ジェイ,ケンダル
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ロングマイア,ネルソン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA61
4D006HA62
4D006JA05A
4D006JA06A
4D006JA19A
4D006JA29A
4D006JA30A
4D006KA16
4D006MA03
4D006MA06
4D006MC62
(57)【要約】
本発明は、供給水空間流路におけるエントランス及び出口点を利用し、供給水空間の周囲のバリア、並びに、膜エレメントにおいて流体流れを導く供給水空間領域のバリアを利用する、スパイラル型膜エレメントの設計に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集管と、
作用面が、作用面に面し、供給水空間を提供する供給水離間システムによって互いに分離されるように、且つ、透過面が、透過面に面し、透過水空間を提供する透過水スペーサシステムによって互いに分離されるように、一緒に取り付けられる、それぞれが作用面及び透過面を有する1つ又は複数の透過膜シートと
を備え、
各シートが、前記収集管に近位の近位端と前記収集管から遠位の遠位端とを有し、且つ、前記近位端から前記遠位端まで延在する第1及び第2の縁辺を有し、
前記供給水離間システムが、前記遠位端において前記供給水空間からの流体流れを防ぎ、且つ、前記第1の縁辺、前記第2の縁辺、又はその両方に沿った1つ又は複数の開口を通過することを除き、前記縁辺に沿った前記供給水空間からの流体流れを防ぐ
ように構成される、
スパイラル型エレメント。
【請求項2】
前記供給水離間システムが、
(a)その前記遠位端に沿って2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、
(b)その前記近位端に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する近位端バリアと、
(c)その前記第1の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する第1の縁辺バリアであって、前記第1の縁辺バリアが、第1の供給流れ開口を除いて、前記シートの前記近位端から前記シートの前記遠位端まで延在する、第1の縁辺バリアと、
(d)その前記第2の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する第2の縁辺バリアであって、前記第2の縁辺バリアが、第2の供給流れ開口を除いて、前記シートの前記近位端から前記シートの前記遠位端まで延在する、第2の縁辺バリアと
を備える、
請求項1に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項3】
前記第1の縁辺バリアが、前記近位端の近くの第1の供給流れ開口を除いて、前記シートの前記近位端から前記シートの前記遠位端まで延在し、
前記第2の縁辺バリアが、前記遠位端の近くの第2の供給流れ開口を除いて、前記シートの前記近位端から前記シートの前記遠位端まで延在する、
請求項2に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項4】
前記第1の縁辺バリアが、前記近位端の近く又は前記遠位端の近くの第1の供給流れ開口を除いて、前記シートの前記近位端から前記シートの前記遠位端まで延在する、
請求項2に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項5】
前記供給水離間システムが、
(a)その前記遠位端に沿って2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、
(b)その前記近位端に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する近位端バリアと、
(c)その前記第1の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合し、前記遠位端から離間した前記近位端から離間した供給流れ開口を除いて、前記近位端から前記遠位端まで延在する第1の縁辺バリアと、
(d)その前記第2の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合し、前記近位端の近くの第2の供給流れ開口及び前記遠位端の近くの第2の供給流れ開口を除いて、前記近位端から前記遠位端まで延在する第2の縁辺バリアと
を備える、
請求項1に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項6】
前記供給水離間システムが、前記膜シートの前記作用面の一部を密封的に係合する内側バリアの1つ又は複数の組をさらに備え、
内側バリアの各組が、
前記膜シートの前記第1の縁辺から前記膜シートの前記第2の縁辺の方へ延在するが、前記膜シートの前記第2の縁辺に到達はしない第1の内側バリアと、
前記膜シートの前記第2の縁辺から前記膜シートの前記第1の縁辺の方へ延在するが、前記膜シートの前記第1の縁辺に到達はしない第2の内側バリアと
を備え、
各第1のバリアが、前記膜シートの長さに沿ったある距離だけ、対応する第2の内側バリアから離間している、
請求項3に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項7】
前記供給水離間システムが、前記膜シートの前記作用面の一部を密封的に係合する内側バリアの1つ又は複数の組をさらに備え、
内側バリアの各組が、
前記膜シートの前記近位端から前記膜シートの前記遠位端の方へ延在するが、前記膜シートの前記遠位端に到達はしない第1の内側バリアと、
前記膜シートの前記遠位端から前記膜シートの前記近位端の方へ延在するが、前記膜シートの前記近位端に到達はしない第2の内側バリアと
を備え、
各第1のバリアが、前記膜シートの幅に沿ったある距離だけ、対応する第2の内側バリアから離間している、
請求項3に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項8】
前記供給水離間システムが、
(a)その前記遠位端に沿って2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、
(b)その前記近位端に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する近位端バリアと、
(c)その前記第1の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合し、前記近位端又は前記遠位端から離間した前記近位端から離間した供給流れ開口を除いて、前記近位端から前記遠位端まで延在する第1の縁辺バリアと、
(d)その前記第2の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合し、第1の供給流れ開口と同じ端部の近くの第2の供給流れ開口を除いて、前記近位端から前記遠位端まで延在する第2の縁辺バリアと、
(e)前記2つの膜シートの前記作用面の一部を密封的に係合し、前記第1の縁辺から第1の距離において始まる前記遠位端バリアから前記近位端バリアの方へ延在するが前記近位端バリアに到達はせず、前記第1の縁辺から第2の距離において終わる内側バリアと
を備え、
前記第1の距離が前記第2の距離と等しくない、
請求項1に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項9】
前記第1及び第2の縁辺バリア並びに前記内側バリアによって画定される前記供給流れ経路の幅が、供給流体が前記供給流れ経路を移動するときの前記透過水空間への膜を横切る流体の透過による供給流体体積の減少に対応する割合で減少する、
請求項8に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項10】
前記供給水離間システムが、
(a)その前記遠位端に沿って2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、
(b)その前記第1の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する第1の縁辺バリアと、
(c)その前記第2の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する第2の縁辺バリアと
を備え、
(d)前記第1及び第2の縁辺バリアが、前記遠位端の近くの供給流れ開口を除いて、前記シートの前記近位端から前記シートの前記遠位端まで延在し、
(e)前記透過水空間が、前記収集管の透過水部分と流体連通し、
(f)前記近位端の近くの前記供給水空間が、前記収集管の供給部分と流体連通する、
請求項1に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項11】
前記供給水離間システムが、
(a)その前記近位端に沿って2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する近位端バリアと、
(b)その前記第1の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する第1の縁辺バリアと、
(c)その前記第2の縁辺に沿って前記2つの膜シートの前記作用面を密封的に係合する第2の縁辺バリアと
を備え、
(d)前記第1の縁辺バリア、前記第2の縁辺バリア、又は前記第1及び第2の縁辺バリアの両方が、前記近位端の近くの供給水開口を除いて、前記シートの前記近位端から前記シートの前記遠位端まで延在し、
(e)前記供給水空間が、前記遠位端で供給流体を受けるために開いている、
請求項1に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項12】
前記供給水空間が、前記遠位端及び近位端の近くの第1の距離、並びに、前記遠位端及び近位端から離れた第2の距離で、前記2つのシートを分離し、
前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、
請求項3に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項13】
供給水スペーサシステムが、前記遠位端の近くの第1の距離、及び、前記近位端の近くの第2の距離で、前記2つのシートを分離し、
前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、
請求項3に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項14】
前記供給水スペーサシステムが、前記シートの長さに沿って第1の距離から第2の距離まで滑らかにテーパが付けられた距離で、前記2つのシートを分離する、
請求項13に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項15】
前記透過水スペーサシステムが、前記遠位端の近くの第3の距離、及び、前記近位端の近くの第4の距離で、前記2つのシートを分離し、
前記第4の距離と前記第3の距離との差が、前記第1の距離と前記第2の距離との間の距離に対応する、
請求項13に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項16】
請求項1に記載の1つ又は複数のスパイラル型エレメントを備える、
水を処理するためのシステム。
【請求項17】
水を処理するための方法であって、
請求項16に記載のシステムを提供することと、
供給流体を前記システムに供給することと、
前記システムの前記透過水空間からの処理水を受けることと
を含む方法。
【請求項18】
前記透過水空間システム、前記供給水スペーサシステム、又はその両方が、1つ又は複数のメッシュスペーサを備える、
請求項1~14のいずれか一項に記載のスパイラル型エレメント。
【請求項19】
前記透過水空間システム、前記供給水スペーサシステム、又はその両方が、前記膜シートの1つ又は複数の表面上に印刷、エンボス加工、又は堆積された材料を備える、
請求項1~14のいずれか一項に記載のスパイラル型エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、流体成分の分離に利用される膜システム、特に、スパイラル型膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
スパイラル型膜濾過エレメントは、当該技術分野においてよく知られており、通常は、3つの側面上の多孔質の透過水キャリアに又はその周囲に密着された膜シートからなる、リーフと呼ばれる、積層構造で構成される。多孔質の透過水キャリアは、一端では膜エンベロープを越えて延在して、中心管に巻き付き、これは、中心管の穴を通る、中心管の端部からの、中心管の軸に対して垂直な透過流体の除去のための経路をつくる。積層構造は、中心管の周囲に渦巻状に巻かれ、それ自体が多孔質の供給水スペーサによって離間され、供給流体がスパイラル型エレメントの供給端からリジェクト端にエレメントを通って軸方向に流れるようになっている。伝統的に、供給水スペーサは、供給水が流れることを可能とするために使用され、その一部は、膜を通過してスパイラル型エレメントに入り、中心管に平行でエレメントの構成に対して軸方向にリジェクト水がエレメントを出ることを可能とする。一部のスパイラル型膜濾過エレメントは、単一のリーフを採用し、一方、他のものは、中心管のまわりに渦巻状にすべて巻き付けられた複数のリーフを備える。いくつかの構成において、リーフは、比較的四角く、折り重ねると、リーフ幅がリーフ長に比較的近いことを意味する。これは通常、2.5インチ、4インチ、8インチ、及び16インチなどの標準的な直径の、一般的な40インチの長さのエレメントの場合である。他の構成において、特に、住居又は簡単な商業的用途で使用されるような、40インチより短い長さの、より小さいスパイラル型膜エレメントについては、膜リーフは、中心管に平行な、横流が発生する典型的な軸の寸法よりも、中心管に垂直な寸法が長い。場合によっては、そのような構成におけるリーフの長さは、リーフ幅の3倍又はそれ以上である。リーフ長がリーフ幅よりかなり小さい構成でエレメントがつくられることは珍しい。スパイラル型エレメントの設計に対する改良形態が、Barger他に対する米国特許第6,632,357号、Bradford他に対する米国特許第7,311,831号、並びに、Roderick他に対する「Improved Spiral Wound Element Construction」と題されるオーストラリア特許(2014223490)及び日本特許(6499089)において開示されており、それによれば、従来の供給水スペーサの代わりに、膜の内面又は外面上に直接形成される又はエンボス加工されるアイランド又は突起が使用される。通常は、流体供給流れは、スパイラル型エレメントの中心管に垂直である。製造時、エレメントをスパイラル構成で巻き取った後、膜シートエンベロープは接着後に切断され、膜エンベロープの供給縁辺は、供給液の流れに対して平坦面を示す。Beckman他に対する「Entrance Features in Spiral Wound Elements」と題される仮特許出願第62849952号は、膜シートエンベロープの先細前縁を記載している。Roderick他に対する「Graded Spacers for Filtration Wound Elements」と題されるPCT特許出願第PCT/US2018/016318号は、供給水空間及び透過水キャリア空間の長さに沿って可変高さを有する供給水スペーサ特徴物を記載している。Herrington他に対する「Flow Directing Devices for Spiral Sound Elements」と題される米国特許出願第PCT/US17/62425号は、供給流中の粒子による閉塞が膜エンベロープの端部に影響を与えることを回避するのを支援するために、スパイラル型エレメントの供給端を流体流れに押し流させるターニングベーンを組み込むテレスコーピング防止装置を記載している。
【0003】
これらの特許はいずれも、エンベロープの長尺に沿った、エンベロープの一端の供給水流路空間への、及び、エンベロープの他端の供給エンベロープの反対側からの供給流れを可能にする、膜シートエンベロープに適用することができる特徴物を記載していない。リーフ長がリーフ幅より大きいエレメント構成において、そのような特徴物は有利である可能性がある。Phillip Beauchampに対する米国特許出願公開第2014/0021123号、Beauchampに対する米国特許出願公開第2010/0096319号、Janssen他に対する米国特許第9,795.924号、及びBeauchamp他に対する米国特許第8,961,790号は、独自の分割中心管設計による膜シートの長さに沿った独自の流路を記載している。これらの設計は、ライセンスに基づいて、Pentair Corporationによって商品化された。Boris Libermanに対する英国特許出願第2499740号は、圧力遅延浸透又は正浸透スパイラル型エレメント設計においてより均一な流速伝達を容易にするために、中心管に垂直な膜シートの中心に沿ったパーティションによって容易にされる、膜シートの長さに沿った流れ、及び、膜シートの長さに沿った戻りの利点を有する、分割された管中心設計を記載している。
【0004】
発明の開示
Barger他に対する米国特許第6,632,357号、Bradford他に対する米国特許第7,311,831号、並びに、Roderick他に対する「Improved Spiral Wound Element Construction」と題されるオーストラリア特許(2014223490)及び日本特許(6499089)の文脈によって、本発明を理解しやすくすることができ、そのそれぞれを参照によって本願に援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スパイラル型エレメントの多くの設計パラメータは、エレメント性能に影響を与える。流速、流路形状、及び供給水スペーサ幾何学的形状などの流体流れ特性は、滞留時間、剪断、及び乱流に影響を与え、それらは次に、膜システムの膜流束、阻止率、及び回収率などの性能特性に影響を与える、スパイラル型濾過エレメントの回収率は、膜エレメントにおける供給流れに対する透過流れの比率として定義される。現在使用されている逆浸透エレメントのための典型的な単一のエレメント回収率は10%~30%であり、供給水の70~90%はリジェクト流れでエレメントを出ることを意味する。たとえば、よく知られた逆浸透システムでは、飲むために生成される水(すなわち、透過水)に対して、下水管へと破棄される水が少なくなるようにリジェクト流れを減少させることは、経済的且つ環境的により信頼できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来のスパイラル型膜エレメントは、スパイラル型エレメントの中心管と平行である供給流路を利用する、又は、リーフ長がリーフ幅よりかなり大きい場合は、分割された中心管及び中心管の方への膜シートの長さに沿った供給流れを利用する。本発明の実施形態は、その後の、膜シートの長い尺に沿った流れを可能にする、又は、供給流路における圧力低下を減少させる、滞留時間を増加させる、剪断及び混合を改善する、若しくは、供給空間高さを減少させ、それによって、スパイラル型エレメントでより多くの膜表面積を促進する、膜シートの供給水空間における流路を可能にする、供給流路の供給及び/又はリジェクト端における選択的な開口を提供する。圧力遅延浸透又は正浸透スパイラル型エレメントの設計のために、本発明の例示的な実施形態は、分割された中心管を利用する必要なしに、膜シートの長さに沿った中心管に対して垂直な流れを可能にする。例示的な実施形態は、複数の膜シートを同じスパイラル型エレメントで利用する、分割された中心管の設計では一般に実現可能ではないことも可能にする。さらに、例示的な実施形態は、膜圧力容器に対する変更又は膜エレメント間及びエレメントと圧力容器との間の相互連結なしに、共通圧力容器における複数のスパイラル型エレメントの使用を可能にする。この構成は、均一で平坦な構成を有する従来の供給水スペーサメッシュを利用することができる、又は、可変高さ流路をつくるために、積み重ねられた従来のメッシュを利用することができる。可変高さ流路は、供給水体積が膜を通る流体輸送によって入口から出口まで減少するとき、流速を維持して、供給水流路容積を最小化するので、有利である可能性がある。例示的な実施形態は、可変高さ流路、又は、供給水流路空間への可変高さエントランス及び出口点を可能にする、膜シート上に直接加えられる、スペーサを利用することによって容易にすることができる。
【0007】
例示的な実施形態は、収集管と、作用面が、作用面に面し、供給水空間を提供する供給水離間システムによって互いに分離されるように、且つ、透過面が、透過面に面し、透過水空間を提供する透過水スペーサシステムによって互いに分離されるように、一緒に取り付けられる、それぞれが作用面及び透過面を有する1つ又は複数の透過膜シートとを備え、各シートが、収集管に近位の近位端と収集管から遠位の遠位端とを有し、且つ、近位端から遠位端まで延在する第1及び第2の縁辺を有し、供給水離間システムが、遠位端において供給水空間からの流体流れを防ぎ、且つ、第1の縁辺、第2の縁辺、又はその両方に沿った1つ又は複数の開口を通過することを除き、縁辺に沿って供給水空間に流体流れが出入りすることを防ぐように構成される、スパイラル型エレメントを提供する。開口は、縁辺の長さの一部を占めることができる。例として、長さの1/2、長さの1/4、長さの1/10である。又は、例として、縁辺に沿って1インチ、若しくは3インチ、若しくは6インチである。又は、他の部分又は長さは、以下でより詳細に記載されるように、流れ特性を提供するために必要とされる。
【0008】
ある例示的な実施形態において、供給水離間システムは、(a)その遠位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、(b)その近位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する近位端バリアと、(c)その第1の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する第1の縁辺バリアであって、第1の縁辺バリアが、第1の供給流れ開口を除いて、シートの近位端からシートの遠位端まで延在する、第1の縁辺バリアと、(d)その第2の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する第2の縁辺バリアであって、第2の縁辺バリアが、第2の供給流れ開口を除いて、シートの近位端からシートの遠位端まで延在する、第2の縁辺バリアとを備える。エンベロープを提供するために折り畳まれる膜において、折り曲げ線は、バリアの1つを提供することができることに留意されたい。現在一般的な構成では、折り曲げ線は、近位端バリアの役割を果たすことができる。縁辺バリアの場合「密封」係合は、完全な耐流体性を有する必要はないが、流体流れの大部分が、縁辺を通る開口を通して導かれ、縁辺バリアを越えない又は通過しない流体流れに対する十分な耐性を提供する必要があることに留意されたい。供給流れ開口は、縁辺の長さの一部を占めることができる。例として、長さの1/2、長さの1/4、長さの1/10である。又は、例として、縁辺に沿って1インチ、若しくは3インチ、若しくは6インチである。又は、他の部分又は長さは、以下でより詳細に記載されるように、流れ特性を提供するために必要とされる。
【0009】
ある例示的な実施形態において、第1の縁辺バリアは、近位端の近くの第1の供給流れ開口を除いて、シートの近位端からシートの遠位端まで延在し、第2の縁辺バリアは、遠位端の近くの第2の供給流れ開口を除いて、シートの近位端からシートの遠位端まで延在する。
【0010】
ある例示的な実施形態において、第1の縁辺バリアは、近位端の近く又は遠位端の近くの第1の供給流れ開口を除いて、シートの近位端からシートの遠位端まで延在する。
【0011】
ある例示的な実施形態において、供給水離間システムは、(a)その遠位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、(b)その近位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する近位端バリアと、(c)その第1の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合し、遠位端から離間した近位端から離間した供給流れ開口を除いて、近位端から遠位端まで延在する第1の縁辺バリアと、(d)その第2の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合し、近位端の近くの第2の供給流れ開口及び遠位端の近くの第2の供給流れ開口を除いて、近位端から遠位端まで延在する第2の縁辺バリアとを備える。
【0012】
ある例示的な実施形態において、供給水離間システムは、膜シートの作用面の一部を密封的に係合する内側バリアの1つ又は複数の組をさらに備え、内側バリアの各組は、膜シートの第1の縁辺から膜シートの第2の縁辺の方へ延在するが、膜シートの第2の縁辺に到達はしない第1の内側バリアと、膜シートの第2の縁辺から膜シートの第1の縁辺の方へ延在するが、膜シートの第1の縁辺に到達はしない第2の内側バリアとを備え、各第1のバリアは、膜シートの長さに沿ったある距離だけ、対応する第2の内側バリアから離間している。バリアの場合「密封」係合は、完全な耐流体性を有する必要はないが、流体流れの大部分が、膜に沿って導かれ、内側バリアを越えない又は通過しない流体流れに対する十分な耐性を提供する必要があることに留意されたい。
【0013】
ある例示的な実施形態において、供給水離間システムは、膜シートの作用面の一部を密封的に係合する内側バリアの1つ又は複数の組をさらに備え、内側バリアの各組は、膜シートの近位端から膜シートの遠位端の方へ延在するが、膜シートの遠位端に到達はしない第1の内側バリアと、膜シートの遠位端から膜シートの近位端の方へ延在するが、膜シートの近位端に到達はしない第2の内側バリアとを備え、各第1のバリアは、膜シートの幅に沿ったある距離だけ、対応する第2の内側バリアから離間している。
【0014】
ある例示的な実施形態において、供給水離間システムは、(a)その遠位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、(b)その近位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する近位端バリアと、(c)その第1の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合し、近位端又は遠位端から離間した近位端から離間した供給流れ開口を除いて、近位端から遠位端まで延在する第1の縁辺バリアと、(d)その第2の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合し、第1の供給流れ開口と同じ端部の近くの第2の供給流れ開口を除いて、近位端から遠位端まで延在する第2の縁辺バリアと、(e)2つの膜シートの作用面の一部を密封的に係合し、第1の縁辺から第1の距離において始まる遠位端バリアから近位端バリアの方へ延在するが近位端バリアに到達はせず、第1の縁辺から第2の距離において終わる内側バリアとを備え、第1の距離は第2の距離と等しくない。例として、第1の距離は、膜幅の1/4、1/3、1/2、又は3/4である可能性がある。第2の距離は、膜幅の1/4、1/2、2/3、又は3/4である可能性がある。それらの範囲内の比率及び組合せも好適である可能性がある。正確な比率は、以下でさらに記載されるように決定することができる。バリアの端部から近位端バリアまでの距離は、膜長さの1/2、1/4、1/10である可能性がある。又は、例として、縁辺に沿って1インチ、若しくは3インチ、若しくは6インチである。又は、他の部分又は長さは、以下でより詳細に記載されるように、流れ特性を提供するために必要とされる。
【0015】
ある例示的な実施形態において、第1及び第2の縁辺バリア並びに内側バリアによって画定される供給流れ経路の幅は、供給流体が供給流れ経路を移動するときの透過水空間への膜を横切る流体の透過による供給流体体積の減少に対応する割合で減少する。
【0016】
ある例示的な実施形態において、供給水離間システムは、(a)その遠位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する遠位端バリアと、(b)その第1の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する第1の縁辺バリアと、(c)その第2の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する第2の縁辺バリアとを備え、(d)第1及び第2の縁辺バリアは、遠位端の近くの供給流れ開口を除いて、シートの近位端からシートの遠位端まで延在し、(e)透過水空間は、収集管の透過水部分と流体連通し、(f)近位端の近くの供給水空間は、収集管の供給水リジェクト部分と流体連通する。
【0017】
ある例示的な実施形態において、供給水離間システムは、(a)その近位端に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する近位端バリアと、(b)その第1の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する第1の縁辺バリアと、(c)その第2の縁辺に沿って2つの膜シートの作用面を密封的に係合する第2の縁辺バリアとを備え、(d)第1の縁辺バリア、第2の縁辺バリア、又は第1及び第2の縁辺バリアの両方は、近位端の近くの供給水リジェクト開口を除いて、シートの近位端からシートの遠位端まで延在し、(e)供給水空間は、遠位端で供給流体を受けるために開いている。
【0018】
ある例示的な実施形態において、供給水空間は、遠位端及び近位端の近くの第1の距離、並びに、遠位端及び近位端から離れた第2の距離で、2つのシートを分離し、第1の距離は第2の距離より大きい。
【0019】
ある例示的な実施形態において、供給水スペーサシステムは、遠位端の近くの第1の距離、及び、近位端の近くの第2の距離で、2つのシートを分離し、第1の距離は第2の距離より大きい。
【0020】
ある例示的な実施形態において、供給水スペーサシステムは、シートの長さに沿って第1の距離から第2の距離まで滑らかにテーパが付けられた距離で、2つのシートを分離する。
【0021】
ある例示的な実施形態において、透過水スペーサシステムは、遠位端の近くの第3の距離、及び、近位端の近くの第4の距離で、2つのシートを分離し、第4の距離と第3の距離との差は、第1の距離と第2の距離との間の距離に対応する。その対応は、近位端及び遠位端における、一定の合計厚さを提供する。近位から遠位へのテーパは、相補的とすることができる、又は、互いに異なる形態とすることができる。
【0022】
例示的な実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のスパイラル型エレメントを備える、水を処理するためのシステムを提供する。
【0023】
例示的な実施形態は、本明細書に記載のシステムを提供することと、供給流体をシステムに供給することと、システムの透過水空間から処理水を受けることとを含む、水、化学溶液、工業用流体などの流体を処理するための方法を提供する。
【0024】
例示的な実施形態は、本明細書に記載のスパイラル型エレメントを提供し、透過水空間システム、供給水スペーサシステム、又はその両方は、1つ又は複数のメッシュスペーサを備える。
【0025】
例示的な実施形態は、本明細書に記載のスパイラル型エレメントを提供し、透過水空間システム、供給水スペーサシステム、又はその両方は、膜シートの1つ又は複数の表面上に印刷、エンボス加工、又は堆積された材料を備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な説明
図1】巻き上げ前の従来のスパイラル型膜エレメントの図である。
図2】膜エンベロープの一端の供給水エントランスと他端のリジェクト流れ出口とを有する、スパイラル型エレメントの供給水空間の図である。
図3】供給水空間エンベロープの中央の供給水エントランスと、膜エンベロープの両端のリジェクト流れ出口とを有する、スパイラル型エレメントの供給水空間の図である。
図4】一般に中心管と平行な流れの方向である長い供給流れ経路をつくる供給水空間のバリアを有する、スパイラル型エレメントの供給水空間の図である。
図5】一般に中心管に垂直な流れの方向である長い供給流れ経路をつくる供給水空間のバリアを有する、スパイラル型エレメントの供給水空間の図である。
図6】均一なスペーサ高さであるが、スペーサ流路の幅による可変流量をつくる分離ラインを有する、供給水空間の図である。
図7】供給水空間の一端上の供給水空間エントランスと、中心管から放出するリジェクト流れ経路とを有する、スパイラル型エレメントの供給水空間の図である。
図8】供給水空間の一端に供給水エントランスを有する、スパイラル型エレメントの供給水空間の図であり、リジェクト流れは、供給端から、供給水空間エンベロープの反対端における供給水空間エンベロープの一端で出る。
図9】供給水空間エンベロープの中央セクションの空間より高いエントランス及び出口空間を有する、供給水空間エンベロープの等角図である。
図10】供給水空間エンベロープの一端のより高いエントランス空間と、供給水空間エンベロープの反対端のより薄い出口空間とを有する、供給水空間エンベロープの等角図である。
図11】中心管に垂直である供給水及び透過水空間の両方における流れを有する、可変高さ供給水空間エンベロープ及び可変高さ透過水空間の両方を示す、巻き上げ前の膜アセンブリの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明を実施するための形態と産業上の利用分野
図1は、従来のスパイラル型膜エレメント10のいくつかの重要なエレメントを例示する。透過水収集管12は、透過流体が透過水供給水スペーサ22から収集される収集管12の穴14を備える。製造時、膜シート24及び28は、中心線30で折られる1つのシートを備える。膜シート24及び28は通常、多孔質支持層、たとえば、ポリスルホンと、支持層に結合又は鋳造される活性ポリマ膜層とから構成される。活性ポリマ膜表面24は、供給水スペーサメッシュ26に隣接し、非活性支持層28は、透過水キャリア22に隣接している。
【0028】
供給液16は、活性ポリマ膜表面24の間に入り、供給水スペーサメッシュ26の開放空間を通って流れる。供給液16が供給水スペーサメッシュ26を通って流れると、全溶解固形物(TDS)イオンは、活性ポリマ膜表面24でリジェクトされ、透過流体の分子、たとえば、水分子は、活性ポリマ膜表面24を通過して、多孔質透過水キャリア22に入る。供給液16が活性ポリマ膜表面24に沿って通ると、大量の供給液16中の透過流体の損失のために、TDSイオンの濃度は増加し、それによって、供給液16より高いTDSを有するリジェクト液18として、活性ポリマ膜シート24のリジェクト端を出る。透過水キャリア22の透過流体は、透過水キャリア22の遠位端34から、透過流体が中心管エントランス穴14を通って中心管12に入る中心管12の方向に流れ、透過液20として中心管12を出る。供給液16による透過流体の汚染を避けるため、活性ポリマ膜表面24は、透過水キャリア22を通して接着線32に沿って接着剤で密閉され、それによって、透過液20のための唯一の出口経路が中心管12を通る密閉された膜エンベロープをつくる。
【0029】
図2に示される本発明の例示的な実施形態において、軸方向の供給流れは、スパイラル型エレメントの第1の面(中心管のまわりに膜シートを巻き上げた後のエレメントの端部の1つ)の離散的な供給水流路投入開口を通して投入され、供給流れは、リジェクト流れが離散的な供給水リジェクト出口開口を介して出る膜シートの長い寸法に沿って送られる。図2の構成において、供給水空間エンベロープ40は、膜シート24の全長に対してやや狭い供給水流路投入開口42を有し、それによって、供給液16は供給水空間に入り、供給液は大部分が、エレメントの面全体が供給水流入及び流出のために開いているエレメントの場合のように中心管12と平行ではなく、中心管12に対して垂直に流れる(供給液16が投入から出口まで流れるとき、膜の幅及び長さの両方を横切り、この例では長さは幅より大きい)。供給液は最終的に、供給水空間エンベロープリジェクト出口開口44を通って、リジェクト液18として出る。供給水空間エンベロープ40は、供給水流路投入開口42及び供給水リジェクト出口開口44を除いて、供給水空間エンベロープ40の周囲にバリアライン46を有する。バリアライン46は、グルーライン、印刷されたスペーサ材料、テープ、又は指定された流路を流すために供給水空間溶液を一般に閉じ込める他の好適な材料を備えることができる。バリアライン46が、隣接する膜シートの間に防漏シールを提供する必要はないことに注目すべきである。防漏シールが望ましい可能性があるが、バリアライン46が、意図された流路に沿って供給液が概して進むことを保証する十分なシールを提供すればよい。
【0030】
供給水空間40の離間高さは、一定である可能性がある、又は、供給液16がリジェクト液18に変わるときに、供給液16の嵩体積が減少する際、一定の流体剪断を維持するために、長さに沿って高さが可変で可能性がある。可変高さ供給水スペーサ又は積み重ねられた従来のメッシュスペーサは、供給水空間の高さを変えるために、本明細書の構成議論のいずれにおいても利用することができる。固定された流量では、この流路は、従来の軸方向流れエレメントよりもかなり速い供給流れ速度を有する。メッシュ供給水スペーサを採用する構成では、これは、供給水流路におけるより大きい圧力低下になる可能性があるが、多くの用途、たとえば、住居のシンク下逆浸透において圧力低下は考慮すべき重要なことではない。膜表面上に印刷される離間用特徴物などの代替的な供給水スペーサ設計を採用する構成では、この圧力低下をかなり減らすことができ、大きな圧力上昇なしにより高い速度の流れが可能になる。
【0031】
図3に示される本発明の例示的な実施形態において、供給液16は一般に、供給水空間エンベロープ50の(巻き上げられていない長さに沿って決定された)中心に入る。次いで、供給液16は、その後、リジェクト液18として、第1及び第2の端部開口44を通して供給水空間エンベロープ50から放出される2つの個別の供給液流れ48に分けられる。供給水空間エンベロープ50は、供給水空間エンベロープ50の周囲をバリアライン46によって制限されている。
【0032】
図4に示される本発明の例示的な実施形態において、内部バリアライン52により、供給液16は供給水空間60の供給水エントランス領域42に入り、中心管12と全体的に平行であるジグザク経路内を流れる(幅方向にジグザグに進みながら、膜の長さ方向を横切る)。供給液は最後に、リジェクト液18として供給水空間出口44を通って出る。供給水空間60の周囲は、バリアライン46によって画定される。
【0033】
図5に示される本発明の例示的な実施形態において、内部バリアライン54により、供給液16は供給水空間64の供給水エントランス領域42に入り、中心管12と全体的に垂線であるジグザク経路内を流れる(長さ方向にジグザグに進みながら、膜の幅方向を横切る)。供給液は最後に、リジェクト液18として供給水空間出口44を通って出る。供給水空間64の周囲は、バリアライン46によって画定される。流路の長さを増加させることにより、流量及び流路の長さに応じて、従来の軸方向流れと比較して固定された流量での流速の増加、又は、流量の減少による膜と接触する流体滞留時間の増加、又は、それらの組合せが可能となる。
【0034】
図6に示される本発明の例示的な実施形態において、内部バリアライン55により、供給液16は供給水空間66の供給水エントランス領域42に入り、流体分子が膜シート24を通過することで概して体積が減少する供給液16に対応する、入力から出口44まで幅が漸減する経路内を流れ、それによって、供給液の体積を減少させて、同時に、供給液のTDS濃度を増加させる。供給液は最後に、リジェクト液18として供給水空間出口44を介して供給水空間66を出る。供給水空間66の周囲は、バリアライン46によって画定される。前述したように、回収率は、供給液16に対する透過液20の比率として定義される。リジェクト液18は、供給液16よりもTDS濃度は高く、体積流量は小さい。したがって、図6に示される構成の膜エレメントは、XのYに対する比率を調整することによってエレメントのリジェクションに対して比較的一定の流速を維持するように構成することができ、それによって、Xは、中心管12の反対側の供給水空間66の遠位端においてバリア55が周囲バリア46と接触する点として定義される。この構成は、逆転させることができ、供給水流路開口42及び供給水空間出口44を中心管12に隣接させることができる。さらに、減少する幅を有する流路は、例として、図4及び図5の例示的な実施形態において内部バリアの間隔及び相対角度を構成することによって、他の例示的な実施形態において実施することができる。
【0035】
図7に示される本発明の例示的な実施形態において、供給液16は供給水空間68の供給水エントランス領域42に入り、分割された中心管13に対して垂直な経路内を流れ、それによって、中心管穴15を通って入り、リジェクト液18として出る。次いで、透過液は、分割された中心管13の他の半分に入ることができる。エントランス領域42は、示されるように、膜の両側にのみ設けることができる、又は、処理システム内の場合は、エレメントの流れ接続のために、必要に応じて、供給水空間68の片側にのみ設けることができる。
【0036】
図8に示される本発明の例示的な実施形態において、供給液16は、外包56に設けられた、供給水空間70の供給水エントランス穴58に入り、中心管12に対して垂直な経路内を流れ、それによって、リジェクト出口開口44を介してリジェクト液18として、(管の一端にだけ示されているが、必要に応じて、特定のシステム流れを考慮するために、他端又は両端に設けることができる)供給水空間70を出る。流れを供給水エントランス穴58に通し、供給液16がリジェクト液18と混合することを防ぐために、ブラインシールが、リジェクト端においてスパイラル型エレメントの外側のまわりに採用される。この構成により、流路が膜シートの長さに沿って流れる、以前のエレメント設計において通常は必要とされる分割された中心管設計が回避される。
【0037】
図9に示される本発明の例示的な実施形態において、供給水空間74は、可変高さ供給水スペーサ62によって提供することができ、それにより、供給水流路開口42及びリジェクト出口開口44における間隔は、開口間の領域におけるより大きく(すなわち、スペーサはそれらの領域においてより高く)、供給水空間74のエントランス及び出口点における、供給液16及びリジェクト液18のより大きい体積流れを容易にする。バリアライン46は、供給水及びリジェクト水開口以外の、供給水空間74の周囲のあらゆる点で供給水空間74に流体を閉じ込める。可変高さ供給水空間は、他の例示的な実施形態によって設けられる制御された供給流れ経路と組み合わせて使用することもできる。
【0038】
図10に示される本発明の例示的な実施形態において、供給水空間78は、供給液エントランス点における供給液16のより大きい体積流れ、及び、膜シート78の出口点におけるリジェクト液18のより小さい流量を容易にするために、可変高さ供給水スペーサ62を備えることができる。このようにして、その体積が膜を通り透過によって減少するので、供給水流体速度は維持又は修正することができ、流体剪断及び乱流などの他の流体動特性は、供給水空間流路の高さがより小さくなるので、対処することができる。バリアライン46は、供給水及びリジェクト水開口以外は、供給水空間78の周囲のあらゆる点で供給水空間78に流体を閉じ込める。
【0039】
図11に示される例示的な実施形態の膜エレメント80の構成において、供給水空間は、供給液エントランス開口42における供給液16のより大きい体積流れ、及び、リジェクト出口開口44におけるリジェクト液18のより小さい流量を容易にするために、可変高さ供給水スペーサ62を備えることができる。このようにして、流体剪断及び乱流などの他の流体動特性は、供給水空間流路の供給流体48の単位体積がより小さくなるので、対処することができる。バリアライン46は、供給水及びリジェクト水開口以外は、供給水空間の周囲のあらゆる点で供給水空間に流体を閉じ込める。対応する方法において、透過水空間86は、可変高さスペーサ、又は、透過水キャリアメッシュ90の単一若しくは複数の積み重ねられた層を備えることができる。透過水エンベロープ86は、適切な接着剤88で3つの側部のまわりをシールすることができる。透過液20は、透過水キャリア90から中心管穴14を通って中心管12に収集される。従来の膜エレメントの通常の構成技術の場合のように、中心管は、膜リーフが作成中に中心管のまわりに巻かれるときに、適切な接着剤で膜リーフにシールされる。
【0040】
バリアライン46は、複数の方法で製造工程に組み込むことができ、多くの異なる材料を備えることができる。たとえば、メッシュスペーサが供給水空間で使用される場合、バリアラインは、膜エンベロープをつくるために、透過水キャリアに膜シートを結合するために使用される接着剤などの強粘液の形態で加えることができる。そのような場合、バリアラインは、流体流路を画定するために、外縁において供給水スペーサメッシュ上に直接接着剤を置くことによってつくることができる。接着剤は、膜が巻き上げられるときに、バリアラインをつくるために、メッシュを透過する。バリアラインは、膜エンベロープ表面上に置かれる又は接着される供給水スペーサと厚さの等しい固体材料のストリップを備えることができ、供給水スペーサメッシュは、ストリップの間の空間に嵌めるためにトリミングされる。印刷された供給水スペーサが使用される場合、バリアラインは、供給水スペーサと同じ高さの追加の印刷された特徴物、メッシュの例の場合のように、印刷された特徴物の間に隙間を満たす、印刷の頂部に加えられる粘着性接着剤、又は、膜エンベロープ表面上に置かれる又は接着される供給水スペーサに厚さの等しい固体材料の独立した層を備えることができ、印刷された供給水スペーサ特徴物は取り囲まれた領域を満たす。熱可塑性プラスチック、反応性ポリマ、ワックス、又は樹脂を含むがこれらに限定されない上記接着剤の、分離される流体及び膜シートと適合する他の材料は、所定の位置に使用することができる。固体材料は、上記の材料、又は、高温熱可塑性プラスチック、金属、又はセラミックを含むがこれらに限定されない、膜シートへの直接堆積に適合しないとしても分離される流体に適合する他の材料を備えることができ、それらの材料は、適切な大きさに予め形成、鋳造、又は切断され、エレメントが巻き上げられる前に、膜エンベロープの表面上に置かれる又は接着される。
【0041】
本発明は、さまざまな例示的な実施形態に関連させて説明した。上の説明が本発明の原理の適用の単なる例示であり、その範囲が明細書を考慮した特許請求の範囲によって定まることが理解されよう。本発明の他の変形及び変更は、当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
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図5
図6
図7
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図10
図11
【国際調査報告】