(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】冠動脈カルシウム負荷の縦断的表示
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A61B1/045 622
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507526
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020044995
(87)【国際公開番号】W WO2021026224
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】アミス,グレゴリー・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナート,アジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ホーヴラー,マーク
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161NN05
4C161WW02
4C161WW08
4C161WW10
4C161WW13
4C161WW14
(57)【要約】
本開示は、OCT又はIVUS画像データフレームを受信し、血管セグメントの1つ以上の表現を出力するシステム及び方法を提供する。画像データフレームは、様々なウィンドウ又はビン又は位置合わせの特徴を用いて伸ばされ及び/又は位置合わせされ得る。動脈の特徴、例えばカルシウム負荷が、画像データフレームの各々において検出され得る。動脈の特徴はスコアリングされ得る。スコアは、ステント拡張不良リスクであり得る。表現は、動脈の特徴及びその各スコアの表示を含み得る。表示は、色分け表示であり得る。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプルバック表現及び第2のプルバック表現に関連する1つ以上の動脈の特徴を表示する方法であって、
1つ以上のプロセッサが、第1のフレーム群及び第2のフレーム群を受信することと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のフレーム群及び前記第2のフレーム群の各フレームにおける動脈の特徴を検出することと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のフレーム群及び前記第2のフレーム群の各フレームにおいて検出された前記動脈の特徴をスコアリングすることと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のフレーム群及び前記第2のフレーム群の表現を出力することと、ここで、前記出力は、前記第1のフレーム群の少なくとも1つのフレーム及び前記第2のフレーム群の少なくとも1つのフレームにおいて検出された前記動脈の特徴のスコアの間の差、又は前記第1のフレーム群の前記少なくとも1つのフレーム及び前記第2のフレーム群の前記少なくとも1つのフレームにおいて検出された前記動脈の特徴における変化の視覚的表示を含む、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のフレーム群は、第1のプルバックから得られ、前記第2のフレーム群は、前記第1のプルバックとは異なる第2のプルバックから得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のフレーム群の前記少なくとも1つのフレームにおいて検出された前記動脈の特徴の前記スコア、及び前記第2のフレーム群の前記少なくとも1つのフレームにおいて検出された前記動脈の特徴の前記スコアに基づいて、前記第1のフレーム群の前記少なくとも1つのフレームを前記第2のフレーム群の前記少なくとも1つのフレームと位置合わせすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
表現を出力することは、前記1つ以上のプロセッサが、少なくとも1つの値、印、又は視覚的合図を出力することを更に含み、
前記少なくとも1つの値、印、又は視覚的合図は、色又はハッシングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記色は、検出された前記動脈の特徴の前記スコアに基づく色分けである、請求項6に記載の方法。
【請求項6】
検出された前記動脈の特徴は、カルシウム負荷である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カルシウムをスコアリングすることは、決定されたカルシウムアーク又は決定されたカルシウム量に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサが、スコアリングされたカルシウム負荷に基づいて、フレーム単位でステント拡張を予測することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のプロセッサが、血管セグメントの画像データを含む1つ以上のフレームを受信することと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記1つ以上のフレームの各々において動脈の特徴を検出することと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記1つ以上のフレームの各々における前記動脈の特徴をスコアリングすることと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記動脈の特徴のスコアに基づいて、関心領域を識別することと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記動脈の特徴のスコアに基づいて、前記関心領域に対する前記スコアの視覚的表示を含む前記血管セグメントの表現を出力することと
を含む方法。
【請求項10】
検出された前記動脈の特徴は、カルシウム負荷である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動脈の特徴のスコアは、拡張不良リスクである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサが、前記拡張不良リスクを、機械学習モデルを使用して決定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記機械学習モデルは、複数の症例に対する経皮的冠動脈インターベンション(「PCI」)前のデータとPCI後のデータとを比較する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記拡張不良、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステントの拡張不良リスクの前記視覚的表示は、色分け表示である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記色分け表示は、前記拡張不良リスクの重大度に基づく、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のフレームの各々における前記動脈の特徴をスコアリングすることは、スライディングウィンドウ測定に基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記スコアの前記視覚的表示は、前記血管の前記表現の縦断に平行なバーであり、前記関心領域に沿って延在する、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記バーは、前記動脈の特徴のスコアに基づいて色分けされている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記動脈の特徴のスコアは、ステント拡張不良リスクである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年8月5日に出願された、冠動脈カルシウム負荷の縦断的表示(LONGITUDINAL DISPLAY OF CORONARY ARTERY CALCIUM BURDEN)という名称の米国仮特許出願第62/883,066号の出願日の利益を主張し、その開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
一般に、冠動脈プラークは、線維性、脂質性、石灰化、血栓性、又はこれらのいくつかの組み合わせである。石灰化プラークは、ステント留置又は血管形成術の間にてバルーンを完全に拡張させなくすることがあるため、処置成功に対する特定のリスクをもたらし、したがって、医師がカルシウムを識別してプラークを適切に処置することが極めて重要である。一般に、光干渉断層撮影(OCT)が、各断面フレームにおけるプラーク組成物の識別に特に有用である。OCT及び他のイメージングモダリティを、様々な動脈の特徴を評価するために使用することができる。
【0003】
冠動脈プラークの石灰化は、ステントが完全に拡張するのを妨げる可能性がある。拡張不良のステントは、ステント内再狭窄のリスク及び将来の処置の必要性を増大させる。したがって、インターベンションに関わる心臓専門医はこのリスクを認識し、対応して処置ストラテジを適応させることが非常に重要である。しかし、現在の標準的な診療及び技術水準では、リスクを定量化するための適切なツールは医師に提供されていない。血管造影及びOCTはカルシウム沈着を可視化するのに役立つが、拡張不良のリスクを推定するのに人手による経験則があり、依然として定量化不足かつ評価不足のリスクがある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】本開示の態様による例示的なシステムである。
【
図1B】本開示の態様による複数のインタフェース構成要素の一例である。
【
図2A】既存の例示的なスコアリング方法論である。
【
図2B】
図2Aのスコアリング方法論の例示的なグラフィック表現である。
【
図2C】本開示の態様による
図2Bのスコアリング方法論の例示的なグラフィック表現である。
【
図5】本開示の態様による例示的なシステムである。
【
図7】本開示の態様による複数のインタフェース構成要素の一例である。
【
図8A】交差検証結果の例示的なグラフィック表現である。
【
図8B】交差検証結果の例示的なグラフィック表現である。
【
図9B】本開示の態様による例示的なインタフェース構成要素である。
【
図11】本開示の態様による血管の表現を出力する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明のいくつかの部分は、方法、例えばコンピュータメモリ内のデータビット上の動作のアルゴリズム及び記号表現に関して述べられている。これらのアルゴリズムの記述及び表現は、コンピュータ及びソフトウェア関連分野の当業者によって使用可能である。1つの実施形態において、アルゴリズムは、ここでは、そして一般的には、所望の結果をもたらす自己矛盾のない動作シーケンスであると考えられる。本明細書において、方法停止として実行される又は他の方法で記載される動作は、物理量の物理的操作を必要とするものである。必ずしもそうではないが、通常、これらの量は、保存、転送、結合、変換、比較、及び他の方法で操作可能な電気的又は磁気的信号の形態をとる。
【0006】
本明細書で述べられるアルゴリズム及び表示は、いかなる特定のコンピュータ又は他の装置にも本質的には関連しない。様々な汎用システムを、本明細書の教示に従ったプログラムと共に使用する場合があり、又は必要な方法ステップを実行するためにより特別な装置を構築することが便利であることが明らかとなる場合がある。これらの様々なシステムのために必要な構造は、以下の記載から明らかとなる。
【0007】
本開示の態様、実施形態、特徴、及び例は、全ての点において例示的であるとみなされるべきであり、本開示を限定することを意図するものではなく、その範囲は特許請求の範囲によってのみ定められる。他の実施形態、変形形態、及び使用法は、特許請求される発明の骨子及び範囲から逸脱することなしに、当業者には明らかであろう。
【0008】
本願における見出し及び節の使用は、本発明を限定することを意味するものではない。各節は、本発明の任意の態様、実施形態、又は特徴に適用することができる。
【0009】
本願全体において、組成物が、特定の構成要素を有する(having)、含む(including, or comprising)と記載されている場合、又はプロセスが特定のプロセスステップを有する、含むと記載されている場合、本教示の組成物はまた、記載された構成要素から本質的になる(consist essentially of)、又はこれからなる(consist of)ことが意図され、本教示のプロセスはまた、記載されたプロセスステップから本質的になる、又はこれからなることが意図される。
【0010】
本願において、要素又は構成要素が、記載された要素又は構成要素のリストに含まれる及び/又はそこから選択されると言及されている場合、その要素又は構成要素は、記載された要素又は構成要素のうちの任意の1つであることが可能であり、記載された要素又は構成要素のうちの2つ以上からなる群から選択可能であると理解されるべきである。さらに、本明細書に記載される組成物、装置、又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書に明示されているか又は暗示されているかにかかわらず、本教示の骨子及び範囲から逸脱することなしに様々な方法で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0011】
「含む(include, includes)」「含んでいる(including)」、「有する(have, has)」又は「有している(having)」の語の使用は、特に記載されない限り、オープンエンドでありかつ非限定的であると一般に理解されるべきである。
【0012】
本明細書における単数形の使用は、特に他に記載されない限り、複数形を含む(及びその逆も)。さらに、単数形「1つ(a, an)」及び「その(the)」は、文脈上明確に言及されない限り、複数形を含む。さらに、「約」の語の使用が定量的な値の前にある場合、本教示は、特に他に記載されない限り、その特定の定量的な値自体も含む。本明細書で使用される場合、「約」の語は、公称値から±10%の変動を意味する。本明細書に開示される全ての数値及び数値範囲は、各値の前に「約」を含むとみなされる。
【0013】
本教示が実施可能である限り、或る特定の動作を実行するためのステップの順序又は順序は重要でないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上のステップ又は動作が同時に行われてもよい。
【0014】
値の範囲又はリストが提供される場合、値の範囲又はリストの上限と下限との間に介在する各値は、個別に考えられ、各値が本明細書中に具体的に列挙されているかのように本発明に包含される。さらに、所与の範囲の上限と下限との間(上限及び下限を含む)のより小さな範囲も、本発明に考慮され、包含される。例示的な値又は範囲をリストとして挙げることは、所与の範囲の上限と下限との間(上限及び下限を含む)の他の値又は範囲を権利放棄するものではない。
【0015】
[緒言]
システム及び方法は、血管内イメージングプルバックからの相対的イメージングデータセットの特徴検出及び位置合わせを実行し得る。例えば、血管内イメージングプルバックは、OCT又は血管内超音波(「IVUS」)プルバックであり得る。イメージングデータセットは、異なる動脈事象又は処置に対応する1つ以上の時点で撮像され得る。動脈の1つ以上の表現は、イメージングデータセットに基づいて表示され得る。表現は、画像データフレームの1つ以上(群又はサブセット)に対してカルシウム検出を行った後のカルシウム負荷の識別の表示を含み得る。1つ以上の表現が、ユーザに表示され得る。
【0016】
画像処理技術及び/又は機械学習によって、画像データ中のカルシウムを検出し得る。プルバックのフレームは、位置合わせの特徴の様々なウィンドウ又はビンを用いて伸ばされ及び位置合わせされ得る。位置合わせは、様々な入力又は制約、例えば位置合わせを最大化するために内腔データフレーム又は他のデータを用いてプルバックを伸ばすための柔軟性、カルシウムのエッジを並べるための点、ステントを並べるための点、及び側枝(SB)を並べるための点を用いて通知され又は最適化され得る。
【0017】
関心のあるカルシウム、又は他の特徴又は組織の質の検出が実行され得る。次いで、検出された特徴は、クラスタ又は群として識別され得る。検出された特徴のクラスタ又は群は、経時的に1つ以上のプルバックに対して表示され得る。例えば、プルバックは、処置前、処置後、ステント留置前、ステント留置後、アテレクトミ前、アテレクトミ後、血管形成術前、血管形成術後、最適化後等に、撮影され得る。いくつかの例によれば、プルバックは、ステント留置後、及び/又は医師が様々なバルーンの径及び圧力でステントを更にバルーン拡張した(ballooned)後に撮影され得る。プルバックは、各々のフレームにおいて識別される共通の特徴を用いて位置合わせされ得る。共通の特徴は、例えば、側枝、ステント、従前のステント、及び本明細書に開示される技術を使用する他の特徴を含み得る。
【0018】
内腔プロファイル、検出されたステント、最小内腔面積の測定値、平均内腔面積、最小ステント面積(「MSA」)等に関連する情報が表示され得る。表示は、カルシウム負荷に関連するリスクレベルも含み得る。いくつかの例では、リスクレベルは、カルシウム負荷によってもたらされるステント拡張不良のリスクであり得る。ステント拡張不良のリスクは、決定されたカルシウム負荷に基づいて自動的に推定及び/又は計算され得る。
【0019】
表示は、血管の縦断的ビューを含み得る。いくつかの例によれば、表示は、血管内のカルシウム負荷の領域を強調表示し得る。カルシウム負荷は、病変として始まる。病変は脂質として始まる場合があり、徐々に硬化して線維性プラークと石灰化プラークとの組み合わせとなる場合がある。病変が石灰化すると、病変は硬化する場合があり、ステント拡張に対して更なる抵抗となる場合がある。ステントを留置する場所、又は血管形成術若しくはアテレクトミを行う場所等の意思決定を改善するために、異なるカルシウムスコアリング技術を使用してもよい。
【0020】
表示は、血管、例えば冠動脈のOCTプルバック内のカルシウム負荷のビューも含み得る。様々な異なる出力が表示され得る。例えば、1つ以上の水平チャートがあり得る。水平チャートは、表示の色を識別するためのキーを含み得る。しかし、いくつかの例において、表示はカラー表示である場合があり、したがって、キーは必要でない場合があるため、キーを含まない場合がある。
【0021】
チャートは、x軸にOCTプルバックフレーム番号、y軸にカルシウム負荷レベルを用いて、カルシウム負荷をプロットし得る。チャートは、プルバック中に示される8つの異なる石灰化プラークがあることを示し得る。1つによれば、石灰化プラークのうちの1つだけが強い赤色「R」であり得る。赤色「R」として識別された石灰化プラークは、処置前及び/又は処置後の計画を決定する際に、該石灰化プラークを見るべきであることを示し得る。いくつかの例によれば、赤色「R」として識別された石灰化プラークは、ステント拡張に問題をもたらす可能性が高い石灰化プラークであり得る。他の標識付けされた石灰化プラーク、例えば橙色「O」として標識付けされたものは、処置前及び/又は処置後の計画を決定する際に、該石灰化プラークが見る価値があり得ることを示し得る。緑色「G」として標識付けされた石灰化プラークは、ステント拡張に問題をもたらす可能性の低い石灰化プラークである場合があり、したがって、処置前及び/又は処置後の計画を決定する際に見る価値がない場合がある。
【0022】
[例示的なシステム]
図1Aは、血管内データの収集において使用するためのデータ収集システム100を示している。該システムは、血管102をイメージングするために使用可能なデータ収集プローブ104を含み得る。図示しないガイドワイヤが、プローブ104を血管102内に導入するために使用され得る。プローブ104は、データ収集の間、血管の長さに沿って導入され及び引き戻され得る。プローブ104が引き戻される、すなわち後退させられるとき、複数のスキャン又はOCT及び/又はIVUSデータセットが収集され得る。データセット、又は画像データのフレームは、特徴、例えばカルシウムを識別するために使用され得る。
【0023】
プローブ102は、光ファイバ106を介してサブシステム108に接続され得る。サブシステム108は、光源、例えばレーザと、サンプルアーム及び参照アームを有する干渉計と、様々な光路と、クロック発生器と、フォトダイオードと、他のOCT及び/又はIVUS構成要素とを含み得る。
【0024】
プローブ102は、受光器110に接続され得る。いくつかの例によれば、受光器110は、バランスドフォトダイオードベースのシステムであり得る。受光器31は、プローブ102によって収集された光を受け取るように構成され得る。
【0025】
サブシステムは、コンピューティングデバイス112を含み得る。コンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサ113と、メモリ114と、命令115と、データ116と、1つ以上のモジュール117とを含み得る。
【0026】
1つ以上のプロセッサ113は、任意の従来のプロセッサ、例えば市販のマイクロプロセッサであり得る。代替で、1つ以上のプロセッサは、専用デバイス、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又は他のハードウェアベースのプロセッサであり得る。
図1Bは、デバイス110のプロセッサ、メモリ、及び他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、又はメモリは、実際には、同じ物理的筐体内に格納され得る又はされ得ない複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、又はメモリを含み得ることは、当業者には理解されるであろう。同様に、メモリは、デバイス112のものとは異なる筐体内に配置されたハードドライブ又は他の記録媒体であり得る。したがって、プロセッサ又はコンピューティングデバイスへの言及は、並列に動作し得る又は動作し得ないプロセッサ又はコンピューティングデバイス又はメモリの集合体への言及を含むと理解されるであろう。
【0027】
メモリ114は、プロセッサ113によって実行され得る命令115、及びデータ116を含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を保存し得る。メモリ114は、非一時的コンピュータ可読媒体、又は、電子デバイス、例えばハードドライブ、メモリカード、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、光ディスク、並びに他の書き込み可能及び読み取り専用メモリによって読み取り可能な、データを保存する他の媒体を含む、プロセッサ113によってアクセス可能な情報を保存するために動作する一種のメモリであり得る。本明細書に開示される対象は、上記のものの異なる組み合わせを含む場合があり、これによって、命令101及びデータ119の異なる部分は、異なる種類の媒体に保存される。
【0028】
メモリ114は、命令115に従ってプロセッサ113によって検索され、保存され、又は修正され得る。例えば、本開示は特定のデータ構造によって限定されないが、データ115は、コンピュータレジスタに、複数の異なるフィールド及び記録を有するテーブル、XML文書、又はフラットファイルとしてのリレーショナルデータベースに保存され得る。また、データ115は、コンピュータ可読フォーマット、例えば、これらに限定されないが、バイナリ値、ASCII又はユニコードにフォーマットされ得る。更に例示のみであるが、データ115は、圧縮又は非圧縮で保存された画素から構成されるビットマップ、又は様々な画像フォーマット(例えば、JPEG)、ベクトルベースのフォーマット(例えば、SVG)、又はグラフィックを描画するためのコンピュータ命令として保存され得る。さらに、データ115は、関連情報、例えば数字、記述テキスト、専用コード、ポインタ、他のメモリ(他のネットワーク位置を含む)に保存されたデータへの参照、又は関連データを計算する機能によって使用される情報を識別するために十分な情報を含み得る。
【0029】
命令115は、プロセッサ113によって、直接的に、例えば機械コードで、又は間接的に、例えばスクリプトで実行される命令の任意のセットであってもよい。その点で、本明細書において、「命令」、「アプリケーション」、「ステップ」、及び「プログラム」の語は互換的に使用可能である。命令は、プロセッサによる直接処理のためにオブジェクトコードフォーマットで、又は、オンデマンドで翻訳されるか事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプト若しくは集合を含む任意の他のコンピューティングデバイス言語で、保存可能である。命令の機能、方法、及びルーチンは、以下でより詳細に説明される。
【0030】
モジュール117は、プラーク、例えばカルシウムプラークの検出モジュール、表示モジュール、ステント検出、又は他の検出及び表示モジュールを含み得る。例えば、コンピューティングデバイス112は、血管内のカルシウムプラークの存在を検出するための石灰化検出モジュールにアクセスし得る。いくつかの例によれば、モジュールは、画像データ処理パイプライン又はその構成要素モジュールを含み得る。画像処理パイプラインは、収集されたOCTデータを、血管、ステント、及び/又は検出領域の二次元(「2D」)及び/又は三次元(「3D」)ビュー及び/又は表現に変換するために使用され得る。
【0031】
コンピューティングデバイス112は、機械学習モジュールを含み得る。従前の症例からの画像データが収集されて、データ116に保存され得る。従前の症例の各々のフレームは、カルシウム負荷、及びステント拡張不良に対する影響を決定するために分析され得る。分析された情報は、機械学習モデルへの入力として保存されて、使用され得る。機械学習モデルは、ステント拡張不良リスクを予測し得る。機械学習モデルは、
図5に関して以下に更に説明される。
【0032】
サブシステム108は、ユーザに対してコンテンツを出力するための表示118を含み得る。示されるように、表示118は、コンピューティングデバイス112から独立しているが、いくつかの例によれば、表示118は、コンピューティングデバイス112の一部であり得る。表示118は、血管内で検出された1つ以上の特徴に関連する画像データを出力し得る。例えば、出力は、限定するものではないが、断面スキャンデータ、縦断的スキャン、径グラフ、画像マスク、内腔境界、プラークサイズ、プラーク周、プラーク位置の視覚的印、ステント拡張にもたらされるリスクの視覚的印等を含み得る。表示118は、テキスト、矢印、色分け、強調表示、輪郭線、又は他の適切な人間又は機械が読み取り可能な印を用いて特徴を識別し得る。
【0033】
いくつかの例によれば、表示118は、グラフィックユーザインタフェース(「GUI」)であり得る。画像をナビゲートする、情報を入力する、入力を選択する及び/又は入力とインタラクトする等のために、1つ以上のステップが自動的に、すなわちユーザ入力なしで実行され得る。表示118は、単独で又はコンピューティングデバイス112と組み合わせて、ユーザ入力に応答して1つ以上のビューモード間の切り替えを可能にし得る。例えば、ユーザは、例えば、特定の側枝を選択することによって、及び/又は特定の側枝に関連するビューを選択することによって、表示118上の異なる側枝間で切り替えを行うことが可能であり得る。
【0034】
いくつかの例では、表示118は、単独で又はコンピューティングデバイス112と組み合わせて、メニューを含み得る。メニューによって、ユーザは様々な特徴を示し又は隠し得る。2つ以上のメニューが存在し得る。例えば、表示する血管の特徴を選択するためのメニューが存在し得る。追加で又は代替で、表示の仮想カメラアングルを選択するためのメニューが存在し得る。
【0035】
図1Bは、表示118Bに表示され得る様々なインタフェース構成要素を示す。
図1Bに示されるように、表示118Bは、4つの異なるインタフェース構成要素を含み得る。チャート10は、単一フレームにおけるデカルト座標でのOCT像を表示し得る。示されるように、チャート10は、検出された楕円形の内腔エッジと重ね合わせたフレーム92を表示し得る。チャート20は、内腔を中心としたデカルト座標での、同じフレーム(フレーム92)についての組織の特徴付けを表示し得る。内腔はグレーで表示される場合があり、ガイドワイヤの影は濃いグレーで、媒体は赤色で、カルシウムは白色で表示される場合がある。この例では、フレーム92は、検出される可視媒体を何ら含んでいない。表示は、これらの特徴の各々を表示の種類に基づいて異なる色で示し得る。例えば、表示が白黒である場合、特徴はグレースケールで表示され得る。表示がカラー表示である例では、特徴は、任意の所定の又はユーザが好む色で表示され得る。チャート10、20は、フレーム92におけるカルシウムの角度的な広がり及び厚さを示し得る。例えば、チャート20は、アーク「Caアーク1」及び「Caアーク2」における角度的な広がり及び厚さを表示し得る。
【0036】
チャート30、40は、x軸にフレーム番号、y軸にフレームごとの測定値を用いた縦断的データを表示し得る。チャート50は、内腔面積の縦断的ビュー並びに強調表示した側枝SBを表示し得る。チャート30、40、50は、チャート50におけるフレームがチャート30、40における同じフレームの視覚的に下にあるように又は一致するように位置合わせされ得る。チャート50は、第1の参照フレーム「RF1」、第2の参照フレーム「RF2」、及びGUI参照フレームの表示を含み得る。参照フレームは、機械学習モデルに基づいて又はユーザによって選択され得る。参照フレームRF1、RF2、GUIは、計算のために、及び/又は、選択された際に画面上に様々な他のビューを表示するために使用され得る。
【0037】
チャート30は、Fujino, Aらによる「A New Optical Coherence Tomography-based Calcium Scoring System to Predict Stent Underexpansion」 13(18)EUROINTERVENTION e2182-e2189(Apr. 6, 2018)において、Cardiovascular Research Foundation(「CRF」)によって開発された石灰化リスクスコアを示し得る。チャート30は、各フレームについて最大のカルシウム沈着を識別し、その総半径方向面積(度・mm)で測定することによって決定され得る。OCTの組織透過、及び、いくつかの例では、カルシウム検出精度が1mm以降に制限され得るため、厚さ(mm)は1mm以下に制限され得る。このカルシウム半径方向面積は、チャート内に表示されるバーの高さとなり、各フレームにおけるステント拡張不良リスクに関連付け可能である。「R」、「O」、及び「G」によって識別されるチャート40のバーの色は、25フレーム(5mm)の縦断的ウィンドウにおける平均半径方向面積と相関し得る。チャート40は、大量のカルシウムの隣接するフレームによってもたらされる蓄積リスクの情報ビューを提供し得る。例えば、チャート40は、カルシウム負荷を示す追加の又は代替の方法を提供して得る。チャート30で使用される色は、チャート30で使用される色に対応し得る。チャート30におけるバーは、これが180度×0.5mm=90度・mmのスライディングウィンドウ半径方向面積に達する場合、完全に赤色であり得る。
【0038】
図2A~
図2Cは、チャート30に基づいてフレームがどのようにスコアリングされ、分析され、及び/又は表示され得るかの例を示す。
図2Aは、Fujino, Aらから参照される。
【0039】
図2Aは、血管セグメント228と、画像データのフレーム220に対応する断面画像とを含む。フレーム220内のカルシウムの最大角度222及び/又は最大厚さ224が決定され得る。追加で又は代替で、カルシウム221の長さ226は、血管228の縦断的表現に基づいて決定され得る。
【0040】
各フレームが分析され得る。各フレームについて、以下のうちの1つ以上が計算され得る。
1.フレーム内の最大のカルシウムアークが180度より大きい場合、フレームスコアは2点が付けられ、そうでなければ、2×アーク(角度)(arc_degree)/180の点が付けられる。
2.フレーム内の最大のカルシウムアークが0.5mmより大きい厚さを有する場合、フレームに更なる1点が付けられ、そうでなければ、1×厚さ(mm)(thickness_mm)/0.5が付けられる。
3.カルシウム沈着の長さが5mm(約25フレーム)より大きい場合、沈着における各フレームに更なる1点が付けられ、そうでなければ、1×長さ(mm)(length_mm)/5が付けられる。
4.複数フレームのカルシウム沈着に4のカルシウムスコアが付けられる場合、その沈着に対して表示された全ての面積が赤色に着色される。2及び3のスコアは橙色であり、1のスコアは緑色である。
【0041】
1つ以上の計算に基づくOCTベースのカルシウムスコアが
図2Aに関して記載されている。例えば、OCTベースのカルシウムスコアは、0点~4点の間の値であり得る。スコアは、最大カルシウム角度、最大カルシウム厚さ、及び/又はカルシウム長さに基づき得る。最大カルシウム角度が180度以下である例では、スコアは0点であり得る。最大カルシウム角度が180度より大きい例では、スコアは2点であり得る。最大カルシウム厚さが0.5mm以下である例では、スコアは0点であり得る。最大カルシウム厚さが0.5mmより大きい例では、スコアは1点であり得る。カルシウムの長さが5.0mm以下である例では、スコアは0点であり得る。カルシウムの長さが5.0mmより大きい例では、スコアは1点であり得る。最大カルシウム角度、最大カルシウム厚さ、及びカルシウム長さのうちの1つ以上に対する個々のスコアに基づいて、総スコアが決定され得る。実際の測定値及び/又は閾値は、機械学習モデルに基づいて変わり得る。これらの因子に対する係数は、症例研究の入力でもステント拡張に関連するため、機械学習モデルによって決定し得る。評価及びスコアリングは、医師によって完了され得る。しかし、本明細書に記載されるシステム及び方法は、評価及びスコアリングを自動化し得る。コンピューティングデバイス112は、
図1Bのチャート、例えばチャート30を使用して、評価基準を適用して、自動化されたスコアを提供し得る。
【0042】
いくつかの例によれば、カルシウムスコアは、スライディングウィンドウ測定(sliding window measure)を使用して計算され得る。スライディングウィンドウ測定は、線の各所与の点の周りのウィンドウ又は範囲を含み得る。各点が再計算される際に、ウィンドウが線をスライドダウンし得る。いくつかの例によれば、全てのフレームについて、石灰化プラークの全長を考慮することによりリスクスコアが再計算され得る。いくつかの例では、リスクスコアは、追加で又は代替で、各特定のフレームにおけるカルシウム厚さ及び/又はカルシウム角度に基づいて再計算され得る。スライディングウィンドウ測定は、カルシウム長さ(mm)にカルシウム厚さ(mm)及びカルシウム角度(度)を乗算することによって計算され得る。例えば、式は以下のものであり得る:
スライディングウィンドウ測定=カルシウム長さ×カルシウム厚さ×カルシウム角度
【0043】
半径方向面積は、カルシウム厚さにカルシウム角度を乗算することによって決定され得る。半径方向面積の合計は、5mmのウィンドウで測定され得る。しかし、ウィンドウが5mmより大きくても小さくてもよいため、5mmのウィンドウは単なる一例であり、したがって、限定を意図しない。
【0044】
図2Bは、例示的な計算されたOCTベースのスコアのグラフィック表現200Cを示している。CRFスコアが4の病変は、ステントが拡張不良でないことを示し得る。いくつかの例によれば、CRFスコアが4の病変は、低スコアの症例ほど頻繁には拡張不良にならない場合がある(80%未満)(50±16%対53±12%)。いくつかの例では、CRFスコアが4の病変は、50%の確率(対して、低スコア症例では13%)で追加の最適化を必要とし得る。
【0045】
図2Cは、カルシウム量を計算する例示的なグラフィック表現200Dを示している。カルシウム量とステント拡張との間に負の相関が存在し得る。例えば、高いカルシウム量(200度×mm2超)の症例の約67%は、低いカルシウム量の症例と比較して、拡張不良のステントを有し得る(80%未満対48%)。いくつかの例によれば、低いカルシウム量の症例の24%と比較して、高いカルシウム量の症例の約50%がOCT後に追加の最適化を必要とし得る。
【0046】
図2C及び
図2Dは、ウィンドウ化したカルシウム量が、CRFスコアよりもステント拡張不良リスクをより良く推定し得ることを示し得る。
【0047】
図3は、表示のための例示的な出力を示している。ステント留置の前後からのOCTプルバック画像が、カルシウム負荷をステント拡張と相関させる情報を提供するために位置合わせされ得る。カルシウム負荷とステント拡張との間の相関によって、医師又はユーザは、ステント拡張におけるカルシウム負荷の役割を評価することが可能となり得る。表示318は、チャート330、332、334、336を含み得る。チャート330は経皮的冠動脈インターベンション(「PCI」)前のPCIカルシウムに関係するデータ又はフレームを表示する場合があり、チャート332はPCI前の内腔に関係するデータ又はフレームを表示する場合があり、チャート334はPCI後の内腔に関係するデータ又はフレームを表示する場合があり、チャート336はPCI後のカルシウムに関係するデータ又はフレームを表示する場合がある。PCI前のカルシウム及び内腔のビュー(各々チャート330、332)は、PCI後のプルバックに対するカルシウム及び内腔のビュー(各々チャート334、336)と隣接して表示され得る。PCI後のプルバックビューは、ステント留置領域337を含み得る。
【0048】
表示318は、示されるように、W1、W2、W3、W4を含む。各ウィンドウW1、W2、W3、W4は、異なる目的を有する場合があり、又は検出された特徴の異なる表示を提供する場合がある。いくつかの例によれば、ウィンドウは、表示のために出力され得る。他の例では、ウィンドウは表示のために出力されない。
【0049】
ウィンドウW1は、位置合わせを最大化するためにプルバックを伸ばすために柔軟性を有する血管の領域を表示し得る。ウィンドウW2は、カルシウムを並べるための点を含む血管の領域を表示し得る。ウィンドウW3は、ステントを並べるための点を含む血管の領域を表示し得る。ウィンドウW4は、側枝を並べるための点を含む血管の領域を表示し得る。ウィンドウは
図3に示されているが、これは単に出力の説明を補助するためのものであり、したがって、表示のために出力されない場合がある。
【0050】
表示は、前処置、例えばステント留置前のバルーンを用いた血管形成術の程度が、カルシウム負荷の影響の軽減に影響し得る血管の領域の表示を含み得る。
【0051】
システムは、カルシウム、既存のステント、側枝、及び相対的内腔面積を並べるために、スコアリングのためのNeedleman-Wunschアルゴリズム又はNeedleman-Wunschアルゴリズムの修正バージョンを使用し得る。いくつかの例によれば、候補となる位置合わせは、以下のうちの少なくとも1つを有するための点を得る。
1.フレーム内のカルシウムを有するアーク角度の類似の数:min(pre,post)/max(pre,post,60度)。
2.フレーム内の側枝の類似の総径:min(pre,post)/max(pre,post,0.5mm)。
3.フレーム内の類似の相対的内腔面積:min(rla_pre,rla_post)/max(rla_pre,rla_post,0.1)、式中、rla_pre及びrla_postはフレーム内の相対的内腔面積であり、以下のように計算される。
rla_pre[f]=(fにおける内腔面積)/(F’における内腔面積)
rla_post[f]=(fにおける内腔面積)/(Fにおける内腔面積)
式中、FはPCI後のプルバックにおける近位の参照フレームであり、F’はこの候補となる位置合わせにおけるFに対応するPCI前フレームである。
【0052】
ステント留置の作用によってカルシウムプロファイル及び内腔プロファイルの両方が変化し得るため、アルゴリズムによってステント留置領域におけるカルシウム又は内腔の面積が一致しない場合がある。いくつかの例によれば、ステント留置領域におけるカルシウム又は内腔の面積の不一致は、誤差範囲又は他の統計的補正を用いることによって補償され得る。
【0053】
図4は、例示的な表示を示している。表示418は、血管のCFRスコアを示すチャート440、血管のPCI前のカルシウムを示すチャート430、血管の2D縦断的表現を示すチャート442、血管のPCI後の内腔を示すチャート434、及びテーパ拡張を示すチャート444を含み得る。いくつかの例によれば、テーパ拡張は、側枝が血流を迂回させる際の、血管の近位端から遠位端への天然のテーパに基づいて、各フレームについて適切な参照面積を再計算することによって決定し得る。チャート430は、上述したスライディングウィンドウ測定を用い得る。追加で又は代替で、チャート430は、チャート40にプロットされたウィンドウ化したカルシウム量に基づき得る。チャート430は、
図1Bに示されるチャート40と同様であり得る。チャート442は、
図1Bに示されるチャート50と同様であり得る。チャート434は、
図1Bのチャート50と同様であり得るが、代わりに、ステントが留置された後の血管の同じ領域のみを表示し得る。
【0054】
いくつかの例によれば、表示は、検出されたカルシウムの領域を表示するか又は識別し得る。検出されたカルシウムの識別された領域は、ステント拡張閾値プロットにおける極小値によって示されるような、ステント拡張の量を制限することによってステント拡張との負の相関を表し得る。テーパ拡張を示し得るチャート444は、プルバックの近位及び/又は遠位の何れかの端部における参照フレームを使用して計算された内腔プロファイルに対する変化を示し得る。
【0055】
表示418のチャート440、430、442、434、444には示されていないが、赤色の領域は、血管にステント留置する際に考慮を必要とし得る、高い又は増大したカルシウム負荷を表示し得る。緑色の領域は、減少した又は低いカルシウム負荷を表示し得る。いくつかの例では、橙色の領域「O」は、カルシウム負荷の影響が、断面、lモード、並びに他の血管内ビュー及び分析を用いた更なる分析又は他のビューを保証し得る、カルシウム負荷の中間領域を表示し得る。これは単なる一例であり、他の例では、リスクは異なる色スキームを用いて色分けされ得ることは理解されるべきである。
【0056】
[ステント拡張不良]
上述の、本明細書に記載されたカルシウム負荷は、ステント拡張不良リスクを推定するために使用され得る。ステント拡張不良リスクは、トレーニングされた機械学習(「ML」)モデルを用いて推定され得る。各トレーニングの例は、臨床試験及び/又は現場からの症例であり得る。MLモデルは、各症例についてのPCI前の情報とPCI後の結果とを比較し得る。MLモデル推定は、医師又はエンドユーザに拡張不良リスクの定量的評価を提供するために使用され得る。
【0057】
図5は、過去のPCIからのデータを使用して、将来の患者のステント拡張不良リスクを予測する例示的なシステム500を示している。システム500は、開発環境552及びカテーテルラボ560を含み得る。カテーテルラボ560として示されているが、カテーテルラボ560は、医師が患者にステントを挿入又は移植する任意の場所であり得る。例えば、カテーテルラボは、病院、外来手術場所等であり得る。したがって、場所をカテーテルラボ560として特定することは、単なる一例であり、限定を意図しない。
【0058】
開発センター552は、トレーニングデータベース5545、機械学習システム556、及びトレーニングされた予測モデル558Aを含み得る。トレーニングデータベースは、複数レベルのPCI情報を含み得る。例えば、トレーニングデータベース554は、公表された臨床研究からの粗い統計、臨床試験からの個々のPCIに対する記録及び画像、並びに現場において収集されたPCIについてのデータを含み得る。これらのデータは、入力-出力のペアの形式である場合があり、この場合、症例の入力は、標的血管が準備され、ステントが留置される前に観察可能な全ての情報であり、出力は、生じたステント拡張及び他の結果(合併症、再入院、TVR等)である。入力-出力のペアは、1つ以上の画像フレームであり得る。いくつかの例によれば、入力は、標的血管が準備される前の標的血管の複数の画像である場合があり、出力は、ステント拡張後の標的血管の複数の画像等である場合がある。入力の複数の画像は、該入力の複数の画像の最初のフレームが、標的血管内の出力の複数の画像の最初のフレームと同じ位置からのものであるように、出力の複数の画像に対応し得る。
【0059】
機械学習システム556は、これらの入力と出力との間の関係を学習又はモデル化し得る。例えば、機械学習システム556は、複数の入力及び出力の画像の各々から異なる値を検出し得る。該値は、限定されないが、複数の入力及び出力の画像の各々についての、カルシウム角度、最大厚さ、ステント拡張割合等を含み得る。これらの値の各々は、後にステント拡張不良リスクレベルを予測するために使用され得る。いくつかの例によれば、機械学習システム556は、その出力予測における誤差を最小化するために内部パラメータを調整することによって、関係を学習し得る。
【0060】
いくつかの例によれば、線形モデル、例えばロジスティック回帰によって、各予測属性に付される乗算重みである内部パラメータを調整し得る。例えば、1つのモデルは以下ものであり得る:
拡張=(w1)×(カルシウム)+(w0)
【0061】
拡張は、予測されるべきステント拡張割合であり得る。カルシウムは、最大のウィンドウ化カルシウム量であり得る。「w1」及び「w0」は、アルゴリズムがトレーニングデータに最も適合するように調整し得る数値であり得る。
【0062】
いくつかの例では、機械学習システムは、その内部パラメータが各ツリーを支配する規則であり得るように、任意の数の決定木を学習し得る。一例では、機械学習システムは、カルシウム量が0.3未満である場合に、良好な拡張が予測され得ると決定し得る。
【0063】
いくつかの例では、機械学習システム556が予測誤差を最小化するためにモデルパラメータを調整する際に、機械学習システム556は、追加モデルを作成するためにデータを再実行(557)し得る。
【0064】
機械学習システム556によって作成されたモデルは、トレーニングされた予測モデル558であり得る。トレーニングされた予測モデル558は、ステント拡張不良リスクを予測し得る。トレーニングされた予測モデル558は、カテーテルラボ560に送信され得る。いくつかの例によれば、トレーニングされた予測モデル558は、ネットワークを介して共有され得る。カテーテルラボ560において、トレーニングされた予測モデル558は、新たな標的病変562に対する情報を使用及び/又は取り込み、インターベンションストラテジの洗練において医師を支援するためにステント拡張予測564を生成し得る。ステント拡張予測564は、ステント拡張不良リスクを含み得る。
【0065】
図6は、標的とされ得る血管600内の例示的な病変を示している。病変「Y」は、厚い偏心したカルシウム沈着であり得る。病変「O」は、厚い円周方向のカルシウム沈着であり得る。病変「G」は、薄い偏心したカルシウム沈着であり得る。いくつかの例によれば、病変「Y」は黄色に色分けされる場合があり、病変「O」は橙色に色分けされる場合があり、病変「G」は表示において緑色に色分けさる場合がある。
【0066】
いくつかの例によれば、病変の石灰化は、石灰化が血管の片側だけにある偏心したものである場合があり、又は石灰化が血管の内周の周囲を包み込むような円周方向のものである場合がある。円周方向のカルシウムは、ステントバルーンの全方向への拡張を妨げ得るため、ステント拡張に最大のリスクをもたらし得る。全てのカルシウムがステント拡張に抵抗するわけではない。カルシウムには、ステントがその中を通って拡張し得るほど薄いものもある。カルシウムには、血管の周囲に十分な大きさのアークを形成し得ず、ステントが1つ以上のヒンジ点でカルシウムを突き破るものもある。脂質及び/又は繊維のマトリックス中にカルシウム沈着を有する、むしろ混合プラーク型のものもあり得る。
【0067】
図7は、表示718に出力され得る複数のインタフェース構成要素の一例を示している。複数のインタフェース構成要素は、血管内の病変を決定するために使用され得る。フレーム710は、石灰化した病変を有する冠動脈の単一断面フレームのOCT画像であり得る。フレーム720は、カルシウム772、ガイドワイヤの影774、及び識別された内腔776を含むフレーム710の組織の特徴付けであり得る。出力770は、カルシウムの正面の投影であり得る。いくつかの例では、各画素の水平位置は、縦断フレーム位置を表示し得る。追加で又は代替で、各垂直方向位置は、内腔の中心周りの角度位置を表示し得る。グレースケールで示される画素強度は、そのフレーム及びアークにおけるカルシウム厚さを表示し得る。出力758は、プルバックを横切る内腔の径を表示し得る。印777は、内腔径の推定がより大きな誤差を有し得るフレームを表示し得る。印778は、検出された側枝を表示し得る。印779は、断面フレーム710、720において表示されるフレームを表示し得る。
【0068】
ステント留置されるべき血管領域について、組織の特徴付けがOCTプルバックのその領域について生成され得る。フレーム内の画素は、カルシウムとして識別され得る。カルシウムとして識別された画素から、カルシウムの厚さが、血管内腔の中心の周りの各半径方向角度で測定され得る。フレーム720は、0.0mmより大きい厚さの360度のカルシウムを含み得る。いくつかの例によれば、フレーム[右上]は、0.8mmより大きい厚さの45度のカルシウム、及び、1.0mmより大きい厚さの0度のカルシウムを含み得る。フレーム720は、機械学習モデルにおける入力特徴ベクトルとして使用され得る。いくつかの例によれば、6つの厚さ閾値が、これらの閾値におけるカルシウムの最大の連続アークを測定する際に、使用され得る。閾値は、例えば、0.0mm、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、及び1mmであり得る。しかし、閾値は、mm単位の任意の値、例えば0.1、0.25等であり得る。したがって、閾値0.0mm、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、及び1mmは、6つの閾値の単なる一例であり、限定を意図しない。
【0069】
フレーム720に関して、例示的な閾値0.0mm、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、及び1mmの使用により、0.0mmより大きい厚さの360度のカルシウムがあり得るが、そのカルシウムの45度だけが0.8mmより大きい厚さを有し、そのカルシウムの0度が1.0mmより大きい厚さを有することもあり得る。6つの閾値に基づく、フレーム720に対するアークのベクトルは、360、360、210、180、45、及び0であり得る。
【0070】
ステント拡張は、カルシウムだけでなく、1つ以上の他の因子によっても影響され得る。例えば、最大バルーン径、最大バルーン圧、バルーン/動脈径比、LAD、LCX、及びRCAを含む粗い血管位置、内腔基準面積、最小内腔面積、狭窄の割合、最大バルーン圧で割った狭窄、最大バルーン面積で割った最小内腔面積、ステント長、内腔の偏心度、フレーム内のカルシウムの内腔のエッジと最初の画素との間の組織の量として測定したカルシウムの深さ(mm)等である。これらの因子の1つ以上が、機械学習モデルにおける入力として使用され得る。
【0071】
図8A及び
図8Bは、ステントが良好に又は不良に拡張したか否かについての機械学習モデル予測に対する交差検証結果の例を示している。この例について、ステントが90%より大きい拡張を有する場合、ステントは良好に拡張し、ステントが70%未満の拡張を有する場合、ステントは不良に拡張した。
【0072】
図8Aに示されように、希望の拡張したステントの症例[青]は低いリスク推定値が付けられる場合があり、不良に拡張したステントの症例[赤]はより高いリスク推定値を有することが見出される場合がある。
【0073】
図8Bは、変化する閾値における特異度及び感度を関連付ける。機械学習アルゴリズムは、数値、例えば拡張割合、又は分類標識、例えば良好な拡張又は不良な拡張の何れかを予測し得る。示されるように、
図8Bは、アルゴリズムが標識予測のみよりも数値スコアを生成する場合の分類器のパフォーマンスを示し得る。分類器は、分類標識を予測するアルゴリズムからのものであり得る。曲線上の各点は、異なる決定閾値におけるパフォーマンスを表し得る。例えば、スコアが0.9では感度は0.9、特異度は0.7であり得る。
【0074】
いくつかの例によれば、リスク評価、又はステント拡張不良リスクは、表示又はGUIに確率として表示され得る。例えば、ステントが拡張不良である80%の変化を有するという表示が表示上に存在し得る。
【0075】
図9Aは、リスク評価を含む例示的な表示を示している。表示918は、血管の縦断的表現984、縦断的表現984内の選択されたフレーム980、及び、情報表示982を含み得る。縦断的表現984は、選択されたフレーム980を識別する表示又はマーカ981を含み得る。情報表示は、選択されたフレーム980内のカルシウムの総角度、選択されたフレーム980内のカルシウムの最大厚さ、及びリスク評価987を含み得る。
【0076】
リスク評価987は、ステント拡張不良のリスクについての表示又は警告を含み得る。ステント拡張不良の高いリスクが存在する例では、リスク評価987は、図示のような警告記号、又は停止サインを含み得る。ステント拡張不良の低いリスクが存在する例では、リスク評価987は、図示しない緑色の光、又は「OK」記号を含み得る。ステント拡張不良の高いリスクが、医師に警告するために赤色で書かれる場合があり、ステント拡張不良の低いリスクが、医師に「OK」を与えるために緑色で書かれ得るように、リスク評価987は色分けされる場合がある。高いリスクは赤色と関連付けられ、低いリスクは緑色と関連付けられ得るが、リスク評価987は、グレースケールを含む任意のカラー系を使用し得る。
【0077】
縦断的ビュー984は、追加で又は代替で、リスク評価986を含み得る。縦断的リスク評価986は、縦断的ビューの上又は下に、表示、例えばバーとして示され得る。縦断的リスク評価986は、1つの色が高いリスクを意味し、別の色が低いリスクを意味するように色分けされ得る。縦断的リスク評価986の色分けは、リスク評価987の色分けに対応し得る。例えば、赤色の縦断的リスク評価は高いリスクである場合があり、緑色の縦断的リスク評価は低いリスクである場合がある。いくつかの例では、追加の色リスク、例えば、中程度のリスク又は考慮すべきリスクであり得る橙色又は黄色が存在し得る。いくつかの例によれば、縦断的ビュー984内の個々のフレームは、色分けされるか又は強調表示され得る。色分け及び/又は強調表示は、縦断的リスク評価986に使用される色分けと同様であり得る。
【0078】
いくつかの例によれば、表示918は、追加で又は代替で、ヒストグラム、例えば
図9Bに示されるヒストグラム988を含み得る。ヒストグラム988は、類似の症例に対するステント拡張に関する情報をグラフで提示し得る。示されるように、ヒストグラム988は、類似の症例に対するステント拡張の割合、及び症例の数をグラフ表示する。上述のように、類似の症例は、機械学習モデルに基づいて決定され得る。
【0079】
ヒストグラムを作成するために使用されるデータは、類似度メトリックに基づき得る。いくつかの例によれば、類似度メトリックは、選択された機械学習モデルに基づいて変わり得る。例えば、回帰のような線形モデルが選択された場合、ロジスティック回帰の係数によって重み付けされたユークリッド距離メトリックが使用され得る。追加で又は代替で、決定木アンサンブルが選択される場合、テストケースと同じリーフノードに該当するケースに基づいて、ヒストグラムが生成され得る。線形様モデル又は決定木アンサンブルが選択されるいずれの場合でも、各ヒストグラムは、異なるバルーンサイズ及びバルーン圧に対するリスク推定を表示することによって補強され得る。これにより、バルーンの選択によってリスクを軽減できるか否かについて、ユーザに何らかの考えを提供し得る。
【0080】
図10は、リスク評価及び予測されるステント拡張を含む例示的な表示を示している。
図9に示される表示と同様に、表示1018は、血管の縦断的表現1084、縦断的表現1084内の選択されたフレーム1080、情報表示1082、及び予測される拡張の表示1092を含み得る。縦断的表現1084は、選択されたフレーム1080を識別する表示又はマーカ1081を含み得る。示されていないが、表示1018は、追加で又は代替で、上述したインタフェース構成要素のうちの1つ以上を含み得る。例えば、表示1018は、
図9Aに示されるようなステント拡張リスク、又は
図9Bに示されるようなヒストグラムを含み得る。
【0081】
情報表示1082は、カルシウム負荷に関する情報、例えば総角度及び最大厚さを含み得る。しかし、これは単なる一例である。情報表示1082は、任意の動脈の特徴に係る情報、例えば可視媒体、脂質性プラーク又は薄冠性線維異形成の存在、内腔径及び偏心度の測定値等を含み得る。可視媒体は、外弾性板を含み得る。
【0082】
予測される拡張の表示1090は、検出された動脈の特徴に基づく予測されたステント拡張であり得る。例えば、カルシウム負荷は、1回以上のプルバックから得られた画像データに基づいて決定され得る。予測される拡張は、予測される拡張の割合として示され、例えば70%と示され得る。追加で又は代替で、ボックスプロット1094が、予測される拡張の表示1092に含まれ得る。ボックスプロット1094は、可能性の高い拡張の範囲を表し得る。
【0083】
図11は、血管の表現を出力する例示的な方法を示している。以下の操作は、以下に記載される正確な順序で実行される必要はない。むしろ、様々な操作が異なる順序で、又は同時に行われてもよく、操作は追加又は省略され得る。
【0084】
例えば、ブロック1110において、1つ以上のプロセッサは、血管セグメントの画像データを含む1つ以上のフレームを受信し得る。該フレームは、1回以上のイメージングプルバック中に得られ得る。例えば、プルバックは、処置前、処置後、ステント留置前、ステント留置後、アテレクトミ前、アテレクトミ後、血管形成術前、血管形成術後、最適化後等に、撮像され得る。いくつかの例によれば、プルバックは、ステント留置後、及び/又は医師が様々なバルーン径及びバルーン圧でステントを更にバルーン拡張した後に、撮像され得る。
【0085】
ブロック1120において、1つ以上のプロセッサは、1つ以上のフレームの各々における動脈の特徴を検出し得る。動脈の特徴は、いくつかの例によれば、カルシウム負荷、可視媒体、脂質性プラーク又は薄冠性線維異形成の存在、内腔径及び偏心度の測定値等であり得る。
【0086】
ブロック1130において、1つ以上のプロセッサは、1つ以上のフレームの各々における動脈の特徴をスコアリングし得る。スコアは、ステント拡張不良リスクスコアであり得る。スコアは、機械学習モデルを用いて決定され得る。機械学習モデルは、各症例について、PCI前の情報とPCI後の結果とを比較し得る。
【0087】
ブロック1140において、1つ以上のプロセッサは、動脈の特徴のスコアに基づいて、関心領域を識別し得る。スコアがステント拡張不良リスクスコアである例において、関心領域は、カルシウム負荷の領域であり得る。追加で又は代替で、スコアがステント拡張不良リスクスコアである例において、関心領域は、ステント拡張不良の高いリスク、中程度のリスク、又は低いリスクが存在する領域であり得る。
【0088】
ブロック1150において、1つ以上のプロセッサは、関心領域に対するスコアの視覚的表示を含む血管セグメントの表現を出力し得る。表現は、二次元及び/又は三次元の表現であり得る。スコアの視覚的表示は、色分け表示であり得る。表示は、動脈の特徴のスコアに基づいて色分けされ得る。例えば、スコアがステント拡張不良リスクスコアである場合、表示の色は、赤色、黄色、又は緑色であり得る。赤色の表示は、ステント拡張不良の高いリスクが存在することを表示する場合があり、黄色は、中程度のリスクが存在することを表示する場合があり、緑色は、ステント拡張不良の低いリスクが存在することを表示する場合がある。表示がカラー表示でない場合等の、いくつかの例では、表示はグレースケールで色分けされ得る。
【0089】
表示は、バーの形状、例えば、血管の表現の縦断に平行な長方形であり得る。バーは、表現内の動脈の特徴の長さを伸ばし得る。動脈の特徴がカルシウム負荷である例では、バーは、表現内のカルシウム負荷の長さを伸ばし得る。バーの色に基づいて、医師は、カルシウム負荷がステント拡張不良のリスクをもたらし得る又はもたらし得ないことを迅速に認識し得る。
【0090】
[ユーザワークフロー]
上述のコンピューティングデバイスは、病変評価、ステントのサイジング、留置、及び留置後の評価を通じてナビゲートする際にエンドユーザを支援し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、病変の形態を出力し得る。出力は、エンドユーザが病変の形態を容易に評価可能にするやり方であり得る。いくつかの例によれば、出力は、血管セグメントの色分け表現を含み得る。色分け表現における各色は、重大度のレベルを表し得る。追加で又は代替で、色分け表現における各色は、動脈の特徴に基づく、予測された、推定された又は決定されたステント拡張不良リスクを表し得る。動脈の特徴は、例えば、カルシウム負荷であり得る。色分けされたリスク推定値は、血管の準備及び/又はステント留置ストラテジを適応させるようにユーザを動機付け、促し、及び/又はそれを可能にし得る。例えば、カルシウムによってもたらされるリスクが高い場合、ユーザは、血管の少なくとも一部を、高いリスクを表す赤色として目にし得る。いくつかの例によれば、色分けの代わりに又は色分けに加えて、リスクのレベルをグレースケールで、ハッチング等として示し得る。したがって、色分けは単なる一例であり、限定を意図しない。
【0091】
特定の色によって表されるステント拡張不良の高いリスクを迅速かつ容易に評価することによって、ユーザは、処置計画を変更することを決定し得る。例えば、カルシウム負荷によってもたらされるリスクが高く、ユーザが多くの赤色を目にする場合、ユーザは、ステント留置の前に、より積極的なバルーン形成又は血管の準備を行うことを選択し得る。いくつかの例では、高いリスクは、ユーザが、技術、例えば切断バルーン、スコアリングバルーン、軌道又は回転ドリル、超音波結石破砕等を使用して、ステント留置の前にカルシウムを除去又は破砕するようにアテレクトミ技術を適合すべきことを、ユーザに示し得る。
【0092】
いくつかの例によれば、色分けされた表現によって、ユーザは、特定の病変に対するステント留置を見送り、代わりに、異なる病変、例えばより高いリスクを有する病変に焦点を当て得る。いくつかの例では、ユーザは、色分け表現に基づいて、ステント留置後に、より積極的な後拡張(post-dilation)を実行し得る。
【0093】
コンピューティングデバイスは、色分け表現に基づいて、バルーンのサイズ及び/又は種類の提案を提供し得る。例えば、上記の機械学習モデルに基づいて、コンピューティングデバイスは、類似の症例に基づいてバルーンのサイズ及び/又は種類を予測し、したがって、提案し得る。追加で又は代替で、コンピューティングデバイスは、デバイスの使用の提案を提供し得る。使用の提案は、血管のセグメントの特定のプラーク形態に基づき得る。いくつかの例では、デバイスの使用の提案は、症例ごとにデバイスの使用に焦点を当てた機械学習モデルに基づき得る。
【国際調査報告】