(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】集積された回路部品を中に備えるプローブガイドを有する垂直プローブヘッド
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20221005BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G01R1/073 D
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507536
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2020071901
(87)【国際公開番号】W WO2021023740
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】102019000014211
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッジョーニ、フラビオ
【テーマコード(参考)】
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G011AA02
2G011AA16
2G011AB01
2G011AB07
2G011AC11
2G011AE03
2G011AF07
4M106AA01
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD11
(57)【要約】
半導体ウェーハ上に集積された被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッドは、複数のコンタクトプローブを収容するように構成された複数のガイド穴を備えた少なくとも1つのガイドを備える。好都合には、ガイドは、集積回路を製造するのに好適な材料でできており、および、その中に集積された複数の回路部品を備え、そうしたガイドは、プローブヘッドの電子的に能動的な要素である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッド(20)であって、前記プローブヘッド(20)は、複数のコンタクトプローブ(21)を収容するように構成された複数のガイド穴(40h、50h)を備えた少なくとも1つのガイド(40、50)を備え、前記プローブヘッド(20)は、前記ガイド(40、50)が、集積回路を製造するのに好適な材料でできており、および、前記ガイドが、前期ガイドの中に集積された複数の回路部品(60、60a、60b)を備え、前記ガイド(40、50)は、前記プローブヘッド(20)の電子的に能動的な要素である、被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッド(20)。
【請求項2】
前記ガイド(40、50)を形成する前記材料が、シリコンおよびガラス状材料から選択され、好ましくはシリコンである、請求項1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項3】
前記ガイド(40)の少なくとも1つのガイド穴(40h)がメタライゼーション(29)を備える、請求項1または2に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項4】
前記メタライゼーション(29)が、前記ガイド穴(40h)の内表面の少なくとも1つの部分(40w)を覆う、請求項3に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項5】
前記ガイド(40、50)が、前記メタライゼーション(29)に電気的に接続されたパッド(30)を備える、請求項3または4に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項6】
前記ガイド(40,50)が、前記複数のガイド穴(40h、50h)の少なくとも1つから延在し、および/または前記ガイド(40)の前記複数の回路部品(60、60a、60b)を接続する少なくとも1つの導電トラック(27)を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項7】
前記ガイド(40、50)は、前記複数のガイド穴(40h、50h)の少なくとも1つの群(40’)の複数の穴を含み、および、互いに電気的に接続し、ならびに、前記複数のコンタクトプローブ(21)の対応する群に接触するように構成された少なくとも1つの導電部(26)を備え、前記対応する群の前記複数のコンタクトプローブは、同じタイプの信号を搬送するように構成された、請求項1~6のいずれか1項に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項8】
前記ガイド(40、50)は、前記少なくとも1つの導電部(26)に接続された少なくとも1つの共通パッド(28)を備える、請求項7に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの導電部(26)が、前記ガイド(40、50)の少なくとも1つの面(Fa、Fb、Fc、Fd)上に配置され、短絡させられるべきでない複数のガイド穴が、前記ガイド(40、50)内の非導電ゾーンにより、前記少なくとも1つの導電部(26)から電気的に絶縁される、請求項7または8に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの導電部(26)が、複数の導電層の形態を有しており、連続した複数の導電層は、非導電層により、隔てられる、請求項7または8に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項11】
前記ガイド(40)が前記プローブヘッド(20)の下方ガイドであり、前記プローブヘッドは、前記下方ガイド(40)に平行であり、および、エアゾーン(G)により前記下方ガイドから隔てられた少なくとも1つの上方ガイド(50)も含み、前記下方ガイド(40)は試験中の前記被試験デバイスに、より近接している、請求項1~10のいずれか1項に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項12】
前記ガイド(40)内に集積された前記複数の回路部品が、少なくとも1つの能動部品(60a)を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項13】
前記ガイド(40)が、前記複数のコンタクトプローブにより搬送される信号に対して、複雑な処理を行うように構成された能動回路を備える、請求項12に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項14】
複数の集積回路部品(60)は、半導体基板上に集積回路技術により得られた回路内に含まれる、請求項1~13のいずれか1項に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項15】
被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッド(20)を製造する方法であって、
複数のコンタクトプローブ(21)を収容するように構成された複数のガイド穴(40h、50h)を備えた少なくとも1つのガイド(40、50)を備えるステップ、および
前記ガイド(40、50)内の複数の回路部品(60)を、前記ガイド(40、50)を前記プローブヘッド(20)の電子的に能動的な要素にするように集積するステップ、
を備え、
前記ガイド(40)が、複数の集積回路を収容するのに好適な材料でできている、方法。
【請求項16】
少なくとも1つの導電部(26)および/または少なくとも1つの導電トラック(27)を、集積回路技術により形成するステップをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板上に集積された電子デバイスを試験するための垂直プローブヘッドに関連し、および、以下の開示はその説明を簡素化する目的のみで本出願の技術分野を参照して行う。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、プローブヘッドは、半導体ウェーハ上に集積されたデバイスなどのマイクロストラクチャの複数の接触パッドを、それらの機能試験、特に電気的なもの、または一般に、試験を行う試験装置の対応するチャンネルと電気的に接続するように構成された電子装置である。
【0003】
集積デバイスに対して行われる試験は特に、早ければ製造段階における欠陥回路を検出し、および分離するのに有用である。通常、プローブヘッドはしたがって、ウェーハ上に集積された複数のデバイスの、それらの切断、および、格納パッケージ内での組み立て前の電気的試験のために使用される。
【0004】
一般に、プローブヘッドは、少なくとも1つのガイドにより、ならびに、略板状であり、および互いに平行である少なくとも一対のガイド(または支持体)により、保持された複数の接触要素またはコンタクトプローブを備える。そうしたガイドは、特定の複数のガイド穴を備えており、および、摺動可能にそうした複数のガイド穴内に収容された複数のコンタクトプローブの移動および考えられる変形のためにフリーゾーンまたはエアギャップを作るように互いに間隔をおいて配置される。上記一対のガイドは、それらの中を複数のコンタクトプローブが軸方向に摺動するそれらの複数のガイド穴をいずれも備えた上方ガイドおよび下方ガイドを備えており、上記複数のプローブは通常、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金でできている。
【0005】
複数のコンタクトプローブと、被試験デバイスの複数の接触パッドとの間の適切な接続は、デバイス自体に対する、プローブヘッドの圧力によって確実にされ、複数のコンタクトプローブは、押圧接触中に、複数のガイド間のエアギャップ内で曲げを受け、およびそれぞれの複数のガイド穴内で摺動する。この種のプローブヘッドは通常、「垂直プローブヘッド」と呼ばれる。
【0006】
実質的には、垂直プローブヘッドは、複数のコンタクトプローブの曲げがその中で生じるそのエアギャップを有しており、上記曲げは、
図1に概略的に示すように、複数のプローブ自体の、またはそれらの複数のガイドの好適な構成により、加勢され得る。
【0007】
特に、
図1では、垂直プローブヘッドは、概略的に示し、および大局的に1により、示す。プローブヘッド1は、通常「上方ダイ」として示される少なくとも1つの上方ガイド3、および、通常「下方ダイ」として示される下方ガイド4内に収容された複数のコンタクトプローブ2を備えており、上記複数のガイドは、板形状を有しており、互いに平行であり、およびエアゾーン7により、隔てられている。上方(3)および下方(4)ガイドは、複数のコンタクトプローブ2がそれらの中で摺動するそれらのそれぞれのガイド穴3Aおよび4Aを備える。
【0008】
各コンタクトプローブ2は、半導体ウェーハ6上に集積された被試験デバイスの複数の接触パッドのそれぞれの接触パッド6Aに当接することが意図された接触先端2Aで終端する端ゾーンまたは領域を有しており、よって、そうした被試験デバイスと、そのそうしたプローブヘッド1が端子要素である試験装置(図示せず)との間の機械的および電気的接触を行う。
【0009】
図1の例では、すべてのコンタクトプローブ2はさらに、スペーストランスフォーマ5の複数の接触パッドのそれぞれの接触パッド5Aの方に向かういわゆる接触ヘッド2Bで終端するさらなる端ゾーンまたは領域を有している。複数のコンタクトプローブ2とスペーストランスフォーマ5との間の適切な電気接続は、複数のコンタクトプローブ2の複数の接触先端2Aと、被試験デバイスの複数の接触パッド6Aとの間の接触と同様に、スペーストランスフォーマ5の複数の接触パッド5Aへの、複数のコンタクトプローブ2の複数の接触ヘッド2Bの押圧当接によって確実にされる。
【0010】
一般に、スペーストランスフォーマ内のルーティング経路、およびプローブヘッドを試験装置とインターフェースで接続するPCBの回路レイアウトは、非常に複雑であり、および、よって、そうした複雑度を低減することが望ましい。
【0011】
さらに、プローブヘッドの特性を増大させるために、プローブヘッド自体が、好ましくは被試験デバイスに近接して、その複数のコンタクトプローブにより、搬送される信号に対して複数の処理を行うことができることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の技術的課題は、従来技術による複数のプローブヘッドになお影響をおよぼしている制約および欠点を解消し、特に、それらの複数のコンタクトプローブによって搬送される信号に対して、処理を、複雑なものも行うことができることを可能にするような構造的および機能的特徴を有するプローブヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の基礎をなす解決策の考えは、プローブヘッドのガイドであって、上記ガイドが、一方で、複数のコンタクトプローブのハウジング要素としてふるまい、および、他方で、そうした複数のコンタクトプローブにより、搬送される信号に対して処理を行い、したがって、それを備えるプローブヘッドの電子的に能動的な要素としてふるまうための能動回路を備えるガイドの製造において、半導体基板上の集積回路の技術を利用することである。すなわち、プローブヘッドのガイド(好ましくは、下方ガイド)は、一方で、集積回路であり、および、他方で、複数のコンタクトプローブを収容するための複数のガイド穴を備える回路ボードである。
【0014】
そうした解決策の考えに基づけば、上記技術的課題は、被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッドであって、そうしたプローブヘッドが、複数のコンタクトプローブを収容するように構成された複数のガイド穴を備えた少なくとも1つのガイドを備え、そうしたプローブヘッドは、ガイドが、集積回路を製造するのに好適な材料でできており、および、ガイドが、その中に集積された回路部品を備え、そうしたガイドが、プローブヘッドの電気的に能動的な要素である、被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッドによって解決される。
【0015】
特に、本発明は、個々に、または、必要な場合、組み合わせで採用される以下のさらなる、および任意的な特徴を備える。
【0016】
本発明の一態様によれば、ガイドを形成する材料が、シリコンおよびガラス状材料から選択され、好ましくはシリコンであり得る。
【0017】
本発明の一態様によれば、ガイドの少なくとも1つのガイド穴はメタライゼーションを備え得る。特に、そうしたメタライゼーションは、ガイド穴の内表面の少なくとも1つの部分を覆い得る。なおさらに、特に、ガイドは、メタライゼーションに電気的に接続されたパッドを備え得る。
【0018】
本発明の別の態様によれば、ガイドは、複数のガイド穴の少なくとも1つから延在し、および/またはガイドの複数の回路部品を接続する少なくとも1つの導電トラックを備え得る。
【0019】
本発明の別の態様によれば、少なくともそうしたガイドは、複数のガイド穴の少なくとも1つの群の複数の穴を含み、および、互いに電気的に接続し、ならびに、複数のコンタクトプローブの対応する群に接触するように構成された少なくとも1つの導電部を備え、導電部により、互いに短絡させられた、そうした対応する群のそうした複数のコンタクトプローブは、同じタイプの信号を搬送するように構成され得る。
【0020】
特に、ガイドは、少なくとも1つの導電部に接続された少なくとも1つの共通パッドを備え得る。
【0021】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの導電部は、ガイドの少なくとも1つの面上に配置され、短絡させられるべきでない複数のガイド穴は、ガイド内の非導電ゾーンにより、少なくとも1つの導電部から電気的に絶縁され得る。
【0022】
さらに、少なくとも1つの導電部は、複数の導電層の形態を有しており、連続した複数の導電層は、非導電層により、隔てられ得る。
【0023】
本発明の別の態様によれば、ガイドは、プローブヘッドの下方ガイドであり、それはさらに、下方ガイドに平行であり、および、エアゾーンまたはギャップにより、そこから隔てられた少なくとも1つの上方ガイドも備え、そうした下方ガイドは、被試験デバイスに近接している場合がある。
【0024】
本発明の別の態様によれば、ガイド内に集積された複数の回路部品は、少なくとも1つの能動部品を備え得る。
【0025】
さらに、特に、ガイドは、複数のコンタクトプローブにより搬送される信号に対して複雑な処理を行うように構成された能動回路を備え得る。
【0026】
本発明の別の態様によれば、複数の集積回路部品は、半導体基板上に集積回路技術により形成された複数の回路内に含まれ得る。
【0027】
本発明は、
複数のコンタクトプローブを収容するように構成された複数のガイド穴を備えた少なくとも1つのガイドを備えるステップ、および
ガイド内の複数の回路部品を、そうしたガイドをプローブヘッドの電子的に能動的な要素にするように集積するステップ
を備え、
ガイドが、複数の集積回路を収容するのに好適な材料でできている、被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッドを製造する方法にも関する。
【0028】
本発明の一態様によれば、方法は、少なくとも1つの導電部および/または少なくとも1つの導電トラックを集積回路技術により、形成するステップをさらに備え得る。
【発明の効果】
【0029】
本発明による、プローブヘッドの、ならびに、方法の特徴および利点は、添付図面を参照して、記載された、および限定でない例として表すその実施形態の以下に行った説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来技術によるプローブヘッドを概略的に示す。
【
図2】本発明の実施形態によるプローブヘッドを概略的に示す。
【
図3】本発明によるプローブヘッドのガイドの上面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
これらの図、および特に
図2の例を参照すれば、本発明による、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスを試験するためのプローブヘッドを全体的に、および概略的に20により、示す。
【0032】
留意すべきは、複数の図が、概略図を表しており、縮尺通りに描かれていないが、その代わりに、それらが、本発明の重要な特徴を強調するように描かれていることである。さらに、複数の図中、異なる複数の要素を概略的に示しており、それらの形状は所望の適用分野に応じて変わる。さらに留意すべきは、複数の図中、同じ参照番号が、形状または機能において同一である要素を表すことである。最後に、図に示す実施形態に関して説明した特定の特徴は、他の図において示した他の実施形態にも適用可能である。
【0033】
プローブヘッド20は、
図2の例において下方ガイドである少なくとも1つのガイド40を備えており、上記ガイド40は、対応する複数のコンタクトプローブを収容するように構成された複数のガイド穴40hを備えている。
【0034】
プローブヘッド20内には、被試験デバイスに向けて/から入出力動作信号を搬送するように構成されたコンタクトプローブ、ならびに、当該技術分野において知られているような、(ここでは、「パワープローブ」と呼ばれる、)パワー信号を搬送するように構成されたコンタクトプローブ、および(ここでは、「グラウンドプローブ」と呼ばれる、)グラウンドを搬送するように構成されたコンタクトプローブが存在しており、そうしたコンタクトプローブはすべてここでは、参照番号21により示す。
図2は4つのコンタクトプローブ21のみを示しているが、プローブヘッド20が、任意の数のコンタクトプローブも備え得ることは明らかであり、図は、本発明を示す、本発明の限定でない例として記載しているに過ぎない。
【0035】
特に、コンタクトプローブ21は、第1の端部21aと第2の端部21bとの間の長手方向軸H-Hに沿って延在する本体21pを備える。第1の端部21aが、半導体ウェーハ23上に集積された被試験デバイスの接触パッド22に接触するように構成される一方、第2の端部21bは一般に、プローブヘッド20に関連付けられたスペーストランスフォーマ25の接触パッド24に接触するように構成される。
【0036】
図2に示す実施形態では、プローブヘッド20は、(下方ガイドである)ガイド40に加えて、上方ガイド50も備え、そうした複数のガイドは、エアゾーンまたはギャップGにより、間隔が空けられる。明らかに、複数のガイドの数はニーズおよび/または状況により変わり、上記複数の図は限定でない例として記載されているに過ぎない。
【0037】
有利には、本発明によれば、プローブヘッド20の複数のガイドの少なくとも1つ(
図2の例では下方ガイド40)は、たとえば、シリコン、ゲルマニウム、または、さらに、ガラス状材料および有機材料などの、半導体基板などの集積回路を製造するのに好適な材料、好ましくはシリコンでできている。
【0038】
このようにして、以下に詳細に説明するように、ガイド40を製造するために、半導体基板上の集積回路技術を利用することにより、複数の集積回路部品60は、能動的なものも、ガイド40内に収容される。よって、ガイド40は、プローブヘッド20の電気的に能動的な要素、および、そのコンタクトプローブ21の機械的支持体のいずれでもある。
【0039】
すなわち、ガイド40は、少なくとも1つの集積回路を備える回路ボードであって、そうしたボードは、複数のコンタクトプローブ21を収容するための複数のガイド穴40hを、ガイド40が、その中に集積された複数の回路部品60により、そうした複数のコンタクトプローブ21により搬送される信号に対する処理を、行うことができ、および行うように構成されるように、さらに備える、回路ボードである。
【0040】
好都合には、ガイド40は、たとえば複数のトランジスタなどの複数の能動回路部品60aを収容する。開始材料としての半導体基板の使用は、複数の能動回路部品60aが、ガイド40内で容易に、たとえば、そうした複数の能動部品60a(たとえば、複数のトランジスタゲート)の能動ゾーンを作るための好適なドーピング手法により、集積されることを可能にする。このようにして、ガイド40は、能動回路を、複雑なものも収容することができる。
【0041】
すなわち、ガイド40内に集積された回路部品60は、半導体基板上に集積される回路の技術により形成される、非常に複雑でもある回路内に含まれ、そうした回路は、複数のコンタクトプローブ21により搬送される信号に対して、処理を(複雑なものも)行うことができる。
【0042】
例として、ガイド40の回路は、信号処理回路、論理ゲート、マルチプレクサ、フィルタリング要素、増幅器、および同様なものを含み得る。特に、そうした回路は、信号の前処理を実行し、このようにして、プローブヘッド20に接続された試験装置の操作を容易化し得る。
【0043】
ガイド40は、複数の受動回路部品60bも備え得る。例として、プローブヘッド20の周波数特性を改善するために、コンタクトプローブ21により搬送される信号に対してフィルタリング処理を行うことが望ましいことが多く、よって、ガイド40は、好適なフィルタリングコンデンサを備え得る。同様に、フィルタリングコンデンサに加えて、またはその代替策として、ガイド40はさらに、抵抗器、インダクタ、リレー、またはそれらの組み合わせを備え、そうした回路要素は、プローブヘッド20の全体特性を改善するようにふるまい得る。
【0044】
明らかに、ガイド40は、上記回路部品に限定されず、いずれの好適な部品も備え得る。
【0045】
留意すべきは、本発明がここでは、集積能動回路を備えたガイドが下方ガイド40であるその好ましい実施形態に関して開示されているが、同じ発明概念が、プローブヘッド20の上方ガイド50に、またはいずれかの他のガイドに適用され得ることである。しかし、下方ガイド40内の回路集積が好ましいが、これは、複数の集積回路部品60が、このようにして、被試験デバイスにより近く、よって、プローブヘッド20の特性を改善することに、特に、複数のコンタクトプローブ21によって搬送される信号のフィルタリング処理の場合に寄与するからであることに留意する。
【0046】
図2を再び参照すれば、ガイド40の少なくとも1つのガイド穴40hは、その内表面の少なくとも一部分40wを覆うメタライゼーション(metallization)を備える。より好ましくは、ガイド穴の内表面は、メタライゼーションにより、全体的に覆われ、上記部分40wはよって、穴の内表面全体に対応する。このようにして、たとえば、少なくとも1つのメタライズされたガイド穴の存在は、そうした特定のガイド穴内に収容されたコンタクトプローブ21により、搬送される信号が、ガイド40内で既に抽出されることを可能にする。さらに、少なくとも1つのガイド穴のメタライゼーションは、コンタクトプローブ21が、ガイド40内に集積された複数の回路と電気的に接続されることを可能にする。
【0047】
ガイド40内の集積回路の形成中、複数のガイド穴40hの群40’を含む少なくとも1つの導電部26も形成することも可能である。すなわち、導電部26は、ガイド40の領域であって、そうした領域において形成された複数のガイド穴40hの群40’を含む、ガイド40の領域を覆う。特に、群40’の複数のガイド穴は、導電部26により、互いに電気的に接続され、そうした導電部26により接触させられる複数のコンタクトプローブ21の対応する群を収容する。そうした対応する群の複数のコンタクトプローブは、同じタイプの信号を搬送するように構成され、たとえば、それらは、グラウンドプローブ、パワープローブ、または被試験デバイスに向けた/からの、入出力動作信号を搬送するように構成されたプローブである。
【0048】
したがって、導電部26は、群40’の複数のガイド穴内に収容された複数のコンタクトプローブ21に対する共通導電面を形成し、そうした複数のコンタクトプローブ21は、それとそれらがすべて接触しているその上記共通導電面により、互いに電気的に接続される。すなわち、プローブヘッド20内では、複数のガイド穴40hの群40’内に収容された複数のコンタクトプローブ21は互いに短絡させられ、および、グラウンドまたはパワープローブの場合、これは、結果として生じる、他のプローブにより搬送される動作信号に対する干渉の除去に、および、プローブヘッド20の周波数特性の全体的な改善につながる。
【0049】
図2に示すように、導電部26は、ガイド40の少なくとも一面上に、特に、図の局所参照系によるガイド40の上方面である面Fa上に配置される。明らかに、導電部26は、面Faの反対側の面であり、図の局所参照系によるガイド40の下方面である面Fb上に、ならびに、両方の面FaおよびFb上に形成され得る。
【0050】
代替策として、複数の図に示すものでない一実施形態では、導電部26は、それらの一部がガイド40内に埋め込まれ得るそれらの複数の導電層であって、連続した複数の導電層が非導電層により隔てられた複数の導電層の形態を有している。
【0051】
いずれにせよ、短絡させられるべきでない複数のガイド穴は、ガイド40内の非導電ゾーンにより、導電部26から電気的に絶縁させられる。短絡させられるべきでない複数のコンタクトプローブは、短絡させられるべき複数のプローブに対して非常に近い場合(たとえば、互いに入れ違う場合)、導電部26は、短絡させられるべきでない複数のコンタクトプローブを電気的に接続しないように非導電ゾーンにより、局所的に中断される。
【0052】
図3は、ガイド40の、特に、その面Faの概略的な上面図を示し、および、ガイド40上に形成された回路が、(場合によっては、以上に示したようなメタライゼーションを備えた)複数のガイド穴40hから延在し、および/または、異なる複数の回路部品60を互いに接続することを概略的に示し、複数の導電トラック27であって、そうした複数の導電トラック27は、ガイド面40上およびその中に埋め込まれる。
【0053】
次に特に
図3を参照すれば、本発明の一実施形態では、ガイド40は、たとえば、複数の導電トラック27の好適な導電トラックにより、導電部26に接続された少なくとも1つの共通パッド28を備える。
【0054】
さらに、既に前述しており、および次に、
図3にさらに詳細に示すように、ガイド40は、単一のガイド穴をメタライズするメタライゼーションであって、そうしたメタライゼーションがここでは参照番号29により、示されるメタライゼーションも備える。
【0055】
本発明の一実施形態では、ガイド40は、単一のメタライズされたガイド穴に電気的に接続されたパッド30であって、そうしたパッド30が、たとえば、単一のコンタクトプローブにより搬送される信号を監視するために使用され得るパッド30をさらに備える。
【0056】
よって、ガイド40は、複数のガイド穴40h、および/または、単一のコンタクトプローブ21を収容するように構成された単一のガイド穴40hを含む少なくとも1つのメタライゼーション29を含む少なくとも1つの導電部26を備える。既に述べたように、導電部26もメタライゼーション29も好ましくは、複数のガイド穴40hの内表面の部分40wを覆う。
【0057】
単一のガイド穴をメタライズする可能性は、被試験デバイスの2つ以上の接触パッドを短絡させる必要性が存在している場合にもさらに特に有利である。この場合、複数の信号コンタクトプローブ21を収容する複数のガイド穴がメタライズされ、そうした複数の穴は導電トラック27により(または場合によっては、導電部26によっても)互いに電気的に接続され、複数の信号であって、それらが試験装置との間で接触要素すべてを通過する訳でない一方、ガイド40において停止する複数の信号の経路がかなり短縮化されてループバック構成を形成し、その結果としてプローブヘッド20の周波数特性の点で利点を有する。
【0058】
前述したように、本発明は、ガイド40の製造において、複数のコンタクトプローブにより搬送される信号を処理するように構成された複数の回路を、既知の方法により集積することを可能にする(回路集積に好適な)半導体材料の使用をもたらす。例として、
図3に示すように、コンタクトプローブは、ガイド40内に集積されたn-Mosトランジスタのソース端子に接触する場合があり、および別のコンタクトプローブは、そのドレイン端子に接触する場合がある。
【0059】
本発明は、プローブヘッド20を製造する方法にも関連し、そうした方法は、複数のコンタクトプローブ21を収容するように構成された複数のガイド穴40hを備えた少なくとも1つのガイド40(好ましくは、それに限定されるものでないが下方ガイド)を備える予備ステップを備える。
【0060】
好適には、本発明の方法は、ガイド40内に複数の回路部品60を集積して、プローブヘッド20の電子的に能動的な要素にするステップを備える。
【0061】
特に、ガイド40は、たとえば、シリコン、ゲルマニウム、または、さらに、ガラス状材料、有機材料および他の好適な材料などの、たとえば半導体基板などの集積回路を収容するのに好適な材料、好ましくはシリコンでできている。
【0062】
ガイド40を形成するための集積回路技術の使用はさらに、導電トラック27および導電部26が同時に形成されることを可能にする。このようにして、既に、ガイド40の生産中にメタライゼーションを形成することが可能である。
【0063】
まとめれば、本発明は、半導体基板上の集積回路の技術が、その少なくとも1つのガイドを製造するために利用され、よって、上記ガイドが一方でコンタクトプローブのハウジング要素としてふるまい、他方でそうしたコンタクトプローブにより、搬送される信号に対する処理を行うための能動回路を備えるプローブヘッドを提供する。
【0064】
有利には、本発明によれば、プローブヘッドのガイド内の能動回路の、複雑なものもの収容は、周知の効率的な技術がそうした回路を集積するために使用されるので、大いに単純化される。特に、ガイドは、能動回路部品を集積するのに、および集積回路を形成するのに好適な半導体材料でできている。
【0065】
このようにして、プローブヘッド用のガイドであって、一方で、コンタクトプローブの支持体およびハウジング要素としてふるまい、および、他方で、そうしたプローブヘッド内の電子的に能動的な要素としてふるまい、コンタクトプローブにより、搬送される信号に対する処理を複雑なものをも行う、プローブヘッド用のガイドを容易に、および効率的に製造することが可能である。
【0066】
明らかに、当業者は、非特定および特定の要件を満たすために、すべて、以下の請求項によって画定されるような、本発明の保護の範囲内に含まれる、数多くの修正および変形を上述したプローブヘッドに対して、および方法に対して行い得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッド(20)であって、前記プローブヘッド(20)は、複数のコンタクトプローブ(21)を収容するように構成された複数のガイド穴(40h、50h)を備えた少なくとも1つのガイド(40、50)を備え、前記プローブヘッド(20)は、前記ガイド(40、50)が、集積回路を製造するのに好適な材料でできており、および、前記ガイドが、前
記ガイドの中に集積された複数の回路部品(60、60a、60b)を備え、前記ガイド(40、50)は
、よって、前記プローブヘッド(20)の電子的に能動的な要素である、被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッド(20)。
【請求項2】
前記ガイド(40、50)を形成する前記材料が、シリコンおよびガラス状材料から選択さ
れる、請求項1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項3】
前記ガイド(40)の少なくとも1つのガイド穴(40h)がメタライゼーション(29)を備える、請求項1または2に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項4】
前記メタライゼーション(29)が、前記ガイド穴(40h)の内表面の少なくとも1つの部分(40w)を覆う、請求項3に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項5】
前記ガイド(40、50)が、前記メタライゼーション(29)に電気的に接続されたパッド(30)を備える、請求項
3に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項6】
前記ガイド(40,50)が、前記複数のガイド穴(40h、50h)の少なくとも1つから延
在する少なくとも1つの導電トラック(27)を備える、請求項
1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項7】
前記ガイド(40,50)が、前記ガイド(40)の前記複数の回路部品(60、60a、60b)を接続する少なくとも1つの導電トラック(27)を備える、請求項1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項8】
前記ガイド(40、50)は、前記複数のガイド穴(40h、50h)の少なくとも1つの群(40’)の複数の穴を含み、および、互いに電気的に接続し、ならびに、前記複数のコンタクトプローブ(21)の対応する群に接触するように構成された少なくとも1つの導電部(26)を備え、前記対応する群の前記複数のコンタクトプローブは、同じタイプの信号を搬送するように構成された、請求項
1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項9】
前記ガイド(40、50)は、前記少なくとも1つの導電部(26)に接続された少なくとも1つの共通パッド(28)を備える、請求項
8に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの導電部(26)が、前記ガイド(40、50)の少なくとも1つの面(Fa、Fb、Fc、Fd)上に配置され、短絡させられるべきでない複数のガイド穴が、前記ガイド(40、50)内の非導電ゾーンにより、前記少なくとも1つの導電部(26)から電気的に絶縁される、請求
項8に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの導電部(26)が、複数の導電層の形態を有しており、連続した複数の導電層は、非導電層により、隔てられる、請求
項8に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項12】
前記ガイド(40)が前記プローブヘッド(20)の下方ガイドであり、前記プローブヘッドは、前記下方ガイド(40)に平行であり、および、エアゾーン(G)により前記下方ガイドから隔てられた少なくとも1つの上方ガイド(50)も含み、前記下方ガイド(40)は試験中の前記被試験デバイスに、より近接している、請求項
1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項13】
前記ガイド(40)内に集積された前記複数の回路部品が、少なくとも1つの能動部品(60a)を備える、請求項
1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項14】
前記ガイド(40)が、前記複数のコンタクトプローブにより搬送される信号に対して、複雑な処理を行うように構成された能動回路を備える、請求項
1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項15】
複数の集積回路部品(60)は、半導体基板上に集積回路技術により得られた回路内に含まれる、請求項
1に記載のプローブヘッド(20)。
【請求項16】
被試験デバイスの動作を検証するように構成されたプローブヘッド(20)を製造する方法であって、
複数のコンタクトプローブ(21)を収容するように構成された複数のガイド穴(40h、50h)を備えた少なくとも1つのガイド(40、50)を備えるステップ、および
、
前記ガイド(40、50)内の複数の回路部品(60)を、前記ガイド(40、50)を前記プローブヘッド(20)の電子的に能動的な要素にするように集積するステップ、
を備え、
前記ガイド(40)が、複数の集積回路を収容するのに好適な材料でできている、方法。
【請求項17】
前記ガイド(40)上に少なくとも1つの導電部(26
)を、集積回路技術により形成するステップをさらに備える、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガイド(40)の少なくとも1つの面上に少なくとも1つの導電部(26)を、集積回路技術により形成するステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ガイド(40)上に少なくとも1つの導電トラック(27)を、集積回路技術により形成するステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ガイド(40)上に少なくとも1つの導電部(26)および少なくとも1つの導電トラック(27)をいずれも、集積回路技術により形成するステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【国際調査報告】